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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】呼吸検知装置、及び、酸素濃縮装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20230906BHJP
   A61M 16/10 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A61M16/00 370Z
A61M16/10 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019177090
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021052911
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 晃章
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-166635(JP,A)
【文献】特開平07-096035(JP,A)
【文献】特開2009-297498(JP,A)
【文献】特表2014-522973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61M 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃縮装置(11)における酸素濃縮ガスの発生部(12)とカニューラ(21)における酸素濃縮ガスの吐出口(21a)とを結ぶ供給流路(15,21b)の酸素濃縮ガスの圧力変化を検出するための圧力センサ(33)と、前記供給流路(15,21b)と前記圧力センサ(33)とを接続し前記供給流路(15,21b)から前記圧力センサ(33)へ酸素濃縮ガスを流す接続管(32)と、前記接続管(32)に設けられ酸素濃縮ガスの圧力に加わるノイズを低減するノイズフィルタ(34)と、を備え
前記ノイズフィルタ(34)には、前記接続管(32)の内径(d1)よりも小さい内径(d2)を有しかつ酸素濃縮ガスを通過させる孔(34a)が形成されている呼吸検知装置。
【請求項2】
前記孔(34a)の内径(d2)が、前記接続管(32)の内径(d1)の0.025倍以上0.25倍以下である、請求項に記載の呼吸検知装置。
【請求項3】
前記圧力センサ(33)と前記ノイズフィルタ(34)との距離(L)が、前記接続管(32)の内径(d1)の4倍以上である、請求項1又は2に記載の呼吸検知装置。
【請求項4】
前記酸素濃縮装置(11)が、当該酸素濃縮装置(11)の外部へ酸素濃縮ガスを排出するための排出部(14)と、前記発生部(12)と前記排出部(14)との間の供給流路(15)において酸素濃縮ガスの流量を調整する流量調整部(13)とを有している、請求項1~のいずれか1項に記載の呼吸検知装置。
【請求項5】
前記酸素濃縮装置(11)が、当該酸素濃縮装置(11)の外部へ酸素を排出するための排出部(14)を有しており、前記接続管(32)が、前記排出部(14)と前記カニューラ(21)の前記吐出口(21a)との間における酸素濃縮ガスの供給流路に接続される、請求項1~のいずれか1項に記載の呼吸検知装置。
【請求項6】
酸素濃縮ガスを発生する発生部(12)と、
前記発生部(12)において発生した酸素濃縮ガスを排出する排出部(14)と、
請求項1~のいずれか1項に記載の呼吸検知装置(31)と、を備え、
