(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
(21)【出願番号】P 2020011939
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 直樹
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の絵描き歌を構成する複数の歌詞それぞれに対応する複数の歌詞データ、及び当該歌詞が示す描画内容それぞれに対応する複数の動画データを、当該一の絵描き歌を識別するための楽曲識別情報と紐付けて記憶するデータ記憶部と、
ある絵描き歌を歌唱した利用者の歌唱音声信号に基づく歌唱データを、当該ある絵描き歌の一の歌詞データと比較し、比較結果が所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、
歌詞データに基づいて歌詞テロップを表示手段に表示させる表示制御部であって、前記歌唱データと前記一の歌詞データとの比較結果が所定条件を満たすと判定された場合に、当該一の歌詞データに対応する歌詞が示す描画内容に対応する動画データを再生して当該表示手段に表示させる表示制御部と、
を有するカラオケ装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記歌唱データが前記一の歌詞データの一部と一致した場合に比較結果が所定条件を満たすと判定することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記判定部は、一の歌詞データを、当該一の歌詞データを構成する複数の文字に対応する複数の文字データに分割し、前記歌唱データを一の文字データと比較することにより、前記比較結果が所定条件を満たすか否かを判定し、
前記表示制御部は、前記歌唱データと前記一の文字データとの比較結果が所定条件を満たすと判定された場合、前記一の歌詞データの分割数に応じて、当該一の歌詞データに対応する歌詞が示す描画内容に対応する動画データの一部を再生して表示手段に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置は、幅広い年齢層や客層のニーズに対応するため、様々なサービスやコンテンツを提供することができる。
【0003】
たとえば、小さな子供連れでカラオケ歌唱を行う際に、子供を飽きさせずに、且つ利用者がカラオケ歌唱を楽しめるような工夫が求められる。特許文献1には、楽曲のカラオケ演奏に合わせて聴衆にリモコン装置やタブレット端末等で描画を行わせ、当該描画の巧拙を採点する機能を持たせたカラオケシステムが開示されている。このような技術によれば、小さな子供がカラオケ歌唱を聴きながら絵を書くという、「絵描き歌」のような楽しみ方ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術を用いる場合、聴衆がリモコン装置等で描画を行うことが前提となっている。よって、他人のカラオケ歌唱に合わせて描画することが難しい小さい子供は描画を十分に楽しむことができない。また、特許文献1の技術において、カラオケ歌唱を行う利用者自身で描画を行うこともできる。しかし、小さな子供の場合、絵描き歌の歌唱と絵を書く行為を同時に行うことは困難である。
【0006】
本発明の目的は、絵描き歌の歌唱、及び当該歌唱に合わせた描画の両方を楽しむことが可能なカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一の発明は、一の絵描き歌を構成する複数の歌詞それぞれに対応する複数の歌詞データ、及び当該歌詞が示す描画内容それぞれに対応する複数の動画データを、当該一の絵描き歌を識別するための楽曲識別情報と紐付けて記憶するデータ記憶部と、ある絵描き歌を歌唱した利用者の歌唱音声信号に基づく歌唱データを、当該ある絵描き歌の一の歌詞データと比較し、比較結果が所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、歌詞データに基づいて歌詞テロップを表示手段に表示させる表示制御部であって、前記歌唱データと前記一の歌詞データとの比較結果が所定条件を満たすと判定された場合に、当該一の歌詞データに対応する歌詞が示す描画内容に対応する動画データを再生して当該表示手段に表示させる表示制御部と、を有するカラオケ装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、絵描き歌の歌唱、及び当該歌唱に合わせた描画の両方を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図3A】第1実施形態に係る絵描き歌の歌詞を示した図である。
