(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】血圧測定のためのセンサモジュール及びそれを利用した手首着用型の携帯用血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/021 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
A61B5/021
(21)【出願番号】P 2021562997
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(86)【国際出願番号】 KR2020005308
(87)【国際公開番号】W WO2020218819
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0048750
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515273368
【氏名又は名称】チャームケア・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンファ
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0144176(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0360306(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0212335(US,A1)
【文献】国際公開第2015/004754(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 - 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧測定のためのセンサモジュールにおいて、
基材部と、
前記基材部に結合され、前記基材部の基準面から互いに異なる距離だけ突出し、互いに隣接して配置された第1の圧力センサ部及び第2の圧力センサ部と、
前記第1の圧力センサ部の下部と前記基材部の間に結合された支持部と、
前記第1の圧力センサ部と前記第2の圧力センサ部の動作を制御し、前記第1の圧力センサ部がセンシングした第1の圧力、前記第2の圧力センサ部がセンシングした第2の圧力に基づいて血圧測定対象血管における血圧を測定する制御部と、を含み、
前記第1の圧力センサ部の上部と前記第2の圧力センサ部の上部の間には第1の距離の段差が形成され、
前記制御部は、前記第1の圧力、前記第2の圧力及び前記第1の距離に基づき、前記第1の圧力センサ部の上部から血圧測定対象血管までの距離を表す第2の距離を推定し、前記第2の距離に前記第1の圧力を掛けた値、又は前記第1の距離と前記第2の距離の和に前記第2の圧力を掛けた値に基づいて前記血圧測定対象血管における血圧値を算出する、センサモジュール。
【請求項2】
血圧測定のためのセンサモジュールにおいて、
基材部と、
前記基材部に結合され、前記基材部の基準面から互いに異なる距離だけ突出し、互いに隣接して配置された第1の圧力センサ部及び第2の圧力センサ部と、
前記第1の圧力センサ部の上部に結合された硬質構造物からなる支持部と、
前記第1の圧力センサ部と前記第2の圧力センサ部の動作を制御し、前記第1の圧力センサ部がセンシングした第1の圧力、前記第2の圧力センサ部がセンシングした第2の圧力に基づいて血圧測定対象血管における血圧を測定する制御部と、を含み、
前記支持部の上部と前記第2の圧力センサ部の上部の間には第1の距離の段差が形成され、
前記制御部は、前記第1の圧力、前記第2の圧力及び前記第1の距離に基づき、前記支持部の上部から血圧測定対象血管までの距離を表す第2の距離を推定し、前記第2の距離に前記第1の圧力を掛けた値、又は前記第1の距離と前記第2の距離の和に前記第2の圧力を掛けた値に基づいて前記血圧測定対象血管における血圧値を算出する、センサモジュール。
【請求項3】
血圧測定のためのセンサモジュールにおいて、
基材部と、
前記基材部に結合され、前記基材部の基準面から互いに異なる距離だけ突出し、互いに隣接して配置された第1の圧力センサ部及び第2の圧力センサ部と、
前記第1の圧力センサ部と前記第2の圧力センサ部の動作を制御し、前記第1の圧力センサ部がセンシングした第1の圧力、前記第2の圧力センサ部がセンシングした第2の圧力に基づいて血圧測定対象血管における血圧を測定する制御部と、を含み、
前記第1の圧力センサ部の上部と第2の圧力センサ部の上部とは第1の距離だけ段差があり、
前記制御部は、前記第1の圧力、前記第2の圧力及び前記第1の距離に基づき、前記第1の圧力センサ部の上部から血圧測定対象血管までの距離を表す第2の距離を推定し、前記第2の距離に前記第1の圧力を掛けた値、又は前記第1の距離と前記第2の距離の和に前記第2の圧力を掛けた値に基づいて前記血圧測定対象血管における血圧値を算出する、センサモジュール。
