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特許7344254ゴム配合用ポリブテン誘導体及びこれを含むゴム組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】ゴム配合用ポリブテン誘導体及びこれを含むゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/30 20060101AFI20230906BHJP
   C08L 23/36 20060101ALI20230906BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20230906BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230906BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C08F8/30
C08L23/36
C08L21/00
C08K3/04
C08K3/36
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021118935
(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公開番号】P2022021329
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0090281
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521319568
【氏名又は名称】ディーエル ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】パク ミンソプ
(72)【発明者】
【氏名】キム ミョンソク
(72)【発明者】
【氏名】イ セヒョン
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-182572(JP,A)
【文献】特開2001-131289(JP,A)
【文献】特表2011-517723(JP,A)
【文献】特開平09-165590(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0223945(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソブチレン30~98重量%;
不飽和ジカルボン酸無水物1~35重量%;並びに
アルカノールアミン、アミン系化合物及び多価アルコールの中から選択される1種又は2種以上1~50重量%が混合されて製造され、
前記ポリイソブチレンの末端ビニリデン(α-vinylidene)の含有量が13C-NMRを基準に80モル%以上100モル%未満であり、
前記アルカノールアミンはアミノ基及びヒドロキシ基を含み、前記アミン系化合物はアミノ基を2つ以上含み、前記多価アルコールはヒドロキシ基を2つ以上含み、
前記アルカノールアミンは、化学式1で表される化合物であり、前記アミン系化合物は、化学式2で表される化合物であり、前記多価アルコールは、化学式3で表される化合物であることを特徴とする、ゴム配合用ポリブテン誘導体。

【化3】
(化学式1~3中、
及びR は互いに独立して(C1-C9)のアルキレン基又は(C1-C9)のアルキルカルボニレン基であり、
は水素(-H)、(C1-C9)のアルキル基又は(C1-C9)のアルキルカルボニル基であり、
は直接結合、(C1-C9)のアルキレン基又は(C1-C9)のアルキルカルボニル基であり、
lは1~3の実数であり、m及びnは互いに独立して0~6の実数である。)
【請求項2】
前記ポリイソブチレンは、数平均分子量が300~10,000g/molであることを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項3】
前記ポリイソブチレンの分子量分布は1~6であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項4】
前記不飽和ジカルボン酸無水物は、マレイン酸無水物(maleic anhydride)、イタコン酸無水物(itaconic anhydride)、シトラコン酸無水物(citraconic anhydride)、プロぺニルコハク酸無水物(propenylsuccinic anhydride)及び2-ペンテン二酸無水物(2-pentendioic anhydride)の中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項5】
前記アルカノールアミンは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメタノール、n-プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、ジブタノールアミン及びトリブタノールアミンの中から選択される1種以上であるか、或いは、
前記アミン系化合物は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、プトレシン(Putrescine)、スペルミジン(Spermidine)、N -アセチルスペルミジン(N -acetylspermidine)、N -アセチルスペルミジン(N -acetylspermidine)、N ,N 12 -ジアセチルスペルミジン(N ,N 12 -diacetylspermidine)、カダベリン(Cadaverine)、スペルミン(Spermine)、テルモスペルミン(Thermospermine)、カルドペンタミン(Caldopentamine)、カルドヘキサミン(Caldohexamine)、トリス(3-アミノプロピル)アミン(Tris(3-aminopropyl)amine)、トリス(2-アミノエチル)アミン(Tris(2-aminoethyl)amine)、テトラキス(3-アミノプロピル)アンモニウム(Tetrakis(3-aminopropyl)ammonium)、サイクレン(Cyclen)、1,4,7-トリアザシクロノナン(1,4,7-Triazacyclononane)、1,1,1-トリス(アミノメチル)エタン(1,1,1-Tris(aminomethyl)ethane)、及びポリエチレンイミンのサブユニット(Subunit of polyethylenimine)の中から選択される1種以上であるか、或いは、
前記多価アルコールは、エチレンジオール、1,2-プロピレンジオール、グリセロール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2-ペンタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3-ヘキサントリオール、1,2,5-ヘキサントリオール、1,2,4-ヘキサントリオール、1,3,6-ヘキサントリオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2,3-ヘプタントリオール、1,2,7-ヘプタントリオール、1,4,5-ヘプタントリオール、1,4,7-ヘプタントリオール、1,2-オクタンジオール、1,1,3-オクタントリオール、1,3,8-オクタントリオール、2,3,7-オクタントリオール、1,3,5-オクタントリオール、1,2-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、炭素数4~6のシュガーアルコール(Sugar alcohol)、及びスパンの中から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項6】
前記ゴム配合用ポリブテン誘導体が、少なくとも前記アルカノールアミンが混合されて製造されたことを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項7】
前記ゴム配合用ポリブテン誘導体が、少なくとも前記アミン系化合物が混合されて製造されたことを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項8】
前記ゴム配合用ポリブテン誘導体が、少なくとも前記多価アルコールが混合されて製造されたことを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項9】
前記ゴム配合用ポリブテン誘導体は、ガラス転移温度が-40℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項10】
前記ゴム配合用ポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度が1~10,000cPであることを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項11】
前記ゴム配合用ポリブテン誘導体は、数平均分子量が500~15,000g/molであることを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項12】
前記ゴム配合用ポリブテン誘導体の分子量分布は1~6であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のゴム配合用ポリブテン誘導体、
ゴムベース、及び
充填剤を含む、ゴム組成物。
【請求項14】
前記充填剤は、シリカ及びカーボンブラックの中から選択される一つ以上を含む、請求項13に記載のゴム組成物。
【請求項15】
前記ゴムベースは、ブタジエンゴム、ブチルゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、臭素化ポリイソブチルイソプレン-co-パラメチルスチレン(brominated polyisobutyl isoprene-co-paramethyl styrene;BIMS)ゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スチレンエチレンブタジエンスチレン共重合体ゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、ハイパロンゴム、クロロプレンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、及びアクリルゴムの中から選択される1種又は2種以上を含む、請求項13に記載のゴム組成物。