【
図3B】第1実施形態に係る絵描き歌の歌詞を示した図である。
【
図3C】第1実施形態に係る絵描き歌の歌詞を示した図である。
【
図3D】第1実施形態に係る絵描き歌の歌詞を示した図である。
【
図4】第1実施形態に係る絵描き歌により描かれる絵を示した図である。
【
図5A】第1実施形態に係る絵描き歌により描かれる絵の一部を示した図である。
【
図5B】第1実施形態に係る絵描き歌により描かれる絵の一部を示した図である。
【
図5C】第1実施形態に係る絵描き歌により描かれる絵の一部を示した図である。
【
図5D】第1実施形態に係る絵描き歌により描かれる絵の一部を示した図である。
【
図6】第1実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図7A】第2実施形態に係る絵描き歌により描かれる絵の一部を示した図である。
【
図7B】第2実施形態に係る絵描き歌により描かれる絵の一部を示した図である。
【
図7C】第2実施形態に係る絵描き歌により描かれる絵の一部を示した図である。
【
図8】第2実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1~
図6を参照して、第1実施形態に係るカラオケ装置について説明する。
【0011】
==カラオケ装置==
カラオケ装置は、カラオケ演奏やカラオケ歌唱を行うための装置である。カラオケ装置は、カラオケ店舗のカラオケルームに設置されている。
【0012】
ここで、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、利用者が絵描き歌を歌唱するための装置として用いられる。
【0013】
絵描き歌は、絵の描き方を歌詞として表現したものである。絵描き歌の指示通りに描画することにより、自然に絵が完成する。
【0014】
図1に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。
【0015】
カラオケ本体10は、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。スピーカ20は、カラオケ本体10からの放音信号に基づいて音声を放音するための構成である。表示装置30は、カラオケ本体10からの信号に基づいて歌詞テロップ等を画面に表示するための構成である。表示装置30は「表示手段」の一例である。マイク40は、利用者が発した音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。
【0016】
図2に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体10は、記憶手段10a、通信手段10b、入力手段10c、及び制御手段10dを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0017】
[記憶手段]
記憶手段10aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。本実施形態において、記憶手段10aの記憶領域の一部は、データ記憶部100として機能する。
【0018】
(データ記憶部)
データ記憶部100は、一の絵描き歌を構成する複数の歌詞それぞれに対応する複数の歌詞データ、及び当該歌詞が示す描画内容それぞれに対応する複数の動画データを、当該一の絵描き歌を識別するための楽曲識別情報と紐付けて記憶する。
【0019】
絵描き歌は、複数の歌詞から構成されている。歌詞は、絵描き歌の内容を文字で示したものである。各歌詞は、歌詞データとして記憶されている。歌詞データは、たとえば、歌詞テロップを表示装置30等に表示させるためのデータとして利用される。
【0020】
描画内容は、絵描き歌により描かれる絵の一部分である。各描画内容は、動画データとして記憶されている。楽曲識別情報は、たとえば楽曲IDのような、楽曲毎に設定された固有の情報である。
【0021】
ここで、以下の説明では「ジェイファイオー」という絵描き歌DMを例に説明を行う。
【0022】
絵描き歌DMは、「おひさまに」、「ドーナツあげて」、「あっとゆうまに」、「ジェイファイオー」という4つの歌詞(
図3A~
図3D参照)で構成されている。絵描き歌DMの指示通りに描画することにより、
図4に示す絵が完成する。
【0023】
4つの歌詞それぞれが示す描画内容は、
図5A~
