(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】測定される物理変数の最大値を指示する計時器機構、及びそのような機構を備える計時器
(51)【国際特許分類】
G04B 47/06 20060101AFI20230906BHJP
G04B 19/00 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
G04B47/06 E
G04B19/00 P
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094171
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2022-06-10
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】594082512
【氏名又は名称】ブランパン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム・ボスカロリ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナト・モンフェレール
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-519613(JP,A)
【文献】特開平8-50029(JP,A)
【文献】特開2017-90443(JP,A)
【文献】特開2015-7613(JP,A)
【文献】特表2009-534674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
G04C 1/00 - 99/00
G04G 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器機構(100)であって、前記計時器機構(100)は、
-物理変数の変動による作用下、機械的に変形するように構成した要素を備える、周囲物理変数測定デバイス(5)と、
-
周囲の物理変数の値の変動による作用下で回転するように、前記
周囲物理変数測定デバイスに運動学的に連結する物理変数測定値指示列(10)と、
-物理変数最大値表示車(21)を備える物理変数最大値表示列(24)を備える物理変数最大値指示機構(20)であって、前記物理変数最大値指示機構(20)は、前記物理変数最大値表示車(21)と一体の物理変数最大値指示機関(23)を備える、物理変数最大値指示機構(20)と、
-前記周囲物理変数が増大する間、前記物理変数最大値表示列(24)を徐々に駆動するように構成した駆動機構(30)と、
-前記物理変数最大値表示列(24)の前進ごとに位置を割り送る割送り機構(40)と、を備え、前記割送り機構(40)は、割送り車組立体(43)と協働する遮断機関(41)を備え、
-前記割送り車組立体(43)は、
第1の歯車列T1、
第2の歯車列T2によって前記物理変数最大値表示車(21)に運動学的に接続し、前記物理変数最大値表示車(21)と前記割送り車組立体(43)との間の前記
第1と第2の歯車列T1、T2の歯車比は、増倍比であることを特徴とする、計時器機構(100)。
【請求項2】
前記割送り車組立体(43)は、前記物理変数最大値表示車(21)と嵌合する中心割送りかな(45)を備え、前記
第1の歯車列T1が、前記物理変数最大値表示車(21)と前記中心割送りかな(45)との協働によって形成されるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の計時器機構(100)。
【請求項3】
前記割送り機構(40)は、前記物理変数最大値表示車(21)と前記割送り車組立体(43)との間に挿入される中間割送り車組立体(70)を備え、前記
第2の歯車列T2が、前記物理変数最大値表示車(21)と、前記中間割送り車組立体(70)と、前記割送り車組立体(43)との協働によって形成されるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の計時器機構(100)。
【請求項4】
前記割送り車組立体(43)は、前記中間割送り車組立体(70)と嵌合する中心割送りかな(45)を備え、前記
第2の歯車列T2が、前記物理変数最大値表示車(21)と、前記中間割送り車組立体(70)と、前記中心割送りかな(45)との協働によって形成されるようにすることを特徴とする、請求項3に記載の計時器機構(100)。
【請求項5】
前記割送り車組立体(43)は、前記中心割送りかな(45)と一体の割送り歯車(44)を備えることを特徴とする、請求項2又は4に記載の計時器機構(100)。
【請求項6】
前記割送り歯車(44)は、
非対称歯部(48)を備え、前記遮断機関(41)は、前記割送り歯車(44)の前記非対称歯部(48)と協働することを特徴とする、請求項5に記載の計時器機構(100)。
【請求項7】
