(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】抵抗変化型メモリ及び抵抗変化型メモリの書換方法
(51)【国際特許分類】
G11C 13/00 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
G11C13/00 270J
G11C13/00 480B
(21)【出願番号】P 2020030478
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】520233375
【氏名又は名称】富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中久保 敦
(72)【発明者】
【氏名】清野 淳司
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-295209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0099359(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加される電圧によって抵抗値が変化する複数のメモリ素子と、
前記複数のメモリ素子のうち、第1のメモリ素子の一方の端子に接続され、第1のワード線の電位に応じて前記第1のメモリ素子を第1のビット線に電気的に接続させるか否かを切り替える第1のセルトランジスタと、
前記複数のメモリ素子のうち、第2のメモリ素子の一方の端子に接続されるとともに、前記第1のメモリ素子の一方の端子に電気的に接続され、第2のワード線の電位に応じて前記第2のメモリ素子を前記第1のビット線に電気的に接続させるか否かを切り替える第2のセルトランジスタと、
前記第1のメモリ素子の他方の端子に接続された第1のソース線と、
前記第2のメモリ素子の他方の端子に接続され、前記第1のソース線とは異なる第2のソース線と、
前記第1のメモリ素子の書換時に、前記第1のワード線と前記第2のワード線を駆動して、前記第1のセルトランジスタと前記第2のセルトランジスタをオンさせるワード線選択回路と、
前記第1のメモリ素子の書換時に、入力されるデータに基づいて、前記第1のビット線の電位を第1の電位とするビット線選択回路と、
前記第1のメモリ素子の書換時に、前記データに基づいて、前記第1のソース線の電位を前記第1の電位とは異なる第2の電位とし、前記第2のソース線の電位を前記第1の電位とするソース線選択回路と、
を有する抵抗変化型メモリ。
【請求項2】
前記第1のメモリ素子の2つの端子のうち、前記第1のセルトランジスタに接続された端子と、前記第2のメモリ素子の2つの端子のうち、前記第2のセルトランジスタに接続された端子とを、電気的に接続させるか否かを切り替えるスイッチを、さらに有し、
前記スイッチは、前記第1のメモリ素子の書換時にオンする、
請求項1に記載の抵抗変化型メモリ。
【請求項3】
前記ビット線選択回路と前記ソース線選択回路は、前記第1のメモリ素子の書換時に、前記第1のメモリ素子のアドレスと、前記データに基づいて、前記第1のビット線とは異なる第2のビット線の電位と、前記第2のビット線に一方の端子が電気的に接続されるメモリ素子の他方の端子に接続された、前記第1のソース線、前記第2のソース線、または第3のソース線の電位とを同電位にする、請求項1または2に記載の抵抗変化型メモリ。
【請求項4】
前記第1のソース線は、前記第1のビット線に接続されるメモリ素子のうち、一部のメモリ素子に接続されるとともに、前記第1のビット線に隣接する一方のビット線に接続されるメモリ素子のうちの一部のメモリ素子に接続され、
前記第2のソース線は、前記第1のビット線に接続されるメモリ素子のうち、前記第1のソース線が接続されていないメモリ素子に接続されるとともに、前記第1のビット線に隣接する他方のビット線に接続されるメモリ素子のうちの一部のメモリ素子に接続されている、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の抵抗変化型メモリ。
【請求項5】
前記第1のソース線は、前記第1のビット線に接続されるメモリ素子のうち、一部のメモリ素子に接続され、
前記第2のソース線は、前記第1のビット線に接続されるメモリ素子のうち、前記第1のソース線が接続されていないメモリ素子に接続されている、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の抵抗変化型メモリ。
【請求項6】
印加される電圧によって抵抗値が変化する複数のメモリ素子と、前記複数のメモリ素子のうち、第1のメモリ素子の一方の端子に接続され、第1のワード線の電位に応じて前記第1のメモリ素子を第1のビット線に電気的に接続させるか否かを切り替える第1のセルトランジスタと、前記複数のメモリ素子のうち、第2のメモリ素子の一方の端子に接続されるとともに、前記第1のメモリ素子の一方の端子に電気的に接続され、第2のワード線の電位に応じて前記第2のメモリ素子を前記第1のビット線に電気的に接続させるか否かを切り替える第2のセルトランジスタと、前記第1のメモリ素子の他方の端子に接続された第1のソース線と、前記第2のメモリ素子の他方の端子に接続され、前記第1のソース線とは異なる第2のソース線と、を有するメモリアレイに対して、
ワード線選択回路が、前記第1のメモリ素子の書換時に、前記第1のワード線と前記第2のワード線を駆動して、前記第1のセルトランジスタと前記第2のセルトランジスタをオンさせ、
ビット線選択回路が、前記第1のメモリ素子の書換時に、入力されるデータに基づいて前記第1のビット線の電位を第1の電位とし、
ソース線選択回路が、前記第1のメモリ素子の書換時に、前記データに基づいて前記第1のソース線の電位を前記第1の電位とは異なる第2の電位とし、前記第2のソース線の電位を前記第1の電位とする、
抵抗変化型メモリの書換方法。
【請求項7】
印加される電圧によって抵抗値が変化する複数のメモリ素子と、前記複数のメモリ素子のうち、第1のメモリ素子の一方の端子に接続され、第1のワード線の電位に応じて前記第1のメモリ素子を第1のビット線に電気的に接続させるか否かを切り替える第1のセルトランジスタと、前記複数のメモリ素子のうち、第2のメモリ素子の一方の端子に接続され、第2のワード線の電位に応じて前記第2のメモリ素子を前記第1のビット線に電気的に接続させるか否かを切り替える第2のセルトランジスタと、前記第1のメモリ素子の一方の端子と前記第2のメモリ素子の一方の端子とを、電気的に接続させるか否かを切り替えるスイッチと、前記第1のメモリ素子の他方の端子に接続された第1のソース線と、前記第2のメモリ素子の他方の端子に接続され、前記第1のソース線とは異なる第2のソース線と、を有するメモリアレイに対して、
ワード線選択回路が、前記第1のメモリ素子の書換時に、前記第1のワード線と前記第2のワード線を駆動して、前記第1のセルトランジスタと前記第2のセルトランジスタをオンさせ、
ビット線選択回路が、前記第1のメモリ素子の書換時に、入力されるデータに基づいて前記第1のビット線の電位を第1の電位とし、
ソース線選択回路が、前記第1のメモリ素子の書換時に、前記データに基づいて前記第1のソース線の電位を前記第1の電位とは異なる第2の電位とし、前記第2のソース線の電位を前記第1の電位とし、
分離選択回路が、前記第1のメモリ素子の書換時に、入力される制御信号に基づいて前記スイッチをオンまたはオフする、
抵抗変化型メモリの書換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗変化型メモリ及び抵抗変化型メモリの書換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗変化型メモリとして、ReRAM(Resistive Random Access Memory)、MRAM(Magnetic Random Access Memory)、PCRAM(Phase-Change Random Access Memory)が知られている(たとえば、特許文献1-3参照)。
【0003】
これらの抵抗変化型メモリのうち、ReRAMのメモリ素子は、印加される電圧に応じて高抵抗状態または低抵抗状態に変化し、各抵抗状態を2値のデータに対応付けて保持する。
【0004】
ReRAMにおける読み出し時には、読み出し対象のメモリ素子の一端に接続されるセルトランジスタがオンし、そのメモリ素子にセルトランジスタを介して接続されるビット線が接地電位となる。そして、読み出し対象のメモリ素子の他端に接続されるソース線に、電流源、または、抵抗素子を介して電源が接続されることで、ソース線の電位が所定の電位に上昇する。これにより、読み出し対象のメモリ素子には、読み出し用の電圧(書換用の電圧よりは十分に小さくメモリ素子の抵抗値の変化を生じない)が印加される。このとき、判定回路がソース線に流れる電流量に応じて、メモリ素子の抵抗値に対応したデータ(0または1)を判定する。
【0005】
なお、ソース線に接続される抵抗素子の抵抗値、電流源の電流量のばらつき、判定回路の動作誤差、ソース線に接続される読み出し対象以外のメモリ素子やその他の素子などによる寄生リーク電流などは、判定用の電流量に影響を与える可能性がある。そのため、たとえば、読み出し対象のメモリ素子が低抵抗状態のとき、これらが判定用の電流量に影響を与えたとしても、確実に低抵抗状態に対応した判定用の電流量が得られるように、メモリ素子の抵抗値は十分小さい値となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-079869号公報
【文献】特開2013-140667号公報
【文献】特開2011-258829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
書き換え時に、低抵抗状態のメモリ素子に書換用の電圧(読み出し用の電圧より十分に大きい)を印加した場合、このメモリ素子の抵抗値が小さいほどメモリ素子に流れる電流量が大きくなる。電流量が大きければ、その電流が流れる経路に存在する、書換対象のメモリ素子以外の素子の抵抗成分による電圧降下量も増加するため、書換対象のメモリ素子に十分な電圧を印加するために、より高圧の書換用の電圧を準備しなくてはならない。これにより消費電力の増大につながる問題がある。
【0008】
1つの側面では、本発明は、抵抗変化型メモリの書換用の電圧を低く抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの実施態様では、印加される電圧によって抵抗値が変化する複数のメモリ素子と、前記複数のメモリ素子のうち、第1のメモリ素子の一方の端子に接続され、第1のワード線の電位に応じて前記第1のメモリ素子を第1のビット線に電気的に接続させるか否かを切り替える第1のセルトランジスタと、前記複数のメモリ素子のうち、第2のメモリ素子の一方の端子に接続されるとともに、前記第1のメモリ素子の一方の端子に電気的に接続され、第2のワード線の電位に応じて前記第2のメモリ素子を前記第1のビット線に電気的に接続させるか否かを切り替える第2のセルトランジスタと、前記第1のメモリ素子の他方の端子に接続された第1のソース線と、前記第2のメモリ素子の他方の端子に接続され、前記第1のソース線とは異なる第2のソース線と、前記第1のメモリ素子の書換時に、前記第1のワード線と前記第2のワード線を駆動して、前記第1のセルトランジスタと前記第2のセルトランジスタをオンさせるワード線選択回路と、前記第1のメモリ素子の書換時に、入力されるデータに基づいて、前記第1のビット線の電位を第1の電位とするビット線選択回路と、前記第1のメモリ素子の書換時に、前記データに基づいて、前記第1のソース線の電位を前記第1の電位とは異なる第2の電位とし、前記第2のソース線の電位を前記第1の電位とするソース線選択回路と、を有する抵抗変化型メモリが提供される。
