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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】シート加工装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20230906BHJP
   B26D 7/01 20060101ALI20230906BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20230906BHJP
   B65H 37/00 20060101ALI20230906BHJP
   B26D 1/08 20060101ALN20230906BHJP
【FI】
B65H7/02
B26D7/01 C
B65H5/06 M
B65H37/00
B26D1/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019132881
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2021017310
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】太田 敏司
(72)【発明者】
【氏名】山口 太一
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-201646(JP,A)
【文献】特開2001-232700(JP,A)
【文献】特開2005-239307(JP,A)
【文献】特開2003-155147(JP,A)
【文献】特開2016-088677(JP,A)
【文献】特開2013-066300(JP,A)
【文献】実開平04-044236(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 7/00- 7/20
B65H 37/00-37/06
B65H 43/00-43/08
B26D 1/08
B26D 7/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送路に沿って搬送するシート搬送部と、
前記搬送路の下流側に配設されて、搬送方向に直交する搬送直交方向に前記シートの加工を施す直交方向加工部と、
前記直交方向加工部よりも搬送方向上流側直近の前記搬送路に配設されて、前記シートの前端を検出する下流位置センサと、
前記下流位置センサよりも搬送方向上流側の前記搬送路に配設されて、前記シートの前記前端を検出する上流位置センサと、
前記シート搬送部と前記直交方向加工部とに関する動作を制御する制御部とを備え、
前記下流位置センサよりも搬送方向上流側の前記搬送路には減速開始ポイントが設けられるとともに、前記下流位置センサよりも搬送方向下流側の前記搬送路には、停止開始ポイントが設けられて、
前記シートが前記減速開始ポイントに到達したことが前記上流位置センサによって検出されると、前記制御部は、前記減速開始ポイントと前記停止開始ポイントとの間の前記搬送路において、前記上流位置センサと前記減速開始ポイントとの間におけるシート搬送速度よりも低速であり且つ前記シートを前記直交方向加工部の加工位置に位置決めすることを可能とする減速搬送速度以下で前記シートを搬送するように前記シート搬送部を制御し、
前記シートが前記停止開始ポイントに到達したことが前記下流位置センサによって検出されると、前記制御部は、前記シートが前記直交方向加工部の前記加工位置に停止するように前記シート搬送部を制御することを特徴とする、シート加工装置。
【請求項2】
前記減速開始ポイントが、前記シート搬送速度に応じて調整されることを特徴とする、請求項に記載のシート加工装置。
【請求項3】
前記下流位置センサと前記上流位置センサとの間の前記搬送路には、前記シートの前記前端を検出する中間位置センサが配設されて、前記中間位置センサを基準とした中間ベースのシート位置情報が、前記上流位置センサを基準とした上流ベースのシート位置情報と異なっていると、前記制御部は、前記中間ベースのシート位置情報に基づいて前記シート搬送部を制御することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のシート加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シートの搬送方向に直交する搬送直交方向(横方向)にシートを加工する横加工ユニットを含むシート加工装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-201646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているシート加工装置では、横加工ユニットの搬送方向の上流側に設けられた下流位置センサによってシートの前端を検出し、所定の加工位置でシートの搬送を停止する制御が行われている。単位時間当たりのシート処理能力を高めるために、シート搬送速度を高速にすると、シートを所定の加工位置で停止させること(位置決めすること)が困難になる。すなわち、シートを高速で搬送すると、シートの搬送停止に係る精度が悪くなり、加工位置にズレが発生するおそれがある。
【0005】
したがって、この発明の解決すべき技術的課題は、シート搬送速度を高速にしても、搬送中のシートを所定の加工位置で停止できるシート加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、この発明によれば、以下のシート加工装置が提供される。
【0007】
すなわち、この発明に係るシート加工装置は、
シートを搬送路に沿って搬送するシート搬送部と、
前記搬送路の下流側に配設されて、搬送方向に直交する搬送直交方向に前記シートの加工を施す直交方向加工部と、
前記直交方向加工部よりも搬送方向上流側直近の前記搬送路に配設されて、前記シートの前端を検出する下流位置センサと、
前記下流位置センサよりも搬送方向上流側の前記搬送路に配設されて、前記シートの前記前端を検出する上流位置センサと、
前記シート搬送部と前記直交方向加工部とに関する動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記上流位置センサによる検出結果に基づいてシート搬送速度を制御するとともに、前記下流位置センサによる検出結果に基づいて前記シートが前記直交方向加工部における加工位置に位置するように前記シート搬送部を制御することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、上流位置センサによってシート搬送速度が制御されるとともに、下流位置センサによって直交方向加工部における加工位置が制御されるので、シート搬送速度を高速にしても、搬送中のシートを所定の加工位置に停止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態に係るシート加工装置の全体構成を模式的に示す縦断面図である。
図2図1に示したシート加工装置の要部を上から見た模式的説明図である。
図3図1に示したシート加工装置のブロック図である。
図4図1に示したシート加工装置における搬送制御に係るフローチャートである。
図5】従来の搬送制御を説明する模式図である。
図6】この発明の搬送制御(搬送ズレが無い場合)を説明する模式図である。
図7】この発明の搬送制御(搬送ズレが有る場合)を説明する模式図である。
図8】この発明の搬送制御(搬送ズレが有る場合の変形例1)を説明する模式図である。
図9】この発明の搬送制御(搬送ズレが有る場合の変形例2)を説明する模式図である。
図10】この発明の搬送制御(搬送ズレが有る場合の変形例3)を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、シート加工装置1を説明する。説明の都合上、シート100の搬送方向Fの下流側を、単に「前」または「下流側」と呼んでいる。シート100の搬送方向Fの上流側を、単に「後」または「上流側」と呼んでいる。搬送路10を挟んだ上下を、「上側」または「下側」と呼んでいる。また、搬送直交方向(搬送方向Fと直交する水平方向)を、単に「横」または「横方向」と呼び、搬送方向Fの上流側から見た状態で「右側」および「左側」を規定している。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示している。また、この発明では、シート100は、紙製シートはもちろん、樹脂製シートも含む。
【0011】
(シート加工装置の全体構成)
