(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】足場ポール上の汚染物質を検出するための装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/167 20060101AFI20230906BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20230906BHJP
G21C 17/00 20060101ALI20230906BHJP
G21F 9/30 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
G01T1/167 E
G01T1/167 D
G01T7/00 A
G21C17/00 500
G21F9/30 531K
(21)【出願番号】P 2020571455
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2019066346
(87)【国際公開番号】W WO2019243495
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516328306
【氏名又は名称】ソルタンシュ フレシネ ソシエテ パー アクション サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリフトン-クリマス, ダン
(72)【発明者】
【氏名】アンティル, グレッグ
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02910976(EP,A1)
【文献】特開平02-114192(JP,A)
【文献】特開平10-227865(JP,A)
【文献】特開2005-241595(JP,A)
【文献】米国特許第04862005(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
G21C 17/00
G21F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場ポール上の汚染物質を検出するための装置であって、
足場ポールの外面上の汚染物質を検出するための外部検出器と、
足場ポールの内面上の汚染物質を検出するための内部検出器と、
前記装置を介して前記外部検出器と前記内部検出器を越えて足場ポールを長手方向に移送するための機構とを備え
、
前記外部検出器は、前記足場ポールが前記装置を介して移送されるとき、前記足場ポールの外面全体が調査されるように前記足場ポールの円周の周りに延びるように構成されている装置。
【請求項2】
前記内部検出器が放射線モニターを備え、前記外部検出器が放射線モニターを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外部検出器が
、セグメント化検出器を備えている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記外部検出器が、足場ポールが装置を介して移送される経路から離間している、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記内部検出器が、足場ポールの内部穴に収まるように構成され
た円筒形検出器を備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、前記内部検出器を足場ポールの内面から離間させるために前記内部検出器の周りに配置されたカラーを備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、前記装置によって捕捉されたデータを記録および/または送信するためのデータ記録機および/またはデータ送信機を備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記外部検出器と前記内部検出器が、前記データ記録機および/または前記データ送信機に接続されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記内部検出器が、有線接続を介して前記データ記録機および/または前記データ送信機に接続されており、前記装置が、足場ポールが前記装置を介して移送されるときに、前記足場ポールを介して前記有線接続を供給するためのケーブル処理機構を備えている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記移送機構が、足場ポールに取り付けるためのコネクターを備えている、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記移送機構が、前記装置を介して足場ポールを移送するためのコネクターを駆動するように構成されたステッピングモーターを備えている、請求項1
0に記載の装置。
