(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】押出装置
(51)【国際特許分類】
B29C 48/49 20190101AFI20230906BHJP
B29C 48/16 20190101ALI20230906BHJP
B29C 48/285 20190101ALI20230906BHJP
【FI】
B29C48/49
B29C48/16
B29C48/285
(21)【出願番号】P 2020540582
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 IB2019050526
(87)【国際公開番号】W WO2019145852
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】102018000001715
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】504039317
【氏名又は名称】ギマク・ディ・マッキャグナン・ジョルジオ
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】マッキャグナン,シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】ガッティ,ロレンツォ
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-320596(JP,A)
【文献】特開2005-096100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出装置であって、
押出される材料を収容するのに適した少なくとも1つの供給ステーションと、
複数のプロペラ(3)であって、各プロペラ(3)が前記少なくとも1つの供給ステーションから押出される前記材料を受け取るために少なくとも1つの供給ステーションに動作可能に接続された、複数のプロペラ(3)と、
前記複数のプロペラ(3)の下流に配置され且つ前記プロペラ(3)から押出される前記材料を受け入れるために少なくとも1つのプロペラ(3)に接続された少なくとも1つの押出ヘッド(4)と、を備え、
各プロペラ(3)は選択的に作動されて押出速度および/または前記押出ヘッド(4)からの出力として押出される材料の量を調整することができ、
前記押出装置はさらに、
押出される第1の材料を収容するのに適した第1の供給ステーション(2
a)と、
押出される第2の材料を収容するのに適した第2の供給ステーション(2b)と、
複数のプロペラ(3)であって、
前記第1の供給ステーション(2a)から押出される前記第1の材料を受け入れるために前記第1の供給ステーション(2a)に動作可能に接続された第1のプロペラ(3a)と、
前記第2の供給ステーション(2b)から押出される前記第2の材料を受け入れるために前記第2の供給ステーション(2b)に動作可能に接続された第2のプロペラ(3b)と、
前記第1または第2の供給ステーション(2a、2b)から押出される前記第1または第2の材料を受け入れるために前記第1または第2の供給ステーション(2a、2b)に選択的に接続された第3のプロペラ(3c)と、を含む複数のプロペラ(3)と、
前記複数のプロペラ(3)の下流に配置された複数の押出ヘッド(4)であって、各プロペラヘッドは、前記プロペラ(3)から押出される前記第1または第2の材料を受け取るために少なくとも1つのプロペラ(3a、3b、3c)に接続されており、前記複数の押出ヘッド(4)が、
前記第1および第3のプロペラ(3a、3c)から押出される前記第1の材料を受け入れるために前記第1および第3のプロペラ(3a、3c)に動作可能に接続された第1の押出ヘッド(4a)と、
前記第2および第3のプロペラ(3b、3c)から押出される前記第2の材料を受け入れるために前記第2および第3のプロペラ(3b、3c)に動作可能に接続された第2の押出ヘッド(4b)と、を備える、押出装置。
【請求項2】
少なくとも一対のプロペラ(3)の共通の押出温度を調節するために、前記少なくとも一対のプロペラ(3)で同時に作動する温度調節装置を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記温度調節装置は、恒温槽である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記温度調節装置が各プロペラ(3)で同時に作動する、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