前記呼吸検知装置(31)の接続管(32)が、前記発生部(12)と前記排出部(14)とを結ぶ酸素濃縮ガスの供給流路(15)に接続されている、酸素濃縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、呼吸検知装置、及び、酸素濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、酸素濃度を高めた酸素濃縮ガスを発生する発生部と、発生部において発生した酸素濃縮ガスを排出する排出部と、発生部と排出部とを結ぶ酸素濃縮ガスの供給流路に接続された圧力センサと、排出部に接続されたカニューラと、発生部等を制御する制御部と、を備えた酸素濃縮装置が開示されている。圧力センサは、供給流路における圧力変化を測定することによって、カニューラを装着した患者の呼吸を検出する。制御部は、検出された呼吸の波形によって、安静状態、労作状態等の患者の状態を検知し、酸素濃縮ガスの供給流量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-114194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の酸素濃縮装置においては、発生部、又は発生部から排出部に到るまでの供給流路において、酸素濃縮ガスの流れに乱れが生じることによって、酸素濃縮ガスの圧力に振動が加わり、この振動がノイズとなって圧力センサにより検出されることがある。このようなノイズは、例えば呼吸の波形から患者の状態を検知する際の精度を低下させる原因となる。
【0005】
本開示は、酸素濃縮ガスの発生部からカニューラの吐出口までの供給流路における圧力のノイズを低減することができる呼吸検知装置及び酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の呼吸検知装置は、酸素濃縮装置における酸素濃縮ガスの発生部とカニューラにおける酸素濃縮ガスの吐出口とを結ぶ供給流路の酸素濃縮ガスの圧力変化を検出するための圧力センサと、前記供給流路と前記圧力センサとを接続し前記供給流路から前記圧力センサへ酸素濃縮ガスを流す接続管と、前記接続管に設けられ酸素濃縮ガスの圧力に加わるノイズを低減するノイズフィルタと、を備えている。
【0007】
上記構成によれば、供給流路において酸素濃縮ガスの圧力に加わるノイズをノイズフィルタで低減させることによって、酸素濃縮ガスの圧力変化を圧力センサにより正確に測定し、患者の呼吸を正確に検知することができる。そのため、例えば呼吸の波形を用いた患者の状態等の判別を精度よく行うことができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記ノイズフィルタには、前記接続管の内径よりも小さい内径を有しかつ酸素濃縮ガスを通過させる孔が形成されている。
上記構成によれば、接続管の内径よりも小さい内径の孔を酸素濃縮ガスが通過することによってノイズを低減させることができる。
【0009】
(3)好ましくは、前記孔の内径が、前記接続管の内径の0.025倍以上0.25倍以下である。
このような構成によって、ノイズを低減させた状態で圧力センサにより圧力変化を測定することができる。
【0010】
(4)好ましくは、前記圧力センサと前記ノイズフィルタとの距離が、前記接続管の内径の4倍以上である。
このような構成によって、ノイズフィルタの孔を通過した酸素濃縮ガスの流れの乱れが、圧力センサの測定値に影響を与えることを抑制することができる。
【0011】
(5)好ましくは、前記ノイズフィルタが、前記接続管の内径よりも大きい内径を有しかつ酸素濃縮ガスを通過させる膨張室を有している。
この構成によれば、酸素濃縮ガスをノイズフィルタの膨張室内に流入させることで圧力のノイズを低減することができる。
【0012】
(6)好ましくは、前記酸素濃縮装置が、当該酸素濃縮装置の外部へ酸素濃縮ガスを排出するための排出部と、前記発生部と前記排出部との間の供給流路において酸素濃縮ガスの流量を調整する流量調整部とを有している。
酸素濃縮装置が流量調整部を備えている場合、酸素濃縮ガスの流量を調整するために流路を絞ったり拡げたりするため、酸素濃縮ガスの流れに乱れが生じやすくなり、圧力のノイズも発生しやすくなる。そのため、上述したようなノイズフィルタを備えることがより効果的である。
【0013】
(7)好ましくは、前記酸素濃縮装置が、当該酸素濃縮装置の外部へ酸素を排出するための排出部を有しており、前記接続管が、前記排出部と前記カニューラの前記吐出口との間における酸素濃縮ガスの供給流路に接続される。
上記構成によって、呼吸検知装置を、酸素濃縮装置の外部に取り付けることができる。したがって、呼吸検知機能を持たない酸素濃縮装置に呼吸検知機能を付加することができる。
