(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】非対称先端を備えるカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20230906BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
A61M25/00 530
A61M25/06 500
(21)【出願番号】P 2022015718
(22)【出願日】2022-02-03
(62)【分割の表示】P 2019518405の分割
【原出願日】2016-10-06
【審査請求日】2022-03-07
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー チャールズ ファリネッラ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル カーク ハイアー
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04583968(US,A)
【文献】特表2014-525319(JP,A)
【文献】特表2005-532866(JP,A)
【文献】米国特許第04588398(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0088273(US,A1)
【文献】特開2000-319676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に挿入されるためのカテーテルであって、
カテーテルアダプタに連結されるように構成される近位端、及び前記血管内に挿入されるように構成される遠位端の間で延びるカテーテル本体を含み、
前記カテーテル本体の前記遠位端は、遠位ルーメン開口を含み、
前記カテーテル本体は、前記カテーテル本体の前記近位端から前記遠位ルーメン開口まで延びるルーメンを含み
、
前記カテーテル本体の前記遠位端
は、非対称のショルダーを有し、それによって、前記ルーメンは前記遠位ルーメン開口に向けて狭まることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記ルーメンの壁の遠位端の上縁の角度は、前記カテーテルの長手方向軸に関して前記ルーメンの壁の遠位端の下縁の角度とは異なる角度であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記対向側は上縁および下縁を含み、前記下縁は前記カテーテルの前記長手方向軸に関して10度
以上80度
以下の角度で配置されることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記対向側は上縁および下縁を含み、前記上縁は前記カテーテルの前記長手方向軸に関して10度
以上80度
以下の角度で配置されることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記カテーテル本体の前記遠位端は
、前記血管の中心へ向かって
注入剤を方向付けるように構成される非対称の外側幾何学的形状を含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記非対称の外側幾何学的形状は、面取りされている前縁を含み、
前記面取りされている前縁は記遠位ルーメン開口を形成することを特徴とする請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記カテーテル本体の前記遠位端は、外テーパー部を含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記外テーパー部は、非対称であることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記外テーパー部の下側の近位端は前記外テーパー部の上側の近位端の遠位に設置されることを特徴とする請求項
8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記カテーテル本体は、前記カテーテル本体の一側に設けられる少なくとも一つの流れ穴をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記少なくとも一つの流れ穴は、流体が前記少なくとも一つの流れ穴から出て、前記血管の中心に向けて導き、または血管の壁から離して導くように構成されることを特徴とする請求項
10に記載のカテーテル。
【請求項12】
カテーテルアダプタと、
血管内に挿入されるためのカテーテルであって、前記カテーテルは前記カテーテルアダプタから遠位に延びるカテーテルと、
前記カテーテルおよび前記カテーテルアダプタから延びる誘導針と
を含み、
前記カテーテルは、前記カテーテルアダプタに連結されるように構成される近位端、及び前記血管内に挿入されるように構成される遠位端の間で延びるカテーテル本体を含み、
前記カテーテル本体の前記遠位端は、遠位ルーメン開口を含み、
前記カテーテル本体は、前記カテーテル本体の前記近位端から前記遠位ルーメン開口まで延びるルーメンを含み
、
前記カテーテル本体の前記遠位端
は、非対称のショルダーを有し、それによって、前記ルーメンは前記遠位ルーメン開口に向けて狭まることを特徴とするカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記ルーメンの壁の遠位端の上縁の角度は、前記カテーテルの長手方向軸に関して前記ルーメンの壁の遠位端の下縁の角度とは異なる角度であることを特徴とする請求項
12に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記対向側は上縁および下縁を含み、前記下縁は前記カテーテルの前記長手方向軸に関して10度
以上80度
以下の角度で配置されることを特徴とする請求項
13に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記対向側は上縁および下縁を含み、前記上縁は前記カテーテルの前記長手方向軸に関して10度
以上80度
以下の角度で配置されることを特徴とする請求項
13に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項16】
前記カテーテル本体の前記遠位端は
、前記血管の中心へ向かって
注入剤を方向付けるように構成される非対称の外側幾何学的形状を含むことを特徴とする請求項
12に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項17】
前記非対称の外側幾何学的形状は、面取りされている前縁を含み、
前記面取りされている前縁は記遠位ルーメン開口を形成することを特徴とする請求項
16に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項18】
前記カテーテル本体の前記遠位端は、外テーパー部を含むことを特徴とする請求項
17に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項19】
前記外テーパー部は、非対称であることを特徴とする請求項