【0010】
また、1つの実施態様では、抵抗変化型メモリの書換方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
1つの側面では、本発明は、抵抗変化型メモリの書換用の電圧を低く抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態の抵抗変化型メモリの一例を示す図である。
【
図3】第2の実施の形態の抵抗変化型メモリの一例を示す図である。
【
図4】第2の実施の形態の抵抗変化型メモリのメモリアレイのレイアウト例を示す図である。
【
図5】比較例の抵抗変化型メモリのメモリアレイを示す図である。
【
図6】比較例の抵抗変化型メモリのメモリアレイのレイアウトを示す図である。
【
図7】セルトランジスタの幅を拡張した比較例のメモリアレイを示す図である。
【
図8】分離トランジスタの有無による低抵抗化前後の各部の電位変化の例を示す図である。
【
図9】第3の実施の形態の抵抗変化型メモリの一例を示す図である。
【
図15】SLコラムデコーダ及びSLライトドライバの回路例を示す図である。
【
図16】WLローデコーダの回路例を示す図である。
【
図17】BLコラムデコーダ及びBLライトドライバの回路例を示す図である。
【
図18】SEPローデコーダの回路例を示す図である。
【
図19】第3の実施の形態の抵抗変化型メモリの動作の一例の流れを示すタイミングチャートである。
【
図20】第3の実施の形態の抵抗変化型メモリにおけるあるメモリ素子に対する書換動作が行われる際の電流の流れを示す図である。
【
図21】第4の実施の形態の抵抗変化型メモリにおけるメモリアレイの一例を示す図である。
【
図26】第4の実施の形態の抵抗変化型メモリのSLコラムデコーダ及びSLライトドライバの回路例を示す図である。
【
図27】第4の実施の形態の抵抗変化型メモリのBLコラムデコーダ及びBLライトドライバの回路例を示す図である。
【
図28】第4の実施の形態の抵抗変化型メモリにおけるあるメモリ素子に対する書換動作が行われる際の電流の流れを示す図である。
【
図29】第5の実施の形態の抵抗変化型メモリの書換方法を説明する図である。
【
図30】書換強度の切り替えを実現するSEPローデコーダの一例を示す図である。
【
図31】第5の実施の形態の抵抗変化型メモリの書換方法の一例の流れを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の抵抗変化型メモリの一例を示す図である。
【0014】
第1の実施の形態の抵抗変化型メモリ10は、メモリアレイ11、ワード線選択回路12、ビット線選択回路13、ソース線選択回路14、データ判定回路15を有する。なお、ワード線選択回路12、ビット線選択回路13、ソース線選択回路14、データ判定回路15に各種制御信号やアドレスなどを供給する構成については、図示が省略されている。
【0015】
メモリアレイ11は、複数のメモリ素子(たとえば、メモリ素子11a1,11a2,11a3,11a4)を有する。複数のメモリ素子のそれぞれは、印加される電圧に応じて抵抗値が変化する素子である。たとえば、複数のメモリ素子のそれぞれは、第1の抵抗状態(以下低抵抗状態という)または第1の抵抗状態よりも抵抗値が高い第2の抵抗状態(以下高抵抗状態という)に変化し、各抵抗状態を、2値のデータに対応付けて保持する。複数のメモリ素子のそれぞれは、たとえば、金属酸化物を電極で挟んだ構造となっている。
【0016】
さらに、メモリアレイ11は、複数のセルトランジスタ(たとえば、セルトランジスタ11b1,11b2,11b3,11b4)を有する。各セルトランジスタは、ワード線(たとえば、ワード線WLa,WLb,WLc,WLd)の電位に応じて、メモリ素子をビット線(たとえば、ビット線BLa,BLb)に電気的に接続させるか否かを切り替える。なお、以下では、セルトランジスタはnチャネル型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であるものとするが、これに限定されるものではない。
【0017】
たとえば、セルトランジスタ11b1のドレインまたはソースの一方は、メモリ素子11a1の一方の端子に接続される。そして、セルトランジスタ11b1は、ゲートに接続されるワード線WLbの電位に応じて、メモリ素子11a1をドレインまたはソースの他方を介してビット線BLaに電気的に接続させるか否かを切り替える。
【0018】
また、セルトランジスタ11b1は、メモリ素子11a1に対してビット線の延長方向に隣接するメモリ素子11a2の一方の端子にも電気的に接続される。なお、セルトランジスタ11b2側から見た場合にも同様のことがいえる。すなわち、セルトランジスタ11b2は、メモリ素子11a2の一方の端子に接続されるとともに、メモリ素子11a2に対してメモリ素子11a1の一方の端子に電気的に接続される。
【0019】
ただし、セルトランジスタ11b1とメモリ素子11a2(セルトランジスタ11b2とメモリ素子11a1)の間にスイッチを設け、メモリ素子11a1,11a2に記憶されているデータの書換時にオンさせて、両者を電気的に接続させてもよい。この例については第2の実施の形態において説明する。
【0020】
また、メモリアレイ11において、上記のように1つのセルトランジスタに対して電気的に接続される2つのメモリ素子の他方の端子は、互いに異なるソース線に接続される。たとえば、メモリ素子11a1の他方の端子はソース線SLaに接続され、メモリ素子11a2の他方の端子はソース線SLbに接続される。
【0021】
ワード線選択回路12は、読み出し対象または書換対象のメモリ素子に繋がるセルトランジスタに接続されるワード線を駆動して、セルトランジスタをオンさせる。ただし、ワード線選択回路12は、あるメモリ素子の書換時には、書換対象のメモリ素子に繋がるセルトランジスタと電気的に接続されるセルトランジスタに接続されるワード線についても駆動する。
【0022】
ビット線選択回路13は、あるメモリ素子の書換時には、書換対象のメモリ素子に電気的に接続されるビット線の電位を、入力されるデータ(書換データ)に基づいた電位とする。ビット線選択回路13は、あるメモリ素子の読み出し時には、読み出し対象のメモリ素子に電気的に接続されるビット線の電位を、たとえば、接地電位とする。
【0023】
ソース線選択回路14は、あるメモリ素子の書換時には、書換データに基づいて、書換対象のメモリ素子に接続されるソース線の電位を、そのメモリ素子が接続されるビット線の電位とは異なる電位とする。ソース線選択回路14は、あるメモリ素子の読み出し時には、読み出し対象のメモリ素子に接続されるソース線の電位を、読み出し用の所定の電位とする。
【0024】
ただし、上記のように2つのメモリ素子の一方が書換対象であっても、2つのセルトランジスタがオンされる。そのため、ソース線選択回路14は、書換対象でないメモリ素子に接続されるソース線を、そのメモリ素子に電気的に接続されるビット線と同じ電位にする。
【0025】
データ判定回路15は、読み出し対象のメモリ素子に接続されるソース線の電位に基づいて、そのメモリ素子に記憶されているデータを判定する。
以下、第1の実施の形態の抵抗変化型メモリ10の書換動作例及び、その効果を説明する。
【0026】
図2は、書換動作の一例を示す図である。
たとえば、メモリ素子11a2を書換対象とした書換動作が行われる場合、ワード線WLb,WLcが駆動される(論理レベルがH(High)レベルの電位とされる)。その他のワード線WLa,WLdは駆動されない(論理レベルがL(Low)レベルの電位とされる)。
【0027】
これにより、セルトランジスタ11b1,11b2がオンし、メモリ素子11a1,11a2がビット線BLaに電気的に接続される。そして、たとえば、メモリ素子11a2に記憶されているデータを、データ“1”に書き換える場合、ソース線SLbの電位が接地電位(
図2ではGND)とされ、ビット線BLaの電位が書換用のHレベルの電位(
図2ではVWR)とされる。メモリ素子11a2に記憶されているデータを、データ“0”に書き換える場合、ソース線SLbの電位がVWRとされ、ビット線BLaの電位がGNDとされる。
【0028】
一方、書換対象ではないメモリ素子11a1に接続されているソース線SLaの電位は、ビット線BLaと同電位とされる。メモリ素子11a1において書換が発生することを防ぐためである。
【0029】
上記のような各電位がビット線BLa、ソース線SLa,SLbに発生している場合、ソース線SLbとビット線BLaは、セルトランジスタ11b1を介した電流経路と、セルトランジスタ11b2を介した電流経路により結ばれる。
【0030】
これにより、セルトランジスタ11b2だけを介した電流経路でソース線SLaとビット線BLaを結ぶよりも、電流経路が増える。これにより、以下のような効果が得られる。
【0031】
電流経路上のメモリ素子以外の素子の1つであるセルトランジスタの幅(ゲート幅)を大きくすれば、電流経路における抵抗を小さくすることができる。しかし、メモリアレイ11は、1つのメモリ素子と1つのセルトランジスタによる構成単位が非常に多数配列される場合があるため、各構成単位の面積がコストに大きく影響する。そのため、セルトランジスタのサイズも極力小さいことが望ましい。そのため、セルトランジスタのドライブ能力も小さく抑えられてしまっており、これが書換動作時の電流経路上に存在する、メモリ素子以外の素子の抵抗成分の中で大きな要素となっている。
【0032】
上記のように第1の実施の形態の抵抗変化型メモリ10では、書換動作時には、2つのセルトランジスタを介した2つの電流経路が形成されるため、実質的にセルトランジスタの幅を増やしたことと同様の効果が得られる。すなわち、電流経路において、メモリ素子以外の素子による抵抗を小さくすることができる。これにより、書換対象のメモリ素子以外の素子の抵抗成分による電圧降下量を抑えられるため、書換用の電圧も低く抑えることができる。このことにより、書換用の電圧を発生する回路(ビット線選択回路13やソース線選択回路14)の簡素化や消費電力の低減も可能となる。
【0033】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態の抵抗変化型メモリの一例を示す図である。
図3において、
図1に示した要素と同じ要素については
図1の要素と同じ符号が付されている。
【0034】
第2の実施の形態の抵抗変化型メモリ20におけるメモリアレイ21は、分離トランジスタ(たとえば、分離トランジスタ21a1,21a2)を有する。分離トランジスタは、同じビット線に接続される複数のメモリ素子のうち異なるソース線に接続されるもの同士を、電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチとして機能する。
【0035】
たとえば、分離トランジスタ21a1は、メモリ素子11a1の一方の端子(セルトランジスタ11b1に接続される端子)と、メモリ素子11a2の一方の端子(セルトランジスタ11b2に接続される端子)との間に接続される。そして、分離トランジスタ21a1は、分離選択線SEPaに印加される電位に応じて、メモリ素子11a1,11a2を電気的に接続するか否かを切り替える。分離トランジスタ21a2は、メモリ素子11a3の一方の端子と、メモリ素子11a4の一方の端子との間に接続され、分離選択線SEPaに印加される電位に応じて、メモリ素子11a3,11a4とを電気的に接続するか否かを切り替える。