【請求項12】
足場ポールが、前記装置を介して移送されているときに、前記移送機構が、前記足場ポールが前記装置を介して移送された距離を測定するように構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、前記内部検出器と前記外部検出器によって捕捉されたデータを、足場ポールの移送機構によって捕捉されたデータに関連付けるように構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、足場ポールをマーキングするように構成されたマーキング機構を備えている、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記マーキング機構が、足場ポール上で汚染が検出された距離の測定を使用して、足場ポールをマーキングする場所を決定するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が、足場ポールを切り開くように構成された切断機構を備えている、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記切断機構が、足場ポール上で汚染が検出された距離の測定を使用して、前記足場ポールを切断する場所を決定するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置が、足場ボード上の汚染物質を検出するための検出器と、前記装置を介して足場ボードを長手方向に前記検出器を越えて移送するための機構とを備えている、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置がポータブルである、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
足場ポール上の汚染物質を検出する方法であって、
装置を介して、足場ポールの外面上の汚染物質を検出するための外部検出器と足場ポールの内面上の汚染物質を検出するための内部検出器を越えて足場ポールを長手方向に移送する工程と、
前記外部検出器と前記内部検出器を各々使用して、前記足場ポールの外面上と内面上の汚染物質の存在を検出する工程と、を含
み、
前記外部検出器は、前記足場ポールが前記装置を介して移送されるとき、前記足場ポールの外面全体が調査されるように前記足場ポールの円周の周りに延びるように構成されている方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場ポール上の汚染物質を検出するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
足場は、別な方法ではアクセスできない状況で、建物の内部または外部にアクセスしたい場合、多くの種々の目的で使用される。足場は、一般に、足場ポールと足場ボードから構成されている。足場は、建築現場で使用されるだけでなく、原子力施設など、足場が原子力施設の放射性物質などの汚染物質に曝露されるリスクがあり得る場所で使用され得る。
【0003】
使用中に足場が汚染された可能性がある場合、足場に汚染物質が存在するかどうかをチェックするまで、他の場所で使用するために現場から足場を取り外さないことが重要である。次いで、これにより、汚染されていない足場を他の場所で使用したり、汚染された足場を廃棄したり、必要に応じて除染したりすることができるようになる。
【0004】
しかし、足場が汚染されているかどうかを判断するための適切に便利かつ効率的な装置または方法は存在しない。汚染物質の存在について足場を手動でスキャンすることは労働集約的であることが理解されよう。これらの理由により、足場ポールは、汚染がチェックされないことが多く、汚染を現場外に移送するリスクのために、他の場所でその後に使用するために解放できない。したがって、ある現場の足場ポールと足場ボードのごく一部が汚染されている可能性があるが、大量の足場が他の場所で使用されることは妨げられ、汚染されている可能性のある現場に大量の足場が備蓄されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、足場ポール上の汚染物質を検出するための改良された装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様から見ると、本発明は、足場ポール上の汚染物質を検出するための装置であって、
足場ポールの外面上の汚染物質を検出するための外部検出器と、
足場ポールの内面上の汚染物質を検出するための内部検出器と、
装置を介して外部検出器と内部検出器を越えて足場ポールを長手方向に移送するための機構と
を備える装置を提供する。
【0007】
第2の態様から見ると、本発明は、足場ポール上の汚染物質を検出する方法であって、
装置を介して足場ポールの外面上の汚染物質を検出するための外部検出器と足場ポールの内面上の汚染物質を検出するための内部検出器を越えて足場ポールを長手方向に移送する工程と、