前記割送り歯車(44)は、前記割送り歯車(44)が少なくとも1つの割送り歯のない少なくとも1つの角度区分(Z1、Z2)を備えるように、360°未満の歯区分を備えることを特徴とする、請求項5に記載の計時器機構(100)。
【請求項8】
少なくとも1つの割送り歯のない前記少なくとも1つの角度区分(Z1、Z2)は、前記割送り車組立体(43)の基準割送り位置(P0)の近くに位置することを特徴とする、請求項7に記載の計時器機構(100)。
【請求項9】
前記遮断機関(41)は、ゼロリセット・レバー(60)を介して解放し得る遮断機関であることを特徴とする、請求項1に記載の計時器機構(100)。
【請求項10】
前記割送り機構(40)は、戻し要素(47)の作用下、前記物理変数最大値表示列(24)の再配置を保証するように構成した戻し機関(49)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の計時器機構(100)。
【請求項11】
前記戻し機関(49)は、前記割送り車組立体(43)と協働することを特徴とする、請求項10に記載の計時器機構(100)。
【請求項12】
前記割送り機構(40)は、戻し要素(47)の作用下、前記物理変数最大値表示列(24)の再配置を保証するように構成した戻し機関(49)を備え、前記戻し機関(49)は、前記中間割送り車組立体(70)と協働することを特徴とする、請求項3に記載の計時器機構(100)。
【請求項13】
前記戻し機関(49)は、前記割送り車組立体(70)の前記中間割送りかな(72)と協働することを特徴とする、請求項12に記載の計時器機構(100)。
【請求項14】
前記駆動機構(30)は、駆動歯車組立体として公知であり、心棒(33)と一体であり、前記物理変数測定値指示列(10)と嵌合する第1の車組立体(31)と、受歯車組立体として公知であり、前記第1の車組立体(31)の前記心棒(33)回りに自由に組み付けられる第2の車組立体(32)とを備え、前記第2の車組立体(32)は、前記物理変数測定値指示列(24)と嵌合し、前記第1の車組立体(31)は、前記周囲
の物理変数の値が増大する間、前記第2の車組立体(32)を駆動するように構成することを特徴とする、請求項1に記載の計時器機構(100)。
【請求項15】
前記駆動機構(30)は、前記第1の車組立体(31)と一体の駆動ピン(34)を備え、前記第1の車組立体(31)は、前記第2の車組立体(32)内に配置される開口(35)と協働することを特徴とする、請求項14に記載の計時器機構(100)。
【請求項16】
前記計時器機構は、
-圧力の変動による作用下、機械的に変形するように構成した要素を備える
、前記周囲物理変数測定デバイス(5)である周囲圧力測定デバイス(5)と、
-
周囲の圧力の変動による作用下で回転するように、前記
周囲圧力測定デバイスに運動学的に連結する、
前記物理変数測定値指示列(10)である測定圧力指示列(10)と、
-
前記物理変数最大値表示車(21)である最大圧力表示車(21)を備える
前記物理変数最大値表示列(24)である最大圧力表示列(24)を備える
前記物理変数測定値指示機構(20)である最大圧力指示機構(20)であって、前記最大圧力表示車(21)と一体の
前記物理変数最大値指示機関(23)である最大圧力指示器機関(23)を備える
前記最大圧力指示機構(20)と、
-前記周囲
の圧力が増大する間、前記最大圧力表示列(24)を徐々に駆動するように構成した
前記駆動機構(30)と、
-前記最大圧力表示列(24)の前進ごとに位置を割り送る
前記割送り機構(40)と
を備え、前記割送り機構(40)は、
前記割送り車組立体(43)と協働する
前記遮断機関(41)を備え、
-前記割送り車組立体(43)は、前記
第1の歯車列T1、
前記第2の歯車列T2によって前記最大圧力表示車(21)に運動学的に接続し、前記最大圧力表示車(21)と前記割送り車組立体(43)との間の前記
第1の歯車列T1
と、
前記第2の歯車列T2の歯車比は、増倍比であることを特徴とする、請求項1に記載の計時器機構(100)。
【請求項17】
請求項1に記載の計時器機構(100)を備える深度計。
【請求項18】
請求項1に記載の計時器機構(100)を備える高度計。
【請求項19】
請求項1に記載の計時器機構(100)を備える測時器ムーブメント。
【請求項20】
請求項19に記載の測時器ムーブメントを備える、
計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、物理変数に関する情報を測定し、この情報の到達した最大値を指示する計時器機構に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、周囲圧力に関係する情報を測定し、例えば、潜水中に到達した最大圧力、又は例えば、浮上中に到達した最大高度を指示する計時器機構に関する。
【0003】
本発明は、そのような計時器機構を備える測時器ムーブメントにも関する。
【0004】
本発明は、そのような計時器機構を一体化する深度計にも関する。
【0005】
