(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/494 20060101AFI20230906BHJP
A61F 5/44 20060101ALI20230906BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A61F13/494 111
A61F5/44 H
A61F13/49 315Z
A61F13/49 319
(21)【出願番号】P 2019058240
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】水元 陽星
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-342623(JP,A)
【文献】特表平11-513264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性のトップシートと、非透液性のバックシートと、前記
トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体と含む本体と、
前記本体から起立可能な立体ギャザーとを備えた吸収性物品であって、
前記立体ギャザーは、前記本体の前記トップシート側の幅方向両側部に配置されたギャザーシートと、前記ギャザーシートを前後方向に沿って収縮させるように配置された糸状の弾性部材とを備え、
前記弾性部材は、前記立体ギャザーの自由端から離れた位置で、前記ギャザーシートに含まれる少なくとも1枚のシート材の各面にそれぞれ配置された第1弾性部材及び第2弾性部材を含み、
前記シート材は、前記立体ギャザーの固定端及び前記自由端から離れた任意の位置で折り畳まれていない、吸収性物品。
【請求項2】
透液性のトップシートと、非透液性のバックシートと、前記
トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体と含む本体と、
前記本体から起立可能な立体ギャザーとを備えた吸収性物品であって、
前記立体ギャザーは、前記本体の前記トップシート側の幅方向両側部に配置されたギャザーシートと、前記ギャザーシートを前後方向に沿って収縮させるように配置された弾性部材とを備え、
前記弾性部材は、前記立体ギャザーの自由端から離れた位置で、前記ギャザーシートに含まれる少なくとも1枚のシート材の各面にそれぞれ配置された第1弾性部材及び第2弾性部材を含み、
前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材は、前記立体ギャザーの起立状態で前記シート材の幅方向外面及び内面にそれぞれ位置し、
前記第2弾性部材の収縮力は、前記第1弾性部材の収縮力より大きい、吸収性物品。
【請求項3】
透液性のトップシートと、非透液性のバックシートと、前記
トップシートと前記バックシートとの間に設けられた吸収体と含む本体と、
前記本体から起立可能な立体ギャザーとを備えた吸収性物品であって、
前記立体ギャザーは、前記本体の前記トップシート側の幅方向両側部に配置されたギャザーシートと、前記ギャザーシートを前後方向に沿って収縮させるように配置された弾性部材とを備え、
前記弾性部材は、前記立体ギャザーの自由端から離れた位置で、前記ギャザーシートに含まれる少なくとも1枚のシート材の各面にそれぞれ配置された第1弾性部材及び第2弾性部材を含み、
前記ギャザーシートは、少なくとも部分的に複数のシート材が重ねられてなり、
前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材はそれぞれ前記シート材によって挟まれ、
前記第2弾性部材が配置された位置から固定端までの領域において重ねられたシート材の枚数は、前記第1弾性部材が配置された位置から自由端までの領域において重ねられたシート材の枚数より多い、吸収性物品。
【請求項4】
前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材は、前記立体ギャザーの起立状態で前記シート材の幅方向外面及び内面にそれぞれ位置し、
前記第2弾性部材は、前記第1弾性部材より固定端寄りに配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1弾性部材が配置された位置から前記自由端までの領域の幅は、前記立体ギャザーの全体の幅に対して20~60%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記立体ギャザーの前記自由端に配置された第3弾性部材を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品として、パッドタイプ、テープタイプ、パンツタイプといった形態の使い捨ておむつの他、生理用ナプキン、軽失禁用吸水パッド等が知られている。