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  • 特許-水空間の演出装置及び水空間の演出方法 図1
  • 特許-水空間の演出装置及び水空間の演出方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】水空間の演出装置及び水空間の演出方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230906BHJP
   B05B 17/08 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
F21S2/00 624
B05B17/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020120320
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2022017645
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】516259066
【氏名又は名称】株式会社ルーセントデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】松尾 高弘
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-139031(JP,A)
【文献】実開昭50-095295(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0232106(US,A1)
【文献】特開平09-141157(JP,A)
【文献】特開2018-147702(JP,A)
【文献】米国特許第03705686(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
B05B 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を放出可能な所定のノズルと、
該ノズルから放出される水の進行方向に向けて、平行光を照射可能に構成され、1つの前記所定のノズルと対になって設けられる照明部とを備え、
鉛直方向における前記所定のノズルの先端と前記照明部の先端との距離が、10mm~200mmの範囲内である
水空間の演出装置。
【請求項2】
前記所定のノズル及び前記照明部は、天井面側、又は、床面側に設けられ、
前記所定のノズルから放出される水は略鉛直方向に放出される
請求項1に記載の水空間の演出装置。
【請求項3】
前記所定のノズルから放出される水は、直径が1mm~20mmの範囲内である水柱、水の球、または、水滴である
請求項1または請求項2に記載の水空間の演出装置。
【請求項4】
前記所定のノズルから放出される水は、直径が5mm~10mmの範囲内である水柱、水の球、または、水滴である
請求項1、請求項2または請求項3に記載の水空間の演出装置。
【請求項5】
前記平行光のビーム角は、0.1~1度の範囲内である
請求項3または請求項4に記載の水空間の演出装置。
【請求項6】
前記所定のノズルから放出される水の流れの中心軸と、前記平行光の光軸とのなす角度が、1度~10度の範囲内である
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の水空間の演出装置。
【請求項7】
前記所定のノズルからの水の放出、及び、前記平行光の照射を制御可能な制御部が設けられた
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の水空間の演出装置。
【請求項8】
前記所定のノズル及び前記照明部の組み合わせが複数設けられ、
前記制御部は、前記所定のノズル及び前記照明部の組み合わせのそれぞれについて、同所定のノズルからの水の放出、及び、同平行光の照射を独立して制御可能に構成された
請求項7に記載の水空間の演出装置。
【請求項9】
所定のノズルから放出する水の進行方向に向けて、前記所定のノズルと対になって設けられた照射部から平行光を照射する光の照射工程を備え、
鉛直方向における前記所定のノズルの先端と前記照射部の先端との距離が、10mm~200mmの範囲内である
水空間の演出方法。
【請求項10】
端末上で作成した所望の映像情報の内容が反映され、前記所定のノズルからの水の放出及び前記平行光の照射を制御する制御情報を生成する制御情報生成工程を備え、
前記光の照射工程は、前記制御情報に基づき、前記所定のノズルからの水の放出及び前記平行光の照射を制御する