18に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、カテーテル組立品およびカテーテル組立品と共に使用されるデバイスを含む、血管アクセスシステムおよびコンポーネント(vascular access systems and components)に関する。特に、本発明は、カテーテル先端を改善して改善された挿入、注入流量、および流体採取(fluid collection)を提供するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管アクセスデバイス(Vascular access devices)は、流体を患者の生体組織と連絡させるために使用される。例えば、カテーテルのような血管アクセスデバイスは、一般に、血液サンプリング(blood sampling)のために使用される。血液サンプリングは、患者からの少なくとも血液試料の抜き取りを伴う一般的なヘルスケア手順である。採取されるとすぐに、血液試料は、1つまたは複数の血液試験水準を用いて分析される。
【0003】
血管アクセスデバイスは、また、一般に、生理食塩水(saline solution)、様々な薬剤、および/または完全非経口栄養のような流体を患者内に注入し、患者から血液を抜き取り、および/または患者の血管系(vascular system)の様々なパラメータを監視するために使用される。重度の外傷(massive trauma)、大手術(major surgical procedures)、重度の熱傷(massive burns)、および膵炎および糖尿病性ケトアシドーシスのような特定の病状を含む多様な臨床環境は、重大な循環量減少を生み出す可能性がある。この減少は、実際の血液損失または内部流体不均衡のいずれかから引き起こされ得る。これらの臨床状況(clinical settings)において、深刻な成り行き(serious consequences)を避けるために、血液および/または他の流体を速やかに患者内に注入することがしばしば必要である。
【0004】
カテーテル血管アクセスデバイスを患者内において適切に位置付けるために、カテーテルは、典型的には、鋭い遠位先端を有する誘導針(introducer needle)を覆って据え付けられる。カテーテルの少なくとも遠位部は、針の外面としっかりと係合して、カテーテルの引き剥がしを防止し、およびしたがって、血管内へのカテーテルの挿入を容易にする。針の先端は、好ましくは、患者の皮膚に向かって直面する(facing up)針の面取り部(bevel)を備えて、カテーテルの先端を越えて延びる。
【0005】
カテーテルおよび針は、浅い角度で患者の皮膚を通して血管内へ挿入される。血管内におけるカテーテルおよび針の適切な位置付け(proper placement)を実証するために、臨床医は、フラッシュバック室内において血液のフラッシュバックがあることを確認してもよい。フラッシュバック室は、典型的には、針ハブの一部として形成されてもよい。血管内へのカテーテルおよび針組立品の適切な位置付けが確認されると、臨床医は、血管を覆う患者の皮膚上で針およびカテーテルの遠位を押し下げることによって血管に圧力を加える。この指圧は、針およびカテーテルを通るさらなる血流を塞ぐまたは少なくとも最小限にする。臨床医は、次いで、標準的な医療技術に従う使用のための適所にカテーテルを残して、針を抜き取る。
【0006】
いくつかの例において、カテーテルの遠位先端における開口は、カテーテルが血管内に位置付けられたときに、血管の内壁によって少なくとも部分的に閉塞され(obstructed)または遮断される(blocked)可能性がある。カテーテルの先端における開口の閉塞(Obstruction)は、カテーテルを通る流れを制限し、流体注入および/または血液採取(blood collection)を阻害する可能性がある。いくつかの例において、カテーテルの先端における開口の閉塞およびカテーテルを通る流れ制限は、また、血液の溶血現象をもたらす可能性があり、これは、血液試料の質を低下させる可能性があり、および追加試料が採取されることを必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
いくつかの実施形態において、本発明は、より効率的な注入および血液採取手順、ならびに高品質の血液試料の採取を提供することのできる血管アクセスデバイスを対象とする。したがって、いくつかの実施形態において、血管アクセスデバイスは、血管注入システムおよび/または血液採取システムと組み合わせて使用されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、血管アクセスデバイスは、また、針およびカテーテル組立品の改善された挿入を提供することもできる。血管アクセスデバイスは、概して、患者の血管系にアクセスするように構成される静脈内カテーテルを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、静脈内カテーテルのカテーテル本体は、近位端、遠位端、およびカテーテル本体の近位端と遠位端との間に長手方向軸に沿って延びる、カテーテル本体の内壁によって形成されるルーメン、を含む。いくつかの実施形態において、遠位端は、長手方向軸上に配置される遠位ルーメン開口を含んでいてもよい。本開示において使用される際の用語「前縁(leading edge)」は、遠位ルーメン開口を形成しおよび針が挿入構成(insertion configuration)にあるときに針と接触する、カテーテル本体の縁を称していてもよい。いくつかの実施形態において、前縁は、カテーテル本体の最遠位表面(遠位-most surface)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前縁は、上部(upper portion)および下部(lower portion)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前縁の上部は、末梢カテーテルが患者の静脈内部に位置付けられた後に、前縁の下部よりも、患者の皮膚に近接して(closer to)配置されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、前縁の下部は、前縁の上部の遠位に配置されていてもよい。これらのまたは他の実施形態において、前縁は、前縁の上部および下部間において面取りされて(beveled)いてもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル本体の外壁は、テーパー部(tapered portion)および非テーパー部(untapered portion)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、テーパー部は、前縁に少なくとも近接して(at least proximate)配置されていてもよい。いくつかの実施形態において、テーパー部は、長手方向軸に関して2度から30度の間の角度で内方に先細り(taper)していてもよい。いくつかの実施形態において、テーパー部は、非対称であってもよい。例えば、テーパー部の下側(lower side)の近位端は、テーパー部の上側(upper side)の近位端の遠位に配置されていてもよい。本開示において使用される際の用語「対称」は、軸周りにおける対称または軸対称を含んでいてもよい。本開示において使用される際の用語「非対称」は、軸周りにおける非対称または非軸対称を含んでいてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、テーパー部は、1つまたは複数の流れ穴(flow holes)を含んでいてもよい。例えば、テーパー部の上側は、単一の流れ穴を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、テーパー部の上側の長さの少なくとも三分の一は、単一の穴を含んでいてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、流れ穴の各々は、ルーメンと連絡していてもよく、および第1の平面を画定する内壁表面を備える通路を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、長手方向軸に対する第1の平面の配向は、鋭角であってもよい。