(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】台間サンド
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
A63F7/02 349Z
A63F7/02 352L
(21)【出願番号】P 2019208875
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】506179697
【氏名又は名称】株式会社エルゴジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 光守
【審査官】小泉 早苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-131807(JP,A)
【文献】特開2017-195954(JP,A)
【文献】特開2019-058530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う遊技機の間に配置されて遊技空間を形成する仕切りボードを備える台間サンドであって、
前記仕切りボードは、
前記遊技機の間から前記遊技機の前側方向に延びる板状のボード本体と、
前記ボード本体の端部に設けられ、前記ボード本体に対して前記遊技空間の方向に向けて延び、前記遊技空間から音漏れを防止する第一の遮音部と、を備え
、
前記仕切りボードの前記遊技機の前側方向の端部に取り付けられ、前記遊技空間を臨む凹曲面を有する、第二の遮音部を更に備える、台間サンド。
【請求項2】
前記仕切りボードは、前記ボード本体と前記遊技機の設置面との間に配置され、前記ボード本体を支持するボード支持体を更に備える、請求項1に記載の台間サンド。
【請求項3】
前記仕切りボードが半透明又は透明である、請求項1又は請求項2に記載の台間サンド。
【請求項4】
前記第一の遮音部は、湾曲しながら前記遊技空間に向けて傾斜する形状を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の台間サンド。
【請求項5】
前記遊技機の左右両側に2つの前記仕切りボードが配置され、一の前記仕切りボードの前記第一の遮音部と、他の前記仕切りボードの前記第一の遮音部とが、前記遊技空間において上方に向けて次第に近接する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の台間サンド。
【請求項6】
前記第一の遮音部は、前記ボード本体から前記遊技機が並べられた方向に二股状に延びる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の台間サンド。
【請求項7】
前記第一の遮音部は、前記遊技空間を臨む面が凹曲面である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の台間サンド。
【請求項8】
前記遊技機間の上下に取り付けられる取付け具と、上下の前記取付け具の間に挿入されて前記遊技機間に配置される枠体とを備え、
前記仕切りボードの一部が前記遊技機から離反する方向にスライド可能に前記枠体に収納される、請求項1に記載の台間サンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台間サンドに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ台、パチスロ台等の遊技機は、通常、複数の同機種の列が幅方向に長く延びるようには配置されている。そして、一の遊技機とそれに隣り合う他の遊技機との間には、台間サンドが設けられている。台間サンドには、単に遊技用のパチンコ玉やメダルを貸し出すだけの機能を有するものもあるが、仕切りボード等により隣り合う遊技者の空間を区画するものもある。
【0003】
仕切りボードを有する台間サンドとしては、例えば、遊技機間に配置される薄型の箱状の枠体を備え、該枠体には仕切りボード、情報案内ユニット、及び飲物等載置ユニット等が収納された台間サンドが知られている(特許文献1)。遊技者は、遊技の際に枠体から遊技機の前方側へ仕切りボード、情報案内板、及び飲物等載置台等を引き出して利用することができる。仕切りボードは、隣の遊技者とは独立した個の遊技空間を形成でき、また、煙草の煙の侵入を阻止できるといった効果を有する。