外部検出器と内部検出器を各々使用して、足場ポールの外面上と内面上の汚染物質の存在を検出する工程と
を含む方法を提供する。
【0008】
本発明は、機構によって装置を介して移送される足場ポール上の汚染物質の存在を検出する装置および方法を提供する。本機構は、足場ポールの外面上と内面上の汚染物質を各々検出できる外部検出器と内部検出器の両方を越えて装置を移送する。
【0009】
装置の外部検出器と内部検出器は、相対位置にあり、装置の機構は、外部検出器と内部検出器が、足場ポールの外面上と内面上に各々汚染物質が存在する(または存在しない)ことを検出できるように、足場ポールが、外部検出器と内部検出器を越えて装置を介して長手方向に(足場ポール長さ方向の経路に沿って)移動されるように構成されている。
【0010】
足場ポールは中空であるため、外面と内面の両方が汚染される可能性がある。少なくとも好ましい実施形態では、本発明の装置により、単に移送機構によって外部検出器と内部検出器を越えて足場ポールが装置を貫通することによって、足場ポールの内部と外部の両方の汚染物質の有無について調査できるようになることが理解されよう。
【0011】
したがって、本発明の装置は、汚染が存在し得る場所で使用された足場ポールを、例えば、廃棄または必要に応じて除染されることを条件として、他の場所でのその後の使用のために解放できるように、足場ポールの汚染を効果的かつ便利にチェックできるようになるのに役立つ。これにより、例えば、足場ポールが汚染される可能性のある原子力施設の足場のコストを大幅に削減できる。
【0012】
本装置(ひいては、外部検出器と内部検出器)は、足場ポール上の任意の適切で所望のタイプの汚染物質を検出するように構成されていてもよい。1セットの実施形態では、汚染物質は、放射性物質を含む。放射性物質は、アルファ粒子、ベータ粒子(電子または陽電子)、およびガンマ線(光子)の1つ以上のそれらの放出によって便利に検出される。放射性物質は、例えば、原子力施設で使用された場合、足場ポールに存在し得る。
【0013】
足場ポールが、原子力施設の外で使用されるために安全に解放できるかどうか、または廃棄または必要に応じて除染する必要があるかどうかを判断できるように、足場ポールが、放射性物質で汚染されているかどうかを検出することは特に重要であることが理解されよう。
【0014】
内部検出器と外部検出器は、例えば、検出されると予想される汚染物質のタイプに応じて、装置によって処理されている足場ポール上に存在し得る汚染物質(例えば、放射性物質)を検出するための任意の適切で所望の検出器を備えることができる。しかし、上記のように、本発明の装置は、放射性物質で汚染され得る足場ポールを調査するのに特に適している。したがって、1セットの実施形態では、内部検出器と外部検出器は各々、放射線モニター、例えばガイガーカウンター、アルファ線サーベイメーター、電離箱、シンチレーションカウンター、線量率計、またはガンマ線スペクトロメーターを備えている。
【0015】
内部検出器と外部検出器の各々に使用される放射線モニターのタイプは、検出されると予想される放射性物質のタイプに応じて選択できる。例えば、足場ポールを処理して、(例えば、足場ポールが曝露された可能性のあることが知られている放射性物質のために)アルファ粒子の放出によって崩壊することが知られている特定の放射性同位体の存在を検出する場合、アルファ線サーベイメーターを使用してもよい。しかし、放射性物質が不明な場合、複数のタイプの放射性粒子が放出されている可能性がある場合、または足場ポールの放射能の一般調査が必要な場合は、複合アルファ/ベータ放射線検出器などの汎用放射線モニターを使用してもよい。
【0016】
通常、放射線モニターは、毎秒カウントなどの放射性物質の崩壊率を検出するため、1セットの実施形態では、内部検出器と外部検出器の各々によって捕捉されたデータは、放射性物質などの汚染物質の濃度を表す速度を含む。より一般的には、好ましくは、足場ポールが、装置を介して外部検出器と内部検出器を越えて移送されるときに、汚染物質を表すデータを捕捉するように外部検出器と内部検出器が構成されている。
【0017】
1セットの実施形態では、例えば、内部検出器と外部検出器は各々、放射性粒子のエネルギーを検出するように構成されており、好ましくは、内部検出器と外部検出器は各々、放射線スペクトロメーターを備えている。このセットの実施形態では、好ましくは、内部検出器と外部検出器によって捕捉されたデータは各々、内部検出器と外部検出器によって各々検出された放射性粒子のエネルギーを表すデータを含む。
【0018】
次いで、この捕捉されたデータは、装置によって記録および/または装置から送信され得る。装置は、好ましくは、捕捉されたデータを各々記録および/または送信するためのデータ記録機および/またはデータ送信機を備えている。これにより、調査された各足場ポールのデータは、さらなる分析に役立つ。
