(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/30 20200101AFI20230906BHJP
D06F 39/00 20200101ALI20230906BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
D06F33/30
D06F39/00 Z
D06F39/08 301A
D06F39/08 301R
D06F39/00 F
(21)【出願番号】P 2018244882
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】森 大樹
(72)【発明者】
【氏名】野呂 勝
(72)【発明者】
【氏名】松下 丈也
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0211166(US,A1)
【文献】特開2015-222003(JP,A)
【文献】特開2018-178666(JP,A)
【文献】特開2017-064621(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102425064(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/30
D06F 39/00
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機本体内に配置されたドラムに通常の給水を行うための給水路と、
前記ドラムにオゾン水の給水を行うためのオゾン給水路と、
前記オゾン給水路内にオゾンを発生させる複数のオゾン電極と、
前記ドラムに給水される水の温度を検出する給水温度センサと、
前記オゾン給水路から前記ドラム内にオゾン水が給水された状態ですすぎを行う除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度に基づいて、前記オゾン給水路に設けられた前記オゾン電極を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度が低いほど前記複数のオゾン電極のなかで通電される前記オゾン電極の数が少なくなるように、前記オゾン電極を制御するとともに、
前記複数のオゾン電極のそれぞれについての通電時間が均等になるように、前記複数のオゾン電極のなかで通電されるオゾン電極を決定することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度が低いほど前記オゾン電極の通電時間が短くなるように、前記オゾン電極を制御することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度が低いほど前記オゾン電極に供給される水量が多くなるように、
前記オゾン給水路に設けられたオゾン給水バルブを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度が低いほど前記オゾン給水路から前記ドラムに給水されるオゾン水の給水量が少なくなるように、
前記オゾン給水路に設けられたオゾン給水バルブを制御することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記制御手段は、前記除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度が低いほど前記オゾン電極に通電される電流値が小さくなるように、前記オゾン電極を制御することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程を行う洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯機には、洗い工程から、すすぎ工程及び脱水工程までを自動的に行う乾燥機能を有しない洗濯機と、洗い工程から、すすぎ工程、脱水工程及び乾燥工程までを自動的に行う乾燥機能を有する洗濯機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の洗濯機において、ドラム内にオゾンを供給し、オゾン水により洗濯物をすすぐ工程(いわゆる除菌すすぎ)を行うことが考えられる。したがって、この洗濯機では、オゾン発生装置によりオゾンを発生させ、そのオゾンがドラム内に供給される。そのため、除菌すすぎを行う洗濯機は、ドラムに通常の給水を行うための給水路と、ドラムにオゾン水の給水を行うためのオゾン給水路と、オゾン給水路内にオゾンを発生させるオゾン発生装置とを備えている。
【0005】
オゾン発生装置は、オゾン給水路内の水を電気分解するためのオゾン電極を有しており、オゾン電極に通電されることによりオゾンを発生する。したがって、オゾン発生装置により発生したオゾンは、オゾン給水路内の水に溶けた後、オゾン水としてドラムに給水される。
【0006】
オゾンの水に対する溶解度は、水温に応じて異なることが知られている。例えば、
図16は、純水に対する酸素とオゾンの溶解度(文献 環境分野におけるオゾン利用の実際(医療・環境オゾン研究会 増刊3号 2007)の表1-6から引用)を示している。オゾンの溶解度は、水温が0℃のときに、1.124g/Lであるのに対して、水温が25℃のときに、0.613g/Lである。したがって、水温が25℃の場合、水温が0℃の場合と比べて、オゾンは水に溶け難いことが分かる。
【0007】
上述したように、洗濯機において除菌すすぎを行うためには、ドラム内に所定濃度のオゾン水が必要であり、オゾン電極により所定量のオゾンを発生するために、オゾン電極に対する通電が行われる。給水温度が低い場合、オゾンが水に溶け込みやすいことから、ドラム内に給水されるオゾン水の濃度が高くなり、オゾン電極の通電時間は比較的短い。これに対し、給水温度が高い場合、オゾンが水に溶け難いことから、ドラム内に給水されるオゾン水の濃度が低くなり、オゾン電極の通電時間が長くなる。
【0008】
また、除菌すすぎ工程においてオゾン電極に通電する際は、通常の給水路を使用しないでオゾン給水路が使用されるが、オゾン電極に供給される水量をある範囲に収めるため、オゾン給水路は、通常の給水路と比較して少ない給水量に絞っている。そのため、ドラム内に給水されるオゾン水の水位がオゾンすすぎ設定水位に到達するまでに長時間がかかることから、オゾン電極の通電時間が長くなることで、消耗品であるオゾン電極の耐久性が問題となる。
