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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】粉粒体の開閉弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/42 20060101AFI20230906BHJP
   B65G 65/40 20060101ALN20230906BHJP
【FI】
F16K1/42 H
B65G65/40 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019076228
(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公開番号】P2020173001
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】吉村 信也
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-103687(JP,A)
【文献】特開2003-247658(JP,A)
【文献】特許第5130338(JP,B2)
【文献】特開2002-089721(JP,A)
【文献】特開平10-196810(JP,A)
【文献】特開2017-082934(JP,A)
【文献】特開2008-039043(JP,A)
【文献】米国特許第06095186(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30-65/48
F16K 1/00- 1/54
39/00-51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体が流入する流入口および少なくとも下方向に開口して粉粒体が流出する流出口を備える接続管と、
上流側開口が設けられた上流側端と下流側開口が設けられた下流側端とを備え、前記下流側端が前記接続管に対して出し入れ可能に前記接続管に設けられた筒体と、
前記流出口を開閉する弁体と、
前記流出口の開口方向に前記弁体を進退させる弁体移動機構と、を有し、
前記弁体が、前記弁体移動機構によって前記流出口に向かって移動することにより、まず前記筒体の下流側端に接触して前記下流側開口を閉じ、その後、前記筒体とともに移動して前記流出口を閉じ
前記筒体が、前記開口方向に移動可能に前記接続管内に収容され、
前記筒体が、前記接続管の内周面によってガイドされる少なくとも1つのフランジ部を備え、
前記筒体の前記フランジ部に、前記上流側端から前記下流側端に向かって延在する少なくとも1の溝が形成されている、粉粒体の開閉弁装置。
【請求項2】
前記筒体を、前記流出口に向かって付勢する付勢部材をさらに有する、請求項に記載の粉粒体の開閉弁装置。
【請求項3】
前記筒体と前記弁体が、金属材料から作製されている、請求項1または2に記載の粉粒体の開閉弁装置。
【請求項4】
前記筒体が、弾性変形可能であって、その上流側端が前記接続管に固定されている、請求項1に記載の粉粒体の開閉弁装置。
【請求項5】
前記筒体が、弾性材料から作製されている、請求項に記載の粉粒体の開閉弁装置。
【請求項6】
前記接続管の流出口が斜め下方向に開口し、
前記接続管と接触する前記弁体の接触面が、平面状である、請求項1からのいずれか一項に記載の粉粒体の開閉弁装置。
【請求項7】
前記接続管の流出口が下方向に開口し、
前記接続管と接触する前記弁体の接触面が、円錐面状である、請求項1からのいずれか一項に記載の粉粒体の開閉弁装置。
【請求項8】
前記弁体移動機構は、前記筒体に接触するまでは前記弁体を第1の速度で移動させ、前記筒体に接触した後は前記弁体を前記第1の速度に比べて低速の第2の速度で移動させる、請求項1からのいずれか一項に記載の粉粒体の開閉弁装置。
【請求項9】
前記接続管の前記流入口が、粉粒体を収容して高温ガスによって乾燥させる乾燥ホッパーに接続される、請求項1からのいずれか一項に記載の粉粒体の開閉弁装置。
【請求項10】