このような吸収性物品の中には、排泄物が吸収性物品の側方から漏れること(横漏れ)を良好に防止するための手段として、吸収性物品本体の幅方向両側部に、本体から肌側に起立する立体ギャザーを形成したものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、起立不能な基端部と、基端部を支点として厚さ方向の肌側に起立可能な起立部154とを含む立体ギャザー15を備えた使い捨ておむつが開示されている。上記基端部は、起立部154の長手方向の両外端縁に配置される第1基端部151と、起立部154の幅方向の外側縁に配置される第2基端部152とを有し、起立部154は、シート材同士が接合し、起立部の幅方向の長さを狭める接合部153を部分的に有する。当該構成では、接合部153が配置されているため、第2基端部152と立体ギャザー15の内側縁との距離が短くなり、立体ギャザー15の弾性部材155と、第2基端部152及び第1基端部151との間の張力がそれぞれ維持され易く、着用時に立体ギャザー15が幅方向の外側に倒れこむように展開し難くなることが記載されている(段落0005、0014等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の使い捨ておむつでも、装着者が横向きに寝た状態では、本体から起立した立体ギャザーは略水平方向に沿って延在することになってしまう(
図5)。そのため、液状排泄物が急激に排泄されることがあると、排泄物は立体ギャザーを伝って先端へと移行し、さらには立体ギャザーを越えて出てしまうことがあり、横漏れ防止機能を発揮できない場合がある。また、特許文献1に開示の使い捨ておむつは、接合部153によって立体ギャザーの高さを低く(第2基端部152と立体ギャザー15の内側縁との距離が短く)構成しているため、上記のように排泄物が立体ギャザーを伝ってしまう状況では、横漏れ防止機能は低下しやすい。
【0006】
上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、高い横漏れ防止機能を有する立体ギャザーを備えた吸収性物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、透液性のトップシートと、非透液性のバックシートと、前記両シートの間に設けられた吸収体と含む本体と、前記本体から起立可能な立体ギャザーとを備えた吸収性物品であって、前記立体ギャザーは、前記本体の前記トップシート側の幅方向両側部に配置されたギャザーシートと、前記ギャザーシートを前後方向に沿って収縮させるように配置された弾性部材とを備え、前記弾性部材は、前記立体ギャザーの自由端から離れた位置で、前記ギャザーシートに含まれる少なくとも1枚のシート材の各面にそれぞれ配置された第1弾性部材及び第2弾性部材を含む。
【0008】
上記第一の態様によれば、立体ギャザーの自由端から離れた位置に、ギャザーシートを前後方向に沿って収縮させるように配置された弾性部材を配置しているので、その位置を中心にギャザーが寄せられる。ここで、ギャザーが寄せられて剛性が増した位置は折れの基点となりやすいため、本態様では、弾性部材が配置された位置を基点として立体ギャザーが折り曲げやすくなる。これにより、弾性部材の収縮力によって両側部のギャザーシートが本体から立ち上がる際、立体ギャザーの自由端側の領域を幅方向内方に傾斜させやすくなる。よって、装着者が横向きで寝た状態(側臥位状態)になり、排泄物が立体ギャザーを伝って略水平方向に移行しても、立体ギャザーの自由端側の領域が壁となることができ、横漏れを防止することができる。
【0009】
さらに、本態様における弾性部材は、ギャザーシートに含まれる少なくとも1枚のシート材の各面にそれぞれ配置された第1弾性部材及び第2弾性部材であるので、シート材の両面から収縮力を加えることができ、シート材に、ひいてはギャザーシートにギャザーを寄せやすい。両面からギャザーを寄せることができることで、シート材の剛性がさらに増した折り曲げやすい基点を形成することができる。これにより、自由端側の領域を幅方向内方に傾斜させやすくするという上記作用をより確実に奏する。
【0010】
本発明の第二の態様では、前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材は、前記立体ギャザーの起立状態で前記シート材の幅方向外面及び内面にそれぞれ位置し、前記第2弾性部材の収縮力は、前記第1弾性部材の収縮力より大きい。
【0011】
上記第二の態様によれば、立体ギャザーの起立状態でシート材の幅方向内面に配置された第2弾性部材の収縮力が、幅方向外側に配置された第1弾性部材の収縮力より大きくなっているので、立体ギャザーの起立時には、弾性部材が配置されているシート材の幅方向内面は幅方向外面に比べて大きく縮むことになる。そのため、立体ギャザーも全体として、その内面が本体の中心(幅方向及び前後方向の中心)に向くように変形しやすくなる。よって、立体ギャザーの自由端側の領域を、固定端側の領域に対して幅方向内方により一層傾けやすくすることができる。
【0012】