図5Dに示した絵に対応している。なお、
図5A~
図5Dにおいては、他の歌詞による描画内容に相当する箇所を破線で示している。
【0024】
データ記憶部100は、絵描き歌DMの4つの歌詞それぞれに対応する歌詞データL1~歌詞データL4、及び4つの描画内容それぞれに対応する動画データV1~動画データV4を、絵描き歌DMの楽曲IDと紐付けて記憶している。
【0025】
ここで、動画データV1は、表示装置30等の表示画面に何も表示されていない状態から
図5Aに示した絵の描画が終わるまでの動画を構成するデータである。動画データV2は、
図5Aに示す絵が描かれた状態から
図5Bに示した絵の描画が終わるまでの動画を構成するデータである。動画データV3は、
図5A及び
図5Bに示す絵が描かれた状態から
図5Cに示した絵の描画が終わるまでの動画を構成するデータである。動画データV4は、
図5A~
図5Cに示す絵が描かれた状態から
図5Dに示した絵の描画が終わるまでの動画を構成するデータである。
【0026】
なお、各動画データは、それぞれ再生時間(絵の描画開始から描画終了までの時間)が設定されている。再生時間は特に限定されるものではないが、小さい子供を対象とする絵描き歌の場合、たとえば再生時間として1秒間を設定することができる。この再生時間は絵描き歌がBPM=60でゆっくり歌唱されることを前提としたものである。再生時間は、予め一の値が設定されていてもよいし、利用者がリモコン装置50等を介して任意の値を選択できるようになっていてもよい。
【0027】
また、データ記憶部100は、歌詞テロップの背景映像を表示させるための背景画像データ等を楽曲毎に記憶していてもよい。また、本実施形態において、絵描き歌に対する伴奏データは記憶されていない。すなわち、カラオケ装置Kは、絵描き歌のカラオケ演奏を行わない。従って、利用者は、自由なテンポや音高でカラオケ歌唱を行うことができる。
【0028】
[通信手段・入力手段]
通信手段10bは、リモコン装置50との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段10cは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段10cは、カラオケ本体10に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置50が入力手段10cとして機能してもよい。
【0029】
[制御手段]
制御手段10dは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段10dは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0030】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10dは、判定部200及び表示制御部300として機能する。
【0031】
(判定部)
判定部200は、ある絵描き歌を歌唱した利用者の歌唱音声信号に基づく歌唱データを、当該ある絵描き歌の一の歌詞データと比較し、比較結果が所定条件を満たすか否かを判定する。
【0032】
また、判定部100は、歌唱データが一の歌詞データの一部と一致した場合に比較結果が所定条件を満たすと判定することができる。
【0033】
歌唱データは、歌唱音声信号に基づいて取得できる。利用者が絵描き歌の歌唱を行った場合、マイク40は、歌唱音声を集音し、歌唱音声信号を出力する。判定部200は、出力された歌唱音声信号を公知の手法を用いて音声認識処理することにより、歌唱データを取得する。
【0034】
判定部200は、取得した歌唱データと、現在表示されている歌詞テロップが示す歌詞に対応する歌詞データとを比較し、比較結果が所定条件を満たすか否かを判定する。
【0035】
歌唱データと歌詞データとの比較は、歌唱音声に含まれる文字のテキストと、歌詞データに対応する歌詞のテキストとを対比することにより行う。所定条件は、比較結果を判定するための条件であって、予め一または複数の条件が設定されている。所定条件は、たとえば、歌唱データと歌詞データとの完全一致であってもよいし、歌唱データと歌詞データとの一部一致であってもよい。一部一致とは、たとえば、歌唱データが歌詞データの前方3拍分と一致することである。なお、所定条件が複数設定されている場合、利用者は、リモコン装置50等を介して任意の条件を選択することができる。
【0036】
判定部200は、比較結果を表示制御部300に出力する。
【0037】
