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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】ストーカ装置
(51)【国際特許分類】
   F23H 7/08 20060101AFI20230906BHJP
   F23H 7/10 20210101ALI20230906BHJP
【FI】
F23H7/08 A
F23H7/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019147359
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028548
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敬
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 啓介
(72)【発明者】
【氏名】西薗 賢志
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3176048(JP,U)
【文献】特開昭54-122433(JP,A)
【文献】特開平07-180823(JP,A)
【文献】特開2013-072628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23H 1/00 - 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼却物を搬送方向に搬送しつつ処理するストーカ式焼却炉に用いられるストーカ装置であって、
基端部分が第1軸に載置された状態で前記第1軸回りに揺動可能となり、駆動装置により前記第1軸に交差する所定方向に往復動する複数の可動火格子と、
基端部分が第2軸に載置された状態で前記第2軸回りに揺動可能となっている複数の固定火格子と、を備え、
前後に隣り合う前記可動火格子と前記固定火格子とは、前記可動火格子および前記固定火格子のうち前記搬送方向上流側の火格子の一部分が前記搬送方向下流側の火格子上に配置されるように設けられており、
前記可動火格子に設けられ、前記第1軸回りの揺動を規制するように前記可動火格子を支持する可動用支持部材と、
前記固定火格子に設けられ、前記第2軸回りの揺動を規制するように前記固定火格子を支持する固定用支持部材と
基端部分が第3軸に載置された状態で前記第3軸回りに揺動可能となっている複数の微動火格子と、を備え、
隣り合う前記可動火格子と前記微動火格子とは、前記微動火格子の一部分が前記可動火格子上に配置されると共に、前記微動火格子が前記駆動装置によらずに前記可動火格子の前記所定方向における最大移動距離よりも短い距離を移動するように設けられており、
前記微動火格子に設けられ、前記第3軸回りの揺動を規制するように前記微動火格子を支持する微動用支持部材をさらに備えた、ストーカ装置。
【請求項2】
前記微動火格子の基端部分には受圧部が設けられており、
前記一の可動火格子は、前記所定方向の一方側に向かって前記最大移動距離に達する手前まで移動した際に前記微動火格子の前記受圧部を押圧する押圧部を有し、
前記微動火格子は、前記受圧部が前記押圧部により押圧されると移動する、請求項に記載のストーカ装置。
【請求項3】
前記固定用支持部材は前記固定火格子の裏面に前記所定方向に延在するように設けられ、前記微動用支持部材は前記微動火格子の裏面に前記所定方向に延在するように設けられている、請求項又はに記載のストーカ装置。
【請求項4】
前記第1軸を支持する第1軸土台をさらに備え、
前記可動用支持部材は前記第1軸土台に接続又は接触された状態で前記可動火格子の基端部分を支持するように構成されている、請求項乃至の何れか1項に記載のストーカ装置。
【請求項5】
前記可動用支持部材、前記固定用支持部材、および前記微動用支持部材は、板状に形成されている、請求項乃至の何れか1項に記載のストーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ等の廃棄物、汚泥等の被焼却物の焼却処理やサーマルリサイクルに適用されるストーカ式焼却炉に用いられるストーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のストーカ式焼却炉の一例が特許文献1に開示されている。このストーカ式焼却炉は、可動火格子および固定火格子を含むストーカにごみ等の被焼却物を供給しながら乾燥燃焼を行うものである。
【0003】
