(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】非アルコール性脂肪性肝疾患と非アルコール性脂肪性肝炎の予防および/または処置に使用するための化合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20230906BHJP
A23L 33/00 20160101ALI20230906BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230906BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A61K31/437
A23L33/00
A61P1/16
A61P43/00 105
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2019544044
(86)(22)【出願日】2018-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2018053990
(87)【国際公開番号】W WO2018166756
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-18
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519294136
【氏名又は名称】エスジェーティー モレキュラー リサーチ,エスエル
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アグレダ ナバハス,ファン カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ミキオ カスヤ,ロベルト
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-510741(JP,A)
【文献】国際公開第2013/162021(WO,A1)
【文献】特表2016-540218(JP,A)
【文献】特表2016-526014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 1/00-43/00
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)症状または関連する病状を予防または処置するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は以下の化4の4a、5a及び化5の7aからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的あるいは食品グレードの許容可能な塩、および薬学的に許容可能な賦形剤を含み、ここで前記関連する病状は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)症状に関連する、肝臓の炎症、肝臓の繊維症、及び肝硬変からなる群から選択される、医薬組成物。
【化4】
【化5】
【請求項2】
薬学的あるいは食品グレードの許容可能な塩が塩酸塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
関連する病状は、硬変である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
インスリン抵抗性改善薬、胆汁酸調整剤、デノボ脂質生成の阻害剤、脂質低下剤、酸化防止剤、抗炎症剤、免疫変調成分、抗アポトーシス剤、腸マイクロバイオーム調整剤、または抗繊維化剤から独立して選択される第2の活性化合物をさらに含む、請求項1から3のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項5】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)症状または関連する病状を緩和または予防するための栄養補助組成物であって、前記栄養補助組成物は以下の化4の4a、5a及び化5の7aからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、またはその食品グレードの許容可能な塩、および少なくとも1つの食品グレードの許容可能な賦形剤を含み、ここで前記関連する病状は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)症状に関連する、肝臓の炎症、肝臓の繊維症、及び肝硬変からなる群から選択される、栄養補助組成物。
【化4】
【化5】
【請求項6】
薬学的あるいは食品グレードの許容可能な塩が塩酸塩である、請求項5に記載の栄養補助組成物。
【請求項7】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)症状または関連する病状を予防または処置するための薬剤の調製における、以下の化4の4a、5a及び化5の7aからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的あるいは食品グレードの許容可能な塩、および薬学的に許容可能な賦形剤の使用であって、ここで前記関連する病状は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)症状に関連する、肝臓の炎症、肝臓の繊維症、及び肝硬変からなる群から選択される、使用。
【化4】
【化5】
【請求項8】
薬学的あるいは食品グレードの許容可能な塩が塩酸塩である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
関連する病状は、硬変である、請求項7または8のいずれか1つに記載の使用。
【請求項10】
インスリン抵抗性改善薬、胆汁酸調整剤、デノボ脂質生成の阻害剤、脂質低下剤、酸化防止剤、抗炎症剤、免疫変調成分、抗アポトーシス剤、腸マイクロバイオーム調整剤、または抗繊維化剤から独立して選択される第2の活性化合物をさらに含む、請求項7から9のいずれか1つに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防および/または処置、さらにそれらの肝疾患に関連するすべての発症または症状の予防および/または処置において使用するための化合物のファミリーに注目する。
【背景技術】
【0002】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とその重篤な発達段階、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、顕著になってきた治療分野である。NAFLDは、肝実質内の脂質滴としての、肝臓における脂肪の異常蓄積を特徴とし、さほどアルコールを消費しない(1,2)個体に影響を与える。これは、世界的にみても最も頻繁にみられる肝臓障害であり、一般人口の6~35%に影響を与え、硬変と肝細胞癌(3)への進行後の肝移植の主要な要因の1つである。
【0003】
NAFLDの実際の要因は、依然としてわかっていない。しかしながら、他の疾患のうちインスリン抵抗性は、疾患プロセスにおける役割を担うと考えられている。疾患がある段階から次の段階に進行する実際の理由とメカニズムは、完全には理解されていない。
【0004】
疾患の発達は、「クヌードソン仮説(two-hit hypothesis)」により説明されており、第1の打撃は肝細胞中の脂質蓄積によって表され、続いて第2の打撃により酸化ストレスと炎症がNASH(1)をもたらす。肝細胞中の脂質蓄積によって生み出された初期代謝ストレスは、小胞体ストレス、ミトコンドリアの機能障害、酸化ストレス(活性酸素種の産生)、アポトーシス、およびネクローシスさえをも含む、多数の細胞ストレス経路を引き起こす。生みだされた肝細胞性傷害は、炎症反応をもたらす様々な免疫細胞を導入および活性化する信号の放出をもたらす。それらの事象が集まって、結果として繊維症をもたらすコラーゲン沈着の増加を含む肝星細胞の活性化をもたらし、最終的には硬変と肝細胞癌(4)に進行する場合もある。微生物相分子への、行動習慣(食事/生活様式/運動)からの他の外部入力は、疾患の発達(5)の一因となり得る。
【0005】
今日までに、多くの治療戦略が提案され、および薬剤の候補が試験されてきた。しかし、それらはいずれも、依然としてNASH(6-8)の処置のために認可されてはいない。NAFDLとNASHを処置するための効果的な治療を探す際に、異なる標的と戦略が探究されてきた。これには以下が含まれる:
・インスリン抵抗性改善薬:PPARアゴニスト、インクレチン類似体(GLP-1受容体アゴニスト)、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害剤、ACE阻害薬、およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(抗昇圧薬)。
・胆汁酸調整剤:ファルネソイドX受容体アゴニスト(消極的に胆汁酸合成を調整し、肝臓の脂質生成と脂肪症を低減する)
・デノボ脂質生成の阻害剤:ステアロイルCoAデサチュラーゼとアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤
・脂質低下薬:スタチン、フィブラート、リパーゼ阻害剤
・酸化防止剤:ビタミンE、システアミン
・抗炎症薬:TNF-α阻害剤
・免疫変調成分:IκB阻害剤、炎症性ケモキネスアンタゴニスト(CCR2/CCR5阻害剤)、VAP1阻害剤
・抗アポトーシス薬:カスパーゼ阻害剤、ASK1阻害剤
・腸マイクロバイオームモジュレータ:抗生物質、抗LPS IgG-rich抽出物、便微生物移植
・抗線維化剤:ガレクチン-3阻害剤、LOXL2遮断薬
【0006】
ガレクチン-3は繊維症の標的と考えられるが、本開示に含まれる実施例で測定されるように、肝臓炎に関するマーカーでもある。上記のように、これらのアプローチはいずれも、依然として、NASHの処置用に承認された化合物に帰結することはないため、前記疾患の処置と予防のためにこれらのアプローチの代わりを開発する必要は明白である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患または脂肪性肝炎に関連した肝臓の脂肪含量を低下させる方法に使用するための化合物を提供する。特に、本開示の課題は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、およびその重篤な発達段階である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防および/または処置のための化合物と方法を提供することである。
【0008】
NAFLDは、疾患の活動度のスペクトルを包含すると考えられる。このスペクトルは、説明されるように、肝臓(脂肪肝)における脂肪蓄積で始まる。肝臓は、肝機能の妨害がなくとも脂肪が多いままであり得るが、異なるメカニズムと、可能性のある肝臓への攻撃性とが進行し、結果として非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の発達をもたらす場合もあり、この状態において脂肪症は炎症と繊維症(脂肪性肝炎)を併発する。
【0009】
したがって、NAFLDからNASHへのこの疾患の進行は、前記障害に直接つながる種々の症状および/または関連する病状を含む。
【0010】
