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特許7343948各指の摘み用突起部を有する手袋及びその手袋による手指の抜き取り方法
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  • 特許-各指の摘み用突起部を有する手袋及びその手袋による手指の抜き取り方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】各指の摘み用突起部を有する手袋及びその手袋による手指の抜き取り方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
A41D19/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023066237
(22)【出願日】2023-04-14
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2023006451
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502409042
【氏名又は名称】有限会社東興金属
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】上田 啓輝
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-173317(JP,A)
【文献】米国特許第05768711(US,A)
【文献】特開2021-191909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指ごとの指挿入部が設けられているとともに手から手首側を覆う手首側挿入部を備えた手袋において、前記指ごとの指挿入部の長さ方向に沿うように各指の摘み用突起部が設けられ、左右の手の互いの指の摘み用突起部を他方の手の各指の摘み用突起部により挟持して手袋から外すために、前記各指の摘み用突起部は、左右の手袋の指ごとに設けられており、左右の一方の前記各指の摘み用突起部と他方の前記各指の摘み用突起部には、対応する凹凸形状や凹凸模様の係止部により互いに係止できることを特徴とする摘み用突起部を有する手袋。
【請求項2】
前記各指の摘み用突起部は、指の爪のある表面側に設けられるものであって、指の爪の位置から指の第1関節に及ぶ位置まで長さを有するか、指の第1関節の位置から第2関節の位置まで及ぶ長さを有するか、又は、前記手の甲の指側に突起する中手指節関節の位置に各指側から向けて所定長さ有することを特徴とする請求項1記載の摘み用突起部を有する手袋。
【請求項3】
指ごとの指挿入部が設けられているとともに手から手首側を覆う手首側挿入部を備えた手袋において、指の関節部の位置、及び/又は、手の甲の各指側に突起する関節(中手指節関節)の位置に、手の指で摘まむための各指の摘み用突起部が設けられており、この手袋をしたままの状態で、左右の手の互いの指の摘み用突起部を他方の手の各指の摘み用突起部により挟持して手袋の手の指から外すことを特徴とする摘み用突起部を有する手袋による手指の抜き取り方法。
【請求項4】
指ごとの指挿入部が設けられているとともに手から手首側を覆う手首側挿入部を備えた手袋において、指の爪の位置から指の長さ方向に沿うように各指の摘み用突起部が設けられているか、又は、手の甲の指側に突起する中手指節関の位置に各指側から向けて所定長さ有する各指の摘み用突起部が設けられており、この手袋に手指を入れたままの状態で前記各指の摘み用突起部の一方の手の摘み用突起部を他方の手の指の摘み用突起部により挟持して手袋から外すことを特徴とする摘み用突起部を有する手袋による手指の抜き取り方法。
【請求項5】
前記左右の一方の前記各指の摘み用突起部と他方の前記各指の摘み用突起部には、対応する凹凸形状や凹凸模様の係止部により互いに係止することを特徴とする請求項3又は4記載の摘み用突起部を有する手袋による手指の抜き取り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニール製、ナイロン製、ゴム製、ウレタン製等の手袋の各指や、手の甲の各指側に突起する中手骨の関節(中手指節関節)の位置に、指で摘まむための各指の摘み用突起部を設けた摘み用突起部を有する手袋及びこの手袋を使用したに関する。
【背景技術】
【0002】
手袋としては、毛糸や綿の手袋、布地の手袋、革製の手袋、軍手、これら手袋の手のひら部分に樹脂やゴム(シリコンゴムを含む)などをコーティングした手袋であって背(手の甲)の部分はコーティングされていない手のひらコート(背抜き)手袋(軍手の手のひらにスベリ止めを付けたスベリ止め手袋を含む。)や、ビニール製、ナイロン製、ゴム製、ウレタン製等の種々の手袋があり、その用途も、防寒用のものから、作業用のもの、手術用のもの、食器の洗浄や掃除・洗濯の際の水洗いなどに使用するものなど種々の用途のものが広く知られている。
そして、前記合成樹脂製の手袋を作業で使用した後などに、手や指から手袋を外すときに外し易いようにするために、市販品のビニール製等の手袋の中には、手袋の手のひら側に凹凸模様を施されるとともに、指の爪の表面側にも凹凸模様を施すなどして、手のひらでの把持力を高めるものや、食器等を洗うときの汚れ落としに利用するものがある(図9(a)(b)(c))。また、特許文献としては、手袋の表面に模様や凹凸や突起等を設ける工夫がされたものがある(特許文献1と2)。また、各指の内部表面に手の皮膚との密着面を減少させるための突起を設けて、皮膚アレルギーに対応するための隙間を設けるものも開示されている(特許文献3)。また、特許文献4には、着脱用摘み部分付きゴム手袋製造方法とそのゴム手袋が開示されている。
