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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
H02M3/28 R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020124592
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022021155
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】藤井 泰博
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-056168(JP,A)
【文献】特開平05-308775(JP,A)
【文献】特開平05-316725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電磁結合する1次巻き線と2次巻き線とを有するトランスと、
前記1次巻き線に流れる電流を導通遮断するスイッチ部と、
前記スイッチ部を制御する制御部と、
前記2次巻き線の一端に第1の整流ダイオードのアノード電極が接続され、前記第1の整流ダイオードのカソード電極が平滑コンデンサの一端に接続され、前記平滑コンデンサの他端が前記2次巻き線の他端に接続され、第2の整流ダイオードとインダクタとが直列に接続された整流回路が前記第1の整流ダイオードに並列に接続され、前記2次巻き線に発生する電圧を整流平滑して出力電圧を生成する出力部と、
を備えていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記整流回路は前記第2の整流ダイオードのアノード電極と前記インダクタの一端とが接続され、前記インダクタの他端が前記第1の整流ダイオードのアノード電極に接続され、前記第2の整流ダイオードのカソード電極が前記第1の整流ダイオードのカソード電極に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記整流回路は前記第2の整流ダイオードのカソード電極と前記インダクタの一端とが接続され、前記第2の整流ダイオードのアノード電極が前記第1の整流ダイオードのアノード電極に接続され、前記インダクタの他端が前記第1の整流ダイオードのカソード電極に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記インダクタがフェライトビーズであることを特徴とした請求項1から3のいずれか1項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源装置では、FET(Field Effect Transistor)などのスイッチング素子を高速にオンオフすることで、コイルに流す電流の制御が行われる。このとき、スイッチング素子がオンオフしたタイミングでは、急に電流が導通遮断されるため、コイルにはスパイク状の過渡的なリンギング電圧が発生する。さらに、フライバック方式のスイッチング電源装置では、出力電圧側にも同様のタイミングでリンギングが発生する。
ここで発生するリンギングの電圧および周波数は、電源装置の雑音端子電圧性能や不要輻射性能に悪影響を及ぼす場合が多く、波形を鈍らせるなどの対策が必須となっている。
このようなリンギング対策として、例えば、特許文献にあるようにフライバック方式の電源装置では1次側および2次側に配設するスナバ回路が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-224975号公報
【文献】特開2010-088209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電圧波形を鈍らせるなどの対策では、発生するリンギングには有効に作用するが、FETの応答が遅くなり、FETのドレイン-ソース間の電圧が上昇するなどの問題が発生してしまうことがある。
また、リンギング対策するための部品点数が増加し、コストアップしてしまう課題もあった。
【0005】
そこで、本発明は上記事実を考慮して、少ない追加部品で雑音端子電圧性能や不要輻射性能が向上された電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、互いに電磁結合する1次巻き線と2次巻き線とを有するトランスと、前記1次巻き線に流れる電流を導通遮断するスイッチ部と、前記スイッチ部を制御する制御部と、前記2次巻き線の一端に第1の整流ダイオードのアノード電極が接続され、前記第1の整流ダイオードのカソード電極が平滑コンデンサの一端に接続され、前記平滑コンデンサの他端が前記2次巻き線の他端に接続され、第2の整流ダイオードとインダクタとが直列に接続された整流回路が前記第1の整流ダイオードに並列に接続され、前記2次巻き線に発生する電圧を整流平滑して出力電圧を生成する出力部と、を備えていることを特徴とする電源装置を提案している。