【請求項4】
前記第1の圧力センサ部及び前記第2の圧力センサ部は、ストレインゲージベースの半導体薄膜センサ、圧力に応じた容量変化を感知する容量型薄膜センサ、又はピエゾ抵抗効果を利用した圧抵抗センサである、請求項1、2又は3に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記第1の圧力センサ部は、前記基材部の中心部に位置し、前記第1の圧力センサ部を囲む形態で前記第2の圧力センサ部が結合されたものである、請求項1、2又は3に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記第1の圧力センサ部及び前記第2の圧力センサ部は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含む、請求項1、2又は3に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記第1の圧力センサ部及び前記第2の圧力センサ部は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含み、
前記制御部は、前記第1の圧力センサ部に含まれたセンサが感知した圧力のうち最大値、最小値、最頻値又は平均値を前記第1の圧力に特定し、前記第2の圧力センサ部に含まれたセンサが感知した圧力のうち最大値、最小値、最頻値又は平均値を前記第2の圧力に特定する、請求項1、2又は3に記載のセンサモジュール。
【請求項8】
手首着用型の携帯用血圧測定装置において、
血圧情報を表示するディスプレイユニット、電源部及び制御部を内蔵した本体部と、
前記本体部に結合された手首ストラップと、
前記本体部又は前記手首ストラップに結合された血圧測定のためのセンサモジュールとを含み、
前記センサモジュールは、基材部に結合され、前記基材部の基準面から互いに異なる距離だけ突出し、互いに隣接して配置された第1の圧力センサ部及び第2の圧力センサ部を含み、
前記センサモジュールは、前記第1の圧力センサ部の下部と前記基材部の間に結合された支持部を含み、
前記第1の圧力センサ部の上部と前記第2の圧力センサ部の上部の間には第1の距離の段差が形成され、
前記制御部は、前記第1の圧力センサ部と前記第2の圧力センサ部の動作を制御し、前記第1の圧力センサ部がセンシングした第1の圧力、前記第2の圧力センサ部がセンシングした第2の圧力に基づいて血圧測定対象血管における血圧を測定
し、
前記制御部は、前記第1の圧力、前記第2の圧力及び前記第1の距離に基づき、前記第1の圧力センサ部の上部から血圧測定対象血管までの距離を表す第2の距離を推定し、前記第2の距離に前記第1の圧力を掛けた値、又は前記第1の距離と前記第2の距離の和に前記第2の圧力を掛けた値に基づいて前記血圧測定対象血管における血圧値を算出し、算出された血圧をディスプレイを通じて出力する、携帯用血圧測定装置。
【請求項9】
手首着用型の携帯用血圧測定装置において、
血圧情報を表示するディスプレイユニット、電源部及び制御部を内蔵した本体部と、
前記本体部に結合された手首ストラップと、
前記本体部又は前記手首ストラップに結合された血圧測定のためのセンサモジュールとを含み、
前記センサモジュールは、基材部に結合され、前記基材部の基準面から互いに異なる距離だけ突出し、互いに隣接して配置された第1の圧力センサ部及び第2の圧力センサ部を含み、
前記センサモジュールは、前記第1の圧力センサ部の上部に結合された硬質構造物からなる支持部を含み、
前記支持部の上部と前記第2の圧力センサ部の上部の間には第1の距離の段差が形成され、
前記制御部は、前記第1の圧力センサ部と前記第2の圧力センサ部の動作を制御し、前記第1の圧力センサ部がセンシングした第1の圧力、前記第2の圧力センサ部がセンシングした第2の圧力に基づいて血圧測定対象血管における血圧を測定
し、
前記制御部は、前記第1の圧力、前記第2の圧力及び前記第1の距離に基づき、前記支持部の上部から前記血圧測定対象血管までの距離を表す第2の距離を推定し、前記第2の距離に前記第1の圧力を掛けた値、又は前記第1の距離と前記第2の距離の和に前記第2の圧力を掛けた値に基づいて前記血圧測定対象血管における血圧値を算出し、算出された血圧をディスプレイを通じて出力する、携帯用血圧測定装置。
【請求項10】
手首着用型の携帯用血圧測定装置において、
血圧情報を表示するディスプレイユニット、電源部及び制御部を内蔵した本体部と、
前記本体部に結合された手首ストラップと、
前記本体部又は前記手首ストラップに結合された血圧測定のためのセンサモジュールとを含み、
前記センサモジュールは、基材部に結合され、前記基材部の基準面から互いに異なる距離だけ突出し、互いに隣接して配置された第1の圧力センサ部及び第2の圧力センサ部を含み、