【0003】
特許文献1には、その要約において、「(目的)従来の手袋をつけた状態で困難だった,体を掻く、つまむ等の作業をある程度可能にした全指先の先端に爪を設けた手袋」であるとし、「(構成)従来の手袋の全指先の先端に人の爪程度の硬度の爪を2~3ミリセンチ指先より出して設け、細かい作業を可能にしたものである」技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、その要約において、「(課題)継ぎ目の無いシリコンゴム製にて表面に凸凹を作り、表面が適度に硬く清潔、熱湯消毒、乾燥機の使用にも問題ない、また両面に凸凹面を付けてあるので左右の手どちらでも使用できる、水分をシャットアウト手袋の中にしみこむことがない、内側に凸面を付けたので滑りにくい事で硬いフタ開けにも、耐熱温度約220度C、耐冷温度約-30度C、5本指なので家庭のクッキングや業務用に快適な作業を提供できる事を特徴とする。」とし、「(解決手段)手袋の表面両面に凸凹がすべり止めそして左右の手どちらでも使用が可能、内面にも凸面部分で、滑らないシリコンゴムが熱をガード熱いもの冷たいものの食品調理が早く出来る。直接食品に触れないので手をやけどすることも解消、調理を楽しめる。この手袋はクッキング作業が使用する人に利便さと興味と驚きを提供する」ことが開示されている。
【0005】
特許文献3には、その要約書に「(課題)手の蒸れや内部表面素材などによるアレルギー症状の発生などといった不快感を解消したゴム手袋を提供する」とし、「(解決手段)ゴム手袋において、各指挿入部分内面の第1関節から指の根元に対応する部分に3~4本の突起を設け、手の甲と平に対応する部分に4~5本の突起を設けることで、装着時に手袋内部表面と指及び手の甲と平の皮膚が密着する面積を可能な限り少なくし、その手首に対応する開口部から手袋内部の空気と外気が自由に循環することとなり、長時間の着用を可能とする」技術が開示されている。そして、「内部表面に手の皮膚との密着面を減少させるための突起を設けたゴム手袋について、各指挿入部の第1関節から指の根元に対応する部分には、装着時の指と平行して長さ1センチメートル~3センチメートル幅3ミリメートル高さ3ミリメートル~5ミリメートルの突起を3~4本、手の平と甲に対応する部分には、長さ5センチメートル~10センチメートル幅3ミリメートル高さ3ミリメートル~5ミリメートルの突起を4~5本設置したゴム手袋」として特許が認められている。
さらに、特許文献4には、その請求項2において、「表裏を裏返して形成されたゴム手袋であって、当該ゴム手袋の一部に、突起がたのつまみ分が形成されており、当該つまみ部分は、前記表裏を裏返した際に内部側に位置していたものが押し出されることによって形成されているゴム手袋。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-168621号公報
【文献】実用新案登録第3149328号公報
【文献】特許第5624204号公報
【文献】特許第6353870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記各種の指ごとの指挿入部が設けられている手袋において、作業で使用した後などに、手や指から手袋を外すときには、手の指に密着した状態であると、手袋を取り外すことが難しくなる場合がある。特に、水洗い等の作業により皮膚からの汗や水が付着している場合は、手袋の内面と手とが密着して、手から手袋を外すことが困難になることが多かった。また、合成樹脂製の手袋がビニールやナイロン製などの薄手の使い捨て手袋では、密着力が高く、手や指から外すことは容易ではなかった。
このため、特許文献4などには、摘み部分を設けたものが開示されているが、指ごとの指挿入部が設けられている手袋においては、まず指に密着した状態を解除しなければならないが、その解除が難しという問題を有していた。なお、左右の手袋をしたままの状態では、他方の手袋の素材によっては、滑ってしまったりして、指を手袋から抜くことが困難で、無理やり破り取る事態も見受けられた。すなわち、左右の手袋をしたままの状態で、左右の指と指の動作で、指を手袋から抜き取ることは容易ではなく、一本ずつ指ごとに外していくなどの面倒な除去作業となっていた。
しかしながら、手の指に作業による汗などが付着していると、手袋と手や指が密着して、上手く取り出すことはできないことが多い。特に、指に汗や水が付着して密着している場合や、ビニールやナイロン製などの薄手の使い捨て手袋では、上手く取り外すことが困難で、力を入れると破けてしまう場合もあった。
また、左右の手に手袋をしたままの状態では、他方の手袋の素材によっては、滑ってしまったりして、指を手袋から抜くことが困難で、無理やり破り取るか、或いは、誰かに外してもらうかするしかなかった。すなわち、左右の手袋をしたままの状態で、左右の指と指の動作で、指を手袋から抜き取ることは容易ではなく、一本ずつ指ごとに外していくなどの面倒な除去作業となっていた。また、手首側から手指を抜き取る方法があるが、この方法では、手袋が裏返ってしまい、再度表に戻さないと、使用ができないものとなっていた。
【0008】
そこで本発明の目的は、手袋に手の指が密着している状態でも手や指から外し易くすることができる摘み用突起部を有する手袋を提供することにある。また、本発明の目的は、手袋に手の指が密着している状態でも、一本一本指を手袋から外すのではなく、数本の指を同時にまとめて手袋から抜き取り易くする各指の摘み用突起部を有する手袋による抜き取り方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、指ごとの指挿入部が設けられているとともに手から手首側を覆う手首側挿入部を備えた手袋において、前記指ごとの指挿入部の長さ方向に沿うように各指の摘み用突起部が設けられているか、又は、指の位置から各指側に突起する関節(中手指節関節)の位置まで及ぶ長さ方向に各指の摘み用突起部が設けられていることを特徴とする摘み用突起部を有する手袋である。前記各指の摘み用突起部は、指の関節部の位置、及び/又は、手の甲の各指側に突起する中手骨の関節(中手指節関節)の位置に設けられていることが好ましい。
