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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】見守りシステム
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/04 20060101AFI20230906BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20230906BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230906BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230906BHJP
   G06F 16/909 20190101ALI20230906BHJP
【FI】
A45F3/04 400S
H04M11/00 301
G08B25/04 K
G08B21/02
G06F16/909
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019086039
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020179037
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】519155284
【氏名又は名称】藤代 聡
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤代 聡
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-237781(JP,A)
【文献】特開2015-179433(JP,A)
【文献】特開2018-077809(JP,A)
【文献】特開2018-196644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45F 3/04
H04M 11/00
G08B 25/04
G08B 21/02
G06F 16/909
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象児童に身に着けられ、前記対象児童の安全を見守るためのランドセルと、サーバとを備えた見守りシステムであって、
前記ランドセルは、
画像を撮像する撮像手段と、
音声を録音する録音手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像、及び、前記録音手段によって録音された音声の少なくとも一方からなり、前記対象児童の安全を見守るための見守り情報を前記サーバに送信するランドセル用送信手段と、
を少なくとも備え、
前記サーバは、
前記見守り情報送信手段によって送信された前記見守り情報から前記対象児童の安全性としてのいじめの被害性を特定の安全条件であるいじめワード情報に基づいて解析し、前記見守り情報が前記いじめワード情報に該当するときに、その解析結果として、前記対象児童に対していじめが発生した旨の情報からなる安全性情報を生成する安全性情報生成手段と、
前記いじめワード情報に該当する前記見守り情報に対応付けられた、いじめに係る指数に基づいて、前記安全性情報生成手段によって生成された前記安全性情報の通知の重要性の指標となる通知レベルを決定する通知レベル決定手段と、
記通知レベル決定手段によって、規定レベル以上の前記通知レベルが決定された前記安全性情報を、前記通知レベルに応じた通知態様で、前記対象児童の保護者が所有する携帯端末に送信する一方、規定レベル未満の前記通知レベルが決定された前記安全性情報を前記携帯端末に送信しないサーバ用送信手段と、
を少なくとも備える
ことを特徴とする見守りシステム。
【請求項2】
前記サーバは、
前記対象児童を含む複数の児童のそれぞれに身に着けられる前記ランドセルから送信された前記見守り情報を記憶する見守り情報記憶手段をさらに備え、
前記安全性情報生成手段は、
前記見守り情報記憶手段に記憶された複数の児童のそれぞれに係る前記見守り情報から前記特定の安全条件であるいじめワード情報を抽出することを特徴とする請求項1に記載の見守りシステム。
【請求項3】
前記サーバ用送信手段は、
前記見守り情報記憶手段に記憶された前記対象児童に係る前記見守り情報を前記対象児童の保護者が所有する携帯端末に送信することを特徴とする請求項2に記載の見守りシステム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記見守り情報記憶手段に記憶された前記対象児童の前記見守り情報の内、画像からなる前記見守り情報の前記携帯端末への送信を所定の制限基準に基づいて制限する画像制限手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の見守りシステム。
【請求項5】
前記ランドセル用送信手段は、SIM(Subscriber Identifier Module)を介して前記サーバに前記見守り情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の見守りシステム。
【請求項6】
前記ランドセルは、
GPS(Global Positioning System)を介して前記対象児童の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報が予め指定された指定範囲内にあるか否かを判定する位置判定手段と、
前記位置判定手段により前記位置情報が前記指定範囲内にないと判定された場合にアラートを発生するアラート発生手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の見守りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登下校中の児童の安全を見守る見守りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、登下校中の児童に対する犯罪や事故が急増しており、児童の安全が脅かされている。そこで、児童にスマートフォン等の携帯端末を所持させ、非常時には保護者、警察等に連絡させることが広く行われている。また、児童の携帯端末に搭載されたGPS(Global Positioning System)によって児童の位置情報を保護者の携帯端末に送信し、保護者がリアルタイムに児童の居場所を確認することも行われている。
【0003】
また、IC(Integrated Circuit)カードまたはICタグにより、児童が学校に到着したこと、または学校から出発したことを保護者に通知することも行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-23666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の技術では、児童が具体的にどのような状況にあるのかを保護者に把握させることが難しく、保護者に十分な安心感を与えることができない。
【0006】
また、近年、児童の安全に関する問題としては、犯罪や事故だけでなく、いじめも深刻な問題となっており、登下校中の児童が周囲の児童から様々ないじめを受けるという状況も多く発生している。しかしながら、上述の技術では、いじめが発生している場合に、保護者がその様子を把握できない上、そのいじめの証拠を残すこともできない。そのため、発生したいじめを潜在化させてしまうといった問題が生じてしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を鑑みてなされたものであり、児童がより安全に登下校を行うことが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明は、対象児童に身に着けられ、前記対象児童の安全を見守るためのランドセルと、サーバとを備えた見守りシステムであって、前記ランドセルは、画像を撮像する撮像手段と、音声を録音する録音手段と、前記撮像手段によって撮像された画像、及び、前記録音手段によって録音された音声の少なくとも一方からなり、前記対象児童の安全を見守るための見守り情報を前記サーバに送信するランドセル用送信手段と、を少なくとも備え、前記サーバは、前記見守り情報送信手段によって送信された前記見守り情報から前記対象児童の安全性としてのいじめの被害性を特定の安全条件であるいじめワード情報に基づいて解析し、前記見守り情報が前記いじめワード情報に該当するときに、その解析結果として、前記対象児童に対していじめが発生した旨の情報からなる安全性情報を生成する安全性情報生成手段と、前記いじめワード情報に該当する前記見守り情報に対応付けられた、いじめに係る指数に基づいて、前記安全性情報生成手段によって生成された前記安全性情報の通知の重要性の指標となる通知レベルを決定する通知レベル決定手段と、記通知レベル決定手段によって、規定レベル以上の前記通知レベルが決定された前記安全性情報を、前記通知レベルに応じた通知態様で、前記対象児童の保護者が所有する携帯端末に送信する一方、規定レベル未満の前記通知レベルが決定された前記安全性情報を前記携帯端末に送信しないサーバ用送信手段と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、児童がより安全に登下校を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のランドセルの斜視図である。