【0009】
洗濯機では、種々の給水温度に対応可能にするために、給水温度が高くオゾンが水に溶け難いときであっても、除菌すすぎを行うために必要な所定濃度のオゾン水が得られるように、高い給水温度に合わせてオゾン電極の通電時間を長く設定しておく必要がある。
【0010】
そのため、従来、給水温度にかかわらず、オゾン電極の通電時間が一定に設定されていたことから、給水温度が低い場合に、オゾン電極の通電時間が必要以上に長く設定されていた。これにより、オゾン電極の通電時間が長くなることによりオゾン電極の耐久性が悪くなり、交換回数が増えて、メンテナンス費用が増加する問題がある。
【0011】
また、洗濯機において除菌すすぎが行われた場合、その後、ドラム内のオゾン濃度が十分に低くなるまでは、洗濯機のドアが開放されないようにロックされる。上述したように、給水温度が低い場合に、オゾン電極の通電時間が必要以上に長く設定されていた場合、ドラム内のオゾン濃度が必要以上に高くなる可能性があった。したがって、洗濯機では、除菌すすぎ後においてドラム内のオゾン濃度が高いときであっても、ドラム内のオゾン濃度が十分に低下するように、ドアロック時間を長く設定しておく必要がある。
【0012】
そのため、従来、給水温度にかかわらず、ドアロック時間が一定に設定されていたことから、ドアロック時間が必要以上に長く設定されていた。
【0013】
これにより、例えば除菌すすぎ工程が行われた後の脱水工程において洗濯物の偏りが解消されないことから、脱水工程を中止してエラー表示が行われた場合、ドラム内のオゾン濃度が十分に低下するまで、洗濯機のドアを開放することができず、洗濯機の運転が長時間停止されることで、洗濯機の運転効率が低下する問題がある。
【0014】
なお、オゾン電極の耐久性は、オゾン電極の通電時間が長くなることにより悪くなるのと同様に、オゾン電極に通電される電流値が高いほど悪くなり、オゾン電極の交換回数が増えて、メンテナンス費用が増加してしまう。
【0015】
本発明は、除菌すすぎが行われる洗濯機においてオゾン電極の耐久性を向上させることが可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
例えば、除菌すすぎ工程におけるオゾン電極の通電時間を短縮するためには、ドラム内に給水されたオゾン水の濃度を直接計測して、その濃度が所定濃度になったときに、オゾン電極の通電を停止することが考えられる。しかし、オゾン水の濃度を計測する濃度計測装置は、非常に高価であり、洗濯機の製造コストが増加することから、濃度計測装置を洗濯機に搭載するのは困難である。
【0017】
そこで、本発明の発明者は、ドラム内に給水されたオゾン水の濃度を直接計測しないでも、給水温度とその給水温度でのオゾンの溶解度に基づいて、ドラム内に給水されるオゾン水の濃度を推測することにより、除菌すすぎ工程におけるオゾン電極の通電時間の短縮またはオゾン電極の電流値の低減が可能であることを見出した。
【0018】
すなわち、本発明の洗濯機は、洗濯機本体内に配置されたドラムに通常の給水を行うための給水路と、前記ドラムにオゾン水の給水を行うためのオゾン給水路と、前記オゾン給水路内にオゾンを発生させる複数のオゾン電極と、前記ドラムに給水される水の温度を検出する給水温度センサと、前記オゾン給水路から前記ドラム内にオゾン水が給水された状態ですすぎを行う除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度に基づいて、前記オゾン給水路に設けられた前記オゾン電極を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度が低いほど前記複数のオゾン電極のなかで通電される前記オゾン電極の数が少なくなるように、前記オゾン電極を制御するとともに、前記複数のオゾン電極のそれぞれについての通電時間が均等になるように、前記複数のオゾン電極のなかで通電されるオゾン電極を決定することを特徴とする。
【0019】
本発明の洗濯機において、前記制御手段は、前記除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度が低いほど前記オゾン電極の通電時間が短くなるように、前記オゾン電極を制御することが好適である。
【0020】
本発明の洗濯機において、前記制御手段は、前記除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度が低いほど前記オゾン電極に供給される水量が多くなるように、前記オゾン給水路に設けられたオゾン給水バルブを制御することが好適である。
【0021】
本発明の洗濯機において、前記制御手段は、前記除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度が低いほど前記オゾン給水路から前記ドラム内に給水されるオゾン水の給水量が少なくなるように、前記オゾン給水路に設けられたオゾン給水バルブを制御することが好適である。
【0022】
本発明の洗濯機において、前記制御手段は、前記除菌すすぎ工程において、前記給水温度センサで検出された給水温度が低いほど前記オゾン電極に通電される電流値が小さくなるように、前記オゾン電極を制御することが好適である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の洗濯機では、給水温度に基づいて、ドラムに給水されるオゾン水の濃度を推測し、オゾン給水路に設けられたオゾン給水バルブ及びオゾン電極の少なくとも一方を制御することで、除菌すすぎ工程において、例えばオゾン電極の通電時間の短縮、オゾン電極に通電される電流値の低減が可能である。したがって、本発明では、オゾン電極の耐久性の向上、除菌すすぎ工程の給水時間の短縮、エラー発生時の消オゾン時間の短縮、除菌すすぎ工程での除菌性能を一定以上に保つことが可能となる。
本発明の洗濯機では、給水温度に応じて、複数のオゾン電極のなかで通電されるオゾン電極の数を制御することにより、従来と比べて、オゾン電極の通電時間を短縮することが可能である。
【0025】
本発明の洗濯機では、給水温度に応じて、オゾン電極の通電時間を制御することにより、従来と比べて、オゾン電極の通電時間を短縮することが可能である。
【0026】
本発明の洗濯機では、給水温度に応じて、オゾン電極に供給される水量を制御することにより、従来と比べて、オゾン電極の通電時間を短縮することが可能である。
【0027】
