(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】折り畳み式パイプ椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 5/10 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
A47C5/10 K
(21)【出願番号】P 2019121413
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】506289516
【氏名又は名称】ジャパンレントオール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】加護 洋一
(72)【発明者】
【氏名】加護 洋輔
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-179547(JP,U)
【文献】特表2009-526592(JP,A)
【文献】特開2008-285890(JP,A)
【文献】実開平07-036783(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字状又は矩形状の前脚パイプ(11)の上端部に背もたれ(13)が
取付けられ、上記前脚パイプ(11)中間部位の内側面とU字状の後脚パイプ(12)上端部の内側面とに第1連結金具(15)が両端の枢支ピン(16)によって回転可能に連結され
、該第1連結金具(15)は両端部の枢支ピン(16)の平坦な取付部分を残して断面円弧状が長手方向に延びた形状をなしており、
上記前脚パイプ(11)及び後脚パイプ(12)が相互に所定の角度をなして起立した使用姿勢(A)と相互に重なった折畳み姿勢(B)との間で変形可能に構成されている一方、
上記前脚パイプ(11)にはスペーサー(17)を介して座面(14)の後部側面が枢支ピン(19)によって回転可能に取付けられ、上記後脚パイプ(12)には第2連結金具(18)の一端部が固定され、該第2連結金具(18)の他端部は上記座面(14)の後端部側面に枢支ピン(20)によって回転可能に連結されており、
上記座面(14)は
両端部の枢支ピン(16)の平坦な取付部分を残して断面円弧状が長手方向に延びた形状をなしており、上記前後の脚パイプ(11、12)の使用姿勢(A)において前方に突き出た着座姿勢と上記前後の脚パイプ(11、12)の折畳み姿勢(B)において上記背もたれ(13)に重なった折畳み姿勢との間で変形可能となっていることを特徴とする折り畳み式パイプ椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折り畳み式パイプ椅子に関し、特に狭いスペースにより多くの椅子を横に並べることができるようにしたパイプ椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式パイプ椅子は集会場や会議室など多くの場所において用いられ、必要な時に組み立てて並べ、ユーザーが長い時間着座して快適に居られるように使用される。
この折り畳み式パイプ椅子にはU字状又は矩形状の前脚パイプの上端部に背もたれを設け、前脚パイプの中間にU字状の後脚パイプの上端部を連結金具で連結し、前後の脚パイプに座面を取付け、前後の脚パイプを折り畳むと、座面が背もたれと接するように折り畳むことができるようにした構造が提案され実用化されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載のパイプ椅子では連結金具を前後の脚パイプの外側に枢支ピンで回転可能に取付けることによって折り畳める構造としているので、パイプ椅子を横に並べるときに連結金具及び枢支ピン頭部の厚みだけスペースを必要とし、並べられるパイプ椅子の数が制限されるという問題があった。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑み、狭いスペースにより多くの椅子を横に並べることができるようにした折り畳み式パイプ椅子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る折り畳み式パイプ椅子は、U字状又は矩形状の前脚パイプの上端部に背もたれが設けられ、上記前脚パイプ中間部位の内側面とU字状の後脚パイプ上端部の内側面とに第1連結金具が両端の枢支ピンによって回転可能に連結されており、上記前脚パイプ及び後脚パイプが相互に所定の角度をなして起立した使用姿勢と相互に重なった折畳み姿勢との間で変形可能に構成されている一方、上記前脚パイプにはスペーサーを介して座面の前部側面が枢支ピンによって回転可能に取付けられ、上記後脚パイプには第2連結金具の一端部が固定され、該第2連結金具の他端部は上記座面の後部側面に枢支ピンによって回転可能に連結されており、上記座面が上記前後の脚パイプの使用姿勢において前方に突き出た着座姿勢と上記前後の脚パイプの折畳み姿勢において上記背もたれに重なった折畳み姿勢との間で変形可能となっていることを特徴とする。
【0007】
本発明の特徴の一つは座面側面と前脚パイプとの間にスペーサーが介在されており、スペーサーの厚みだけスペースに余裕があることに着目し、前後の脚パイプの内面側を第1連結金具によって連結するようにした点にある。
【0008】
これにより、パイプ椅子を横に並べたときに枢支ピンの頭部が接するが、枢支ピンを加圧接合する際に前後の脚パイプに凹部が形成され、枢支ピンの頭部は前後の脚パイプに凹部に嵌め込まれてほとんど突出していないので、第1連結金具が並べる邪魔になることはないので、パイプ椅子を横に隙間少なく並べることができ、狭いスペースに多くのパイプ椅子を並べることができる。
【0009】
第1連結金具はユーザーの着座時に邪魔にならないように厚みが薄い方が好ましいが、厚みが薄いと強度が不足するおそれがある。そこで、第1連結金具は枢支ピンで連結する両端部を除く部分を断面円弧状に形成するのがよい。
また、第2連結金具は前脚パイプのスペーサーの厚みに対応して段部を形成するのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る折り畳み式パイプ椅子好ましい実施形態を使用姿勢A及び折畳み姿勢Bを示す斜視図である。
【
図2】上記実施形態における第1、第2連結金具の動きを示す図である。
【
図3】上記実施形態における第1連結金具を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1ないし
図3は本発明に係る折り畳み式パイプ椅子の好ましい実施形態を示す。図において、パイプ椅子10は前脚パイプ11、後脚パイプ12、背もたれ13及び座面14から構成されている。
【0012】
前脚パイプ11は金属製パイプを用いて概略矩形状に折り曲げ加工され、前脚パイプ11の上端部には背もたれ13が取付けられ、又前脚パイプ11の中間部位の内側面と後脚パイプ12の上端部の内側面との間には長尺の第1連結金具15が介在され、第1連結ピン15の両端部分は枢支ピン16によって前後の脚パイプ11、12に回転可能に連結されている。
【0013】
また、後脚パイプ12の上部には短尺の第2連結金具18の一端部が溶接等によって固定され、第2の連結金具18は前方に延設されている。
【0014】
ここで、第1連結金具15は
図3(a)に示されるように、断面円弧状に形成されて金具長手方向に両端部近くまで延びて形状に形成され、第2連結金具18には
図3(a)に示されるように、スペーサー17の厚みに対応した段部が形成されている。
【0015】
また、前脚パイプ11の中間部位と座面14の後部側面には枢支ピン18が挿通されて加圧接合されることによって、前脚パイプ11の中間部位と座面14の後部側面とは相互に回転自在に設けられ、座面14と前脚パイプ11との間にはスペーサー17が介在され、座面14の後端部側面には上記第2連結金具18の先端部が枢支ピン19によって回転自在に連結されている。
【0016】
以上のように、本例では前後の脚パイプ11、12の内面側を第1連結金具15によって連結するようにしたので、パイプ椅子を横に並べたときに枢支ピン16、19の頭部が接するが、枢支ピン16、19を加圧接合する際に前後の脚パイプ11、12に凹部が形成され、枢支ピン16、19の頭部は前後の脚パイプ11、12の凹部に嵌め込まれてほとんど突出していないので、第1連結金具15がパイプ椅子を並べる邪魔になることはない。
その結果、パイプ椅子を横に隙間少なく並べることができ、狭いスペースに多くのパイプ椅子を並べることができる。
【符号の説明】
【0017】
10 パイプ椅子
11 前脚パイプ
12 後脚パイプ
14 座面
15 第1連結金具
15a 断面円弧状部分
16 枢支ピン
17 スペ-サ-
18 第2連結金具
19 枢支ピン