(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】耐衝撃性改良ポリアミド成形材料
(51)【国際特許分類】
C08L 77/06 20060101AFI20230906BHJP
C08L 53/02 20060101ALI20230906BHJP
C08L 77/02 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C08L77/06
C08L53/02
C08L77/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019184324
(22)【出願日】2019-10-07
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510022808
【氏名又は名称】エーエムエス-パテント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴィーデマン
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-095880(JP,A)
【文献】特開平04-337355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 77/06
C08L 53/02
C08L 77/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(D)を含むか、又はそれらからなるポリアミド成形材料:
(A)55~9
4重量%の少なくとも1種の非晶質コポリアミドであって、モノマー(a1)~(a4)から形成される非晶質コポリアミド:
(a1)25~40モル%の、少なくとも1種の、炭素原子数6~10の非環式脂肪族ジアミン;
(a2)10~25モル%の、少なくとも1種の、炭素原子数6~36の脂環式ジアミン;
(a3)20~40モル%の、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸;
(a4)10~30モル%の、少なくとも1種の、炭素原子数8~16の非環式脂肪族ジカルボン酸;
ここで、モノマー(a1)と(a2)の割合は、使用したジアミンの合計に関するものであり、合計で50モル%となり、モノマー(a3)と(a4)の割合は、使用したジカルボン酸の合計に関するものであり、合計で50モル%となる;
(B)3~22重量%の、少なくとも1種の官能性スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマー
、ここで、前記官能性スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーは、スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーを、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体、及び不飽和グリシジル化合物からなる群より選択される化合物で共重合することによって及び/又はグラフティングすることによって官能化されたものである;
(C)
3~15重量%の、PA6/12及びPA612からなる群より選択される、少なくとも1種の脂肪族部分結晶性ポリアミド;及び
(D)0~8重量%の、少なくとも1種の添加剤
ここで、前記成分(A)~(D)の割合は、合計100重量%になる。
【請求項2】
前記ポリアミド成形材料における成分(A)の割合が、ポリアミド成形材料の総重量に対して、61~9
4重量%
の範囲にあり、及び/又は
前記ポリアミド成形材料における成分(B)の割合が、ポリアミド成形材料の総重量に対して、3~20重量
%の範囲にあり、及び/又は
前記ポリアミド成形材料における成分(C)の割合が、ポリアミド成形材料の総重量に対して、
3~13重量
%の範囲にあり、及び/又は
前記ポリアミド成形材料における成分(D)の割合が、ポリアミド成形材料の総重量に対して、0~6重量
%の範囲にある
ことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項3】
・前記ポリアミド成形材料から製造された成形品(幅と長さ:60×60mm 2mm厚のプレート)を、ASTM D1003に従って測定した前記ポリアミド成形材料のヘイズが、最大で20
%となる、及び/又は
・前記ポリアミド成形材料から製造された成形品(幅と長さ:60×60mm 2mm厚のプレート)を、ASTM D1003に従って測定した透過率が、少なくとも80
%となる、及び/又は
・前記ポリアミド成形材料から製造された成形品が、少なくとも1500MP
aの、ISO 527によって測定した引張弾性率を有する、及び/又は
・前記ポリアミド成形材料から製造された成形品が、少なくとも18kJ/
m
2
の、DIN EN ISO 179/2eAによって測定したノッチ衝撃強さを有する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリアミド成形材料。
【請求項4】
モノマー(a1)は、炭素原子数6~8の直線状又は分岐状ジアミンであり
、及び/又は
モノマー(a2)は、炭素原子数12~20の脂環式ジアミンであ
り、及び/又は
モノマー(a3)は、炭素原子数6~36の芳香族ジカルボン酸であ
り、及び/又は
モノマー(a4)は、炭素原子数10~14の、非環式の直線状又は分岐状の脂肪族ジカルボン酸であ
る
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項5】
モノマー(a3)が、テレフタル酸とイソフタル酸の混合物
であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項6】
・コポリアミド中のモノマー(a1)の割合が、27.5~40モル%の範
囲であり、及び/又は
・コポリアミド中のモノマー(a2)の割合が、10~22.5モル%の範
囲であり、
この際、モノマー(a1)と(a2)の割合は、使用したジアミンの合計に関するものであり、合計で50モル%となる;
及び/又は
・コポリアミド中のモノマー(a3)の割合が、25~40モル%の範
囲であり、及び/又は
・コポリアミド中のモノマー(a4)の割合が、10~25モル%の範
囲であり、
この際、モノマー(a3)と(a4)の割合は、使用したジカルボン酸の合計に関するものであり、合計で50モル%となる