【0019】
内部検出器と外部検出器は、好ましくは、足場ポールが内部検出器と外部検出器を越えて(例えば同時に)移動するように、足場ポールが装置を介して移送される(例えば、同じ長手方向の)経路に対する(例えば、隣接する)位置にあるため、内部検出器と外部検出器が、足場ポール上の汚染物質の存在(または不在)を検出できるようになるのに役立つ。
【0020】
外部検出器は、足場ポールの外面上の汚染物質を検出するための任意の適切で所望の構成に構成されていてもよい。好ましくは、外部検出器は、装置による調査対象の足場ポールの円周の周りに実質的に延びるように構成されている。これは、足場ポールが、装置を介して移送されるときに、足場ポールの外面全体を調査できるようになるのに役立つ。
【0021】
外部検出器は、好ましくは、複数の別々の部品、例えば、各部品が足場ポールの外面上の汚染物質を検出するように構成された部品を備えるセグメント化検出器を備えている。これは、例えば、調査対象の足場ポールの外周の周りに外部検出器を配置することができるようになるのに役立つ可能性がある。外部検出器は、2つの部品、例えば、クラムシェル検出器を備えているが、好ましくは、セグメント化外部検出器は、3つまたは4つの別々の部品を備えている。
【0022】
好ましくは、外部検出器は、装置による調査対象の足場ポールの外面から離間している(例えば、足場ポールが装置を介して移送される経路から離間している)。これは、外部検出器が、足場ポールと接触して、足場ポールの外面に存在し得る汚染物質によって汚染される可能性を回避するのに役立つ。検出器が汚染物質と接触するのを回避することが重要であり、検出器上にある汚染物質、特に放射性物質などの汚染物質を検出する検出器のために、後続の足場ポールの汚染物質検出測定値が歪むのを回避することが重要であることが理解されよう。
【0023】
足場ポールの外面、および装置を介して(足場ポールの断面の長手方向の突起に実質的に沿って)長手方向に(すなわち真っすぐに)足場ポールを移送する移送機構から外部検出器を離間させるために、好ましくは、外部検出器の最小内寸(足場ポールが移送される方向と直角の平面内)は、足場ポールの最大外寸(例えば直径)より大きい。
【0024】
内部検出器は、足場ポールの内面上の汚染物質を検出するための任意の適切で所望の構成に構成されていてもよい。一実施形態では、内部検出器は、足場ポールの内部穴に収まるように構成された(例えば、実質的に円筒形の)検出器を備えている。好ましくは、内部検出器は、足場ポールが、装置を介して移送されるときに、足場ポールの内部穴を貫通するように構成されている。好ましくは、内部検出器は、足場ポールの全内周の実質的に周りの汚染物質を検出するように構成されている。これは、足場ポールの内面全体が、装置を介して移送されるときに、調査できるようになるのに役立つ。
【0025】
好ましくは、内部検出器は、装置による調査対象の足場ポールの内面から離間している。これは、内部検出器が、足場ポールと接触して、足場ポールの内面に存在し得る汚染物質によって汚染される可能性を回避するのに役立つ。したがって、好ましくは、内部検出器は、足場ポールの内径よりも小さい最大外径(足場ポールが移送される方向と直角の平面内)を有する。
【0026】
好ましくは、装置は、足場ポールが、装置を介して移送されるときに、足場ポールの内部に内部検出器を配置するために、内部検出器の周りに配置されたカラーを備えている。このようなセンタリングカラーは、内部検出器が足場ポールと接触するのを妨げるのに役立ち、内部検出器を足場ポールの内面から等距離に離間させるのに役立ち、これは、内部検出器が取る汚染物質測定値の距離へのあらゆる依存を取り除くのに役立つ。
【0027】
好ましくは、装置は、外部検出器と内部検出器によって捕捉されたデータを読み取るように構成されている。したがって、好ましくは、外部検出器と内部検出器は、外部検出器と内部検出器によって捕捉されたデータが、データ記録機および/またはデータ送信機に読み取ることができるように、データ記録機および/またはデータ送信機に接続されている。好ましくは、接続は、有線接続を含む。
【0028】
内部検出器への有線接続は、足場ポールの長さを貫通できる必要があることが理解されよう。好ましくは、装置は、足場ポールが、装置を介して移送されるときに、足場ポールを介して(内部検出器からデータ記録機および/またはデータ送信機まで)有線接続(例えばケーブル)を供給するためのケーブル処理機構(例えばフリーホイール)を備えている。これは、内部検出器への有線接続が、足場ポールと接触して、汚染されるのを防ぐのに役立つ。
【0029】
