(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】改良型のコンクリート完成品の調製方法
(51)【国際特許分類】
B28C 7/02 20060101AFI20230906BHJP
C04B 22/06 20060101ALI20230906BHJP
C04B 24/06 20060101ALI20230906BHJP
C04B 24/02 20060101ALI20230906BHJP
C04B 24/32 20060101ALI20230906BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
B28C7/02
C04B22/06 A
C04B24/06 A
C04B24/02
C04B24/32 A
C04B28/02
(21)【出願番号】P 2021500779
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 US2019000013
(87)【国際公開番号】W WO2019182672
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-22
(32)【優先日】2018-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520348967
【氏名又は名称】ハートマン ダスティン エイ
(73)【特許権者】
【識別番号】520348978
【氏名又は名称】シェタリー ウィリアム アーチー ジョセフ
(73)【特許権者】
【識別番号】520348989
【氏名又は名称】ウルフ クリス
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン ダスティン エイ
(72)【発明者】
【氏名】シェタリー ウィリアム アーチー ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ クリス
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-507821(JP,A)
【文献】特表2003-534227(JP,A)
【文献】特開2007-197308(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03293322(EP,A1)
【文献】米国特許第04740348(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00-28/36
B28C 7/00-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐摩耗性が改善されたコンクリート設備を調製するための方法であって、
1) コンクリート設備を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
A) 成分からコンクリートミックスを作成するステップであって、前記成分が、下記:
a)或る量の乾燥セメントミックスであって、
i) メーカーの水/セメント比の推奨値において、前記推奨された比が、
0.35~
0.65の範囲内にあり、b)と組み合わせた際、水/セメント比は、前記推奨値よりも10%小さい値に相当する値を上回り、前記推奨値よりも30%大きい値に相当する値以下であること、
あるいは
ii) メーカー推奨の水/セメント比の範囲が、上限値と下限値とを有し、下記b)と組み合わせた際、前記水/セメント比が、前記下限値よりも10%小さい値に相当する値を上回り、前記上限値よりも30%大きい値に相当する値を下回ること、
あるいは
iii) 下記b)と組み合わせた際、前記水/セメント比が0.35~0.65の範囲になるような量、によって特徴付けられる、乾燥セメントミックス、
b) 或る量の水、
c) a)中のセメントの百重量当たり0.1~7.0オンス(2.83~198.4グラム)の範囲にある或る量のアモルファスシリカであって、平均シリカ粒子サイズが、1~55ナノメートルの範囲であり、および/またはシリカ粒子の表面積が、300~900m
2/gの範囲内にある、或る量のアモルファスシリカ、
d) 400~700重量%bwocの範囲内にある或る量の骨材および/または或る量の砂、のそれぞれを含み、
B) b)の水は、その全体または部分にて、水量の少なくとも20重量%を含む初期部分と、尾水部分とを含む部分で添加され、前記水の初期部分は、a)およびd)の成分と結合させて、第1のミックスを形成し、前記アモルファスシリカは、a)、d)およびb)の前記初期部分を含むミックスに添加されて、第2のミックスを形成し、
且つ
尾水を、1)前記第1のミックスに添加するか、2)前記第2のミックスに添加するか、または3)前記第1のミックスに前記アモルファスシリカと同時添加し、前記アモルファスシリカおよび前記尾水を添加して相互結合し、1)前記第1のミックスを、前記尾水の添加前の時間t
11、前記尾水の添加後、但し前記アモルファスシリカの添加前の時間t
12、および前記アモルファスシリカの添加後の時間t
13の間撹拌するか、または、2)前記第2のミックスを、前記アモルファスシリカの添加前の時間t
21、前記アモルファスシリカの添加後、但し前記尾水の添加前の時間t
22、および前記尾水の添加後の時間t
23の間撹拌するか、または3)前記第2のミックスを、前記アモルファスシリカと前記尾水を同時添加する前に、時間t
31の間撹拌し、次いで、前記コンクリートミックスを時間t
32の間撹拌し、
あるいは
C) 前記或る量の水をa)およびd)の前記成分に添加してミックスを形成し、次いで、前記ミックスを、前記アモルファスシリカの添加に先立って或る一定の時間t
a撹拌し、次いで、前記コンクリートミックスを、時間t
bの間撹拌する、作成するステップと、
D) B)またはC)の前記コンクリートミックスを注いで、上面を含むコンクリート設備を形成するステップと、
E) 前記上面を
ならすステップと、
F) 前記上面に対し、水を含む配合物、平均分子量が500~1500mwの範囲内であるα-ヒドロキシ酸、グリコールアルキルエーテル、およびポリエチレングリコールを、
3.785412リットル(1ガロン
)当たり200~2000平方フィート(18.58~185.8平方メートル)の速度にて、コンクリートの表面まで塗布するステップと、
G) 前記上面に対し結合ステップを実行するステップと、
H) 光沢が向上するように前記上面を最終仕上げし、グレード1にするステップと、
I) ステップH)の場合、前記上面をバニシングし、ステップH)の前記最終仕上げの前記表面がグレード1の場合、バニシングによって前記表面をグレード2に向上させるステップと、を含むプロセス、を含む方法。
【請求項2】
前記水の初期部分が、前記水量の少なくとも30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%または99重量%を含む、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
a)の前記乾燥セメントミックスをb)の前記水と組み合わせた際、前記水/セメント比が、
i)の前記推奨値以上であり、但し前記推奨値よりも30%大きい値に相当する値未満であるか、あるいは
ii)の推奨範囲の前記上限値以上であり、但し前記上限値よりも30%大きい値に相当する値以下であるか、あるいは
iii)に関して少なくとも0.35であり、但し0.65以下である、請求項1に記載の
方法。
【請求項4】
前記アモルファスシリカがコロイド状シリカ溶液として前記第1のミックスに導入され、前記溶液が50~95重量%のシリカと、5~50重量%の水とを含む、請求項1に記載の
方法。
【請求項5】
前記シリカが、75~90重量%のシリカと、10~25重量%の水とを含む、請求項4に記載の
方法。
【請求項6】
前記アモルファスシリカが、百重量セメント当たり2.5~5.5オンス(70.87~155.92グラム)の範囲の量で添加される、請求項5に記載の
方法。
【請求項7】
前記アモルファスシリカが、百重量セメント当たり3.5~4.5オンス(99.22~127.57グラム)の範囲の量で添加される、請求項6に記載の
方法。
【請求項8】
コロイド状シリカが前記尾水の後に添加される、請求項1に記載の
方法。
【請求項9】
前記コンクリートがスラブまたはフーチングに注入される、請求項1に記載の
方法。
【請求項10】
前記プロセスをレディーミクスで実施し、前記第1のミックスを2rpm~18rpmの範囲の速度で15秒~5分の範囲の時間撹拌した後、前記尾水を前記第1のミックスに添加し、前記尾水の添加後、前記ミックスを、5rpm~18rpmの範囲の速度で、1分~18分の範囲の時間で撹拌し、その後、前記シリカをコロイド状シリカとして前記レディーミクスに添加し、前記ミックスを2~18rpmの範囲の速度で1~15分の範囲の時間撹拌し、次いで、前記コンクリートをスラブの形態として注入する、請求項1または4に記載の
方法。
【請求項11】
前記配合物が
3.785412リットル(1ガロン
)当たり500~1500平方フィート(46.45~139.35平方メートル)の速度で塗布される、請求項1に記載の
方法。
【請求項12】
前記配合物が、前記配合物中に5~20重量パーセントの範囲内で存在するα-ヒドロキシ酸と、5~20重量パーセントの範囲内で存在するグリコールアルキルエーテルと、1~15重量パーセントの範囲内で存在するポリエチレングリコールと、70~80重量パーセントの範囲内で存在する水と、を含む、請求項1に記載の
方法。
【請求項13】
前記配合物が、前記配合物中に10~15重量パーセントの範囲内で存在するα-ヒドロキシ酸と、10~15重量パーセントの範囲内で存在するグリコールアルキルエーテルと、1~9重量パーセントの範囲内で存在するポリエチレングリコールと、70~80重量パーセントの範囲内で存在する水と、を含む、請求項
12に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2018年3月22日に出願された仮出願62/761,393号、および2018年9月1日に出願された仮出願62/765,597号の優先権を主張するものであり、これら両方の文献に教示されている全内容は、その一部を除外することなしに、本明細書において参照により援用されている。また、2018年3月9日に提出された仮出願62/761,064号は、該文献に教示されている全内容がその一部を除外することなしに、本明細書において参照により援用されている。
【0002】
コンクリートスラブなどのコンクリートフォームの製造におけるステップで重要なのが、コンクリートの仕上げである。仕上げプロセスは、コンクリートが硬化してから、コンクリートが完全に硬化するまでの間に発生するのが、一般的である。当該技術分野において公知の仕上げプロセスの目的の1つは、機械的平滑化によって生コンクリート表面の粗さを低減することにある。既存の方法により注入されたコンクリートの場合、硬化コンクリート表面からの蒸発によって、表面が乾燥しすぎて簡単に仕上げることができず、更に水を使用せずに行うとコンクリート表面が損傷するというリスクを伴うことも、しばしばある。そのように更に水を加えた場合、下記のように、水の排出が長期にわたるという問題を引き起こす。但し、水を加えることによって、損傷を最小限に抑えながら表面を滑らかにするのが容易になる可能性がある。
【0003】
仕上げの第2の目的は、コンクリートの表面をコーティングすることにある。既存の方法で注入されたコンクリートスラブには、蒸発が見られる傾向があり、前述のように、セメント表面を乾燥させる可能性がある。結果として、水によって表面に毛細管が生じ(以下に詳述)、表面を通って流れ上がった沈降によって大部分が移動することも、しばしばある。このような毛細管は、コンクリート製品の圧縮強度を損なう恐れがあるだけでなく、その寿命が存続する間、コンクリートへの水の導管として機能し、水を介して損傷を促進してしまう可能性もある。表面の場合と同様に、毛細管によって、本来なら硬化反応に加わる可能性のあった水が、失われる。既存の仕上げ剤は、コンクリートの上面および毛細管の内面をコーティングするように作用し、硬化中の水分損失を減らし、且つコンクリートの寿命の後半に水の浸入を防ぐ。
【0004】
ゆえに、要約すると、既存の仕上げ方法は、機械的平滑化を、保護層を堆積させる仕上げ剤とを併用したものである。結果として、表面にコーティングが施された滑らかな表面が得られ、表面に密度が加わり、硬化中の蒸発損失が削減され、理論的には硬化効率が向上すると同時に、使用中の水の後退および浸入が低減する。
【0005】
驚くべきことに、これまでの発見によれば、テーツ・ソープ・アンド・ファクタンツ社(Tate’s Soaps and Surfactants)から入手可能、且つ仕様製品のE5仕上げとして入手可能なKorkayコンクリートディゾルバーの水希釈配合物は、仕上げ剤として使用すると、耐久性のある防水仕上げが得られる。一方、以下に開示および記載されているように、アモルファスシリカを用いて調製されたコンクリート表面上に仕上げ剤の代替品として使用される場合もある。結果として得られたコンクリート表面は、仕上げが滑らかで耐摩耗性のあること、表面への水の浸透に対する耐性が向上すること(理論に拘束されるものではないが、毛細管が充填されるためと考えられる)、圧縮強度がより長い寿命にわたって維持されること(再三繰り返す通り、水害による寿命短縮が防止されるのは、毛細管が充填されるためと考えられる)を特徴とするのが、一般的である。結果として得られる高品質の表面は、Korkayが切断剤または洗浄剤としての能力において当業者の間で周知であり、大規模に注入された後にコンクリートの混合および注入装置上に残留するコンクリートの堆積物を溶解する目的に当業界全体で使用されていることでも驚くべきものである。その有効性は、繁用されているシリカ材料、例えば、ヒュームドシリカ、シリカフュームなどを含むコンクリートにまでおよぶ。この配合物は、仕上げを残すというよりも、寧ろ、コンクリート表面を効率的に溶解すると考えられる。
【発明の概要】
【0006】