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項7】
・モノマー(a1)が、1,6-ヘキサメチレンジアミンであり;
・モノマー(a2)が、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノ-シクロヘキシル)メタン(PACM)及びそれらの混合物からなる群より選択さ
れ;
・モノマー(a3)が、テレフタル酸、イソフタル酸、及びそれらの混合物からなる群より選択さ
れ;
・モノマー(a4)が、ドデカン二酸で
あり;
ここで、モノマー(a1)と(a2)の割合は、使用したジアミンの合計に関するものであり、合計で50モル%となり、モノマー(a3)と(a4)の割合は、使用したジカルボン酸の合計に関するものであり、合計で50モル%となる
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項8】
成分(B)が、1つのブタジエンブロックと、2つのスチレンブロックからなる線状のトリブロックコポリマーであり、この際、前記スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーにおけるスチレンの割合
が、25~53重量%
である
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項9】
前記不飽和カルボン酸誘導体が、不飽和カルボン酸エステル及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される化合物である
ことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項10】
成分(B)が共重合による場合、共重合のために使用される個々の化合物の重量割合が、成分(B)の総重量に対してそれぞれ、3~20重量
%の範囲であり、及び/又は
成分(B)がグラフティングによる場合、グラフティングのために使用される個々の化合物の重量割合が、成分(B)の総重量に対して、それぞれ、0.4~2.0重量
%の範囲である
ことを特徴とする、請求項
1~9のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項11】
成分(C)が、ε-カプロラクタムと12-ラウリンラクタムから形成される、コポリアミドPA6/12で
あることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項12】
前記添加剤(D)が、無機及び有機安定剤
(抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、光保護剤
を含み、
前記光保護剤には、UV安定剤、UV吸収剤
、及びUV遮断剤
が含まれる)、潤滑剤、着色剤、マーキング剤、顔料、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、 フォトクロミック剤、帯電防止剤、離型剤、縮合触媒、鎖調節剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、鎖延長添加剤、蛍光増白剤、IR吸収剤、NIR吸収剤、ハロゲン含有難燃剤、非ハロゲン難燃剤、天然層状ケイ酸塩、合成層状ケイ酸塩、メタリック顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、粒状フィラー、繊維状フィラー、ナノスケールフィラー(ISO 13320(2009)によるレーザー回析によって測定される、100nm以下の粒径(d
95)を有するもの)及びそれらの混合物からなる群より選択される
ことを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項13】
前記繊維状フィラーが、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、植物繊維、セルロース繊維
(ナノセルロース繊維
を含む)、ポリマー繊維、ウィスカー、鉱物繊維及びそれらの混合物か
らなる群より選択される
ことを特徴とする、請求項12に記載のポリアミド成形材料。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料から製造できる成形品。
【請求項15】
前記成形品が、装飾用品
(自動車の内装及びファッション分野における装飾用品
を含む)、スポーツ物品
(スキーブーツ、スポーツシューズの靴底
を含む)、レジャー用品、玩具
(構造要素、コンポーネント、図形
及び模型
を含む)、家庭用品
(容器、皿、ボウル、缶、ビーカー、哺乳瓶、飲料用瓶
を含む)、キッチン用品の構成要素、眼鏡の構成要素
(眼鏡のフレーム
及び眼鏡のサイドピース
を含む;安全ゴーグル、スポーツゴーグル
及びスキーゴーグル
用の構成要素も含む)、家具カバー、インソール、衛生分野及び化粧品分野の器具用の構成部品及び装備品、安全靴用の部品
、キャップ、フィルターカップ、検査用眼鏡、流量計、破裂ディスク、容器、電気及び電子機器用のハウジング又はハウジング部品
(シェービング器具、脱毛器具、測定器具、赤外線キー、携帯電話、プレーヤー、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン
、及びストレージメディア(
USBスティック
を含む)用のハウジング又はハウジング部品
を含む)、携帯電話の保護カバー、コンピュータ及び電気通信分野におけるトリムパーツ、パイプ、ホース、フィルム、及び電子タバコの部品からなる群より選択されることを特徴とする、請求項14に記載の成形品。
【請求項16】
装飾用品
(自動車の内装及びファッション分野における装飾用品
を含む)、スポーツ物品
(スキーブーツ、スポーツシューズの靴底
を含む)、レジャー用品、玩具
(構造要素、コンポーネント、図形
及び模型
を含む)、家庭用品
(容器、皿、ボウル、缶、ビーカー、哺乳瓶、飲料用瓶
を含む)、キッチン用品の構成要素、眼鏡の構成要素
(眼鏡のフレーム
及び眼鏡のサイドピース
を含む;安全ゴーグル、スポーツゴーグル
及びスキーゴーグル
用の構成要素も含む)、家具カバー、インソール、衛生分野及び化粧品分野の器具用の構成部品及び装備品、安全靴用の部品
、キャップ、フィルターカップ、検査用眼鏡、流量計、破裂ディスク、容器、電気及び電子機器用のハウジング又はハウジング部品