前記接続管の前記流入口が、粉粒体を輸送する輸送ホッパーに接続される、請求項1からのいずれか一項に記載の粉粒体の開閉弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の開閉弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、定量の粉粒体を少なくとも下方向に搬送するために、その搬送経路に設けられる粉粒体の開閉弁装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された粉粒体の開閉弁装置は、乾燥ホッパーの下部に接続されて斜め下方向に延在する接続管と、その接続管の流出口を開閉する弁体と、弁体を流出口に向かって移動させるシリンダとから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5130338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された粉粒体の開閉弁装置の場合、接続管と弁体との間に粉粒体が噛み込まれることを抑制するために、弁体は接続管の流出口を閉じてはいない。すなわち、接続管と弁体との間に、粉粒体が通過できない程度のすきまを形成している。そのため、粉粒体を乾燥させるために乾燥ホッパーに供給される高温ガスがそのすきまから漏れている。
【0005】
また、ホッパーが輸送用に用いられる場合の開閉弁であっても、噛み込みにより気密が保たれないことがあると輸送不良の問題を引き起こす。他の用途に用いる粉粒体の容器等であっても、容器内部の気体の密度や圧力を管理が必要なときに開閉弁が閉じ切らないことが問題となることがある。
【0006】
そこで、本発明は、粉粒体の開閉弁装置において、ホッパーなどに接続される接続管と弁体との間に粉粒体が噛み込むことを抑制した状態で、接続管の流出口を弁体によって閉じることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一態様によれば、
粉粒体が流入する流入口および少なくとも下方向に開口して粉粒体が流出する流出口を備える接続管と、
上流側開口が設けられた上流側端と下流側開口が設けられた下流側端とを備え、前記下流側端が前記接続管に対して出し入れ可能に前記接続管に設けられた筒体と、
前記流出口を開閉する弁体と、
前記流出口の開口方向に前記弁体を進退させる弁体移動機構と、を有し、
前記弁体が、前記弁体移動機構によって前記流出口に向かって移動することにより、まず前記筒体の下流側端に接触して前記下流側開口を閉じ、その後、前記筒体とともに移動して前記流出口を閉じる、粉粒体の開閉弁装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粉粒体の開閉弁装置において、ホッパーなどに接続される接続管と弁体との間に粉粒体が噛み込むことを抑制した状態で、接続管の流出口を弁体によって閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の開閉弁装置を概略的に示す図
図2】粉粒体の開閉弁装置の断面図
図3】粉粒体の開閉弁装置における筒体の斜視図
図4A】粉粒体の開閉弁装置の閉弁動作を示す図
図4B図4Aに続く閉弁動作を示す図
図4C図4Bに続く閉弁動作を示す図
図4D】閉弁動作が完了した状態を示す図
図5】本発明の実施の形態2に係る粉粒体の開閉弁装置を概略的に示す図
図6】本発明の実施の形態3に係る粉粒体の開閉弁装置における筒体の斜視図
図7】本発明の実施の形態4に係る粉粒体の開閉弁装置における筒体の斜視図
図8】本発明の実施の形態5に係る粉粒体の開閉弁装置を概略的に示す図
図9】本発明の実施の形態6に係る粉粒体の開閉弁装置を概略的に示す図
図10】本発明の実施の形態7に係る粉粒体の開閉弁装置を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る粉粒体の開閉弁装置を概略的に示す図である。図2は、粉粒体の開閉弁装置の断面図である。なお、図に示すX-Y-Z座標系は、本発明に係る実施の形態の理解を容易にするためのものであって、発明を限定するものではない。また、X軸方向およびY軸方向は水平方向を示し、Z軸方向は鉛直方向を示している。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態1に係る粉粒体の開閉弁装置10は、樹脂成型に使用される樹脂ペレットなどの粉粒体が搬送される搬送経路上に配置される。本実施の形態1の場合、開閉弁装置10は、粉粒体を収容し、その収容した粉粒体を高温ガスで乾燥する乾燥ホッパー50と、樹脂成型機(図示せず)に繋がる搬送管52との間に配置されている。