たとえば、親子連れの利用者U1(親)及び利用者U2(子)がカラオケ装置Kを利用し、利用者U2が絵描き歌DMの歌唱を希望したとする。この場合、利用者U1は、リモコン装置50を介して絵描き歌DMの選曲を行う。カラオケ装置K(表示制御部300)は、選曲された絵描き歌DMの歌詞データ等をデータ記憶部100から読み出し、最初の歌詞データL1に基づく歌詞「おひさまに」を歌詞テロップとして表示装置30に表示させる。
【0038】
利用者U2は、歌詞テロップを見ながら、マイク40を介して歌詞「おひさまに」の歌唱を行う。マイク40は、歌唱音声を集音し、歌唱音声信号を出力する。判定部200は、出力された歌唱音声信号を音声認識処理することにより、歌唱データS1を取得する。
【0039】
判定部200は、歌唱データS1と、現在表示されている歌詞「おひさまに」に対応する歌詞データL1とを比較し、比較結果が所定条件を満たすかどうかを判定する。判定部200は、判定結果を表示制御部300に出力する。
【0040】
(表示制御部)
表示制御部300は、歌詞データに基づいて歌詞テロップを表示手段に表示させる。上述の通り、表示制御部300は、利用者が選曲した絵描き歌の歌詞データに基づいて、歌詞テロップを表示させる。
【0041】
また、本実施形態において、表示制御部300は、歌唱データと一の歌詞データとの比較結果が所定条件を満たすと判定された場合に、当該一の歌詞データに対応する歌詞が示す描画内容に対応する動画データを再生して表示手段に表示させる。その後、表示制御部300は、次の歌詞の歌詞テロップを表示手段に表示させる。
【0042】
一方、表示制御部300は、歌唱データと一の歌詞データとの比較結果が所定条件を満たさないと判定された場合、動画データの再生を行わず、現在の歌詞テロップを表示したままの状態を維持する。
【0043】
たとえば、判定部200は、利用者U2が歌詞「おひさまに」を歌唱した歌唱データS1と対応する歌詞データL1とを比較した結果、所定条件を満たす(すなわち、利用者U2が「おひさまに」と正確に歌唱できた)と判定したとする。この場合、判定部200は、所定条件を満たすという判定結果を表示制御部300に出力する。なお、この例では、所定条件が「完全一致」であるとする。
【0044】
表示制御部300は、歌詞「おひさまに」に対応する歌詞データL1に紐付けられている動画データV1を再生することで、表示装置30の表示画面に
図5Aに示す絵を描画する。
【0045】
図5Aに示す絵を描画した後、表示制御部300は、次の歌詞データL2に基づく歌詞「ドーナツあげて」を歌詞テロップとして表示装置30に表示させる。
【0046】
利用者U2は、歌詞テロップを見ながら、マイク40を介して歌詞「ドーナツあげて」の歌唱を行う。マイク40は、歌唱音声を集音し、歌唱音声信号を出力する。判定部200は、出力された歌唱音声信号を音声認識処理することにより、歌唱データS2を取得する。
【0047】
ここで、判定部200は、利用者U2が歌詞「ドーナツあげて」を歌唱した歌唱データS2と対応する歌詞データL2とを比較した結果、所定条件を満たさない(たとえば、利用者U2が「ドーナツあげて」ではなく「ドーナツたべて」と歌唱した)と判定したとする。
【0048】
この場合、表示制御部300は、「ドーナツあげて」に対応する歌詞データL2に紐付けられている動画データV2の再生を行わない。表示制御部300は、表示装置30の表示画面に、
図5Aの絵及び歌詞テロップ「ドーナツあげて」を表示したままの状態を維持する。
【0049】
利用者U2は、絵の続きが描かれないことから歌詞が間違っていたことに気づき、もう一度歌唱を行うことができる。
【0050】
判定部200及び表示制御部300は、絵描き歌DMの歌唱が終了するまで、すなわち、表示装置30の表示画面上で
図4に示す絵が完成するまで、同様の処理を繰り返し行う。なお、表示装置30の表示画面には、所定の歌詞テロップ表示領域と動画表示領域とが設定されている。表示制御部300は、歌詞テロップの表示制御と動画の表示制御とを独立して行う。利用者は、歌詞テロップの表示の開始を契機として歌唱を開始するタイミングを認識することができる。
【0051】
==カラオケ装置における処理について==
次に、
図6を参照して本実施形態に係るカラオケ装置Kにおける処理の具体例について述べる。
図6は、カラオケ装置Kにおける処理例を示すフローチャートである。この例では、親子連れの利用者U1(親)及び利用者U2(子)でカラオケ装置Kを利用し、利用者U2が絵描き歌DMを歌唱するとする。また、データ記憶部100は、絵描き歌DMを構成する複数の歌詞それぞれに対応する複数の歌詞データ、及び当該歌詞が示す描画内容それぞれに対応する複数の動画データを、絵描き歌DMの楽曲IDと紐付けて記憶しているとする。
