(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】3次元物体の製作のための方法および同方法のための装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/245 20170101AFI20230906BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20230906BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20230906BHJP
【FI】
B29C64/245
B29C64/124
B29C64/393
(21)【出願番号】P 2022060221
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2018562958の分割
【原出願日】2017-05-31
【審査請求日】2022-04-27
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500041019
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】チャド エー.ミルキン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エー.ウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エル.ヘドリック,ザ サード
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205033603(CN,U)
【文献】米国特許第05192559(US,A)
【文献】米国特許第05236637(US,A)
【文献】国際公開第2015/164234(WO,A1)
【文献】特開昭62-288844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00、30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性液体から3次元物体を形成するための装置であって、
支持体と、
前記支持体に関連付けられて動作可能である接着ステージであって、前記接着ステージ上で前記3次元物体が形成される、接着ステージと、
部材であって、その上にはじき相の層を有する部材であって、前記はじき相が、ビルド面を有し、前記ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、
前記ビルド領域にわたる光学的に透明な冷却装置と、
前記ビルド面に関連付けられて動作可能であり、固化または重合のために前記ビルド領域内に重合性液体を供給するように構成された重合性液体供給部と、
前記部材を介して、前記ビルド領域にエネルギーを送達して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、
前記ビルド領域にエネルギーを送達するために、前記エネルギー源に関連付けられて動作可能である少なくとも1つのコントローラであって、前記少なくとも1つのコントローラがまた、前記ビルド領域を冷却するために、前記冷却装置に関連付けられて動作可能であり、前記少なくとも1つのコントローラがまた、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させるために、前記接着ステージに関連付けられて動作可能であり、前記接着ステージが、前記接着ステージを前記ビルド
面から離れるように前進させるように構成された作動アームに関連付けられて動作可能である、少なくとも1つのコントローラと、を備え、
前記はじき相がゲルまたは液体を含
み、前記ゲルまたは前記液体が前記ビルド面に存在する、装置。
【請求項2】
前記部材、はじき相、冷却装置、またはこれらの組み合わせが、光学的に透明であるか、または、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるエネルギー源により提供されるエネルギーの変換または伝達を可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、デッドゾーンを含まない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記光学的に透明な冷却装置が、前記部材、はじき相、および重合性液体のうちの少なくとも1つに関連付けられて動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記光学的に透明な冷却装置が熱交換器である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコントローラが、前記光学的に透明な冷却装置に関連付けられて動作可能であり、前記部材、はじき相、および重合性液体の少なくとも1つの温度を制御するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記エネルギー源が前記部材を介して前記ビルド領域にエネルギー源を提供して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されており、前記エネルギー源が、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記エネルギー源が、光エンジンである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記光エンジンが、水銀光源、LED光源、ハロゲン光、およびレーザーからなる群から選択される光源を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記エネルギー源が、熱コントローラである、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記部材が、酸素透過性でない、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記作動アームが全方向に動く、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記作動アームが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように一定速度で前進させるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記作動アームが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように可変速度で前進させるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記作動アームが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように一定速度で固定された距離だけ前進させるように構成され、次いで固定された時間の間一時停止され、任意選択的に繰り返される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記作動アームが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように可変速度で固定された距離だけ前進させるように構成され、次いで固定された時間の間一時停止され、任意選択的に繰り返される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記作動アームが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように振動方式で前進させるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように振動方式で前進させることが、(i)前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることと、(ii)前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させることとを含むサイクルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることと、前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させることとの間で、前記接着ステージを一時停止させることをさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させた後に前記接着ステージを一次停止させることをさらに含む、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
重合性液体から3次元物体を形成するための装置であって、
支持体と、
前記支持体に関連付けられて動作可能である接着ステージであって、前記接着ステージ上で前記3次元物体が形成される、接着ステージと、
部材であって、その上に移動相の層を有する部材であって、前記移動相が、ビルド面を有し、前記ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、
前記ビルド面に関連付けられて動作可能であり、固化または重合のために前記ビルド領域内に重合性液体を供給するように構成された重合性液体供給部と、
前記部材を介して、前記ビルド領域にエネルギーを送達して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、
エネルギーを前記ビルド領域に送達するために、前記エネルギー源に関連付けられて動作可能である少なくとも1つのコントローラであって、前記少なくとも1つのコントローラがまた、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させるために、前記接着ステージに関連付けられて動作可能である、少なくとも1つのコントローラと、を備える、装置。
【請求項22】
前記部材、移動相、および重合性液体のうちの少なくとも1つに関連付けられて動作可能である冷却装置をさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記冷却装置が、光学的に透明である、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記冷却装置が、前記ビルド領域にわたる熱交換器である、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記冷却装置が、前記部材、移動相および重合性液体のうちの少なくとも1つの温度を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラに関連付けられて動作可能である、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記接着ステージが、前記接着ステージを前進させるように構成された作動アームに関連付けられて動作可能である、請求項21に記載の装置。
【請求項27】
前記移動相が、移動する固相、移動するゲル相、流動流体、または前述の組み合わせを含む、請求項21に記載の装置。
【請求項28】
前記移動するゲル相が、有機ゲル、シリコーンゲル、水性ヒドロゲル、フルオロゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記水性ヒドロゲルが、寒天、アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル、デンプンゲル、カチオンゲル、アニオンゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記フルオロゲルが、ペルフルオロポリエーテルで膨潤させた2-(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリレートを含む、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記流動流体が、水性液体、有機液体、シリコーン液体、およびフッ素液体からなる群から選択される、請求項27に記載の装置。
【請求項32】
前記移動相が、はじき相を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項33】
前記移動相と流体連通する出口と、前記移動相と流体連通する入口とをさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項34】
前記出口が、前記入口と流体連通して、再循環ループを提供し、膜を横切る移動相の流動を可能にする、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記移動相と流体連通し、前記出口を含む出口分配ノズルと、前記移動相と流体連通し、前記入口を含む入口分配ノズルと、をさらに備える、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記出口と前記入口との間の前記再循環ループに沿って提供された濾過ユニットをさらに備え、前記濾過ユニットが、前記移動相を濾過、清浄または汚染除去するように構成された少なくとも1つのコントローラに関連付けられて動作可能である、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記出口と前記入口との間の前記再循環ループに沿った冷却装置をさらに備え、前記冷却装置が、前記移動相の温度を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラに関連付けられて動作可能である、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
前記出口と前記入口との間の前記再循環ループに沿った酸素化ユニットをさらに備え、前記酸素化ユニットが、前記移動相に提供される酸素の量を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラに関連付けられて動作可能である、請求項34に記載の装置。
【請求項39】
前記部材が、光学的に透明であり、または、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるエネルギー源により提供されるエネルギーの変換または伝達を可能にする、請求項21に記載の装置。
【請求項40】
前記重合性液体が、デッドゾーンを含まない、請求項21に記載の装置。
【請求項41】
前記再循環ループが、前記移動相の連続的な流動を維持するように構成された少なくとも1つのコントローラに関連付けられて動作可能である、請求項34に記載の装置。
【請求項42】
前記エネルギー源が、前記部材を介して前記ビルド領域にエネルギー源を提供して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項43】
前記エネルギー源が、光エンジンである、請求項21に記載の装置。
【請求項44】
前記光エンジンが、水銀光源、LED光源、ハロゲン光、およびレーザーからなる群から選択される光源を有する、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記エネルギー源が、熱コントローラである、請求項21に記載の装置。
【請求項46】
前記エネルギー源が、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の装置。
【請求項47】
前記部材が、酸素透過性でない、請求項21に記載の装置。
【請求項48】
前記作動アームが全方向に動く、請求項26に記載の装置。
【請求項49】
前記作動アームが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように一定速度で前進させるように構成された、請求項26に記載の装置。
【請求項50】
前記作動アームが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように可変速度で前進させるように構成された、請求項26に記載の装置。
【請求項51】
前記作動アームが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように一定速度で固定された距離だけ前進させるように構成され、次いで固定された時間の間一時停止され、任意選択的に繰り返される、請求項26に記載の装置。
【請求項52】
前記作動アームが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように可変速度で固定された距離だけ前進させるように構成され、次いで固定された時間の間一時停止され、任意選択的に繰り返される、請求項26に記載の装置。
【請求項53】
前記作動アームが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように振動方式で前進させるように構成された、請求項26に記載の装置。
【請求項54】
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように振動方式で前進させることが、(i)前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることと、(ii)前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させることとを含むサイクルを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項55】
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることと、前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させることとの間で、前記接着ステージを一時停止させることをさらに含む、請求項54に記載の装置。
【請求項56】
前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させた後に前記接着ステージを一次停止させることをさらに含む、請求項54または55に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府支援に関する記述
本発明は、空軍科学研究所より与えられた助成金番号FA9550-16-1-0150のもと、政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
本開示は、概して、3次元物体の製作のための方法および装置に関する。より具体的には、本開示は、デッドゾーンもしくは阻害層の必要性を伴わない、かつ/または固体-液体、液体-ヒドロゲル、固体-固体、または固体-ヒドロゲル相の界面における、ボトムアップ手法での重合性液体からの固体の3次元物体製作のための方法および装置に関する。本開示はまた、製作プロセス中に生成される熱を緩和するための、せん断界面を提供して界面接着力を低減する移動相を使用した、光学的に透明な冷却装置の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の添加物製作技法または3次元製作技法では、3次元物体の構築は、段階的なまたは交互積層の方式で実施される。具体的には、可視光照射またはUV光照射の作用を受けた光硬化性樹脂の固化により、層形成が実施される。下記の2種の技法が知られている。すなわち、1つは、成長している物体の上面に新たな層が形成され、もう1つは、成長している物体の底面に新たな層が形成される。
【0004】
成長している物体の上面に新たな層を形成する場合、各照射工程後に構築中の物体を樹脂「プール」中に下げて、上部に樹脂の新たな層をコーティングし、新たな照射工程が行われる。そのような技法の初期の例が、Hullの米国特許第5,236,637号の
図3に示されている。そのような「トップダウン」技法の欠点は、成長している物体を液体樹脂の(潜在的に深い)プールに浸す必要があること、および液体樹脂の正確な被覆層を再構築する必要があることである。
【0005】
成長している物体の底部に新たな層を形成する場合、各照射工程後に、構築中の物体を、製作ウェル中の底板から分離しなくてはならない。そのような技法の初期の例が、Hullの米国特許第5,236,637号の
図4に示されており、ここでは重合性液体を非濡れ性の不混和性液体層の上に浮遊させる。しかし、そのような技術は商品化されておらず、代わりに「ボトムアップ」製作のための劇的に異なる技術が実施されている。例えば、米国特許第7,438,846号では、弾性の分離層を使用して、底部の構築平面での固化した材料の「非破壊的な」分離を実現している。その他のアプローチ、例えばB9Creations of Deadwood(South Dakota,USA)から市販されているB9Creator(商標)3次元プリンタは、スライドするビルドプレートを用いて、層が固化された後の機械的開裂を誘発している。例えば、M.Joyceの米国特許出願第2013/0292862号、およびY.Chenらの米国特許出願第2013/0295212号(両方とも2013年11月7日)を参照されたい。また、Y.PanらのJ.Manufacturing Sci.and Eng.134,051011-1(2012年10月)も参照されたい。このようなアプローチは、装置を複雑にし、方法に時間がかかり、および/または最終製品を潜在的に歪めるという可能性がある機械的工程が導入されている。
【0006】
Carbon3Dシステムのようないくつかの「ボトムアップ」製作アプローチは、「デッドゾーン」または「阻害層」を利用して、重合がビルド界面近くで化学的に抑制される。「デッドゾーン」は、酸素等の重合阻害剤を半透過性膜を部分的にまたは完全に通過させて、阻害剤を「デッドゾーン」に連続的に供給することを可能にすることにより生成される。界面での重合を防止することにより、接着が回避され、固化した材料をビルド領域から連続的に引き離すことができる。しかしながら、このシステムにはいくつかの制限がある。具体的に、「デッドゾーン」は温度に非常に敏感であり、わずかな変動はプリントを失敗させる可能性がある。加えて、重合反応は極めて発熱的であり、熱は「デッドゾーン」を妨害することなく放散されなければならない。しかしながら、広いエリアにわたって過度の熱を放散するのに効果的な冷却構成(能動冷却機構を提供する冷却構成)はまた、酸素透過および「デッドゾーン」の生成を阻害する。その結果、ビルド領域の面積(すなわち、平面の幅および高さ)は、「デッドゾーン」への酸素送達を侵害しない冷却構成に限定される。
【0007】
したがって、「ボトムアップ」製作における機械的分離工程の必要性を回避することができる3次元製作のための代替の方法および装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様は、3次元物体を形成する方法を提供し、方法は、接着ステージおよび部材を提供することであって、部材が、その上にはじき相を有し、はじき相が、ビルド面を有し、接着ステージおよびビルド面が、それらの間にビルド領域を画定している、提供することと、ビルド領域に重合性液体を提供することであって、重合性液体が、はじき相と不混和性である、提供することと、はじき相の少なくとも一部を介して、ビルド領域をエネルギーに曝露することにより、重合性液体の重合を施して、重合性液体から固体ポリマーを形成し、接着ステージをビルド面から離れるように前進させて、固体ポリマーからなる3次元物体を形成することと、を含み、はじき相は、液体ではない。
【0009】
本開示の別の態様は、3次元物体を形成する方法を提供し、方法は、接着ステージ、部材、および冷却装置を提供することであって、部材が、その上にはじき相を有し、部材が、冷却装置とはじき相との間にあり、はじき相が、ビルド面を有し、接着ステージおよびビルド面が、それらの間にビルド領域を画定している、提供することと、ビルド領域に重合性液体を提供することであって、重合性液体が、はじき相と不混和性である、提供することと、任意選択的に透明な冷却装置のうちの少なくとも一部を介して、かつはじき相のうちの少なくとも一部を介して、ビルド領域をエネルギーに曝露することにより、重合性インクの重合を施して、重合性液体から固体ポリマーを形成し、接着ステージをビルド面から離れるように前進させて、固体ポリマーからなる3次元物体を形成することと、を含む。
【0010】