【0036】
なお、以下では、分離トランジスタはnチャネル型MOSFETであるものとするが、これに限定されるものではない。
第2の実施の形態の抵抗変化型メモリ20は、さらに、分離選択回路22を有する。
【0037】
分離選択回路22は、入力されるアドレスと制御信号に基づいて、複数の分離選択線(たとえば、分離選択線SEPa)に所定の電位を印加する。たとえば、メモリ素子11a1とメモリ素子11a2とを電気的に接続する場合、分離選択回路22は、論理レベルがHレベルの電位を分離選択線SEPaに印加し、分離トランジスタ21a1をオンさせる。メモリ素子11a1とメモリ素子11a2とを電気的に分離する場合、分離選択回路22は、論理レベルがLレベルの電位を分離選択線SEPaに印加し、分離トランジスタ21a1をオフさせる。
【0038】
図4は、第2の実施の形態の抵抗変化型メモリのメモリアレイのレイアウト例を示す図である。
メモリアレイ21が形成される図示しない半導体基板上には、セルトランジスタ11b1~11b4や分離トランジスタ21a1,21a2のソース/ドレイン領域として機能する活性化領域21b1,21b2が形成されている。各ビット線やメモリ素子はコンタクト(たとえば、コンタクト21c1,21c2,21c3,21c4)によって活性化領域21b1,21b2に接続される。
【0039】
各ワード線や分離選択線は、活性化領域21b1,21b2上に形成される図示しないゲート電極に接続される。
次に、第2の実施の形態の抵抗変化型メモリ20の動作を説明する前に、抵抗変化型メモリ20の比較例を説明する。
【0040】
図5は、比較例の抵抗変化型メモリのメモリアレイを示す図である。また、
図6は、比較例の抵抗変化型メモリのメモリアレイのレイアウトを示す図である。
図5及び
図6において、
図3または
図4と同じ要素については
図3または
図4と同じ符号が付されている。
【0041】
比較例の抵抗変化型メモリのメモリアレイ30では、同じビット線に接続されるメモリ素子は同じソース線に接続されている。たとえば、メモリ素子11a1,11a2は、ソース線SLxに接続され、メモリ素子11a3,11a4は、ソース線SLyに接続されている。
【0042】
なお、このようなメモリアレイ30では、分離選択線SEPaは、論理レベルがLレベルの電位(接地電位)で固定されている。このため、分離トランジスタ21a1,21a2は常にオフ状態である。
【0043】
このようなメモリアレイ30が適用される場合、たとえば、メモリ素子11a2の書換時には、以下のような動作が行われる。
まず、ワード線WLcに論理レベルがHレベルの電位が印加され、その他のワード線(たとえば、ワード線WLa,WLb,WLd)に論理レベルがLレベルの電位が印加される。また、ビット線BLaとソース線SLxの一方が、書換用のHレベルの電位とされ、他方が接地電位とされる。その他のビット線及びソース線(たとえば、ビット線BLbやソース線SLy)は、フローティング状態とされる。
【0044】
これにより、メモリ素子11a2に書換用の電圧が印加され、書換が行われる。メモリ素子11a2以外のメモリ素子(たとえば、メモリ素子11a1,11a3,11a4)には、書換用の電圧が印加されない。それらのメモリ素子に接続されるセルトランジスタがオフ状態になるか、それらのメモリ素子に接続されるソース線またはビット線がフローティング状態となるためである。
【0045】
メモリ素子11a2に書換用の電圧が印加されるとき、ソース線SLxとビット線BLaは、セルトランジスタ11b2を介した電流経路により結ばれる。メモリ素子11a2が低抵抗状態のときに、書換用の電圧が印加された場合、メモリ素子11a2の抵抗値が小さいほどメモリ素子11a2に流れる電流量が大きくなる。電流量が大きければ、その電流が流れる経路に存在する、メモリ素子11a2以外の素子の抵抗成分による電圧降下量も増加するため、メモリ素子11a2に十分な書換用の電圧を印加するために、より高圧の電圧を準備しなくてはならない。
【0046】
書き換え対象のメモリ素子以外の素子の抵抗成分を軽減するために、たとえば、以下のようにセルトランジスタの幅(ゲート幅)を広げることが考えられる。
図7は、セルトランジスタの幅を拡張した比較例のメモリアレイを示す図である。
図7において、
図6と同じ要素については
図6と同じ符号が付されている。
【0047】
図7に示されているメモリアレイ30aの活性化領域21ba1,21ba2の幅(ワード線の延長方向の長さ)は、
図6に示したメモリアレイ30の活性化領域21b1,21b2の幅よりも広い。これにより、各セルトランジスタの幅が広くなり、セルトランジスタの抵抗成分を軽減できる。しかし、前述の理由により、セルトランジスタの幅を広くするとレイアウト面積が増大してしまい、製品のコストアップにつながる可能性がある。
【0048】
一方、
図3、
図4に示した第2の実施の形態の抵抗変化型メモリ20では、たとえば、メモリ素子11a2の書換時には、以下のような動作が行われる。
ワード線WLb,WLcに論理レベルがHレベルの電位が印加され、その他のワード線WLa,WLdに論理レベルがLレベルの電位が印加される。
【0049】
また、比較例の抵抗変化型メモリのメモリアレイ30とは異なり、分離選択線SEPaに論理レベルがHレベルの電位が印加される。なお、図示が省略されているが、他の分離選択線には、論理レベルがLレベルの電位が印加される。
【0050】
これにより、セルトランジスタ11b1,11b2がオンし、2つのメモリ素子11a1,11a2がビット線BLaに電気的に接続される。そして、たとえば、メモリ素子11a2に記憶されているデータを、データ“1”に書き換える場合、ソース線SLbの電位が接地電位とされ、ビット線BLaの電位が書換用のHレベルの電位とされる。メモリ素子11a2に記憶されているデータを、データ“0”に書き換える場合、ソース線SLbの電位が書換用のHレベルの電位とされ、ビット線BLaの電位が接地電位とされる。
【0051】
一方、書換対象ではないメモリ素子11a1に接続されているソース線SLaの電位は、ビット線BLaと同電位とされる。メモリ素子11a1において書換が発生することを防ぐためである。
【0052】
上記のような各電位がビット線BLa、ソース線SLa,SLbに発生している場合、ソース線SLbとビット線BLaは、分離トランジスタ21a1とセルトランジスタ11b1を介した電流経路と、セルトランジスタ11b2を介した電流経路により結ばれる。これにより、レイアウト面積の増加を抑えつつ、セルトランジスタの幅を広げることと同様の効果が得られる。
【0053】
すなわち、第1の実施の形態と抵抗変化型メモリ10と同様に、書換用の電圧を低く抑えることができるという効果が得られる。
また、抵抗変化型メモリ20には、分離トランジスタ(たとえば、分離トランジスタ21a1,21a2)が設けられていることで、以下のような効果も得られる。
【0054】
メモリ素子の特性として、低抵抗状態の抵抗値は、より小さい値であることが望ましい。低抵抗状態のメモリ素子の抵抗値が小さいほど、そのメモリ素子の両端の電位差は、より小さくなる。
【0055】
図8は、分離トランジスタの有無による低抵抗化前後の各部の電位変化の例を示す図である。
図8では、
図3に示した分離トランジスタ21a1がある場合と、分離トランジスタ21a1がない(メモリ素子11a1,11a2が直接接続されている)場合について、メモリ素子11a2を低抵抗状態に書き換える前後の各部の電位変化の例が示されている。
【0056】
VSLaはソース線SLaの電位であり、VSLbはソース線SLbの電位であり、VBLaはビット線BLaの電位である。また、Vnaは、分離トランジスタ21a1とメモリ素子11a1との接続ノードの電位であり、Vnbは、分離トランジスタ21a1とメモリ素子11a2との接続ノードの電位である。また、Vncは、分離トランジスタ21a1がない場合の、メモリ素子11a1とメモリ素子11a2との接続ノードの電位である。また、Vma1は、メモリ素子11a1に印加される電位差であり、Vma2は、メモリ素子11a2に印加される電位差である。
【0057】
メモリ素子11a2の低抵抗化後に、メモリ素子11a2に印加されるVma2が小さくなるため、メモリ素子11a1に印加される電位差Vma1が増大する。分離トランジスタ21a1がある場合、分離トランジスタ21a1の抵抗成分(オン抵抗)により、VnaとVnbに電位差が生じる。その結果、メモリ素子11a1に印加されるVma1を、分離トランジスタ21a2を設けない場合よりも小さくすることができ、書換対象ではないメモリ素子11a1への影響を抑えることができる。
【0058】
(第3の実施の形態)
図9は、第3の実施の形態の抵抗変化型メモリの一例を示す図である。
なお、以下の例では抵抗変化型メモリ40は、32ビットのデータを記憶可能なメモリであるものとして説明するが、32ビットに限定されるものではない。
【0059】
第3の実施の形態の抵抗変化型メモリ40は、アドレスバッファ41、コマンドデコーダ42、IO(Input-Output)バッファ43、センスアンプ44、SLコラムデコーダ45、SLライトドライバ46、WLローデコーダ47を有する。さらに、抵抗変化型メモリ40は、BLコラムデコーダ48、BLライトドライバ49、SEPローデコーダ50、メモリアレイ51を有する。
【0060】
アドレスバッファ41は、抵抗変化型メモリ40の外部から入力されたアドレスを保持する。
コマンドデコーダ42は、抵抗変化型メモリ40の外部から入力された命令をデコードし、各種制御信号を出力する。
【0061】
IOバッファ43は、抵抗変化型メモリ40の外部から入力された書換データや、抵抗変化型メモリ40の外部に出力する読み出しデータを保持する。
センスアンプ44は、アドレスバッファ41に保持されたアドレスで指定されるメモリ素子に記憶されているデータをメモリアレイ51から読み出して出力する。センスアンプ44は、
図1や
図3に示したデータ判定回路15の一例である。
【0062】
SLコラムデコーダ45は、アドレスバッファ41に保持されたアドレスと、IOバッファ43に保持された書込みデータに基づいて、ソース線SL0~SL4のうち、書換用の電位などの所定の電位とするソース線を選択する。
【0063】
SLライトドライバ46は、コマンドデコーダ42が出力する制御信号に基づいて、SLコラムデコーダ45によって選択されたソース線に所定の電位を印加する。
SLコラムデコーダ45とSLライトドライバ46を含む回路部は、
図1や
図3に示したソース線選択回路14の一例である。
【0064】
WLローデコーダ47は、アドレスバッファ41に保持されたアドレスと、コマンドデコーダ42が出力する制御信号に基づいて、ワード線WL0~WL7の何れかを選択して駆動する。WLローデコーダ47は、
図1や
図3に示したワード線選択回路12の一例である。
【0065】
BLコラムデコーダ48は、アドレスバッファ41に保持されたアドレスと、IOバッファ43に保持された書換データに基づいて、ビット線BL0~BL3のうち、書換用の電位などの所定の電位とするビット線を選択する。
【0066】
BLライトドライバ49は、コマンドデコーダ42が出力する制御信号に基づいて、BLコラムデコーダ48によって選択されたビット線に所定の電位を印加する。
BLコラムデコーダ48とBLライトドライバ49を含む回路部は、
図1や
図3に示したビット線選択回路13の一例である。