【請求項16】
前記ゴム組成物は、ゴムベース100重量部に対して、50~150重量部のシリカ、5~20重量部のカーボンブラック、2~40重量部のポリブテン誘導体及び2~15重量部のシランカップリング剤を含む、請求項13に記載のゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム配合用ポリブテン誘導体及びこれを含むゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリブテンは、一般に、ナフサの分解過程で派生する炭素数4(C4)のオレフィン成分をフリーデル・クラフツ型触媒(Friedel-Craft type catalyst)を用いて重合したものであって、約300~10,000の数平均分子量(M)を有する。
【0003】
C4原料中の1,3-ブタジエンを抽出して残ったものをC4残渣油-1(C4 raffinate-1)と呼び、これにはイソブタン(iso-butane)、n-ブタン(normal-butane)のパラフィン類と1-ブテン(1-butene)、2-ブテン(2-butene)、イソブテン(isobutene)などのオレフィンが含まれており、その中のイソブテンの含有量は約30~50重量%である。前記C4残渣油-1は、オクタン価向上剤であるメチル-t-ブチルエーテル(methyl t-butyl ether:MTBE)又はポリブテンの製造に主に使用され、C4残渣油-1のオレフィン成分の中でもイソブテンの反応性が最も高いので、生成したポリブテンは、主にイソブテン単位からなる。ポリブテンは、分子量の増加に伴って粘度が高まるが、100℃で約4~40000cSt(centi-stokes)の粘度を有する。
【0004】
特許文献1には、高反応性ポリブテンを用いてタイヤトレッドのグリップ性能を改善させる方法が開示されている。また、特許文献2には、カルボキシル化液状イソプレンゴムを用いて耐摩耗性能、燃費性能及び制動性能を改善させる方法が開示されている。このようにゴム、特にタイヤトレッドの制動性能と燃費性能を高めるための努力が行われている。
【0005】
グリップ力の向上に関連して、特許文献3には、スチレンブタジエンゴムにセサミ樹脂、サンフラワー樹脂、ココナッツ樹脂などのペレット型植物系樹脂を添加したマスターバッチを使用することにより、高速条件の下で優れたグリップ性能と耐摩耗性能を示す組成物が開示されている。前述したように、グリップ力は、タイヤの表面が路面によく密着するようにする技術であって、できる限りタイヤの弾性に優れた方が有利である。しかし、回転抵抗と一緒に考慮する場合、回転抵抗は、路面に対する密着力が低いほど有利であって、タイヤの回転抵抗とグリップ力は互いに相反する特性を有する。つまり、回転抵抗が低いタイヤは、燃費効率性の面では有利であるが、道路が濡れているときに道路との密着性が弱いことがある。このため、最近、タイヤの開発は、回転抵抗又はグリップ力を高める一次元的な方式から脱皮し、この両方を同時に調節しようとする方式で進められている。
【0006】
例えば、特許文献4及び特許文献5には、シリカと一緒に高軟化点を有する、改質されたテルペンフェノール樹脂を適用することにより、フェノールが合成ゴムとの相溶性を高めて樹脂の流動性を減少させて、回転抵抗性能の低下なしに濡れた路面でのグリップ性能を向上させることができることが開示されている。また、特許文献6には、Tgが-50~-40℃であり、ムーニー粘度が60~80であり、エポキシ化度が5~50%であるエポキシ化天然ゴム20~50重量部を含むことにより、タイヤの濡れた路面制動力を改善することができ、かつ、耐摩耗性能の低下なしに低回転抵抗性能又は燃費性能と共に耐久性能をバランスよく向上させることができるゴム組成物が開示されている。このように様々な試みにも拘らず、タイヤの回転抵抗とグリップ力を同時に満足すべき数値を有する技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0072253号公報
【文献】韓国公開特許第10-2007-0096748号公報
【文献】韓国公開特許第10-2016-0002044号公報
【文献】韓国公開特許第10-2015-0024701号公報
【文献】米国特許第8,637,606号明細書
【文献】韓国登録特許第10-1591276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、加工性の改善と同時に、充填剤との混合時の分散性、グリップ性能及び転がり抵抗に優れたゴム組成物の製造が可能なゴム配合用ポリブテン誘導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるゴム配合用ポリブテン誘導体は、ポリイソブチレン30~98重量%;不飽和ジカルボン酸無水物1~35重量%;並びにアルカノールアミン、アミン系化合物及び多価アルコールの中から選択される1種又は2種以上1~50重量%が混合されて製造されることを特徴とすることができる。
【0010】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体において、前記ポリイソブチレンは、数平均分子量が300~10,000g/molであることができる。
【0011】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体において、前記ポリイソブチレンの分子量分布(PD)は、1~6であることができる。
【0012】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体において、前記不飽和ジカルボン酸無水物は、マレイン酸無水物(maleic anhydride)、イタコン酸無水物(itaconic anhydride)、シトラコン酸無水物(citraconic anhydride)、プロフェニルコハク酸無水物(propenyl succinic anhydride)及び2-ペンテン二酸無水物(2-pentendioic anhydride)の中から選択される1種又は2種以上であることができる。
【0013】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体において、前記アルカノールアミンはアミノ基及びヒドロキシ基を含み、前記アミン系化合物はアミノ基を2つ以上含み、前記多価アルコールなどはヒドロキシ基を2つ以上含むことを特徴とすることができる。
【0014】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体において、前記アルカノールアミンは、化学式1で表される化合物であり、前記アミン系化合物は、化学式2で表される化合物であり、前記多価アルコールは、化学式3で表される化合物であることができる。
【0015】
【化1】
化学式1~3中、
及びRは互いに独立して(C1-C9)のアルキレン基又は(C1-C9)のアルキルカルボニレン基であり、
は水素(-H)、(C1-C9)のアルキル基又は(C1-C9)のアルキルカルボニル基であり、
は直接結合、(C1-C9)のアルキレン基又は(C1-C9)のアルキルカルボニル基であり、
lは1~3の実数であり、m及びnは互いに独立して0~6の実数である。
【0016】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体において、前記アルカノールアミンは、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメタノール、n-プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、ジブタノールアミン、トリブタノールアミン及び4-アミノ-1,2,3-ブタントリオールの中から選択される1種以上であることができ、
前記アミン系化合物は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、プトレシン(Putrescine)、スペルミジン(Spermidine)、N-アセチルスペルミジン(N-acetylspermidine)、N-アセチルスペルミジン(N-acetylspermidine)、N,N12-ジアセチルスペルミジン(N,N12-diacetylspermidine)、カダベリン(Cadaverine)、スペルミン(Spermine)、テルモスペルミン(Thermospermine)、カルドペンタミン(Caldopentamine)、カルドヘキサミン(Caldohexamine)、トリス(3-アミノプロピル)アミン(Tris(3-aminopropyl)amine)、トリス(2-アミノエチル)アミン(Tris(2-aminoethyl)amine)、テトラキス(3-アミノプロピル)アンモニウム(Tetrakis(3-aminopropyl)ammonium)、サイクレン(Cyclen)、1,4,7-トリアザシクロノナン(1,4,7-Triazacyclononane)、1,1,1-トリス(アミノメチル)エタン(1,1,1-Tris(aminomethyl)ethane)、及びポリエチレンイミンのサブユニット(Subunit of polyethylenimine)の中から選択される1種以上であることができ、