図1に示すように、シート加工装置1は、装置本体2の搬送路10の上流側および下流側に、供給トレイ12および排出トレイ18をそれぞれ備えている。
【0012】
装置本体2は、供給トレイ12に載置されたシート100を1枚ずつ装置本体2に送り込む吸引式搬送ベルトを備える。装置本体2内では、所定の領域毎に独立した複数個の搬送用モータ(詳細は後述する)によって駆動される複数個の対のローラ4を含むシート搬送部11によって、シート100を搬送方向Fに搬送する。したがって、複数個の対のローラ4がX方向(縦方向、搬送方向)に並んで配置されることによって、X方向(縦方向、搬送方向)に延在する搬送路10が形成されている。図1および図2に示すように、搬送路10は、供給領域10aと、読取領域10bと、前処理領域10cと、後処理領域10dとを備える。供給領域10aは、X方向(縦方向、搬送方向)に沿って、供給トレイ12から装置本体2にシート100を搬送するための領域である。読取領域10bは、CCDセンサ44によってシート100上の画像情報を読み取るための領域である。前処理領域10cは、シート100に主としてX方向(縦方向、搬送方向)の加工を施すための領域であるが、前処理領域10cの一部において、シート100にY方向(横方向、搬送直交方向)の加工を施すように構成することもできる。後処理領域10dは、シート100にY方向(横方向、搬送直交方向)の加工を施すための領域である。
【0013】
シート加工装置1の装置本体2は、装置における各種動作を制御するための制御部6を備える。図3は、シート加工装置1の制御部6に関する機能ブロック図である。制御部6(CPU:中央演算処理装置)は、シート搬送部11と、直交方向加工部として働く横クリース加工部32および横カット加工部34とに関する各種動作を制御する。制御部6は、加工ユニット20,22,24,26,28に関する各種動作も制御する。制御部6は、各種メモリと、各種の入力デバイスや出力デバイスとを通じて、各種の演算処理や加工処理や判断処理の制御を行っている。
【0014】
制御部6には、各種プログラムが格納されているROM(リード・オンリー・メモリ)や各種情報が格納されているRAM(ランダム・アクセス・メモリ)やEEPROM(電気的に消去書き込み可能なメモリ)などの各種メモリが接続されている。制御部6には、ボタンやスイッチなどの入力部やディスプレイなどの表示部を有する操作表示部7、音や光でエラーの発生を報知する報知部が接続されている。操作表示部7は、作業者が枚数などのデータや、加工位置などの加工処理情報を入力するための入力部として働く。制御部6には、供給用モータや読取領域搬送用モータや前処理搬送用モータや後処理搬送用モータなどのシート搬送用駆動源(シート搬送部11)と、スリッタ用モータやクリース用モータやカッター用モータやオプション用モータや加工デバイス移動用モータなどのシート加工用駆動源とが接続されている。制御部6には、シート検出センサ、最上流位置センサ42、CCDセンサ44、上流位置センサ46、補助位置センサ48、中間位置センサ50、下流位置センサ52、排出センサ54、リジェクトセンサなどの各種センサが接続されている。
【0015】
シート100を搬送方向Fに搬送するシート搬送部11は、一群のローラ4と、供給用モータや読取領域搬送用モータや前処理搬送用モータや後処理搬送用モータなどのシート搬送用駆動源とから構成されている。供給用モータは、供給領域10aにおいて、吸引式搬送ベルトを駆動するための駆動源である。読取領域搬送用モータは、CCDセンサ44の上流側および/または下流側(すなわち読取領域10b)に配置された一群のローラ4を回転駆動するための駆動源である。前処理搬送用モータは、第一オプション加工ユニット20の上流側ないし裁断屑落し部30の上流側(すなわち前処理領域10c)に配置された一群のローラ4を回転駆動するための駆動源である。後処理搬送用モータは、横クリース加工部32の上流側ないし横カット加工部34の下流側(すなわち後処理領域10d)に配置された一群のローラ4を回転駆動するための駆動源である。あるいは、前処理搬送用モータが第一オプション加工ユニット20の上流側ないし第三スリット加工ユニット26の上流側(すなわち前処理領域10cの一部)に配置された一群のローラ4を回転駆動するとともに、後処理搬送用モータが第三スリット加工ユニット26の下流側ないし横カット加工部34の下流側(すなわち前処理領域10cの一部および後処理領域10d)に配置された一群のローラ4を回転駆動するという構成であってもよい。
【0016】
読取領域搬送用モータや前処理搬送用モータや後処理搬送用モータなどは、例えば、ステッピングモータである。ステッピングモータは、パルス信号を与えることによって所定のステップ単位で回転して回転角度・回転速度を正確に制御できるので、シート位置情報や、各種加工デバイスの移動位置を高速に且つ高精度に制御できる。
【0017】
制御部6は、シート100の前端が上流位置センサ46を通過して上流位置センサ46を基準とする上流ベースのシート位置情報を取得するために、前処理搬送用モータから出力されるパルス数をカウントする第1カウンタとして機能する。制御部6は、シート100の前端が下流位置センサ52を通過して下流位置センサ52を基準とする下流ベースのシート位置情報を取得するために、後処理搬送用モータから出力されるパルス数をカウントする第2カウンタとして機能する。
【0018】
スリッタ用モータは、X方向(縦方向、搬送方向)の裁断を行うときにスリット加工デバイス(回転上刃および回転下刃)を回転駆動するための駆動源である。クリース用モータは、凸部を有するクリース加工上型32aを、凹部を有するクリース加工下型32gに押し込んでY方向(横方向、搬送直交方向)に延びるクリース(折り型)を形成する際にクリース加工上型32aをZ方向(上下方向)に駆動するための駆動源である。カッター用モータは、上刃を下刃に向けて押し込むように上刃をZ方向に駆動するための駆動源である。オプション用モータは、加工ユニット20,28に組み込まれた各種のオプション加工デバイス20a,28aを駆動するための駆動源である。加工デバイス移動用モータは、縦裁断用の加工ユニット22,24,26などの加工デバイス22a,24a,26aなどをY方向に駆動するための駆動源である。
【0019】
この発明の保護範囲を制限しない具体的なシート搬送速度を例示すれば、読取領域搬送用モータによって駆動される読取領域10bでのシート搬送速度は、70乃至700mm/秒である。前処理搬送用モータによって駆動される前処理領域10cでのシート搬送速度は、70乃至700mm/秒である。後処理搬送用モータによって駆動される後処理領域10dでのシート搬送速度は、70乃至700mm/秒である。なお、後述するように、最上流位置センサ42によってシート100の前端を検出するまでは、読取領域搬送用モータによるシート搬送が最高速度で行われ、最上流位置センサ42によってシート100の前端を検出した後は、読取領域搬送用モータによるシート搬送が、CCDセンサ44による読取可能な速度まで減速された状態で行われる。
【0020】
搬送路10の前処理領域10cにおいて、或るシートと当該シートに後続する次のシートとは、所定の間隔を保ちながら搬送される。前処理領域10cで搬送される或るシートとその次のシートとの間の好適な間隔は、シート搬送の安全性を考慮すると、加工ユニット20,22,24,26,28のX方向(縦方向、搬送方向)サイズに相当する距離である。加工ユニット20,22,24,26,28は、前処理領域10cにおいて、X方向(縦方向、搬送方向)に等間隔で配置されている。なお、前処理領域10cで搬送される或るシートとその次のシートとの間の最小間隔は、加工ユニット20,22,24,26,28に含まれる加工デバイスのX方向(縦方向、搬送方向)サイズに相当する距離に、加工デバイス(例えばスリット加工ユニット22,24,26の回転刃)がY方向(横方向、搬送直交方向)の位置決め移動に要する時間分の移動距離を加味した距離である。
【0021】
搬送路10に沿った適宜の位置には、複数個の加工手段(加工ユニットや加工部)が配置されている。図1に示した実施形態では、搬送路10の上流側から下流側に向けて、第一オプション加工ユニット20、第一スリット(縦裁断)加工ユニット22、第二スリット(縦裁断)加工ユニット24、第三スリット(縦裁断)加工ユニット26、第二オプション加工ユニット28、裁断屑落し部30、横クリース(横折り型)加工部32および横カット(横裁断)加工部34を、それぞれ備えている。これらの加工手段は、装置本体2に対して固定的に設置されてもよいが、フレキシブルな対応、装置の小型化および交換作業の容易化のために、装置本体2に対してユニットとして着脱自在に設置されている。これらの加工ユニット20,22,24,26,28は、いずれの設置場所にも着脱できるように、外観上同じ寸法や形状を有するように構成されている。なお、本実施形態においては、5つの加工ユニット20,22,24,26,28を備えるように構成しているが、シート加工装置1が備える加工ユニットの数は、5つに限られず、1つ以上であればよい。