本発明の第三の態様では、前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材は、前記立体ギャザーの起立状態で外側及び内側にそれぞれ位置し、前記第2弾性部材は、前記第1弾性部材より固定端寄りに配置されている。
【0013】
上記第三の態様では、立体ギャザーの起立時には、立体ギャザーは、自由端寄りに配置されている第1弾性部材が配置されている位置でまず折れ曲がり始める。この際、立体ギャザーの幅方向内側では、折り曲げられた位置でシート材の内面が局所的に収縮することになるが、続いてシート材を大きく折り曲げようとした場合には、折り曲げ位置の内面に弾性部材が配置されていると、シート材の内面が変形しにくくなって、大きな折り曲げが難しくなる場合がある。これに対し、本態様によれば、立体ギャザーの起立状態でシート材の幅方向内面に配置された第2弾性部材が、第1弾性部材より立体ギャザーの固定端寄りに配置されている。すなわち、内面に配置された第2弾性部材の位置が第1弾性部材の位置に対して固定端側にずらされているので、シート材の幅方向内面の収縮変形がより容易になる。そのため、立体ギャザーの自由端側の領域を幅方向内方により一層傾けやすくすることができる。
【0014】
本発明の第四の態様では、前記第1弾性部材が配置された位置から自由端までの領域の幅は、立体ギャザーの全体の幅に対して20~60%である。
【0015】
上記第四の態様によれば、立体ギャザーの自由端側の領域の幅が、立体ギャザー全体の幅に対して所定の割合となっている。これにより、装着者が横向きに寝た場合に、立体ギャザーを伝う排泄物の移行により生じ得る漏れを、立体ギャザーの自由端側の領域によって良好に防止できるとともに、立体ギャザーの十分な起立角度を確保することができる。
【0016】
本発明の第五の態様では、前記弾性部材は、前記立体ギャザーの自由端に配置された第3弾性部材を含む。
【0017】
上記第五の態様によれば、立体ギャザーの自由端に追加的に弾性部材が配置されているので、立体ギャザーの自由端側の領域を幅方向内方へより一層傾けやすくすることができる。
【0018】
本発明の第六の態様では、記ギャザーシートは、少なくとも部分的に複数のシート材が重ねられてなり、前記第1弾性部材及び前記第2弾性部材はそれぞれ前記シート材によって挟まれ、前記第2弾性部材が配置された位置から固定端までの領域において重ねられたシート材の枚数は、前記第1弾性部材が配置された位置から自由端までの領域において重ねられたシート材の枚数より多い。
【0019】
上記第六の態様によれば、第1弾性部材及び第2弾性部材のいずれもシート材によって挟まれているので、両弾性部材が保護される。また、第2弾性部材が配置された位置から固定端までの領域において重ねられたシート材の枚数は、第1弾性部材が配置された位置から自由端までの領域において重ねられたシート材の枚数より多くなっており、固定端側の領域の厚み及び剛性が、自由端側の領域より高くなっている。これにより、起立した立体ギャザーの固定端側の領域の形状を安定的に維持できる一方、肌に当たりやすい自由端側の領域の柔軟性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、高い横漏れ防止機能を有する立体ギャザーを備えた吸収性物品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一形態による吸収性物品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、図面は、発明の理解を助けるための模式的なものである。
【0023】
(吸収性物品本体の基本構造)
まず、本発明の一形態による吸収性物品本体の基本構造を、パッドタイプの使い捨ておむつ(尿取りパッド)の例に基づき説明する。
【0024】
図1に、吸収性物品1の平面図を示す。
図1は、吸収性物品1を展開し、平面状に伸ばした状態を示す図である。また、
図2Aに、
図1のII-II線断面図を示し、
図2Bに、
図1のIII-III線断面図を概略的に示す。
【0025】
図1、
図2A及び
図2Bに示すように、吸収性物品1は、透液性のトップシート12と、不透液性のバックシート11と、両シート11、12の間に設けられた吸収体13とを備えた本体10を有している。吸収性物品1を装着する際、トップシート12側が肌側となり、バックシート11側は、アウター(外側のおむつ)や下着等に固定される非肌側となる。
【0026】
本形態における吸収性物品本体10は、厚みを有する扁平な形状を有している。また、平面視形状は、全体として細長い形状となっている。すなわち、本体10は、y方向(前後方向又は長手方向)に所定の長さを有し、y方向と直交するx方向(幅方向)に、上記長さより小さい所定の幅を有する。なお、本明細書においては、+y方向は、本体10の後方、すなわち装着時の背側に向かう方向に相当し、-y方向は、吸収性物品1の前方、すなわち装着時の腹側に向かう方向に相当する。また、z方向はx方向及びy方向に直交する厚み方向であり、+z方向が肌側になり、-z方向が非肌側となる。