このようなストーカ式焼却炉において、可動火格子と固定火格子とは被焼却物の搬送方向に沿って交互に配置されている。可動火格子は、その基端部分が連結部材の先端に支持された状態でその先端部分が固定火格子の上に載っている。また、固定火格子は、その基端部分が連結部材の先端に支持された状態でその先端部分が可動火格子の上に載っている。このように可動火格子と固定火格子とが階段状に並んで配置されている。
【0004】
このような可動火格子や固定火格子は、焼却炉の壁面に生じたクリンカの脱落等により亀裂が生じ割れるといった破損が起こることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-280520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、破損により割れた火格子の後側部分(被焼却物の搬送方向の後側部分)が下方に倒れ込むことで、隣り合う火格子の隙間に挟まることがあった。現状、火格子を支持する支持部材と前方の火格子との間隔を狭めることにより、割れた火格子の倒れ込みの防止を図っているが、火格子の基端部分(後端部分)と支持部材との間の部分に割れが生じた場合、割れた火格子が倒れ込んで挟み込まれることによるストーカ装置の動作不良が生じる恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、可動火格子又は固定火格子に破損が生じた場合でも、動作不良が起き難いストーカ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のストーカ装置は、被焼却物を搬送方向に搬送しつつ処理するストーカ式焼却炉に用いられるストーカ装置であって、基端部分が第1軸に載置された状態で前記第1軸回りに揺動可能となり、駆動装置により前記第1軸に交差する所定方向に往復動する複数の可動火格子と、基端部分が第2軸に載置された状態で前記第2軸回りに揺動可能となっている複数の固定火格子と、を備え、前後に隣り合う前記可動火格子と前記固定火格子とは、前記可動火格子および前記固定火格子のうち前記搬送方向上流側の火格子の一部分が前記搬送方向下流側の火格子上に配置されるように設けられており、前記可動火格子に設けられ、前記第1軸回りの揺動を規制するように前記可動火格子を支持する可動用支持部材と、前記固定火格子に設けられ、前記第2軸回りの揺動を規制するように前記固定火格子を支持する固定用支持部材と、をさらに備えたものである。
【0009】
本発明に従えば、可動火格子や固定火格子に割れが生じ当該火格子の前側部分(被焼却物の搬送方向の前側部分)がとれて後側部分が残った状態、つまり搬送方向前側の火格子の基端部分の表面上に支持される部分がなくなった状態でも、可動火格子がその揺動が規制されるように可動用支持部材に支持され、固定火格子がその揺動が規制されるように固定用支持部材に支持される。これによって、これらの火格子の後側部分が下方に倒れ込むことを防ぐことができる。これにより、火格子の上記後側部分が搬送方向前方の火格子との隙間に挟まることを防ぐことができる。したがって、ストーカ装置の動作不良が起き難くなる。
【0010】
上記発明において、ストーカ装置は、基端部分が第3軸に載置された状態で前記第3軸回りに揺動可能となっている複数の微動火格子を備え、隣り合う前記可動火格子と前記微動火格子とは、前記微動火格子の一部分が前記可動火格子上に配置されると共に、前記微動火格子が前記駆動装置によらずに前記可動火格子の前記所定方向における最大移動距離よりも短い距離を移動するように設けられており、ストーカ装置は、前記微動火格子に設けられ、前記第3軸回りの揺動を規制するように前記微動火格子を支持する微動用支持部材をさらに備えてもよい。
【0011】
上記構成に従えば、上述の可動火格子および固定火格子と同様に、微動火格子に割れが生じ当該火格子の前側部分がとれて後側部分が残った状態になっても、微動火格子がその揺動が規制されるように微動用支持部材に支持されるので、当該微動火格子の後側部分が下方に倒れ込むことを防ぐことができる。これにより、微動火格子の上記後側部分が前方の火格子との隙間に挟まることを防ぐことができ、ストーカ装置の動作不良が起き難くなる。また、微動火格子を設けて当該微動火格子を移動させることによって、微動火格子と可動火格子との隙間に存在する被焼却物を固着させずに下流側に動かすことが可能となる。
【0012】
上記発明において、前記微動火格子の基端部分には受圧部が設けられており、前記一の可動火格子は、前記所定方向の一方側に向かって前記最大移動距離に達する手前まで移動した際に前記微動火格子の前記受圧部を押圧する押圧部を有し、前記微動火格子は、前記受圧部が前記押圧部により押圧されると移動してもよい。
【0013】