図2】第1実施形態における見守りシステムのシステム構成図である。
図3】第1実施形態における見守り装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態における見守りシステムの動作手順を説明するためのシーケンス図である。
図5】第1実施形態におけるランドセルによる見守り制御処理の動作を説明するためのフローチャートである。
図6】第1実施形態におけるサーバによるいじめ抑制処理の動作を説明するためのフローチャートである。
図7】第1実施形態におけるいじめワード全国データベースにいじめワード情報が記憶される具体例を示す図である。
図8】第1実施形態におけるいじめワード東日本データベースにいじめワード情報が記憶される具体例を示す図である。
図9】第1実施形態におけるいじめワード個人データベースにいじめワード情報が記憶される具体例を示す図である。
図10】第1実施形態におけるサーバによる閲覧認定処理の動作を説明するためのフローチャートである。
図11】第1実施形態における安全性情報の通知態様決定テーブルの具体例を示す図である。
図12】第1実施形態における携帯端末の画面の表示例を示す図である。
図13】第2実施形態のランドセルの斜視図である。
図14】第2実施形態における見守り装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施形態(以下、これを「第1実施形態」という。)について、図1乃至図12を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1は、第1実施形態のランドセル1の斜視図である。ランドセル1は、安全の見守り対象となる児童(以下、これを「対象児童」という。)に身に着けられ、その対象児童の安全を見守るための見守り装置100を備えている。見守り装置100は、カメラ装置101と、レコーダ装置102とがケーブル103によって接続されて構成される。
【0013】
図1には、ランドセル1の背当て面11及び右側面13が示されている。この図1に示すように、カメラ装置101は、ランドセル1の背当て面11に固定された右側の肩ベルト12の表面に取り付けられている。このため、カメラ装置101による撮像方向は、対象児童の視線の方向と略同一の方向である。レコーダ装置102は、ランドセル1の右側面13に形成されたレコーダ装置102専用の収容ケース14内に収容されている。これにより、レコーダ装置102は、外部から衝撃を受けても損傷し難いようになっている。また、収容ケース14は、内部のレコーダ装置102が抜き取られないように、鍵をかけることが可能な構造となっている。この収容ケース14には、児童の指先によってスイッチ部127を押圧できるように開口部14aが形成されている。
【0014】
ケーブル103は、カメラ装置101と接続される側の部分が肩ベルト12の表面に固定される。ケーブル103は、背当て面11に形成された開口部(図示せず)からランドセル1の内部を通り、右側面13及び収容ケース14に形成された開口部(図示せず)から収容ケース14内に達し、その先端が収容ケース14内に収容されたレコーダ装置102と接続される。
【0015】
カメラ装置101は、直方体の筐体101aに撮像レンズ101bが設けられている。また、筐体101aにおける撮像レンズ101bが設けられた面の右上端部には、LED(Light Emitting Diode)101cが設けられている。また、カメラ装置101は、その動作中にLED101cが点灯する。これにより、カメラ装置101は、対象児童の周囲の者に対し、カメラ装置101が動作していること、すなわち撮像及び録画を行っていることを認識させることができ、その周囲の者に対する威嚇等の効果を発揮することができる。その結果、ランドセル1を身に着けた児童は、より安全に登下校を行うことができる。
【0016】
カメラ装置101は、後述するように、画像の撮像だけでなく音声の録音も可能な装置である。見守り装置100は、このようなカメラ装置101により、ランドセル1を身に着けた対象児童を見守るための情報(これを「見守り情報」という。)として、対象児童の視線と略同一の方向の画像(これを「画像見守り情報」ともいう。)とともに、その対象児童の周囲の音声(これを「音声見守り情報」ともいう。)を取得する。
【0017】
見守り装置100において、カメラ装置101によって取得された画像見守り情報及び音声見守り情報は、ケーブル103を介して収容ケース14に収容されたレコーダ装置102に送信される。レコーダ装置102は、カメラ装置101から送信された画像見守り情報及び音声見守り情報を記憶する。
【0018】
レコーダ装置102は、後述するように、GPS(Global Positioning System)レシーバから構成される位置センサ123(図3)と、モーションセンサ124(図3)とを備えている。レコーダ装置102は、位置センサ123によってランドセル1を身に着けた対象児童の現在の位置情報(これを「位置見守り情報」ともいう。)を検出し、その位置見守り情報を記憶する。また、レコーダ装置102は、モーションセンサ124によって対象児童に身に付けられたランドセル1の動きの情報(これを「動き見守り情報」)を検出し、その動き見守り情報を記憶する。
【0019】
図2は、第1実施形態における見守りシステム20のシステム構成図である。見守りシステム20は、対象児童に身に着けられるランドセル1と、サーバ2と、サーバ2に接続される記憶部3と、対象児童の保護者が所有する例えば汎用のスマートフォンである携帯端末4と、ネットワーク5とから構成される。
【0020】
ランドセル1の見守り装置100は、ランドセル1を身に着ける対象児童の見守り情報として、カメラ装置101により画像見守り情報及びそれに対応する音声見守り情報を取得する。また、見守り装置100は、レコーダ装置102により、この対象児童の見守り情報として、これら画像見守り情報及び音声見守り情報の取得タイミングと同一のタイミングで位置見守り情報及び動き見守り情報を取得する。そして、ランドセル1の見守り装置100は、これらの見守り情報をSIM(Subscriber Identifier Module)を介してネットワーク5経由でサーバ2に送信する。
【0021】
サーバ2は、ランドセル1から送信された対象児童に係る見守り情報(画像見守り情報、音声見守り情報、位置見守り情報及び動き見守り情報)を記憶部3の見守り情報記憶部31に対応付けて記憶する。サーバ2は、見守り情報記憶部31に記憶された見守り情報から「対象児童の安全性」を「特定の安全条件」に基づいて解析し、その解析結果からなる安全性情報を生成する。
【0022】
対象児童の保護者が所有する携帯端末4において、見守りシステム20の専用アプリは、ダウンロードされることによりインストールされて起動される。その専用アプリにおいて、ユーザ(保護者)に固有のアカウント、パスワード等が入力されると、携帯端末4は、ネットワーク5に接続される。
【0023】
これにより、サーバ2は、対象児童に係る安全性情報をネットワーク5経由でその保護者の携帯端末4に対し、例えばメール等によって送信することができる。また、これにより、見守りシステム20において、対象児童の保護者の携帯端末4は、サーバ2に対し、対象児童に係る見守り情報の取得要求をネットワーク5経由で送信することができる。サーバ2は、ネットワーク5経由で携帯端末4から対象児童に係る見守り情報の取得要求を受信すると、記憶部3に記憶された対象児童に係る見守り情報をネットワーク5経由で携帯端末4に送信する。なお、後述するように、見守り情報の内の画像見守り情報は、携帯端末4への送信が制限される場合がある。
【0024】
見守りシステム20は、ランドセル1を身に着ける対象児童が登下校を行う際に周囲の児童からいじめを受けているかどうかを見守るようにしている。そのため、見守りシステム20では、「対象児童の安全性」として、対象児童がいじめの被害者となっているかどうか、といった「対象児童のいじめの被害性」を「対象児童の安全性」として解析する。そして、見守りシステム20では、この「対象児童のいじめの被害性」を、「特定の安全条件」としての「データベース33~36に記憶された『いじめワード情報』」に基づいて解析する。