複数の温度調節要素を含み、各温度調節要素は、対応するそれぞれのプロペラ(3)に接続されて前記対応するそれぞれのプロペラ(3)の個々の押出温度を調節する、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の温度調節要素は、複数の抵抗器である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
各プロペラ(3)が5rpmから50rpmの範囲の押出速度で作動して、比例的に相関する前記押出ヘッド(4)から出てくる総押出材料の量を生成するように構成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のプロペラ(3)を収容するように構成されたハウジングを備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記複数のプロペラ(3)と前記複数の押出ヘッド(4)との間に配置され且つ前記各プロペラ(3)から出てくる押出される前記材料の均一な混合を実現するように構成された混合チャンバ(5)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第3のプロペラ(3c)の入口に配置され且つ前記第1の供給ステーション(2a)から押出される前記第1の材料を受け取るために前記第3のプロペラ(3c)が前記第1の供給ステーション(2a)に動作可能に接続された第1の供給構成、および前記第2の供給ステーション(2b)から押出される前記第2の材料を受け取るために前記第3のプロペラ(3c)が前記第2の供給ステーション(2b)に動作可能に接続された第2の供給構成からの前記第3のプロペラ(3c)の切り替えを行うように構成された第1の選択装置(6)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第3のプロペラ(3c)の出口に配置され且つ前記第3のプロペラ(3c)が前記第1の押出ヘッド(4a)に動作可能に接続されて前記第1の押出ヘッド(4a)に押出される前記第1の材料を移送する第1の押出構成、および前記第3のプロペラ(3c)が前記第2の押出ヘッド(4b)に動作可能に接続されて、押出される前記第2の材料を前記第2の押出ヘッド(4b)に移送する第2の押出構成から、前記第3のプロペラ(3c)の切り替えを行うように構成された第2の選択装置(7)を備える、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出プロセスによって物体を実現するためのシステムの分野に関し、同時に、本発明は、押出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
押出製品の生産は、特にテクニカルポリマーに関して急速に拡大している市場であり、そのような技術に従って実現される製品の需要の増加により、生産量を増やす必要が生じていた。
【0003】
しかしながら、同時に、実現される製品の一貫性と高品質を保証するために、押出プロセスの性能を高度に制御することを保証する必要がある。
【0004】
このため、実現すべき製品の仕様に合わせて動的に動作できるシステムが不可欠である。すなわち、非常に正確な方法で多種多様な材料で動作しながら、同時に高い生産量を維持することができるシステムが不可欠である。
【0005】
この問題は、押出プロセスがセグメント化された押出物の実現に向けられている場合、つまり、同じ製品内で複数の材料を使用して実現された押出物の場合に、特に顕著となる。
【0006】
セグメント化された押出物の実現により、特定の部分を作るために使用される材料のタイプを調整するだけで、製品の異なる部分に異なる化学的/物理的特性を有する製品を得ることができる。
【0007】
したがって、そのような製品の場合、複数の材料に同時に処理を実行できるプロセスパラメータを決定し、同時に、高い処理速度と材料自体の構造的完全性を確保することが、特にセグメンテーション部分、すなわち、第1の材料から第2の材料への遷移が発生する完成品のすべての領域において、さらに困難になる。
【0008】
そのようなセグメンテーション部分では、押し出されるべき個々の材料の量は、非常に正確な方法で較正および制御されなければならない。
【0009】
このような細かな較正は、押出装置を構成する単一のプロペラの押出速度を調整し、完成品の特定の部分を構成する、特定のプロペラから押し出される材料のパーセンテージの増減に応じて押出速度を増減することにより行われる。