上記構成に従えば、微動火格子を移動させるためのアクチュエータを別途設ける必要がなく、簡易な構成で当該微動火格子を動かすことができる。また、可動火格子の移動距離、受圧部の位置や押圧部の位置を調整することで、微動火格子の移動距離を幅広く調整することができる。
【0014】
上記発明において、前記固定用支持部材は前記固定火格子の裏面に前記所定方向に延在するように設けられ、前記微動用支持部材は前記微動火格子の裏面に前記所定方向に延在するように設けられていてもよい。
【0015】
上記構成に従えば、固定用支持部材を固定火格子自体に設け、微動用支持部材を微動火格子自体に設けることで、各支持部材の、各火格子以外の固定位置を構造的に問わなくて済む。
【0016】
上記発明において、ストーカ装置は、前記第1軸を支持する第1軸土台をさらに備え、前記可動用支持部材は前記第1軸土台に接続又は接触された状態で前記可動火格子の基端部分を支持するように構成されていてもよい。
【0017】
上記構成に従えば、可動用支持部材により可動火格子の基端部分を支持することができるので、可動火格子の基端部分から先端部分にかけて延在した支持部材よりも可動用支持部材を所定方向にコンパクト化することができ、それ故軽量化を図ることができる。
【0018】
上記発明において、前記可動用支持部材、前記固定用支持部材、および前記微動用支持部材は、板状に形成されていてもよい。
【0019】
上記構成に従えば、例えば角材状や丸棒状に形成された支持部材よりも軽量化およびコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、可動火格子又は固定火格子に破損が生じた場合でも、動作不良が起き難いストーカ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係るストーカ装置が適用されるストーカ式焼却炉の全体図である。
図2図1のストーカ装置の部分簡略図である。
図3図2のストーカ装置における各火格子の構成を示す断面図である。
図4】火格子に対する支持部材の連結構造を説明するための断面図である。
図5】可動用支持部材が仮に設けられていない場合に可動火格子本体の後側部分が下方に倒れた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係るストーカ装置について図面を参照して説明する。以下に説明するストーカ装置は本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0023】
最初に、本実施形態のストーカ装置が適用されるストーカ式焼却炉11の全体構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、ストーカ式焼却炉11は、ごみ等の被焼却物が供給されるホッパ13を備えている。ホッパ13は、シュート14を介して一次燃焼室15に繋がっており、ホッパ13に供給された被焼却物は、シュート14を通って一次燃焼室15に送られるようになっている。
【0025】
一次燃焼室15にはストーカ装置20が設けられている。ストーカ装置20は、例えば第1ストーカ(乾燥ゾーン)17、第2ストーカ(燃焼ゾーン)18、および第3ストーカ(後燃焼ゾーン)19を備えている。なお、第1~第3ストーカ17,18,19の下方から一次空気が導入される。
【0026】
ストーカ装置20によれば、供給された被焼却物を、乾燥、燃焼および後燃焼の各ゾーンを通過させながら搬送することができる。搬送される被焼却物は、ストーカ装置20で乾燥および燃焼され、燃焼後に残った焼却灰は、シュート10から外部へと排出されるようになっている。また、ストーカ式焼却炉11には、当該ストーカ式焼却炉11の廃熱を利用して蒸気を発生する廃熱ボイラ16が設けられている。
【0027】
なお、本実施形態のストーカ装置20においては、第1ストーカ17、第2ストーカ18および第3ストーカ19に対して、乾燥ゾーン、燃焼ゾーンおよび後燃焼ゾーンをそれぞれ割り当てたが、これに限定されるものではなく、例えば第1~第3ストーカ17、18、19のうち1つのストーカを省略して、2つのストーカを備えるストーカ装置とし、この2つのストーカのうち前段のストーカに対して乾燥ゾーンおよび燃焼ゾーン、又は乾燥ゾーンを割り当て、後段のストーカに対して後燃焼ゾーン、又は燃焼ゾーンおよび後燃焼ゾーンを割り当てたストーカ装置としてもよい。また、4つ以上のストーカを備えるストーカ装置としてもよい。
【0028】
図2図1のストーカ装置の部分簡略図である。ストーカ装置20における第1ストーカ17、第2ストーカ18および第3ストーカ19の構成はそれぞれ同じであるので、図2では第1ストーカ17および第3ストーカ19は省略し、第2ストーカ18のみ示している。
