(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】電子線照射装置
(51)【国際特許分類】
G21K 5/04 20060101AFI20230906BHJP
H05H 5/02 20060101ALI20230906BHJP
H01J 37/248 20060101ALI20230906BHJP
H01J 37/30 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
G21K5/04 F
H05H5/02
H01J37/248 B
H01J37/30 Z
(21)【出願番号】P 2021120715
(22)【出願日】2021-07-21
【審査請求日】2023-07-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503237806
【氏名又は名称】株式会社NHVコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】浅井 康博
(72)【発明者】
【氏名】木村 寿男
(72)【発明者】
【氏名】人見 将宏
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-59698(JP,A)
【文献】特開昭57-187900(JP,A)
【文献】特表2003-522398(JP,A)
【文献】特開平3-101040(JP,A)
【文献】実開平2-119399(JP,U)
【文献】実開平5-61999(JP,U)
【文献】特公昭44-26800(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 5/04
H05H 3/00-15/00
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線を加速させる電界を生じさせるための複数の加速電極を軸方向に並設してなる加速管と、
前記加速管の径方向外側において前記加速電極と対をなすように前記軸方向に複数並設され、対をなす前記加速電極とそれぞれ電気的に接続されてなるシールドリングと、
前記加速管と前記シールドリングとの間に配置され、その時々で前記電子線を加速させるように機能させる前記加速電極の数を変更すべく前記電子線の加速に不要となる前記加速電極を前記軸方向に進退する導体にて短絡させる、送りねじ機構を含む短絡装置と
を備え、前記短絡装置の前記送りねじ機構の動作にて前記電子線の出力調整が行われる電子線照射装置であって、
前記短絡装置の前記送りねじ機構は、自身の軸方向が前記加速管の前記軸方向と平行となるように配置されて駆動源にて回転駆動される送りねじと、前記送りねじの回転にて前記軸方向に移動して前記導体を前記軸方向に進退させる可動部材とを備えるものであり、
前記可動部材が前記送りねじの軸直交方向に振れた場合に、前記加速電極及び前記シールドリングのそれぞれに対して自身が優先的に当接可能なガイド部材が前記可動部材に備えられている、
電子線照射装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記可動部材が前記送りねじの軸直交方向に振れた場合に、前記加速電極及び前記シールドリングのそれぞれに対して少なくとも2箇所以上にて当接可能な部位を有している、
請求項1に記載の電子線照射装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記軸方向において前記加速電極及び前記シールドリングの少なくとも2つ分、位置によっては3つ分以上にて当接可能な長さにて構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の電子線照射装置。
【請求項4】
複数の前記加速電極のそれぞれに軸受を備え、前記軸方向において複数の前記軸受が並設してなるものであり、前記可動部材は、前記軸受にて支持される前記軸方向に延びる凸条部を有するものであり、
前記可動部材の前記凸条部は、前記軸方向において前記軸受の2つ分、位置によっては3つ分以上にて支持可能な長さにて構成されている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子線照射装置。
【請求項5】
前記送りねじ機構は、前記自身の軸方向が上下方向に向けられて前記送りねじを配置するものであり、前記送りねじに左ねじを用いて前記可動部材の上動時に前記加速電極側に近づく方向の押付力が前記可動部材に対して生じるように構成されている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子線照射装置は、装置で生成した電子線を被照射物に照射し、被照射物の例えば素材の性質改善や機能付加、殺菌・滅菌を図る目的等で用いられている。電子線照射装置、特にその中でも走査型の電子線照射装置は、真空中でフィラメントから生じた熱電子を収束及び加速させて電子線とする加速管を備えている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