【0013】
図2に示すように、本実施の形態1に係る粉粒体の開閉弁装置10は、ハウジング12と、乾燥ホッパー50に接続される上流側接続管14と、搬送管52に接続される下流側接続管16とを有する。なお、本明細書において「上流側」および「下流側」は、粉粒体の移動方向(搬送方向)に基づいている。
【0014】
図2に示すように、上流側接続管14は、例えば金属製の円管であって、乾燥ホッパー50に接続される流入口14aと、ハウジング12内で開口する流出口14bとを備える。また、下流側接続管16は、例えば金属製の円管であって、ハウジング12内で開口する流入口16aと、搬送管52に接続される流出口16bとを備える。
【0015】
また、図2に示すように、上流側接続管14の流出口14bは、斜め下方向に開口している。すなわち、流出口14bを含む平面に対して垂直であって且つ流出口14bの中心を通過する開口中心線Cが、斜め下方向に延在している。その上流側接続管14の流出口14bの下方に、下流側接続管16の流入口16aが配置されている。したがって、粉粒体は、二点鎖線に示すように、上流側接続管14の流出口14bからハウジング12内に流出し、そして、下流側接続管16の流入口16aを介してハウジング12から下流側接続管16内に流入する。
【0016】
粉粒体の開閉弁装置10はまた、上流側接続管14の流出口14bを開閉する弁体18と、その弁体18を流出口14bの開口方向(すなわち開口中心線Cの延在方向)に進退させる弁体移動機構20とを有する。
【0017】
本実施の形態1の場合、弁体18は、上流側接続管14と接触する平面状の接触面18aを備える円盤状の弁体である。粉粒体が固い物質である場合、弁体18は、粉粒体が接触することによって生じる摩耗を考慮すると、金属材料から作製されるのが好ましい。これにより、金属製の上流側接続管14と弁体18とが金属接触し、互いの摩耗が抑制され、粉粒体の開閉弁装置10が長寿命化される(少なくとも一方が樹脂材料などの非金属材料から作製されている場合に比べて)。
【0018】
弁体移動機構20は、例えばエアシリンダであって、開口中心線Cの延在方向に進退するロッド20aを備える。そのロッド20aの先端に弁体18が取り付けられている。また、弁体18が上流側接続管14の流出口14bに対して開口中心線Cの延在方向に対向するように、弁体移動機構20がハウジング12に設けられている。これにより、弁体移動機構20が弁体18を上流側接続管14の流出口14bに向かって前進させることにより、弁体18が上流側接続管14と接触して流出口14bを閉じる。また、流出口14bを閉じた状態の弁体18を弁体移動機構20が後退させることにより、上流側接続管14の流出口14bが開いた状態にされる。
【0019】
粉粒体の開閉弁装置10はさらに、上流側接続管14と弁体18との間での粉粒体の噛み込み発生を抑制するために、筒体22を有する。
【0020】
本実施の形態1の場合、上流側接続管14と弁体18との間で粉粒体の噛み込みが発生すると、上流側接続管14の流出口14bが全閉できなくなる。その結果、乾燥ホッパー50内の高温ガスが、その全閉されていない流出口14bを介して漏れ出ることになる。このような粉粒体の噛み込みの発生を抑制するために、粉粒体の開閉弁装置10は筒体22を有する。
【0021】
図3は、本実施の形態1に係る粉粒体の開閉弁装置における筒体の斜視図である。
【0022】
図3に示すように、筒体22は、実質的に円筒形状であって、上流側開口22aが設けられた上流側端22bと、下流側開口22cが設けられた下流側端22dとを備える。
【0023】
