(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】車線レベル危険予測のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230906BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230906BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20230906BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20230906BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20230906BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
G08G1/09 F
B60W40/04
B60W40/06
B60W30/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019075538
(22)【出願日】2019-04-11
【審査請求日】2022-04-11
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】サメール・ラジャブ
(72)【発明者】
【氏名】シュエ・バイ
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 国垣
(72)【発明者】
【氏名】カノク・ボリブーンソムシン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・バース
(72)【発明者】
【氏名】叶 菲
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174417(JP,A)
【文献】特開2018-028906(JP,A)
【文献】特開2017-228286(JP,A)
【文献】国際公開第2018/045558(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/09
B60W 40/04
B60W 40/06
B60W 30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがコンピュータ通信を装備した複数の車両から車両データを受信することであって、前記複数の車両の各車両は複数の車線を含む道路網に沿って走行しており、前記複数の車線の各車線は複数の車線レベルセル
に分割される、前記受信することと、
前記複数の車両からの前記車両データを前記複数の車線レベルセルに分割することによって、前記車両データを前記複数の車線レベルセルに統合することと、
前記複数の車線レベルセルに統合された前記車両データに基づいて前記複数の車線レベルセルの各車線レベルセルについて特徴を抽出することであって、前記特徴は、各車線レベルセルの平均速度および各車線レベルセル内の車両操作を含む、抽出することと、
前記複数の車線レベルセルの各車線レベルセルについて、前記車線レベルセル
の平均速度と、
前記車線レベルセルに隣接し、前記車線レベルセルから上流の、隣接する上流セルの平均速度に対する前記車線レベルセルの平均速度と、前記車線レベルセルに隣接し、前記車線レベルセルから下流の、隣接する下流セル
の平均速度に対する前記車線レベルセルの平均速度と、前記車線レベルセル内の前記車両操作とに基づいて、前記車線レベルセルに関する危険が存在する確率を計算すること、
ホスト車両の下流に前記危険が存在するという前記確率に基づいて前記ホスト車両を制御することと
を備える、車線危険予測のためのコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記複数の車線レベルセルは、前記複数の車線の各車線において30メートルの空間長さである、請求項
1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
各車線レベルセル内の前記車両操作は、直進操作、左車線チェンジアウト、右車線チェンジアウト、右車線チェンジイン及び左車線チェンジインのうちの少なくとも1つとして分類される、請求項
1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記道路網について識別された前記車両操作は、前記車両操作のエントロピーを基に計算される、請求項
1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記危険が存在する前記確率を前記車両データの機械学習モデルに基づいて計算する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記ホスト車両を制御することは、前記危険が前記ホスト車両の現在の走行車線の前記下流に予測される場合に、前記ホスト車両の車線変更を制御することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
それぞれ車両通信ネットワークを介したコンピュータ通信を装備した複数の車両であって、前記複数の車両の各車両は複数の車線を含む道路網に沿って走行しており、前記複数の車線の各車線は複数の車線レベルセル
に分割される、前記複数の車両と、
コンピュータ通信用に前記車両通信ネットワークに動作可能に接続されたプロセッサとを備え、前記プロセッサは、
前記複数の車両から送信された車両データを受信し、
前記複数の車両からの前記車両データを前記複数の車線レベルセルに分割することによって、前記車両データを前記複数の車線レベルセルに統合し、
前記複数の車線レベルセルに統合された前記車両データに基づいて前記複数の車線レベルセルの各車線レベルセルについて特徴を抽出し、前記特徴は、各車線レベルセルの平均速度および各車線レベルセル内の車両操作を含み、
前記複数の車線レベルセルの各車線レベルセルについて、前記車線レベルセル
の平均速度と、前記車線レベルセルに隣接し、前記車線レベルセルの上流の、隣接する上流セルの平均速度に対する前記車線レベルセルの平均速度と、前記車線レベルセルに隣接し、前記車線レベルセルの下流の、隣接する下流セル
の平均速度に対する前記車線レベルセルの平均速度と、前記車線レベルセル内の前記車両操作とに基づいて、前記車線レベルセルに関する危険が存在する確率を計算し、
ホスト車両の下流に前記危険が存在するという前記確率に基づいて前記ホスト車両を制御する、車線危険予測のためのシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記危険が存在する前記確率を前記車両データのロジスティック回帰に基づいて計算する、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記危険が前記ホスト車両の現在の走行車線の前記下流に予測される場合に、前記ホスト車両の車線変更を制御する、請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
プロセッサによる実行時に、前記プロセッサに、
それぞれがコンピュータ通信を装備した複数の車両から車両データを受信することであって、前記複数の車両の各車両は複数の車線を含む道路網に沿って走行しており、前記複数の車線の各車線は複数の車線レベルセル