ここで、前記各指の摘み用突起部は、手袋と同じ材質で一体に作られるか、又は、手袋とは別の挟持用クリップとして作られるものでも良い。前記各指の摘み用突起部は、手の指と指で摘む大きさや高さが必要であり、人差し指や中指の場合は(基準としての大きさは)、高さが5mm~15mm程度、幅が5mm~10mm程度、長さが15mm~30mm程度が必要である。親指の場合は、これらよりも大きなものが必要になり、小指や薬指の場合は、これらよりも小さなものが必要になる。また、前記各指の摘み用突起部は、前記指の関節部や中手骨の関節(中手指節関節)の位置であれば、指の爪のある表面側であっても、手のひら側であっても、指の側面側にあっても良い。
なお、本明細書中では、手の甲の各指側に突起する中手骨の関節(中手指節関節)を含めて、前記各指の摘み用突起部として説明する。用語の説明としては、中手骨と指骨(基節骨)の関節は中手指節関節でMP関節とも呼ばれている。
本発明によれば、手袋から手や指を外そうとしたときに汗や水で手と手袋が密着していたり、ビニール製等の密着性の高い薄手の手袋であっても、前記摘み用突起部を指と指で摘んで、指先を手袋の指先挿入部から抜き取り易くすることができる。前記各指の摘み用突起部は、手の指と指で摘む大きさや高さを有するので、親指と人差し指のほぼ全域で挟み込んで確実に指を指先挿入部から外すようにすることができる。なお、複数本の指で同じ動作をまとめて行うと手袋から手を外しやすくできる。
また、前記摘み用突起部を挟持用クリップで構成して、手を手袋に挿入したときに隙間が生じて素材の余った部分を引き出して挟持すると(余った部分を挟み込む凹状の溝を有する)、指を指先挿入部に挿入したときの隙間を無くしてピッタリのサイズにすることができる。
なお、前記摘み用突起部に開口凹部を設けて、素材の余った部分を引き出すようにしても良い。また、前記硬質の部分と合成樹脂製の手袋の柔らかい部分が生じて指と指が引っ掛かり易くすることが好ましい。
本発明としては、前記各指の摘み用突起部は、前記手袋に手の指を挿入したときに隙間が生じて素材の余った部分を挟む挟持用クリップとして構成されていることが好ましい。この挟持用クリップは、ゴム製や合成樹脂製であり、その弾力性を利用して内部空隙を広げることができ、前記手袋に手の指を挿入したときに隙間が生じて素材の余った部分を挟み込むんで熱融着や接着剤で止めてから元に戻すと、前記内部空隙の狭圧部(内側に突出した部分)で前記素材の余った部分を挟み込んで抜けにくくする挟持用クリップである。このような挟持用クリップを使用すると、手袋とは別体で前記各指の摘み用突起部を作ることができ、これを使用しないときは外して、元の手袋をそのまま使用できる。
そして、左右の手袋をしたままの状態で、互いの前記各指の摘み用突起部を使用して(重ね合わせるようにして)、左右の手袋の一方側を手から抜き取ることが容易に行うことができる。
【0010】
本発明としては、前記摘み用突起部は、指の表面側(爪のある表面側)に設けられるものであって、指の爪の位置から指の第1関節に及ぶ位置まで長さを有するか、指の第1関節の位置から第2関節の位置まで及ぶ長さを有するか、又は、前記指関節部や中手骨の関節(中手指節関節)の位置を除く前後に前記各指の摘み用突起部を設けることを特徴とする。
ここで、指の関節部(手の甲の指側に突起する中手骨の関節を含む)を曲げながら、前記摘み用突起部を指と指で挟んで指の先端側に向かって引っ張ることが好ましい。なお、従来は、いずれも手の指を真っ直ぐにした状態で(指の先端部から真っ直ぐに(平衡状態)に引き抜こうとするものが多く)、上手く抜くことは容易ではなかった。
本発明よれば、爪の位置(指の表面側)では、指の汗や水が付着していないために、この位置から第1関節の位置までの長さを有すると、前記摘み用突起部を指と指で挟んで抜き取り易くなる。なお、手のひら側や側面側では、他の指と接触したり、手でつかむ場合の障害になる場合があるが、指の表面側ではこのような支障はない。また、指の関節部(手の甲の指側に突起する中手骨のMP関節を含む)では、指の関節部の密着力が早く失われるようになり、前記各指の摘み用突起部を指と指で摘んで手袋から抜き取り易くすることができる。また、前記中手骨の関節(中手指節関節)の位置から手の指側の方向に向けて所定長さを有するものでは、手の甲近くまで、手袋を引っ張る力が働いて、手袋から手を抜き取り易くできる。さらに、前記指関節部や中手骨の関節(中手指節関節)の位置を除く前後に前記各指の摘み用突起部を設けることにより、前記指関節部や中手骨の動作が行いやすくなるので(各指の摘み用突起部に邪魔されずに動かせるので)、指からの抜き取り動作が行いやすくなる。
【0011】
また、本発明としては、前記各指の摘み用突起部は、前記指の関節部の位置と前記中手骨の関節(中手指節関節)の位置において、くの字状に手のひら側に曲げられて形成されているか、又は、前記指関節部や中手骨の関節(中手指節関節)の位置を除く前後に前記各指の摘み用突起部を設けることでくの字状に手のひら側に曲げられて形成されていることを特徴とする。ここで、前記摘み用突起部はそのくの字状の中途部で引き出し用の穴が形成されて前指の関節部を露出させても良い。前記指関節部の動きを動きやすくするためである。前記引き出し用穴としては、前記各指の摘み用突起部のどの位置でも良いが、前記各指の関節部の位置に設けても良い。