例えば、長手方向軸に対する第1の平面の配向は、45度であってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、カテーテル本体の内壁は、前縁に少なくとも近接するランド部(land portion)を含んでいてもよい。ランド部は、針が末梢カテーテル内に挿入されるときに針と接触するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流れ穴は、ランド部を通って延びる通路を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、ランド部は、非対称であってもよい。例えば、ランド部の一方の側(one side)の近位端は、ランド部の反対側(opposite side)の近位端から、2つの近位端が直径方向に対向しない(not diametrically opposed)ようにオフセットされていてもよい。さらに詳細には、いくつかの実施形態において、ランド部の一方の側の近位端は、ランド部の反対側の近位端の遠位にあってもよい。これらのまたは他の実施形態において、ランド部の断面は、平行四辺形の形状に構成されていてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、カテーテル本体の内壁は、ランド部に近接するショルダーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、ショルダーの上縁に相当する内壁の部分は、長手方向軸に関して角度が付けられていてもよくおよび/またはショルダーの下縁に相当する内壁の部分は、長手方向軸に関して角度が付けられていてもよい。いくつかの実施形態において、ショルダーは、非対称であってもよい。いくつかの実施形態において、ショルダーの上縁の角度は、ショルダーの下縁の角度と同一の角度であってもよくまたは異なった角度であってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、カテーテル本体の遠位端は、遠位端の外壁によって画定される外部幾何学的形状、および遠位端の内壁によって画定される内側幾何学的形状、を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル本体の遠位端は、非対称であってもよい。例えば、カテーテル本体の外部幾何学的形状および/または内側幾何学的形状は、非対称であってもよい。非対称の遠位端の例は、以下のもののうちの1つまたは複数を含む遠位端を含んでいてもよい:前縁の上部の遠位に配置される前縁の下部、前縁の上部および下部間において斜角が付けられた前縁、非対称のランド部、非対称のショルダー、非対称のテーパー部、等。非対称の遠位端は、さらに詳細に説明されるように、いくつかの利点を提供することができる。
【0015】
本発明の上に列挙されたおよび他の特徴および利点が得られる方法が容易に理解され得るように、簡単に上述された本発明のより詳細な説明が、添付図面に示されるその特定の実施形態を参照することによって提示される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを描写し、およびしたがって、本発明の範囲を限定するようにみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】いくつかの実施形態による、実施例の末梢静脈内カテーテルの斜視図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、非対称の外側幾何学的形状および非対称の内側幾何学的形状を含む実施例のカテーテルの一部の長手方向断面図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、挿入構成において実施例の誘導針と連結された
図2のカテーテルの一部の長手方向断面図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による、挿入構成において誘導針と連結された、非対称の外側幾何学的形状および非対称の内側幾何学的形状を備える別の実施例のカテーテルの一部の長手方向断面図である。
【
図4A】いくつかの実施形態による、患者内に流体を注入するために使用されている
図3Bのカテーテルの長手方向断面図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、患者内に流体を注入するために使用されている
図2のカテーテルの長手方向断面図である。
【
図5A】いくつかの実施形態による、患者からの血液採取のために使用されている
図3Bのカテーテルの長手方向断面図である。
【
図5B】いくつかの実施形態による、患者からの血液採取のために使用されている
図2のカテーテルの長手方向断面図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、非対称の外側幾何学的形状および非対称の内側幾何学的形状を含む別の実施例のカテーテルの一部の長手方向断面図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、
図2または
図6のカテーテルの側面図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、
図2または
図6のカテーテルの上部斜視図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、
図2または
図6のカテーテルの断面図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、別の実施例のカテーテルの一部の断面図である。
【
図11A】いくつかの実施形態による、実施例の誘導針と連結された別の実施例のカテーテルの一部の上部斜視図である。
【
図11B】いくつかの実施形態による、誘導針と連結された
図11Aのカテーテルの別の一部の側面図である。
【
図12A】いくつかの実施形態による、実施例の誘導針と連結された別の実施例のカテーテルの一部の上部斜視図である。
【
図12B】いくつかの実施形態による、誘導針と連結された
図12Aのカテーテルの一部の側面図である。
【
図12C】いくつかの実施形態による、誘導針と連結された
図12Aのカテーテルの一部の断面図である。
【
図13A】いくつかの実施形態による、実施例の誘導針と連結された別の実施例のカテーテルの一部の上部斜視図である。
【
図13B】いくつかの実施形態による、誘導針と連結された
図13Aのカテーテルの一部の側面図である。
【
図14】いくつかの実施形態による、実施例の誘導針と連結された別の実施例のカテーテルの一部の側面図である。
【
図15】いくつかの実施形態による、別の実施例のカテーテルの一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において使用される際に、用語「近位(proximal)」は、カテーテル組立品が通常の使用の間に患者内に挿入された後に臨床医に最も近くおよび患者に最も遠い、デバイスに関する場所を称していてもよい。逆に言えば、用語「遠位」は、カテーテル組立品が通常の使用の間に患者内に挿入された後に、臨床医から最も遠くおよび患者に最も近いデバイスに関する場所を称していてもよい。本明細書において使用される際に、用語「上面(top)」、「上(up)」、「上側(upper)」、または「上方に(upwardly)」は、カテーテル組立品が通常の使用の間に患者内に挿入された後に、デバイスの長手方向軸から半径方向に離れおよび患者の皮膚に向かう、デバイスに関する場所を称する。逆に言えば、本明細書において使用される際に、用語「底面(bottom)」、「下(lower)」、「下側(down)」、または「下方に(downwardly)」は、カテーテル組立品が通常の使用の間に患者内に挿入された後に、デバイスの長手方向軸から半径方向に離れおよび患者の皮膚から離れるデバイスに関する場所を称する。