【0010】
しかしながら、このようなシナリオは、しばしば、所望の生産量基準と両立しないという結果になる。
【0011】
実際には、使用される材料の物理的特性によって課されるプロペラの動作速度には制限があり、これは、(材料自体の理想的な流出特性に対して)速過ぎる速度でまたは遅過ぎる速度で処理される場合に、大幅に悪化する傾向がある。
【0012】
このような問題は、原則として、装置のサイズを大きくすることにより、したがって、同時に処理できる材料の量を増やすことにより、したがって、同じ処理速度で押し出される材料の量を増やすことを可能にすることにより解決できる。
【0013】
しかしながら、このような解決策は、関連する各プロペラの処理速度の低下を意味するので、特にセグメント化された押出物が(「軸方向」の意味において、つまり、押出軸に沿って2つ以上の材料の交互の細分割を使用して、および/または「放射状」方向、つまり、押出軸に垂直な理想的な平面における2つ以上の材料の2つ以上の断面の放射状の構造を増やすことによる細分割を使用して)実現される場合に、押出プロセスに効率的に適用できない。
【0014】
このタイプのプロセスで発生する問題は、次の例によって、より明らかになる。すなわち、セグメンテーション部分では、第1の材料のパーセンテージが0%になり、第2の材料のパーセンテージが100%になる傾向があり、第1の材料の押出機には減少する押出速度を課し、第2の材料の押出機には増加する押出速度を課す必要がある。
【0015】
そのようなシナリオでは、(異なる起こり得る流出状態に応じて「機械的」および/または「熱的」条件の両方で)プロペラの動作速度を悪化の制限内に維持しながら、すなわち、第2の材料のプロペラを例えば毎分5~50回転(rpm)に維持しながら、可能な限り高い生産量を同時に確保することを意図している。
【0016】
このようなニーズを満たすために、上記のように、装置のサイズを大きくし、高い生産量を維持しながら処理速度を低下させることが可能である。
【0017】
しかしながら、そのような解決策はまた、第1の材料のプロペラの速度の低下を必然的に伴い、それは、したがって、制御するには低すぎる可能性がある。
【0018】
実際、プロペラの特定の動作速度閾値未満、例えば、1rpm未満では、押出プロセスのエラーや不正確さを効率的に検出および修正することが実質的に不可能になる。これらの特定の流出状態では、押出機内の材料の滞留時間が長いほど、熱劣化が大きくなることにも留意すべきである。
【0019】
しかしながら、単一の材料を使用して完成品を実現する場合に、このような臨界はまた検出される。
【0020】
実際、このような状況でも、使用される材料の物理的許容限界によって課せられる特定の閾値を除いて処理速度を上げることは不可能であるが、押出ヘッドフローが増加すると、押出速度を特定の閾値未満に下げることが妨げられる。それが完成品の品質を損なう結果を伴う不十分な制御および管理速度につながり、さらに重要なことに、押し出される材料の量の細かな較正を妨げるからである。
【0021】
したがって、特にプロペラが動作する速度に関して、高品質の製品を実現するために、押出装置の最適な管理が重要であることは明らかである。
【0022】
上記の説明は、同じ製品の実現に貢献するように、同じ生産ラインで、同じポイントに集中するいくつかの独立した押出プラントの設置を常に可能にするわけではない、押出機の周りのスペースの管理上のロジスティック上の問題にさらに追加される。
【発明の概要】
【0023】
この文脈において、本発明の根底にある技術的課題は、上述の従来技術の少なくともいくつかの欠点を克服する押出装置を提案することである。
【0024】
特に、本発明の目的は、押出速度の正確且つ精密な制御を可能にし、同時に生産量を最大化することができる押出装置を提供することである。
【0025】
また、本発明の目的は、生産量を大幅に増加させ、押出速度を正確に制御でき且つ押出材料の劣化を引き起こさない範囲内に押出速度を維持できる押出装置を提供することである。
【0026】
また、本発明の目的は、小型製品の実現を容易にしつつ、そのようなタイプの装置の全体寸法を低減することができるコンパクトな押出ヘッドを提供することである。
【0027】
言及された技術的課題および特定の目的は、添付の特許請求の範囲の1つまたは複数に記載された技術仕様を含む押出ヘッドによって実質的に達成される。
【0028】
本発明によれば、押出される材料を収容するのに適した少なくとも1つの供給ステーションと、押出される材料を受け入れるために少なくとも1つの供給ステーションに動作可能に接続された複数のプロペラと、少なくとも1つのプロペラに接続された少なくとも1つの押し出しヘッドを備える押出装置が示されている。