前記多価アルコール化合物は、エチレンジオール、1,2-プロピレンジオール、グリセロール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2-ペンタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3-ヘキサントリオール、1,2,5-ヘキサントリオール、1,2,4-ヘキサントリオール、1,3,6-ヘキサントリオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2,3-ヘプタントリオール、1,2,7-ヘプタントリオール、1,4,5-ヘプタントリオール、1,4,7-ヘプタントリオール、1,2-オクタンジオール、1,1,3-オクタントリオール、1,3,8-オクタントリオール、2,3,7-オクタントリオール、1,3,5-オクタントリオール、1,2-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、炭素数4~6のシュガーアルコール(Sugar alcohol)、及びスパンの中から選択される1種以上であることができる。
【0017】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体において、前記アルカノールアミンを用いて製造されたゴム配合用ポリブテン誘導体は、イミド基、アミド基及びエステル基の中から選択される一つ又は二つ以上を含むことができる。
【0018】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体において、前記アミン系化合物を用いて製造されたゴム配合用ポリブテン誘導体は、イミド基及びアミド基の中から選択される一つ以上を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体において、前記多価アルコールを用いて製造されたゴム配合用ポリブテン誘導体は、エステル基を含むことができる。
【0020】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体は、ガラス転移温度が-40℃以下であることを特徴とすることができる。
【0021】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体において、前記ゴム配合用ポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度が1~10,000cPであることを特徴とすることができる。
【0022】
本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体は、数平均分子量が500~15,000g/molであり、分子量分布(PD)は1~6であることを特徴とすることができる。
【0023】
また、本発明は、ゴム組成物を提供する。本発明によるゴム組成物は、本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体、ゴムベース、及び充填剤を含む。
【0024】
本発明の一実施例によるゴム組成物において、前記充填剤は、シリカ及びカーボンブラックの中から選択される一つ以上を含むことができる。
【0025】
本発明の一実施例によるゴム組成物において、前記ゴムベースは、ブタジエンゴム、ブチルゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、臭素化ポリイソブチルイソプレン-co-パラメチルスチレン(brominated polyisobutyl isoprene-co-paramethyl styrene;BIMS)ゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スチレンエチレンブタジエンスチレン共重合体ゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、ハイパロンゴム、クロロプレンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、及びアクリルゴムの中から選択される1種又は2種以上を含むことができる。
【0026】
本発明の一実施例によるゴム組成物は、ゴムベース100重量部に対して、50~150重量部のシリカ、5~20重量部のカーボンブラック、2~40重量部のゴム配合用ポリブテン誘導体及び2~15重量部のシランカップリング剤を含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるゴム配合用ポリブテン誘導体は、ポリイソブチレン30~98重量%;不飽和ジカルボン酸無水物1~35重量%;並びにアルカノールアミン、アミン系化合物及び多価アルコールの中から選択される1種又は2種以上1~50重量%が混合されて製造されることを特徴とし、これをゴム組成物に適用するとき、加工性及び充填剤の分散性を著しく向上させ、高いグリップ性能及び低い転がり抵抗を示す特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施例に対する利点、特徴、及びそれらの達成方法は、添付図面と一緒に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に実現できる。但し、本実施例は、本発明の開示を完全たるものとし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。本発明は請求項の範疇のみによって定義される。明細書全体にわたって、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。
【0029】
本発明の実施例を説明するにあたり、公知の機能又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を無駄に不明確にする可能性があると判断された場合は、その詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は、本発明の実施例における機能を考慮して定義された用語であって、これは、使用者や運用者の意図又は慣例などによって変わり得る。よって、その定義は本明細書全般にわたっての内容に基づいて下されるべきである。
【0030】
本発明による本発明によるゴム配合用ポリブテン誘導体は、ポリイソブチレン30~98重量%;不飽和ジカルボン酸無水物1~35重量%;並びにアルカノールアミン、アミン系化合物及び多価アルコールの中から選択される1種又は2種以上1~50重量%が混合されて製造されるものであり得る。上述した範囲を満足してアルカノールアミン、アミン系化合物及び多価アルコールの中から選択される1種以上が添加される場合、追ってゴムベース及び充填剤との混合時に加工性及び充填剤の分散性を向上させることができる。
【0031】
本発明の一実施例による前記ポリブテン誘導体は、ガラス転移温度が-40℃以下、好ましくは-60~-100℃、さらに好ましくは-65~-90℃であることができる。また、前記ポリブテン誘導体は、150℃でブルックフィールド粘度計によって測定した粘度が1~10,000cP、好ましくは100~5,000cPであることができる。上述したガラス転移温度及び粘度の範囲を満足することにより、追ってゴムベース及び充填剤との混合時にペイン効果(Payne effect)によるΔG’(G’20%-G’0.02%)の値が3.0以下、好ましくは2.7以下、最も好ましくは2.3以下と低いことを確認することができ、これに基づいて、充填剤が均等に分散されることを確認することができる。このとき、前記ΔG’(G’20%-G’0.02%)は、延伸率が0.02%と20%であるときに測定した貯蔵モジュラス(storage modulus)の差を意味し、ΔG’の下限は1.0であることができる。
【0032】
本発明の一実施例による前記ポリブテン誘導体は、数平均分子量が500~15,000g/mol、分子量分布は1~6であり得る。分子量分布が6よりも大きい場合には、追ってゴム組成物への適用の際に物性のバラツキが大きいという問題点があり、数平均分子量が500g/mol未満になると、低分子量ポリマー(Light Polymer、LP)が多量に発生して生産性が低下し、15,000g/mol超過になると、粘度の上昇により工程に負荷がかかって生産が容易でないという欠点がある。このような範囲で、追ってゴムベース及び充填剤との混合により製造されるゴムの0℃基準の動的損失係数が0.600以上であるとともに、60℃基準の動的損失係数が0.1148以下であることを特徴とすることができる。このとき、0℃基準の動的損失係数は、グリップ性能(ウェットグリップ(Wet grip))を示す指標であることができ、0℃基準の動的損失係数が高いほどグリップ性能に優れることを意味し、60℃基準の動的損失係数は、転がり抵抗(Rolling Resistance)を示す指標であって、数値が低いほど優れた転がり抵抗を示すことを意味する。すなわち、本発明の一実施例によるポリブテン誘導体をゴムに適用する場合、従来では達成できなかったグリップ性能及び転がり抵抗の同時向上を示すことができるという利点がある。
【0033】
より好ましくは、後述するように、反応に使用される活性水素基含有化合物の種類に応じてポリブテン誘導体の適正な数平均分子量の範囲、分子量分布の範囲、粘度の範囲及びガラス転移温度の範囲などが変わることができる。
【0034】
具体的な一例として、活性水素基含有化合物がアルカノールアミンである場合、ポリブテン誘導体は、数平均分子量が500~10,000g/mol、分子量分布は1~6のものであることができ、最も好ましくは、数平均分子量が1,000~5,000g/mol、分子量分布は1~3のものであることができる。また、前記ポリブテン誘導体は、ガラス転移温度が-50~-100℃、好ましくは-60~-90℃であることができ、150℃でブルックフィールド粘度計によって測定した粘度が50~10,000cP、好ましくは100~5,000cPであることができる。このような物性を全て満足することにより、追ってゴムベース及び充填剤と混合して製造されたゴムのΔG’(G’20%-G’0.02%)の値が2.2以下とより低くなることができ、0℃基準の動的損失係数が0.6010以上を満足するとともに、60℃基準の動的損失係数が0.1120以下を満足することができるので好ましい。
【0035】
