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  • 特許-異常判定装置および異常判定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】異常判定装置および異常判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20230906BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20230906BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
G01M17/007 J
G06N20/00
G05B23/02 T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019189016
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021063742
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 雄介
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-178810(JP,A)
【文献】特開2019-036112(JP,A)
【文献】特開平06-109498(JP,A)
【文献】特開2015-219029(JP,A)
【文献】特開2021-039685(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0239662(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/007
G06N 20/00
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサから入力される車両の状態を示す情報を回帰分析して数値に変換する機械学習された複数の回帰モデルと、
前記回帰モデル毎に設けられ、前記回帰モデルによって変換された前記数値に基づいて前記車両の状態が異常か否かを判定する判定部と、
各前記判定部による判定結果に所定の重み係数を乗算して前記車両の状態の最終判定結果を決定する決定部と、
前記回帰モデル毎の前記数値の統計値と、全前記判定部において共通の適合定数とに基づいて、前記判定部毎に前記車両の状態の判定基準を修正する統計処理部と、
前記回帰モデルの再学習が行われる場合に、前記統計値と前記適合定数との誤差に応じて前記重み係数を変更する変更部と
を備えることを特徴とする異常判定装置。
【請求項2】
前記変更部は、
前記回帰モデルの再学習後における前記誤差が所定の許容範囲内である場合に、前記重み係数を維持させる
ことを特徴とする請求項1に記載の異常判定装置。
【請求項3】
前記変更部は、
前記回帰モデルの再学習後における前記誤差が所定の許容範囲を超える場合に、前記誤差が大きいほど前記重み係数を軽減させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異常判定装置。
【請求項4】
前記変更部は、
全前記回帰モデルの相対的な前記誤差に基づいて、前記重み係数を変更する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の異常判定装置。
【請求項5】
前記変更部は、
各前記回帰モデルの前記誤差を当該誤差の確からしさを示す確率に変換し、当該確率に基づいて各前記重み係数を決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の異常判定装置。
【請求項6】
前記変更部は、
車両の状態を示す同一の情報に対する各前記判定部の判定結果に乗算する前記重み係数を全前記重み係数の総和が1となるように調整する
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の異常判定装置。
【請求項7】
センサから入力される車両の状態を示す情報を回帰分析して数値に変換する機械学習された複数の回帰モデル
を用い、
前記回帰モデル毎に、前記回帰モデルによって変換された前記数値に基づいて前記車両の状態が異常か否かを判定する判定工程と、
各前記判定工程による判定結果に所定の重み係数を乗算して前記車両の状態の最終判定結果を決定する決定工程と、
前記回帰モデル毎の前記数値の統計値と、全前記判定工程において共通の適合定数とに基づいて、前記判定工程毎に前記車両の状態の判定基準を修正する統計処理工程と、
前記回帰モデルの再学習が行われる場合に、前記統計値と前記適合定数との誤差に応じて前記重み係数を変更する変更工程と
を含むことを特徴とする異常判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、異常判定装置および異常判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のECU(Electronic Control Unit)に人工知能を搭載し、ECUの制御プログラムを逐次学習して更新する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-60268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、回帰モデル等の人工知能は、再学習を行う度に、毎回多くのパラメータを適合し直す煩雑な工程が必要である。