【0018】
本発明の実施形態は、同様の参照番号が同一のまたは機能的に類似する構成要素を示す図面を参照することによって最もよく理解されるであろう。本明細書において概して説明されおよび図に示されるような本発明のコンポーネントは、多種多様な異なった構成にアレンジされおよび設計され得ることは容易に理解されるであろう。したがって、図中に表現されるような以下のより詳細な説明は、特許請求される本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の現在好ましい実施形態の単なる典型にすぎない。
【0019】
次に
図1を参照して、血管アクセスデバイスは、末梢静脈内カテーテル10(本開示内において「PIVC10」と称する)を含んでいてもよい。本発明は、本明細書においてPIVCと関連して記載されるが、本発明は、他のカテーテルおよび血管アクセスデバイスに適用可能であることは理解されよう。いくつかの用途のために、血管アクセスデバイスは、患者の末梢静脈内に挿入される。他の用途において、血管アクセスデバイスは、患者の中心静脈内に挿入される。
【0020】
いくつかの実施形態において、PIVC10は、小さい(small)末梢静脈内に挿入される短いまたは切り縮められた(truncated)カテーテル12(通常、13mmから52mm)を含んでいてもよい。例えば、PIVC10は、およそ14ゲージまたはそれよりも小さいカテーテルの直径を含んでいてもよい。しかしながら、カテーテル12は、任意の長さであってもよく、長さは、カテーテル12の意図される用途に基づいて選択される。カテーテル12は、また、任意の直径を含んでいてもよく、直径は、カテーテル12の意図される用途に基づいて選択される。
【0021】
いくつかの実施形態において、誘導針16は、典型的には、針の鋭い遠位先端がカテーテル12の先端13を越えて延びるように、カテーテル12を通して挿入されてもよい。カテーテル12が患者の血管15内に挿入されるとすぐに、誘導針16は、カテーテル12を介した注入および/または血液採取を可能にするために、カテーテル12の内側ルーメンから取り除かれてもよい。
【0022】
カテーテル12のために適当な材料は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、および同様のもの、のような熱可塑性樹脂を含んでいてもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、カテーテル12は、患者の体内に存在する生理学的状態への暴露によって軟化する熱可塑性親水性ポリウレタンから形成されていてもよい。カテーテル12は、本技術分野において一般に使用されるような、可撓性または半可撓性の生体適合性材料を含んでいてもよい。他の実施形態において、カテーテル12は、外科用スチール、チタン、コバルトスチール、および同様のもの、のような金属材料を含んでいてもよい。加えて、いくつかの実施形態において、カテーテル12を形成するために使用される材料は、透明または少なくとも半透明であってもよい。加えて、いくつかの実施形態において、カテーテル12は、カテーテル12が透明または半透明の材料のストライプから形成されている場合のように、それが部分的に透明または半透明であるように、形成されていてもよい。これは、また、誘導針16が、誘導針16の遠位端に隣接してそのような血流を可能にするノッチ、すなわち側壁における穴または開口を含む場合に、臨床医が誘導針16とカテーテル12との間の環状空間内において血液フラッシュバックを見ることを可能にし得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、PIVC10は、カテーテル12の近位端を収容することのできるカテーテルアダプタ18を含んでいてもよい。カテーテルアダプタ18のために適当な材料は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンフタレートグリコール(poly ethylene phthalate glycol)(PETG)、および同様のもの、のような熱可塑性高分子樹脂を含んでいてもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、カテーテルアダプタ18を形成するために使用される材料は、臨床医がその中において血液フラッシュバックを眺めることを可能にするために、透明または少なくとも半透明であってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、カテーテルアダプタ18は、延長チューブ22と連結されるポート20を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、延長チューブ22は、上流の注入および/または血液採取コンポーネントに連結されてもよい。いくつかの実施形態において、延長チューブ22は、臨床医がその中における血液のフラッシュバックを眺めて静脈穿刺の成功を確認することができるように、半透明であってもよい。いくつかの実施形態において、延長チューブ22は、例えば、さらに詳細に米国特許第5,697,614号に記載されるように、カテーテルアダプタ18と一体化されていてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、カテーテルアダプタ18の内側ルーメンは、延長チューブ22の内側ルーメンおよびカテーテル12の内側ルーメンの両方と流体連通していてもよい。いくつかの実施形態において、誘導針16の先端は、面取り部によって画定されていてもよく、および誘導針16の近位端は、針ハブ24に接続されていてもよい。いくつかの実施形態において、誘導針16は、ステンレス鋼から形成されていてもよく、およびカテーテル12および/またはPIVC10の長手方向軸に概して平行である長手方向軸を有していてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、誘導針16は、誘導針16の遠位端に隣接するノッチを備えて形成されてもよい。この構成は、血液が誘導針16の開口先端内に流れ、および次いでノッチからカテーテル12と誘導針16との間の環状空間内へ流れることを可能にし得る。カテーテル12が少なくとも半透明である場合、臨床医は、静脈穿刺が成功すると即座に血液フラッシュバックを観察でき得る。加えて、いくつかの実施形態において、血液が延長チューブ22内に流れるときに、延長チューブ22が少なくとも半透明である場合、臨床医は、また、延長チューブ22内において血液フラッシュバックを観察でき得る。いくつかの実施形態において、誘導針16にノッチが何ら形成されない場合、針ハブ24は、液体(fluid)ではなく空気がそれを通って流れるのを可能にし得る通気口が付けられた(vented)プラグによって液体(fluid)流に対して閉ざされている開放近位端を有する一体化された(integrated)フラッシュバック室を含んでいてもよい。針ハブ24は、カテーテルアダプタ18を形成するために使用されるものと同一の種類の材料から形成されていてもよい。もちろん、針ハブ24を形成するために他の材料が使用されていてもよい。
【0027】