図2に示すように、筒体22は、その下流側端22dが上流側接続管14に対して出し入れ可能に、上流側接続管14に設けられている。具体的には、本実施の形態1の場合、筒体22は、上流側接続管14の流出口14bの開口方向(開口中心線Cの延在方向)に移動可能に該上流側接続管14内に収容されている。すなわち、上流側接続管14の内径に対して筒体22の外径が小さい。そのため、図2に示すように、筒体22は、外力を受けていない自然状態であるとき、自重によってその下流側端22dが上流側接続管14の外部に位置する。
【0024】
筒体22が自重によって上流側接続管14から抜け落ちないように、上流側接続管14には、その内周面14cから突出する複数の凸状の複数のストッパー14dが設けられている。一方、図3に示すように、筒体22には、上流側接続管14の複数のストッパー14dと接触して下方向の移動が制限されるショルダー部22eが形成されている。すなわち、筒体22は、上流側の大径部22fと下流側の小径部22gとから構成され、その大径部22fと小径部22gとの間にショルダー部22eが形成されている。
【0025】
なお、筒体22の上流側接続管14からの抜け落ちを抑制するストッパー14dの形態を、本発明の実施の形態は問わない。ただし、ストッパー14dは、上流側接続管14の内周面14cに対して、周方向に連続的に設けた1つの突起(すなわち環状突起)ではなく、周方向に断続的に設けられた複数の突起であるのが好ましい。粉粒体は筒体22内を通過するが、その粉粒体に付着する微粉が上流側接続管14の内周面14cと筒体22とのすき間に侵入する場合がある。その微粉がその隙間から抜け出ることができるように、すなわち微粉の移動をストッパー14dが制限しないように、ストッパー14dは、上流側接続管14の内周面14cに対して周方向に断続的に設けられた複数の突起であるのが好ましい。
【0026】
このような筒体22が上流側接続管14と弁体18との間での粉粒体の噛み込みを抑制するメカニズムについて、図4A図4Dを参照しながら説明する。
【0027】
図4A図4Dは、粉粒体の開閉弁装置の閉弁動作を示す図である。特に、図4Dは、その閉弁動作が完了した状態を示している。
【0028】
図4Aに示すように、粉粒体の開閉弁装置10の閉弁動作が開始されると、まず、弁体移動機構20のロッド20aが前進し、それによりそのロッド20aの先端に取り付けられた弁体18が上流側接続管14の流出口14bに向かって移動する。このとき、弁体移動機構20は、第1の速度V1で弁体18を移動させる。
【0029】
図4Bに示すように、弁体18は、上流側接続管14に接触する前に、その接触面18aが筒体22の下流側端22dに接触し、筒体22の下流側開口22cを閉じる。これにより、上流側接続管14から下流側接続管16への粉粒体の搬送が停止する。なお、このとき、弁体18と筒体22との間に粉粒体が噛み込まれる場合があるが、それは構わない(その理由は後述する)。
【0030】
図4Cに示すように、本実施の形態1の場合、弁体移動機構20は、弁体18が筒体22に接触した後、第1の速度に比べて低速の第2の速度V2で弁体18を移動させる。すなわち、弁体移動機構20は、弁体18と筒体22との接触を維持した状態(弁体18が筒体22の下流側開口22cを閉じた状態)で、弁体18を移動させる。
【0031】
第1の速度V1から第2の速度V2に減速する理由は、弁体18と上流側接続管14とが接触する前(弁体18が上流側接続管14の流出口14bを閉じる前)に、筒体22外部における弁体18の接触面18aの部分に載る粉粒体がその弁体18から落ちる時間を確保するためである。すなわち、弁体18が、上流側接続管14と筒体22とに対して略同時に接触すると、上流側接続管14と弁体18との間に粉粒体の噛み込みが発生する可能性があるからである。なお、第1の速度V1は、閉弁動作を素早く完了させるために、可能な限り高速であるのが好ましい。また、第1の速度V1から第2の速度V2への減速タイミング、すなわち弁体18と筒体22との接触発生タイミングは、例えば、ロッド20aのストローク量を検出することによって知ることができる。ただし、第1の速度V1は必ずしも高速である必要はなく、第2の速度V2が粉粒体の噛み込みを生じない程度の大きさであれば適宜変更されてもよい。例えば第1の速度V1と第2の速度V2が同一であってもよい。
【0032】