装置を介して足場ポールを長手方向に移送するための機構は、任意の適切で所望の移送装置を備えていてもよい。一実施形態では、移送機構は、ベルトコンベアーまたは(例えば、駆動される)ローラーのセットを備えている。一実施形態では、移送機構は、移送機構が、装置を介して足場ポールを移送(例えば、引っ張るまたは押す)することができるように、足場ポール(例えば、その端部)に取り付けるためのコネクター(例えば、クランプまたはグラバー)を備えている。移送機構が、足場ポールに取り付けるためのコネクターを備えている場合、装置はまた、例えば、足場ポールが、装置を介して移送されるときに、足場ポールをガイドするための(例えば、受動的)ローラーのセット(例えば、ローラーベッドサポート)を備えていてもよい。
【0030】
好ましくは、移送機構は、移送機構を駆動するように構成されたモーターを備えている。好ましくは、モーターは、コネクターを駆動するように構成されている(例えば、通電されている)。したがって、好ましい実施形態では、コネクターは、足場ポールに取り付けられるように構成されており、モーターは、コネクターを駆動して、装置を介して足場ポールを移送するように構成されている。好ましくは、モーターは、ステッピングモーターを含む。
【0031】
一実施形態では、移送機構は、足場ポールが、装置を介して移送されているときに、足場ポールが、装置を介して移送された距離を測定する(および、例えば、それを表すデータを捕捉する)ように構成されている。これは、内部検出器と外部検出器によって検出された足場ポール上の汚染物質の位置を決定できるようになるのに役立つ。移送機構が、ステッピングモーターを備えている場合、ステッピングモーターは、足場ポールが装置を介して移送された距離を容易に測定できるようになることが理解されよう。
【0032】
好ましくは、装置は、移送機構によって捕捉されたデータ(すなわち、距離の測定)を読み取るように構成されている。したがって、好ましくは、移送機構は、移送機構によって捕捉されたデータが、データ記録機および/またはデータ送信機に読み取ることができるように、データ記録機および/またはデータ送信機に接続されている。好ましくは、接続は、有線接続を含む。
【0033】
好ましくは、足場ポールの内部検出器と外部検出器によって捕捉されたデータは、足場ポールの移送機構によって捕捉されたデータに関連付けられており、例えば、検出された汚染物質を足場ポールの長さに沿った位置に関連付ける。好ましくは、装置は、内部検出器と外部検出器によって捕捉されたデータを、足場ポールの移送機構によって捕捉されたデータに、例えば制御装置によって関連付けるように構成されている。次いで、互いに関連付けられたデータは、データ記録機および/またはデータ送信機に書き込まれてもよい。
【0034】
装置がケーブル処理機構を備えている場合、好ましくは、ケーブル処理機構は、移送機構、例えばコネクターに取り付けられている。これは、移送機構が、装置を介して足場ポールを移送するため、移送機構を越えて有線接続を内部検出器に供給するのに役立つ。
【0035】
一実施形態では、装置は、足場ポールを切り開くように構成された切断機構を備えている。好ましくは、切断機構は、足場ポールの汚染された部分を取り除くように構成されている。これにより、装置は、内部検出器と外部検出器によって汚染されていることが検出された足場ポールの一部を取り除くことができるようになる。切断機構は、足場ポールの直径を切断するための任意の適切で所望のカッター、例えば丸鋸またはアングルグラインダーを備えていてもよい。
【0036】
好ましくは、切断機構は、足場ポール上で汚染が検出された距離の測定を使用して、足場ポールを切断する場所を決定するように構成されている。したがって、好ましくは、切断機構は、例えば制御装置を介して移送機構に(例えば、電気的に)接続されているため、移送機構からの距離(例えば捕捉されたデータ)の測定を受信する。好ましくは、切断機構は、例えば制御装置を介して内部検出器と外部検出器に(例えば、電気的に)接続されているため、内部検出器と外部検出器からの汚染物質(例えば捕捉されたデータ)の検出を受信する。
【0037】
一実施形態では、装置は、足場ポールをマーキングするように構成されたマーキング機構を備えている。好ましくは、マーキング機構は、足場ポールの(例えば、固有の)IDで足場ポールをマーキングするように構成されている。これにより、装置によって調査された足場ポールを資産マーキングできるようになり、調査後に追跡できるようになる。
【0038】
一実施形態では、マーキング機構は、足場ポールの汚染された部分をマーキングするように構成されている。これにより、装置は、例えば、汚染された(例えば、一部の)足場ポールを容易に識別できるように、内部検出器と外部検出器によって汚染されていることが検出された足場ポールの一部をマーキングできるようになる。マーキング機構は、足場ポール(の、例えば外面)をマーキングするための任意の適切で所望のマーカー、例えばレーザーエッチャーまたはステッカーアプリケーターを備えていてもよい。
【0039】