【0025】
ランドセル1は、日本国内の各地で販売されて使用されるものとする。そのため、見守りシステム20では、日本国内の各地で使用されている多数のランドセル1のそれぞれからサーバ2に対して見守り情報が送信される。記憶部3は、各ランドセル1から受信した見守り情報を記憶する見守り情報記憶部31を有する。サーバ2は、ランドセル1から見守り情報を受信する毎に、その見守り情報を見守り情報記憶部31に記憶する。
【0026】
見守り情報記憶部31には、画像見守り情報及びそれに対応する音声見守り情報と、これら画像見守り情報及び音声見守り情報の取得タイミングと同一のタイミングで取得された位置見守り情報及び動き見守り情報とが対応付けられて記憶される。見守り情報記憶部31に記憶された見守り情報は、例えば30日間記憶され続け、その後消去される。なお、見守り情報記憶部31に見守り情報を記憶する期間は、これに限定されず何れの期間であってもよい。
【0027】
この見守りシステム20において、サーバ2に接続される記憶部3は、いじめワード全国データベース(DB)32と、いじめワード北日本データベース33と、いじめワード東日本データベース34と、いじめワード西日本データベース35と、いじめワード南日本データベース36と、いじめワード個人データベース37とを有している。ここで「いじめワード」とは、「しね」、「うざい」、「ばか」等、他人に言われることで傷つくような汚い言葉を意味する。
【0028】
いじめワード全国データベース32は、日本全国の各地でランドセル1を身に付ける児童の周囲で発せられたいじめワードを管理するデータベースである。サーバ2は、いじめワードに該当する音声見守り情報(これを「いじめワード情報」ともいう。)に後述の付加情報を付加していじめワード全国データベース32に記憶する。
【0029】
このいじめワード全国データベース32に記憶されたいじめワード情報は、いじめワード北日本データベース33、いじめワード東日本データベース34、いじめワード西日本データベース35、いじめワード南日本データベース36の何れかに記憶される。このいじめワード北日本データベース33、いじめワード東日本データベース34、いじめワード西日本データベース35、いじめワード南日本データベース36は、それぞれ「北日本」、「東日本」、「西日本」、「南日本」内のランドセル1を身に付ける児童の周囲で発せられたいじめワードを管理するデータベースである。
【0030】
「北日本」とは北海道及び東北地方をいい、「東日本」とは関東甲信地方、北陸地方及び東海地方をいい、「西日本」とは近畿地方、中国地方及び四国地方をいい、「南日本」とは九州地方及び沖縄地方をいうものとするが、このような定義に限定されない。
【0031】
サーバ2は、いじめワード全国データベース32に記憶されたいじめワード情報をそのいじめワードが発せられた位置が含まれる地方のデータベース(いじめワード北日本データベース33、いじめワード東日本データベース34、いじめワード西日本データベース35、いじめワード南日本データベース36の何れか)に記憶する。これにより、サーバ2に集められた全国のいじめワード情報がこれらの地方毎に分類される。その結果、これらの地方のデータベース33~36のそれぞれには、その地方において発せられ易いいじめワードが管理されるようになる。すなわち、見守りシステム20では、「北日本」、「東日本」、「西日本」、「南日本」といった地方毎にその地方で発せられ易いいじめワードをサーバ2上で管理することができる。
【0032】
いじめワード個人データベース37は、ランドセル1を身に付ける児童毎にその児童の周囲で発せられたいじめワードを管理するデータベースである。サーバ2は、ランドセル1を識別する識別ID毎にいじめワード情報をいじめワード個人データベース37に記憶する。
【0033】
なお、いじめワード全国データベース(DB)32、いじめワード北日本データベース33、いじめワード東日本データベース34、いじめワード西日本データベース35、いじめワード南日本データベース36及びいじめワード個人データベース37の具体的な例については、図7図9を用いて後述する。
【0034】
図3は、見守り装置100の機能的な構成を示すブロック図である。見守り装置100は、カメラ装置101とレコーダ装置102との間で上述のケーブル103を介してデータの送受信を行う。
【0035】
見守り装置100において、カメラ装置101は、上述の撮像レンズ101bを有する撮像部110と、音声取得部111と、スピーカ部112と、上述のLED101cとを備える。
【0036】
撮像部110は、上述の撮像レンズ101bと共に図示しないCCD(Charge Coupled Device)等を備えており、「画像見守り情報」として、ランドセル1を身に着ける対象児童の視線の方向と略同一の方向の画像の撮像を行い、その画像データをレコーダ装置102の制御部122に送信する。
【0037】
音声取得部111は、マイクを有し、このマイクによって「音声見守り情報」としてランドセル1を身に着ける対象児童の周囲の音声を取得する。そして、音声取得部111は、その音声信号をA/D(アナログ/デジタル)変換することにより、デジタルの音声データをレコーダ装置102の制御部122に送信する。
【0038】
スピーカ部112は、後述するように、対象児童の位置情報(位置見守り情報)が予め指定された指定範囲内にないとき、及び、対象児童の動き情報(動き見守り情報)がランドセル1の動きが急変したことを示すものであるときの何れに該当する場合においても、ランドセル1の周囲に対して鳴り響くアラートを発生させる。このアラートは、例えば、時間が経過する毎に音量が大きくなってもよい。また、アラートは、図示しないアラート用のオン(ON)、オフ(OFF)の切り換えスイッチを操作することで停止されるようにしてもよい。なお、アラートの態様は、これに限定されない。
【0039】
LED101cは、上述したように、カメラ装置101の動作中に点灯する。これにより、カメラ装置101は、対象児童の周囲の者に対し、カメラ装置101が動作していることを認識させることができる。
【0040】
また、見守り装置100において、レコーダ装置102は、本体部121と、本体部121に接続されるスイッチ部127及びバッテリ128とを備える。本体部121は、制御部122と、位置センサ123と、モーションセンサ124と、送信部125と、記憶部126とを備える。
【0041】
本体部121において、制御部122は、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、レコーダ装置102の動作全体を制御する。また、記憶部126は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体で構成される。制御部122は、カメラ装置101の撮像部110から送信された画像データ(画像見守り情報)、及び、カメラ装置101の音声取得部111から送信された音声データ(音声見守り情報)を記憶部126に記憶する。
【0042】
位置センサ123は、上述したように、GPSレシーバから構成されるものであり、ランドセル1を身に着けた対象児童の現在の位置情報(位置見守り情報)を検出して制御部12に供給する。制御部122は、位置センサ123から供給された位置見守り情報を記憶部126に記憶する。
【0043】
モーションセンサ124は、上述したように、対象児童に身に付けられたランドセル1の動き情報(動き見守り情報)を検出して制御部122に供給する。制御部122は、モーションセンサ124から供給された動き見守り情報を記憶部126に記憶する。
【0044】
送信部125は、上述のSIMを有している。制御部122は、記憶部126に記憶した見守り情報(画像見守り情報、音声見守り情報、位置見守り情報、及び動き見守り情報)を読み出して送信部125に供給する。送信部125は、この読み出された見守り情報を、SIMを介してネットワーク5経由でサーバ2に送信する。
【0045】
スイッチ部127は、児童の指先で押圧可能な押圧式のスイッチによって構成されている。このスイッチ部127は、押圧されることにより見守り装置100の動作(これを「見守り機能」ともいう。)のオン(ON)とオフ(OFF)とが切り換えられる。
【0046】
バッテリ128は、見守り装置100の電源であり、家庭用交流電源を介したACアダプタによる充電器からの充電又は市販の一次電池からの充電が可能である。
【0047】
ランドセル1は、このような構成の見守り装置100を備えることで、ランドセル1を身に着ける対象児童の見守り情報として、画像見守り情報、音声見守り情報、位置見守り情報及び動き見守り情報を取得し、その取得した見守り情報をサーバ2に送信する。