に分割される、前記受信することと、
前記複数の車両からの前記車両データを前記複数の車線レベルセルに分割することによって、前記車両データを前記複数の車線レベルセルに統合することと、
前記複数の車線レベルセルに統合された前記車両データに基づいて前記複数の車線レベルセルの各車線レベルセルについて特徴を抽出することであって、前記特徴は、各車線レベルセルの平均速度および各車線レベルセル内の車両操作を含む、抽出することと、
前記複数の車線レベルセルの各車線レベルセルについて、前記車線レベルセル
の平均速度と、前記車線レベルセルに隣接し、前記車線レベルセルの上流の、隣接する上流セル
の平均速度に対する前記車線レベルセルの平均速度と、前記車線レベルセルに隣接する
、前記車線レベルセルの下流の、下流セル
の平均速度に対する前記車線レベルセルの平均速度と、前記車線レベルセル内の前記車両操作とに基づいて、前記車線レベルセルに関する危険が存在する確率を計算することと、
ホスト車両の下流に前記危険が存在するという前記確率に基づいて前記ホスト車両を制御することと
を行わせる命令を含む、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
各車線レベルセル内の前記車両操作は、直進操作、左車線チェンジアウト、右車線チェンジアウト、右車線チェンジ及び左車線チェンジインのうちの少なくとも1つとして分類される、請求項
10に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記危険が存在する前記確率を計算することは、前
記車両操作を含む前記車両データのロジスティック回帰に基づく、請求項
10に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記危険が前記ホスト車両の現在の走行車線の前記下流に予測される場合に、前記プロセッサに、前記ホスト車両の縦方向の移動を制御させることを含む、請求項
10に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
車線の閉鎖、車両の故障、道路上での衝突及び/または破片などの車線レベルの危険は、道路利用者に著しい遅延及びその他の問題を引き起こす可能性がある。車線レベルの危険から生じる問題は、一般的に、運転者がホスト車両の一定の周囲の範囲を越えて自分の車線から危険を把握することができないことから生じる。これは、特に、運転者の視界が大型車両などの大型の物体または車両のバックアップ操作によって妨げられている場合に当てはまる。湾曲などの道路の形状または特定の気象条件によっても、運転者の視界が低下する可能性がある。典型的な感覚システム(例えば、レーダ、ライダー、カメラ)は、検出範囲がホスト車両のすぐ周囲に限られている。そのため、通常、運転者には前方の障害物についての情報がなく、ホスト車両周辺の範囲を越えた道路レベルでも車線レベルでも情報がない。したがって、車線レベルで危険情報を正確に予測するための解決策が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一態様によれば、車線危険予測のためのコンピュータ実装方法は、それぞれがコンピュータ通信を装備した複数の車両から車両データを受信することを含む。複数の車両の各車両は複数の車線を含む道路網に沿って走行しており、複数の車線の各車線は複数の車線レベルセルを含み、各車線レベルセルは複数の車線内に車線の特定の部分を含む。方法は、車両データを複数の車線レベルセルに統合することを含む。方法は、複数の車線レベルセルの各車線レベルセルについて、車線レベルセルに関連する車両データ、隣接する上流セルに関連する車両データ及び隣接する下流セルに関連する車両データに基づいて、車線レベルセルに関する危険が存在する確率を計算することを含む。さらに、方法は、ホスト車両の下流に危険が存在するという確率に基づいてホスト車両を制御することを含む。
【0003】
別の態様によれば、車線危険予測のためのシステムは、それぞれが車両通信ネットワークを介したコンピュータ通信を装備した複数の車両を含む。複数の車両の各車両は複数の車線を含む道路網に沿って走行しており、複数の車線の各車線は複数の車線レベルセルを含み、各車線レベルセルは複数の車線内に車線の特定の部分を含む。システムは、コンピュータ通信用に車両通信ネットワークに動作可能に接続されたプロセッサを含み、プロセッサは複数の車両から送信された車両データを受信し、車両データを複数の車線レベルセルに統合し、複数の車線レベルセルの各車線レベルセルについて、車線レベルセルに関連する車両データ、隣接する上流セルに関連する車両データ及び隣接する下流セルに関連する車両データに基づいて、車線レベルセルに関する危険が存在する確率を計算することを含む。さらに、プロセッサは、ホスト車両の下流に危険が存在するという確率に基づいてホスト車両を制御する。
【0004】
さらなる態様によれば、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによる実行時に、プロセッサに、それぞれがコンピュータ通信を装備した複数の車両から車両データを受信させる命令を含む。複数の車両の各車両は複数の車線を含む道路網に沿って走行しており、複数の車線の各車線は複数の車線レベルセルを含み、各車線レベルセルは複数の車線内に車線の特定の部分を含む。さらに、命令は、プロセッサによる実行時に、プロセッサに、車両データを複数の車線レベルセルに統合させ、複数の車線レベルセルの各車線レベルセルについて、車線レベルセルに関連する車両データ、隣接する上流セルに関連する車両データ及び隣接する下流セルに関連する車両データに基づいて、車線レベルセルに関する危険が存在する確率を計算させる。さらに、命令は、プロセッサによる実行時に、さらにプロセッサにホスト車両の下流に危険が存在するという確率に基づいてホスト車両を制御させる。
【0005】
本開示の特徴であると考えられる新規の特徴は添付の特許請求の範囲に記載されている。以下の説明では、明細書及び図面を通じて同様の部分には同一の符号をそれぞれ付している。図面は必ずしも原寸大で描かれるわけではなく、明瞭性と簡潔性のために、特定の図面誇張または一般化された形で示されることがある。しかしながら、本開示自体、ならびに好ましい使用モード、さらなる目的及びその進歩は、添付の図面と併せて読むと、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最も良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態による、道路網上の例示的な交通シナリオの概略図である。
【
図2】例示的な実施形態による、車線レベルの危険予測を実施するための動作環境及びシステムのブロック図である。
【
図3】例示的な実施形態による、車線レベルの危険予測のための方法のプロセスフロー図である。
【
図4】例示的な実施形態による、車両の車線変更操作のタイムスペース図である。
【
図5】例示的な実施形態による、異なる普及率における相対的な衝突頻度の図である。
【
図6】例示的な実施形態による、異なる交通量における相対的な衝突頻度の図である。
【
図7】例示的な実施形態による、異なる普及率における平均的な速度増加の図である。
【
図8】例示的な実施形態による、異なる交通量における平均的な速度増加の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