【0022】
第一オプション加工ユニット20は、要求される加工内容に応じて選択的に設置されるユニットである。第一オプション加工ユニット20には、被加工対象物(例えば、名刺)のコーナー部分に丸め加工(コーナーカット)を施したり、シート100に対して、X方向またはY方向のミシン目を入れたり、X方向にクリース加工したり、X方向に裁断したり、あるいは搬送力をアップさせるローラを追加したりすることを行うための加工デバイスを選択的に組み込んでいる。
【0023】
第一スリット加工ユニット22は、シート100をX方向(縦方向、搬送方向)に裁断するためのものである。第一スリット加工ユニット22は、左右一対のスリット加工デバイス22aと横方向位置決め軸22bとスリッタ用モータとを備える。スリット加工デバイス22aは、例えば、ケーシング内において、回転上刃および回転軸と、回転下刃および回転軸とを有し、回転軸によってそれぞれ回転駆動される回転上刃と回転下刃とが摺り合うことによって、シート100に切断目を入れてシート100を裁断する。スリッタ用モータは横方向位置決め軸22bを回転させることによって、ネジの形成された横方向位置決め軸22bに螺合したスリット加工デバイス22aをY方向に移動させる。シート100の裁断を必要としないときには、スリット加工デバイス22aが搬送路10の外側に退避している。なお、スリット加工デバイス22aのY方向の移動および停止(位置決め)は、制御部6によって制御される。
【0024】
第二スリット加工ユニット24および第三スリット加工ユニット26も、スリット加工デバイス24aおよび26aによってシート100をX方向に裁断するためのものであり、上記第一スリット加工ユニット22と同様に構成されている。スリット加工ユニットの増設により、シート100に対するX方向の裁断数を増やすことができる。
【0025】
第二オプション加工ユニット28も、要求される加工内容に応じて選択的に設置されるユニットである。第二オプション加工ユニット28には、被加工対象物(例えば、名刺)のコーナー部分に丸め加工(コーナーカット)を施したり、シート100にX方向またはY方向のミシン目を入れたり、X方向にクリース加工したり、X方向に裁断したり、あるいは搬送力をアップさせるローラを追加したりすることを行うための加工デバイスを選択的に組み込んでいる。また、図2のように、第一オプション加工ユニット20および第二オプション加工ユニット28にX方向に裁断を行う加工デバイス(スリット加工デバイス)20a,28aをそれぞれ組み込んだ場合には、第一スリット加工ユニット22などと同様に、左右一対の加工デバイス20a,28aと横方向位置決め軸20b,28bとスリッタ用モータとを備えることとなる。
【0026】
裁断屑落し部30は、スリット加工ユニット22,24,26などにおける裁断によって生じた裁断屑を搬送路10から排除するためのものである。裁断屑落し部30は、複数個の裁断屑落しデバイス30aと横方向位置決め軸30bとデバイス移動用モータとを備える。デバイス移動用モータは横方向位置決め軸30bを回転させることによって、ネジの形成された横方向位置決め軸30bに螺合した裁断屑落しデバイス30aをY方向に移動させる。所定位置に配置された裁断屑落しデバイス(加工デバイス)30aが、搬送路10上の障害物になるために、シート100が裁断屑落し部30を通過する際に、シート100に含まれる裁断屑を落下させてゴミ箱8で回収する。
【0027】
直交方向加工部32,34は、直交方向加工を施す前に、シート100の搬送を一時的に停止(位置決め)することを必要とする。直交方向加工部として働く横クリース加工部32は、シート100に対してY方向(横方向、搬送直交方向)に延在する折り型を形成する。横クリース加工部32では、Y方向に延在するクリース加工上型32aおよびクリース加工下型32gが配置されている。クリース加工上型32aとクリース加工下型32gとの間にシート100を挟んだ状態で、クリース加工上型32aを下向きに駆動して、シート100をクリース加工上型32aの凸部でクリース加工下型32gの凹部に押し込むことによって、略半円断面の折り型がシート100に形成される。
【0028】
直交方向加工部として働く横カット加工部34は、シート100に対してY方向(横方向、搬送直交方向)に延在する切断目を形成する。横カット加工部34は、Y方向に延在する上刃および下刃を有し、上刃と下刃との間にシート100を挟んだ状態で、上刃を下向きに駆動させて、シート100を上刃と下刃とで裁断する。裁断によって生じた裁断屑は、落下してゴミ箱8で回収される。なお、X方向の裁断すべき余白部が広い場合には、複数のX方向の狭小の領域に分割して、狭小の幅で細かく裁断することができる。
【0029】
また、搬送路10に沿った適宜の位置には、複数個のセンサが配置されている。図1および図2に示した実施形態では、搬送路10の上流側から下流側に向けて、最上流位置センサ42、CCDセンサ44、上流位置センサ46、補助位置センサ48、中間位置センサ50、下流位置センサ52および排出センサ54が、それぞれ配置されている。なお、最上流位置センサ42、上流位置センサ46、補助位置センサ48、中間位置センサ50、下流位置センサ52および排出センサ54は、対の発光素子と受光素子とからなり、シート100の前端がこれらの素子の間を通過して検出光を遮ることによってシート100の前端を検出する透過型の光センサである。
【0030】
最上流位置センサ42は、上記センサ群のうち搬送路10の最上流側に設置されている。最上流位置センサ42は、供給トレイ12から供給されたあとローラ4で把持されたシート100の前端を検出することによって、最上流位置センサ42で検出されたシート位置を基準にした、搬送路10上で搬送されている各シート100のシート位置情報を一義的に規定するために使用される。
【0031】
バーコード108からのサイズ情報や操作表示部7からの入力情報によってシート100の縦方向長さがRAMに記憶されている。したがって、シート100の下流側の前端を検出することによって、最上流位置センサ42の設置位置を基準にした、搬送路10上におけるシート100のシート位置情報を一義的に規定することができる。
【0032】
シート100に施されるべき各種処理動作に関する情報を読み取る情報読取手段としてのCCD(Charge Coupled Device)センサ44は、最上流位置センサ42の下流側であってリジェクト手段14の上流側に設置されている。CCDセンサ44は、シート100の上に印刷された位置マーク106の画像を読み取って位置マーク106のX方向の位置とY方向の位置とを検出するとともに、シート100の上に印刷されたバーコード108の画像を読み取ってシート100に施されるべき各種加工処理情報を取得する。CCDセンサ44は、平面の画像を読み取る2次元CCDも使用することができるが、本実施形態では、コストを低く抑えるために、画像をラインスキャンで読み取る一次元のCCDセンサ44を使用する。なお、バーコード108の画像が磁気成分を含むインクで印刷されている場合には、当該磁気成分を検出するための磁気センサを、情報読取手段として用いることもできる。印刷された位置マーク106やバーコード108が不鮮明であるためにCCDセンサ44による読取が不能であったシート100は、リジェクト手段14が作動して、読取不能のシート100として落下させて廃棄トレイ16で回収される。
【0033】
搬送路10上で搬送されている各シート100のシート位置情報を、最上流位置センサ42によって一義的に規定することができるが、上流位置センサ46、補助位置センサ48、中間位置センサ50および下流位置センサ52は、ローラ4でのスリップや搬送路10の長大化によって搬送路10上のシート100のX方向(縦方向、搬送方向)の位置ズレ(搬送誤差)の累積が起こった場合に備えて、最上流位置センサ42で取得されたシート位置情報を修正して、当該シート位置情報をより正確なものにするために設けられている。
【0034】
上流位置センサ46は、第一オプション加工ユニット20の上流側に設置されたローラ4の直前に設置されている。上流位置センサ46は、シート搬送速度を減速することを開始するポイント(減速開始ポイントA)を規定するために使用される。言い換えると、上流位置センサ46は、最高搬送速度V1で搬送されるシート100を、最高搬送速度V1から減速して、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置に確実に停止させることができる位置よりも上流側に設置されている。