本開示の別の態様は、重合性液体から3次元物体を形成するための装置を提供し、装置は、支持体と、支持体に動作可能に関連付けられている接着ステージであって、接着ステージ上で3次元物体が形成される、接着ステージと、部材であって、その上にはじき相を有する部材であって、はじき相が、ビルド面を有し、はじき相が液体ではなく、ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、ビルドに動作可能に関連付けられており、固化または重合のためにビルド領域内に重合性液体を供給する、重合性液体供給部と、部材を介して、ビルド領域にエネルギーを送達して、重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、ビルド領域にエネルギーを送達するために、エネルギー源に動作可能に関連付けられている少なくとも1つのコントローラであって、少なくとも1つのコントローラがまた、接着ステージをビルド面から離れるようにエネルギー強度に依存する速度で前進させて、固体ポリマーから3次元物体を形成するために、接着ステージに動作可能に関連付けられている、少なくとも1つのコントローラと、を備える。
【0011】
本開示の別の態様は、重合性液体から3次元物体を形成するための装置を提供し、支持体と、支持体に動作可能に関連付けられている接着ステージであって、接着ステージ上で3次元物体が形成される、接着ステージと、部材であって、その上にはじき相の層を有する部材であって、はじき相が、ビルド面を有し、ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、光学的に透明な冷却装置と、ビルド面に動作可能に関連付けられており、固化または重合のためにビルド領域内に重合性液体を供給する、重合性液体供給部と、部材を介して、ビルド領域にエネルギーを送達して、重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、ビルド領域にエネルギーを送達するために、エネルギー源に動作可能に関連付けられている少なくとも1つのコントローラであって、少なくとも1つのコントローラがまた、ビルド領域を冷却するために、冷却装置に動作可能に関連付けられており、少なくとも1つのコントローラがまた、接着ステージをビルド面から離れるようにエネルギー強度に依存する速度で前進させて、固体ポリマーから3次元物体を形成するために、接着ステージに動作可能に関連付けられている、少なくとも1つのコントローラと、を備える。
【0012】
本開示の別の態様は、3次元物体を形成する方法を提供し、方法は、接着ステージおよび部材を提供することであって、部材が、その上に移動相を有し、移動相が、ビルド面を有し、接着ステージおよびビルド面が、それらの間のビルド領域を画定する、提供することと、ビルド領域に重合性液体を提供することであって、重合性液体が、移動相と不混和性である、提供することと、移動相の少なくとも一部を介して、ビルド領域をエネルギーに曝露することにより、重合性液体の重合を施して、重合性液体から固体ポリマーを形成し、接着ステージをビルド面から離れるように前進させて、固体ポリマーからなる3次元物体を形成することと、を含む。
【0013】
本開示の別の態様は、重合性液体から3次元物体を形成するための装置を提供し、支持体と、支持体に動作可能に関連付けられている接着ステージであって、接着ステージ上で3次元物体が形成される、接着ステージと、部材であって、その上に移動相の層を有する、部材であって、移動相が、ビルド面を有し、ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、ビルド面に動作可能に関連付けられており、固化または重合のためにビルド領域内に重合性液体を供給するように構成されている、重合性液体供給部と、部材を介して、ビルド領域にエネルギーを送達して、重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、ビルド領域にエネルギーを送達するために、エネルギー源に動作可能に関連付けられている少なくとも1つのコントローラであって、少なくとも1つのコントローラがまた、接着ステージをビルド面から離れるようにエネルギー強度に依存する速度で前進させて、固体ポリマーから3次元物体を形成するために、接着ステージに動作可能に関連付けられている、少なくとも1つのコントローラと、を備える。
【0014】
本明細書に記載する方法および装置について、構成要素、条件、および工程を含むがこれらに限定されない任意の特性は、本明細書に提供する様々な態様、実施形態、および実施例から選択されることが企図される。
【0015】
さらなる態様および利点は、図面と合わせて以下の詳細な説明の考察から当業者に明らかとなるであろう。本方法および本装置は、様々な形態の実施形態の影響を受けるが、以下の説明は、本開示が例示であるという了解の下で、特定の実施形態を記載するものであり、本発明が本明細書に記載する特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本明細書に開示するような方法を実行するのに有用な装置、具体的には、透明な部材と、透明な部材に提供されたはじき相と、はじき相に提供された重合性液体と、接着ステージと、を備える装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図2】本明細書に開示するような方法を実行する装置、具体的には、透明な部材と、透明な部材に提供されたはじき相と、はじき相に提供された重合性液体と、接着ステージと、を備える装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図3】連続的重合を実行する装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図4】本明細書に開示するような方法を実行するのに有用な装置、具体的には、透明な冷却装置と、透明な冷却装置に提供された透明な部材と、透明な部材に提供されたはじき相と、はじき相に提供された重合性液体と、接着ステージと、ビルド領域に隣接する追加の冷却装置要素と、を有する装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図5】本明細書に開示するような方法を実行するのに有用な装置、具体的には、透明な部材であって、その上にはじき相を有し、光学ファイバーケーブルの端部に提供され、透明な部材、はじき相、および光学ファイバーケーブルが、重合性液体および接着ステージに提供される、透明な部材の一実施形態の側面概略図である。
【
図6】本明細書に開示するような方法を実施するのに有用な、曲線状はじき相を有する装置の一実施形態の側面概略図、および本明細書に開示するような方法を実行する曲線状はじき相を有する装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図7】本明細書に開示するような方法を実行するのに有用な、具体的には、ビームペンリソグラフィまたはポリマーペンリソグラフィチップアレイを使用することによる装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図8】は三相系の相界面およびはじき角の図である。
【
図9】本明細書に開示するような方法を実行するのに有用な装置、具体的には、透明な部材と、透明な部材に提供された移動相と、移動相に提供された重合性液体と、接着ステージと、を備え、移動相が、任意選択的に、濾過ユニットと、冷却装置と、酸素化ユニットと、を含む閉ループを介して再循環される、装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図10】本明細書に開示するような方法を実行する装置、具体的には、透明な部材と、透明な部材に提供された移動相と、移動相に提供された重合性液体と、接着ステージと、を備え、移動相が、任意選択的に、濾過ユニットと、冷却装置と、酸素化ユニットと(すべて図示)、を含む閉ループを介して再循環される、装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図11】流動流体移動相を有する連続的重合を実行する装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図12】
図11に示すような連続的重合を実行する装置の実施形態のビルド界面における流体速度プロファイルの拡大図である。
【
図13】同重体分配ノズルが、透明な部材を横切って流体移動相を流動させる均一流動プロファイルをどのように生成するかを上から見た図である。
【
図14】本明細書に開示するような方法を実行するのに有用な、具体的には、多重投影光エンジンを使用することによる装置の一実施形態の側面概略図である。
【
図15】本明細書に開示するような方法を実施するのに有用な、具体的には、複数の光エンジン、透明な冷却装置、その上にはじき相を有する透明な部材、重合性液体、および接着ステージの組み合わせによる、接着ステージの動きが、コンピュータ制御リニアアクチュエータにより指示される、装置の一実施形態の側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
3次元物体を形成する方法および装置が本明細書に提供される。いくつかの態様では、方法は、接着ステージおよび部材を提供することであって、部材が、その上にはじき相を有し、はじき相が、ビルド面を有し、接着ステージおよびビルド面が、それらの間にビルド領域を画定している、提供することと、ビルド領域に重合性液体を提供することであって、重合性液体が、はじき相と不混和性である、提供することと、はじき相の少なくとも一部を介して、ビルド領域をエネルギーに曝露することにより、重合性液体の重合を施して、重合性液体から固体ポリマーを形成し、接着ステージをビルド面から離れるように前進させて、固体ポリマーからなる3次元物体を形成すること、を含み、はじき相は、液体ではない。任意選択的に、はじき相は分子的に平滑である。任意選択的に、方法は、発熱性重合反応により生成された熱を考慮して、重合性液体を冷却するように配置された冷却装置をさらに含む。任意選択的に、冷却装置は透明であり、ビルド領域にわたり、光エンジンと重合液体との間に提供される。任意選択的に、部材は、光学的に透明である。任意選択的に、部材は、酸素透過性ではない。
【0018】
いくつかの態様では、方法は、接着ステージ、部材、および冷却装置を提供することであって、部材が、その上にはじき相を有し、部材が、冷却装置とはじき相との間にあり、はじき相が、ビルド面を有し、接着ステージおよびビルド面が、それらの間にビルド領域を画定している、提供することと、ビルド領域に重合性液体を提供することであって、重合性液体が、はじき相と不混和性である、提供することと、冷却装置のうちの少なくとも一部を介して、かつはじき相のうちの少なくとも一部を介して、ビルド領域をエネルギーに曝露することにより、重合性インクの重合を施して、重合性液体から固体ポリマーを形成し、接着ステージをビルド面から離れるように前進させて、固体ポリマーからなる3次元物体を形成することと、を含む。前述の態様の実施形態では、冷却装置は、光学的に透明である。任意選択的に、部材は、光学的に透明である。任意選択的に、部材は、酸素透過性ではない。
【0019】
いくつかの態様では、方法は、接着ステージおよび部材を提供することであって、部材が、その上に移動相を有し、移動相が、ビルド面を有し、接着ステージおよびビルド面が、それらの間のビルド領域を画定する、提供することと、ビルド領域に重合性液体を提供することであって、重合性液体が、移動相と不混和性である、提供することと、移動相の少なくとも一部を介して、ビルド領域をエネルギーに曝露することにより、重合性液体の重合を施して、重合性液体から固体ポリマーを形成し、接着ステージをビルド面から離れるように前進させて、固体ポリマーからなる3次元物体を形成することと、を含む。任意選択的に、移動相は、閉ループを介して再循環される。任意選択的に、移動相は、部材を横切って移動するが、再循環されない。任意選択的に、方法は、移動相を冷却することをさらに含む。任意選択的に、部材は、光学的に透明である。任意選択的に、部材は、酸素透過性ではない。
【0020】
接着ステージをビルド面から離れるように前進させることは、接着ステージがエレベータ上に搭載されて、静止している固定ビルド面から離れるように上方に前進させる実施形態、および/または接着ステージが固定され、ビルド面が下降し、それにより接着ステージをビルド面から離れるように前進させる実施形態を包含する。接着ステージをビルド面から離れるように前進させることは、接着ステージの正味の移動がビルド面から離れる場合には、接着ステージをビルド面に向かって、例えば振動運動で移動させることをさらに包含する。
【0021】
本明細書に開示する方法は、例えば、はじき相および重合液体の表面に直接的に重合を提供する、接着力が堆積材料の各層の間に機械的開裂が必要でないほど十分低い、1つ以上の利点を提供する。加えて、固体、半固体、およびゲル(例えば、ヒドロゲル)はじき相を利用することにより、印刷は全方向軸に沿って前進することができる(すなわち、水平印刷平面に限定されない)。さらに、
図4に示すように、はじき相と重合層との間の界面は、システムがビルド領域の全範囲にわたることができる従来の熱交換器(すなわち、ビルド領域の周辺だけでなく、これにより受動熱拡散に依存する)により、能動的に冷却されることを可能にする。さらに、移動相を利用することは、出現する3次元物体と移動相との間の接着力をさらに最小限に抑え、ビルド領域内の重合性液体の補充を促進する等の利点を提供する。加えて、移動相の利用は、ビルド面の連続的再生、移動相からの微粒子物質の除去、および/または直接的な能動的冷却のための機構を可能にする。
【0022】
さらにまた、低接着相界面を利用することにより、材料堆積の行為が界面付近で抑制/防止される「阻害ゾーン」または「デッドゾーン」の使用が必要ではない。本明細書に開示する方法は、デッドゾーンを生成するために必要なハードウェアおよびデッドゾーンを確立および安定化するために必要な初期時間の効率の向上を提供する。これらの利点(単純化されたハードウェア、冷却方法、およびビルド面再生)の結果として、本明細書に開示する方法は、競合技法よりもはるかに大きなビルド領域を生成することができる。
【0023】
さらに、
図5に示すように、相界面は、全方向方式(例えば、ゲル-液体界面は、水平、垂直であり、または印刷が所望されるオイラー角の任意の組み合わせ)で、ユークリッドビルドスペースに用いることができる。加えて、
図6に示すように、これらの界面は、分子的に平滑であるが平坦ではないように、曲線状に生成することができる(例えば、ゲルを曲率半径で生成して、ドーム状または曲がりくねったビルド領域を生成することができる)。結果として、本明細書に開示する方法は、ビルド領域の規模、幾何学的形状、または方向性により制限されない。
【0024】
重合性液体
【0025】
本明細書で使用する「重合性液体」は、より大きな構造を形成するために結合する任意の小さいビルディングブロック、例えば、従来のポリマー化学により架橋されたモノマー/オリゴマー、一緒に結合する小粒子/コロイド物質、バルク金属を形成するように堆積する金属イオン、または任意の他の数の化学薬品から微小規模のビルディングブロックまでを含む。
【0026】
実施形態では、重合性液体は、はじき相(すなわち、液体重合性液体を用いる固体はじき相、または重合性液体の液体層の下の固定された気泡はじき相)とは別個の物質の状態(すなわち相)である。実施形態では、重合性液体は、はじき相と同じ状態の物質である。実施形態では、重合性液体は、移動相とは別個の状態の物質である。実施形態では、重合性液体は、移動相と同じ状態の物質である。重合性液体は、典型的には、はじき相および/または移動相と不混和性である。
【0027】
実施形態では、重合性液体は、モノマーまたはオリゴマー、具体的には、光重合性モノマーおよび/またはフリーラジカル重合性モノマーおよびオリゴマー、ならびにフリーラジカル開始剤等の適切な開始剤を含むことができる。例として、アクリル、メタクリル、アクリルアミド、スチレン、オレフィン、ハロゲン化オレフィン、環状アルケン、無水マレイン酸、アルケン、アルキン、一酸化炭素、官能化オリゴマー、多官能化硬化部位モノマー、官能化PEG等およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。液体樹脂、モノマーおよび開始剤の例として、米国特許第8,232,043号、米国特許第8,119,214号、米国特許第7,935,476号、米国特許第7,767,728号、米国特許第7,649,029号、国際公開第2012/129968号、中国特許出願公開第102715751号明細書、特開2012/210408号に記載されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】
実施形態では、重合性液体は、水性液体を含む。上記の実施形態の改良形態では、重合性液体として、アクリル、メタクリル、ウレタン、アクリルエステル、ポリエステル、シアノエステル、アクリルアミド、無水マレイン酸、官能化PEGS、ジメタクリレートオリゴマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーまたはオリゴマーが挙げられる。
【0029】
実施形態では、重合性液体は、有機液体を含む。前述の実施形態の改良では、重合性液体として、オレフィン、ハロゲン化オレフィン、環状アルケン、アルケン、アルキン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーまたはオリゴマーが挙げられる。実施形態では、有機重合性液体は、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、(ヒドロキシエチル)メタクリレート(HEMA)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
酸触媒重合性液体実施形態では、上記のように、重合性液体は、フリーラジカル重合性液体を含むが、他の実施形態では、重合性液体は、酸触媒型またはカチオン重合型の重合性液体を含む。そのような実施形態では、重合性液体として、エポキシド基、ビニルエーテル基等の酸触媒反応に適した基を含有するモノマーが挙げられる。このため、適切なモノマーとして、オレフィン、例えばメトキシエテン、4-メトキシスチレン、スチレン、2-メチルプロパ-1-エン、1,3-ブタジエン等、複素環式モノマー(ラクトン、ラクタムおよび環式アミンを含む)、例えばオキシラン、チエタン、テトラヒドロフラン、オキサゾリン、1,3,ジオキセパン、オキセタン-2-オン等、およびこれらの組み合わせが挙げられる。酸触媒の重合性液体に含まれる適切な(一般にイオン性のまたは非イオン性の)光酸発生剤(PAG)の例として、オニウム塩、スルホニウム塩およびヨードニウム塩等、例えばジフェニルヨージドヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨージドヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨージドヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルp-メトキシフェニルトリフレート、ジフェニルp-トルエニルトリフレート、ジフェニルp-イソブチルフェニルトリフレート、ジフェニルp-tert-ブチルフェニルトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、ジブチルナフチルスルホニウムトリフレート等、およびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、米国特許第7,824,839号、米国特許第7,550,246号、米国特許第7,534,844号、米国特許第6,692,891号、米国特許第5,374,500号、および米国特許第5,017,461号を参照されたい。また、Photoacid Generator Selection Guide for the electronics industry and energy curable coatings(BASF 2010)も参照されたい。
【0031】
塩基触媒重合性液体いくつかの実施形態では、重合性液体は、塩基触媒重合性液体を含む。適切な塩基触媒重合性液体として、緑色光で照射されたときに、水酸化物を生成するマラカイトグリーンカルビノール塩基が挙げられるが、これに限定されない。
【0032】
ヒドロゲル実施形態では、適切な重合性液体として、ポリ(エチレングリコール)(PEG)およびゼラチンのような光硬化性ヒドロゲルが挙げられる。PEGヒドロゲルは、増殖因子等の様々な生物学的製剤を送達するために使用されているが、連鎖成長重合により架橋されているPEGヒドロゲルが直面している大きな課題は、不可逆的なタンパク質の損傷の可能性である。持続的な送達を可能にする光重合の前に、親和性結合しているペプチド配列をモノマー樹脂溶液へ包含させることにより、光重合したPEGジアクリレートヒドロゲルからの生物学的製剤の最大放出の状態を増強することができる。ゼラチンは、食品業界、美容業界、製薬業界および写真業界で頻繁に使用されるバイオポリマーである。ゼラチンは、コラーゲンの熱変性または化学的分解および物理的分解により得られる。ゼラチンには、動物、魚およびヒトに見られるものを含む3種が存在する。冷水魚の皮膚由来のゼラチンは、薬学的用途での使用に安全であると考えられている。UV光または可視光を使用して、適切に修飾したゼラチンを架橋させることができる。ゼラチンを架橋させる方法は、ローズベンガル等の染料由来の誘導体を硬化させることを含む。
【0033】
シリコーン樹脂適切な重合性液体として、シリコーンが上げられる。シリコーンは、ラジカル光開始剤を使用して、チオールとビニル残基との間のマイケル反応により、光硬化性とするかまたは固化することができる。好適な光開始剤としては、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビニルメトキシシロキサンホモポリマー、(メルカプトプロピル)メチルシロキサンホモポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
生分解性樹脂生分解性のネジおよびステントのような、薬剤を送達するためのまたは一時的な実施用途のための埋め込み型デバイスにとって、生分解性重合性液体は特に重要である(米国特許第7,919,162号、米国特許第6,932,930号)。乳酸およびグリコール酸(PLGA)の生分解性コポリマーをジメタクリル酸PEGに溶解させて、使用に適した透明な樹脂を得ることができる。ポリカプロラクトンおよびPLGAオリゴマーをアクリル基またはメタクリル基で官能化させて、これらを使用に効果的な樹脂にすることができる。
【0035】
光硬化性ポリウレタン特に有用な重合性液体は、光硬化性ポリウレタンである。(1)脂肪族ジイソシアネートに基づくポリウレタン、すなわちポリ(ヘキサメチレンイソフタレートグリコール)および任意選択的に1,4-ブタンジオール、(2)多官能化アクリル酸エステル、(3)光開始剤、および(4)抗酸化剤を含む光重合性ポリウレタン組成物を配合することができ、その結果、硬質で耐摩耗性のおよび耐汚染性の材料が提供される(米国特許第4,337,130号)。光硬化性熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、鎖延長剤として光反応性ジアセチレンジオールを組み込む。
【0036】
高性能樹脂いくつかの実施形態では、重合性液体として、高性能樹脂が挙げられる。時として、そのような高性能樹脂は、上記で述べたようにおよび下記でさらに論じるように、融解するためにおよび/またはこの高性能樹脂の粘度を低下させるために加熱の使用を必要とする場合がある。そのような樹脂の例として、米国特許第7,507,784号、米国特許第6,939,940号に記載されている、エステル、エステルイミドおよびエステルアミドオリゴマーの液晶ポリマーと称される場合がある、高性能樹脂用の樹脂材料が挙げられるがこれに限定されない。そのような樹脂が高温での熱硬化性樹脂として用いられる場合があることから、本発明では、そのような樹脂は、下記で更に論じるように、照射により架橋を開始するために、適切な光開始剤、例えばベンゾフェノン開始剤、アントラキノン開始剤およびフルオレノン開始剤(これらの誘導体を含む)をさらに含む。
【0037】
追加の樹脂の例歯科用途に特に有用な重合性液体の樹脂として、EnvisionTEC’s Clear Guide,EnvisionTEC’s E-Denstone Materialが挙げられる。補聴器産業に特に有用な樹脂として、EnvisionTEC’s e-Shell 300 Seriesの樹脂が挙げられる。特に有用な樹脂として、成型/鋳造用途で加硫ゴムと直接使用するためのEnvisionTEC’s HTM140IV High Temperature Mold Materialが挙げられる。頑丈で硬い部品を製造するのに特に有用な材料として、EnvisionTEC’s RC31樹脂が挙げられる。インベストメント鋳造用途に特に有用な樹脂として、EnvisionTEC’s Easy Cast EC500が挙げられる。
【0038】