下記は、本明細書で用いる選択された用語の定義を含む。これらの定義は、用語の範囲内に含まれ実施のために使用可能な構成要素の様々な例及び/または形式を含む。これらの例は限定することを意図するものではない。さらに、本明細書に論じるこれらの構成要素は、組み合わせるか、省略するか、他の構成要素に編成するか、または異なるアーキテクチャ内に編成することができる。
【0008】
本明細書で使用する「バス」は、コンピュータ内またはコンピュータ間に存在する他のコンピュータ構成要素に動作可能に接続した相互接続アーキテクチャを指す。バスは、コンピュータ構成要素間のデータを転送することができる。バスは、とりわけ、メモリバス、メモリプロセッサ、周辺バス、外部バス、クロスバースイッチ及び/またはローカルバスとすることができる。バスはさらに、とりわけ、メディアオリエンテッドシステムトランスポート(MOST)、プロセッサエリアネットワーク(CAN)、ローカル相互接続ネットワーク(LIN)などのプロトコルを使用して、車両内の構成要素を相互接続する車両バスとすることができる。
【0009】
本明細書で使用する「構成要素」は、コンピュータ関連エンティティ(例えば、ハードウェア、ファームウェア、実行中の命令、またはそれらの組み合わせ)を指す。コンピュータ構成要素は、例えば、プロセッサで動作中のプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行のスレッド及びコンピュータを含み得る。コンピュータ構成要素(複数可)は、プロセス及び/またはスレッド内に属することができる。コンピュータ構成要素は、1つのコンピュータにローカライズすることができる及び/または複数のコンピュータ間に分散することができる。
【0010】
本明細書で使用する「コンピュータ通信」は、2つ以上のコンピューティングデバイス間で行われる通信(例えば、コンピュータ、携帯情報端末、セルラ電話、ネットワークデバイス、車両、車両コンピューティングデバイス、インフラストラクチャデバイス、路側デバイス)を指し、例えば、ネットワーク転送、データ転送、ファイル転送、アプレット転送、Eメール、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)転送などとすることができる。コンピュータ通信は、とりわけ、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、無線ネットワーク(WAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、仮想私設ネットワーク(VPN)、セルラネットワーク、トークンリングネットワーク、ポイント・ツー・ポイントネットワーク、アドホックネットワーク、モバイルアドホックネットワーク、車両アドホックネットワーク(VANET)、車車間(V2V)ネットワーク、車車間/路車間(V2X)ネットワーク、路車間(V2I)ネットワークなど、任意の種類の構成を有する任意の種類の有線もしくは無線システム及び/またはネットワークに発生することができる。コンピュータ通信は、とりわけ、イーサネット(登録商標)(例えば、IEEE 802.3)、WiFi(例えば、IEEE 802.11)、CALM(communications access for land mobiles)、WiMax、Bluetooth(登録商標)、Zigbee、超広帯域(UWAB)、マルチ入力マルチ出力(MIMO)、電気通信及び/またはセルラネットワーク通信(例えば、SMS、MMS、3G、4G、LTE、5G、GSM(登録商標)、CDMA、WAVE)、衛星、専用狭域通信(DSRC)を含むがこれらに限定されない、任意の種類の有線、無線またはネットワーク通信プロトコルを利用することができる。
【0011】
本明細書で使用する「コンピュータ可読媒体」は、命令及び/またはデータを格納する非一時的媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、不揮発性媒体及び揮発性媒体を含む形式とすることができるが、これらに限定されない。不揮発性媒体は、例えば、光学ディスク、磁気ディスクなどを含むことができる。揮発性媒体は、例えば、半導体メモリ、ダイナミックメモリなどを含むことができる。コンピュータ可読媒体の共通の形式は、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、ASIC、CD、他の光学媒体、RAM、ROM、メモリチップまたはメモリカード、メモリスティック及びそこからコンピュータ、プロセッサもしくは他の電子デバイスが読み取り可能な他の媒体を含むことができるが、これらに限定されない。
【0012】
本明細書で使用する「データベース」は、テーブルを指すために使用される。他の例において、「データベース」は、テーブルのセットを指すために使用することができる。さらに他の例において、「データベース」は、データストアのセット及びこれらのデータストアへのアクセス及び/または操作のための方法を指すことができる。データベースは、例えば、ディスク及び/またはメモリに格納することができる。
【0013】
本明細書で使用する「ディスク」は、例えば、磁気ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Zipドライブ、フラッシュメモリカード及び/またはメモリスティックとすることができる。さらに、ディスクは、CD-ROM(コンパクトディスクROM)、CD書き込み可能ドライブ(CD-Rドライブ)、CD書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)及び/またはデジタルビデオROMドライブ(DVD ROM)とすることができる。ディスクは、コンピューティングデバイスのリソースを制御または割り当てるオペレーティングシステムを格納することができる。
【0014】
本明細書で使用する「入力/出力デバイス」(I/Oデバイス)は、入力を受信するためのデバイス及び/またはデータを出力するためのデバイスを含むことができる。入力及び/または出力は、様々な車両構成要素、システム及びサブシステムを含む異なる車両の特徴を制御するためのものとすることができる。特に、用語「入力デバイス」は、キーボード、マイクロフォン、ポインティング及び選択デバイス、カメラ、撮像デバイス、ビデオカード、ディスプレイ、プッシュボタン、回転つまみなどを含むが、それらに限定されない。用語「入力デバイス」はさらに、ソフトウェアベースの制御及びハードウェアベースの制御、インターフェース、タッチスクリーン、タッチパッドまたはプラグ及び娯楽用デバイスなどの様々な種類のメカニズムによって表示可能なユーザインターフェース内で行うグラフィカルな入力制御を含む。「出力デバイス」は、表示デバイス及び情報と機能を出力するための他のデバイスを含むが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用する「論理回路」は、命令及びマシンで実行中の命令を格納し、及び/または別の論理回路、モジュール、方法及び/またはシステムからのアクション(複数可)を行う(例えば、実行する)ハードウェア、ファームウェア、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むが、これらに限定されない。論理回路は、アルゴリズム、ディスクリート論理(例えば、ASIC)、アナログ回路、デジタル回路、プログラムされた論理デバイス、命令を含むメモリデバイスなどが制御を行うプロセッサを含む及び/またはその一部である。論理は、1つまたは複数のゲート、複数のゲートの組み合わせ、または他の回路構成要素を含むことができる。複数の論理を記述する場合、複数の論理を1つの物理的な論理に組み込むことができる。同様に、単一の論理を記述する場合、この単一の論理を複数の物理的な論理の間に分散することができ得る。