【0029】
各プロペラを選択的に作動させて、押出速度および/または押出ヘッドからの出力として押出される材料の量を調整することもできる。
【0030】
特に、各プロペラは5から50rpmの例示的な押出速度で動作して、プラントの特性および/またはプラント自体によって処理されるポリマー材料の特性に比例して押出ヘッドから出てくる総押出材料の量を生成するように構成されている。
【0031】
好ましくは、押出装置は、共通の押出温度を調節するように少なくとも一対のプロペラで同時に作動する温度調節装置(例えば、これに限定されないが、恒温槽)を備える。
【0032】
さらにより好ましくは、温度調節装置は各プロペラで同時に作動する。
【0033】
このような構成は、単一の温度調節装置によって押出装置の温度を操作および制御することを可能にし、装置の実現のコストおよび複雑さを低減する。
【0034】
好ましくは、装置は、複数の温度調節要素、例えば、複数の抵抗器をさらに含み、その各々は、個々のプロペラに接続されて、個々の押出温度を調節する。
【0035】
このような構成により、個々のプロペラの動作温度を個別に微調整することができる。
【0036】
好ましくは、装置は、複数のプロペラを収容するように構成されたハウジングをさらに備える。
【0037】
特定の態様によれば、押出装置は、押出される材料を収容するのに適した供給ステーション、各々が押出される材料を受け入れるために供給ステーションに動作可能に接続された複数のプロペラと、押出される材料を受け入れるための各プロペラに接続された押出ヘッドと、を備える。
【0038】
さらなる態様によれば、押出装置は、各々が押出されるそれぞれの異なる材料を収容するのに適した複数の供給ステーションと、押出されるそれぞれの材料を受け入れるためにそれぞれの供給ステーションに動作可能に接続された複数のプロペラと、押出される材料を受け入れるための各プロペラに接続された押出ヘッドと、を備える。
【0039】
好ましくは、そのような態様によれば、押出装置は、複数のプロペラと押出ヘッドとの間に挿入され、それぞれのプロペラから出る押出される材料の均一な混合を実現するように構成される混合チャンバをさらに備える。
【0040】
さらに可能な態様によれば、押出装置は、
押出される第1の材料を収容するのに適した第1の供給ステーションと、
押出される第2の材料を収容するのに適した第2の供給ステーションと、
複数のプロペラであって、
押出される第1の材料を受け入れるために第1の供給ステーションに動作可能に接続された第1のプロペラと、
押出される第2の材料を受け入れるために第2の供給ステーションに動作可能に接続された第2のプロペラと、
押出される第1または第2の材料をそれぞれ受け入れるために、第1または第2の供給ステーションに選択的に接続された第3のプロペラと、を備える複数のプロペラと、
各々が押出される第1または第2の材料を受け取りるための少なくとも1つのプロペラに接続された複数の押出ヘッドと、を備える。
【0041】
好ましくは、そのような態様によれば、押出装置は、第3のプロペラの入口に配置され且つ第3のプロペラが第1の供給ステーションに動作可能に接続された第1の供給構成および第3のプロペラが第2の供給ステーションに動作可能に接続された第2の供給構成からそのようなプロペラの切り替えを行うように構成された第1の選択装置を備える。
【0042】
好ましくは、複数の押出ヘッドは、押出される第1の材料を受け入れるための第1および第3のプロペラに動作可能に接続される第1の押出ヘッドと、押出される第2の材料を受け入れるための第2および第3のプロペラに動作可能に接続される第2の押出ヘッドと、を含む。
【0043】
そのような態様によれば、押出装置は、第3のプロペラの出口に配置され且つ第3のプロペラが第1の押出ヘッドと動作可能に接続される第1の押出構成および第3のプロペラが第2の押出ヘッドに動作可能に接続される第2の押出構成からそのようなプロペラの切り替えを行うように構成された第2の選択装置をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されるように、例示的であるが排他的ではない、したがって非限定的な好ましい押出ヘッドの実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【
図1】第1の可能な実施形態による押出装置を示す。
【
