(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】破袋装置及び破袋方法
(51)【国際特許分類】
B02C 18/00 20060101AFI20230906BHJP
B02C 18/28 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
B02C18/00 106C
B02C18/28
(21)【出願番号】P 2020006057
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】北井 豪太
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-174261(JP,A)
【文献】実開昭60-071394(JP,U)
【文献】特開2002-102812(JP,A)
【文献】特開2000-337619(JP,A)
【文献】実開昭61-075843(JP,U)
【文献】米国特許第04239161(US,A)
【文献】実開平06-029642(JP,U)
【文献】特開2000-084432(JP,A)
【文献】特開2008-259922(JP,A)
【文献】特開2001-153326(JP,A)
【文献】特開2021-105458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 18/00-18/38
B02C 13/00-13/31
B65F 9/00
B08B 9/00-11/08
F28G 3/10- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が供給される流体槽と、
前記流体槽の径方向で外側に、前記流体槽に対して相対的に回転可能に嵌められた回転体と、
前記回転体が回転した場合に前記回転体とともに回転して破袋対象物に接触することで前記破袋対象物を破袋する、少なくとも1本のワイヤーと、を備え、
前記流体槽の側壁には、前記流体槽の内部に供給された流体を前記流体槽の径方向で外側に向けて噴射させる
複数のノズル孔が設けられており、
前記複数のノズル孔は、前記回転体の軸線の方向で異なる位置に設けられており、
前記ワイヤーは、屈曲自在な柔軟性を有する紐状体によって構成されており、
前記回転体は、前記流体槽の前記
複数のノズル孔から噴射された流体によって駆動されて回転し、
前記回転体は、前記回転体の回転に供された後の流体を前記回転体の径方向で外側に向けて噴射する噴射口を備え
、
前記回転体は、複数の羽根を有し、前記流体槽の前記複数のノズル孔から噴射された流体の圧力を前記羽根が受けることで、前記流体槽に対して相対的に回転し、
前記噴射口は、隣接する前記羽根の間の隙間によって構成されている、
破袋装置。
【請求項2】
前記回転体の軸線は、水平方向に延在している請求項1に記載の破袋装置。
【請求項3】
前記破袋装置は、前記破袋対象物を一時的に蓄えるピットを有する焼却施設に適用されている請求項1又は2に記載の破袋装置。
【請求項4】
前記破袋装置は、前記破袋対象物を破袋する破袋作業時において、前記ピットの内部に配置されている請求項3に記載の破袋装置。
【請求項5】
前記焼却施設は、前記破袋装置を前記ピットの内部において、上下方向及び水平方向の
うち少なくとも一つの方向に移動させる移動装置を備え、
前記破袋装置は、前記破袋作業時において、前記移動装置によって前記ピットの内部を移動させられながら、前記破袋対象物を破袋する請求項4に記載の破袋装置。
【請求項6】
前記焼却施設は、前記ピットに向けて前記破袋対象物を搬送する搬送装置を備え、
前記破袋装置は、前記破袋対象物を破袋する破袋作業時において、前記搬送装置に配置されている請求項3に記載の破袋装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の破袋装置を用いて破袋対象物を破袋させる破袋方法であって、
前記破袋装置の前記回転体を回転させるとともに前記回転体の前記噴射口から流体を噴射させながら、回転する前記ワイヤーを前記破袋対象物に接触させることで、前記破袋対象物を破袋させる、破袋方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破袋装置及び破袋方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、破袋対象物(例えば、ゴミ袋等の袋体)を破袋する破袋装置が知られている。このような破袋装置は、一般に、鋸状の破袋刃と、破袋刃を回転させるための電動機とを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような破袋装置は、電動機によって破袋刃が回転し、この回転した破袋刃が破袋対象物に接触することで、破袋対象物を破袋する。ところで、このような破袋刃は、一般に、高い剛性を有する金属材料によって構成されているので、その重量は軽いものではない。このため、このような従来技術に係る破袋装置は、軽量化の観点において改善の余地があった。
【0003】
これに関して、近年、破袋刃を用いる代わりに、屈曲自在な柔軟性を有する紐状体によって構成されたワイヤーを用いて、破袋対象物を破袋する破袋装置が開発されている(例えば、特許文献2参照)。このような破袋装置によれば、ワイヤーは破袋刃よりも軽量であるため、破袋装置の軽量化を図ることができる。また、特許文献2に係る技術によれば、破袋装置を駆動する駆動機(モーター)の小型化も図ることができる点において、さらなる軽量化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-84432号公報