【0067】
SEPローデコーダ50は、アドレスバッファ41に保持されたアドレスと、コマンドデコーダ42が出力する制御信号に基づいて、分離選択線SEP0~SEP3の何れかを選択して駆動する。SEPローデコーダ50は、
図3に示した分離選択回路22の一例である。
【0068】
メモリアレイ51は、複数のメモリ素子、複数の分離トランジスタ、複数のセルトランジスタを有する。
図10は、メモリアレイの一例を示す図である。
【0069】
32ビットのデータを記憶可能な抵抗変化型メモリ40において、メモリアレイ51は、32個のメモリ素子(たとえば、メモリ素子51a1,51a2)を有する。各メモリ素子は、印加される電圧に応じて低抵抗状態または高抵抗状態に変化し、各抵抗状態を、2値のデータに対応付けて保持する。
【0070】
さらに、メモリアレイ51は、32個のセルトランジスタ(たとえば、セルトランジスタ51b1,51b2)と、16個の分離トランジスタ(たとえば、分離トランジスタ51c1)を有する。各セルトランジスタは、ワード線WL0~WL7の何れかの電位に応じて、メモリ素子をビット線BL0~BL3の何れかに電気的に接続させるか否かを切り替える。
【0071】
たとえば、セルトランジスタ51b1のドレインまたはソースの一方は、メモリ素子51a1の一方の端子に接続される。そして、セルトランジスタ51b1は、ゲートに接続されるワード線WL4の電位に応じて、メモリ素子51a1をドレインまたはソースの他方を介してビット線BL2に電気的に接続させるか否かを切り替える。
【0072】
各分離トランジスタは、同じビット線に接続される複数のメモリ素子のうち異なるソース線に接続されるもの同士を、電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチとして機能する。
【0073】
たとえば、
図10の例では、メモリ素子51a1,51a2は、セルトランジスタ51b1,51b2がオンすることで同じビット線BL2に接続されるが、異なるソース線SL2,SL3に接続されている。分離トランジスタ51c1は、このようなメモリ素子51a1の一方の端子と、メモリ素子51a2の一方の端子との間に接続され、分離選択線SEP2に印加される電位に応じて、メモリ素子51a1,51a2とを電気的に接続するか否かを切り替える。
【0074】
上記のように分離トランジスタがオンのときに、電気的に接続される2つのメモリ素子は、互いに異なるソース線に接続されている。
図10のメモリアレイ51の例では、ソース線SL0~SL4のそれぞれは、1本のビット線に一方の端子が接続される複数のメモリ素子の一部のメモリ素子の他方の端子に接続される。ソース線SL1~SL3についてはさらに、そのビット線に隣接するビット線に一方の端子が接続される複数のメモリ素子の一部のメモリ素子の他方の端子にも接続される。
【0075】
図10の例では、ソース線SL0は、読み出し対象または書換対象となる場合にビット線BL0に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL1は、読み出し対象または書換対象となる場合にビット線BL0に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、ソース線SL0が接続していない4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。さらにソース線SL1は、読み出し対象または書換対象となる場合にビット線BL0に隣接するビット線BL1に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL2は、読み出し対象または書換対象となる場合にビット線BL1に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、ソース線SL1が接続していない4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。さらにソース線SL2は、読み出し対象または書換対象となる場合にビット線BL1に隣接するビット線BL2に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL3は、読み出し対象または書換対象となる場合にビット線BL2に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、ソース線SL2が接続していない4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。さらにソース線SL3は、読み出し対象または書換対象となる場合にビット線BL2に隣接するビット線BL3に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL4は、読み出し対象または書換対象となる場合にビット線BL3に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、ソース線SL3が接続していない4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。
【0076】
このようなソース線SL0~SL4とメモリ素子との接続形態により、ソース線SL0~SL4は、
図10に示されているように、ビット線BL0~BL3の延長方向に蛇行するような形状で配置されている。
【0077】
上記のメモリアレイ51では、書換対象以外のメモリ素子に、書換用の電位差が印加されることを防ぐために、選択される書換対象のメモリ素子の位置や、データを0、1の何れに書き換えるかに応じて、以下のような4つの印加電位の状態が適用される。
【0078】
図11は、印加電位の1つ目の状態を示す図である。
図11では、メモリ素子51a1のデータを1に書き換えるときのソース線SL0~SL4、ビット線BL0~BL3、ワード線WL0~WL7、分離選択線SEP0~SEP3の印加電位の例が示されている。
【0079】
図11において、ソース線SL0~SL4とビット線BL0~BL3のうち、書換用のHレベルの電位(以下VWRと表記する)が印加されるものは実線で表されており、Lレベルの電位(以下、GNDと表記する)とされるものは破線で表されている。また、ワード線WL0~WL7と分離選択線SEP0~SEP3のうち、論理レベルがHレベルの電位が印加されるものは実線で表されており、GNDとされるものは破線で表されている。後述する
図12~
図14についても同様である。
【0080】
図11の印加電位の状態では、メモリ素子51a1のデータを1に書き換えるため、ワード線WL4,WL5と分離選択線SEP2には、論理レベルがHレベルの電位が印加される。その他のワード線WL0~WL3,WL6,WL7と分離選択線SEP0,SEP1,SEP3は、GNDとされる。また、ビット線BL2にはVWRが印加され、ソース線SL2はGNDとされる。
【0081】
このとき、書換対象ではないメモリ素子51a2にもビット線BL2が接続される。メモリ素子51a2に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、メモリ素子51a2に接続されるソース線SL3にもVWRが印加される。この場合、ソース線SL3に接続されるメモリ素子51a3に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ビット線BL3にもVWRが印加される。さらに、ビット線BL3に接続されるメモリ素子51a4に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ソース線SL4にもVWRが印加される。
【0082】
一方、ビット線BL0,BL1、ソース線SL0,SL1はGNDとされることで、これらに接続されるメモリ素子51a5,51a6,51a7,51a8には、書換用の電位差が印加されない。
【0083】
図12は、印加電位の2つ目の状態を示す図である。
図12では、メモリ素子51a2のデータを1に書き換えるときのソース線SL0~SL4、ビット線BL0~BL3、ワード線WL0~WL7、分離選択線SEP0~SEP3の印加電位の例が示されている。
【0084】
図12の印加電位の状態では、メモリ素子51a2のデータを1に書き換えるため、ワード線WL4,WL5と分離選択線SEP2には、論理レベルがHレベルの電位が印加される。その他のワード線WL0~WL3,WL6,WL7と分離選択線SEP0,SEP1,SEP3は、GNDとされる。また、ビット線BL2にはVWRが印加され、ソース線SL3はGNDとされる。
【0085】
このとき、書換対象ではないメモリ素子51a1にもビット線BL2が接続される。メモリ素子51a1に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、メモリ素子51a1に接続されるソース線SL2にもVWRが印加される。この場合、ソース線SL2に接続されるメモリ素子51a6に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ビット線BL1にもVWRが印加される。さらに、ビット線BL1に接続されるメモリ素子51a5に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ソース線SL1にもVWRが印加される。また、ソース線SL1に接続されるメモリ素子51a8に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ビット線BL0にもVWRが印加される。さらに、ビット線BL0に接続されるメモリ素子51a7に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ソース線SL0にもVWRが印加される。
【0086】
一方、ビット線BL3、ソース線SL4はGNDとされることで、これらに接続されるメモリ素子51a3,51a4には、書換用の電位差が印加されない。
図13は、印加電位の3つ目の状態を示す図である。
図13では、メモリ素子51a1のデータを0に書き換えるときのソース線SL0~SL4、ビット線BL0~BL3、ワード線WL0~WL7、分離選択線SEP0~SEP3の印加電位の例が示されている。
【0087】
図13の印加電位の状態では、メモリ素子51a1のデータを0に書き換えるため、ワード線WL4,WL5と分離選択線SEP2には、論理レベルがHレベルの電位が印加される。その他のワード線WL0~WL3,WL6,WL7と分離選択線SEP0,SEP1,SEP3は、GNDとされる。また、ソース線SL2にはVWRが印加され、ビット線BL2はGNDとされる。
【0088】
この場合、ソース線SL2に接続されるメモリ素子51a6に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ビット線BL1にもVWRが印加される。さらに、ビット線BL1に接続されるメモリ素子51a5に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ソース線SL1にもVWRが印加される。また、ソース線SL1に接続されるメモリ素子51a8に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ビット線BL0にもVWRが印加される。さらに、ビット線BL0に接続されるメモリ素子51a7に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ソース線SL0にもVWRが印加される。