初期段階に関して、前記症状および/または関連する病状は、小胞体ストレス、ミトコンドリアの機能障害、酸化ストレス(活性酸素種の産生)、アポトーシス、およびネクローシスさえをも含む多数の細胞ストレス経路を引き起こす、インスリン抵抗性と肝細胞中の脂質蓄積を指す。
【0011】
第2の段階では、生み出された肝細胞性傷害は、炎症と関係するNAFLDの症状をもたらす。
【0012】
それらの事象が集まって、結果として繊維症の増加、それらの障害の関連する病状としての硬変と肝細胞癌をもたらすコラーゲン沈着の増加を含む肝細胞の活性化をもたらす。
【0013】
したがって、本発明によって解決されるべき課題は、その発達のすべての段階においてNAFLDおよびNASHの症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための式Iの化合物を提供することであり;好ましくは、関連する症状は、インスリン抵抗性、肝細胞内の脂質蓄積、ミトコンドリアの機能障害、酸化ストレス、アポトーシス、ネクローシス、炎症、または繊維症から独立して選択され;および好ましくは、関連する病状は硬変または肝細胞癌である。
【0014】
本発明で開示される式Iの化合物およびその合成は、2012年3月28日に出願された国際特許出願PCT/EP2012/055570に開示された。PCT/EP2012/055570によれば、前記化合物はメタボリック症候群の処置に有用である。ここで出願人は、驚くべきことに、前記化合物およびその合成の中間体がさらに、NAFLDまたはNASHの予防および/または処置、さらにそれらに関連する発症または症状の予防および/または処置に有用であることを発見している。
【0015】
したがって、本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および/またはそれらに関連する症状および/または関連する病状の処置に使用するための、一般式Iの化合物、およびその薬学的な、または食品用の許容可能な塩に関し:
【0016】
【化1】
ここで、独立して、
R
1は:直線または環形の、モノまたはジアルキルアミン;OR
9、アミノアルキルアルコールまたはアミノアルキルエーテルから選択可能であり;
R
2は、ベンゼン環または複素環から選択可能であり;
R
3は、H;1~5の炭素の直線または分枝したアルキルから選択された炭化水素ラジカル;またはベンジル基から選択可能であり;
R
4は、H;1~5の炭素の直線または分枝したアルキルから選択された炭化水素ラジカル;ヒドロキシまたはアルコキシのラジカル;またはハロゲンから選択可能であり;および、
R
9はアルキル基である。
【0017】
一実施形態は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および/またはそれらに関連する症状および/または関連する病状の処置に使用するための、本明細書に記載される式Iの化合物に関し、ここで関連する症状は、インスリン抵抗性、肝細胞中の脂質蓄積、ミトコンドリアの機能不全、酸化ストレス、アポトーシス、ネクローシス、炎症あるいは繊維症から独立して選択され;および関連する病状は硬変または肝細胞癌である。
【0018】
本発明に係る使用のための一般式Iの好ましい化合物は、独立して、
R1が、直線のアルキルアミンである場合:NH(CH2)n-NH2、NH(CH2)n-N(CH3)2(nは0~4の値である);NH-N=CH-フェニル-R7から選択され;
およびR1は、環形のアミンである場合に以下から選択され:
【0019】
【化2】
アミノアルキルアルコール基である場合、R
1はHNCH
2CH
2OHであり;およびアミノアルキルエーテル基である場合、R
1はHNCH
2CH
2OCH
3であり;
OR
9、R
9である場合、R
1はC
1-4アルキル基であり;
ベンゼン置換環である場合、R
2は以下から選択され:
【0020】
【0021】
【化4】
1~5の炭素の直線のアルキルから選択される炭化水素ラジカルである場合、R
3はメチルであり;
1~5の炭素の直線のアルキルから選択される炭化水素ラジカルである場合、R
4はメチルであり;
アルコキシラジカルである場合、R
4はメトキシラジカルであり;および、
ハロゲンである場合、R
4はフッ素であり;
R
5は、H;アルコキシ;ハロゲン;ヒドロキシ;またはハロゲン-アルキルから選択可能であり;
R
7は、HまたはNO
2から選択可能であり;
R
8は、H;ヒドロキシ;アルコキシから選択可能である。
【0022】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、患者への投与に際し、本明細書に記載の化合物を(直接または間接的に)提供することができる任意の塩を指す。
【0023】
用語「食品用の許容可能な塩」は、機能性食品添加物または栄養補助食品に加えることのできる、記載の生成物の任意の塩を指す。
【0024】
そのような塩は好ましくは、生理的に許容可能な有機酸または無機酸を伴う酸付加塩である。酸付加塩の例として、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸等の鉱酸付加塩、および例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルフォネート、およびp-トルエンスルホン酸等の有機酸付加塩があげられる。アルカリ加算塩の例として、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、およびアンモニウム塩等の無機塩、および例えばエチレンジアミン、エタノールアミン、N,N-ジアルキルエタノールアミン、トリエタノールアミン、および基本的なアミノ酸塩等の有機アルカリ塩があげられる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、塩は塩酸塩である。
【0026】
したがって、本発明は、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、本明細書に上記の、式Iの化合物、およびその薬学的または食品用の許容可能な塩を指す。
【0027】
本発明はまた、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置のための薬剤の製造のための、式Iの化合物、およびその薬学的または食品用の許容可能な塩の使用を指す。
【0028】
付加的に、本発明は、NAFLDまたはNASHを患う、またはそれらに関連する症状および/または関連する病状を患う被験体を予防および/または処置する方法を指し、該方法は、本明細書に開示される、有効な量の式Iの化合物、およびその薬学的または食品用の許容可能な塩を前記被験体に投与する工程を含む。
【0029】
本発明に記載される、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための好ましい化合物は、式Iの化合物であり、式中、R5は:H、メトキシ;塩素、OH、またはトリフルオロメチルから選択可能であり、好ましくは、R5がHである場合、R8はOHであり、およびR5がOHである場合、R8はHまたはOCH3である。
【0030】
本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式Iの化合物であり、式中、R9はメチルである。
【0031】
本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式Iの化合物であり、式中、R2は以下である。
【0032】
【0033】
本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式Iの化合物であり、式中、R3はメチルまたはベンジルである。
【0034】
本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式Iの化合物であり、式中、R4はメチル、メトキシ、またはフッ素である。
【0035】
本開示に係る好ましい化合物は、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、式I(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩であり、
【0036】
【化6】
式中、
-R
1は、OR
9;NH(CH
2)
n-NH
2、NH(CH
2)
n-N(CH
3)
2(nは0~4の値である);HNCH
2CH
2OH;HNCH
2CH
2OCH
3;NH-N=CH-フェニル-R
7;または環状アミンから選択され、
-R
2は、以下から選択され、
【0037】
【化7】
-R
3は、H;1~5の炭素の直線または分枝したアルキルから選択された炭化水素ラジカル;またはベンジル基から選択可能であり;
-R
4は、H;1~5の炭素の直線または分枝したアルキルから選択された炭化水素ラジカル;ヒドロキシまたはアルコキシのラジカル;またはハロゲンから選択可能であり;および、
-R
7はHまたはp-NO
2であり
-R
5は、H;アルコキシ;ハロゲン;ヒドロキシ;またはハロゲン-アルキルから選択され;
-R
8は、H;ヒドロキシ;アルコキシから選択され、
-R
9はメチルである。
【0038】
付加的に、本開示に係る好ましい化合物は、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、式I(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩であり、
【0039】
【化8】
式中、
-R
1は、NH(CH
2)
n-NH
2、NH(CH
2)
n-N(CH
3)
2(nは0~4の値である);HNCH
2CH
2OH;HNCH
2CH
2OCH
3;NH-N=CH-フェニル-R
7;または以下から選択される環状アミンから選択され:
【0040】
【0041】
【化10】
-R
3は、H、メチル、またはベンジルから選択され;
-R
4は、H、メチル、メトキシ、またはフッ素から選択され;
-R
7はHまたはp-NO
2であり;
-R
8は、H、OH、またはメトキシであり;および、
-R
5は、H、OH、またはメトキシである。
【0042】
好ましい実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩である。
【0043】
付加的に、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式IIまたはIIIを有する化合物であり、
【0044】
【化11】
ここで、独立して、
R
1は;OH、OCH
3、nが0~3の値であるNH-(CH
2)
n-N(CH
3)
2、NH-(CH
2)
n-NH
2;NH(CH
2)
2-OH;NH-(CH
2)
2-OCH
3、またはNH-N=CH-フェニル-R
7から選択可能であり;
R
5は、OCH
3またはHから選択可能であり;
R
7は、Hまたはp-NO
2から選択可能である。
【0045】
より具体的には、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、R1がOH基である場合にR5がHまたはp-OCH3から選択される化合物である。
【0046】
本発明に係る使用のための好ましいさらなる化合物は、R1がOH基であり、かつR5がp-OCH3である式1aから;またはR1がOH基であり、かつR5がHである式1bから選択される、式IIを有する化合物である。