【文献】特開2008-259922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなワイヤーを用いた破袋装置の場合、例えば、破袋対象物の表面にゴミ等の異物が付着しているときには、ワイヤーが破袋対象物に接触することが困難になるおそれがある。この場合、ワイヤーによって破袋対象物を効果的に破袋することが困難になるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、その目的は、破袋装置の軽量化を図りつつ、破袋対象物を効果的に破袋することができる破袋装置及び破袋方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る破袋装置は、流体が供給される流体槽と、前記流体槽の径方向で外側に、前記流体槽に対して相対的に回転可能に嵌められた回転体と、前記回転体が回転した場合に前記回転体とともに回転して破袋対象物に接触することで前記破袋対象物を破袋する、少なくとも1本のワイヤーと、を備え、前記流体槽の側壁には、前記流体槽の内部に供給された流体を前記流体槽の径方向で外側に向けて噴射させるノズル孔が設けられており、前記ワイヤーは、屈曲自在な柔軟性を有する紐状体によって構成されており、前記回転体は、前記流体槽の前記ノズル孔から噴射された流体によって駆動されて回転し、前記回転体は、前記回転体の回転に供された後の流体を前記回転体の径方向で外側に向けて噴射する噴射口を備える。
【0008】
本態様によれば、屈曲自在な柔軟性を有する紐状体によって構成されたワイヤーを用い
て破袋対象物を破袋することができるので、破袋装置の軽量化を図ることができる。また、回転体の回転時に、噴射口から噴射された流体によって、破袋対象物の表面に付着している異物を効果的に除去することができるので、破袋対象物の表面を効果的に露出させることができる。これにより、ワイヤーによって破袋対象物を効果的に破袋することができる。以上のように、本態様によれば、破袋装置の軽量化を図りつつ、破袋対象物を効果的に破袋することができる。また、本態様によれば、前述した特許文献2の技術で採用されている小型駆動機(モーター)ですら不要である点において、破袋装置のさらなる軽量化を図ることができる。
【0009】
上記態様において、前記回転体は、複数の羽根を有し、前記流体槽の前記ノズル孔から噴射された流体の圧力を前記羽根が受けることで、前記流体槽に対して相対的に回転し、前記噴射口は、隣接する前記羽根の間の隙間によって構成されていてもよい。この態様によれば、ノズル孔から噴射された流体によって回転体を効果的に回転させることができる。
【0010】
上記態様において、前記回転体の軸線は、水平方向に延在していてもよい。
【0011】
上記態様において、前記破袋装置は、前記破袋対象物を一時的に蓄えるピットを有する焼却施設に適用されていてもよい。
【0012】
上記態様において、前記破袋装置は、前記破袋対象物を破袋する破袋作業時において、前記ピットの内部に配置されていてもよい。この態様によれば、焼却施設のピットの内部において、破袋対象物を効果的に破袋することができる。
【0013】
上記態様において、前記焼却施設は、前記破袋装置を前記ピットの内部において、上下方向及び水平方向のうち少なくとも一つの方向に移動させる移動装置を備え、前記破袋装置は、前記破袋作業時において、前記移動装置によって前記ピットの内部を移動させられながら、前記破袋対象物を破袋してもよい。この態様によれば、ピットの内部の破袋対象物を効果的に破袋することができる。また、破袋装置の軽量化が図られているので、移動装置によって破袋装置を容易に移動させることができる。
【0014】
上記態様において、前記焼却施設は、前記ピットに向けて前記破袋対象物を搬送する搬送装置を備え、前記破袋装置は、前記破袋対象物を破袋する破袋作業時において、前記搬送装置に配置されていてもよい。この態様によれば、焼却施設の搬送装置において破袋対象物を効果的に破袋することができる。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る破袋方法は、上記のいずれか一態様に係る破袋装置を用いて破袋対象物を破袋させる破袋方法であって、前記破袋装置の前記回転体を回転させるとともに前記回転体の前記噴射口から流体を噴射させながら、回転する前記ワイヤーを前記破袋対象物に接触させることで、前記破袋対象物を破袋させる。
【0016】
この態様によれば、破袋装置の軽量化を図りつつ、破袋対象物を効果的に破袋することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1に係る焼却施設の一部の構成を示す図である。
【
図3】実施形態1に係る破袋装置の分解斜視図である。
【
図4】
図4(A)は実施形態1に係る流体槽の正面図である。
図4(B)は
図2のB1部分の断面図である。
【
図5】
図5(A)は
図2のA1-A1線断面図である。
図5(B)は
図5(A)のB2部分の拡大図である。
【
図6】実施形態1に係る破袋装置による破袋作業の様子を示す図である。
【
図7】実施形態2に係る焼却施設の一部の構成を示す図である。
【
図8】実施形態2に係る破袋装置による破袋作業の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る破袋装置50及び破袋方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願の図面は、本実施形態の特徴の理解を容易にするために模式的に図示されており、各構成要素の寸法比率等は実際のものと同じであるとは限らない。また、以下の各実施形態では、同一又は対応する構成については同一の符号を付して説明を適宜省略する場合がある。また、本願の図面には、参考用として、X-Y-Zの直交座標が図示されている。この直交座標のうち、Z方向は上方に相当し、-Z方向は下方(重力が作用する方向)に相当する。
【0019】
本実施形態に係る破袋装置50は、一例として、焼却施設10に適用されている。
