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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】圧縮機装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K9/19 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022507821
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 IB2020056562
(87)【国際公開番号】W WO2021028741
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】2019/5526
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】デウルフ ハネス
(72)【発明者】
【氏名】コールマン リュック
(72)【発明者】
【氏名】トヤムペンス ドリース
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-343857(JP,A)
【文献】特開昭64-016238(JP,A)
【文献】特開2013-042588(JP,A)
【文献】特開2018-170941(JP,A)
【文献】特開2004-180479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを供給するための入口(5)と、圧縮されたガスを排出するための出口(6)とを有する圧縮機要素(2)と、
モータステータ(11)が組み込まれたモータハウジング(10)と、前記モータステータ(11)内に回転可能に組み込まれたモータロータ(12)とを備え、前記モータステータ(11)が巻線(13)を備え、前記モータハウジング(10)が冷却ジャケット(17)を備えるか又は冷却ジャケットとして機能する、磁石補助型モータ(3)と、
前記磁石補助型モータ(3)にオイルを注入するためのオイル供給ライン(18)と、
を備える圧縮機装置であって、
前記オイル供給ライン(18)は、前記モータステータ(11)の前記巻線(13)の頭部又は軸端(15)に向けられた1又は2以上のノズル(22)と、前記磁石補助型モータ(3)の冷却ジャケット(17)とに接続され、前記巻線(13)の前記頭部又は軸端(15)は、保護層(16)で覆われており、
前記オイル供給ライン(18)は、前記圧縮機装置(1)の一部でもあるオイル回路(19)の一部であり、前記オイル回路(19)は、前記オイルの全てが最初に前記磁石補助型モータ(3)に導かれ、次に前記圧縮機要素(2)に導かれるように設計されており、
前記オイル供給ライン(18)は、2つの分岐ライン(25a、25b)に分岐し、第1の分岐ライン(25a)は、前記オイル供給ライン(18)と前記ノズル(22)とを接続し、前記第2の分岐ライン(25b)は、前記オイル供給ライン(18)と前記冷却ジャケット(17)とを接続し、
前記圧縮機装置(1)は、前記第1及び第2の分岐ライン(25a、25b)に向かう前記オイルの量を制御するための制御手段(26)と、前記制御手段(26)を制御することになる制御装置(27)とをさらに備え、
前記圧縮機装置(1)は、前記モータステータ(11)の前記巻線(13)の前記頭部又は軸端(15)の温度を測定するための測定手段(29)をさらに備え、前記制御装置(27)は、前記モータステータ(11)の前記巻線(13)の頭部又は軸端(15)の温度に基づいて前記制御手段(26)を制御するアルゴリズムを備えることを特徴とする、圧縮機装置。
【請求項2】
前記保護層(16)は、熱伝導性、電気絶縁性、並びに耐水性及び耐油性を有する、請求項1に記載の圧縮機装置。
【請求項3】
前記保護層(16)は、エポキシ樹脂で構成される、請求項2に記載の圧縮機装置。
【請求項4】
前記ノズル(22)は、前記モータハウジング(10)の
-前記モータステータ(11)及び前記モータロータ(12)の軸端(23)であって、前記ノズル(22)が軸方向に向けられる位置、
-前記モータハウジング(10)の前記ジャケット(24)を通る側面であって、前記ノズル(22)が半径方向に向けられる位置、