【0035】
補助位置センサ48は、第一スリット加工ユニット22の下流側の直後に設置されている。中間位置センサ50は、第三スリット加工ユニット26の下流側の直後に設置されている。中間位置センサ50は、上流位置センサ46によって取得された上流ベースのシート位置情報を、中間ベースのシート位置情報に修正するために使用される。下流位置センサ52は、横クリース加工部32の上流側に設置されたローラ4の直前(直交方向加工部として働く横クリース加工部32よりも搬送方向上流側直近)に設置されている。下流位置センサ52は、シート搬送速度をゼロにする(搬送を停止する)ことを開始するポイント(停止開始ポイントB)を規定するために使用される。
【0036】
補助位置センサ48や中間位置センサ50は、第一スリット加工ユニット22,26を構成するスリット加工デバイス22a,26aの下流側の直後に設置するのが最も好適であるが、駆動機構設置やメンテナンスの面から当該位置センサを最適な場所に設置することが困難となる場合もある。そのような場合、補助位置センサ48や中間位置センサ50は、スリット加工デバイス22a,26aの下流側の直後よりも下流側または上流側に設置することもできる。
【0037】
供給トレイ12には、図2に示したシート100が載置される。シート100の中心領域には主印刷部102を配置し、主印刷部102の周囲には、マージン部104を配置している。供給トレイ12は、シート100の側辺が当接するガイド部(図示せず)を有し、シート100は、側辺を基準に供給トレイ12に載置し、搬送路10に沿って一枚ずつ順次搬送するように構成されている。
【0038】
シート100の下流側の前端部には、バーコード108と位置マーク106とが印刷されている。
【0039】
位置マーク106は、X方向に延在する部分と、Y方向に延在する部分とがL字状に結合した形状をしている。CCDセンサ44からの画像読取情報に基づいて、シート搬送の基準となる側辺から位置マーク106のX方向に延在する部分までの距離を算出し、シート100の基準位置からのズレ量を算出する。そして、当該ズレ量に応じて、スリット加工ユニット22,24,26などによるX方向の加工に関するY方向における位置を調整する。また、CCDセンサ44からの画像読取情報に基づいて、シート100の前端から位置マーク106のY方向に延在する部分までの距離を算出し、算出した値とバーコード108の想定した値との差に基づいて、バーコード108による設定値を修正する。そして、当該修正量に応じて、横クリース加工部32や横カット加工部34などによるY方向(横方向、搬送直交方向)の加工に関するX方向における加工位置を決定する。
【0040】
バーコード108は、シート100のX方向やY方向のサイズ情報、位置マーク106の位置情報、X方向の各種加工(裁断、ミシン目、コーナーカット、クリース)のための位置情報、Y方向の各種加工(裁断、ミシン目、コーナーカット、クリース)のための位置情報などの各種情報を表現するマークである。コーナーカットの加工では、被加工対象物のコーナー部分に加工を施すための位置情報として、X方向およびY方向の位置情報が必要である。なお、加工を施すために必要な各種情報は、操作表示部7やPC(パーソナルコンピュータ)を介して使用者が入力することもできる。
【0041】
例えば、或るシート100に印刷されたバーコード108には、所定の加工を施すことを指示する加工処理情報が記録されている。例えば、スリット位置に沿ってX方向の裁断加工を行うこと、カット位置に沿ってY方向の裁断加工を行うこと、および、横クリース位置に沿ってY方向の折り型形成を行うことがバーコード108に記録されている。
【0042】
シート100が搬送路10のCCDセンサ44のところを通過することによって、バーコード108に記録された加工処理情報が読み取られて、当該加工処理情報に基づいて、様々な加工をシート100に施し、所望とする裁断加工片110を排出トレイ18に排出する。
【0043】
次に、シート加工装置1の基本動作について説明する。
【0044】
まず、主電源スイッチをオンにして立ち上げると、各種の内部動作チェックを行ったあとチェック内容に問題が無ければシート加工装置1の開始準備がOKとなる。供給トレイ12に載置されたシート100の束から、シート100を一枚ずつに搬送路10の供給領域10aに搬送する。供給領域10aでは、搬送されたシート100が搬送路10に対して斜めであったならば、真っ直ぐに修正し、搬送されたシート100が重畳していたならばシート100の搬送を停止する。一枚のシート100(例えば、第一シート)が搬送路10に一致していたならば、次の読取領域10bにシート100(例えば、第一シート)を搬送する。
【0045】
読取領域10bでは、最上流位置センサ42によってシート100(例えば、第一シート)の前端を検出し、CCDセンサ44によってシート100(例えば、第一シート)の位置マーク106およびバーコード108を読み取る直前の位置までシート100をステップ搬送する。なお、最上流位置センサ42によるシート100の前端の検出に基づいて、CCDセンサ44による読取位置までにシート搬送速度をラインスキャン可能な速度まで減速する。また、該シート搬送速度の減速を開始するまでは最高速度でシート100をステップ搬送する。
【0046】
シート搬送速度をCCDセンサ44によるラインスキャン可能な速度まで減速した状態で且つシート搬送速度がラインスキャン読取速度の整数倍となる速度でシート100の搬送を続けながら、CCDセンサ44が、シート100(例えば、第一シート)の位置マーク106およびバーコード108をラインスキャンする。シート100(例えば、第一シート)に関して読み取られた情報(サイズ情報や位置情報や加工処理情報)は、制御部6に送られてRAMに一時的に記憶される。制御部6は、当該情報に基づいて、シート100(例えば、第一シート)に対して所定の加工を施す。なお、位置マーク106および/またはバーコード108の印刷が不鮮明のために読取不可であると制御部6が判断した場合、当該シート100をリジェクト手段14によって廃棄トレイ16へ落下させる。
【0047】
上記情報が適切に取得されたシート100(例えば、第一シート)を、上流位置センサ46のところまで最高速度で搬送し、上流位置センサ46がシート100(例えば、第一シート)の前端を検出して、搬送路10上のシート100(例えば、第一シート)のX方向(縦方向、搬送方向)の位置ズレ(搬送誤差)の有無をチェックする。制御部6は、縦方向の位置ズレ(搬送誤差)を検出した場合には、最上流位置センサ42によって取得されたシート位置情報を、上流位置センサ46によって取得された上流ベースのシート位置情報に修正する。そして、制御部6は、RAMに記憶された加工処理情報に基づいて、前処理領域10cの最初に配置された第一オプション加工ユニット20にX方向の加工を施す加工デバイスが装着される場合、オプション加工デバイス20aを所定のY方向(横方向、搬送直交方向)の位置に位置決めするように制御する。
【0048】
シート100(例えば、第一シート)を前処理領域10cの最初に配置された第一オプション加工ユニット20に高速でステップ搬送し、オプション加工デバイス20aがシート100(例えば、第一シート)に対して所定の加工を行う。例えば、第一オプション加工ユニット20により、コーナー部分への丸め加工が施される。制御部6は、シート100(例えば、第一シート)の高速ステップ搬送中に、搬送路10でのシート位置をモニタし、シート100(例えば、第一シート)の後端が第一オプション加工ユニット20を通過したかをチェックしている。
【0049】
なお、先行するシート100(例えば、第一シート)が最初に搬送されるシート100であるならば、当該最初のシート100の前端が第一オプション加工ユニット20を通過したことが、最上流位置センサ42を基準にして一義的に検出される。また、当該最初のシート100の前端が、下流側に設置された第一スリット加工ユニット22に到達するまでに、第一スリット加工ユニット22のスリット加工デバイス22aを所定のY方向(横方向、搬送直交方向)の位置に位置決めするように制御する。さらに、必要に応じて、第一スリット加工ユニット22よりも下流側に設置された第二スリット加工ユニット24などのスリット加工デバイス24aなどを所定のY方向(横方向、搬送直交方向)の位置に位置決めするように制御することができる。すなわち、先行するシート100が、最初のシート100であるならば、当該最初のシート100の前端が或るX方向(縦方向)の加工ユニットに入る前に、該直前のX方向(縦方向)の加工ユニットを含む下流側のX方向(縦方向)の加工ユニット群の位置決め移動が完了しているように制御部6が制御している。
