IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

特許7344191バックアップバッテリ制御モジュール及びバックアップバッテリ制御システム
<>
  • 特許-バックアップバッテリ制御モジュール及びバックアップバッテリ制御システム 図1
  • 特許-バックアップバッテリ制御モジュール及びバックアップバッテリ制御システム 図2
  • 特許-バックアップバッテリ制御モジュール及びバックアップバッテリ制御システム 図3
  • 特許-バックアップバッテリ制御モジュール及びバックアップバッテリ制御システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】バックアップバッテリ制御モジュール及びバックアップバッテリ制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20230906BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230906BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230906BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20230906BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
H02J7/10 A
H02J7/10 L
B60R16/033 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020210926
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022097786
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】大西 早希
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-170821(JP,A)
【文献】特開2003-204627(JP,A)
【文献】特開2005-265801(JP,A)
【文献】特開2013-038897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42 -10/48
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60R 16/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を走行させるために必要となる負荷に対してメインバッテリから電力供給すると共に、前記メインバッテリから前記負荷への電力供給が絶たれた場合にはバックアップバッテリから前記負荷に対して電力供給させるバックアップバッテリ制御モジュールであって、
イグニッションスイッチがオフのときに、第1所定時間毎に、前記バックアップバッテリの開回路電圧を計測する開回路電圧計測手段と、
前記開回路電圧計測手段の計測結果に基づいて、既に充電されている前記バックアップバッテリの既充電率を導出する既充電率導出手段と、
前記イグニッションスイッチがオフのときに、第2所定時間毎に、定電流放電を行い、その際の電圧降下から前記バックアップバッテリの内部抵抗を計測する内部抵抗計測手段と、
前記内部抵抗計測手段の計測結果に基づいて、前記バックアップバッテリの劣化度合を導出する劣化度合導出手段と、
前記メインバッテリから前記負荷への電力供給が絶たれた場合に前記バックアップバッテリにおいて前記負荷に必要となる必要残容量が確保されるように、前記劣化度合導出手段により導出された劣化度合に基づいて、充電目標となる目標充電率を導出する目標充電率導出手段と、
前記既充電率が前記劣化度合に基づく目標充電率よりも小さいと判断すると、前記目標充電率に達するまで、前記バックアップバッテリを充電する充電制御手段と、
を備えることを特徴とするバックアップバッテリ制御モジュール。
【請求項2】
前記イグニッションスイッチがオンのときに、
前記目標充電率導出手段は、前記劣化度合導出手段により導出された劣化度合に基づいて、充電目標となる目標充電率を導出し、
前記充電制御手段は、前記既充電率が前記劣化度合に基づく前記目標充電率よりも小さいと判断すると、前記目標充電率に達するまで、前記バックアップバッテリを充電する、
ことを特徴とする請求項1に記載のバックアップバッテリ制御モジュール。
【請求項3】
前記バックアップバッテリの温度情報を取得する温度情報取得手段を更に備え、
前記目標充電率導出手段は、前記劣化度合導出手段により導出された劣化度合の他に、前記温度情報取得手段により取得された前記温度情報に基づいて、充電目標となる目標充電率を求め、
前記充電制御手段は、前記既充電率が前記劣化度合及び前記温度情報に基づく目標充電率よりも小さいと判断すると、前記目標充電率に達するまで、前記バックアップバッテリを充電する、
ことを特徴とする請求項2に記載のバックアップバッテリ制御モジュール。
【請求項4】