(シェービング器具、脱毛器具、測定器具、赤外線キー、携帯電話、プレーヤー、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン
、及びストレージメディア(
USBスティック
を含む)用のハウジング又はハウジング部品
を含む)、携帯電話の保護カバー、コンピュータ及び電気通信分野におけるトリムパーツ、パイプ、ホース、フィルム、及び電子タバコの部品からなる群より選択される成形品を製造するための、請求項1~13のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の非晶質ポリアミド、及び耐衝撃性改良剤としての官能化(機能化)スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーに加えて、任意でさらに特定の部分結晶性ポリアミドと添加剤を含む、耐衝撃性改良ポリアミド成形材料に関する。また、本発明は、成形品を製造するためにこれらのポリアミド成形材料を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドは、今日では、内装及び外装のための構成要素として、特に、ハウジング、光学機器、及びディスプレイの分野で、さらに家庭用機器及びスポーツ用品の分野でも汎用されている。これは、本質的にはポリアミドの良好な機械的特性に起因する。これは、多様な形状を可能にするために、成形材料の良好な加工性にとって重要である。しかしながら同時に、かなり長い期間使用した後でも維持されるべき、成形材料の良好な光学特性(特に透明性に関して)を可能にすることも重要である。
【0003】
EP 3 336 131 A1には、良好な加工性、同様に良好な光学特性を有する非晶質ポリアミドをベースとする、ポリアミド成形材料が開示されている。この非晶質ポリアミドは、脂肪族ポリアミドによって改質することも可能である。
【0004】
EP 2 778 190 B1には、PA MACM12、PA PACM12、PA MACM10、PA PACM10、PA MACM14及びPA PACM14、それらの混合物及びコポリアミドからなる群より選択されるポリアミドと、耐衝撃性改良剤としての、官能化スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン-ブロックコポリマー(SEBS)とからなる透明な配合物が開示されており、これは高いノッチ衝撃強さを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】EP 3 336 131 A1
【文献】EP 2 778 190 B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここから出発して、本発明の目的は、高い剛性(特に引張弾性率によって表される)に加えて、高い強度(特にノッチ衝撃強さによって表される)及び非常に良好な光学特性(特に、ヘイズ及び光透過率によって表される)を有するポリアミド成形材料を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有するポリアミド成形材料によって達成される。さらなる従属請求項は、有利な展開を明らかにする。
【0008】
本発明によれば、以下の成分(A)~(D)を含む、又はそれらからなるポリアミド成形材料が提供される:
(A)55~97重量%の少なくとも1種の非晶質コポリアミドであって、モノマー(a1)~(a4)から形成される非晶質コポリアミド:
(a1)25~40モル%の、少なくとも1種の、炭素原子数6~10の非環式脂肪族ジアミン;
(a2)10~25モル%の、少なくとも1種の、炭素原子数6~36の脂環式ジアミン;
(a3)20~40モル%の、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸;
(a4)10~30モル%の、少なくとも1種の、炭素原子数8~16の非環式脂肪族ジカルボン酸;
ここで、前記モノマー(a1)と(a2)の割合は、使用したジアミンの合計に関するものであり、合計で50モル%となり、前記モノマー(a3)と(a4)の割合は、使用したジカルボン酸の合計に関するものであり、合計で50モル%となる;
(B)3~22重量%の、少なくとも1種の官能性スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマー;
(C)0~15重量%の、PA6/12及びPA612からなる群より選択される、少なくとも1種の脂肪族部分結晶性ポリアミド;及び
(D)0~8重量%の、少なくとも1種の添加剤
ここで、前記成分(A)~(D)の割合は、合計100重量%になる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
用語の定義
・ポリアミド及びそのモノマーのための表記及び略語
本発明の意味において、用語「ポリアミド」(略称PA)は一般的な用語と理解され、ホモポリアミドとコポリアミドを含む。ポリアミド及びそのモノマーのために選択される表記と略語は、ISO規格16396-1(2015, (D))において規定されているものと一致する。そこで使用される略語は、以下において、モノマーのIUPAC名と同義的に使用される。
【0010】
・一般的な量の記載
本発明にかかるポリアミド成形材料は、成分(A)及び(B)、並びに任意で(C)/(D)を含むか、又はそれらからなり、成分(A)、(B)、(C)及び(D)は合計で100重量%となることを条件とする。個々の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の量に関する規定の範囲は、成分(A)~(D)全ての合計が100重量%となることを条件として、個々の成分それぞれについて任意の量が、所定の範囲内で選択できると理解される。
【0011】
・成分(B)の官能化(機能化)
成分(B)は、共重合によって又はグラフティングによって官能化することができる。本発明の意味において、共重合による官能化は、成分(B)の主鎖内に、この主鎖の成分として、官能化化合物を組み込むことを意味する。これに対して、グラフティングによる成分(B)の官能化は、主鎖に官能化化合物を、側鎖が形成されるように結合することと理解される。
【0012】
・部分結晶性ポリアミド
本発明の意味において、部分結晶性ポリアミドは、融点を持つポリアミドである。