【0052】
利用者U1は、リモコン装置50を用いて利用者U2が歌唱する絵描き歌DMを選曲する。カラオケ装置Kは、選曲された絵描き歌DMを予約待ち行列に登録することで絵描き歌DMの予約を行う(絵描き歌の予約。ステップ10)。
【0053】
カラオケ装置Kは、絵描き歌DMの楽曲IDに基づいて、データ記憶部100から歌詞データ及び動画データを読み出す(歌詞データ及び動画データの読み出し。ステップ11)。
【0054】
表示制御部300は、読み出した歌詞データに基づいて、表示装置30に歌詞テロップを表示させる(歌詞テロップの表示。ステップ12)。
【0055】
利用者U2は、歌詞テロップを見ながら絵描き歌DMの歌唱を行う。マイク40は、歌唱者U2の歌唱音声を集音し、歌唱音声信号として出力する(歌唱音声信号の出力。ステップ13)。
【0056】
判定部200は、当該歌唱音声信号に基づく歌唱データを、現在表示されている歌詞テロップの歌詞に対応する歌詞データと比較し、比較結果が所定条件を満たすか否かを判定する。
【0057】
歌唱データと歌詞データとの比較結果が所定条件を満たすと判定された場合(ステップ14でYの場合)、表示制御部300は、当該歌詞データに対応する歌詞が示す描画内容に対応する動画データを再生して、動画データに対応する描画内容を表示装置30に表示させる(動画データの再生。ステップ15)。
【0058】
カラオケ装置Kは、絵描き歌DMの歌唱が終了するまで、すなわち、絵描き歌DMが示す絵が完成するまで(ステップ16でYの場合)、ステップ12からステップ15までの処理を繰り返し行う。
【0059】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、一の絵描き歌を構成する複数の歌詞それぞれに対応する複数の歌詞データ、及び当該歌詞が示す描画内容それぞれに対応する複数の動画データを、当該一の絵描き歌を識別するための楽曲識別情報と紐付けて記憶するデータ記憶部100と、ある絵描き歌を歌唱した利用者の歌唱音声信号に基づく歌唱データを、当該ある絵描き歌の一の歌詞データと比較し、比較結果が所定条件を満たすか否かを判定する判定部200と、歌詞データに基づいて歌詞テロップを表示手段に表示させる表示制御部300であって、歌唱データと一の歌詞データとの比較結果が所定条件を満たすと判定された場合に、当該一の歌詞データに対応する歌詞が示す描画内容に対応する動画データを再生して当該表示手段に表示させる表示制御部300と、を有する。
【0060】
このようなカラオケ装置Kによれば、利用者は絵描き歌の歌唱を行うことができる。また、利用者が歌詞テロップに示された歌詞を正確に歌唱できた場合、カラオケ装置Kの表示装置30には、絵描き歌に応じた絵が動画表示される。従って、利用者は、あたかも自らが絵を描いたような感覚を持つことができ、視覚的にも楽しむことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、絵描き歌の歌唱、及び当該歌唱に合わせた描画の両方を楽しむことができる。
【0061】
また、本実施形態に係る判定部200は、歌唱データが一の歌詞データの一部と一致した場合に比較結果が所定条件を満たすと判定することができる。このように一部一致とすることにより、一の歌詞全てを正確に歌唱できない場合であっても、カラオケ装置Kは、歌詞が示す絵を表示することができる。よって、小さい子供であっても絵描き歌の歌唱と描画の両方をより楽しみやすくなる。
【0062】
<第2実施形態>
次に
図7A~
図8を参照して、第2実施形態に係るカラオケ装置について説明する。本実施形態では、一の歌詞データの分割数に応じて動画データの一部を再生する例について述べる。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0063】
(判定部)
本実施形態に係る判定部200は、一の歌詞データを、当該一の歌詞データを構成する複数の文字に対応する複数の文字データに分割し、歌唱データを一の文字データと比較することにより、比較結果が所定条件を満たすか否かを判定する。
【0064】
一の歌詞は、通常、複数の文字により構成されている。よって、一の歌詞データを複数の文字データとして分割することができる。歌詞データの分割は、歌詞の拍数や、拍に応じた所定数等、予め設定されている条件に基づいて行われる。
【0065】