【0047】
さらに、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、R1がOCH3基である場合にR5がHまたはp-OCH3から選択される化合物である。
【0048】
本発明に係る使用のための好ましい化合物は:R1がOCH3基であり、かつR5がp-OCH3である式2a;R1がOCH3基であり、かつR5がHである式2bから選択される式IIを有する化合物;または、R1がOCH3基でありR5がp-OCH3である式3a、またはR1がOCH3基でありR5がHである式3bから選択される式IIIを有する化合物である。
【0049】
さらに、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、R1がNH-(CH2)n-NH2であり、n=2または3の値である場合に、R5がp-OCH3である化合物である。
【0050】
本発明に係る使用のための好ましい化合物は、R1がNH(CH2)2NH2でありR5がp-OCH3である式4aから;またはR1がNH(CH2)3NH2でありR5がp-OCH3である式5aから選択される式IIIを有する化合物である。
【0051】
本発明に係る使用のためのより好ましい化合物は4aであり、ここでR1がNH-(CH2)n-NH2基、n=2の値である場合、R5はp-OCH3である。
【0052】
本発明に係る使用のためのより好ましい化合物は5aであり、ここでR1がNH-(CH2)n-NH2基、n=3の値である場合、R5はp-OCH3である。
【0053】
【0054】
本発明に係る使用のためのより好ましい化合物は、式IIIを有する化合物であり、ここでR1がNH-(CH2)n-NH2基、n=0の値である場合、R5はHまたはp-OCH3から選択される。
【0055】
本発明に係る使用のための化合物は、R1がNHNH2でありR5がp-OCH3である式6aから;またはR1がNHNH2でありR5がHである式6bから選択される、式IIIを有する化合物をさらに含む。
【0056】
さらにとりわけ、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式IIIにおいて、R1がNH-N=CH-フェニル基である場合、R5がp-OCH3であり、R1がp-NO2基により置換されたNH-N=CH-フェニル基である場合、R5がHである化合物である。
【0057】
本発明に係る使用のための化合物は、R1がNH-N=CH-フェニル基でありR5がp-OCH3である式7aから;またはR1がNH-N=CH-フェニル-p-NO2基でありR5がHである式7bから選択される、式IIIを有する化合物をさらに含む。
【0058】
【0059】
さらに、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式IIIを有する化合物であり、ここでR1がNH-(CH2)n-N(CH3)2基、n=2の値である場合、R5はp-OCH3である。
【0060】
さらに、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式IIIを有する化合物であり、ここでR1は以下から選択される環状アミンであり、
【0061】
【0062】
さらに、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式IIIを有する化合物であり、ここでR1がNH-(CH2)n-N(CH3)2、n=4の値である場合、R5はp-OCH3である。
【0063】
さらに、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式IIIを有する化合物であり、ここでR1がNH-(CH2)2-OHである場合、R5はp-OCH3である。
【0064】
さらに、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式IIIを有する化合物であり、ここでR1がNH-(CH2)2-OCH3である場合、R5はp-OCH3である。
【0065】
さらに、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式IIIを有する化合物であり、ここでR1がNH-(CH2)n-N(CH3)2、n=2の値である場合、R5は塩素である。さらに、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式IIIを有する化合物であり、ここでR1がNH-(CH2)n-N(CH3)2、n=2の値である場合、R5はOHである。
【0066】
さらに、本発明に係る使用のための好ましい化合物は、式IIIを有する化合物であり、ここでR1がNH-(CH2)n-N(CH3)2、n=2の値である場合、R5はトリフルオロメチルである。
【0067】
好ましい実施形態は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および/またはそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、式I、II、またはIIIの化合物、またはその薬学的な塩、または有効な量の前記化合物を含む医薬組成物を指し、ここで関連する症状は、インスリン抵抗性、肝細胞内の脂質蓄積、ミトコンドリアの機能障害、酸化ストレス、アポトーシス、ネクローシス、炎症、または繊維症から独立して選択され;および、関連する病状は硬変または肝細胞癌である。
【0068】
好ましい実施形態は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の予防および/または処置に使用するための、式I、II、またはIIIの化合物、またはその薬学的な塩、または前記化合物を含む医薬組成物を指す。
【0069】
好ましい実施形態は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防および/または処置に使用するための、式I、II、またはIIIの化合物、またはその薬学的な塩、または前記化合物を含む医薬組成物を指す。
【0070】
好ましい実施形態は、インスリン抵抗性、肝細胞内の脂質蓄積、ミトコンドリアの機能障害、酸化ストレス、アポトーシス、ネクローシス、炎症、または繊維症の予防および/または処置に使用するための、式I、II、またはIIIの化合物、またはその薬学的な塩、または前記化合物を含む医薬組成物を指す。
【0071】
好ましい実施形態は、インスリン抵抗性、肝細胞内の脂質蓄積、肝臓炎または肝繊維症の予防および/または処置に使用するための、式I、II、またはIIIの化合物、またはその薬学的な塩、または前記化合物を含む医薬組成物を指す。
【0072】
好ましい実施形態は、硬変または肝細胞癌の予防および/または処置に使用するための、式I、II、またはIIIの化合物、またはその薬学的な塩、または前記化合物を含む医薬組成物を指す。
【0073】
本発明はまた、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、随意に任意の不活性成分、担体、または賦形剤等を有する、一般式I、II、およびIIIによって表わされる前記の化合物の少なくともいずれか、およびその薬学的または食品用の許容可能あるいは受容可能な塩およびそれらの組み合わせを含む、医薬組成物、機能性食品添加物、または栄養補助食品を含む。
【0074】
本発明はまた、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、先に開示されたような、一般式Iに包含される化合物のいずれか、およびその薬学的な塩、またはそれらを含む医薬組成物を包含する。
【0075】
付加的に、本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および/またはそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、本明細書に記載される、有効な量の式Iの少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0076】
本発明の目的のための有効な量は、症状の自覚的な緩和、または、臨床医あるいは有資格の観察者によって留意されるような客観的に特定可能な改善のいずれかを提供する量である。
【0077】
本発明はまた、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および/またはそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、有効な量の式Iの少なくとも1つの化合物、およびその薬学的に許容可能な塩、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物に関し:
【0078】
【化15】
ここで、独立して、
R
1は、直線または環形のモノまたはジアルキルアミン;OR
9、アミノアルキルアルコール、またはアミノアルキルエーテルから選択され;
R
2は、ベンゼンまたは複素環から選択され;
R
3は、H;1~5の炭素の直線または分枝したアルキルから選択された炭化水素ラジカル;またはベンジル基から選択され;
R
4は、H;1~5の炭素の直線または分枝したアルキルから選択された炭化水素ラジカル;ヒドロキシまたはアルコキシのラジカル;またはハロゲンから選択され;
およびR
9はアルキル基である。
【0079】
付加的に、有効な量の少なくとも1つの式Iの化合物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、上記のような使用のための医薬組成物が開示され、ここで:-R1は、NH-(CH2)n-NH2、NH-(CH2)n-N(CH3)2(nは0~4の値である);HNCH2CH2OH;HNCH2CH2OCH3;NH-N=CH-フェニル-R7;または以下から選択される環状アミンから選択され:
【0080】
【0081】
【化17】
-R
3は、H、メチル、またはベンジルから選択され;
-R
4は、H、メチル、メトキシ、またはフッ素から選択され;
-R
7はHまたはp-NO
2であり
-R
8は、H、OH、またはメトキシであり;および、
-R
5は、H、OH、またはメトキシである。
【0082】
付加的に、本発明はまた、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、先に開示された一般式I、IIまたはIIIにより包含される化合物のいずれか、およびその薬学的な塩、さらに第2の活性化合物を含む。前記第2の活性化合物は、一般式I、IIまたはIIIにより包含される化合物のいずれか、およびその薬学的な塩と同時に、連続して、または独立して投与することができる。
【0083】
本発明の目的のために、「活性化合物または有効成分」は同義語としてとらえるべきであり、およびヒトまたは動物への投与時に治療効果を発揮する化学物質を意味する。前記第2の活性化合物は、インスリン抵抗性改善薬、胆汁酸調整剤、デノボ脂質生成の阻害剤、脂質低下剤、酸化防止剤、抗炎症剤、免疫変調成分、抗アポトーシス剤、腸マイクロバイオーム調整剤、または抗線維化剤から独立して選択可能である。
【0084】