加速管は、自身の軸方向の一端部にフィラメントが設けられるとともに、複数の加速電極が軸方向等間隔に並設されている。加速電極は、加速管の管本体の内側に突出する内側突出片と、管本体の外側に突出する外側電極部とを有している。加速管の複数の加速電極は、各外側電極部に対してフィラメントから離間するほど次第に高い電圧が印加され、各内側突出片に電子線を加速させるための電界を生じさせる。そして、高出力の電子線が必要なときには、加速管の全ての加速電極が使用される。
【0004】
一方で、低出力の電子線が必要なときには、フィラメント側から所定番目以降の加速電極による電子線の加速が不要となる。この場合、所定番目以降の加速電極の印加電圧を一定とすべく、加速管に付随して備えられている短絡装置が導体を用いてそれ以降の加速電極を短絡して同電位とすることがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記短絡装置は、例えば送りねじ機構にて可動継手を加速管の軸方向に可動させ、可動継手に固定した導体を同方向に進退させる構造をなしている。加速管の軸方向に進退する導体が複数の加速電極に同時に接触可能とすることで、所定番目以降の加速電極を同時に短絡して同電位とすることができるようになっている。ここで、加速管は、加速電極を軸方向に複数配置するために同方向に長い構造をなしており、送りねじについても同様に長尺なものとなる。そのため、長尺の送りねじにて動作する可動継手及び導体等、それぞれの動作が確実に行われるかが懸念事項としてあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電子線照射装置は、電子線を加速させる電界を生じさせるための複数の加速電極を軸方向に並設してなる加速管と、前記加速管の径方向外側において前記加速電極と対をなすように前記軸方向に複数並設され、対をなす前記加速電極とそれぞれ電気的に接続されてなるシールドリングと、前記加速管と前記シールドリングとの間に配置され、その時々で前記電子線を加速させるように機能させる前記加速電極の数を変更すべく前記電子線の加速に不要となる前記加速電極を前記軸方向に進退する導体にて短絡させる、送りねじ機構を含む短絡装置とを備え、前記短絡装置の前記送りねじ機構の動作にて前記電子線の出力調整が行われる電子線照射装置であって、前記短絡装置の前記送りねじ機構は、自身の軸方向が前記加速管の前記軸方向と平行となるように配置されて駆動源にて回転駆動される送りねじと、前記送りねじの回転にて前記軸方向に移動して前記導体を前記軸方向に進退させる可動部材とを備えるものであり、前記可動部材が前記送りねじの軸直交方向に振れた場合に、前記加速電極及び前記シールドリングのそれぞれに対して自身が優先的に当接可能なガイド部材が前記可動部材に備えられている。
【0008】
上記態様によれば、加速管に付随して備えられる短絡装置は、送りねじ機構の送りねじの回転にて可動部材を加速管の軸方向に沿って移動させ、加速電極を短絡するための導体を進退させる。その軸方向の移動の際、可動部材が送りねじの軸直交方向に振れた場合に、可動部材に備えたガイド部材が加速電極及びシールドリングのそれぞれに対して優先的に当接可能となる。つまり、ガイド部材のガイド機能を十分に発揮させることが可能となるため、可動部材の移動時及び停止時の姿勢の安定化が図れる。これにより、短絡装置による加速電極を短絡させる動作を通じて、電子線照射装置の信頼性向上が十分に期待できる。
【0009】
上記電子線照射装置において、前記ガイド部材は、前記可動部材が前記送りねじの軸直交方向に振れた場合に、前記加速電極及び前記シールドリングのそれぞれに対して少なくとも2箇所以上にて当接可能な部位を有している。
【0010】
上記態様によれば、可動部材が送りねじの軸直交方向に振れた場合に、ガイド部材の各部位が加速電極及びシールドリングのそれぞれに対して少なくとも2箇所以上にて当接可能となる。これにより、可動部材の移動時及び停止時の姿勢がより安定し、短絡装置の動作向上が十分に期待できる。
【0011】
上記電子線照射装置において、前記ガイド部材は、前記軸方向において前記加速電極及び前記シールドリングの少なくとも2つ分、位置によっては3つ分以上にて当接可能な長さにて構成されている。
【0012】
上記態様によれば、ガイド部材の軸方向の長さが適正化され、ガイド部材が加速電極及びシールドリングの少なくとも2つ分、位置によっては3つ分以上にて当接可能となる。このことでも、可動部材の移動時及び停止時の姿勢がより安定し、短絡装置の動作向上が十分に期待できる。
【0013】
上記電子線照射装置において、複数の前記加速電極のそれぞれに軸受を備え、前記軸方向において複数の前記軸受が並設してなるものであり、前記可動部材は、前記軸受にて支持される前記軸方向に延びる凸条部を有するものであり、前記可動部材の前記凸条部は、前記軸方向において前記軸受の2つ分、位置によっては3つ分以上にて支持可能な長さにて構成されている。
【0014】
上記態様によれば、可動部材の凸条部の軸方向の長さが適正化され、凸条部が軸方向に並ぶ軸受の2つ分、位置によっては3つ分以上にて支持される。このことでも、可動部材の移動時及び停止時の姿勢がより安定し、短絡装置の動作向上が十分に期待できる。
【0015】
上記電子線照射装置において、前記送りねじ機構は、前記自身の軸方向が上下方向に向けられて前記送りねじを配置するものであり、前記送りねじに左ねじを用いて前記可動部材の上動時に前記加速電極側に近づく方向の押付力が前記可動部材に対して生じるように構成されている。