たとえば、第1実施形態で述べたように、判定部200が、絵描き歌DMの歌詞データL1~L4をデータ記憶部100から読み出したとする。
【0066】
判定部200は、歌詞「おひさまに」に対応する歌詞データL1を、拍に応じて3つに分割する。具体的に、判定部200は、歌詞の1拍目に対応する文字データL1-1(歌詞「おひ」)、2拍目に対応する文字データL1-2(歌詞「さま」)、及び3-4拍目に対応する文字データL1-3(歌詞「に」)に3分割する。
【0067】
同様に、判定部200は、歌詞「ドーナツあげて」に対応する歌詞データL2を、歌詞の1拍目に対応する文字データL2-1(歌詞「ドー」)、2拍目に対応する文字データL2-2(歌詞「ナツ」)、及び3-4拍目に対応する文字データL2-3(歌詞「あげて」)に3分割する。また、判定部200は、歌詞「あっとゆうまに」に対応する歌詞データL3を、歌詞の1拍目に対応する文字データL3-1(歌詞「あっ」)、2拍目に対応する文字データL3-2(歌詞「っと」)、及び3-4拍目に対応する文字データL3-3(歌詞「ゆうまに」)に3分割する。更に、判定部200は、歌詞「ジェイファイオー」に対応する歌詞データL4を、歌詞の1拍目に対応する文字データL4-1(歌詞「ジェイ」)、2拍目に対応する文字データL4-2(歌詞「ファイ」)、及び3-4拍目に対応する文字データL4-3(歌詞「オー」)に3分割する。
【0068】
判定部200は、出力された歌唱音声信号を音声認識処理することにより、歌唱データを取得する。ここで、判定部200は、取得された歌唱データの文字数が、分割された歌詞データの文字数と同じ数になった時点で、一の歌唱データとして取得する。判定部200は、一の歌唱データを一の文字データと比較することにより、比較結果が所定条件を満たすか否かを判定する。
【0069】
たとえば、第1実施形態と同様、表示制御部300が、絵描き歌DMの最初の歌詞データL1に基づく歌詞「おひさまに」を歌詞テロップとして表示装置30に表示させたとする。
【0070】
利用者U2は、歌詞テロップを見ながら、マイク40を介して歌詞「おひさまに」の歌唱を行う。マイク40は、歌唱音声を集音し、歌唱音声信号を出力する。判定部200は、出力された歌唱音声信号を音声認識処理し、含まれる文字数が、歌詞「おひ」と同じ2文字になった時点で、歌唱データS1-1を取得する。
【0071】
判定部200は、歌唱データS1-1と、現在表示されている歌詞のうち、一部の歌詞「おひ」に対応する文字データL1-1とを比較し、比較結果が所定条件を満たすかどうかを判定する。判定部200は、判定結果を表示制御部300に出力する。
【0072】
(表示制御部)
本実施形態に係る表示制御部300は、歌唱データと一の文字データとの比較結果が所定条件を満たすと判定された場合、一の歌詞データの分割数に応じて、当該一の歌詞データに対応する歌詞が示す描画内容に対応する動画データの一部を再生して表示手段に表示させる。
【0073】
たとえば、判定部200は、利用者U2が歌詞「おひ」を歌唱した歌唱データS1-1と対応する文字データL1-1とを比較した結果、所定条件を満たす(すなわち、利用者U2が「おひ」と正確に歌唱できた)と判定したとする。この場合、判定部200は、所定条件を満たすという判定結果を表示制御部300に出力する。なお、この例では、所定条件が「完全一致」であるとする。
【0074】
表示制御部300は、歌詞「おひ」に対応する文字データL1-1を含む歌詞データL1に紐付けられている動画データV1の一部を再生することで、表示装置30の表示画面に
図5Aに示す絵のうち、歌詞データL1の分割数「3」に応じて、最初の3分の1を描画する(
図7A参照。
図7Aではまだ描かれていない残りの部分を破線で示している)。
【0075】
利用者U2は、引き続き歌詞テロップが示す「おひさまに」の歌詞を見ながら、マイク40を介して歌唱を行う。マイク40は、歌唱音声を集音し、歌唱音声信号を出力する。判定部200は、出力された歌唱音声信号を音声認識処理し、含まれる文字数が、歌詞「さま」と同じ文字数になった時点で、歌唱データS1-2を取得する。
【0076】
判定部200は、歌唱データS1-2と、現在表示されている歌詞のうち、一部の歌詞「さま」に対応する文字データL1-2とを比較し、比較結果が所定条件を満たすかどうかを判定する。この例では、判定部200は、所定条件を満たす(すなわち、利用者U2が「さま」と正確に歌唱できた)という判定結果を表示制御部300に出力したとする。
【0077】
表示制御部300は、歌詞「さま」に対応する文字データL1-2を含む歌詞データL1に紐付けられている動画データV1の一部を再生することで、表示装置30の表示画面に