本発明に従って調製されたコンクリートは、以下に記載されるようにシリカの尾水又はテイルウォータの添加を伴うもので、一般的には仕上げ水の吸収を大幅に低減させるため、理論に束縛されるものではないが、下記のように調製される。下記の特性を備えるアモルファスシリカ含有のコンクリートは、記載のように水分を保持し、既存の方法によって調製されたコンクリートと比較して毛細管の存在を低減すると考えられる。ゆえに、表面を滑らかにするための水を更にはほとんどまたは全く必要とせずに、本明細書に示されるように塗布されたKorkayの希釈配合物中に含有されているものを含む、仕上げ中に塗布される水は、コンクリート中に取り込むのが容易でない。ゆえに、Korkayを使用し、シリカの尾水の添加を伴うことは、特に有益である。更になお、実験的注入によって確証されてきたように、本明細書に開示されている方法以外の方法によってミックスが調製されるコンクリート(例えば、水の添加と同時に、または水の添加前に、シリカをセメントミックスと結合させるコンクリート)は、本発明の仕上げ組成物および方法を使用することによって、層間剥離速度がはるかに高まる。ゆえに、本発明の仕上げ配合物および方法を、本明細書に記載のコンクリートミックスを調製するための改良型の配合物および方法と併用するのが好ましい。その場合、ナノシリカ、好ましくはコロイド状アモルファスナノシリカを、水の一部または全てをセメントミックス、および任意で骨材/砂成分と結合し、しばらくの間混合した後に限り、コンクリートミックスの他の成分と結合させる。「改良型の配合物およびコンクリートミックスの調製方法」の完全な説明は、以下に開示されている通りである。
【0007】
但し、本発明のいくつかの利点を得られるようにするには、本明細書に記載の仕上げ方法および組成物を、アモルファスシリカの尾水を添加せずに済む方法により調製されたシリカ含有コンクリートミックスと併用するのが、条件となる。そのコンクリートは、例えば、一部または全ての水をセメントミックスおよび骨材/砂と混合する前の時点にシリカを添加して調製されたコンクリートを言う。そのようなコンクリートは通例、本明細書で詳述されているコンクリートよりも有意に多くのブリード水を浸出させる。また、そのようなコンクリートは、本明細書に具体的に開示されているコンクリートよりも多くの仕上げ水を吸収し得る。例えば、他のシリカ含有コンクリートで、例えば、シリカフューム(平均粒子サイズ約145nm)またはヒュームドシリカなどの幾分大きい粒子を有するものは、本発明のいくつかの利点を呈し得る一方、コンクリートの表面の調製に用いられる当該粒子が大きいほど、損傷または破壊される可能性が高まる。
【0008】
Korkay希釈物は、コンクリート中のアモルファスナノシリカと相互作用し、少なくとも表面のアモルファスシリカとのこの相互作用を通じて、コンクリートの表面領域上および/または表面領域に硬質仕上げが形成されると考えられている。このような結果は、コンクリートC-S-Hマトリックスが存在しない状態で、E5 INTERNAL CUREがE5仕上げと容器内で直接混合される実験によって示されている通り、観察されたコンクリート仕上げの物質である可能性が高いと考えられるような、丈夫な半清澄または清澄な物質が得られる。例えば、コロイド状シリカ配合物などのナノシリカの配合物のpHをpH7未満のpHに低下させると、ナノシリカ配合物がゲルを形成し得ることが公知である。本開示の配合物は、酸(好ましくはグリコール酸)を含有する。但し、この配合物は、汎用タイプのコンクリートのC-S-Hマトリックスを分解するために使用される。例に挙げられているコンクリートは、他のタイプの大型(ナノサイズではない)繁用されているシリカ含有のものである。にもかかわらず、そのような配合物(本明細書に記載の水希釈Korkay配合物またはその配合物のバリエーション)が、本明細書に詳細に開示されているように、アモルファスナノシリカの後期添加によって調製されたコンクリートに使用される場合、コンクリートは損傷または破壊されない。代わりに、コンクリートは、驚くべきことに、他の仕上げ方法よりも耐久性があり、硬く、光沢のある表面に仕上げることが可能である。
【0009】
本発明の表面形成プロセスは、下記の「コンクリート性能を向上させるための新規な組成物」と題した節に記載されるようにして、調製および注入されたアモルファスシリカ含有のコンクリートと併用するのが、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】高光沢仕上げの描写である。この高光沢仕上げは、
ならし、結合、最終仕上げのステップの後に達成される。
【
図2】図面1)の度合いにまで仕上げられていない表面の、くすんだ仕上げの描写である。
【
図3】実施例3で調製された表面の描写である。この表面は、水の浸透がなく、屋外での使用に好適である。
【
図4】実施例1で調製され、仕上げステップ後に現れた表面の描写である。未希釈Korkayを、
ならし後に塗布した。表面は脆弱であり、仕上げステップで破損し易い。
【
図5】仕上げステップ後に現れた表面の描写である。
ならし後に、Korkayの12:1水希釈液を塗布した。表面は薄く、平坦度および光沢が劣っている。
【
図6】仕上げステップ後に現れた表面の描写である。
ならし後に、Korkayの7:1水希釈液を塗布した。表面は滑らかで光沢に優れる。
【0011】
表のリスト
表1のデータは、実施例6において参照されている通りである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この仮出願に示されている発明は、2017年3月20日に販売可能な配合物のKorkayコンクリートディゾルバー(「Korkay」)に言及しているが、当業者に認識されているように、Korkayおよびその水希釈液は化学配合物であり、そのような化学配合物は、様々な異なる供給源および/または方法によって調製することができ、本発明の利益を得るために、本発明での使用に適している。一実施形態において、配合物組成物は、Korkayの水希釈物を含むか、または本質的にKorkayの水希釈物からなる。
【0013】
ここで認識すべき点は、Korkayの同じ化学成分またはその水希釈物を含む配合物で、但し、1つ以上の成分(水は含まない)の濃度が、Korkayまたはその水希釈物に関する濃度から、それぞれKorkayまたはその水希釈物の重量に対して、それぞれ50、40、30、20、10もしくは5重量%未満だけ逸脱している該配合物は、本発明において有用であり得るという点である。そのような化学組成物は、本明細書に開示されている推奨量および速度にて使用すると良い。
【0014】
更なる実施形態において、配合物は、水、α-ヒドロキシ酸、グリコールアルキルエーテル、およびポリエチレングリコールで、平均分子量が約500~約1500mwの範囲内であるものを具備するか、または本質的にそれらからなる。水は本質的にイオン汚染のないことが、好ましい。例えば、炭酸塩などの特定のイオンの存在は、得られた仕上げの透明度に影響を与える可能性がある。使用する水にイオン性または有機性の汚染がある場合は、例えば逆浸透などの除去ステップに供された水を使用することが好ましい。pHが約7である水を使用することが好ましいが、水のpHが7を上回るかもしくは下回る場合、特に配合物のpHが7以下である場合でも、本発明の利点を得ることができる。更なる実施形態において、α-ヒドロキシ酸は、炭素含有数を約5~約1の範囲とし、グリコール酸が好ましい。グリコール酸は、ケムソルブ社(Chemsolv)から入手可能である。グリコールアルキルエーテルは、ポリプロピレンメチルエーテルが好ましく、ジプロピレングリコールメチルエーテルが好ましい。ジプロピレングリコールメチルエーテルを入手できる供給元は、ダウケミカル社(Dow Chemical)、ライオンデルバセル社(Lyondell Bassell)、およびシェル社(Shell)など多数に及んでいる。平均分子量が約500~約1500分子量の範囲のポリエチレングリコールは、好ましくは、平均分子量が約750~約1250の分子量の範囲、更により好ましくは、約950~約1050の分子量の範囲のポリエチレングリコールである。好適なポリエチレングリコールの一例は、PEG(1000)である。
【0015】
追加的な実施形態において、α-ヒドロキシ酸は、好ましくは、約5~約20重量パーセントの範囲の配合物中に存在し、約10~約15重量パーセントの範囲の重量パーセントがより好ましい。グリコールアルキルエーテルの重量パーセントは、好ましくは、約5~約20重量パーセントの範囲であり、約10~約15重量パーセントの範囲がより好ましい。ポリエチレングリコールの重量パーセントは、好ましくは、約1~約15重量パーセントの範囲であり、比率は、約1~約9重量パーセントの範囲がより好ましい。水は、約70~約80重量パーセントの範囲で存在し、約71~約77重量パーセントの範囲がより好ましい。
【0016】
更なる実施形態において、配合物は、下記の4部混合物:
1) 約74%の水と、
2) 約13%のグリコール酸と、
3) 約8%のジプロピレングリコールメチルエーテル(DPMグリコールエーテル)と、
4) 約5%のポリエチレングリコール(PEG1000タイプ)と、の水希釈物を含むか、該水希釈物からなるか、または本質的に該水希釈物からなるものであり、希釈物は、好ましくは、約4~約20部の水に対し1部の混合物を含むか、該混合物からなるか、または本質的に該混合物からなる。より好ましい希釈物は、水を約5~約12部としたものである。更により好ましい希釈物は、水を約6~約8部としたものであり、約6.5~約7.5もしくは約6.8~約7.2の範囲が特に好適である。そのような希釈物と等価な成分において、「等価な成分」とは、配合物が前述と同じ成分および相対的比率を含むか、それからなるか、または本質的にそれらからなるものであり、但し、該配合物は、規定の希釈によってではなく、例えば、成分を直接混合するなどの他の手段によって調製されたものであることを意味する。(E5仕上げ配合物は、約7部の水、乃至約1部のKorkayを含む混合物を生成することによって、形成される場合がある)。或る実施形態において、配合物は、E5仕上げ配合物を含む。他の実施形態において、配合物は、水で希釈または水を除去した濃度のE5仕上げ、または前述の化学的に同一の調製物を含む。他の実施形態において、配合物は、E5仕上げを含むか、または本質的に該E5仕上げからなる。
【0017】
好ましい塗布様式は、下記または下記の化学的等価物を、下記の塗布速度にて塗布することを含む。
【0018】
本配合物は、1部のKorkay乃至約4~約20部の水を含むまたは本質的にそれからなるものであり、より好ましい希釈物は水を約5~約12部としたものであり、更により好ましい希釈物は水を約6~約8部としたものである。
【0019】
配合物は、好ましくは1ガロン当たり約200~約2000平方フィート(約18.58~約185.8平方メートル)の割合でコンクリート表面に塗布される。1ガロン当たり約500~約1500平方フィート(約46.45~約139.35平方メートル)がより好ましく、1ガロン当たり約800~約1200平方フィート(約74.32~約111.48平方メートル)が更に好ましい。本配合物は、Korkay部当たり約6~約8部の水の範囲のKorkay希釈物であり、該塗布速度は1ガロン当たり約800~1200平方フィート(約74.32~約111.48平方メートル)の間である。Korkayが具体的に言及されているが、上記の化学的同等物が上記の希釈で使用可能または使用される。
【0020】
更なる実施形態において、配合物は、水、α-ヒドロキシ酸、グリコールアルキルエーテル、およびポリエチレングリコールで、平均分子量が約500~約1500mwの範囲内であるものを具備するか、または本質的にそれらからなる。更なる実施形態において、α-ヒドロキシ酸は、炭素含有数を約5~約1の範囲とし、グリコール酸が好ましい。グリコール酸は、ケムソルブ社(Chemsolv)から入手可能である。グリコールアルキルエーテルは、ポリプロピレンメチルエーテルが好ましく、ジプロピレングリコールメチルエーテルが好ましい。ジプロピレングリコールメチルエーテルを入手できる供給元は、ダウケミカル社(Dow Chemical)、ライオンデルバセル社(Lyondell Bassell)、およびシェル社(Shell)など多数に及んでいる。平均分子量が約500~約1500分子量の範囲のポリエチレングリコールは、好ましくは、平均分子量が約750~約1250の分子量の範囲、更により好ましくは、約950~約1050の分子量の範囲のポリエチレングリコールである。好適なポリエチレングリコールの一例は、PEG(1000)である。
【0021】
追加的な実施形態において、α-ヒドロキシ酸は、好ましくは、約5~約20重量パーセントの範囲の配合物中に存在し、約10~約15重量パーセントの範囲の重量パーセントがより好ましい。グリコールアルキルエーテルの重量パーセントは、好ましくは、約5~約20重量パーセントの範囲であり、約10~約15重量パーセントの範囲がより好ましい。ポリエチレングリコールの重量パーセントは、好ましくは、約1~約15重量パーセントの範囲であり、比率は、約1~約9重量パーセントの範囲がより好ましい。水は、約70~約80重量パーセントの範囲で存在し、約71~約77重量パーセントの範囲がより好ましい。
【0022】
コンクリート表面に塗布される配合物のpHは、好ましくは約3.0~約7.2の範囲内である。より好ましいのは、pHが約4.0~約7.0の範囲内であることであり、pHが約4.5~約6.8の範囲内であることが、より好ましい。未希釈KorkayのリストpHは、約4.3である。
【0023】
ならしプロセスが実行された後、配合物をコンクリートに塗布することが好ましい。より好ましいのは、コンクリートに対する配合物の塗布を、ならしプロセスの実行後、但し結合プロセスの実行前または実行中に、行うことである。配合物の塗布は、仕上げプロセス中を含む結合プロセスの後としても差し支えないが、本発明の利点は減少することが見出されている。一般的な所見によると、本発明の最適な利益を得るには、配合物の塗布を、ならしの実行後、但し結合プロセスの実行前に行う必要がある。
【0024】
本発明は、屋内用および屋外用の両方のコンクリートの表面処理に使用されることが可能である。内部使用のためのコンクリートの仕上げは概して、注入スラブが硬化し始めた後、ならし、結合、および最終仕上げステップの3つの連続したステップを含む。各々が特定の硬化段階で行われ、各ステップの開始時期に関する確認は、施術者の熟練した判断の範囲内に含まれる。スラブの多く、または大多数は、新たな建築の第1の要素であることが多いため、温度、相対湿度、および風速などの外部要素が決定に影響する。「コンクリート性能を向上させるための方法および組成物」と題した節に記載されているように、コンクリートを調製するための特定のプロセスのコンテキストにおいて特定のタイプのアモルファスシリカを使用した場合、硬化に対する外部要素の影響の多くが最小限に抑えられる。ゆえに、標準の3段階の仕上げプロセスの方がはるかに簡単で、各段階で必要なエネルギーが少なくて済み、仕上げ中のコンクリートの損傷のリスクも少なくて済む。例えば、ほとんどの住宅および商業建設の基礎となる建設スラブのコンクリートの標準仕上げを得るには、通常、3つとも全て要する。本発明との関連において、ならしは、標準的なコンクリートよりも容易であるのが一般的である。これは、後述されているように、コンクリートが保水性が優れていることによるものである。ならしは、例えば、ハンドトローウェル、ウォークビハインド、パワーライドオントローウェル、または48もしくは60インチ(約121.9~約152.4センチメートル)のパンを使用するなど、当該技術分野において公知の方法により行うことができる。全般的に、ならしに必要な労力は、従来のコンクリートをならすのに必要な労力に比べて低減するため、マシンの速度を有意に低下させる可能性があり、再三繰り返す通り、コンクリート表面に対して損傷が及ぶ可能性を最小限に抑えることが可能となる。