本発明は、そのような計時器機構を一体化する高度計又は気圧計にも関する。
【0006】
本発明は、例えば、そのような計時器機構を備える測時器ムーブメントを備える潜水時計又は高度計時計等の計時器にも関する。
【背景技術】
【0007】
周囲圧力を測定する深度計又は計時器の分野において、周囲圧力測定デバイスを備える機構が公知であり、この周囲圧力測定デバイスは、最大到達圧力又はこの最大圧力に相当する情報を表示することが意図される指示器機関に関連付けられる。これらの計時器は、潜水時計として最も頻繁に使用される。
【0008】
そのような深度計又は潜水時計は、ゼロにリセットする機能に専用の機構によって指示器機関がゼロにリセットされない限り、特に1回又は複数回の連続潜水の間に到達した最大圧力値をメモリ内に記憶させることが可能である。この最大圧力情報は、浮上中の停止継続時間及び停止深度を決定するので、ダイバーにとって特に重要である。したがって、このデータは正確であることが重要である。
【0009】
周囲圧力を測定する機械式デバイスを備えるそのような計時器機構は、公知であり、この機械式デバイスは、最大到達圧力の表示が意図される瞬間圧力表示器機関及びフライバック針を駆動し、前記瞬間深度指示器機関は、フライバック針に当接する駆動要素を有し、増大する周囲圧力を測定する間、瞬間深度指示器機関によって到達される位置までフライバック針を移動させるようにする。フライバック針の反対方向への変位は、取外し可能な遮断要素により遮断され、この遮断要素は、ユーザが作動し得る。遮断要素は、取外し可能な爪と、フライバック針と一体の小臼歯歯部を有する車との協働によってもたらされる。そのような機構は、例えば、文献欧州特許第0942339号に記載されている。
【0010】
圧力測定デバイスに連結された歯車列を備える計時器機構も公知であり、圧力測定デバイスは、周囲圧力が増大する間、第2の同軸車組立体を駆動し、周囲圧力が低減する間、この第2の車組立体から分離するように構成される第1の車組立体を備え、第1の車組立体は、第1の瞬間周囲圧力指示器機関及び第2の車組立体と協働し、第2の車組立体は、遮断歯車と一体の第2の最大到達周囲圧力指示器機関と協働する。遮断歯車は、第2の車組立体の前進ごとに、最大到達周囲圧力を指示する機関の位置を遮断するように、遮断機関(爪又はジャンパ等)と協働する。
【0011】
これらの単純な設計の機構は、最大到達圧力を指示する機能の容易な実施を可能にする。しかし、割送り爪又はジャンパ及び歯車の使用には、増分のピッチが固定された最大圧力指示器機関の増分による変位を伴い、このことは、2つの大きな欠点につながる。まず、最大圧力を表示する正確さは、歯車の角度ピッチ、即ち、歯車の中心を通過する軸によって形成される角度、及び歯車の連続する歯の2つの先端によって形成される角度に関連する。その後、最大到達外側圧力を指示する機関が歯車の2つの安定した割送り位置の間にある場合、歯車は、周囲圧力が低減する間、前の安定した割送り位置に戻ることになる。このことは、実際に測定される最大圧力、したがって、ダイバーが実際に到達する深度に対する不確実さも伴う。この不正確さは、例えば、特にデジタル深度計によってもたらされる正確さに直面するユーザにとって、次第に許容困難なものになる。
【0012】
これらの欠点を改善するため、瞬間周囲圧力指示器列が、摩擦列により最大到達圧力指示器列を押す別の種類の機構が開発されている。したがって、周囲圧力が低減する間、最大到達圧力指示器機関は、戻し張力を超える摩擦列の摩擦力のおかけで依然としてその位置にある。ゼロリセット機能は、摩擦列の解放を可能にし、戻し張力により、最大到達圧力指示器機関と瞬間周囲圧力指示器機関とを再調整する。
【0013】
この機構は、最大到達圧力指示器機関の表示の正確さを改善することが可能であるが、計時器がかさばり、厚さを増大させるという欠点を有する。
【0014】
したがって、今日まで、設計者、特に時計製造者は、かなりの厚さをもつ正確な機構と、小型化に有利に働くあまり正確ではない機構との間の選択に直面している。
【0015】
そのような問題は、周囲圧力以外の測定情報でも存在する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
この背景において、本発明は、上記で挙げた少なくとも1つの問題に対処可能な計時器機構を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的で、本発明は、計時器機構を提案し、この計時器機構は、
-物理変数の変動による作用下、機械的に変形するように構成した要素を備える周囲物理変数測定デバイスと、
-周囲物理変数値の変動による作用下で回転するように、物理変数測定デバイスに運動学的に連結する物理変数測定値指示列と、
-物理変数最大値表示車を備える物理変数最大値表示列を備える物理変数最大値指示機構であって、物理変数最大値表示車と一体の物理変数最大値指示機関を備える物理変数最大値指示機構と、
-周囲物理変数が増大する間、物理変数最大値表示列を徐々に駆動するように構成した駆動機構と、