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、再学習に伴う煩雑な工程の数を低減することができる異常判定装置および異常判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る異常判定装置は、機械学習された複数の回帰モデルと、判定部と、決定部と、統計処理部と、変更部とを備える。機械学習された複数の回帰モデルは、センサから入力される車両の状態を示す情報を回帰分析して数値に変換する。判定部は、前記回帰モデル毎に設けられ、前記回帰モデルによって変換された前記数値に基づいて前記車両の状態が異常か否かを判定する。決定部は、各前記判定部による判定結果に所定の重み係数を乗算して前記車両の状態の最終判定結果を決定する。統計処理部は、前記回帰モデル毎の前記数値の統計値と、全前記判定部において共通の適合定数とに基づいて、前記判定部毎に前記車両の状態の判定基準を修正する。変更部は、前記回帰モデルの再学習が行われる場合に、前記統計値と前記適合定数との誤差に応じて前記重み係数を変更する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様に係る異常判定装置および異常判定方法は、再学習に伴う煩雑な工程の数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る異常判定装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る出力変換部の構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る適合定数の説明図である。
図4図4は、実施形態に係る適合定数と統計値との誤差と重み係数との関係を示す説明図である。
図5図5は、実施形態に係る異常判定装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態の変形例に係る出力変換部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、異常判定装置および異常判定方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。異常判定装置は、例えば、車両のエンジンのノッキングを検知するセンサから入力される情報に基づいて、ノッキング異常が発生したか否かを判定する。なお、実施形態に係る異常判定装置は、ノッキング異常以外に、車両の状態を検知する任意のセンサから入力される情報に基づいて、車両における任意の異常の発生を判定することができる。
【0010】
図1は、実施形態に係る異常判定装置1の概略構成を示すブロック図である。異常判定装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。
【0011】
異常判定装置1は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する数値算出部2と、回帰モデル3-1~3-nと、出力変換部4-1~4-nと、多数決処理部6とを備える。
【0012】
なお、異常判定装置1が備える数値算出部2、回帰モデル3-1~3-n、出力変換部4-1~4-n、および多数決処理部6は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0013】
異常判定装置1が備える回帰モデル3-1~3-n、出力変換部4-1~4-n、および多数決処理部6は、それぞれ以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。なお、異常判定装置1の内部構成は、図1に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0014】
図1に示すように、異常判定装置1は、車両に搭載される初期の品質担保や判定精度の向上のために、既存のロジックである数値算出部2を使用する判定処理系と、並列に設けられる複数の回帰モデル3-1~3-nを使用する判定処理系とを備える。
【0015】
数値算出部2は、センサ100から入力されるエンジンの状態を示す情報を数値に変換して出力変換部4-1へ出力する。回帰モデル3-1~3-nは、予め機械学習によって学習したパラメータが設定されており、センサ100から入力されるエンジンの状態を示す情報を回帰分析し、数値に変換して出力変換部4-2~4-nへ出力する。
【0016】
出力変換部4-1~4-nは、適合定数5を記憶しており、適合定数5と入力される数値とに基づいて車両の状態が異常か否かを判定し、各判定結果を多数決処理部6内の対応する重み付け部7-1~7-nへ出力する。適合定数5については、図3を参照して後述する。
【0017】
各重み付け部7-1~7-nは、出力変換部4-1~4-nから入力される判定結果に対して、予め設定される重み係数を乗算して決定部8へ出力する。決定部8は、各重み付け部7-1~7-nから入力される判定結果を多数決処理することによって、車両の状態の最終判定結果を決定し、ECU101へ出力する。
【0018】
なお、以下では、複数の回帰モデル3-1~3-nのうち、任意の一つ、または全てを指す場合には、回帰モデル3と記載する。また、出力変換部4-1~4-nについても同様に、任意の一つ、または全てを指す場合には、出力変換部4と記載する。また、重み付け部7-1~7-nについても同様に、任意の一つ、または全てを指す場合には、重み付け部7と記載する。
【0019】
かかる異常判定装置1は、例えば、故障や異常判定の精度が低下した場合に、整備工場等において回帰モデル3の再学習が行われる。異常判定装置1は、回帰モデル3の再学習を行う度に、各重み付け部7において乗算に使用される重み係数を毎回適合し直す工程が必要となる。