図1は、本実施形態に係る焼却施設10の一部の構成を示す図である。この焼却施設10は、具体的には、廃棄物を焼却する焼却施設(廃棄物焼却施設)である。また、本実施形態に係る破袋装置50の破袋対象物200は、一例として、ゴミ袋である。このゴミ袋は、内部に廃棄物としてのゴミを収容した袋体によって構成されている。また、このゴミ袋は、一例として、ポリエチレン等のようなプラスチック製のゴミ袋である。
【0020】
焼却施設10は、破袋対象物200を一時的に蓄えるピット11を備えている。本実施形態に係るピット11は、上下方向を長手方向とする形状を有している。ピット11の側壁(上下方向に延在する側壁)には、投入口12が設けられている。この投入口12は、破袋対象物200をピット11に投入するための通路である。破袋対象物200は、運搬車13によって運搬されて、投入口12からピット11に向けて投入される。
【0021】
また、焼却施設10は、搬送用クレーン14と、昇降ロープ16と、バケット17と、ホッパー18と、焼却炉19とを備えている。搬送用クレーン14は、ピット11の上部に設けられたクレーン室15に配置されている。搬送用クレーン14は、作業員の操作に基づいて、水平方向(X-Y面内の方向)を移動する。バケット17は、昇降ロープ16を介して搬送用クレーン14に連結されている。昇降ロープ16は、昇降モータによって巻き上げ及び巻き下げられる(すなわち、昇降される)。バケット17は、作業員の操作に基づいて開閉する。
【0022】
作業員は、搬送用クレーン14及びバケット17を操作することで、ピット11の内部に収容された廃棄物(これは、破袋対象物200を含んでいる)をバケット17でホッパー18に運搬する。このホッパー18は、焼却施設10のホッパーステージ20に設けられている。ホッパー18に投入された後の廃棄物は、その後、焼却炉19に運搬されて、焼却炉19で焼却される。また、作業員は、バケット17を用いて、ピット11の内部に収容された破袋対象物200の破袋作業も行うことができる。但し、後述するように、本実施形態に係る焼却施設10は、破袋装置50を備えており、この破袋装置50によって破袋を行うことができるので、このバケット17による破袋作業は軽減されている。
【0023】
また、焼却施設10は、破袋装置50をピット11の内部において、上下方向及び水平方向のうち少なくとも一つの方向に移動させる移動装置30を備えている。すなわち、移動装置30は、破袋装置50を上下方向にのみ移動させてもよく、水平方向にのみ移動さ
せてもよく、上下方向及び水平方向の両方に移動させてもよい。本実施形態に係る移動装置30は、破袋装置50を上下方向及び水平方向の両方に移動させる。この移動装置30の具体的な構成は特に限定されるものではないが、本実施形態に係る移動装置30は、一例として、走行装置31と、昇降ロープ32と、吊具33とを備えている。
【0024】
走行装置31は、ピット11の上部に配置されており、作業員の操作に基づいて、水平方向(X-Y面内の方向)に移動する。吊具33は破袋装置50に接続されている。昇降ロープ32は、吊具33と走行装置31とを連結している。昇降ロープ32は、昇降モータによって、巻き上げ及び巻き下げられる。作業員は、昇降ロープ16を巻き上げたり巻き下げたりすることで(すなわち、昇降ロープ16を昇降させることで)、破袋装置50をピット11の内部において上下方向に移動させることができる。作業員は、走行装置31を水平方向に移動させることで、破袋装置50をピット11の内部において水平方向に移動させることができる。
【0025】
また、焼却施設10は、破袋装置50に流体(FL)を供給するためのホース40を備えている。具体的には、ホース40は、破袋装置50と流体供給装置(図示せず)とを連結している。破袋装置50には、流体供給装置から圧送された流体が、ホース40を介して供給される。
【0026】
この流体の具体的な種類は特に限定されるものではなく、気体や液体を用いることができる。本実施形態においては、この流体の一例として、気体を用いており、具体的には、エアー(具体的には圧縮エアー)を用いている。この場合、流体供給装置として、例えばエアーコンプレッサや、エアーボンベ等を用いることができる。本実施形態では、流体供給装置の一例として、エアーコンプレッサを用いている。なお、流体供給装置として、例えば、焼却施設10に予め備えられている流体供給装置を用いると、別途、流体供給装置を準備する費用を削減することができる。また、気体の種類はエアーに限定されるものではなく、例えば、不活性ガス等を用いることもできる。
【0027】
以上のような焼却施設10に、本実施形態に係る破袋装置50は適用されている。続いて、破袋装置50の構成について説明する。
図2は、破袋装置50の正面図である。
図3は、破袋装置50を分解して模式的に斜視した分解斜視図である。なお、
図3において、後述するワイヤー80の図示は省略されており、また、後述する複数の羽根72は、その一部のみが模式的に図示されている。
図2及び
図3を参照して、破袋装置50は、流体槽60と、回転体70と、ワイヤー80と、連結部材90a,90bと、回転ガイド91a,91bとを備えている。
図2及び
図3に図示されている軸線51は、回転体70の軸線(中心軸を示す線)であるとともに、流体槽60の軸線でもある。本実施形態において、回転体70の軸線51は、水平方向に延在している。
【0028】
図4(A)は、流体槽60の正面図である。
図4(B)は、
図2のB1部分の断面図である。具体的には、
図4(B)は、
図2のB1部分を流体槽60の軸線51を含む面で切断した断面を模式的に図示している。
図5(A)は、
図2のA1-A1線断面図である。
図5(B)は、
図5(A)のB2部分の拡大図である。なお、
図5(A)において、図示を簡略化させるために、ワイヤー80は1本のみ図示されている。
【0029】
図4(A)を参照して、流体槽60は、流体が供給される槽である。この流体槽60の具体的な構成は、特に限定されるものではないが、本実施形態に係る流体槽60は、一例として、本体部61と、被支持部62a,62bとを備えている。本体部61の外径は、被支持部62a,62bの外径よりも大きく設定されている。被支持部62a,62bは、吊具33によって支持される部位であり、本体部61の端部に接続されている。具体的には、