ゾル-ゲル重合性液体いくつかの実施形態では、重合性液体は、ゾル溶液または酸触媒ゾルを含み得る。そのような溶液として、一般に、適切な溶媒中のシリコンテトラエトキシド(テトラエチルオルソシリケート、TEOS)等のシリコンアルコキシドおよびチタンアルコキシドを含む金属アルコキシドが挙げられる。ゴム状材料(例えば、シラン末端シリコーンゴムオリゴマーを使用する)から非常に硬い材料(TEOSのみを使用するガラス)まで、広い範囲の様々な異なる特性を有する製品様々な特性、および様々なシラン末端オリゴマーとのTEOSの組み合わせの使用における製品を生成することができる。染料およびドーパント等の追加の成分を当該技術分野で既知であるようにゾル溶液に含めてもよく、重合後の焼成工程は当該技術分野で既知であるように含めてもよい。例えば、米国特許第4,765,818号、米国特許第7,709,597号、米国特許第7,108,947号、米国特許第8,242,299号、米国特許第8,147,918号、米国特許第7,368,514号を参照されたい。
【0039】
追加の樹脂成分実施形態では、重合液体は、一緒に結合することができる粒状またはコロイド状の物質を含む。実施形態では、重合液体は、堆積してバルク金属を形成することができる金属イオンを含む。重合性液体樹脂または重合性材料は、それらに懸濁または分散されている固体粒子を有することができる。製作する最終製品に応じて、任意の適切な固体粒子を使用することができる。粒子は、金属、有機/ポリマー、無機、セラミック、またはこれらの組成物もしくは混合物であることができる。粒子は、非導電性、半導電性または導電性(金属導体および非金属導体またはポリマー導体を含む)であることができ、粒子は、磁性、強磁性、常磁性または非磁性であることができる。粒子は、球状、楕円状、円柱形等の任意の適切な形状であることができる。粒子は、下記でも論じるように液体樹脂中に溶解して可溶化され得るが、これらの粒子は、活性物質を含むことができる。例えば、磁性のまたは常磁性の粒子またはナノ粒子を用いることができる。
【0040】
重合性液体は、製作する製品の具体的な目的にさらに応じて、顔料、染料、活性化合物または薬学的化合物、検出可能な化合物(例えば蛍光性、燐光性、放射性)等の、この重合性液体に可溶化する追加の成分を有することができる。そのような追加の成分の例として、タンパク質、ペプチド、siRNA等の核酸(DNA、RNA)、糖類、小型有機化合物(薬剤および薬剤様化合物)等、およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
重合性液体は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、およびガラスフィラメントを含む、重合性液体中に分散した1つ以上の追加の成分をさらに含むことができる。
【0042】
生細胞を保有する重合性液体いくつかの実施形態では、重合性液体は、この重合性液体中に「粒子」として生細胞を保有することができる。そのような重合性液体は、一般に水性である、酸素化され得る、および生細胞が不連続相である「乳濁液」と見なされ得る。適切な生細胞は、植物細胞(例えば単子葉植物、双子葉植物)、動物細胞(例えば哺乳類細胞、鳥類細胞、両生類細胞、爬虫類細胞)、微生物細胞(例えば原核生物、真核生物、原生動物等)等であり得る。細胞は、任意の種類の組織(例えば血液、軟骨、骨、筋肉、内分泌腺、外分泌腺、上皮、内皮等)由来の、もしくはこの組織に対応する分化細胞であり得るか、または幹細胞もしくは前駆細胞等の未分化細胞であり得る。そのような実施形態では、重合性液体はヒドロゲルを形成するものであることができ、重合性液体として、米国特許第7,651,683号、米国特許第7,651,682号、米国特許第7,556,490号、米国特許第6,602,975号、米国特許第5,836,313号等に記載されているものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施形態では、重合性液体は、光開始剤をさらに含む。使用される光開始剤は、使用される光源の波長により決まる。より高エネルギーのUV源(すなわち、200nm~400nmの領域の発光を有する高圧水銀灯)を使用する場合、適切な開始剤として、約370nmの一次吸光度を有する4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(商品名Irgacure EMK)、約300nmの一次吸光度および370nmでの二次吸光度を有するフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(商品名Irgacure 819)、370nmおよび390nmでの二次吸光度と共に約380nmの一次吸光度を有するジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(商品名Duracure TPO)、ならびに、398nmおよび470nmでの強い二次吸光度と共に300nmでの一次吸光度を有するビス(2,6-ジフルオロ-3-(1-ヒドロピロール-1-イル))フェニル)チタノセン(商標名Irgacure 784、Omnicure 784)が挙げられるがこれらに限定されない。Photoinitiators for UV Curing Key Products Selection Guide 2003(Ciba Specialty Chemicals 2003)も参照されたい。
【0044】
実施形態では、光開始剤は、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドである。理論に拘束されることを意図するものではないが、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドの溶解度が低いにもかかわらず、0.5%重量の濃度では、全体的な吸収係数および活性波長により、その最も万能な開始剤になり得ると考えられる。さらに、370nmでの二次吸光度(可視領域に拡張するのに十分広い)により、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドは、UV源(水銀灯)、UV青色LED(約405nm)、標準的な既製のDLPコンピュータプロジェクタ、および環境蛍光灯を介して、容易に重合することができる。
【0045】
さらに、370nmでの二次吸光度(可視領域に拡張するのに十分広い)により、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドは、UV源(水銀灯)、UV青色LED(約405nm)、標準的な既製のDLPコンピュータプロジェクタ、および環境蛍光灯を介して、容易に重合することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、光開始剤は、398nmおよび470nmでの強い二次吸光度を有する300nmでの一次吸光度を有するビス(2,6-ジフルオロ-3-(1-ヒドロピロール-1-イル)フェニル)チタノセン(商品名Irgacure 784、Omnicure 784)である。理論に拘束されるものではないが、ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1-ヒドロピロール-1-イル)フェニル)チタノセンは、重合性液体が可視光(青色から緑色の光源)および多数の他の光源(商業的に入手可能なLEDバックライト付きLCDディスプレイ等)を使用して硬化されることを可能にする。
【0047】
いくつかの実施形態では、重合性液体は、界面活性剤をさらに含む。界面活性剤は、重合性液体中に含まれて、重合性液体とはじき相および/または移動相との間の界面表面張力を低下させることができる。例示的な界面活性剤として、部分フッ素化アクリルポリマー(DuPont(Wilmington、DE)からのCapstone FS-22およびCapstone FS-83等)、CTAB(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド)、CPC(セチルピリジニウムクロライド)、DOAB(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、SDBS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を含むがこれらに限定されないイオン界面活性剤、ヘキサエチレングリコールモノ-n-ドデシルエーテル(C12EO6)、ポリオキシエチレン(2)ソルビタンモノラウレート(Tween-20、ポリソルベート20)を含むがこれらに限定されない非イオン界面活性剤、ならびにチロキサポールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0048】
移動相
【0049】
移動相は、重合性液体と不混和性および/または不溶性であり、重合中に移動する任意の材料であり得る。いくつかの実施形態では、移動相は、本明細書に記載するようなはじき相である。移動相の移動は、固化した重合材料を含む出現する物体に関連して、および/または重合液体を固化させる原因となるエネルギー源に関連して説明することができる。いくつかの実施形態では、移動相は平面内を移動し、出現する物体および/またはエネルギー源は前記平面に対して実質的に直角である(例えば、移動相は接着ステージの前進に対して垂直に一方向に移動するか、または移動相は接着ステージの前進に対して直角に回転して移動する)。いくつかの実施形態では、移動相は平面内を移動し、出現する物体および/またはエネルギー源は前記平面に対して実質的に垂直であり、出現する物体およびエネルギー源もまた動いている(例えば、出現する物体および光エンジンは共通軸で回転し、移動相は物体に対して横方向に移動し、回転軸は移動相平面に対して垂直である)。
【0050】
実施形態では、移動相は、移動する固相、移動するゲル相、流動流体、またはこれらの組み合わせを含む。場合によっては、移動相は、移動する固体を含む。場合によっては、移動相は、移動するゲルを含む。場合によっては、移動相は、流動流体を含む。場合によっては、移動相は、移動する固相と流動液体との組み合わせを含む。
【0051】
移動相は、有機固体、水性固体、過フッ素化固体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される移動する固相を含むことができる。有機固体は、スクワラン、スクアレン、固体ヘキサデカン、およびこれらの組み合わせを含むことができるがこれらに限定されない。水性固体は、氷、固体テトラエチレングリコール、固体PEG-300(すなわち、300Daの分子量を有するポリエチレングリコール)、固体PEG-400、固体PEG-600、固体高分子量PEG、およびこれらの組み合わせを含むことができるがこれらに限定されない。過フッ素化固体は、フッ素化エチレンプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、およびこれらの組み合わせを含むことができるがこれらに限定されない。固体移動相は、例えば、コンベヤーの使用により、出現する物体に対して移動することができる。
【0052】
移動相は、有機ゲル、シリコーンゲル、水性ヒドロゲル、フルオロゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される移動するゲル相を含むことができる。水性ヒドロゲルは、寒天、アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル、デンプンゲル、カチオンゲル、アニオンゲル、およびこれらの組み合わせを含むことができるがこれらに限定されない。フルオロゲルは、ペルフルオロポリエーテルで膨潤させた2-(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリレートを含むことができるがこれに限定されない。
【0053】
移動相は、流動流体を含むことができる。流動流体の例として、水性液体、有機液体、シリコーン液体およびフッ素液体が挙げられる。水性液体は、水、酸化ジュウテリウム、高密度化塩溶液、高密度化糖溶液、およびこれらの組み合わせを含むことができるがこれらに限定されない。例示的な塩および約室温での水における塩の溶解限度として、NaCl 35.9g/100ml、NaBr 90.5g/100ml、KBr 67.8g/100ml、MgBr2102g/100ml、MgCl254.3g/100ml、酢酸ナトリウム46.4g/100ml、硝酸ナトリウム91.2g/100ml、CaBr 2143g/100ml、CaCl2 74.5g/100ml、Na2CO321.5g/100ml、NH4Br 78.3g/100ml、LiBr 166.7g/100ml、KI 34.0g/100ml、およびNaOH 109g/100mlが挙げられる。したがって、例えば、35.9gのNaClの溶液100mlは、1204kg/m3の密度を有する。例示的な糖および約室温での水への溶解限度として、スクロース200g/ml、マルトース108g/100mlおよびグルコース90g/100mlが挙げられる。したがって、例えば、60%のスクロース水溶液は、室温で1290kg/m3の密度を有する。シリコーン液体は、シリコーン油を含むことができるがこれに限定されない。シリコーン油は、有機側鎖を有する液体重合シロキサンである。シリコーン油の例として、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シメチコン、およびシクロシロキサンが挙げられる。フッ素液体は、フッ素化油を含むことができるがこれに限定されない。フッ素化油は、一般に、液体過フッ素化有機化合物を含む。フッ素化油の例として、ペルフルオロ-n-アルカン、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロアルキルエーテル、実質的にフッ素化された分子のコポリマー、およびこれらの組み合わせが挙げられる。有機液体は、有機油、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロホルム)を含むがこれらに限定されない有機溶媒、および水性系と不混和性である有機液体を含むことができるがこれらに限定されない。有機油は、環境温度で粘性液体であり、疎水性および親油性の両方である中性の非極性有機化合物を含む。有機油の例として、高密度炭化水素液体が挙げられるがこれに限定されない。実施形態では、移動相は、シリコーン液体、フッ素液体、またはこれらの組み合わせを含む。
【0054】
移動相の流動は、重合性液体相と移動相との間にせん断流プロファイルを生成しながら、界面の乱れを回避するために、層流状態に留まる速度であり得る。移動相が流動流体である場合、層流プロファイルの生成は、一連の均等に離間した同重体移動相の出口を生成する分配ノズルを使用することにより促進することができ、入口は単一の高流量入口および出口を形成する(例えば、
図13に示すとおり)。
【0055】
場合によっては、移動相は、閉ループで再循環され得る。場合によっては、移動相は、第1の移動相供給リザーバから第2の移動相捕捉リザーバに移動し、閉ループを介して再循環されない。移動相は、第2のリザーバから収集され、任意選択的に、濾過、洗浄、および/または汚染除去され、再利用のために第1の供給リザーバに戻され得る。移動相は、第2のリザーバから収集され、任意選択的に、濾過、洗浄、および/または汚染除去され、移動相を第1のリザーバに戻すために、流動方向が逆転され得る。
【0056】
任意選択的に、移動相は、光学的に透明である。本明細書で使用するように、特に明記しない限り、「光学的に透明」とは、光学的に透明な要素が、重合性液体の固化を開始するエネルギー事象の透過率を1%から100%まで可能にすることを意味する。場合によっては、エネルギー事象の少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%が、光学的に透明な要素を透過する。光学的に透明な要素は、X線放射、紫外線(UV)光放射、可視光線放射、赤外線(IR)放射、およびマイクロ波放射に対応する波長を含むがこれらに限定されない広範囲の波長の透過を可能にすることができる。
【0057】
移動相は、界面活性剤をさらに含むことができる。界面活性剤は、重合性液体と移動相との間の界面表面張力を低下させるために、移動相に含まれ得る。例示的な界面活性剤として、部分フッ素化アクリルポリマー(DuPont(Wilmington、DE)からのCapstone FS-22およびCapstone FS-83等)、CTAB(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド)、CPC(セチルピリジニウムクロライド)、DOAB(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、SDBS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を含むがこれらに限定されないイオン界面活性剤、ヘキサエチレングリコールモノ-n-ドデシルエーテル(C12EO6)、ポリオキシエチレン(2)ソルビタンモノラウレート(Tween-20、ポリソルベート20)を含むがこれらに限定されない非イオン界面活性剤、ならびにチロキサポールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0058】
はじき相
【0059】
本明細書に開示する方法の態様は、界面系を共に構成するはじき相および重合性液体の界面表面張力のために分子的に平滑であり得るビルド領域としての相境界の使用に依拠する。はじき相および重合性液体は、一般に不混和性である。実施形態では、はじき相および重合性液体は、固化したポリマーとその下の相との間に強力な接着力を伴わずに重合が起こることを可能にする「はじき」である。実施形態では、はじき相は、移動相であり得、固化したポリマーとその下にある相との間に強力な接着力を伴わずに重合が起こることを可能にする。これらの小さい力の結果として、固化した「印刷された」材料は、連続的な方法で表面から容易に持ち上げることができる。実施形態では、重合性液体および/またははじき相が実質的に界面活性剤を含まない場合、はじき相および重合性液体は、60°より大きいかまたは90°より大きい接触角を有する。いくつかの実施形態では、重合性液体が界面活性剤を実質的に含まない場合、はじき相および重合性液相は60°より大きい接触角を有する。本明細書で使用するように、別途指定しない限り、「界面活性剤を実質的に含まない」とは、約500ppm未満、約250ppm未満、約100ppm未満、または約50ppm未満、または約10ppmの界面活性剤の濃度を指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、「はじき」とは、相が互いに反発し、60°を超える接触角θ、または90°を超える接触角θを有することを意味する。0度の接触角は、完全に濡れ性を示し、0~90度の接触角は、一般に高い濡れ特性を示し、90度と180度との間の接触角は、一般に低い濡れ特性を示し、180度の接触角は完全に非濡れ特性を示す。完全なはじきが達成される必要はなく、場合によっては、より低い濡れ性の組み合わせが満足できるものもあり得るが、重合工程中の重合性液体とはじき相との間の接触角は、一般に、60°よりも大きいはじき相が達成されることが好ましい。そのようなはじきが重合性液体とはじき相の特定の組み合わせにより本質的に達成されない場合、2つの液体間の濡れ性は、重合性液体および相界面での接触角の表面張力を変化させるように、1つ以上の界面活性剤、共溶媒、pHまたは温度の包含により減少させることができる。接触角は、固体-液体-気体界面について、一般に定義されることに留意すべきである。したがって、濡れは、通常、固体、液体、および気体の組み合わせ(気相が特定されていない場合、標準の温度および圧力で空気であるとみなされる)について定義される。さらに、ある相が固体であるという理由だけで、必ずしもその相が第2の相の重量を支持し、その重量の結果として変形する可能性があることを意味するものではないことに留意すべきである。例えば、
図8に示す構成を考慮すると、底相が剛性の固体でない場合、βは180°である必要はない。結果として、θとは対照的に、αに関して3つの位相界面を定義することは、より扱い易い。βが180°に等しくない場合、はじき界面はβ相の変形に対する依存性が低いので、はじき界面は、αの値が90°未満の界面として定義することができる。
【0061】
さらに、接触面の角度は、浸漬した表面を見る場合が多いように、固体界面(例えば液中滴)上の2つの液体の間で定義することができる。結果として、接触角は、3つの相すべて(水中に浸漬した表面上にあるクロロホルムの液滴相)に関して記載されている。
【0062】
理論に拘束されることを意図するものではないが、はじき相が移動相である実施形態では、はじき相および重合性液体が界面活性剤を実質的に含まない場合、はじき相の流動がより低い接着力を提供するので、はじき相および重合性液体は、より高い濡れ特性(例えば、約90°未満、例えば60°の接触角)を有することができ、これによりより高い濡れ性を補償すると考えられる。
【0063】
本開示の方法は、固化したポリマーとその下にあるはじきおよび/または移動相との間に強力な接着力を伴わず重合が起こることを可能にするので、重合性液体はデッドゾーンまたは阻害ゾーンを必要としない。したがって、実施形態では、重合液体は、デッドゾーンを含まない。さらに、本開示の方法は液体ではないはじき相を使用することができるので、界面は全方向の方式で有利に用いられ、かつ/または界面は、分子的に平滑であるが平坦ではないように曲線状に生成され得る。したがって、実施形態では、はじき相は曲線状である。実施形態では、ビルド面は、テクスチャ加工されていない。
【0064】
実施形態では、はじき相はゲルを含む。実施形態では、はじき相は、有機ゲル、シリコーンゲル、水性ヒドロゲル、フルオロゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるゲルである。前述の実施形態の改良形態では、はじき相は水性ヒドロゲルであり、水性ヒドロゲルは、寒天、アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル、デンプンゲル、カチオンゲル、アニオンゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。改良形態では、はじき相はフルオロゲルであり、フルオロゲルはペルフルオロポリエーテルで膨潤させた2-(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリレートを含む。
【0065】
実施形態では、はじき相は、固体を含む。実施形態では、はじき相は、固体であり、固体は、有機固体、水性固体、過フッ素化固体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態の改良形態では、はじき相は、有機固体であり、有機固体はスクアラン、スクアレン、固体ヘキサデカンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。改良形態では、はじき相は、水性固体であり、水性固体は、氷、固体テトラエチレングリコール、固体PEG-300、固体PEG-400、固体PEG-600およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。改良形態では、はじき相は、過フッ素化固体であり、過フッ素化固体は固体のペルフルオロポリエーテルを含む。
【0066】
実施形態では、はじき相は、気体を含む。
【0067】
実施形態では、はじき相は、液体を含む。液体はじき相は、水性系液体、有機系液体、シリコーン系液体、フッ素系液体、およびこれらの組み合わせを含むことができる。実施形態では、液体はじき相は、シリコーン系液体、フッ素化系液体、またはこれらの組み合わせを含む。フッ素化系液体は、ペルフルオロ-n-アルカン、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロアルキルエーテル、実質的にフッ素化された分子のコポリマー、およびこれらの組み合わせを含むことができるがこれらに限定されない。
【0068】
いくつかの実施形態では、はじき相は、界面活性剤をさらに含む。界面活性剤は、重合性液体とはじき相との間の界面表面張力を低下させるために、はじき相に含まれ得る。例示的な界面活性剤として、部分フッ素化アクリルポリマー(DuPont(Wilmington、DE)からのCapstone FS-22およびCapstone FS-83等)、CTAB(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド)、CPC(セチルピリジニウムクロライド)、DOAB(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、SDBS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を含むがこれらに限定されないイオン界面活性剤、ヘキサエチレングリコールモノ-n-ドデシルエーテル(C12EO6)、ポリオキシエチレン(2)ソルビタンモノラウレート(Tween-20、ポリソルベート20)を含むがこれらに限定されない非イオン界面活性剤、ならびにチロキサポールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0069】