本発明の目的のために、インスリン抵抗性改善薬は、限定されないがPPARアゴニスト、インクレチン類似体(GLP-1受容体アゴニスト)、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害剤、ACE阻害薬、またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(抗昇圧薬)を含む。胆汁酸調整剤は、限定されないがファルネソイドX受容体アゴニストを含む。デノボ脂質生成の阻害剤は、限定されないがステアロイルCoAデサチュラーゼまたはアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤を含む。脂質低下剤は、限定されないがスタチン、フィブラートまたはリパーゼ阻害剤を含む。酸化防止剤は、限定されないがビタミンEまたはシステアミンを含む。抗炎症剤は、限定されないがTNF-α阻害剤を含む。免疫変調成分は、限定されないがIκB阻害剤、炎症性ケモキネスアンタゴニスト(CCR2/CCR5阻害剤)またはVAP1阻害剤を含む。抗アポトーシス剤は、限定されないがカスパーゼ阻害剤またはASK1阻害剤を含む。腸マイクロバイオーム調整剤は、限定されないが抗生物質、抗LPS IgG-rich抽出物、または便微生物移植を含む。抗線維化剤は、限定されないがガレクチン-3阻害剤またはLOXL2遮断薬を含む。
【0085】
本発明はまた、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および/またはそれらに関連する症状および/または関連する病状の緩和および/または予防に使用するための、式Iの少なくとも1つの化合物、またはその食品用の許容可能な塩、および少なくとも1つの食品用の許容可能な賦形剤を含む栄養補助食品の使用に関し:
【0086】
【化18】
ここで、独立して、
R
1は、直線または環形のモノまたはジアルキルアミン;OR
9、アミノアルキルアルコール、またはアミノアルキルエーテルから選択され;
R
2は、ベンゼンまたは複素環から選択され;
R
3は、H;1~5の炭素の直線または分枝したアルキルから選択された炭化水素ラジカル;またはベンジル基から選択され;
R
4は、H;1~5の炭素の直線または分枝したアルキルから選択された炭化水素ラジカル;ヒドロキシまたはアルコキシのラジカル;またはハロゲンから選択され;
およびR
9はアルキル基である。
【0087】
付加的に、有効な量の少なくとも1つの式Iの化合物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、上記のような栄養補助食品の使用が開示され、ここで:
-R1は、NH-(CH2)n-NH2、NH-(CH2)n-N(CH3)2(nは0~4の値である);HNCH2CH2OH;HNCH2CH2OCH3;NH-N=CH-フェニル-R7;または以下から選択される環状アミンから選択され:
【0088】
【0089】
【化20】
-R
3は、H、メチル、またはベンジルから選択され;
-R
4は、H、メチル、メトキシ、またはフッ素から選択され;
-R
7は、Hまたはp-NO
2であり;
-R
8は、H、OH、またはメトキシであり;および、
-R
5は、H、OH、またはメトキシである。
【0090】
本発明は、先に開示されたように、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための薬剤の製造における、一般式I、IIまたはIIIに包含される化合物のいずれか、およびその薬学的な塩、またはそれらを含む医薬組成物の使用を含む。
【0091】
本発明はさらに、NAFLDまたはNASHを患う、またはそれらに関連する症状および/または関連する病状を患う被験体を予防および/または処置する方法を含み、該方法は、有効な量の一般式I、IIまたはIIIにより包含される化合物のいずれか、およびその薬学的または食品用の許容可能な塩、またはそれらを含む医薬組成物、食品添加物または栄養補助食品を、前記被験体に投与する工程を含む。
【0092】
本発明はさらに、NAFLDまたはNASHを患う、またはそれらに関連する症状および/または関連する病状を患う被験体を予防および/または処置する方法を含み、該方法は、一般式I、IIまたはIIIにより包含される化合物のいずれか、およびその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を前記被験体に投与する工程を含む。
【0093】
付加的に、本発明はさらに、NAFLDまたはNASHを患う、またはそれらに関連する症状および/または関連する病状を患う被験体を予防および/または処置する方法を含み、該方法は、一般式I、IIまたはIIIにより包含される化合物のいずれか、およびその食品用の許容可能な塩を含む機能性食品添加物または栄養補助食品を前記被験体に投与する工程を含む。
【0094】
本発明に係る、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための最も好ましい化合物は、以下の化合物から選択される:表1に示される、4a、5a、7a、17a、17b、17c、21a、21b、21c、21d、21e、21f、23a、23b、23c、23d、23e、23f、26a、または26b。
【0095】
本発明はさらに、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、表1に示される、4a、5a、7a、17a、17b、17c、21a、21b、21c、21d、21e、21f、23a、23b、23c、23d、23e、23f、26a、または26bから独立して選択された化合物、またはそれを含む医薬組成物を含む。
【0096】
より好ましいものは、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、4a、5a、および7aから独立して選択された化合物、またはそれを含む医薬組成物である。
【0097】
より好ましいものは、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、4a、26a、21a、26b、21b、21c、21e、21d、17a、17c、17b、または21fから独立して選択された化合物、またはそれを含む医薬組成物である。
【0098】
より好ましいものは、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、4a、5a、7a、23b、23c、26a、23a、23e、23d、26b、21d、17a、17c、17b、または23fから独立して選択された化合物、またはそれを含む医薬組成物である。
【0099】
より好ましいものは、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、4a、26a、17a、17c、または17bから独立して選択された化合物、またはそれを含む医薬組成物である。
【0100】
より好ましいものは、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、4aまたは5aから独立して選択された化合物、またはそれを含む医薬組成物である。
【0101】
より好ましいものは、本発明に係る使用のための化合物は、4aまたは5aの塩酸塩である。より好ましくは、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、4aから独立して選択された化合物、またはそれを含む医薬組成物である。より好ましくは、本発明に係る使用のための化合物は、4aの塩酸塩である。
【0102】
付加的に、本発明は、NAFLDまたはNASHを患う、またはそれらに関連する症状および/または関連する病状を患う被験体を予防および/または処置する方法を含み、該方法は、表1に示されるように、有効な量の4a、5a、7a、17a、17b、17c、21a、21b、21c、21d、21e、21f、23a、23b、23c、23d、23e、23f、26a、または26b、またはそれを含む医薬組成物、食品添加物、または栄養補助食品を前記被験体に投与する工程を含む。より好ましくは、有効な量の4a、5a、および7a;または4a、26a、21a、26b、21b、21c、21e、21d、17a、17c、17b、または21f;または4a、5a、7a、23b、23c、26a、23a、23e、23d、26b、21d、17a、17c、17b、または23f;または4a、26a、26b、17a、17c、または17b;または4aまたは5aを被験体に投与する工程を含む。
【0103】
より好ましくは、本発明は、NAFLDまたはNASHを患う、またはそれらに関連する症状および/または関連する病状を患う被験体を予防および/または処置する方法を含み、該方法は、有効な量の4a、またはそれを含む医薬組成物、食品添加物、または栄養補助食品を前記被験体に投与する工程を含む。
【0104】
本発明はさらに、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、随意に任意の不活性成分、担体、または賦形剤等を有する、表1に示されるような4a、5a、7a、17a、17b、17c、21a、21b、21c、21d、21e、21f、23a、23b、23c、23d、23e、23f、26aまたは26bから独立して選択される少なくとも1つの化合物、またはそれらの薬学的または食品用の許容可能あるいは受容可能な塩およびそれらの組み合わせを含む、医薬組成物、機能性食品添加物、または栄養補助食品を含む。より好ましくは、4a、5a、および7aから;または4a、26a、21a、26b、21b、21c、21e、21d、17a、17c、17b、または21fから;または4a、5a、7a、23b、23c、26a、23a、23e、23d、26b、21d、17a、17c、17b、または23fから;または4a、26a、26b、17a、17c、または17bから;または4aあるいは5aから独立して選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0105】
好ましい実施形態では、本発明は、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、随意に任意の不活性成分、担体、または賦形剤等を有する、4a、およびその薬学的または食品用の許容可能あるいは受容可能な塩およびそれらの組み合わせを含む、医薬組成物、機能性食品添加物、または栄養補助食品を含む。
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
本発明はまた、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するための、表1に先に記載された化合物の、化合物の合成におけるすべての中間化合物を包含する。
【0113】
特に、本発明は、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または病状の予防および/または処置に使用するために、1a、1b、2a、2b、3a、3b、6a、6b、7b、8、13a、13b、13c、14a、14b、14c、15a、15b、15c、16a、16b、16c、18a、18b、18c、18d、18e、18f、19a、19b、19c、19d、19e、19f、20a、20b、20c、20d、20e、20f、22a、22b、22c、22d、22e、22f、24a、24b、25a、または25bから選択された中間化合物を包含し、および本発明はさらに、NAFLDまたはNASHを患う、またはそれらに関連する症状および/または関連する病状を患う被験体を予防および/または処置するための方法を含み、該方法は、前記中間化合物、またはそれを含む医薬組成物、食品添加物、または栄養補助食品を前記被験体に投与する工程を含む。