【0027】
図示の形態では、吸収性物品1及び本体10の平面視形状は、
図1で見て左右対称になっている、すなわち前後方向に延びる中心線を中心軸として線対称になっているが、必ずしも対称の形状でなくともよい。また、吸収性物品1及び本体10の平面視形状は、上述のように、前後の領域に比べて幅が狭くなっている部分(括れ部分)を有するものでなくとも、前後方向にわたって幅が一定である矩形状等、他の形状とすることもできる。また、
図1の例では、形状以外の吸収性物品1の構成(各構成要素の材質、配置等)も、左右対称になっているが、吸収性物品1の構成は必ずしも線対称でなくともよい。
【0028】
図1に示すように、吸収性物品1は、前後方向で見て中央付近に、股間対応領域Cを有する。本明細書において、「股間対応領域」とは、装着時に装着者の股間(股下)に対応させる部分を意味する。股間対応領域Cは、例えば、吸収性物品の前後方向中央若しくはその近傍から前方の所定位置までの範囲であってもよいし、吸収性物品の前後方向中央の所定範囲であってよい。なお、図示の例では、吸収性物品1には、幅が狭くなっている括れ部分が形成されているが、その括れ部分が形成されている領域の一部が股間対応領域となっている。また、股間対応領域Cの前方に隣接し、吸収性物品1の前端までの領域が前方領域Fとなっており、股間対応領域Cの後方に隣接し、吸収性物品1の後端までの領域が後方領域Bとなっている。
【0029】
吸収性物品1の全長(前後方向の長さ)は、350~700mm程度、全幅(幅方向の長さ)は130~400mm程度とすることができる。また、股間対応領域Cの前後方向の長さは10~150mm程度、前方領域Fの前後方向の長さは50~350mm程度、後方領域B1の前後方向の長さは50~350mm程度とすることができる。また、吸収性物品1が括れ部分有する場合、その最小幅は、吸収性物品1の全幅(括れ部分の前後における幅方向の長さ)の50~90%程度であるのが好ましい。
【0030】
バックシート11のサイズは、吸収体13よりも大きく、吸収性物品1全体のサイズに相当し得る。吸収体13は、バックシート11の範囲内に収まるように配置することができる。不透液性のバックシート11としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。なお、バックシート11の非肌側の面は、不織布等の外装シートにより覆うこともできる。
【0031】
トップシート12は、少なくとも吸収性物品1の幅方向の中央領域を覆っていればよく、図示の例のように、吸収体13の幅方向両端領域を覆っていなくてもよいし、吸収体13全体を覆う大きさを有していてもよい。図示の例のようにトップシート12が吸収体13を部分的に覆っていない場合、吸収体13の周縁においては、トップシート12がバックシート11に重ね合され接着されている部分と、ギャザーシート40(後に詳説)がバックシート11に重ね合され接着されている部分が形成されている。
【0032】
トップシート12としては、有孔又は無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどを用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0033】
なお、トップシート12と吸収体13との間には、中間シートを介在させることができる。中間シートを設けることで、吸収体13により吸収した体液の逆戻りを防止することができる。そのため、中間シートとしては、保水性が低く且つ液透過性の高い素材、例えば各種の不織布、メッシュフィルム等を用いるのが好ましい。
【0034】
吸収体13は、吸収性物品1全体の平面視形状と同様に、括れ部分を有する平面視形状を有する。しかし、吸収体13の平面視形状は、吸収性物品1の平面視形状にかかわらず、前後方向にわたって幅が一定である括れ部分のない矩形状等とすることもできる。
【0035】
吸収体13に含まれる材料としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、不織布等であってよく、必要に応じて粒子状等の高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。また、高吸収性ポリマー繊維や、高吸収性ポリマー粒子以外のポリマー粒子や無機粒子等を含んでいてもよい。
【0036】
吸収体13は、一層からなっていてもよいし、複数の層からなる積層体からなっていてもよい。また、吸収体13は、不織布やクレープ紙等の包装シートで包まれていることが好ましい。包装シートの使用は、吸収体13がポリマー粒子等の粒子状材料を含む場合には、材料のこぼれを含むことができ、特に好ましい。吸収体13が複数層からなる場合、各吸収体層が包装シートによって包まれていてもよいし、包装シートが層間に挟まれていてもよい。また、包装シートは、無着色(すなわち、白色)であってもよいし、着色されていてもよい。色は、排出された体液の色を目立たなくすることができる色、例えば体液の色に近い色、又は体液の色の補色若しくはそれに近い色等にすることができる。