前記制御部は、前記第1の圧力センサ部がセンシングした第1の圧力、前記第2の圧力センサ部がセンシングした第2の圧力及び第1の距離に基づき、前記第1の圧力センサ部の上部から血圧測定対象血管までの距離を表す第2の距離を推定し、前記第2の距離に前記第1の圧力を掛けた値、又は前記第1の距離と前記第2の距離の和に前記第2の圧力を掛けた値に基づいて前記血圧測定対象血管における血圧値を算出し、
前記第1の圧力センサ部の上部と前記第2の圧力センサ部の上部とは、前記第1の距離だけ段差があり、
前記第1の圧力センサ部及び前記第2の圧力センサ部は、ストレインゲージベースの半導体薄膜センサ、圧力に応じた容量変化を感知する容量型薄膜センサ、又はピエゾ抵抗効果を利用した圧抵抗センサである、携帯用血圧測定装置。
【請求項11】
前記第1の圧力センサ部及び前記第2の圧力センサ部は、ストレインゲージベースの半導体薄膜センサ、圧力に応じた容量変化を感知する容量型薄膜センサ、又はピエゾ抵抗効果を利用した圧抵抗センサである、請求項8
又は9に記載の携帯用血圧測定装置。
【請求項12】
前記第1の圧力センサ部は、前記基材部の中心部に位置し、前記第1の圧力センサ部を囲む形態で前記第2の圧力センサ部が結合されたものである、請求項8、9、又は10に記載の携帯用血圧測定装置。
【請求項13】
前記第1の圧力センサ部及び前記第2の圧力センサ部は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含み、
前記制御部は、前記第1の圧力センサ部に含まれたセンサが感知した圧力のうち最大値、最小値、最頻値又は平均値を第1の圧力に特定し、前記第2の圧力センサ部に含まれたセンサが感知した圧力のうち最大値、最小値、最頻値又は平均値を第2の圧力に特定する、請求項8、9、又は10に記載の携帯用血圧測定装置。
【請求項14】
データ通信を行う通信モジュールをさらに含み、
前記制御部は、前記通信モジュールを通じて測定された血圧情報を外部機器に送信する、請求項8、9、又は10に記載の携帯用血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧測定装置に関し、具体的には、血圧測定のためのセンサモジュールとそれを利用した手首着用型の血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘルスケアへの関心が高くなっており、高血圧及び低血圧患者の増加によって、簡便に自分の血圧をチェックできる血圧測定用のウェアラブルデバイスに対する研究が活発に進行されている。
【0003】
特に、血圧装置の携帯性を向上させるために、光センサ、圧力センサを活用して血圧を測定する血圧測定用のウェアラブルデバイスが開発されている。
【0004】
従来の圧力センサを利用する血圧測定用のウェアラブルデバイスは、手首に着用する手首バンドに血圧をチェックする空気ポンプを含み、手首バンドの空気ポンプを利用して手首を圧迫することで血圧を測定しており、血圧測定のための圧迫過程でユーザに不快感を与えるといった問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためのものであり、互いに異なる高さに位置した複数の圧力センサを利用し、各圧力センサが位置した位置において動脈の相対的な圧力を測定し、測定された圧力の差を利用して圧力センサから動脈までの距離を計算した後、それを利用してより正確な血圧を計算するセンサモジュールを提供することを目的としている。
【0006】
また、このような血圧測定用センサモジュールを利用して手首着用型の携帯用血圧装置を提供することを他の目的としている。
【0007】
但し、本実施例が解決しようとする技術的課題は、上記したような技術的課題に限定されるものではなく、また他の技術的課題が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した技術的課題を解決するための技術的手段として、本開示の第1の側面に係る血圧測定のためのセンサモジュールは、基材部と、基材部に結合され、基材部の基準面から互いに異なる距離だけ突出し、互いに隣接して配置された第1の圧力センサ部及び第2の圧力センサ部とを含む。
【0009】
本開示の第1の側面に係る血圧測定のためのセンサモジュールは、第1の圧力センサ部と第2の圧力センサ部の動作を制御し、第1の圧力センサ部がセンシングした第1の圧力、第2の圧力センサ部がセンシングした第2の圧力に基づいて血圧測定対象血管における血圧を測定する制御部を含んでいても良い。このとき、第1の圧力センサ部の基準面と第2の圧力センサ部の基準面とは第1の距離だけ段差があり、制御部は、第1の圧力、第2の圧力及び第1の距離に基づき、第1の圧力センサ部の基準面から血圧測定対象血管までの距離を表す第2の距離を推定し、第2の距離に第1の圧力を掛けた値、又は第1の距離と第2の距離の和に第2の圧力を掛けた値に基づいて対象血管における血圧値を算出しても良い。