本発明の意味において、部分結晶性ポリアミドは、ISO 11357-3(2013)による動的示差熱量測定(示差走査熱量測定;DCS)において、20K/分の加熱速度にて、好ましくは4J/gより大きい融解熱を示すポリアミドである。
【0013】
ポリアミド成形材料
本発明に係るポリアミド成形材料は、成分(A)及び(B)、及び場合によっては、成分(C)及び/又は成分(D)を含むか、あるいはこれらからなる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ポリアミド成形材料における成分(A)の割合は、ポリアミド成形材料の総重量に対して、61~97重量%、好ましくは67~93重量%、特に好ましくは77~90.9重量%の範囲にある。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、前記ポリアミド成形材料における成分(B)の割合は、ポリアミド成形材料の総重量に対して、3~20重量%、好ましくは4~17重量%、特に好ましくは4~10重量%の範囲にある。
【0016】
さらに好ましい実施形態によれば、前記ポリアミド成形材料における成分(C)の割合は、ポリアミド成形材料の総重量に対して、0~13重量%、好ましくは3~12重量%、特に好ましくは5~10重量%の範囲にある。
【0017】
さらに好ましい実施形態によれば、前記ポリアミド成形材料における成分(D)の割合は、ポリアミド成形材料の総重量に対して、0~6重量%、好ましくは0~4重量%、特に好ましくは0.1~3重量%の範囲にある。
【0018】
前記ポリアミド成形材料から製造された成形品(幅と長さ:60×60mm 2mm厚のプレート)を、ASTM D1003に従って測定した前記ポリアミド成形材料のヘイズは、最大で20%、好ましくは最大で15%、特に好ましくは最大で10%となる。
【0019】
前記ポリアミド成形材料から製造された成形品(幅と長さ:60×60mm 2mm厚のプレート)を、ASTM D1003に従って測定した光透過率は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも90%となる。
【0020】
前記ポリアミド成形材料から製造された成形品は、好ましくは少なくとも1500MPa、好ましくは少なくとも1700MPa、特に好ましくは少なくとも1800MPaの、ISO527によって測定した引張弾性率を有する。
【0021】
前記ポリアミド成形材料から製造された成形品は、好ましくは、少なくとも18kJ/m2、好ましくは21kJ/m2の、DIN EN ISO 179/2eAによって測定したノッチ衝撃強さを有する。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明に係るポリアミド成形材料は、ガラス繊維を含まない。
【0023】
特に好ましい実施形態では、本発明に係るポリアミド成形材料は、繊維状フィラーを含まない。
【0024】
好ましい実施形態によれば、成分(A)は1種のコポリアミドのみから、成分(B)は1種の耐衝撃性改良剤のみからなる。
【0025】
好ましい実施形態によれば、成分(A)は1種のコポリアミドのみから、成分(B)は1種の耐衝撃性改良剤のみから、成分(C)は1種の脂肪族部分結晶性ポリアミドのみからなる。
【0026】
成分(A)
成分(A)は、モノマー(a1)~(a4)から形成される少なくとも1種の非晶質コポリアミドからなる:
(a1)25~40モル%の、少なくとも1種の炭素原子数6~10の非環式脂肪族ジアミン;
(a2)10~25モル%の、少なくとも1種の炭素原子数6~36の脂環式ジアミン;
(a3)20~40モル%の、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸;
(a4)10~30モル%の、少なくとも1種の炭素原子数8~16の非環式脂肪族ジカルボン酸;
ここで、前記モノマー(a1)と(a2)の割合は、使用したジアミンの合計に関するものであり、合計で50モル%となり、前記モノマー(a3)と(a4)の割合は、使用したジカルボン酸の合計に関するものであり、合計で50モル%となる。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、モノマー(a1)は、炭素原子数6~8の直線状又は分岐状ジアミンであり、特に好ましくは、1,6-ヘキサメチレンジアミン及び/又は2-メチル-1,5-ペンタンジアミンである。
【0028】
前記モノマー(a2)は、好ましくは、炭素原子数12~20の脂環式ジアミンであり、好ましくは、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン(PACP)、2,2-ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)プロパン(MACP)、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(EACM)、2,2-ビス-(4-アミノ-3-エチル-シクロヘキシル)プロパン(EACP)、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMACM)、2,2-ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)プロパン(TMACP)及びそれらの混合物からなる群より選択され、この際、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)及びそれらの混合物が特に好ましい。
【0029】
前記モノマー(a3)は、好ましくは、炭素原子数6~36の芳香族ジカルボン酸であり、好ましくは、テレフタル酸(TPS)、ナフタレンジカルボン酸(NDA)(これには、1,5-ナフタレンジカルボン酸、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸が含まれる)、イソフタル酸(IPS)、ビフェニルジカルボン酸、特に好ましくはジフェニル-2,2'-ジカルボン酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸、3,3'-ジフェニルジカルボン酸、4,4'-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'-ジフェニルメタンジカルボン酸、及び4,4'-ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5-アントラセンジカルボン酸、p-テルフェニレン-4,4''-ジカルボン酸、及び2,5-ピリジンジカルボン酸、並びにそれらの混合物からなる群より選択され、この際、テレフタル酸、及びイソフタル酸、並びにそれらの混合物が非常に好ましい。