【0037】
(立体ギャザー)
吸収性物品1はさらに、本体10のトップシート12側の幅方向両側部に前後方向に沿って設けられた一対の立体ギャザーを備えている。立体ギャザーとは、本体10の厚み方向(+z方向)に起立した、ギャザーを有する伸縮性のある壁様部分を指す。本形態における一対の立体ギャザーは、トップシート12側の幅方向両側部に前後方向に沿って配置された一対のギャザーシート40、40と、前後方向に沿って各ギャザーシート40に配置された弾性部材又は弾性収縮部材とによって形成される。立体ギャザーは、弾性部材の収縮力によって起立することができるよう構成されている。弾性部材が前後方向に収縮することによって立体ギャザーの起立とともに、立体ギャザーが設けられた本体10及び吸収性物品1全体も、前後方向の両端部が肌側(+z方向)に向かうように湾曲するよう、すなわち前後方向の中央部が非肌側(-z方向)に突出するよう変形することができる。
図1には、弾性部材として、平面視で重なる第1弾性部材51及び第2弾性部材52、並びに第1弾性部材51及び第2弾性部材52から離間して平行に配置された第3弾性部材53が示されている。
【0038】
一対のギャザーシート40、40は、
図1に示すように、本体10の肌側(トップシート12側)の両側部、すなわち幅方向(x方向)の両端領域に、前後方向(y方向)に沿って配置されている。各ギャザーシート40は、図示のように、吸収性物品1の前後方向の前端から後端にわたって配置されているが、吸収性物品1の少なくとも股間対応領域Cに配置されていることが好ましい。
【0039】
ギャザーシート40を構成するシート材としては、プラスチックシート、不織布等を使用することができる。肌への感触性が良いという観点から、不織布にシリコーン等によって撥水処理をしたものが好適に使用される。
【0040】
ギャザーシート40は、本体10の肌側(トップシート12側)に重ねられ、部分的に固定されている。より具体的には、ギャザーシート40は、場所に応じてトップシート12、吸収体13(吸収体13が包装シートで包まれている場合には包装シート)、又はバックシート11に重ねられ、接着されている。ギャザーシート40と本体10との接着は、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤、ヒートシール、超音波シール等によって行うことができる。
図1に、両ギャザーシート40、40と本体10との接着領域を斜線で示す。
図1に示すように、各ギャザーシート40の幅方向外側の部分は、前後方向にわたって本体10に接着されている。
【0041】
図1に示すように、各ギャザーシート40の幅方向外側領域Reは、前後方向にわたって本体10に接着されている。一方、各ギャザーシート40の幅方向内側領域Riは、前後方向の両端部において本体10に接着されているが、両端部間の領域(前後方向の中央)においては、接着されていない。本形態では、ギャザーシート40の幅方向内側領域Riが接着されている区間を固定区間S1、S1、接着されていない区間を起立区間S2と呼ぶ。各ギャザーシート40に弾性部材の収縮力が働くことで、起立区間S2が本体10から起立して立体ギャザーとなる。よって、
図1に示すような吸収性物品1が引き伸ばされた状態(弾性部材が引き伸ばされた状態)では、立体ギャザー48はほとんど立ち上がっていない(
図2B)。なお、
図2Bにおいては、弾性部材及びギャザーシートの折返し等の図示は省略している。
【0042】
ギャザーシート40に配置される弾性部材は、糸状、紐状、帯状(テープ状)等の弾性素材からなるものであってよい。吸収性物品の製造工程における弾性部材の配置は、伸長させた状態の弾性部材を、ギャザーシート40に、接着剤によって接着、縫込み等によって固定するか、或いはギャザーシートにギャザーを形成した後に、収縮させた状態(力を加えていない状態)の弾性部材を固定することによって行うことができる。
【0043】
吸収性物品1の製造においては、弾性部材が、伸長された状態でギャザーシート40に配置される。そのため、弾性部材の収縮状態(伸長されていない状態)では、ギャザーシート40は、弾性部材の収縮方向に縮められ、ギャザーが寄せられた状態となる。なお、上記の方法に代えて、伸長されていない状態の弾性部材を、ギャザーシート40にギャザーを寄せた状態で配置してもよい。
【0044】
弾性部材を構成する弾性素材としては、天然ゴム又は合成ゴム、例えばスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等が挙げられる。
【0045】
なお、1つの固定区間S1の前後方向の長さは、吸収性物品1の前後方向の長さの5~30%とすることができる。また、起立区間S2は、少なくとも股間対応領域C内の区間であり、好ましくは股間対応領域Cを含む区間とすることができる。
【0046】
図3(a)に、吸収性物品1における弾性部材の収縮力が働き、立体ギャザー48が起立した状態(吸収性物品1の使用時の状態)を示す。