【0007】
すなわち、第1整流ダイオード、第2整流ダイオードおよびインダクタによりスナバ回路が構成され、スイッチ部がオンオフするタイミングで発生するリンギングの電圧抑制および高周波成分の除去をすることができる。
したがって、この構成によれば、少ない追加部品で雑音端子電圧性能や不要輻射性能が向上された電源装置を提供することができる。
【0008】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、整流回路は第2の整流ダイオードのカソード電極とインダクタの一端とが接続され、第2の整流ダイオードのアノード電極が第1の整流ダイオードのアノード電極に接続され、インダクタの他端が第1の整流ダイオードのカソード電極に接続されたことを特徴とする電源装置を提案している。
【0009】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、整流回路は第2の整流ダイオードのアノードとインダクタの一端とが接続され、インダクタの他端が第1の整流ダイオードのアノードに接続され、第2の整流ダイオードのカソードが第1の整流ダイオードのカソードに接続されたことを特徴とする電源装置を提案している。
【0010】
形態4:本発明の1またはそれ以上の実施形態は、インダクタがフェライトビーズであることを特徴とする電源装置を提案している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、少ない追加部品で雑音端子電圧性能や不要輻射性能が向上された電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施の形態に係る電源装置1の回路構成図である。
図2】本発明の第1実施の形態に係る電源装置1の2次側回路の回路構成を例示したものである。
図3】本発明の第1実施の形態に係る電源装置1の2次側回路の効果を示す電圧波形である。
図4】本発明の第1実施の形態に係る電源装置1の2次側回路の効果を示す電圧波形である。
図5】本発明の第1実施の形態に係る電源装置1の2次側回路の効果を数値化したものである。
図6】本発明の第2実施の形態に係る電源装置2の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施の形態]
本実施形態に係る電源装置1について、DC電圧を入力とした絶縁型フライバック方式のスイッチング電源を例示し、以下、説明する。
【0014】
(電源装置1の全体構成)
図1に示すように、本実施形態に係る電源装置1は、1次側電源回路100と、トランス200と、出力部300と、を含んで構成されている。
【0015】
(1次側電源回路100の構成)
1次側電源回路100は、入力電源となる直流電源10に接続される第1入力端子11と、第2入力端子12と、を備える。
第1入力端子11は直流電源10の正極に接続され、第2入力端子12は直流電源10の負極に接続される。
第1入力端子11は、トランス200の1次側巻き線の一端にも接続されている。
【0016】
ダイオード101、102、103およびコンデンサ104は、1次側電源回路のスナバ回路を構成している。
ダイオード101のアノード電極がトランス200の1次側巻き線の一端に接続され、ダイオード101のカソード電極はダイオード102のアノード電極に接続されている。
ダイオード102のカソード電極は、ダイオード103のカソード電極に接続され、ダイオード103のアノード電極はトランス200の1次側巻き線の他端に接続されている。
【0017】
ここで、ダイオード101およびダイオード102は、例えば、サージ吸収素子であるTVS(Transient Voltage Suppressor)ダイオードで構成され、過渡的に発生するスパイクノイズをクランプする。
また、ダイオード103は、例えばFRD(Fast Recovery Diode)で構成され、高速スイッチングで発生するノイズを抑制する。
【0018】
また、コンデンサ104の一端はトランス200の1次側巻き線の一端に接続され、コンデンサ104の他端はダイオード103のカソード電極と、ダイオード102のカソード電極と、に接続されている。
ここで説明したスナバ回路は一例であり、電源装置の要求性能に合わせ、回路構成は変更してもよい。
【0019】