【0029】
図2に示すように、ストーカ装置20は、複数の固定火格子21と、複数の可動火格子22と、複数の微動火格子23とを備えている。可動火格子22は、固定火格子21と微動火格子23との間に配置されている。詳細には、可動火格子22は、被焼却物の搬送方向DH(図2において左から右に向かう方向)における順で、固定火格子21と微動火格子23との間に配置されるものと、微動火格子23と固定火格子21との間に配置されるものとがある。すなわち、可動火格子22は、固定火格子21又は微動火格子23との関係においてこれらの何れかの火格子と交互に配置されている。なお、搬送方向DHの下流側を前側、前端又は先端部分と記載し、搬送方向DHの上流側を後側、後端又は基端部分と記載することがある。
【0030】
可動火格子22以外の火格子(つまり、固定火格子21および微動火格子23)は、当該可動火格子22が前方に移動する前の状態において、当該可動火格子22以外の火格子の前端が搬送方向DH前方で隣り合う可動火格子22のごみ流れ方向中心よりも前側に位置するように配置されている。一方、可動火格子22は、一定の可動範囲を確保すべく、その前端が搬送方向DH前方で隣り合う固定火格子21又は微動火格子23のごみ流れ方向中心よりも後側に位置するように配置されている。また、固定火格子21、可動火格子22および微動火格子23は、それぞれ搬送方向DHにおいて右肩上がりに傾斜して配置されている。具体的には、固定火格子21、可動火格子22および微動火格子23の傾斜面と水平面とがなす傾斜角度θは、例えば10~30度であり、好ましくは18~22度であり、さらに好ましくは20度である。なお、固定火格子21、可動火格子22および微動火格子23は、当該固定火格子21、可動火格子22および微動火格子23の各前端の頂点を結び付けた直線が略水平となるように配置されている。これにより、被焼却物が略水平方向である搬送方向DHに沿って搬送されるようになっている。
【0031】
各可動火格子22の後端には、下方に延在するブラケット24の一端が連結されている。各ブラケット24の他端は、各火格子21,22,23とほぼ平行に延びる連結部材25に固定されている。この連結部材25は結合部材27に取り付けられている。結合部材27には、この他にも、第1ストーカ17用および第3ストーカ19用の連結部材25が取り付けられている。また、結合部材27はピストンロッド26aを介して搬送駆動部26に接続されている。つまり、搬送駆動部26は、第1ストーカ17、第2ストーカ18および第3ストーカ19に共通して使用されるものである。このような構成において、搬送駆動部26によりピストンロッド26aが往復動されることによって連結部材25が往復動するので、これにより各可動火格子22がブラケット24を介して当該可動火格子22の傾斜方向(後述の軸43に交差する所定方向)に往復動することが可能となっている。このことによって、被焼却物を搬送方向DHに沿って搬送することができる。なお、搬送駆動部26は、例えば油圧シリンダであるが、油圧モータ、電動シリンダ又は電動リニアモータ等であってもよく、無段変速又は段階的可変速のものを採用することができる。
【0032】
以下、固定火格子21、可動火格子22および微動火格子23の各構成を詳しく説明する。
【0033】
図3に示すように、固定火格子21は、裏面に補強部37が設けられた固定火格子本体31と、軸受部32と、軸(第2軸)33と、軸土台34と、例えば板状の固定用支持部材35とを備えている。軸受部32は、固定火格子本体31の裏面の基端部分に設けられており、軸33に載置されている。これにより、固定火格子本体31は軸33回りに揺動可能となっている。固定火格子本体31は軸33に対して着脱可能となっている。また、軸33は軸土台34に支持されている。固定用支持部材35は、固定火格子本体31と熱膨張率が同等又は低い材料で形成され、例えばSUS304等のステンレス鋼で形成されることが好ましい。
【0034】
固定用支持部材35は、固定火格子本体31の裏面に設けられており、その基端部分は固定火格子本体31のごみ流れ方向の中心よりも後側の部分に接続されている。詳しくは、図4に示すように、固定火格子本体31の裏面には、同図において下方に延在する複数の補強部37が互いに間隔を空けて設けられている。固定用支持部材35は、一方の補強部37と他方の補強部37とに挟持された状態で、当該固定用支持部材35に設けられた孔部35aおよび各補強部37に設けられた孔部37aに連結ピン36が挿通されることにより固定火格子本体31に取り付けられている。なお、連結ピン36の両端部に当該連結ピン36の抜けを防ぐ例えば割りピンなどが設けられる。また、固定用支持部材35は、その基端部分から前方に先細り状となって延在するように形成されている。なお、上記の孔部37aは元々火格子同士を締結するために設けられていたものであるが、そのような孔部37aを、固定用支持部材35を固定火格子本体31に取り付けるための孔部として有効に適用することができる。