【0025】
E5仕上げ液を、所定の希釈率で、所定の速度で、ならし後、但し結合前または結合中に表面に塗布することが好ましい。状況によっては、何らかのならしが行われた後に溶液を塗布し、例えば、以前のならしに使用されたものなどのならしツールを使用してそれを表面にならすと便利な場合がある。コンクリートが表面にならされている場合に、ならし後に、コンクリート表面にプラスチック様の仕上げが形成されていることが、明らかになることもしばしばあり、該プラスチック様の仕上げは、コンクリート表面全体に均一に形成されるのが、一般的である。熟練技術者による簡単な観察によって容易に視覚的に確認できるのが一般的であるが、非熟練技術者に確認される場合も多い。「プラスチック様」という記述は、コンクリート表面上にプラスチックフィルムが堆積されたように見えるコーティングのことを表す。大規模な追加的な仕上げが為される前は、表面は概ねくすんでいて、曇りがあり、且つ滑らかである。理論に束縛されるものではないが、推測によれば、E5仕上げは、コンクリート内のアモルファスシリカと相互作用する。相互作用は、ならしなどの構造的な中断によって促進される。曇るのが一般的ではあるが、若干の曇り生ずるとは一概には言い切れない。
【0026】
次に、結合ステップは、概して、当該技術分野において公知の方法で、例えば、結合ブレードを用いたライドオンパワートローウェルなどにより、実行される。表面のプラスチック様の性質が概ね、いっそう明白になり、顕著になるのは、このステップの最中である。後の仕上げステップと同様に、ガラス様の質感および外観を帯びるかどうかは、定かでない。従来のコンクリートで使用されるよりも高速な結合速度を使用した場合、仕上げ中のこの時点で仕上げが改善される可能性があるが、必ずしも改善されるとは限らない。なお、結合が行われない場合、あるいは不要と判断される場合がある。
【0027】
表面は概ね、下記の両方:
1)本明細書に開示されている本発明のアモルファスシリカの量、粒子サイズおよび表面積、ならびに2)本明細書に開示されている局所配合物が含まれていないコンクリートどうしの結合中に生ずる表面とは明らかに異なる。この効果は、本発明者らが「プラスチック様」であると記載してきた。表面はより滑らかな外観になり、この滑らかな外観は概ね、結合時間と共に或る程度増強する。本明細書に開示されているように、本発明の配合物およびプロセスの詳細を欠く仕上げの類似した段階で、繁用されているコンクリート配合物と比較した場合、表面では大きな細孔の発生率が減少し、平坦性が向上する。「プラスチック様」とは、表面が少なくともコーティングの外観を有し、前述のコーティングが、概して、結合中の透明度が高くなく、結合の進行および/または結合ブレード速度の上昇に伴い、或る程度まで低減し得る程度まで閉塞される、該コーティングを意味する。結合中の以後の時点にて、後の仕上げステップと同様に、ガラス様の質感を帯び且つ清澄度が更に増強されるかどうかは、定かでない。従来のコンクリートで使用されるよりも高速な結合速度(約190rpm超)を使用した場合、透明度および光沢に関して仕上げが改善される可能性があるが、必ずしも改善されるとは限らない。(なお、結合が実行されない、またはその他の方法で不要と見なされる状況が発生する可能性がある。)再三繰り返す通り、コンクリートの表面に保持される水分量が多いと、一般に表面と結合ブレードの間の摩擦が少なくなり、マシンが所定の速度を維持するために必要なエネルギーが低減する。表面に対し機械的な損傷が及ぶリスクは、大幅に低減するのが、一般的である。
【0028】
その後、仕上げステップを実行してもよい。当該技術分野において知られている方法、例えば、仕上げブレードを用いたトローウェルまたはウォークビハインドトローウェルを使用することができる。本発明の仕上げ方法および配合物を使用したことのある人々が示唆するところによれば、仕上げステップでは、表面のガラス質の特徴が増強する。例えば、バニシングステップで一般的に得られるほど清澄ではないが、当該技術分野において公知であり、同じ方法で調製されたコンクリート仕上げよりも清澄度が増強する。理論に束縛されるものではないが、持論によれば、透明度の増強は、本明細書に開示されているような本発明のシリカの含有に起因する、コンクリート表面に水分が保持された結果である。仕上げステップ後に達成可能な透明度、光沢、および平坦度は、通常、「グレード1」の仕上げとして適格となるのに十分である。従来のコンクリート(すなわち、本開示の配合物の局所使用、および本開示のアモルファスシリカ不使用のもの)では、仕上げステップは、約190rpmの従来の最高仕上げ速度にて、必ずしもこのガラス質、すなわち、透明度および/または光沢が増強するとは限らない。
【0029】
利用可能なほとんどの仕上げ機は、最高速度が約190rpmに制限されているが、一部の古いマシンでは、最高速度が約220rpmに達する場合がある。局所発明配合物の使用でしばしば見られる1つの特徴は、従来使用されていたもの(例えば、180~200rpmなど)よりも高い仕上げブレード速度(例えば、200~220rpm)を使用することによって、従来の速度で達成可能なものよりも仕上がりを改善できるため、表面は、低速で達成できるよりも更に秀逸な光沢および透明度を帯びることである。それによって達成される表面は、多くの場合、依然として「グレード1」の仕上げであるが、そのように速度を上昇させて仕上げられていない本発明の表面に関して、透明度および光沢は増強する。本発明者らが知る限り、そのような透明度が、速度を高速化した際に向上することは、本発明のコンクリートおよび仕上げ配合物に特有である。
【0030】
仕上げの時間は、表面が所望される外観になるまでである。例えば、仕上げの透明度、光沢、および平坦性が秀逸であることを観察するために、2つのパスが必要になる場合がある。仕上げは、結合ステップ中によりマットな外観を呈する可能性があり、必要に応じて、最終仕上げステップの実行を省くことによって保持できることに留意されたい。外観および質感のガラス類似度を増強させた仕上げを得るためには、通常、最終仕上げ段階に進む必要がある。
【0031】
代替的に、歩道、縁石、および駐車場などの屋外用コンクリートは、或る程度のならしが為されるのが一般的であるが、通例は大規模な仕上げは必要ない。表面における欠陥で些細なものは、そのまま放置しておかれる場合があり、最終的には表面が風化して、欠陥の問題の現実的意味はなくなるが、外部コンクリートに関しては、コンクリートの寿命が存続する間の水による損傷が懸案事項である。水による損傷が生ずる確率を低減するための対策が講じられることも、しばしばある。1つの対策は、硬化剤およびシール剤を塗布することである。これらの薬剤によって与えられる保護は、概ね短期間である。もう1つの対策は、凍結中に吸収された水による損傷が最小限に抑えられるように、空気連行コンクリートを使用することである。どちらの対策も、長期的な構造上の解決策にはならないのが、実状である。但し、これまでの所見によれば、ならされた表面に対し本発明の溶液および希釈物を塗布し、続いて、当該技術分野において公知であるならし装置(例えば、手動ならし装置など)を用いて本質的に追加的なならしを実行することによって、屋外セメントに水が吸収されるのを防ぐことが可能となる。それ以上の仕上げは必要とされない。
【0032】
リルム試験による屋外セメントの通常の吸水率は、20分で約1.5~3mlである。本発明のプロセスおよび組成物に従って処理された表面は、水を全く吸収しなかった。理論に束縛されるものではないが、推測によれば、いったん表面に塗布された溶液または希釈液は、硬化中に形成される可能性のある表面の欠陥および毛細管に浸入し、アモルファスシリカと直接的または間接的に相互作用して毛細管内に固体プラグを形成し、水の取り込みを防ぐ。ならしプロセスは、毛細管に対しおよび他の表面欠陥に対し溶液が取り込まれるのを促進するものと考えられている。
【0033】
コンクリート表面の望ましい光沢および透明度に基づいて、様々なグレードで仕上げを行うことが可能である。上記されている通り、および当業界における慣行の通り、最高速度190rpmの仕上げ機で仕上げた場合、当該技術分野において周知のように、「グレード1」の仕上げに帰結するのが、一般的である。表面品質を更に向上させること、すなわち、光沢および透明度の向上を達成できるよう、「グレード2」または「グレード3」の仕上げを開発する目的に当該技術分野において周知のバニシングマシンが使用されるのが、一般的である。当業者は、通例、仕上げ面の目視検査によって仕上げのグレードを確認することができる。 (多様なグレードに対応するおおよそのRA(粗さ平均)の読み取り値:グレード1は概ね50~20のRAに対応し、グレード2は概ね19~11のRAに対応し、グレード3は概ね5~0のRAに対応する。なお、バニシング時の仕上げの品質は、仕上げステップで得られる仕上げの品質に依存するので、これにより、通例は、グレード1の表面が得られる。バニシングによって達成されるより高品質の仕上がりは、概ね外観が滑らかである。従来のコンクリートとは異なり、本発明のバニシング済み表面の光沢は、保護剤またはシール剤を使用せずに達成されることに留意されたい。
【0034】
床磨き機の作動速度は、仕上げ機よりもはるかに高速(rpm)であることから、これまで、仕上げ面でバニシングマシンを使用する前に、仕上げが完了してから少なくとも約3~4日、最長で28日以上待つ必要があった。当該技術分野において公知であるように、従来の使用は概ね有意な損傷のリスクに曝されていた。例えば、スクラッチ(かなりの深さ2~4mmに及ぶ恐れがある)、および骨材が仕上げ面に露出することなどである。注目すべきことに、本明細書に開示および記載されるアモルファスシリカで調製されたコンクリート、ならびに本明細書に開示および記載される配合物の局所仕上げを使用することによって、必要に応じて、コンクリート表面に損傷を与えることなく、仕上げ直後にバニシングすることが可能となる。
【0035】
より具体的には、下記の節「コンクリート性能を向上させるための方法および組成物」に記載されているようにアモルファスシリカで調製されたコンクリートは更に、前述の配合物を局所仕上げに使用して調製されている。本明細書に記載されているように、コンクリートの表面を損傷することなしに、仕上げステップの直後にバニシングすることが可能である。例えば、
図1に描写されているコンクリートスラブは、百重量当たり4オンス(約113.4グラム)のE5 INTERNAL CUREを含有するものであり、E5仕上げは、1ガロン当たり1000平方フィート(約92.9平方メートル)の割合で仕上げとして局所的に使用されている。仕上げステップの終了直後に、バニシングプロセスが開始された。
図1に図示されている表面は、27インチのバーニッシャーが2500rpmで作動しているにもかかわらず、損傷を被っていない。
図2に図示されている表面は、ほぼグレード1からほぼグレード2に変換されたものである。
【0036】
バニシングマシンは通例、3つのサイズ(直径17インチ、20インチおよび27インチ)が出回っている。直径の大きいマシンは作動速度が2500rpmという高速に達する。概して、速度が高速なほど、透明度および光沢に優れる。本発明の注目すべき特徴の1つは、従来の方法で製造されたコンクリートの場合、グレード2またはグレード3の光沢品質を実現するためには、バニシング前にガードまたはシーラーを塗布することを要するのが一般的であり、バニシングを開始するまでに、28日間を要することもしばしばである。本発明のコンクリートは、コンクリート表面を損傷することなしに、そしてガードまたはシーラーを塗布することなしに、仕上げの直後にバニシングしても差し支えない。理論に束縛されるものではないが、持論によれば、仕上げおよびバニシングのステップにより、アモルファスシリカが局所配合物と反応してガラス様の物質または相が生成される。反応の完全性が高まることは、仕上げ機のrpmおよびバニシングマシンのrpmが増大することに関連している。また、仕上げステップと同様に、マシンと床の間に存在する摩擦が少なく、RA(粗さ平均)の数値が低くなり、バニシングパッドの寿命が長くなることも観察されてきた。
【0037】
使用されるバニシングパスの数は通例、透明度および光沢を実現するうえで必要な数である。グレード1の仕上げをグレード2の仕上げに変換するために必要なパスの数は、3~4の場合もあれば、4~20の場合もある。グレード1をグレード2に変換するには、表面の1000平方フィート(約92.9平方メートル)ごとに約20分の高速バニシングが必要になる場合がある。これまでに観察されてきたように、仕上げ時に床に光沢が出ない場合は、磨耗する可能性が低減する。経験によれば、例えば1~24時間以上など、終了後しばらく待機してバニシングを開始すると、状況によっては、バニシングの透明度が向上する場合がある。
【0038】
以下に開示されているのは、コンクリートミックスを調製するための改良型配合物および方法であり、これらは、本発明の仕上げ(または表面処理)配合物および上記に開示されている方法と併用するのが、好ましい。最後の3つの実施例は、コンクリート配合物および方法の開示に関する。
【0039】
コンクリート性能を向上させるための方法および組成物
コンクリートは、大昔から建築の基本要素であった。コンクリートは、タイプにも依るが、圧縮強度が、要素の厳しさおよび継続的な公共の使用に耐えるのに十分であり、時間の経過による構造の劣化はほとんどない。その有用性に不可欠なのは、未硬化コンクリートの含水混合物の注入可能なレオロジーである。コンクリートの流し込み性により、硬質形状に硬化する前に、例えば型やその他の制約を伴う構造成形が可能となる。コンクリートの成形および硬化の両方において、水が作用するが、これまでは、コンクリートの注入性が高まるように水を注意深く管理する必要があった。コンクリート中の水分が多すぎたり少なすぎたりすると、硬化中いつでもコンクリートの硬化プロセスに悪影響を及ぼし、コンクリート製品が構造的に損なわれるに至る恐れがある。
【0040】