図3(a)は、
図1のIII-III線断面図、すなわち
図2Bに対応する図であるが、
図2Bよりも立体ギャザー48の構成をより具体的に示している。また、立体ギャザー48の構成を説明するために、
図3(b)に、ギャザーシート40のみを平坦に伸ばした状態の断面図を示す。
【0047】
本形態では、ギャザーシート40は、シート材が部分的に折り返されて形成されている。
図3(a)及び(b)の形態では、ギャザーシート40の幅方向外端40bから内方に延在するシート材41が、幅方向内側で本体10に対向する側(-z方向側)に一度折り返され、幅方向外側で再度本体10に対向する側(-z方向側)に折り返されている。これにより、ギャザーシート40において、シート材41が複数積層された部分を形成している。より具体的には、
図3(b)に示すように、シート材41は、ギャザーシート40の幅方向外端40bから内方に向かって延び、ギャザーシート40の幅方向内端40aで-z方向側に折り返され、シート材層41aとシート材層41bとが重ね合された部分が形成される。シート材層(単に層ともいう)41bは、幅方向外方に向かって延び、上述のギャザーシート40の幅方向内側領域Riと幅方向外側領域Reとの境界(立体ギャザー48の固定端48bとなる位置)付近まで延び、再度-z方向側に折り返され、層41bの-z方向側に層41cが形成される。図示の形態では、層41cは、ギャザーシート40の幅方向内端40a(立体ギャザー48の自由端48aとなる位置)から所定距離離れた位置まで延びている。
【0048】
このように、ギャザーシート40は、部分的に単層で、部分的に多層の構成とすることができる。図示の形態では、ギャザーシート40は、シート材41の単層、2層、及び3層の部分を含んでいるが、シート材が4層以上重ねられた部分があってもよい。また、図示の形態では、1枚のシート材41を折り返してシート材41を積層させているが、折り返しによらず、複数のシート材を全体に又は部分的に重ね合せることによって、ギャザーシート40を構成することもできる。
【0049】
ギャザーシート40におけるシート材41を積層させた部分は、剛性を高めることができる。よって、ギャザーシート40の構成に応じて、部分的にシート材を複数枚重ねて配置することができる。
【0050】
図3(a)及び(b)に示すように、立体ギャザー48は、その自由端48a(ギャザーシート40の幅方向内端40a)から所定距離を置いた位置に、第1弾性部材51及び第2弾性部材52を備えている。
図3(a)及び図(b)に示すように、第1弾性部材51は、層41aと層41bとの間に挟まれており、第2弾性部材52は、層41bと層41cとの間に挟まれている。このため、第1弾性部材51及び第2弾性部材52が外部に露出することなく、保護される。
【0051】
また、ギャザーシート40における1枚のシート材(層41b)に着目すると、第1弾性部材51及び第2弾性部材52は、層41bの各面にそれぞれ配置されている。すなわち、第1弾性部材51は、立体ギャザー48の起立状態で、層41bの幅方向外面に、第2弾性部材52は、層41bの幅方向内面に配置されている。
【0052】
本形態では、2つの弾性部材が1枚のシート材41(層41b)の各面に配置されていることで、弾性部材が層41bの両面から作用して、前後方向に収縮力を発揮することができるため、層41bにギャザーを寄せやすくなる。これにより、ギャザーシート40全体にギャザーが寄せやすく、またギャザーが均一に形成しやすくなる。
【0053】
シートにギャザーが寄せられて剛性が増した位置は、折れの基点となりやすい。ギャザーが最も確実に寄せられる位置は弾性部材が配置された位置であるので、弾性部材が前後方向に沿って配置されている場合には、弾性部材に沿った前後方向に延びる線状の折れ線にて、ギャザーシートを折り曲げやすくなる。図示の形態では、第1弾性部材51及び第2弾性部材52は平面視で重なっている、すなわち幅方向で同じ位置に配置されているので、立体ギャザー48は、第1弾性部材51及び第2弾性部材52が配置されている位置で折れ曲げやすい。ここで、ギャザーシート40は、前後方向の両端部(固定区間S1、S1)で本体10に接着されていることから(
図1及び
図2A)、立体ギャザー48の起立時には、起立区間S2におけるギャザーシート40の幅方向内端40aには、幅方向内方に引っ張られる力が働く。そのため、
図3(a)に示すように、立体ギャザー48の自由端48a側の領域48Aが、幅方向内方へと傾斜しやすくなる。また、1つの弾性部材しか配置されていない場合に比べて、折り曲げやすさが向上していることから、幅方向内方に引っ張られる力の多くを自由端側領域48Aで受けとめることができるので、立体ギャザー48の固定端48b側の領域48Bが不要に引っ張られて起立角度が小さくなることもない。すなわち、立体ギャザー48の自由端側領域48Aの傾斜によって、立体ギャザー48自体の起立が妨げられることもない。
【0054】
ここで、
図5に、従来の構成による吸収性物品101を示す。