図4(A)において、被支持部62aは本体部61の-X方向側端部に接続され、
被支持部62bは本体部61のX方向側端部に接続されている。また、被支持部62a,62bは中実の円筒部材(円柱部材)によって構成されている。被支持部62a,62bは、回転体70の回転時に流体槽60が回転しないように、吊具33によって支持されている。
【0030】
図5(A)に示すように、本実施形態に係る本体部61は、中空の円筒部材によって構成されている。この本体部61の内部には、流体が通過する流体通路64が設けられている。この本体部61には、前述したホース40が接続されており、ホース40を介して流体が本体部61の流体通路64に供給される。
【0031】
図4(A)、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、本体部61の側壁61aには、少なくとも1つのノズル孔63が設けられている。すなわち、ノズル孔63の個数は1つでもよく、複数(2つ以上)でもよい。本実施形態に係る流体槽60には、一例として、複数のノズル孔63が設けられている。ノズル孔63は、流体槽60の内部(流体通路64)に供給された流体を、流体槽60の径方向で外側に向けて噴射させる孔である。
【0032】
図2、
図3、
図4(A)、
図5(A)及び
図5(B)を参照して、回転体70は、流体槽60(具体的には本体部61)の径方向で外側に配置されている。回転体70の軸線51は流体槽60の軸線と一致している。回転体70は、流体槽60の本体部61に対して相対的に回転可能に、本体部61に嵌められている。また、回転体70は、流体槽60のノズル孔63から噴射された流体によって駆動されて回転する。そして、回転体70は、回転体70の回転に供された後の流体を回転体70の径方向で外側に向けて噴射する噴射口71(
図5(B)に図示されている)を備えている。具体的には、本実施形態に係る回転体70は以下の構成になっている。
【0033】
まず、
図2、
図3、
図5(A)及び
図5(B)を参照して、本実施形態に係る回転体70は、複数の羽根72を備えている。複数の羽根72は、流体槽60の周囲を囲むように配置されている。また、
図2及び
図3を参照して、複数の羽根72の-X方向側端部は、連結部材90aによって連結されており、複数の羽根72のX方向側端部は、連結部材90bによって連結されている。連結部材90a,90bは、環状の部材によって構成されている。連結部材90a,90bは、回転体70の回転時に、回転体70(具体的には羽根72)と一体となって回転する。
【0034】
連結部材90a,90bは、回転ガイド91a,91bによって、流体槽60に対して回転可能に接続されている。具体的には、回転ガイド91a,91bは、流体槽60の本体部61に嵌合することで、流体槽60の本体部61に対して固定されている。これにより、回転体70の回転時に、回転ガイド91a,91bは回転しないようになっている。そして、
図4(B)に示すように、回転ガイド91aは、流体槽60に嵌合した場合に、流体槽60の本体部61との間に環状の溝92が形成されるように構成されている。この溝92に連結部材90aが嵌ることで、連結部材90aは、流体槽60に対して軸方向(軸線51に沿った方向)に変位することなく、流体槽60に対して回転する。
【0035】
回転ガイド91bも回転ガイド91aと同様の構成になっている。すなわち、回転ガイド91bも、流体槽60の本体部61に嵌合した場合に、本体部61との間に環状の溝が形成されるように構成されている。連結部材90bは、この環状の溝に嵌ることで、流体槽60に対して軸方向に変位することなく、流体槽60に対して回転する。
【0036】
図5(B)に示すように、回転体70は、流体槽60のノズル孔63から噴射された流体(FL)の圧力を羽根72が受けることで、流体槽60に対して相対的に回転する(すなわち、ノズル孔63から噴射された流体によって駆動されて回転する)。参考用として
、
図5(B)において、回転体70の回転方向が「RT」で図示されている。
【0037】
また、隣接する羽根72と羽根72との間には、ノズル孔63から噴射された後の流体が通過可能な隙間73が設けられている。この隙間73が、前述した噴射口71としての機能を有している。すなわち、本実施形態に係る複数の噴射口71(隙間73)は、回転体70の軸線方向に延在するように開口した各噴射口71が、回転体70の周方向に複数配置された構成になっている。ノズル孔63から噴射された後の流体は、この噴射口71(隙間73)から、回転体70の径方向で外側に向けて噴射される。回転体70は、以上のような構成になっている。
【0038】
続いて、ワイヤー80について説明する。
図2を参照して、前述したように、本実施形態に係る破袋装置50は、ワイヤー80を少なくとも1本備えている。すなわち、破袋装置50は、ワイヤー80を1本のみ備えていてもよく、ワイヤー80を複数本備えていてもよい。なお、破袋装置50がワイヤー80を複数本備えている方が、ワイヤー80を1本のみ備えている場合に比較して、破袋対象物200を効果的に破袋することができる。本実施形態に係る破袋装置50は、一例として、ワイヤー80を複数本備えている。
【0039】
本実施形態に係るワイヤー80は、回転体70に接続されている。具体的には、本実施形態に係るワイヤー80は、回転体70の羽根72の外周面に接続されている。これにより、ワイヤー80は、回転体70が回転した場合に、回転体70とともに回転する。また、本実施形態に係るワイヤー80は、回転体70の軸線方向に複数本配置されているとともに、回転体70の周方向にも複数本配置されている。なお、ワイヤー80の接続箇所は、羽根72に限定されるものではない。例えば、ワイヤー80は、回転体70と一体となって回転する部材(例えば、本実施形態では連結部材90a,90b)に接続されていてもよい。