【0020】
具体的には、回帰モデル3の出力は、絶対値である。そのため、再学習による回帰モデル3の変更前に、テスト用入力データに対する各AI(人工知能)や既存の制御ロジックの出力結果から、制御が成立しうる重み係数を適合する必要がある。同様に、出力変換部4において使用される定数やMAP(線形変換関数)等も適合し直す工程が必要となる。そして、かかる工程は、作業内容が煩雑である。
【0021】
そこで、実施形態に係る出力変換部4は、再学習に伴う煩雑な工程の数を低減する構成を備える。次に、図2図4を参照して、実施形態に係る出力変換部4の構成および動作について説明する。
【0022】
図2は、実施形態に係る出力変換部4の構成を示すブロック図である。図3は、実施形態に係る適合定数5の説明図である。図4は、実施形態に係る適合定数5と統計値との誤差と重み係数との関係を示す説明図である。
【0023】
図2に示すように、出力変換部4は、判定部41と、統計処理部42と、変更部43とを備える。判定部41は、回帰モデル3から入力される数値と、統計処理部42に記憶された適合定数5とに基づいて車両の状態が異常か否かを判定し、判定結果を重み付け部7へ出力する。
【0024】
統計処理部42は、経年劣化や機差違いを吸収(自動修正)させる統計処理を行う。具体的には、統計処理部42は、例えば、統計的な基準値(平均値や3σ等)からの変化割合、基準値超えが発生した割合等の相対値を適合定数5として記憶している。
【0025】
図3の下図には、統計処理部42による統計処理のシミュレーション結果を示しており、上図には、統計処理部42による実際の統計処理結果を示している。なお、図3の横軸は、入力される数値を示しており、縦軸は、確率を示している。
【0026】
シミュレーションにおいて、統計処理部42へ入力される全数値の統計を取った場合に、所定の基準値(例えば、3σ)を超え、車両の状態が異常であることを示す数値の数が、例えば、全数値の3%である場合、この3%を適合定数とする。
【0027】
そして、統計処理部42は、上記基準値を判定部41へ出力する。判定部41は、統計処理部42から入力される基準値を判定基準として使用し、基準値を超える数値が回帰モデル3から入力される場合に、車両の状態を異常と判定する。
【0028】
しかし、統計処理部42は、経年劣化や機差違い等の要因によって、実際に回帰モデル3から入力される数値の統計処理を行った場合、統計処理結果とシミュレーション結果との間にずれが生じることがある。
【0029】
図3に示す例では、実際の統計処理結果の数値が全体的に高くなっている。このような場合、判定部41は、基準値に基づき車両の異常判定を行うと、実際には、3%の確率でしか発生しない車両の異常を、例えば、4%の確率で異常が発生するものとして判定することになり、正常な車両の状態を異常と誤判定する恐れがある。
【0030】
そこで、統計処理部42は、適合定数5と、実際の統計値とに基づいて、判定部41による判定基準を自動的に修正する。例えば、図3に示す例の場合、統計処理部42は、判定部41による異常判定の閾値を上げることで、判定基準を下げる修正を行う。
【0031】
異常判定装置1は、全ての出力変換部4に共通の同じ適合定数5を記憶した統計処理部42が設けられる。そして、適合定数5は、予め決定された統計的な基準値を超える数値が全数値に占める割合を示す定数である。
【0032】
このため、各統計処理部42は、回帰モデル3の再学習が行われる場合に、適合定数5に基づいて、各判定部41による判定基準を適切に自動修正することができる。したがって、異常判定装置1は、回帰モデル3の再学習が行われる場合に、出力変換部4において使用される定数やMAPを適合し直す工程が不要となる。
【0033】
図2へ戻り、変更部43について説明する。変更部43は、適合定数5が複数の出力変換部4に共通であることと、適合定数5が回帰モデル3の再学習前後で不変であることを利用して、重み係数を変更する。
【0034】
具体的には、変更部43は、回帰モデル3の再学習が行われる場合に、統計処理部42から統計値と適合定数5とを取得し、統計値と適合定数5との誤差を算出する。かかる誤差は、大きいほど判定部41の判定結果の信頼性が低いことを意味する。
【0035】
そこで、変更部43は、算出した誤差が大きいほど軽減した重み係数を後段の重み付け部7へ出力して設定する。ただし、誤差が比較的小さい場合、重み係数の変更が車両状態の異常判定に大きく影響することがない。
【0036】
このため、図4に示すように、統計値と適合定数5との誤差が許容範囲(例えば、10%)内であれば、重み係数を1に維持する。これにより、異常判定装置1は、回帰モデル3の再学習が行われる場合に、重み係数の不要な変更工程を省略することができる。
【0037】
また、変更部43は、統計値と適合定数5との誤差が許容範囲(例えば、10%)を超える場合、誤差が大きくなるほど重み係数を軽減する。これにより、異常判定装置1は、車両状態の異常判定精度を向上させることができる。
【0038】
このように、異常判定装置1では、回帰モデル3の再学習が行われる場合に、変更部43が統計値と適合定数5とに基づいて、重み係数を自動的に修正するので、再学習の度に重み係数を適合し直す工程が不要となる。
【0039】
また、異常判定装置1は、例えば、統計値と適合定数5との相対的な誤差を回帰モデル3同士間で比較する誤差比較部が設けられてもよい。かかる構成の場合、異常判定装置1は、誤差比較部によって、再学習後の統計値と適合定数5との誤差が他の回帰モデル3と比較して大きいと判定される回帰モデル3が新たな回帰モデル3と交換される。これにより、異常判定装置1は、車両状態の異常判定精度を向上させることができる。