図2】第2の可能な実施形態による押出ヘッドの概略押出装置を示す。
【
図3】第3の可能な実施形態による押出ヘッドの概略押出装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
添付の図において、参照番号1は、一般に、本発明による押出装置を指す。
【0046】
押出装置1は、少なくとも1つの供給ステーション2、複数のプロペラ3、および少なくとも1つの押出ヘッド4を備える。
【0047】
供給ステーション2は、押出される材料を保管し、それを供給ステーション2の下流に配置された、押出装置の後続のコンポーネントに供給するのに適したタンク、ホッパー、または任意の高コンテナを指す。
【0048】
本明細書の目的のために、一般的な用語「押出される材料」は、押出プロセスの分野で使用されることが知られている任意の材料を指し、例えばプラスチック、ポリマーまたは他の材料である。
【0049】
各プロペラ3は、少なくとも1つの供給ステーション2に動作可能に接続され、押出される材料をそれから受け取ることができる。
【0050】
押出ヘッドは、少なくとも1つのプロペラ3に接続され、押出される材料をそこから受け取る。
【0051】
つまり、押出装置1は、入口で供給ステーション2に出口で押出ヘッド4に接続されたプロペラ3を通過して、供給ステーション2から押出ヘッド4に移動する押出流を規定する。
【0052】
さらに、各プロペラ3を選択的に作動させて、押出速度および/または押出ヘッドからの出力として押出される材料の量を調整することができる。
【0053】
特に、各プロペラ3は、5rpmから50rpmの範囲の押出速度で動作して、比例的に相関する押出ヘッドから出てくる押出材料の量を生成するように構成される。
【0054】
換言すれば、個々のプロペラの選択的な作動/停止により、特にプロペラ3の動作速度および押出ヘッド4の流量に関して、押出装置1の動作パラメータの極めて正確な調整を得ることができる。
【0055】
実際、押出される1つまたは複数の材料の流量を増やすことが望ましい場合、その材料を収容する供給ステーションに関連付けられている単一のプロペラの動作速度を調整して、1つまたは複数のプロペラ3の速度をアクティブまたは増加させることにより、押出される材料の損傷を回避するのに十分な低速を維持しながら、そのような増加を簡単に得ることができる。変動が複数のプロペラ3に分割され且つ単一のプロペラ3により完全にサポートされてはならないためである。
【0056】
同様に、押出される1つまたは複数の材料の流量を減らすことが望ましい場合、その材料を収容する供給ステーションに関連付けられている単一のプロペラの動作速度を調整して、1つまたは複数のプロペラ3の速度を停止または減速することにより、エラーが発生した場合に正しく制御および修正される十分な高速を維持しながら、そのような減少を簡単に得ることができる。この場合も、変動が複数のプロペラ3に分割され且つ単一のプロペラ3により完全にサポートされる必要はない。
【0057】
押出装置1を通る押出流の異なる可能な経路のより正確な定義およびその構成要素間の可能な特定の接続は、本発明のいくつかの可能な好ましい実施形態の特定の提示とともに、以下でより詳細になる。
【0058】
一般に、押出装置1は、共通の押出温度を調節するように少なくとも一対の押出機で同時に作動する温度調節装置を含む。
【0059】
有利には、温度調節装置は、押出装置1の各プロペラ3で同時に作動することができる。
【0060】
単一の材料、または類似の処理パラメータを有するより多くの材料が処理される場合、押出装置1のプロペラ3は、すべてのプロペラ3について同じ温度に達したときに効率的に動作することが可能である。
【0061】
したがって、温度調節装置は、押出装置1の実施形態の構造を大幅に簡略化することができる。温度調節装置は、それに関連するプロペラ3に共通の基準温度セットを設定できるからである。
【0062】
このようにして、共通の押出温度セットが各プロペラ3に適用され、単一のプロペラ3毎に異なる温度調節システムを設計および設置する必要がなく、コンポーネント、コスト、および全体的な寸法の点で結果として節約される。
【0063】
好ましくは、そのような温度調節装置は、装置が使用されているときに温度を調節するためにプロペラ3が埋没または得られるサーモスタット付き金属塊(または、いずれの場合も、機能的に同等の装置による)でできている。
【0064】