【0016】
本明細書で使用する「メモリ」は、揮発性メモリ及び/または不揮発性メモリを含むことができる。不揮発性メモリは、例えば、ROM(読み取り専用メモリ)、PROM(プログラム可能な読み取り専用メモリ)、EPROM(消去可能なPROM)及びEEPROM(電気的に消去可能なPROM)を含むことができる。揮発性メモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDRSDRAM)及びダイレクトRAMバスRAM(DRRAM)を含むことができる。メモリは、コンピューティングデバイスのリソースを制御または割り当てるオペレーティングシステムを格納することができる。
【0017】
「動作可能な接続」は、すなわち、これによってエンティティを「動作可能に接続する」接続は、信号、物理的な通信及び/または論理的な通信を、送信及び/または受信可能な接続である。動作可能な接続は、無線インターフェース、物理的なインターフェース、データインターフェース及び/または電力的なインターフェースを含むことができる。
【0018】
本明細書で使用する「モジュール」は、命令、マシンで実行中の命令、ハードウェア、ファームウェア、マシンで実行中のソフトウェア及び/または機能(複数可)もしくはアクション(複数可)を実行する、及び/または別のモジュール、方法及び/またはシステムから、機能もしくはアクションを引き出すためのそれぞれの組み合わせを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体を含むが、これらに限定されない。モジュールはさらに、論理、ソフトウェアが制御するマイクロプロセッサ、ディスクリート論理回路、アナログ回路、デジタル回路、プログラムされた論理デバイス、命令、論理ゲート、ゲートの組み合わせ及び/または他の回路構成要素を実行することを含むメモリデバイスを含むことができる。複数のモジュールは1つのモジュールにまとめることができ、単一のモジュールは、複数のモジュールの間で分散することができる。
【0019】
本明細書で使用する「携帯可能デバイス」は、一般的に、ユーザ入力(例えば、タッチ、キーボード)を用いる表示スクリーン及び計算するためのプロセッサを有するコンピューティングデバイスである。携帯可能デバイスは、ハンドヘルドデバイス、モバイルデバイス、スマートフォン、ラップトップ、タブレット及び電子リーダを含むが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用する「プロセッサ」は、信号を処理し、汎用コンピューティング及び計算機能を実行する。プロセッサによって処理する信号は、デジタル信号、データ信号、コンピュータ命令、プロセッサ命令、メッセージ、ビット、ビットストリームを含むことができ、これらは、受信、送信及び/または検出することができる。一般的に、プロセッサは、複数のシングルプロセッサ及びマルチコアプロセッサ及びコプロセッサ及び他の複数のシングルプロセッサアーキテクチャ及びマルチコアプロセッサアーキテクチャ及びコプロセッサアーキテクチャを含む様々なプロセッサとすることができる。プロセッサは、アクション及び/またはアルゴリズムを実行するための論理回路を含むことができる。
【0021】
本明細書で使用する「車両」は、1人または複数の乗員を搬送することが可能な任意の移動式車両を指し、任意のエネルギー形態によって動作する。用語「車両」は、車、トラック、バン、ミニバン、SUV、モータサイクル、スクータ、ボート、ゴーカート、娯楽用車両、鉄道輸送、パーソナルウォータークラフト及び飛行機を含むが、これらに限定されない。いくつかの場合において、自動車は1つまたは複数のエンジンを含む。さらに、用語「車両」は、1人または複数の乗員を搬送することが可能な電気自動車(EV)を指すことができ、電力バッテリによって動作する1つまたは複数の電力モータによって、全体的または部分的に動作する。EVは、バッテリ式電気自動車(BEV)及びプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)を含むことができる。用語「車両」はさらに、任意のエネルギー形態によって動作する自律走行車両及び/または自動運転車両を指すことができる。自律走行車両は、1人または複数の乗員を搬送することができる。さらに、用語「車両」は、所定の経路または自由移動を行う車両を用いる自動化または非自動化された車両を含むことができる。
【0022】
本明細書で使用する「車両ディスプレイ」は、とりわけ、車両に関する情報を表示する車両内に多く見られるLEDディスプレイパネル、LCDディスプレイパネル、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、タッチスクリーンディスプレイを含むが、これらに限定されない。ディスプレイは、ユーザからの入力(例えば、タッチ入力、キーボード入力、他の様々な入力デバイスからの入力など)を受信することができる。ディスプレイは、例えば、ダッシュボードまたはセンターコンソールなど、車両の様々な位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、とりわけ(例えば、所有しているかまたは乗員に関連している)携帯デバイス、ナビゲーションシステム、インフォテインメントシステムの一部である。
【0023】
本明細書で使用する「車両制御システム」及び/または「車両システム」は、車両、運転及び/または安全性を向上させるために使用することができる任意の自動または手動のシステムを含むことができるが、これらに限定されない。例示的な車両システムは、とりわけ、横滑り防止システム、アンチロックブレーキシステム、ブレーキアシストシステム、自動ブレーキプレフィルシステム、低速追従システム、クルーズコントロールシステム、衝突警告システム、衝突緩和ブレーキシステム、オートクルーズコントロールシステム、車線逸脱警報システム、死角表示システム、車線維持支援システム、ナビゲーションシステム、トランスミッションシステム、ブレーキペダルシステム、電動ステアリングシステム、視覚デバイス(例えば、カメラシステム、近接センサシステム)、環境制御システム、電子プリテンションシステム、監視システム、乗客検出システム、車両サスペンションシステム、車両シート構成システム、車室内照明システム、オーディオシステム、感覚システム、内部または外部カメラシステムを含むが、これらに限定されない。
【0024】
I.システム概要
本明細書に論じるシステム及び方法は、一般的に、車両通信(例えば、V2X)を使用する遠隔車両(RV)からのリアルタイム情報を使用して、ホスト車両(HV)及び/またはもう1つの他のRVの車線レベル危険予測及び車両制御を提供することに関する。ここで図面を参照すると、図面は1つまたは複数の例示的な実施形態を例示することを目的としており、それを限定することを目的としておらず、