他の一例として、活性水素基含有化合物がアミン系化合物である場合、ポリブテン誘導体は、数平均分子量が500~10,000g/mol、分子量分布は1~5のものであることができ、最も好ましくは、数平均分子量が1,000~5,000g/mol、分子量分布は1~3のものであることができる。また、前記ポリブテン誘導体は、ガラス転移温度が-50~-100℃、好ましくは-60~-90℃であることができ、150℃でブルックフィールド粘度計によって測定した粘度が50~10,000cP、好ましくは150~5,000cPであることができる。このような物性を全て満足することにより、追ってゴムベース及び充填剤と混合して製造されたゴムのΔG’(G’20%-G’0.02%)の値が2.4以下とより低くなることができ、0℃基準の動的損失係数が0.6500以上を満足するとともに、60℃基準の動的損失係数が0.1130以下を満足することができるので好ましい。
【0036】
別の一例として、活性水素基含有化合物が多価アルコールである場合、ポリブテン誘導体は、数平均分子量が1,000~15,000g/mol、分子量分布は1~5のものであることができ、最も好ましくは、数平均分子量が10,000~15,000g/mol、分子量分布は3~5のものであることができる。また、前記ポリブテン誘導体は、ガラス転移温度が-40~-100℃、好ましくは-50~-90℃であることができ、150℃でブルックフィールド粘度計によって測定した粘度が100~10,000cP、好ましくは3,000~5,000cPであることができる。このような物性を全て満足することにより、追ってゴムベース及び充填剤と混合して製造されたゴムのΔG’(G’20%-G’0.02%)の値が2.7以下とより低くなることができ、0℃基準の動的損失係数が0.6020以上、より好ましくは0.6100以上を満足するとともに、60℃基準の動的損失係数が0.1150以下、より好ましくは0.1120以下を満足することができるので好ましい。
【0037】
一方、本発明の一実施例によるポリブテン誘導体において、前記ポリイソブチレンは、数平均分子量が300~10,000g/mol、好ましくは400~6,000g/mol、最も好ましくは500~3,000g/molであることができ、分子量分布は1~6、好ましくは1~4、更に好ましくは1~3、最も好ましくは1~2であることができ、粘度は、150℃でブルックフィールド粘度計によって測定した粘度が1~10,000cP、好ましくは50~5,000cP、最も好ましくは100~1,000cPであることができ、末端ビニリデン(α-vinylidene)の含有量が13C-NMRを基準に80モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上であることができ、その上限は特に限定しないが、100モル%未満、具体的には95モル%以下であることができる。ポリイソブチレンのビニリデン含有量が高いほど、ポリブテン誘導体の製造時に反応物内の反応転換率、有効成分を高めることができるという利点がある。また、前記ポリイソブチレンの数平均分子量が300g/mol未満である場合、製造されるポリブテン誘導体から低分子量のポリマーが多量に発生することができ、前記ポリイソブチレンの数平均分子量が10,000g/mol超過である場合、製造されるポリブテン誘導体の粘度があまり高くなるという問題点がある。また、前記分子量分布が1~6を満足することにより、均一な分子量を有するポリブテン誘導体の製造が可能であり、これにより物性のバラツキを減らすことができるという利点がある。
【0038】
本発明の一実施例によるポリブテン誘導体において、前記アルカノールアミンは、化学式1で表される化合物であることができ、前記アミン系化合物は、化学式2で表される化合物であることができ、前記多価アルコールは、化学式3で表される化合物であることができる。
【0039】
【化2】
化学式1~3中、
及びRは互いに独立して(C1-C9)のアルキレン基又は(C1-C9)のアルキルカルボニレン基であり、
は水素(-H)、(C1-C9)のアルキル基又は(C1-C9)のアルキルカルボニル基であり、
は直接結合、(C1-C9)のアルキレン基又は(C1-C9)のアルキルカルボニル基であり、
lは1~3の実数であり、m及びnは互いに独立して0~6の実数であることができ、
さらに好ましくは、R及びRは互いに独立して(C1-C9)のアルキレン基であり、
は水素(-H)、(C1-C5)のアルキル基又は(C1-C5)のアルキルカルボニル基であり、
は直接結合、(C1-C5)のアルキレン基又は(C1-C5)のアルキルカルボニル基であり、
1は1乃至3の実数であり、m及びnは互いに独立して0乃至4の実数であることができる。
【0040】
この際、化学式3中、nが0である場合は、R及びRの直接連結を意味する。
【0041】
上述した範囲を満足するアミノアルキルアミン、アミン系化合物及び多価アルコールを選択してポリブテン誘導体を製造し、充填剤の分散性をさらに向上させることができるという利点がある。
【0042】
具体的な一例として、前記アルカノールアミン化合物は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメタノール、n-プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、ジブタノールアミン、トリブタノールアミン及び4-アミノ-1,2,3-ブタントリオールの中から選択される1種以上であることができ、
前記アミン系化合物は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、プトレシン(Putrescine)、スペルミジン(Spermidine)、N-アセチルスペルミジン(N-acetylspermidine)、N-アセチルスペルミジン(N-acetylspermidine)、N,N12-ジアセチルスペルミジン(N,N12-diacetylspermidine)、カダベリン(Cadaverine)、スペルミン(Spermine)、テルモスペルミン(Thermospermine)、カルドペンタミン(Caldopentamine)、カルドヘキサミン(Caldohexamine)、トリス(3-アミノプロピル)アミン(Tris(3-aminopropyl)amine)、トリス(2-アミノエチル)アミン(Tris(2-aminoethyl)amine)、テトラキス(3-アミノプロピル)アンモニウム(Tetrakis(3-aminopropyl)ammonium)、サイクレン(Cyclen)、1,4,7-トリアザシクロノナン(1,4,7-Triazacyclononane)、1,1,1-トリス(アミノメチル)エタン(1,1,1-Tris(aminomethyl)ethane)、及びポリエチレンイミンのサブユニット(Subunit of polyethylenimine)の中から選択される1種以上であることができ、
前記多価アルコール化合物は、エチレンジオール、1,2-プロピレンジオール、グリセロール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2-ペンタンジオール、1,3,5-ペンタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3-ヘキサントリオール、1,2,5-ヘキサントリオール、1,2,4-ヘキサントリオール、1,3,6-ヘキサントリオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2,3-ヘプタントリオール、1,2,7-ヘプタントリオール、1,4,5-ヘプタントリオール、1,4,7-ヘプタントリオール、1,2-オクタンジオール、1,1,3-オクタントリオール、1,3,8-オクタントリオール、2,3,7-オクタントリオール、1,3,5-オクタントリオール、1,2-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、炭素数4~6のシュガーアルコール(Sugar alcohol)、及びスパンの中から選択される1種以上であることができる。
【0043】
本発明の一実施例によるポリブテン誘導体における前記不飽和ジカルボン酸無水物は、マレイン酸無水物(maleic anhydride)、イタコン酸無水物(itaconic anhydride)、シトラコン酸無水物(citraconic anhydride)、プロフェニルコハク酸無水物(propenyl succinic anhydride)及び2-ペンテン二酸無水物(2-pentendioic anhydride)の中から選択される1種又は2種以上であることができる。
【0044】
さらに、前記ポリイソブチレン;不飽和ジカルボン酸無水物;並びにアルカノールアミン、アミン系化合物及び多価アルコールの中から選択された少なくとも1種;から製造されたポリブテン誘導体は、窒素及び/又は酸素を含むことができ、好ましくは、共有結合で結合された窒素原子と酸素原子を含むことができる。また、前記ポリブテン誘導体は、アミド(Amide)基、イミド(Imide)基或いはエステル(Ester)基を含むことができ、具体的には、前記アルカノールアミンを用いて製造されたゴム配合用ポリブテン誘導体は、アミド基、イミド基及びエステル基の中から選択される一つ又は二つ以上を含むことができ、アミン系化合物を用いて製造されたゴム配合用ポリブテン誘導体は、アミド基及びイミド基の中から選択される一つ以上を含むことができ、多価アルコールを用いて製造されたゴム配合用ポリブテン誘導体は、エステル基を含むことができる。
【0045】
また、本発明は、ゴム組成物を提供する。
【0046】
本発明によるゴム組成物は、本発明の一実施例によるゴム配合用ポリブテン誘導体;ゴムベース;及び充填剤を含む。
【0047】
上述したように、本発明の一実施例によるゴム組成物は、前記ポリブテン誘導体を混合することにより、加工性を増大させることができ、前記充填剤が均一に分散できるため、優れたグリップ性能及び転がり抵抗を示すという利点がある。
【0048】