のうちの1又は2以上の位置に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項5】
前記モータロータ(12)は、少なくとも部分的に中空であり、前記ノズル(22)の少なくとも1つは、前記モータロータ(12)に統合されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項6】
前記アルゴリズムは、前記巻線(13)の前記頭部又は軸端(15)の温度が予め設定された最大温度Taxよりも低い場合に、前記オイルが前記第1の分岐ライン(25a)に流れないように、前記制御装置(27)が前記制御手段(26)を制御するようなアルゴリズムである、請求項1から5のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項7】
前記保護層(16)は、前記巻線(13)全体又は前記モータステータ(11)全体に広がっている、請求項1からのいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項8】
前記巻線(13)の少なくとも前記頭部又は軸端(15)は、保護材料に封入される、請求項1からのいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項9】
前記モータステータ(11)は、軸方向の溝(30)又はチャネルを備える、及び/又は、前記モータハウジング(10)は、前記モータステータ(11)の位置で軸方向の溝(30)又はチャネルを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項10】
前記ノズル(22)は、前記オイルを霧化する、請求項1からのいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項11】
前記磁石補助型モータ(3)は、永久磁石モータ(3)である、請求項1から10のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項12】
前記圧縮機要素(2)は、スクリュー圧縮機要素(2)である、請求項1から11のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項13】
前記圧縮機装置(1)は、縦型圧縮機装置(1)であり、前記磁石補助型モータ(3)の前記モータロータ(12)は、前記圧縮機装置(1)の通常の動作において垂直に配置された軸方向(X-X’)に延在し、前記磁石補助型モータ(3)は、前記圧縮機装置(1)の頭部又は上部を形成し、前記圧縮機要素(2)は、圧縮機装置(1)の基部又は下部を形成する、請求項1から12のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動用の例えば永久磁石モータなどの磁石補助型モータを備える圧縮機装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、磁石補助型モータの最適な冷却を保証することを目的とする。
【背景技術】
【0003】
磁石補助型モータの最大出力は、磁石補助型モータの最大温度、特にステータ巻線の最大温度によって制限されることが知られている。
【0004】
磁石補助型モータの適切な動作を保証するために、ステータ巻線の温度は、高くなり過ぎないようにする必要がある。
【0005】
例えば、オイルなどの冷却媒体を用いて磁石補助型モータを冷却することで、磁石補助型モータの最大出力を向上させることができる。
【0006】
一般的に、磁石補助型モータは、そのハウジング又はジャケットに冷却媒体が流れることができる冷却チャネルを備える。
【0007】
これは、発生した熱が、ステータ内の空気による対流によって及び磁石補助型モータのハウジングを通る伝導によって冷却媒体に到達する必要があることを意味する。
【0008】
換言すると、巻線の熱と冷却媒体の熱との間には熱抵抗がある。
【0009】
これは、ステータ巻線の冷却は決して最適ではないことを意味し、実際には、磁石補助型モータの最大出力は、限られた程度でしか増加させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の欠点及び他の欠点のうちの少なくとも1つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、