図1は、一実施形態による、車線危険予測を表すために使用される道路網100上の例示的な交通シナリオの概略図である。道路網100は、任意の種類の道路、ハイウェイ、フリーウェイまたは道路区間とすることができる。
図1では、道路網100は、同一の進行方向を有する4つの車線、すなわち、車線j
1、車線j
2、車線j
3及び車線j
4を含むが、道路網100は、
図1に示さない様々な構成を有することができ、任意の数の車線を有することができることを理解されたい。
【0025】
図1では、複数の車両(例えば、RV)、すなわち、ホスト車両(HV)102、遠隔車両104a、遠隔車両104b、遠隔車両104c、遠隔車両104d及び遠隔車両104e、遠隔車両104f、遠隔車両104gが道路網100に沿って走行しているが、道路網100上には任意の数の車両が存在できることを理解されたい。例示の目的上、本明細書に定義されている通り、
図1に示す各車両はコンピュータ通信を装備している。しかしながら、車両のうちの1つまたは複数は、コンピュータ通信を装備していなくてもよく、及び/または本明細書に論じる車線危険予測方法及びシステムを装備していなくてもよいことを理解されたい。しかしながら、方法及びシステムは、部分的な普及率により接続車両からの情報に基づいて車線危険予測を実行することができる。
【0026】
本明細書に論じる通り、コンピュータ通信を装備した遠隔車両からの情報をクラウドソーシングすることによって、特徴を抽出し、下流の将来の危険、例えば、HV102の下流の危険106を車線レベルで検出することができる。危険または危険な状態という用語は、一般的に、車両に潜在的な脅威をもたらす1つまたは複数の物体及び/または運転シナリオを指す。例えば、
図1では、危険106は、車両(例えば、HV102)から下流に著しい遅延をもたらす、及び/または潜在的な脅威を引き起こす可能性のある道路網100上の車線閉鎖、障害車両、衝突及び/または破片を示すことができる。HV102の下流で危険106を検出すると、危険情報、車線推奨及び/または半自律的及び完全自律的応答をHV102に提供することができる。
【0027】
図2を参照すると、例示的な実施形態による、動作環境200の概略図が示されている。動作環境200の1つまたは複数の構成要素は、全体としてまたは部分的に車両通信ネットワークと見なすことができる。
図2では、RV104aの簡略ブロック図、遠隔サーバ202のブロック図及びネットワーク204と共にHV102のブロック図が示されている。RV104a、RV104b、RV104cは、RV104d、RV104e、RV104f、RV104g及び/または遠隔サーバ202は、HV102に関して本明細書に論じる構成要素及び/または機能の1つまたは複数を含むことができることを理解されたい。ゆえに、
図2には示されていないが、HV102の1つまたは複数の構成要素は、RV104a、RV104b、RV104c、RV104d、RV104e、RV104f、RV104g及び/または遠隔サーバ202、他のエンティティ、トラフィックインジケータ及び/またはHV102及び/または動作環境200とのコンピュータ通信のために動作可能なデバイス(例えば、V2Iデバイス、V2Xデバイス)により実装することもできることを理解されたい。さらに、HV102及び動作環境200、ならびに本明細書に論じる他のシステム、ハードウェアアーキテクチャ及びソフトウェアアーキテクチャの構成要素は、様々な実施形態のために組み合わされ、省略され、または異なるアーキテクチャに編成することができることを理解されたい。
【0028】
図2では、HV102は、車両コンピューティングデバイス(VCD)206、車両システム208及びセンサ210を含む。一般的に、VCD206は、プロセッサ212、メモリ214、データストア216、位置決定ユニット218及び通信インターフェース(I/F)220を含み、それぞれがバス222及び/または本明細書に定義される他の有線及び無線技術を介してコンピュータ通信用に動作可能に接続されている。HV102を再び参照すると、VCD206は、HV102の様々な構成要素、ならびにRV104a及び遠隔サーバ202を含む動作環境200の他の構成要素を処理し、通信し、それらと対話するための設備を含むことができる。一実施形態では、VCD206は、とりわけ、例えば、テレマティクスユニット、ヘッドユニット、インフォテインメントユニット、電子制御ユニット、車載ユニットの一部として、または特定の車両制御システムの一部として、HV102に実装することができる。他の実施形態では、VCD206は、例えば、ネットワーク204を介して接続された携帯デバイス(図示せず)、遠隔デバイス(図示せず)、または遠隔サーバ202を用いて、HV102から遠隔で実装することができる。
【0029】
プロセッサ212は、HV102及び/またはRV104aの車線危険予測及び制御を容易にするためのハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアアーキテクチャフレームワークを備える論理回路を含むことができる。ゆえに、いくつかの実施形態では、プロセッサ212は、本明細書に論じるハードウェア及び機能を実行及び制御するために、とりわけ、アプリケーションフレームワーク、カーネル、ライブラリ、ドライバ、アプリケーションプログラムインターフェースを格納することができる。例えば、
図2では、プロセッサ212は、クラウドソース感知モジュール224、特徴抽出モジュール226、車線危険パターン認識モジュール228及び車線推奨モジュール230を含むことができるが、プロセッサ212は他のアーキテクチャに構成することもできることを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態では、メモリ214及び/またはデータストア(例えば、ディスク)216は、プロセッサ212による実行のためにプロセッサ212と同様の構成要素を格納することができる。
【0030】
位置決定ユニット218は、HV102に関する位置データを決定及び/または取得するためのハードウェア(例えば、センサ)及びソフトウェアを含むことができる。例えば、位置決定ユニット218は、全地球測位システム(GPS)ユニット(図示せず)及び/または慣性計測ユニット(IMU)(図示せず)を含むことができる。ゆえに、位置決定ユニット218は、例えば、全地球位置情報源232から、またはGPS、Glonass(ロシア)及び/またはGalileo(ヨーロッパ)を含む任意の全地球航法衛星インフラストラクチャ(GNSS)からの衛星データに基づいて、HV102の地理的な位置を提供することができる。さらに、位置決定ユニット218は、他のセンサ(図示せず)の中でも、例えば、ジャイロスコープ、加速度計、磁力計からデッドレコニングデータまたは移動データを提供することができる。いくつかの実施形態では、位置決定ユニット218は、ナビゲーションマップ及びナビゲーション情報をHV102に提供するナビゲーションシステムとすることができる。
【0031】
通信インターフェース220は、VCD206の構成要素と動作環境200の他の構成要素との間のデータ入出力を容易にするためのソフトウェア及びハードウェアを含むことができる。具体的には、通信インターフェース220は、ネットワークインターフェースコントローラ(図示せず)ならびに、例えば、通信ネットワーク204を使用して、接続を管理及び/または監視し、通信インターフェース220と動作環境200の他の構成要素との間の双方向データ転送を制御する他のハードウェア及びソフトウェアを含むことができる。