【0016】
上記態様によれば、送りねじに左ねじが用いられ、可動部材の上動時に加速電極側に近づく方向の押付力が可動部材に対して生じる。可動部材を支持する軸受、及び可動部材と一体に動作する導体との接触部等が加速電極側に設けられるため、可動部材の上動時においてより確実に軸受及び接触部等を機能させることが期待できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電子線照射装置によれば、加速管に付随する短絡装置の動作をより確実とし、装置の信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態における電子線照射装置の概略構成図である。
【
図2】同実施形態における加速管部及び短絡装置の概略構成図である。
【
図3】同実施形態における加速管部及び短絡装置の平面図である。
【
図4】同実施形態における加速管部及び短絡装置の一部拡大平面図である。
【
図5】同実施形態における加速管部及び短絡装置の側面図である。
【
図6】同実施形態における加速管部及び短絡装置の一部拡大側面図である。
【
図7】比較例における加速管部及び短絡装置の一部拡大平面図である。
【
図8】同比較例における加速管部及び短絡装置の一部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、電子線照射装置の一実施形態について説明する。
[電子線照射装置の全体構成]
図1に示す本実施形態の電子線照射装置10は、走査型の電子線照射装置である。電子線照射装置10は、熱電子の放出を行う例えばタングステン製のフィラメント11を備えている。フィラメント11は、フィラメント用電源12からの電源供給に基づく自身の加熱により電子を放出する。フィラメント11は、加速管13の一端部に設けられている。なお、本実施形態の加速管13は、自身の軸L1方向の一端部側が上方に向けられて配置されている。
【0020】
加速管13は、フィラメント11が配置される上端部が閉塞された筒状をなしている。加速管13は、自身の軸L1方向に並設される複数の加速電極14を有している。加速電極14は、加速電極用電源15からの電源供給に基づき、フィラメント11から放出された電子を収束させつつ、軸L1方向の他端部側である下方に向けて加速させるような電界を生じさせる。つまり、加速管13では、加速電極14にて生じる電界にて、下方に向く電子流、すなわち電子線eが生じるようになっている。加速管13及びこれに付随して備えられる電子線eの出力調整を行うための後述の短絡装置40(
図2等参照)の詳細構成については後述する。
【0021】
加速管13は、下端部に走査管16が接続されている。加速管13と走査管16とは互いに内部空間17が連通し、その内部空間17において電子線eが加速管13から走査管16側に進む。走査管16は、上端部が幅狭で、下方に向かうほど拡開する形状をなしている。走査管16は、その幅狭の上端部に走査コイル18が設けられている。走査コイル18は、自身への通電に基づき、加速管13にて生成された電子線eの向きを偏向、すなわち電子線eの走査を行う。
【0022】
走査管16の下端部には、例えば略長方形状の開口窓部19が設けられている。開口窓部19には、略長方形状の窓箔20が取り付けられている。窓箔20は、非常に薄い金属箔であり、例えばチタン系の金属材料から作製されている。窓箔20は、電子線eを透過させつつ開口窓部19を密閉させる機能を有している。つまり、加速管13と走査管16とに跨がる内部空間17は、密閉空間として構成されている。内部空間17は、例えば走査管16に接続された真空ポンプ21の駆動にて、少なくとも電子線eを生じさせる期間は真空状態とされる。
【0023】
上記したフィラメント用電源12、加速電極用電源15、走査コイル18及び真空ポンプ21は、制御装置22にて制御される。制御装置22は、各電源12,15を通じた電子線eの出力調整、走査コイル18を通じた電子線eの走査制御、及び真空ポンプ21を通じた加速管13及び走査管16の内部空間17の真空調整等を行う。
【0024】
そして、開口窓部19に装着の窓箔20を介して出射される電子線eは、例えば搬送装置23により搬送方向xに搬送される被照射物24に対して照射される。なおこの場合、電子線照射装置10は、略長方形状の開口窓部19の長手方向が搬送装置23の搬送直交方向yに向く配置である。搬送方向x及び搬送直交方向yを含めた電子線eの所定走査が行われて、開口窓部19に対応した略長方形状の照射エリアAの照射が行われる。電子線eの被照射物24への照射効果としては、例えば素材の性質改善や機能付加、殺菌・滅菌等が期待できる。
【0025】
[加速管及び短絡装置の詳細構成]
加速管13及びこれに付随して備えられる短絡装置40について説明する。なお、
図2は加速管13及び短絡装置40を模式的に示し、
図3~
図6は加速管13及び短絡装置40の実構造を示している。
【0026】
図2及び
図3に示すように、加速管13は、軸L1方向に長い円筒状をなす絶縁性の管本体30を備え、管本体30に対して複数の加速電極14が一体的に組み込まれている。複数の加速電極14は、互いに同形状をなし、軸L1方向に等間隔に並設されている。加速電極14は、管本体30の内側に突出する内側突出片14aと、管本体30の外側に突出する外側電極部14bとを有している。内側突出片14aは、