【0089】
一方、ソース線SL3,SL4、ビット線BL3はGNDとされることで、これらに接続されるメモリ素子51a2,51a3,51a4には、書換用の電位差が印加されない。
【0090】
図14は、印加電位の4つ目の状態を示す図である。
図14では、メモリ素子51a2のデータを0に書き換えるときのソース線SL0~SL4、ビット線BL0~BL3、ワード線WL0~WL7、分離選択線SEP0~SEP3の印加電位の例が示されている。
【0091】
図14の印加電位の状態では、メモリ素子51a2のデータを0に書き換えるため、ワード線WL4,WL5と分離選択線SEP2には、論理レベルがHレベルの電位が印加される。その他のワード線WL0~WL3,WL6,WL7と分離選択線SEP0,SEP1,SEP3は、GNDとされる。また、ソース線SL3にはVWRが印加され、ビット線BL2はGNDとされる。
【0092】
この場合、ソース線SL3に接続されるメモリ素子51a3に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ビット線BL3にもVWRが印加される。さらに、ビット線BL3に接続されるメモリ素子51a4に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、ソース線SL4にもVWRが印加される。
【0093】
一方、ビット線BL0,BL1、ソース線SL0,SL1,SL2はGNDとされることで、これらに接続されるメモリ素子51a1,51a5,51a6,51a7,51a8には、書換用の電位差が印加されない。
【0094】
以上のような各印加電位の状態を実現するために、
図9に示したSLコラムデコーダ45、SLライトドライバ46、WLローデコーダ47、BLコラムデコーダ48、BLライトドライバ49、SEPローデコーダ50は、たとえば、以下のような回路となる。
【0095】
図15は、SLコラムデコーダ及びSLライトドライバの回路例を示す図である。
図10に示すように4行8列のマトリクス状に配列されたメモリ素子は、それぞれ0または1のコラムアドレスA0,A1と、ロウアドレスA2,A3,A4により指定できる。これらのアドレスは、
図9のアドレスバッファ41に保持されている。ただし、
図11~
図14に示したように、書換対象のメモリ素子の列方向の位置、たとえば、メモリ素子51a1,51a2の何れが書換対象になるか否かによって、VWRを印加するソース線が変わってくる。そのため、SLコラムデコーダ45は、コラムアドレスA0,A1のほか、ロウアドレスA2,A3,A4の一部である、ロウアドレスA2,A3も用いて選択するソース線を決定する。
【0096】
SLコラムデコーダ45は、NAND(否定論理積)回路45a1,45a2,45a3,45a4を有する。NAND回路45a1,45a2,45a3,45a4の2つの入力端子にはコラムアドレスA0,A1、またはコラムアドレスA0,A1をインバータ45b1,45b2により反転させた値が入力される。
【0097】
また、SLコラムデコーダ45は、2つの入力端子にVDD(電源電位)が印加されるNAND回路45c1と、NAND回路45a1~45a4の何れかの出力が一方の入力端子に入力されるNAND回路45c2,45c3,45c4,45c5を有する。NAND回路45c2の他方の入力端子にはNAND回路45c1の出力がインバータ45d1を介して入力され、NAND回路45c3の他方の入力端子にはNAND回路45c2の出力がインバータ45d2を介して入力される。NAND回路45c4の他方の入力端子にはNAND回路45c3の出力がインバータ45d3を介して入力され、NAND回路45c5の他方の入力端子にはNAND回路45c4の出力がインバータ45d4を介して入力される。
【0098】
さらに、SLコラムデコーダ45は、ロウアドレスA2,A3の排他的論理和(EXOR)を出力するEXOR回路45eと、書換データ(DATA)と、EXOR回路45eの出力との排他的論理和を出力するEXOR回路45fを有する。DATAは、IOバッファ43に保持されている。
【0099】
さらに、SLコラムデコーダ45は、2つの入力端子の一方にNAND回路45c1~45c5の何れかの出力が入力されるEXOR回路45h1,45h3,45h5,45e7,45h9と、2つの入力端子の一方にインバータ45d1~45d4の何れかの出力が入力されるEXOR回路45h2,45h4,45h6,45h8を有する。また、SLコラムデコーダ45は、2つの入力端子の一方にNAND回路45c5の出力をインバータ45d5により反転させた値が入力されるEXOR回路45h10を有する。EXOR回路45h1~45h10の2つの入力端子の他方には、EXOR回路45fの出力がインバータ45gによって反転された値が入力される。
【0100】
SLライトドライバ46は、ソース線SL0~SL4のそれぞれに所定の電位を印加する回路部46a1,46a2,46a3,46a4,46a5を有する。
回路部46a1は、EXOR回路45h1,45h2の出力と、コマンドデコーダ42が出力する制御信号の1つであるライト信号WRに基づいて、ソース線SL4に所定の電位を印加する。回路部46a2は、EXOR回路45h3,45h4の出力と、ライト信号WRに基づいて、ソース線SL3に所定の電位を印加する。回路部46a3は、EXOR回路45h5,45h6の出力と、ライト信号WRに基づいて、ソース線SL2に所定の電位を印加する。回路部46a4は、EXOR回路45h7,45h8の出力と、ライト信号WRに基づいて、ソース線SL1に所定の電位を印加する。回路部46a5は、EXOR回路45h9,45h10の出力と、ライト信号WRに基づいて、ソース線SL0に所定の電位を印加する。ライト信号WRは、書換動作が行われる場合に1(論理レベルがHレベルの電位(たとえば、VDD))となる信号である。
【0101】
回路部46a1~46a5は同様の回路構成であるため、以下では回路部46a1の回路構成例について説明し、回路部46a2~46a5の回路構成についての説明は省略する。
【0102】
回路部46a1は、インバータ46b1,46b2、AND(論理積)回路46b3,46b4、インバータ46b5、nチャネル型MOSFET46b6,46b8、pチャネル型MOSFET46b7を有する。
【0103】
AND回路46b3は、EXOR回路45h1の出力がインバータ46b1によって反転された値と、ライト信号WRとの論理積を出力する。AND回路46b4は、EXOR回路45h2の出力がインバータ46b2によって反転された値と、ライト信号WRとの論理積を出力する。AND回路46b3,46b4は、出力する電位を昇圧するレベルシフタ(
図15では“LS”と表記されている)の機能も有する。nチャネル型MOSFET46b6,46b8、pチャネル型MOSFET46b7においてVDDより高い電位であるVWRが用いられるためである。
【0104】
nチャネル型MOSFET46b6のゲートには、AND回路46b3の出力が入力され、pチャネル型MOSFET46b7のゲートには、AND回路46b3の出力がインバータ46b5によって反転された値が入力される。nチャネル型MOSFET46b6とpチャネル型MOSFET46b7のドレインまたはソースの一方に、VWRが印加され、他方はソース線SL4に接続される。
【0105】
nチャネル型MOSFET46b8のゲートには、AND回路46b4の出力が入力され、ドレインまたはソースの一方がGNDとされ、他方はソース線SL4に接続される。
なお、
図15に示したSLコラムデコーダ45では、書換動作時に選択するソース線を決定する回路部分が示されているが、読み出し動作時に選択するソース線を決定する回路部分については図示が省略されている。読み出し動作時に選択するソース線を決定する回路部分は、アドレスに応じて、読み出し対象のメモリ素子に接続されるソース線を決定し、そのソース線をセンスアンプ44に接続する回路構成となっている。
【0106】
図16は、WLローデコーダの回路例を示す図である。
WLローデコーダ47は、ロウアドレスA2,A3,A4と、コマンドデコーダ42が出力する制御信号であるライト信号WRとリード信号RDに基づいて、ワード線WL0~WL7の何れか1本または2本を駆動する。リード信号RDは、読み出し動作が行われる場合に1(論理レベルがHレベルの電位(たとえば、VDD))となる信号である。
【0107】
WLローデコーダ47は、インバータ47a1,47a2,47a3、回路部47b,47c,47dを有する。
回路部47bは、3入力のAND回路を8つ有する。AND回路のそれぞれは、ロウアドレスA2,A3,A4、またはロウアドレスA2,A3,A4をインバータ47a1,47a2,47a3により反転させた値のうちの3つについての論理積を出力する。たとえば、AND回路47b1は、ロウアドレスA2,A3,A4のそれぞれを反転させた値についての論理積を出力する。
【0108】
回路部47cは、2入力のAND回路を8つと、3入力のAND回路を4つ有する。8つの2入力のAND回路のそれぞれは、回路部47bの8つのAND回路の何れかの出力と、リード信号RDとの論理積を出力する。たとえば、AND回路47c1は、AND回路47b1の出力と、リード信号RDとの論理積を出力する。
【0109】
4つの3入力のAND回路のそれぞれは、ロウアドレスA3,A4、またはロウアドレスA3,A4を反転させた値のうちの2つと、ライト信号WRとの論理積を出力する。たとえば、AND回路47c2は、ロウアドレスA3,A4を反転させた値と、ライト信号WRとの論理積を出力する。
【0110】
回路部47dは、レベルシフタとしての機能も有するOR(論理和)回路を8つ有する。8つのOR回路のそれぞれは、回路部47cの8つの2入力のAND回路のうちの1つと、4つの3入力のAND回路のうちの1つの出力との論理和を昇圧して、ワード線の電位として出力する。たとえば、OR回路47d1は、AND回路47c1,47c2の出力の論理和を昇圧して、ワード線WL0の電位として出力する。
【0111】
このようなWLローデコーダ47によれば、メモリ素子の書換時において、
図11~
図14に示したように2本のワード線を駆動することができるとともに、読み出し時には、1本のワード線を駆動することができる。
【0112】
たとえば、ロウアドレスA2,A3が0でロウアドレスA4が1である場合、書換時(ライト信号WR=1、リード信号RD=0)には、2本のワード線WL4,WL5が駆動される。一方、読み出し時(ライト信号WR=0,リード信号RD=1)には、1本のワード線WL4が駆動される。
【0113】
図17は、BLコラムデコーダ及びBLライトドライバの回路例を示す図である。
図11~
図14に示したように、書換対象のメモリ素子の列方向の位置、たとえば、メモリ素子51a1,51a2の何れが書換対象になるか否かによって、VWRを印加するビット線が変わってくる。そのため、BLコラムデコーダ48は、コラムアドレスA0,A1のほか、ロウアドレスA2,A3,A4の一部である、ロウアドレスA2,A3も用いて選択するビット線を決定する。
【0114】
BLコラムデコーダ48は、ロウアドレスA2,A3の排他的論理和を出力するEXOR回路48aと、3入力のAND回路48c1,48c2,48c3,48c4,48c5,48c6,48c7,48c8を有する。AND回路48c1~48c8のそれぞれには、コラムアドレスA0かコラムアドレスA0をインバータ48b1により反転させた値と、コラムアドレスA1かコラムアドレスA1をインバータ48b2により反転させた値が入力される。さらに、AND回路48c1~48c8のそれぞれには、EXOR回路48aの出力またはEXOR回路48aの出力をインバータ48b3により反転させた値が入力される。