最終的には、図4Dに示すように、弁体18は、筒体22との接触を維持した状態で、またその接触面18a上に粉粒体が存在しない状態で、その接触面18aが上流側接続管14に接触する。これにより、上流側接続管14と弁体18との間に粉粒体の噛み込みが発生していない状態で、弁体18は上流側接続管14の流出口14bを閉じることができる。
【0033】
図4Dに示すように、弁体18と上流側接続管14とが接触すると閉弁動作が完了し、上流側接続管14から下流側接続管16への粉粒体の搬送が停止状態で維持される。
【0034】
以上、本実施の形態1によれば、粉粒体の開閉弁装置において、ホッパーなどに接続される接続管と弁体との間に粉粒体が噛み込むことを抑制した状態で、接続管の流出口を弁体によって閉じることができる。
【0035】
(実施の形態2)
本実施の形態2は、上流側接続管および弁体を除いて、上述の実施の形態1と実質的に同一である。したがって、上流側接続管および弁体を中心に、本実施の形態2に係る粉粒体の開閉弁装置について説明する。
【0036】
図5は、本発明の実施の形態2に係る粉粒体の開閉弁装置を概略的に示している。
【0037】
図5に示すように、本実施の形態2に係る粉粒体の開閉弁装置110において、上流側接続管114の流出口114bは、図2に示す上述の実施の形態1における上流側接続管14の流出口14bと異なり、下方向に向いている。
【0038】
そのために、その上流側接続管114の流出口114bを閉じる弁体118は、図2に示す上述の実施の形態1における弁体18と異なり、頂点が上方向に向いた円錐面状の接触面118aを備える。これにより、粉粒体が、弁体118の接触面118a上に留まることなく、搬送方向下流側に移動する。
【0039】
本実施の形態2も、上述の実施の形態1と同様に、粉粒体の開閉弁装置において、ホッパーなどに接続される接続管と弁体との間に粉粒体が噛み込むことを抑制した状態で、接続管の流出口を弁体によって閉じることができる。
【0040】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、筒体を除いて、上述の実施の形態1と実質的に同一である。したがって、筒体を中心に、本実施の形態3に係る粉粒体の開閉弁装置について説明する。
【0041】
図6は、本発明の実施の形態3に係る粉粒体の開閉弁装置における筒体の斜視図である。
【0042】
図6に示すように、本実施の形態3に係る粉粒体の開閉弁装置における筒体222は、実質的に円筒形状であって、上流側開口222aが設けられた上流側端222bと、下流側開口222cが設けられた下流側端222dとを備える。また、筒体222には、上流側接続管の複数のストッパーと接触して下方向の移動制限されるショルダー部222eが形成されている。すなわち、筒体222は、上流側の大径部222fと下流側の小径部222gとから構成され、その大径部222fと小径部222gとの間にショルダー部222eが形成されている。さらに、筒体222には、大径部222fの外周面に、周方向に連続する複数のフランジ部222hが形成されている。
【0043】
複数のフランジ部222hは、上流側接続管の内周面によってガイドされる。また、複数のフランジ部222hは、上流側接続管の内周面に対する筒体222の接触面積を低減させる役割、すなわち上流側接続管と筒体222との間に発生する摩擦力を低減する役割をする。
【0044】
なお、フランジ部222hは、2つに限らず、1つであってもよい。上流側接続管内での筒体222のガタツキを抑制するためには、フランジ部222hは2つ以上が好ましい。
【0045】
本実施の形態3も、上述の実施の形態1と同様に、粉粒体の開閉弁装置において、ホッパーなどに接続される接続管と弁体との間に粉粒体が噛み込むことを抑制した状態で、接続管の流出口を弁体によって閉じることができる。
【0046】
(実施の形態4)
本実施の形態4は、筒体を除いて、上述の実施の形態1と実質的に同一である。したがって、筒体を中心に、本実施の形態4に係る粉粒体の開閉弁装置について説明する。
【0047】
図7は、本発明の実施の形態4に係る粉粒体の開閉弁装置における筒体の斜視図である。
【0048】