【0014】
(8)本開示の酸素濃縮装置は、
酸素濃縮ガスを発生する発生部と、
前記発生部において発生した酸素濃縮ガスを排出する排出部と、
上記(1)~(6)のいずれか1つに記載の呼吸検知装置と、を備え、
前記呼吸検知装置の接続管が、前記発生部と前記排出部とを結ぶ酸素濃縮ガスの供給流路に接続されている。
【0015】
以上のような構成によって、呼吸検知装置を酸素濃縮装置に内蔵し、圧力センサを用いて検知された患者の呼吸の状態と、酸素濃縮装置の稼働状況等とを関連付けて管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態に係る呼吸検知装置を有する酸素濃縮装置を示す概略図である。
図2】呼吸検知装置の概略的な断面図である。
図3】呼吸検知装置の変形例を示す概略的な断面図である。
図4】第2の実施の形態に係る呼吸検知装置と酸素濃縮装置とを示す概略図である。
図5】呼吸検知装置の配管接続部分を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施形態に係る呼吸検知装置及び酸素濃縮装置を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る呼吸検知装置を有する酸素濃縮装置を示す概略図である。
図1に示すように、酸素濃縮装置11は、酸素吸入療法を受ける患者に酸素濃縮ガスを供給するものである。酸素濃縮装置11には、酸素濃縮ガスを鼻から吸引するために用いられるカニューラ21が接続され、このカニューラ21を装着した患者に酸素濃縮ガスが供給される。
【0018】
カニューラ21は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂により管状に形成され酸素濃縮ガスを流す供給流路21bを備えている。供給流路21bの一端部には、酸素濃縮ガスを流入させる流入口21cが形成され、他端部には、酸素濃縮ガスを吐出する一対の吐出口21aが形成されている。流入口21cは酸素濃縮装置11に接続され、一対の吐出口21aは、患者の鼻に挿入される。なお、酸素濃縮装置11には、カニューラ21以外の酸素濃縮ガス排出用の器具が接続されてもよい。
【0019】
酸素濃縮装置11は、発生部12、流量調整部13、排出部14、呼吸検知部(呼吸検知装置)31、及び制御部16を備えている。発生部12と流量調整部13と排出部14とは、供給流路15によって接続されている。発生部12、流量調整部13、排出部14、呼吸検知部31、制御部16、及び供給流路15は、一つのケーシング17内に設けられている。
【0020】
発生部12は、酸素濃縮ガスを発生する。発生部12は、例えば、公知の圧力スイング吸着方式により、外部から酸素濃縮装置11内に取り込んだ空気を圧縮し、圧縮空気中の窒素をゼオライト等の吸着剤で吸着することによって、酸素濃度が90%前後の酸素濃縮ガスを生成する。発生部12で発生した酸素濃縮ガスは、流量調整部13を経由して排出部14へ送られる。
【0021】
排出部14は、発生部12によって発生した酸素濃縮ガスを酸素濃縮装置11の外部に排出する。排出部14は、カニューラ21の流入口21cを接続することができるように、ケーシング17から外部に突出している。排出部14は、カニューラ21を接続するための継手管等により構成される。
【0022】
流量調整部13は、患者に供給する酸素濃縮ガスの流量を調整する。例えば、流量調整部13は、呼吸検知部31によって検知された呼吸の状態に応じて患者に供給する酸素濃縮ガスの流量を調整する。流量調整部13は、開度を調整可能な弁等により構成される。
【0023】
制御部16は、CPU等の演算部と、RAM、ROM等のメモリとを備えたマイクロコンピュータにより構成されている。制御部16は、メモリに格納された制御動作プログラムをCPUが実行することによって、発生部12、流量調整部13、及び、呼吸検知部31等の動作制御を行う。制御部16は、メモリに記憶された各種の情報を出力する機能をも有している。
【0024】
図2は、呼吸検知部の概略的な断面図である。