コンクリートの硬化における水の作用のなかでも重要なものには、概ね3通りがある。まず、乾燥セメントの水和には水が必要である。水和反応(硬化)は、コンクリート形成反応(C-S-H形成反応)であり、水は、コンクリートに圧縮強度を与える結合が形成される反応に関与している。理論的には、水和反応が完了すると、圧縮強度が最大限に高まったコンクリートが形成される。事実上、硬化の初期段階において、水和反応は、かなりの程度まで進行するのが一般的であるが、後になってから、硬化コンクリートの表面から水が蒸発して制限される。コンクリートの水和は、風速、相対湿度、温度などの周囲条件に大きく影響される可能性がある。ゆえに、コンクリートは、部分的にしか硬化していなくても「乾燥」する可能性がある。コンクリートの表面は、時期尚早に乾燥した場合、水和が不完全になり、多孔質でしかも弱い表面が得られる。コンクリートがそのフルストレングスポテンシャル(full-strength potential)に達するためには、水が長期間、しばしば数日間にわたって継続的に適所にあることを要するのが、通例である。事実上、コンクリートが最大限の強度(full-strength potential)に至るまで硬化することは極めて稀なことである。
【0041】
水の第二の機能は、コンクリートの注入性を促す助けをすることにある。セメントに水を添加した際、但し大規模に水和が発生する前に、最終的に水和に関与する水の多くが、既にコンクリート中の添加剤および水酸化カルシウムに関連している。この関連する水より過剰な水は、概ねコンクリートの流動性に寄与する。「過剰な」水の増大は通例、コンクリートの流動性の増強に相関する。
【0042】
全般的に、そのような過剰な水は比較的少量であったとしても、コンクリート製品に有害であると業界では考えられている。環境条件(風、相対湿度、および温度)によって、スラブの表面が内部よりも速く乾燥する可能性がある。内部の水が、内側に封入されることもしばしばである。セメントに対し水を添加することから、或る程度の水和が開始され、注入直後に、水分補給が順調に進行する可能性がある。閉じ込められた水は、比較的乾燥した部分硬化表面によって形成された毛細管を通過して表面に逃げ出す場合がある。代わりに、閉じ込められた水が硬化コンクリート内に貯留層を形成し、硬化コンクリート製品にボイドが生じる可能性もある。毛細管および貯留層は両方とも、結果として得られた硬化コンクリートの圧縮強度を損なう可能性があり、また、その耐用年数中に、環境水をコンクリートに浸入させ、凍結損傷やその他の水を介した損傷プロセスによってコンクリートを劣化させてしまう恐れもある。
【0043】
更になお、水和に関与しない水(すなわち、コンクリートと化学的に結合しない水)は、注入されたコンクリートの体積を本質的に増し、乾燥中にこの水が失われると、通常は、硬化中にコンクリートが或る程度収縮する結果に至ると考えられる。にもかかわらず、コンクリートは、実用に耐えるものとすべきである。ゆえに、水和(硬化)および作業性を最大限に高め、且つ水和/乾燥中のコンクリートの収縮および構造的損傷が最小限に抑えられるように最適な量の水を含めることは、依然として微妙なバランスを取る行為であり、環境要因によって更に困難となる。
【0044】
水の第3の機能は、部分硬化表面の仕上げを可能にすることにある。この部分的に硬化された表面は、蒸発により乾燥し得る。時期尚早に乾燥する表面は、仕上げが困難となるのが、通例である。そのような表面に水を加えて、打ち落とし、閉鎖、および仕上げを促進するのが、通常の慣行である。特に毛細管が存在する場合には、添加された水が表面に浸透する可能性がある。このような水は、コンクリートが乾燥しているように見える場合でも、長期間にわたってゆっくりとコンクリートから脱離するのが、一般的である。シーリングなどの更なるステップ、または床タイルもしくはカーペットなどの成分を床に固定する必要があるステップに対し、仕上げ水が徐放する影響が及ぶことも、しばしばである。例えば、水放出の遅延が原因で、床に設置してから短時間で接着剤が破損することも珍しくない。この水は、大部分が仕上げ水であることも、しばしばである。水を添加した場合でさえも、部分的に乾燥した表面を効果的に仕上げるためには、仕上げ機の設定の値を高くして操作すべき場合も多い。
【0045】
コンクリートに対し追加的にセメント系材料を使用することによって、例えば、水不透過性、圧縮強度、および耐摩耗性などのコンクリート特性を向上させることは、周知である。コンクリートには、水不透過性および圧縮強度を向上させることを目的に更にセメント系材料として、例えばシリカフュームなどの多様な種類の粒子状シリカが使用されている。シリカの問題として一般的なのは、コンクリート配合物の水需要が高まる場合があり、結果として、かなりのブリード水が発生する可能性が高まるのが原因で、硬化中に毛細管およびボイドが形成される確率が上昇することである。ブリード水を低減することを目的に、当該技術分野において、比較的大量のシリカフューム(セメント質材料の5~10重量パーセント)を使用し、水を最小限に抑えるか、あるいは、例えば、セメント質材料に対する水の重量の比率を0.5未満にするといったように、比較的少量に注意深く配分するのが、一般的である。(Design and Control of Concrete Mixtures, Sixteenth Edition, Second Printing (revised); Kosmatka, Steven H.; pg.156)。そのような少量の水は、一般にセメントメーカーが推奨する量を下回っており、コンクリートのレオロジーを有意に損ない、注入または作業を困難にしてしまう恐れがある。
【0046】
驚くべきことに、これまで発見されてきたように、現場打ちコンクリート(poured concrete)設備において、ナノシリカ(すなわち、平均粒子サイズが約55nm未満の粒子を有するアモルファスシリカ)の使用量は、いくつかの実施形態では、約7.8nm未満であるか、または、他の実施形態では、約5~約55nmであるか、または約5~約7.9nmであり、約300~約900m2/gの範囲の表面積を有し、または他の実施形態では、約450~約900m2/gであり、セメント100ポンド(約45.4キログラム)当たり約0.1~約4オンス(約2.8~113.4グラム)のアモルファスシリカ(すなわち、水、骨材、砂もしくは他の添加剤は含まない)の範囲の重量比でコンクリート中に存在するような量では、そのようなアモルファスシリカの非存在下で水和されるコンクリートよりも、硬化中の水分損失率が有意に低下するという結果に至る可能性がある。ゆえに、本発明の方法の新たに注入された部分硬化コンクリートの表面は、他の方法によって調製されたコンクリートの表面よりも長期間容易に作業可能であり、通常蒸発を加速する環境条件に対する感受性が低い。ブリード水、カール、亀裂、および収縮は、有意に低減するのが、通例である。結果として得られた硬化コンクリートの圧縮強度は、有意に増強するのが、一般的である。注目すべきことに、本発明の利点を実現するために重要なのは、水および他の乾燥成分を混合して乾燥成分を完全に湿潤させた後、コンクリートミックスにシリカを導入することである。早期段階、例えば、湿潤前にシリカを導入した場合は通例、ブリード水、亀裂および収縮が、有意に低減することはないが、そのような態様では、非シリカ対照を用いた場合よりも悪化する可能性があるのが実状である。非シリカ対照に関して圧縮強度に改善があったとしても、上記が当てはまる。
【0047】
本開示のコンクリートは、小粒子サイズの高表面積アモルファスシリカを具備し、本アモルファスシリカは、構造目的で当業界において繁用されているよりも、セメントに対してはるかに少ない割合、すなわち、セメントミックス(「cwt」)の重量100重量当たりわずか約0.1~約4オンス(約2.8~約113.4グラム)にて使用されている。追加的な態様において、改良型のコンクリートは、シリカのプロセス固有の添加によって調製される。これらの改良型コンクリートの調製には、圧縮強度を有意に損なうことなく、セメントメーカーが推奨する標準量の水、または推奨量を超える水が使用される場合がある。そのような結果は本当に驚くに値する。そのような水量を使用したにもかかわらず、硬化中にブリード水はほとんどまたは全く観察されない。毛細管およびボイドの形成は最小限に抑えられるか、または本質的に完全に抑制され、硬化中に、コンクリートに保持される水分が増えるため、より多くの水分を長期間にわたって硬化に関与させることで、初期(3日)および特に後期(28日)の両方にて圧縮強度が有意に向上する。
【0048】
低シリカコンクリートは、比較的大量の水を許容するにもかかわらず、他の特性改良の中でもとりわけ、圧縮強度および耐摩耗性に改良が施されたという点で際立っている。シリカの使用量を少量に抑えたことを考慮に入れれば、圧縮強度が向上したことは驚くべきことである。なぜなら、既知の方法では、強度を達成するためにはるかに多くの量を使用したが、場合によっては強度が有意に低減したからである。更になお、コンクリートの耐摩耗性の有意な向上は、通常使用される量が多い場合でも、例えば、シリカフュームなどのシリカを使用しても、通例は観察されていない(id, pg.159)。本明細書に記載されている低シリカコンクリートは、試験ASTM C944によって測定されるように、耐摩耗性を有意に向上させる。(ここで注意すべき点は、前述の規格に関しては、22pd、98kgの負荷を使用するバージョンが、本明細書中の規格に対し全ての参照において使用されていることである。)標準的なコンクリート(すなわち、後述する高表面積のアモルファスシリカを損なうことのないもの)は、損失値が約2.5~約4.0グラムの範囲内であり得る。本明細書中に教示されている低シリカコンクリートは、ASTM C944損失値が1.1グラム以下であり得る。
【0049】
更に驚くべきことに、成分を混合してセメントミックスを形成するプロセスの特定のステップは、新しく注入された部分硬化コンクリート表面の保水性、圧縮強度、および作業性の向上を実現するために重要である。本質的に全てのアモルファスシリカは、例えば、レディーミクスなどの混合機内で、一部または本質的に全ての水と乾燥成分(例えば、セメントミックス、骨材、砂)の結合の後に添加され、混合段階(つまり、実際に注入する前に)で使用される。「本質的に全ての水」とは、アモルファスシリカ配合物の一部である水、例えば、アモルファスシリカのコロイド懸濁液の生成に関与する水で、通例はコンクリートミックスに添加される水よりもはるかに少量であることから、「本質的に全て」という意味範囲に含まれない該水を意味する。特に便宜的に為されるのは、最終的な混合および注入に先立って、水の最後部分、すなわち、「尾水」の後に、またはいくつかの実施形態では、一緒に、小粒子サイズのシリカを加えることである。水の添加を2つの部分に分割することは、レディーミクスを使用すると、第2の部分を使用して残りの乾燥した成分をドラムの口の近くからバルクに洗い流せるという点で、特に便利である。
【0050】
尾水を添加した後に、そのような小粒子シリカの効果が高まったことは、意外であった。当該技術分野における一般概念によると、コンクリートに対しシリカを添加することは、水を添加する前にセメント質材料のミックスに添加されたとしても、これまで概ね効果的であることと考えられてきた。一方、これまでに見出されてきたように、建築スラブの建設に必要な規模にて発見されてきたように、フーチングおよびその他の大規模なコンクリート注入、例えばレディーミクスなどの混合および注入装置を使用し、少量の小粒子サイズのシリカが添加することによって、本明細書に示されているように、或る量の水の後に添加した場合、あるいは、好ましい実施形態では、湿潤したコンクリートに水の第2の部分(「尾水」)と共にまたはその後に添加した場合、任意で、本明細書に開示されているように、一定の時間にわたって混合した場合、水の前に添加した場合、またはセメント質材料を湿潤させる目的に使用される水の部分と共に添加された場合に比べて、はるかに効果的であることが実証されてきた。
【0051】
水、セメントミックスおよび固形物(骨材および砂)が、例えばレディーミクスまたは他のミキサーで混合された後に、アモルファスシリカが添加される毛細管および貯留層の形成を、低減または排除することが可能である。本発明の利点は、完全に水和するうえでコンクリートが要する量を上回る程度に相当な量の水が含有される場合でさえ、コンクリートミックスが得られるのが通例である(セメントミックスは、メーカー仕様に従って完全に水和できるコンクリートを得るための推奨量の水を含んでいるのが、一般的である)という点である。完全な水和に必要な量と等しいか、それを超える水を含むコンクリート、またはセメントミックスのメーカーが推奨するコンクリートが、好ましい。
【0052】
シリカはサイズが大型の場合の方が、コンクリートの圧縮強度が向上することが明らかにされてきたが、周知のように、シリカには水が必要であり、サイズを小型化し、表面積を増やすと、コンクリートに要する水の量が増える。ゆえに、当該技術分野において認識されているのは、1)シリカの粒子サイズを小型化すること、および2)水分含有量を十分に低く保つことによって、毛細管およびボイドの形成が最小限に抑えられる、という点である。ゆえに、粒子サイズを小型とした場合、シリカによって提供される構造上の利点よりも必要な水量の方が優先されてしまうリスクを伴うと考えられている。この事実を例証するため、出願人の所見によれば、所定のアモルファスシリカが、注入可能なコンクリートミックスの調製における他の時点で、例えば、水とセメントミックスが比較的完全に混合される前の任意の時点で(水使用前または水使用時に)セメントまたはコンクリートミックスに添加された場合、これによりセメントミックスが湿潤し、結果として得られた現場打ちコンクリート(poured concrete)が、水とセメントミックスを完全に混合した後にアモルファスシリカを添加した場合よりも、毛細管、ボイド、および/または表面ブリード水が有意に多くなる可能性がある。ゆえに、実に驚くべきことに、セメントおよび水が完全に混合された後の時点でシリカが添加された場合(好ましくはアモルファスコロイドシリカまたは沈降シリカとして)、毛細管およびボイドの形成が低減または排除され、水の蒸発が遅くなり、新規に注入された部分硬化表面は概して、仕上げ水を添加しなくても加工性が容易となる。全般的に、水およびセメントミックスの完全な混合が発生していない場合でも、水の後にシリカを添加すると、或る程度の利益が観察されることが予期される。
【0053】