【0040】
ワイヤー80は、回転体70とともに回転した場合に、破袋対象物200に接触して、破袋対象物200を破袋する。具体的には、ワイヤー80は、屈曲自在な柔軟性を有する紐状体(紐状の部材)によって構成されている。また、ワイヤー80は、その両端部のうち一端のみが羽根72に接続され、その他端は羽根72に接続されていない。ワイヤー80は自立性を有していないので、回転体70の回転が停止した状態では、重力の作用を受けて、回転体70に接続されていない部分(非接続部と称する)が-Z方向に垂れている。一方、ワイヤー80は、回転体70が回転した場合には、遠心力を受けて、その非接続部が回転体70の径方向で外側の方向(換言すると、軸線51に垂直な方向)に位置するようになる。そして、ワイヤー80は、ワイヤー80の非接続部の少なくとも一部が破袋対象物200に接触することで、破袋対象物200の表面を切り裂く(すなわち、破袋する)。このようにして、ワイヤー80は、破袋対象物200を破袋する。
【0041】
ワイヤー80の「回転体70の径方向の長さ」は、回転体70の回転時にワイヤー80が破袋対象物200に接触することができる長さであればよく、その具体的な値は特に限定されるものではない。
【0042】
また、複数本のワイヤー80の長さは、均一であってもよい(すなわち、互いに同じ値であってもよい)。あるいは、複数本のワイヤー80の長さは、不均一であってもよい(この場合、複数本のワイヤー80は、相対的に長いワイヤーと相対的に短いワイヤーとを含んでいる)。ワイヤー80の長さが不均一な場合の方が、ワイヤー80の長さが均一な場合に比較して、回転体70の回転時に、ワイヤー80を破袋対象物200に接触し易くすることができる。これにより、破袋作業の容易化を図ることができる。なお、複数本のワイヤー80の長さが不均一な場合の態様としては、例えば、複数本のワイヤー80の一部に同じ長さのものを含む態様としてもよく、あるいは、複数本のワイヤー80が全て異
なる長さである態様としてもよい。具体的には、破袋装置50の高さ(地上高)が一定の場合、破袋装置50とピット11の内部に存在する各々の破袋対象物200との距離は不均一であると考えられる。このような場合であっても、ワイヤー80の長さが不均一であることによって、ワイヤー80の非接続部且つ末端の部分を、破袋対象物200に対して接触し易くすることができる。このため、ワイヤー80の長さが不均一な方が、破袋対象物200の破袋作業の容易化を図ることができるのである。
【0043】
また、ワイヤー80の材質は特に限定されるものではなく、例えば、金属を用いてもよく、非金属を用いてもよい。金属としては、例えば、鉄、銅、又はアルミニウム等を主成分に含むものを用いてもよい。非金属としては、例えば、プラスチックを主成分に含むものを用いてもよい。このプラスチックの好適な具体例として、エンジニアリングプラスチックが挙げられ、このエンジニアリングプラスチックの具体例として、ポリアミド等が挙げられる。なお、ワイヤー80の材質として、破袋対象物200よりも硬度の高いものを用いると、ワイヤー80による破袋を効果的に行うことができる。
【0044】
また、ワイヤー80の表面性状は、特に限定されるものではなく、例えば、凹凸を有さない「平滑な表面性状」であってもよく、凹凸を有する「非平滑な表面性状」であってもよい。なお、ワイヤー80の表面性状が非平滑な場合の方が平滑な場合に比較して、ワイヤー80による破袋を効果的に行うことができる。特に、ワイヤー80の表面に、複数の凸部が形成されていると、ワイヤー80による破袋を効果的に行うことができる。この複数の凸部として、例えば、先端が尖った凸部を用いると、ワイヤー80による破袋をより効果的に行うことができる。
【0045】
また、ワイヤー80の形状は、
図2に例示するような形状に限定されるものではない。他の一例を挙げると、例えば、ワイヤー80は、その両端部のうち、一端が回転体70に接続され、他端が「回転体70におけるワイヤー80の一端が接続されている箇所とは別の箇所」に接続されていてもよい。すなわち、この場合、ワイヤー80は、全体的にループ形状を呈することになる。
【0046】
図6は、本実施形態に係る破袋装置50による破袋作業の様子を示す図である。なお、図示を簡略化させるために、破袋装置50の構成は模式的に図示されている。前述した
図1及び
図6を参照して、破袋装置50による破袋作業について説明すると次のようになる。
【0047】
まず、
図1を参照して、破袋作業時において、破袋装置50の回転体70には、ホース40を介して流体が供給される。
図6を参照して、回転体70に流体が供給されると、回転体70は回転する。この回転体70の回転によってワイヤー80が回転して、破袋対象物200に接触することで、破袋対象物200が破袋される。具体的には、紐状体によって構成されたワイヤー80が鞭のように破袋対象物200に当たることで、破袋対象物200の表面を切り裂いて、破袋対象物200を破袋する。
【0048】
また、回転体70の回転時に、噴射口71から噴射された流体(FL)は、破袋対象物200の表面に付着している異物(ゴミ等)を除去する。これにより、破袋対象物200の表面が効果的に露出される。この結果、ワイヤー80によって破袋対象物200を効果的に破袋することができる。なお、この破袋対象物200の表面を露出させるという機能は、破袋対象物200を破袋するための選別機能ということもできる。
【0049】
また、
図1を参照して、破袋装置50は、破袋作業時において、移動装置30によってピット11の内部を上下方向及び水平方向に移動させられながら、破袋対象物200を破袋する。
【0050】
なお、本実施形態に係る破袋方法は、上述した破袋装置50によって実現されている。すなわち、本実施形態に係る破袋方法は、破袋装置50の回転体70を回転させるとともに回転体70の噴射口71から流体を噴射させながら、回転するワイヤー80を破袋対象物200に接触させることで、破袋対象物200を破袋させる方法である。