【0035】
可動火格子22は、裏面に補強部47が設けられた可動火格子本体41と、軸受部42と、軸(第1軸)43と、軸土台44と、例えば板状の可動用支持部材45とを備えている。可動用支持部材45は固定用支持部材35よりもコンパクトになっていて軽量になっている。軸受部42は、可動火格子本体41の裏面の基端部分に設けられており、軸43に載置されている。これにより、可動火格子本体41は軸43回りに揺動可能となっている。可動火格子本体41は軸43に対して着脱可能となっている。また、軸43は軸土台44に支持されている。可動用支持部材45は、可動火格子本体41と熱膨張率が同等又は低い材料で形成され、例えばSUS304等のステンレス鋼で形成されることが好ましい。
【0036】
可動用支持部材45は、可動火格子本体41の裏面において当該可動火格子本体41のごみ流れ方向の中心よりも後側の部分を支持する支持部45aと、当該支持部45aよりも後側に設けられ軸土台44に接触された接触部45bとを有している。このような可動用支持部材45は、固定用支持部材35と同じ態様(上述の図4)で、各補強部47に挟持された状態で連結ピン46により可動火格子本体41に取り付けられている。なお、上述した通り、可動火格子22は往復動することが可能となっているが、この際軸土台44も移動するようになっている。
【0037】
ここで、可動火格子22は、移動方向の一方(前側に向かう方)に向かってその最大移動距離に達する手前まで移動した際に、微動火格子23の基端部分に設けられた後述の受圧部58を押圧する押圧部48を有している。すなわち、可動火格子22は、その最大移動距離に到達する直前で押圧部48により受圧部58が押圧されるよう移動する。これにより、微動火格子23を、その受圧部58が押圧部48に押圧された後、可動火格子22が最大移動距離に到達するまで移動(微動)させることができる。
【0038】
微動火格子23は、裏面に補強部57が設けられた微動火格子本体51と、軸受部52と、軸(第3軸)53と、軸土台54と、例えば板状の微動用支持部材55とを備えている。微動用支持部材55は、微動火格子本体51と熱膨張率が同等又は低い材料で形成され、例えばSUS304等のステンレス鋼で形成されることが好ましい。
【0039】
本実施形態では、微動用支持部材55は固定用支持部材35と同形状とすることができる。軸受部52は、微動火格子本体51の裏面の基端部分に設けられており、軸53に載置されている。これにより、微動火格子本体51は軸53回りに揺動可能となっている。軸受部52は、当該軸受部52の軸受面と軸53との間に所定の隙間が出来るように形成されている。これにより、上述したように、微動火格子23の受圧部58が可動火格子22の押圧部48に押圧された際に、微動火格子23を上記隙間の分移動させることができる。また、微動火格子本体51は軸53に対して着脱可能となっている。また、軸53は軸土台54に支持されている。
【0040】
微動用支持部材55は、微動火格子本体51の裏面に設けられており、その基端部分は微動火格子本体51のごみ流れ方向の中心よりも後側の部分に接続されている。このような微動用支持部材55は、固定用支持部材35と同じ態様(上述の図4)で、各補強部57に挟持された状態で連結ピン56により可動火格子本体51に取り付けられている。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のストーカ装置20によれば、可動火格子22や固定火格子21、微動火格子23に割れが生じて当該火格子の前側部分(被焼却物の搬送方向DHの前側部分)がとれて後側部分が残った状態、つまり搬送方向DH前側で隣り合う火格子の基端部分の表面上に支持される部分がなくなった状態でも、可動火格子22が軸43回りの揺動が規制されるように可動用支持部材45に支持されるようになっている。また、上記のような状態になっても、固定用支持部材35(固定用支持部材35の前側部分)が可動火格子本体41に支持されるので固定火格子21はその軸33回りの揺動が規制され、微動用支持部材55(微動用支持部材55の前側部分)が可動火格子本体41に支持されるので微動火格子23はその軸53回りの揺動が規制される。これによって、これらの火格子の後側部分が下方に倒れ込むことを防ぐことができる。一例を挙げて説明すると、図5に示すように、仮に可動火格子22に可動用支持部材45が設けられていない場合には、可動火格子本体41の前側部分が破損でとれてしまうと、当該可動火格子本体41の後側部分が下方に倒れてしまい、可動火格子22の動作不良が生じる。これに対して、本実施形態の可動火格子22においては、可動用支持部材45により可動火格子本体41の後側部分を支持することができるので、当該後側部分が下方に倒れ込むことがない。これにより、火格子の上記後側部分が搬送方向前方の火格子との隙間に挟まることを防ぐことができる。したがって、ストーカ装置20の動作不良が高い信頼性で起き難くなる。