ナノシリカの粒子サイズおよび表面積などの要因が、コロイド状シリカとしてコンクリート形成用の混合物中に導入されたときに、コンクリートの特性、特に圧縮強度にどのように影響するかについて発見されたことを考えると、ナノシリカを遅延的に添加することに成功したことは、特に驚くべきことであった。当該技術分野におけるいくつかの発見の要約は、発明者らが自身の実験後にはじめて気付く最新の発見であり、下記の通りである。コンクリート形成用の混合物中に、コロイド状ナノシリカ(平均粒子サイズが約100nm未満のシリカ、特に平均粒子サイズが約10~15nm未満のシリカ)を使用した場合、結果として得られたコンクリートにおいて、とりわけ圧縮強度などの特性に関連する問題が生じてきた。例えば、過去の研究から明らかにされてきたように、シリカフューム(約145nm)などのような粒子サイズの大きいシリカの方が、広範囲な粒子サイズおよび負荷において圧縮強度に対しプラスの効果を生ずるのが、一般的である。但し、シリカ粒子が小さいほど、圧縮強度との相関関係がはるかに複雑になる。最近の研究から明らかにされてきたように、ナノシリカ粒子はコロイド溶液中で凝集する傾向がある。(例えば、シリカフュームなどの非ナノサイズのシリカ粒子は、表面電位が大きく、凝集する傾向がはるかに低い。)本研究から更に明らかにされてきたように、そのような凝集物は、コンクリート形成用の混合物中に導入され、その後、例えば撹拌によって十分に分散されない場合、コンクリートマトリックス構造を欠く最終コンクリート製品における空間となって、圧縮強度および他の特性に対し悪影響を及ぼす可能性がある。その一方で、また、本研究から明らかにされてきたように、ポゾラン反応のためのナノシリカによって提供される広い表面積は非ナノサイズのシリカよりもはるかに大きく(1桁以上、多くの場合は数桁)、そのため、C-S-Hマトリックス形成反応は、シリカ表面における反応によって生じた競合を経ることになる。結果として、大量の表面積が利用できる場合、C-S-Hマトリックスが弱くなり、圧縮強度の低下に帰結する可能性がある。ゆえに、圧縮強度を増強するナノシリカ負荷パラメーターの検索によれば、1)コンクリート形成用の混合物中の骨材の持続性と、2)コンクリート形成用の混合物の撹拌または他の分散モードの適用との間には、骨材を低減または排除する一方で、露出したシリカ表面積量の急増に帰結するような、張力が存在し得る。
【0054】
現場において本発明者は、ナノシリカを使用しようと試みて、挫折に遭った。ASTM 305-06などの標準手順により調製した場合、シリカの充填によって、ラボラトリーでの圧縮強度の利得を生ずることが明らかである。一方、レディーミクスプロセスなどの工業用注入の調製を行う上での制約を受けて、より大規模なプロセスで標準的な方法により使用した場合には、圧縮強度の向上が実現不可能となることもしばしばであったのが、見出された。更になお、コンクリートは、理論的に損傷を被り、注入性が劣悪で、しかもシリカを含まない対照に比べてブリード水、亀裂、硬化、および収縮が多く見られることも、しばしばである。
【0055】
そのようにナノシリカが同じ充填レベルに対し手順に依存することは、予期されなかったことであると見なし得る。なぜなら、その明らかな相違は規模にあり、レディーミクスに関連する成分混合が完了するまでの時間が長引くからである。当業者には予期されないことであり得るが、これらのプロセスは、比較的短いタイムスケールで発生する圧縮強度に影響し、コンクリート成分の初期混合に関わることから、混合時間の相違が、圧縮強度に影響を及ぼすことになる。このことが特に当てはまるのは、試験シリンダーが、注入時に採取されること、すなわち、測定された圧縮強度の差異が、スラブのバルクサイズとサンプルのサイズの差異に幾らか起因するものではないことを主張し得ることを想定した場合である。
【0056】
更になお、広範な実験の結果、後述するように、混合プロセスの後半にシリカを添加すると、ナノシリカの圧縮強度を高める効果が回復することが見出された。これは、予期しない結果であった。なぜなら、ナノシリカが最終的に添加されるまでに、ほとんど全ての混合撹拌が済んでいるからである。ゆえに、骨材がコンクリートミックス中に完全に散逸する確率は低下し、理論的には上記のようにコンクリートが弱くなる。全般的に、これまでに見出されてきたように、建設規模では、水の添加にコロイド状ナノシリカを添加すると、コンクリートミックスの注入性が向上し、且つコンクリート製品の圧縮強度、注入性、および耐摩耗性が向上する。また、標準添加サンプルおよびシリカを含まない対照サンプルと比較して、亀裂、カールおよび収縮が減少した。
【0057】
コンクリートミックスは、a)乾燥セメントミックス;b)水;c)アモルファスシリカ;およびd)骨材および/または砂の量を含む成分から生成される。
【0058】
乾燥セメントミックスの含水量は概ね推奨量とされ、この含水量は、コンクリートミックスを提供する水/セメント比を与えるものであり、このコンクリートミックスは、所望される注入特性と硬化特性との組み合わせを有する。いくつかの事例において、推奨される水分含有量には、様々な水分含有量が含まれる。以下に示すように、注入前のコンクリートミックスの初期含水量は、硬化および仕上げ中に問題を引き起こし、結果として生じるコンクリート設備(スラブ、基礎など)の品質を低下させる可能性がある。硬化コンクリートの水媒介構造欠陥を低減する目的からは、「減水剤」および高性能減水剤の使用などの減水対策が採用されるのが、一般的である。ここで留意すべき点は、本発明の利点は、水分含有量がメーカーによって推奨される量を下回る状況において証明されるべきであるが、本発明を使用することによって、コンクリートミックスに含まれる水が乾燥セメントミックスのメーカーによって指定された量以上である状況で、本発明のコンクリートを与えることが可能であるという点である。コンクリートミックス中の減水剤は、不必要とされるのが一般的である。
【0059】
ゆえに、広範な態様において、セメントミックスとコンクリートミックス中に存在する水は、下記の比率にてミックス中に存在する。
或る量の水;および或る量の乾燥セメントミックスであって、前述のセメントミックスの特徴は、下記の通り:
i) メーカー推奨の水/セメント比の値において、前述の推奨された比が、約0.35~約0.65の範囲内にあり、或る量の水と組み合わせた際、水量、水/セメント比は、推奨値よりも約10%小さい値に相当する値を上回り、但し、推奨値よりも約30%大きい値に相当する値を下回ること、
あるいは
ii) メーカー推奨の水/セメント比の範囲が、上限値と下限値とを有し、水の量と組み合わせた際、水/セメント比が、下限値よりも約10%小さい値に相当する値を上回り、且つ上限値よりも約30%大きい値に相当する値以下であること、
あるいは
iii) 水の量と組み合わせた際、水/セメント比が約0.35~0.65の範囲になるような量。
本発明の利点は、概して、商業的に有用なタイプのポルトランドセメントを使用することで明らかになると予期される。セメントミックスは、例えば、タイプI、II、III、IVおよびVのポルトランドセメントなど、建設において汎用タイプのうちの1つ以上である。
【0060】
上記の量の水が、セメントミックスに対し添加される。この量に含まれる水は、少なくともセメントミックスを具備するコンクリートミックスと結合されている全水量のうち、コロイド、分散液、乳濁液およびそれらに類するものの含水配合物の場合にシリカと共に導入された分の水を除いた水量を言う。以下、更に詳述のように、例えば、水の第1の部分をコンクリートミックスと結合させて、しばらくの間撹拌した後、水の第2の部分(例えば、「尾水」)を添加するといったように、少なくとも複数の部分にセメントミックスを含むコンクリートミックスと水を結合させる場合もある。ここで注目すべき点は、コンクリートが部分的に硬化した後、表面が時期早尚に乾燥して収縮を引き起こしたり、後続作業および仕上げが困難となったりするのを未然に防ぐ目的から、コンクリートの表面に水をかける場合があることである。この「仕上げ」水は、水量に含まれていない。他の実施形態において、水/セメント比は、約0.38~0.55の範囲内であり、あるいは、より具体的な実施形態では、約0.48~約0.52の範囲、または約0.38~約0.42の範囲内である。
【0061】
上記i)、ii)、およびiii)を参照した実施形態でより好ましいのは、水とセメントのミックスは、コンクリートミックスに一定の割合で存在するものである。本実施形態において、乾燥セメントミックスの量と当該量の水量を組み合わせた場合、水/セメント比は、下記の通り:
推奨値以上であり、但し推奨値よりも30%大きい値に相当する値以下であるか、あるいは
推奨範囲の上限値以上であり、但し上限値よりも約30%大きい値に相当する値以下であるか、あるいは
0.35以上、0.65以下である。
【0062】
アモルファスシリカの粒子サイズは、特に重要である。微粉化シリカに見られるような大型粒子サイズは、本明細書中で処方されているサイズのアモルファスシリカが規定量で使用されるときに見られる程度に毛細管およびボイドの形成を減少させずに済む粒子サイズとされるのが、一般的である。本発明のコンクリートミックスには、或る量のアモルファスナノシリカが具備されている。該アモルファスナノシリカは、好ましくは、a)中のセメントの百重量(cwt)当たり約0.1~約7.0オンス(約2.83~約198.4グラム)の範囲の量で存在するものであり、平均シリカ粒子サイズが、1~55ナノメートルの範囲であり、および/またはシリカ粒子の表面積が、約300~約900m2/gの範囲内にあるか、あるいは他の実施形態では、約450~約900m2/gの範囲内にあるものである。
【0063】
様々な供給源からのアモルファスシリカが好適とされるのは、上記の粒子サイズと表面積のパラメーターによって特徴付けられる場合だけに限られるのが、通例である。好適なアモルファスシリカの非限定的な例としては、コロイド状シリカ、沈降シリカ、シリカゲルおよびヒュームドシリカが挙げられる。但しながら、コロイド状アモルファスシリカおよびシリカゲルが好ましく、コロイド状アモルファスシリカが最も好ましい。
【0064】
更なる実施形態において、シリカの粒子サイズは約5~約55nmの範囲内である。粒子は、平均粒子サイズが約25nm未満であることが好ましく、平均粒子サイズが約10nm未満であることがより好ましく、平均粒子サイズが約7.9nm未満であることが更に好ましい。コンクリートの好ましい重量比率は、セメント100ポンド(約45.4キログラム)当たり約0.1~約3オンス(約2.83~約85.04グラム)のアモルファスシリカである(水、骨材、砂または他の添加剤を含まない)。コンクリートのより好ましい重量比率は、セメント100ポンド(約45.4キログラム)当たり約0.1~約1オンス(約2.83~約28.34グラム)のアモルファスシリカ(再三繰り返す通り、水、骨材、砂または他の添加剤不含のもの)である。コンクリートで更により好ましいのは、セメント100ポンド(約45.4キログラム)当たり約0.45~約0.75オンス(約12.8~約21.3グラム)のアモルファスシリカ(再三繰り返す通り、水、骨材、砂または他の添加剤不含のもの)である。驚くべきことに、アモルファスナノシリカがセメントミックス100ポンド(約45.4キログラム)当たり約3~約4オンスを超える場合、コンクリートミックスは、注入または作業が困難となる場合があり、非シリカ対照に関してさえ、圧縮強度が大きく損なわれる恐れがある。それ以外の場合、セメント100ポンド(約45.4キログラム)当たり約1オンスを超える量は概して、セメント100ポンド(約45.4キログラム)当たり約0.45~約0.75オンス(約12.8~約21.3グラム)のアモルファスシリカの好ましい範囲に関して、圧縮強度の利得が低減する。所与の好ましい範囲は、最も経済的に実現可能な範囲であり、すなわち、その範囲を超えると、圧縮強度の利得は、シリカの添加単位当たりより少なく、圧縮強度の単位増加当たりのシリカのコストは、コンクリートのコストを法外に高くする可能性がある。
【0065】
アモルファスシリカの表面積は、約50~約900m2/グラムの範囲であることが好ましく、約150~約900m2/グラムがより好ましく、約400~約900m2/グラムが更に好ましく、450~700m2/グラムまたは500~600m2/グラムが更に好ましい。アモルファスシリカは、アルカリ性pH(約pH7以上)を有するものが好ましく、そのpHの範囲は8~11がより好ましい。
【0066】
更に別の実施形態において、アモルファスシリカは、E5 INTERNAL CUREを使用することによって提供される。このE5は、約85重量%の水中に約15重量%のアモルファスシリカを具備する、Specification Products, LLC社から市販されている添加剤である。シリカ粒子の特性は、平均粒子サイズが約10nm未満(BET法で測定)、表面積が約550m2/gである。一実施形態において、セメントに対するE5 INTERNAL CUREの重量比率は、E5 INTERNAL CURE約1~約20オンス(約28.3~約566.9グラム)乃至セメント100ポンド(約45.4キログラム)(水、砂、骨材、またはその他の添加剤を含まない)の範囲内である。より好ましくは、セメントに対するE5 INTERNAL CUREの重量比率は、E5 INTERNAL CURE約1~約10オンス(約28.3~約283.5グラム)乃至約セメント100ポンド(約45.4キログラム)(水、砂、骨材、またはその他の添加剤を含まない)の範囲内である。セメントに対するE5 INTERNAL CUREの重量比率としてより好ましいのは、E5 INTERNAL CURE約1~約5オンス(約28.34~約141.748グラム)乃至セメント約100ポンド(約45.4キログラム)の範囲内であり、E5 INTERNAL CURE約3~約5オンス(約85.04~約141.748グラム)乃至約セメント100ポンド(約45.4キログラム)(水、砂、骨材、または他の添加物を含まない)が更に好ましい。驚くべきことに、約20オンス以上のE5、乃至約セメント100ポンド(約45.4キログラム)(再三繰り返す通り、水砂、骨材、またはその他の添加剤不含のもの)を使用した場合、追加的な有益な水または圧縮強度の利点が全く観察されないか、最小限にしか観察されない可能性があるという点で、利点が失われると考えられる。結果として得られたコンクリートミックスは、品質が劣悪なものとなる恐れがある。ここで注意すべき点は、コンクリートの品質は、セメント100ポンド(約45.4キログラム)当たり約3~約5オンス(約85.05~約141.75グラム)という好適な範囲に対する距離にて低下するが、圧縮強度は、E5 INTERNALCUREコロイドアモルファスシリカを含まない場合よりも改善される可能性のあることである。好ましい実施形態において、コンクリートミックスに添加されるコロイド状シリカは、約40~約98重量%のシリカの範囲であり、60~95重量%が好ましく、70~92重量%がより好ましく、75~90重量%が更に好ましい。
【0067】