【0051】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、
図1及び
図6で前述したように、回転体70の回転によってワイヤー80が回転して、破袋対象物200に接触することで、破袋対象物200を破袋することができる。また、ワイヤー80が紐状体によって構成されているので、このワイヤー80は、回転刃やスクリュー刃等の破袋刃よりも軽量である。したがって、本実施形態によれば、破袋刃を用いる破袋装置に比較して、破袋装置50の軽量化を図ることができる。また、本実施形態によれば、前述した特許文献2の技術で採用されている小型駆動機(モーター)ですら不要である点において、破袋装置50のさらなる軽量化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、前述したように、回転体70の回転時に、噴射口71から噴射された流体によって、破袋対象物200の表面に付着している異物を効果的に除去することができる。これにより、破袋対象物200の表面を効果的に露出させることができるので、ワイヤー80によって破袋対象物200を効果的に破袋することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、破袋装置50の軽量化を図りつつ、破袋対象物200を効果的に破袋することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、回転体70を回転させる駆動源として流体を用いており、この回転体70の回転に供された後の流体を、破袋対象物200の表面の露出に有効的に利用しているので、破袋装置50の構成の簡素化を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、破袋装置50のメンテナンスとして、通常は、ワイヤー80の交換のみを想定すれば済む。そして、このワイヤー80は、破袋刃に比較して、入手が容易である。したがって、本実施形態によれば、破袋装置50のメンテナンスを容易に行うことができる。これにより、破袋装置50のメンテンス費用の削減を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、流体によって回転体70が回転する機構になっているので、流体によって、破袋装置50をセルフクリーニングすることができる。この点においても、破袋装置50のメンテナンス費用の削減を図ることができる。また、流体によって、例えば、溝92や噴射口71のパージ清掃や、流体槽60の内部のパージ清掃を行うことができるので、破袋装置50の回転機能の保持やパージ機能(外部へ向けた流体のパージ機能)の保持を図ることもできる。
【0057】
また、本実施形態によれば、回転体70が複数の羽根72を有しているので、ノズル孔63から噴射された流体の圧力を複数の羽根72が効果的に受けることができる。これにより、ノズル孔63から噴射された流体によって回転体70を効果的に回転させることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、回転体70の軸線51が水平方向に延在しているので(すなわち、回転体70が横軸の回りを回転しているので)、例えば、回転体70の軸線51が上下方向に延在している場合(すなわち、回転体70が縦軸の回りを回転している場合)に比較して、ワイヤー80を効果的に破袋対象物200に接触させることができる。これにより、破袋対象物200を効果的に破袋することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、破袋装置50は、破袋対象物200を破袋する破袋作業時において、焼却施設10のピット11の内部に配置されて使用されているので、ピット11の内部において、破袋対象物200を効果的に破袋することができる。すなわち、バケット17による破袋よりも前に破袋する「前処理破袋」をピット11の内部において効果的に行うことができる。これにより、バケット17による破袋作業の軽減(この軽減は、破袋作業自体を皆無にすることを含んでいる)を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、破袋装置50は、破袋作業時において、移動装置30によってピット11の内部を移動させられながら破袋対象物200を破袋しているので、ピット11の内部の破袋対象物200を効果的に破袋することができる。また、破袋装置50の軽量化が図られているので、移動装置30によって破袋装置50を容易に移動させることができる。また、移動装置30の軽量化(例えば、巻き上げ巻き下げ用の駆動機の軽量化)を図ることもできる。
【0061】
(実施形態2)
続いて、本発明の実施形態2に係る破袋装置50A及び破袋方法について説明する。
図7は、本実施形態に係る破袋装置50Aが適用された焼却施設10Aの一部の構成を示す図である。
図7に示す焼却施設10Aは、移動装置30を備えていない点と、搬送装置100をさらに備えている点とにおいて、
図1に示す焼却施設10と異なっている。
図8は、本実施形態に係る破袋装置50Aによる破袋作業の様子を示す図である。
図8において、搬送装置100は、その内部構造が模式的に図示されている。
【0062】
搬送装置100は、破袋対象物200をピット11に向けて搬送する装置である。具体的には、
図8に示すように、搬送装置100は、破袋対象物200を搬送するためのコンベヤ101を備えている。このコンベヤ101の具体的な種類は特に限定されるものではなく、例えば、ベルトによって物を搬送するベルト式コンベヤや、フライトによって物を搬送するフライト式コンベヤ、エプロンパンによって物を搬送するエプロン式コンベヤ等、種々のコンベヤを用いることができる。
図8に例示されているコンベヤ101は、一例として、エプロン式コンベヤである。
【0063】
また、