請求項9に記載の水空間の演出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水空間の演出装置及び水空間の演出方法に関する。詳しくは、水を効率よく光らせることができると共に、水と光を組み合わせた細やかな演出が実現可能な水空間の演出装置及び水空間の演出方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
公共施設や商業施設、イベント会場等において、噴水装置やノズル等から放出される水に光を照射して、水及び空間を演出する装置や手法が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された水玉鑑賞装置では、装置本体の下部及び中間に発光ダイオードが周方向に配置され、バイブレータを所定周波数で振動させることにより、タンク内の水に振動が伝達されて、本体の上部に設けられたノズルから水玉を噴出させる。
【0004】
また、特許文献1に記載された水玉鑑賞装置では、発光ダイオードの外側に、光を拡散させる光拡散手段が設けられており、当該光拡散手段による光の拡散によって、ノズルから落下する水玉が、落下位置まで目視可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-144995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された水玉鑑賞装置をはじめ、従前の水空間の演出装置には、以下の問題があった。
【0007】
まず、従前の装置では、放出される水に様々な方向から光を照射するが、ノズル等から流れる水のうち、光が照射された部分のみが主に光り、効率良く水を光らせる点において改善の余地があった。
【0008】
また、例えば、水滴や水柱が数mm程度の小さなサイズの場合、大きな照明装置で水滴等の全体に光を照射する態様では、水滴や水柱に所望の光り方をさせ、繊細な表現を実現することが困難であった。
【0009】
また、従前の水空間の演出装置は、装置本体が大型のものが多く、狭い空間に適用できず、設置場所が限定される不具合があった。
【0010】
さらに、水空間の演出においては、鑑賞者が見える範囲において、なるべく装置自体を見えないようにして、水が流れる空間に鑑賞者の視線をもっと集中させたいという要望があった。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、水を効率よく光らせることができると共に、水と光を組み合わせた細やかな演出が実現可能な水空間の演出装置及び水空間の演出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の水空間の演出装置は、水を放出可能な所定のノズルと、該ノズルから放出される水の進行方向に向けて、平行光を照射可能に構成され、1つの前記所定のノズルと対になって設けられる照明部とを備える。
【0013】
ここで、水を放出可能な所定のノズルと、ノズルから放出される水の進行方向に向けて、平行光を照射可能に構成された照明部によって、ノズルから放出される水の内側に平行光(平行光束)を入れ、水の内部で光を反射させて、水を効率よく光らせることができる。また、流れる水の広範囲を光らせることができるため、鑑賞者の視線を水に注目させやすくなる。
なお、ここでいう平行光とは、光源からの光を狭角配光して放出した光を意味するものである。また、ここでいう水とは、ノズルから放出された水柱(水を連続的に流したもの)、水の球、または、水滴を含むものである。
【0014】
また、照明部が、1つの所定のノズルと対になって設けられることによって、1つのノズルから放出された水を、1つの照明部の平行光で照射するものとなり、ノズルから放出される水を充分に、かつ、確実に光らせることが可能となる。また、ノズル1つと照明部1つを最小単位として装置が構成されるため、狭い空間や限られた領域にも、水空間の演出装置を設けやすくなる。
【0015】
また、所定のノズル及び照明部が、天井面側、又は、床面側に設けられ、所定のノズルから放出される水が、略鉛直方向に放出される場合には、天井面の下方の空間、または、床面の上方の空間で、放出した水を光らせることができる。また、水が略鉛直方向に放出されるため、ノズル及び照明部が配置される空間と、水が流れる空間とが、直線状に配置されるものとなり、装置全体をコンパクトなものにできる。また、平行光の照射範囲と、水の流れる範囲とが、ほぼ平行な位置関係になり、かつ、平行光の照射距離と、水の流れる範囲との距離が短くなるため、水をより一層効率よく光らせやすくなる。
【0016】