好ましくは、マーキング機構は、足場ポール上で汚染が検出された距離の測定を使用して、足場ポールをマーキングする場所を決定するように構成されている。したがって、好ましくは、マーキング機構は、例えば制御装置を介して、移送機構に(例えば、電気的に)接続されているため、移送機構からの距離(例えば捕捉されたデータ)の測定を受信する。好ましくは、マーキング機構は、例えば、制御装置を介して、(例えば、電気的に)内部検出器と外部検出器に接続されているため、内部検出器と外部検出器からの汚染物質の検出(例えば捕捉されたデータ)を受信する。
【0040】
一実施形態では、足場ポールの内部検出器と外部検出器によって捕捉されたデータは、(例えば、マーキング機構によって足場ポールにマーキングされているように)足場ポールのIDに関連付けられている。これにより、スキャンされた足場ポールが汚染されているかどうかを識別できるようになる。
【0041】
好ましくは、装置は、内部検出器と外部検出器によって捕捉されたデータを、例えば制御装置によって、足場ポールに対する足場ポールのIDに関連付けるように構成されている。次いで、互いに関連付けられたデータは、データ記録機および/またはデータ送信機に書き込まれてもよい。
【0042】
一実施形態では、装置は、足場ボード上の汚染物質を検出するように構成されている。したがって、好ましくは、装置は、足場ボード上の汚染物質を検出するための検出器と、装置を介して足場ボードを長手方向に検出器を越えて移送するための機構とを備えている。
【0043】
足場ポールに関して本明細書に記載される好ましい、および任意の特徴の1つまたは多数またはすべてが、好ましい実施形態では、足場ボードに等しく適用され得ることが理解されよう。
【0044】
装置は、足場ポールと足場ボードの両方を同じセットの検出器を越えて移送するように構成されていてもよいが、例えば、足場ポール上の汚染物質を検出するための外部検出器は、移送機構と同様に、足場ボード上の汚染物質を検出するための検出器を兼ねていてもよい。しかし、足場ポールと足場ボードの断面寸法が異なるため、これがいつも便利であるとは限らない。したがって、1セットの実施形態では、装置は、内部検出器と外部検出器に加えて、足場ボード用の検出器と移送機構、および足場ポール用の移送機構を備えている。
【0045】
1セットの実施形態では、装置はポータブル装置である。これにより、装置を種々の現場に移送して、現場の足場ポール(および足場ボード)を調査できるようになる。一実施形態では、装置はトレーラーに取り付けられる。
【0046】
好ましくは、装置は、動力源(例えば、電源)を備えているか、またはそれに取り付けられるように構成されている。動力源は、例えば、検出器、移送機構、切断機構、マーキング機構、データ捕捉システムなど、装置の1つまたは多数またはすべての構成要素によって使用されてもよい。
【0047】
次に、本発明の好ましい実施形態が、例としてのみ、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による、汚染される可能性のある足場を調査するための装置を示す図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態による、足場ポールが調査される方法を示す
図1に示される装置の内部の断面図を示す図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態による、足場ボードが調査される方法を示す
図1に示される装置の内部の断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
原子力施設の現場で足場を使用する場合、他の場所で使用するために現場を離れることができる前に、放射性物質の存在について足場を調査することが重要である。これにより、足場が放射性物質で汚染されていないか、または足場に放射性物質が存在するかを確認できるようになる。前者のカテゴリーに分類される足場の場合、これは現場外で使用するために解放できる。後者の場合、この足場は、次いで、適切に除染または廃棄される必要がある。
【0050】
次に、このような調査を実行するための装置の好ましい実施形態が説明される。
【0051】
図1は、本発明の好ましい実施形態による、汚染される可能性のある足場を調査するための装置を示している。
図1は、トレーラーの形態の、すなわち、車両に取り付けることができるように車輪2および牽引棒3を有するポータブル装置1を示している。これにより、装置1を、汚染される可能性のある足場を保持する場所間で移送して、足場を調査できるようになる。
【0052】
装置1は、足場ポールと足場ボードの両方を調査できる。
図1に示されるように、足場ポール4は、足場ポール4が装置1を介して移送され、調査され得るように、装置1の後部の円形開口5に水平および長手方向に供給されている。
図1はまた、足場ボード6が装置1を介して移送され、調査され得るように、装置1の側面の方形開口7に水平および長手方向に供給される足場ボード6を示している。
【0053】
図2は、本発明の好ましい実施形態による、足場ポールが調査される方法を示す、