前記開回路電圧計測手段、前記既充電率導出手段、前記内部抵抗計測手段、前記劣化度合導出手段、前記目標充電率導出手段及び前記充電制御手段は、前記車両の駆動を制御する車両側制御部とは別個に設けられたものである、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバックアップバッテリ制御モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のバックアップバッテリ制御モジュールと、
前記負荷と、
前記メインバッテリと、
前記バックアップバッテリと、
を備えることを特徴とするバックアップバッテリ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップバッテリ制御モジュール及びバックアップバッテリ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン二次電池について、温度に基づいて内部抵抗値を推定し、この内部抵抗値にリチウムイオン二次電池に出入りする電流値を乗算して過電圧を算出し、閉回路電圧値から過電圧を減算して開回路電圧値を算出し、この開回路電圧値から残容量を推定する電池システムが開示されている(例えば特許文献1参照)。これにより、リチウムイオン二次電池の残容量の推定精度を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-116336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両には、バッテリの電力を自動運転車等の運転支援装置(衝突防止や車線変更等の運転支援装置)等の負荷に供給して車両走行するものもある。また、このような車両については、断線等によってメインとなるバッテリから運転支援装置等の負荷への電力供給が途絶した場合においても一定時間その運転支援装置等の負荷の駆動を継続させるための電力を確保するためにバックアップバッテリを搭載することが検討されている。
【0005】
しかし、このような技術を、例えば通常使用しないバックアップバッテリに適用したとしても、バックアップバッテリの残容量は、自己放電によって減少していき、適切に管理しないと、運転支援装置等の負荷(車両を走行させるための負荷)の駆動を継続させるときに十分な残容量が残っていないという事態も発生し得る。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、メインバッテリによる電力供給が絶たれて車両を走行させるための負荷の駆動を継続させなければならないときに、バックアップバッテリが車両を走行させるための負荷の駆動を継続させるために必要となる必要残容量を確保していないという事態の発生を従来よりも低減させることができるバックアップバッテリ制御モジュール及びバックアップバッテリ制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバックアップバッテリ制御モジュールは、車両を走行させるために必要となる負荷に対してメインバッテリから電力供給すると共に、前記メインバッテリから前記負荷への電力供給が絶たれた場合にはバックアップバッテリから前記負荷に対して電力供給させるバックアップバッテリ制御モジュールであって、イグニッションスイッチがオフのときに、第1所定時間毎に、前記バックアップバッテリの開回路電圧を計測する開回路電圧計測手段と、前記開回路電圧計測手段の計測結果に基づいて、既に充電されている前記バックアップバッテリの既充電率を導出する既充電率導出手段と、前記イグニッションスイッチがオフのときに、第2所定時間毎に、定電流放電を行い、その際の電圧降下から前記バックアップバッテリの内部抵抗を計測する内部抵抗計測手段と、前記内部抵抗計測手段の計測結果に基づいて、前記バックアップバッテリの劣化度合を導出する劣化度合導出手段と、前記メインバッテリから前記負荷への電力供給が絶たれた場合に前記バックアップバッテリにおいて前記負荷に必要となる必要残容量が確保されるように、前記劣化度合導出手段により導出された劣化度合に基づいて、充電目標となる目標充電率を導出する目標充電率導出手段と、前記既充電率が前記劣化度合に基づく目標充電率よりも小さいと判断すると、前記目標充電率に達するまで、前記バックアップバッテリを充電する充電制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このバックアップ制御モジュールによれば、イグニッションスイッチがオフのときに、開回路電圧計測手段が計測する開回路電圧に基づいて既充電率導出手段がバックアップバッテリの既充電率を導出し、内部抵抗計測手段が計測する内部抵抗に基づいて劣化度合導出手段がバックアップバッテリの劣化度合を導出する。従って、イグニッションスイッチがオンの場合に生じる、メインバッテリや負荷にかかる電力等により開回路電圧及び内部抵抗が精度良く計測し難いという問題が解消される。その結果、イグニッションスイッチがオンのときよりもバックアップバッテリの既充電率及び劣化度合を正確に計測できる。劣化度合を正確に計測できれば、目標充電率がより正確に導出される。