いくつかの異なる材料が使用されている状況、または特定の製造プロセスに含まれる押出される材料の異なる化学的/物理的特性が単一の共通の押出温度の適用を非効率的にする状況でさえ正しく動作するために、押出装置は、複数の温度調節要素を含み、その各々が、個々の押出温度のセットを調節するために対応するそれぞれのプロペラ3に接続されている。
【0065】
しかしながら、この場合にも、押出装置1は、既知の装置よりも効率的であることがわかる。共通の押出温度セットを、例えば、関連するすべての材料の中で最低処理温度を持つ押出される材料の処理温度に等しい共通の押出温度セットを課すことがいずれにしろ可能であるからである。
【0066】
続いて、個々の温度調節要素を使用して、他の押出機3の温度を微調整し、そのようなプロペラ3によって処理される必要のある押出される個々の材料の特定の特性に非常に高速且つ正確な方法でそれらを適合させる。
【0067】
好ましくは、温度調節要素は、ジュール効果によって熱を生成することができる、対応するそれぞれのプロペラ3と直接接触して配置された抵抗器によって実現される。
【0068】
そのような解決策は、共通の温度調節装置によってプロペラを加熱するために必要なエネルギーのほとんどを供給することを可能にし、動作するために少ない電力を必要とし且つ低減された実施形態の複雑さを持つ温度調節要素によって温度を最小限に調整する。
【0069】
有利には、複数のプロペラ3を同じハウジング内に収容することができ、それにより、特にコンパクトで取り扱いが簡単な構造を得ることができ、その可搬性が向上し、全体の寸法が小さくなる。
【0070】
図1に詳細に示される特定の実施形態によれば、押出装置1は、押出される材料を収容するのに適した少なくとも1つの供給ステーション2を含む。
【0071】
常にそのような実施形態によれば、押出装置1は、複数のプロペラ2であって、その各々が供給ステーションに動作可能に接続され、押出される材料をそこから受け取るための複数のプロペラ2と、各プロペラ3に接続された押出ヘッド4とを備える。
【0072】
そのような実施形態は、押出材料の高流量を得ることを可能にし、製造プロセスを大幅にスピードアップし、同時に、単一のプロペラ3ではなく、より多くのプロペラ3に同時に作用する押出ヘッド4の供給をセグメント化する押出速度の微調整を実行する可能性を維持する。
【0073】
したがって、そのような構成は、実質的により速く且つより正確な速度変動を得ることを可能にする。
【0074】
実際、押出される材料の流量の増減を得ることが望ましい場合、プロペラ3の動作速度の結果として生じる増減を単一のプロペラ3で吸収してはならず、これはかなりの速度変動を得るためには長い時間がかかる場合があり、しかし、複数のプロペラ3に分割されているため、切り替え時間が大幅に短縮されるほど、そのような変動が分割されるプロペラ3の数が多くなる。
【0075】
図2に詳細に示される別の可能な実施形態によれば、押出装置は、各々が押出される対応するそれぞれの異なる材料を収容するのに適した複数の供給ステーション2と、各々が対応するそれぞれの供給ステーションからそれぞれの押出される材料を受けるために当該供給ステーションに動作可能に接続された複数のプロペラ3とを備える。
【0076】
換言すれば、製造される物体の実現に必要な材料の総計と同じ数の供給ステーション2があり、各プロペラ3は異なる供給ステーションに接続され、そこから異なる材料を受け取り処理する。
【0077】
常にそのような実施形態によれば、押出装置1はさらに、押出される材料を受け入れるためにプロペラ3のそれぞれに接続された、プロペラ3の下流に配置された押出ヘッド4を備える。
【0078】
好ましくは、押出装置1は、複数のプロペラ3と押出ヘッド4との間に配置され且つそれぞれのプロペラ3から出てくる押出される材料の均一な混合を実現するように構成される混合チャンバ5を備える。
【0079】
つまり、このような実施形態によれば、異なる材料を混合して実現できる製品であっても、押出ヘッドから押出される材料の量および/または押出速度を微調整することができる。
【0080】
添付の
図3A、3Bにさらに詳細に示されている別の可能な実施形態によれば、押出装置1は、2つの供給ステーション2、具体的には、押出される第1の材料を収容するのに適した第1の供給ステーション2a、および押出される第2の材料を収容するのに適した第2の供給ステーション2bを備える。
【0081】
押出装置1は、複数のプロペラ3、特に、押出される第1の材料を受け入れるために第1の供給ステーション2aに動作可能に接続された第1のプロペラ3aと、押出される第2の材料を受け入れるために第2の供給ステーション2bに動作可能に接続された第2のプロペラ3bと、それぞれ抽出される第1または第2の材料を受け入れるために第1または第2の供給ステーション2a、2bに選択的に接続可能な第3のプロペラ3cと、をさらに備える。