図1に示される装置の内部の断面図を示している。
図2は、装置1の後部の開口5から供給される足場ポール4を示している。ローラー8のセットは、装置1を介して足場ポール4をガイドする。
【0054】
足場ポール4は、足場ポール4の内径に取り付けられたコネクター9によって装置1を介して移送(引っ張られる)される。コネクター9は、ステッピングモーター10に接続され、ステッピングモーター10によって駆動される。ローラー8のセットと共に、ステッピングモーター10とコネクター9は、装置1を介して足場ポール4を長手方向に真っすぐに引っ張る。
【0055】
足場ポール4は、足場ポール4の外径を取り囲み、そこから離間している外部セグメント化放射線検出器11を越えて引っ張られる。足場ポール4の周りに円周方向に延びることによって、外部放射線検出器11は、足場ポール4が、外部放射線検出器11を越えて移送されるときに、放射性物質の存在について足場ポール4の外面全体を調査するように構成されている。
【0056】
足場ポール4はまた、足場ポール4の内径内に収まる内部円筒形放射線検出器12を越えて引っ張られる。内部放射線検出器12は、一対のカラー13によって足場ポール4の内径から離間している。内部検出器12は、足場ポール4が、内部放射線検出器12を越えて移送されるときに、放射性物質の存在について足場ポール4の内面を調査するように構成されている。
【0057】
外部検出器と内部検出器11、12は各々、各有線接続15を介して制御装置14に接続されている。内部検出器12からの有線接続15は、有線接続15が足場ポール4と接触するのを妨げるように、フリーホイール23の周りに延びている。
【0058】
足場ポール4はまた、足場ポール4の外部を資産IDでマーキングするように構成されている資産マーカー24を越えて引っ張られる。資産マーカー24は、調査された各足場ポール4にマーキングされた資産IDを制御装置14に送信できるように、有線接続25を介して制御装置14に接続されている。
【0059】
ステッピングモーター10はまた、有線接続16を介して制御装置14に接続されている。制御装置14は、外部検出器と内部検出器11、12によって捕捉された(すなわち、調査されている足場ポール4上でそれらが検出するあらゆる放射性物質を表す)データを受信する。
【0060】
制御装置14はまた、足場ポール4が装置1を介して移送された距離を表すステッピングモーター10からのデータを受信する。これにより、制御装置14が外部検出器と内部検出器11、12から受信したデータを、制御装置14がステッピングモーター10から受信したデータ、および資産マーカー24からの資産IDに関連付けることができるようになる。
【0061】
制御装置14は、捕捉されたデータが、さらなる使用および分析のために、装置1から記録または送信できるように、データ記録機またはデータ送信機17に接続されている。
【0062】
図3は、本発明の好ましい実施形態による、足場ボードが調査される方法を示す、
図1に示される装置の内部の断面図を示している。
図3は、装置1の側面の開口7を介して供給される足場ボード6を示している。
【0063】
足場ボード6は、モーター19によって駆動されるベルトコンベアー18によって、装置1を介して長手方向に真っすぐに移送される。足場ボード6は、足場ボード6の外面を取り囲み、そこから離間している放射線検出器20を越えて引っ張られる。したがって、放射線検出器20は、足場ボード6が、放射線検出器20を越えて移送されるときに、足場ボード6の外面全体を放射性物質の存在について調査するように構成されている。
【0064】
放射線検出器20は、有線接続21を介して制御装置14に接続されている。モーター19はまた、有線接続22を介して制御装置14に接続されている。制御装置14は、放射線検出器20によって捕捉された(すなわち、調査されている足場ボード6上でそれが検出するあらゆる放射性物質を表す)データを受信する。
【0065】
足場ボード6はまた、足場ボード6の外部を資産IDでマーキングするように構成されている資産マーカー26を越えて引っ張られる。資産マーカー26は、調査された各足場ボード6にマーキングされた資産IDを制御装置14に送信できるように、有線接続27を介して制御装置14に接続されている。
【0066】
制御装置14はまた、足場ボード6が、装置1を介して移送された距離を表すベルトコンベアーモーター19からデータを受信する。これにより、制御装置14が放射線検出器20から受信したデータを、制御装置14がベルトコンベアーモーター19から受信したデータ、および資産マーカー26からの資産IDに関連付けることができるようになる。
【0067】
次に、
図1から
図3を参照して装置1の動作が説明される。
【0068】
ポータブル装置1は、最初に、放射性物質で汚染されている可能性がある調査対象の足場ポールと足場ボードがある原子力施設に車両によって牽引される。