【0032】
より具体的には、一実施形態では、VCD206は、トランシーバ234または他の通信ハードウェア及びプロトコルを介して他の互換性のある車両及び/またはデバイスとのデータの交換及び/またはメッセージの送信を行うことができる。例えば、トランシーバ234は、トランシーバ250を介してRV104aとデータを交換することができる。いくつかの実施形態では、HV102及びRV104aは、無線ネットワークアンテナ238、路側機(RSE)240及び/または通信ネットワーク204(例えば、無線通信ネットワーク)または他の無線ネットワーク接続を利用してデータ(例えば、本明細書に記載の車両データ)を交換することができる。
【0033】
上述の通り、いくつかの実施形態では、データ送信は他のインフラストラクチャ及びサーバで及び/または他のインフラストラクチャ及びサーバにより実行することができる。例えば、
図2では、VCD206は、通信ネットワーク204を介して遠隔サーバ202と直接的または間接的に情報を送受信することができる。遠隔サーバ202は、遠隔プロセッサ242、メモリ244、データ246及び通信インターフェース248を含むことができ、これらは互いに通信するように構成される。ゆえに、
図2では、トランシーバ234は、通信ネットワーク204を介して遠隔サーバ202及び他のサーバ、プロセッサならびに情報プロバイダとの間で情報を送受信するためにVCD206によって使用することができる。代替的な実施形態では、無線周波数(RF)トランシーバ236は、遠隔サーバ202との間で情報を送受信するために使用することができる。いくつかの実施形態では、VCD206は、車両データ、交通データ、道路データ、カーブデータ、車両位置及び方位データ、交通量の多いイベントスケジュール、天候データまたはその他の交通関連データを含むが、これらに限定されない情報を遠隔サーバ202との間で送受信することができる。いくつかの実施形態では、遠隔サーバ202は、無線ネットワークアンテナ238、路側機器240及び/または他のネットワーク接続などを介したネットワーク接続を介して、複数の車両(例えば、RV104a)、他のエンティティ、交通インフラストラクチャ及び/またはデバイスにリンクすることができる。
【0034】
HV102を再び参照すると、車両システム208は、HV102及び/またはHV102の駆動を強化するために、本明細書に記載の任意の種類の車両制御システム及び/または車両を含むことができる。例えば、車両システム208は自律運転システム、運転者支援システム、アダプティブクルーズコントロールシステム、車線逸脱警報システム、合流支援システム、フリーウェイ合流、退出及び車線変更システム、衝突警報システム、車両ベース統合化安全システム及び無人搬送車システムまたはその他の先進運転支援システム(ADAS)を含むことができる。記載の通り、本明細書に論じるシステム及び方法に従って、車両システム208の1つまたは複数を制御することができる。
【0035】
車両システム208に実装することができるセンサ210は、HV102、車両システム208及び/またはHV102の周囲の環境のパラメータを検出及び/または感知するために、HV102及び/または車両システム208と共に使用する様々な種類のセンサを含むことができる。例えば、センサ210は、HV102の近傍の車両及び/または危険に関するデータを提供することができる。例えば、センサ210は、例えば、とりわけ、加速度センサ、速度センサ、ブレーキセンサ、近接センサ、視覚センサ、測距センサ、シートセンサ、シートベルトセンサ、ドアセンサ、環境センサ、ヨー・レートセンサ、ステアリングセンサ、GPSセンサを含むことができるが、これらに限定されない。センサ210は、とりわけ、例えば、音響、電気、環境、光学、イメージング、光、圧力、力、熱、温度、近接性など、任意の種類のセンサとすることができることをさらに理解されたい。
【0036】
上述したシステム及びネットワーク構成を使用して、車線レベル危険予測及び車両制御は、車両通信を使用して車両からのリアルタイム情報に基づいて提供することができる。上述したシステム及びネットワーク構成を使用する例示的な方法を説明する詳細な実施形態については、次に詳細に論じる。
【0037】
II.車線危険予測のための方法
次に
図3を参照して、例示的な実施形態による、車線危険予測のための方法300を説明する。
図3はさらに
図1及び
図2を参照して説明する。
図3に示す通り、車線危険予測のための方法は、3つの段階、すなわち、データクラウドソーシング、車線危険検出及び運転者応答戦略によって説明することができる。簡潔にするために、方法300はこれらの段階によって説明されるが、方法300の要素は異なるアーキテクチャ、ブロック、段階及び/またはプロセスに編成可能なことを理解されたい。
【0038】
A.データクラウドソーシング
ブロック302では、方法300は、道路網をセルに分割することを含む。例えば、クラウドソース感知モジュール224は、道路網100を複数の車線レベルセルに分割することができる。
図1を参照すると、上述の通り、道路網100は、複数の車線、すなわち、車線j
1、車線j
2、車線j
3及び車線j
4を含むことができる。各車線は、各車線レベルセルが車線の特定の部分を含む複数の車線レベルセルに分割することができる。ゆえに、車線レベルセルは、車線内の縦方向の位置に対して道路網100の空間領域を定義することができる。いくつかの実施形態では、道路網100は、例えば、各車線ごとに30メートルの空間長さとなる、等しいサイズのセルに分割される。
【0039】
図1では、車線j
3に3つのセル、具体的にはセルi-1、セルi、セルi+1が示されている。セルiはエゴセルと呼ばれ、セルi-1はエゴセルから上流方向に隣接するセルであり、セルi+1はエゴセルから下流方向に隣接するセルである。
図1には3つのセルしか示されていないが、各車線は複数のセル(例えば、4つ以上のセル)に分割することができ、車線全体及び/または道路網100はこのようにして分割可能であることを理解されたい。
【0040】
ブロック304では、方法300は車両データを受信することを含む。例えば、クラウドソース感知モジュール224は、道路網100に沿って走行する1つまたは複数のRV(例えば、HV102、RV104a、RV104b、RV104c、RV104d、RV104e、RV104f、RV104g)に関する車両データを、
図2で上述した車両通信を使用して受信することができる。車両データは、とりわけ、速さ、加速度、速度、ヨー・レート、ステアリング角及びスロットル角、範囲または距離データを含むことができる。車両データはさらに、コース方位データ、コース履歴データ、投影コースデータ、運動学的データ、現在の車両位置データならびにRV及びRVの周囲の環境に関する任意の他の車両情報を含むことができる。
【0041】
クラウドソース感知モジュール224は、空間的及び時間的ドメインで車両データを収集し、車両データを車両レベルセル(例えば、縦方向)及びタイムスライス(例えば、複数のタイムステップ)に分割する(例えば、統合する)。したがって、ブロック306では、方法300は、ブロック302で分割された複数の車線レベルセルへの車両データのデータ統合を含む。いくつかの実施形態では、データ統合及び時間分解能は、所定の時間間隔、例えば、20秒で実行される。