本発明に従うPIVC10のカテーテル12は、遠位端または先端13を含んでいてもよい。先端13は、先端13の外壁によって画定される外部幾何学的形状および先端13の内壁によって画定される内側幾何学的形状を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、先端13は、非対称であってもよい。例えば、先端13の外部幾何学的形状および/または内側幾何学的形状は、非対称であってもよい。先端13の非対称の外部幾何学的形状および/または先端13の非対称の内部幾何学的形状は、さらに詳細に説明されるように、いくつかの利点を提供することができる。
【0028】
次に
図2を参照して、いくつかの実施形態によるカテーテル12の先端14の断面における側面図が示される。いくつかの実施形態において、先端14は、
図1の先端13に相当していてもよい。いくつかの実施形態において、先端14は、先端14の内壁28によって形成される中央ルーメン26を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、中央ルーメン26は、カテーテル12の長手方向軸30に沿って延びていてもよく、および先端14の前縁32からカテーテル12の近位端までずっと流体流路を画定していてもよい。いくつかの実施形態において、前縁32は、
図2に示されるように、幅およびカテーテル12の長手方向軸30に垂直の平面状表面を含んでいてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、外壁34は、非テーパー部36および/またはテーパー部38を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、非テーパー部36は、長手方向軸30に平行であってもよい。いくつかの実施形態において、テーパー部38は、前縁32の近位および非テーパー部36の遠位にあってもよい。いくつかの実施形態において、テーパー部38は、長手方向軸30に関して約10度から約45度の間の角度で内方に先細りしていてもよい。いくつかの実施形態において、テーパー部38は、前縁32によって終端化されていてもよい(may be terminated)。いくつかの実施形態において、テーパー部38は、前縁32に向かって内方に線形に先細りしていてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、先端14の外側幾何学的形状は、
図2に示されるように、非対称であってもよい。例えば、テーパー部38の一方の側の近位端40aは、テーパー部38の反対側の近位端40bから、2つの近位端40a、40bが直径方向に対向しないようにオフセットされていてもよい。いくつかの実施形態において、テーパー部38の下側に配置されていてもよい近位端40bは、テーパー部38の上側に配置されていてもよい近位端40aの遠位に配置されていてもよい。
【0031】
付加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態において、先端14の反対側に配置される前縁32の上部および下部42a、42bは、上部および下部42a、42bが直径方向に対向しないようにオフセットされていてもよく、および前縁32は面取りされている。いくつかの実施形態において、上部42aは、前縁32の最上部分(upper-most portion)を含んでいてもよく、および下部42bは、前縁32の最も低い部分(lowest portion)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前縁32の下部42bは、前縁32の上部42aの遠位に配置されていてもよい。前縁32は、例えば、長手方向軸30に関して20度から80度の間のような様々な角度で、上部および下部42a、42b間において面取りされていてもよい(may be beveled)。この角度は、
図2上の「A」で示される。
【0032】
先端14の非対称の外側幾何学的形状は、カテーテル12の挿入性能を改善することができる。例えば、いくつかの実施形態において、非対称の外側幾何学的形状は、誘導針16のより小さい輪郭から先端14外径のより大きい輪郭まで円滑なおよびより漸次的な移行を提供することができる。先端14の非対称の外側幾何学的形状は、また、血管アクセスデバイスを用いて皮膚および/または患者の血管15を貫通するために必要な貫通力(penetration force)を低減させることができる。いくつかの実施形態において、非対称の外側幾何学的形状は、先端14が皮膚および/または患者の血管15内に挿入される際に臨床医によって感じられる力の急上昇(force spike)を低減させることができ、より円滑な挿入経験を提供する。さらに、いくつかの実施形態において、前縁32は上部および下部42a、42b間において面取りされており、および誘導針16の先端もまた面取りされているので、先端14は、誘導針16およびカテーテル12が患者の血管15内に位置付けられるときに、誘導針16の先端によって作り出される患者の血管15内の開口の形状内に容易に適合しまたは挿入されることができ、同様に、より円滑な挿入経験を提供する。上部42aと下部42bとの間において面取りされた前縁32を含む特定の非対称の外側幾何学的形状は、誘導針16を後退させる間の、カテーテル12の通り抜け(threading)または前進を容易にすることができる。
【0033】
次に
図3Aを参照して、いくつかの実施形態において、誘導針16は、一次的面取り部(primary bevel)80および/または二次的面取り部(secondary bevel)82を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、血管アクセスデバイスが患者の静脈内への誘導針16およびカテーテル12の挿入のための挿入構成にあるときに、前縁32の下部42bは、一次的面取り部後尾(heel)84の遠位に配置されていてもよく、これは、切開部内への針16の完全な直径(full diameter)の挿入の前に誘導針16によって作られる切開部(incision)内への先端14の導入を容易にすることができる。これらの実施形態において、針16および先端14が患者の静脈内に挿入される際に、二次的面取り部82を過ぎて切開部内に挿入されている誘導針16に応じて、皮膚の付加的な切断(cutting)が何ら生じない可能性がある。代わりに、皮膚は、切開部内に配置される針16の幅方向断面の周囲が増大しおよび一次的面取り部80が切開部を完全に貫通する際に、先端14および/または誘導針16を覆って伸張する可能性がある。いくつかの実施形態において、前縁32の下部42bは、挿入構成において一次的面取り部後尾84と二次的面取り部82との間に配置されてもよく、これは、誘導針16の完全なまたは最大の外径まで皮膚を伸張させることなしに、先端14の一部が切開部内に挿入されることを可能にし得る。
【0034】
非対称の外側幾何学的形状は、また、挿入の間に、ライディスタンスまたは誘導針16の先端と前縁32の下部42bとの間の距離を低減させることによって、挿入性能を改善することができる。例えば、誘導針16の先端44が非対称の外側幾何学的形状を有する先端14から露出されているときに、ライディスタンスは、第1の距離46と等しくてもよい。
図3Bに示されるように、誘導針16の先端44が対称の外側幾何学的形状を有する先端17から露出されているときに、ライディスタンスは、第2の距離48と等しくてもよい。第1の距離46は、第2の距離48よりも小さくてもよい。低減されたライディスタンスは、最初の血液フラッシュバックがあると先端14が血管15内部にあるという可能性を改善することができ、および/または血管15内への誘導針16および先端14の挿入の間に血管15を損傷しまたは釘付けにするリスクを低減させることができる。