また、既充電率が目標充電率よりも小さいこともより正確に判断される。さらには、車両を走行させるための負荷の駆動を継続させるために必要となる必要残容量をより確実に確保することができる。その結果、メインバッテリによる電力供給が絶たれて車両を走行させるための負荷の駆動を継続させなければならないときに、バックアップバッテリが車両を走行させるための負荷の駆動を継続させるために必要となる必要残容量を確保していないという事態の発生を従来よりも低減させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メインバッテリによる電力供給が絶たれて車両を走行させるための負荷の駆動を継続させなければならないときに、バックアップバッテリが車両を走行させるための負荷の駆動を継続させるために必要となる必要残容量を確保していないという事態の発生を従来よりも低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る制御モジュールを備える制御システムのブロック図である。
図2】(a)バックアップバッテリの開回路電圧と既充電率との関係を示すグラフである。(b)放電時間が短いときの、バックアップバッテリのバッテリ電圧と放電時間との関係を示すグラフである。(c)バックアップバッテリの目標充電率とバッテリ温度との関係を示すグラフである。(d)放電時間が長いときの、バックアップバッテリのバッテリ電圧と放電時間との関係を示すグラフである。(e)バックアップバッテリの劣化度合及びバッテリ温度に基づく目標充電率を示す表(テーブル)である。
図3】マイコンの制御過程を示すフローチャートである。
図4】マイコンの制御過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る制御モジュール16を備える制御システム10のブロック図である。これらの制御システム10及び制御モジュール16は、自動運転車(不図示)に用いられる。自動運転車とは、例えば、人が運転操作を行わなくとも自動で走行できる車両を意味する。自動運転車はレーダー、GPS、カメラなどで周囲の環境を認識し、行き先を指定するだけで自律的に走行する。なお、本実施形態の自動運転車は、運転者が乗車して、自動運転可能であると共に、運転者が手動に切り替えて手動運転可能であるものを想定している。
【0013】
制御システム10(バックアップバッテリ制御システム)は、負荷11と、メインバッテリ12と、バックアップバッテリ13と、バッテリ温度センサ14と、イグニッションスイッチ15と、制御モジュール16(バックアップバッテリ制御モジュール)と、を備える。このうち、負荷11、メインバッテリ12、バックアップバッテリ13、バッテリ温度センサ14、及びイグニッションスイッチ15は、予め自動運転車(不図示)の車両(不図示)に搭載されるものであり、本実施形態に係る制御モジュール16は、このような構成に対して後付け可能とされている。なお、図1中には車両側制御部41も記載されているが、この車両側制御部41は、予め自動運転車の車両に搭載されるものであり、負荷11等に接続されて、負荷11等の駆動を制御する。
【0014】
負荷11は、例えば、自動運転車の車両において例えばモータ11a、左右方向へタイヤ向きを駆動するタイヤ駆動部11b、ブレーキ駆動部11c、車両周囲の他の車両又は物体を検知する周囲検知センサ11d、周囲検知センサ11dの検知結果に基づいてモータ11a、タイヤ駆動部11b、ブレーキ駆動部11c等を制御する運転支援制御部11e等であり、車両を走行させるために必要なものをいう。メインバッテリ12は、負荷11に電力を供給可能なバッテリである。バックアップバッテリ13は、メインバッテリ12に代わって、負荷11に電力を供給可能なバッテリである。バッテリ温度センサ14は、バックアップバッテリ13に取り付けられて、バックアップバッテリ13のバッテリ温度を検知する。
【0015】
制御モジュール16は、車両を走行させるために必要となる負荷11に対してメインバッテリ12から電力供給すると共に、メインバッテリ12から負荷11への電力供給が絶たれた場合にはバックアップバッテリ13から負荷11に対して電力供給させるものである。制御モジュール16は、マイコン21(充電制御部)と、充電回路22と、放電回路23と、スイッチ24,25と、を有する。制御モジュール16は、上記したように、自動運転車の車両に後付けで(アドオンの形態で)設けられている。そのため、マイコン21は、車両の駆動を制御する車両側制御部41とは別個に設けられている。マイコン21は、充電回路22、放電回路23と、スイッチ24,25の駆動を制御する。
【0016】
マイコン21は、スイッチ24をオンにしつつスイッチ25をオフにした状態では、メインバッテリ12と負荷11とを接続し、メインバッテリ12と充電回路22とを接続する。そして、メインバッテリ12の電力は、負荷11の駆動に用いられ、充電回路22によってバックアップバッテリ13の充電に用いられる。
【0017】
また、マイコン21は、スイッチ25をオンにしつつスイッチ24をオフにした状態では、バックアップバッテリ13と負荷11とを接続する。そのため、バックアップバッテリ13の電力は、負荷11の駆動に用いられる。