【0082】
言い換えれば、押出装置1は、直接接続され且つそれぞれ第1および第2の供給ステーション2a、2bを介して供給できる第1および第2のプロペラ3a、3bと、第1および第2の供給ステーション2a、2bによって選択的に供給できる第3のプロペラ3cとを備え、このようにして、第3のプロペラ3cの内部に押出される第1または第2の材料を処理することを可能にする。
【0083】
常にそのような実施形態によれば、押出装置1は複数の押出ヘッド4を含み、それらの各々は、押出される第1または第2の材料を受け入れるために少なくともプロペラ3a、3b、3cに接続される。
【0084】
押出流の正確な管理を可能にするために、押出装置1は、第3のプロペラ3cの入口に配置され且つ第3のプロペラ3cが押出される第1の材料を受け入れるために第1の供給ステーション2aに動作可能に接続された第1の供給構成、および第3のプロペラ3cが押出される第2の材料を受け入れるために第2の供給ステーション2bに動作可能に接続された第2の供給構成から、そのような第3のプロペラ3cの切り替えを行うように構成された第1の選択装置6を備える。
【0085】
特に、
図3Bに示されるように、押出装置1は複数の押出ヘッド4を含み、それらの各々は、押出される第1または第2の材料を受け入れるために対応するそれぞれのプロペラ3a、3b、3cに接続される。
【0086】
つまり、押出装置1は、第1のプロペラ3aに接続された第1の押出ヘッド4aと、第2のプロペラ3bに接続された第2の押出ヘッド4bと、第3のプロペラ3cに接続された第3の押出ヘッド4cとを備える。
【0087】
あるいは、
図3Aに示されるように、複数の押出ヘッド4は、押出される第1の材料を受けるために第1および第3のプロペラ3a、3cに動作可能に接続された第1の押出ヘッド4aと、押出される第2の材料を受けるために第2および第3のプロペラ3b、3cに動作可能に接続された第2の押出ヘッド4bとを含む。
【0088】
言い換えると、第3のプロペラ3cが押出される第1の材料を処理している場合のみ(したがって、第1の供給ステーション2aに接続されている)、第1の押出ヘッド4aは第1のプロペラ3aおよび第3のプロペラ3cから常に押出される第1の材料を受け取るように構成される一方、第3のプロペラ3cが押出される第2の材料を処理している場合のみ(したがって、第2の供給ステーション2bに接続されている)、第2の押出ヘッド4bは第2のプロペラ3bおよび第3のプロペラ3cから常に押出される第2の材料を受け入れるように構成される。
【0089】
そのような可能な実施形態によれば、押出装置1は、第3のプロペラ3cの出口に配置され且つ押出される第1の材料を第1の押出ヘッド4aに移送するために第3のプロペラ3cが第1の押出ヘッド4aに動作可能に接続された第1の押出構成、および押出される第2の材料を第2の押出ヘッド4bに移送するために第3のプロペラ3cが第2の押出ヘッド4bに動作可能に接続された第2の押出構成から、そのような第3のプロペラ3cの切り替えを行うように構成される第2の選択装置7を備える。
【0090】
換言すれば、第1の選択装置6により、第3のプロペラ3cと第1または第2の供給ステーション2a、2bとの間の各接続部分を選択的に開閉して、選択的に、好ましくは代替的に、押出される第1または第2の材料を供給することができる。
【0091】
上記に照らして、本発明は、提案された目的を達成し、実現される製品の高い生産量および高品質を確保しながら押出プロセスを最適化することを可能にする押出装置を提供することによって、先行技術で言及された欠点を克服する。
【0092】
特に、本発明の構造は、押出装置の押出速度の正確な調節を得ることを可能にし、高い生産量を確保すると同時に、同等に広い範囲の流量(例えば、特に高い)と協調しておよび/または同時に、流出速度(例えば、特に低い)を規定するためのより優れた幅広い可能性を確保する。
【0093】
これまでに説明され且つ以下でクレームされている「マルチプロペラ」構造のおかげで、非常に好ましい幅/長さ比の押出機(特に、表現可能な総流量に関して非常に短い押出機)を得ることができることにも留意すべきである。本発明が、それを分割することにより、いくつかの推進室にわたる総流量を協調的に規定することを可能にするという事実のおかげである。これにより、擬人化および非擬人化ロボットアームや3Dプリントヘッドなどの様々なタイプの機械へのシステム統合が容易になる。