一方、現在では、遊技者の嗜好や好奇心を高めるために、遊技機が液晶大画面と大音量スピーカとを備え、当該遊技機における種々のゲーム局面を、画面に映し出される躍動感のある画像と、比較的大音量の効果音と、で演出するように構成されている。遊技機には効果音の音量を調節する機能が付与されているものの、大きな効果音が好まれる傾向にあることは自明である。したがって、幅方向に一列に配列された複数の遊技機が個々に大音量の効果音を発した場合、その効果音は騒音として認識され易い。特許文献1に記載の仕切りボードのような、従来の板状の仕切りボードでは、遊技機ごとの効果音を十分に遮断することはできないので、遊技者の周囲は大きな騒音空間となり、騒音の少ない個の空間を維持することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、騒音を抑制できる台間サンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、好ましい実施形態として、下記(1)~(9)の台間サンドを提供する。
(1)隣り合う遊技機の間に配置されて遊技空間を形成する仕切りボードを備える台間サンドであって、仕切りボードは、遊技機の間から遊技機の前側方向に延びる板状のボード本体と、ボード本体の端部に設けられ、ボード本体に対して遊技空間の方向に向けて延び、遊技空間から音漏れを防止する第一の遮音部と、を備える、台間サンド。
(2)仕切りボードは、ボード本体と遊技機の設置面との間に配置され、ボード本体を支持するボード支持体を更に備える、上記(1)の台間サンド。
(3)仕切りボードの遊技機の前側方向の端部に取り付けられ、遊技空間を臨む凹曲面を有する、第二の遮音部を更に備える、上記(1)又は(2)の台間サンド。
(4)仕切りボードが半透明又は透明である、上記(1)~(3)のいずれかの台間サンド。
(5)第一の遮音部は、湾曲しながら遊技空間に向けて傾斜する形状を有する、上記(1)~(4)のいずれかの台間サンド。
(6)遊技機の左右両側に2つの仕切りボードが配置され、一の仕切りボードの第一の遮音部と、他の仕切りボードの第一の遮音部とが、遊技空間において上方に向けて次第に近接する、上記(1)~(5)のいずれかの台間サンド。
(7)第一の遮音部は、ボード本体から遊技機が並べられた方向に二股状に延びる、上記(1)~(6)のいずれかの台間サンド。
(8)第一の遮音部は、遊技空間を臨む面が凹曲面である、上記(1)~(7)のいずれかの台間サンド。
(9)隣り合う遊技機間の上下に配置された取付け具と、上下方向に延びて前後方向に対向する複数の第一のフレームと、各々凸条を有しかつ前後方向に延びて上下方向に対向する複数の第二のフレームと、を含み、上下の取付け具の間に挿入されて遊技機間に配置された枠体と、遊技機から離反する方向にスライド可能に枠体に収納されて、遊技空間を形成する仕切りボードと、を備える台間サンドであって、仕切りボードは、
遊技機の間から遊技機の前側方向に延びる板状のボード本体と、ボード本体の端部に設けられ、ボード本体に対して遊技空間の方向に向けて延び、遊技空間からの音漏れを防止する第一の遮音部と、を備える、台間サンド。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、騒音を抑制できる台間サンドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態の台間サンドの外観構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の第二実施形態の台間サンドの外観構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】本発明の第二実施形態の変形例である台間サンドの要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4】本発明の第三実施形態の台間サンドの外観構成を模式的に示す斜視図である。
【
図5】本発明の第四実施形態の台間サンドの構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図6】
図6(a)は
図5に示す台間サンドに備わる仕切りボードの外観構成を模式的に示す上面図であり、
図6(b)は
図6(a)のX
1-X
1切断線における模式断面図である。
【
図7】
図5に示す台間サンドの上端部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図5に示す台間サンドを取り付ける取付け具の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図9】本実施形態の台間サンドの防音効果を説明する上面図である。
【