本実施形態の電源装置1では、トランジスタ105はnチャネル導電型絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET:Insulated Gate Field Effect Transistor)を用いて構成された電源装置を例示している。
ここで、絶縁ゲート電界効果トランジスタとは、金属-酸化膜-半導体型電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor FET)、特に、金属-絶縁体-半導体型電界効果トランジスタ(MISFET:Metal Insulator Semiconductor FET)をいう。
なお、トランジスタ105としてバイポーラ型トランジスタを用いてもよい。
【0020】
トランジスタ105の主電極(ドレイン電極)は、トランス200の1次側巻き線の他端に接続されている。トランジスタ105の他端の主電極(ソース電極)は、抵抗109の一端に接続され、抵抗109の他端は第2入力端子12に接続されている。
【0021】
トランジスタ105の制御電極(ゲート電極)には、制御回路106からのコントロール信号が入力される。そして、トランジスタ105が制御回路106のコントロール信号によって、オンオフ制御されることにより、トランス200の1次側巻き線に流す電流が制御される。
【0022】
制御回路106のコントロール信号が出力される端子は、抵抗107の一端に接続され、抵抗107の他端はトランジスタ105の制御電極(ゲート電極)に接続されている。
そして、トランジスタ105の制御電極(ゲート電極)は、抵抗108の一端に接続され、抵抗108の他端はトランジスタ105の他端の主電極(ソース電極)に接続されている。
さらに、制御回路106には、電源装置1の目標出力電圧と実際の出力電圧との誤差を検出する誤差検出回路112の検出信号が入力されている。
【0023】
制御回路106は、例えばマイコンや専用ICで構成されている。制御回路106には、誤差検出回路112の検出信号が入力され、制御回路106は、出力電圧が一定になるように、トランジスタ105を制御する。本実施形態では、制御回路106は、PWM制御を用いて出力電圧が目標電圧一定になるように制御する。
【0024】
(出力部300の構成)
出力部300は、2次側回路300aとコンデンサ304と、を含んで構成されている。
電源装置1の出力電圧VOUTは、第2出力端子14(GND)をグランドとし、第1出力端子13に出力され、負荷400に接続されている。
【0025】
2次側回路300aはダイオード301(第1の整流ダイオード)と、ダイオード302(第2の整流ダイオード)と、フェライトビーズ303(インダクタ)と、を含んで構成されている。
【0026】
ダイオード301(第1の整流ダイオード)のアノード電極は、トランス200の2次側巻き線の一端に接続され、カソード電極は第1出力端子13とコンデンサ304の正極端子とに接続されている。コンデンサ304の負極端子は、第2出力端子14と、トランス200の2次側巻き線の他端と、に接続されている。
【0027】
さらに、ダイオード301(第1の整流ダイオード)の両端には、ダイオード302(第2の整流ダイオード)とフェライトビーズ303が直列に接続された整流回路が接続されている。
ダイオード301(第1の整流ダイオード)のアノード電極にはフェライトビーズ303の一端が接続されている。そして、フェライトビーズ303の他端はダイオード302(第2の整流ダイオード)のアノード電極に接続され、ダイオード302(第2の整流ダイオード)のカソード電極は、ダイオード301(第1の整流ダイオード)のカソード電極に接続されている。
【0028】
そして、トランス200の1次側巻き線にスイッチング電流を供給することで発生する2次側巻き線の誘起電圧が、2次側回路300aとコンデンサ304とにより、整流平滑され、第1出力端子13と第2出力端子14との間に、出力電圧VOUTが出力される。
【0029】
(2次側回路300aによる電圧波形の変化)
図2図5を用いて、本実施形態に係る電源装置1における、2次側回路300aを置き換えたときの電圧波形の変化について説明する。
【0030】
図2は、(a)~(c)の3種類の回路を例示している。
回路(a)は、本実施形態に係る電源装置1に配設されているスナバ回路である。
回路(a)のスナバ回路は、上記のように、ダイオード301(第1整流ダイオード)にダイオード302(第2整流ダイオード)とフェライトビーズ303とが直列接続された整流回路が並列に接続されている回路構成となっている。
【0031】
回路(b)のスナバ回路は、フェライトビーズが配設された従来回路を例示するものであり、回路(a)のスナバ回路におけるダイオード301にさらに直列にフェライトビーズが接続された回路構成となっている。