実施形態では、はじき相は、光学的に透明である。
【0070】
重合開始剤/エネルギー源
【0071】
重合性液体から3次元物体を製作するには、重合性液体からの固化または堆積を誘発する開始事象が必要である。堆積は、例えば、光活性化、電気活性化、熱活性化、および/または磁気的活性化であり得る。実施形態では、重合は、電磁照射により実施される。実施形態では、重合は、電気により実施される。実施形態では、重合は、熱活性化により実施される。実施形態では、重合は、磁気活性化により実施される。
【0072】
実施形態では、方法は、マルチチップアレイを使用して並行して実施され、マルチチップアレイのチップは、部材を含む。マルチチップアレイは、ビームペンリソグラフィシステムおよび/またはポリマーペンリソグラフィシステムによるものであり得る。これらの実施形態の概略図を
図7に示す。
【0073】
ビームペンリソグラフィは、実施形態では、マルチチップアレイがビームペンリソグラフィシステムの一部である。ビームペンリソグラフィ(BPL)は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,021,611号に記載されている。BPLは、柔軟なパターン設計、便利で選択的なペン先端のアドレス指定性、および低い製作コストで、広い領域にわたってサブミクロンの特徴をパターニングすることを可能にすることができる。予め形成されたパターン(すなわちフォトマスク)のみを複製することができる従来のフォトリソグラフィまたは接触印刷と比較して、BPLは、基板上のチップアレイの移動を制御することにより、および/またはチップアレイのペン先端のうちの1つ以上に選択的に照射する(例えば、エネルギーが重合性液体の重合を開始させるために、チップアレイのペン先端のうちの1つ以上を選択的に通過することを可能にする)ことにより、異なるパターンを生成する柔軟性を提供することができる。したがって、例えば、複数の物体を並行して製作することができる。
【0074】
BPLチップアレイは、チップ基板層と、チップ基板層に固定された複数のチップとを含む。チップ基板層および複数のチップは、透明なポリマーで形成されている。チップ基板層およびチップは、同じポリマーから形成することができるか、または異なるポリマーから形成することができる。チップアレイは、チップの側壁および隣接するチップ間のチップ基板層の部分にコーティングされた遮断層をさらに含む。チップ端部の遮断層(例えば、各チップの感光層接触端部)に開口部が画定され、その結果、透明なポリマーチップ端部が開口部を介して曝露される。
【0075】
チップ基板層は、例えば、ガラス、シリコン、石英、セラミック、ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせから形成された透明な(例えば、光学的に透明な)剛性支持体に取り付けることができる。剛性支持体は、好ましくは、剛性が高く、チップアレイを搭載するための非常に平坦な表面を有する。
【0076】
チップアレイは、非カンチレバー式であり、チップを含み、チップは、必要に応じて、任意の形状またはチップ間の間隔(ピッチ)を有するように設計することができる。各チップの形状は、アレイの他のチップと同じであるかまたは異なっていてもよく、好ましくは、チップは共通の形状を有する。意図されるチップの形状として、回転楕円体、半球楕円体、環状体、多面体、円錐、円柱、およびピラミッド(三角または四角)が挙げられる。チップは、チップ基板層に固定された基部を有する。基部は、好ましくは、チップ端部よりも大きい。基部は、約1μm~約50μm、または約5μm~約50μmの範囲の縁部の長さを有することができる。好ましいチップアレイは、好ましくは、ピラミッド形状を有する数千のチップを含む。チップの基板接触(チップ端部)部分は、各々、約50nm~約1μmの範囲の直径を有することができる。チップの基板接触部分は、好ましくは、各々、例えば約500nm未満のサブミクロンパターンを形成するのに適するように鋭利である。チップの先鋭度は、その曲率半径により測定される。チップは、例えば、約1μm未満の曲率半径を有することができる。隣接するチップ間のチップ同士の間隔(チップピッチ)は、約1μm~約10mmを超える範囲とすることができる。
【0077】
ポリマーチップの側壁上の遮断層は、放射線遮断層として作用し、放射線が、チップが遮断層に画定された開口部により曝露されるチップ端部のみを介して照射されるように固定されている表面とは反対側の基板層の表面に照射されることを可能にする。チップアレイのチップ端部を通って導かれた放射線によりレジスト層でプレコートされた基板を曝露することにより、各チップ端部における重合性液体の重合を可能にすることができる。遮断層は、リソグラフィプロセスで使用される種類の放射線を遮断(例えば、反射)するのに適した任意の材料で形成することができる。例えば、遮断層は、UV光と共に使用される場合、金等の金属とすることができる。他の適切な遮断層として、金、クロム、チタン、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、不透明有機分子、およびポリマー、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。遮断層は、例えば約40nm~約500nmの範囲の任意の適切な厚さを有することができる。
【0078】
チップアレイにおいて使用するのに適したポリマー材料は、直鎖または分岐した骨格を有することができ、また適当なポリマーおよびチップに対して望ましい圧縮性の度合いに応じて、架橋されていても、また架橋されていなくてもよい。架橋剤とは、ポリマー分子間に2つ以上の共有結合を形成することのできる多官能化モノマーを意味する。架橋剤の非限定的な例として、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、ジビニルベンゼン、ジエポキシド、トリエポキシド、テトラエポキシド、ジビニルエーテル、トリビニルエーテル、テトラビニルエーテルおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
熱可塑性または熱硬化性ポリマーを使用することができ、架橋されたエラストマーであってもよい。一般に、ポリマーは、多孔質および/またはアモルファスであり得る。様々な弾性ポリマー材料が意図され、一般的なシリコーンポリマー群およびエポキシポリマー群のポリマーを含む。低ガラス転移点、例えば25℃未満またはより好ましくは-50℃未満のガラス転移点を持つポリマーを使用することができる。芳香族アミン、トリアジン、および脂環式骨格を主成分とする化合物に加えて、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを、使用することができる。別の例として、ノボラックポリマーが挙げられる。意図される他のエラストマーポリマーとして、メチルクロロシラン、エチルクロロシラン、およびフェニルクロロシラン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられる。他の材料として、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリアクリル系ゴム、フルオロシリコーンゴム、およびフルオロエラストマーが挙げられる。
【0080】
チップを形成するために使用することができる適切なポリマーのさらなる例が、米国特許第5,776,748号、米国特許第6,596,346号、および米国特許第6,500,549号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の適切なポリマーとして、HeらのLangmuir 2003,19,6982-6986、DonzelらのAdv.Mater.2001,13,1164-1167、MartinらのLangmuir,1998,14-15,3791-3795により開示されているものが挙げられる。疎水性ポリマー、例えばポリジメチルシロキサンを、例えば強力な酸化剤の溶液または酸素プラズマに曝露することにより、化学的または物理的に変性することができる。
【0081】
チップアレイのポリマーは、ポリマーゲルであり得る。ゲルポリマーは、ヒドロゲルおよび有機ゲルを含む任意の適切なゲルを含むことができる。例えば、ポリマーゲルは、シリコンヒドロゲル、分枝状多糖類ゲル、非分枝状多糖類ゲル、ポリアクリルアミドゲル、ポリエチレンオキシドゲル、架橋ポリエチレンオキシドゲル、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-(ポリAMPS)ゲル、ポリビニルピロリドンゲル、架橋ポリビニルピロリドンゲル、メチルセルロースゲル、ヒアルロナンゲル、およびこれらの組み合わせであり得る。例えば、ポリマーゲルは、アガロースゲルであり得る。重量では、ゲルはほとんどが液体であり、例えば、ゲルは95%よりも大きい液体であり得るが、液体中に架橋ネットワークが存在するので、固体のように挙動する。
【0082】
チップアレイを形成するために使用される材料は、表面との接触中にチップの圧潰を防止するのに適した圧縮弾性率および表面硬度を有するが、高過ぎる弾性率および大きすぎる表面硬度は、曝露中に基板表面に順応および適合させることができない脆い材料をもたらし得る。SchmidらのMacromolecules、33:3042(2000)に開示されているように、ビニルおよびヒドロシランプレポリマーは、異なる弾性率および表面硬度のポリマーを提供するように調整することができる。したがって、別の種類の実施形態では、ポリマーは、ビニルとヒドロシランプレポリマーとの混合物であり、ここでビニルプレポリマー対ヒドロシラン架橋剤の重量比は、約5:1~約20:1である。
【0083】
チップアレイおよび/またはビルド領域は、パターニング中に移動して所望の物体を形成することができる。例えば、一実施形態では、チップアレイは、ビルド領域が静止している間に移動する。別の実施形態では、チップアレイは、ビルド領域が移動している間に、静止状態に保持される。さらに別の実施形態では、チップアレイとビルド領域との両方が移動する。
【0084】
BPLチップの大規模2Dアレイ(1cm2当たり15,000ペン)を使用する場合、BPLを使用して、非常に高いスループットのリソグラフィを行うことができ、一度に数千の平行して生成された3D物体が得られる。物体は、例えば均一なチップアレイを使用することにより同一にすることができる。代替形態では、物体の少なくともいくつかは、例えば、不均一にマスキングされたチップアレイ、およびチップピッチの寸法を超える印刷中のチップアレイの横方向のずれを使用することにより、互いに異なり得る。
【0085】
BPLの分解能に寄与する別の因子は、チップからの光に曝露されるエリアを制御するチップ開口部サイズである。UV光源またはハロゲン光源および従来のフォトリソグラフィ条件では、約200nmの光回折限界に近いかまたはそれを下回る物体を生成することができる。
【0086】
チップの背面から、例えばチップ基板層を通ってチップアレイに照射しながら、表面のアレイを移動させることにより、大きい物体のアレイを同時に作製することができる。放射線は、プロセス全体にわたって維持され得る。
【0087】
BPLアレイ中の個々のチップは、選択的照射により、アドレス指定することができる。例えば、アレイ中のチップの全部より少ない数、例えばチップアレイ中の1つまたは選択された複数のチップに照射することができる。チップの選択的照射は、例えば、各チップの基部を通して光を選択的に集束することにより、実施することができる。チップアレイはまた、光への曝露から特定のチップを遮断することができる1つ以上の空間光変調器を含むことができる。空間光変調器は、静的および/または動的に制御可能であり得る。例えば、空間光変調器は、シャッターであり得る。空間光変調器は、例えば、液晶を含む様々な材料を使用して形成することができる。空間光変調器は、例えば、動的に制御可能ではないマスクであり得る。空間光変調器は、チップ基板層の一部として、配置または形成することができる。
【0088】
ポリマーペンリソグラフィは、実施形態では、マルチチップアレイが、ポリマーペンリソグラフィシステムの一部である。ポリマーペンリソグラフィは、ポジティブ印刷モードで、分子の集合を放出する、直接的な書込み法である。ポリマーペンリソグラフィは、カンチレバーなしでエラストマーチップを利用する。チップは、好ましくは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で作製される。好ましいポリマーペンアレイは、好ましくは、ピラミッド形状にある、数千個のチップを含み、このペンアレイは、従来のフォトリソグラフィおよびこれに続く湿式化学エッチングによって調製されるマスターを用いて作製され得る。チップは、例えば、ポリマーの硬化前にまたは硬化を介して、好ましくは、剛性支持体(例えば、ガラス、シリコン、石英、セラミックス、ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせ)に接着されている、薄いポリマー製の裏打ち層(厚み50~100μm)を含む共通の基板によって接続されていることが好ましい。剛性支持体は、好ましくは、高度に剛性で、かつ高度に平坦な表面を有し、この表面上にアレイ(例えば、シリカガラス、石英等)が搭載される。剛性支持体および薄い裏打ち層は、大面積、例えば3インチのウエハ表面にわたり、ポリマーペンアレイの均一性を大幅に改善し、この水平化を可能とし、アレイの均一な、制御された使用を可能とする。ポリマーペンチップアレイは、例えば、国際公開第2009/132321号に開示されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0089】
実施形態では、アレイチップ、裏打ち層、および剛性支持体のうちの1つ以上は、少なくとも半透明であり、好ましくは透明である。
【0090】
チップアレイは、非カンチレバー式であり、またチップを含み、チップは、必要に応じて、任意の形状またはチップ間の間隔を有するように設計することができる。各チップの形状は、アレイの他のチップと同じであるかまたは異なっていてもよい。意図されるチップの形状として、回転楕円体、半球楕円体、環状体、多面体、円錐、円柱、およびピラミッド(三角または四角)が挙げられる。チップの先鋭度は、その曲率半径により測定され、本明細書に開示するチップの曲率半径は、1μm未満である。チップアレイは、フォトリソグラフィ法を使用して作製された金型から形成することができ、次いでこの金型を使用して本明細書に開示するように、ポリマーを使用して、チップアレイを製造する。金型は、所望の任意の方式で整列された多くのチップを含むように処理することができる。チップアレイのチップは、所望の任意の数であり得、意図されるチップ数は、約1,000チップ~約15,000,000チップ、またはそれ以上を含む。
【0091】
ポリマーは、リソグラフィ法に適合する圧縮性を有する任意のポリマーであり得る。チップアレイにおいて使用するのに適したポリマー材料は、直鎖または分岐した骨格を有することができ、また適当なポリマーおよびチップに対して望ましい圧縮性の度合いに応じて、架橋されていても、また架橋されていなくてもよい。架橋剤とは、ポリマー分子間に2つ以上の共有結合を形成することのできる多官能化モノマーを意味する。架橋剤の非限定的な例として、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、ジビニルベンゼン、ジエポキシド、トリエポキシド、テトラエポキシド、ジビニルエーテル、トリビニルエーテル、テトラビニルエーテルおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0092】
熱可塑性または熱硬化性ポリマーを使用することができ、架橋されたエラストマーであってもよい。一般に、ポリマーは、多孔質および/またはアモルファスであり得る。様々な弾性ポリマー材料が意図され、一般的なシリコーンポリマー群およびエポキシポリマー群のポリマーを含む。低ガラス転移点、例えば25℃未満またはより好ましくは-50℃未満のガラス転移点を持つポリマーを使用することができる。芳香族アミン、トリアジン、および脂環式骨格を主成分とする化合物に加えて、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを、使用することができる。別の例として、ノボラックポリマーが挙げられる。意図される他のエラストマーポリマーとして、メチルクロロシラン、エチルクロロシラン、およびフェニルクロロシラン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられる。他の材料として、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリアクリル系ゴム、フルオロシリコーンゴム、およびフルオロエラストマーが挙げられる。
【0093】
チップを形成するために使用することができる適切なポリマーのさらなる例が、米国特許第5,776,748号、米国特許第6,596,346号、および米国特許第6,500,549号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の適切なポリマーとして、HeらのLangmuir 2003,19,6982-6986、DonzelらのAdv.Mater.2001,13,1164-1167、MartinらのLangmuir,1998,14-15,3791-3795により開示されているものが挙げられる。疎水性ポリマー、例えばポリジメチルシロキサンを、例えば強力な酸化剤の溶液または酸素プラズマに曝露することにより、化学的または物理的に変性することができる。
【0094】
チップアレイを形成するために使用される材料は、表面との接触中にチップの圧潰を防止するのに適した圧縮弾性率および表面硬度を有するが、高過ぎる弾性率および大きすぎる表面硬度は、曝露中に基板表面に順応および適合させることができない脆い材料をもたらし得る。SchmidらのMacromolecules、33:3042(2000)に開示されているように、ビニルおよびヒドロシランプレポリマーは、異なる弾性率および表面硬度のポリマーを提供するように調整することができる。したがって、別の種類の実施形態では、ポリマーは、ビニルとヒドロシランプレポリマーとの混合物であり、ここでビニルプレポリマー対ヒドロシラン架橋剤の重量比は、約5:1~約20:1である。
【0095】
チップアレイを形成するために使用される材料は、好ましくは、ガラスの約0.2%~約3.5%の表面硬度を有することになり、この表面硬度は、径1mmの硬質球の侵入に対する表面の抵抗性として測定され、またガラス表面の抵抗性と比較したものである(SchmidらのMacromolecules,33:3042(2000)、p3044に記載されているとおり)。表面硬度は、任意選択的に、ガラス約0.3%~約3.3%、約0.4%~約3.2%、約0.5%~約3.0%、または約0.7%~約2.7%であり得る。チップアレイのポリマーは、約10MPa~約300MPaの圧縮弾性率を有することができる。チップアレイは、好ましくは、約10MPa~約300MPaの加圧下でのフック弾性率(Hookean)を有する圧縮性ポリマーを含む。チップアレイに及ぼされる圧力と形体サイズとの間の線形関係は、開示する方法およびチップアレイを使用した近視野および形体サイズを制御することを可能にする。
【0096】
チップアレイは、共通基板に固定され、本明細書に開示するポリマーから形成される複数のチップを含むことができる。チップはランダムに、または規則性のある周期的パターン形状(例えば、行および列状パターン、円形パターン等)で配列することができる。チップは、すべて同一の形状を有することができ、または異なる形状を有するように構築することができる。共通基板は、エラストマー層を含むことができ、このエラストマー層は、チップアレイのチップを形成するポリマーと同一のポリマーを含むことができ、またはチップアレイのものとは異なる弾性ポリマーを含むことができる。エラストマー層は、約50μm~約100μmの厚さを有することができる。チップアレイは、剛性支持体(例えば、ガラス、例えばガラススライド)に添付または接着することができる。様々な場合において、共通基板、チップアレイ、および/または剛性支持体は、存在する場合には、半透明または透明である。特定の場合、各々は半透明または透明である。
【0097】
3D物体を形成する方法
【0098】
実施形態では、重合性液体およびはじき相が適切な装置内で一緒に供給されると、例えば、
図1~
図3に示すように、3次元物体の製作が開始され得る。実施形態では、重合性液体および移動相が適切な装置内で一緒に供給されると、例えば、
図9~
図11に示すように、3次元物体の製作が開始され得る。製作は、層ごとにまたは連続的に行い得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、前進させる工程を、各工程または増加量に関して、一定の増加量(例えば0.1もしくは1ミクロン~10もしくは100ミクロンまたはそれ以上)で逐次的に実行する。いくつかの実施形態では、前進させる工程を、各工程または増加量に関して可変増加量(例えば、0.1もしくは1ミクロン~10もしくは100ミクロンまたはそれ以上の範囲の各増加)で逐次的に実行する。増加量の大きさを、前進速度と共に、温度、圧力、製造する物品の構造(例えばサイズ、密度、複雑さ、構成等)等の因子に応じて決めることになる。
【0100】
本発明の他の実施形態では、前進させる工程を、一定速度でまた可変速度で連続的に実行する。前進させる工程が漸進的に実行される場合でさえ、製品の製作は(層ごとにではなく)連続的であり得ることに留意されたい。
【0101】
いくつかの実施形態では、(逐次的または連続的のどちらかで実行する)前進の速度は、この場合も例えば温度、圧力、製造する物品の構造、照射の強度等の因子に応じて、秒当たり約0.1、1または10ミクロン~秒当たり約100、1,000または10,000ミクロンである。実施形態では、接着ステージを維持するアームにより、印刷物は、秒当たり約10ミクロン、または秒当たり約30ミクロン~約200ミクロン、約180ミクロン、約160ミクロン、約140ミクロン、もしくは秒当たり約120ミクロンまでの一定速度でビルド面から後退させ、それにより秒当たり約10ミクロン~秒当たり約200ミクロンの一定速度で、接着ステージをビルド面から離れるように前進させる。実施形態では、印刷物は、秒当たり約100ミクロン~秒当たり約140ミクロンの範囲の速度、例えば秒当たり120ミクロンでビルド面から後退する。
【0102】
接着ステージをビルド面から離れるように前進させることは、接着ステージをビルド面から離れるように一定速度で固定された距離だけ前進させることを含むことができ、次いで固定された時間の間一時停止され、任意選択的に繰り返される。接着ステージをビルド面から離れるように前進させることは、接着ステージをビルド面から離れるように可変速度で固定された距離だけ前進させることを含むことができ、次いで固定された時間の間一時停止され、任意選択的に繰り返される。接着ステージをビルド面から離れるように固定された距離だけ前進させ、続いて固定された時間の量だけ一時停止させるサイクルは、秒当たり約10ミクロン~秒当たり約200ミクロン、秒当たり約30ミクロン~秒当たり約120ミクロン、または秒当たり約100ミクロン~秒当たり約140ミクロンの効果的な後退速度(引っ張り一時停止サイクルの全時間にわたる全後退変位)を提供することができる。
【0103】
場合によっては、接着ステージをビルド面から離れるように前進させることは、接着ステージをビルド面から離れるように振動方式で前進させることを含む。例えば、接着ステージをビルド面から離れるように振動方式で前進させることは、(i)接着ステージをビルド面から離れるように前進させることと、(ii)接着ステージをビルド面に戻るように前進させることとを含むサイクルを含む。接着ステージをビルド面から振動方式で前進させることは、接着ステージをビルド面から離れるように前進させることと、接着ステージをビルド面に戻るように前進させることとの間に、接着ステージを一時停止させることをさらに含むことができる。接着ステージをビルド面から振動方式で前進させることは、接着ステージをビルド面に戻るように前進させた後に、接着ステージを一時停止させることをさらに含むことができる。効果的な後退速度(振動サイクルの全時間にわたって行われる全後退変位)は、秒当たり約10ミクロン~秒当たり約200ミクロン、秒当たり約15ミクロン~秒当たり約120ミクロン、秒当たり約30ミクロン~秒当たり約120ミクロン、または秒当たり約100ミクロン~秒当たり約140ミクロンの範囲であり得る。
【0104】