本発明によれば、くの字状に曲げられていると、指先側に引っ張ると、その方向と手のひら側の二方向に力が働いて(指の長さと平行な方向と、引き下げる方向に力が働いて)、確実に指を指先挿入部から外すようにすることができる。このとき、前記各指の関節を手のひら側の下方に曲げるようにすると、上記引っ張り動作と相まって外しやすくなる。また、くの字状の中途部で指の関節部を露出させるようにしたり、又は、前記指関節部や中手骨の関節(中手指節関節)の位置を除く前後に前記各指の摘み用突起部を設けることでくの字状に手のひら側に曲げられて形成されているもので、同じように指関節部や中手骨の動作に支障がないようにできる。
【0012】
本発明としては、前記各指の摘み用突起部は、その長手方向の前後端に膨出部が設けられているとともに、これら前後端の中央部分では幅狭の部分が形成されているか、又は、前記各指の摘み用突起部は、前記指関節部の位置や前記中手骨の関節(中手指節関節)の位置に対応した引き出し用の穴が形成されていることを特徴とする。ここで、前記膨出部分は硬質の素材により形成し、前記中央の部分は柔らかい素材により形成して、指と指で挟んだ時に指が硬質の膨出部分に引っかかるようにすることが好ましい。
本発明によれば、前記摘み用突起部の中央部分を指と指で挟むと、前記膨出部分に指と指が引っ掛かり易くなるので、指と指で摘み用突起部を摘まみやすくできる。また、前記引き出し用の穴で指の関節部を露出させることで、関節部の動きが動きやすくなり、合成樹脂製等の手袋から取り外す作業を行い易くできる。
また、本発明としては、前記各摘み用突起部は、前記各手袋の素材と同じ素材で構成されていることを特徴とする。同じ素材であるから、作りやすく、別の素材を準備する必要がない。また、手袋の手のひら部分に合成樹脂やゴム(シリコンゴムを含む)などをコーティングした手袋であって背(手の甲の側)の部分はコーティングされていない手のひらコート(背抜き)手袋(軍手の手のひらにスベリ止めを付けたスベリ止め手袋を含む。)のように、前記各手袋の手のひら部分に合成樹脂やゴム(シリコンゴムを含む)などをコーティングしたものと同じ素材で構成されていることを特徴とする。本発明よれば、前記各摘み用突起部を合成樹脂やゴム(シリコンゴムを含む)などをコーティングしたものと同じ素材で構成することで、手のひら側のコーティングと同時に成型することができるとともに、指で挟持する形状を設計通りに作ることができる。
また、前記手袋は、ビニール製、ナイロン製、ゴム製、ウレタン製の手袋と、これらの手袋の上に更に被せて使用する被服用の手袋であり、前記各指の摘み用突起部、及び/又は、前記中手骨の関節(中手指節関節)の位置の中手指節用の摘み用突起部は、これらの2つの手袋の対応する位置に各々設けられているとともに、互いに対応する位置に他方側の前記各指の摘み用突起部を収容する収容部が設けられていることを特徴とする。
本発明よれば、二枚重ねの手袋を同時に手や指から抜き取ることができる。
【0013】
また、本発明は、指ごとの指挿入部が設けられているとともに手から手首を覆う手首側挿入部を備え、合成樹脂製の手袋の各指の摘み用突起部が指の関節の位置(手の甲の指側に突起する中手骨を含む)に設けられており、指の関節部(手の甲の指側に突起する中手骨を含む)を曲げながら、前記各指の摘み用突起部を指と指で挟んで指の先端側に向かって引っ張ることを特徴とする。ここで、引っ張る方向としては、指の先端側に向かって引っ張っても良いが、指の長さと平行な方向と、引き下げる方向(手のひら側に向けた方向)に力が働かせるようにすることが好ましい。
本発明によれば、指の関節部を曲げながら、前記摘み用突起部を指と指で挟んで指の先端側に向かって引っ張ることにより(くの字状を呈するので下方側にも引っ張る力が働く)、指の関節部の密着力が早く失われるようになり、前記摘み用突起部を指と指で摘んで手袋から抜き取り易くすることができる。
本発明としては、前記手の甲の指側に突起する中手骨は、親指、人差し指及び/又は中指の基端側に位置する中手骨であって、これら指の関節(中手指節関節を含む)の位置からこれらの中手骨の部分を曲げながら、前記摘み用突起部を指と指で挟んで引っ張るか、又は、親指を曲げて、他の指で親指を握るように曲げながら、前記摘み用突起部を指と指で挟んで引っ張ることが好ましい。
本発明よれば、手の甲側の中手骨の部分から曲げながら、次に第1と第2の指の関節部分や中生骨の位置で曲げながら摘み用突起部を引っ張ると、手の甲側であることから手首側から外し易くなり、次いで他の指の関節部を曲げながら前記摘み用突起部を他方の手の指と指で挟持して抜き取るようにすると、手袋から手の全体を早く外すことができる。
また、本発明としては、前記各指の摘み用突起部を左右一対の手袋に各々備えた手袋に左右の手を挿入した状態において、左右の一方側の前記各指の摘み用突起部を他方側の前記各指の摘み用突起部により挟持して、前記一方の各指の摘み用突起部を他方の指と指で複数本を同時に挟んで引っ張ることを特徴とする。ここで、前記左右一対の一方側の前記各指の摘み用突起部と他方側の前記各指の摘み用突起部には、互いに係止し合う凹凸形状や凹凸模様が施されていることが好ましい。
本発明よれば、左右の手に前記各指の摘み用突起部を互いに係止し合うようにして(複数本の指を同時に係止しても良い)できるので、滑りを防止しつつ、左右の一方の手から前記各指の摘み用突起部を有する手袋から抜き取ることを容易に行うことができる。
また、指ごとの指挿入部が設けられているとともに手から手首側を覆う手首側挿入部を備えた手袋において、指の関節部の位置、及び/又は、手の甲の各指側に突起する関節(中手指節関節)の位置に、手の指で摘まむための各指の摘み用突起部が設けられており、この手袋をしたままの状態で、左右の手の互いの指の摘み用突起部を他方の手の各指の摘み用突起部により挟持して手袋の手の指から外すことを特徴とする摘み用突起部を有する手袋による手指の抜き取り方法である。