本発明の洗濯機では、給水温度に応じて、オゾン給水路からドラム内に給水されるオゾン水の給水量を制御することにより、従来と比べて、オゾン電極の通電時間を短縮することが可能である。
【0028】
本発明の洗濯機では、給水温度に応じて、オゾン電極に通電される電流値を制御することにより、従来と比べて、オゾン電極の通電負荷を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
【
図3】
図1のオゾン発生装置の構成を示す図である。
【
図5】給水温度に応じたオゾン電極通電時間を示す図である。
【
図6】
図1の洗濯機1の洗濯コースの動作を示す図である。
【
図7】
図1の洗濯機1のオゾンすすぎ制御のフローチャートである。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る洗濯機での給水温度に応じたオゾン水路給水量を示す図である。
【
図9】
図8の洗濯機のオゾンすすぎ制御のフローチャートである。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る洗濯機での給水温度に応じたオゾンすすぎ設定水位を示す図である。
【
図11】
図10の洗濯機のオゾンすすぎ制御のフローチャートである。
【
図12】本発明の第4実施形態に係る洗濯機での給水温度に応じたオゾン電極電流値を示す図である。
【
図13】
図12の洗濯機のオゾンすすぎ制御のフローチャートである。
【
図14】本発明の第5実施形態に係る洗濯機での給水温度に応じたオゾン電極の数を示す図である。
【
図15】
図14の洗濯機のオゾンすすぎ制御のフローチャートである。
【
図16】オゾンの水に対する溶解度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態である洗濯機について、図面を参照して説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1に示すように、洗濯機1は、ドラム式洗濯機であり、外観を構成する筐体である洗濯機本体10を備える。洗濯機本体10の前面10aは、中央部から上部にかけて傾斜し、傾斜した面に洗濯物の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0033】
洗濯機本体10内には、外槽20が、複数のダンパー21により弾性的に支持される。外槽20内には、ドラム22が回転自在に配される。外槽20およびドラム22は、水平方向に対し、後面側が低くなるよう傾斜する。これにより、ドラム22は、水平方向に対して傾斜した方向に延びる回転軸周りに回転する。
【0034】
外槽20の前面の開口部20aおよびドラム22の前面の開口部22aは、投入口11に対向し、投入口11ともにドア12により閉鎖される。ドラム22の周壁には、多数の脱水孔22bが形成される。さらに、ドラム22の周壁には、3つのバッフル23が周方向にほぼ等しい間隔で設けられる。
【0035】
ドラム22の後部には、回転翼24が回転自在に配される。回転翼24は、ほぼ円盤形状を有する。回転翼24の表面には、中央部から径方向外側に延びる複数の突状部24aが形成される。回転翼24は、ドラム22と同軸に回転する。
【0036】
外槽20の後方には、ドラム22および回転翼24を駆動するトルクを発生させるモータ30が配置される。
【0037】
図2に示すように、洗濯機1は、外槽20内のドラム22に通常の給水を行うための給水路51と、給水路51から分岐したオゾン給水路52と、外槽20内に給湯を行うための給湯路53と、外槽20内の水を排水するための排水路54と、外槽20内にソフト剤や洗剤を供給するためのソフト剤供給路55および洗剤供給路56とを備えている。
【0038】
給水路51、給湯路53、ソフト剤供給路55および洗剤供給路56は、外槽20の上方に設けた集水導入部57に接続され、オゾン給水路52は、外槽20の上方に接続され、排水路54は、外槽20の下方に接続されている。外槽20の上端近傍には、水位上限を超えた水を排水するためのオーバーフロー路58が設けてある。集中導入部57には、ドラム22内に給水される水の温度を検出する給水温度センサ85が配置されている。本実施形態では、給水温度センサ85により通常の給水時に水温を検出し、オゾン給水の水温は、通常の給水時に検出した水温を使用して間接的に検出される。
【0039】
洗濯機1は、洗い工程、すすぎ工程、除菌すすぎ工程、脱水工程などを実施可能である。したがって、洗濯機1では、適宜、各給排系統のバルブである給水バルブ51a、オゾン給水バルブ52a、給湯バルブ53a、排水バルブ54aが開閉されることにより、通常の給水、オゾン水の給水、給湯、排水が行われる。給水バルブ51aおよび給湯バルブ53aの上流には、それぞれ給水ストレーナ51b、53bが配置される。
【0040】
外槽20の上端近傍には、排気路60が接続されており、ドラム22内の空気やオゾンは、排気路60を通じて機外へ排出される。排気路60には、活性炭60aが配置されており、排気路60を通過するガスは、活性炭60aを通過した後、機外へ排出されることから、排気路60を通過するオゾンの一部は、活性炭60aにより消費される。
【0041】
洗濯機1は、ドラム22にオゾン水を給水し、オゾン水により洗濯物をすすぐ工程(いわゆる除菌すすぎ)を行うことができる。したがって、ドラム22の内部にオゾン水を給水するためのオゾン給水路52には、オゾンを発生させるオゾン発生装置61が配置される。
【0042】
オゾン発生装置61は、
図3に示すように、オゾン給水路52の一部に略水平に設けたオゾン発生領域62に配置されたオゾン電極63を含んでいる。本実施形態では、オゾン電極63として、3本のオゾン電極63a、63b、63cが配置される。オゾン発生装置61では、3本のオゾン電極63a、63b、63cを直列に通過させて、水の電気分解によりオゾンを発生する。
【0043】
オゾン給水路61のオゾン発生領域62には、上流側に上向きに延びる第1接続部62aが形成され、下流側に下向きに延びる第2接続部62bが形成されている。したがって、オゾン電極63へ通電を行うことにより、オゾン電極63の表面と接触した水が分解されてオゾンガスが発生し、そのオゾンガスが水中に溶存してオゾン水となる。
【0044】
図4は、本実施形態の洗濯機1の制御ブロック図である。洗濯機1の制御部80は、