本発明の一実施例によるゴム組成物において、前記ゴムベースは、ブタジエンゴム、ブチルゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)、エピクロロヒドリンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、臭素化ポリイソブチルイソプレン-co-パラメチルスチレン(brominated polyisobutyl isoprene-co-paramethyl styrene;BIMS)ゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スチレンエチレンブタジエンスチレン共重合体ゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、ハイパロンゴム、クロロプレンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、及びアクリルゴムなどから選択される1種又は2種以上を含むことができ、さらに好ましくは、前記ゴムベースは、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム及びブチルゴムの中から選択される1種又は2種以上を含むことができる。
【0049】
さらに好ましくは、前記ゴムベースは、スチレンブタジエンゴムを含むことができ、この時、前記スチレンブタジエンゴムは、スチレンの含有量が9~19%、ビニル基の含有量が10~54%であるもの、スチレンの含有量が20~28%、ビニル基の含有量が40~72%であるもの、又はスチレンの含有量が30~42%、ビニル基の含有量が20~70%であるものを使用することができる。
【0050】
本発明の一実施例によるゴム組成物において、前記充填剤は、通常、ゴム組成物、好ましくはタイヤトレッド用ゴム組成物に用いられる充填剤である場合に制限なく利用が可能であり、本発明は、これに限定されるものではない。具体的かつ非限定的な一例として、前記充填剤は、シリカ及びカーボンブラックの中から選択される一つ又は二つ以上を含むことができる。
【0051】
この時、前記シリカは、ゴム、好ましくはタイヤトレッド用ゴムなどに用いられるシリカ粒子である場合に制限なく利用が可能である。具体的には、前記シリカは、比表面積(CTAB)が80~300m/g、好ましくは110~220m/g、より好ましくは150~180m/g、最も好ましくは165m/gであることができる。比表面積が上記の範囲よりも低い場合には、補強性が低下して強度低下の問題が発生するおそれがあり、比表面積が上記の範囲よりも高い場合には、ゴムの配合時に粘度が増加し、分散を阻害する問題が発生するおそれがある。
【0052】
また、前記カーボンブラックも、タイヤトレッド用ゴムなどに通常用いられるカーボンブラックである場合に制限なく利用が可能であり、好ましくは、等級500~600のものを用いることができる。具体的且つ非限定的な一例として、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N242、N293、N299、S315、N326、N330、N332、N339、N343、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N660、N683、N754、N762、N765、N774、N787、N907、N908、N990又はN991などの商用カーボンブラックを用いることができ、本発明は、これに限定されるものではない。
【0053】
また、本発明の一実施例によるゴム組成物は、シランカップリング剤をさらに含むことができ、この時、シランカップリング剤は、Si-69などの商用製品を用いるか、或いは、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)-テトラスルファン(Bis-(3-triethoxysilylpropyl)-tetrasulfane;TESPT)、(ビス-(3-エトキシシリルプロピル)ジスルファン(Bis-(3-ethoxysilylpropyl)disulfane;ESPD)、N-[2(ビニルベンジルアミノ)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(N-[2(vinylbenzylamino)-aminopropyltrimethoxysilane)などの公知の物質を用いることができ、本発明は、これに限定されるものではない。
【0054】
本発明の一実施例によるゴム組成物は、前記ゴムベース100重量部に対して、50~150重量部のシリカ、5~20重量部のカーボンブラック、2~40重量部のポリブテン誘導体及び2~15重量部のシランカップリング剤を含むことができ、好ましくは、ゴムベース100重量部に対して、60~120重量部のシリカ、7~15重量部のカーボンブラック、5~15重量部のポリブテン誘導体及び3~10重量部のシランカップリング剤を含むことができる。
【0055】
本発明の一実施例によるゴム組成物は、ゴム組成物に通常用いられる添加剤をさらに含むことができる。具体的かつ非限定的な一例として、前記ゴム組成物は、酸化防止剤、活性化剤、加硫剤、加硫促進剤などの添加物をさらに含むことができ、各添加剤の添加量は、添加剤の種類、製造されるゴムの用途などによって変わり得るが、具体的かつ非限定的な一例として、前記ゴムベース100重量部に対して、それぞれ0.5~5重量部の添加剤を添加することができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0056】
具体的且つ非限定的な一例として、前記加硫剤は、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを用いることができ、前記加硫促進剤は、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオ尿素系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系又はアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系及びキサンテート系加硫促進剤の中から選択される一つ又は二つ以上を用いることができる。
【0057】
具体的な一例として、前記スルフェンアミド系としては、例えば、CBS(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド及びN,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどから選択される1種又は2種以上のスルフェンアミド系化合物などを使用することができ、前記チアゾール系としては、例えば、MBT(2-メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2-メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、及び2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾールなどから選択される1種又は2種以上のチアゾール系化合物などを使用することができ、前記チウラム系としては、 TMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド及びペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどから選択される1種又は2種以上のチウラム系化合物を使用することができ、前記チオ尿素系としては、例えば、チオカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素及びジオルトトリルチオ尿素などのチオ尿素化合物などから選択される1種又は2種以上を使用することができ、前記グアニジン系としては、例えば、ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド及びジフェニルグアニジンフタレートなどから選択される1種又は2種以上のグアニジン系化合物を使用することができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0058】
また、本発明は、本発明の一実施例によるゴム組成物を含むタイヤトレッドを提供する。本発明によるタイヤトレッドは、上述したように、グリップ性能及び転がり抵抗に優れて同一条件の他のタイヤトレッドに比べて優れた燃費を示すことができるという利点がある。このとき、タイヤトレッドは、具体的に乗用車、SUV、バス、トラック又は電気自動車などに用いられるタイヤトレッドであり得るが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0059】
以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明の範囲は、下記実施例に限定されるものではない
[合成例1-1]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(製品名-DAELIM HRPB1000、Mn992g/mol、PD=1.4、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)88.3モル%、粘度193cSt@100℃、500g、0.5mol)及び無水マレイン酸(49g、0.2mol)を仕込み、メカニカルスターラー(MECHANICAL STIRRER)によって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(Polyisobutylene succinic anhydride[PIBSA-1])を431g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率(YIELD)78.4重量%を確認した。
【0060】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)(200g、0.18mol)、グリセロール(glycerol)(16.7g、0.18mol)及び400mLのキシレン(xylene)を仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体210.0g(yield:96.9重量%)を得た。