また、所定のノズルから放出される水が、直径が1mm~20mmの範囲内である水柱、水の球、または、水滴である場合には、サイズが小さな水を、充分に光らせることが可能となる。この結果、細やかな水の演出を実現することができる。なお、ここでいう水柱の直径とは、例えば、円柱状に流れる水の直径を意味する。また、ここでいう水滴の直径とは、水滴の形状の中の最も径が大きな部分を意味する。
【0017】
また、所定のノズルから放出される水は、直径が5mm~10mmの範囲内である水柱、水の球、または、水滴である場合には、サイズが小さな水を、より一層充分に光らせることが可能となる。
【0018】
また、平行光のビーム角が、0.1~1度の範囲内である場合には、光が拡散しにくく、より一層、水の内側に平行光が入りやすくなり、水の内部で光を反射させやすくなる。この結果、水をより一層効率よく光らせることが可能となる。また、サイズの小さな水の内側にも平行光が入っていきやすくなる。
なお、ここでいうビーム角とは、光の配光曲線において、ある光度の等しい2点が、中心に対して広がっている角度を意味するものである。
【0019】
また、鉛直方向における所定のノズルの先端と照明部の先端との距離が、10mm~200mmの範囲内である場合には、水の流れに対して、平行光を照射する角度を、平行に近づけやすくなる。この結果、水の内側に平行光を入れ、水の内部で光を反射させやすくなり、水をより一層効率よく光らせることが可能となる。
【0020】
また、所定のノズルから放出される水の流れの中心軸と、平行光の光軸とのなす角度が、1度~10度の範囲内である場合には、水の流れに対して、平行光を照射する角度を、充分に平行に近づけることができる。この結果、水の内側に平行光を入れ、水の内部で光を反射させやすくなり、水をより一層効率よく光らせることが可能となる。
【0021】
また、所定のノズルからの水の放出、及び、平行光の照射を制御可能な制御部が設けられた場合には、所望のタイミングで、水を放出したり、水を光らせたりすることが可能となる。即ち、例えば、空間中の所望の位置や範囲で、水を光らせることができる。なお、ここでいう水の放出、または、平行光の照射の制御とは、例えば、放出または照射のオン・オフの制御だけでなく、放出量や照射量を調整する制御も含まれるものを意味する。
【0022】
また、所定のノズル及び照明部の組み合わせが複数設けられ、制御部が、所定のノズル及び照明部の組み合わせのそれぞれについて、所定のノズルからの水の放出、及び、平行光の照射を独立して制御可能に構成された場合には、複数の水の流れに対して、各々で、水の光り方を調整する演出が可能となる。また、複数の水の流れに対して、空間中の所望の位置や範囲で、水を光らせることができることから、図形や文字等、所望のパターンを空間中に表現することが可能となる。
【0023】
また、上記の目的を達成するために、本発明の水空間の演出方法は、所定のノズルから放出する水の進行方向に向けて、前記所定のノズルと対になって設けられた照射部から平行光を照射する光の照射工程を備える。
【0024】
ここで、光の照射工程が、所定のノズルから放出する水の進行方向に向けて、平行光を照射することによって、ノズルから放出される水の内側に平行光(平行光束)を入れ、水の内部で光を反射させて、水を効率よく光らせることができる。また、流れる水の広範囲を光らせることができるため、鑑賞者の視線を水に注目させやすくなる。
なお、ここでいう平行光とは、光源からの光を狭角配光して放出した光を意味するものである。また、ここでいう水とは、ノズルから放出された水柱(水を連続的に流したもの)、水の球、または、水滴を含むものである。
【0025】
また、端末上で作成した所望の映像情報の内容が反映され、所定のノズルからの水の放出及び平行光の照射を制御する制御情報を生成する制御情報生成工程を備え、光の照射工程が、制御情報に基づき、所定のノズルからの水の放出及び平行光の照射を制御する場合には、端末上で、光と水の流れで表現したいパターンを作成して、そのパターンを表現するように、空間中の所望の位置や範囲で、水を光らせることができる。また、表現したいパターンが端末上で作成できるため、水の光り方や、光った水で表現できる内容の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る水空間の演出装置は、水を効率よく光らせることができると共に、水と光を組み合わせた細やかな演出が実現可能なものとなっている。
また、本発明に係る水空間の演出方法は、水を効率よく光らせることができると共に、水と光を組み合わせた細やかな演出が実現可能なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明を適用した水空間の演出装置の装置構成を示す概略図である。