【0035】
非対称の外側幾何学的形状のこれらのおよび他の利益は、カテーテル12の先端14が浅い角度で患者の皮膚を通して患者の血管15内に挿入されるときに理解され得る。さらに詳細には、カテーテル12が浅い角度で血管15内に位置付けられた後、血管15に対するカテーテル12の先端14の位置は、注入治療および/または血液採取の間に提供され得る流体の流速に影響を与え得る。遠位ルーメン開口は、例えば前縁32のような先端14の前縁によって形成されてもよい。戻って
図1を参照して、非対称の外側幾何学的形状の利益の多くはカテーテル12の先端13が浅い角度で患者の血管15内に挿入されるときに理解され得るので、PIVC10は、ウィング60または固定(securement)プラットフォームを含んでいてもよく、これは、臨床医が静脈穿刺の間においてカテーテル12の位置を正確に操作および制御するのを助けることができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、カテーテル12は、1つまたは複数の流れ穴62を含んでいてもよく、その各々は、所定の穴角度(bore angle)で外壁34および内壁28を通って延びていてもよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流れ穴62は、テーパー部38の上側に配置されていてもよく、これは、静脈壁への注入剤(infusates)の直接的な衝突(impingement)を低減させおよび/または採血(blood draw)の間における1つまたは複数の流れ穴62内への増大された流れを可能にし得る。流れ穴62は、各々、第1の平面を画定する内壁表面65を含む通路を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、長手方向軸30に対する第1の平面の配向は、鋭角であってもよい。例えば、長手方向軸30に対する第1の平面の配向は、約15度から75度の間であってもよい。いくつかの実施形態において、長手方向軸30に対する第1の平面の配向は、約45度であってもよい。いくつかの実施形態において、特定の流れ穴62の穴角度は、特定の流れ穴62を通る流れの効率を最適化するようにおよび/または流路の余分(redundancy)を提供するように選択されていてもよく、静脈内部のカテーテル張力、システム圧力、および先端噴射速度を低減する。
【0037】
いくつかの実施形態において、流れ穴62は、概して、カテーテル12の中央ルーメン26を通る流れの主チャネルから流体を脇にそらす(divert)ために設けられてもよい。そういうものとして、流れ穴62は、注入手順の間に先端14から噴出する注入液(infusant)の噴射を有効に遅くすることができる。いくつかの実施形態において、流れ穴62は、急速注入手順を含む注入手順の間の注入液の出口速度を低減させることができる。加えて、流れ穴62は、流路の余分を作り出して、先端14内の全体的な圧力を軽減する(relieve)ことができる。
【0038】
これらのまたは他の実施形態において、テーパー部38の上側は、単一の流れ穴62を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、大きい単一の流れ穴62は、多数のより小さい流れ穴62とは対照的に、血餅(blood clot)形成および単一の流れ穴62の最終的な閉鎖(eventual occlusion)のリスクを低減させることができる。いくつかの実施形態において、テーパー部38の上側の長さの少なくとも三分の一は、単一の流れ穴62を含んでいてもよい。
【0039】
当業者は、流れ穴62の数および寸法は、所望の流量、先端噴射速度の低減、血管損傷の低減、および/または増大されたボーラス濃度(density)を達成するために変化させられおよび調節されてもよいことを理解するであろう。1つまたは複数の流れ穴62は、概して、当技術分野において知られている製造方法によって設けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流れ穴62は、レーザードリルを用いて設けられてもよい。
【0040】
次に
図4Aを参照して、いくつかの例において、対称の外側幾何学的形状を備える先端17が患者の血管15内に浅い角度で挿入されるときに、カテーテル12の遠位ルーメン開口58は、血管15の内壁に関する遠位ルーメン開口58の角度のために、血管15の内壁によって部分的に閉塞されまたは遮断される可能性がある。例えば、
図4Aに記載されるように、対称の外側幾何学的形状を備える特定のカテーテル12の遠位ルーメン開口58の角度は、血管15に関して90度よりも小さい可能性があり、遠位ルーメン開口58を通る流れを阻害する。これに対して、次に
図4Bを参照して、先端14の非対称の外側幾何学的形状は、カテーテル12の遠位ルーメン開口58の閉塞または遮断(blocking)を低減させることができ、これは、先端14が血管15内に挿入されるときに、血管15の内壁に関して垂直に配向されてもよい。また、
図4Aから
図4Bに示されるように、いくつかの実施形態において、非対称の外側幾何学的形状は、カテーテル12の遠位ルーメン開口58の断面積を増大させることができ、および遠位ルーメン開口58を通る増大された流量を可能にする。
図4Aから
図4Bに示されるように、いくつかの実施形態において、先端14の非対称の外側幾何学的形状は、先端17の対称の外側幾何学的形状に比べて、血管15の中心に向かって注入剤(infusate)を方向付けることができる。
【0041】
例えば、よじれ(kinking)、血管15に抗する特定のカテーテルの遮断、凝血(clotting)、および/または他の内在する要因から生じる可能性のある流れ制限(Flow restriction)は、特定のカテーテルを通して患者から血液の十分量を得るための臨床医の能力に影響を及ぼす可能性がある。流れ制限は、また、溶血現象をもたらす可能性があり、血液試料の質に影響を及ぼす。次に
図5Aから
図5Bを参照して、先端14の非対称の外側幾何学的形状は、先端17と比較された際に、ライン引き(line draw)の成功を改善させおよび/または先端14を使用して採取された血液試料の溶血現象を低減させることができる。
【0042】
例えば、
図5Aから
図5Bに示されるように、先端14の非対称の外側幾何学的形状は、血管15によるカテーテル12の遠位ルーメン開口58の閉塞または遮断を低減させおよび/または遠位ルーメン開口58の断面積を増大させることができ、血液採取の間の先端14における局所的な圧力を低下させる。さらに、流れ穴62は、流路の余分を提供することができおよび/または血液がより速やかに採取されるのを可能にし得る。述べられたように、いくつかの実施形態において、大きい単一の流れ穴62は、多数のより小さい流れ穴62とは対照的に、血餅形成および単一の流れ穴62の最終的な閉鎖のリスクを低減させることができる。先端14の非対称の外側幾何学的形状は、先端17の対称の外側幾何学的形状と比較された際に、遠位ルーメン開口58を針ベースの採血システム(needle-based blood draw system)と同様の位置および角度に位置付け、および遠位ルーメン開口58を血管15の壁からもっと離して置くことができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、先端17は、カニューレ貫通力のピークと比較された際に、同様のまたはより大きいカテーテル貫通力ピークを示してもよく、一方、先端14の非対称の外側幾何学的形状は、先端14の前縁32と皮膚および/または患者の血管15との間の接触の空間的および時間的分布を提供することができ、これは、カテーテル貫通力ピークの大きさを低下させおよび幅を広げることができる。いくつかの実施形態において、上部および/または下部42bの先細り(tapering)(