【0061】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度475cP、数平均分子量(Mn)2,939g/mol(PD=3.4)、Tg-67℃であることを確認した。
【0062】
[合成例1-2]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn300g/mol、PD=1.2、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)81.6モル%、粘度6cSt@40℃、500g、1.67mol)及び無水マレイン酸(172g、1.75mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって200℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)を550g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率(YIELD)79.1重量%を確認した。
【0063】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)(200g、0.49mol)及びグリセロール(glycerol)(47g、0.51mol)及び400mLのキシレンを仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体220g(yield:95.5重量%)を得た。
【0064】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度44cP、数平均分子量1,127g/mol(PD=2.8)、Tg-70℃であることを確認した。
【0065】
[合成例1-3]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn5,199g/mol、PD=1.8、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)87.0モル%、粘度11,322cSt@100℃、500g、0.1mol)及び無水マレイン酸(10.0g、0.1mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)を410g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率70.4重量%を確認した。
【0066】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)(200g、0.04mol)、グリセロール(glycerol)(3.7g、0.04mol)及び500mLのキシレンを仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体195g(yield:94.3重量%)を得た。
【0067】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度4,891cP、数平均分子量11,500g/mol(PD=4.5)、Tg-54℃であることを確認した。
【0068】
[合成例1-4]
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn997g/mol、PD=1.4、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)68.3モル%、粘度197cSt@100℃、500g、0.5mol)及び無水マレイン酸(52g、0.5mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-4)を420g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率73.4重量%を確認した。
【0069】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-4)(200g、0.20mol)、グリセロール(glycerol)(18.4g、0.20mol)及び400mLのキシレン(xylene)を仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体200.0g(yield:83.3重量%)を得た。
【0070】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度430cP、数平均分子量(Mn)2,423g/mol(PD=3.3)、Tg-68℃であることを確認した。
【0071】
[合成例2-1]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(製品名-DAELIM HRPB1000、Mn992g/mol、PD=1.4、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)88.3モル%、粘度193cSt@100℃、500g、0.5mol)及び無水マレイン酸(49g、0.2mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)を431g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率(YIELD)78.4重量%を確認した。
【0072】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)(200g、0.18mol)、ジエタノールアミン(diethanolamine)(19.1g、0.18mol)及び400mLのキシレンを仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体212.0g(yield:96.7重量%)を得た。
【0073】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度1,165cP、数平均分子量2,885g/mol(PD=4.7)、Tg-69℃であることを確認した。
【0074】
[合成例2-2]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn300g/mol、PD=1.2、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)81.6モル%、粘度6cSt@40℃、500g、1.67mol)及び無水マレイン酸(172g、1.75mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって200℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)を550g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率79.1重量%を確認した。
【0075】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)(200g、0.49mol)、ジエタノールアミン(diethanolamine)(52.5g、0.51mol)及び400mLのキシレンを仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体225g(yield:95.1重量%)を得た。
【0076】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度132cP、数平均分子量1,185g/mol(PD=3.0)、Tg-70℃であることを確認した。
【0077】
[合成例2-3]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn5,199g/mol、PD=1.8、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)87.0モル%、粘度11,322cSt@100℃、500g、0.1mol)及び無水マレイン酸(10.0g、0.1mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)を410g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率70.4%を確認した。
【0078】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)(200g、0.04mol)、ジエタノールアミン(diethanolamine)(4.1g、0.04mol)及び500mLのキシレンを仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体187g(yield:90.2重量%)を得た。
【0079】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度5,675cP、数平均子量12,700g/mol(PD=5.1)、Tg-52℃であることを確認した。
【0080】
[合成例2-4]
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn997g/mol、PD=1.4、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)68.3モル%、粘度197cSt@100℃、500g、0.5mol)及び無水マレイン酸(52g、0.5mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-4)を420g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率73.4重量%を確認した。