【0018】
なお、充電回路22は、メインバッテリ12の電気をバックアップバッテリ13に充電させるための回路である。放電回路23は、専用の定電流放電システムとして機能し、バックアップバッテリ13が保有する電気を放電するための回路であり、この放電によるバックアップバッテリ13の電圧降下により、バックアップバッテリ13の内部抵抗が計測可能となる。
【0019】
以下、マイコン21の構成について詳述する。マイコン21は、既充電率タイマー31と、開回路電圧計測部32(開回路電圧計測手段)と、既充電率導出部33(既充電率導出手段)と、劣化タイマー34と、内部抵抗計測部35(内部抵抗計測手段)と、劣化度合導出部36(劣化度合導出手段)と、温度情報取得部37(温度情報取得手段)と、目標充電率導出部38(目標充電率導出手段)と、充電制御部39(充電制御手段)と、を有する。
【0020】
[イグニッションスイッチオフ時に既充電率を導出]
既充電率タイマー31は、第1所定時間(例えば半日)を計測している。この計測結果に基づいて、マイコン21は、第1所定時間毎(例えば半日おき)に、開回路電圧計測部32及び既充電率導出部33を駆動させる。
開回路電圧計測部32は、イグニッションスイッチ15がオフのときに、第1所定時間毎に、バックアップバッテリ13の開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を計測する。
既充電率導出部33は、開回路電圧計測部32の計測結果に基づいて、既に充電されているバックアップバッテリ13の既充電率を導出する。
なお、イグニッションスイッチ15がオフのときに開回路電圧計測部32が開回路電圧を計測する。これは、イグニッションスイッチ15がオンのとき(例えば車両走行中)は、開回路電圧計測部32が開回路電圧を正確に計測することが困難であるからである。
【0021】
図2(a)は、バックアップバッテリ13の開回路電圧と既充電率との関係を示すグラフである。縦軸はバックアップバッテリ13の開回路電圧であり、横軸はバックアップバッテリ13の既充電率である。図2(a)に示されるように、バックアップバッテリ13の開回路電圧が開回路電圧計測部32によって大きい値で計測される程に、バックアップバッテリ13の既充電率が既充電率導出部33によって大きい値で導出される。図2(a)では、開回路電圧X1[V]のときに、既充電率40[%]であり、開回路電圧X2[V]のときに、既充電率60[%]であることが示されている。
【0022】
[スイッチオフ時に劣化度合を導出]
劣化タイマー34は、第2所定時間(例えば1か月)を計測している。この計測結果に基づいて、マイコン21は、第2所定時間毎(例えば1か月おき)に、内部抵抗計測部35及び劣化度合導出部36を駆動させる。
内部抵抗計測部35は、イグニッションスイッチ15がオフのときに、第2所定時間毎に、バックアップバッテリ13の内部抵抗を取得する。ここで、内部抵抗計測部35は、例えば、新品時と現在のバックアップバッテリ13において規定の電流で放電した時の電圧降下量を計測し、この電圧降下量及び放電電流に基づいて、内部抵抗を計測する。
劣化度合導出部36は、内部抵抗計測部35の電圧降下量及び放電電流に基づいて、バックアップバッテリ13の劣化度合を導出する。以下、この内容について詳述する。
【0023】
図2(b)は、放電時間が短いときの、バックアップバッテリ13のバッテリ電圧と放電時間との関係を示すグラフである。縦軸はバックアップバッテリ13のバッテリ電圧であり、横軸はバックアップバッテリ13の放電時間である。グラフJ1は新品時のグラフ(0%劣化のもの)であり、グラフJ2は使用開始から所定期間を経過した現在の(中古品時の)グラフ(例えば20%劣化のもの)である。これらのグラフJ1,J2は、主に、新品のバックアップバッテリ13及び現在のバックアップバッテリ13において、放電電流10Aを放電時間10sec程度で放電した場合に、バッテリ電圧がどの程度降下したのかを示している。
一般的に、バッテリから一定電流を放電すると、バッテリの内部抵抗により、図2(b)のようにバッテリ電圧の電圧降下が発生する。バッテリが劣化すると内部抵抗が増加するため、劣化したバッテリの電圧降下量は大きく計測(図2(b)J2のV2参照)され、新品のバッテリの電圧降下量は小さく計測(図2(b)J1のV1参照)される。そのため、劣化したバッテリの電圧降下量に基づく内部抵抗が大きく算出され、新品のバッテリの電圧降下量に基づく内部抵抗が小さく算出され、劣化したバッテリの内部抵抗が新品のバッテリの内部抵抗に比べて大きくなった度合が現在のバッテリの劣化度合として導出される。
【0024】
[内部抵抗の計測]
内部抵抗計測部35は、新品のバックアップバッテリ13を充電状態から所定時間放電し、その所定時間に降下するバッテリ電圧の電圧降下量、及び放電電流に基づいて、新品時の内部抵抗を算出することにより計測する。そして、内部抵抗計測部35が計測した新品のバックアップバッテリ13が有する新品時の内部抵抗の情報は、劣化度合導出部36により記憶される(なお、新品時の内部抵抗の情報は、製造時に劣化度合導出部36に初期値として保有されても良い)。