図2】照明装置及び給水ノズルと、その周辺構造を示す概略図である。
図3】複数の供給装置から生じる水の流れ及び平行光で、所望のパターンを表現した状態を示す概略図である。
図4】本発明を適用した水空間の演出装置によって、流れる水に平行光を照射し、水を光らした状態を示す参考写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、以下に示す構造は本発明を適用した水空間の演出装置の一例であり、本発明の内容はこれに限定されるものではなく、適宜設定変更することが可能である。
【0029】
図1に示すように、本発明を適用した水空間の演出装置の一例である演出装置Aは、放水照射部1と、演出空間2と、貯水部3と、制御供給部4を備えている。
【0030】
ここで、放水照射部1は、演出装置Aが設けられた空間の天井面Cから、その下方の演出空間2に向けて水を放出し、かつ、放出される水に平行光を照射する部分である。
【0031】
また、放水照射部1は、天井面Cに複数配置された供給装置5から構成されている。また、1つの供給装置5は、1つの照明装置6と、1つの給水ノズル7を有している(図1及び図2参照)。なお、供給装置5の詳細な構造は後述する。
【0032】
また、貯水部3は、演出装置Aが設けられた空間の床面Fに設けられ、給水ノズル7から放出された水を貯めて、後述する圧力ポンプ40を介して、制御供給部4に送る部分である。貯水部3は、貯水プール30と、貯水プール30の上部に設けられた消音部31から構成されている(図1及び図3参照)。
【0033】
また、貯水プール30は、上部が開口した箱型の容器であり、給水ノズル7から放出された水を貯める部分である。なお、図1図3では、貯水プール30に貯まった水に符号W'を付して表している。
【0034】
また、消音部31は、給水ノズル7から放出された水が、貯水プール30に入る際の音を小さくする部材である。消音部31は、樹脂を原料とし一定の厚みを有する立体網目形状の板状体で構成されている。
【0035】
この消音部31を水が通過して、その立体網目形状に水が接触することで、貯水プール30の液面に水が直接落ちにくくなり、貯水プール30で水を貯める際の音を小さくすることができる。
【0036】
この結果、演出空間2における水と光の演出に、鑑賞者の視線を集中させやすくなる。また、別途の音楽等を組み合わせた演出をする際に、貯水プール30に水が落ちる音の影響を少なくすることができる。
【0037】
ここで、必ずしも、放水照射部1は、演出装置Aが設けられた空間の天井面Cに設けられる必要はない。例えば、放水照射部を演出装置Aが設けられた空間の床面F側に設けて、床面Fの上方に水を放出して、平行光を照射することも可能である。
【0038】
また、必ずしも、貯水部3は、演出装置Aが設けられた空間の床面Fに設けられる必要はない。例えば、床面Fの下部に貯水部3を設けて、鑑賞者に見えないようにすることも可能である。
【0039】
また、演出空間2は、放水照射部1及び貯水部3との間の空間であり、演出装置Aにより、流れる水を光らせて、鑑賞者に視認させる空間である。なお、図1図3では、演出空間2を流れる水に符号Wを付している。
【0040】
また、制御供給部4は、貯水部3で回収した水を、再度、放水照射部1に供給する部分である。また、制御供給部4は、放水照射部1における水の放出と、光の照射を制御する部分である。なお、制御供給部4は、演出空間2とは別の、鑑賞者からは見えない領域に設けられている。
【0041】
また、制御供給部4は、圧力ポンプ40と、電磁弁41と、DMX電磁弁コンバータ42と、DMXコンバータ43と、PC端末44と、散水栓45を有している(図1参照)。
【0042】
また、圧力ポンプ40は、貯水プール30に貯めた水を複数の電磁弁41側、及び、放水ノズル7側に供給するポンプである。圧力ポンプはインバータ(図示省略)を有し、水の水を吹き出す圧力が一定に制御されている。
【0043】
また、散水栓45は、圧力ポンプ40と電磁弁41とを繋ぐ配管(符号省略)に設けられ、これを開閉することで、配管中の水の流れを制御する部材である。
【0044】
また、電磁弁41は、給水ノズル7における水の放出を制御する弁部材である。1つの電磁弁41が、送水チューブtを介して、1つの給水ノズル7に繋がっている。また、電磁弁41は、DMX電磁弁コンバータ42を介して制御されている。
【0045】