層状化/リッジング効果は、既知のボトムアップ印刷システムでは、はじき相が上方へ移動し、印刷部分が離れるように前進するにつれてピンチオフする結果として起こることが分かっている。はじき相の上方への移動およびピンチオフは、材料間の界面接着力と、印刷部分がはじき相の界面および重合性液体から離れるように移動するときに形成されるキャビテーション力の組み合わせにより引き起こされると考えられる。理論に拘束されることを意図するものではないが、層状化効果は、接着ステージをビルド面から離れるように振動方式で前進させることにより緩和することができると考えられる。例えば、接着ステージをビルド面から離れるように500ミクロンだけ前進させ、続いて、450ミクロンだけビルド面に向かって後退させる(したがって、ビルド面から離れて50ミクロンの正味変位を有する)。大きい高速上昇は、固化した物体からはじき相の接着を破壊し、これにより、増加した力はより速いピンチをもたらすので、表面のリッジングが低減すると考えられる。別の例では、接着ステージをビルド面から離れるように500ミクロンだけ急速に前進させ、続いて、520ミクロンだけ界面に向かって急速に戻し、続いて、接着ステージビルド面から離れるように50ミクロンだけゆっくりと後退させ、これにより、サイクル当たり30ミクロンの正味の動き、および秒当たり120ミクロンの正味の速度がもたらされる。前の物体層を界面で新しく重合する物体層(すなわち、500ミクロンの前向き工程に続く520ミクロンの逆向き工程)に圧縮することにより、層間の連続的な架橋を達成することができる。連続的な印刷を保証するために、エネルギー源を連続的に投影することができる。任意選択的に、エネルギー源は、物体が界面に実質的に隣接していない間に断続的に、重合を休止させることができる。
【0105】
接着ステージをビルド面から離れるように前進させることは、場合によっては、連続的な引っ張りサイクルと振動サイクルとの複合を含むことができる。理論に拘束されることを意図するものではないが、連続的な引張り(一定または可変の速度を有する)を印刷の開始時に使用して、接着ステージが重合性液体に浸漬されている間に、振動サイクルから起こり得る印刷界面の破壊を低減することができる。したがって、接着ステージが重合性液体にそれ以上浸漬されないように、接着ステージがビルド面から離れるように前進した後に、振動サイクルを開始してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、重合性液体工程を提供することは、重合性液体を加圧下でビルド領域に押し込むことにより実行する。そのような場合、秒当たり少なくとも0.1、1、10、50、100、500もしくは1000ミクロンまたはそれ以上の速度で、累積速度でまたは平均速度で、1つ以上の前進させる工程を実行し得る。一般に、圧力は、前記前進させる工程の速度を、前記圧力を加えない前記前進させる工程の繰り返しの最大速度と比較して、少なくとも2倍、4倍、6倍、8倍または10倍増加させるのに十分であればどれだけでもよい。上述のような装置を圧力容器に収納することにより圧力を提供し、加圧雰囲気(例えば空気、窒素に富む空気、気体の混和物、等)中でプロセスを実行する場合には、10、20、30もしくは40ポンド/平方インチ(PSI)から200、300、400もしくは500PSIまたはそれ以上の圧力を使用してもよい。大きくて不規則な物体の製作の場合、より高い圧力は、大きな高圧容器のコストに起因して、より遅い製作時間に照らして好ましくない場合がある。
【0107】
これに対して、より小さい製品を製作する場合には、または、ロッドもしくは繊維は圧力容器の孔もしくは開口部を通って製造されることから圧力容器から取り出すかまたは抜くことができるロッドまた繊維を製作する場合には、圧力容器のサイズは、製作する製品のサイズと比較して小さく保つことができ、(必要に応じて)より高い圧力をより容易に利用することができる。
【0108】
この方法が移動相を含む実施形態では、移動相は、印刷される物体と移動相との間の界面にせん断力を生じさせ、このことは重合性液体をビルド領域に引き入れることに役立ち、固化した部分が抽出されるときに生成される重合性液体の空乏ゾーンの補充を促進し、出現する物体の分解能を高めることを可能にする。
【0109】
本明細書に開示する方法は、部材、はじき相、移動相、および重合性液体、またはこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを冷却することをさらに含むことができる。部材、はじき相、移動相、および重合性液体のうちの少なくとも1つの冷却は、本明細書に記載する冷却装置を使用して達成することができる。いくつかの実施形態では、冷却装置は、非液体状態ではじき相を維持するように構成することができる。いくつかの実施形態では、冷却装置は、光学的に透明である。
【0110】
いくつかの実施形態では、照射する工程を、パターン化された照射により実行する。パターン化された照射は、製作する具体的な製品に応じて、固定されたパターンであってもよいか、または下記で論じるようなパターン発生器(例えばDLP、LCD等)により生成された可変パターンであってもよい。
【0111】
パターン化された照射が、時間と共に一定に保持されているパターンではなく可変パターンである場合、各照射する工程は、任意の適切な時間、または照射の強度、重合性材料中の色素の有無、成長速度等の因子に応じた継続時間であり得る。そのため、いくつかの実施形態では、各照射する工程は、継続時間で0.001、0.01、0.1、1もしくは10マイクロ秒~1、10もしくは100分またはそれ以上であることができる。いくつかの実施形態では、各照射する工程間の間隔は好ましくは可能な限り短く、例えば0.001、0.01、0.1または1マイクロ秒~0.1、1または10秒である。
【0112】
ビルド領域をエネルギーに曝露することは、ビルド領域にエネルギー源を照射することを含むことができる。意図されるエネルギー源として、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせが挙げられる。したがって、部材、はじき相、移動相、および/または冷却装置を含むがこれらに限定されない、本開示の適切な装置の1つ以上の構成要素は、光学的に透明であることができ、かつ/またはエネルギー源により提供されるエネルギーの変換または伝達(例えば、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせ)を可能にすることができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、部材およびはじき相は、光学ファイバープロジェクタに取り付けることができ、光学ファイバープロジェクタは、重合のためのエネルギーを送達する。いくつかの実施形態では、印刷は、全方向に起こり得る。
【0114】
本明細書に開示する方法は、移動相の濾過、洗浄、および/または汚染除去をさらに含むことができる。重合されたインクの小さい光散乱粒子の生成は、移動相の曇りを引き起こすことがあり、これは、印刷における横方向分解能の損失を引き起こし、一定数の印刷後の界面の置換を必要とする。移動相の濾過、洗浄および/または汚染除去は、小さい散乱粒子を除去して、曇りを低減し、長い印刷物または複数の印刷物にわたって適切な横方向分解能を維持することができる。
【0115】
発熱重合反応を引き起こす界面での過熱を最小限に抑える冷却装置を組み込むことにより、移動相の曇りをさらに低減することができる。冷却装置は移動相を冷却することができ、冷却装置はまた、移動相と重合液体との界面でビルド領域を冷却することができる。実施形態では、移動相を冷却する工程は、移動相を冷却装置に通す工程を含む。実施形態では、移動相を冷却することは、ビルド領域にわたる熱交換器を介して行われる。
【0116】
本明細書に開示する方法は、移動相を酸素化することをさらに含むことができる。理論に拘束されることを意図するものではないが、移動相中の酸素濃度を増加させることにより、界面表面の接着をさらに減少させることができると考えられる。膜を通る酸素の拡散に頼っている既知の方法とは対照的に、移動相を酸素化することは、受動拡散に頼るのではなく、制御された手法で阻害剤を能動的に有利に輸送する。
【0117】
3D物体を形成するための装置
【0118】
本開示の別の態様は、重合性液体から3次元物体を形成するための装置を提供し、装置は、支持体と、支持体に動作可能に関連付けられている接着ステージであって、接着ステージ上で3次元物体が形成される、接着ステージと、部材であって、その上にはじき相を有する部材であって、はじき相が、ビルド面を有し、はじき相が液体ではなく、ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、ビルドに動作可能に関連付けられており、固化または重合のためにビルド領域内に重合性液体を供給する、重合性液体供給部と、部材を介して、ビルド領域にエネルギーを送達して、重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、ビルド領域にエネルギーを送達するために、エネルギー源に動作可能に関連付けられている少なくとも1つのコントローラであって、少なくとも1つのコントローラがまた、接着ステージをビルド面から離れるようにエネルギー強度に依存する速度で前進させて、固体ポリマーから3次元物体を形成するために、接着ステージに動作可能に関連付けられている、少なくとも1つのコントローラと、を備える。
【0119】
関連する態様では、本開示は、重合性液体から3次元物体を形成するための装置を提供し、装置は、支持体と、支持体に動作可能に関連付けられている接着ステージであって、接着ステージ上で3次元物体が形成される、接着ステージと、部材であって、その上にはじき相の層を有する部材であって、はじき相が、ビルド面を有し、ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、光学的に透明な冷却装置と、ビルド面に動作可能に関連付けられており、固化または重合のためにビルド領域内に重合性液体を供給するように構成された重合性液体供給部と、部材を介して、ビルド領域にエネルギーを送達して、重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、ビルド領域にエネルギーを送達するために、エネルギー源に動作可能に関連付けられている少なくとも1つのコントローラであって、少なくとも1つのコントローラがまた、ビルド領域を冷却するために冷却装置に動作可能に関連付けられており、少なくとも1つのコントローラがまた、接着ステージをビルド面から離れるようにエネルギー強度に依存する速度で前進させて、固体ポリマーから3次元物体を形成するために、接着ステージに動作可能に関連付けられている、少なくとも1つのコントローラと、を備える。
【0120】
本開示の方法は、様々な異なる装置で実施することができる。最も単純な実施形態では、本明細書の
図1に示すような装置が用いられる。概要では、このような装置は、はじき相を収容するための光学的に透明な部材(ウィンドウ)を含む容器を含み、重合性液体がはじき相の上部に提供される。ウィンドウを容器の底に位置決めし、ウィンドウを介して重合性液体を重合させるためにエネルギーをビルド領域に送達してもよい。接着ステージを容器の上に位置決めし、成長する3次元物体を重合性液体から徐々にかつ漸進的に上方に前進させて重合性液体から出す。少なくとも1つのコントローラ(例えば、適切なインターフェースおよびプログラムを有するコンピュータ)が提供されてもよく(図示せず)、少なくとも1つのコントローラは、接着ステージ、および任意選択的に、例えば、温度センサにより決定されるはじき相の現在の温度等のデータに応答する冷却装置を動作させる。装置の追加および代替の特徴およびその動作は、以下でさらに論じる。
【0121】
上記の
図1に記載された装置の多くの変形形態を用いることができる。例えば、エネルギーは、
図1に図示するようなはじき相の底部に位置決めされるウィンドウを通して、はじき相の側部(例えば、はじき相中のミラーまたはミラーアセンブリにより補助される)を介して供給されてもよく、完全に重合可能な範囲内に位置決めされたエネルギー源を用いて達成されてもよく、重合性液体中に末端を有する光学ファイバーまたは光パイプ用いて達成されてもよい。実施形態では、光学的に透明な部材およびはじき相は、光学ファイバープロジェクタに取り付けられ、光学ファイバープロジェクタは、重合のためのエネルギーを送達する。
【0122】
本開示は、支持体と、支持体に動作可能に関連付けられている接着ステージであって、接着ステージ上で3次元物体が形成される、接着ステージと、部材であって、その上に移動相の層を有する部材であって、移動相が、ビルド面を有し、ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、ビルド面に動作可能に関連付けられており、固化または重合のためにビルド領域内に重合性液体を供給するように構成された重合性液体供給部と、部材を介して、ビルド領域にエネルギーを送達して、重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、ビルド領域にエネルギーを送達するために、エネルギー源に動作可能に関連付けられている少なくとも1つのコントローラであって、少なくとも1つのコントローラがまた、接着ステージをビルド面から離れるようにエネルギー強度に依存する速度で前進させて、固体ポリマーから3次元物体を形成するために、接着ステージに動作可能に関連付けられている、少なくとも1つのコントローラと、をさらに備える、重合性液体から3次元物体を形成するための装置を提供する。
【0123】
本開示の方法は、様々な異なる装置で実施することができる。最も単純な実施形態では、本明細書の
図9に示すような装置が用いられる。概要では、このような装置は、移動相を収容するための光学的に透明な部材(ウィンドウ)を含む容器を含み、重合性液体がはじき相の上に提供される。ウィンドウを容器の底に位置決めし、ウィンドウを介して重合性液体を重合させるためにエネルギーをビルド領域に送達してもよい。接着ステージを容器の上に位置決めし、成長する3次元物体を重合性液体から徐々にかつ漸進的に上方に前進させて重合性液体から出す。接着ステージを操作する少なくとも1つのコントローラ(例えば、適切なインターフェースおよびプログラムを備えたコンピュータ)が提供されてもよい(図示せず)。装置の追加および代替の特徴およびその動作は、以下でさらに論じる。
【0124】
上記の
図9に記載された装置の多くの変形形態を用いることができる。例えば、移動相の底部に位置決めされたウィンドウを通して、移動相の側部を介して(例えば、
図14に示すような移動相中のミラーまたはミラーアセンブリにより補助される)エネルギーを供給することができる。
【0125】
一般に、本明細書に開示する装置の部材は、はじき相および/または移動相のための支持体であり得る。任意選択的に、部材は、光学的に透明である。任意選択的に、部材は、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるエネルギー源により提供されるエネルギーの変換または伝達を可能にする。任意選択的に、部材は、酸素透過性ではない。本明細書で使用する「酸素透過性でない」とは、部材が曝露される雰囲気中に含有される酸素の5%未満の体積、3%未満の体積、または1%未満の体積を透過することを意味する。部材は、光エンジンから放出エネルギー源の波長によって決定されるような、ガラス、低鉄、および高透過ガラス変形物、すなわち石英、サファイア、ソーダライム(BK7)アクリル、溶融シリカ、溶融石英、ゲルマニウム、ホウケイ酸塩、窒化ケイ素、またはこれらの組み合わせから調製することができる。
【0126】
上述のように、本開示の方法は、固化したポリマーとその下にあるはじき相との間に強い接着力を伴わずに重合が起こることを可能にするので、重合性液体はデッドゾーンを必要としない。したがって、実施形態では、装置は、デッドゾーンまたは阻害領域を含まない。実施形態では、光学的に透明な部材は、酸素透過性ではない。さらに、本開示の方法は液体ではないはじき相および/または移動相を用いることができるので、ビルド面は全方向方式で有利に用いられ、かつ/または界面は、分子的に平滑であるが平坦ではないように曲線状に生成され得る。したがって、実施形態では、はじき相は、曲線状である。実施形態では、ビルド面は、水平面である。実施形態では、ビルド面は、垂直面である。
【0127】
実施形態では、装置は、冷却装置を含む。任意選択的に、冷却装置は、光学的に透明である。実施形態では、冷却装置は、部材、はじき相、移動相、および/または重合性液体のうちの少なくとも1つと動作可能に関連付けられる。実施形態では、冷却装置は、ビルド領域の全範囲にわたる熱交換器である。実施形態では、少なくとも1つのコントローラは、冷却装置と動作可能に関連付けられており、はじき相を非液体状態に維持するように構成されている。実施形態では、冷却装置は、部材、移動相、および/または重合性液体の少なくとも1つの温度を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラと動作可能に関連付けられている。
【0128】
本開示の装置は、移動相と流体連通する出口と、移動相と流体連通する入口とをさらに含むことができる。実施形態では、入口は、第1の移動相供給リザーバとさらに流体連通し、出口は、第2の移動相捕捉リザーバとさらに流体連通して、膜を横切る移動相の流動を可能にする。代替の実施形態では、出口は、入口と流体連通して、再循環ループを提供し、膜を横切る移動相の流動を可能にする。
【0129】
本開示の装置は、移動相と流体連通し、出口を含む出口分配ノズルと、移動相と流体連通し、入口を含む入口分配ノズルと、をさらに含むことができる。分配ノズルは、有利なことに、ビルドステージを横切る移動相の比較的均一な流動の形成を促進する。
【0130】
出口が入口と流体連通して、再循環ループを提供する実施形態では、再循環ループは、出口と入口との間の再循環ループに沿って提供された濾過ユニットをさらに含み、濾過ユニットが、移動相を濾過、清浄、または汚染除去するように構成された少なくとも1つのコントローラに動作可能に関連付けられ得る。再循環ループは、出口と入口との間の再循環ループに沿った冷却装置をさらに含み、冷却装置が、移動相の温度を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラに動作可能に関連付けられ得る。再循環ループは、出口と入口との間の再循環ループに沿った酸素化ユニットをさらに含み、酸素化ユニットが、移動相に提供される酸素の量を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラに動作可能に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、再循環ループは、濾過ユニットと、冷却装置と、酸素化ユニットと、を含む。いくつかの実施形態では、再循環ループは、濾過ユニットおよび冷却装置、濾過ユニットおよび酸素化ユニット、または冷却装置および酸素化ユニットを含む。いくつかの実施形態では、再循環ループは、濾過ユニットを含む。いくつかの実施形態では、再循環ループは、冷却装置を含む。いくつかの実施形態では、再循環ループは、酸素化ユニットを含む。再循環ループが、濾過ユニット、冷却装置、および酸素化ユニットを含む任意の実施形態では、濾過ユニット、冷却装置、および酸素化ユニットは、循環ループに沿った任意の順序、例えば、濾過ユニット、冷却装置、酸素化ユニットの順序、濾過ユニット、酸素化ユニット、冷却装置の順序、冷却装置、濾過ユニット、酸素化ユニットの順序、冷却装置、酸素化ユニット、濾過ユニットの順序、酸素化ユニット、濾過ユニット、冷却装置の順序、または酸素化ユニット、冷却装置、濾過ユニットの順序で提供され得る。実施形態では、再循環ループは、移動相の連続的な流動を維持するように構成された少なくとも1つのコントローラに動作可能に関連付けられている。任意選択的に、移動相の流動は、一定速度で維持される。
【0131】
いくつかの実施形態では、単純な重力供給を用いることができるが、重合液体リザーバ、配管、ポンプ液面センサ、および/またはバルブを、重合性液体のプール(図示せず)を補充するために含めることができる。接着ステージのための駆動装置/アクチュエータは、関連する配線と共に、既知の技術に従って含めることができる。駆動/アクチュエータ、エネルギー源、およびいくつかの実施形態では、ポンプおよび液面センサはすべて、適切なコントローラと動作可能に関連付けられ得る。
【0132】
電子ビームおよび電離放射線源を含む、用いられる特定の重合性液体に応じて、任意の適切なエネルギー源(または源の組み合わせ)を装置に使用することができる。実施形態では、エネルギー源は、部材を介してビルド領域にエネルギーを提供して、重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されている。実施形態では、エネルギー源は、光エンジンである。光エンジンは、パターニングおよび/または制御される方式で重合事象を開始させるようにエネルギーを伝達する。光パターニングツールの例として、デジタルミラーデバイスまたは液晶ディスプレイ(LCD)が挙げられる。実施形態では、光エンジンは、水銀光源、発光ダイオード(LED)光源、ハロゲン光、およびレーザーからなる群から選択される光源を有する。実施形態では、エネルギー源は、熱コントローラである。実施形態では、エネルギー源は、微小電極アレイである。実施形態では、エネルギー源は、光伝導性材料である。実施形態では、エネルギー源は、磁束である。実施形態では、エネルギー源は、電気化学、電磁気、光伝導体、音響、加熱、回路、フォトダイオード、グリッドエリア、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。実施形態では、エネルギー源は、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0133】
実施形態では、エネルギー源は、化学線源、例えば1つ以上の光源、特に1つ以上の紫外線光源である。白熱電球、蛍光灯、燐光または発光灯、レーザー、発光ダイオード等、これらのアレイを含む任意の適切な光源を使用することができる。光源は、好ましくは、コントローラに動作可能に関連付けられているパターン形成要素を含む。実施形態では、光源またはパターン形成要素は、デジタル光処理(DLP)、空間変調器(SLM)、またはマイクロ電気機械システム(MEMS)ミラーアレイを有するデジタル(または変形可能な)マイクロミラーデバイス(DMD)、マスク(別名レチクル)、シルエット、またはこれらの組み合わせを含む。米国特許第7,902,526号を参照のこと。好ましくは、光源は、液晶光バルブアレイまたはマイクロミラーアレイ、またはDMD(例えば、典型的には、適切なコントローラの制御下でも、動作可能に関連付けられたデジタル光プロセッサを有する)等の、マスクなしで、例えばマスクレスフォトリソグラフィにより、重合性液体の曝露または照射を行うように構成されている、空間光変調アレイを含む。例えば、米国特許第6,312,134号、米国特許第6,248,509号、米国特許第6,238,852号、および米国特許第5,691,541号を参照のこと。
【0134】
いくつかの実施形態では、接着ステージが搭載される支持体は、静止しているビルド面から離れるように上方に前進するエレベータとすることができるが、他の実施形態では、逆の配置を使用してもよい。すなわち、接着ステージは固定された支持体上にあり、ビルド面を降下させて、それにより接着ステージを支持体から離れるように前進させてもよい。同じ結果を達成するために、当業者には数多くの異なる機械的構成が明らかであり、そのすべてにおいて、横方向(XまたはY)の移動が必要でないか、または引き伸ばしてからリバウンドさせる必要があり(これに関連して、接着ステージを前進させ、接着ステージを後退させる)必要がある弾性ビルド面を用いる必要がないかの点で、ビルド面は「静止」している。
【0135】
接着ステージが製作される材料の選択、および物品が作製されるポリマー液体の選択に応じて、接着ステージへの物品の接着は、時として、完成品または「ビルド」の完了に至るまで、物品を接着ステージに保持するには不十分である可能性がある。例えば、アルミニウム製接着ステージは、ポリ(塩化ビニル)(または「PVC」)接着ステージよりも低い接着性を有し得る。したがって、1つの解決策は、製作する物品を重合する表面上にPVCを含む接着ステージを用いることである。完成した部分を接着ステージから好都合に分離できないほど、これが接着を促進し過ぎてしまう場合、様々な技法を任意で用いて、より接着性の低い接着ステージに物品をさらに固定してもよく、例として製作過程で物品を接着ステージにさらに固定するための、「Greener Masking Tape for Basic Painting #2025 High adhesion」等の粘着テープの適用が挙げられるがこれに限定されない。加えて、印刷プロセスの初期に形成された支持体がメッシュの周囲で重合し、接着ステージの一部を物体自体の中に埋め込むように、ポリマーまたは金属メッシュ材料をステージに固定することができる。