図5は、従来の吸収性物品101を装着して装着者が横向きに寝た状態を示す図であり、吸収性物品101の股間対応部の位置で幅方向に沿って切った断面図である。
図5には、吸収性物品装着者の身体(脚LG及び股間部位BD)の断面を含めて模式的に示している。
図5に示すように、吸収性物品101は、トップシート112と、バックシート111と、これらの両シート111、112間に配置された吸収体113とを備えた本体110と、ギャザーシート140とを有している。そして、装着した装着者が横向きに寝た(側臥位になった)場合、本体110から起立した立体ギャザー148は略水平方向に延在するような状態になり得る。そのため、液状排泄物が急激に排泄された場合等には、矢印Uで示すように、排泄物はギャザーシート140を伝って流れ、立体がギャザー148を越えて漏れる可能性がある。これに対し、本形態では、
図3(a)に示すように立体ギャザー48の自由端側領域48Aが幅方向内方に傾斜できることから、装着者が横向きに寝た状態でも、排泄物の流れを阻止する壁が形成され(
図5の点線で表示)、横漏れを良好に防止することができる。
【0055】
本形態では、第2弾性部材52の収縮力は、第1弾性部材51の収縮力より大きいことが好ましい。立体ギャザー48の起立状態で幅方向内面に位置する第2弾性部材52の収縮力が、幅方向外面に位置する第1弾性部材51の収縮力より大きいことで、より大きな収縮力が層41bの幅方向内面で働き、幅方向内面を外面よりも収縮させることができる。そのため、立体ギャザー48の前後方向の両端部が、本体10の幅方向中心に近付くように変形でき、これにより、特に前後方向の両端部を本体10に近付けやすく、すなわち幅方向内方へと傾けやすくすることができる。
【0056】
立体ギャザー48の起立状態で、自由端側領域48Aが傾斜した後の状態での自由端側領域48Aと固定端側領域48Bとがなす角度は90~160°、好ましくは100~140°となり得る。
【0057】
弾性部材の収縮力は、弾性部材を構成する弾性素材の本数、太さ、及び材料、並びに製造工程において弾性部材を配置する際の伸長率又はテンション(収縮した状態の長さを100%とした場合の配置時の長さ)の1つ以上を変更することによって、変更することができる。よって、例えば、第2弾性部材52の伸長率を、第1弾性部材51の伸長率より大きくすることで、自由端側領域48Aを固定端側領域48Bに対して幅方向内方に傾斜させやすくなるという作用を向上させることができる。
【0058】
第1弾性部材51の伸長率は、120~300%であると好ましく、140~250%であるとより好ましい。第2弾性部材52の伸長率は、120~300%であると好ましく、140~250%であるとより好ましい。上記範囲の伸長率とすることで、立体ギャザー48を確実に起立させ、且つ自由端側領域48Aが幅方向内方へ適度に傾斜でき、吸収性物品1全体が湾曲しすぎることを防止できる。
【0059】
また、第1弾性部材51の伸長率に対する第2弾性部材の伸長率の比の値((第2弾性部材の伸長率)/(第1弾性部材51の伸長率))は、1.2~2.5であると好ましく、1.5~2.0であるとより好ましい。第1弾性部材51の伸長率に対する第2弾性部材の伸長率の比の値を上記範囲とすることで、立体ギャザー48の自由端側領域48Aを幅方向内方に適切な角度で傾斜させることができる。
【0060】
第2弾性部材52の太さは、第1弾性部材51の太さより大きいことが好ましい。第1弾性部材51の太さは、310~1240dtexであると好ましく、470~620dtexであるとより好ましい。第2弾性部材52の太さは、310~1240dtexであると好ましく、620~940dtexであるとより好ましい。第1弾性部材51の太さに対する第2弾性部材の太さの比の値((第2弾性部材の太さ)/(第1弾性部材51の太さ))は、1.2~2.0であると好ましく、1.3~1.6であるとより好ましい。
【0061】
本形態では、幅方向内方に倒れる立体ギャザー48の自由端側領域48Aの幅(ギャザーシート40を伸ばした状態でのギャザーシートの幅方向(x方向)の長さ)、すなわち自由端48aからの立体ギャザー48の折れ曲がり位置までの長さは、立体ギャザー48全体の幅に対して20~60%であると好ましい。上記折れ曲がり位置は、第1弾性部材51と第2弾性部材52とが自由端48aから等距離離れて配置されている場合には、第1弾性部材51及び第2弾性部材52が配置されている位置となる。また、第1弾性部材51及び第2弾性部材52のいずれかが、ギャザーシート40の幅方向で自由端48a寄りに配置されている場合には、自由端48aに近い方の弾性部材が配置されている位置となり得る。
【0062】
上述のように、本形態におけるギャザーシート40は、シート材41が部分的に重ね合されてなる。具体的には、