図10に示される)は、皮膚および/または血管15に垂直な先端14の表面積を低減させることによって、貫通力を低減させることができる。
【0044】
戻って
図2を参照して、いくつかの実施形態において、カテーテル12は、内壁28によって画定される内部幾何学的形状を有していてもよい。例えば、内壁28は、遠位ランド部64、近位部66、およびランド部64および近位部66を接続するショルダー68を含んでいてもよい。ランド部64の直径69は、ランド部64と誘導針16との間に摩擦係合があるように、誘導針16の先端44近くの誘導針16の直径よりもわずかに小さくてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、先端14のランド部64は、誘導針16の外面にしっかりと従っていてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、ランド部64は、前縁32からショルダー68まで延びていてもよい。いくつかの実施形態において、ランド部64は、非対称であってもよい。例えば、ランド部64の一方の側の近位端70aは、ランド部64の反対側の近位端70bから、2つの近位端70a、70bが直径方向に対向しないように、オフセットされていてもよい。いくつかの実施形態において、ランド部64の断面は、
図2に示されるように、平行四辺形の形状を有していてもよい。いくつかの実施形態において、ランド部64の下側に配置されていてもよい近位端70bは、ランド部64の上側に配置されていてもよい近位端70aの遠位に配置されていてもよい。いくつかの実施形態において、ランド部64は、前縁32によって終端化されていてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、ショルダー68の上縁72に相当する内壁28の一部は、長手方向軸30に関してある角度で配置されていてもよい。付加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態において、ショルダー68の下縁74に相当する内壁28の一部は、長手方向軸30に関してある角度で配置されていてもよい。例えば、上縁72は、長手方向軸30に関して約10度から80度の間の角度で配置されていてもよい。例えば、下縁74は、長手方向軸30に関して約10度から80度の間の角度で配置されていてもよい。いくつかの実施形態において、上縁72は、長手方向軸30に関して下縁74よりも角度が付けられていてもよい。いくつかの実施形態において、ショルダー68の断面は、四辺形の形状を有していてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態において、ショルダー68は、非対称であってもよい。例えば、上縁72の近位端76は、下縁74の近位端78から、上縁72の近位端76および下縁74の近位端78が直径方向に対向しないように、オフセットされていてもよい。これらの実施形態において、上縁72の近位端76から下縁74の近位端78まで延びる直線分は、カテーテル12の長手方向軸に垂直でなくてもよい。付加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態において、ランド部64の近位端70aに相当していてもよい上縁72の遠位端は、ランド部64の近位端70bに相当していてもよい下縁74の遠位端から、上縁72の遠位端および下縁74の遠位端が直径方向に対向しないように、オフセットされていてもよい。
【0048】
非対称のショルダー68および/または非対称のランド部64を有する先端14は、例えば、
図2に示される流れ穴62および/または他の流れ穴62を通る流れを方向付けることによって、先端14内部の血流動態(flow dynamics)に影響を及ぼす可能性がある。
【0049】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流れ穴62の各々の通路は、ランド部64を通って延びていてもよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流れ穴62の通路は、ランド部64の上側および/またはテーパー部38の上側を通って延びていてもよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流れ穴62は、挿入の間に血液が1つまたは複数の流れ穴62から出ることを防止するために、ランド部64内に配置されていてもよい。さらに詳細には、いくつかの実施形態において、誘導針16の先端44または遠位端に隣接するノッチは、誘導針16およびカテーテル12が患者の血管15内に挿入されるときにランド部と接触する誘導針16の一部の近位に配置されていてもよい。
【0050】
次に
図6を参照して、いくつかの実施形態において、先端19は、外壁34によって形成される非対称の外側幾何学的形状および内壁28によって形成される対称の内側幾何学的形状を有していてもよい。例えば、ランド部64の一方の側の近位端70aは、
図6に示されるように、2つの近位端70a、70bが直径方向に対向するように、ランド部64の反対側の近位端70bと位置合わせされていてもよい。これらの実施形態において、上縁72の近位端76から下縁74の近位端78まで延びる直線分は、カテーテル12の長手方向軸に垂直であってもよい。いくつかの実施形態において、先端19は、
図1の先端13または
図2の先端14に相当していてもよい。いくつかの実施形態において、ランド部64の下側に配置されていてもよい近位端70bは、ランド部64の上側に配置されていてもよい近位端70aの遠位に配置されていてもよい。いくつかの実施形態において、先端14の内側幾何学的形状は、テーパー部38の上側に配置される、テーパー部38の下側に不在であってもよい、1つまたは複数の流れ穴62の存在を除いて対称であってもよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流れ穴62は、テーパー部38の上側および/またはテーパー部38の下側に配置されていてもよい。
【0051】
図7から
図8が次に参照され、これらは円形の流れ穴62を示す。しかしながら、いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流れ穴62は、非円形であってもよい。円形の流れ穴62は、流体の実質的に円柱状の(cylindrical)噴射を患者の脈管構造内へ噴出することができる。概して、実質的に円柱状の噴射は、集中させられ(concentrated)および真っ直ぐであり(direct)および静脈内部でゆっくりと分散(break up slowly)してもよい。非円形の流れ穴62(不図示)は、実質的に非円形の断面、およびしたがって、より大きい表面積を有する流体の噴射を噴出することができるということになる。非円形の流れ穴62から噴出される噴射の表面積の増大は、
図7の、より円柱状の噴射のものと比べて、噴射と静脈内環境との間の運動量移行(momentum transfer)の速度(rate)を増大させることができる。したがって、非円形の流れ穴62から噴出される噴射は、分散し(disperse)およびより急速に減速することができ、静脈壁に対する溢出(extravasation)の脅威をより少なくする。
【0052】
次に
図8を参照して、いくつかの実施形態において、例えば
図2の先端14または
図6の先端19のような非対称の外側幾何学的形状を備える特定のカテーテル先端の前縁32は、円、楕円、または別の形状を形成していてもよい。いくつかの実施形態において、前縁32の上部42aから下部42bまで延びる線分は、カテーテル12および/または針16の長手方向軸に垂直でなくてもよい。