図2では図示、
図3及び
図4では図示略としている。
【0027】
加速管13の径方向外側には、複数の加速電極14とそれぞれ対をなすように複数のシールドリング31が支持部材(図示略)にて支持されている(
図3参照)。シールドリング31は、金属材料から作製されており、加速電極14と一体又は別体の接続導体32を通じて互いに電気的に接続されている。シールドリング31は、加速管13周りの電界緩和のために設けられている。
【0028】
シールドリング31と加速電極14との径方向間(
図3参照)には、所定の間隙Sが設けられている。この間隙Sは加速管13の軸L1方向にも連続しており、間隙Sが軸L1方向に連なる空間には短絡装置40が配置されている。なお
図2では、図面を煩雑としないため、シールドリング31、短絡装置40、加速電極14に設けられる後述の接触部34の径方向位置が
図3等の実構造と異なる位置で描いている。
【0029】
図3及び
図4に示すように、各加速電極14の外側電極部14bには、それぞれ軸受33が設けられている。すなわち、軸受33は、加速管13に対して複数設けられており、加速管13の軸L1方向に等間隔に配置されている。各軸受33は、自身が転動可能な一対の転動体33aを有してなり、一対の転動体33aにて短絡装置40の後述の可動継手44に設けた凸条部44bを挟持する。各軸受33の一対の転動体33aは、自身の転動により軸L1方向への円滑な移動を許容しつつ、凸条部44bを介して可動継手44を支持する。
【0030】
また、各加速電極14の外側電極部14bには、軸受33と間隔を有して、それぞれ接触部34が設けられている。すなわち、接触部34は、加速管13に対して複数設けられており、加速管13の軸L1方向に等間隔に配置されている。なお、本実施形態の接触部34は、加速管13の上端部から数番目までの加速電極14については省略され、それ以降の下端部までの加速電極14のそれぞれに設けられている。
【0031】
各接触部34は、自身が略球形状をなす一対の接触子34a及び各接触子34aをそれぞれ支持する一対の支持ばね34bを有してなる。各接触子34aは、短絡装置40の後述の可動継手44に設けた第1導体45が位置した場合、それぞれ支持ばね34bにより支持された一対の接触子34aにてその第1導体45を弾性的に挟持する。また、各接触部34の接触子34a及び支持ばね34bは、導電性の金属材料から作製されている。各接触部34は、一対の接触子34aがそれぞれ支持ばね34bを介して加速電極14と電気的に接続されている。つまり、一対の接触子34aが第1導体45を挟持すると、互いが弾性的にかつ電気的に接触し、第1導体45と第1導体45を挟持した接触部34を有する加速電極14とが電気的に接続される。また、各接触部34の一対の接触子34aは、可動継手44とともに上下方向に移動する第1導体45に対して連続的に挟持し、連続的に接触可能である。第1導体45が複数の接触子34aと同時に接触する場合、複数の加速電極14が第1導体45を通じて互いに短絡接続され、互いに同電位となる。
【0032】
なお、本実施形態の接触子34aは、一対の接触子34aの外形形状や支持ばね34bの長さ等の適正化が図られており、第1導体45を幅方向略中央部辺りで常に挟持できるような配慮がなされている。接触子34aと第1導体45とが常に安定した接触状態となるような配慮がなされている。
【0033】
短絡装置40は、その時々で加速電極14を短絡しない、若しくは短絡して接地電位と同電位とする数を変更する。短絡装置40は、短絡した加速電極14以降で電子線eの加速を抑制可能なため、電子線eの出力調整を行うものとして加速管13に付随して備えられている。
【0034】
図2~
図6に示すように、短絡装置40は、送りねじ機構41を備えている。送りねじ機構41は、長尺棒状の雄ねじよりなる送りねじ42を有している。送りねじ機構41は、送りねじ42の自身の軸方向が加速管13と軸L1方向と平行となるようにして、送りねじ42が回転可能に支持されている。送りねじ42は、下端部が駆動モータ43と連結されており(
図2参照)、駆動モータ43による回転駆動が行われる。送りねじ42には、可動継手44が自身のねじ孔44aにてねじ連結されている。可動継手44は、加速管13側の軸受33にて送りねじ42周りの回転不能な支持態様となっているため、送りねじ42が回転すると送りねじ42の軸方向への移動、すなわち加速管13の軸L1方向への移動がなされる。また、送りねじ42の回転方向を変更することによって、加速管13の軸L1方向に沿った可動継手44の上方向又は下方向への移動が切り替えられる。
【0035】
また、本実施形態の送りねじ42は、一般的な右ねじを用いず、左ねじにて構成されている。そのため、可動継手44を上動させるべく回転させると、可動継手44に対して加速電極14側に近づく方向の押付力が生じるようにしている。つまり、加速電極14側には、後述する軸受33及び接触部34が備えられており、特に可動継手44の上動時において、軸受33及び接触部34をより確実に機能させる配慮がなされている。
【0036】
可動継手44は、絶縁材料から作製されている。可動継手44は、加速管13側を向く面に凸条部44bを有している。凸条部44bは、例えば断面矩形状をなし、可動継手44のねじ孔44aの軸方向、すなわち送りねじ42の軸方向に沿って延びる形状をなしている。加速管13の側面視において(