【0025】
このことを、図2(b)を参照しつつ説明する。例えば、内部抵抗計測部35は、図2(b)のグラフJ1のバッテリ電圧及び放電時間のデータを受信する。図2(b)に示されるように、新品時では、放電前のバッテリ電圧がY1[mV]であり、放電後のバッテリ電圧がY11[mV]であり、電圧降下量がV1[mV]である。
これらを用いて、内部抵抗計測部35は、数秒間(10秒間)の所定電流(10A)による電圧降下から、新品時の内部抵抗R1[mΩ]=(放電前のバッテリ電圧Y1[mV]-放電後のバッテリ電圧Y11[mV])/放電電流(10[A])=電圧降下量V1[mV]/放電電流(10[A])を算出する。
そして、内部抵抗計測部35が計測した新品のバックアップバッテリ13が有する新品時の内部抵抗R1[mΩ]=電圧降下量V1[mV]/放電電流(10[A])の情報は、劣化度合導出部36によって記憶される。
【0026】
[劣化度合の算出]
その後、内部抵抗計測部35は、現在のバックアップバッテリ13を充電状態から所定時間放電し、その所定時間に降下するバッテリ電圧の電圧降下量、及び放電電流に基づいて、現在の内部抵抗を算出することにより計測する。そして、この内部抵抗計測部35が計測した現在の内部抵抗を用いて、劣化度合導出部36は、新品時から所定期間を経過して現在に至るまでに増加した増加内部抵抗を導出し、この新品時の内部抵抗に対する増加内部抵抗の比率を導出することにより現在のバックアップバッテリ13の劣化度合を導出する。
【0027】
このことを、図2(b)を参照しつつ説明する。例えば、内部抵抗計測部35は、図2(b)中のグラフJ2のバッテリ電圧及び放電時間のデータを受信する。図2(b)に示されるように、現在では、放電前のバッテリ電圧がY2[mV]であり、放電後のバッテリ電圧がY21[mV]であり、電圧降下量がV2[mV]である。
これらを用いて、内部抵抗計測部35は、数秒間(10秒間)の所定電流(10A)による電圧降下から、現在の内部抵抗R2[mΩ]=(放電前のバッテリ電圧Y2[mV]-放電後のバッテリ電圧Y21[mV])/放電電流(10[A])=電圧降下量V2[mV]/放電電流(10[A])を算出する。
そして、内部抵抗計測部35が計測した現在の内部抵抗R2を用いて、劣化度合導出部36は、
劣化度合[%]
={(現在の内部抵抗R2[mΩ]-新品時の内部抵抗R1[mΩ])/(新品時の内部抵抗R1[mΩ])}×100
={(V2[mV]/10[A]-V1[mV]/10[A])/(V1[mV]/10[A])}×100
={(V2-V1)/(V1)}×100[%]
を導出する。
このように、内部抵抗計測部35は、新品時のバックアップバッテリ13の内部抵抗に対して、現在のバックアップバッテリ13の内部抵抗がどの程度増加しているかという観点から劣化度合を導出する。
【0028】
[スイッチオン時の劣化度合及び温度に基づく充電]
温度情報取得部37は、バッテリ温度センサ14からバックアップバッテリ13の温度情報を取得する。温度もバックアップバッテリ13の充電率に影響があるためである。
【0029】
目標充電率導出部38は、イグニッションスイッチ15がオンのときに、メインバッテリ12から負荷11への電力供給が絶たれた場合にバックアップバッテリ13において負荷11に必要となる必要残容量が確保されるように、劣化度合導出部36による導出結果、温度情報取得部37により取得された温度情報に基づいて、充電目標となる目標充電率を求める。この目標充電率は、後述する図2(e)のa1~a7[%]、b1~b7[%]、c1~c7[%]、d1~d7[%]である。
【0030】
この目標充電率は、充電率100%のバックアップバッテリ13の残容量に対する、自動運転車を走行させるための負荷の駆動を継続させるために必要とされるバックアップバッテリ13の残容量ということになる。この目標充電率と劣化度合との関係、目標充電率とバッテリ温度との関係は、理論的には、以下のように考えられる。
例えば、新品のバックアップバッテリ13について充電率100%の残容量が30000[Asec]であり、現在のバックアップバッテリ13について充電率100%の残容量が24000[Asec]であり、自動運転車を走行させるための負荷の駆動を継続させるために必要な必要残容量が80Aの電流を3分間流すための残容量である場合を想定する。必要残容量は、80A×180sec(3分)=14400[Asec]である。そのため、新品のバックアップバッテリ13の目標充電率は、14400[Asec]/30000[Asec]=48%である。また、現在のバックアップバッテリ13の目標充電率は、14400[Asec]/24000[Asec]=60%である。
このように、目標充電率導出部38は、バックアップバッテリ13の劣化度合が大きい程に目標充電率を大きめに算出する必要がある(図2(e)参照)。
なお、目標充電率導出部38は、温度が低い程に容量が小さくなるので、バックアップバッテリ13の温度が低い程に目標充電率を大きめに算出する必要がある(図2(e)及び図2(c)参照)。
【0031】