図1に示されるように、足場ポール4を取り、それを装置の後部開口5に長手方向に挿入することによって足場ポールを調査する。
図2に示されるように、コネクター9(足場ポール4を受け入れるために開口5に隣接するように構成されている)は、それ自体を足場ポール4の端部に取り付ける。
【0069】
足場ポール4に取り付けられたコネクター9により、ステッピングモーター10は、通電されて、装置を介して足場ポール4を移送する。ステッピングモーター10の動作中に、コネクター9(ひいては足場ポール4)が装置を介して移動した距離を表すデータが、有線接続16に沿って制御装置14に送信される。
【0070】
ステッピングモーター10によって駆動されるコネクター9は、外部放射線検出器11を介して足場ポール4を内部放射線検出器12の周りに引っ張る。内部検出器12は、足場ポール4の内部穴に収まり、内部検出器12の周りのカラー13によって足場ポール4の内面から離間している。コネクター9はまた、記録のために制御装置14に送信される固有の資産IDで足場ポール4をマーキングする資産マーカー24を越えて足場ポール4を引っ張る。
【0071】
足場ポール4が、外部放射線検出器11と内部放射線検出器12を越えて移送されるときに、外部検出器と内部検出器11、12の各々は、足場ポール4の外面と内面に各々存在するあらゆる放射性物質の放射線カウント率を測定する。外部検出器と内部検出器11、12によって捕捉されたこのデータは、有線接続16に沿って制御装置14に送信される。
【0072】
制御装置14は、ステッピングモーター10および外部検出器と内部検出器11、12から捕捉されたデータを受信すると、放射線カウント率を表すデータを、足場ポール4が移送された距離を表すデータに関連付けるため、足場ポール4上で検出されたあらゆる放射性物質の位置を決定する。次いで、データは、その足場ポール4の資産IDとともにデータ記録機または送信機17に書き出される。
【0073】
足場ボードは、足場ポールと非常によく似た方法で調査される。
図1に示されるように、各足場ボード6が取り出され、装置1の側面開口7に長手方向に挿入される。足場ボード6は、(
図3に示されるように)装置1を介して足場ボード6を移送するために、ベルトコンベアー18上に置かれる。
【0074】
ベルトコンベアー18上にある足場ボード6により、ベルトコンベアーモーター19は、通電されて、装置を介して足場ボード6を移送する。ベルトコンベアーモーター19の動作中に、ベルトコンベアー18(ひいては足場ボード6)が装置1を介して移動した距離を表すデータが、有線接続22に沿って制御装置14に送信される。
【0075】
ベルトコンベアーモーター19によって駆動されるベルトコンベアー18は、放射線検出器20を介して足場ボード6を引っ張る。ベルトコンベアー18はまた、記録のために制御装置14に送信される固有の資産IDで足場ボード6をマーキングする資産マーカー26を越えて足場ボード6を引っ張る。
【0076】
足場ボード6が、放射線検出器20を越えて移送されるときに、放射線検出器20は、足場ボード6上に存在するあらゆる放射性物質の放射線カウント率を測定する。放射線検出器20によって捕捉されたこのデータは、有線接続21に沿って制御装置14に送信される。
【0077】
制御装置14は、ベルトコンベアーモーター19と放射線検出器20から捕捉されたデータを受信すると、放射線カウント率を表すデータを、足場ボード6が移送された距離を表すデータに関連付けるため、足場ボード6上で検出された放射性物質の場所を決定する。次いで、データは、その足場ボード6の資産IDとともにデータ記録機または送信機17に書き出される。
【0078】
足場ポールと足場ボードが調査されると、収集されたデータにより、足場ポールと足場ボードのどちらが放射性物質で汚染されているかを判断できる。これらの足場ポールと足場ボードは、除染(または廃棄)のために送られ、残りの足場ポールと足場ボード(放射性物質がない(または安全レベル)と判断されたもの)は、他の場所で使用するために原子力施設の現場から解放されるためにクリアされる。
【0079】
上記から、少なくとも好ましい実施形態では、本発明の装置および方法は、足場の汚染を効果的かつ便利にチェックすることができるようになるのに役立つことが分かる。これは、汚染が存在し得る現場で使用された足場を、その後の現場外での使用のために解放できるようになる、例えば、廃棄または必要に応じて除染できるようになるのに役立つ。これにより、足場ポールが汚染される可能性がある原子力施設の足場のコストを大幅に削減できる。
【0080】
本発明の実施形態は、
図1から
図3に示されるものに対するいくつかの代替および追加の特徴を含み得ることが理解されよう。例えば、装置は、任意の適切で所望のタイプの汚染物質を、例えば、適切な検出器を使用して検出するように構成され得る。装置は、例えば、汚染されていると判断された足場ポールおよび/または足場ボードから部品を切断するように構成されたカッターを含み得る。