-物理変数最大値表示列の前進ごとに位置を割り送る割送り機構と、を備え、割送り機構は、割送り車組立体と協働する遮断機関を備え、
割送り車組立体は、歯車列T1、T2によって物理変数最大値表示車に運動学的に接続し、物理変数最大値表示車と割送り車組立体との間の歯車列T1、T2の歯車比は、増倍比であることを特徴とする。
【0019】
有利には、測定される物理変数は、周囲圧力である。
【0020】
したがって、本発明による計時器機構は、物理変数の最大値の表示の鮮明度を改善する一方で、小型機構を提案し、摩擦機構の使用をなくすことを可能にする。
【0021】
物理変数最大値表示車と割送り車組立体との間の歯車列に対して増倍比を使用すると、有利には、従来技術の既存の機構と比較して、割送り位置の増倍を伴う増分による割送り機構を提案する一方で、実装及び小型化が容易であり、例えば、測時器ムーブメント内に容易に一体化される機構を提案することを可能にする。
【0022】
上記の段落で述べた特徴とは別に、本発明による計時器機構は、個々に考慮される、又は全ての技術的に可能な組合せに従って、以下からの1つ又は複数の更なる特徴を有し得る:
-割送り車組立体は、物理変数最大値表示車と嵌合する中心割送りかなを備え、前記歯車列T1が、物理変数最大値表示車と中心割送りかなとの協働によって形成されるようにする、
-割送り機構は、物理変数最大値表示車と割送り車組立体との間に挿入される中間割送り車組立体を備え、前記歯車列T2が、物理変数最大値表示車と、中間割送り車組立体と、割送り車組立体との協働によって形成されるようにし、したがって、中間割送り車組立体は、中間車(設定車)として作用し、割送り車組立体を物理変数最大値表示器機関の車組立体からずらすことを可能にし、これにより、本発明による機構のより容易な据え付けを可能にする、
-割送り車組立体は、中間割送り車組立体と嵌合する中心割送りかなを備え、前記歯車列T2が、物理変数最大値表示車と、中間割送り車組立体と、中心割送りかなとの協働によって形成されるようにする、
-割送り車組立体は、中心割送りかなと一体の割送り歯車を備える、
-前記割送り歯車は、非対称歯部、好ましくは小臼歯歯部を備え、前記遮断機関は、割送り歯車の非対称歯部と協働する、
-前記割送り歯車は、前記割送り歯車が少なくとも1つの割送り歯のない少なくとも1つの角度区分を備えるように、360°未満の歯区分を備える、
-少なくとも1つの割送り歯のない前記少なくとも1つの角度区分は、割送り車組立体の基準割送り位置の近くに位置する、
-遮断機関は、ゼロリセット・レバーを介して分離し得る遮断機関である、
-割送り機構は、戻し要素の作用下、物理変数最大値表示列の再配置を保証するように構成した戻し機関を備える、
-戻し機関は、割送り車組立体と協働する、
-戻し機関は、中間割送り車組立体と協働する、
-戻し機関は、中間割送り車組立体の中間割送りかなと協働する、
-駆動機構は、駆動歯車組立体として公知であり、心棒と一体であり、物理変数測定値指示列と嵌合する第1の車組立体と、第1の車組立体の心棒回りに自由に組み付けられ、受歯車組立体として公知である第2の車組立体とを備え、前記第2の車組立体は、物理変数測定値指示列と嵌合し、前記第1の車組立体は、周囲物理変数の値が増大する間、第2の車組立体を駆動するように構成する、
-駆動機構は、第1の車組立体と一体の駆動ピンを備え、第1の車組立体は、第2の車組立体内に配置される開口と協働する。
【0023】
有利には、計時器機構は、
-圧力の変動による作用下、機械的に変形するように構成した要素を備える周囲圧力測定デバイスと、
-周囲圧力の変動による作用下で回転するように、圧力測定デバイスに運動学的に連結する測定圧力指示列と、
-最大圧力表示車を備える最大圧力表示列を備える最大圧力指示機構であって、最大圧力表示車と一体の最大圧力指示機関を備える最大圧力指示機構と、
-周囲圧力が増大する間、最大圧力表示列を徐々に駆動するように構成した駆動機構と、
-最大圧力表示列の前進ごとに位置を割り送る割送り機構と、を備え、割送り機構は、割送り車組立体と協働する遮断機関を備え、
割送り車組立体は、歯車列T1、T2によって最大圧力表示車に運動学的に接続し、最大圧力表示車と割送り車組立体との間の歯車列T1、T2の歯車比は、増倍比である。
【0024】
本発明の別の目的は、本発明による計時器機構を備える深度計である。
【0025】
本発明の別の目的は、本発明による計時器機構を備える深度計、高度計又は気圧計である。
【0026】
本発明の別の目的は、本発明による計時器機構を備える電子式又は電気機械式測時器ムーブメントである。
【0027】
本発明の別の目的は、本発明による測時器ムーブメントを備える、潜水時計、高度計時計又は気圧計時計等の計時器である。
【0028】
好ましくは、計時器は、潜水時計である。
【0029】
本発明の目的、利点及び特徴は、以下の図面を参照する以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明による計時器機構の実施形態の一例の斜視図である。