即ち、1つの供給装置5における放水ノズル7は、1つの電磁弁41に接続され、その水の放出が制御されている。つまり、供給装置5の数に対応して電磁弁41が設けられ、各々の供給装置5の放水ノズル7は、互いに独立して水の放出を制御可能に構成されている。なお、給水ノズル7からの水の放出の制御の詳細については後述する。
【0046】
また、図1では、各電磁弁41と、各放水ノズル7とを繋ぐ送水チューブの束に符号Tを付して表している。
【0047】
また、PC端末44は、複数の供給装置5(放水ノズル7及び照明装置6)から放出される水、及び、照射される平行光で表現したい模様等を生成するための制御信号と、その制御信号の元となる映像情報を作成する端末である。なお、PC端末44は、各種情報処理が可能な演算部を有している。
【0048】
また、DMXコンバータ43は、PC端末44から出力された制御信号をDMX形式の制御信号に変換する装置である。また、DMX電磁弁コンバータ42は、DMX形式の制御信号のON/OFFに対して、電磁弁42の開閉を制御する装置である。また、1つのDMX電磁弁コンバータ42で、10個の電磁弁42を制御可能に構成されている。なお、DMX電磁弁コンバータ42で制御する電磁弁の数は10個に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0049】
また、図示しないが、供給装置5の照明装置6についても、DMXコンバータ43及びDMX電磁弁コンバータ42と同様の装置によって、照明装置6から平行光の照射が制御されている。
【0050】
即ち、PC端末44で作成した映像情報及び制御信号に基づき、DMX形式の制御信号のON/OFFに対して、照明装置6による光の照射が制御されている。光の制御は、PWM制御を介して行われ、PC端末44から出力された制御信号をDMX形式の制御信号に変換し、そのDMX形式の制御信号をDMXレシーバー(図示省略)で受信し、PMW信号に変換して、照明装置6を調光制御する。
【0051】
したがって、演出装置Aでは、PC端末44から出力された制御信号に基づき、水の放出に関する制御系統と、平行光の照射に関する制御系統の、2つの制御系統が用いられる。
【0052】
ここで、必ずしも、水の放出及び平行光の照射の制御が、DMX形式の制御信号(DMX制御)に基づくものに限定されるものではなく、これ以外の既知の制御方法も採用しうる。
【0053】
続いて、図2を用いて、供給装置5の詳細な構造を説明する。図2は、照明装置6及び給水ノズル7と、その周辺構造を示す概略図である。
【0054】
図2に示すように、天井面Cの上面側に、照明装置6が設けられている。照明装置6は、LED光源及びコリメートレンズ等(図示省略)を内蔵した平行光を照射可能な照明本体60と、天井面Cで、照明本体を所定の角度に向けて支持可能な支持アーム61で構成されている。
【0055】
また、演出装置Aにおける照明装置6は、照明本体60の発光面が35mm×35mmで、その長さが104mmの大きさを有している。また、照明本体60から照射される光(平行光)のビーム角は0.46度となっている。
【0056】
また、照明本体60は、図示しない信号ケーブル等で、制御供給部4における電源及び平行光の制御系統(DMXレシーバー等)に接続されている。
【0057】
したがって、照明本体60は、小型なサイズでありながら、指向性が強い平行光を、給水ノズル7から放出された水に照射することができる。なお、図2では、照明本体60から照射される平行光の照射範囲を符号Lで示し、その光の光軸を符号Lで示している。
【0058】
また、天井面Cには、照明本体60から照射された光を通すための孔部9が形成されている。孔部9は縦横が、40mm×40mmの大きさで形成されている。
【0059】
ここで、照明装置6のサイズは特に限定されるものではなく、演出装置を設けたい環境や、演出空間で表現したい内容、または、給水ノズル7から放出される水のサイズに合わせて、適宜設計することができる。また、照明装置の照射面のサイズや、照射面から光を照射する天井面の孔部のサイズも適宜設計することができる。但し、後述するように、給水ノズル7から放出する水(水柱、水の球または水滴)のサイズが、直径1mm~20mmの範囲内である場合には、そのような小さなサイズの水を充分に光らせる点から、照明本体60程度のサイズになることが好ましい。
【0060】
また、必ずしも、照明本体60から照射される光(平行光)のビーム角が0.46度に限定されるものではない。但し、照射される光が拡散しにくく、小さなサイズの水の内側に平行光が入りやすくなり、水の内部で光を反射させて、水を効率よく、美しく光らせることが可能となる点から、照明本体60から照射される光(平行光)のビーム角が、0.1~1度の範囲内の角度となることが好ましい。また、照明本体の指向性をより高め、水を効率良く光らせる観点から、照明本体60から照射される光のビーム角は0.5度以下となることがさらに好ましい。