呼吸検知部31は、接続管32と、圧力センサ33と、ノイズフィルタ34とを備えている。接続管32は、一端が供給流路15の途中に接続されている。接続管32の他端には圧力センサ33が設けられている。供給流路15と圧力センサ33との間における接続管32の内部には、ノイズフィルタ34が設けられている。
【0025】
接続管32は、ポリウレタン等の合成樹脂により形成された管である。接続管32の内径d1は、例えば、4mmである。ただし、接続管32の内径d1は、適宜変更することができる。
【0026】
圧力センサ33は、半永久的に帯電するエレクトレット素子を用いたコンデンサマイクロフォンである。コンデンサマイクロフォンは、例えば0.5Hzなど低周波数の動的な圧力変化を測定でき、1Pa以下の音圧測定に適している。
【0027】
圧力センサ33は、接続管32の他端における内部に挿入されている。圧力センサ33は、供給流路15から接続管32に流れる酸素濃縮ガスの圧力を測定することができる。供給流路15内の圧力は、患者の呼吸に応じて変化する。具体的には、患者がカニューラ21を介して酸素濃縮ガスを吸うと、供給流路15内の圧力が低下する。患者が息を吐くと、患者の呼気の圧力が吐出口21aからカニューラ21内に作用するので、供給流路15内の圧力が上昇する。圧力センサ33は、このような患者の呼吸に伴う供給流路内の圧力変化を測定する。患者の呼吸は、呼気と吸気とが交互に周期的に繰り返されるため、圧力センサ33の測定値は、周期的に変化する呼吸の波形を示すものとなる。
【0028】
制御部16は、圧力センサ33によって測定された圧力変化(呼吸波形)を取得し、メモリに記憶する。
制御部16のメモリには、患者の状態に応じた酸素濃縮ガスの供給流量が記憶されている。患者の状態とは、例えば安静状態、労作状態及び睡眠状態である。患者の状態に応じた酸素濃縮ガスの供給流量とは、例えば安静状態では2L、労作状態では2.5L、睡眠状態では1.5Lとされる。これら酸素濃縮ガスの供給流量は予め医師により処方され、制御部16に入力されて記憶される。
【0029】
制御部16は、圧力センサ33で測定された患者の呼吸波形により呼吸数を求め、その変動幅の大小によって患者の状態(安静状態、労作状態、睡眠状態)を判別する。制御部16は、患者の状態を判別すると、これに応じて酸素濃縮ガスの流量を決定する。制御部16は、決定した酸素濃縮ガスの流量に基づいて流量調整部13を制御する。これにより、患者の呼吸波形に基づく適切な流量の酸素を患者に供給することができる。
【0030】
制御部16のメモリには、酸素濃縮装置11の稼働状況等の運転情報も記憶される。この運転情報と患者の呼吸波形の情報とは、互いに関連付けられる。例えば、酸素濃縮装置11が稼働した日時についての情報と、そのときの呼吸波形についての情報とが、対応づけられた状態で制御部16のメモリに記憶される。これらの情報は、医師が、患者が処方通りに酸素濃縮装置11を使用しているか否か等、患者による酸素濃縮装置11の使用状況を把握するために利用することができる。例えば、酸素濃縮装置11が稼働しているにも関わらず、呼吸波形が適切に取得されていない場合は、患者がカニューラ21を正しく装着していない状態で酸素濃縮装置11を使用していると推測することができる。また、患者の呼吸情報から得られる呼吸数や呼吸間隔を長期的に測定し、その経過を診ることによって、患者の病状の悪化や改善の状態を把握することができる。したがって、医師は、メモリに記憶された情報を患者の治療や診察に反映させることができる。
【0031】
酸素濃縮ガスは、発生部12から排出されたときや流量調整部13で流量が調整されたとき等、排出部14に到るまでの過程で圧力に振動が加わり、その振動がノイズとして圧力センサ33で検出されることがある。本実施形態の呼吸検知部31は、圧力センサ33によるノイズの検出を抑制するためにノイズフィルタ34を備えている。
【0032】
呼吸検知部31のノイズフィルタ34は、円筒形状に形成されている。ノイズフィルタ34は、その外周面が接続管32の内周面に密着した状態で接続管32に装着されている。ノイズフィルタ34には、接続管32の内径d1よりも小さい内径d2を有する孔34aが形成されている。供給流路15から接続管32を流れる酸素濃縮ガスは、孔34aを通過して圧力センサ33に到る。