【0010】
一方、本開示の第2の側面に係る手首着用型の携帯用血圧測定装置は、血圧情報を表示するディスプレイユニット、電源部及び制御部を内蔵した本体部と、本体部に結合された手首ストラップと、本体部又は手首ストラップに結合された血圧測定のためのセンサモジュールとを含む。このとき、センサモジュールは、基材部に結合され、基材部の基準面から互いに異なる距離だけ突出し、互いに隣接して配置された第1の圧力センサ部及び第2の圧力センサ部を含む。
【0011】
また、本開示の第2の側面に係る手首着用型の携帯用血圧測定装置の制御部は、第1の圧力、第2の圧力及び第1の距離に基づき、第1の圧力センサ部の基準面から血圧測定対象血管までの距離を表す第2の距離を推定し、第2の距離に第1の圧力を掛けた値、又は第1の距離と第2の距離の和に第2の圧力を掛けた値に基づいて対象血管における血圧値を算出し、算出された血圧をディスプレイを通じて出力しても良い。このとき、第1の圧力センサ部の基準面と第2の圧力センサ部の基準面とは、第1の距離だけ段差がある。
【発明の効果】
【0012】
上述した本願の課題を解決するための手段によれば、本発明の一実施例に係る圧力センサを利用した血圧測定装置は、血圧測定過程で空気ポンプを利用して対象地点に圧力をかける手続きなしに圧力センサのみで血圧を測定することができるので、ユーザがいつでも楽に血圧を測定することができる。
【0013】
また、本発明の一実施例に係る圧力センサを利用した血圧測定装置は、血圧測定のために圧力をかける空気ポンプを使用しないので、製造工程を簡素化してコストを低減し、血圧測定装置を小型に製作することができ、ユーザの携帯性及び便宜性が増大されることができる。
【0014】
また、本発明の一実施例に係る血圧測定のためのセンサモジュールは、手首着用形態の他にも、衣類のような様々な種類のウェアラブルデバイス形態で対象地点に付着され、血圧を測定するのに使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例に係る血圧測定のためのセンサモジュールの構成を示すブロック図である。
【
図2e】本発明の一実施例に係る血圧測定のためのセンサモジュールが血圧を測定する原理を説明するための図である。
【
図3f】本発明の一実施例に係るセンサモジュールの構成を説明するための斜視図である。
【
図4b】本発明の一実施例に係る手首着用型の携帯用血圧装置の構成を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る手首着用型の携帯用血圧装置の本体部の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る圧力センサを利用した血圧測定方法に関するフローチャートである。
【
図7】時間の経過に応じた動脈血圧の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、添付した図面を参照しながら、本願の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本願の実施例を詳しく説明する。ところが、本願は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本願を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0017】
本願の明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0018】
本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0019】
以下、添付した図面を参考しながら、本発明の一実施例を詳しく説明することとする。
【0020】
図1は、本発明の一実施例に係る血圧測定のためのセンサモジュールの構成を示すブロック図であり、
図2は、本発明の一実施例に係る血圧測定のためのセンサモジュールが血圧を測定する原理を説明するための図である。
【0021】
図面に示されたように、血圧測定のためのセンサモジュール100は、第1の圧力センサ部110と、第2の圧力センサ部120と、制御部130と、通信モジュール140と、基材部150とを含んでいても良い。
【0022】
センサモジュール100に含まれた第1の圧力センサ部110及び第2の圧力センサ部120は、基材部150の基準面から互いに異なる距離だけ突出し、互いに隣接して配置される。
【0023】
このとき、第1の圧力センサ部110及び第2の圧力センサ部120は、ストレインゲージベースの半導体薄膜センサ、圧力に応じた容量変化を感知する容量型薄膜センサ、ピエゾ抵抗効果を利用した圧抵抗センサ、又はその他の様々な圧力センサであっても良い。