【0048】
図4は、見守りシステム20の動作手順を説明するためのシーケンス図である。この図4のシーケンス図には、児童に身に付けられるランドセル1と、サーバ2と、その児童の保護者の所有する携帯端末4との動作処理が示されている。見守りシステム20において、ランドセル1と、サーバ2と、携帯端末4とがネットワーク5を経由してデータの送受信を行う。
【0049】
ステップS1において、見守りシステム20は、ランドセル1によるランドセル制御処理を行う。このステップS1において、ランドセル1は、ランドセル1を身に着ける児童の視線と略同一の方向の画像(画像見守り情報)とともに、その児童の周囲の音声(音声見守り情報)を取得する。また、ランドセル1は、対象児童の現在の位置情報(位置見守り情報)及びランドセル1の動きの情報(動き見守り情報)を取得する。そして、ランドセル1は、取得したこれらの見守り情報を送信部125のSIMにより送信する処理を行う。
【0050】
また、このステップS1において、ランドセル1は、児童の位置見守り情報が予め指定された指定範囲内にないとき、及び、児童の動き見守り情報がランドセル1の動きが急変したことを示すものであるときの何れに該当する場合においても、アラートを発生させるようにする。
【0051】
ステップS2において、見守り情報は、ランドセル1の送信部125のSIMからネットワーク5経由でサーバ2へと送信される。
【0052】
ステップS3において、見守りシステム20は、サーバ2によるいじめ抑制処理を行う。このステップS3において、サーバ2は、ランドセル1から受信した見守り情報の内の音声見守り情報がいじめワードに該当すると判断した場合には、そのいじめワードを地方毎に分類するとともに児童(識別ID)毎に分類する。そして、サーバ2は、安全性情報として、いじめが発生した旨の「いじめ発生情報」を生成し、その通知レベルを決定する。そして、その通知レベルに応じて安全性情報を児童の保護者の携帯端末4に送信する処理を行う。
【0053】
ステップS4において、安全性情報は、サーバ2からネットワーク5経由で携帯端末4へと送信される。
【0054】
ステップS5において、見守りシステム20は、児童の保護者の携帯端末4における見守りシステム20の専用アプリにおいて、その児童(対象児童)に係る画像の閲覧の要求がされると、携帯端末4からネットワーク5経由でサーバ2へとその対象児童に係る画像見守り情報の取得要求を送信する。
【0055】
ステップS6において、見守りシステム20は、サーバ2による画像見守り情報の閲覧認定処理を行う。このステップS6において、サーバ2は、後述の例えば「通知レベル」が「警告(A)レベル」以上の安全性情報を携帯端末4へ送信していない、といった制限基準を満たしている場合には、画像見守り情報に対して閲覧制限処理を施す。
【0056】
ステップS7において、見守りシステム20は、サーバ2からネットワーク5経由で携帯端末4へと閲覧要求に係る画像見守り情報を送信する。なお、このステップS7において、見守りシステム20は、画像見守り情報だけでなく、その画像見守り情報に対応する音声見守り情報も携帯端末4へ送信してもよい。
【0057】
ステップS8において、見守りシステム20は、対象児童の保護者の携帯端末4における見守りシステム20の専用アプリにおいてその対象児童に係る音声見守り情報の取得要求がされると、携帯端末4からサーバ2へとネットワーク5経由でサーバ2へとその対象児童に係る音声見守り情報の取得要求を送信する。
【0058】
ステップS9において、見守りシステム20は、サーバ2からネットワーク5経由で携帯端末4へと取得要求に係る音声見守り情報を送信する。
【0059】
ステップS10において、見守りシステム20は、対象児童の保護者の携帯端末4における見守りシステム20の専用アプリにおいてその対象児童に係る位置見守り情報の取得要求がされると、携帯端末4からネットワーク5経由でサーバ2へとその対象児童に係る位置見守り情報の取得要求を送信する。
【0060】
ステップS11において、見守りシステム20は、サーバ2からネットワーク5経由で携帯端末4へと取得要求に係る位置見守り情報を送信する。
【0061】
なお、図4では図示していないが、携帯端末4からネットワーク5経由でサーバ2へとその対象児童に係る動き見守り情報の取得要求を送信可能とし、サーバ2から携帯端末4へとその取得要求に係る動き見守り情報を送信するようにしてもよい。
【0062】
このようにして、見守りシステム20では、対象児童が身に付けるランドセル1で取得された対象児童に係る見守り情報と、それに基づく対象児童に係る安全性情報とが、サーバ2から対象児童の保護者の携帯端末4へと送信される。
【0063】
図5は、図4のステップS1のランドセル1による見守り制御処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0064】
ステップS101において、ランドセル1は、スイッチ部127が押圧されることにより、見守り装置100による見守り機能がオン(ON)となっているか否かを判断し、オンとなっていると判断した場合にはステップS102に進み、オフ(OFF)となっていると判断した場合には本見守り制御処理を終了する。
【0065】
ステップS102において、ランドセル1は、カメラ装置101に設けられたLED101cを点灯させる。
【0066】
ステップS103において、ランドセル1は、対象児童に係る画像見守り情報を取得する。すなわち、ランドセル1は、カメラ装置101の撮像部110により、対象児童の視線の方向と略同一の方向の画像の撮像を行い、その画像データ(画像見守り情報)をレコーダ装置102の記憶部126に記憶する。
【0067】
ステップS104において、ランドセル1は、対象児童に係る音声見守り情報を取得する。すなわち、ランドセル1は、カメラ装置101の音声取得部111により、対象児童の周囲の音声の録音を行い、その音声データ(音声見守り情報)をレコーダ装置102の音声見守り情報を記憶部126に記憶する。
【0068】
ステップS105において、ランドセル1は、対象児童に係る位置見守り情報を取得する。すなわち、ランドセル1は、レコーダ装置102の位置センサ123により、ランドセル1を身に付けた対象児童の現在の位置情報(位置見守り情報)の検出を行い、検出した位置見守り情報をレコーダ装置102の記憶部126に記憶する。
【0069】
ステップS106において、ランドセル1は、レコーダ装置102の制御部122により、ステップS105で取得した位置見守り情報が、予め指定された指定範囲内にあるか否かを判断する。この「予め指定された指定範囲」としては、例えばランドセル1を身に付ける対象児童の自宅から小学校までの通学路、小学校から塾までの経路、塾から自宅までの経路等が挙げられる。保護者は、自身の携帯端末4における見守りシステム20の専用アプリでこれらの通学路、経路等を指定範囲として登録することができる。
【0070】
このステップS106において、ランドセル1は、ステップS105で取得した位置見守り情報が、予め指定された指定範囲にあると判断した場合には(ステップS106でYes)ステップS108に進み、その指定範囲にないと判断した場合には(ステップS106でNo)ステップS107に進む。
【0071】
ステップS107において、ランドセル1は、カメラ装置101のスピーカ部112よりアラートを発生させる。この場合、ランドセル1が予め指定された指定範囲に存在しないことから、対象児童が、例えば何処かへ遊びに行ってしまったり、誰かに連れ去られてしまった等の危ない状況に陥ったおそれがある。そのため、ランドセル1の周囲の者に監視、注意等を促す効果や、犯罪者等に対する警告、威嚇等の効果を発揮することができる。
【0072】
ステップS108において、ランドセル1は、対象児童に係る動き見守り情報を取得する。すなわち、ランドセル1は、レコーダ装置102のモーションセンサ124により、対象児童に身に付けられたランドセル1の動き情報見守り情報の検出を行い、その動き見守り情報をレコーダ装置102の記憶部126に記憶する。
【0073】
ステップS109において、ランドセル1は、レコーダ装置102の制御部122により、ステップS108で取得した動き見守り情報が、例えば加速度が急上昇する等のランドセル1の動きが急変したことを示す情報であるか否かを判断する。
【0074】
このステップS109において、ランドセル1は、ステップS108で取得した動き見守り情報が、ランドセル1の動きが急変したことを示す情報であると判断した場合には(ステップS109でYes)ステップS110に進み、ランドセル1の動きが急変したことを示すものでないと判断した場合には(ステップS109でNo)ステップS111に進む。
【0075】