【0115】
また、BLコラムデコーダ48は、NOR(否定論理和)回路48d1,48d2,48d3,48d4を有する。NOR回路48d1は、AND回路48c1の出力とGNDとの否定論理和を出力し、NOR回路48d2は、AND回路48c2,48c3の出力の否定論理和を出力する。NOR回路48d3は、AND回路48c4,48c5の出力の否定論理和を出力し、NOR回路48d4は、AND回路48c6,48c7の出力の否定論理和を出力する。なお、AND回路48cの出力端子はどこにも接続されていない。このようなAND回路48cは、配線の負荷を揃えるために設けられているが、なくてもよい。
【0116】
また、BLコラムデコーダ48は、NAND回路48e1,48e2,48e3,48e4を有する。NAND回路48e1は、NOR回路48d1の出力とVDDとの否定論理積を出力する。NAND回路48e2は、NOR回路48d2の出力と、NAND回路48e1の出力をインバータ48f1により反転させた値との否定論理積を出力する。NAND回路48e3は、NOR回路48d3の出力と、NAND回路48e2の出力をインバータ48f2により反転させた値との否定論理積を出力する。NAND回路48e4は、NOR回路48d4の出力と、NAND回路48e3の出力をインバータ48f3により反転させた値との否定論理積を出力する。
【0117】
また、BLコラムデコーダ48は、NAND回路48h1,48h2,48h3を有する。NAND回路48h1は、前述のインバータ48b3の出力である信号(EX23B)をインバータ48g1により反転させた値と、DATAとの否定論理積を出力する。NAND回路48h2は、EX23Bと、DATAをインバータ48g2により反転させた値との否定論理積を出力する。NAND回路48h3は、NAND回路48h1,48h2の出力の否定論理積を出力する。
【0118】
さらに、BLコラムデコーダ48は、EXOR回路48i1,48i2,48i3,48i4,48i5,48i6,48i7,48i8を有する。EXOR回路48i1~48i8のそれぞれは、NAND回路48e1~48e4の出力、またはNAND回路48e1~48e4の出力をインバータ48f1~48f4により反転させた値と、NAND回路48h3の出力との排他的論理和を出力する。
【0119】
BLライトドライバ49は、ビット線BL0~BL3のそれぞれに所定の電圧を印加する回路部49a1,49a2,49a3,49a4を有する。
回路部49a1は、EXOR回路48i1,48i2の出力と、ライト信号WRに基づいて、ビット線BL3に所定の電位を印加する。回路部49a2は、EXOR回路48i3,48i4の出力と、ライト信号WRに基づいて、ビット線BL2に所定の電位を印加する。回路部49a3は、EXOR回路48i5,48i6の出力と、ライト信号WRに基づいて、ビット線BL1に所定の電位を印加する。回路部49a4は、EXOR回路48i7,48i8の出力と、ライト信号WRに基づいて、ビット線BL0に所定の電位を印加する。
【0120】
回路部49a1~49a4は同様の回路構成であるため、以下では回路部49a1の回路構成例について説明し、回路部49a2~49a4の回路構成についての説明は省略する。
【0121】
回路部49a1は、インバータ49b1,49b2、AND回路49b3,49b4、インバータ49b5、nチャネル型MOSFET49b6,46b8、pチャネル型MOSFET49b7を有する。
【0122】
AND回路49b3は、EXOR回路48i1の出力がインバータ49b1によって反転された値と、ライト信号WRとの論理積を出力する。AND回路49b4は、EXOR回路48i2の出力がインバータ49b2によって反転された値と、ライト信号WRとの論理積を出力する。AND回路49b3,49b4は、出力する電位を昇圧するレベルシフタの機能も有する。
【0123】
nチャネル型MOSFET49b6のゲートには、AND回路49b3の出力が入力され、pチャネル型MOSFET49b7のゲートには、AND回路49b3の出力がインバータ49b5によって反転された値が入力される。nチャネル型MOSFET49b6とpチャネル型MOSFET49b7のドレインまたはソースの一方に、VWRが印加され、他方はビット線BL3に接続される。
【0124】
nチャネル型MOSFET49b8のゲートには、AND回路49b4の出力が入力され、ドレインまたはソースの一方がGNDとされ、他方はビット線BL3に接続される。
なお、
図17に示したBLコラムデコーダ48では、書換動作時に選択するビット線を決定する回路部分が示されているが、読み出し動作時に選択するビット線を決定する回路部分については図示が省略されている。読み出し動作時に選択するビット線を決定する回路部分は、アドレスに応じて、読み出し対象のメモリ素子に接続されるビット線を決定し、そのビット線の電位をGNDとする回路構成となっている。
【0125】
図18は、SEPローデコーダの回路例を示す図である。
SEPローデコーダ50は、ロウアドレスA3,A4と、コマンドデコーダ42が出力する制御信号であるライト信号WRに基づいて、分離選択線SEP0~SEP3の何れか1本を駆動する。
【0126】
SEPローデコーダ50は、インバータ50a1,50a2、AND回路50b1,50b2,50b3,50b4、レベルシフタ機能を有するAND回路50c1,50c2,50c3,50c4を有する。
【0127】
AND回路50b1は、ロウアドレスA3,A4をインバータ50a1,50a2によって反転させた値の論理積を出力し、AND回路50b2は、ロウアドレスA3と、ロウアドレスA4をインバータ50a2によって反転させた値との論理積を出力する。AND回路50b3は、ロウアドレスA3をインバータ50a1によって反転させた値と、ロウアドレスA4との論理積を出力し、AND回路50b4は、ロウアドレスA3,A4の論理積を出力する。
【0128】
AND回路50c1は、AND回路50b1の出力と、ライト信号WRとの論理積を昇圧して、分離選択線SEP0の電位として出力する。AND回路50c2は、AND回路50b2の出力と、ライト信号WRとの論理積を昇圧して、分離選択線SEP1の電位として出力する。AND回路50c3は、AND回路50b3の出力と、ライト信号WRとの論理積を昇圧して、分離選択線SEP2の電位として出力する。AND回路50c4は、AND回路50b4の出力と、ライト信号WRとの論理積を昇圧して、分離選択線SEP3の電位として出力する。
【0129】
このようなSEPローデコーダ50では、ロウアドレスA3が0、ロウアドレスA4が1の場合、書換時(ライト信号WR=1)には、1本の分離選択線SEP2が駆動される。一方、書換時ではないとき(ライト信号WR=0(接地電位))には、全ての分離選択線SEP0~SEP3の電位は接地電位となる。
【0130】
以下、第3の実施の形態の抵抗変化型メモリ40の動作の一例の流れを示す。
図19は、第3の実施の形態の抵抗変化型メモリの動作の一例の流れを示すタイミングチャートである。
【0131】
アドレスバッファ41に書換対象のメモリ素子のアドレスが保持され、IOバッファ43に書換用のDATAが保持された後(タイミングt1)、ライト信号WRの論理レベルがHレベルに立ち上がると(タイミングt2)、書換動作が開始される。
【0132】
書換動作では、ライト信号WRの立ち上がりに同期して、アドレスに応じた2本のワード線が駆動される(
図19では“選択WL”の電位の立ち上がりによって表されている)。また、ライト信号WRの立ち上がりに同期して、アドレスに応じた1本の分離選択線が駆動される(
図19では“選択SEP”の電位の立ち上がりによって表されている)。さらに、前述のようにアドレスに応じて、ビット線BL0~BL3、ソース線SL0~SL4のうち書換用のHレベルの電位が印加されるものと、接地電位となるものが決まる(
図19では、“BL”、“SL”の電位の変化によって表されている)。
【0133】
ライト信号WRの論理レベルがLレベルに立ち下がると(タイミングt3)、それに同期して電位がHレベルに立ち上がっていたワード線、分離選択線、ビット線、ソース線の電位が接地電位に立ち下がる。これによって書換動作が終了する。
【0134】
一方、アドレスバッファ41に読み出し対象のメモリ素子のアドレスが保持された後(タイミングt4)、リード信号RDの論理レベルがHレベルに立ち上がると(タイミングt5)、読み出し動作が開始される。
【0135】
読み出し動作では、リード信号RDの立ち上がりに同期して、アドレスに応じた1本のワード線が駆動される(
図19では“選択WL”の電位の立ち上がりによって表されている)。また、読み出し対象のメモリ素子に接続されたソース線に書換用のHレベルの電位よりも低い電位(接地電位よりは高い電位)が印加される。読み出し対象のメモリ素子に接続されるビット線の電位は接地電位のままである。その後、ソース線の電位はメモリ素子の抵抗状態に応じて変化し、その変化の差に基づいて、センスアンプ44によって読み出しデータが判定される(タイミングt6)。
【0136】
リード信号RDの論理レベルがLレベルに立ち下がると(タイミングt7)、それに同期して電位がHレベルに立ち上がっていたワード線、ソース線の電位が接地電位に立ち下がる。これによって読み出し動作が終了する。
【0137】
図20は、第3の実施の形態の抵抗変化型メモリにおけるあるメモリ素子に対する書換動作が行われる際の電流の流れを示す図である。
たとえば、メモリ素子51a1の書換時には、以下のような動作が行われる。ワード線WL4,WL5と分離選択線SEP2に論理レベルがHレベルの電位が印加され、その他のワード線や分離選択線は、接地電位とされる。
【0138】
これにより、セルトランジスタ51b1,51b2がオンし、2つのメモリ素子51a1,51a2がビット線BL2に電気的に接続される。そして、たとえば、メモリ素子51a1に記憶されているデータを、データ“1”に書き換える場合、ソース線SL2の電位が接地電位とされ、ビット線BL2の電位が書換用のHレベルの電位とされる。メモリ素子51a1に記憶されているデータを、データ“0”に書き換える場合、ソース線SL2の電位が書換用のHレベルの電位とされ、ビット線BL2の電位が接地電位とされる。
【0139】
一方、書換対象ではないメモリ素子51a2に接続されているソース線SL3の電位は、ビット線BL2と同電位とされる。
上記のような各電位がビット線BL2、ソース線SL2,SL3に発生している場合、ソース線SL2とビット線BL2は、セルトランジスタ51b1を介した電流経路と、セルトランジスタ51b2を介した電流経路により結ばれる。これにより、レイアウト面積の増加を抑えつつ、セルトランジスタの幅を広げることと同様の効果が得られる。すなわち、書換対象のメモリ素子51a1を流れる電流の経路上に存在する抵抗を抑えることができる。したがって、書換対象のメモリ素子以外の素子の抵抗成分による電圧降下量を抑えられるため、書換用の電圧も低く抑えることができる。このことにより、書換用の電圧を発生する回路の簡素化や消費電力の低減も可能となる。
【0140】
また、分離トランジスタ(たとえば、分離トランジスタ51c1)が設けられていることで、前述の第2の実施の形態の抵抗変化型メモリ20と同様の効果も得られる。
(第4の実施の形態)
以下、第4の実施の形態の抵抗変化型メモリを説明する。第4の実施の形態の抵抗変化型メモリは、メモリアレイにおけるソース線の配置及び本数が、第3の実施の形態の抵抗変化型メモリ40とは異なる。