図6参照)、凸条部44bは、加速管13の軸L1方向に点在する加速電極14の略3つ分に跨がる長さX1に設定されている。可動継手44は、自身の移動過程のその時々において、凸条部44bが加速管13の軸L1方向に点在する少なくとも2つ分、位置によっては3つ分の加速電極14の軸受33にて支持される構成である。つまり、可動継手44は、少なくとも2つ分、位置によっては3つ分の軸受33にて支持されるため、移動時及び停止時における可動継手44の姿勢はより安定したものとなっている。
【0037】
可動継手44には、加速管13側の接触部34と対応させて、第1導体45が第1取付板46を介して装着されている。第1取付板46は、金属板材から作製されている。第1導体45は、導電性の金属材料から、可撓性を有する長尺帯状に作製されている。第1取付板46の下部には、第1導体45の一端部45aが固定されている(
図6参照)。第1導体45の一端部45aは、可動継手44とともに加速管13の軸L1方向に沿った上下方向に一体的に移動する。
【0038】
第1導体45は、自身の他端部45bが第1巻取機47に連結されており(
図2参照)、第1巻取機47にて巻き取り可能に設けられている。第1導体45は、例えば第1巻取機47にて巻き付くような形状記憶性を有している。上記した可動継手44が第1巻取機47から遠ざかる上方向に移動すると、一端部45aが可動継手44と一体的に移動する第1導体45が第1巻取機47への巻き付きに抗して軸方向に延びる。これに対し、可動継手44が第1巻取機47から近づく下方向に移動すると、第1導体45が第1巻取機47に巻き付きつつ軸方向に縮む。第1導体45は、加速管13の軸L1方向に点在する加速電極14の接触部34に接触、この場合一対の接触子34aに挟持されつつ、可動継手44の移動とともに上下方向に進退する。
【0039】
第1取付板46には、自身と可動継手44との間に第1ガイド48が取り付けられている。第1ガイド48は、絶縁材料から、例えば矩形板状に作製されている。加速管13の平面視において(
図4参照)、第1ガイド48は、自身の先端部48aが加速電極14側に向いている。第1ガイド48の先端部48aは、加速電極14に対して非当接、若しくは送りねじ42の軸直交方向に可動継手44が振れた場合等に当接する。第1ガイド48は、それ以上の可動継手44の振れ等による移動を規制する。
【0040】
また、加速管13の側面視において(
図6参照)、第1ガイド48は、加速管13の軸L1方向に点在する加速電極14の略3つ分に跨がる長さX2に設定されている。第1ガイド48は、少なくとも2つ分の加速電極14に当接可能であり、位置によっては3つ分若しくは4つ分の加速電極14に当接可能である。つまり、第1ガイド48は、軸L1方向に点在する加速電極14に対して安定して当接可能なため、移動時及び停止時における可動継手44の姿勢の安定化に貢献する。
【0041】
また、第1取付板46には、自身と第1導体45との間に第2ガイド49が取り付けられている。第2ガイド49は、絶縁材料から、例えば矩形板状に作製されている。加速管13の平面視において(
図4参照)、第2ガイド49は、自身の先端部49aがシールドリング31側に向いている。第2ガイド49の先端部49aは、シールドリング31に対して非当接、若しくは送りねじ42の軸直交方向に可動継手44が振れた場合等に当接する。第2ガイド49は、それ以上の可動継手44の振れ等による移動を規制する。
【0042】
また、加速管13の側面視において(
図6参照)、第2ガイド49は、第1ガイド48と同等の長さX2に設定されている。第2ガイド49についても、少なくとも2つ分のシールドリング31に当接可能であり、位置によっては3つ分若しくは4つ分のシールドリング31に当接可能である。また、第2ガイド49は、第1ガイド48と同等の上下方向位置に設けられている。第2ガイド49についても、軸L1方向に点在するシールドリング31に対して安定して当接可能なため、移動時及び停止時における可動継手44の姿勢の安定化に貢献する。
【0043】
可動継手44には、第1取付板46とは反対側に、第2導体50が第2取付板51を介して装着されている。第2取付板51は、導電性の金属板材から作製されている。第2導体50は、導電性の金属材料から、可撓性を有する長尺帯状に作製されている。第2取付板51の下部には、第2導体50の一端部50aが固定されている(
図6参照)。第2導体50の一端部50aについても、可動継手44とともに加速管13の軸L1方向に沿った上下方向に一体的に移動する。
【0044】
第2導体50は、自身の他端部50bが第2巻取機52に連結されており(
図2参照)、第2巻取機52にて巻き取り可能に設けられている。第2導体50は、第1導体45と同様、例えば第2巻取機52にて巻き付くような形状記憶性を有している。そのため、上記した可動継手44が上方向に移動すると、第2導体50が第2巻取機52への巻き付きに抗して軸方向に延び、可動継手44が下方向に移動すると、第2導体50が第2巻取機52に巻き付きつつ軸方向に縮む。第2導体50についても、第1導体45と同様、可動継手44の移動とともに上下方向に進退する。
【0045】