図4に示すように、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、洗濯機1の動作を制御するプログラムが格納されたROMと、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶されるRAMとを備えている。洗濯機1の運転動作は、この制御部80によって制御される。
【0045】
制御部80は、適正値決定部80aを有している。また、制御部80には、操作部81と、モータ30と、給水バルブ51aと、排水バルブ54aと、オゾン給水バルブ52aと、オゾン発生装置61と、ドアロック装置82とが接続されている。
【0046】
適正値決定部80aは、除菌すすぎ工程においてオゾンを発生する際の適正値として、給水温度に基づいて、オゾン電極63に通電される通電時間を決定する。具体的には、適正値決定部80aは、
図5に示すように、給水温度T
pがT
p1℃より低い場合に、オゾン電極63の通電時間をT
1に決定し、給水温度T
pがT
p1℃以上且つT
p2℃より低い場合に、オゾン電極63の通電時間をT
2に決定し、給水温度T
pがT
p2℃以上の場合に、オゾン電極63の通電時間をT
3に決定する。
図5において、T
p1<T
p2であり、T
1<T
2<T
3である。
【0047】
すなわち、給水温度が低い場合、オゾンが水に溶け込みやすいことから、ドラム22内に給水されるオゾン水の濃度が高いため、適正値決定部80aは、オゾン電極63の通電時間を比較的短い時間に決定する。これに対し、給水温度が高い場合、オゾンが水に溶け難いことから、ドラム22内に給水されるオゾン水の濃度が低いため、適正値決定部80aは、オゾン電極63の通電時間を比較的長い時間に決定する。したがって、給水温度が低い場合に、オゾン電極63の通電時間を短縮することが可能である。
【0048】
除菌すすぎ工程では、オゾン水がドラム22内のオゾンすすぎ設定水位に到達するまで給水された後、通常の水がドラム22内の所定水位に到達するまで給水される。除菌すすぎを行うためには、通常の水がドラム22内の所定水位に到達するまで給水された状態において、ドラム22内には、所定濃度以上のオゾン水が必要である。
【0049】
したがって、オゾン水がドラム22内のオゾンすすぎ設定水位に到達するまで給水されるオゾン水の濃度は、通常の水がドラム22内の所定水位に到達するまで給水された後において、ドラム22内のオゾン水の濃度が所定濃度以上になるような濃度が必要である。
【0050】
上述したように、給水温度が低い場合、オゾンが水に溶け込みやすいことから、ドラム22内に給水されるオゾン水の濃度は高くなるため、オゾン電極63の通電時間を短くすることが可能である。これに対して、給水温度が高い場合、オゾンが水に溶け難いことから、ドラム22内に給水されるオゾン水の濃度は低いため、オゾン電極63の通電時間を長くする必要がある。
【0051】
操作部81は、除菌すすぎを行うための除菌すすぎボタン81aを含んでいる。操作部81は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部80に出力する。
【0052】
制御部80は、モータ30を制御することにより、ドラム22の回転数を制御する。
【0053】
制御部80は、給水バルブ51a及び排水バルブ54aを制御することにより、外槽20内への給水及び外槽20内からの排水を行う。
【0054】
制御部80は、オゾン給水バルブ52a及びオゾン発生装置61を制御することにより、除菌すすぎが行われる場合に、オゾン給水路52からオゾン水をドラム22内に給水する。
【0055】
制御部80は、ドア12をロック状態またはロック解除状態に切り替えるドアロック装置82を制御することにより、ドア12のロックおよびロック解除を行う。
【0056】
次に、洗濯機1の運転動作について、
図6に基づいて説明する。洗濯機1は、例えば、洗い工程、すすぎ工程および脱水工程を有し、且つ、乾燥工程を有しない洗濯コースの運転を行なうことが可能である。なお、本実施形態では、ユーザが、洗い工程終了までに、操作部81の除菌すすぎボタン81aを押し、所定の金額を投入することによって、オゾン水を使用した除菌すすぎ工程が行われる場合について説明する。
【0057】
<ステップS1:洗い工程>
ステップS1では、まず、使用者によって、ドア12が開けられ、ドラム22内に洗濯物が収容されて、ドア12が閉じられる。洗い工程が開始されると、制御部80は、通常の洗濯水を給水するための給水バルブ51aを開いて、ドラム22に通常の水を給水する。この際、制御部80は、排水バルブ54aを閉じていて、給水された水は、外槽20及びドラム22内に溜められる。そして、所定量の水が給水されると、制御部80は、給水バルブ51aを閉じて、モータ30を駆動(ON)し、ドラム22を回転させる。
【0058】
そして、所定時間の洗い動作が終了すると、制御部80は、排水バルブ54aを開いて、ドラム22内の洗浄水を、排水路54を介して機外へ排水する。排水後、制御部80は、モータ30によってドラム22を高速回転させ、洗濯物に含まれる洗濯水が脱水される中間脱水を行う。中間脱水によって洗濯物から脱水された洗濯水は、ドラム22内に放出され、排水路54を介して機外へ排水される。
【0059】
<ステップS2:すすぎ工程>
ステップS1において、洗い工程が終了すると、ステップS2では、すすぎ工程が行われる。すすぎ工程が開始されると、制御部80は、排水バルブ54aを閉じて、通常の洗濯水を給水するための給水バルブ51aを開いて、ドラム22に所定量のすすぎ水を給水する。そして、所定量の水が給水されると、制御部80は、給水バルブ51aを閉じて、モータ30によってドラム22を回転させて、ドラム22内の洗濯物のすすぎを所定時間行う。
【0060】
すすぎが終了すると、制御部80は、排水バルブ54aを開いて、ドラム22内のすすぎ水を、排水路54を介して機外へ排水する。排水後、上記同様の脱水動作によって中間脱水が行われ、洗濯物に含まれるすすぎ水が脱水される。この脱水されたすすぎ水も上記同様に、排水路54を介して機外へ排水される。
【0061】
<ステップS3:除菌すすぎ工程>
ステップS2において、すすぎ工程が終了すると、ステップS3では、除菌すすぎ工程が行われる。除菌すすぎ工程が開始されると、制御部80は、排水バルブ54aを閉じて、オゾン給水バルブ52aを開いて、オゾン給水路52を介してドラム22にオゾン水を給水する。その後、制御部80は、オゾン給水バルブ52aを閉じて、オゾン水の給水を停止し、通常の水を給水するための給水バルブ51aを開いて、ドラム22に通常の水をすすぎ水として給水する。