充電制御部39は、既充電率が目標充電率よりも小さいと判断すると、目標充電率導出部38により求められた目標充電率に達するまで、バックアップバッテリ13を充電する。充電制御部39は、1sec毎に充電回路22からバックアップバッテリ13へと流れる電流を積算した充電必要容量を充電する。なお、充電制御部39は、イグニッションスイッチ15がオンのときに目標充電率になるまで充電する。これによりイグニッションスイッチ15がオフのときの充電のようにメインバッテリ12の能力が低下することを抑制する。
【0032】
図2(c)は、バックアップバッテリ13の目標充電率とバッテリ温度との関係を示すグラフである。縦軸はバックアップバッテリ13の目標充電率であり、横軸はバックアップバッテリ13のバッテリ温度である。バックアップバッテリ13の適正温度は、-40℃~60℃である。バックアップバッテリ13は、そのような適正温度の範囲内では、バッテリ温度が高い程にバッテリ容量が大きくなり、バッテリ温度が低い程にバッテリ容量が小さくなる性質を有する。従って、図2(c)に示されるように、バッテリ温度が高い程に、目標充電率は小さく済み、バッテリ温度が低い程に、目標充電率が大きく必要となる。
【0033】
図2(e)は、バックアップバッテリ13の劣化度合及びバッテリ温度に基づく目標充電率を示す表(テーブル)である。
縦列は、劣化度合を5%、10%、15%、20%として区分けされており、例えばバッテリ温度-40℃の場合には、劣化度合が5%、10%、15%、20%と順に上がるに従って、目標充電率がa7%、b7%、c7%、d7%と順に上がる(a<b<c<d)。バッテリ温度が-40℃~60℃の間のその他の温度である場合も同様に設定される。
横列は、バッテリ温度を、-40℃~60℃として区分けされており、例えば劣化度合が20%の場合には、バッテリ温度が60℃から-40℃へと順に下がるに従って、目標充電率がd1からd7へと順に上がる(d7>d6>d5>d4>d3>d2>d1)。劣化度合がその他の数値である場合も同様に設定される。
要するに、目標充電率は、劣化度合が高い程に高く設定し、バッテリ温度が低い程に高く設定する。
【0034】
例えば、現在のバックアップバッテリ13について、充電率100%のときの残容量が24000[Asec]であり、充電率が60%のときの残容量が14400[Asec]であるとする。こういう状況の中、既充電率導出部33は、開回路電圧計測部32の計測結果に基づいて、既充電率を60%として導出する。また、劣化度合導出部36は、内部抵抗計測部35の計測結果に基づいて、劣化度合を20%として導出したとする。また、温度情報取得部37はバッテリ温度センサ14の検知結果に基づいて、バッテリ温度を20℃として取得したとする。この場合に、目標充電率導出部38は、図2(e)のd4を目標充電率とする。充電制御部39は、既充電率の60%が目標充電率のd4よりも小さい場合には、目標充電率d4に到達するまで充電する。
【0035】
次に、本実施形態に係る制御モジュール16のマイコン21の制御過程を図3及び図4を参照しつつ説明する。図3図4は、マイコン21の制御過程を示すフローチャートである。マイコン21の内部には、図1に記載されるように複数のものがあるので、制御の主体を可能な限り特定して以下説明する。
図3に示されるように、マイコン21は、イグニッションスイッチ15がオンか否かを判断する(ステップ1、以下「ステップ」を「S」と表示する。S1)。S1によりイグニッションスイッチ15がオンであると判断された場合(S1:YES)には、図4のAに移行する。S1によりイグニッションスイッチ15がオンではないと判断された場合(S1:NO)には、マイコン21は、図示しない上位機器から所定時間通信が無いかを判断する(S2)。S2により所定時間通信があったと判断された場合(S2:NO)には、S4の過程に移行する。S2により所定時間通信が無いと判断された場合(S2:YES)には、既充電率タイマー31及び劣化タイマー34以外が起動していないスリープ状態に移行させる(S3)。マイコン21は、既充電率タイマー31が第1所定期間経過したかを判断する(S4)。
【0036】
S4より既充電率タイマー31が第1所定期間経過していないと判断された場合(S4NO)には、マイコン21は、S8の過程に移行する。
S4により既充電率タイマー31が第1所定期間経過したと判断された場合(S4:YES)には、マイコン21は、既充電率タイマー31をリセットする(S5)。なお、このときに、スリープしていた既充電率タイマー31及び劣化タイマー34以外の他の構成は、起動する。
【0037】
それから、開回路電圧計測部32は、バックアップバッテリ13の開回路電圧を計測する(S6)。既充電率導出部33は、バックアップバッテリ13の開回路電圧に基づいて、バックアップバッテリ13の既充電率を導出する(S7)。次に、マイコン21は、劣化タイマー34が第2所定期間経過したかを判断する(S8)。
【0038】
S8により劣化タイマー34が第2所定期間経過していないと判断された場合(S8:NO)には、マイコン21は、S1の過程に移行する。S8により劣化タイマー34が第2所定期間経過したと判断された場合(S8:YES)には、マイコン21は、劣化タイマー34をリセットする(S9)。内部抵抗計測部35は、バックアップバッテリ13の内部抵抗を計測する(S10)。劣化度合導出部36は、バックアップバッテリ13の内部抵抗に基づいて、バックアップバッテリ13の劣化度合を導出する(S11)。その後、マイコン21は、図4のBの過程に移行する。