【0024】
ここで、ストレインゲージベースの薄膜センサは、4つの抵抗器がホイートストンブリッジの形態でダイヤフラムに配列されており、抵抗変化だけ統制すれば良いという長所がある。容量型薄膜センサは、耐熱性、耐腐食性が強く、圧力測定の際に高精度の測定が可能という長所がある。圧抵抗センサは、圧力測定の際に高感度で、線型性、再現性に優れ、大量生産が容易という長所がある。
【0025】
制御部130は、第1の圧力センサ部110及び第2の圧力センサ部120で測定された圧力、及び第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120との間の距離差に基づき、第1の圧力センサ部110と動脈Aとの距離及び動脈Aの血圧を計算しても良い。
【0026】
通信モジュール140は、本体部200の通信モジュール240及び各種の外部装置(サーバ又は端末)とそれぞれ設定された通信フォーマットで通信することでデータを送受信しても良い。
【0027】
基材部150には第1の圧力センサ部110、第2の圧力センサ部120が位置する。ここで、第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120は、基材部150の基準面から互いに異なる距離だけ突出し、互いに隣接して配置される。一方、制御部130と通信モジュール140は、基材部150又は基材部150の裏面に結合されるか、基材部150が結合される別途のハウジング内に含まれるように配置されても良い。
【0028】
支持部160は、第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120の間に段差を設けるために第1の圧力センサ部110と基材部150の間に位置する。
図2に示すように、支持部160の高さによって第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120の間の段差が維持されることができる。ここで、支持部160は、第1の圧力センサ部110と一体型であっても良く、別途の構成要素であっても良い。
図2及び
図3のセンサモジュール100内の第1の圧力センサ部110、支持部160、第2の圧力センサ部120の位置を参考することができる。
【0029】
センサモジュール100は、スマートウォッチ、手首着用型の携帯用血圧測定器などと結合して使用されても良い。また、ユーザは、テープなどの固定手段を利用してセンサモジュールを手首に付着したり、衣類などに挿入して身体に密着させるだけでも血圧を測定することができる。
【0030】
図2a及び
図2bを参照すると、実際血圧を測定する動脈Aの血圧はP
b、第1の圧力センサ部110で測定した圧力はP
1、第2の圧力センサ部120で測定した圧力はP
2、第1の圧力センサ部110から第2の圧力センサ部120までの距離はA、第1の圧力センサ部110から動脈Aまでの距離はBに当たる。ここで、距離Aは、所定の定数値であり、P
1及びP
2は、センサモジュール100で測定される圧力であり、距離Bと血圧P
bは、計算により算出される値である。距離Bの場合、第1の圧力センサ部110から手首内部の血管までの距離であるので、人によって異なるように測定される値である。
【0031】
センサモジュール100で測定される圧力は、血管とセンサ部110、120との距離に反比例する。よって、第1の圧力センサ部110から動脈Aまでの距離Bは、下記数学式1を利用して求めることができる。
【0032】
【0033】
第1の圧力センサ部110から動脈Aまでの距離Bを求めれば、血圧PBも下記数学式2を利用して求めることができる。
【0034】
【0035】
一方、
図2cは、本発明の一実施例に係る、センサモジュール100で測定される圧力P
1及びP
2を示すグラフである。
【0036】
追加の実施例において、支持部160は、
図2d及び
図2eに示すように、第1の圧力センサ部110の上部に結合されるものであっても良い。支持部160は、硬質構造物からなるものであって、接触部の圧力がそのまま第1の圧力センサ部110に伝達される。支持部160が第1の圧力センサ部110の上部に結合されることにより、支持部160の上部と第2の圧力センサ部120の上部との間には第1の距離の段差が形成されても良い。このように、同じ高さを有するようにセンサを配置した状態で、何れか1つのセンサの上部に硬質構造物からなる支持部160を配置する場合にも、
図2aの実施例と同様にセンサ間の段差を利用した血圧の測定が可能である。
【0037】
制御部130は、第1の圧力センサ部110及び第2の圧力センサ部120で測定された圧力、及び硬質構造物からなる支持部160の上部と第2の圧力センサ部120の上部との間の距離差に基づき、第1の圧力センサ部110と動脈との距離及び動脈の血圧を計算しても良い。上述した上部とは、