【0062】
そして、すすぎ水が給水されると、制御部80は、モータ30によってドラム22を回転させて、オゾン水によってドラム22内の洗濯物の除菌すすぎを所定時間行う。除菌すすぎが終了すると、制御部80は、排水バルブ54aを開いて、ドラム22内のすすぎ水を、排水路54を介して機外へ排水する。
【0063】
<ステップS4:脱水工程>
ステップS3において、除菌すすぎ工程が終了すると、ステップS4では、脱水工程が行われる。脱水工程が開始されると、制御部80は、ドラム22の回転数を目標回転数に向けて上昇させ、目標回転数に到達すると、所定脱水時間が経過するまで脱水運転を行う。脱水工程が終了すると、制御部80は、ドラム22の回転を停止し、洗濯コースの動作を終了する。脱水工程で脱水された水も上記同様に、排水路54を介して機外に排水される。
【0064】
除菌すすぎ工程におけるオゾンすすぎ制御について、
図7に基づいて説明する。
【0065】
<ステップS101>
ステップS101において、除菌すすぎ工程が開始されると、制御部80は、オゾン給水バルブ52aを開にすると共に、オゾン電極63の通電を開始して、オゾン給水路52を介して、ドラム22にオゾン水の給水を開始する。
【0066】
<ステップS102>
ステップS102において、制御部80は、給水温度センサ85により給水温度を検出する。したがって、制御部80は、オゾン給水路52に配置されたオゾン電極63に供給される水の温度である給水温度Tpを検知する。
【0067】
<ステップS103>
ステップS103において、制御部80は、給水温度がTp1℃より低いか否かを判定する。
【0068】
<ステップS104>
ステップS103で、制御部80が、給水温度がTp1℃より低いと判定した場合、ステップS104において、制御部80は、オゾン電極63の通電時間をT1に決定して、ステップS108に進む。
【0069】
<ステップS105>
ステップS103で、制御部80が、給水温度がTp1℃以上と判定した場合、ステップS105に進んで、制御部80は、給水温度がTp2℃より低いか否かを判定する。
【0070】
<ステップS106>
ステップS105で、制御部80が、給水温度がTp2℃より低いと判定した場合、ステップS106において、制御部80は、オゾン電極63の通電時間をT2に決定して、ステップS108に進む。
【0071】
<ステップS108>
ステップS106で、制御部80が、給水温度がTp2℃以上と判定した場合、ステップS108に進んで、制御部80は、オゾン電極63の通電時間をT3に決定して、ステップS108に進む。
【0072】
<ステップS108>
ステップS108において、制御部80は、ドラム22内に給水されるオゾン水の水位がオゾンすすぎ設定水位に到達したか否かを判定する。制御部80が、オゾン水の水位がオゾンすすぎ設定水位に到達してないと判定した場合、ステップS102に進む。
【0073】
<ステップS109>
ステップS105で、制御部80が、ドラム22内に給水されるオゾン水の水位がオゾンすすぎ設定水位に到達したと判定した場合、ステップS109において、制御部80は、オゾン給水バルブ52aを閉にすると共に、オゾン電極63の通電を停止して、オゾン水の給水を停止する。
【0074】
<ステップS110>
ステップS110において、制御部80は、給水バルブ51aを開にして、ドラム22内の水量が所定水位に到達するまで、通常水の給水を行う。
【0075】
<ステップS111、S112>
ステップS111において、制御部80は、モータ30によってドラム22を回転させて、オゾン水によってドラム22内の洗濯物の除菌すすぎを行う。洗濯物の除菌すすぎが終了すると、ステップS112において、制御部80は、排水バルブ54aを開にして、すすぎ水を排水して、除菌すすぎ工程を終了する。
【0076】
本実施形態の洗濯機1は、洗濯機本体10内に配置されたドラム22に通常の給水を行うための給水路51と、ドラム22にオゾン水の給水を行うためのオゾン給水路52と、オゾン給水路52内にオゾンを発生させるオゾン電極63と、ドラム22に給水される水の温度を検出する給水温度センサである給水温度センサ85と、オゾン給水路52からドラム22内にオゾン水が給水された状態ですすぎを行う除菌すすぎ工程において、給水温度センサ85で検出された給水温度に基づいて、オゾン給水路52に設けられたオゾン給水バルブ52a及びオゾン電極63の少なくとも一方を制御する制御手段である制御部80とを備える。
【0077】
これにより、本実施形態の洗濯機1では、給水温度に基づいて、ドラム22に給水されるオゾン水の濃度を推測し、オゾン給水路52に設けられたオゾン給水バルブ52a及びオゾン電極63の少なくとも一方を制御することで、除菌すすぎ工程において、例えばオゾン電極63の通電時間の短縮、オゾン電極63に通電される電流値の低減が可能である。したがって、オゾン電極63の耐久性の向上、除菌すすぎ工程の給水時間の短縮、エラー発生時の消オゾン時間の短縮、除菌すすぎ工程での除菌性能を一定以上に保つことが可能となる。
【0078】
本実施形態の洗濯機1において、制御手段である制御部80は、除菌すすぎ工程において、給水温度センサ85で検出された給水温度が低いほどオゾン電極63の通電時間が短くなるように、オゾン電極63を制御する。
【0079】
これにより、本実施形態の洗濯機1では、給水温度に応じて、オゾン電極63の通電時間を制御することにより、従来と比べて、オゾン電極63の通電時間を短縮することが可能である。したがって、オゾン電極63の耐久性が向上し、交換回数を減らし、メンテナンス費用を削減することが可能である。また、オゾン電極63の通電時間を短くすることにより、通常の給水路51からの給水量を増やし、洗濯機1の運転時間を短縮することが可能となる。
【0080】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の洗濯機について、
図8及び
図9に基づいて説明する。
【0081】
本実施形態の洗濯機が第1実施形態の洗濯機1と主に異なる点は、第1実施形態では、除菌すすぎ工程においてオゾンを発生する際の適正値として、適正値決定部80aが、給水温度に基づいてオゾン電極63の通電時間を決定するのに対して、本実施形態では、適正値決定部が、給水温度に基づいてオゾン電極63に給水される水量を決定する点である。本実施形態の洗濯機の構成において、第1実施形態の洗濯機1と同様の構成については説明を省略する。