本発明よれば、左右の手袋をしたままの状態で左右の一方の前記各指の摘み用突起部と他方の前記各指の摘み用突起部とを重ね合わせるが、複数本の指をまとめて重ね合わせてから、各指を同時に抜き取るようにすると、効率的に手指を抜くことができる。この場合、数本の指をまとめて抜き取りようにすると(5本全部である必要はない)、他の指も引きずられようにして、同時に抜き取ることができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、指で摘まむ摘み用突起部を指と指で摘まんで引っ張ると、手袋に手や指が汗や水で密着している状態でも手や指から外し易くすることができる。
そして、左右の手袋をしたままの状態で、左右の手の互いの前記各指の摘み用突起部を重ね合わせるようにして(複数本の指を同時に重ね合わせても良い)、手袋から手を抜き取ることが容易になる。
また、指の関節部(手の甲の指側に突起する中手骨を含む)を曲げながら、前記摘み用突起部を指と指で挟んで指の先端側に向かって引っ張ることにより(指の関節部の密着力が早く失われるようになり)、前記摘み用突起部を指と指で摘んで手袋から抜き取り易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態の手袋を示す斜視図である。
図2】上記第1の実施形態の手袋の例を示す図である。
図3】上記第1の実施形態の手袋の例を示す図である。
図4】上記第1の実施形態の手袋の抜き取り方法を説明する図(写真)である。
図5】上記第1の実施形態の摘み用突起部の位置を説明する図である。
図6】上記第1の実施形態の手袋の抜き取り方法を説明する図(写真)である。
図7】上記第1の実施形態の摘み用突起部の他の例を説明する図である。
図8】本発明の第2の実施形態の手袋を示す斜視図である。
図9】従来の合成樹脂製の手袋を示す図(写真)である。
図10】本発明の第3の実施形態の手袋を示す斜視図である。
図11】上記第1の実施形態の手袋の抜き取り方法を説明する図(写真)である。
図12】本発明の第4の実施形態の手袋を示す斜視図である。
図13】上記第4の実施形態の手袋の抜き取り方法を説明する図(写真)である。
図14】上記第4の実施形態の他の手袋の例と抜き取り方法を説明する図(写真)である。
図15】上記第4の実施形態の他の手袋の例と抜き取り方法を説明する図(写真)である。
図16】上記第4の実施形態の他の手袋の例と抜き取り方法を説明する図(写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図面を引用しながら説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態を示す斜視図であり、図2図3は、上記実施形態の断面図であり、図4は、本実施形態の他の例を示す図であり、図5は、摘み用突起部K1~K3が配置される位置を説明する図である。
本実施形態は、食器の洗浄や掃除・洗濯の際の水洗いなどに使用するビニール製、ナイロン製、ゴム製、ウレタン製等の合成樹脂製の手袋であって、指ごとの指挿入部が設けられているとともに手から手首を覆う手首側を備える。そして、手の指(親指F1、人差し指F2、人差し指F3、薬指F4、小指F5)に摘み用突起部K1が設けられている。なお、中手骨T3の位置に配置される摘み用突起部K3も指の摘み用突起部に含まれるものとして説明する。
【0018】
各指の摘み用突起部K1は、指ごとの上方の位置(爪Taの位置の上方)に設けられるものであり、指F1と指F2で挟み込んで指から手袋1の指挿入部分を抜きやすくする。前記摘み用突起部K1は、合成樹脂製の手袋1と一体的に押出プレスにより製造するものである。
前記摘み用突起部K1は、手の指と指で摘む大きさや高さが必要であり、親指の長手方向を利用して人差し指との間で挟むようにすることが好ましい(図1(b))。このため、人差し指や中指では(大人の手の場)、高さが5mm~15mm程度、幅が5mm~10mm程度、長さが15mm~30mm程度が必要である。手の指と指で確実に摘まむためであるが、親指F1の長手方向を使って引っ張ることが好ましい。親指F1の関節部T1~T3の場合は、これらよりも大きなものが必要になる。また、中手指節用の摘み用突起部K3もこれらよりも大きなものが必要になる。
【0019】
各指の摘み用突起K1~K3は、各指挿入部の各先端側の表面側に指を挿入したときの指先の位置(爪Taの上の表面側の位置)から第1関節T1の位置にかけて指で摘まむ摘み用突起部K1を設けることが好ましい。そして、指の先端方向に引っ張っても、下方側(手のひら側)にも力が働くように、くの字状に形成することが好ましい(図2(b)、図4(b))。なお、単に引っ張る場合であれば、前記摘み用突起部K1は、指の裏面側に設けても良く、指の側方の位置に設けることも可能である。
【0020】
図3(a)~(c)の実施の形態の摘み用突起部K1は、その長手方向の前後に膨出部4a,4bが設けられ、これらの間に幅狭部が設けられており、また、下方側が幅狭のくびれ部分3が設けられている。摘み用突起部の前後に傾斜部を設けて、指と指が引っ掛かりやすくすることが好ましい。
したがって、指(親指)と指(人差し指)を前記摘み用突起部K1に沿って挟み込むようにしたときに、指が前記くびれ部分3や膨出部4a,4bに指が掛止して力を入れて手袋から指を抜きやすくする。
【0021】
図7は、人差し指F2の第2の関節部T2に配置される摘み用突起部K2である。第2の関節部T2に配置される摘み用突起部K2は、第2の関節部T2では指を曲げる角度が大きくできるので、くの字状の角度を大きくしている。また、くの字状の前夫側と後方側との間に開口部8が設けられており、合成樹脂製の手袋1の生地1aの一部を引き出すことができる。これは、手袋1の生地を一部取り出すことで、この生地1aとともに指F1と人差し指F2により挟み込んで生地1aを摘まんで外しやすくするためである。そして、第2の関節部T2に配置される摘み用突起部K2の材質を合成樹脂製の手袋1の生地1aよりも硬質なものとすることで、引っ張る動作の指と指で挟みやすくなるようにしている。