ガスを供給するための入口と、圧縮されたガスを排出するための出口とを有する圧縮機要素と、
モータステータを含むモータハウジングと、モータステータ内に回転可能に取り付けられたモータロータとを備え、モータステータが巻線を備え、モータハウジングが冷却ジャケットを備えるか又は冷却ジャケットとして機能する、磁石補助型モータと、
磁石補助型モータへのオイルの注入を可能にするオイル供給ラインと、
を備え、
オイル供給ラインは、モータステータの巻線の頭部又は軸端に向けられた1又は2以上のノズルと、磁石補助型モータの冷却ジャケットとに接続されており、巻線の頭部又は軸端は、保護層(16)を備える、圧縮機に関する。
【0012】
利点は、オイルを巻線の頭部又は軸端(「巻線頭部」とも呼ばれる)に直接噴霧することで、巻線頭部をより効率的に冷却することができる点である。
【0013】
巻線頭部とオイルとの間に熱抵抗がないことに起因して、オイルはより効率的に熱を放散することができる。
【0014】
巻線ヘッドが保護層を備えるので、巻線頭部は、その上に噴霧されるオイルから、さらに重要なことには、オイル内の何らかの凝縮物から保護される。
【0015】
これは、凝縮物によって引き起こされる何らかの電気的な問題を防ぐことになる。
【0016】
巻線頭部の強制冷却によって、温度上昇は迅速に抑えられ、モータの最大出力を増加させることができる。
【0017】
実際的な実施形態では、オイル供給ラインは、2つの分岐ラインに分岐し、第1の分岐ラインは、オイル供給ラインとノズルとを接続し、第2の分岐ラインは、オイル供給ラインと冷却ジャケットとを接続する。
【0018】
2つの分岐ラインを設けることで、オイルの一部を冷却ジャケットに供給して従来公知のモータ冷却を行い、オイルの別の一部をノズルに供給して巻線頭部の追加的な強制冷却を行うことがでる。
【0019】
例えば、全体的なモータ冷却は、モータからの熱を放散させるためにオイルがモータハウジングを冷却し、特定の冷却として、一般的にモータのホットスポットである巻線頭部に向けられる方法で提供することができる。
【0020】
加えて、分岐したオイル供給は、要求又は必要性に応じて、各供給の流量及び/又は温度を調整する可能性をもたらす。
【0021】
別の実施形態では、オイル供給ラインは、冷却ジャケットに直接接続され、全てのオイルは、最初に冷却ジャケットに入り、次にノズルに入る。
【0022】
オイルが冷却ジャケットを通過すると、オイルは、ノズルに導かれてモータ内の巻線頭部に噴霧されることになる。
【0023】
例えば、これは、モータ及び/又はモータハウジングに内部チャネルを設けることで実現することができる。
【0024】
このような直列オイル流れは、2つの分岐ラインをもつ並列オイル流れとは異なり、強制的統合(forced integration)を実現できるという利点をもたらす。
【0025】
もちろん、オイルが最初にノズルに導かれて巻線頭部に噴射され、その後にのみ冷却ジャケットに行くことは除外されない。
【0026】
別の実施形態では、モータステータは、軸方向の溝又はチャネルを備える、及び/又は、ハウジングは、モータステータの位置で軸方向の溝又はチャネルを備える。
【0027】
これらの溝は、注入されたオイルがモータステータ及び/又はハウジングに沿って流れ、一方でさらなる冷却を提供するのを可能にすることになる。
【0028】
また、注入されたオイルは、モータロータとモータステータとの間、又はモータステータの積層体を通って流出することができる。
【0029】
本発明の特徴をよりよく示すために、以下、本発明による圧縮機装置の何らかの好ましい実施形態は、非制限的な例として、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明で権利主張される圧縮機装置の一部の断面を概略的に示す。
図2図1の磁石補助型モータをより詳細に示す。
図3】関連するオイル回路と共に図1に示した圧縮機装置の一部を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明による圧縮機装置1を概略的に示す。
【0032】
圧縮機装置1は、主として圧縮機要素2と磁石補助型モータ3とを備える。
【0033】
この場合、本発明では必須ではないが、圧縮機要素2は、スクリュー圧縮機要素を備える。
【0034】