【0081】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-4)(200g、0.20mol)、ジエタノールアミン(diethanolamine)(22.0g、0.21mol)及び400mLのキシレン(xylene)を仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体200.0g(yield:83.3重量%)を得た。
【0082】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度1,050cP、数平均分子量2,650g/mol(PD=4.6)、Tg-70℃であることを確認した。
【0083】
[合成例3-1]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(製品名-DAELIM HRPB1000、Mn992g/mol、PD=1.4、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)88.3モル%、粘度193cSt@100℃、500g、0.5mol)及び無水マレイン酸(49g、0.2mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)を431g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率(YIELD)78.4重量%を確認した。
【0084】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)(200g、0.18mol)、トリエチレンテトラミン(Triethylenetetramine)(26.6g、0.18mol)及び400mLのキシレンを仕込み、ディーン・スターク装置(dean-stark apparatus)によって160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体216.6g(yield:97.0重量%)を得た。
【0085】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度200cP、数平均分子量1,002g/mol(PD=1.9)、Tg-68℃であることを確認した。
【0086】
[合成例3-2]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn300g/mol、PD=1.2、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)81.6モル%、粘度6cSt@40℃、500g、1.67mol)及び無水マレイン酸(172g、1.75mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって200℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)を550g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率79.1重量%を確認した。
【0087】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)(200g、0.49mol)、トリエチレンテトラミン(Triethylenetetramine)(96.5g、0.51mol)及び400mLのキシレンを仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体260g(yield:93.5重量%)を得た。
【0088】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度69cP、数平均分子量537g/mol(PD=1.5)、Tg-65℃であることを確認した。
【0089】
[合成例3-3]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn5,199g/mol、PD=1.8、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)87.0モル%、粘度11,322cSt@100℃、500g、0.1mol)及び無水マレイン酸(10.0g、0.1mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)を410g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率70.4重量%を確認した。
【0090】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)(200g、0.04mol)、トリエチレンテトラミン(Triethylenetetramine)(7.6g、0.04mol)及び500mLのキシレンを仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体200g(yield:91.5重量%)を得た。
【0091】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度2,000cP、数平均分子量5,441g/mol(PD=3.5)、Tg-61℃であることを確認した。
【0092】
[合成例3-4]
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn997g/mol、PD=1.4、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)68.3モル%、粘度197cSt@100℃、500g、0.5mol)及び無水マレイン酸(52g、0.5mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-4)を420g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率73.4重量%を確認した。
【0093】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-4)(200g、0.20mol)、トリエチレンテトラミン(Triethylenetetramine)(38.0g、0.2mol)及び400mLのキシレンを仕込み、ディーン-スターク装置(dean-stark apparatus)によって160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体220g(yield:85.3重量%)を得た。
【0094】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度175cP、数平均分子量1,100g/mol(PD=1.8)、Tg-69℃であることを確認した。
【0095】
[合成例4-1]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(製品名-DAELIM HRPB1000、Mn992g/mol、PD=1.4、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)88.3モル%、粘度193cSt@100℃、500g、0.5mol)及び無水マレイン酸(49g、0.2mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)を431g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率(YIELD)78.4重量%を確認した。
【0096】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)(200g、0.18mol)、ソルビトール(Sorbitol)(33.1g、0.18mol)及び400mLのキシレンを仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体224.5g(yield:96.3重量%)を得た。
【0097】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度800cP、数平均分子量2,338g/mol(PD=2.7)、Tg-67℃であることを確認した。
【0098】
[合成例4-2]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn300g/mol、PD=1.2、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)81.6モル%、粘度6cSt@40℃、500g、1.67mol)及び無水マレイン酸(172g、1.75mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって200℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)を550g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率79.1重量%を確認した。
【0099】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-2)(200g、0.49mol)、ソルビトール(Sorbitol)(92.8g、0.51mol)及び400mLのキシレンを仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体255g(yield:92.9重量%)を得た。
【0100】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度48cP、数平均分子量537g/mol(PD=1.5)、Tg-55℃であることを確認した。
【0101】
[合成例4-3]
<ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)の製造>