【0030】
前記モノマー(a4)は、好ましくは、炭素原子数10~14の、非環式の直線状又は分岐状の脂肪族ジカルボン酸であり、好ましくは、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、この際、特にドデカン二酸を使用することが特に好ましく、ドデカン二酸のみを使用することが非常に好ましい。
【0031】
モノマー(a3)として好ましくは、テレフタル酸とイソフタル酸の混合物が使用でき、好ましくは2:1~1:2のモル比で、特に1.5:1~1:1.5の比で、非常に好ましくはテレフタル酸とイソフタル酸の等モル混合物が使用される。
【0032】
コポリアミド中のモノマー(a1)の割合は、好ましくは27.5~40モル%の範囲、好ましくは30~38.5モル%の範囲であり、及び/又はコポリアミド中のモノマー(a2)の割合は、好ましくは10~22.5モル%の範囲、特に好ましくは11.5~20モル%の範囲であり、この際、モノマー(a1)と(a2)の割合は、使用したジアミンの合計に関するものであり、合計で50モル%となる。
【0033】
コポリアミド中のモノマー(a3)の割合は、好ましくは25~40モル%の範囲、好ましくは30~37.5モル%の範囲であり、及び/又はコポリアミド中のモノマー(a4)の割合は、好ましくは10~25モル%の範囲、特に好ましくは12.5~20モル%の範囲であり、この際、モノマー(a3)と(a4)の割合は、使用したジカルボン酸の合計に関するものであり、合計で50モル%となる。
【0034】
さらに好ましい実施形態によれば、
・前記モノマー(a1)は、1,6-ヘキサメチレンジアミンとして選択され;
・前記モノマー(a2)は、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノ-シクロヘキシル)メタン(PACM)及びそれらの混合物からなる群より選択され、好ましくは、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)だけが選択される;
・前記モノマー(a3)は、テレフタル酸、イソフタル酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、好ましくは、1.5:1~1:1.5の比の混合物、特に好ましくは等モル混合物である;
・前記モノマー(a4)は、ドデカン二酸として選択される。
【0035】
好ましくは、前記モノマーの割合は、以下のように選択される:
・(a1)30~37.5モル%の範囲
・(a2)12.5~20モル%の範囲
・(a3)30~37.5モル%の範囲
・(a4)12.5~20モル%の範囲
ここで、モノマー(a1)と(a2)の割合は、使用したジアミンの合計に関するものであり、合計で50モル%となり、モノマー(a3)と(a4)の割合は、使用したジカルボン酸の合計に関するものであり、合計で50モル%となる。
【0036】
一般に、成分(A)の範囲において、ラクタムベース又はアミノ酸ベースの成分は使用されないことが好ましい。それゆえ、成分(A)は、本質的に、ラクタム成分及び/又はアミノ酸成分を含まない(すなわち、(A)の総量に対して、2重量%未満、好ましくは1重量%未満の割合)。好ましくは、成分(A)はラクタム成分及び/又はアミノ酸成分を全く含まない。
【0037】
特に好ましいコポリアミド(A)は、以下のモノマーから構成される:
・(a1)30~33モル%の範囲の1,6-ヘキサメチレンジアミン;
・(a2)17~20モル%の範囲のMACM;
・(a3)29.5~32.5モル%の範囲の、テレフタル酸とイソフタル酸の等モル混合物;
・(a4)17.5~20.5モル%の範囲のドデカン二酸;
ここで、モノマー(a1)と(a2)の割合は、使用したジアミンの合計に関するものであり、合計で50モル%となり、モノマー(a3)と(a4)の割合は、使用したジカルボン酸の合計に関するものであり、合計で50モル%となる。
【0038】
さらに、成分(A)が、1.50~1.90、特に好ましくは1.60~1.80、及び非常に好ましくは1.65~1.80の相対粘度(ISO307(2013)に従って、20℃にて、100mLのm-クレゾール中に0.5gのポリマーを含む溶液で測定した相対粘度)を有することが好ましく、及び/又は、成分(A)が、100℃以上、好ましくは120℃又は130℃以上、特に好ましくは140℃以上のガラス転移点(しかし、好ましくは220℃以下、又は200℃以下)を有することが好ましく、ここで、ガラス転移点は、ISO11357-2(2013)に従って、DSCによって、加熱速度20K/分にて測定される。
【0039】
成分(A)に係るコポリアミドは非晶質であり、測定不能な、あるいは非常にわずかな融解熱(融解エンタルピー)(好ましくは4J/g以下、特に好ましくは2J/g以下、非常に好ましくは1J/g以下)を有する(ISO 11357-3(2013)に従って、顆粒を、20K/分の加熱速度で、示差走査熱量測定(DSC)によって測定)。
【0040】
成分(B)
本発明の好ましい実施形態によれば、成分(B)の官能化は、共重合によって及び/又はグラフティングによって行われる。この目的のために、特に好ましくは、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体及びそれらの混合物からなる群より選択される化合物及び/又は不飽和グリシジル化合物が使用される。これは、特に好ましくは、不飽和カルボン酸エステル、特に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸無水物、特に無水マレイン酸、グリシジルアクリル酸、グリシジルメタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、テトラヒドロフタル酸、ブテニルコハク酸及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0041】
共重合によって官能化が行われる場合、官能化のために使用される個々の化合物の重量割合は、成分(B)の総重量に対して、それぞれ、好ましくは3~20重量%、特に好ましくは5~16重量%、及びさらに好ましくは6~14重量%の範囲である。
【0042】