圧縮機要素2は、圧縮されるガスを供給するための入口5と、圧縮されたガスを供給するための出口6とを有する圧縮機ハウジング4を備える。
【0035】
このガスは、本発明では必須ではないが、例えば、空気とすることができる。
【0036】
2つの協働するスクリューロータ7は、圧縮機ハウジング4内に組み込まれ、これは回転によって吸い込まれたガスを圧縮することができる。
【0037】
このために、軸8を有するスクリューロータ7は、軸受9によって圧縮機ハウジング4内に回転可能に取り付けられている。
【0038】
2つのスクリューロータ7のうちの一方は、モータによって駆動される。
【0039】
図2は、モータ3を詳細に示す。
【0040】
この場合、本発明では必須ではないが、磁石補助型モータ3は、永久磁石モータ3である。
【0041】
モータ3は、モータステータ11を組み込むモータハウジング10と、モータステータ11に回転可能に設けられたモータロータ12とを備える。
【0042】
モータステータ11は、典型的には積層体とも呼ばれる積層コア14の周りに配置される巻線13を備える。
【0043】
本発明によれば、これらの巻線13の軸端15(巻線12の「頭部」とも呼ばれる)には、保護層16が設けられている。
【0044】
このことは、これらの頭部が、巻線13に接触して、その上に、及びその周囲に施工される層を備えることを意味する。
【0045】
この保護層16は、熱伝導性、電気絶縁性、並びに耐水性及び耐油性を有することが好ましい。
【0046】
保護層16は、例えば、エポキシ樹脂を含むことができるが、ポリマー材料も選択肢の1つである。
【0047】
軸端15だけでなく、巻線13全体、又はモータステータ11全体が保護層16を有することは除外されない。
【0048】
そのために、保護層16は、巻線13全体又はモータステータ11全体に広がることになる。
【0049】
保護層16は、典型的には、例えば0.1ミリの厚さから1ミリの厚さの薄い層とすることができる。もちろん、例えば、保護層16の厚さが1ミリから5ミリの間であることは除外されない。
【0050】
あるいは、保護層16はさらに厚くすることができ、巻線13の軸端15は保護材料に封入される。当然のことながら、巻線13全体又はモータステータ11全体も保護材料に封入することができる。
【0051】
この場合、モータハウジング10は、冷却ジャケット17としても機能する。モータハウジング10が別個の冷却ジャケット17を備えることは除外されない。
【0052】
図1に示すように、圧縮機装置1は、縦型圧縮機装置1であり、磁石補助型モータ3のモータロータ12は、圧縮機装置1の通常動作時に垂直に配置される軸方向X-X’に沿って延在するが、磁石補助型モータ3は、圧縮機装置1の頭部又は上部を形成し、圧縮機要素2は、圧縮機装置1の基部又は下部を形成する。
【0053】
加えて、本発明によれば、オイル供給ライン18は、磁石補助型モータ3にオイルを注入するために設けられている。
【0054】
図3は、このオイル供給ライン18を示す。図示のように、この実施例では、本発明では必須ではないが、これはオイル回路19の一部である。
【0055】
この場合、オイル回路19は、全てのオイルを最初にモータ3に、次に圧縮機要素2に導くように配置される。
【0056】
圧縮機要素2から、オイル回路19は、オイルリザーバ20及びオイルクーラ21を通ってモータ3に戻り、オイルの閉回路を形成する。
【0057】
このオイル供給ライン18は、モータステータ11の巻線13の頭部15又は軸端15に向けられた1又は2以上のノズル22と、モータ3の冷却ジャケット17とに接続されている。
【0058】
これらのノズル22は、オイル流れ又は「ジェット」の形態でオイルを巻線13の頭部15に直接噴霧することになる。
【0059】
ノズル22がオイルを霧化すること、すなわち、オイルを小さな液滴の形態で巻線13の頭部15に噴霧することは除外されない。
【0060】
図示の実施例では、上記のノズル22は、モータステータ11及びモータロータ12の軸端23に配置されており、ノズル22は軸方向に向けられている。
【0061】
例えば、2から8の複数のノズル22を設けることができ、好ましくは、モータロータ12の軸X-X’の周りに対称的に配置される。
【0062】
この場合、ノズル22は上部、すなわち圧縮機要素2から外方に面するモータ3の軸端23に配置されるが、追加の又は代替のノズル22は下部、すなわち圧縮機要素2に向けられたモータ3の軸端23に配置されることは除外されない。