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
特に、本発明は、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するために、以下から選択される中間化合物を包含する:7b、15a、15b、15c、16a、16b、16c、19a、19b、19c、19d、19e、19f、20a、20b、20c、20d、20e、20f、22a、22b、22c、22d、22e、22f、24a、24b、25a、または25b。および本発明はさらに、NAFLDまたはNASHを患う、またはそれらに関連する症状および/または関連する病状を患う被験体を予防および/または処置するための方法を含み、該方法は、前記中間化合物、またはそれを含む医薬組成物、食品添加物、または栄養補助食品を前記被験体に投与する工程を含む。
【0120】
特に、本発明は、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の予防および/または処置に使用するために、7b、16a、16b、16c、20a、20b、20c、20d、20e、20f、22a、22b、22c、22d、22e、22f、24a、24b、25a、または25bから選択される中間化合物を包含し、および本発明はさらに、NAFLDまたはNASHを患う、またはそれらに関連する症状および/または関連する病状を患う被験体を予防および/または処置するための方法を含み、該方法は、前記中間化合物、またはそれを含む医薬組成物、食品添加物、または栄養補助食品を前記被験体に投与する工程を含む。
【0121】
好ましくは、本発明はまた、単独または組み合わせて、4a、5a、7a、21a、21b、21e、23a、23b、23d、23e、23f、または26bと名づけられた化合物、またはそれを含む医薬組成物を含み、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の処置または予防に使用するのに、または、NAFLDまたはNASH、およびそれらに関連する症状および/または関連する病状の処置のための薬剤の製造に使用するのに、特に適している。
【0122】
発明はさらに、特にNAFLDまたはNASHに関連する症状、およびそれらに関連する病状を予防または低減するための機能性食品添加物または栄養補助食品として使用するための、先に開示された一般式I、IIまたはIIIにより包含される化合物のいずれか、またはそれを含む機能性食品添加物または栄養補助食品を含む。
【0123】
好ましくは、本発明はまた、単独または組み合わせて、4a、5a、7a、21a、21b、21e、23a、23b、23d、23e、23f、または26bと名づけられた化合物、またはそれを含む機能性食品添加物または栄養補助食品を含み、それらは特に、NAFLDまたはNASHに関連する症状、およびそれらに関連する病状を特に予防または低減するための機能性食品添加物または栄養補助食品として使用するのに適している。
【0124】
付加的に、本発明はまた、NAFLDまたはNASHに関連する症状、およびそれらに関連する病状を、前記症状および関連する病状を患う患者において予防または低減するための方法を含み、該方法は、先に開示された一般式I、IIまたはIIIにより包含される有効な量の化合物のいずれか、またはそれを含む機能性食品添加物または栄養補助食品を前記被験体に投与する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【
図1】食塩水溶液(0.9%のNaCl)で処置された対照と、メトホルミン(150mg/kg)で処置された陽性対照に対する、すべて50mg/kgの用量の化合物4a(SJT4A)と5a(SJT5A)、および化合物7a(SJT7A)の塩酸塩の、36日間の処置中のDIOモデルマウスにおけるインスリン抵抗性(HOMA-IR)の低下に際するインビボ効果。
【
図2A】肝脂肪を減らす本発明の化合物のインビボ効果。食塩水溶液(0.9%のNaCl)で処置された対照と、メトホルミン(150mg/kg)で処置された陽性対照と比較した、36日間、化合物4a(SJT4A)の塩酸塩および化合物7a(SJT7A)(共に50mg/kg)で処置されたDIOマウスにおけるコレステロール肝臓含量を示す。
【
図2B】肝脂肪を減らす本発明の化合物のインビボ効果。食塩水溶液(0.9%のNaCl)で処置された対照と、メトホルミン(150mg/kg)で処置された陽性対照と比較した、36日間、化合物4a(SJT4A)の塩酸塩および化合物7a(SJT7A)(共に50mg/kg)で処置されたDIOマウスにおける肝性トリグリセリドレベルを示す。
【
図2C】肝脂肪を減らす本発明の化合物のインビボ効果。食塩水溶液(0.9%のNaCl)で処置された対照と、メトホルミン(150mg/kg)で処置された陽性対照と比較した、36日間、化合物4a(SJT4A)の塩酸塩および化合物7a(SJT7A)(共に50mg/kg)で処置されたDIOマウスにおける肝脂肪酸レベルを示す。
【
図3A】肝脂質含量中の化合物4a(SJT4a)の塩酸塩のインビボ効果を示す。DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、ビヒクル(0.9%のNaCl)で共に処置したDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、8週間、化合物4aの塩酸塩(50mg/kg、経口投与、1日2回)で処置した。
【
図3B】処置の終わりの前記3匹のマウスに関する肝臓形態の代表的な画像を示す(倍率x20)。
【
図4A】肝性トリグリセリド含量中の化合物4a(SJT4a)の塩酸塩のインビボ効果を示す。
【
図4B】肝性トリグリセリド含量中の化合物4a(SJT4a)の塩酸塩のインビボ効果を示す。両方の場合において、DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスと比較し、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。
【
図5】食塩水溶液(0.9%のNaCl)で処置された対照と、メトホルミン(150mg/kg)で処置された陽性対照と比較した、36日の処置後のDIOマウスにおける、共に50mg/kgの化合物4a(SJT4A)と5a(SJT5A)の塩酸塩の、脂肪肝に関連する肝臓の重量超過を減らすインビボ効果。
【
図6】肝臓の総重量における、化合物4a(SJT4a)の塩酸塩のインビボ効果を示す。DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。
【
図7A】絶対的な体重で化合物4a(SJT4a)の塩酸塩のインビボ効果を示す。DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。
【
図7B】相対的な体重で化合物4a(SJT4a)の塩酸塩のインビボ効果を示す。DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。
【
図8A】血漿ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)中の化合物4a(SJT4a)の塩酸塩のインビボ効果を示す。DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWに対して、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。
【
図8B】血漿AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)中の化合物4a(SJT4a)の塩酸塩のインビボ効果を示す。DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWに対して、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。
【
図9】8週間、50mg/kg、経口投与、1日2回、(A)ビヒクルで処置されたLEAN-CHOWマウス、(B)ビヒクルで処置されたDIO-NASHマウス、または(C)化合物4a(SJT4a)の塩酸塩で処置されたたDIO-NASHマウスにおける、NAFLD activity score(NAS)を測定するためのインビボアッセイ。
【
図10A】肝臓繊維症における化合物4a(SJT4a)の塩酸塩のインビボ効果を示し、繊維症マーカーとしてI型コラーゲン(col1a1)を測定した。共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と、非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、肝臓サンプルを、8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)、化合物4aの塩酸塩で処置したDIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)から得た。
【
図10B】試験の終わりの、抗I型コラーゲンで染色された前記マウス群の各々に関する肝臓サンプルの代表的な画像を示す(倍率20x)。
【
図11A】肝臓炎における化合物4a(SJT4a)の塩酸塩のインビボ効果を示し、肝臓炎マーカーとしてガレクチン-3を測定した。共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と、非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、肝臓サンプルを、8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)、化合物4aの塩酸塩で処置したDIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)から得た。
【
図11B】試験の終わりの、抗ガレクチン-3で染色された前記マウス群の各々に関する肝臓サンプルの代表的な画像を示す(倍率20x)。
【
図12】繊維症マーカーとしてのコラーゲン遺伝子の発現における、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置したDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対する、化合物4a(SJT4a)の塩酸塩50mg/kgでのDIO-NASHマウスの8週間の処置効果:(A)I型コラーゲン-アルファ1(COL1A1)と(B)アルファ2(COL1A2)と(C)III型コラーゲンアルファ1(COL3A1)。
【
図13】繊維症マーカーとしてのコラーゲン遺伝子の発現における、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置したDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対する、化合物4a(SJT4a)の塩酸塩50mg/kgでのDIO-NASHマウスの8週間の処置効果:(A)コラーゲンVアルファ1(COL5A1)、(B)アルファ2(COL5A2)と(C)アルファ3(COL5A3)、(D)IV型コラーゲンアルファ1(COL6A1)、(E)アルファ2(COL6A2)と(F)アルファ3(COL6A3)。