回路(b)のスナバ回路では、フェライトビーズ303aの一端とフェライトビーズ303bの一端とが接続されている。さらに、ダイオード301およびダイオード302のカソード電極同士が接続されている。そして、ダイオード301のアノード電極は、フェライトビーズ303aの他端に接続され、ダイオード302のアノード電極は、フェライトビーズ303bの他端に接続されている。
【0032】
回路(c)は、回路(b)のスナバ回路から、2つのフェライトビーズを削除した回路構成となっている。
ここで、回路(c)は、フェライトビーズの効果を示すために比較用として例示したものである。
【0033】
(VDSおよびVRRMの電圧波形)
図3は、トランジスタ105のドレイン-ソース間の電圧VDS波形および、スナバ回路の両端に発生する電圧VRRMの波形を例示したものである。
図3に示すように、制御回路106のコントロール信号によりトランジスタ105がオンされると、トランス200の1次側巻き線に電流が流れ、2次側巻き線に電力が蓄積される。
そして、制御回路106のコントロール信号によりトランジスタ105がオフされると、トランス200の1次側巻き線の電流が遮断され、2次側巻き線の逆起電力により2次側巻き線に蓄えられた電力が出力される。
【0034】
ここで、トランジスタ105がオンするポイントをA点、トランジスタ105がオフするポイントをB点とすると、当該ポイントでは、大きな電流変動が発生するため、図3に示すように、VDSおよびVRRMの電圧には、リンギングが発生する。
【0035】
図4は上記A点におけるVRRMの電圧波形を拡大したものである。ここでは、リンギングが発生したVRRM電圧の一つ目の山の電圧波形に着目して比較を行う。
【0036】
図4に示すように、本実施形態に係る電源装置1の2次側スナバ回路である回路(a)では、リンギング波形の山の形が丸くなっていることが確認でき、ピーク電圧(Va)は、回路(b)のピーク電圧(Vb)と比較して、電圧が抑えられていることが確認できる。
また、従来の2次側スナバ回路である回路(b)では、山の形が先細りしていてピーク電圧(Vb)が伸びる傾向が見られる。
さらに、比較用として例示した回路(c)では、山の形が先割れした波形になっている。
そして、回路(a)、回路(b)と比較して、短い周波数のリンギング波形となっている。
つまり、フェライトビーズが挿入されていない回路(c)では、当該短い周波数のリンギングにより、電源装置の雑音端子電圧性能や不要輻射性能が悪化する。
【0037】
図5は、上記した図3および図4で例示した波形を数値化し、比較した表である。
VRRMのA点およびB点の数値は、VRRMのプラス側およびマイナス側のピーク電圧値である。
また、トランジスタ105のVDSのB点の数値は、ソース-ドレイン間に発生した電圧のピーク電圧値である。
ここで、A点におけるVRRM電圧は、電圧値が低く、さらに、リンギングの周波数が低いことが望まれる。B点における電圧も同様である。また、トランジスタ105のVDSの電圧波形に関しても、同様に低い電圧であることが望まれる。
【0038】
図5に示すように、フェライトビーズはリンギング周波数を低くする効果があり、従来の2次側スナバ回路である回路(b)では、リンギング周波数を低くすることができている。しかながら、一方で、特にB点におけるVRRM電圧およびVDS電圧の値が大きくなっている。
そのため、さらに輻射性能などを改善するためには、リンギング周波数をそのままに維持しつつ、リンギング電圧を低下させることが必要となっていた。
本実施形態に係る電源装置1の2次側スナバ回路である回路(a)では、リンギング周波数を低くすることおよびリンギング波形の電圧を低くすることができるため、雑音端子電圧性能や不要輻射性能を従来回路と比較して改善することができる。
【0039】
(作用効果)
以上、説明したように、本実施形態に係る電源装置1は、互いに電磁結合する1次巻き線と2次巻き線とを有するトランス200と、1次巻き線に流れる電流を導通遮断するトランジスタ105(スイッチ部)と、トランジスタ105(スイッチ部)を制御する制御回路106と、2次巻き線の一端にダイオード301(第1の整流ダイオード)のアノード電極が接続され、ダイオード301(第1の整流ダイオード)のカソード電極がコンデンサ304の一端に接続され、コンデンサ304の他端が2次巻き線の他端に接続され、ダイオード302(第2の整流ダイオード)とフェライトビーズ303(インダクタ)とが直列に接続された整流回路がダイオード301(第1の整流ダイオード)に並列に接続され、2次巻き線に発生する電圧を整流平滑して出力電圧を生成する出力部300と、を備えている。
【0040】