【0063】
また、ノズル22は、モータハウジング10の側面、すなわちモータハウジング10のジャケット24の位置に配置されることも可能であり、この場合、ノズル22は、巻線13の頭部15に向けられるように、半径方向に向けられる。
【0064】
この状況でも、ノズル22は下部だけでなく上部にも配置することができる。
【0065】
ノズル22の正確な位置は、一般的にはモータ3の設計に、特にモータハウジング10の設計に依存することになる。
【0066】
モータハウジング10が、オイルがモータハウジング10を通過するのを許容しない場合、代替の解決策は、モータロータ12を少なくとも部分的に中空に設計し、この中空のモータロータ12にノズル22を統合するものである。
【0067】
明らかに、その場合、ノズル22は半径方向外向きに向けられ、一方、モータロータ12の半径方向通路は、オイルが通過できるように設けられる。
【0068】
上述したように、オイル供給ライン18は、ノズル22及び冷却ジャケット17に接続されている。
【0069】
このことは、オイル供給ライン18を通ってモータ3に導かれるオイルが、ノズル22及び冷却ジャケット17の両方に入ることを意味する。
【0070】
図示の実施例では、このことは、図3に示すように、オイル供給ライン18が2つの分岐ライン25a,25bに分岐しているため、並行して行われる。
【0071】
第1の分岐ライン25aは、オイル供給ライン18をノズル22に接続し、第2の分岐ライン25bは、オイル供給ライン18を冷却ジャケット17に接続する。
【0072】
この場合、圧縮機装置1は、第1及び第2の分岐ライン25a,25bに流れるオイルの量を制御する制御手段26及びこの制御手段26を制御する制御装置27をさらに備える。
【0073】
これにより、ノズル22に流れるオイルの量を、オイルなしと、全て又はほぼ全てのオイルとの間で制御することができる。
【0074】
制御手段26が設けられない場合、オイルはノズル22から連続的に噴射されることになる。
【0075】
この場合、制御手段26は、三方弁28として設計されているが、2つの分岐ライン25a,25bの一方に組み込まれた1つの通常弁(regular valve)として設計することもできる。
【0076】
加えて、この実施例では、圧縮機装置1は、モータステータ11の巻線13の頭部15又は軸端15の温度を測定する測定手段29を有し、制御装置27は、モータステータ11の巻線13の頭部又は軸端15の温度に基づいて調整手段26を制御するアルゴリズムを備える。
【0077】
これらの測定手段29は、例えば、温度センサを含む。
【0078】
加えて、図示の実施例では、モータハウジング10内のモータステータ11の位置に軸方向の溝30又はチャネルも存在する。
【0079】
ノズル22と同様に、これらの溝30は、モータロータ12の軸X-X’の周りに対称的に配置することができる。
【0080】
代替的に又は追加的に、軸方向に配置された溝30又はチャネルは、モータステータ11自体に設けることも可能である。
【0081】
ノズル22から噴射されたオイルは、これらのチャネル又は溝30に沿って流出することができる。
【0082】
また、オイルは、モータロータ12とモータステータ11との間の空間を通って、又はモータステータ11の積層体14を通って流出することもできる。
【0083】
圧縮機装置1の動作は非常に単純であり、以下の通りである。
【0084】
圧縮機要素1の動作時、圧縮機要素2は、磁石補助型モータ3によって駆動されることになる。
【0085】
スクリューロータ7は、これらの協働作用によって吸い込まれたガスを圧縮することになる。
【0086】
動作時、オイルは圧縮機要素2及びモータ3に注入されることになる。
【0087】
オイル供給ライン18は、最初、全てのオイルをモータ3に導くことになる。
【0088】
第2の分岐ライン25bは、オイルを冷却ジャケット17に導くことになる。
【0089】
このオイルは、モータ3を冷却するための既知の方法で、モータハウジング10から熱を奪うことができることになる。
【0090】
また、オイルは、オイル供給ライン18及び第1の分岐ライン25aを通ってノズル22に導かれる。
【0091】