図8に示されるように、いくつかの実施形態において、特定のカテーテル先端の前縁32は、楕円を形成していてもよい。これに対して、例えば
図4Aに示されるような対称の外側幾何学的形状を含んでいてもよい先端17の前縁32は、カテーテル12の長手方向軸に垂直な平面内にあってもよい円を形成していてもよい。
【0053】
次に
図9を参照して、いくつかの実施形態において、ショルダー68は、非対称および環状であってもよい。また、対称である特定のショルダー68は、環状であってもよい。
【0054】
次に
図10を参照して、いくつかの実施形態において、先端86は、前の図の先端13、先端14、または先端19に相当していてもよい。いくつかの実施形態において、先端86の外側幾何学的形状は、針16によって作られる切開部内へのカテーテル12の導入を容易にすることができる。さらに詳細には、いくつかの実施形態において、テーパー部38の第1の上部100および/またはテーパー部38の第1の下部102は、カテーテル12の長手方向軸に関して10度から45度の間の角度で先細りさせられていてもよい。いくつかの実施形態において、第1の上部100および/または第1の下部102は、カテーテル12の長手方向軸に関して、互いに同一のまたは異なる角度で先細りさせられていてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、テーパー部38の第2の上部104および/またはテーパー部38の第2の下部106は、カテーテル12の長手方向軸に関して2度から30度の間の角度で先細りさせられていてもよい。いくつかの実施形態において、第2の上部104および/または第2の下部106は、カテーテル12の長手方向軸に関して、互いに同一のまたは異なる角度で先細りさせられていてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、テーパー部38の半径方向高さは、テーパー部38の特定の周囲の周りにおいて、一定(uniform)であってもまたは可変的であってもよい。いくつかの実施形態において、第1の上部100の半径方向高さ88および/または第1の下部102の半径方向高さ90は、0.0005インチから0.003インチの間であってもよい。いくつかの実施形態において、第1の上部100の半径方向高さ88は、第1の下部102の半径方向高さ90とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、第1の上部100の半径方向高さ88は、第1の下部102の半径方向高さ90と同一であってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、第1の上部100は、カテーテル12の長手方向軸に関して第2の上部104よりも大きい角度で先細りさせられていてもよく、これは、針16によって作られる切開部内へのカテーテル12の導入を容易にすることができる。付加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態において、第1の下部102は、第2の下部106よりも大きい角度で先細りさせられていてもよく、これは、針16によって作られる切開部内へのカテーテル12の導入を容易にすることができる。
【0058】
次に
図11Aから
図11Bを参照して、いくつかの実施形態において、カテーテル12のカテーテル先端92のテーパー部38は、非線形に先細りさせられまたは湾曲していてもよい。いくつかの実施形態において、先端92は、前の図の先端13、先端14、または先端19に相当していてもよい。次に
図12Aから
図12Cを参照して、いくつかの実施形態において、テーパー部38の半径は、テーパー部38の全長に沿って前縁32まで線形に低減していてもよい。いくつかの実施形態において、前縁32は、平面状であってもよい。
【0059】
次に
図13Aから
図13Bを参照して、いくつかの実施形態において、カテーテル12のカテーテル先端96の前縁32は、ある角度で、上部および下部42a、42b間において面取りされていてもよい。いくつかの実施形態において、前縁32は、カテーテル12の長手方向軸に関して30度から80度の間の角度で、上部および下部42a、42b間において面取りされていてもよい。
図13Aから
図13Bに示されるように、いくつかの実施形態において、前縁は、カテーテル12の長手方向軸に関して45度の角度で、上部および下部42a、42b間において面取りされていてもよい。いくつかの実施形態において、前縁32によって形成される楕円は、
図13Aから
図13Bにおけるように、単一平面内に位置していてもよい。楕円および/または単一平面は、貫通抵抗(resistance to penetration)を低減させおよび/または特定のカテーテル先端の挿入の際の「引き剥がし(peel back)」を防止することができる。いくつかの実施形態において、単一平面は、カテーテル12および/または針16の長手方向軸に垂直でなくてもよい。いくつかの実施形態において、先端96は、前の図の先端13、先端14、先端19、または先端92に相当していてもよい。
【0060】
次に
図14を参照して、いくつかの実施形態において、カテーテル先端98の前縁32は、カテーテル12の長手方向軸に関して60度の角度で、上部および下部42a、42b間において面取りされていてもよい。いくつかの実施形態において、先端98は、前の図の先端13、先端14、先端19、または先端92に相当していてもよい。いくつかの実施形態において、先端96は、前の図の先端13、先端14、先端19、先端92、または先端96に相当していてもよい。
【0061】
当業者は、医療および研究専門業において一般に使用されるようなPIVC10および/またはカテーテル12を含む利用可能な(available)血管アクセスデバイスの可能な変形例および特定の特徴を理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態において、本発明に従うPIVC10は、付加的なアクセス部位、クランプ、平行な静脈ライン(parallel intravenous lines)、弁、連結器、誘導針、コーティング、および/または特定の用途に適合することが所望されるような材料を含んでいてもよい。
【0062】
次に
図15を参照して、いくつかの実施形態において、カテーテル先端110の前縁32の少なくとも一部は、面取りされていてもよい。いくつかの実施形態において、前縁32の遠位部は、長手方向軸32に関して垂直であってもよく、一方、前縁32の近位部は、例えば、長手方向軸に関して20度から80度の間のような様々な角度で面取りされていてもよい。この角度は、
図15上の「A」で示される。いくつかの実施形態において、前縁32の近位部は、長手方向軸32に関して垂直であってもよく、一方、前縁32の遠位部は、例えば、長手方向軸に関して20度から80度の間のような様々な角度で面取りされていてもよい。
【0063】
本発明は、本明細書において広く記載されおよび以下に特許請求されるようなその構造、方法、または他の本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよい。記載された実施形態は、あらゆる点で単に例示的であるとみなされるべきであり、および制限的ではない。本発明の範囲は、したがって、先述の記載によってではなく、添付される特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の等価物の意味および範囲内に入る全ての変更は、それらの範囲内に包含されるべきである。