概して、骨材および砂は、本発明のコンクリート中に、建設目的で当該技術分野において公知の量にて使用すると良い。一実施形態において、或る量の骨材および/または或る量の砂は、合計で約400~約700重量%bwocの範囲の量になるように使用される。コンクリートミックスは、セメントミックス、水、および好ましくは或る量の骨材および砂(当該技術分野ではそれぞれ「大骨材」および「小骨材」と呼称されることもある)を具備する成分で調製されるのが、一般的である。コンクリートミックスは、砂のみまたは骨材のみなど、2つ在るうちの1つだけを具備することが許容されるが、ミックスは少なくともそれぞれの量を具備することが好ましい。砂および骨材は、セメント混合物のシリカ含有量に寄与する可能性があるので、コンクリートミックスの必要水量に影響を及ぼす(つまり、幾分かは上昇させる)場合がある。通例は、コンクリートを使用する用途に適したほとんどの種類の骨材が使用可能であり、例として挙げられるのは、大型の骨材、例えば、粗い、砕いた石灰石の砂利、大型グレードの粉砕済み清浄石およびそれらに類するもの、ならびに小型の骨材、例えば、小型グレードの粉砕済み清浄石、細かい石灰石の砂利およびそれらに類するものである。同様に、ピット(粗)砂、川砂およびそれらに類するものなど、多くの種類の砂を使用することができる。コンクリート用途では、「軟砂」よりも「粗砂」が好まれるのが通例であり、「軟砂」の方は、モルタル中に使用した方が適切であることが公知である。但し、コンクリートの調製に使用する場合、軟砂は、水要件が粗砂とは異なると予期されるのが、一般的である。当該技術分野において公知であるように、重量荷担用途では、粗粉砕された石灰石のような、大型の骨材が必要になる場合がある。そのような大型の骨材は、現場打ちコンクリート(poured concrete)用途に好ましく、特に注入建物のスラブでの使用に対応しているのが、大型の骨材、例えば、粗粉砕済み石灰岩の砂利、ならびに大型グレードの粉砕済み清浄石およびピット砂である。
【0068】
セメントの重量(bwoc)に基づく骨材および砂の比率は、乾燥セメントミックス1ヤード当たり約2000~約4000ポンド(約907.18~約1814.37キログラム)の範囲(1ヤード当たり約520~約610ポンド(約235.87~約276.69キログラム)、またはより好ましくは1ヤード当たり約560~約570ポンド(約254.01~約258.55キログラム)、更により好ましくは1ヤード当たり約564ポンド(約255.8キログラム)(約255.83キログラム)の範囲内であることが好ましい。より好ましいのは、乾燥セメントミックス1ヤード当たり約2700~約3300ポンド(約1224.69~約1496.86キログラム)の範囲の骨材および砂の合計比率である。より好ましいのは、乾燥セメントミックス1ヤード当たり約2900~約3100ポンド(約1315.4~約45.4キログラム)の範囲となることである。別の実施形態では、骨材および砂の重量は、コンクリートの重量を基準にして50~90重量%の間であり、約70~約85重量%の範囲が好ましい。骨材および砂の相対量は、決定的な重要性を持たないが、砂および骨材の合計重量を基準にして、砂が約20重量%~約70重量%の範囲内であることが好ましく、砂が約40重量%~約50重量%であることが好ましい。
【0069】
特に商業規模の注入において発見されてきたように、本開示の利益を得るうえで必要とされる少量のアモルファスナノシリカでさえ、水の前にセメントミックスに添加されると、コンクリートミックスの注入性に対しても有害となる恐れがあり、結果として得られたコンクリートの品質として、コンクリートが不適なものとされる場合さえある。本発明のプロセスは、或る量のアモルファスナノシリカの添加に先立って或る量の水の少なくとも一部を添加し、アモルファスシリカの添加に先立って水を分配するために、添加している間に少なくとも一定時間撹拌するという状況を含むのが、通例である。実際には、必要に応じて、調製プロセスの後半で水を添加しても差し支えない。例えば、第1の部分の添加および撹拌の後に、一部分を「尾水」として添加する慣行のように、2つ(またはそれ以上)の部分にて水を添加することが公知となっている。一実施形態において、アモルファスシリカは、第2の部分の水と共にコロイド状シリカとして添加される。好ましい実施形態では、2部分にて添加された水の添加後に、コロイド状シリカを添加して、各部分の添加後に撹拌する。
【0070】
ゆえに、より全般的には、或る量の水を全体として添加する場合もあれば、または、水量の約20重量%~約95重量%の範囲を含む、初期部分と、残りを含む尾水部分とを含む部分に添加する場合もある。この場合、水の初期部分を、当該量のセメントミックスおよび骨材/砂成分と結合し、第1のミックスを形成し、アモルファスシリカを、或る量のセメントミックス、骨材/砂成分、および水の初期部分を含むミックスに添加して、第2のミックスを形成する。更により好ましいのは、水の量の35~約60重量%の範囲を含む初期部分である。
【0071】
下記3通りの状況(すなわち、「状況1」、「状況2」および「状況3」)はそれぞれ、i)尾水の添加後のシリカを添加すること;ii)尾水を添加する前にシリカを添加すること;iii)シリカと尾水を同時的に添加することに対応している。
【0072】
覆水を添加する実施形態では、尾水を、1)第1のミックスに添加するか、2)第2のミックスに添加するか、または3)第1のミックスにアモルファスシリカと同時添加し、アモルファスシリカおよび尾水を、任意で、相互結合して、1)第1のミックスを、尾水の添加前の時間t11、尾水の添加後、但しアモルファスシリカの添加前の時間t12、およびアモルファスシリカの添加後の時間t13の間撹拌するか、または、2)第2のミックスを、アモルファスシリカの添加前の時間t21、アモルファスシリカの添加後、但し尾水の添加前の時間t22、および尾水の添加後の時間t23にわたって撹拌するか、または3)アモルファスシリカと尾水を共添加する前に、第2のミックスを時間t31撹拌し、次いで、コンクリートミックスを時間t32の間撹拌する。
【0073】
状況1)において、水(尾水)の第2の部分が、水の第1の部分、当該量のセメントミックス、および砂/骨材成分を含むコンクリートミックスに添加される場合、t11は、約2分~約8分の範囲内であることが好ましく、約3~約6分がより好ましい。混合速度(例えば、レディーミクスなど)は、約2~約5rpmの範囲内であることが、好ましい。時間t12は、好ましくは約0.5~約4分の範囲内であり、より好ましい範囲は約2~約5rpmの範囲の混合速度にて約1~2分の範囲内である。時間t13は、好ましくは約2~約10分の範囲であり、約5~約10分の範囲がより好ましく、約12~約15rpmの範囲の速度で比較的高い混合速度を伴う。高速混合後、例えば、注入部位へのトランジット時間などの時間の間、速度を約2~約5rpmの範囲の速度に低下させてもよい。トランジット時間の基準は、米国コンクリート学会(American Concrete Institute)によって設定されている。例えば、コンクリートは、温度が90°F(約32.2°C)以上の場合は高速混合の終了から60分以内に、温度が90F未満の場合は90分以内に注入する必要がある。
【0074】
状況2)において、水(尾水)の第2の部分が、水の第1の部分、当該量のセメントミックス、および砂/骨材成分、およびアモルファスシリカ含有のコンクリートミックスに添加される場合、t21は、約2分~約8分の範囲内であることが好ましく、約3~約6分がより好ましい。混合速度(例えば、レディーミクスなど)は、約2~約5rpmの範囲内であることが、好ましい。時間t22は、好ましくは約0.5~約2分の範囲内であり、より好ましい範囲は約2~約5rpmの範囲の混合速度にて約0.5~1分の範囲内である。時間t23は、好ましく約2~約10分の範囲であり、約5~約10分の範囲がより好ましく、約12~約15rpmの範囲の速度で比較的高い混合速度を伴う。高速混合後、例えば、注入部位へのトランジット時間などの時間の間、速度を約2~約5rpmの範囲の速度に低下させてもよい。上記されているように、トランジット時間の基準は、米国コンクリート学会(American Concrete Institute)によって設定されている。
【0075】
状況3)では、尾水を、第一のミックスにアモルファスシリカと一緒に添加する。この場合、アモルファスシリカおよび尾水は、任意で、相互結合され、t31は、好ましくは、約2~約8分の範囲内であり、約3~約6分がより好ましく、混合速度(例えば、レディーミクス)好ましくは約2~約5rpmの範囲内である。時間t32は、好ましくは約2~約10分の範囲であり、約5~約10分の範囲がより好ましく、約12~約15rpmの範囲の速度で比較的高い混合速度を伴う。高速混合後、例えば、注入部位へのトランジット時間などの時間の間、速度を約2~約5rpmの範囲の速度に低下させてもよい。上記されているように、トランジット時間の基準は、米国コンクリート学会(American Concrete Institute)によって設定されている。
【0076】
別の実施形態では、当該の量のセメントミックスおよび骨材/砂成分に対し全量の水を加えてミックスを形成し、次いで、前述のミックスをta時間撹拌してから、アモルファスシリカを添加し、その後、tb時間撹拌してから、コンクリートミックスを注入する。湿潤バッチプロセスの場合は、一度に全量の水を添加すると便利である。時間taは、好ましくは約2~約8分の範囲内であり、約3~約6分がより好ましく、混合速度(例えば、レディーミクスなど)で、好ましくは約2~約5rpmの範囲内である。時間tbは、好ましく約2~約10分の範囲であり、約5~約10分の範囲がより好ましく、約12~約15rpmの範囲の速度で比較的高い混合速度を伴う。高速混合後、例えば、注入部位へのトランジット時間などの時間の間、速度を約2~約5rpmの範囲の速度に低下させてもよい。上記されているように、トランジット時間の基準は、米国コンクリート学会(American Concrete Institute)によって設定されている。本発明の利点が観察されるのは通例、水を単回添加する場合である。但し、実際的には、水を2つの部分に分割することが厳守される。第1の部分を具備するコンクリートミックスを撹拌した後に、第2の部分を使用した場合の利点は、バレルの口の近くから、混合が不十分なセメントミックスのレディーミクス残骸に洗い流されるという点である。
【0077】
コンクリート混合物は、湿潤、すなわち「中央ミックス(central mix)」バッチ状況にて、または乾燥、すなわち「トランジットミックス(transit mix)」バッチ状況にて調製される場合がある。湿潤バッチモードでは、上記のいずれかの方法で、乾燥成分を一定量の水と混合し、続いてアモルファスシリカを混合してコンクリートミックスを生成する。ミックスは上記のように撹拌されるか、あるいはレディーミクスに導入されて上記のようにレディーミクス中で撹拌される。本質的に、湿潤バッチと乾式バッチの状況は似ているが、湿潤バッチの手順の一部がレディーミクスの外部(例えば、プラント)で実行される点が異なる。乾式バッチ処理(「トランジットミックス」)の方が、幾分かは好ましい。例えば、水の総量の40±20%、あるいは、更なる実施形態では、水の総量の±10%が、コンクリートミックスの調製に利用され、バッチで使用される砂および粗骨材がレディーミクスに充填される。セメントミックス、粗骨材、および砂を一体的に混ぜ合わせて、レディーミクスに充填する。その後、残りの水をレディーミクスに充填する。乾燥成分および水が完全に混合された際、アモルファスシリカを添加し、混合物を5~10分間混合する。混合は、好ましくは、比較的高いドラム回転速度、例えば、約12~約15rpmの範囲の速度にて実行される。いったん混合がより高速に実行されると、バッチの注入が可能になる。但し、高速混合と注入の間に、注入部位へのトランジット時間などの期間を見込むことは許容される。コンクリートが、例えば、約3~約5rpmなどの低速で混合される限り、高速混合から注入までの時間は約1分~約60分までの範囲内で許容されるのが、通例である。
【0078】
一実施形態において、いったんレディーミクスが注入部位に到達したら、水、セメントおよび他の乾燥成分を含むレディーミクスにシリカを添加すると特に便利である。更に、アモルファスシリカが添加された後、コンクリート/シリカ混合物は、注入前に、しばらくの間、最も好ましくは少なくとも約5~約10分間混合すべきであることが、見出されてきた。但しながら、本発明の利益を少なくとも幾分かは得ることに関して、他の期間が許容される場合もある。
【0079】
前述のプロセスの商業的に使用される変形において本発明の利点を予期し得るのは、乾燥成分と水の第1および第2の部分(または水の第2の部分)とを混合した後、最後にアモルファスシリカを添加した場合で、且つ、シリカ添加済み混合物が、注入前に本明細書中に指定されている時間にわたって混合した場合だけに限られる。
【0080】
次いで、コンクリートミックスを注入し、コンクリート設備を形成する。好ましい実施形態では、コンクリートミックスを、フーチングまたはスラブの調製などの、工業規模の注入状況にて形成し、撹拌する。追加的な実施形態において、コンクリートミックスの生産は、その生産中にミックスを保持し、例えば、レディーミクスのようなミックス撹拌機能が装備された設備を使用して、その設備内で行われる。
【0081】
本発明のプロセスの1つの利点は、例えば、本発明に従って配合されたスラブなどのコンクリート層中の水は、蒸発によって失われるというよりは寧ろ、層内に固定化されているように見えることである。この水の大部分の宿命として最も考えられるのは、毛細管およびボイドを形成するのではなく、長期間水分補給に関与することである。ゆえに、コンクリートスラブ、壁、およびその他の地層は、厚さに関係なく、ボイドと毛細管の減少または欠如、および圧縮強度の相関的な増加が見られるものと予期される。構造が改善され、且つ最大約20フィート(約6.1メートル)の厚さの圧縮強度を備えたコンクリート形成物を、本発明のコンクリートを用いて形成することが可能である。
【0082】
本発明のプロセスの利点は、現場打ちコンクリート(poured concrete)は、温度、相対湿度、および風などの空気の動きのような環境条件に起因する乾燥が原因で損傷を受けることが少ないという点である。例えば、良質コンクリートを製造するには、風速を最高時速50マイルとし、温度を最高120°F(約48.89°C)乃至最低10°F(約-12.22°C)とし、相対湿度を最低5%乃至最高85%、更にはそれ以上とする場合がある。
【0083】
本発明の方法によって形成されたコンクリートの圧縮強度は、類似または好ましくは同じ方法、但し、水、セメントミックス、および充填材(骨材、砂およびそれらに類するもの)を混合した後にシリカを添加したことを除く該方法を用いて形成されたコンクリートに関しては、増加するのが一般である。「類似」または「同じ」は、風速、相対湿度、温度プロファイルなどの環境条件、および圧縮強度の増加の評価に関する日よけや熱放射環境などの他の環境要因に適用される。注入器の制御範囲内にある要因、例えば、混合時間、混合パラメーター、注入パラメーター(つまり、スラブの寸法)などは、考慮され易い。圧縮強度の増強は、アモルファスシリカの添加を除いて同一である注入から評価するのが、好ましい。好ましい実施形態では、同じ量の同一の成分から同時に、但し別個のレディーミクス内で調製され、同時に、但し別々のレディーミクスを使用してサイド・バイ・サイドで注入された注入物から評価を実施する。そのような注入は「実質的に同一」である。
【0084】