第2取付板51の上部には、接触ばね53が固定されている。接触ばね53は、導電性の金属材料から作製されている。接触ばね53は、第2取付板51を通じて第2導体50と電気的に接続されている。接触ばね53は、自身の先端部53aがシールドリング31側に向いている。接触ばね53の先端部53aは、シールドリング31が位置した場合、このシールドリング31に対して弾性的にかつ電気的に接触する。上記したように、シールドリング31は、接続導体32を通じて同じ軸方向位置にある加速電極14と電気的に接続されている(
図3参照)。また、接触ばね53は、第2導体50と電気的に接続されている。そのため、接触ばね53がシールドリング31と接触すると、これと対応する加速電極14が第2導体50と電気的に接続されることになる。
【0046】
なお、接触ばね53が任意のシールドリング31、すなわちこれと対応する任意の加速電極14と電気的に接続される状態では、第1導体45の一端部45aは一段下の加速電極14と電気的に接続されるようになっている(
図6参照)。すなわち、接触ばね53と第1導体45の一端部45aとは、上下方向に隣り合う加速電極14のそれぞれに、同時に電気的に接続する位置関係として構成されている。
【0047】
また、第2取付板51には、第3ガイド54が取り付けられている。第3ガイド54は、絶縁材料から、例えば矩形板状に作製されている。加速管13の平面視において(
図4参照)、第3ガイド54は、加速電極14側を向く第1端部54aと、シールドリング31側を向く第2端部54bとを有している。第3ガイド54の第1及び第2端部54a,54bは、それぞれ加速電極14及びシールドリング31に対して非当接、若しくは送りねじ42の軸直交方向に可動継手44が振れた場合等にそれぞれ当接する。第3ガイド54は、それ以上の可動継手44の振れ等による移動を規制する。
【0048】
また、加速管13の側面視において(
図6参照)、第3ガイド54は、第1及び第2ガイド48,49と同等の長さX2に設定されている。第3ガイド54についても、少なくとも2つ分の加速電極14及びシールドリング31に当接可能であり、位置によっては3つ分若しくは4つ分の加速電極14及びシールドリング31に当接可能である。また、第3ガイド54は、第1及び第2ガイド48,49と同等の上下方向位置に設けられている。第3ガイド54についても、軸L1方向に点在する加速電極14及びシールドリング31に対してそれぞれ安定して当接可能なため、移動時及び停止時における可動継手44の姿勢の安定化に貢献する。
【0049】
さらに、第3ガイド54及び上記した第1及び第2ガイド48,49は、可動継手44において送りねじ42の軸直交方向に振れが生じた場合等、周囲部材である加速電極14及びシールドリング31に対してそれぞれ優先的に当接する構成としている。換言すると、可動継手44の一部や第1及び第2取付板46,51等が加速電極14及びシールドリング31に当接しない構成としている。そのため、第1~第3ガイド48,49,54のガイド機能が十分に発揮されるようになっている。ちなみに、第1~第3ガイド48,49,54の周囲部材との当接し得る箇所は、曲面形状にて構成されている。
【0050】
第1導体45及び第2導体50の各他端部45b,50bは、電流計(図示略)を含む検出回路55を介してそれぞれ接地される(
図4参照)。したがって、第1及び第2導体45,50と電気的に接続されるそれぞれの加速電極14は、それぞれ接地電位と同電位となる。なお、検出回路55では、第1及び第2導体45,50の電流検出が別系統で行われ、電子線eのビーム電流及び散乱状態のそれぞれを検出することが可能である。
【0051】
[本実施形態の動作(作用)]
本実施形態の作用について説明する。
電子線照射装置10から出射される電子線eの出力調整において、最大出力とする場合、短絡装置40は、可動継手44を最も下端位置に配置する。この場合、接触ばね53が最も下端に位置するシールドリング31に接触していても、接触ばね53がシールドリング31に接触していなくてもよい。つまり、短絡装置40による加速電極14の短絡箇所は無く、全ての加速電極14が独立した異なる電位となるようにする。これにより、加速電極14の全てが電子線eを加速させるように機能し、生成される電子線eが最大出力となる。
【0052】
電子線eを最大出力よりも低出力に調整するには、短絡装置40は、可動継手44をその所望出力に応じて、電子線eを加速させるように機能させる加速電極14の数を少なくする(
図2参照)。つまり、短絡装置40は、所望出力に応じた加速電極14に接続のシールドリング31に接触ばね53が接触する位置まで可動継手44を上動させて停止する。これにより、接触ばね53が接触するシールドリング31と接続の加速電極14は、第2導体50により接地電位となる。また、その一段下の加速電極14は、第1導体45により接地電位となる。さらに、それ以降に加速電極14がある場合、第1導体45により加速電極14が短絡され、ともに接地電位となる。接地電位となった複数の加速電極14は、電子線eを加速させるように機能しない。
【0053】
このような電子線eの出力調整において、電子線eの加速に寄与する加速電極14の数を変更すべく、短絡装置40は、自身の送りねじ機構41を駆動して可動継手44を上下動させている。本実施形態では、可動継手44に第1~第3ガイド48,49,54が備えられ(