【0050】
制御部6は、シート100(例えば、第一シート)の後端が第一オプション加工ユニット20を通過していないと判断した場合、シート100(例えば、第一シート)をさらにステップ搬送させる。制御部6は、シート100(例えば、第一シート)の後端が第一オプション加工ユニット20を通過したと判断した場合、第一オプション加工ユニット20での加工が完了したと判断して、後続のシート100(例えば、第二シート)のために、第一オプション加工ユニット20のオプション加工デバイス20aを所定のY方向(横方向、搬送直交方向)の位置に位置決めするように制御する。
【0051】
先行するシート100(例えば、第一シート)に対して上記最上流位置センサ42によるシート100の後端の検出を行うことに並行して、当該先行するシート(例えば、第一シート)に続く次のシート100(例えば、第二シート)に対して、先行するシート100(例えば、第一シート)と同様に、搬送路10の供給領域10aへの搬送動作を行う。供給領域10aでは、送られて来たシート100の搬送が斜めであったならば、真っ直ぐに修正し、シート100の搬送が重畳していたならばシート100の搬送を停止する。後続のシート100(例えば、第二シート)の搬送が真っ直ぐであったならば、次の読取領域10bに後続のシート100(例えば、第二シート)を搬送する。
【0052】
読取領域10bでは、最上流位置センサ42によって後続のシート100(例えば、第二シート)の前端を検出し、CCDセンサ44によって後続のシート100(例えば、第二シート)の位置マーク106およびバーコード108を読み取る直前の位置までシート100をステップ搬送する。なお、最上流位置センサ42によるシート100の前端の検出に基づいて、CCDセンサ44による読取位置までにシート搬送速度をラインスキャン可能な速度まで減速を行う。また、該シート搬送速度の減速を開始するまでは最高速度でシート100をステップ搬送する。
【0053】
シート搬送速度をCCDセンサ44によるラインスキャン可能な速度まで減速した状態で且つシート搬送速度がラインスキャン読取速度の整数倍となる速度でシート100の搬送を続けながら、CCDセンサ44が、後続のシート100(例えば、第二シート)の位置マーク106およびバーコード108をラインスキャンする。後続のシート100(例えば、第二シート)に関して読み取られた情報(サイズ情報や位置情報や加工処理情報)は、制御部6に送られてRAMに一時的に記憶される。制御部6は、当該情報に基づいて、後続のシート100(例えば、第二シート)に対して所定の加工を施す。なお、位置マーク106および/またはバーコード108の印刷が不鮮明のために読取不可であると制御部6が判断した場合、当該シート100をリジェクト手段14によって下方の廃棄トレイ16へ落とす。
【0054】
CCDセンサ44によって情報が適切に取得された後続のシート100(例えば、第二シート)を、上流位置センサ46のところまで最高速度でステップ搬送し、上流位置センサ46が後続のシート100(例えば、第二シート)の前端を検出して、搬送路10上の後続のシート100(例えば、第二シート)のX方向(縦方向)の位置ズレ(搬送誤差)の有無をチェックする。先行するシート100(例えば、第一シート)について説明したように、制御部6は、X方向(縦方向)の位置ズレ(搬送誤差)を検出した場合には、最上流位置センサ42によって取得されたシート位置情報を、上流位置センサ46によって取得された上流ベースのシート位置情報に修正し、RAMに記憶された加工処理情報に基づいて、前処理領域10cの最初に配置された第一オプション加工ユニット20のオプション加工デバイス20aを所定のY方向(横方向)の位置に位置決めするように制御する。
【0055】
したがって、先行するシート100(例えば、第一シート)に対して第一スリット加工ユニット22のスリット加工デバイス22aを所定のY方向(横方向)の位置に位置決めするように制御され、また、先行するシート100の後端が第一オプション加工ユニット20を通過するとともに、後続のシート100(例えば、第二シート)に対して第一オプション加工ユニット20のオプション加工デバイス20aを所定の横方向の位置に位置決めするように制御されている。そして、先行するシート100(例えば、第一シート)と後続のシート100(例えば、第二シート)とは、例えば、第一オプション加工ユニット20のX方向(縦方向)サイズに相当する距離で離間している。
【0056】
前処理領域10c上に所定距離で離間している先行するシート100(例えば、第一シート)および後続のシート100(例えば、第二シート)を同時に加工ユニットにそれぞれ高速でステップ搬送し、先行するシート100(例えば、第一シート)および後続のシート100(例えば、第二シート)に同時並行的に所定の加工を行う。例えば、先行するシート100(例えば、第一シート)に対しては、第一スリット加工ユニット22などによるスリット加工を行い、後続のシート100(例えば、第二シート)に対しては、第一オプション加工ユニット20によるコーナー部分への丸め加工を行う。
【0057】
制御部6は、高速でステップ搬送されている一群のシート100(例えば、第一シートと第二シート)の搬送中に、搬送路10上での一群のシート100の位置をそれぞれモニタし、一群のシート100(例えば、第一シートと第二シート)の後端が、それぞれ第一スリット加工ユニット22および第一オプション加工ユニット20を通過したかをチェックしている。制御部6は、一群のシート100(例えば、第一シートと第二シート)の後端が、それぞれ第一スリット加工ユニット22および第一オプション加工ユニット20を通過していないと判断した場合、一群のシート100(例えば、第一シートと第二シート)をさらにステップ搬送する。制御部6は、一群のシート100(例えば、第一シートと第二シート)の後端が第一スリット加工ユニット22および第一オプション加工ユニット20をそれぞれ通過したと判断した場合、第一スリット加工ユニット22および第一オプション加工ユニット20での加工がそれぞれ完了したと判断して、後続のシート100(例えば、第二シート)のために、上流側の第一スリット加工ユニット22のスリット加工デバイス22aを所定のY方向(横方向)の位置に位置決めするように制御する。
【0058】
前処理領域10c上に所定距離で離間している先行するシート100(例えば、第一シート)および後続のシート100(例えば、第二シート)を同時に加工ユニットにそれぞれ高速でステップ搬送し、先行するシート100(例えば、第一シート)および後続のシート100(例えば、第二シート)に同時並行的に所定の加工を行う。例えば、先行するシート100(例えば、第一シート)に対しては、第二スリット加工ユニット24などによるスリット加工を行い、後続のシート100(例えば、第二シート)に対しては、第一スリット加工ユニット22によるスリット加工を行う。
【0059】
制御部6は、高速でステップ搬送されている一群のシート100(例えば、第一シートと第二シート)の搬送中に、搬送路10での一群のシート100の位置をそれぞれモニタし、一群のシート100(例えば、第一シートと第二シート)の後端が、それぞれ第二スリット加工ユニット24および第一スリット加工ユニット22を通過したかをチェックしている。制御部6は、一群のシート100(例えば、第一シートと第二シート)の後端が、それぞれ第二スリット加工ユニット24および第一スリット加工ユニット22を通過していないと判断した場合、一群のシート100(例えば、第一シートと第二シート)をさらに搬送させる。制御部6は、一群のシート100(例えば、第一シートと第二シート)の後端が第二スリット加工ユニット24および第一スリット加工ユニット22をそれぞれ通過したと判断した場合、第二スリット加工ユニット24および第一スリット加工ユニット22での加工がそれぞれ完了したと判断して、後続のシート100(例えば、第二シート)のために、上流側の第二スリット加工ユニット24のスリット加工デバイス24aを所定のY方向(横方向)の位置に位置決めするように制御する。
【0060】
このような一連のX方向(縦方向)の加工処理を繰り返して、一群のシート100のうち例えば第一シートに対して、X方向(縦方向)の最終加工ユニット(例えば裁断屑落し部30)による加工が完了したか否かを判断する。X方向(縦方向)の最終加工が完了していなければ、同様の加工を繰り返す。X方向(縦方向)の最終加工処理が完了しているならば、次のY方向(横方向)の後処理工程に移る。