ステップS110において、ランドセル1は、カメラ装置101のスピーカ部112よりアラートを発生させる。この場合、ランドセル1の動きが急変したことで、対象児童が、例えば自動車等と衝突した、急に逃げ出した、誰かから暴力を受けた等の危ない状況に陥ったおそれがある。そのため、ステップS107と同様に、アラートの発生により、ランドセル1の周囲の者に対して監視、注意、警告、威嚇等の効果を発揮することができる。
【0076】
なお、ランドセル1は、モーションセンサ124により、このようなランドセル1の動きが急変したことを検出した場合に限らず、登下校時間帯の長い時間に亘ってランドセル1の動きの変化を検出しない場合にもアラートを発生させるようにしてもよい。例えば、ランドセル1は、朝の登校の時間帯(例えば7時~9時)及び夕方の下校の時間帯(例えば15時~18時)において、ランドセル1の動きの変化を検出しない状態が所定時間(例えば1時間)以上続いた場合に、スピーカ部112よりアラートを発生させるようにする。この場合、ランドセル1が長時間放置された可能性があり、ランドセル1が置かれたまま、対象児童の連れ去り等が発生したおそれがある。そのため、この場合においても同様に監視、注意、警告、威嚇等の効果を発揮することができる。
【0077】
ステップS111において、ランドセル1は、レコーダ装置102の記憶部126に記憶した見守り情報(画像見守り情報、音声見守り情報、位置見守り情報、動き見守り情報)を、送信部125のSIMにより送信する処理を行う。これらの見守り情報は、ランドセル1の送信部125からネットワーク5経由でサーバ2へと送信される。そして、ランドセル1は、本見守り制御処理を終了する。
【0078】
図6は、図4のステップS3のサーバ2によるいじめ抑制処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0079】
ステップS301において、サーバ2は、ランドセル1からネットワーク5を介して受信した見守り情報(画像見守り情報、音声見守り情報、位置見守り情報及び動き見守り情報)を見守り情報記憶部31に記憶する。
【0080】
ステップS302において、サーバ2は、見守り情報記憶部31に記憶された見守り情報の内の音声見守り情報の音声がいじめワードに該当するか否かを判断し、いじめワードに該当すると判断した場合には(ステップS302でYes)ステップS303に進み、いじめワードに該当しないと判断した場合には(ステップS302でNo)、本いじめ抑制処理を終了する。
【0081】
ステップS303において、サーバ2は、ステップS302でいじめワードに該当すると判断された音声見守り情報(いじめワード情報)に、付加情報として「地方情報」及び「日時情報」を付加し、いじめワード全国データベース(DB)32に記憶する。
【0082】
「地方情報」は、いじめワードの音声見守り情報に対応付けられた位置見守り情報が示す位置が存在する地方であって、「北日本」、「東日本」、「西日本」、「南日本」の何れかの地方を示す情報である。「日時情報」は、いじめワードの音声見守り情報がランドセル1によって録音された日時を示す情報である。なお、いじめワード情報をいじめワード全国データベース32に記憶する具体例については、図7を用いて後述する。
【0083】
ステップS304において、サーバ2は、いじめワード全国データベース32に記憶されたいじめワード情報を、そのいじめワード情報に付加された地方情報が示す地方毎に分類する。
【0084】
すなわち、サーバ2は、いじめワード全国データベース32に記憶されたいじめワード情報を読み出し、そのいじめワード情報に付加された地方情報が示す「北日本」、「東日本」、「西日本」、「南日本」の何れかの地方に対応するデータベース(いじめワード北日本データベース33、いじめワード東日本データベース34、いじめワード西日本データベース35、又はいじめワード南日本データベース36)に記憶する。
【0085】
例えば、地方情報として「東日本」が付加されたいじめワード情報「うざい」は、いじめワード東日本データベース34に記憶され、地方情報として「西日本」が付加されたいじめワード情報「あほ」は、いじめワード西日本データベース35に記憶される。
【0086】
このように、いじめワード北日本データベース33、いじめワード東日本データベース34、いじめワード西日本データベース35及びいじめワード南日本データベース36のそれぞれは、その地方で取得されたいじめワード情報が記憶される。このようにして、地方毎に上述の「特定の安全条件」としての「いじめワード情報」が抽出される。
【0087】
サーバ2は、「北日本」、「東日本」、「西日本」、「南日本」それぞれの地方において、ランドセル1によって取得された音声が、その地方のデータベース33~36のそれぞれに記憶されたいじめワード情報のいじめワードに該当すると判断すると、いじめが発生した旨の安全性情報をそのランドセル1を身に付ける児童の保護者の携帯端末4に送信する。なお、いじめワード情報を地方のデータベースの一例であるいじめワード東日本データベース34に記憶する具体例については、図8を用いて後述する。
【0088】
ステップS305において、サーバ2は、見守り情報記憶部31に記憶された見守り情報の内のいじめワードに該当する音声見守り情報(いじめワード情報)を、そのいじめワードの音声が録音されたランドセル1を識別(すなわち児童を識別)する識別ID毎に分類する。すなわち、サーバ2は、識別ID毎に、いじめワード情報に、付加情報として、「日時情報」と、「位置情報」(位置見守り情報)と、「音量指数」と、「ワード危険指数」と、「いじめワード発生回数/日」と、「いじめ発生指数」とを対応付けていじめワード個人データベース37に記憶する。なお、いじめワード情報をいじめワード個人データベース37に記憶する具体例については、図9を用いて後述する。
【0089】
ステップS306において、サーバ2は、音声見守り情報を受信したランドセル1を身に付ける児童(対象児童)の安全性情報として、その対象児童に対していじめが発生していることを示す「いじめ発生情報」を生成する。
【0090】
ステップS307において、サーバ2は、ステップS306で生成した安全性情報の通知の重要性の指標となる通知レベルを後述の安全性情報の通知態様決定テーブルを用いて決定する。
【0091】
ステップS308において、サーバ2は、後述の安全性情報の通知態様決定テーブルに基づいて、ステップS307で決定した通知レベルに応じた通知態様で安全性情報を対象児童の保護者が所有する携帯端末4に通知する。例えば、サーバ2は、その決定した通知態様で安全性情報を携帯端末4における見守りシステム20の専用アプリで通知するように、その決定した通知態様を示す通知態様情報を安全性情報に付加してネットワーク5経由で対象児童の保護者が所有する携帯端末4に送信する。また例えば、サーバ2は、後述するように、その決定した通知態様に応じてメール等によって安全性情報を携帯端末4に通知する。
【0092】
但し、このステップS308では、サーバ2は、ステップS307で決定された通知レベルが、後述の「安全(C)レベル」である場合には、そもそも安全性情報を送信しないようにする。
【0093】
サーバ2は、このようなステップS308の処理の後に、本いじめ抑制処理を終了する。
【0094】
なお、この安全性情報の通知態様決定テーブルを用いて、安全性情報の通知態様を決定する具体例については、図11を用いて後述する。
【0095】
図7は、いじめワード全国データベース32にいじめワード情報が記憶される具体例を示す図である。2016年6月1日16時5分に東京都内で「うざい」といういじめワードの音声見守り情報がランドセル1によって録音された場合、図7(a)に示すように、いじめワード全国データベース32において、「いじめワード情報」として「うざい」が、「地方情報」として「東日本」が、「日時情報」として「2016/6/1,16:05」が対応付けられて記憶される。
【0096】
このようないじめワード情報は、ランドセル1によって録音される毎に「いじめワード情報」に地方情報及び日時情報が対応付けられて記憶される。図7(b)には、ある児童に対して「うざい」といういじめワードが4回連続で発せられた例が示されている。
【0097】
このようにして、図7(c)に示すように、いじめワード全国データベース32には、全国各地のランドセル1から取得されたいじめワード情報が記憶され続けていく。なお、いじめワード全国データベース32において、いじめワード情報は、予め決められた期間(例えば30日間)記憶され続け、その後に消去される。
【0098】