【0136】
可溶性の犠牲層いくつかの実施形態では、接着ステージと3次元物体との間に可溶性の犠牲層またはリリース層を設置することができ、その結果、犠牲層をその後可溶化させて、製作の完了時に接着ステージから3次元物体を都合良く離してもよい。接着ステージ上にコーティングされ得るか、または別様に提供され得る、接着剤等の任意の適切な犠牲層を用いてもよく、犠牲リリース層を可溶化するために、任意の適切な溶媒(例えば、極性および非極性の有機溶媒、水性溶媒等を用いてもよいが、3次元物体を形成する具体的な材料自体が溶媒により過度に攻撃されないかまたは可溶化されないように、犠牲層およびその対応する溶媒を選択しなければならない。噴霧、浸漬コーティング、塗布等の任意の適切な技法により、犠牲層を接着ステージに塗布してもよい。可溶性の犠牲リリース層に適した材料の例(および対応する溶媒の非限定的な例)として、シアノアクリレート接着剤(アセトン溶媒)、ポリ(ビニルピロリドン)(水および/またはイソプロピルアルコール溶媒)、ラッカー(アセトン溶媒)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキシド、例えばポリ(エチレンオキシド)、糖類および糖質、例えばスクロースおよびデキストラン(すべて水または水性溶媒)等が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、表面エネルギーがより低い溶媒が特に好ましい。
【0137】
いくつかの実施形態では、アクチュエータ/駆動装置および/または関連するコントローラは、接着ステージをビルドプレートから離れるように前進させる(例えば一方向)ためだけに構成されている。いくつかの実施形態では、アクチュエータ/駆動装置および/または関連するコントローラは、(段階的駆動とは対照的に)連続駆動として構成されている。接着ステージは、一定速度または可変速度でビルドステージから離れるように前進させることができる。実施形態では、接着ステージは、振動方式でビルドステージから離れるように前進させることができる。
【0138】
本開示の方法を実行する際に使用するためのコントローラを、ハードウェア回路、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせとして実現することができる。一実施形態では、コントローラは、適切なインターフェースハードウェアおよび/またはソフトウェアによりモニタ、駆動装置、ポンプ、および他の構成要素と動作可能に関連付けられている、ソフトウェアを実行する汎用コンピュータである。本明細書に記載する3次元の印刷または製作の方法および装置の制御に適したソフトウェアとして、ReplicatorGオープンソース3d印刷プログラム、3D systemの3DPrint(商標)コントローラーソフトウェア、Slic3r、Skeinforge、KISSlicer、Repetier-Host、PrintRun、Cura等、およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0139】
プロセス中に(例えば、充填する工程、照射する工程および前進させる工程のうちの1つ、いくつか、またはすべての間に)連続的または断続的に、直接的にまたは間接的にモニタリングするためのプロセスパラメータとして、エネルギー強度、接着ステージの温度、ビルドゾーン中の重合性液体、成長させる製品の温度、はじき相の温度、圧力、前進速度、圧力、(例えば、製作される、成長させる製品により接着ステージにかかる)張力、リリース層の厚さ等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0140】
フィードバック制御システムおよび/またはフィードフォワード制御システムで使用することができる既知のパラメータとして、(例えば、製作する物品の既知の形状または体積から)予想される重合性液体の消費量、重合性液体から形成されるポリマーの分解温度等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0141】
(例えば、上記で述べたプロセスの工程のうちのいずれかまたはすべての間に)モニタリングするパラメータおよび/または既知のパラメータに応じて、連続的にまたは段階的に、直接的にまたは間接的に制御するためのプロセス条件として、重合性液体の供給速度、温度、圧力、接着ステージの前進速度または前進速度、提供されるエネルギーの強度、(例えば各「薄片」に関する)提供されるエネルギーの継続時間等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0142】
例えば、温度が重合製品の分解温度を超えているかどうかを判定するために、適切な熱電対、非接触式温度センサ(例えば赤外線温度センサ)、または他の適切な温度センサにより、ビルドゾーン中の重合性液体の温度またははじき相の温度を直接的にまたは間接的にモニタリングすることができる。その場合、ビルドゾーン中および/またははじき相の温度を低下させるために、コントローラによりプロセスパラメータを調整することができる。そのような調整に適したプロセスパラメータとして、冷却装置により温度を低下させること、接着ステージの前進速度を低下させること、提供されるエネルギー強度を低下させること、提供されるエネルギーの継続時間を短縮させること等を挙げてもよい。
【0143】
加えて、エネルギー源(例えば、水銀灯等の紫外線源)の強度を光検出器によりモニタリングして、(例えば使用中の照射源の定常的な劣化による)照射源からの強度の低下を検出してもよい。検出した場合、強度の損失に適合させるために、コントローラによりプロセスパラメータを調整してもよい。そのような調整に適したプロセスパラメータとして、加熱器により温度を上昇させること、接着ステージの前進速度を低下させること、光源への電力を上昇させること等を挙げてもよい。
【0144】
別の例として、製作時間を延ばすための温度および/または圧力の制御を、加熱器および冷却器により(個々にもしくは互いに組み合わせておよびコントローラに別々に応答して)、ならびに/または圧力供給部(例えば、ポンプ、圧力容器、バルブおよびこれらの組み合わせ)により、ならびに/または制御可能なバルブ等の圧力解放機構により(個々にもしくは互いに組み合わせておよびコントローラに別々に応答して)、達成し得る。
【0145】
エネルギー源が光である実施形態では、製作速度は光強度の増大によって加速度せることができるいくつかの実施形態では、光は、製作速度を向上させるために、ビルド領域に集中または「集束」される。これは、対物レンズ等の光学デバイスを使用して達成し得る。製作速度は、一般に、光の強度に比例し得る。例えば、ビルド速度(ミリメートル毎時)は、光強度(1平方センチメートル当たりミリワット)に乗数を乗じて算出することができる。乗数は、以下に説明する因子を含む様々な因子に依存し得る。低いものから高いものまで、一連の乗数を用いてもよい。低い側の範囲では、乗数は、約10、15、20、または30であリ得る。高い側の乗数範囲では、乗数は、約150、300、400、またはそれ以上であり得る。
【0146】
製作速度を促すため、光に関する一定の光学特性を選択することができる。一例として、バンドパスフィルターを水銀電球光源と併用して、半値全幅(Full Width Half Maximum、FWHM)で測定した場合に365±10nmの光を提供してもよい。さらなる例として、バンドパスフィルターをLED光源と併用して、FWHMで測定した場合に375±15nmの光を提供してもよい。
【0147】
上記のように、そのようなプロセスにおいて使用する重合性液体は、フリーラジカル重合性液体、または酸触媒型またはカチオン重合型の重合性液体である。いくつかの特定の重合性液体は、当然のことながら、他に比べ硬化が迅速または効率的であることから、高速に対する順応性も高いが、これは少なくとも部分的に、光強度のさらなる増大によって補われ得る。
【0148】
一般に、重合性液体は粘度が低いほど高速に対する順応性が高く、特に、断面積が広い、および/または高密度の物品を製作する場合がそうである(ただし、これは少なくとも部分的に、光強度の増大によって補われ得る)。重合性液体は、50または100センチポアズ~600、800、もしくは1000センチポアズ以上の範囲の粘度を有し得る(HYDRAMOTION REACTAVISC(商標)Viscometer(Hydramotion Ltd社(York 25 Road Business Park,Malton,1 York Y017 6YA England)製)等の適切な装置を使用して室温および大気圧にて測定)。いくつかの実施形態では、必要に応じて、重合性液体を加熱することにより、重合性液体の粘度を有利に低下させることができる。
【0149】
製作品
【0150】
本開示の方法および装置により製造される3次元製品は、最終製品、完成品もしくは実質的な完成品であってもよいか、または例えば表面処理、レーザー切断、放電機械加工等のさらなる製造工程にかけられる中間製品であってもよいことが意図されている。
【0151】
本開示の方法および装置により、多数の異なる製品を作製することができ、この製品としては、大規模なモデルまたはプロトタイプの両方、少量のカスタム製品、小型または超小型の製品または装置等が挙げられる。例として、医療機器および埋め込み型医療機器、例えばステント、薬物送達デポー、機能性構造物、微小針のアレイ、繊維およびロッド、例えば導波管、微小機械素子、微小流体素子等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0152】
本明細書に記載のプロセスにより、様々に異なる特性を有する製品を製造することができる。したがって、いくつかの実施形態では、製品は硬質であるが、他の実施形態では、製品は可撓性または弾性である。いくつかの実施形態では、製品は固体であるが、他の実施形態では、製品はヒドロゲル等のゲルである。いくつかの実施形態では、製品は形状記憶を有する(即ち、製品が構造破壊点まで変形しない限り、変形後に以前の形状に実質的に戻る)。いくつかの実施形態では、製品は単体である(すなわち、単一の重合性液体で形成されている)が、いくつかの実施形態では、製品は複合体である(すなわち、2種以上の異なる重合性液体で形成されている)。用いる重合性液体の選択等の因子により、具体的な特性を決定することになる。
【0153】
本開示による方法および装置は、以下の実施例の観点からよりよく理解することができ、これらの実施例は、単に構造物を例示することが意図され、これらの範囲を限定することを決して意味していない。
【実施例】
【0154】
実施例1:有機相重合性液体:光開始剤を有するモノマー/架橋剤
1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を有機相重合性液体の基礎として使用した。HDDAは、Sigma-AldrichまたはTCI Americaのいずれかから阻害剤(100ppmのモノメチルエーテルヒドロキノン)と共に調達した。これらの阻害剤は、使用前に塩基抽出により除去した。簡単に言えば、15mLのHDDAモノマー溶液に、30mLの50mM NaOH溶液を添加し、振盪した。阻害剤を脱プロトン化し、水相中に抽出し、分液漏斗で除去した。振盪後、分離を促進するために、NaClによる水層の緻密化(1~2Mの最終濃度の範囲)を使用した。続いて、50mM NaOH 1M NaCl溶液に対して2回の、最終的に1M NaCl溶液に対して3回の抽出を行った。モノマー層を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで真空濾過により単離した。
【0155】
ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)に同様の後処理を施して、ヒドロキノン系の阻害剤を除去した。
【0156】
重合性液体は、光開始剤をさらに含んでいた。4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(約370nmの一次吸光度を有する)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(約300nmの一次吸光度と、約370nmの二次吸光度とを有する)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(370nmおよび390nmでの二次吸光度と共に約380nmの一次吸光度を有する)の各々の0.1wt%~0.5wt%をHDDAサンプルに個別に添加し、HDDAサンプルを高エネルギーUV源(すなわち200nm~400nmの領域での放出を伴う高圧水銀灯)で照射した。すべての開始剤はHDDAに重合した。
【0157】
したがって、実施例1は、本開示による有機重合性液体を、本開示によるエネルギー源により開始剤の存在下で重合させることができることを示している。
【0158】
実施例2:2D画像の生成
はじき相として高密度水(すなわち、二酸化ジューテウム、飽和NaCl溶液、およびCsClで飽和させた溶液)、ならびにフッ素化溶媒(ペルフルオロ-n-ヘキサン、ペルフルオロ-n-オクタン)で印刷実験を実施した。キュベットの底により高密度のはじき液体1~2mlを添加し、実施例1の軽質モノマー/開始剤混合物を上部に添加した蛍光石英キュベット(例えば、5%のIrgacure 819を有するHDDA)で実験を実施した。高圧水銀ランプに接続されたコリメートされた光ファイバーからの光をパターニングするためにマスク/ピンホールを使用した。曝露は1秒~30秒の範囲であり、結果として、界面にポリマー滴が形成された。
【0159】
実施例3:3D円柱の印刷
実施例2のように、はじき相および重合性液体を収容する蛍光石英キュベットを調製し、一方で、光消光染料を重合性液体層(すなわち、ナフタレンまたはアントラセンのいずれかで飽和させた5%のIrgacure 819を有するHDDA溶液)に添加して、重合性層への光の透過を制限した。この添加により、約200μmの厚さの薄いポリマーディスクがはじき界面に形成された。これらの薄いポリマーディスクをキャピラリーチューブの端部に架橋し、界面からゆっくりと後退するときに、固化層状構造を形成した。光源は、200μmのピンホールに通過させ、次に作動距離3cmの15X UV透過顕微鏡対物レンズを通過させることにより、さらに変更することができる。照射の30秒後に、約200μmの幅のポリマードットが界面に浮遊していることが観察された。レンズをガラスキャピラリーチューブの端部に集束させ、キャピラリーを界面から徐々に後退させる(約100μm/30秒)ことにより、直径約200μmで、数ミリメートルの長さを有する円筒状のピラーを形成することができる。
【0160】
実施例4:過フッ素化はじき相
はじき相および重合性液体を収容する蛍光石英キュベットを実施例2のように調製し、過フッ素化油をはじき相として利用した。過フッ素化油は、Krytox GPL-100およびKrytox XHT-1000を含んでいた。両者は、自作の流体セルの石英ウィンドウの上に積層することができた。これらのフッ素化層の上部に、重合性流体(HDDA、5%重量のIrgacure 819)を上に浮遊させた。重合性液体層を、複数の光源(水銀ランプ、UV-青色LED、ハロゲンランプ)のうちの1つを使用して、液体層を支持する石英ウィンドウを通して照射した。フルオロ有機界面にポリマーパターンが形成されることが観察された。これらのパターンは、マスキング層、ピンホール、またはデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の利用により制御することができる。2D構造物の観察後、再び、これらの構造物は、キャピラリーチューブまたは金属AFMチャックの端部で重合されて形成され、次いで、マイクロポジショナーを使用して界面からゆっくり後退した。一連のマスク(またはDMDデバイス)を使用して、異なるパターンを界面に投影して、非プリズム状の3D構造を生成することができた。
【0161】
実施例5:ゲルベースのはじき相
2.5wt%の寒天またはアガロースを含むヒドロゲルは、寒天またはアガロースの固体をDI水に溶解/混合し、30分間膨潤させることにより形成した。この時間の後、混合物をマイクロ波でその沸点まで加熱した(混合物からの水分の蒸発を防ぐためにプラスチックカバーを緩くかぶせる)。次いで、この溶融混合物をペトリ皿またはパターン(縁部に約1mmのシリコーンスペーサを有するガラスウィンドウ)に注ぎ、薄いアガロースヒドロゲルウィンドウを形成した。これらのウィンドウを冷却し、半固体にし、DI水によるすすぎ/貯蔵を行った。
【0162】
上部に1mmのアガロースヒドロゲルを有する石英ウィンドウを、自作の流体セルにクランプした。重合性液体層(95%重量のHDDA、5%重量のIrgacure 819)を添加して、約1cmの深さのプールを形成した。実施例2のように、最初に、パターン化された照射を使用して2D画像を生成した。次に、ステージ(キャピラリーチューブ、金属板等)上に2D「ベース」を取り付けた後、1um/秒~50um/秒の範囲の速度で界面から離れるようにステージを後退させた。後退速度が速くなると(したがって、重合速度も速くなる)、重合反応から生成された過剰な熱により、ヒドロゲル表面に恒久的な損傷が生じた(すなわち、水が沸騰し始め、ヒドロゲル表面が変形した)。これらの変形は表面のはじき特性(これは得られた物体上に湾曲した表面を生成した)を制限しなかったが、ヒドロゲルが浸透し、ヒドロゲルが沸騰した後、石英ウィンドウと重合性流体との接触を可能にし、損なわれたとみなされた。
【0163】
同様の結果が1~5%wtの2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン光ラジカル開始剤を用いた2-(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリレートモノマーの架橋により予備生成され、次いでペルフルオロポリマーFluoriner FC-70で膨潤させたフルオロゲルについて観察された。
【0164】
したがって、実施例5は、液体ではない本開示によるはじき相を使用して、本開示による3次元物体を形成する方法を実証する。
【0165】
実施例6:冷却ステージの使用
実施例4および実施例5のフルオロ油/ポリマー液体およびゲル/ポリマー液体系を冷却装置と共に使用した。透明な冷却装置にドライアイスで急冷したアセトンを充填した。急冷したアセトンを2つの光学的に透明なウィンドウの間を通過させ、はじき相を連続的に急冷した。Krytox XHT-100の場合、冷却剤は、温度がオイルの流動点(すなわち、-5℃)未満に低下すると、オイルを固化させた。ウィンドウ上の氷の形成および凝結を最小限に抑えるために、パターン化された光源と急冷器ウィンドウの底部との間の経路が乾燥している(すなわち、乾燥剤を含む密閉されたプラスチックチャンバ)ことが重要であることが判明した。重要なことに、すべての場合(ゲルおよび固化したオイル)、冷却ウィンドウは、重合プロセス中に迅速かつ均一な放熱を可能にした。このような冷却がなければ、より速いビルド速度(すなわち、50μm/秒を超える速度)で、発熱重合反応に起因して滑らかな界面に損傷(実施例4に記載のとおり)が生じた。冷却ステージを使用した場合、150μm/秒~300μm/秒の範囲の速度で、繰り返し、確実に複数の構築物が生成された。断面積が約100cm2、高さが15cm以上の構築物が達成された。
【0166】
したがって、実施例6は、液体ではなく、ビルド領域にわたる光学的に透明な冷却装置と関連して、本開示によるはじき相を使用して本開示による3次元物体を形成する方法を実証している。
【0167】
実施例7:マルチプロジェクタシステムによる冷却ステージの使用
14インチ×17インチ×6インチ(幅×長さ×高さ)の低鉄ガラスの底部の特注水槽には、4つの1cmのスタンドオフが装備されており、その結果、水槽の底面は、載置している表面から離れて持ち上げられた。したがって、この水槽は、その底部が「部材」を構成する「印刷床」と呼ばれることになる。
【0168】
より大きな寸法の第2の低鉄ガラスの底部水槽は、一方の側に分配ノズルが装備され、他方の側にはオーバーフロー出口が装備され、入口と出口との間に均一で一方向の流動パターンを生成した。この水槽の入口および出口を再循環急冷器および濾過システムに接続し、そこでグリコール水溶液を再循環させ、槽を-10℃~25℃の範囲の一定温度で保持した。したがって、このシステム(水槽、ノズル、および再循環急冷器)は、「冷却ステージ」と呼ばれる。
【0169】
2つのコンシューマーグレードDLPプロジェクタを、それらの水銀ランプから最大量のUV光を放出するように変更した。これは、プロジェクタハウジング内のUVフィルタの除去、赤色、緑色、および青色光の生成を担う「カラーホイール」の除去、および投影レンズの変更により達成した。これらのプロジェクタのうちの2つは、約12インチの投射距離で12インチ×15インチのエリアにわたって投影される画像を生成するために、アライメントおよびタイリングを可能にするため光学式トラックシステムに搭載された。個別に、各プロジェクタは12インチx7.5インチのエリアを生成した。これらのプロジェクタは、投影されるUV光画像を標準のコンピュータモニタにミラーリングすると共に、2つのタイル型プロジェクタを横切る統合された画像を投影することができるソフトウェアを有する特注コンピュータシステムに接続した。このシステム(アライメントされた、UVが最大化されるように変更したプロジェクタ、およびコンピュータシステム)は、「光エンジン」、「光学式エンジン」、または「光学エンジン」であった。使用していないときは、光エンジンから投影された光は、シャッター機構により除去した。
【0170】
光エンジン、冷却ステージ、および印刷床は、
図4に描画するような構成を生成するように、支持フレーム内に垂直に積み重ね、支持フレーム内で、パターン化されたUV光を光エンジンからUV透過性冷却ステージを介して上向きに投影し、UV透過性印刷床(「部材」を構成する低鉄ガラス)を置いた。部材を支持する1cmのスペーサに起因して、グリコール冷却材は、印刷ステージの下に流すことができ、はじき相を能動的に冷却し、すぐに生成される熱を部材の上部のビルド領域に放散させた。
【0171】
支持フレームに取り付けられた印刷床の上に、4フィートのリニアアクチュエータを搭載した。アクチュエータは、部材(印刷床のガラス底面)により生成された平面に対して実質的に垂直な構成で搭載した。アクチュエータのキャリッジには、その平面が部材により生成された平面と実質的に平行である「接着ステージ」(12インチ×12インチの多孔板)を保持する支持体を取り付けた。リニアアクチュエータを、光エンジンを駆動するコンピュータシステムに接続し、接着ステージを印刷床(部材)の底から1cm上に移動させ、次いで、接着ステージをシステム方式で後退させるようにプログラムした。前記接着ステージの正味の後退速度は、秒当たり10マイクロメートル~秒当たり180マイクロメートルを超える範囲であった。このシステムは「アクチュエータ」および「接着ステージ」であった。装置の側面概略図が
図15に示されている。
【0172】
接着ステージを印刷床から後退させ、多量のフルオロオイル(Chemours Company(Wilmington、DE)からのKrytox(商標)油、またはSolvay(Alpharetta、GA)からのFomblin(登録商標)オイル)を印刷床に注ぎ、低鉄ガラス部材を横切る約1cmの厚さのはじき相を生成した。その後、空気/フルオロ油界面に投影された試験画像を生成するように、光エンジンを開けた。この投影された画像に焦点を合わせ、タイル型プロジェクタのファインアライメントを実施し、界面に投影された画像が鮮明で連続的であることが確認された。完了したら、光エンジンを閉め、次の印刷のためにイメージシーケンスをロードした。シャッターを開けると、画像シーケンスが投影される。
【0173】
光エンジンのファインアライメントと閉鎖の後、接着ステージをフルオロ油はじき相(アクチュエータの垂直範囲の底部)に戻し、ステージの垂直位置をちょうど液体表面と接触するように微調整した。定位置に置かれると、重合性液体を印刷床に添加し、下にあるフルオロ油はじき相に浮遊するプールを形成した。十分な樹脂の供給を追加した後、急冷器ステージを作動させて、部材およびはじき相を適切な温度(0℃~10℃)にし、前記温度を保持した。
【0174】
前述の重合性液体および/または樹脂は、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)反応性モノマー、アクリレート官能化ブロックコポリマー、および2%のIrgacure 819光開始剤(フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)を含んでいた。コポリマー樹脂、反応性希釈剤モノマー、および光模倣剤の混合物は、「重合性液体」または単に「樹脂」と呼ばれた。
【0175】