ここで、前記開口部8は、前記指の関節部T1~T3の位置に対応して設けることが好ましい。指の関節の曲げ動作を行いやすくするためであるが、前記各指の摘み用突起部K1~K3における長手方向の中途部に前記開口部8を設けて、前記指の関節部T1~T3の曲げ動作を行いやすくする(図6(b))。図6(b)の例では、前記指の関節部T1~T3全体を前記各指の摘み用突起部が覆うようにしつつ、前記開口部8から指の関節部T1~T3を露出させるようにしている。また、図5(b)例では、前記各指の摘み用突起部K1~K3を連結して各々の指でひとつにしたものであるが、その連結部の位置に対応して前記開口部8を設けて、指の関節部T1~T3を露出させるようにしても良い。
【0022】
前記中手指節用の摘み用突起部K3は、合成樹脂製の手袋1の全体を抜く作業を行うと抜く作業が行い易くできるものであり、特に手首側から手を抜くときに有効な動作ができ、くの字状(曲面形状)を呈して、曲げるように引っ張って抜くとさらに容易に手を抜くことができる(図5図6を参照)。手の指の関節T1~T3の位置では、指が曲げられる角度が大きいので、本実施形態は、この曲げる位置での手や指の動作と共に、曲げる力を利用して、手や指から手袋1を抜きやすくする。
上記構成の中手指節用の摘み用突起部K3を親指F1と人差し指F2により挟持して手の指の挿入部から指を抜くことを容易にするが、さらに、中手指節用の摘み用突起部K3は手の甲側に設けられているので、手首側を手袋1から外すことをも容易にする。なお、各指の摘み用突起部K1を外した後に、前記中手指節用の摘み用突起部K3を使用しても良い。
【0023】
本実施形態によれば、上記摘み用突起部K1を指の爪Taの位置に対応する位置に設けると、指の爪Taまで及ぶことを利用して、指挿入部から指を抜きやすくできる。すなわち、爪Taの位置では、皮膚から生じる汗や水が付着し得いないので、指の爪Taの位置から指の第1関節T1に位置する長さや、これよりも長く第2の関節T2を設けることで、指と指(親指F1と人差し指F2)で摘み用突起部K1を摘んで確実に手や指を手袋から外すことができるようになる。この場合は、指先方向に向かって真っ直ぐに引っ張っても、上手く指を抜くことができるが(図1(b))、第1関節T1を曲げるようにすると、指の関節部T1~T3の密着力が早く失われるようになり、早く楽に抜くことができる。
また、図7(a)(b)に図示するように、くの字状に曲げられていると(指先側に引っ張ると)、その方向と手のひら側の二方向に力が働いて(矢印を参照)、指の長さと平行な方向と、引き下げる方向に力が働くので、指(人差し指の関節部T1~T3を曲げた状態)の仮想線Yを参照)が折り曲げられて、指挿入部からの密着量を早く解放できるので、指挿入部から指を早く、かつ、弱い力で抜くことができる。すなわち、上記中手骨T3や第1と第2の関節部T1,T2では、指の曲がる動作があるので、指先に向かって平行に引き出しても、くの字状の前記摘み用突起部K1,K2,K3により、下方の手のひら側にも引っ張る力が働く。
そして、複数本の指を各指先挿入部から抜く動作を各々行っても良いが、各指のいくつかに前記摘み用突起部K1を設けて、同時に引き抜く動作を同時に行っても良い。指が抜けると、合成樹脂製の手袋1は手首側からも容易に外すことができる。
【0024】
また、最も効率の良い抜き取り方としては、図1(b)と図5の1~3の符号の順で抜き取り動作を行うことが早く抜くことができる。すなわち、手の甲の指側に突起する中手骨T3は、親指、人差し指及び/又は中指の基端側に位置する中手骨の関節T3であって、これらの関節位置T3から曲げながら、前記摘み用突起部K3を他方の指F1と指F2で挟んで指の先端側に向かって引っ張ることから始めると良い。このとき、親指を手の指で握るようにすると、親指が抜きやすくなる。すなわち、まず最初に親指F1を内側に曲げるようにして(手を小さく丸めるようにしてから)、その曲げられた親指を他の指で握るようにしてから、次に開いて、各指の各々の曲げ動作行うと、手の全体を早く外すことができるようになる。また、手の甲の指側に突起する中手骨T3を最初に曲げるようにして、次に第2の指の関節部T2、次に第1の関節部T1を曲げながら各指の摘み用突起部K3、K2、K1の順で行うと、手の甲の位置する側の手首側を早く抜くことができるので、手の全体を早く外すことができるようになる。
【0025】
前記摘み用突起部K1,K2,K3は、常温で硬化する発泡樹脂である常温硬化性発泡樹脂で充填して製造できる。常温硬化性発泡樹脂としては、発泡ポリウレタン樹脂や発泡ポリエチレン樹脂等を使用して硬化させたり、接着剤を使用して成型してもよい。このように、上記各摘み用突起部K1,K2,K3は、プラスチック等の合成樹脂製のものを成形することもできる。
【0026】
(第2の実施形態)
本実施形態は、挟持用クリップK4を使用して、各指の摘まみ部と手首側の挟持用クリップを使用して成形する。プラスチック等の合成樹脂製で構成しても良いが、弾性力を有する金属製で構成しても良い(図8(a)(b))。この挟持用クリップK4は、前記摘み用突起部K1~K3と同じように、合成樹脂製の手袋よりも硬質な部材であるが、底部にくびれ部3を有するとともに、前方側膨出部4aと後方側膨出部4bとを備え、更に、これらの前後の膨出部の間に開口部8が設けられており、生地1aの余った部分を引き出すことができる。そして、指と指で挟むと、前記硬質の部分と合成樹脂製の手袋1の柔らかい部分8が生じて指と指が引っ掛かり易くできる構造である。そして、指の関節部T1~T3でくの字状に開口部8を介して折れ曲がるようにして所定の長さを有しており(断面で8の字状)、親指F1の長さで人差し指F2とともに前記挟持用クリップK4を挟み込む大きさである。図8(a)の符号7は、前後の膨出部を外周から補強する補強部材7であり、前記くびれ部分3を強力に締め付けることで、くびれ部分3に弾性力を発揮させる部材である。