【0033】
ノイズフィルタ34の孔34aの内径d2は、接続管32の内径d1に対して次の式(1)の関係を有している。
0.025d1≦d2≦0.25d1 ・・・(1)
【0034】
好ましくは、ノイズフィルタ34の孔34aの内径d2は、接続管32の内径d1に対して次の式(2)の関係を有している。
0.1d1≦d2≦0.15d1 ・・・(2)
【0035】
より好ましくは、ノイズフィルタ34の孔34aの内径d2は、接続管32の内径d1に対して次の式(1)の関係を有している。
d2=0.125d1 ・・・(3)
【0036】
ノイズフィルタ34と圧力センサ33との間の距離Lは、次の式(4)の関係を有している。
L≧4d1 ・・・(4)
【0037】
[本実施形態の作用効果]
(1)上述した第1の実施形態の呼吸検知部(呼吸検知装置)31は、酸素濃縮装置11における酸素濃縮ガスの発生部12とカニューラ21における酸素濃縮ガスの吐出口21aとを結ぶ供給流路15の酸素濃縮ガスの圧力変化を検出するための圧力センサ33と、供給流路15と圧力センサ33とを接続し供給流路15から圧力センサ33へ酸素濃縮ガスを流す接続管32と、接続管32に設けられ酸素濃縮ガスの圧力に加わるノイズを低減するノイズフィルタ34と、を備えている。
【0038】
このような構成を有する呼吸検知部31によれば、供給流路15において酸素濃縮ガスの圧力に加わるノイズをノイズフィルタ34で低減させることができ、酸素濃縮ガスの圧力変化を圧力センサ33によって正確に測定し、患者の呼吸波形を正確に検知することができる。したがって、この呼吸波形を用いた患者の状態の判別や、病状の変化の把握、酸素濃縮装置11の使用状況の把握等を精度よく行うことができる。
【0039】
(2)上述の第1の実施形態では、ノイズフィルタ34には、接続管32の内径d1よりも小さい内径d2を有しかつ酸素濃縮ガスを通過させる孔34aが形成されている。そのため、ノイズフィルタ34の孔34aを酸素濃縮ガスが通過することによってノイズを低減させることができる。
【0040】
(3)上述の第1の実施形態では、上記の式(1)に示すように、ノイズフィルタ34の孔34aの内径d2が、接続管32の内径d1の0.025倍以上0.25倍以下である。孔34aの内径d2が、接続管32の内径d1の0.025倍未満であると、当該孔34aを酸素濃縮ガスが通過し難くなり、圧力センサ33によって圧力変化を測定することが困難となる。孔34aの内径d2が、接続管32の内径d1の0.25倍を超えると、ノイズの低減効果が小さくなる。よって、ノイズフィルタ34の孔34aの内径d2が、接続管32の内径d1の0.025倍以上0.25倍以下とされることによって、ノイズを低減させた状態で圧力センサ33により圧力変化を測定することができる。
【0041】
(4)上述の第1の実施形態では、前記式(4)に示すように、圧力センサ33とノイズフィルタ34との距離Lが、接続管32の内径d1の4倍以上に設定されている。これは次の理由による。酸素濃縮ガスがノイズフィルタ34の孔34aを通過すると、その流れに若干乱れが生じることがある。圧力センサ33とノイズフィルタ34との距離が接続管32の内径d1の4倍未満であったとすると、孔34aを通過することによる酸素濃縮ガスの流れの乱れが圧力センサ33の測定値に影響を与える可能性が高まる。上記のように、圧力センサ33とノイズフィルタ34との距離Lを接続管32の内径d1の4倍以上に設定することによって、ノイズフィルタ34の孔34aを通過した酸素濃縮ガスの流れの乱れが、圧力センサ33の測定値に影響を与えることを抑制することができる。
【0042】
(5)上述の第1の実施形態では、酸素濃縮装置11が、当該酸素濃縮装置11の外部へ酸素濃縮ガスを排出するための排出部14と、発生部12と排出部14との間の供給流路15において酸素濃縮ガスの流量を調整する流量調整部13とを有する。このように酸素濃縮装置11が流量調整部13を備えている場合、酸素濃縮ガスの流量を調整するために流路を絞ったり拡げたりするため、酸素濃縮ガスの流れに乱れが生じやすくなり、圧力のノイズも発生しやすくなる。そのため、上述したようなノイズフィルタ34を備えることがより効果的である。