【0082】
適正値決定部は、除菌すすぎ工程においてオゾンを発生する際の適正値として、給水温度に基づいて、オゾン電極63に供給される水量であるオゾン水路給水量を決定する。オゾン水路給水量は、オゾン給水路52において単位時間にオゾン電極63に供給される水量(L/s)である。具体的には、適正値決定部は、
図8に示すように、給水温度T
pがT
p1℃より低い場合に、オゾン水路給水量をL
1に決定し、給水温度T
pがT
p1℃以上且つT
p2℃より低い場合に、オゾン水路給水量をL
2に決定し、給水温度T
pがT
p2℃以上の場合に、オゾン水路給水量をL
3に決定する。
図8において、T
p1<T
p2であり、L
1>L
2>L
3である。
【0083】
すなわち、給水温度が低い場合、オゾンが水に溶け込みやすいことから、適正値決定部は、オゾン電極63に供給されるオゾン水路給水量を比較的多い量に決定する。これに対し、給水温度が高い場合、オゾンが水に溶け難いことから、適正値決定部は、オゾン電極63に供給されるオゾン水路給水量を比較的少ない量に決定する。したがって、給水温度が低い場合に、ドラム22に給水されるオゾン水の濃度は短時間で高くなり、オゾン電極63の通電時間を短縮することが可能である。
【0084】
除菌すすぎ工程におけるオゾンすすぎ制御について、
図9に基づいて説明する。
【0085】
<ステップS201>
ステップS201において、除菌すすぎ工程が開始されると、制御部80は、オゾン給水バルブ52aを開にすると共に、オゾン電極63の通電を開始して、オゾン給水路52を介して、ドラム22にオゾン水の給水を開始する。
【0086】
<ステップS202>
ステップS202において、制御部80は、給水温度センサ85により給水温度を検出する。したがって、制御部80は、オゾン給水路52に配置されたオゾン電極63に供給される水の温度である給水温度Tpを検知する。
【0087】
<ステップS203>
ステップS203において、制御部80は、給水温度がTp1℃より低いか否かを判定する。
【0088】
<ステップS204>
ステップS203で、制御部80が、給水温度がTp1℃より低いと判定した場合、ステップS204において、制御部80は、オゾン電極63に供給される水量であるオゾン水路給水量をL1に決定して、ステップS208に進む。
【0089】
<ステップS205>
ステップS203で、制御部80が、給水温度がTp1℃以上と判定した場合、ステップS205に進んで、制御部80は、給水温度がTp2℃より低いか否かを判定する。
【0090】
<ステップS206>
ステップS205で、制御部80が、給水温度がTp2℃より低いと判定した場合、ステップS206において、制御部80は、オゾン水路給水量をL2に決定して、ステップS208に進む。
【0091】
<ステップS208>
ステップS206で、制御部80が、給水温度がTp2℃以上と判定した場合、ステップS208に進んで、制御部80は、オゾン水路給水量をL3に決定して、ステップS208に進む。
【0092】
<ステップS208~S212>
ステップS208~S212の内容は、第1実施形態の
図7のステップS108~S112の内容と同様であり、その説明は省略する。
【0093】
本実施形態の洗濯機において、制御手段である制御部80は、除菌すすぎ工程において、給水温度センサ85で検出された給水温度が低いほどオゾン電極63に供給される水量が多くなるように、オゾン給水バルブ52aを制御する。
【0094】
これにより、本実施形態の洗濯機では、給水温度に応じて、オゾン電極63に供給される水量を制御することにより、従来と比べて、オゾン電極63の通電時間を短縮することが可能である。したがって、オゾン電極63の耐久性が向上し、交換回数を減らし、メンテナンス費用を削減することが可能である。また、オゾン電極63の通電時間を短くすることにより、通常の給水路51からの給水量を増やし、洗濯機の運転時間を短縮することが可能となる。
【0095】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態の洗濯機について、
図10及び
図11に基づいて説明する。
【0096】
本実施形態の洗濯機が第1実施形態の洗濯機1と主に異なる点は、第1実施形態では、除菌すすぎ工程においてオゾンを発生する際の適正値として、適正値決定部80aが、給水温度に基づいてオゾン電極63の通電時間を決定するのに対して、本実施形態では、適正値決定部が、給水温度に基づいて除菌すすぎが行われる際にドラム22内に給水されるオゾン水の水位を決定する点である。本実施形態の洗濯機の構成において、第1実施形態の洗濯機1と同様の構成については説明を省略する。
【0097】
適正値決定部は、除菌すすぎ工程においてオゾンを発生する際の適正値として、給水温度に基づいて、除菌すすぎが行われる際にドラム22内に給水されるオゾン水の水位であるオゾンすすぎ設定水位を決定する。オゾンすすぎ設定水位は、ドラム22の下端からドラム22内のオゾン水の水面までの高さ(m)である。具体的には、適正値決定部は、
図10に示すように、給水温度T
pがT
p1℃より低い場合に、オゾンすすぎ設定水位をH
1に決定し、給水温度T
pがT
p1℃以上且つT
p2℃より低い場合に、オゾンすすぎ設定水位をH
2に決定し、給水温度T
pがT
p2℃以上の場合に、オゾンすすぎ設定水位をH
3に決定する。
図10において、T
p1<T
p2であり、H
1<H
2<H
3である。
【0098】
すなわち、給水温度が低い場合、オゾンが水に溶け込みやすいことから、適正値決定部は、ドラム22内に給水されるオゾン水の設定水位を比較的低い水位に決定する。これに対し、給水温度が高い場合、オゾンが水に溶け難いことから、適正値決定部は、ドラム22内に給水されるオゾン水のオゾンすすぎ設定水位を比較的高い水位に決定する。したがって、給水温度が低い場合に、ドラム22内に給水されるオゾン水の濃度が短時間で高くなり、ドラム22内に給水されるオゾン水の量が少なくなるため、オゾン水のオゾンすすぎ設定水位を低くすることで、オゾン水の給水時間が短くなり、オゾン電極63の通電時間を短縮することが可能である。
【0099】
除菌すすぎ工程におけるオゾンすすぎ制御について、
図11に基づいて説明する。
【0100】
<ステップS301>