図7に示すように、本実施形態に係る搬送装置100は、焼却施設10におけるホッパーステージ20の部分に接続されている。具体的には、搬送装置100は、ホッパー18よりもY方向側(又は、-Y方向側)に配置されている。なお、
図7において、搬送装置100の構成を視認し易くするために、ホッパー18は点線で図示されている。搬送装置100は、搬送装置100に投入された破袋対象物200を、斜め上方に向かって搬送した後にピット11に向けて投入する。
【0064】
図7及び
図8に示すように、本実施形態に係る破袋装置50Aは、搬送装置100に配置されている点において、前述した実施形態1に係る破袋装置50と異なっている。破袋装置50Aの構成自体は、破袋装置50と同様であるので、破袋装置50Aの構成の説明は省略する。なお、破袋装置50Aにも、実施形態1と同様に、流体供給装置から圧送された流体が、ホース40を介して供給されている。
【0065】
搬送装置100には、破袋装置50Aを固定するための固定部材(図示せず)が接続されている。破袋装置50Aは、この固定部材によって搬送装置100に固定されることで、搬送装置100のコンベヤ101の上方に配置されている。具体的には、本実施形態に係る搬送装置100は、コンベヤ101における破袋対象物200の搬送経路の途中箇所に配置されている。
【0066】
本実施形態において、作業員は、搬送用クレーン14及びバケット17を操作して、ピット11の内部に収容された廃棄物(破袋対象物200を含む)をバケット17によって搬送装置100に運搬する。搬送装置100に運搬された廃棄物中の破袋対象物200は、搬送装置100による搬送中に、破袋装置50Aによって破袋される。
【0067】
具体的には、破袋装置50Aの回転体70に流体が供給されることで、回転体70が回転する。この回転体70の回転によってワイヤー80が回転して、コンベヤ101上の破袋対象物200に接触することで、破袋対象物200が破袋される。破袋装置50によって破袋された後の廃棄物201は、コンベヤ101によって搬送されてピット11の内部に投入される。
【0068】
また、破袋装置50Aは、回転体70の回転時に、噴射口71から噴射された流体(FL)によって、破袋対象物200の表面に付着している異物(ゴミ等)を除去する。これにより、破袋対象物200の表面が効果的に露出される。この結果、ワイヤー80によって破袋対象物200を効果的に破袋することができる。
【0069】
なお、本実施形態に係る破袋方法は、上述した破袋装置50Aによって実現されている。すなわち、本実施形態に係る破袋方法は、破袋装置50Aの回転体70を回転させるとともに回転体70の噴射口71から流体を噴射させながら、回転するワイヤー80を破袋対象物200に接触させることで、破袋対象物200を破袋させる方法である。
【0070】
なお、
図8において、破袋装置50Aの回転方向は、コンベヤ101の搬送方向と同じ方向(破袋対象物200を搬送方向に送り出す方向)になっているが、これに限定されるものではない。破袋装置50Aの回転方向は、
図8とは逆の方向(すなわち、コンベヤ101の搬送方向とは反対の方向(破袋対象物200を搬送方向の反対方向に戻す方向))でもよい。
【0071】
この考え方の一例を挙げると、基本的に、破袋装置50Aの回転方向がコンベヤ101の搬送方向と反対の場合の方が、破袋装置50Aの回転方向がコンベヤ101の搬送方向と同じ場合に比較して、破袋装置50Aによる破袋効果は高くなる。したがって、破袋装置50Aの回転方向は、コンベヤ101の搬送方向とは反対の方向を基本とし、
図8のように、破袋装置50Aを搬送装置100の傾斜部に配置する場合には、破袋装置50Aの回転方向を、コンベヤ101の搬送方向と同じ方向にしてもよい。破袋装置50Aが傾斜部に配置されている場合、回転方向が搬送方向と同じ方向の方が、破袋対象物200が破袋装置50Aによって搬送方向の反対方向に戻されることを抑制できるからである。但し、このように、破袋装置50Aが傾斜部に配置されている場合であっても、前述したように、破袋装置50Aの回転方向がコンベヤ101の搬送方向と反対の方が高い破袋効果を得られるため、特段の弊害がない限り、破袋装置50Aの回転方向はコンベヤ101の搬送方向と反対の方がよい。また、破袋装置50Aがコンベヤ101の水平部に配置されている場合には、基本的には、破袋装置50Aの回転方向をコンベヤ101の搬送方向の逆方向にする。但し、この場合においても、破袋装置50Aの回転方向はこれに限定されるものではなく、破袋装置50Aから噴射された流体(パージエアー)によるゴミの飛散方向や、使用状況等を考慮して、搬送方向と同じ方向にするか否か適宜設定すればよい。
【0072】
以上説明したような本実施形態においても、実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、本実施形態においても、破袋装置50Aの軽量化を図りつつ、破袋対象物200を効果的に破袋することができる。
【0073】
また、本実施形態においても、実施形態1と同様に、回転体70を回転させる駆動源として流体を用いており、この回転体70の回転に供された後の流体を、破袋対象物200
の表面の露出に有効的に利用しているので、破袋装置50Aの構成の簡素化を図ることができる。また、破袋装置50Aのメンテナンスとして、通常は、ワイヤー80の交換のみを想定すれば済むので、破袋装置50Aのメンテナンスを容易に行うことができ、破袋装置50Aのメンテンス費用の削減を図ることができる。また、流体によって回転体70が回転する機構になっているので、流体によって、破袋装置50Aをセルフクリーニングすることができる。この点においても、破袋装置50Aのメンテナンス費用の削減を図ることができる。
【0074】
また、本実施形態においても、回転体70が複数の羽根72を有しているので、ノズル孔63から噴射された流体の圧力を複数の羽根72が効果的に受けることができ、ノズル孔63から噴射された流体によって回転体70を効果的に回転させることができる。