図8は、いじめワード東日本データベース34にいじめワード情報が記憶される具体例を示す図である。いじめワード東日本データベース34では、取得されたいじめワード情報と、東日本内でいじめワード情報が取得される毎に更新される、そのいじめワードの東日本内での発生回数(いじめワード東日本全体発生回数)と、いじめワード東日本全体発生回数に応じた順位とが対応付けて記憶される。いじめワード東日本データベース34では、いじめワード東日本全体発生回数が多いいじめワード情報ほど高い順位が設定される。
【0099】
例えば、サーバ2が、東日本内の何れのランドセル1からもいじめワード情報を取得していない状態では、図8(a)に示すように、デフォルトの情報として、「しね」、「きもい」、「うざい」、「まぬけ」、「ばか」といったいじめワードを示すいじめワード情報が記憶されている。その後、図8(b)に示すように、これらのいじめワード情報が録音される毎に、各いじめワード情報について、そのいじめワード東日本全体発生回数が更新され、そのいじめワード東日本全体発生回数に応じた順位が設定される。図8(b)では、順位が1位の「ばか」、2位の「しね」では、3位の「きもい」、4位の「うざい」のいじめワード東日本全体発生回数に対し、5位の「まぬけ」のいじめワード東日本全体発生回数が圧倒的に少なくなっている。
【0100】
サーバ2は、5位の「まぬけ」のいじめワード東日本全体発生回数が、一定期間(例えば10日間)を経過する時点で、一定回数(例えば100回)を超えないと判断すると、図8(c)に示すように、次に新たな種類のいじめワード情報「きたない」を記憶する際に、いじめワード情報「まぬけ」に代えていじめワード情報「きたない」を記憶するようにする。
【0101】
このいじめワード東日本データベース34と同様に、いじめワード北日本データベース33、いじめワード西日本データベース35及びいじめワード南日本データベース36においても、その地方で取得されたいじめワード情報が記憶されていく。
【0102】
図9は、いじめワード個人データベース37にいじめワード情報が記憶される具体例を示す図である。いじめワード個人データベース37には、ランドセル1(すなわち児童)を識別するための識別ID毎に、そのランドセル1によって取得されたいじめワード情報に、「日時情報」と、「位置情報」(位置見守り情報)と、「音量指数」と、「ワード危険指数」と、「いじめワード発生回数/日」と、「いじめ発生指数」とが対応付けられて記憶される。
【0103】
ここで、「音量指数」は、いじめワード情報の音声の音量を示す指数であり、最小音量の1から最大音量の5までの5段階に分類される。サーバ2は、ランドセル1からサーバ2に送信された音声見守り情報からいじめワードの音声に係る音量指数として、1~5の何れかの音量指数をいじめワード個人データベース37に記憶する。
【0104】
「ワード危険指数」は、いじめワードの意味の危険性を示す指数である。サーバ2は、ランドセル1を身に付ける対象児童の周囲で発せられたいじめワードが、例えば「しね」、「ころす」、「なぐるぞ」等の対象児童の身体に危害が加えられる可能性が高く深刻ないじめに発展しそうな危険ないじめワードである場合には、「ワード危険指数」として5を決定する。
【0105】
また、例えば「うざい」、「きもい」等の対象児童の身体に危害が加えられる可能性は低いものの、深刻ないじめに発展する可能性があるようないじめワードである場合には、「ワード危険指数」として4を決定する。
【0106】
また例えば、サーバ2は、その対象児童の周囲で発せられたいじめワードが「ばか」、「あほ」、「まぬけ」等の対象児童の身体に危害が加えられる可能性が低く深刻ではないようないじめワードである場合には「ワード危険指数」として2を決定する。サーバ2は、ランドセル1からサーバ2に送信された音声見守り情報におけるいじめワードの「ワード危険指数」を決定していじめワード個人データベース37に記憶する。
【0107】
また、「いじめワード発生回数/日」は、サーバ2が、現時点でその日に識別IDで識別されるランドセル1からいじめワード情報を取得した回数を意味する。サーバ2は、現時点での「いじめワード発生回数/日」をいじめワード個人データベース37に記憶する。
【0108】
また、「いじめ発生指数」は、いじめワード個人データベース37に記憶されている識別IDに対応付けられた現時点での「いじめワード発生回数/日」に対応して決定される指数である。サーバ2は、いじめワード個人データベース37に記憶されている識別IDに対応付けられた現時点での「いじめワード発生回数/日」に基づいて、「いじめ発生指数」を決定する。
【0109】
例えば、サーバ2は、現時点での「いじめワード発生回数/日」が、1~5回であれば「いじめ発生指数」として2を決定し、6~10回であれば「いじめ発生指数」として3を決定し、11~15回であれば「いじめ発生指数」として4を決定し、16回以上であれば「いじめ発生指数」として5を決定する。そして、サーバ2は、決定した「いじめ発生指数」をいじめワード個人データベース37に記憶する。
【0110】
この図9のいじめワード個人データベース37には、2016年6月1日に、サーバ2が東京都内の識別ID「2698」のランドセル1から「うざい」といういじめワード情報を4回連続で受信し、その後、「しね」といういじめワード情報を1回受信した場合の状態が示されている。
【0111】
この図9に示すように、いじめワード個人データベース37には、識別ID「2698」で識別されるランドセル1を身に付ける児童の2016年6月1日の情報として、いじめワード情報である「うざい」に、その録音された日時を示す日時情報である「2016/6/1,16:05」と、その録音された際の識別ID「2698」のランドセル1の位置情報である「東京都〇〇区・・」と、そのいじめワード情報の音声の音量指数である5と、ワード危険指数である4と、いじめワード発生回数/日である5と、いじめ発生指数である2とが対応付けられている。また、この児童のこの日の情報として、いじめワード情報である「しね」に、日時情報である「2016/6/1,16:52」と、位置情報である「東京都〇〇区・・」と、その音量指数である5と、ワード危険指数である5と、いじめワード発生回数/日である5と、いじめ発生指数である2とが対応付けられている。
【0112】
図10は、図4のステップS6のサーバ2による閲覧認定処理の動作を説明するためのフローチャートである。図10(a)は、この閲覧認定処理の一例である閲覧認定処理(例1)を説明するためのフローチャートであり、図10(b)は、この閲覧認定処理の他の例である閲覧認定処理(例2)を説明するためのフローチャートである。
【0113】
上述したように、このサーバ2による閲覧認定処理は、図4のステップS5の保護者の携帯端末4からサーバ2への画像見守り情報の取得要求がなされたことにより行われる処理である。
【0114】
図10(a)に示す閲覧認定処理(例1)では、ステップS601において、サーバ2は、画像見守り情報の取得要求を行った携帯端末4に対し、現時点でその日にその携帯端末4を所有する保護者の児童(対象児童)に係る何らかの安全性情報を送信したか否かを判断する。
【0115】
そして、サーバ2は、その携帯端末4に対して何らかの安全性情報を送信したと判断した場合には(ステップS601でYes)ステップS602に進み、その携帯端末4に対して何れの安全性情報も送信していないと判断した場合には(ステップS601でNo)ステップS603に進む。
【0116】
ステップS602において、サーバ2は、ステップS601で送信したと判断した安全性情報の「通知レベル」が後述の「警告(A)レベル」以上(「警告(A)レベル」又は「緊急(S)レベル」)であるか否かを判断する。そして、サーバ2は、この安全性情報の「通知レベル」が「警告(A)レベル」以上であると判断した場合には(ステップS602でYes)ステップS604に進み、「警告(A)レベル」未満(「認知(B)レベル」)であると判断した場合には(ステップS602でNo)ステップS603に進む。
【0117】
ステップS603において、サーバ2は、携帯端末4への画像見守り情報の送信を制限する制限基準を満たしているとして画像見守り情報に対し、その画像を見えなくする又は見え難くする閲覧制限処理を行う。このステップS603において、サーバ2は、画像見守り情報の取得要求がなされた際に取得された画像見守り情報を見守り情報記憶部31から読み出し、その画像見守り情報の画像データに対し、閲覧制限処理としてモザイク、ぼかし、塗り潰し等の画像処理を施す。
【0118】
ステップS604において、サーバ2は、ステップS602に続く処理としては、「警告(A)レベル」又は「緊急(S)レベル」の安全性情報が送信された後であることから、保護者に画像の内容を認識させる必要性が高いため、上述の閲覧制限処理が施されない画像データからなる画像見守り情報をネットワーク5経由で画像見守り情報の閲覧要求を行った保護者の携帯端末4へ送信する処理を行う。また、サーバ2は、この処理において、閲覧制限処理が施されない画像データからなる画像見守り情報とともに、この画像見守り情報に対応する音声見守り情報を携帯端末4へ送信するようにしてもよい。