【0039】
S11の過程の後に、図4に示されるように、マイコン21は、イグニッションスイッチ15がオンか否かを判断する(S21)。S21によりイグニッションスイッチ15がオンでないと判断された場合(S21:NO)には、図3のCの過程に移行する。S21によりイグニッションスイッチ15がオンであると判断された場合(S21:YES)には、目標充電率導出部38は、バックアップバッテリ13の劣化度合及び温度に基づく目標充電率を算出する(S22)。その後、充電制御部39は、既充電率が目標充電率よりも小さいかを判断する(S23)。
【0040】
S23により既充電率が目標充電率よりも小さいと判断されない場合(S23:NO)には、制御過程を終了する。S23により既充電率が目標充電率よりも小さいと判断された場合(S23:YES)には、充電制御部39は、目標充電率になるまでバックアップバッテリ13を充電する(S24)。次に、マイコン21は、既充電率タイマー31をリセットさせる(S25)。その後、マイコン21は、メインバッテリ12から負荷11に電力供給可能であるかを判断する(S26)。
【0041】
S26によりメインバッテリ12から電力供給可能であると判断された場合(S26:YES)には、マイコン21は、メインバッテリ12から負荷11に電力供給する(S27)。S26によりメインバッテリ12から負荷11に電力供給可能ではないと判断された場合(S26:NO)には、マイコン21は、バックアップバッテリ13から負荷11に電力供給する(S28)。そして、バックアップバッテリ13の残容量により、運転支援装置等の負荷11の駆動が継続される。
【0042】
以上で詳述したように、本実施形態の制御モジュール16は、開回路電圧計測部32と、既充電率導出部33と、内部抵抗計測部35と、劣化度合導出部36と、メインバッテリ12から負荷11への電力供給が絶たれた場合にバックアップバッテリ13において負荷11に必要となる必要残容量が確保されるように、劣化度合導出部36により導出された劣化度合に基づいて、充電目標となる目標充電率を導出する目標充電率導出部38と、既充電率が劣化度合に基づく目標充電率よりも小さいと判断すると、目標充電率に達するまで、バックアップバッテリ13を充電する充電制御部39と、を備える。
【0043】
こうしたバックアップ制御モジュールの構成によれば、イグニッションスイッチ15がオフのときに、開回路電圧計測部32が計測する開回路電圧に基づいて既充電率導出部33がバックアップバッテリ13の既充電率を導出し、内部抵抗計測部35が計測する内部抵抗に基づいて劣化度合導出部36がバックアップバッテリ13の劣化度合を導出する。従って、イグニッションスイッチ15がオンの場合に生じる、メインバッテリ12や負荷11にかかる電力等により開回路電圧及び内部抵抗が精度良く計測し難いという問題が解消される。その結果、イグニッションスイッチ15がオンのときよりもバックアップバッテリ13の既充電率及び劣化度合を正確に計測できる。劣化度合を正確に計測できれば、目標充電率がより正確に導出される。また、既充電率が目標充電率よりも小さいこともより正確に判断される。さらには、車両を走行させるための負荷の駆動を継続させるために必要となる必要残容量をより確実に確保することができる。その結果、メインバッテリ12による電力供給が絶たれて車両を走行させるための負荷の駆動を継続させなければならないときに、バックアップバッテリ13が車両を走行させるための負荷の駆動を継続させるために必要となる必要残容量を確保していないという事態の発生を従来よりも低減させることができる。
【0044】
また、イグニッションスイッチ15がオンのときに、目標充電率導出部38が目標充電率を求め、目標充電率導出部38が導出する目標充電率に基づいて、充電制御部39がバックアップバッテリ13を充電する。こうした構成によれば、イグニッションスイッチ15がオフのときにそれと同様のことを行うよりも、メインバッテリ12の能力低下が抑制される。
【0045】
また、温度情報取得部37を更に備え、目標充電率導出部38は、劣化度合導出部36により導出された劣化度合の他に、温度情報取得部37により取得された温度情報に基づいて、充電目標となる目標充電率を求める。こうした構成によれば、温度情報を加味した分、目標充電率として更に適した値を求めることができる。
【0046】
また、マイコン21は、車両の駆動を制御する車両側制御部41とは別個に設けられたものである。こうした構成によれば、車両側制御部41が充電制御を行うのであれば車種毎にシステムを構築する必要が生じるのに対して、マイコン21が車両側制御部41とは別個の充電制御を行うので車種毎にシステムを構築する必要がない。また、バックアップバッテリ13の充電のために車両側制御部41の負担を増加させることを回避することができる。