グラフティングによって官能化が行われる場合、官能化のために使用される個々の化合物の重量割合は、成分(B)の総重量に対して、それぞれ、好ましくは0.4~2.0重量%、特に好ましくは0.6~1.6重量%、さらに好ましくは0.8~1.4重量%の範囲である。
【0043】
共重合によって官能化した耐衝撃性改良剤を、さらにグラフティングにより官能化することも可能である。
【0044】
スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーは、1つのブタジエンブロックと、2つのスチレンブロックからなる直線状のトリブロックコポリマーである。
【0045】
スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーにおけるスチレンの割合は、好ましくは25~53重量%、特に好ましくは30~48重量%、及び非常に好ましくは35~45重量%である。
【0046】
前記スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーは、好ましくは、4~25g/10分、特に好ましくは5~20g/10分、非常に好ましくは6~15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。前記メルトフローレートは、ISO1133に従って、200℃・5kgで測定される。
【0047】
前記スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーにおけるスチレンの割合は、好ましくは25~53重量%、特に好ましくは30~48重量%、非常に好ましくは35~45重量%であり、及び/又は、前記スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーは、0.4~2.0重量%、特に好ましくは0.6~1.6重量%、さらに好ましくは0.8~1.4重量%の無水マレイン酸でグラフトされている、及び/又は、前記スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーは、好ましくは、4~25g/10分、特に好ましくは5~20g/10分、非常に好ましくは6~15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。
【0048】
前記スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーは、好ましくは、開始剤としてブチルリチウムを用いるアニオン重合によって製造される。これは、ブタジエンブロック内に、36~38%のcis-1,4-ユニット、52~53%のトランス-1,4-ユニット、及び10~12%の1,2-ユニットをもたらす。
【0049】
前記スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーはまた、水素化された、架橋された、又は加硫処理された形で、本発明にかかるポリアミド成形材料中で使用されてもよい。
【0050】
成分(B)に係る前記少なくとも1種のスチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーは、混合物又はブレンドの形で、すなわち、1又は複数の非-官能化スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーと、溶解物中で均質化された混合物の形で使用されてもよく、この際、官能化の重量割合はなお、共重合による又はグラフティングによる官能化のために前述した範囲内である。
【0051】
しかしながら、好ましい実施形態によれば、本発明に係るポリアミド成形材料は、非-官能化スチレン-ブタジエン-スチレン-トリブロックコポリマーを含まない。
【0052】
成分(C)
好ましい実施形態によれば、成分(C)は、1.50~2.25、好ましくは1.65~2.10、特に好ましくは1.75~2.00の相対粘度を有する。前記相対粘度は、ISO307(2007)に従って、20℃で、100mLのm-クレゾール中に0.5gのポリマーを含む溶液で測定される。
【0053】
さらに好ましい実施形態によれば、成分(C)は、120~225℃、好ましくは180~210℃、特に好ましくは190~200℃の融点を有し、ここで、前記融点は、ISO 11357-3(2013)に従って、DSCによって、20K/分の加熱速度で測定される。
【0054】
別の好ましい実施形態では、前記成分(C)は、ε-カプロラクタムと12-ラウリンラクタムから形成される、コポリアミドPA6/12である。
【0055】
前記PA6/12は、好ましくは、96~75モル%のε-カプロラクタム及び4~25モル%のラウリンラクタムから、特に好ましくは94~80モル%のε-カプロラクタム及び6~20モル%のラウリンラクタムから、非常に好ましくは92~82モル%のε-カプロラクタム及び8~18モル%のラウリンラクタムから形成される。
【0056】
特に好ましい実施形態では、成分(C)は、200℃の融点、1.80~2.00の相対粘度を有し、90モル%のε-カプロラクタム及び10モル%の12-ラウリンラクタムから形成されるコポリアミド6/12であり、ここで、融点は、ISO 11357-3(2013)に従って、DCSによって、加熱速度20K/分で測定され、相対粘度は、ISO307(2007)に従って、20℃にて、100mLのm-クレゾール中に0.5gのポリマーを含む溶液で測定される。
【0057】
成分(D)
本発明の好ましい実施形態によれば、添加剤(D)は、無機及び有機安定剤、特に抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、光保護剤、特に、UV安定剤、UV吸収剤又はUV遮断剤、潤滑剤、着色剤、マーキング剤、顔料、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、 フォトクロミック剤、帯電防止剤、離型剤、縮合触媒、鎖調節剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、鎖延長添加剤、蛍光増白剤、IR吸収剤、NIR吸収剤、ハロゲン含有難燃剤、非ハロゲン難燃剤、天然層状ケイ酸塩、合成層状ケイ酸塩、メタリック顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、粒状フィラー、繊維状フィラー、ナノスケールフィラー(ISO 13320(2009)によるレーザー回析による測定によって、100nm以下の粒径(d95)を有するもの)及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0058】