【実施例】
【0126】
実施例1:インスリン抵抗性を低減する本発明の化合物のインビボ効果。
【0127】
本明細書で上記のように、インスリン抵抗性は、NAFLDの発達に関係する重要な発症または症状と認められる。
【0128】
インスリン抵抗性の低減における本開示の化合物の性能を評価するために、食塩水溶液(0.9%のNaCl)で処置された対照、および陽性対照としてメトホルミンで処置されたDIOマウスと比較して、DIOマウス(C57Bl/6Jのオスのマウス)を、化合物4a、5aの塩酸塩;および化合物7aで、36日間処置した。
【0129】
評価のために、Charles River Franceから得た60 C57Bl/6Jのオスのマウス(発送時に16週齢、40gの平均体重)に10週間、高脂肪食を与えた。実験過程を通じて、換気して豊かにしたケージ(310×125×127mm3)に動物を収容した。動物のケージの寝わらを、少なくとも週1回交換した。22±2℃および50±10%の相対湿度で、通常の12時間の光サイクル(午後08:00にライトのスイッチを切った)で、マウスを10マウスの群に収容した。受付の後、新環境順応のためにさらに3週間、マウスを保全した。全試験の間(順化+処置段階)、高脂肪食(Research Diet Inc.から購入したD12492;60%の脂肪)と水道水を適宜、提供した。
【0130】
順化期間の後、マウスを6時間、断食させ、そして血糖と血漿インスリンを測定した。より低い血糖/血漿インスリンを有する10匹の動物を試験から切り捨てた。次に、血糖/血漿インスリンレベル(HOMA-IRまたはホメオスタシスモデルアセスメント-インスリン抵抗性指数)と体重に従って、他方を5つの均質群(1つの群当たりn=10マウス)に無作為化した。食塩水溶液(対照群)、試験化合物(4a、5a、7a;50mg/kg)またはメトホルミン(150mg/kg)で36日間、マウスを経口的に1日2回処置した。
【0131】
6時間の断食後、血糖と血漿インスリンと共に体重を毎週、測定した。
【0132】
尾の先端から血液をサンプリングすることにより血糖を測定した:1滴の血液を採取し、血糖値測定器の板(Accu-Check R glucometer,Roche,Switzerland)に配置する。血漿インスリンを、5μlのサンプルを使用してELISA((Elisa Kit,Eurobio,France)によって検出した。
【0133】
インスリン抵抗性を定量化するために使用されるホメオスタシスモデルアセスメント-インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)を、空腹時血糖から算出し、および血漿インスリン値を以下のように計算した:HOMA-IR=(mM グルコース X μU/mL インスリン)/22.5、この定数を標準化因子と見なす(Matthews et al.,1985,Diabetologia 28(7),412-9)。
【0134】
図1は、1、8、15、22、29、および36日後の、試験された化合物の各々で処置されたマウス、メトホルミンで処置されたマウス、さらに対照動物に関するHOMAR-IR結果を示す。化合物4aと5aの塩酸塩、および化合物7aで処置されたマウスは、処置の全期間にわたり、対照動物と比較してより低い、およびメトホルミンで処置された動物に類似するインスリン抵抗性を示した。
【0135】
データは、10匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。
【0136】
実施例2:本発明の化合物の、脂肪肝に関連した肝脂質含量に対するインビボ効果。
【0137】
2.1.肝脂質含量に対する化合物4aと7aの効果:DIOマウスでの36日間のアッセイ。
肝脂質含量の減少における本開示の化合物の性能を評価するために、食塩水溶液(0.9%のNaCl)で処置したDIOマウスの対照、および陽性対照としてメトホルミンで処置したDIOマウスに対して、DIOマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、化合物4aの塩酸塩;および化合物7aで36日間処置した。実験過程を通じて、換気して豊かにしたケージ(310×125×127mm3)に動物を収容した。動物のケージの寝わらを、少なくとも週1回交換した。22±2℃および50±10%の相対湿度で、通常の12時間の光サイクル(午後08:00にライトのスイッチを切った)で、マウスを10マウスの群に収容した。受付の後、新環境順応のためにさらに3週間、マウスを保全した。全評価の間(順化+処置段階)、高脂肪食(Research Diet Inc.から購入したD12492;60%の脂肪)と水道水を適宜、提供した。
【0138】
順化期間の後、マウスを6時間、断食させ、そして血糖と血漿インスリンを測定した。より低い血糖/血漿インスリンを有する10匹の動物を試験から切り捨てた。次に、血糖/血漿インスリンレベル(HOMA-IR)と体重に従って、他方を5つの均質群(1つの群当たりn=10マウス)に無作為化した。食塩水溶液(対照群)、SJT試験化合物(4a、7a;50mg/kg)またはメトホルミン(150mg/kg)で36日間、マウスを経口的に1日2回処置した。
【0139】
最後に、マウスを殺し、そして肝臓を回収し、加重し、追加の分析のために-80℃で保存した。肝臓脂質アッセイのために肝臓サンプルを解剖した。Miao et al.,J Lipid Res,2004,45,1410-17に記載されるように、デオキシコール酸塩における脂質可溶化後に、肝臓サンプルのホモジネートから、比色定量の市販のアッセイキットを使用して肝脂質を分析した。わずか数秒間、500μlの蒸留水を用いて超音波プローブでサンプルを均質化した。次に、1%でコール酸を加えて脂質を可溶性にした。次に、Sobioda,Franceからの比色定量キットを使用して種々の脂質の測定を行なった。
【0140】
図2A、2B、および2Cは、化合物4aの塩酸塩および化合物7aでの36日間の処置後の、肝臓コレステロール、肝臓トリグリセリド、および肝脂肪酸それぞれのレベルを示す。各場合において、化合物4aと7aで処置されたマウス群は共に、未処置の対照動物よりも低い脂質レベルを示した。データは、10匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。
【0141】
2.2.肝脂質含量に対する化合物4aの塩酸塩の効果:DIO-NASHマウスにおける8週間のアッセイ。
DIO-NASHマウスモデルに、結果として非アルコール性脂肪性肝疾患をもたらす高脂肪食を与え、およびC57Bl/6Jマウスに基づいてアッセイ前に40%の高脂肪食を与える。非アルコール性脂肪性肝疾患における肝脂質含量に対する本発明の化合物の効果の評価のために、Janvier、Franceから得た34のC57Bl/6J オスのマウス(発送時に5週齢)を使用した。試験に先立ち35週間、DIO-NASHマウス群に高脂肪食(40%のAMLN食、D09100301Research Diets、アメリカ)を与え、および対照群(LEAN-CHOW)に、通常の固形食(Altromin 1324、Brogaarden、Denmark)を与えた。
【0142】
動物(単一のハウジングで飼う)を毎日最低1回チェックし、ここで異常行動の徴候、異常な自発運動、運動失調、または疾患の臨床的徴候(毛づくろいの欠如、膨らんだ毛皮、取り扱い時の痛みの徴候、過度の体重減少)を密に追跡した。追加の評価が正当と判断された健康状態が、臨床獣医により、または臨床獣医の監督下で働く専門家により検査された。試験期間中、動物が成育しておらず、道義的理由により終了するべきであるかを判定するために、疾患の同じ異常行動と臨床的症状を使用した。獣医により推奨される可能な処置を、試験責任者と同意後に行った。マウスを通常の12時間の光サイクル(3pmに消灯)で収容し、および部屋の環境を制御した(標的範囲:温度21±2℃;相対湿度50±1%)。
【0143】
各動物を、動物ユニットへの到着に際し移植可能なマイクロチップ(Pet ID Microchip,E-vet)によって独自に識別した。HM02Labソフトウェア(Ellegaard Systems,Denmark)を実行するラップトップに接続されたWS-1秤量所(MBrose,Denmark)を使用して動物を識別した。HM02Labソフトウェアは、体重を動物IDと一致させる。肝生検のために、イソフルラン(2-3%)を使用し吸入麻酔によってマウスに麻酔をかけた。小さな腹部切開を中線で行い、肝臓の左側方向葉を露出させた。肝臓組織の円錐形のウェッジ(およそ50mg)を葉の遠位部から切除し、そして組織学のために10%の中性緩衝ホルマリン(4%のホルムアルデヒド)に固定した。肝臓の切断面を、バイポーラ凝固(ERBE VIO 100 電気メス)を使用して即座に電気凝固した。肝臓を腹腔に戻し、腹壁を縫合し、そして皮膚をステープラーで閉じる。術後の回復のために、マウスは、手術日および手術後1日目と2日目に、皮下投与されるカルプロフェン(5mg/kg)を受けた。組織学試験に先立って試験サンプルを-80℃で保存した。
【0144】
2.2.A.肝臓中の全脂肪含量
非アルコール性脂肪性肝疾患を有するマウスにおける肝脂質含量に対する化合物4aの効果を評価するために、食塩水溶液(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの対照と、陽性対照としてさらに食塩水溶液(0.9%のNaCl)で処置されたLEAN-CHOWマウスに対して、DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を8週間、化合物4aの塩酸塩で処置した(50mg/kg、経口投与、1日2回)。肝脂質含量を形態計測によって判定した。先に言及したように、試験に先立ち35週間、DIO-NASHマウス群に高脂肪食(40%のAMLN食、D09100301Research Diets、アメリカ)を与え、および対照群(LEAN-CHOW)に、通常の固形食(Altromin 1324、Brogaarden、Denmark)を与えた。
【0145】
図3Aは、アッセイの最後に、ビヒクルで処置されたLEAN-CHOWマウス対照群(左の列)と比較して、ビヒクルで処置されたDIO-NASHマウス対照群(中央の列)において肝臓含量が増加したことを示し、化合物4aの塩酸塩で処置されたDIO-NASHマウス群(右の列)は、DIO-NASHマウス対照群と比較して肝脂質含量の減少(脂肪症の低減)を示した。
【0146】
データは、10~12匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。***p<0.001 対 DIO-NASHビヒクル;ダネットの多重比較検定を用いた一元配置分散分析。
【0147】
図3Bは、処置の最後の、3つのマウス群に関する肝臓形態学の代表的な画像を示し(倍率x20)、ここで、ビヒクルで処置されたDIO-NASHマウス対照群と比較して、化合物4aでの処置はDIO-NASHマウスにおける脂肪症を縮小したことがわかる。肝臓サンプルをHematoxylin&Eosin(H&E)で染色した。そのために、サンプルをMayer’s Hematoxylin(Dako)でインキュベートし、水道水で洗浄し、エオシンY溶液(Sigma-Aldrich)で染色し、水和し、Pertexに据え付け、次に走査前に乾燥させた。