図2d及び
図2eにおいて6時の方向であっても良い。
【0038】
図2d及び
図2eを参照すると、実際血圧を測定する動脈の血圧はP
b、第1の圧力センサ部110で測定した圧力はP
1、第2の圧力センサ部120で測定した圧力はP
2、硬質構造物からなる支持部160の上部から第2の圧力センサ部120の上部までの距離はA、支持部160の上部から動脈までの距離はBに当たる。ここで、距離Aは、所定の定数値であり、P
1及びP
2は、センサモジュール100で測定される圧力であり、距離Bと血圧P
bは、計算により算出される値である。距離Bの場合、支持部160の上部から手首内部の血管までの距離であるので、人によって異なるように測定される値である。
【0039】
センサモジュール100で測定される圧力は、血管と第2の圧力センサ部120との距離、及び血管と支持部160との距離に反比例する。よって、支持部160から動脈までの距離Bは、上記した数学式1を利用して求めることができる。
【0040】
支持部160の上部から動脈までの距離Bを求めれば、血圧PBも上記した数学式2を利用して求めることができる。
【0041】
図3a乃至
図3cは、本発明の一実施例に係るセンサモジュールの構成を説明するための斜視図である。
【0042】
第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120は、互いに隣接して配置され、基材部150の基準面から互いに異なる距離だけ突出して位置する。
図3aに示すように、第2の圧力センサ部120は、基材部150の基準面に位置し、第1の圧力センサ部110は、基材部150から突出した面に位置するので、センサモジュール100が手首に付着されて血圧を測定する際、第1の圧力センサ部110が血管とより近く位置することができる。
【0043】
また、
図3bに示すように、第1の圧力センサ部110は、基材部150の中心から突出した面に位置し、第2の圧力センサ部120は、これを囲む形態で基材部150の基準面に位置しても良い。このとき、図面に示されたように、第2の圧力センサ部120は、第1の圧力センサ部110を囲む円環状に形成されても良い。但し、第2の圧力センサ部120は円状に限定されるものではなく、他の形状に形成されても良い。
【0044】
また、
図3cに示すように、第1の圧力センサ部110及び第2の圧力センサ部120は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含み、第1の圧力センサ部110は、基材部150の基準面から突出した面に位置し、第2の圧力センサ部120は、基材部150の基準面に位置しても良い。ここで、
図3cのアレイ配置形態は、
図3bの実施例に適用されても良い。つまり、
図3bの第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含んでいても良い。
【0045】
第1の圧力センサ部110及び第2の圧力センサ部120は、それぞれ複数のセンサが圧力を測定するので、血圧計算の際に各圧力センサ部110、120に含まれたセンサが感知した圧力のうち最大値、最小値、最頻値(最大頻度数値)又は平均値を第1の圧力と第2の圧力にそれぞれ特定して使用する。
【0046】
このような圧力センサ部110、120の配置は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な形態で配置されても良い。
【0047】
追加の実施例において、
図3d乃至
図3fは、本発明の一実施例に係るセンサモジュールの構成を説明するための斜視図である。
【0048】
第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120は、互いに隣接して配置され、第1の圧力センサ部110の上部に硬質構造物からなる支持部160が位置する。
図3dに示すように、第1の圧力センサ部110及び第2の圧力センサ部120は、基材部150の基準面に位置し、第1の圧力センサ部110の上部には、支持部160が位置するので、センサモジュール100が手首に付着されて血圧を測定する際、第1の圧力センサ部110が血管のより近くの位置の圧力を測定することができる。
【0049】
また、
図3eに示すように、第1の圧力センサ部110は、基材部150の中心に位置し、第2の圧力センサ部120は、これを囲む形態で基材部150の基準面に位置しても良い。また、第1の圧力センサ部110の上部には、支持部160が位置しても良い。このとき、図面に示されるように、第2の圧力センサ部120は、第1の圧力センサ部110を囲む円環状に形成されても良い。但し、第2の圧力センサ部120は円状に限定されるものではなく、他の形状に形成されても良い。
【0050】