図10】本発明の第五実施形態の台間サンドの防音効果を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態の台間サンドについて詳細に説明する。なお、本明細書では同じ要素(構成部材)には同じ参照符号を付し、再度の説明を省略する。
【0010】
図1は、第一実施形態である台間サンド5の外観構成を示す模式斜視図である。
図2は、第二実施形態の台間サンド6の外観構成を示す模式斜視図である。
図3は、第二実施形態の変形例である台間サンド45の要部の構成を示す模式斜視図である。
図4は、第三実施形態の台間サンド7の外観構成を示す模式斜視図である。
図1、
図3、及び
図4において、矢印Xの方向が、遊技機62から離反する方向(遊技機62の前側方向)及び遊技機62に近接する方向であり、矢印Yの方向は幅方向(複数の遊技機62が並列される方向)であり、矢印Zの方向が上下方向である。矢印X、Y及びZの各方向は、それぞれ直交する位置関係にある。
図9は、本実施形態の台間サンド5、6、7の防音効果を説明する上面図である。
図10は、第二の遮音部を有する台間サンド(第五実施形態)の防音効果を説明する上面図である。また、本明細書において、遊技空間とは、遊技機の前方空間が当該遊技機両側の台間に配置された仕切りボードにより区画された領域を意味する。
【0011】
台間サンド5は、
図1に示すように、複数の遊技機62がY方向に並列された遊技機列において、遊技機62の台間に固定され、遊技空間を形成する仕切りボード1、2を備える。仕切りボード1、2は、それぞれ、遊技機62の台間からその前側方向(遊技機62から離反する方向)に延びる板状のボード本体1A、2Aと、ボード本体1A、2AのZ方向端部(上端部)に設けられ、ボード本体1A、1Bに対して遊技空間の方向に向けて延び、遊技空間から音漏れを防止する第一の遮音部1B、2Bと、ボード本体1A、2Aと遊技機62の設置面との間に配置され、ボード本体1A、2Aを支持するボード支持体1C、2Cと、を備える。なお、
図1では、一台の遊技機62に対して台間サンド5を設けるように記載しているが、これに限定されず、各遊技機62に対して台間サンド5を設けてもよい。
【0012】
本明細書において、第一の遮音部1B、2Bがボード本体1A、1Bに対して遊技空間に向かう方向に延びるとは、ボード本体1A、2Aと第一の遮音部1B、2Bとの境界線と、第一の遮音部1B、2Bの端部縁辺とを結ぶ仮想面の、ボード本体1A、1Bに対して成す角の角度θが90°を超え、該角が鈍角であることと同義である。なお、ボード本体1A、2Aと第一の遮音部1B、2Bとの境界線は、ボード本体1A、2Aが平板状であるのに対し、第一の遮音部1B、2Bが非平板状であることから、容易に確定することができる。なお、ボード本体1A、1Bと上記仮想面とが成す角が鈍角となる領域に、ボード本体1A、2Aと第一の遮音部1B、2Bとの境界線が存在するとみなすこともできる。
【0013】
ボード本体1A、2Aは平坦な板状部材であり、X方向の一端が遊技機62のY方向(幅方向)両側の台間に固定され、遊技機62の前側方向に延びて遊技空間を形成する。ボード本体1A、2AのZ方向(上下方向)下端は、遊技機62に近接する側の一部が遊技機台62Aにより支持され、遊技機62前方側の残部が切り欠かれて、ボード支持体1C、2Cにより支持されている。ボード支持体1C、2Cの上端は、遊技機台62Aよりも高い位置にある。ボード本体1A、2Aは、例えば、一の及び他の遊技機62の前側空間を区画し、遊技空間を形成する。ボード本体1A、2AのX方向の長さは、遊技機62を設置する空間全体の大きさ等に応じて適宜選択される。
【0014】
本実施形態の第一の遮音部1B、2Bは、それぞれ、ボード本体1A、2Aの上端部に支持され、遊技機62前方の遊技空間に向けて湾曲しつつY方向右側上方、左側上方に傾斜している。第一の遮音部1B、2Bは、Z方向上方に向かうほど次第に近接するように配置され、第一の遮音部1B、2Bの間隔は比較的狭くなる。第一の遮音部1B、2BのZ方向の高さ位置は、遊技者による遊技の邪魔にならない範囲であれば特に限定されないが、音のY方向への伝播抑制や、遊技空間の開放感等の観点から、液晶画面等が配置された遊技面の上端よりも上方であることが好ましい。
【0015】
本実施形態の第一の遮音部1B、2Bの、遊技機62前方の遊技空間を臨む面(内面)は凹曲面であることが好ましい。ここで、該面は、ボード本体1A、2Aとの境界線から、第一の遮音部1B、2Bの先端側縁辺までの内面である。
【0016】