図7に示すように、本実施の形態4に係る粉粒体の開閉弁装置における筒体322は、実質的に円筒形状であって、上流側開口322aが設けられた上流側端322bと、下流側開口322cが設けられた下流側端322dとを備える。また、筒体322には、上流側接続管の複数のストッパーと接触して下方向の移動制限されるショルダー部322eが形成されている。すなわち、筒体322は、上流側の大径部322fと下流側の小径部322gとから構成され、その大径部322fと小径部322gとの間にショルダー部322eが形成されている。さらに、筒体322には、大径部322fの外周面に、上流側と下流側とに分かれて、且つ、周方向に断続的に設けられた複数の突起部322hが形成されている。
【0049】
別の観点から見れば、複数の突起部322hは、周方向に連続するフランジ部に上流側端322bから下流側端322dに向かって延在する複数の溝を形成することによって構成されている。
【0050】
複数の突起部322hは、上述の実施の形態3のフランジ部222hと同様に、上流側接続管の内周面によってガイドされる。また、複数の突起部322hは、上流側接続管の内周面に対する筒体322の接触面積を低減させる役割、すなわち上流側接続管と筒体322との間に発生する摩擦力を低減する役割をする。さらに、粉粒体に付着する微粉が上流側接続管の内周面と筒体322とのすき間に侵入しても、その微粉は、フランジ部が設けられている場合と異なり、複数の突起部322hの間のスペースを介して、上流側接続管と筒体322との間のすき間から抜け出しやすい。
【0051】
本実施の形態4も、上述の実施の形態1と同様に、粉粒体の開閉弁装置において、ホッパーなどに接続される接続管と弁体との間に粉粒体が噛み込むことを抑制した状態で、接続管の流出口を弁体によって閉じることができる。
【0052】
(実施の形態5)
上述の実施の形態1~4の場合、上流側接続管内に収容されている筒体は、弁体と接触していない状態では、自重によってその下流側端が上流側接続管の外部に位置する。本実施の形態5は、これと異なる方法で、筒体の下流側端が上流側接続管の外部に位置する。この異なる点を中心に、本実施の形態5について説明する。
【0053】
図8は、本発明の実施の形態5に係る粉粒体の開閉弁装置を概略的に示している。
【0054】
図8に示すように、本実施の形態5に係る粉体流の開閉弁装置410において、筒体422は、皿ばねなどの付勢部材424により、上流側接続管414の流出口414bに向かって付勢されている。その結果、筒体422の下流側端422d(すなわち下流側開口422c)が、上流側接続管414の外部に位置する。付勢部材424の付勢力に逆らって弁体によって押されると、筒体422の下流側端422dは上流側接続管414内に移動する。なお、本実施の形態5の場合、付勢部材424を収容するための周回溝414dが上流側接続管414の内周面414cに形成され、付勢部材424を受けるフランジ部422hが筒体422に設けられている。
【0055】
本実施の形態5も、上述の実施の形態1と同様に、粉粒体の開閉弁装置において、ホッパーなどに接続される接続管と弁体との間に粉粒体が噛み込むことを抑制した状態で、接続管の流出口を弁体によって閉じることができる。
【0056】
(実施の形態6)
上述の実施の形態1~5の場合、筒体は、その下流側端が上流側接続管に対して出し入れ可能に、且つその全体が移動可能に上流側接続管内に収容されている。これと異なり、本実施の形態6では、筒体は、その全体が移動可能に上流側接続管内に収容されてはいない。この異なる点を中心に、本実施の形態6について説明する。
【0057】
図9は、本発明の実施の形態6に係る粉粒体の開閉弁装置を概略的に示している。
【0058】
図9に示すように、本実施の形態6に係る粉粒体の開閉弁装置510において、筒体522は、その上流側端522bが上流側接続管514に固定されている。そのため、筒体522は、上流側接続管514内で移動することができない。
【0059】
移動できない代わりに、筒体522は、ゴムなどの弾性材料から作製されている。筒体522は、自然状態であるとき(すなわち弁体と接触しておらず、その下流側開口522cが開いた状態のとき)、その下流側端522dが上流側接続管514の外部に位置する。
【0060】