上記挟持用クリップK4は、第1の実施形態を製造する際の型としても利用できる。すなわち、挟持用クリップK4に前記常温硬化性発泡樹脂を充填して接着剤と共に成型してから、前記型としての挟持用クリップを外しても、合成樹脂製の摘み用突起部K1~K3として設けることができる。このように、本実施形態によれば、前記各指の摘み用突起部K1~K3を挟持用クリップ状の型として製造して、指と指により確実に挟持できる挟持用部材として設けることができる。本実施形態の挟持用クリップK4にも、前記開口部8を設けて指の関節部T1~T3の曲げ動作を行い易くすることが好ましい。なお、挟持用クリップK4の構造は、後述する図14(a)(b)や図15(a)(b)のような構造でも良い。
【0027】
(第3の実施形態)
本実施形態は、挟持用クリップK5を使用して、各指の摘まみ部を成形したものである(図10(a)~図10(b))。溝ゴム(凹状のゴム)やプラスチック等の合成樹脂製で構成したものであるが、シリコーンゴムを使用しても良い(図10(a)(b))。この挟持用クリップK5は、手袋の素材を挟持して、融着させたものであるが、その挟持方向に弾性力を発揮させることができる。すなわち、この挟持用クリップKc1,Kc2は、挟持用の隙間Kndが設けられており、そのゴム製の弾力性をもって手袋の生地を挟み込むことができるクリップ構造になっている(図14(a)(b))。また、この挟持用クリップKc1,Kc2の左右の側壁部は、対応する凹部Km1と凸部Km2とが設けられており、重ね合わせて係止できるようになっている。したがって、左右の手が手袋をしたままでも、左右の手袋の一方の挟持用クリップKc1と他方の挟持用クリップKc2の前記凹凸部Km1とKm2とを重ね合わせ掛止することで、手袋をしたままでも手指を手袋から抜き取ることが容易になる(図13)。
本実施形態によれば、前記摘み用突起部をクリップ状の型として製造して、指と指により確実に挟持できる挟持用部材として設けることができる。なお、そして、指の関節部T1~T3でくの字状に開口部8,18を介して折れ曲がるようにして所定の長さを有しており(断面で8の字状)、親指F1の長さで人差し指F2とともに前記挟持用クリップK4を挟み込む大きさである。なお、本実施形態のクリップK5にも、前記開口部8を設けて指の関節部T1~T3の曲げ動作を行い易くすることが好ましい。また、前記指関節部T1~T3や中手骨の関節(中手指節関節)の位置を除く前後に前記各指の摘み用突起部を設けることでくの字状に手のひら側に曲げられて形成されているもので良い。これらによれば、前記指関節部T1~T3の動きが動かしやすく、そのため、手や指を抜き取る動作を行い易くできる。
図10(b)は、指の関節部(手の甲の指側に突起する中手骨を含む)T1~T3を曲げながら、前記各指の摘み用突起部K5を指F1と指F2等で挟んで指の先端側に向かって引っ張ることにより、手から抜き取ることができる。この手袋の抜き取り方法において、複数本の指F1~F5で同じ動作をまとめて行うと手袋から手を外し易くすることができる。図10(b)は、人差し指から小指の4本の前記各指の摘み用突起部K5をまとめて指と指の間に挟持して、前記指を曲げながらの抜き取り動作を行うが、これにより残された親指の抜き取り動作も手袋から外し易くすることができる。
ここで、手袋の手のひら部分に合成樹脂やゴム(シリコンゴムを含む)などをコーティングした手袋であって背(手の甲の側)の部分はコーティングされていない手のひらコート(背抜き)手袋(軍手の手のひらにスベリ止めを付けたスベリ止め手袋を含む。)のように、前記各手袋の手のひら部分に合成樹脂やゴム(シリコンゴムを含む)などをコーティングしたものと同じ素材で構成されているものでも良い。本実施形態よれば、前記各摘み用突起部を合成樹脂やゴム(シリコンゴムを含む)などをコーティングしたものと同じ素材で構成することで、手のひら側のコーティングと同時に成型することができるとともに、指で挟持する形状を設計通りに作ることができる。
そして、前記各指の摘み用突起部を左右一対の手袋に各々備えた手袋に左右の手を挿入した状態において、左右の一方側の前記各指の摘み用突起部を他方側の前記各指の摘み用突起部により挟持して、前記一方の各指の摘み用突起部を他方の指と指で複数本を同時に挟んで引っ張ることができる(図10(b))。
ここで、前記各指の摘み用突起部K5は、指の関節部T1~T3の曲げ方向に湾曲(くの字状に曲がる)しているものが好ましく、その方向に曲げ動作を行いやすくできる。また、左右一対の手袋に各々備えた手袋に左右の手を挿入した状態において、左右の一方側の前記各指の摘み用突起部K5aを他方側の前記各指の摘み用突起部K5bにより挟持して、前記一方の各指の摘み用突起部K5a他方の指と指で複数本を同時に挟んで引っ張るためには、前記左右の一方側の前記各指の摘み用突起部K5aと他方側の前記各指の摘み用突起部K5bには、互いに係止合う凹凸Km1,Km2が設けられていることが好ましく、これにより係止しやすくなり、手袋から指を抜き取り易くすることができる。なお、本実施形態の前記各指の摘み用突起部K5は、すべて同じ合成樹脂素材であり、すべて同じ形状でも良いが、その左右の手袋で前記凹凸Km1,Km2を形成したりして、異なる形状に形成しても良い。