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn5,199g/mol、PD=1.8、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)87.0モル%、粘度11,322cSt@100℃、500g、0.1mol)及び無水マレイン酸(10.0g、0.1mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって30℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)を410g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率70.4重量%を確認した。
【0102】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-3)(200g、0.04mol)、ソルビトール(Sorbitol)(7.3g、0.04mol)及び500mLのキシレンを仕込み、160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体205g(yield:93.9重量%)を得た。
【0103】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度7,100cP、数平均分子量14,780g/mol(PD=4.5)、Tg-55℃であることを確認した。
【0104】
[合成例4-4]
1Lのオートクレーブにポリイソブチレン(Mn997g/mol、PD=1.4、13C-NMRベースのα-ビニリデン(α-vinylidene)68.3モル%、粘度197cSt@100℃、500g、0.5mol)及び無水マレイン酸(52g、0.5mol)を仕込み、メカニカルスターラーによって230℃で12時間反応させる。未反応の無水マレイン酸を除去するために窒素バブリングを2時間行うことにより、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-4)を420g得た。カラムクロマトグラフィーによって転換率73.4重量%を確認した。
【0105】
<ポリブテン誘導体の製造>
1Lのオートクレーブに、前記製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-4)(200g、0.20mol)、ソルビトール(Sorbitol)(37.0g、0.18mol)及び400mLのキシレンを仕込み、ディーン-スターク装置(dean-stark apparatus)によって160℃で4時間反応させる。未反応の化合物を除去した後、ポリブテン誘導体200g(yield:78.0重量%)を得た。
【0106】
重合されたポリブテン誘導体は、150℃でのブルックフィールド粘度760cP、数平均分子量2,210g/mol(PD=2.6)、Tg-69℃であることを確認した。
【0107】
前記合成例でそれぞれ使用された化合物の種類及び物性と、重合されたポリブテン誘導体の物性を下記表1及び表2にそれぞれ記載した。
【0108】
【表1】
[ゴム製造実施例1-1~4-3]
スチレンブタジエンゴム1(スチレン10%、ビニル40%、SBR1)40重量部及びスチレンブタジエンゴム2(スチレン33%、ビニル48%、SBR2)82.5重量部を混合してゴムベースを用意し、このゴムベース100重量部に対して、カーボンブラック10重量部、シリカ80重量部(US7000GR、Evonik、CTAB165m/g)、シランカップリング剤「SI-69」6.4重量部、オイル(処理済み留出物芳香族抽出物(treated distillate aromatic extracted、TDAE))8.1重量部、酸化亜鉛3.0重量部、ステアリン酸2.0重量部、加硫剤としての硫黄(ミウォン化学製)1.6重量部、加硫促進剤としてのN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)1.6重量部、ジフェニルグアニジン(DPG)2重量部、及び前記合成例1-1~1-3、合成例2-1~2-3、合成例3-1~3-3、合成例4-1~4-3でそれぞれ製造されたポリブテン誘導体10.0重量部を密閉式バンバリーミキサーで混合してマスターバッチを製造した後、開放型2軸ロールミルで混合ゴムを製造して165℃で10分間加硫することによりゴムを製造した。ゴム組成物の組成は、表3に示した。
【0109】
[比較例1]
ゴム製造実施例1-1と同様の方法で製造するが、ゴムの製造時に、ポリブテン誘導体の代わりに、商用のテルペン樹脂(Terpene Phenol resin、ヤスハラケミカル製T160)を10重量部混合してゴムを製造した。
【0110】
[比較例2]
ゴム製造実施例1-1と同様の方法で製造するが、ゴム組成物の製造時に、ポリブテン誘導体の代わりに、オイル(TDAE)を10重量部さらに混合してゴムを製造した。
【0111】
[比較例3]
ゴム製造実施例1-1と同様の方法で製造するが、ゴムの製造時に、ポリブテン誘導体の代わりに、合成例1-1で製造されたポリイソブチレンコハク酸無水物(POLYISOBUTYLENESUCCINIC ANHYDRIDE[PIBSA-1])を10重量部混合してゴムを製造した。
【0112】
[比較例4]
ゴム製造実施例1-1と同様の方法で製造するが、ゴムの製造時に、ポリブテン誘導体の代わりに、合成例1-4で製造されたポリブテン誘導体を10重量部混合してゴムを製造した。
【0113】
[比較例5]
ゴム製造実施例1-1と同様の方法で製造するが、ゴムの製造時に、ポリブテン誘導体の代わりに、合成例2-4で製造されたポリブテン誘導体を10重量部混合してゴムを製造した。
【0114】
[比較例6]
ゴム製造実施例1-1と同様の方法で製造するが、ゴムの製造時に、ポリブテン誘導体の代わりに、合成例3-4で製造されたポリブテン誘導体を10重量部混合してゴムを製造した。
【0115】
[比較例7]
ゴム製造実施例1-1と同様の方法で製造するが、ゴムの製造時に、ポリブテン誘導体の代わりに、合成例4-4で製造されたポリブテン誘導体を10重量部混合してゴムを製造した。
【0116】
【表2】
[ゴム物性評価]
各製造されたゴムの物性は、次の方法で測定するが、周囲環境条件に応じてゴムの物性値が一部変化することができることを考慮して、同じ日に同じ条件の下で測定した結果を表5に示した。
【0117】
1)ペイン効果(Payne Effect)の確認
ペイン効果は、延伸率が0.02%と20%であるときに測定した貯蔵モジュラス(storage modulus)であって、変化幅が小さいほどシリカの分散性に優れるため、回転抵抗が優秀になり、全般的なゴム物性が向上することができるが、実施例及び比較例で製造されたゴムを対象に、ALPHA Technologies社のRPA2000を用い、試験片の重量を7g以上にして、60℃で1Hzの速度にて0.02~20%ひずみ掃引(strain sweep)でペイン効果値を測定し、延伸率が0.02%と20%であるときに測定した貯蔵モジュラスの差(ΔG’=G’20%-G’0.02%)を下記表5に示した。
【0118】
2)動的損失係数によるグリップ性能及び転がり抵抗の測定
0℃でのTanδ値は濡れた路面制動力に対応し、この値が高いほど接地力に優れるのに対し、60℃でのTanδ値は回転抵抗に対応し、この値が低いほど転がり抵抗に優れるということを意味[M.J.Wang、Rubber.Chem.Technol.,71、520(1998)]するが、実施例及び比較例で製造されたゴムを対象にDMTS(Dynamic mechanical thermal spectrometry;GABO、EPLEXOR 500N)を用いて0℃基準、60℃基準の動的損失係数及びガラス転移温度(Tg)を測定し、その結果を表5に示した。測定時の試験条件は、周波数(Frequency):10Hz、ひずみ(Strain)(静的ひずみ(Static strain):3%、動的ひずみ(Dynamic strain):0.25%)、温度:-60~70℃とした。
【0119】
【表3】
表5より、カーボンブラック及びシリカなどの充填剤の分散程度を示すΔG’の値は、実施例ではいずれも3以下、具体的には2.7以下の値を示すが、比較例1~3では2.8以上の値を示すので、本発明の実施例によるポリブテン誘導体を適用する場合にはシリカ及びカーボンブラックの分散性が向上することを確認することができた。特に、実施例1-1乃至3-3では、ΔG’の値がいずれも2.4以下であってさらに優れた充填剤分散性を示し、実施例1-1では、ΔG’の値が2.0であって最も優れた分散性を示した。一方、合成例4-1~4-3によって製造されたポリブテン誘導体が適用されたゴムの場合、ΔG’の値が2.6~2.7であって、比較例よりは分散性に優れているが、他の実施例に比べてやや効果が低いことを確認することができた。
【0120】
また、数値が大きいほど優れたグリップ性能を示す0℃Tanδの場合、実施例では0.6以上、具体的には0.6011以上の値を示し、数値が小さいほど優れた転がり抵抗を示す60℃Tanδの場合、実施例では0.1148以下の値を示すため、本発明の実施例によって製造されたゴムが、従来技術とは異なり、優れたグリップ性能と優れた転がり抵抗を同時に示すことを確認することができた。
【0121】
一方、比較例1~7は、実施例に比べてグリップ性能又は転がり抵抗性能の面でそれぞれ低い値を得ており、2つの性能が同時に改善される結果を得てはいない。つまり、オイルのみを添加した基本形態である比較例2に比べて、テルペン樹脂をさらに添加した比較例1、及びポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA-1)をさらに添加した比較例3、及び末端ビニリデンの含有量が低いポリイソブチレンを用いて製造した比較例4~7の場合は、グリップ性が良くなるものの、転がり抵抗性は良くならないのに対し、本発明の実施例1-1~4-3の高反応性ポリイソブチレンを用いて製造したポリブテン誘導体は、グリップ性及び転がり抵抗性の両方とも良くなることを確認することができた。