【0042】
B.車線危険検出
クラウドソースされた車両データに基づいて、ブロック308では、方法300は、各車線レベルセルについて特徴(例えば、入力特徴)を抽出することを含む。一実施形態では、特徴抽出モジュール226は、潜在的な下流の危険を検出するために代表的であると考えられる重要な要因を抽出し識別することができる。例えば、本明細書でさらに詳細に論じる特徴は、セルの平均速度を含むことができる。特徴はさらに、セルの車両操作も含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、特徴抽出モジュール226は、車両データに基づいて各車線レベルセル内の車両操作を識別することができる。車両操作は、入退場を含む直進操作(M1)、左車線チェンジアウト(M2)、右車線チェンジアウト(M3)、右車線チェンジイン(M4)、左車線チェンジイン(M5)により5つのクラスに分類することができる。
【0043】
これらの特徴を使用して、ブロック310では、システムは車線危険パターンを識別し、車線危険パターン認識モジュール228によって車線危険を検出することができる。例えば、
図4のダイヤグラム400を参照すると、車両データに基づいて、危険位置(例えば、危険106)に接近する車両に対する集団挙動を識別することができるパターンが分かる。ダイヤグラム400は、下流の危険が存在するときの車両の車線変更操作を視覚化する。
図4では、検出された危険は発生源から1225メートルにある最初の車線で発生し、これは危険の上流と下流との間の車線変更操作の明確な区分によって分かる。
【0044】
したがって、ブロック310では、方法300は車線危険を検出することを含む。例えば、複数の車線レベルセルの各車線レベルセルについて、車線危険パターン認識モジュール228は、車線レベルセルに関連する車両データ、隣接する上流セルに関連する車両データ及び隣接する下流セルに関連する車両データに基づいて、車線レベルセルに関する危険が存在する確率を計算する。車線危険パターン認識モジュール228は、各車線レベルセルに対して局所的に実行され、バイナリの危険フラグ(1:危険が存在する、0:危険が存在しない)を出力する。数学的には、道路網100内の各セル(i,j)(例えば、iは縦方向の位置を表し、jは車線番号を表す)について、上流セグメント及び下流セグメントにあるエゴセル及び隣接セルからの測定値は、方程式(1)及び方程式(2)に示されるロジスティック回帰を使用して考慮される。
【0045】
【0046】
論理関数は、範囲[0,1]内のモデルの地滑り影響度指数の値を制約する。本明細書に論じる実施形態では、指数閾値は0.75に設定された。本明細書に論じる方法及びシステム全体にロジスティック回帰モデルが使用されているが、任意の種類の機械学習モデルを実装できることを理解されたい。
【0047】
一実施形態では、(例えば、ブロック308で抽出された)8つの入力特徴は、方程式(1)及び(2)に示されるアルゴリズム、すなわち、セル(i,j)の平均速度、セル(i,j)の平均速度に対するセル(i,j)の平均速度、セル(i-1)の平均速度に対するセル(i,j)の平均速度、セル(i+1)の平均速度に対するセル(i,j)の平均速度、全操作数に対する#(M1)、全操作数に対する(#(M2)+#(M3))及び全操作数に対する(#(M4)+#(M5))に適用される。
【0048】
方程式(1)及び(2)は、展開形式で書き直すことができる。ゆえに、上述したロジスティック回帰は、数学的に次のように表すこともできる。
【0049】
【0050】
したがって、危険が各セル(i,j)で発生した確率は、次の式によっても得ることができる。
【0051】
【0052】
係数を含むパラメータ較正結果を表1に示す。
【0053】
【0054】
方程式(3)及び(4)の実施形態によれば、8つの入力特徴は次のようにまとめることができる。
【0055】
【0056】
車両操作に関しては、車両操作のエントロピーを、操作の多様性を捕捉するための特徴入力のうちの1つとして使用することができる。エントロピーは、全ての車両操作が同じ分類クラスからのものであるときにその最小値ゼロに達し、全ての車両操作が均一に分布しているときにその最大値に達する。より具体的には、車両操作のエントロピーは、方程式(5)において数学的に示される。
【0057】
【0058】
C.運転者の応答戦略
上に示すモデルの出力に基づいて、車両制御を使用して様々な運転者の応答戦略を実行することができる。したがって、ブロック312では、方法300は、車線危険に基づいて1つまたは複数の車両を制御することを含む。例えば、車線推奨モジュール230は、HV102の走行車線の下流で検出された危険106に基づいて、1つまたは複数の車両システム208を制御することができる。例えば、危険情報及び/または車線選択提案をHV102のヒューマンマシンインターフェースに提供することができる。
【0059】
さらに、半自律的及び完全自律的応答をHV102に提供することができる。例えば、HV102の横方向移動の制御(例えば、隣接車線j2または隣接車線j4への車線変更)は、HV102の現在の車線(例えば、車線j3)の下流に危険が判定される場合(例えば、危険フラグ=1)に実行することができる。この制御は、例えば、HV102の通信範囲内(例えば、2000メートル)に危険が検出されたときに、危険106の所定の距離に基づいて実行されてもよい。さらに、他の車線上の上流車線危険予測を装備した車両は、危険106を通過するまでに、危険106が存在する車線に車線変更を行わないように誘導及び/または制御されることもできる。他の種類の制御も実施可能であることを理解されたい。例えば、1つまたは複数のRVの速度を協調的に制御して、上流の交通量の迂回挙動をさらに円滑に行い、危険106の影響を最小限に抑えることができる。
【0060】
図1、
図2及び
図3はHV102に関して説明されているが、システム及び方法は、遠隔車両の1つまたは複数に関しても機能することができる。例えば、一実施形態では、RV104aはホスト車両として機能することができる。このような実施形態では、HV102は遠隔車両として機能することができ、RV104aは説明した方法により潜在的な車線危険についての早期警告を受信する。
【0061】
例えば、
図3の方法に関して、ブロック302では、道路網100は、RV104aのクラウドソース感知モジュール224によってセルに分割される。ブロック304では、RV104aは、HV102を含む遠隔車両の1つまたは複数に関する車両データをクラウドソース感知モジュール224において受信する。ブロック306では、車両データは複数の車線レベルセルに統合される。したがって、RV104aは、道路網100上の任意の他の車両と同様の方法でデータを受信して統合する。
【0062】
ブロック308では、RV104aの特徴抽出モジュール226は、RV104aの下流にある潜在的な危険を表す要因を識別する。上述の通り、要因はセルi-1などのセルの平均速度を含んでよく、やはり本実施形態では遠隔車両であるHV102を含む。特徴は、セルi-1内のHV102の操作も含むこともできる。ブロック310では、車線危険パターン認識モジュール228は車線危険を検出するために車線危険パターンを識別する。その後、ブロック312では、RV104aは検出された車線危険に基づいて制御することができる。例えば、RV104aは車線を隣接車線に変更してよい。したがって、上流の車両は、潜在的な車線の危険を下流で予測し、それらを回避しながら交通の流れを妨げないように操作することができる。