重合性樹脂を印刷床に添加し、はじき相の温度が安定した後、光エンジン上のシャッターを取り外し、パターンUV光が印刷床に入ることを可能にした。次いで、アクチュエータ(つまり、接着ステージ)は、所定の正味の速度ではじき相から離れるように後退した。重合の初期段階では、この速度は、接着ステージ自体を伴う出現する印刷物体間のより強い接着を可能にするために緩慢にした。例えば、物体が振動運動で離れるように後退したとき、後退速度は秒当たり約60マイクロメートル以下であった。物体を連続的な動きを使用して後退させると、後退速度は秒当たり最大約120マイクロメートルであった。印刷ステージが樹脂プールから完全に出現してしまえば、アクチュエータ後退速度、それに対応して光エンジンにより投影される画像は、秒当たり180マイクロメートルを超える速度に増加した。
【0176】
所定の画像シーケンスが終了し、印刷物が完成すると、光エンジンを閉じた。アクチュエータは、最終物体を印刷床から持ち上げるように命令され、残留樹脂は印刷床に戻るように落下した。接着ステージに依然として接着している印刷された物体を支持アクチュエータアームから除去し、有機溶剤化学浴中で洗浄して、重合されていない液体樹脂を印刷された物体の表面から除去した。十分に洗浄した後、「緑色」の物体(すなわち、完全に硬化していない/固まっていないもの)を乾燥させ、印刷ステージから慎重に除去し、次いでUV光オーブン中に置き、その形状を完全に固め、意図されている材料特性にした。光オーブン中で硬化させた後、最終的に固化した物体を使用し、さらに試験した。
【0177】
これにより、実施例7は、本開示によるはじき液体を使用して、ビルド領域にわたる透明な冷却装置と組み合わせて、本開示による3次元物体を形成する方法を実証している。加えて、実施例7は、光学的に透明な冷却装置を用いずに、先の実施例では不可能であった広い領域(12インチ×15インチ)にわたって、より速い印刷速度(少なくとも秒当たり約120マイクロメートル)を実証している。したがって、実施例7は、光エンジンをアレイに並べる能力、前記光エンジンのアラインメント、複数の光エンジンにわたる単一の連続的物体を印刷する能力を実証している。
【0178】
実施例8:冷却を伴う移動相の使用
このシステムは、実施例7に記載したものと同じ光エンジン、接着ステージ/アクチュエータ、および樹脂を利用する。冷却ステージおよび印刷床を構成する2つの透明床は、
図13に示すように、床の両側に分配ノズルが取り付けられた単一の透明な床で置き換えた。この独特の透明な床は、「印刷床」であり、その低鉄ガラスの底部は、はじき移動相が配置され得る部材を構成している。
【0179】
実施例7のように、支持フレームを使用して、光エンジン、プリント床、および接着ステージを移動させるアクチュエータアームを垂直に積み重ねた。前述のように、光エンジンはパターン化された光を印刷床の透明な底部(部材)およびフッ素化油(はじき相)を介して上向きに投射して、樹脂(重合性流体)の固化を開始した。この例で使用されている光学的に透明な冷却器を構成する二次的な透明床は存在しないが、これは任意に可能である。
【0180】
印刷床の両側の2つの分配ノズルを入口および出口として使用し、フルオロ油を移動相として作用させ、床を通して、ビルド領域にわたって比較的均一な流れ場で再循環させた。光エンジンにより生成された12インチx15インチの投影領域は、2つの分配ノズルの間に載置した。フッ素化油は、印刷床から汲み出されると、任意選択的に濾過、急冷、および酸素化される。この例では、油を濾過システムに通過させ、望ましくない光散乱を引き起こす可能性のある微小粒子を除去し、急冷器は、油を直接冷却するだけである。はじき相の酸素化は必要ではないが、任意選択であり、可能な最終印刷速度を向上させることができる。
【0181】
フルオロ油をノズル中およびノズル出口に完全に浸るように印刷床中に配置すると、それを再循環させ、接着ステージを空気-油界面から後退させた。この時点で、空気/フルオロ-油界面に投影された試験画像を生成するように、光エンジンを開けた。この投影画像に焦点を合わせ、タイル型プロジェクタのファインアライメントを実施し、界面に投影された画像が鮮明で連続的であることが確認された。完了したら、光エンジンを閉め、次の印刷のためにイメージシーケンスをロードした。シャッターを開けると、画像シーケンスが投影される。
【0182】
光エンジンの精密なアライメントと閉鎖の後、接着ステージをフルオロ油はじき相(アクチュエータの垂直範囲の底部)に戻し、ステージの垂直位置をちょうど液体表面と接触するように微調整した。接着ステージを適所に配置し、移動相の再循環を、樹脂を印刷床に添加する間に一時的に停止させ、下にあるフルオロ油はじき相で浮遊する樹脂プールを形成した。樹脂の十分に追加して供給した後、移動相の再循環を再開した。フルオロオイル/樹脂界面の下の分配ノズルの位置により、再循環ループを通って油のみが引き出された。油の再循環が一旦継続されると、再循環ループ内に配置された急冷装置は、移動相が約0℃~10℃の適切な温度になるまで活性化される。
【0183】
重合性樹脂を印刷床に添加し、移動相の温度が安定した後、光エンジン上のシャッターを取り外し、パターンUV光が印刷床に入ることを可能にした。次いで、アクチュエータ(つまり、接着ステージ)は、所定の正味の速度ではじき相から離れるように後退した。重合の初期段階では、この速度は、接着ステージ自体を伴う出現する印刷物体間のより強い接着を可能にするために緩慢にした。印刷ステージが樹脂プールから完全に出現してしまえば、アクチュエータ後退速度、それに対応して光エンジンにより投影される画像は、秒当たり180マイクロメートルを超える速度に増加した。
【0184】
出現する印刷物に対するはじき相の移動は、これらの出現する印刷物とはじき相との間の接着相互作用を低下させるせん断力を生じた。その結果、出現する印刷物は、実施例7に開示するように、静止および冷却されるように保持されたときの同相からの印刷と比較して、優れた横方向(X-Y)解像度および表面仕上げを有することが判明した。
【0185】
所定の画像シーケンスが終了し、印刷物が完成すると、光エンジンを閉じた。アクチュエータは、最終物体を印刷床から持ち上げるように命令され、残留樹脂は印刷床に戻るように落下した。移動相の冷却および再循環を中止した。印刷ステージに依然として接着している印刷された物体を支持アクチュエータアームから除去し、有機溶剤化学浴中で洗浄して、重合されていない液体樹脂を印刷された物体の表面から除去した。十分に洗浄した後、「緑色」の物体(すなわち、完全に硬化していない/固まっていないもの)を乾燥させ、印刷ステージから慎重に除去し、次いで、UV光オーブン中に置いて、その形状を完全に固め、意図されている材料特性になるように完全に反応させた。光オーブン中で硬化させた後、最終的に固化した物体を使用し、さらに試験した。
【0186】
グリコール溶液が透明な熱交換器において中間物として使用された実施例7とは対照的に、はじき相を直接、能動的に冷却することにより、印刷中の熱除去速度が高められ、良好な熱安定性を提供した。加えて、上述したように、既知のシステムでは、より長い印刷物のために、典型的には、ビルド領域に望ましくない光散乱を誘発する小さい微小粒子ポリマーの蓄積が存在し、これにより横方向分解能の損失を引き起こす。SLA 3D印刷分野におけるこの現象は、「曇り」と呼ばれることが多く、唯一の解決策は、はじき相の置き換えである。このシナリオでは、印刷の完了後、はじき相を除去し、そのような粒子を除去するために真空濾過する必要がある。したがって、印刷中の連続的な濾過および再生に起因して、はじき界面をリサイクルすることができる、他の技術よりも大きな利点がある。これは、プリンタが長期間印刷を継続することができ、メンテナンスが必要となる前により多くの量を生成することができるので有利である。
【0187】
したがって、実施例8は、冷却される移動相を使用して、本開示による3次元物体を形成する方法を実証している。したがって、実施例8は、はじき相、移動相から印刷プロセスの間に形成された微粒子汚染物質の除去により、ビルド界面を連続的に再生するための方法、および移動相と出現する物体との間の低い接着力から生じる増加した印刷分解能を実証している。
【0188】
本開示には以下の実施形態も開示される。
[実施形態1]
3次元物体を形成する方法であって、
接着ステージおよび部材を提供することであって、前記部材が、その上にはじき相を有し、前記はじき相が、ビルド面を有し、前記接着ステージおよびビルド面が、それらの間にビルド領域を画定している、提供することと、
前記ビルド領域に重合性液体を提供することであって、前記重合性液体が、前記はじき相と不混和性である、提供することと、
前記はじき相の少なくとも一部を介して、前記ビルド領域をエネルギーに曝露することにより、前記重合性液体の重合を施して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成し、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させて、前記固体ポリマーからなる前記3次元物体を形成することと、を含み、
前記はじき相が、液体ではない、方法。
[実施形態2]
前記部材、はじき相、または重合性液体のうちの少なくとも1つを冷却することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
3次元物体を形成する方法であって、
接着ステージ、部材、および冷却装置を提供することであって、前記部材が、その上にはじき相を有し、前記部材が、前記冷却装置と前記はじき相との間にあり、前記はじき相が、ビルド面を有し、前記接着ステージおよび前記ビルド面が、それらの間にビルド領域を画定している、提供することと、
前記ビルド領域に重合性液体を提供することであって、前記重合性液体が、前記はじき相と不混和性である、提供することと、
前記冷却装置の少なくとも一部を介して、かつ前記はじき相の少なくとも一部を介して、前記ビルド領域をエネルギーに曝露することにより、前記重合性液体の重合を施して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成し、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させて、前記固体ポリマーからなる前記3次元物体を形成することと、を含む、方法。
[実施形態4]
前記冷却装置が、光学的に透明である、実施形態2または3に記載の方法。
[実施形態5]
前記部材が、光学的に透明である、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態6]
前記部材が、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるエネルギー源により提供されるエネルギーの変換または伝達を可能にする、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態7]
前記はじき相および前記重合性液体が、60°より大きい接触角を有する、実施形態1~6のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態8]
前記はじき相および前記重合性液体が、前記重合性液体が界面活性剤を実質的に含まない場合、60°より大きい接触角を有する、実施形態7に記載の方法。
[実施形態9]
前記重合液体が、界面活性剤をさらに含む、実施形態1~7のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態10]
前記重合性液体が、デッドゾーンを含まない、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態11]
前記重合液体が、水性重合液体を含む、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態12]
前記重合液体が、アクリル、メタクリル、ウレタン、アクリルエステル、ポリエステル、シアノエステル、アクリルアミド、無水マレイン酸、官能化PEGS、ジメタクリレートオリゴマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーまたはオリゴマーを含む、実施形態11に記載の方法。
[実施形態13]
前記重合液体が、有機重合液体を含む、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態14]
前記重合液体が、オレフィン、ハロゲン化オレフィン、環状アルケン、アルケン、アルキン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーまたはオリゴマーを含む、実施形態13に記載の方法。
[実施形態15]
前記はじき相が、ゲルを含む、実施形態1~14のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態16]
前記ゲルが、有機ゲル、シリコーンゲル、水性ヒドロゲル、フルオロゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態15に記載の方法。
[実施形態17]
前記ゲルが、水性ヒドロゲルであり、前記水性ヒドロゲルが、寒天、アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル、デンプンゲル、カチオンゲル、アニオンゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態16に記載の方法。
[実施形態18]
前記ゲルが、フルオロゲルであり、前記フルオロゲルが、ペルフルオロポリエーテルで膨潤させた2-(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリレートを含む、実施形態17に記載の方法。
[実施形態19]
前記はじき相が、固体を含む、実施形態1~14のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態20]
前記固体が、有機固体、水性固体、過フッ素化固体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態19に記載の方法。
[実施形態21]
前記固体が、有機固体であり、前記有機固体が、スクワラン、スクアレン、固体ヘキサデカン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態20に記載の方法。
[実施形態22]
前記固体が水性固体であり、前記水性固体が、氷、固体テトラエチレングリコール、固体PEG-300、固体PEG-400、固体PEG-600、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態20に記載の方法。
[実施形態23]
前記固体が過フッ素化固体であり、前記過フッ素化固体が、固体ペルフルオロポリエーテル、フッ素化エチレンプロピレン、またはポリテトラフルオロエチレンを含む、実施形態20に記載の方法。
[実施形態24]
前記はじき相が、気体を含む、実施形態1~14のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態25]
前記はじき相が、液体を含む、実施形態3~14のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態26]
前記液体が、水性液体、有機液体、シリコーン液体、またはフッ素液体である、実施形態25に記載の方法。
[実施形態27]
前記水性液体が、水、酸化ジュウテリウム、高密度化塩溶液、または高密度化糖溶液を含む、実施形態26に記載の方法。
[実施形態28]
前記有機液体が、有機油を含む、実施形態26に記載の方法。
[実施形態29]
前記シリコーン液体が、シリコーン油を含む、実施形態26に記載の方法。
[実施形態30]
前記フッ素液体が、フッ素化油を含む、実施形態26に記載の方法。
[実施形態31]
前記重合液体が、共に結合することができる粒状またはコロイド状の物質を含む、実施形態1~30のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態32]
前記重合液体が、堆積してバルク金属を形成することができる金属イオンを含む、実施形態1~31のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態33]
前記はじき相が、光学的に透明である、実施形態1~32のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態34]
前記はじき相が、曲線状である、実施形態1~33のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態35]
前記部材が、酸素透過性でない、実施形態1~34のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態36]
前記重合が電磁照射により実施される、実施形態1~35のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態37]
前記重合が電気により実施される、実施形態1~36のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態38]
前記重合が熱活性化により実施される、実施形態1~37のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態39]
前記重合が磁気活性化により実施される、実施形態1~38のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態40]
前記方法が、マルチチップアレイを使用して並行して実施され、前記マルチチップアレイのチップが、前記部材を含む、実施形態1~39のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態41]
前記マルチチップアレイが、ビームペンリソグラフィシステムの一部である、実施形態40に記載の方法。
[実施形態42]
前記マルチチップアレイが、ポリマーペンリソグラフィシステムの一部である、実施形態40に記載の方法。
[実施形態43]
前記部材およびはじき相が、光学ファイバープロジェクタに取り付けられ、前記光学ファイバープロジェクタが、重合のためのエネルギーを送達する、実施形態1~39のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態44]
前記印刷が全方向性で起こる、実施形態1から43のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態45]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように一定速度で前進させることを含む、実施形態1~44のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態46]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように可変速度で前進させることを含む、実施形態1~44のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態47]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように一定速度で固定された距離だけ前進させることを含み、次いで固定された時間の間一時停止され、任意選択的に繰り返される、実施形態1~44のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態48]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように可変速度で固定された距離だけ前進させることを含み、次いで固定された時間の間一時停止され、任意選択的に繰り返される、実施形態1~44のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態49]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように振動方式で前進させることを含む、実施形態1~44のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態50]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように振動方式で前進させることが、(i)前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることと、(ii)前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させることとを含むサイクルを含む、実施形態49に記載の方法。
[実施形態51]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることと、前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させることとの間で、前記接着ステージを一時停止させることをさらに含む、実施形態50に記載の方法。
[実施形態52]
前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させた後に前記接着ステージを一次停止させることをさらに含む、実施形態50または実施形態51に記載の方法。
[実施形態53]
重合性液体から3次元物体を形成するための装置であって、
支持体と、
前記支持体に動作可能に関連付けられている接着ステージであって、前記接着ステージ上で前記3次元物体が形成される、接着ステージと、
部材であって、その上にはじき相の層を有する部材であって、前記はじき相が、ビルド面を有し、前記はじき相が、液体ではなく、前記ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、
前記ビルド面に動作可能に関連付けられており、固化または重合のために前記ビルド領域内に重合性液体を供給するように構成された、重合性液体供給部と、
前記部材を介して、前記ビルド領域にエネルギーを送達して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、
エネルギーを前記ビルド領域に送達するために、前記エネルギー源に動作可能に関連付けられている少なくとも1つのコントローラであって、前記少なくとも1つのコントローラがまた、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるようにエネルギー強度に依存する速度で前進させて、前記固体ポリマーから前記3次元物体を形成するために、前記接着ステージに動作可能に関連付けられている、少なくとも1つのコントローラと、を備える、装置。
[実施形態54]
前記装置が、光学的に透明な冷却装置をさらに含む、実施形態53に記載の装置。
[実施形態55]
重合性液体から3次元物体を形成するための装置であって、
支持体と、
前記支持体に動作可能に関連付けられている接着ステージであって、前記接着ステージ上で前記3次元物体が形成される、接着ステージと、
部材であって、その上にはじき相の層を有する部材であって、前記はじき相が、ビルド面を有し、前記ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、
光学的に透明な冷却装置と、
前記ビルド面に動作可能に関連付けられており、固化または重合のために前記ビルド領域内に重合性液体を供給するように構成された重合性液体供給部と、
前記部材を介して、前記ビルド領域にエネルギーを送達して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、
前記ビルド領域にエネルギーを送達するために、前記エネルギー源に動作可能に関連付けられている少なくとも1つのコントローラであって、前記少なくとも1つのコントローラがまた、前記ビルド領域を冷却するために、前記冷却装置に動作可能に関連付けられており、前記少なくとも1つのコントローラがまた、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるようにエネルギー強度に依存する速度で前進させて、前記固体ポリマーから3次元物体を形成するために、前記接着ステージに動作可能に関連付けられている、少なくとも1つのコントローラと、を備える、装置。
[実施形態56]
前記部材が、光学的に透明である、実施形態53~55のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態57]
前記部材が、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるエネルギー源により提供されるエネルギーの変換または伝達を可能にする、実施形態53~55のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態58]