そして、上記各本実施形態において、左右の手に各々手袋を使用している場合は、図13(b)に示すように、一方の手袋の前記各指の摘み用突起部や前記中手骨の関節(中手指節関節)の位置の中手指節用の摘み用突起部により、他方側の前記各指の摘み用突起部K5や前記中手指節用の突起部を使用して(複数本同時でも良い)、互いの前記各指の摘み用突起部同士や前記中手指節用の突起部同士で互いに挟持するようにして手袋から指を抜くようにしても良い。
また、図16(a)に示すように、指の関節部T1~T3に境にして(中心にして)、この位置には前記各指の摘み用突起部K5cを配置しないで、空隙領域18として、この空隙18の前後に前記各指の摘み用突起部K5c、K5cを2つ配置して、指の関節部T1~T3の動きを動きやすくした状態で、2つの前記各指の摘み用突起部K5c,K5cを同時に挟持して、指から手袋を抜き取るものである。
また、図15(a)(b)に示すように、前記各指の摘み用突起部としては、前記手袋に手の指を挿入したときに隙間が生じて素材の余った部分を挟む挟持用クリップとして構成されている。この挟持用クリップK5は、ゴム製であり、その弾力性を利用して内部空隙5ndを広げることができ、前記手袋に手の指を挿入したときに隙間が生じて素材の余った部分を挟み込むんで熱融着や接着剤で止めてから元に戻すと、前記内部空隙5ndの狭圧部(内側に突出した部分)で前記素材の余った部分を挟みこんで抜けにくくする構成の挟持用クリップとしている。
【0028】
(第4の実施形態)
本実施形態は、軍手に本発明を適用したものであり、前記指の関節部T1~T3に軍手の素材と同じ素材で各指の摘み用突起部Kgを設けた(図11(a)(b),図12(a)(b))。軍手の材質には、糸の材質や太さ、編み目の細かさなどの違いで種々のものがあるが、例えば、純綿(燃えにくい、切れにくいといった特長がある)や、特紡(複数の種類の繊維を綿状にして製作された糸を使用した軍手)や、再生糸(使用済みのペットボトルなどから再生される)ものなどがある。これらの素材と同じ材質で前記各指の摘み用突起部Kgが設けられている。この軍手素材の前記各指の摘み用突起部Kgは、凸状に突部Kg1と平坦部Kg2とにより構成されて、軍手の本体の指の先端側において縫合されている。本実施形態としては、各指の摘み用突起部Kgに合成樹脂製やゴム製の挟持用のクリップで更に凸状の突部Kg1を挟持したもので構成しても良い(図12(b))。
なお、本実施形態においても、前記開口部8を設けて指の関節部T1~T3の曲げ動作を行い易くすることが好ましい。また、軍手の手のひら側に合成樹脂の凹凸模様を施したものがあるが、前記各指の摘み用突起部K6に前記凹凸模様や前記凹凸部K5a,K5bを設けて(図14(b)参照)、指で挟持する際に挟持しやすくして(滑り止め)も良い。
【0029】
また、図16(b)は、本実施形態の他の手袋とその使用例を示すものであり、前記手袋は、ビニール製、ナイロン製、ゴム製、ウレタン製の手袋と、これらの手袋の上に更に被せて使用する被服用の手袋との2つの手袋であり、二重等の多重にして使用されるものである。そして、前記指の関節部T1~T3を境にして一方の手袋の摘み用突起部K5が反対側の位置に他方の手袋の前記摘み用突起部K5zが設けられている。互いに対応する位置に他方側の前記各指の摘み用突起部を収容する収容部(図示せず)が設けられているものでも良く、二枚の前記各指の摘み用突起部を重ねて挟持して抜き取るものでも良い。また、前記各指の摘み用突起部や前記中手骨の関節(中手指節関節)T3の位置の中手指節用の摘み用突起部K5zは、これらの2つの手袋の対応する位置に各々設けられている。
本実施形態は、このように二重に重ねて使用される手袋において、各手袋の一方側の前記各指の摘み用突起部と他方側の前記各指の摘み用突起部を重ね合せるように挟持して、二枚の手袋を同時に手袋から抜き取るものである。
【0030】
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。本発明としては、ビニール製、ナイロン製、ゴム製、ウレタン製等で製造可能であるが、前記摘み用突起部K1~K3は、別体で作ったものを接着剤で接合したり、いわゆる二色の押出しプレスで一体的に製造することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 合成樹脂製の手袋、1a 隙間が生じて余った部分、
3 窪み部分(凹部)、4a、4b 摘み用突起部の前後端、
7 摘み用突起部の前端と後端の補強部材、
8 摘み用突起部の中間部分(開口部)、
K1 本発明の各指の摘み用突起部(第1関節用)、
K2 本発明の各指間の摘み用突起部(第2関節用)、
K3 本発明の中手指節用の摘み用突起部(中手指節用)、
K4,K5,K6,Kc1,Kc2,K5c 本発明の挟持用クリップ(各指の摘み用突起部)、
Kg,Kg1,Kg2 軍手の各指の摘み用突起部、
Km1 各指の摘み用突起部の凹部、Km2 前記各指の摘み用突起部の凸部、
Knd 各指の摘み用突起部の挟持用の隙間、
T1 指の第1関節、 T2 指の第2関節、 T3 指の第3関節(中手指節用)、
F1 合成樹脂製の手袋の親指、F2 人差し指、
F3 合成樹脂製の手袋の中指、F4 薬指、F5 小指、
Ta 爪、
T1 第1関節、T2 第2関節、
T3 中手指節関節(手の甲の指側に突起する骨で指の関節のように動作する部分)、
Y 指(人差し指の関節部を曲げた状態)の仮想線

【要約】
【課題】 手袋に手や指が密着している状態でも手や指から外し易くする。
【解決手段】 手袋1の各指の外周表面に指で摘まむ摘み用突起部K1~K5を設けたものであり、各指の第1関節用K1、指の第2関節用K2の位置において、くの字状に曲げられているか、手の甲の指側に突起する中手指節関節K3の位置において、くの字状に曲げられている。
【選択図】 図13

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16