また、
図3fに示すように、第1の圧力センサ部110及び第2の圧力センサ部120は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含み、第1の圧力センサ部110及び第2の圧力センサ部120は、基材部150の基準面に位置しても良い。複数の第1の圧力センサ部110の上部には、支持部160がそれぞれ位置しても良い。このとき、
図3fのアレイ配置形態は、
図3eの実施例に適用されても良い。つまり、
図3eの第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120は、それぞれアレイ状に配置された複数のセンサを含んでいても良い。
【0051】
第1の圧力センサ部110及び第2の圧力センサ部120は、それぞれ複数のセンサが圧力を測定するので、血圧計算の際に各圧力センサ部110、120に含まれたセンサが感知した圧力のうち最大値、最小値、最頻値(最大頻度数値)又は平均値を第1の圧力と第2の圧力にそれぞれ特定して使用する。
【0052】
このような圧力センサ部110、120の配置は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な形態で配置されても良い。
【0053】
図4aは、本発明の一実施例に係る手首着用型の携帯用血圧装置の構成を示す断面図である。
【0054】
手首着用型の携帯用血圧測定装置10は、センサモジュール100と、本体部200と、手首ストラップ300とを含む。本体部200は、手首ストラップ300の中央に連結されてユーザの手首に着用可能なように構成される。ディスプレイユニット230は、手首ストラップ300の外側面に位置し、表示された情報をユーザが容易に読めるようにする。
【0055】
このように、圧力センサを利用した携帯用血圧測定装置10は、ユーザの手首などに着用されるウェアラブルデバイス形態で提供され、手首に着用されるための腕時計、スマートバンド又はブレスレットなどの様々な形態で構成されても良い。
【0056】
電源部210は、本体部200又は手首ストラップ300に内蔵された形態で構成されるか、交換可能な別途のバッテリにより構成されても良い。
【0057】
手首内におけるA部分は、動脈Aで血圧を測定するために考慮しなければならない位置である。センサモジュール100は、手首ストラップ300内において、ユーザが携帯用血圧装置を着用したとき動脈Aに近く対応する位置に形成される。
【0058】
センサモジュール100は、手首ストラップ300又は本体部200に結合されて使用されても良い。図面においては、手首ストラップ300の一端にセンサモジュール100が結合されたことを示している。他の実施例においては、本体部200の下部面にセンサモジュール100を結合する形態に具現されても良い。
【0059】
センサモジュール100は、手首ストラップ300内において、ユーザが携帯用血圧装置を着用したとき動脈Aに近く対応する位置に形成されるために、本体部200と分離されて使用されても良い。センサモジュール100内の基材部150上に支持部160が位置するので、段差が存在し、第1の圧力センサ部110は、支持部160上に位置し、第2の圧力センサ部120は、基材部150の基準面に位置する。よって、各圧力センサ部110、120から動脈までの距離差が生じ、センサモジュール100は、当該距離差を利用して血圧を測定することができる。
【0060】
追加の実施例において、
図4bに示すように、センサモジュール100は、手首ストラップ300内において、ユーザが携帯用血圧装置を着用したとき動脈に近く対応する位置に形成されるために、本体部200と分離されて使用されても良い。第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120は、基材部150の基準面に位置し、第1の圧力センサ部110の上部には、硬質構造物からなる支持部160が位置しても良い。よって、支持部160の上部と第2の圧力センサ部120の上部から動脈までの距離差が生じ、センサモジュール100は、当該距離差を利用して血圧を測定することができる。
【0061】
図5は、本発明の一実施例に係る携帯用血圧装置の本体部200を示すブロック図である。
【0062】
本体部200は、電源部210と、制御部220と、ディスプレイユニット230と、通信モジュール240とを含んでいても良い。
【0063】
電源部210は、センサモジュール100及び本体部200に電源を供給する。例えば、電源部210は、血圧測定時期にはセンサモジュール100に電源を供給し、その他には電源を遮断しても良い。
【0064】