筒体522は、弁体によって押されて上流側接続管514の流出口514bの開口方向(開口中心線Cの延在方向)に、すなわち圧縮方向に弾性変形する。それにより、筒体522の下流側端522dが上流側接続管514内に移動する。
【0061】
本実施の形態6も、上述の実施の形態1と同様に、粉粒体の開閉弁装置において、ホッパーなどに接続される接続管と弁体との間に粉粒体が噛み込むことを抑制した状態で、接続管の流出口を弁体によって閉じることができる。
【0062】
(実施の形態7)
本実施の形態7において、筒体は、上述の実施の形態6と同様に、その上流側端が上流側接続管に固定されている。しかしながら、異なる方法で、筒体の下流側端が上流側接続管に対して出し入れ可能にされている。この異なる点を中心に、本実施の形態7について説明する。
【0063】
図10は、本発明の実施の形態7に係る粉粒体の開閉弁装置を概略的に示している。
【0064】
図10に示すように、本実施の形態6に係る粉粒体の開閉弁装置610において、筒体622は、その上流側端622bが上流側接続管614に固定されている。そのため、筒体622は、上流側接続管614内で移動することができない。
【0065】
移動できない代わりに、筒体622は、樹脂材料またはゴムなどの材料から作製され、上流側接続管614の流出口614bの開口方向(開口中心線Cの延在方向)に圧縮変形可能な蛇腹状に形成されている。筒体622は、自然状態であるとき(すなわち弁体と接触しておらず、その下流側開口622cが開いた状態のとき)、その下流側端622dが上流側接続管614の外部に位置する。
【0066】
筒体622は、弁体によって押されて上流側接続管614の流出口614bの開口方向(開口中心線Cの延在方向)に、すなわち圧縮方向に弾性変形する。それにより、筒体622の下流側端622dが上流側接続管614内に移動する。
【0067】
本実施の形態7も、上述の実施の形態1と同様に、粉粒体の開閉弁装置において、ホッパーなどに接続される接続管と弁体との間に粉粒体が噛み込むことを抑制した状態で、接続管の流出口を弁体によって閉じることができる。
【0068】
以上、複数の実施の形態1~7を挙げて本発明を説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されない。例えば、上述したある実施の形態の少なくとも一部分に対して少なくとも1つの実施の形態を全体としてまたは部分的に組み合わせて本発明に係るさらなる実施の形態とすることが可能であることは、当業者にとって明らかである。
【0069】
すなわち、本発明の実施の形態に係る粉粒体の開閉弁装置は、広義には、粉粒体が流入する流入口および少なくとも下方向に開口して粉粒体が流出する流出口を備える接続管と、上流側開口が設けられた上流側端と下流側開口が設けられた下流側端とを備え、前記下流側端が前記接続管に対して出し入れ可能に前記接続管に設けられた筒体と、前記流出口を開閉する弁体と、前記流出口の開口方向に前記弁体を進退させる弁体移動機構と、を有し、前記弁体が、前記弁体移動機構によって前記流出口に向かって移動することにより、まず前記筒体の下流側端に接触して前記下流側開口を閉じ、その後、前記筒体とともに移動して前記流出口を閉じる。
【0070】
また、本発明の実施の形態に係る粉粒体の開閉弁装置は、粉粒体を収容して高温ガスによって乾燥させる乾燥ホッパーに限らず、例えば粉粒体を輸送する気密性を要する輸送ホッパーに接続されてもよい。すなわち、粉粒体を選択的に搬送する必要がある搬送経路上に、その選択的な搬送を実現する手段として粉粒体の開閉弁装置が設置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、粉粒体を搬送する搬送経路に設置される開閉弁装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 開閉弁装置
14 接続管(上流側接続管)
14a 流入口
14b 流出口
18 弁体
20 弁体移動機構
22 筒体
22a 上流側開口
22b 上流側端
22c 下流側開口
22d 下流側端
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10