圧縮強度の増加は、実質的に同一な一対のシリカを含まない注入物の圧縮強度を基準にして、約5~約40%またはそれ以上の範囲にあり得る。より全般的に観察される実施形態において、実質的に同一な注入によって評価される圧縮強度の増加は、約10~約30%の範囲内である。
【0085】
本発明のコンクリートは概して、例えば、スラブ、フーチングおよびそれらに類するものなどの現場打ちコンクリート(poured concrete)を必要とする用途に使用することができる。本発明の利点は、調製されたコンクリートは、水の浸透に対する耐性が概ね高いことから、特に湿気に曝露され易く、関連する損傷、例えばフーチングが発生しがちな注入の用途において使用しても差し支えないことにある。
【0086】
以下に示すように、本発明に含まれる発見は、コンクリートミックスに対し、ナノシリカを好ましくはコロイド状シリカとして添加すると、少なくとも一部の水を添加した後、セメントに対し他の特性、例えば、耐摩耗性および透水性などのなかでもとりわけ圧縮強度に関し改善が施される。
【0087】
当該技術分野において使用される様々なサイズの砂および骨材などの添加剤コンクリート成分は、通例、本発明によって提供される利点を損なうことなしに、本発明のコンクリートに使用して差し支えない。
【0088】
ゆえに、概ね欠陥が無く、輸送水量の多いコンクリート由来のコンクリートに関連のあるコンクリートを調製する際には、十分な水分を含有するコンクリートを、水和、注入、および作業に利用することが可能である。本発明の組成物によって、コンクリートは、アモルファスシリカ無添加のコンクリートに比べて早期に露出面が乾燥する確率が低下するように、水分を保持するものとなる。相対的な保水効果は、表面が通常乾燥しがちな周囲条件においても、観察される。ゆえに、標準的なコンクリートよりも広範囲な環境条件下にてコンクリートを注入する場合がある。したがって、表面を仕上げる際には、表面水の量を減らす場合もあれば、または、場合によっては、表面水を添加しない場合もある。
【0089】
際立っている点は、含水量が同程度のコンクリートに比べて、収縮が低減することであり、更に際立っている点は、圧縮強度が増加することである。この結果は、コンクリートに含有されている輸送水の量が、アモルファスシリカ不在下にて毛細管およびボイドが形成されるリスクに曝される量である場合でさえも得られるのが、一般的である。
【0090】
理論に束縛されるものではないが、推測によれば、アモルファスシリカは、硬化中に水を固定化して、水が移動するのを防ぎ、蒸発を遅延させ、且つ毛細管およびボイドの形成を遅延させる可能性がある。そのような固定化は、水が長期にわたって水和に関与することを妨げず、それにより圧縮強度が予期せず増加することは驚くに値する。
【0091】
本発明の包括的な利点は、概ね蒸発によって水が消失するおかげで、硬化反応(水和)において水の使用量が過剰にならずに済むという点である。コンクリートが完全に水和するうえで理論的に必要とされる水位よりも低い水位にて、コンクリートが注入された場合、ならびに、水位が、水和に理論的に必要とされる水位を超えが場合でも、そのような利点を得ることが可能である。
【0092】
既存のコンクリートの調製および注入プロセスの問題は、注入が最適な条件に満たない場合に発生するリスクである。以下に示すように、他の環境要因の中でも、相対湿度、風速、および温度は、標準的な注入を日常的に損なう。原因は、コンクリート上およびコンクリート内の様々な場所における水位に影響を及ぼすからである。これは、収容された水の量が、推奨値の範囲であろうと単一の指定された最適値であろうと、セメントミックスメーカーによって指定された推奨水量に準拠している場合でも発生する可能性がある。本発明は、水関連の問題のリスクを低減して、セメントメーカーによって推奨された含水量にて操作することを可能にしている。これらの推奨値は概して、水和反応を許容可能な程度まで、または場合によっては完了するまで進行させるために必要とされる水量に対応している。本発明の実施において、水の使用量は、セメントメーカーによって指定された量とすることが、好ましい。一方、本発明はまた、水分量がメーカー指定の水分量から逸脱している場合でさえ、他のプロセスに関する水問題のリスクを低減する。ゆえに、いくつかの実施形態では、含水率は、本明細書に記載のコロイド状アモルファスまたは他のシリカの添加に先立ってセメントに添加した水の重量を基準として、メーカー仕様で指定された最低値の約-30%乃至、メーカー仕様で指定された最大値の+30%の範囲内にある。
【0093】
本発明の更に別の利点は、その配合物の能力に由来するものであり、毛細管およびボイド貯留層を形成することなく、長時間の水分補給用の水分を保持することにある。当該技術分野において公知であるように、骨材、砂、およびその他の一般的に含まれる増量用および強化用の材料をセメントに添加してコンクリートを形成するには、概して、それらをコンクリートに収容するためには更に水を要し、それにより、実際に毛細管、特にボイド貯留層の形成を促進し得る。このような貯留層は、収容された材料の表面に関連付けられ、それらに関連して配置される。全般的に、最も好ましい骨材および材料は、それら骨材および材料がその表面積全体にわたってコンクリートと密接に関連し、水和中に、関連する圧縮強度の損失に伴って、貯留層形成が最小限に抑えられるような品質のものである。但し、そのような高品質な材料を収容した場合、不経済となるのが、普通である。驚くべきことに、骨材が存在する場合でも、アモルファスシリカ粒子を含めることで、ボイド貯留層および毛細管の形成を低減または防止することが可能である。理論に束縛されるものではないが、そのような欠陥、特にボイド貯留層が減少すること、および関連する圧縮強度が増加することは、材料の品質が最適ではないにもかかわらず、高表面積のアモルファスシリカ粒子が含まれる材料との直接的な関連に関与していることを示す傾向がある。この関連によって、水が排除され、収容されている材料に対するコンクリートの付着力が強化される場合がある。
【0094】
本発明の更にもう1つの利点は、いわゆる「高性能減水剤」を使用せずに、調製済みコンクリート配合物が注入可能および/または実用可能であり得ることである。そのような高性能減水剤の非限定的な例としては、リグニンスルホン酸塩、スルホン化ナフタレンホルムアルデヒド重縮合物、スルホン化メラミンホルムアルデヒド重縮合物、ポリカルボン酸エーテル、およびエマルジョンであるか、分散液であるか、粉末であるか、それとも他の化学形態であるかどうかにかかわらず他の高性能減水剤成分が挙げられる。一実施形態において、本発明のコンクリート配合物は、高性能減水剤を含まずに注入可能であり、高性能減水剤を含まないか、または本質的に高性能減水剤を含まない。「本質的に高性能減水剤を含まない」とは、高性能減水剤の含有量が、セメントの重量を基準にして約0.1%未満の微量であることを意味する。
【0095】
以下は、本発明において使用できる混合物の非限定的なリストである。代替的に、本発明のコンクリート混合物は、以下の添加剤の一部もしくは全部、または他の添加剤を含まない場合がある。下掲のリストは、ASTM C494カテゴリに従って順序付けられている。収録されているのは、ASTMC-494によって認定されているものと認定されていないものが混在している。
【0096】
混和剤を、粉末または液体として添加する場合がある。
・通常の減水剤および遅延剤(タイプA、B、D)
・公称投与量範囲:0.5~6OZ/C
・超可塑剤:通常の設定および遅延(タイプF、G)
・公称投薬量範囲:2~40OZ/C
・混合の加速:減水または非減水(タイプC、E)
・公称投薬量範囲:2~45OZ/C
・ASTM C494に定義されているタイプS混和剤:
・ミッドレンジの減水剤および遅延剤
・公称投薬量範囲:2~45OZ/C
・腐食防止剤
・公称投薬量範囲:0.25~5GAL/YD
・MVRA(水蒸気低減混和剤)
・公称投薬量範囲:5~24OZ/C
・SRA(収縮低減混和剤)
・公称投薬量範囲:0.25~5GAL/YD
・水和安定剤
・公称投薬量範囲:0.5~24OZ/C
・粘度調整剤
・公称投薬量範囲:0.25~8OZ/C
・空気連行混和剤;
・公称投薬量範囲:OZ(空気取り込みの必要に応じて):0.1~36OZ/C
・着色剤;液体および固体
・公称投薬量範囲:0.1~20LB/YD)
【0097】
実施例1-濃縮配合物(未希釈Korkay)
約15,000平方フィート(約1,393.5平方メートル)の注入サイズの内部スラブを注入した。気候条件は下記の通り:
温度:52~78F(11.1~25.5°C)、相対湿度:60%、晴天。注入開始は午前6時頃、終了は午後4時であった。コンクリートを、通常の慣行を利用して配置した。
【0098】
1.1立方ヤード(合計9ヤード(約0.91メートル))当たり31ガロン(約117.3リットル)の水(SSD-表面乾燥飽水状態)に対して6袋(564ポンド(約255.8キログラム))のセメントを使用する従来のクラスAコンクリート設計を使用して、空気連行されていないコンクリートを含む厚さ4インチの内部コンクリートスラブを配置した。レディーミクスに1立方ヤード当たり約12ガロン(約45.4リットル)の水を添加し、続いて乾燥セメントミックス(1ヤード当たり564ポンド(約255.8キログラム))、骨材および砂(1250ポンド(約566.9キログラム)の砂、1ヤード当たり1750ポンド(約793.8キログラム)の石)を添加した。水および乾燥成分を1~2分間混合し、1ヤード当たり約19ガロン(約71.9リットル)の水を更にレディーミクスに添加した。混合物を、コンクリート混合用の12~15RPMの高速コンクリートドラムを用いて、更に5~10分間混合した。運転手がコンクリートを作業場所に輸送する準備が整った時点で、コンクリートバレルを3~5RPMに減速した。
【0099】
2.次いで、合計203.04オンス(約113.4グラム)のE5 INTERNAL CURE(4オンス(約113.4グラム)/100ポンド(約45.4キログラム)のセメント)の添加を、9ヤードを充填しバッチ処理した後に行った。再三繰り返す通り、立方ヤード当たり564ポンド(約255.8キログラム)(約255.8キログラム)のセメントおよび31ガロン(約117.3リットル)(約117.3リットル)の水が存在した。
【0100】
3.チームは、レディーミクス・ドライバーに、バッチを5分間混合させた。
【0101】
4.スラブを配置した後、ならしプロセスが開始されるまでに、3時間の待機時間があった。
【0102】
5.こて機のコンクリートライドを使用して、ならし(パン)プロセスを実行した。ならしプロセスのパン速度は、毎分132~146回転であった。ならしプロセスは1時間半実行され、その時点で、スラブは、次のパワーライドオントローウェル(つまり、結合プロセス)の準備ができていると判断された。このような決定は業界の標準であり、主にスラブの表面テクスチャーに基づく。
【0103】
6.摩擦が低く、且つ実用性の高い表面を作成する助けとなるように、パンニングプロセス後に、テーツ・ソープ・アンド・ファクタンツ社(Tate’s Soaps and Surfactants)から入手可能なKorkayコンクリートディゾルバーを、1ガロン当たり約500平方フィート(約46.45平方メートル)の割合で全濃縮物(つまり、未希釈物)に対し噴霧した。
【0104】
7.次いで、パワートローウェルに結合ブレードを取り付け、結合プロセスを実行した。結合プロセス中、スラブの開始時点で約2パス後に、表面がプラスチック様の仕上がりになっているのが、発見された。当時、ブレードの速度は毎分約160~175回転であった。そのような影響は、予期されないものであり、異常であった。オペレーターは結合プロセスを中断し、ハンマーで表面を突いた。それはコンクリート表面に極めて望ましくないものであり、極度に脆弱で、容易に亀裂した。
【0105】
このプラスチック様の表面は、スラブ全体にわたってフィルムを形成した。表面はくすんでいて、曇りがあり、且つ滑らかであった。表面と結合ブレードとの間の摩擦が極めて大きく、ブレードの回転を停止させ、効果的な更なる仕上げを大幅に妨げたため、表面を仕上げることはほぼ不可能であった。この摩擦により表面が裂けて微小亀裂が発生し、更に変性が発生するに至る。
【0106】
実施例2-約7:1(水:Korkay)希釈の最適配合
1.翌日、上記と同じ成分重量比で実験1を繰り返した。但し、節約のため、注入サイズの平方フィートを半分にした。
【0107】
2.パンによるならしプロセスの後、但し結合プロセスの前に、テーツ・ソープ・アンド・ファクタンツ社(Tate’s Soaps and Surfactants)から入手可能なKorkayコンクリートディゾルバー、E5仕上げ(7部の水で1部のKorkayに希釈)を、それは1ガロン当たり1000平方フィート(約92.9平方メートル)の噴霧速度で表面に対し噴霧した。
【0108】
3.上記と同じ仕上げ技術が採用されたが、仕上げ刃を備えた第3のパワートローウェルマシン(power trowel machine)が追加された。マシンは、最大速度200~210rpm、標準速度180~200rpm(毎分回転数)にて稼働させた。但し、コンクリートはプラスチック様の光沢を放ち、実施例1とは異なり、表面は高い摩擦を発生しなかったが、代わりに、従来のコンクリートの標準的な仕上げでさえ遭遇した摩擦よりも低いように見えた。これは予期されない結果であった。更になお、このような高速で更に仕上げると、表面がガラス様の外観になってきたという発見も為された。理論に束縛されるものではないが、見かけの摩擦が低いにもかかわらず、回転速度が速いと熱が発生し、仕上げ時間が長くなり、ガラス様の効果が得られたと考えられる。
【0109】
4.仕上げ後、コンクリートを調べた。試験結果から明らかにされるように、モース硬度試験による7~8、すなわち3~7日後にスコアリングまたはスクラッチが困難で、表面は、従来のコンクリート(28日で約4~5)よりも研磨性が35%~40%高かった。実験1とは異なり、表面を無傷な状態のままに維持した。
【0110】
実施例3-リルム試験
本実施例を実施した目的は、表面は、歩道、縁石、コンクリート舗装などの外面にプラスチック様またはガラス様の表面を生ずるといったような外部用途で使用できるかどうかを判断することにあり、その注入サイズの寸法は、長さ50フィート、幅5フィート、厚さ4インチとされていた。温度は60°Fとした。注入は午前9時に開始し、午後12時に終了した。
【0111】
1.コンクリートセメント、骨材、砂およびE5の、含有量ならびに調製の詳細は、実施例1および実施例2と同じである。
【0112】
2.スラブを配置し、1時間待機した。
【0113】
3.1時間後に、表面を手動でならしプロセスを開始した。手継ぎ手を割り込ませた。
【0114】
4.ならしが終了してから30分後に、7部の水/1部のKorkay希釈物に相当するE5仕上げ(仕様製品から入手可能)を、1ガロン当たり1000平方フィート(約92.9平方メートル)で表面に塗布した。手動フロート(hand float)で表面にならした。