そして、当該出力部300は、2次側回路300aと、コンデンサ304とを含んで構成されている。また、2次側回路300aは、ダイオード302(第2の整流ダイオード)のアノード電極とフェライトビーズ303(インダクタ)の一端とが接続され、フェライトビーズ303(インダクタ)の他端がダイオード301(第1の整流ダイオード)のアノード電極に接続され、ダイオード302(第2の整流ダイオード)のカソード電極がダイオード301(第1の整流ダイオード)のカソード電極に接続されている。
【0041】
この構成によれば、トランジスタ105がオンオフするタイミングで発生するリンギングの電圧抑制および高周波成分の除去をすることができる。
そのため、少ない追加部品で雑音端子電圧性能や不要輻射性能が向上された電源装置を提供することができる。
また、この構成によれば、カソードコモンの2個入りダイオード部品を2次側回路300aに使用することができる。2個入りダイオードを使用することで、2つのダイオード間の特性バラツキを抑制することができる(同一ウエハで製造されるため)。しかも、カソードコモンの2個入りダイオードは汎用的で入手容易なため、コスト低減にも寄与する。
【0042】
[第2実施の形態]
図6を用いて、本発明の第2実施の形態に係る電源装置2について、説明する。
第2実施の形態に係る電源装置2は、第1実施の形態に係る電源装置1の2次側回路300aを変形した2次側回路300bが配設された電源装置である。
なお、第2実施の形態において、第1実施の形態に係る電源装置1の構成要素と同一の構成要素または実質的に同一の構成要素には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0043】
(2次側回路300bの構成)
2次側回路300bはダイオード301(第1の整流ダイオード)と、ダイオード302(第2の整流ダイオード)と、フェライトビーズ303(インダクタ)と、を含んで構成されている。
ダイオード301(第1の整流ダイオード)のアノード電極は、トランス200の2次側巻き線の一端に接続され、カソード電極は第1出力端子13とコンデンサ304の正極端子とに接続されている。
【0044】
さらに、ダイオード301(第1の整流ダイオード)の両端には、ダイオード302(第2の整流ダイオード)とフェライトビーズ303が直列に接続された整流回路が接続されている。また、ダイオード301(第1の整流ダイオード)のアノード電極には、ダイオード302(第2の整流ダイオード)のアノード電極が接続されている。
さらに、ダイオード302(第2の整流ダイオード)のカソード電極はフェライトビーズ303の一端に接続されている。そして、フェライトビーズ303の他端はダイオード301(第1の整流ダイオード)のカソード電極に接続されている。
従って、2次側回路300bは、第1実施の形態の電源装置1の2次側回路300aを構成するダイオード302とフェライトビーズ303との位置を入れ替えたスナバ回路である。この場合、アノードコモンの2個入りダイオード部品を2次側回路300bに使用することができる。
【0045】
本実施の形態に係る電源装置2には2次側回路300bが配設され、上記した電源装置1における2次側回路300aと同様の効果を得ることができる。
従って、この構成によれば、トランジスタ105がオンオフするタイミングで発生するリンギングの電圧抑制および高周波成分の除去をすることができる。
そのため、少ない追加部品で雑音端子電圧性能や不要輻射性能が向上された電源装置を提供することができる。
【0046】
[その他の実施の形態]
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において、種々変形可能である。
例えば、上記した実施形態は、フライバック方式の絶縁型のスイッチング電源装置を例示して説明したが、非絶縁型のスイッチング電源装置に適用してもよい。
また、上記した実施形態は、直流電源を入力とした電源装置を例示して説明したが、交流電源に整流器を配設した電源を入力として電源装置を構成してもよい。この場合、1次側に配置したスナバ回路に2次側回路300a、300bと同様な構成の回路を採用してもよい。
また、上記した実施形態では、インダクタとしてフェライトビーズを適用したが、フェライトビーズに代わるインダクタを適用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1;電源装置
2:電源装置
10;直流電源
100;1次側電源回路
105;トランジスタ
200;トランス
300;出力部
300a;2次側回路
300b;2次側回路
301;ダイオード
302;ダイオード
303;フェライトビーズ(インダクタ)
303a;フェライトビーズ
303b;フェライトビーズ
304;コンデンサ
400;負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6