本実施形態のボード支持体1C、2Cは、ボード本体1A、2Aと遊技機62の設置面との間に配置され、遊技機台62Aの端部から遊技機62の前側方向に延びる板状部材であり、例えば、ボード本体1A、2Aを支持する。ボード支持体1C、2CのZ方向上端面には、ボード本体1A、2AのZ方向下端のうちの遊技機62の前側方向の残部を嵌入するための略直線状の溝部が設けられている。本実施形態のボード支持体1C、2Cは、遊技機62の前側方向の残部の下部が切り欠かれているが、これに限定されず、ボード本体1A、2Aを支持可能な任意の形状とすることができる。
【0017】
本実施形態の仕切りボード1、2において、ボード本体1A、1B、第一の遮音部1B、2B、及びボード支持体1C、2Cは、例えば、合成樹脂の成形品であることが好ましい。また、これら各構成部材の配色は特に限定されず、仕切りボード1、2を設置する遊技機62の意匠や各局面の演出との視覚効果等に応じて適宜選択可能であるが、個の空間でありつつ開放感のある空間を得る観点から、これら各構成部材を無色透明、有色透明、無色半透明、有色半透明等の材料から形成することが好ましい。
【0018】
本実施形態の台間サンド5の仕切りボード1、2(特に第一の遮音部1B、2B)で囲まれた、遊技機62前方の遊技空間は、第一の遮音部1B、2B間に隙間があり、また、遊技機62の前側方向には特段の仕切りはないものの、遊技機62が発する高音量効果音の、Y方向(幅方向)への伝播を抑制するという観点からは、閉空間に近い準閉空間と言うことができる。
【0019】
例えば、
図9によれば、左右両側の第一の遮音部42(第一の遮音部1B、2Bに相当)は、それぞれ左右両側のボード本体に対して、遊技機62前方の遊技空間(遊技機62に相対して設置された椅子63の側)の方向に湾曲しつつ傾斜することから、遊技機62の効果音Sは、遊技機62から離反する方向に伝播し易くなり、Y方向への伝播が左右の仕切りボード40で抑制される。したがって、遊技者は自身が遊技する遊技機62の効果音Sを主に聴くことになり、遊技者の周囲には個の空間として遊技空間が形成され易い。また、左右の第一の遮音部42は、煙草の煙の拡散等をも抑制する。なお、図中、「61」は、仕切りボード40の前側方向下端部で、仕切りボード40を支持するボード支持体である。
【0020】
図2に示す台間サンド6は、仕切りボード1、2に代えて仕切りボード3を遊技機62の台間に設ける以外は、台間サンド5と同じ構成である。仕切りボード3は、第一の遮音部1B、2Bに代えて第一の遮音部30B、31Bを有する以外は、仕切りボード1、2と同じ構成であり、遊技機62前方に遊技空間を形成する。第一の遮音部30B、31Bは、ボード本体3Aに支持されて、遊技機62のY方向において二股状(又は逆方向)に分岐し、遊技空間をY方向の右側、左側に湾曲しつつ傾斜する。台間サンド6でも、台間サンド5と同様に、
図9に示すような効果を得ることができる。台間サンド6は、台間サンド5と同様の変形例及び構成を含んでいる。
【0021】
図3は、台間サンド6の変形例である台間サンドの要部の構成を示す模式斜視図である。本実施形態の台間サンドは、第一の遮音部30B、31Bに代えて第一の遮音部45を有する以外は、台間サンド6と同じ構成を有する。第一の遮音部45は、左側遮音部46及び右側遮音部47という、Y方向(幅方向)に二股状(逆方向)に分岐してそれぞれ遊技空間に向かって湾曲しつつ逆方向に傾斜する2つの傾斜部を備えている。
【0022】
より具体的には、本実施形態の第一の遮音部45は、遊技空間に向けて湾曲しつつY方向の左側、右側(すなわち逆方向)に傾斜する左側遮音部46、右側遮音部47と、これらを支持する天板部48と、天板部48の下端面から所定の間隔を空けて垂下する左足部70、右足部71と、左、右足部70、71で形成される溝部49と、を含む。溝部49にボード本体40Aの上端部を嵌入すれば、第一の遮音部45がボード本体40Aにより支持される。本実施形態では、外観形状を整える観点や遮音効果を高める観点から、左右対称及び左側、右側遮音部46、47における遊技機の前側空間を臨む内面の曲率半径が略同じになるように構成しているが、これに限定されず、外観形状及び/又は曲率半径が異なるように構成してもよい。
【0023】
第一の遮音部45では、左、右側遮音部46、47がそれぞれ独立した第一の遮音部として機能し、これらが遊技空間の上方に向けて次第に離反し、湾曲しながら遊技空間に向けて傾斜している。したがって、左右に隣り合う2つの遊技機の台間に本実施形態の台間サンドを取り付けることにより、台間サンド6と同様に、
図9に示す効果が得られ、左右の遊技機から発生する効果音の伝播が抑制され、自身が遊技する遊技機の効果音を主に聴くことから、遊技者独自の個の空間である遊技空間を形成することができる。
【0024】