【0043】
(6)上述の第1の実施形態の酸素濃縮装置11は、酸素濃縮ガスを発生する発生部12と、発生部12において発生した酸素濃縮ガスを排出する排出部14と、呼吸検知部31と、を備え、呼吸検知部31の接続管32が、発生部12と排出部14とを結ぶ酸素濃縮ガスの供給流路15に接続されている。そのため、呼吸検知部31を酸素濃縮装置11に内蔵し、圧力センサ33を用いて検知された患者の呼吸の状態と、酸素濃縮装置11の運転状態とを関連付けて管理することができる。
【0044】
[呼気検知装置の変形例]
図3は、呼吸検知装置の変形例を示す概略的な断面図である。
この呼吸検知装置31のノイズフィルタ34は、図2に示すものとは異なり、接続管32よりもの内径d1よりも大きい内径d3の膨張室34bを有している。
このノイズフィルタ34の場合、供給流路15から接続管32に流入した酸素濃縮ガスが膨張室34bに入ることによって圧力の振動が低減され、圧力センサ33によるノイズの検出を抑制することができる。
【0045】
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施の形態に係る呼吸検知装置及び酸素濃縮装置を示す概略図である。
本実施形態の呼吸検知装置31は、酸素濃縮装置11とは別体で構成され、酸素濃縮装置11に外付けされている。
【0046】
呼吸検知装置31は、ノイズフィルタ34と、圧力センサ33と、接続管32と、制御部35とを備えている。これらはケーシング36内に設けられている。接続管32の一端は、継手部材37によって酸素濃縮装置11の排出部14と、カニューラ21とに接続されている。
【0047】
ノイズフィルタ34、圧力センサ33、及び接続管32の構成は、第1の実施形態と同様である。制御部35は、CPU等の演算部と、RAM、ROM等のメモリとを備えたマイクロコンピュータにより構成されている。制御部35は、メモリに格納された制御動作プログラムをCPUが実行することによって圧力センサ33等の動作制御を行う。制御部35は、第1の実施形態の制御部16の機能のうち、圧力センサ33の測定値を取得し、呼吸波形の情報としてメモリに記憶する機能を有している。また、制御部35は、メモリに記憶した情報を出力する機能を有している。
【0048】
図5は、呼吸検知装置の配管接続部分を示す説明図である。
継手部材37は、例えば図5に例示されるように、一端が酸素濃縮装置11の排出部14に接続されている。継手部材37の他端には、接続管32の端部と、カニューラ21の流入口21cとが接続されている。継手部材37の内部には、排出部14から接続管32とカニューラ21とに分岐する分岐流路が形成されている。したがって、接続管32は、酸素濃縮装置11の排出部14と、カニューラ21の吐出口21a(図4参照)との間における酸素濃縮ガスの供給流路に接続されている。
【0049】
第2の実施形態の呼吸検知装置31は、接続管32が、排出部14とカニューラ21の吐出口21aとの間の酸素濃縮ガスの供給流路に接続されるので、呼吸検知装置31を、酸素濃縮装置11の外部に取り付けることができる。したがって、呼吸検知機能を持たない酸素濃縮装置11に呼吸検知機能を付加することができる。
【0050】
本開示は、上記した実施形態の説明に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、圧力センサ33としてコンデンサマイクロフォンが用いられていたが、患者の呼吸波形を検知できる限り、ダイヤフラム型等の他の圧力センサを用いることができる。ただし、ダイヤフラム型の圧力センサは、リファレンス圧の安定化が必要となり、サイズも大きくなるため、上記実施形態のようなコンデンサマイクロフォンを使用することがより好ましい。
【符号の説明】
【0051】
11 :酸素濃縮装置
12 :発生部
13 :流量調整部
14 :排出部
15 :供給流路
21 :カニューラ
21a :吐出口
21b :供給流路
31 :呼吸検知装置(呼吸検知部)
32 :接続管
33 :圧力センサ
34 :ノイズフィルタ
34a :孔
34b :膨張室
L :距離
d1 :内径
d2 :内径
図1
図2
図3
図4
図5