ステップS301において、除菌すすぎ工程が開始されると、制御部80は、オゾン給水バルブ52aを開にすると共に、オゾン電極63の通電を開始して、オゾン給水路52を介して、ドラム22にオゾン水の給水を開始する。
【0101】
<ステップS302>
ステップS302において、制御部80は、給水温度センサ85により給水温度を検出する。したがって、制御部80は、オゾン給水路52に配置されたオゾン電極63に供給される水の温度である給水温度Tpを検知する。
【0102】
<ステップS303>
ステップS303において、制御部80は、給水温度がTp1℃より低いか否かを判定する。
【0103】
<ステップS304>
ステップS303で、制御部80が、給水温度がTp1℃より低いと判定した場合、ステップS304において、制御部80は、ドラム22に給水されるオゾン水の水位であるオゾンすすぎ設定水位をH1に決定して、ステップS308に進む。
【0104】
<ステップS305>
ステップS303で、制御部80が、給水温度がTp1℃以上と判定した場合、ステップS305に進んで、制御部80は、給水温度がTp2℃より低いか否かを判定する。
【0105】
<ステップS306>
ステップS305で、制御部80が、給水温度がTp2℃より低いと判定した場合、ステップS306において、制御部80は、オゾンすすぎ設定水位をH2に決定して、ステップS308に進む。
【0106】
<ステップS307>
ステップS305で、制御部80が、給水温度がTp2℃以上と判定した場合、ステップS307に進んで、制御部80は、オゾンすすぎ設定水位をH3に決定して、ステップS308に進む。
【0107】
<ステップS308~S312>
ステップS308~S312の内容は、第1実施形態の
図7のステップS108~S112の内容と同様であり、その説明は省略する。
【0108】
本実施形態の洗濯機において、制御手段である制御部80は、除菌すすぎ工程において、給水温度センサ85で検出された給水温度が低いほどオゾン給水路52からドラム22内に給水されるオゾン水の給水量が少なくなるように、オゾン給水バルブ52aを制御する。
【0109】
これにより、本実施形態の洗濯機では、給水温度に応じて、オゾン給水路52からのオゾン水の給水量を制御することにより、従来と比べて、オゾン電極63の通電時間を短縮することが可能である。したがって、オゾン電極63の耐久性が向上し、交換回数を減らし、メンテナンス費用を削減することが可能である。また、オゾン電極63の通電時間を短くすることにより、通常の給水路51からの給水量を増やし、洗濯機の運転時間を短縮することが可能となる。
【0110】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態の洗濯機について、
図12及び
図13に基づいて説明する。
【0111】
本実施形態の洗濯機が第1実施形態の洗濯機1と主に異なる点は、第1実施形態では、除菌すすぎ工程においてオゾンを発生する際の適正値として、適正値決定部80aが、給水温度に基づいてオゾン電極63の通電時間を決定するのに対して、本実施形態では、適正値決定部が、給水温度に基づいてオゾン電極63に通電される電流値を決定する点である。本実施形態の洗濯機の構成において、第1実施形態の洗濯機1と同様の構成については説明を省略する。
【0112】
適正値決定部は、除菌すすぎ工程においてオゾンを発生する際の適正値として、給水温度に基づいて、オゾン電極63に通電される電流値を決定する。具体的には、適正値決定部は、
図12に示すように、給水温度T
pがT
p1℃より低い場合に、オゾン電極電流値をA
1に決定し、給水温度T
pがT
p1℃以上且つT
p2℃より低い場合に、オゾン電極電流値をA
2に決定し、給水温度T
pがT
p2℃以上の場合に、オゾン電極電流値をA
3に決定する。
図8において、T
p1<T
p2であり、A
1<A
2<A
3である。
【0113】
すなわち、給水温度が低い場合、オゾンが水に溶け込みやすいことから、適正値決定部は、オゾン電極63に通電される電流値を比較的低い電流値に決定する。これに対し、給水温度が高い場合、オゾンが水に溶け難いことから、適正値決定部は、オゾン電極63に通電される電流値を比較的高い電流値に決定する。したがって、給水温度が低い場合に、必要なオゾン量が少なくなり、オゾン電極63の通電負荷を低減することが可能である。
【0114】
除菌すすぎ工程におけるオゾンすすぎ制御について、
図13に基づいて説明する。
【0115】
<ステップS401>
ステップS401において、除菌すすぎ工程が開始されると、制御部80は、オゾン給水バルブ52aを開にすると共に、オゾン電極63の通電を開始して、オゾン給水路52を介して、ドラム22にオゾン水の給水を開始する。
【0116】
<ステップS402>
ステップS402において、制御部80は、給水温度センサ85により給水温度を検出する。したがって、制御部80は、オゾン給水路52に配置されたオゾン電極63に供給される水の温度である給水温度Tpを検知する。
【0117】
<ステップS403>
ステップS403において、制御部80は、給水温度がTp1℃より低いか否かを判定する。
【0118】
<ステップS404>
ステップS403で、制御部80が、給水温度がTp1℃より低いと判定した場合、ステップS404において、制御部80は、オゾン電極63に供給される水量であるオゾン電極電流値A1に決定して、ステップS408に進む。
【0119】
<ステップS405>
ステップS403で、制御部80が、給水温度がTp1℃以上と判定した場合、ステップS405に進んで、制御部80は、給水温度がTp2℃より低いか否かを判定する。
【0120】
<ステップS406>
ステップS405で、制御部80が、給水温度がTp2℃より低いと判定した場合、ステップS406において、制御部80は、オゾン電極電流値A2に決定して、ステップS408に進む。
【0121】
<ステップS407>
ステップS406で、制御部80が、給水温度がTp2℃以上と判定した場合、ステップS207に進んで、制御部80は、オゾン電極電流値A3に決定して、ステップS408に進む。
【0122】
<ステップS408~S412>
ステップS408~S412の内容は、第1実施形態の
図7のステップS108~S112の内容と同様であり、その説明は省略する。
【0123】
本実施形成状態の洗濯機において、制御手段である制御部80は、除菌すすぎ工程において、給水温度センサ85で検出された給水温度が低いほどオゾン電極63に通電される電流値が小さくなるように、オゾン電極63を制御する。