図4に示す台間サンド7は、Y方向に並列された複数の遊技機62の各台間に、仕切りボード4が配置されたものである。仕切りボード4は、台間サンド5の仕切りボード1と同じものである。本実施形態では、一の遊技機62と、右側に隣り合う他の遊技機62との間には、台間サンド5のように左側に向けて湾曲しつつ傾斜する仕切りボード2は存在しない。しかしながら、音の左右方向への伝播を抑制する観点からは、音の左方向への伝播は仕切りボード4により抑制され、音の右隣への伝播は右隣の仕切りボード4により抑制されると共に、音は右隣の遊技者のいるY方向ではなく、右上方に伝播されやすくなることから、本実施形態でも
図9に示す効果に準じた効果が得られる。
【0025】
図5は、第四実施形態である台間サンド10の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図6(a)は、台間サンド10に備わる仕切りボード40の外観形状を示す上面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のX
1-X
1切断線における断面図である。
図7は、台間サンド10の上端部の構成を示す模式斜視図である。
図8は、台間サンド10に備わる取付け具30の構成を示す模式斜視図である。
【0026】
図5に示す台間サンド10は、一列に並べられた複数の遊技機(不図示)における、左右に隣り合う遊技機の台間に配置されるものであり、隣り合う遊技機間の上下に取り付けられる取付け具30と、上下の取付け具30の間に挿入されて遊技機間に配置される枠体20と、その一部が遊技機から離反する方向にスライド可能に枠体20に収納される仕切りボード40と、を備えている。本実施形態では、台間サンド10は、遊技機に相対して設置された椅子に座って遊技機を見たときに、多少の段差はあるものの、その表面と遊技機の台枠表面とが略面一になるように、遊技機間に配置されている。また、本実施形態では、台間サンド10は、1つの遊技機に対して左右両側に配置されている。
【0027】
枠体20は、その立体形状が薄型の箱体であり、その長手方向が上下方向、短手方向が前後方向となるように配置される。ここで、前後方向とはそれぞれ遊技機から離反する方向及び遊技機に近接する方向である。枠体20は、上下方向(垂直方向)に延在しかつ前後方向に対向する一対の第一のフレーム21と、前後方向に延在しかつ上下方向に対向する一対の第二のフレーム22と、を組み合わせて矩形状に構成している。第一、第二のフレーム21、22の材質を適宜選択することにより、薄型で機械的強度の強い枠体20を安価に得ることができる。
【0028】
枠体20の前方向(遊技機から離反する方向)に配置される第一のフレーム21には、枠体20に一部が収納される仕切りボード40を前方に引き出すための開口21Aが形成されている。枠体20には、仕切りボード40の他に、たとえば情報案内ユニット25及び飲物等載置ユニット26等も収納され、第一のフレーム21に形成された他の開口21Bから情報案内ユニット25内の情報案内板(不図示)及び飲物等載置ユニット26内の飲物等載置台(不図示)を前方向に引き出すことができる。第一のフレーム21の材質は特に限定されないが、例えば、金属、合成樹脂等が挙げられる。
【0029】
枠体20の上側に配置される第二のフレーム22は、
図7に示すように、上端面において、そのほぼ中央に前後方向(枠体20の挿入方向)に延在する溝22Aがガイド部として形成されている。なお、
図7は、
図5とは反対側から見た図である。また、
図7に示すように、第二のフレーム22の溝22Aを有する面には、遊技機の間に取り付けられ、枠体20の前後方向において枠体20よりも小さな長さを有する取付け具30と対向する。取付け具30は、
図8に示すように、その前後方向(枠体20の挿入方向)の前後の各端部(各端辺)に下方へ屈曲する突起30Aを有し、これら突起30Aをガイド部としての溝22Aに挿入するよう構成されている。本実施形態の取付け具30では、突起30Aを前端部及び後端部(各端辺)設けているが、これに限定されず、後端部に設けてもよい。
【0030】
また、枠体20の下側に配置される第二のフレーム22も、下端面のほぼ中央に前後方向に延在する溝22A(不図示)がガイド部として形成されている。