【0061】
シート100(例えば、第一シート)に対するY方向(横方向)の後処理は、後処理領域10dにおいて行う。後処理領域10dにおけるシート搬送は、前処理搬送用モータとは別系統の駆動源すなわち後処理搬送用モータを用いて行う。制御部6は、RAMに記憶されたシート位置情報(初期のシート位置情報が、既に更新されているならば当該更新されたシート位置情報)に基づいて、後処理領域10dでのシート100(例えば、第一シート)の位置を規定することができる。しかしながら、位置決め精度向上のために設けられた下流位置センサ52が、Y方向(横方向)の後処理に臨もうとするシート100(例えば、第一シート)の前端を検出して、当該シート100(例えば、第一シート)のX方向(縦方向)の位置ズレ(搬送誤差)の有無をチェックする。
【0062】
制御部6は、シート100(例えば、第一シート)についての縦方向の位置ズレ(搬送誤差)を検出した場合には、RAMに記憶された上流ベースのシート位置情報を、下流位置センサ52によって取得された下流ベースのシート位置情報に修正する。なお、制御部6は、シート100についての縦方向の位置ズレの有無のチェックは行わず、すなわち、位置ズレの有無にかかわらず、RAMに記憶された上流ベースのシート位置情報を、下流位置センサ52によって取得された下流ベースのシート位置情報に修正(置換)するようにしてもよい。そして、シート100(例えば、第一シートと第二シート)を後処理部にステップ搬送して、修正された下流ベースのシート位置情報、および加工処理情報に基づいて、直交方向加工部(後処理部)として最初に配置された横クリース加工部32のクリース加工用の上型32a,下型32gにより横クリース加工(直交方向加工)をシート100(例えば、第一シート)に施す。
【0063】
横クリース加工が施されたシート100(例えば、第一シート)に対して、最終のY方向(横方向)の後処理部(例えば横カット加工部34)による最終加工が完了したか否かを判断する。例えば、横カット加工部34の上刃および下刃によって、種々の加工が施されたシート100を裁断する。Y方向(横方向)の最終加工が完了していなければ、最終のY方向(横方向)の加工が完了するまで繰り返す。
【0064】
最終のY方向(横方向)の後処理部(例えば横カット加工部34)による最終処理工程が完了しているならば、最終のY方向(横方向)の後処理部(例えば横カット加工部34)による最終処理が施された裁断加工片110を、排出トレイ18に搬送する。そして、シート100(例えば、第一シート)についての一連の搬送・加工が終了する。
【0065】
シート100として第一シートおよび第二シートに関する搬送や加工などの各種処理手順を説明したが、第二シートの後に続く第三シート、さらにその後の第四シートなどを同様の処理手順で順次に搬送・加工される。したがって、搬送路10の前処理領域10cでは、例えば、第一シートと第二シート、第二シートと第三シート、あるいは、第三シートと第四シートなどを、所定の間隔(例えば、加工ユニット20,22,24,26,28のX方向(縦方向)サイズに相当する距離)を維持しながら搬送する。そして、所定枚数のシート100あるいは供給トレイ12に載置された全てのシート100に対して、このような工程を繰り返して、シート100全体の加工が終了する。
【0066】
したがって、制御部6が、最上流位置センサ42によって取得されたシート位置情報に基づいて或るシート100が或る加工ユニットを通過したと判断したならば、次のシート100に対する処理動作に適合するように、或る加工ユニットの加工デバイスの横方向の位置を調整するように制御するので、シート100同士を短い間隔で順次搬送することが可能になり、時間当たりの加工能力が高くなる。
【0067】
図4から図6を参照しながら、シート加工装置1におけるシート100の搬送制御を説明する。
【0068】
図4は、図1に示したシート加工装置1における搬送制御に係るフローチャートである。図5は、従来の搬送制御を説明する模式図である。図6は、この発明の搬送制御(搬送ズレが無い場合)を説明する模式図である。
【0069】
図5および図6の下側には、搬送方向F(左側から右側の矢印)が示されている。図5および図6の上側には、シート加工装置1の構成要素(42,46,52,32)および開始ポイント(A,B,C)が示されている。42は最上流位置センサであり、46は上流位置センサであり、52は下流位置センサであり、32は横クリース加工部(直交方向加工部)の加工位置である。減速開始ポイントA、停止開始ポイントBおよび搬送ズレが有る場合の減速開始ポイントCは、いずれも、制御部6によって搬送路10において仮想的に設定される空間的なポイント(位置)、または、制御部6によって搬送動作において仮想的に設定される時間的なポイント(タイミング)である。図5および図6の左側には、シート搬送速度が示されている。
【0070】
減速開始ポイントAは、シート搬送速度の高低や搬送距離の長短やローラ4のスリップ具合などのシート加工装置1の搬送特性によって規定される仮想的なポイントである。減速開始ポイントAは、シート搬送速度に応じて調整される。すなわち、シート搬送速度が高速であれば、減速開始ポイントAが搬送方向Fの上流側に位置し、シート搬送速度が低速であれば、減速開始ポイントAが搬送方向Fの下流側に位置するように減速開始ポイントAが調整される。当該構成によれば、シート搬送速度に応じて、減速に係る最適な減速距離が確保される。
【0071】
従来の搬送制御では、図5に例示するように、シート搬送速度は、最上流位置センサ42では初期搬送速度V0であり、最上流位置センサ42から上流位置センサ46までは増速し、上流位置センサ46で最高搬送速度V1になり、下流位置センサ52までは最高搬送速度V1をキープする。シート搬送速度は、下流位置センサ52から減速して横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置でゼロになろうとするが、停止できずにオーバーランする。すなわち、シート100が、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置よりも搬送方向下流側で停止する。
【0072】
この発明の搬送制御(搬送ズレが無い場合)では、図6に例示するように、シート搬送速度は、最上流位置センサ42では初期搬送速度V0であり、最上流位置センサ42から上流位置センサ46までは増速し、上流位置センサ46で最高搬送速度V1になり、減速開始ポイントAまで最高搬送速度V1をキープする。シート搬送速度は、減速開始ポイントAから下流位置センサ52の上流側位置まで減速し、下流位置センサ52の上流側位置で減速搬送速度V2になり、停止開始ポイントBまで減速搬送速度V2をキープする。シート搬送速度は、停止開始ポイントBから横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置まで減速し、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置でゼロになる。すなわち、シート100が、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置で停止する(位置決めされる)。
【0073】
図4に示すように、ステップS1において、シート加工装置1における搬送制御が開始する。ステップS3において、初期搬送速度V0で搬送されるシート100は、その前端が最上流位置センサ42を通過した後、増速しながら上流位置センサ46に搬送される。一例として、上流位置センサ46の位置では、シート搬送速度が最高搬送速度V1になっている。しかしながら、シート100に対する加工処理の内容やその他の条件など、シート搬送速度に影響を与える状況次第で、シート搬送速度が、上流位置センサ46の位置で最高搬送速度V1よりも低速になるとともに、上流位置センサ46よりも下流側位置で最高搬送速度V1になることもある。また、シート搬送速度が、上流位置センサ46よりも上流側位置で最高搬送速度V1になることもある。最高搬送速度V1は、シート搬送用駆動源(シート搬送部11)の性能上、最も高速で搬送できる速度である。
【0074】
ステップS5において、上流位置センサ46が、最高搬送速度V1で搬送されるシート100の前端を検出したか否かが判断される。上流位置センサ46がシート100の前端を検出していない(ステップS5のNO)ならば、検出するまで判断動作を繰り返す。上流位置センサ46がシート100の前端を検出した(ステップS5のYES)ならば、第1カウンタをクリアしてリセット処理される(ステップS7)。そして、上流位置センサ46を基準とした上流ベースのシート位置情報を取得するために、第1カウンタは、新たなカウントを開始する。ステップS9において、中間位置センサ50を基準とした中間ベースのシート位置情報が、上流位置センサ46を基準とした上流ベースのシート位置情報と異なっていると、上流ベースのシート位置情報が、中間ベースのシート位置情報に修正される。上流ベースのシート位置情報よりも精度の高い中間ベースのシート位置情報に基づいて搬送制御されるので、シート100をより正確に搬送できる。