図5Aに示す絵のうち、次の3分の1を描画する(
図7B参照。
図7Bではまだ描かれていない残りの部分を破線で示している)。
【0078】
利用者U2は、引き続き歌詞テロップが示す「おひさまに」の歌詞を見ながら、マイク40を介して歌唱を行う。マイク40は、歌唱音声を集音し、歌唱音声信号を出力する。判定部200は、出力された歌唱音声信号を音声認識処理し、含まれる文字数が、歌詞「に」と同じ文字数になった時点で、歌唱データS1-3を取得する。
【0079】
判定部200は、歌唱データS1-3と、現在表示されている歌詞のうち、一部の歌詞「に」に対応する文字データL1-3とを比較し、比較結果が所定条件を満たすかどうかを判定する。この例では、判定部200は、所定条件を満たす(すなわち、利用者U2が「に」と正確に歌唱できた)という判定結果を表示制御部300に出力したとする。
【0080】
表示制御部300は、歌詞「に」に対応する文字データL1-3を含む歌詞データL1に紐付けられている動画データV1の残りを再生することで、表示装置30の表示画面に最後の3分の1を描画する(
図7C参照)。
【0081】
カラオケ装置Kは、文字データL2-1~L2-3、文字データL3-1~L3-3、及び文字データL4-1~L4-3それぞれに対しても同様の処理を行うことができる。
【0082】
==カラオケ装置における処理について==
次に、
図8を参照して本実施形態に係るカラオケ装置Kにおける処理の具体例について述べる。
図8は、カラオケ装置Kにおける処理例を示すフローチャートである。この例では、親子連れの利用者U1(親)及び利用者U2(子)でカラオケ装置Kを利用し、利用者U2が絵描き歌DMを歌唱するとする。また、データ記憶部100は、絵描き歌DMを構成する複数の歌詞それぞれに対応する複数の歌詞データ、及び当該歌詞が示す描画内容それぞれに対応する複数の動画データを、絵描き歌DMの楽曲IDと紐付けて記憶しているとする。
【0083】
ステップ20~ステップ23は、第1実施形態のステップ10~ステップ13と同様である。
【0084】
判定部200は、一の歌詞データを、当該一の歌詞データを構成する複数の文字に対応する複数の文字データに分割する(歌詞データの分割。ステップ24)。
【0085】
判定部200は、歌唱音声信号に基づく歌唱データを、現在表示されている歌詞テロップの歌詞に対応する一の文字データと比較し、比較結果が所定条件を満たすか否かを判定する。
【0086】
歌唱データと一の文字データとの比較結果が所定条件を満たすと判定された場合(ステップ25でYの場合)、表示制御部300は、一の歌詞データの分割数に応じて、当該一の歌詞データに対応する歌詞が示す描画内容に対応する動画データの一部を再生して表示装置30に表示させる(動画データの一部を再生。ステップ26)。
【0087】
一の動画データの全ての再生が完了するまで(ステップ27でYの場合)、カラオケ装置Kは、ステップ23からステップ26の処理を繰り返し行う。
【0088】
また、カラオケ装置Kは、全ての動画データの再生が完了するまで(ステップ28でYの場合)、ステップ22からステップ27の処理を繰り返し行う。
【0089】
以上から明らかなように、本実施形態に係る判定部200は、一の歌詞データを、当該一の歌詞データを構成する複数の文字に対応する複数の文字データに分割し、歌唱データを一の文字データと比較することにより、比較結果が所定条件を満たすか否かを判定し、表示制御部300は、歌唱データと一の文字データとの比較結果が所定条件を満たすと判定された場合、一の歌詞データの分割数に応じて、当該一の歌詞データに対応する歌詞が示す描画内容に対応する動画データの一部を再生して表示手段に表示させる。このようなカラオケ装置Kによれば、歌詞を歌唱するタイミングと描画を開始するタイミングとを近づけるができる。よって、利用者は、実際に絵を描く感覚により近い感覚を得ることができる。
【0090】
<その他>
データ記憶部100は、分割された複数の歌詞データを記憶する代わりに、一の歌詞データ及び歌詞の区切りを識別するための歌詞区切り情報を記憶してもよい。同様に、データ記憶部100は、分割された複数の動画データを記憶する代わりに、一の動画データ及び動画の区切りを識別するための動画区切り情報を記憶してもよい。動画区切り情報は、歌詞区切り情報に対応している。
【0091】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
100 データ記憶部
200 判定部
300 表示制御部
K カラオケ装置