上述のように、ノズル22は、モータステータ11の巻線13の軸端15でオイルを霧化することができる適切な位置に配置される。
【0092】
小さな液滴は、巻線13の軸端15から熱を奪うことができ、軸端15は、冷却ジャケット17を通過するオイルの場合よりも効率的に冷却されることになる。
【0093】
巻線13の軸端15上の保護層16は、軸端15に噴霧されるオイルから軸端15を保護する。
【0094】
制御装置27は、第1の分岐ライン25aを通ってノズル22に導かれるオイルの量を制御することになる。
【0095】
そのために、この場合、制御装置27は、モータステータ11の巻線13の温度に基づいて制御手段26を制御するアルゴリズムを備える。
【0096】
この場合、上記のアルゴリズムは、測定手段29によって測定された巻線13の軸端15の温度が予め定められた最大温度Tmaxよりも低い場合に、第1の分岐ライン25aにオイルが流れないように、制御装置27が制御手段26を制御するようになるアルゴリズムである。
【0097】
換言すると、冷却が必要なほど巻線13の頭部15の温度が上昇しすぎた場合にのみ、その頭部15上にオイルが噴霧されることになる。
【0098】
また、測定手段29の測定値に基づいて、第1の分岐ライン25aを通ってノズル22に導かれるオイルの量が制御されることは除外されない。
【0099】
次に、霧化されたオイルは、3つのチャネルを通って、巻線13の他方の頭部又は軸端15に向かって、巻線13のこれらの軸端15も冷却するために流れ落ちることができる。
【0100】
この3つのチャネルは、
-モータハウジング10とモータステータ11との間で、モータステータ11に設けられた上記の軸方向の溝30又はチャネルを通るチャネル;
-モータロータ12とモータステータ11との間のチャネル;
-モータステータ11の積層体14を通るチャネル;
である。
【0101】
また、オイルは、モータステータ11、場合によってはモータロータ12を冷却することになる。
【0102】
この場合、オイルは、重力によってモータ3を通って圧縮機要素2の方向に流れることにもなる。
【0103】
しかしながら、縦型圧縮機要素1に関連しない場合でも、オイルは、圧縮機要素2によってもたらされる油圧及び/又は真空の力によって、圧縮機要素2に向かって流れるであろう。
【0104】
オイルは、モータ3の底部に到達すると、オイル回路19を通って圧縮機要素2に送られ、例えば、圧縮機ハウジング4又は軸受9に注入されることになる。
【0105】
オイルは、圧縮ガスと一緒に出口6を通って圧縮機装置1から出ることになる。
【0106】
オイルセパレータは、オイルを分離し、このオイルは、オイルリザーバ20に沿ってオイル回路19を通過し、次にオイルクーラ21に入り、そこから再びモータ3に噴射されることになる。
【0107】
上記の実施例では、ノズル22及び冷却ジャケット17へのオイル供給を並列に行うように図示して説明するが、これを直列に行うことは除外されない。
【0108】
これは、ノズル22及び冷却ジャケット17へのオイル供給を直列に構成できることを意味し、その場合、全てのオイルが最初に冷却ジャケット17に行き、その後にノズル22に行くように、オイル供給ライン18は冷却ジャケット17に直接接続される。
【0109】
換言すると、ここでは分岐ライン25a,25bは設けられない。
【0110】
この場合、チャネルがモータハウジング10内に設けられ、これは冷却ジャケット17を通って導かれた後のオイルを、モータ3の中に噴射するためのノズル22に導くことを可能にする。
【0111】
また、この場合、オイル供給ライン18は、直接ではないが、冷却ジャケット17及びモータハウジング10内の何らかの他のチャネルを介してノズル22に接続されることに留意されたい。
【0112】
このような手法には、オイル供給を調整するための何らかの追加の手段を必要としないという利点がある
【0113】
本発明は、実施例として説明され、図に示された実施形態に限定されるものではなく、本発明による圧縮機装置は、本発明の範囲を超えることなく、全ての形状及びサイズで実施することができる。
【符号の説明】
【0114】
2 圧縮機要素
3 磁石補助型モータ
5 入口
6 出口
10 モータハウジング
11 モータステータ
12 モータロータ
13 巻線
15 頭部又は軸端
16 保護層
17 冷却ジャケット
18 オイル供給ライン
22 ノズル
図1
図2
図3