【0075】
ステップS11において、修正された中間ベースのシート位置情報に基づいて、シート100の前端が減速開始ポイントAに到達したか否かが判断される。シート100の前端が減速開始ポイントAに到達していない(ステップS11のNO)ならば、到達するまで判断動作を繰り返す。シート100の前端が減速開始ポイントAに到達した(ステップS11のYES)ならば、減速を開始し、減速状態でシート100が下流位置センサ52まで搬送される(ステップS13)。下流位置センサ52の位置では、シート搬送速度が減速搬送速度V2になっている。減速搬送速度V2は、最高搬送速度V1よりも低速であり、搬送中のシート100が、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置において必ず停止(位置決め)できる速度である。
【0076】
ステップS15において、下流位置センサ52がシート100の前端を検出したか否かが判断される。下流位置センサ52がシート100の前端を検出していない(ステップS15のNO)ならば、検出するまで判断動作を繰り返す。下流位置センサ52がシート100の前端を検出した(ステップS15のYES)ならば、第2カウンタをクリアしてリセット処理される(ステップS17)。そして、下流位置センサ52を基準とした下流ベースのシート位置情報を取得するために、第2カウンタは、新たなカウントを開始する。
【0077】
ステップS19において、下流ベースのシート位置情報に基づいて、減速搬送速度V2で搬送されるシート100の前端が停止開始ポイントBに到達したか否かが判断される。シート100の前端が停止開始ポイントBに到達していない(ステップS19のNO)ならば、到達するまで判断動作を繰り返す。シート100の前端が停止開始ポイントBに到達した(ステップS19のYES)ならば、さらなる減速を開始し、減速状態でシート100が横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置に搬送され、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置では、停止処理が行われる(ステップS21)。シート100が停止した状態で、横クリース加工部(直交方向加工部)32による横加工処理が行われる(ステップS23)。加工が施された裁断加工片110を排出トレイ18に搬送して、シート100についての一連の搬送制御が終了する(ステップS25)。
【0078】
当該構成によれば、上流位置センサ46によってシート搬送速度が制御されるとともに、下流位置センサ52によって直交方向加工部32,34における加工位置が制御されるので、シート搬送速度を高速にしても、搬送中のシート100を所定の加工位置に停止(位置決め)できる。また、減速開始ポイントAに基づいてシート搬送速度が減速されるので、シート100を所定の加工位置に確実に停止できる。
【0079】
図6におけるシート搬送速度の制御は、説明を分かりやすくするために、搬送ズレが無い場合を模式的に示したものである。しかしながら、シート100を高速で搬送すると、ローラ4のスリップにより、搬送ズレが起こりやすくなる。そこで、図7から図10を参照しながら、この発明の搬送制御において搬送ズレが有る場合について説明する。
【0080】
図7は、この発明の搬送制御(搬送ズレが有る場合)を説明する模式図である。図8は、この発明の搬送制御(搬送ズレが有る場合の変形例1)を説明する模式図である。図9は、この発明の搬送制御(搬送ズレが有る場合の変形例2)を説明する模式図である。図10は、この発明の搬送制御(搬送ズレが有る場合の変形例3)を説明する模式図である。搬送ズレが有る場合、スリップの発生で、実際のシート位置が、上流位置センサ46を基準とした上流ベースのシート位置よりも搬送方向上流側に位置するので、図7から図10に示すように、搬送ズレが有る場合の減速開始ポイントCが、減速開始ポイントAよりも搬送方向上流側に位置する。すなわち、このときの減速開始ポイントCは、シート100が実際には減速開始ポイントAよりも搬送方向上流側に位置しているにもかかわらず、上流ベース(または中間ベース)のシート位置情報に基づいて減速開始ポイントAに位置していると判断してシート搬送速度の減速を開始するポイントである。
【0081】
図7に例示する搬送制御(搬送ズレが有る場合)では、シート搬送速度は、最上流位置センサ42では初期搬送速度V0であり、最上流位置センサ42から上流位置センサ46までは増速し、上流位置センサ46で最高搬送速度V1になり、搬送ズレが有る場合の減速開始ポイントCまで最高搬送速度V1をキープする。シート搬送速度は、搬送ズレが有る場合の減速開始ポイントCから減速搬送速度V2になるまで減速し、減速搬送速度V2になると、停止開始ポイントBまで減速搬送速度V2をキープする。このとき、シート100が下流位置センサ52で検知されることにより、制御部6はシート100の実際のシート位置情報を取得できるため、搬送ズレが無い場合と同様に、停止開始ポイントBまで減速搬送速度V2をキープしてシート100を搬送できる。そして、シート搬送速度は、停止開始ポイントBから横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置まで減速し、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置でゼロになる。すなわち、シート100が、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置で停止する(位置決めされる)。
【0082】
図8に例示する搬送制御(搬送ズレが有る場合の変形例1)では、シート搬送速度は、最上流位置センサ42では初期搬送速度V0であり、最上流位置センサ42から上流位置センサ46まで増速し、上流位置センサ46で最高搬送速度V1になり、搬送ズレが有る場合の減速開始ポイントCまで最高搬送速度V1をキープする。シート搬送速度は、搬送ズレが有る場合の減速開始ポイントCから下流位置センサ52まで減速し、下流位置センサ52の下流側では、下流位置センサ52でのシート搬送速度をキープする。シート搬送速度は、停止開始ポイントBを通過したあとも、図6における、停止開始ポイントBから横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置までの減速勾配(基準減速勾配)と交差するポイントまでキープされる。なお、図8において、基準減速勾配は、一点鎖線で示されている。図8に例示する搬送制御では、基準減速勾配と交差するポイントB2が、停止開始ポイントとなる。シート搬送速度は、停止開始ポイントB2から基準減速勾配に沿って減速し、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置でゼロになる。すなわち、シート100が、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置で停止する(位置決めされる)。
【0083】
図9に例示する搬送制御(搬送ズレが有る場合の変形例2)では、シート搬送速度は、最上流位置センサ42では初期搬送速度V0であり、最上流位置センサ42から上流位置センサ46まで増速し、上流位置センサ46で最高搬送速度V1になり、搬送ズレが有る場合の減速開始ポイントCまで最高搬送速度V1をキープする。シート搬送速度は、搬送ズレが有る場合の減速開始ポイントCから下流位置センサ52まで減速し、下流位置センサ52の下流側では、下流位置センサ52でのシート搬送速度を停止開始ポイントBまでキープする。シート搬送速度は、停止開始ポイントBから横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置まで減速し、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置でゼロになる。すなわち、シート100が、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置で停止する(位置決めされる)。
【0084】