【0119】
また、ステップS604において、サーバ2は、ステップS603に続く処理としては、携帯端末4へ安全性情報を送信していないか、「認知(B)レベル」の安全性情報が送信された後であることから、保護者に画像の内容を認識させる必要性が低いため、上述の閲覧制限処理が施された画像データからなる画像見守り情報をネットワーク5経由で画像見守り情報の閲覧要求を行った保護者の携帯端末4へ送信する処理を行う。また、サーバ2は、この処理において、閲覧制限処理が施された画像データからなる画像見守り情報とともに、この画像見守り情報に対応する音声見守り情報を携帯端末4へ送信するようにしてもよい。
【0120】
或いは、ステップS604において、サーバ2は、ステップS603に続く処理としては、携帯端末4へ安全性情報を送信していないか、「認知(B)レベル」の安全性情報が送信された後であることから、保護者に画像の内容を認識させる必要性が低いため、そもそも画像見守り情報を携帯端末4へ送信しないようにしてもよい。この場合、サーバ2は、音声見守り情報のみを携帯端末4へ送信するようにしてもよい。
【0121】
サーバ2が、ステップS604において、ステップS603に続く処理として上述の処理を行うことによって、対象児童の保護者は、安全性情報が通知されていないか、「認知(B)レベル」の安全性情報が通知された後というように、対象児童が深刻ないじめに遭遇していないような状態では、その保護者が無駄に画像の閲覧を行うことがないようにすることができる。
【0122】
サーバ2は、このようなステップS604の処理を行った後、本閲覧認定処理(例1)を終了する。
【0123】
図10(b)に示す閲覧認定処理(例2)では、ステップS611において、サーバ2は、見守り情報記憶部31に記憶する位置見守り情報(位置情報)が、予め指定された指定範囲内にあるか否かを判断する。
【0124】
そして、サーバ2は、その位置見守り情報(位置情報)が、予め指定された指定範囲内にあると判断した場合には(ステップS611でYes)ステップS613に進み、位置見守り情報(位置情報)が、予め指定された指定範囲内にないと判断した場合には(ステップS611でNo)ステップS612に進む。
【0125】
ステップS612において、サーバ2は、携帯端末4への画像見守り情報の送信を制限する制限基準を満たしているとして画像見守り情報に対し、上述のステップS603と同様の閲覧制限処理を行う。
【0126】
ステップS613において、サーバ2は、上述のステップS604と同様の画像見守り情報の送信処理を行う。すなわち、このステップS613では、ステップS611に続く処理としては、上述のステップS604のステップS602に続く処理と同様の処理を行い、ステップS612に続く処理としては、上述のステップS604のステップS603に続く処理と同様の処理を行う。そして、サーバ2は、このステップS613の処理を行った後、本閲覧認定処理(例2)を終了する。
【0127】
図11は、図6のステップS307及びステップS308で用いられる安全性情報の通知態様決定テーブルの具体例を示す図である。この安全性情報の通知態様決定テーブル39は、サーバ2が備える記憶部3の一部領域に記憶される。
【0128】
図11に示すように、安全性情報の通知態様決定テーブル39には、安全性情報の通知の重要性の指標となる「通知レベル」として「安全(C)レベル」、「認知(B)レベル」、「警告(A)レベル」、「緊急レベル(S)」が記憶されている。「安全(C)レベル」、「認知(B)レベル」、「警告(A)レベル」、「緊急レベル(S)」となるにつれて、保護者に対する安全性情報の通知の重要性が高くなるため、保護者に対する通知の態様がより認識され易い態様となっていく。
【0129】
サーバ2は、この通知レベルを決定する際には、図9のいじめワード個人データベース37に記憶されている対象児童の識別IDに対応付られた「音量指数」と「ワード危険指数」と「いじめ発生指数」とを掛け合せた積算値を算出し、その積算値に応じて、その対象児童に係る安全性情報を通知する際の「通知レベル」を決定する。
【0130】
例えば、サーバ2は、「音量指数」と「ワード危険指数」と「いじめ発生指数」とを掛け合せた積算値が、30以下であれば「通知レベル」として「安全(C)レベル」を決定し、31~60であれば「通知レベル」として「認知(B)レベル」を決定し、61~90であれば「通知レベル」として「警告(A)レベル」を決定し、91以上であれば「通知レベル」として「緊急(S)レベル」を決定する。
【0131】
なお、通知レベルの決定の方法は、このようなものに限定されない。例えば、いじめワードの発声のされ方、いじめワードが発生された際の前後の会話の文脈についてもそれぞれ指数として定義し、それらの指数を用いて積算値を算出するようにしてもよい。
【0132】
サーバ2は、「通知レベル」として「安全(C)レベル」を決定した場合には、安全性情報を保護者の携帯端末4に「通知しない」ことを決定する。これにより、対象児童が安全な状態である場合には、その対象児童の保護者に対して無駄にメールによる通知を行わないことから、保護者が煩わしく感じることを防止することができる。
【0133】
また、サーバ2は、「通知レベル」として「認知(B)レベル」を決定した場合、安全性情報を保護者の携帯端末4に「メールで通知する」とともに、その携帯端末4のLEDを点灯させることを決定する。或いは、この場合に、サーバ2は、安全性情報を保護者の携帯端末4に「メールで通知する」ことのみを決定するようにしてもよい。
【0134】
また、サーバ2は、「通知レベル」として「警告(A)レベル」を決定した場合、安全性情報を保護者の携帯端末4に「メールで通知する」とともに、その携帯端末4のアラームを鳴らすことを決定する。
【0135】
また、サーバ2は、「通知レベル」として「緊急(S)レベル」を決定した場合、安全性情報を保護者の携帯端末4に「メールで通知する」こと、また、その携帯端末4のアラームを鳴らすこと、さらに、その携帯端末4のLEDを点灯させることを決定する。
【0136】
サーバ2は、このように決定した通知態様で、安全性情報を携帯端末4に送信する。なお、安全性情報の通知態様の例は、このようなものに限定されない。
【0137】
図12は、携帯端末4の画面の表示例を示す図である。図12(a)には、見守りシステム20の専用アプリの初期画面の例を示し、図12(b)には、見守りシステム20においてサーバ2から送信された安全性情報に係るメールの画面の例を示している。
【0138】
携帯端末4において、見守りシステム20の専用アプリである「あんしん見守りサービス」が起動されると、図12(a)に示すように、携帯端末4の表示部401には、その「あんしん見守りサービス」の初期画面402が表示される。そして、その初期画面402には、それぞれクリック可能な「画像の閲覧」という表示領域403、「音声の取得」という表示領域404、「位置情報の取得」という表示領域405が表示される。
【0139】
対象児童の保護者が「画像の閲覧」の表示領域403をクリックすると、携帯端末4からネットワーク5経由でサーバ2へとその対象児童に係る画像見守り情報の取得要求が送信される。そして、サーバ2からネットワーク5経由で携帯端末4へとその取得要求に係る画像見守り情報が送信されることで、携帯端末4の表示部401にその画像が表示される。
【0140】
なお、上述したように、サーバ2が携帯端末4へ安全性情報を送信していないか、「認知(B)レベル」の安全性情報を送信した後である場合には、対象児童の保護者が「画像の閲覧」の表示領域403をクリックしても、その対象児童の保護者の携帯端末4の表示部401には、画像見守り情報として閲覧制御処理が施された画像が表示されるか、或いは、そのような画像自体表示されない。
【0141】
また、対象児童の保護者が「音声の取得」の表示領域404をクリックすることにより、その対象児童に係る音声見守り情報の取得要求がなされると、携帯端末4からネットワーク5経由でサーバ2へとその対象児童に係る音声見守り情報の取得要求が送信される。そして、サーバ2からネットワーク5経由で携帯端末4へとその取得要求に係る音声見守り情報が送信されることで、携帯端末4のスピーカからその音声が出力される。
【0142】
また、対象児童の保護者が「位置情報の取得」の表示領域405をクリックすることにより、その対象児童に係る位置見守り情報の取得要求がなされると、携帯端末4からネットワーク5経由でサーバ2へとその対象児童に係る位置見守り情報の取得要求が送信される。そして、サーバ2からネットワーク5経由で携帯端末4へとその取得要求に係る位置見守り情報が送信されることで、携帯端末4の表示部401には、その対象児童の現在の位置を明示した地図画像と、その位置の都道府県、市区町村、間地区、番地等の文字画像とが表示される。