【0042】
また、本実施形態では、微動火格子23を設けて当該微動火格子23を移動させることによって、微動火格子23と可動火格子22との隙間に存在する被焼却物を固着させずに下流側に動かすことが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、微動火格子23をその受圧部58が可動火格子22の押圧部48により押圧されることで移動させるように構成したので、微動火格子23を移動させるためのアクチュエータを別途設ける必要がなく、簡易な構成で微動火格子23を移動させることができるようになっている。
【0044】
また、本実施形態では、可動用支持部材45は、固定火格子本体31の後側部分から前側部分にかけて延在した固定用支持部材35よりもコンパクトになっていて軽量になっている。そのため、固定火格子21、可動火格子22および微動火格子23の全てにつき、固定用支持部材35と同形状の支持部材を採用する態様に比べて、ストーカ装置20の軽量化を図ることができる。
【0045】
また、本実施形態では、微動火格子23において微動火格子本体51の後側部分から前側部分にかけて延在した形状の微動用支持部材55を設けている。仮に、可動用支持部材45と同形状の支持部材を微動火格子23に採用する場合、押圧により微動火格子本体51が移動する際に接触部(接触部45aに相当する部位)が軸土台54から離れることで微動火格子本体51が倒れ込む場合がある。上記のような形状の微動用支持部材55によって、微動火格子本体51の上記倒れ込みを防ぐことができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、固定用支持部材35、可動用支持部材45および微動用支持部材55が板状に形成されているため、例えば角材状や丸棒状に形成された支持部材よりも軽量化およびコンパクト化を図ることができる。
【0047】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば以下の通りである。
【0048】
上記実施形態では、一の可動火格子22と他の可動火格子22との間に微動火格子23を設けるように構成したが、これに限定されるものではなく、微動火格子23を設けなくてもよい。すなわち、固定火格子21と可動火格子22とを搬送方向DHにおいて交互に配置するように構成することも可能である。
【0049】
また、上記実施形態では、固定火格子21および微動火格子23において、それぞれ各火格子本体の後側部分から前側部分にかけて延在した形状の固定用支持部材35および微動用支持部材55を設けるように構成したが、これに限定されるものではない。コンパクト化および軽量化を図るべく、これらの固定火格子21および微動火格子23において、可動用支持部材45と同形状の支持部材を設けてもよい。但し、この場合、上述したように、押圧により微動火格子本体51が移動する際に接触部(接触部45aに相当する部位)が軸土台54から離れることで微動火格子本体51が倒れ込む場合があるため、当該接触部を軸土台34,54に接続することが望ましい。
【0050】
また、上記実施形態では、可動火格子22に可動用支持部材45を設けるように構成したが、これに限定されるものではなく、固定用支持部材35や微動用支持部材55と同形状の支持部材を設けてもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態では、固定用支持部材35、可動用支持部材45および微動用支持部材55を板状に形成することとしたが、これに限定されるものではなく、例えば角材状又は丸棒状に形成された支持部材としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
11 ストーカ式焼却炉
20 ストーカ装置
21 固定火格子
22 可動火格子
23 微動火格子
33 軸(第2軸)
34 軸土台
35 固定用支持部材
43 軸(第1軸)
44 軸土台(第1軸土台)
45 可動用支持部材
48 押圧部
53 軸(第3軸)
54 軸土台
55 微動用支持部材
58 受圧部
図1
図2
図3
図4
図5