図10に例示する搬送制御(搬送ズレが有る場合の変形例3)では、シート搬送速度は、最上流位置センサ42では初期搬送速度V0であり、最上流位置センサ42から上流位置センサ46まで増速し、上流位置センサ46で最高搬送速度V1になり、搬送ズレが有る場合の減速開始ポイントCまで最高搬送速度V1をキープする。シート搬送速度は、搬送ズレが有る場合の減速開始ポイントCから停止開始ポイントBまで減速する。停止開始ポイントBの下流側では、シート搬送速度は、停止開始ポイントBから横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置まで減速し、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置でゼロになる。すなわち、シート100が、横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置で停止する(位置決めされる)。
【0085】
上述した搬送ズレが有る場合の搬送制御では、停止開始ポイントBでのシート搬送速度が、減速搬送速度V2以下になるように制御されている。また、上流位置センサ46での最高搬送速度V1から横クリース加工部(直交方向加工部)32の加工位置で停止するまでの時間(前処理領域10cでの加工処理時間)は、短い方から順に、図7に示した搬送制御、図8に示した搬送制御、図9に示した搬送制御、図10に示した搬送制御となる。
【0086】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態で記載した内容を適宜に組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。また、上記実施形態に示した具体的な数字は、この発明の理解を容易にするための単なる例示であって、この発明を限定するものではない。
【0087】
必要に応じて、シート100が横カット加工部(直交方向加工部)34の加工位置まで搬送され、シート100を停止した(位置決めした)状態で、横カット加工部(直交方向加工部)34による横加工処理を行うことができる。このような加工が施された裁断加工片110を排出トレイ18に搬送して、シート100についての一連の搬送制御が終了する。
【0088】
上流位置センサ46と減速開始ポイントAとの間でのシート搬送速度は、最高搬送速度V1が一定であるパターンである必要は無く、上流位置センサ46と減速開始ポイントAとの間のいずれかのポイントにおいて最高搬送速度V1を挟んで増速および減速を行って山状に変化するパターンにすることもできる。
【0089】
上流位置センサ46は、減速開始ポイントAよりも上流側に位置する必要があるが、シート加工装置1での構造上の制約が無ければ、上流位置センサ46は、減速開始ポイントAに設置することができる。当該構成によれば、上流位置センサ46がシート100の前端を検出すると直ちに減速動作を開始すればいいので、減速に係る制御が簡易になる。
【0090】
中間位置センサ50は、上流位置センサ46と下流位置センサ52との間の搬送路10に位置すればよいので、補助位置センサ48を中間位置センサ50として用いることもできる。
【0091】
上流ベースのシート位置情報は、上流位置センサ46を基準とする代わりに、最上流位置センサ42を基準とすることができる。
【0092】
第一オプション加工ユニット20にY方向の加工デバイス(横ミシン目、コーナーカットなど)が設定される場合、制御部6は、上流位置センサ46を基準として、シート100を第一オプション加工ユニット20の加工位置で停止させるように制御することができる。また、第二オプション加工ユニット28にY方向の加工デバイス(横ミシン目、コーナーカットなど)が設定される場合、制御部6は、中間位置センサ50を基準として、シート100を第二オプション加工ユニット28の加工位置で停止させるように制御することができる。なお、第一オプション加工ユニット20や第二オプション加工ユニット28の加工位置にシート100を停止させる場合においても、上流位置センサ46、中間位置センサ50よりも上流側に減速開始ポイントAを設定して、シート搬送速度を減速するように制御することができる。
【0093】
補助位置センサ48や中間位置センサ50によって取得された中間ベースのシート位置情報に基づいて、上流ベースのシート位置情報を修正することは、必ずしも行わなくてもよい。ただし、この場合、上流ベースのシート位置情報を修正する場合と比べて、シート位置情報の正確性が低下する。
【0094】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0095】
この発明の一態様に係るシート加工装置1は、
シート100を搬送路10に沿って搬送するシート搬送部11と、
前記搬送路10の下流側に配設されて、搬送方向Fに直交する搬送直交方向に前記シート100の加工を施す直交方向加工部32,34と、
前記直交方向加工部32,34よりも搬送方向上流側直近の前記搬送路10に配設されて、前記シート100の前端を検出する下流位置センサ52と、
前記下流位置センサ52よりも搬送方向上流側の前記搬送路10に配設されて、前記シート100の前記前端を検出する上流位置センサ46と、
前記シート搬送部11と前記直交方向加工部32,34とに関する動作を制御する制御部6とを備え、
前記制御部6は、前記上流位置センサ46による検出結果に基づいてシート搬送速度を制御するとともに、前記下流位置センサ52による検出結果に基づいて前記シート100が前記直交方向加工部32,34における加工位置に位置するように前記シート搬送部11を制御することを特徴とする。
【0096】
上記構成によれば、上流位置センサ46によってシート搬送速度が制御されるとともに、下流位置センサ52によって直交方向加工部32,34における加工位置が制御されるので、シート搬送速度を高速にしても、搬送中のシート100を所定の加工位置に停止(位置決め)できる。
【0097】
また、一実施形態のシート加工装置1では、
前記下流位置センサ52よりも搬送方向上流側の前記搬送路10には、減速開始ポイントAが設けられて、前記上流位置センサ46によって前記シート100が前記減速開始ポイントAに到達したことが検出されると、前記制御部6は、前記シート搬送速度を減速するように前記シート搬送部11を制御する。
【0098】
上記構成によれば、減速開始ポイントAに基づいてシート搬送速度が減速されるので、シート100を所定の加工位置に確実に停止できる。
【0099】
また、一実施形態のシート加工装置1では、
前記減速開始ポイントAが、前記シート搬送速度に応じて調整される。
【0100】
上記構成によれば、シート搬送速度に応じて、減速に係る最適な減速距離が確保されるので、シート100を所定の加工位置に確実に停止できる。
【0101】
また、一実施形態のシート加工装置1では、
前記下流位置センサ52と前記上流位置センサ46との間の前記搬送路10には、前記シート100の前記前端を検出する中間位置センサ50が配設されて、前記中間位置センサ50を基準とした中間ベースのシート位置情報が、前記上流位置センサ46を基準とした上流ベースのシート位置情報と異なっていると、前記制御部6は、前記中間ベースのシート位置情報に基づいて前記シート搬送部11を制御する。
【0102】
上記構成によれば、上流ベースのシート位置情報よりも精度の高い中間ベースのシート位置情報に基づいて搬送制御されるので、シート100をより正確に搬送できる。
【符号の説明】
【0103】
1…シート加工装置
2…装置本体
4…ローラ
6…制御部(CPU)
7…操作表示部
8…ゴミ箱
10…搬送路
10a…供給領域
10b…読取領域
10c…前処理領域
10d…後処理領域
11…シート搬送部
12…供給トレイ
14…リジェクト手段
16…廃棄トレイ
18…排出トレイ
20…第一オプション加工ユニット
22…第一スリット(縦裁断)加工ユニット
24…第二スリット(縦裁断)加工ユニット
26…第三スリット(縦裁断)加工ユニット
28…第二オプション加工ユニット
30…裁断屑落し部
32…横クリース加工部(直交方向加工部)
34…横カット加工部(直交方向加工部)
42…最上流位置センサ
44…CCDセンサ(情報読取手段)
46…上流位置センサ
48…補助位置センサ
50…中間位置センサ
52…下流位置センサ
54…排出センサ
100…シート
102…主印刷部
104…マージン部
106…位置マーク
108…バーコード
110…裁断加工片
A…減速開始ポイント
B…停止開始ポイント
C…搬送ズレが有る場合の減速開始ポイント
F…搬送方向
V0…初期搬送速度
V1…最高搬送速度
V2…減速搬送速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10