【0143】
また、見守りシステム20では、例えば図12(b)に示すようなメール画面410のメールによって、サーバ2から携帯端末4に対して安全性情報として「いじめ発生情報」が通知される。この図12(b)に示すメール画面410においては、「『あんしん見守りサービス』より以下の安全性情報を通知します。」といった文章の後に、例えば「安全性情報:いじめ発生」と表示し、いじめワード情報を録音した日時情報として「日時:2016/06/23」及び「時刻15:20」を表示する。そして、「しね」といういじめワードが発生した旨の「いじめワード『しね』」と、その通知レベルが「警告(A)レベル」であった旨の「警告(A)」とを表示する。
【0144】
そして、このように、安全性情報の通知レベルが「警告(A)レベル」であることから、携帯端末4は、このようなメールの表示に伴いアラームを鳴らすようにする。
【0145】
このような第1実施形態では、カメラ装置101と、レコーダ装置102とがケーブル103によって接続されて構成される見守り装置100について説明したが、見守り装置の構成は、このようなものに限定されない。
【0146】
本発明の第2の実施形態(以下、これを「第2実施形態」という。)について、図13及び図14を用いて詳細に説明する。
【0147】
図13は、第2実施形態のランドセル1Aの斜視図である。この第2実施形態において、第1実施形態で説明した構成と同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0148】
ランドセル1Aが備える見守り装置200は、カメラ装置の機能を有したレコーダ装置であるカメラ付レコーダ装置201と、ランドセル1Aを身に付ける児童が所有する携帯端末230とが、USBケーブル等のケーブル203を介して接続されている。この携帯端末230は、例えば汎用のスマートフォンであり、ランドセル1Aに形成された収容ケース14Aに収容される。カメラ付レコーダ装置201の直方体の筐体201aには、撮像レンズ101b及びLED101cの他に、児童の指先で押圧可能な押圧式のスイッチによって構成されるスイッチ部227が設けられている。
【0149】
第2実施形態における見守り装置200では、このようなカメラ付レコーダ装置201で取得した画像見守り情報及び音声見守り情報をケーブル203を介して携帯端末230に送信する。
【0150】
また、携帯端末230には、上述の位置センサ123に相当する機能と、上述のモーションセンサ124に相当する機能とが搭載されている。これにより、携帯端末230は、これらの機能によって対象児童に係る位置見守り情報及び動き見守り情報を取得することができる。
【0151】
そのため、見守り装置200では、携帯端末230が、画像見守り情報、音声見守り情報、位置見守り情報及び動き見守り情報を、自身に搭載されているSIMを介してネットワーク5経由でサーバ2に送信する。
【0152】
このことから、見守り装置200では、カメラ付レコーダ装置201において、上述の位置センサ123に相当する構成、上述のモーションセンサ124に相当する構成の何れも備えていない。また、カメラ付レコーダ装置201には、ネットワーク5経由でサーバ2にデータを送信するための上述のSIMのような通信機能を備えていない。このような点から、見守り装置200は、上述の見守り装置100よりもその製造コストを低減させることができる。
【0153】
図14は、第2実施形態における見守り装置200の機能的な構成を示すブロック図である。見守り装置200は、カメラ付レコーダ装置201と携帯端末230との間で上述のケーブル203を介してデータの送受信を行う。
【0154】
見守り装置200において、カメラ付レコーダ装置201は、本体部211と、本体部211に接続されるスイッチ部127とバッテリ128とを備える。本体部211は、上述のカメラ装置101が備える構成と同様の構成である、撮像レンズ101bを有する撮像部110と、音声取得部111と、スピーカ部112と、LED101cとを備える。また、本体部211は、制御部122と、送信部225と、記憶部126とを備える。
【0155】
本体部211において、制御部122は、カメラ付レコーダ装置201の動作全体を制御する。また、制御部122は、撮像部110から供給された画像データ(画像見守り情報)及び音声取得部111から送信された音声データ(音声見守り情報)を記憶部126に記憶する。そして、制御部122は、記憶部126に記憶した画像見守り情報及び音声見守り情報を送信部225に供給する。
【0156】
送信部225は、USBケーブル等のケーブル203を介して携帯端末230に対して画像見守り情報及び音声見守り情報を送信する。なお、送信部225は、このようなケーブル203を介してではなく、無線通信により携帯端末230に画像見守り情報及び音声見守り情報を送信するようにしてもよい。
【0157】
携帯端末230は、送信部225から受信した画像見守り情報及び音声見守り情報と、自身が取得した位置見守り情報及び動き見守り情報とを、自身に搭載されているSIMを介してネットワーク5経由でサーバ2に送信する。
【0158】
上述の実施形態(第1及び第2実施形態)では、サーバ2がランドセル1から見守り情報を受信する毎に安全性情報を携帯端末4に送信する例について説明したが、このような例に限定されない。例えば、見守りシステム20において、サーバ2は、1日の内の特定の時間(例えば18時0分)となった時点で、安全性情報を携帯端末4に送信するようにしてもよい。これにより、見守りシステム20では、保護者の携帯端末4に安全性情報が頻繁に通知されることによる煩わしさを防止することができる。
【0159】
また、上述の実施形態では、「対象児童の安全性」を「対象児童のいじめの被害性」とし、「特定の安全条件」を「データベース33~36に記憶された『いじめワード情報』」とし、安全性情報としていじめが発生した旨の「いじめ発生情報」を生成する例について説明したが、このような例に限定されない。例えば、見守りシステム20では、「対象児童の安全性」を「対象児童の不審者等の遭遇性」とし、「特定の安全条件」を「不審者データベースに記憶された顔画像」とし、安全性情報として不審者等に遭遇した旨の「不審者遭遇情報」を生成するようにしてもよい。
【0160】
この場合、サーバ2は、警察、役所等が情報提供を行っている容疑者、不審者等の顔画像のデータを不審者データとして不審者データベースに記憶する。そして、サーバ2は、対象児童が身に付けるランドセル1から受信した画像見守り情報の画像中に、不審者データベースに記憶された顔画像が含まれる場合に、安全性情報として「不審者遭遇情報」を対象児童の保護者の携帯端末4に送信するようにしてもよい。
【0161】
また、上述の実施形態の見守りシステム20では、携帯端末4は、閲覧要求に係る画像を保護者が閲覧する毎に、見守りシステム20の専用アプリ上でその閲覧履歴の情報を表示するようにしてもよい。また、サーバ2が、この閲覧履歴の情報を記憶するようにしてもよい。これにより、見守りシステム20では、携帯端末4を所有する保護者に画像の閲覧の回数や頻度等を認識させることができる。
【0162】
さらに、サーバ2は、1日における携帯端末4による画像の閲覧回数(すなわち閲覧履歴の情報を記憶した回数)が所定回数(例えば100回)以上となった時点でサーバ2から携帯端末4への画像見守り情報の送信を制限するようにしてもよい。
【0163】
これらの処理により、見守りシステム20では、保護者による画像の無駄な閲覧を防止することができる。
【符号の説明】
【0164】
1,1A ランドセル、2 サーバ、3 記憶部、4,230 携帯端末、5 ネットワーク、11 背当て面、12 肩ベルト、13 右側面、14 収容ケース、20 見守りシステム、31 見守り情報記憶部、32 いじめワード全国データベース、33 いじめワード北日本データベース、34 いじめワード東日本データベース、35 いじめワード西日本データベース、36 いじめワード南日本データベース、37 いじめワード個人データベース、39 安全性情報の通知態様決定テーブル、100,200 見守り装置、101 カメラ装置、101a 筐体、101b 撮像レンズ、101c LED、102 レコーダ装置、103,203 ケーブル、110 撮像部、111 音声取得部、112 スピーカ部、121 本体部、122 制御部、123 位置センサ、124 モーションセンサ、125,225 送信部、126 記憶部、127 スイッチ部、128 バッテリ、201 カメラ付レコーダ装置、211 本体部、225 送信部、401 表示部、403~405 表示領域、402 初期画面、410 メール画面
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