図4参照)、第1ガイド48の先端部48aと第3ガイド54の第1端部54aとの2箇所が加速電極14側に当接可能である。また、第2ガイド49の先端部49aと第3ガイド54の第2端部54bとの2箇所がシールドリング31側に当接可能である。つまり、送りねじ42の軸直交方向に可動継手44が振れた場合等、第1~第3ガイド48,49,54が周囲部材の加速電極14及びシールドリング31に対して優先的に当接する。そのため、第1~第3ガイド48,49,54のガイド機能が十分に発揮され、可動継手44の移動時及び停止時の姿勢が安定となり、動作が安定する。送りねじ機構41は、長尺棒状をなす送りねじ42に傾きや撓みが生じ易く、また送りねじ42と可動継手44との間にがたが生じ易い機構であるため、特に有用である。
【0054】
また、第1~第3ガイド48,49,54は、少なくとも2つ分の加速電極14及びシールドリング31に当接可能であり、位置によっては3つ分若しくは4つ分の加速電極14及びシールドリング31に当接可能な十分な長さである(
図6参照)。そのため、軸L1方向に点在する加速電極14及びシールドリング31であっても、可動継手44の移動時及び停止時の姿勢が第1~第3ガイド48,49,54のガイド機能にてより安定し、動作もより安定したものとなる。
【0055】
ここで、
図7及び
図8に示す比較例では、加速管13の軸L1方向において、可動継手44の凸条部44xが軸L1方向に点在する軸受33を1つ分、位置によっては2つ分で支持される長さX3に設定されている。また、可動継手44の第1取付板46側に上記第1ガイド48に対応するガイド60が備えられ、上記第2ガイド49に相当するガイドは省略されている。第2取付板51側の上記第3ガイド54に対応するガイド61は、小型のものである。つまり、ガイド60の先端部60aとガイド61の端部61aとの2箇所が加速電極14側に当接可能であるが、シールドリング31側へのガイドの当接は特に考慮されていない。さらに、加速管13の軸L1方向において、各ガイド60,61は、加速電極14の2つ分に当接可能で、それ以上の加速電極14に当接しない長さX4に設定されている。
【0056】
そのため、送りねじ42の軸直交方向に可動継手44が振れた場合等、可動継手44の移動時及び停止時の姿勢が実施形態と比べて不安定である。また、軸L1方向に点在する加速電極14及びシールドリング31に第1取付板46が引っ掛かる等、実施形態と比べて安定した動作が期待できない。なお、短い支持ばね34bx及び大型の接触子34axを用いる接触部34xは、第1導体45を幅方向中央部から端側にずれた接触となっている。そのため、可動継手44が振れた場合等に、接触部34xと第1導体45との安定した接触状態が保証できない虞もあった。
【0057】
これに対して本実施形態の短絡装置40の送りねじ機構41は、可動継手44の動作が比較例のいくつかの懸念点を一掃するような安定した動作であって、短絡装置40の動作を通じて電子線照射装置10の信頼性向上に貢献するものとなっている。
【0058】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果について説明する。
(1)加速管13に付随して備えられる短絡装置40は、送りねじ機構41の送りねじ42の回転にて可動継手44を加速管13の軸L1方向に沿って移動させ、加速電極14を短絡するための第1及び第2導体45,50を進退させている。その軸L1方向の移動の際、可動継手44が送りねじ42の軸直交方向に振れた場合に、可動継手44に備えた第1~第3ガイド48,49,54が加速電極14及びシールドリング31のそれぞれに対して優先的に当接可能としている。つまり、各ガイド48,49,54のガイド機能を十分に発揮させることが可能となるため、可動継手44の移動時及び停止時の姿勢の安定化を図ることができる。これにより、短絡装置40による加速電極14を短絡させる動作を通じて、電子線照射装置10の信頼性向上を十分に期待することができる。
【0059】
(2)可動継手44が送りねじ42の軸直交方向に振れた場合に、各ガイド48,49,54の各部位(48a,49a,54a,54b)が加速電極14及びシールドリング31のそれぞれに対して2箇所ずつ当接可能としている。これにより、可動継手44の移動時及び停止時の姿勢がより安定し、短絡装置40の動作向上が十分に期待できる。
【0060】
(3)各ガイド48,49,54の軸L1方向の長さX2が適正化され、各ガイド48,49,54が加速電極14及びシールドリング31の少なくとも2つ分、位置によっては3つ分以上にて当接可能としている。このことでも、可動継手44の移動時及び停止時の姿勢のより安定化が図れ、短絡装置40の動作向上が十分に期待できる。
【0061】
(4)可動継手44の凸条部44bの軸L1方向の長さX1が適正化され、凸条部44bが軸L1方向に並ぶ軸受33の2つ分、位置によっては3つ分以上にて支持されるようにしている。このことでも、可動継手44の移動時及び停止時の姿勢のより安定化が図れ、短絡装置40の動作向上が十分に期待できる。
【0062】
(5)送りねじ42に左ねじが用いられ、可動継手44の上動時に加速電極14側に近づく方向の押付力が可動継手44に対して生じるようにしている。可動継手44を支持する軸受33、及び可動継手44と一体に動作する第1導体45との接触部34等が加速電極14側に設けられるため、可動継手44の上動時においてより確実に軸受33及び接触部34を機能させることが期待できる。