【0040】
次に、図5を参照し、実施形態に係る異常判定装置1が実行する処理について説明する。図5は、実施形態に係る異常判定装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。異常判定装置1は、回帰モデル3の再学習を行う場合に、図5に示す処理を実行する。
【0041】
具体的には、回帰モデル3の再学習を行う場合、異常判定装置1では、図5に示すように、数値算出部2および各回帰モデル3が、学習用のセンサ出力を数値に変換し(ステップS101)、出力変換部4へ出力する。
【0042】
各出力変換部4では、判定部41が、回帰モデル3から入力される数値に基づいて車両の状態を判定し(ステップS102)、判定結果を多数決処理部6へ出力する。このとき、統計処理部42にも回帰モデル3から順次、数値が入力される。
【0043】
多数決処理部6では、各重み付け部7が、判定部41から入力される判定結果に重み係数を乗算し(ステップS103)、決定部8へ出力する。決定部8は、各重み付け部7から入力される判定結果を多数決処理することによって、車両の状態の最終判定結果を決定し(ステップS104)、ECU101へ出力する。
【0044】
その後、異常判定装置1は、再学習が修了したか否かを判定する(ステップS105)。このとき、異常判定装置1は、全ての学習用のセンサ出力についての回帰分析が完了した場合に、再学習が終了したと判定する。
【0045】
そして、異常判定装置1は、再学習が終了していないと判定した場合(ステップS105,No)、処理をステップS101へ移し、再学習が終了するまでステップS101~ステップS105の処理を繰り返す。
【0046】
そして、異常判定装置1は、再学習が終了したと判定した場合(ステップS105,Yes)、処理をステップS106へ移す。ステップS106において、統計処理部42は、回帰モデル3から入力される数値の統計処理を行い、統計値と適合定数5とに基づいて車両の判定基準を修正し、修正後の判定基準を判定部41へ出力する。
【0047】
また、判定部41は、統計値と適合定数5とを変更部43へ出力する。変更部43は、統計値と適合定数5との誤差を算出する(ステップS107)。続いて、変更部43は、誤差が許容範囲内か否かを判定する(ステップS108)。
【0048】
そして、変更部43は、誤差が許容範囲内であると判定した場合(ステップS108,Yes)、重み係数を維持し(ステップS109)、処理を終了する。また、変更部43は、誤差が許容範囲内でないと判定した場合(ステップS108,No)、誤差が大きいほど重み係数を軽減し(ステップS110)、軽減した重み係数を重み付け部7に設定して処理を終了する。
【0049】
なお、上述した実施形態は一例であり、実施形態に係る異常判定装置1は、種々の変形が可能である。次に、図6を参照し、変形例に係る異常判定装置について説明する。変形例に係る異常判定装置は、出力変換部の構成が図2に示す出力変換部4とは異なる。このため、ここでは、変形例に係る出力変換部について説明し、他の構成要素については、重複する説明を省略する。
【0050】
図6は、実施形態の変形例に係る出力変換部の構成を示すブロック図である。図2に示した出力変換部4では、個々の出力変換部4が入力される数値の統計値と適合定数5との誤差に基づいて重み係数を変更したが、変形例に係る出力変換部4a-1は、他の出力変換部4a―2~4a―nにおける統計値と適合定数5との誤差も使用して重み係数を変更する。
【0051】
このため、図6に示すように、出力変換部4a-1の変更部43aは、他の各出力変換部4a-2~4a―nから統計値と適合定数5との誤差を取得する。また、出力変換部4a-1の変更部43aは、出力変換部4a-1における統計値と適合定数5との誤差を他の各出力変換部4a-2~4a―nへ出力する。
【0052】
そして、各出力変換部4a-1~4a―nの変更部43aは、全回帰モデル3の相対的な誤差に基づいて、後段の重み付け部7に設定する重み係数を変更する。これにより、異常判定装置1は、より適切な重み係数を設定することができる。
【0053】
例えば、各出力変換部4a-1~4a―nの変更部43aは、Softmax関数を使用して、各回帰モデル3の誤差を、誤差の確からしさを示す確率に変換し、変換した確率に基づいて重み係数を変更する。これにより、異常判定装置1は、より信頼性の高い重み係数を設定することができる。
【0054】
また、各出力変換部4a-1~4a―nの変更部43aは、車両の状態を示す同一の情報に対する各判定部41の判定結果に乗算する重み係数を全重み係数の総和が1となるように調整する。これにより、異常判定装置1は、決定部8による車両の状態の最終判定結果を決定する処理を簡略化すること可能となる。
【0055】
また、異常判定装置1は、回帰モデル3間の誤差を算出する場合、回帰モデル3間の誤差に基づいて各回帰モデル3の確からしさを評価し、評価結果を、例えば、クラウドへ通知することにより、回帰モデル3やロジックの問題点を開発者へ知らせることができる。
【0056】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 異常判定装置
2 数値算出部
3,3-1~3-n 回帰モデル
4,4-1~4-n,4a-1~4a―n 出力変換部
41 判定部
42 統計処理部
43,43a 変更部
5 適合定数
6 多数決処理部
7,7-1~7-n 重み付け部
8 決定部
100 センサ
101 ECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6