制御部220は、血圧測定が必要な時期に通信モジュール240を通じてセンサモジュール100が血圧を測定するように制御し、このようにして測定された情報をディスプレイユニット230に表示する。例えば、時間単位で血圧を測定して、測定した情報をディスプレイユニット230に表示し、予め設定された範囲を超える血圧が測定される場合にアラームを発生させたり、通信モジュール240を利用して所定のユーザに情報を送信しても良い。アラーム発生の際、ユーザは、高血圧又は低血圧の状態を直ぐチェックすることができる。
【0065】
ディスプレイユニット230は、液晶ディスプレイ、反射型ディスプレイ、OLEDディスプレイなど様々な形態の表示モニタに具現されても良い。ディスプレイユニット230は、制御部220が計算した血圧やその他の情報を表示することができる。
【0066】
通信モジュール240は、センサモジュール100の通信モジュール140及び各種の外部装置(サーバ又は端末)とそれぞれ設定された通信フォーマットで通信することでデータを送受信しても良い。
【0067】
図6は、本発明の一実施例に係る圧力センサを利用した血圧測定方法を説明するフローチャートである。
【0068】
先ず、第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120は、各位置において圧力を測定する(S110)。測定される圧力は、動脈Aとの距離に反比例して変わる相対的な血圧である。
【0069】
制御部130は、第1の圧力センサ部110と第2の圧力センサ部120で測定された第1の圧力P1及び第2の圧力P2を受信し、第1の圧力P1及び第2の圧力P2を利用して第1の圧力センサ部110から動脈Aまでの距離Bを計算する(S120)。
【0070】
ここで、距離Bは、上述した数学式1を使用して算出する。
【0071】
制御部130は、第1の圧力P1及び第2の圧力P2と第1の圧力センサ部110から動脈Aまでの距離Bを利用して実際血圧PBを計算する(S130)。
【0072】
ここで、血圧は、上記した数学式2を使用して算出する。
【0073】
拡張期血圧と収縮期血圧をそれぞれ測定するために、血圧を複数回測定するステップをさらに行っても良い(S140)。例えば、10msの間隔で10秒間測定した後、上位10個の測定値の平均を収縮期血圧とし、下位10個の測定値の平均を拡張期血圧と判断しても良い。より正確な血圧を測定するために、測定間隔を1msの間隔にしても良い。
【0074】
制御部220は、拡張期血圧及び収縮期血圧を含む情報をディスプレイユニット230に表示する(S150)。このとき、血圧が予め設定された正常範囲を超える場合、高血圧又は低血圧などを知らせるための警報を発生させたり、予め設定された携帯電話など他の装置にアラームメッセージを送信しても良い。
【0075】
図7は、時間の経過に応じた動脈血圧の変化を示すグラフであり、拡張期血圧と収縮期血圧を測定するための測定間隔を決定する際に参考にすることができる。
【0076】
本発明の一実施例は、コンピュータにより実行されるプログラムモジュールのようなコンピュータにより実行可能な命令語を含む記録媒体の形態に具現されても良い。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の可用媒体であっても良く、揮発性及び不揮発性の媒体、分離型及び非分離型の媒体を全て含む。また、コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ格納媒体を含んでいても良い。コンピュータ格納媒体は、コンピュータ読み取り可能な命令語、データ構造、プログラムモジュール、又はその他のデータのような情報格納のための任意の方法又は技術に具現された揮発性及び不揮発性、分離型及び非分離型の媒体を全て含む。
【0077】
本発明の方法及びシステムは特定の実施例と係わって説明されたが、これらの構成要素あるいは動作の一部又は全部は、汎用のハードウェアアーキテクチャを有するコンピュータシステムを利用して具現されても良い。
【0078】
上述した本願の説明は例示のためのものであり、本願の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本願の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0079】
本願の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本願の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0080】
10:圧力センサを利用した携帯用血圧測定装置
100:血圧測定のためのセンサモジュール
110:第1の圧力センサ部
120:第2の圧力センサ部
130:制御部
140:通信モジュール
150:基材部
160:支持部(又は硬質構造物からなる支持部)
200:本体部
210:電源部
220:制御部
230:ディスプレイユニット
240:通信モジュール
300:手首ストラップ