【0063】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0064】
・上記実施形態では、可動継手44に第1~第3ガイド48,49,54の3つのガイド部材が備えられていたが、ガイド部材の数を2つ以下、又は4つ以上としてもよい。可動継手44が送りねじ42の軸直交方向に振れた場合に、ガイド部材が加速電極14及びシールドリング31に対して優先的に当接可能であればよい。
【0065】
・上記実施形態では、第1及び第3ガイド48,54の先端部48aと第1端部54aとの2箇所が加速電極14に対して当接可能、第2及び第3ガイド49,54の先端部49aと第2端部54bとの2箇所がシールドリング31に対して当接可能としていた。加速電極14及びシールドリング31に対するガイド部材の当接箇所はそれぞれ1箇所、又は3箇所以上にて当接可能としてもよい。好ましくは、ガイド部材が加速電極14及びシールドリング31に対してそれぞれ2箇所以上にて当接可能とするのが好ましい。
【0066】
・上記実施形態では、各ガイド48,49,54が加速電極14及びシールドリング31の少なくとも2つ分、位置によっては3つ分以上にて当接可能な軸L1方向の長さX2に設定されていたが、軸方向長さの長短を適宜変更してもよい。また、各ガイド48,49,54をそれぞれ異なる軸方向長さに設定してもよい。
【0067】
・上記実施形態では、可動継手44の凸条部44bが軸L1方向に並ぶ軸受33の2つ分、位置によっては3つ分以上にて支持されるような長さX1に設定されていたが、軸方向長さの長短を適宜変更してもよい。
【0068】
・上記実施形態では、可動継手44の凸条部44bを軸受33の一対の転動体33aが挟持する態様の支持構成としていたが、可動継手44の支持態様はこれに限らず、適宜変更してもよい。
【0069】
・上記実施形態では、第1導体45を接触部34の一対の接触子34aが挟持する態様の接触構成としていたが、第1導体45との接触構成はこれに限らず、適宜変更してもよい。
【0070】
・上記実施形態では、第1及び第2導体45,50を2つの導体が用いられていたが、1つの導体を用いた構成としてもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2導体45,50に可撓性を有する導体が用いられていたが、変形可能に組み立てられた導体、若しくは直線状の導体等を用いてもよい。
【0071】
・上記実施形態では、第1及び第2導体45,50が第1及び第2巻取機47,52のそれぞれに自身で巻き付くような形状記憶性を有していたが、形状記憶性を有さない導体を用いて駆動モータ等の駆動力で巻き取り及び巻き戻しを行う構成としてもよい。
【0072】
・上記実施形態の可動継手44を含む可動部材の個々の形状及び構成をそれぞれ適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、送りねじ42に左ねじが用いられたが、一般的な右ねじを用いてもよい。
【0073】
・上記実施形態では、送りねじ42を回転駆動する駆動源として駆動モータ43が用いられたが、モータ以外の駆動源を用いてもよい。
・上記実施形態では、加速管13の軸L1方向(この場合、送りねじ42の軸方向)が上下方向となるように配置したが、斜め方向又は水平方向に向けた配置としてもよい。
【0074】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)電子線を加速させる電界を生じさせるための複数の加速電極を軸方向に並設してなる加速管と、前記加速管の径方向外側において前記加速電極と対をなすように前記軸方向に複数並設され、対をなす前記加速電極とそれぞれ電気的に接続されてなるシールドリングとを備える電子線照射装置に備えられるものであり、
前記加速管と前記シールドリングとの間に配置され、その時々で前記電子線を加速させるように機能させる前記加速電極の数を変更すべく前記電子線の加速に不要となる前記加速電極を前記軸方向に進退する導体にて短絡させる、送りねじ機構を含む短絡装置であって、
前記送りねじ機構は、自身の軸方向が前記加速管の前記軸方向と平行となるように配置されて駆動源にて回転駆動される送りねじと、前記送りねじの回転にて前記軸方向に移動して前記導体を前記軸方向に進退させる可動部材とを備えるものであり、
前記可動部材が前記送りねじの軸直交方向に振れた場合に、前記加速電極及び前記シールドリングのそれぞれに対して自身が優先的に当接可能なガイド部材が前記可動部材に備えられている、
電子線照射装置の短絡装置。
【符号の説明】
【0075】
10…電子線照射装置
13…加速管
14…加速電極
31…シールドリング
33…軸受
40…短絡装置
41…送りねじ機構
42…送りねじ
43…駆動モータ(駆動源)
44…可動継手(可動部材)
44b…凸条部
45…第1導体(導体)
48…第1ガイド(ガイド部材)
48a…先端部(当接可能な部位)
49…第2ガイド(ガイド部材)
49a…先端部(当接可能な部位)
50…第2導体(導体)
54…第3ガイド(ガイド部材)
54a…第1端部(当接可能な部位)
54b…第2端部(当接可能な部位)
e…電子線
L1…軸
X1…長さ
X2…長さ