前記装置が、デッドゾーンを含まない、実施形態53~57のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態59]
前記光学的に透明な冷却装置が、前記部材、はじき相、および重合性液体のうちの少なくとも1つに動作可能に関連付けられている、実施形態54~58のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態60]
前記光学的に透明な冷却装置が、前記ビルド領域の全範囲にわたる熱交換器である、実施形態54~59のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態61]
前記少なくとも1つのコントローラが、前記光学的に透明な冷却装置に動作可能に関連付けられており、前記はじき相を非液体状態に維持するように構成されている、実施形態54~60のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態62]
前記はじき相が曲線状である、実施形態54~61のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態63]
前記部材を介して前記ビルド領域にエネルギー源を提供して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されている、実施形態53~62のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態64]
前記接着ステージが、前記接着ステージを前記ビルドステージから離れるように前進させるように構成された作動アームに動作可能に関連付けられている、実施形態53~63のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態65]
前記エネルギー源が、光エンジンである、実施形態53~64のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態66]
前記光エンジンが、水銀光源、LED光源、ハロゲン光、およびレーザーからなる群から選択される光源を有する、実施形態65に記載の装置。
[実施形態67]
前記エネルギー源が、熱コントローラである、実施形態53~64のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態68]
前記エネルギー源が、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態53~64のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態69]
前記部材が、酸素透過性でない、実施形態53~68のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態70]
前記ビルド面が、水平面である、実施形態53~69のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態71]
前記ビルド面が、垂直面である、実施形態53~69のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態72]
前記ビルド面が無指向性である、実施形態53~69のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態73]
3次元物体を形成する方法であって、
接着ステージおよび部材を提供することであって、前記部材が、その上に移動相を有し、前記移動相が、ビルド面を有し、前記接着ステージおよびビルド面が、それらの間にビルド領域を画定している、提供することと、
前記ビルド領域に重合性液体を提供することであって、前記重合性液体が、前記移動相と不混和性である、提供することと、
前記移動相の少なくとも一部を介して、前記ビルド領域をエネルギーに曝露することにより、前記重合性液体の重合を施して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成し、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させて、前記固体ポリマーからなる前記3次元物体を形成することと、を含む、方法。
[実施形態74]
前記移動相が、移動する固相、移動するゲル相、流動流体、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態73に記載の方法。
[実施形態75]
前記移動する固相が、有機固体、水性固体、過フッ素化固体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態74に記載の方法。
[実施形態76]
前記有機固体が、スクワラン、スクアレン、固体ヘキサデカン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態75に記載の方法。
[実施形態77]
前記水性固体が、氷、固体テトラエチレングリコール、固体PEG-300、固体PEG-400、固体PEG-600、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態75に記載の方法。
[実施形態78]
前記過フッ素化固体が、ペルフルオロポリエーテル、フッ素化エチレンプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態75に記載の方法。
[実施形態79]
前記移動するゲル相が、有機ゲル、シリコーンゲル、水性ヒドロゲル、フルオロゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態74に記載の方法。
[実施形態80]
前記水性ヒドロゲルが、寒天、アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル、デンプンゲル、カチオンゲル、アニオンゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態79に記載の方法。
[実施形態81]
前記フルオロゲルが、ペルフルオロポリエーテルで膨潤させた2-(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリレートを含む、実施形態79に記載の方法。
[実施形態82]
前記流動流体が、水性液体、有機液体、シリコーン液体、およびフッ素液体からなる群から選択される、実施形態74に記載の方法。
[実施形態83]
前記流動流体が、水、酸化ジュウテリウム、高密度化塩溶液、および高密度化糖溶液からなる群から選択される水性液体を含む、実施形態82に記載の方法。
[実施形態84]
前記流動流体が、シリコーン油を含むシリコーン液体を含む、実施形態82に記載の方法。
[実施形態85]
前記流動流体が、フッ素化油を含むフッ素液体を含む、実施形態82に記載の方法。
[実施形態86]
前記流動流体が、有機油を含む有機液体を含む、実施形態82に記載の方法。
[実施形態87]
前記移動相がはじき相を含む、実施形態73~86のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態88]
前記移動相が閉ループを介して再循環される、実施形態73~87のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態89]
前記移動相の濾過、洗浄、および汚染除去のうちの1つ以上をさらに含む、実施形態73~88のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態90]
前記移動相を冷却することをさらに含む、実施形態73または89のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態91]
前記移動相を冷却することが、前記移動相を冷却装置に通すことを含む、実施形態90に記載の方法。
[実施形態92]
前記移動相を冷却することが、前記ビルド領域にわたる熱交換器を介して行われる、実施形態90に記載の方法。
[実施形態93]
前記移動相を酸素化することをさらに含む、実施形態73~92のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態94]
前記部材が、光学的に透明である、実施形態73~93のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態95]
前記部材が、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるエネルギー源により提供されるエネルギーの変換または伝達を可能にする、実施形態73~94のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態96]
前記移動相および前記重合性液体が、60°を超える接触角を有する、実施形態73~95のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態97]
前記重合液体が、デッドゾーンを含まない、実施形態73~96のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態98]
前記重合液体が、水性重合液体である、実施形態73~97のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態99]
前記重合液体が、アクリル、メタクリル、ウレタン、アクリルエステル、ポリエステル、シアノエステル、アクリルアミド、無水マレイン酸、官能化PEGS、ジメタクリレートオリゴマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーまたはオリゴマーを含む、実施形態98に記載の方法。
[実施形態100]
前記重合液体が、有機重合液体である、実施形態73~99のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態101]
前記重合液体が、オレフィン、ハロゲン化オレフィン、環状アルケン、アルケン、アルキン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーまたはオリゴマーを含む、実施形態100に記載の方法。
[実施形態102]
前記重合液体が、共に結合することができる粒状またはコロイド状の物質を含む、実施形態73~101のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態103]
前記重合液体が、堆積してバルク金属を形成することができる金属イオンを含む、実施形態73~101のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態104]
前記移動相が、光学的に透明である、実施形態73~103のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態105]
前記重合性液体および移動相の少なくとも1つが、界面活性剤をさらに含む、実施形態73から104のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態106]
前記重合性液体および前記移動相の両方が、界面活性剤をさらに含む、実施形態73~105のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態107]
前記部材が、酸素透過性でない、実施形態73~106のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態108]
前記重合が、照射、電気的活性化、熱活性化、および磁気活性化のうちの少なくとも1つにより実施される、実施形態73~107のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態109]
前記方法が、マルチチップアレイを使用して並行して実施され、前記マルチチップアレイのチップが、前記部材を含む、実施形態73~108のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態110]
前記マルチチップアレイが、ビームペンリソグラフィシステムの一部である、実施形態109に記載の方法。
[実施形態111]
前記マルチチップアレイが、ポリマーペンリソグラフィシステムの一部である、実施形態109に記載の方法。
[実施形態112]
前記印刷が全方向性で起こる、実施形態73から111のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態113]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように一定速度で前進させることを含む、実施形態73~112のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態114]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように可変速度で前進させることを含む、実施形態73~112のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態115]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように一定速度で固定された距離だけ前進させることを含み、次いで固定された時間の間一時停止され、任意選択的に繰り返される、実施形態73~112のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態116]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように可変速度で固定された距離だけ前進させることを含み、次いで固定された時間の間一時停止され、任意選択的に繰り返される、実施形態73~112のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態117]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることが、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように振動方式で前進させることを含む、実施形態73~112のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態118]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように振動方式で前進させることが、(i)前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることと、(ii)前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させることとを含むサイクルを含む、実施形態117に記載の方法。
[実施形態119]
前記接着ステージを前記ビルド面から離れるように前進させることと、前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させることとの間で、前記接着ステージを一時停止させることをさらに含む、実施形態118に記載の方法。
[実施形態120]
前記接着ステージを前記ビルド面に戻るように前進させた後に前記接着ステージを一次停止させることをさらに含む、実施形態117または実施形態118に記載の方法。
[実施形態121]
重合性液体から3次元物体を形成するための装置であって、
支持体と、
前記支持体に動作可能に関連付けられている接着ステージであって、前記接着ステージ上で前記3次元物体が形成される、接着ステージと、
部材であって、その上に移動相の層を有する部材であって、前記移動相が、ビルド面を有し、前記ビルド面および接着ステージが、それらの間にビルド領域を画定している、部材と、
前記ビルド面に動作可能に関連付けられており、固化または重合のために前記ビルド領域内に重合性液体を供給するように構成された重合性液体供給部と、
前記部材を介して、前記ビルド領域にエネルギーを送達して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されたエネルギー源と、
エネルギーを前記ビルド領域に送達するために、前記エネルギー源に動作可能に関連付けられている少なくとも1つのコントローラであって、前記少なくとも1つのコントローラがまた、前記接着ステージを前記ビルド面から離れるようにエネルギー強度に依存する速度で前進させて、前記固体ポリマーから前記3次元物体を形成するために、前記接着ステージに動作可能に関連付けられている、少なくとも1つのコントローラと、を備える、装置。
[実施形態122]
前記部材、移動相、および重合性液体のうちの少なくとも1つに動作可能に関連付けられている冷却装置をさらに備える、実施形態121に記載の装置。
[実施形態123]
前記冷却装置が、光学的に透明である、実施形態122に記載の装置。
[実施形態124]
前記冷却装置が、前記ビルド領域にわたる熱交換器である、実施形態122または123に記載の装置。
[実施形態125]
前記冷却装置が、前記部材、移動相および重合性液体のうちの少なくとも1つの温度を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラに動作可能に関連付けられている、実施形態122~124のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態126]
前記接着ステージが、前記接着ステージを前進させるように構成された作動アームに動作可能に関連付けられている、実施形態121~125のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態127]
前記移動相が、移動する固相、移動するゲル相、流動流体、または前述の組み合わせを含む、実施形態121~126のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態128]
前記移動する固相が、有機固体、水性固体、過フッ素化固体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態127に記載の装置。
[実施形態129]
前記有機固体が、スクワラン、スクアレン、固体ヘキサデカン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態128に記載の装置。
[実施形態130]
前記水性固体が、氷、固体テトラエチレングリコール、固体PEG-300、固体PEG-400、固体PEG-600、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態128に記載の装置。
[実施形態131]
前記過フッ素化固体が、ペルフルオロポリエーテル、フッ素化エチレンプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態128に記載の装置。
[実施形態132]
前記移動するゲル相が、有機ゲル、シリコーンゲル、水性ヒドロゲル、フルオロゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態127に記載の装置。
[実施形態133]
前記水性ヒドロゲルが、寒天、アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル、デンプンゲル、カチオンゲル、アニオンゲル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態132に記載の装置。
[実施形態134]
前記フルオロゲルが、ペルフルオロポリエーテルで膨潤させた2-(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリレートを含む、実施形態132に記載の装置。
[実施形態135]
前記流動流体が、水性液体、有機液体、シリコーン液体、およびフッ素液体からなる群から選択される、実施形態127に記載の装置。
[実施形態136]
前記水性液体が、水、酸化ジュウテリウム、高密度化塩溶液、および高密度化糖溶液からなる群から選択される、実施形態135に記載の装置。
[実施形態137]
前記シリコーン液体が、シリコーン油を含む、実施形態135に記載の装置。
[実施形態138]
前記フッ素液体が、フッ素化油を含む、実施形態135に記載の装置。
[実施形態139]
前記有機液体が、有機油を含む、実施形態135に記載の装置。
[実施形態140]
前記移動相が、はじき相を含む、実施形態121~139のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態141]
前記移動相と流体連通する出口と、前記移動相と流体連通する入口とをさらに備える、実施形態121~140のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態142]
前記出口が、前記入口と流体連通して、再循環ループを提供し、前記膜を横切る移動相の流動を可能にする、実施形態141に記載の装置。
[実施形態143]
前記移動相と流体連通し、前記出口を含む出口分配ノズルと、前記移動相と流体連通し、前記入口を含む入口分配ノズルと、をさらに備える、実施形態141または142に記載の装置。
[実施形態144]
前記出口と前記入口との間の前記再循環ループに沿って提供された濾過ユニットをさらに備え、前記濾過ユニットが、前記移動相を濾過、清浄または汚染除去するように構成された少なくとも1つのコントローラに動作可能に関連付けられている、実施形態142または実施形態143に記載の装置。
[実施形態145]
前記出口と前記入口との間の前記再循環ループに沿った冷却装置をさらに備え、前記冷却装置が、前記移動相の温度を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラに動作可能に関連付けられている、実施形態142~144のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態146]
前記出口と前記入口との間の前記再循環ループに沿った酸素化ユニットをさらに備え、前記酸素化ユニットが、前記移動相に提供される酸素の量を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラに動作可能に関連付けられている、実施形態142~145に記載の装置。
[実施形態147]
前記部材が、光学的に透明である、実施形態121~146のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態148]
前記部材が、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるエネルギー源により提供されるエネルギーの変換または伝達を可能にする、実施形態121~147のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態149]
前記重合性液体が、デッドゾーンを含まない、実施形態121~148のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態150]
前記再循環ループが、前記移動相の連続的な流動を維持するように構成された少なくとも1つのコントローラに動作可能に関連付けられている、実施形態122~149のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態151]
前記部材を介して前記ビルド領域にエネルギー源を提供して、前記重合性液体から固体ポリマーを形成するように構成されている、実施形態121~150のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態152]
前記エネルギー源が、光エンジンである、実施形態121~151のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態153]
前記光エンジンが、水銀光源、LED光源、ハロゲン光、およびレーザーからなる群から選択される光源を有する、実施形態152に記載の装置。
[実施形態154]
前記エネルギー源が、熱コントローラである、実施形態121~153のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態155]
前記エネルギー源が、電気、化学、磁気、電磁気、光子、音響、加熱、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態121~153のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態156]
前記部材が、酸素透過性でない、実施形態121~155のいずれか一項に記載の装置。