【
図2】
図1に示す本発明による計時器機構の実施形態の例の上面図である。
【
図3】
図1に示す本発明による計時器機構の実施形態の例の底面図である。
【
図4】
図1に示す本発明による計時器機構の実施形態の例の割送り車組立体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面の全てにおいて、共通の要素は、別段に規定されていない限り、同じ参照番号が記載される。
【0032】
概して、測時器の分野及び本出願において、心棒という用語は、歯車又はかなを全体的に支持する円筒形状を有する部品を指定する。
【0033】
図1は、計時器機構100の実施形態の一例の斜視図である。
図2及び
図3はそれぞれ、
図1に示す計時器機構100の実施形態の例の上面図及び底面図である。
【0034】
本発明による計時器機構100は、物理変数に関する情報を測定し、この測定情報の最大到達値を指示する機構である。
【0035】
より詳細には、本発明による計時器機構100は、機械式デバイスを介して物理変数に関する情報を測定し、この測定情報の最大到達値を指示する機構である。
【0036】
本発明による計時器機構100は、特に潜水中に周囲圧力を測定し、最大到達値を指示する深度計、又は潜水時計等の計時器に特に興味深い用途がある。
【0037】
しかし、本発明による計時器機構100は、周囲圧力を測定し、例えば、特に浮上中に有用な高度の形態で最大到達値を指示する高度計又は気圧計にも適用される。
【0038】
本出願の残りにおいて、周囲圧力を測定し、最大到達圧力を指示する計時器機構100を実施形態の一例として取る。当然、本発明は、この特定の実施形態に限定するものではない。
【0039】
実際、本発明は、例えば、加速度、減速度、力、トルク、磁場、放射線場、又は更にはこうした磁場若しくは放射線場への露出時間等の情報を測定する手段を備える計時器機構によって測定し得る物理変数に関する他の種類の情報にも適用される。
【0040】
図1から
図3を参照すると、計時器機構100は、特に測定圧力指示車11を備える測定圧力指示列10を備え、測定圧力指示列10は、枠(図示せず)上に枢動可能に組付けられる心棒12と一体である。
【0041】
測定圧力指示車11は、周囲圧力測定デバイス5に運動学的に接続される。
【0042】
周囲圧力測定デバイス5は、周囲圧力の変動による作用下、機械的に変形するように構成された要素(図示せず)を備える。
【0043】
周囲圧力の変動による作用下、機械的に変形するように構成された要素は、例えば、フィーラスピンドルを運動状態にする変形可能平坦メンブレンである。
【0044】
周囲圧力の変動による作用下、機械的に変形するように構成される要素は、周囲圧力に応じて圧縮又は膨張するアネロイド筐体を備えるアネロイド・カプセルであってもよい。
【0045】
周囲圧力測定デバイス5は、比較的慣例的なものであるため、本発明による計時器機構100に対するより良好な可読性及び理解のために
図1から
図3では詳細に図示しない。
【0046】
周囲圧力測定デバイス5は、周囲圧力の変動による作用下、機械的に変形するように構成した要素(変形可能平坦メンブレン又はアネロイド・カプセル)の変位が、伝達機構により、第1の心棒12の回転の形態で測定圧力指示車11に伝達され、測定圧力指示車11の角度位置が、圧力測定デバイスによって測定される周囲圧力に依存するように構成される。
【0047】
例として、
図1から
図3に示すように、周囲圧力測定デバイスの伝達機構は、連鎖の端部に、測定圧力指示車11又は中間車組立体14と直接嵌合するラック6を備えることができ、中間車組立体14は、測定圧力指示車11と、周囲圧力測定デバイス5の伝達機構のラック6との間に位置する。
【0048】
図1から
図3に示す実施形態の例では、中間車組立体14は、伝達機構のラック6と嵌合する中間かな14aと、中間かな14aと一体であり、測定圧力指示車11と嵌合する中間車14bとを備える。
【0049】
測定圧力指示車11は、測定圧力指示器機関13と一体であってよく、ユーザが、測定デバイスによって測定された周囲圧力を見ることを可能にする。測定圧力指示器機関13は、例えば、測定圧力指示車11の心棒12上に一体に組み付けられる針である。
【0050】
計時器機構100は、最大圧力指示機構20も備え、例えば、最大圧力指示機構20がゼロにリセットされない限り、1回又は複数回の潜水の間に到達した最大深度の指示を可能にする。
【0051】
そのような最大圧力指示機構20は、最大圧力表示列24を備え、最大圧力表示列24は、枠上に枢動可能に組み付けられる心棒22と一体の少なくとも1つの最大圧力表示車21を備える。最大圧力表示列24は、測定圧力指示列10に運動学的に接続される。
【0052】
図1から
図3に示される実施形態の例では、最大圧力表示車21は、測定圧力指示車11と同軸に組み付けられ、2つの車21、11が重なるようにする。したがって、最大圧力表示車21の心棒22は、測定圧力指示車11の心棒12と同心である。しかし、本発明の文脈から逸脱することなく、最大圧力表示車21及び測定圧力指示車11を非同軸に配置可能であることも想定される。