【0124】
これにより、本実施形成状態の洗濯機では、給水温度に応じて、オゾン電極63に通電される電流値を制御することにより、従来と比べて、オゾン電極63の通電負荷を低減することが可能である。したがって、オゾン電極の耐久性が向上し、交換回数を減らし、メンテナンス費用を削減することができる。
【0125】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態の洗濯機について、
図14及び
図15に基づいて説明する。
【0126】
本実施形態の洗濯機が第1実施形態の洗濯機1と主に異なる点は、第1実施形態では、除菌すすぎ工程においてオゾンを発生する際の適正値として、適正値決定部80aが、給水温度に基づいてオゾン電極63の通電時間を決定するのに対して、本実施形態では、適正値決定部が、給水温度に基づいて通電されるオゾン電極63の数を決定する点である。本実施形態の洗濯機の構成において、第1実施形態の洗濯機1と同様の構成については説明を省略する。
【0127】
適正値決定部は、除菌すすぎ工程においてオゾンを発生する際の適正値として、給水温度に基づいて、3本のオゾン電極63のなかで通電されるオゾン電極63の数を決定する。具体的には、適正値決定部は、
図14に示すように、給水温度T
pがT
p1℃より低い場合に、通電されるオゾン電極63を1本に決定し、給水温度T
pがT
p1℃以上且つT
p2℃より低い場合に、通電されるオゾン電極63を2本に決定し、給水温度T
pがT
p2℃以上の場合に、通電されるオゾン電極63を3本に決定する。
図14において、T
p1<T
p2である。
【0128】
すなわち、給水温度が低い場合、オゾンが水に溶け込みやすいことから、適正値決定部は、通電されるオゾン電極63の数を比較的少ない数に決定する。これに対し、給水温度が高い場合、オゾンが水に溶け難いことから、適正値決定部は、通電されるオゾン電極63の数を比較的多い数に決定する。したがって、給水温度が低い場合に、オゾンを発生するために通電されるオゾン電極63の通電時間を短縮することが可能である。
【0129】
除菌すすぎ工程におけるオゾンすすぎ制御について、
図15に基づいて説明する。
【0130】
<ステップS501>
ステップS501において、除菌すすぎ工程が開始されると、制御部80は、オゾン給水バルブ52aを開にすると共に、オゾン電極63の通電を開始して、オゾン給水路52を介して、ドラム22にオゾン水の給水を開始する。
【0131】
<ステップS502>
ステップS502において、制御部80は、給水温度センサ85により給水温度を検出する。したがって、制御部80は、オゾン給水路52に配置されたオゾン電極63に供給される水の温度である給水温度Tpを検知する。
【0132】
<ステップS503>
ステップS503において、制御部80は、給水温度がTp1℃より低いか否かを判定する。
【0133】
<ステップS504>
ステップS503で、制御部80が、給水温度がTp1℃より低いと判定した場合、ステップS504において、制御部80は、通電されるオゾン電極63の数を1本に決定して、ステップS508に進む。
【0134】
<ステップS505>
ステップS503で、制御部80が、給水温度がTp1℃以上と判定した場合、ステップS505に進んで、制御部80は、給水温度がTp2℃より低いか否かを判定する。
【0135】
<ステップS506>
ステップS505で、制御部80が、給水温度がTp2℃より低いと判定した場合、ステップS506において、制御部80は、通電されるオゾン電極63の数を2本に決定して、ステップS508に進む。
【0136】
<ステップS507>
ステップS505で、制御部80が、給水温度がTp2℃以上と判定した場合、ステップS507において、制御部80は、通電されるオゾン電極63の本を3本に決定して、ステップS508に進む。
【0137】
<ステップS508~S512>
ステップS508~S512の内容は、第1実施形態の
図7のステップS108~S112の内容と同様であり、その説明は省略する。
【0138】
本実施形成状態の洗濯機において、オゾン電極63を複数備えており、制御手段である制御部80は、除菌すすぎ工程において、給水温度センサ85で検出された給水温度が低いほど複数のオゾン電極63のなかで通電されるオゾン電極63の数が少なくなるように、複数のオゾン電極63を制御する。
【0139】
これにより、本実施形成状態の洗濯機では、給水温度に応じて、3本のオゾン電極63のなかでが通電されるオゾン電極63の数を制御することにより、従来と比べて、オゾン電極63の通電時間を短縮することが可能である。
【0140】
なお、3本のオゾン電極63のなかで通電されるオゾン電極63の数が1本または2本に決定された場合、3本のオゾン電極63のそれぞれについて、通電時間が均等になるように、1本または2本のオゾン電極63が決定されることが好適である。
【0141】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0142】
上記実施形態では、ドラム22が、水平方向に対して傾斜方向に延びる回転軸周りに回転するが、ドラム22は、水平方向に延びる回転軸周りに回転してよい。また、本発明は、鉛直方向に延びる回転軸周りに回転するドラムを備えた洗濯機に適用可能である。
【0143】
上記実施形態では、オゾン発生装置61が、3本のオゾン電極63a、63b、63cを有しているが、オゾン電極の数は、それに限られない。上記実施形態では、オゾン給水の水温が、給水温度センサ85により検出された通常の給水時の水温を使用して間接的に検出されるが、給水温度センサ85をオゾン給水路52に配置して、オゾン給水の水温を検出してよい。
【0144】
上記実施形態では、給水温度に基づいて、除菌すすぎ工程においてオゾンを発生する際の適正値を3段階で切り替えているが、給水温度に基づいて適正値を切り替える段階の数は、それに限られない。
【0145】
上記実施形態では、乾燥機能を有しない洗濯機1について説明したが、本発明は、乾燥機能を有する洗濯機に適用可能である
【0146】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 洗濯機
10 洗濯機本体
22 ドラム
51 給水路
52 オゾン給水路
52a オゾン給水バルブ
63 オゾン電極
80 制御部(制御手段)
85 給水温度センサ