【0141】
図21は、第4の実施の形態の抵抗変化型メモリにおけるメモリアレイの一例を示す図である。
図21において、
図10に示したメモリアレイ51の要素と同じ要素については
図10の要素と同じ符号が付されている。
【0142】
図21のメモリアレイ60は、ソース線SL0a,SL0b,SL1a,SL1b,SL2a,SL2b,SL3a,SL3bを有する。ソース線SL0a~SL3bのそれぞれは、ビット線BL0~BL3の何れか1本のビット線に一方の端子が接続される複数のメモリ素子の一部のメモリ素子の他方の端子に接続される。
【0143】
図21の例では、ソース線SL0aは、ビット線BL0に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL0bは、ビット線BL0に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、ソース線SL0aが接続していない4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL1aは、ビット線BL1に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL1bは、ビット線BL1に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、ソース線SL1aが接続していない4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL2aは、ビット線BL2に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL2bは、ビット線BL2に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、ソース線SL2aが接続していない4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL3aは、ビット線BL3に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。ソース線SL3bは、ビット線BL3に一方の端子が接続される8つのメモリ素子のうち、ソース線SL3aが接続していない4つのメモリ素子の他方の端子に接続されている。
【0144】
上記のメモリアレイ60では、書換対象以外のメモリ素子に、書換用の電位差が印加されることを防ぐために、選択される書換対象のメモリ素子の位置や、データを0、1の何れに書き換えるかに応じて、以下のような4つの印加電位の状態が適用される。
【0145】
図22は、印加電位の1つ目の状態を示す図である。
図22では、メモリ素子51a1のデータを1に書き換えるときのソース線SL0a~SL3b、ビット線BL0~BL3、ワード線WL0~WL7、分離選択線SEP0~SEP3の印加電位の例が示されている。
【0146】
図22において、ソース線SL0a~SL3bとビット線BL0~BL3のうち、書換用のHレベルの電位(以下VWRと表記する)が印加されるものは実線で表されており、Lレベルの電位(以下、GNDと表記する)とされるものは破線で表されている。また、ワード線WL0~WL7と分離選択線SEP0~SEP3のうち、論理レベルがHレベルの電位が印加されるものは実線で表されており、GNDとされるものは破線で表されている。後述する
図23~
図25についても同様である。
【0147】
図22の印加電位の状態では、メモリ素子51a1のデータを1に書き換えるため、ワード線WL4,WL5と分離選択線SEP2には、論理レベルがHレベルの電位が印加される。その他のワード線WL0~WL3,WL6,WL7と分離選択線SEP0,SEP1,SEP3は、GNDとされる。また、ビット線BL2にはVWRが印加され、ソース線SL2aはGNDとされる。
【0148】
このとき、書換対象ではないメモリ素子51a2にもビット線BL2が接続される。メモリ素子51a2に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、メモリ素子51a2に接続されるソース線SL2bにもVWRが印加される。
【0149】
その他のビット線BL0,BL1,BL3、ソース線SL0a~SL1b,SL3a,SL3bはGNDとされる。
図23は、印加電位の2つ目の状態を示す図である。
図23では、メモリ素子51a2のデータを1に書き換えるときのソース線SL0a~SL3b、ビット線BL0~BL3、ワード線WL0~WL7、分離選択線SEP0~SEP3の印加電位の例が示されている。
【0150】
図23の印加電位の状態では、メモリ素子51a2のデータを1に書き換えるため、ワード線WL4,WL5と分離選択線SEP2には、論理レベルがHレベルの電位が印加される。その他のワード線WL0~WL3,WL6,WL7と分離選択線SEP0,SEP1,SEP3は、GNDとされる。また、ビット線BL2にはVWRが印加され、ソース線SL2bはGNDとされる。
【0151】
このとき、書換対象ではないメモリ素子51a1にもビット線BL2が接続される。メモリ素子51a1に書換用の電位差が印加されることを防ぐために、メモリ素子51a1に接続されるソース線SL2aにもVWRが印加される。
【0152】
その他のビット線BL0,BL1,BL3、ソース線SL0a~SL1b,SL3a,SL3bはGNDとされる。
図24は、印加電位の3つ目の状態を示す図である。
図24では、メモリ素子51a1のデータを0に書き換えるときのソース線SL0a~SL3b、ビット線BL0~BL3、ワード線WL0~WL7、分離選択線SEP0~SEP3の印加電位の例が示されている。
【0153】
図24の印加電位の状態では、メモリ素子51a1のデータを0に書き換えるため、ワード線WL4,WL5と分離選択線SEP2には、論理レベルがHレベルの電位が印加される。その他のワード線WL0~WL3,WL6,WL7と分離選択線SEP0,SEP1,SEP3は、GNDとされる。また、ソース線SL2aにはVWRが印加され、ビット線BL2はGNDとされる。
【0154】
その他のビット線BL0,BL1,BL3、ソース線SL0a~SL1b,SL2b,SL3a,SL3bはGNDとされる。
図25は、印加電位の4つ目の状態を示す図である。
図25では、メモリ素子51a2のデータを0に書き換えるときのソース線SL0a~SL3b、ビット線BL0~BL3、ワード線WL0~WL7、分離選択線SEP0~SEP3の印加電位の例が示されている。
【0155】
図25の印加電位の状態では、メモリ素子51a2のデータを0に書き換えるため、ワード線WL4,WL5と分離選択線SEP2には、論理レベルがHレベルの電位が印加される。その他のワード線WL0~WL3,WL6,WL7と分離選択線SEP0,SEP1,SEP3は、GNDとされる。また、ソース線SL2bにはVWRが印加され、ビット線BL2はGNDとされる。
【0156】
その他のビット線BL0,BL1,BL3、ソース線SL0a~SL1b,SL2a,SL3a,SL3bはGNDとされる。
以上のような各印加電位の状態を実現するための、WLローデコーダとSEPローデコーダは、
図16及び
図18に示したWLローデコーダ47とSEPローデコーダ50と同じ回路でよい。一方、SLコラムデコーダ、SLライトドライバ、BLコラムデコーダ及びBLライトドライバは、
図15及び
図17に示したSLコラムデコーダ45、SLライトドライバ46、BLコラムデコーダ48及びBLライトドライバ49と異なる。
【0157】
図26は、第4の実施の形態の抵抗変化型メモリのSLコラムデコーダ及びSLライトドライバの回路例を示す図である。
SLコラムデコーダ61は、コラムアドレスA0,A1のほか、ロウアドレスA2,A3も用いて選択するソース線を決定する。
【0158】
SLコラムデコーダ61は、AND回路61a1,61a2,61a3,61a4を有する。AND回路61a1,61a2,61a3,61a4の2つの入力端子にはコラムアドレスA0,A1、またはコラムアドレスA0,A1をインバータ61b1,61b2を反転させた値が入力される。
【0159】
また、SLコラムデコーダ61は、ロウアドレスA2,A3の排他的論理和を出力するEXOR回路61cと、書換データ(DATA)と、EXOR回路61cの出力との排他的論理和を出力するEXOR回路61dを有する。
【0160】
さらに、SLコラムデコーダ61は、2つの入力端子の一方にAND回路61a1~61a4の何れかの出力が入力されるAND回路61f1,61f2,61f3,61f4,61f5,61f6,61f7,61f8を有する。AND回路61f1~61f8の2つの入力端子の他方には、EXOR回路61dの出力、またはEXOR回路61dの出力がインバータ61eによって反転された値が入力される。
【0161】
SLライトドライバ62は、ソース線SL0a~SL3bのそれぞれに所定の電圧を印加する回路部62a1,62a2,62a3,62a4,62a5,62a6,62a7,62a8を有する。
【0162】
回路部62a1,62a2は、AND回路61f1,61f2の出力と、ライト信号WRに基づいて、ソース線SL3a,SL3bに所定の電位を印加する。回路部62a3,62a4は、AND回路61f3,61f4の出力と、ライト信号WRに基づいて、ソース線SL2a,SL2bに所定の電位を印加する。回路部62a5,62a6は、AND回路61f5,61f6の出力と、ライト信号WRに基づいて、ソース線SL1a,SL1bに所定の電位を印加する。回路部62a7,62a8は、AND回路61f7,61f8の出力と、ライト信号WRに基づいて、ソース線SL0a,SL0bに所定の電位を印加する。
【0163】
回路部62a1は、レベルシフタ機能を有するAND回路62b1,62b2、インバータ62b3、nチャネル型MOSFET62b4,62b6、pチャネル型MOSFET62b5を有する。
【0164】
AND回路62b1は、AND回路61f1の出力と、ライト信号WRとの論理積を昇圧して出力する。AND回路62b2は、AND回路61f2の出力と、ライト信号WRとの論理積を昇圧して出力する。
【0165】
nチャネル型MOSFET62b4のゲートには、AND回路62b1の出力が入力され、pチャネル型MOSFET62b5のゲートには、AND回路62b1の出力がインバータ62b3によって反転された値が入力される。nチャネル型MOSFET62b4とpチャネル型MOSFET62b5のドレインまたはソースの一方に、VWRが印加され、他方はソース線SL3aに接続される。
【0166】
nチャネル型MOSFET62b6のゲートには、AND回路62b2の出力が入力され、ドレインまたはソースの一方がGNDとされ、他方はソース線SL3aに接続される。
【0167】
回路部62a2~62a8についても回路部62a1と同様の回路構成である。ただ、回路部62a2では、回路部62a1のAND回路62b1に対応するAND回路にAND回路61f2の出力が入力され、回路部62a1のAND回路62b2に対応するAND回路にAND回路61f1の出力が入力される。回路部62a3,62a4についても、AND回路61f3,61f4の出力が入力される2つのAND回路に関して、回路部62a1,62a2と同様の関係にある。回路部62a5,62a6についても、AND回路61f5,61f6の出力が入力される2つのAND回路に関して、回路部62a1,62a2と同様の関係にある。回路部62a7,62a8についても、AND回路61f7,61f8の出力が入力される2つのAND回路に関して、回路部62a1,62a2と同様の関係にある。