【0053】
図1から
図3に示される実施形態の例では、最大圧力表示車21及び測定圧力指示車11は、機構の中心に対して中心に置かれる。しかし、概して時間情報を専用に指示する、測時器ムーブメントの中心領域の外側の圧力に関係する情報を表示できるように、本発明による機構の中心に対して、特に、本発明による機構を一体化する測時器ムーブメントの中心に対して、最大圧力表示車21及び測定圧力指示車11を偏心して配置可能であることも想定される。
【0054】
最大圧力表示車21は、心棒22上に一体に組み付けられる最大圧力指示器機関23、例えば針と一体である。
【0055】
最大圧力表示車21は、測定圧力指示列10によって、又は測定圧力指示列10に運動学的に接続される車組立体によって、徐々に駆動することが可能である。
【0056】
この目的で、計時器機構100は、駆動機構30を備え、駆動機構30は、測定圧力指示車11と嵌合する第1の車組立体31を備える。第1の車組立体31は、枠上に枢動可能に組み付けられる心棒33と一体である。
【0057】
したがって、駆動機構30の第1の車組立体31は、周囲圧力の変動に応じて、測定圧力指示車11によって回転される。
【0058】
駆動機構30は、第2の車組立体32も備え、第2の車組立体32は、第1の車組立体31の心棒33回りに自由に組み付けられ、最大圧力表示車21と嵌合する。したがって、第2の車組立体32は、第1の車組立体31と同軸である。
【0059】
第1の車組立体31は、駆動歯車組立体であり、圧力測定デバイスによって測定される周囲圧力が増大する間、第1の車組立体31に対する第2の車組立体32の相対的な位置に応じて、第2の車組立体32を徐々に駆動するように構成される。したがって、第2の車組立体32は、受歯車組立体である。
【0060】
駆動機構30は、第1の車組立体31の角度位置が第2の車組立体32の角度位置よりも大きくなる場合、第2の車組立体32の角度位置の前進を可能にするように構成される。
【0061】
第1の駆動歯車組立体31による第2の車組立体32の駆動は、第1の車組立体31の駆動ピン34により実施される。
【0062】
駆動ピン34は、第1の車組立体31内で押され、第1の車組立体31の板に対して突出する。駆動ピン34は、第2の車組立体32の本体内に配置された開口35の内部を移動可能であり、駆動ピン34が開口35の一端に当接した際に第2の車組立体32を駆動可能であるように構成される。
【0063】
開口35は、円弧形状を有し、円弧形状の角度範囲は、測定圧力指示車11の角度移動に実質的に依存するように構成される。
【0064】
したがって、第1の車組立体31は、周囲圧力が低下する間、及び周囲圧力が第2の車組立体32の有効位置に対応する最大圧力より低いままである場合、第2の車組立体を駆動することなく、自由に枢動し得る。
【0065】
駆動機構30は、以下のように動作する。周囲圧力を指示する機関13及び最大圧力を指示する機関23が基準位置(理論上のゼロ)内にある場合、2つの車組立体31及び32も初期基準位置にある。この場合、
図3に示すように、駆動ピン34は、第2の車組立体32の開口35の一端に当接する。
【0066】
周囲圧力測定デバイス5によって測定される周囲圧力が増大する間、第1の車組立体31は、第1の回転方向(例えば、反時計回り方向)に従って回転、枢動する。2つの車組立体がそれぞれ同じ基準位置にあると、第1の車組立体31の回転により、第2の車組立体32も回転させ、駆動ピン34は、開口35の一端に当接する。したがって、第2の車組立体32は、測定圧力に対応する角度位置で駆動される。
【0067】
周囲圧力が低下する間、第1の車組立体31は、反対方向(例えば、
図1から
図3に示す構成による時計回り方向)で枢動する。この場合、駆動ピン34は、開口35の内部で自由に移動する。したがって、第1の車組立体31は、圧力が再度ゼロである(例えば、水上にいる)場合、第2の車組立体32を駆動せずに、より早期の角度位置内又は初期基準位置内に自由に戻ることができる。第2の車組立体32は、上記のように、圧力が増大する間、最大測定圧力に対応する角度位置で依然として割り送られる。
【0068】
周囲圧力が再度増大すると、測定圧力が最大圧力を超えた際、即ち、第1の車組立体31の駆動ピン34が、開口35の端部に戻って当接した際、第2の車組立体32は、第1の車組立体31によって第2の車組立体32の有効角度位置に対応して回転される。
【0069】
したがって、第2の車組立体32の角度位置は、以下で説明するゼロリセット・レバーによってゼロにリセットされない限り、周囲圧力測定デバイス5によって測定される圧力の最大値に対応する。
【0070】
第2の車組立体32、したがって、最大圧力表示車21の角度位置は、分離可能割送り機構40により、機構の最後のゼロリセット以来、周囲圧力の最大測定値に対応する第2の車組立体32の角度位置を割り送るように前進ごとに維持される。