図3(a)及び(b)に示すように、立体ギャザー48を構成するギャザーシート40の自由端側領域48Aは、シート材層41a及び41bが重ね合された2層からなる構成を含み、固定端側領域48Bは、シート材層41a、41b及び41cが重ね合せされた3層からなる構成を含む。このように、ギャザーシート40を構成するシート材41の重ね合せの層数(枚数)が、固定端側領域48Bで多くなっていることで、固定端側領域48Aの剛性をより高くすることができる。そのため、立体ギャザー48が起立した状態で、立体ギャザー48の基部となる固定端側領域48Bの形状を安定的に維持できる一方、装着者の肌に当たりやすい自由端側領域48Aの柔軟性を高めることができる。
【0063】
図1及び
図3に示す形態では、第1弾性部材51及び第2弾性部材52に加えて、立体ギャザー48の自由端48(ギャザーシート40の幅方向内端40a)に、追加的に前後方向に沿って第3弾性部材53が配置されている。図示の形態では、第3弾性部材53は、ギャザーシート40の幅方向内端40aでのシート材41の折り返し位置に配置されているが、折り返し位置から所定距離離れた位置に配置することもできる。但し、上記所定距離は、幅方向内方に折り曲げられる自由端側領域48A内の、自由端側領域48Aの幅の50%以下であると好ましい。
【0064】
第3弾性部材53には、第1弾性部材51及び第2弾性部材52について説明したものと同じ材料を用いることができる。第3弾性部材53の収縮力は、第1弾性部材51の収縮力及び第2弾性部材52の収縮力の小さい方より小さいと好ましい。また、第3弾性部材53の伸長率は、第1弾性部材51の伸長率及び第2弾性部材52の伸長率の小さい方より小さいと好ましい。
【0065】
第3弾性部材53の伸長率は、120~300%であると好ましく、140~250%であるとより好ましい。第1弾性部材51の伸長率及び第2弾性部材52の伸長率の小さい方に対する第3弾性部材53の伸長率の比の値は、1.0~1.5とすることができる。第3弾性部材53の太さは、310~1240dtexであると好ましく、470~940dtexであるとより好ましい。
【0066】
(立体ギャザーの変形例)
図4に、本形態による吸収性物品1における立体ギャザー48の変形例を示す。
図4(a)には、吸収性物品1における弾性部材の収縮力が働き、立体ギャザー48が起立した状態(吸収性物品1の使用時の状態)を示す。また、ギャザーシート40の構成を説明するために、
図4(b)に、ギャザーシート40のみを平坦に伸ばした状態の断面図を示す。
図4(a)及び(b)は、
図3(a)及び(b)にそれぞれ対応する図である。
【0067】
図4(a)及び(b)に示す例でも、第1弾性部材51及び第2弾性部材52が、ギャザーシート40のうちシート材層41bの両面にそれぞれ配置されている。しかし、
図4(b)に示すように、平面視で、第1弾性部材51の位置と第2弾性部材52の位置とが重なっていない。より具体的には、第2弾性部材52は、第1弾性部材51に比べて立体ギャザー48の固定端48b寄りに配置されている。
【0068】
立体ギャザー48が起立する際、立体ギャザー48の自由端48a側に幅方向内方に引っ張られる力がかかると、立体ギャザー48は、自由端48a寄りの第1弾性部材51が配置されている位置を基点として折れ曲がり始める。ここで、立体ギャザー48をさらに大きく曲げようとした場合には、シート材の内面に配置された部材がシート材内面の収縮変形の妨げ、ひいては折り曲げの妨げとなることがある。これに対し、
図4(a)及び(b)に示すように、第2弾性部材52が第1弾性部材51の位置から固定端48b寄りにずらされて配置されていると、折り曲げ位置においてシート材層41bの内面の収縮変形が容易になって、立体ギャザー48の自由端48a側の領域48Aを幅方向内方により一層傾けやすくすることができる。
【0069】
平面視で、第1弾性部材51と第2弾性部材52との位置のずれは、幅方向で0.5~2mmであってよい。本形態により、シート材の両面で収縮力が働いてシート材に所定位置でギャザーが寄せやすくできるとともに、自由端側領域48Aを大きく折り曲げることが可能になる。
【0070】
以上、本発明の具体的な実施形態について、パッドタイプの使い捨ておむつを例に説明してきたが、本発明は上述の具体的な形態に限定されることはない。例えば、上述の実施形態は、パットタイプ以外の、テープタイプ、パンツタイプ等の他の形態の使い捨ておむつや生理用ナプキン、軽失禁用パッド等に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 吸収性物品
10 吸収性物品本体
11 バックシート
12 トップシート
13 吸収体
40 ギャザーシート
40a ギャザーシートの幅方向内端
40b ギャザーシートの幅方向外端
41 シート材
41a、41b、41c シート材層
48 立体ギャザー
48a 立体ギャザーの自由端
48A 立体ギャザーの自由端側領域
48b 立体ギャザーの固定端
48B 立体ギャザーの固定端側領域
51 第1弾性部材
52 第2弾性部材
53 第3弾性部材
B 後方領域
C 股間対応領域
F 前方方領域
Re ギャザーシートの幅方向外側領域
Ri ギャザーシートの幅方向内側領域
S1 固定区間
S2 起立区間