【0047】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えても良いし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせても良い。
【0048】
[変形例1]
前述の実施形態では、目標充電率として図2(e)の表(テーブル)を用いていたが、上記実施形態に限定されなくても良い。例えば、下記の補正式(1)を作成して、これに基づいて目標充電率を設定しても良い。劣化度合が0%かつ温度が25℃の目標充電率を基準とした場合に、劣化度合がP%かつ温度がT℃の目標充電率は、下記のように導出できる。
目標充電率(P%かつT℃)=目標充電率(0%かつ25℃)×温度係数×(現在のバッテリ温度T[℃]-25[℃])×劣化係数×(1-劣化度合P[%]/100[%])・・・(1)
【0049】
[変形例2]
前述の実施形態では、図4のS28によりマイコン21の制御過程は終了していたが、上記実施形態に限定されず、マイコン21は以下のように制御しても良い。例えば、マイコン21は、S28の過程の後に、バックアップバッテリ13から負荷11に電力供給可能であるかを判断する。そして、バックアップバッテリ13から負荷11に電力供給可能でないと判断された場合には、マイコン21は、バックアップバッテリ13を機能停止させて保護する。あるいは、バックアップバッテリ13から負荷11に電力供給可能であると判断された場合(例えば過放電又は過熱の閾値に到達した場合)には、マイコン21は、バックアップバッテリ13から負荷11に電力供給する。以上のように構成しても良い。
【0050】
[変形例3]
前述の実施形態では、バックアップバッテリ13の放電による電圧降下量及び放電電流に基づく内部抵抗を、新品時のものと現在のものとで比較して劣化度合を導出するものであったが、上記実施形態に限定されず、マイコン21は以下のように制御しても良い。以下、図2(d)を参照しつつ説明する。
【0051】
図2(d)は、放電時間が長いときの、バックアップバッテリのバッテリ電圧と放電時間との関係を示すグラフである。縦軸はバックアップバッテリ13のバッテリ電圧であり、横軸はバックアップバッテリ13の放電時間である。グラフJ1は新品時のグラフ(0%劣化のもの)であり、グラフJ2は使用開始から所定期間を経過した中古品時の(現在の)グラフ(例えば20%劣化のもの)である。
【0052】
内部抵抗計測部35は、バックアップバッテリ13が充電された状態から80Aで放電されて負荷11の最低駆動電圧である10.5Vに到達するまでの放電時間を計測する。その放電時間が長い程に実質的に内部抵抗が小さく劣化度合が小さく、その放電時間が短い程に実質的に内部抵抗が大きく劣化度合も大きい。例えば、新品時のバックアップバッテリ13の場合には、図2(d)のJ1に示されるように、内部抵抗計測部35によってバッテリ電圧Y1[V]から放電して電圧Y0(=10.5)[V]に到達するために、時間が3分もつことが計測される。また、使用開始から所定期間が経過したバックアップバッテリ13の場合には、図2(d)のJ2に示されるように、内部抵抗計測部35によってバッテリ電圧Y2[V]から放電して電圧Y0(=10.5)[V]に到達するために、時間が2分40秒もつことが計測される。
【0053】
劣化度合導出部36は、内部抵抗計測部35の計測結果に基づいて、バックアップバッテリ13の劣化度合を導出する。例えば、劣化度合導出部36は、内部抵抗計測部35が計測するバックアップバッテリ13の放電時間が3分であれば、図2(d)のグラフJ1に対応することから、バックアップバッテリ13の劣化度合が0%劣化であることを導出(評価)する。また、劣化度合導出部36は、内部抵抗計測部35が計測するバックアップバッテリ13の放電時間が2分40秒であれば、図2(d)のグラフJ2に対応することから、バックアップバッテリ13の劣化度合が20%劣化であることを導出(評価)する。
【0054】
[変形例4]
前述の実施形態では、目標充電率導出部38は、劣化度合導出部36により導出された劣化度合と、温度情報取得部37により取得された温度情報に基づいて、充電目標となる目標充電率を求める構成であったが、上記実施形態に限定されなくとも良い。例えば、目標充電率導出部38は、劣化度合導出部36により導出された劣化度合に基づいて、充電目標となる目標充電率を求める構成であっても良い。
【符号の説明】
【0055】
10 制御システム(バックアップバッテリ制御システム)
11 負荷
12 メインバッテリ
13 バックアップバッテリ
14 バッテリ温度センサ
15 イグニッションスイッチ
16 制御モジュール(バックアップバッテリ制御モジュール)
21 マイコン
22 充電回路
23 放電回路
24,25 スイッチ
31 既充電率タイマー
32 開回路電圧計測部(開回路電圧計測手段)
33 既充電率導出部(既充電率導出手段)
34 劣化タイマー
35 内部抵抗計測部(内部抵抗計測手段)
36 劣化度合導出部(劣化度合導出手段)
37 温度情報取得部(温度情報取得手段)
38 目標充電率導出部(目標充電率導出手段)
39 充電制御部(充電制御手段)
41 車両側制御部
J1,J2 グラフ
X1,X2 開回路電圧
Y0,Y1,Y2 電圧
図1
図2
図3
図4