【0061】
また、図1及び図3では、説明の便宜上、複数の給水ノズル7の配列方向(図1及び図3における左右方向)に沿って、給水ノズル7の隣に照明装置6を配置した構図を示しているが、実際の照明装置Aでは、複数の給水ノズル7の配列方向において、給水ノズル7同士の間に照明装置6は配置されず、例えば、天井面C上の、複数の給水ノズル7の配列方向と直交する方向に、照明装置6が配置されている。
【0062】
このような照明装置6の配置位置を取ることで、複数の給水ノズル7の配列方向において、給水ノズル7同士の間の距離を小さくすることができる。この結果、複数の給水ノズル7から放出された水の流れ同士の距離が小さくなり、より細やかで密度の高い、水と光の演出を行うことが可能となる。
【0063】
また、図2に示すように、天井面Cには、給水ノズル7が設けられている。給水ノズル7は、天井面Cから下方の演出空間2に向けて水を放出するノズル本体70と、電磁弁41と接続された送水チューブtと繋がっており、ノズル本体70に水を供給するチューブ71で構成されている。
【0064】
また、ノズル本体70は、その下端の放出部(符号省略)から水を放出可能に構成されている。また、ノズル本体70は、直径1mm~20mmの範囲内のサイズの水(水柱、水の球または水滴)を放出可能に構成されている。
【0065】
また、ノズル本体70は、天井面Cに形成された孔部10の内側に収容され、フランジ部72を介して、天井面Cに支持されている。孔部10は縦横が、20mm×20mmの大きさで形成されている。
【0066】
また、チューブ71は、その端部が取付金具(符号省略)を介して、ノズル本体70に接続され、送水チューブtを介して供給された水を、ノズル本体70に送りこむように構成されている。
【0067】
また、図2においては、ノズル本体70から放出された水滴を模式的に表し、符号Wを付して示している(図1及び図3も同様)。また、水滴Wを連続的に流した場合に形成される水柱の中心軸(水の流れの中心)を、符号Wを付して示している。
【0068】
また、照明本体60から照射される平行光の光軸L1tと、ノズル本体70から放出される水の水柱の中心軸W1とがなす角度を符号αで示している(図2参照)。この角度αは、1度~10度の範囲内で設定されている。
【0069】
また、鉛直方向における、ノズル本体70の下端の放出部から、照明本体60の発行面の中心部までの距離を符号Hで示している(図2参照)。この距離Hは、10mm~200mmの範囲内で設定されている。
【0070】
ここで、必ずしも、ノズル本体70が、直径1mm~20mmの範囲内のサイズの水(水柱、水の球または水滴)を放出可能に構成される必要はなく、演出空間で表現したい内容に合わせて、ノズル本体から放出可能な水のサイズを適宜設計することができる。但し、より細やかな水と光の演出を行うことが可能となる点から、給水ノズル7から放出する水(水柱、水の球または水滴)のサイズが、直径1mm~20mmの範囲内であることが好ましい。また、細やかな演出が可能で、かつ、平行光で充分に水を光らせる点から、給水ノズル7から放出する水(水柱、水の球または水滴)のサイズが、直径5mm~10mmの範囲内であることがさらに好ましい。
【0071】
また、必ずしも、照明本体60から照射される平行光の光軸L1tと、ノズル本体70から放出される水の水柱の中心軸W1とがなす角度αが、1度~10度の範囲内で設定される必要はない。しかしながら、給水ノズル7から鉛直下方に落ちる水の流れに対して、平行光を照射する角度を、充分に平行に近づけることができ、この結果、水の内側に平行光を入れ、水の内部で光を反射させやすくなり、水を効率よく、美しく光らせることが可能となる点から、照明本体60から照射される平行光の光軸L1tと、ノズル本体70から放出される水の水柱の中心軸W1とがなす角度αが、1度~10度の範囲内で設定されることが好ましい。
【0072】
また、必ずしも、鉛直方向における、ノズル本体70の下端の放出部から、照明本体60の発行面の中心部までの距離Hが、10mm~200mmの範囲内で設定される必要はない。但し、給水ノズル7から鉛直下方に落ちる水の流れに対して、平行光を照射する角度を、より平行に近づけやすくなる点から、ノズル本体70の下端の放出部から、照明本体60の発行面の中心部までの距離Hが、10mm~200mmの範囲内の範囲内で設定されることが好ましい。
【0073】