【0148】
2.2.B.トリグリセリドとコレステロールの肝臓含量
非アルコール性脂肪性肝疾患を有する動物におけるトリグリセリドまたはコレステロールに対する化合物4aの効果を評価するために、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と、非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を8週間、化合物4aの塩酸塩で処置した(50mg/kg、経口投与、1日2回)。試験に先立ち35週間、DIO-NASHマウス群に高脂肪食(40%のAMLN食、D09100301Research Diets、アメリカ)を与え、および対照群(LEAN-CHOW)に、通常の固形食(Altromin 1324、Brogaarden、Denmark)を与えた。
【0149】
肝臓のトリグリセリド含量は、Cobas(商標)C-501自動分析器で、トリグリセリド試薬(Cat.no.22-045-795,Roche Diagnostics,Germany)を使用して判定した。均質化した肝臓組織を、80~100℃で2回加熱し、微量遠心機で遠心分離にかけ、そしてトリグリセリド含量を上清中で測定した。
【0150】
図4Aは、アッセイの最後に、ビヒクルで処置されたDIO-NASHマウス対照群(中央の列)が、ビヒクルで処置されたLEAN-CHOWマウス対照群(左の列)と比較してトリグリセリドレベルの増加を示し、化合物4aの塩酸塩で処置されたDIO-NASHマウス群(右の列)は、DIO-NASHマウス対照群と比較してトリグリセリドレベルの減少を見せたことを示す。
【0151】
データは、10~12匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。***p<0.001 対 DIO-NASHビヒクル;ダネットの多重比較検定を用いた一元配置分散分析(DIO-NASHビヒクルに対する全ての列)。
【0152】
図4Bは、アッセイの最後に、ビヒクルで処置されたDIO-NASHマウス対照群(中央の列)が、ビヒクルで処置されたLEAN-CHOWマウス対照群(左の列)と比較してコレステロールレベルの増加を示し、化合物4aの塩酸塩で処置されたDIO-NASHマウス群(右の列)は、DIO-NASHマウス対照群と比較してコレステロールレベルの減少を見せたことを示す。
【0153】
データは、10~12匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。**p<0.01、***p<0.001 対 DIO-NASHビヒクル;ダネットの多重比較検定を用いた一元配置分散分析(DIO-NASHビヒクルに対する全ての列)。
【0154】
実施例3:本発明の化合物の肝臓重量に対するインビボ効果。
【0155】
3.1:肝臓重量に対する化合物4aと5aの効果:DIOマウスでの36日間のアッセイ。
肝臓重量を減らす本開示の化合物の性能を評価するために、ビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIOマウスの対照と、陽性対照としてメトホルミンで処置されたDIOマウスと比較して、DIOマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、化合物4aおよび5aの塩酸塩で36日間処置した。
【0156】
評価のために、Charles River Franceから得た60 C57Bl/6Jのオスのマウス(発送時に16週齢、40gの平均体重)に10週間、高脂肪食を与えた。実験過程を通じて、換気して豊かにしたケージ(310×125×127mm3)に動物を収容した。動物のケージの寝わらを、少なくとも週1回交換した。22±2℃および50±10%の相対湿度で、通常の12時間の光サイクル(午後08:00にライトのスイッチを切った)で、マウスを10マウスの群に収容した。受付の後、新環境順応のためにさらに3週間、マウスを保全した。全試験の間(順化+処置段階)、高脂肪食(Research Diet Inc.から購入したD12492;60%の脂肪)と水道水を適宜、提供した。
【0157】
順化期間の後、マウスを6時間、断食させ、そして血糖と血漿インスリンを測定した。より低い血糖/血漿インスリンを有する10匹の動物を試験から切り捨てた。次に、血糖/血漿インスリンレベル(HOMA-IR)と体重に従って、他方を5つの均質群(1つの群当たりn=10マウス)に無作為化した。食塩水溶液(対照群)、SJT試験化合物(化合物4aおよび5aの塩酸塩;50mg/kg)またはメトホルミン(150mg/kg)のいずれかで36日間、マウスを経口的に1日2回処置した。
【0158】
最後に、マウスを殺し、そして肝臓を回収し、加重し、追加の分析のために-80℃で保存した。
【0159】
図5は、化合物4aおよび5aの塩酸塩での36日間の処置後の、肝臓の過重量を示す。化合物4aおよび5aの塩酸塩で処置された両マウス群は、メトホルミンで処置されたマウス、または対照動物のいずれかよりも低い肝臓重量を示す。
【0160】
データは、10匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。
【0161】
3.2.肝臓重量に対する化合物4aの効果:DIO-NASHマウスにおける8週間のアッセイ。
実施例2.2で使用した同じ条件で、動物を飼育し、検査した。肝生検もまた、実施例2.2と同じ条件下で実行した。
【0162】
非アルコール性脂肪性肝疾患を有するマウスの肝臓重量に対する化合物4aの効果を評価するために、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と、非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を8週間、化合物4aの塩酸塩で処置した(50mg/kg、経口投与、1日2回)。試験に先立ち35週間、DIO-NASHマウス群に高脂肪食(40%のAMLN食、D09100301Research Diets、アメリカ)を与え、および対照群(LEAN-CHOW)に、通常の固形食(Altromin 1324、Brogaarden、Denmark)を与えた。
【0163】
図6は、アッセイの終わりにおけるに肝臓総重量を示し、ここで、ビヒクルで処置されたDIO-NASHマウス対照群(中央の列)は、ビヒクルで処置されたLEAN-CHOWマウス対照群(左の列)と比較して重量の増加を示し、化合物4aの塩酸塩で処置されたDIO-NASHマウス群(右の列)は、DIO-NASHマウス対照群と比較して肝臓重量の減少を見せた。
【0164】
データは、10~12匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。***p<0.001 対 DIO-NASHビヒクル;ダネットの多重比較検定を用いた一元配置分散分析(DIO-NASHビヒクルに対する全ての列)。
【0165】
実施例4:絶対的および相対的な体重に対する化合物4aのインビボ効果。
【0166】
非アルコール性脂肪性肝疾患を有する動物(DIO-NASHマウス)の体重に対する本発明の化合物の効果を評価するために、アッセイを行った。このアッセイのために、絶対的および相対的な体重における化合物4aの効果を評価した。DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。試験に先立ち35週間、DIO-NASHマウス群に高脂肪食(40%のAMLN食、D09100301Research Diets、アメリカ)を与え、および対照群(LEAN-CHOW)に、通常の固形食(Altromin 1324、Brogaarden、Denmark)を与えた。
【0167】
群の各々に関して体重を毎日とった。実施例2.2で使用したものと同じ条件下で、動物を飼育した。
【0168】
図7Aは、3つの動物群の各々に関して測定された絶対的な体重を示す。ビヒクルで処置されたDIO-NASHマウスは、ビヒクルで処置されたLEAN-CHOWマウスと比較して体重の増加を実証し、化合物4aの塩酸塩での処置は、ビヒクルで処置されたDIO-NASHマウスと比較した場合に、DIO-NASHマウスにおいて体重を減らした。
【0169】
データは、10~12匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。**P<0.01、***P<0.001 対 NASHビヒクル。処置の54日目に行われた、ダネットの多重比較検定を用いた一元配置分散分析(NASHビヒクルに対する)。
【0170】
図7Bは、処置の開始時における体重に対する(0日目は100%)、3つの動物群の各々に関して測定された相対的な体重の%を示す。ビヒクルで処置されたDIO-NASHおよびLEAN-CHOW動物は、ビヒクルでの処置中に有意な体重変化を示さなかったが、DIO-NASHマウスの化合物4aの塩酸塩での処置は、相対的な体重を有意に減らした。
【0171】
データは、10~12匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。***P<0.001 対 NASHビヒクル。処置の54日目に行われた、ダネットの多重比較検定を用いた一元配置分散分析(NASHビヒクルに対する)。
【0172】
実施例5:肝臓毒性に対する化合物4aのインビボ効果
【0173】
アッセイは、非アルコール性脂肪性肝疾患を有する動物(DIO-NASHマウス)に関して、肝臓毒性に対する本発明の化合物の効果を評価するために実行された。このアッセイでは、血漿アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)と血漿アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)における化合物4aの効果を評価した。DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。実施例2.2で使用したものと同じ条件下で動物を飼育した。試験に先立ち35週間、DIO-NASHマウス群に高脂肪食(40%のAMLN食、D09100301Research Diets、アメリカ)を与え、および対照群(LEAN-CHOW)に、通常の固形食(Altromin 1324、Brogaarden、Denmark)を与えた。
【0174】
アラニントランスアミナーゼ(ALT)とアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)を評価するために、血液サンプルをヘパリン処理されたチューブに採取し、血漿を分離し、そして分析まで-80℃で保存した。ALTとASTを、メーカーの説明書に従いCobas(商標)C-501自動分析器において市販のキット(Roche Diagnostics,Germany)を使用して測定した。
【0175】
図8Aは、処置の最後の、3つの動物群の各々に関する血漿ALT(U/L)を示す。ビヒクルで処置されたDIO-NASH対照群は、LEAN-CHOW動物と比較して、血漿ALTの増加を示した。ビヒクルで処置されたDIO-NASH動物と比較した場合、化合物4aの塩酸塩での処置は、DIO-NASH動物の血漿ALTレベルを下げた。
【0176】