【0115】
5.継ぎ手が再び開かれ、側面が縁取りされた(edged)。
【0116】
6.15分経過後、表面を評価し、プラスチック状の表面を観察した。
【0117】
7.次いで、コンクリートブルーム(concrete broom)で表面をスコアした。
【0118】
8.翌日、リルムチューブ試験を実施した。リルム試験とは、表面が水を吸収するかどうかを判断するための表面多孔度の評価である。試験所要時間は約30分である。20分で少なくとも約1.5~3mlを取り込む従来のコンクリートとは異なり、新規な表面には水が吸収されなかった。これにより、この手順は内面および外面の両方に対して使用可能であることが判明した。
【0119】
実施例4:
実施地:インディアナ州シェルビービルのシェルビーマテリアルレディーミクスプラント。
【0120】
環境条件:注入の開始時間は、午前7時30分で、開始温度は約60°F(15.56°C)であった。周囲温度は日中80°F(約26.67°C)の高さでピークに達した。相対湿度は、18%~67%の範囲であった。風速の範囲は、時速3~13マイル(約4.82~約20.92kph)であった。
【0121】
ステップおよび結果:
1.1立方ヤード(合計9ヤード(約0.91メートル))当たり31ガロン(約117.3リットル)の水(SSD-表面乾燥飽水状態)に対して6袋(564ポンド(約255.8キログラム))のセメントの従来のクラスAコンクリート設計を使用して、空気連行されていないコンクリートで4インチの厚さの内部コンクリートスラブを配置した。レディーミクスに1立方ヤード当たり約12ガロン(約45.4リットル)の水を添加し、続いて乾燥セメントミックス(1ヤード当たり564ポンド(約255.8キログラム))、骨材および砂(1250ポンド(約566.9キログラム)(約566.99キログラムの砂、1ヤード当たり1750ポンド(約793.8キログラム)(約793.79キログラムの石)を添加した。水および乾燥成分を1~2分間混合し、1ヤード当たり約19ガロン(約71.9リットル)の水を更にレディーミクスに添加した。混合物を、コンクリート混合用の12~15rpmの高速コンクリートドラムを用いて、更に5~10分間混合した。運転手がコンクリートを作業場所に輸送する準備が整った時点で、コンクリートバレルを3~5rpmに減速した。
【0122】
2.次いで、9ヤードを充填してバッチ処理した後、合計380.7オンス(約10.79キログラムのE5 INTERNAL CURE(7.5オンス/100ポンド(約45.4キログラム)のセメント)を添加した。再三繰り返す通り、立方ヤード当たり564ポンド(約255.8キログラム)のセメントおよび31ガロン(約117.3リットル)の水が存在した。
【0123】
3.チームは、レディーミクス・ドライバーに、バッチを12~15rpmで5分間混合させた。
【0124】
4.次いで、レディーミクスを2~5rpmに減速し、現場まで15分間運転した。次いで、コンクリートをスラブフォームに流し込んだ。スラブは金属製の建物の反対側に位置した。
【0125】
5.従来の仕上げプロセスを実施した。注入後に、スラブを平準化した。次いで、ブルフロートを使用して表面を閉鎖した。表面が機械的仕上げプロセスを開始するのに十分な硬度に達した際、当該技術分野において繁用されている適切な方法を使用して仕上げを完了した。
【0126】
6.ブルフロートプロセス中に、コンクリートは従来のレディーミクスプロセスよりもはるかに簡単に閉鎖できることが留意された。
【0127】
7.ブリード水が通例は存在する仕上げプロセス中に、本プロセスはブリード水を提示しなかった。但し、表面は湿潤した状態のままであった。チームの推測によれば、従来のレディーミクス製品から調製されたコンクリートとは異なり、驚くべきことに、E5 INTERNAL CUREがない場合のレディーミクスでは、表面がはるかに乾燥する可能性が高い条件下で、水がコンクリート表面内に保持された。
【0128】
8.以後、チームは4時間かけてコンクリート仕上げプロセスを完了した。従来のレディーミクスから調製されたコンクリートとは異なり、仕上げプロセスは、ハーフスロットルで稼働するマシンで実行される場合がある。これは、コンクリート表面に依然として水分が残留するという理由からである。これにより、仕上げプロセスがはるかに簡単になる。従来のコンクリートでは、マシンを100%のスロットルで稼働させる必要があり、仕上げ中の表面損傷のリスクが高まるため、労働集約度の高いプロセスとされる。
【0129】
9.また、チームは、内部の熱温度スイングは50°Fを超えていたことに留意した。実際、注ぎ口は金属製の建物に面していたため、内部センサーによって測定された内部コンクリート温度変動は、昼間の最高気温145°F乃至、夜間の最低気温70°Fまでであった。チームの経験では、これらの温度変動により、硬化中にコンクリートに有意な亀裂が生じることが予期される(以下の10を参照)。一般的に、チームの豊富な経験の中でも、コンクリート表面の水分蒸発を促進する最たる因子の1つが、熱温度とされる。この注入を行った当日にチームが気付いた点は、湿気が表面に残存し、熱温度の変動による影響が比較的少ないように思われたことである。そのような挙動が、従来の現場打ちコンクリート(poured concrete)の挙動とは全く異なり、当業界で極めて有用であり得ることを、チームは知っていた。
【0130】
10.チームの経験では、通常なら、注入後24時間以内に、従来のコンクリートを鋸切断する必要があるが、鋸切断をチームは行わなかった。なぜなら、コンクリートの上面に保持されている水量が増加したことは明らかであり、結果として、収縮のタイミング(収縮が通常発生する時間)の短縮する確率が高く、且つ亀裂が減少する可能性も高いからである。この理由から、チームは、コンクリートスラブを混乱させない状態のままに維持し、スラブが内部で解放されるのに要する時間を算定できるようにしておいた。チームが驚いたことに、スラブは、内部で10日間は解放されなかった。ここで留意すべき点は、気温および雨などの有意な環境変化があったことである。理論に束縛されるものではないが、チームは、E5 INTERNAL CUREを加えた場合、蒸発で失われずに寧ろ、おそらくE5 INTERNALCUREのアモルファスシリカとの化学的会合によって大部分の水分が保持されるものと推測した。更に、保持された水の多くが、最終的に水和に関与して、内部硬化をもたらしたものと推測される。E5 INTERNAL CURE(例えば、レディーミクス・トラックなどに注入する前にコンクリートに添加されたもの)においてアモルファスシリカとの化学的会合が生じて水分が保持され、後で水和(内部硬化)によってE5に組み込まれる様子は、チームが最善に判別できることから、これまでに観察された試しがなかった。
【0131】
実施例5:
本実施例が為された目的は、製品のパフォーマンスの一貫性を確保すること、および内部硬化の効果を最大限に高めるためのプロセスを理解することにあった。
【0132】
実施地:インディアナ州ビーチグローブ、シェルビーマテリアルズレディーミクスプラント
時間枠:午前8時30分から午前9時35分までの間に注入した。
環境条件:79°F(約26.11°C)、相対湿度は61%~93%の範囲で、曇りおよび風速は6.9~12.7mph(11.10~約20.44kph)の範囲であった。
【0133】
ステップおよび結果:
1.2つのサンプルのコンクリートは、5.5袋(517ポンド(約234.5キログラム))のセメント、0.5水対セメント比(31ガロン(約117.3リットル)の水(SSD-表面乾燥飽水状態)非空気連行、5.5インチのスランプ(517ポンド(約234.5キログラム)のセメント、1225ポンド(約555.65キログラム)の砂、および1ヤード当たり1800ポンド(約816.5キログラム)の石)であった。仕上げプロセスは実施例1と同じである。
【0134】
2.サンプル1を、参照として注入した。サンプル1を作成し、厚さ4インチのスラブとして配置した。また、アメリカコンクリート工学協会(ACI:American Concrete Institute)による推奨事項に準拠し、スラブの上にプラスチックシートを7日間塗布することによって、コンクリートスラブを硬化させた。圧縮強度は、注入後7日で5760psiと測定された。
【0135】
3.セメント、骨材、および砂(1ヤード当たり517ポンド(約234.5キログラム)のセメント、1225ポンド(約555.65キログラム)(約555.65キログラム)の砂、および1800ポンド(約816.5キログラム)の石)のE5 INTERNAL CURE(セメント100ポンド(約45.4キログラム)当たり3.5オンス(約99.2グラム))が混合された後、サンプル2をサンプル1と同様に注入して、サンプル1として硬化した。注入後7日目に、圧縮強度は6580psiと測定された。サンプル1と2(E5 INTERNAL CURE(E5 INTERNAL CUREを使用)との相違点は、強度が14%増加したことである。
【0136】
4.その後、専門家チームは、ACI(American Concrete Institute)の推奨に従って、28日間の強度試験を行い、E5 INTERNAL CUREが内部硬化を促進し、水をコンクリートに化学的に結合させるという理念を更に裏付けた。28日間の試験結果は、下記の通り:参照圧縮強度:6910psi。現場打ちコンクリート(poured concrete)中にE5 INTERNAL CUREが含まれている場合の、圧縮強度:8040psi。E5 INTERNAL CUREによる圧縮強度psiの増加率は、16%である。
【0137】
実施例6:
コンクリート製の工業規模バッチを、16個調製した。各サンプルからシリンダーを採取し、ASTM C-39に準拠し、3日目、7日目、および28日目に圧縮強度を試験した。いずれのサンプルにも、砂1350ポンド(約612.3キログラム)が含まれていた。全てのサンプルに対し、レディーミクスを現場まで平均20分間運転し、ASTMC-39に従ってコンクリート試験シリンダーへの注入を行った。結果は、表1に与えられている通りである。
【0138】
4つの第1の群(サンプル1~4)、「コンクリート対照」群を、コロイド状シリカを添加せずに調製した。水/セメント比を、0.51とした。それらの調製は、2~5rpmで回転するレディーミクスに指示された水の約40%を添加し、続いて指示された量のセメントミックス、骨材、および砂を添加して行った。本研究の全てのサンプルの骨材は、(3/4インチ#8 ASTM C-33#8 INDOT承認済み)砂利であった。水および乾燥成分を1~2分間混合した。これには、成分をレディーミクス・ドラムに添加するのにかかった時間が含まれる。次いで、残りの水(指示された水の約60%)をレディーミクスに添加した。混合物を、コンクリート混合用の12~15RPMの高速コンクリートドラムを用いて、更に5~10分間混合した。運転手がコンクリートを現場に輸送する準備ができたら、コンクリートバレルを3~5RPMに減速した。レディーミクスを現場に運搬し、ASTMC-39に従ってコンクリート試験シリンダーへの注入を行った。
【0139】
第2の群4つ(サンプル5~8)を、4オンス(約113.4グラム)のコロイド状シリカ溶液(E5 INTERNAL CURE:約15重量%のシリカ、平均粒子サイズが10nm未満、BET表面積が約550m2/g、百重量セメント(cwt)当たり85重量%の水)を添加して調製した。
【0140】
サンプル7および8(尾水後4oz/cwt)の手順は、サンプル1~4の場合と同じであるが、バレルを3~5rpmに減速した後、更に4oz/cwtE5 INTERNAL CUREが加わった。
【0141】
レディーミクス(Ready-mix)で、バッチを12~20rpmにて約5分間混合した。レディーミクスを3~5rpmに減速して現場に運搬し、ASTMC-39に準拠してコンクリート試験シリンダーへの注入を行った。
【0142】
サンプル5および6(尾水前の4oz/cwt)の手順は、サンプル1~4の場合とほぼ同じであるが、但し、E5 INTERNAL CUREが第1のコンクリートミックスに含まれており、添加の順序は、セメントミックス、骨材/砂、4oz/cwt E5 INTERNAL CURE、40%の水とされた。
【0143】
サンプル9~12(2oz、4oz、6oz、および8oz/E5 INTERNAL CURE/尾水前のcwt、W/C=0.4l)の手順は、サンプル6および7の手順と同じである。E5 INTERNAL CUREの量はサンプルごとに増加し、水/セメント比はサンプル1~8のように0.51ではなく、0.41であることに留意されたい。
【0144】
サンプル13~16(2、4、6、および8oz/E5 INTERNAL CURE/尾水後のcwt、W/C=0.4l)の手順は、サンプル7および8の手順と同じである。E5 INTERNAL CUREの量はサンプルごとに増加し、水/セメント比はサンプル1~8のように0.51ではなく、0.41であることに留意されたい。
【0145】
各サンプルについて、3、7、および28日経過したシリンダーから圧縮強度を測定した。
【0146】
類似したサンプルの群(1~4、5および6、7および8、9~12、13~16)で測定された圧縮強度は、多くの要因の変動の結果である自然な広がりを反映しているおり、これにより、サンプルが完全に同一になるのが防止されることに留意されたい。サンプルは、便宜上、圧縮強度の昇順で並べられている。
【0147】
尾水の後にシリカを添加した全ての事例において、コンクリートは、ブリード水、カール、亀裂、または収縮が生じたとしても、ほとんど見られなかった。水の前に同量のシリカを添加した場合、ブリード水量が、対照と同様であるか、または場合によっては対照に比べて劣悪なセメントが得られた。上記は、両方の水/セメント比(0.51および0.41)に当てはまった。圧縮強度は、全般的に、シリカの使用と共に上昇し、シリカが多いほど、圧縮強度が上昇したことが明らかであった。一方、後の尾水の添加によって、水添加前に比べて、シリカが有意に増大した。この利点以外にも、前述したような、ブリード水ならびにカーリングの亀裂および収縮が低減したという利点も挙げられる。理論に束縛されるものではないが、シリカは、水が他の乾式成分と混合された後に添加されると、水の前に乾式成分に添加される場合よりも効率的に上層からの水分蒸発を低減することが可能であり、場合によっては、混合が不十分なコンクリートミックスにさえ、水が含有されていると思われる。それゆえ、上記の例に例証されているように、特に尾水を加えた後、よく混合されて湿ったコンクリートミックスにシリカを添加すると、予期しないことに、圧縮強度が予想外に大幅に向上し、ブリード水が低減するか全くなくなり、硬化コンクリートの露出した上面からの高蒸発に関連する欠陥が低減するか、全くなくなる。
【表1】