図8と同様の構成からなる取付け具30が樹脂製フレーム22の溝22Aを有する面に対向して配置され、取付け具30に形成された突起30Aは溝22Aに挿入される。このような構成によって、枠体20は取付け具30との間にガイドされて信頼性よく挿入でき、挿入後において、取付け具30に対して枠体20が一体的に固定される。また、第二のフレーム22の溝22Aは、前後方向の後部において、後端に向かうにつれ幅広となるように形成されてもよい。このような構成によって、枠体20を取付け具30の間に挿入するときに取付け具30の突起30Aを第二のフレーム22の溝22A内に容易に位置づけることができ、枠体20を挿入し易くなる。第二のフレーム22の材質は特に限定されず、例えば、金属、合成樹脂等が挙げられる。本実施形態の台間サンド10では、例えば、第一のフレーム21を金属製、第二のフレーム22を合成樹脂製とする形態が挙げられる。
【0031】
図5及び
図6、特に
図6(b)に示すように、仕切りボード40は、例えば透明乃至半透明の合成樹脂によって形成され、矩形板状のボード本体40Aと、ボード本体40Aの上端部に支持されて、遊技機の前側空間に向けて湾曲しながら傾斜する、湾曲した板状の第一の遮音部42と、から構成され、遊技機前方に遊技空間を形成する。第一の遮音部42は、ボード本体40Aに対して遊技空間の方向に向けて湾曲しながら傾斜している。したがって、第一の遮音部42における、遊技空間を臨む表面(内面)は凹曲面として構成されている。この凹曲面の曲率半径は、第一~第三実施形態等と同様である。実施形態の仕切りボード40は、透明乃至半透明の合成樹脂から構成されているが、これに限定されず、無色透明、無色半透明、有色透明、有色半透明、有色不透明等の種々の合成樹脂から構成されていてもよい。
【0032】
ボード本体40Aの上下方向における、仕切りボード40を枠体20への挿入方向側端部には、それぞれ、所定長さの金属製ガイド43が取り付けられている。仕切りボード40のガイド43をそれぞれ第二のフレーム22に取り付けられたレール41に嵌合することにより、ボード本体40Aにおける上下方向両端にガイド43が取り付けられた領域を、枠体20内に収納できるように構成される。そして、仕切りボード40の第一の遮音部42と、遊技機の表面とが近接した位置関係となる。その結果、遊技機の上部が第一の遮音部42により部分的に塞がれ、台間サンド1を介して隣り合う他の遊技機の音量を抑制することができる。台間サンド10においても、台間サンド5、6、7等と同様に、
図9に示す効果をえることができる。
【0033】
図10は、第五実施形態の台間サンド12の防音効果を説明する上面図である。台間サンド12は、台間サンド5、6、7、10等に類似し、遊技機62の両側の台間に固定される2つの仕切りボード40の第一の遮音部42は、台間サンド5の仕切りボード1、2の第一の遮音部1B、2Bと同じ構成であり、かつ仕切りボード40における遊技機62から離反する方向の端部に第二の遮音部64が設けられている。
【0034】
第二の遮音部64は、仕切りボード40の前側方向端部に配置された、遊技機62の設置面から上方向に延びる柱状部材であり、仕切りボード40を支持し、安定性を高めるだけでなく、遊技機62前方の遊技空間(遊技機62に相対して配置された椅子63)を臨む表面(内面)65が凹曲面になっている。これにより、音のY方向への伝播を防止するという観点からは、準閉空間としての遊技空間が形成される。このような遊技空間では、遊技機62の効果音Sの大部分は、遊技機62の前側方向に進むものの、その一部が凹曲面65により反射されて該空間内を減衰を起こしつつ周回する。したがって、遊技機62の効果音Sは左右方向だけでなく、前側方向にも伝播し難くなり、遊技者以外の周囲の人に当該遊技機62の大音量の効果音を騒音として聴くことが著しく減少し、遊技者は遊技に集中し、気分転換等を図ることができる。
【0035】
本発明の台間サンドは、第一乃至第五実施形態に限定されず、例えば、仕切りボードを台間及び床面の両方に、取り外し可能に固定配置することもできる。また、第四実施形態において、ボード本体40Aと第一の遮音部42とを別体とし、ボード本体40Aのみが枠体20に収納されるように構成してもよい。
【0036】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0037】
1、2、3、4、40、44 仕切りボード
1A、2A、3A、4A、40A ボード本体
1B、2B、4B、30B、31B、42、45 第一の遮音部
1C、2C、3C、4C ボード支持体
5、6、7、10、11、12 台間サンド
20 枠体
21 第一のフレーム
21A、21B 開口
22 第二のフレーム
22A 溝
22B 凸条
25 情報案内ユニット
26 飲物等載置ユニット
30 取付け具
30A 突起
41 レール
43 ガイド
46 左側遮音部
47 右側遮音部
48 天板部
49 溝部
61 支持具
62 遊技機
62A 遊技機台
63 椅子
64 第二の遮音部
65 凹曲面
70 左足部
71 右足部