【0063】
IV.シミュレーション及び結果
本明細書に論じるシステム及び方法は、一般的な車線レベルの操作及び危険予測をテストするために、仮想道路網を使用して検証された。使用される仮想道路網は、4車線を備える長さ2マイルのフリーウェイ区間であった。仮想道路網では、異なるV2Xネットワーク普及率及び異なるレベルの渋滞レベルでシミュレーションテストが行われた。使用される詳細なパラメータには、V2XネットワークベースのCV普及率(PR)及び交通量が含まれる。V2XネットワークベースのCV PRに関して、セルラネットワーク市場の普及率は、長い通信範囲及び信頼性により非常に有望であることが分かる。完全な普及率(すなわち、100%)により、車線危険予測が正確な測定を達成することができ、これにより、予測精度が高くなり反応時間が短くなる。しかしながら、そのような理想的なケースは即座には達成することができず、異なるレベルの普及率での感度分析が重要となる。交通量に関しては、3つの異なる交通渋滞レベルが考慮される。具体的には、1時間の走行シミュレーション内に交通網を移動する車両の数に従って、少ない交通量(3000車両/時)、中程度の交通量(5000車両/時)及び多い交通量(7000車両/時)がシミュレーションでテストされた。
【0064】
シミュレーションでは、車線危険予測を装備した車両(例えば、本明細書に記載のシステム及び方法によるコンピュータ通信及び車線危険予測を装備した車両)は、V2Xネットワークを基に接続車両のうち9%に設定された。したがって、シミュレーション道路網を走行する車両には、車線危険予測を装備した車両、V2X専用車両及び従来車両の3つの種類がある。車線危険予測を装備した車両は、情報を交換できるだけでなく、車線を変更して下流の交通の危険を回避することができる車両である。V2X専用車両は、他のV2Xネットワークベースの接続車両とリアルタイム情報(例えば、速度、車線レベル位置)を交換することができるが、車載アプリケーションを有していない車両である。従来車両はV2V通信機能のない車両であり、その挙動は、シミュレーションソフトウェアのデフォルトの車線及び車両追跡モデルに従う。各走行シミュレーション期間は1800秒に設定されている。普及率及び交通量のパラメータの各組み合わせ(例えば、V2X装備車両が50%及び7000車両/時)に対して、シミュレーションは、仮想道路網で10のランダムシードを実行した。
【0065】
運転者応答モデル(すなわち、下流の危険が位置する車線の変更を回避する)において、車線危険予測を装備した車両は、強引な車線変更を減少させ危険の上流で渋滞が伝播するのを軽減させるという点で本用途から利益を得ることができる。一部の代用手段、例えば、潜在的な衝突によって性能が評価され、これは、動きに変化が生じなければ衝突するリスクが発生する程度まで、2人以上の道路利用者が空間的及び時間的に互いに近接する観察可能な状況として定義される。統計分析は、衝突とクラッシュとの間の高い相関関係を示す。このシミュレーションでは、取得された衝突頻度が性能の測定値として選択される。以下の方程式(6)及び方程式(7)で定義される通り、車線危険予測を装備した車両、未装備車両及び車両全体間の比較が衝突頻度(CF)相対比によって定量化される。
【0066】
【0067】
【0068】
図5のダイヤグラム500に示す通り、交通量が7000車両/時に設定された場合の、異なるV2X接続性普及率に対する車線危険予測を装備した車両と未装備車両との間の総衝突頻度(例えば、相対数)比較の箱ひげ図及びエラーバーである。ダイヤグラム500から分かる通り、平均衝突頻度相対数は、全ての普及率にわたり常に負であり、これは車線危険を装備した車両にとって著しい改善を意味する。平均衝突頻度の減少は21%から47%である。潜在的な理由は、危険位置の手前で運転者の応答を引き出すことによって、衝撃波の影響を軽減し交通全体の流れを円滑にすることができるためである。
【0069】
図6を参照すると、ダイヤグラム600は、V2X通信接続性普及率100%及び車線危険予測を装備した車両が全V2Xネットワークベース接続車両のうち9%であると仮定して行われた、交通量感度分析を示す。ダイヤグラム600に示す通り、本明細書に論じる車線危険予測のためのシステム及び方法は、少ない交通量(例えば、3000車両/時)、中程度の交通量(例えば、5000車両/時)及び多い交通量(例えば、7000車両/時)を含む異なる交通渋滞レベルに対して安全性能を改善する大きな可能性を有する。特に、車線危険予測を装備した車両の平均衝突頻度は、少ない交通量、中程度の交通量、多い交通量の状況で、未装備車両と比較して、それぞれ38%、20%、36%減少した。しかしながら、交通量の多い状況では、分散が少なくより安定するという利点がある。
【0070】
車線危険予測車両、未装備車両及び車両全体の移動性能も、方程式(8)による平均速度を使用して分かった。
【0071】
【0072】
図7に示すダイヤグラム700は、車線危険予測を装備した車両と未装着車両との間の平均速度(相対比)の比較結果を示す。車線危険予測を装備した車両の平均速度の増加(15~20%)は全普及率で顕著であり、V2X通信接続性の普及率が高くなるほどより安定した改善がみられる。これは、危険予測がより信頼可能かつ効率的になるためであり得る。
【0073】
図8及びダイヤグラム800に示す通り、交通量感度分析も行われた。この分析は、少ない、中程度及び多い交通状況下では、車線危険予測を装備した車両の平均速度は、未装備車両(100%未満の普及率)と比較して3%、6%及び15%増加し得ることを示す。交通量の多い場合(すなわち、7000車両/時)の移動性の改善は、交通量の少ない場合よりも顕著であり、これは、交通量がさほど混雑していない場合、未装備車両は、危険に接近する前に右側に車線変更を行うためにより広い空間が必要となるためであり得る。
【0074】
本明細書に論じる実施形態はさらに、コンピュータ実行可能命令を格納するコンピュータ可読記憶媒体の文脈で記述及び実施することができる。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含む。例えば、フラッシュメモリドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、フロッピーディスク及びテープカセットである。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、モジュールまたは他のデータなどの情報を格納するための任意の方法または技術で実装する揮発性及び不揮発性媒体及び取り外し可能及び取り外し不可能な媒体とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的な有形媒体及び伝播データ信号は含まない。
【0075】
上に開示した特徴と機能及び他の特徴と機能、あるいはそれらの代替例及び変形例の様々な実装は、多くの他の異なるシステムまたはアプリケーションに好適に組み合わされ得ることを理解されたい。さらに、当業者により今後なされ得る、現時点では予期または予測されない代替例、変更例、本明細書内の変形例または改良例もまた、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。