また、一方で、鉛直方向における、ノズル本体70の下端の放出部から、照明本体60の発行面の中心部までの距離Hが10mm未満の場合には、給水ノズル7から鉛直下方に落ちる水の流れに対して、平行光を照射する角度を、より平行に近づけにくくなる。この結果、水の内側に平行光を入れ、水の内部で光を反射させにくくなるおそれがある。
【0074】
また、一方で、鉛直方向における、ノズル本体70の下端の放出部から、照明本体60の発行面の中心部までの距離Hが200mmを超える場合には、給水ノズル7から放出した水に対して照射する平行光の輝度が減少して、水を充分に光らせることができなくなるおそれがある。
【0075】
続いて、水及び平行光の制御の流れと、演出空間2における表現の一例を説明する。
【0076】
まず、演出装置Aでは、演出空間2において、所望のタイミングで、複数の供給装置5から水を放出し、その流れる水に対して平行光を照射して、水の内部で平行光を反射させ、強く、美しく光らせることができる。
【0077】
また、演出装置Aでは、水の放出と、平行光の照射を制御して、水と光により、模様や文字のパターン等を演出空間2に表現することができる。
【0078】
ここで、水及び平行光の制御にあたっては、PC端末44で、映像情報として制御したい模様を作成する。この模様は、例えば、ライン(線)状や円形の模様や文字等、また、模様が点滅しているかのような表現や、円が広がるような表現等である。
【0079】
また、PC端末44では、作成した模様の映像情報に関して、照明制御プロトコルのArtNet形式に基づくethernet信号を出力する。また、DMXコンバータ43がethernet信号をDMX形式に変換する。
【0080】
また、DMX電磁弁コンバータ42が、DMX形式の制御信号のON/OFFに対して、電磁弁42の開閉を制御することで、個々の電磁弁42と繋がった給水ノズル7からの水の放出が制御される。
【0081】
また、圧力ポンプ40で水が加圧されているため、電磁弁41が開放されると、送水チューブtの中に貯まった水が、押し出されるように給水ノズル7から放出される。このように、PC端末44で作成した映像情報に基づき、電磁弁42の開閉が制御される。
【0082】
以上の内容が、水の放出に関する制御系統を介した制御の流れであるが、平行光の照射に関する制御も同様に行われる。即ち、PC端末44で作成した映像情報に基づき、DMX形式の制御信号のON/OFFで、照明装置6からの平行光の照射が制御される。このように、演出装置Aでは、PC端末44で作成した模様の映像情報を反映させて、水の放出及び平行光の照射を制御できる。
【0083】
例えば、図3に示すように、所望のタイミングで、水の放出及び平行光を照射することで、演出空間2に、光らせた水滴Wで形成した模様(図3ではハート型の模様を例示)を表現することができる。
【0084】
また、図4は、本発明を適用した水空間の演出装置によって、流れる水に平行光を照射し、水を光らした状態を示す参考写真図である。なお、参考までに、図4に相当するカラー写真を本明細書と同日付け提出の手続補足所の参考図に掲載する。
【0085】
以上までに説明した本発明を適用した水空間の演出装置の一例である演出装置Aでは、複数の供給装置5から、鉛直下方に水を放出して、その上部から平行光を照射することで、水を効率良く、かつ、美しく光らせることができる。その際、水の内部で平行光が反射することで、従前の水空間の演出装置とは異なる、水が自ら発光しているかのような、強く、独特の光を演出することができる。
【0086】
また、演出装置Aでは、給水ノズル7から放出される水のサイズが小さいため、細やかな水の光り方を表現することができる。
【0087】
また、演出装置Aでは、1つの供給装置5は、一対の照明装置6及び給水ノズル7から構成され、かつ、照明装置6及び給水ノズル7のサイズも小さいため、設置する供給装置5の数を変えることで、設置場所の広さ等に限定されず、様々な環境に演出装置Aを組み込むことができる。
【0088】
以上のように、本発明の水空間の演出装置及び水空間の演出方法は、水を効率よく光らせることができると共に、水と光を組み合わせた細やかな演出が実現可能なものとなっている。
【符号の説明】
【0089】
A 演出装置
1 放水照射部
2 演出空間
3 貯水部
30 貯水プール
31 消音部
4 制御供給部
40 圧力ポンプ
41 電磁弁
42 DMX電磁弁コンバータ
43 DMXコンバータ
44 PC端末
45 散水栓
5 供給装置
6 照明装置
60 照明本体
61 支持アーム
7 給水ノズル
70 ノズル本体
71 チューブ
72 フランジ部
9 孔部
10 孔部
図1
図2
図3
図4