データは、10~12匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。***P<0.001 対 NASHビヒクル。ダネットの多重比較検定を用いた一元配置分散分析(NASHビヒクルに対する全ての列)。
【0177】
図8Bは、処置の最後の、3つの動物群の各々に関する血漿AST(U/L)を示す。ビヒクルで処置されたDIO-NASH対照群は、LEAN-CHOW動物と比較して、血漿ASTの増加を示した。ビヒクルで処置されたDIO-NASH動物と比較した場合、化合物4aの塩酸塩での処置は、DIO-NASH動物の血漿ASTレベルを下げた。
【0178】
データは、10~12匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。***P<0.001 対 NASHビヒクル。ダネットの多重比較検定を用いた一元配置分散分析(NASHビヒクルに対する全ての列)。
【0179】
実施例6:NAFLD activity score(NAS)により測定された、肝臓繊維症および肝臓炎に対する化合物4aのインビボ効果
【0180】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)activity scoreまたはNASを、肝臓の脂肪症、小葉状炎症、風船変性および繊維症の測定によって評価した。全NASスコアは、脂肪症、炎症、および風船に関するスコアの合計を表し、以下のように0~8の範囲である:
【0181】
【表2】
脂肪症度の%は、低から中のパワー検査で評価される、脂肪症によって含まるサンプルの表面積の量を指す。
【0182】
炎症を測定するために与えられる値は、200x倍率を使用した1つのフィールド当たりの炎症性の病巣の数に対応する。病巣は、>3の炎症細胞の、行ではなくクラスタとして定義される。好酸性細胞体は炎症の評価に含まれない。
【0183】
風船変性値を、除去された細胞質、肥大、膨潤、丸くなった、および網状になった細胞質を有する退化した肝細胞に対応する、気球細胞の量によって測定する。
【0184】
非アルコール性脂肪性肝疾患を有するマウスのNASに対する化合物4aの効果を評価するために、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と、非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、DIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を8週間、化合物4aの塩酸塩で処置した(50mg/kg、経口投与、1日2回)。実施例2.2で使用した同じ条件で、動物を飼育し、検査した。肝生検もまた、実施例2.2と同じ条件下で実行した。試験に先立ち35週間、DIO-NASHマウス群に高脂肪食(40%のAMLN食、D09100301Research Diets、アメリカ)を与え、および対照群(LEAN-CHOW)に、通常の固形食(Altromin 1324、Brogaarden、Denmark)を与えた。
【0185】
肝臓サンプルをホルマリン固定し、パラフィン包埋し、そし切片をヘマトキシリン-エオジン(H&E)とシリウスレッドで染色した。Kleiner et al.2005により概説される臨床基準を使用して、NASと繊維症に関してサンプルをスコア付けする。
【0186】
図9は、動物の群の各々に関する、試験前と後の肝生検のNASスコア変化を示す。各動物ごとに、試験前の生検から試験後の生検までの変化が線によって示される。
【0187】
図9Aは、LEAN-CHOW群のNASスコア(ビヒクルで処置された対照)における有意な変化を示さず、ここで全ての動物は、試験の前後両方で低いスコアを示す。
図9Bは、LEAN-CHOWマウスのスコアと比較した場合に、DIO-NASHマウスが試験前にどのようにより高いスコアの特徴を示すか、およびスコアが試験後にどのように増加する傾向にあるかを示す。
図9Cは、化合物4aの塩酸塩で処置されたDIO-NASHマウスが概して、処理後にどのようにNASスコアを減少させたかを示す。
【0188】
非アルコール性脂肪性肝疾患の処置において、肝臓の繊維症における本発明の化合物の効果を評価するために、肝臓におけるI型コラーゲン(繊維症)レベルを8週間の試験後に測定し、試験においてDIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。
【0189】
I型コラーゲン含量を、IHC染色による着色によって測定した:I型コラーゲン(Southern Biotech,Cat.1310-01)IHCを、標準手順を使用して行なった。手短かに言えば、抗原の回収と内因性ペルオキシダーゼ活性の遮断後、一次抗体を用いて肝臓スライドをインキュベートした。一次抗体を、ビオチン化二次抗体を使用して検出し、vectastain-TSA-vectastain法、高分子HRPリンカー抗体複合体を使用して増幅した。次に、一次抗体をクロモゲンとしてDABで視覚化した。最後に、切片をヘマトキシリン中で対比染色し、カバーを滑らせた。
【0190】
図10Aは、マウスの3つの群における形態計測によって判定された肝臓I型コラーゲン(col1a1)の総含量の定量化を示す。ビヒクルで処置されたDIO-NASH対照マウス群は、ビヒクルで処置されたLEAN-CHOW対照群と比較して、肝臓col1a1の増加を実証した。
化合物4aの塩酸塩で処置されたDIO-NASHマウスは、ビヒクルで処置されたDIO-NASH対照群と比較して、全肝臓col1a1の減少を示した。
【0191】
データは、10~12匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。*P<0.05、***P<0.001 対 NASHビヒクル。ダネットの多重比較検定を用いた一元配置分散分析(NASHビヒクルに対する全ての列)。
【0192】
図10Bは、試験の最後の、抗I型コラーゲン(col1a1)で染色されたマウス群の各々に関する肝臓サンプルの代表的な画像を示す(倍率20x)。画像は、DIO-NASH動物が化合物4aの塩酸塩で処置された後の、この繊維症マーカーにおける可視変化を示し、
図10Aの結果を確認する。
【0193】
非アルコール性脂肪性肝疾患の処置において、肝臓の炎症における本発明の化合物の効果を評価するために、肝臓ガラクチン-3(炎症マーカー)レベルを8週間の試験後に判定し、ここでDIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。
【0194】
ガレクチン-3を、ガレクチン(galtactin)-3 IHC染色により測定した:ガレクチン-3(Biolegend,Cat.#125402)IHCを、標準手順を使用して行なった。手短かに言えば、抗原の回収と内因性ペルオキシダーゼ活性の遮断後、スライドを一次抗体を用いてインキュベートした。一次抗体を、リンカー二次抗体を使用して検出し、続いて高分子HRPリンカー抗体複合体を使用して増幅した。
次に、一次抗体をクロモゲンとしてDABで視覚化した。最後に、切片をヘマトキシリン中で対比染色し、カバーを滑らせた。
【0195】
図11Aは、マウスの3つの群における形態計測によって判定された肝臓のガレクチン-3総含量の定量化を示す。ビヒクルで処置されたDIO-NASH対照マウス群は、ビヒクルで処置されたLEAN-CHOW対照群と比較して、ガレクチン-3含量の増加を実証した。化合物4aの塩酸塩で処置されたDIO-NASHマウスは、ビヒクルで処置されたDIO-NASH対照群と比較して、ガレクチン-3総含量の減少を示した。
【0196】
データは、10~12匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。***P<0.001 対 NASHビヒクル。ダネットの多重比較検定を用いた一元配置分散分析(NASHビヒクルに対する全ての列)。
【0197】
図11Bは、試験の終わりの、抗ガレクチン-3で染色されたマウス群の各々に関する肝臓サンプルの代表的な画像を示す(倍率20x)。画像は、DIO-NASH動物が化合物4aの塩酸塩で処置された後の、この炎症マーカーにおける可視変化を示し、
図11Aの結果を確認する。
【0198】
実施例7:差次的発現分析:化合物4aのインビボ効果。
【0199】
肝臓繊維症の発達における本発明の化合物の効果をさらに、RNAseqによる差次的遺伝子発現分析によって試験し、ここでDIO-NASHマウス(C57Bl/6J オスのマウス)を、共にビヒクル(0.9%のNaCl)で処置されたDIO-NASHマウスの病的な対照と非病的な対照LEAN-CHOWマウスに対して、化合物4aの塩酸塩で8週間(50mg/kg、経口投与、1日2回)処置した。
【0200】
実施例2.2で使用した同じ条件で動物を飼育し、検査した。肝生検もまた、実施例2.2と同じ条件下で実行した。試験に先立ち35週間、DIO-NASHマウス群に高脂肪食(40%のAMLN食、D09100301Research Diets、アメリカ)を与え、および対照群(LEAN-CHOW)に、通常の固形食(Altromin 1324、Brogaarden、Denmark)を与えた。
【0201】
図12と13は、繊維症マーカーであるコラーゲン遺伝子の発現における、化合物4aの塩酸塩でのDIO-NASHマウスの処置 対 ビヒクルで処置された対照DIO-NASHマウス群、およびビヒクルで処置されたLEAN-CHOW陽性対照群の効果を示す:I型コラーゲンアルファ1(COL1A1)とアルファ2(COL1A2)、III型コラーゲンアルファ1(COL3A1)、コラーゲンVアルファ1(COL5A1)、アルファ2(COL5A2)とアルファ3(COL5A3)、VI型コラーゲンアルファ1(COL6A1)、アルファ2(COL6A2)とアルファ3(COL6A3)。
【0202】
結果は、各マウス群に関するRPKMの発現レベルとして与えられ、ここでRPKM(100万のマッピングされた読み取りにつきキロ塩基ごとの読み取り)は、全読み取り長さとシーケンシング読み取りの数を標準化することによりRNAシーケンシングデータから遺伝子発現を定量化する方法である。
【0203】
データは、6匹の動物からの平均±s.e.m.値として示された。***P<0.001 対 NASHビヒクル。
【0204】
化合物4aの塩酸塩でのDIO-NASHモデルマウスの処置は、対照DIO-NASHマウス群と比較して、コラーゲン遺伝子の発現を有意に減らした。実際、化合物4aは、2000より多くの遺伝子の調節を引き起こし、多くがNASHに関係している。特に、8週間のDIO-NASHマウスの化合物4aでの処置(50mgの経口投与、1日2回)は:
―CD68、CCR2、MAC-2等の、単球動員に関係するいくつかの原型の炎症マーカーの減少をもたらした;
― Col1a1、Col3a1、およびTIMP1等の、星細胞活性化に関係するいくつかの原型の繊維症遺伝子の減少をもたらした;
―炎症シグナル伝達に関して、TLR4、TGFB、およびTGFBR遺伝子発現における減少をもたらした;
―インスリンシグナル伝達に関して、MAPKとAKTの発現の減少と、GLUT4の発現の増加をもたらした;
―脂質代謝に関して、CD36の発現の減少と、SQLEの発現の増加をもたらした;および
―肝細胞性細胞死に関して、Casp7とIL18の発現の増加をもたらした。
【0205】
<参考文献>
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