【0071】
分離可能割送り機構40は、周囲圧力が増大する段階の間、最大圧力表示車21の前進ごとに角度位置を遮断し、周囲圧力が低減する間、最大圧力表示車21が依然として割り送られるように構成される。
【0072】
分離可能割送り機構40は、分離可能遮断機関、例えば、割送りジャンパ41を備え、割送りジャンパ41は、枠と一体の枢動体42回りに、結合位置と分離位置との間で回転可能である。
【0073】
割送りジャンパ41は、割送り車組立体43と協働し、割送り車組立体43は、割送り歯車44と、割送り歯車44と一体の中心割送りかな45とを備える。中心割送りかな45は、最大圧力表示車21に運動学的に接続される。
【0074】
割送り歯車44は、割送りジャンパ41、より詳細にはジャンパ・ビーク46と協働し、中心割送りかな45により、最大圧力表示車21の前進ごとに最大圧力表示車21の位置を遮断するようにする。
【0075】
割送り歯車44は、複数の割送り歯を備える非対称歯部48、例えば小臼歯歯部を有し、隙間を伴わず、最大圧力表示車21に起り得る逆戻りを伴わずに、特に非対称歯部48の歯の直線側面のおかげで、明確な割送りを可能にするようにする。
【0076】
しかし、代替実施形態によれば、別の種類の歯部を使用することが可能である。
【0077】
割送りジャンパ41は、ばね羽根50と協働し、ばね羽根50は、割送りジャンパ41に力を加え、初期設定によって結合位置に割送りジャンパ41を配置し、割送りジャンパ41、より詳細にはジャンパ・ビーク46を割送り歯車44の歯の歯底に配置することを保証するようにする。
【0078】
割送り歯車44は、基準割送り位置を有し、基準割送り位置は、例えば、周囲圧力測定デバイス5によって測定される圧力の理論上のゼロに対応する。この基準割送り位置が容易に見えるように、割送り歯車44は、有利には、P0を基準とし、割送り歯車44の板上に配置される割送り記号又はマーキングを有する。この割送り記号がジャンパ・ビーク46に相対して位置する場合、
図1に示すように、割送り歯車44は、その基準割送り位置にある。
【0079】
図1から
図4に示すように、割送り歯車44は、360°未満の歯区分を有することができ、360°未満の歯区分は、非割送り領域ということがわかる1つ又は複数の領域を有することができ、この領域は、1つ又は複数の平滑な角度部分、即ち、少なくとも1つの割送り歯、好ましくは複数の割送り歯がないことを特徴とする。有利には、これらの非割送り領域は、割送り歯車44の特定の角度部分上で割送り機能を停止させることを可能にし、設計者が事前に規定する特定の状況に対応する特定の周囲圧力値範囲にわたり、最大圧力指示器機構23の位置を割り送らないようにする。
【0080】
有利には、割送り歯車44は、少なくとも1つの歯又は複数の割送り歯がない少なくとも1つの角度区分を備え、少なくとも1つの角度区分は、P0を基準とする割送り記号の近くに位置し、割送り歯車44が、ジャンパ・ビーク46に対して、この基準割送り位置の近くに割送り歯のない一部分を有するようにする。
【0081】
有利には、割送り歯車44は、割送り歯が配置されていない第1の角度区分Z1を備え、理論上のゼロを超えたわずかな圧力変動、例えば、数メートル未満、例えば1m未満の潜水中に測定される周囲圧力の変動の間、割送りを停止する、又は大気圧のわずかな修正の間、最大圧力指示器機関23を割り送らないようにする。
【0082】
例えば、
図1から
図4に示す実施形態の例によれば、少なくとも1つの割送り歯のない第1の角度区分Z1は、典型的には、
図4に表されるように、割送り記号P0と非対称歯部48の最初の歯の傾斜側面との間に配置される。
【0083】
有利には、割送り歯車44は、割送り歯が配置されない第2の角度区分Z2も備えることができ、周囲圧力が表示の最大値を超えた場合、割送りを停止させるようにする。この表示は、最大圧力専用の表示、例えば文字板上に見える表示である。したがって、最大深度指示器機関23の位置は、表示によって提供される最大値を超えて位置する位置で割り送られることがない。
【0084】
したがって、本発明者等の上記の例では、少なくとも1つの割送り歯のない第2の角度区分Z2は、
図4に表されるように、最後の所望の割送り位置に対応する最後の歯の直線側面の後に配置される、又は割送り記号P0と非対称歯部48の最後の歯の直線側面との間に配置される。
【0085】
最大圧力表示列24のゼロリセットは、ゼロリセット・レバー60によって保証され、ゼロリセット・レバー60は、ユーザによって、プッシュピース又は作動スタッド62を介して操作し得る。
【0086】
ゼロリセット・レバー60は、割送りジャンパ41の枢動ヨークを形成可能なフィンガピース61を備える。ユーザによるゼロリセット・レバー60の作動は、割送りジャンパ41を枢動させ、割送り歯車44の歯部から解放可能にするように、ばね羽根50の戻し力を克服しなければならない。
【0087】