【0075】
また、本実施形態においても、回転体70の軸線51が水平方向に延在しているので、ワイヤー80を効果的に破袋対象物200に接触させて、破袋対象物200を効果的に破袋することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、破袋装置50Aが搬送装置100に配置されているので、搬送装置100において破袋対象物200を効果的に破袋することができる。すなわち、前処理破袋を搬送装置100において効果的に行うことができる。これにより、バケット17による破袋作業の軽減(これは皆無にすることを含んでいる)を図ることができる。
【0077】
(実施形態2の変形例)
上記の実施形態2において、搬送装置100は、ホッパーステージ20ではなく、投入口12に配置されていてもよい。この場合、搬送装置100には、運搬車13によって運搬された破袋対象物200が投入される。搬送装置100は、この投入された破袋対象物200をピット11に向けて搬送する。本変形例に係る破袋装置50Aは、この投入口12に配置された搬送装置100に配置されている。なお、この投入口12に配置された搬送装置100は、前述した
図7に示すような傾斜を有していなくてもよい。本変形例においても、上述した実施形態2と同様の作用効果を奏することができる。
【0078】
また、破袋装置は、上述した実施形態1及び実施形態2(変形例を含む)の組み合わせに係る構成とすることもできる。すなわち、この場合、焼却施設は、ピット11の内部に配置された破袋装置50(
図1)と、搬送装置100に配置された破袋装置50A(
図7)の両方を備えている。この場合、上述した実施形態1及び実施形態2と同様の作用効果を奏することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0080】
例えば、上述した実施形態1,2において、破袋対象物200の一例として、ゴミ袋を用いているが、破袋対象物200は、回転するワイヤー80によって破袋可能なものであればよく、その具体的な種類は特に限定されるものではない。また、破袋装置50,50Aが適用される装置も、焼却施設10,10Aに限定されるものではなく、焼却施設以外の装置に適用することもできる。
【0081】
また、上述した実施形態1,2において、回転体70として、複数の羽根72を有するものを用いているが、この構成に限定されるものではない。他の一例を挙げると、回転体70として、複数の羽根72の代わりに、円筒状の部材(円筒部材)を用いることもできる。
【0082】
この円筒部材の外周面には、噴射口71としてのスリット又は孔が設けられている。この噴射口71の開口方向を調整することで(例えば、噴射口71の開口方向を円筒部材の外周面の接線方向側に若干向けることで)、円筒部材は、流体が噴射口71から噴射される際の運動量の変化を利用して、流体槽60に対して相対的に回転することができる。また、この円筒部材の回転に供された後の流体は、その後、噴射口71から径方向外側に向けて噴射される。破袋装置の回転体として、このようなものを用いた場合においても、回転体の噴射口71から流体を噴射させながら、回転するワイヤー80を破袋対象物200に接触させることで、破袋対象物200を効果的に破袋させることができる。
【0083】
なお、以上説明した実施形態は、以下の態様を含んでいる。
(態様1)
流体が供給される流体槽と、
前記流体槽の径方向で外側に、前記流体槽に対して相対的に回転可能に嵌められた回転体と、
前記回転体が回転した場合に前記回転体とともに回転して破袋対象物に接触することで前記破袋対象物を破袋する、少なくとも1本のワイヤーと、を備え、
前記流体槽の側壁には、前記流体槽の内部に供給された流体を前記流体槽の径方向で外側に向けて噴射させるノズル孔が設けられており、
前記ワイヤーは、屈曲自在な柔軟性を有する紐状体によって構成されており、
前記回転体は、前記流体槽の前記ノズル孔から噴射された流体によって駆動されて回転し、
前記回転体は、前記回転体の回転に供された後の流体を前記回転体の径方向で外側に向けて噴射する噴射口を備える、破袋装置。
(態様2)
前記回転体は、複数の羽根を有し、前記流体槽の前記ノズル孔から噴射された流体の圧力を前記羽根が受けることで、前記流体槽に対して相対的に回転し、
前記噴射口は、隣接する前記羽根の間の隙間によって構成されている態様1に記載の破袋装置。
(態様3)
前記回転体の軸線は、水平方向に延在している態様1又は2に記載の破袋装置。
(態様4)
前記破袋装置は、前記破袋対象物を一時的に蓄えるピットを有する焼却施設に適用されている態様1~3のいずれか1つに記載の破袋装置。
(態様5)
前記破袋装置は、前記破袋対象物を破袋する破袋作業時において、前記ピットの内部に配置されている態様4に記載の破袋装置。
(態様6)
前記焼却施設は、前記破袋装置を前記ピットの内部において、上下方向及び水平方向のうち少なくとも一つの方向に移動させる移動装置を備え、
前記破袋装置は、前記破袋作業時において、前記移動装置によって前記ピットの内部を移動させられながら、前記破袋対象物を破袋する態様5に記載の破袋装置。
(態様7)
前記焼却施設は、前記ピットに向けて前記破袋対象物を搬送する搬送装置を備え、
前記破袋装置は、前記破袋対象物を破袋する破袋作業時において、前記搬送装置に配置されている態様4に記載の破袋装置。
(態様8)
態様1~7のいずれか1つに記載の破袋装置を用いて破袋対象物を破袋させる破袋方法であって、
前記破袋装置の前記回転体を回転させるとともに前記回転体の前記噴射口から流体を噴
射させながら、回転する前記ワイヤーを前記破袋対象物に接触させることで、前記破袋対象物を破袋させる、破袋方法。
【符号の説明】
【0084】
10,10A 焼却施設
11 ピット
30 移動装置
50,50A 破袋装置
51 軸線
60 流体槽
61a 側壁
63 ノズル孔
70 回転体
71 噴射口
72 羽根
73 隙間
80 ワイヤー
100 搬送装置