層状ケイ酸塩及びフィラーは、表面処理されてもよい。これは、適切なサイジング系又は接着剤系を用いて行うことができる。この目的のために、例えば、脂肪酸、ワックス、シラン、チタン酸塩、ポリアミド、ウレタン、ポリヒドロキシエーテル、エポキシド、ニッケル、それぞれの組み合わせ又はそれらの混合物をベースとする系が使用できる。
【0059】
粒状フィラーとして、当業者に既知のフィラー全てを使用することができる。このために、特に、鉱物、タルク、マイカ、ドロマイト、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、ケイ酸、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、粉末ガラス、ガラスフレーク、粉末カーボンファイバー、重質又は沈降炭酸カルシウム、石灰、長石、硫酸バリウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、永久磁石又は磁化可能な金属あるいは合金、ガラス球、中空ガラス球、中空球状ケイ酸塩フィラー及びそれらの混合物からなる群より選択される粒状フィラーが挙げられる。
【0060】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、添加剤(D)は、無機及び有機安定剤、特に、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、光保護剤、特に、UV安定剤、UV吸収剤又はUV遮断剤、潤滑剤、着色剤、マーキング剤、顔料、フォトクロミック剤、帯電防止剤、離型剤、縮合触媒、 鎖調節剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、鎖延長添加剤、蛍光増白剤、IR吸収剤、NIR吸収剤、天然層状ケイ酸塩、合成層状ケイ酸塩、粒状フィラー、ナノスケールフィラー(ISO 13320(2009)によるレーザー回析による測定によって、100nm以下の粒径(d95)を有するもの)及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0061】
前記添加剤(D)は、好ましくは、ポリアミド成形材料の総重量に対して、0.1~6重量%、及び特に好ましくは、0.2~4重量%含まれる。
【0062】
成形品
本発明にかかる成形品は、本発明に係るポリアミド成形材料から、現在の加工技術、例えば、射出成形法などによって製造することができる。
【0063】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記成形品は、装飾用品、特に自動車の内装及びファッション分野における装飾用品、スポーツ物品、特にスキーブーツ、スポーツシューズの靴底、レジャー用品、玩具、特に構造要素、コンポーネント、図形又は模型、家庭用品、特に容器、皿、ボウル、缶、ビーカー、哺乳瓶、飲料用瓶、キッチン用品の構成要素、眼鏡の構成要素、特に眼鏡のフレーム又は眼鏡のサイドピース(特に安全ゴーグル、スポーツゴーグル又はスキーゴーグル用の)、家具カバー、インソール、衛生分野及び化粧品分野の器具用の構成部品及び装備品、安全靴用の部品、特にキャップ、フィルターカップ、検査用眼鏡、流量計、破裂ディスク、容器、電気及び電子機器用のハウジング又はハウジング部品、特にシェービング器具、脱毛器具、測定器具、赤外線キー、携帯電話、プレーヤー、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン又はストレージメディア(例えば、USBスティック)用のハウジング又はハウジング部品、携帯電話の保護カバー、コンピュータ及び電気通信分野におけるトリムパーツ、パイプ、ホース、及び電子タバコの部品からなる群より選択される。
【0064】
使用
さらに、本発明は、上述の本発明に係るポリアミド成形材料を、装飾用品、特に自動車の内装及びファッション分野における装飾用品、スポーツ物品、特にスキーブーツ、スポーツシューズの靴底、レジャー用品、玩具、特に構造要素、コンポーネント、図形又は模型、家庭用品、特に容器、皿、ボウル、缶、ビーカー、哺乳瓶、飲料用瓶、キッチン用品の構成要素、眼鏡の構成要素、特に眼鏡のフレーム又は眼鏡のサイドピース(特に安全ゴーグル、スポーツゴーグル又はスキーゴーグル用の)、家具カバー、インソール、衛生分野及び化粧品分野の器具用の構成部品及び装備品、安全靴用の部品、特にキャップ、フィルターカップ、検査用眼鏡、流量計、破裂ディスク、容器、電気及び電子機器用のハウジング又はハウジング部品、特にシェービング器具、脱毛器具、測定器具、赤外線キー、携帯電話、プレーヤー、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン又はストレージメディア(例えば、USBスティック)用のハウジング又はハウジング部品、携帯電話の保護カバー、コンピュータ及び電気通信分野におけるトリムパーツ、パイプ、ホース、及び電子タバコの部品を製造するために使用することに関する。
【0065】
以下に示す実施例を参照して、本発明の主題をより詳細に説明するが、前記主題はここに示される特定の実施形態に限定されない。
【0066】
測定方法
・相対粘度
相対粘度は、ISO307(2007)によって、20℃にて測定された。この目的のために、0.5gのポリマー顆粒を量って、100mLのm-クレゾールに入れた。相対粘度(RV)の計算は、規格の11章に従って、RV=t/t0によって行った。
【0067】
・融点及びガラス転移点(Tg)
融点の測定は、ISO 11357-3(2013)に従って、顆粒で行った。
示差走査熱量測定(DSC)は、2回の加熱のそれぞれにおいて、20K/分の加熱速度で行った。最初の加熱の後、サンプルをドライアイスで急冷した。融点は2回目の加熱の間に測定した。
ピーク最大値の温度を融点として示した。ガラス転移範囲の中央をガラス転移点(Tg)として示し、これは「ハーフハイト」法によって測定した。
【0068】
・引張弾性率
引張弾性率の測定は、ISO527(2012)に従って、23℃にて、引張速度1mm/分で、規格:ISO/CD3167(2003)に従って製造したISO引張試験片(タイプA1,寸法170×20/10×4)を用いて実施した。