【0168】
図27は、第4の実施の形態の抵抗変化型メモリのBLコラムデコーダ及びBLライトドライバの回路例を示す図である。
BLコラムデコーダ63は、コラムアドレスA0の値を反転するインバータ63aと、コラムアドレスA1の値を反転するインバータ63bを有する。
【0169】
BLライトドライバ64は、レベルシフタ64a、バッファ64b、回路部64c1,64c2,64c3,64c4を有する。
レベルシフタ64aは、書換データ(DATA)が0(接地電位(GND))の場合、出力の電位をGNDとし、DATAが1(VDD)の場合、VDDを昇圧して、出力の電位を書換用の電位(VWR)とする。レベルシフタ64aの出力は、バッファ64bを介して回路部64c1~64c4に入力される。
【0170】
回路部64c1は、コラムアドレスA0,A1と、ライト信号WRと、バッファ64bの出力に基づいて、ビット線BL3に所定の電位を印加する。回路部64c2は、インバータ63aによって反転されたコラムアドレスA0の値と、コラムアドレスA1と、ライト信号WRと、バッファ64bの出力に基づいて、ビット線BL2に所定の電位を印加する。回路部64c3は、コラムアドレスA0と、インバータ63bによって反転されたコラムアドレスA1の値と、ライト信号WRと、バッファ64bの出力に基づいて、ビット線BL1に所定の電位を印加する。回路部64c4は、インバータ63a,63bによって反転されたコラムアドレスA0,A1の値と、ライト信号WRと、バッファ64bの出力に基づいて、ビット線BL0に所定の電位を印加する。
【0171】
回路部64c1~64c4は同様の回路構成であるため、以下では回路部64c1の回路構成例について説明し、回路部64c2~64c4の回路構成についての説明は省略する。
【0172】
回路部64c1は、AND回路64c11、nチャネル型MOSFET64c12、pチャネル型MOSFET64c13、インバータ64c14を有する。
AND回路64c11は、コラムアドレスA0,A1とライト信号WRとの論理積を出力する。
【0173】
nチャネル型MOSFET64c12のゲートには、AND回路64c11の出力が入力され、pチャネル型MOSFET64c13のゲートには、AND回路64c11の出力がインバータ64c14によって反転された値が入力される。nチャネル型MOSFET64c12とpチャネル型MOSFET64c13のドレインまたはソースの一方に、バッファ64bの出力が入力され、他方はビット線BL3に接続される。
【0174】
以上のようなSLコラムデコーダ61、SLライトドライバ62、BLコラムデコーダ63、BLライトドライバ64を用いて、第4の実施の形態の抵抗変化型メモリが実現できる。
【0175】
なお、第4の実施の形態の抵抗変化型メモリにおける書換動作と読み出し動作は、
図19に示した第3の実施の形態の抵抗変化型メモリ40の動作と同様に表されるため、タイミングチャートを用いた説明を省略する。
【0176】
図28は、第4の実施の形態の抵抗変化型メモリにおけるあるメモリ素子に対する書換動作が行われる際の電流の流れを示す図である。
たとえば、メモリ素子51a1の書換時には、以下のような動作が行われる。ワード線WL4,WL5と分離選択線SEP2に論理レベルがHレベルの電位が印加され、その他のワード線や分離選択線は、接地電位とされる。
【0177】
これにより、セルトランジスタ51b1,51b2がオンし、2つのメモリ素子51a1,51a2がビット線BL2に電気的に接続される。そして、たとえば、メモリ素子51a1に記憶されているデータを、データ“1”に書き換える場合、ソース線SL2aの電位が接地電位とされ、ビット線BL2の電位が書換用のHレベルの電位とされる。メモリ素子51a1に記憶されているデータを、データ“0”に書き換える場合、ソース線SL2aの電位が書換用のHレベルの電位とされ、ビット線BL2の電位が接地電位とされる。
【0178】
一方、書換対象ではないメモリ素子51a2に接続されているソース線SLbの電位は、ビット線BL2と同電位とされる。
上記のような各電位がビット線BL2、ソース線SL2a,SL2bに発生している場合、ソース線SL2aとビット線BL2は、セルトランジスタ51b1を介した電流経路と、セルトランジスタ51b2を介した電流経路により結ばれる。
【0179】
これにより、第4の実施の形態の抵抗変化型メモリにおいても、第3の実施の形態の抵抗変化型メモリ40と同様の効果が得られる。
さらに、第4の抵抗変化型メモリによれば、第3の実施の形態の抵抗変化型メモリ40と比べてソース線の本数が増えるものの、
図27に示したようにBLコラムデコーダ63とBLライトドライバ64の回路構成を簡素化できる。
【0180】
ところで、上記のように第3の実施の形態の抵抗変化型メモリ40及び第4の実施の形態の抵抗変化型メモリのメモリアレイ51,60は、分離トランジスタを有している。しかし、第1の実施の形態の抵抗変化型メモリ10と同様に、分離トランジスタを有さないメモリアレイを用いることもできる。その場合、SLコラムデコーダ45,61、SLライトドライバ46,62、WLローデコーダ47、BLコラムデコーダ48,63、BLライトドライバ49,64は、上記と同様のものを用いることができる。ただし、SEPローデコーダ50は設けられない。
【0181】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態の抵抗変化型メモリの書換方法は、書換強度を変えることによってメモリ素子の多値化を実現するものである。
【0182】
図29は、第5の実施の形態の抵抗変化型メモリの書換方法を説明する図である。メモリアレイ21は、
図3に示したものと同じである。ただし、駆動されていないワード線や分離選択線は、破線で表されている。
【0183】
メモリ素子11a2の書換時、書換強度を“弱”とする場合、分離選択線SEPaは駆動されず、スイッチとして機能する分離トランジスタ21a1,21a2は、第2の実施の形態におけるメモリ素子11a2の書換時とは異なり、オフ状態となる。それ以外は、第2の実施の形態における書換動作と同じである。このとき、ソース線SLbとビット線BLaは、セルトランジスタ11b2を介した電流経路により結ばれる。
【0184】
一方、メモリ素子11a2の書換時、書換強度を“強”とする場合、分離選択線SEPaが駆動され、スイッチとして機能する分離トランジスタ21a1,21a2は、第2の実施の形態におけるメモリ素子11a2の書換時と同様に、オン状態となる。このとき、ソース線SLbとビット線BLaは、セルトランジスタ11b1を介した電流経路と、セルトランジスタ11b2を介した電流経路により結ばれる。
【0185】
分離トランジスタ21a1がオフの場合、ソース線SLbとビット線BLaを結ぶ電流経路は1つとなるので、分離トランジスタ21a1がオンの場合に比べて、電流経路の抵抗が増し、メモリ素子11a2に印加される書換用の電圧が低くなる。これによって、分離トランジスタ21a1がオンの場合とオフの場合とでは、メモリ素子11a2における抵抗値が変わってくるため、多値化が実現できる。
【0186】
第5の実施の形態の抵抗変化型メモリの書換方法は、
図10に示したようなメモリアレイ51、または
図21に示したメモリアレイ60を用いた場合にも適用できる。その場合、各メモリアレイ51,60に対応したSLコラムデコーダ45、SLライトドライバ46、WLローデコーダ47、BLコラムデコーダ48、BLライトドライバ49が用いられる。ただし、書換強度の切り替えを実現するための分離選択回路の一例として、たとえば、以下のようなSEPローデコーダが用いられる。
【0187】
図30は、書換強度の切り替えを実現するSEPローデコーダの一例を示す図である。
図30において、
図18に示した要素と同じ要素については
図18の要素と同じ符号が付されている。
【0188】
SEPローデコーダ70は、ライト信号WRと、書換強度を切り替える制御信号MOPTとの論理積を出力するAND回路70aを有する。制御信号MOPTは、たとえば、
図9に示したコマンドデコーダ42から入力される。そして、AND回路50c1~50c4は、ライト信号WRの代わりにAND回路70aの出力を入力する。
【0189】
このような回路では、制御信号MOPTの論理レベルがHレベルのときは、
図18に示したSEPローデコーダ50と同様の動作が行われ、ロウアドレスA3,A4に応じて、分離選択線SEP0~SEP3の何れかが駆動される。このとき書換強度が“強”となる。
【0190】
一方、制御信号MOPTの論理レベルがLレベルのときは、ライト信号WR及びロウアドレスA3,A4によらず、全ての分離選択線SEP0~SEP3は駆動されない(たとえば、接地電位となる)。このとき書換強度が“弱”となる。
【0191】
図31は、第5の実施の形態の抵抗変化型メモリの書換方法の一例の流れを示すタイミングチャートである。
図9に示したようなアドレスバッファ41に書換対象のメモリ素子のアドレスが保持され、IOバッファ43に書換用のDATAが保持された後(タイミングt10)、制御信号MOPTの論理レベルがHレベルまたはLレベルとされる(タイミングt11)。書換強度を“弱”とする場合、制御信号MOPTの論理レベルはLレベルとされ、書換強度を“強”とする場合、制御信号MOPTの論理レベルはHレベルとされる。
【0192】
その後、ライト信号WRの論理レベルがHレベルに立ち上がると(タイミングt12)、書換動作が開始される。
書換動作では、ライト信号WRの立ち上がりに同期して、アドレスに応じた2本のワード線が駆動される(
図31では“選択WL”の電位の立ち上がりによって表されている)。また、書換強度が“強”の場合、ライト信号WRの立ち上がりに同期して、アドレスに応じた1本の分離選択線が駆動される(
図31では“選択SEP”の電位が立ち上がりによって表されている)。一方、書換強度が“弱”の場合、分離選択線は駆動されない。
【0193】
さらに、第3の実施の形態の抵抗変化型メモリ40の書換動作と同様に、アドレスに応じて、複数のビット線、複数のソース線のうち書換用のHレベルの電位が印加されるものと、接地電位となるものが決まる(
図31では、“BL”、“SL”の電位の変化によって表されている)。
【0194】
ライト信号WRの論理レベルがLレベルに立ち下がると(タイミングt13)、それに同期して電位がHレベルに立ち上がっていたワード線、分離選択線、ビット線、ソース線の電位が接地電位に立ち下がる。これによって書換動作が終了する。
【0195】
読み出し動作は、第3の実施の形態の抵抗変化型メモリ40の読み出し動作と同様であるので説明を省略する。
以上のような第5の実施の形態の抵抗変化型メモリの書換方法によれば、書換強度を変えることによってメモリ素子の多値化を実現できる。なお、書換強度が“強”の書換を行う際には、第3の実施の形態の抵抗変化型メモリ40または第4の実施の形態の抵抗変化型メモリと同様の効果が得られる。
【0196】
以上、実施の形態に基づき、本発明の抵抗変化型メモリ及び抵抗変化型メモリの書換方法の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0197】
10 抵抗変化型メモリ
11 メモリアレイ
11a1~11a4 メモリ素子
11b1~11b4 セルトランジスタ
12 ワード線選択回路
13 ビット線選択回路
14 ソース線選択回路
15 データ判定回路
BLa,BLb ビット線
SLa~SLd ソース線
WLa~WLd ワード線