分離可能割送り機構40は、戻し機関49、例えば戻しラックも備え、戻し機関49は、戻し機関49上に戻し力を加えることが可能な戻し要素47と協働する。戻し機関49は、最大圧力表示列24、より詳細には最大圧力表示車21に運動学的に接続される。したがって、戻し機関49は、最大圧力表示列24及び駆動機構30に張力を加えることを可能にし、様々な歯車列の間に存在する動作間隙によって生じる最大圧力指示器機関23のばたつきを防止する。
【0088】
戻し要素47を介して、戻し機関49も最大圧力表示車21上に戻し力を加え、この戻し力により、割送りジャンパ41が分離位置にある際、最大圧力表示車21及び最大圧力指示器機関23を基準位置、例えば理論上のゼロに再配置させることが可能である。
【0089】
戻し要素47は、例えば、戻しばねである。
【0090】
上記でわかるように、割送り車組立体43は、最大圧力表示車21に運動学的に接続される。
【0091】
図示しない第1の代替実施形態によれば、割送り車組立体43は、例えば中心割送りかな45により、最大圧力表示車21と直接嵌合し、第1の歯車列T1が、最大圧力表示車21と割送り車組立体43との間に形成されるようにする。
【0092】
図1から
図3により詳細に示される第2の代替実施形態によれば、分離可能割送り機構40は、割送り車組立体43と最大圧力表示車21との間に配置される中間割送り円板70を更に備え、割送り車組立体43が、この中間割送り車組立体70により最大圧力表示車21に運動学的に接続されるようにする。この代替実施形態では、最大圧力表示車21、中間割送り車組立体70及び割送り車組立体43は、第2の歯車列T2を形成する。
【0093】
代替実施形態とは関係なく、歯車列T1又はT2を構成する様々な歯車は、最大圧力表示車21と割送り車組立体43との間にもたらされる歯車比が増倍比であるように構成される。
【0094】
したがって、最大圧力表示車21と割送り車組立体43との間が増倍比である場合、本発明による機構は、最大圧力指示器機関23の可能な割送り位置を増大可能にし、これにより、最大圧力表示の鮮明度を増大可能にする。
【0095】
最大圧力表示車21と割送り車組立体43との間の増倍比の使用により、特に、より単純な設計であり、小型さを最適化し、低減した機構の提案する一方で、表示と摩擦駆動機構の正確な結果とを近づけることを可能にする。
【0096】
中間割送り車組立体70の使用は、有利には、最大圧力表示車21の心棒22に近い領域の範囲外に割送り車組立体43をずらすような中間車を生成することを可能にする。したがって、最大圧力指示機構20の様々な要素の据付けが容易になり、機構の厚さが最小化される。有利には、中間割送り車組立体70は、概して同じ心棒上に多量の指示器機関を備える機構の中心領域から、割送り車組立体43をずらすことを可能にする。したがって、据付けが容易になり、本発明による機構、特に、そのような機構を一体化する測時器ムーブメントの全体の厚さが最小化される。
【0097】
より詳細には、中間割送り車組立体70は、中間割送り車71を備え、中間割送り車71は、一方で、最大圧力表示車21と嵌合し、もう一方で、割送り車組立体43の中心割送りかな45と嵌合する。
【0098】
中間割送り車組立体70は、中間割送りかな72も備える(
図3で見える)。
図1から
図3に示す実施形態の例では、戻し機関49は、戻し力を最大圧力表示列24上に加えるように、中間割送りかな72と嵌合する。そのような据付けにより、有利には、戻し機関49の角度移動を低減する、したがって、本発明による機構の様々な要素の据付けを促進可能にする。
【0099】
しかし、本発明の文脈から逸脱することなく、他の構成が可能である。
【0100】
一代替実施形態によれば、戻し機関49は、例えば、割送り車組立体43と協働し、割送り車組立体43の中心割送りかな45上で嵌合し得る。
【0101】
例として、割送り車組立体43は、62歯の機械加工歯を備え、この機械加工歯は、360°の合計円周にわたり73歯を備える割送り車組立体に対応する。
【0102】
したがって、提示する実施形態の例では、割送り車組立体43は、最大圧力指示器機関23の62の割送り位置を実施可能にする。したがって、最大到達圧力の表示をより正確な鮮明度にすることが可能である。
【0103】
本発明による計時器機構100は、時間情報に関連する情報を指示するように構成された測時器ムーブメントと組み合わせ得る。
【0104】
本発明は、上記したそのような計時器機構100を一体化する深度計、高度計又は気圧計にも関する。
【0105】
本発明は、周囲圧力に関係する情報を測定し、最大到達圧力を指示するそのような計時器機構を備える測時器ムーブメントを備える、潜水時計等の計時器にも関する。
【符号の説明】
【0106】
5 周囲物理変数測定デバイス
10 物理変数測定値指示列
20 物理変数最大値指示機構
21 物理変数最大値表示車
23 物理変数最大値指示機関
24 物理変数最大値表示列
30 駆動機構
40 割送り機構
41 遮断機関
43 割送り車組立体
100 計時器機構