【0069】
・シャルピーノッチ衝撃強さ
シャルピーによるノッチ衝撃強さの測定は、DIN EN ISO 179/2eA (2000)に従って、23℃にて、規格ISO/CD3167(2003)に従って製造したISO試験片、タイプB1(寸法 80×10×4mm)を用いて実施した。
【0070】
・光透過率及びヘイズ
光透過率とヘイズは、23℃にて、ASTM D 1003(2013)に従って、2mm厚の60mm×60mmプレート(幅×長さ)で、及びByk Gardner社の「Haze Gard plus」のフィルムゲートで測定した(CIE光源Cを用いた)。光透過率の値は、照射した光量の%で示した。
【0071】
・MVR(メルトボリュームレート)又はMFR(メルトフローレート)
MVR又はMFRの測定は、ISO1133-1(2012)に従って、表1に示す温度と負荷を用いて、耐衝撃性改良剤の顆粒で行った。
【0072】
・試験片の製造
0.1重量%未満の含水率を有する顆粒を使用して、試験片を製造した。試験片は、Arburg社の射出成形機 Allrounder 420 C 1000-250で製造した。その際、供給口からノズルにかけて、上昇又は下降するシリンダー温度を使用した。
【0073】
ISO引張試験片及びISO試験片
シリンダー温度: 260/265/270/275/280/275℃
金型温度: 80℃
60×60×2mmのプレート
シリンダー温度: 270/275/280/285/290/285℃
金型温度: 80℃
【0074】
前記プレートを製造するために、研磨処理した金型を使用した。
試験片は、異なることが述べられない限り、乾燥した状態で使用された;このために、射出成形後、少なくとも48時間、室温にて、乾燥した環境(すなわち、シリカゲル上)で、試験片を保管した。
【0075】
出発物質
実施例および比較例で使用した物質を表1及び2にまとめる。
【表1】
【0076】
【0077】
実施例および比較例
コポリアミド(A)の一般的な製造明細
本発明に係る透明なコポリアミドの製造は、既知の撹拌可能な、受容槽及び反応槽を有する加圧オートクレーブにおいて、既知の方法で行われる。
【0078】
受容槽中に、脱イオン水を入れ、モノマーと任意で添加剤を添加する。その後、窒素ガスを用いて複数回、雰囲気を不活性にする。均一な溶液を得るために、撹拌下、180~230℃にて、調節した圧力下で加熱する。この溶液を、ふるいを通して、反応槽中にポンプ注入し、270~310℃の所望の反応温度で、最大で30バールの圧力で加熱する。このバッチを、前記反応温度で、2~4時間、圧力相で保持する。続く圧力解放相で、1~2時間以内に、圧力を大気圧まで低下させ、この際温度はわずかに下がってもよい。続く脱気相において、バッチを、大気圧にて0.5~3時間、250~310℃の温度に保つ。このポリマー溶融物を、ストランド形状に放出し、水浴中で10~80℃に冷やし、造粒する。窒素下又は真空中、60~120℃で顆粒を乾燥し、含水率を0.1重量%未満とする。
【0079】
ポリアミド成形材料の一般的な製造明細
本発明に係るポリアミド成形材料を製造するために、成分(A)、(B)、及び任意で(C)及び/又は(D)を、通常の配合機(例えば一軸又は二軸押出機又はスクリュー混練機など)で混合する。前記成分は、その際、重量計測秤又は容積計測秤を経て、供給口に個々に計量投入されるか、又はサイドフィーダーにそれぞれ計量投入されるか、又はドライブレンドの形で供給される。
【0080】
添加剤(成分(D))を使用する場合、これらは直接又はマスターバッチの形態で、導入できる。マスターバッチのキャリア物質は、好ましくはポリアミド又はポリオレフィンである。前記ポリアミドの中でも、成分(A)のポリアミドが、この目的のために特に適切である。
【0081】
ドライブレンドを製造するために、成分(A)、(B)、及び任意で(C)及び/又は(D)の乾燥顆粒を、一つの閉鎖容器内で混合する。この混合物は、タンブルミキサー、ドラムフープミキサーまたはタンブルドライヤーによって、10~40分間均質化される。水分の吸収を避けるため、これは乾燥した保護ガス下で行われてもよい。
【0082】
前記配合は、250~310℃の設定シリンダー温度で行われ、この際、最初のシリンダーの温度は90℃未満に調節されてもよい。ノズルの前で脱気を行うことができる。これは、真空又は大気の作用によって行うことができる。溶融物はストランド形状に放出され、水浴中で10~80℃に冷却され、その後造粒される。顆粒は、窒素下又は真空中、60~120℃で、含水率が0.1重量%未満となるまで、乾燥される。
【0083】
実施例1のポリアミド成形材料の製造
成分(A)及び(B)並びに添加剤(D)の乾燥顆粒を、表3に示す比で混合して、ドライブレンドを形成した。この混合物を、約20分間、タンブルミキサーによって均質化した。
【0084】
前記ポリアミド成形材料を、Werner & Pfleiderer社の二軸押出機である type ZSK 25で製造した。前記ドライブレンドを、計量秤を経て供給口に計量投入した。
【0085】
最初のハウジングの温度は、50℃に調節し、残りのハウジングの温度は270~290℃に調節した。200rpmの回転速度及び10kg/hのスループットを使用した。脱気は行わなかった。溶融ストランドを水浴中で冷却し、切断し、得られた顆粒を、80℃にて、真空中(30ミリバール)で24時間乾燥し、含水率を0.1重量%未満とした。
【0086】
試験結果
全ての実施例と比較例は、0.3重量%の添加剤を含み、これは、それぞれ0.1重量%の安定剤1~3から構成される。
本発明に係る成形材料を、引張弾性率、ノッチ衝撃強さ、ヘイズ、及び光透過率に関して、前述した測定条件下で試験した。
【0087】
【0088】
同様に、本発明によらない成形材料を、引張弾性率、ノッチ衝撃強さ、ヘイズ、及び光透過率に関して、同じ測定条件で試験した。以下の表4に、比較例の結果をまとめる。
【0089】
【0090】
4.結果の考察
実施例1~7の試料は、比較例17の、非-耐衝撃性改良ポリアミド(A)に対して、ヘイズ、光透過率又は引張弾性率を大きく損なうことなく、有意に改善されたノッチ衝撃強さを示す。
ポリアミド(A)中の他の耐衝撃性改良剤は、比較例8~11から分かるように、ヘイズ、光透過率又は引張弾性率を損なう。
前記耐衝撃性改良剤(B)は、比較例12~16に示されるように、他の非晶質ポリアミド内では、ヘイズ、光透過率又は引張弾性率の有意な悪化をもたらす。