(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】基板製造システムおよびその自律走行車
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230906BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G05D1/02 Z
(21)【出願番号】P 2022516585
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2020017543
(87)【国際公開番号】W WO2021214949
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】駒池 国宗
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-172255(JP,A)
【文献】特開2018-050002(JP,A)
【文献】特開2018-122781(JP,A)
【文献】国際公開第2009/072228(WO,A1)
【文献】特表2015-518187(JP,A)
【文献】国際公開第2020/017034(WO,A1)
【文献】特開2018-107977(JP,A)
【文献】特開平07-123514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装装置を含む実装ラインと、
前記実装ラインの実装作業を補助する自律走行車とを備え、
前記自律走行車は、
自律走行するための駆動部と、
自律走行時に、前記駆動部を制御する制御部と、
前記自律走行車に内蔵され、前記駆動部および前記制御部に電力を供給する据置型の非交換用内蔵バッテリと、
前記据置型の非交換用内蔵バッテリとは別個に前記自律走行車に交換可能に設けられた交換用バッテリとを含み、
前記制御部は、交換した前記交換用バッテリが充電済みか否かを確認する自己診断を行った場合に、前記交換用バッテリにより前記据置型の非交換用内蔵バッテリを充電しつつ前記据置型の非交換用内蔵バッテリにより走行させる制御を行うように構成されている、基板製造システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記交換用バッテリのバッテリ残量が所定値以下になったことに基づいて、前記交換用バッテリによる
前記据置型の非交換用内蔵バッテリに対する充電を停止するとともに、
前記据置型の非交換用内蔵バッテリによる自律走行を行いながら、前記交換用バッテリの交換のための動作制御を行うように構成されている、請求項
1に記載の基板製造システム。
【請求項3】
前記交換用バッテリを充電するための充電ステーションをさらに備え、
前記制御部は、
前記据置型の非交換用内蔵バッテリによる自律走行により前記充電ステーションに向かって自律走行する制御を行うとともに、前記充電ステーションにおいて、前記交換用バッテリと前記充電ステーションにおいて充電された充電済みの前記交換用バッテリとの交換のための動作制御を行うように構成されている、請求項
2に記載の基板製造システム。
【請求項4】
前記自律走行車は、前記交換用バッテリを前記充電ステーションに搬入するとともに、前記充電ステーションにおいて充電された充電済みの前記交換用バッテリを搬出する際に用いるアームをさらに含む、請求項
3に記載の基板製造システム。
【請求項5】
前記アームは、前記交換用バッテリを前記充電ステーションにおいて充電された充電済みの前記交換用バッテリに交換する交換用アームである、請求項
4に記載の基板製造システム。
【請求項6】
前記実装ラインの実装作業を補助する前記自律走行車の作業内容を記憶する記憶部を含むとともに、前記自律走行車に通信可能に接続されたサーバをさらに備え、
前記制御部は、前記交換用バッテリを交換する際、前記サーバから送信されて取得した前記作業内容を実行可能である場合に、前記作業内容を受ける作業受託信号を前記サーバに送信する制御を行うように構成されている、請求項1~
5のいずれか1項に記載の基板製造システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記交換用バッテリのバッテリ残量が所定残量以上であることに基づいて、前記自律走行車に第1作業を行わせる制御を行うように構成されているとともに、前記交換用バッテリのバッテリ残量が前記所定残量未満であることに基づいて、前記第1作業よりも電力消費が小さい第2作業を行わせる制御を行うように構成されている、請求項1~
6のいずれか1項に記載の基板製造システム。
【請求項8】
前記交換用バッテリとは別個に設けられており、
前記据置型の非交換用内蔵バッテリに電力を供給する電力供給部をさらに備える、請求項1~
7のいずれか1項に記載の基板製造システム。
【請求項9】
前記交換用バッテリのバッテリ容量は、
前記据置型の非交換用内蔵バッテリのバッテリ容量よりも大きい、請求項1~
8のいずれか1項に記載の基板製造システム。
【請求項10】
基板に部品を実装する部品実装装置を含む実装ラインの実装作業を補助するために自律走行する駆動部と、
自律走行時に、前記駆動部を制御する制御部と、
内蔵されるとともに、前記駆動部および前記制御部に電力を供給する据置型の非交換用内蔵バッテリと、
前記据置型の非交換用内蔵バッテリとは別個に、交換可能に設けられた交換用バッテリとを備え、
前記制御部は、交換した前記交換用バッテリが充電済みか否かを確認する自己診断を行った場合に、前記交換用バッテリにより前記据置型の非交換用内蔵バッテリを充電しつつ前記据置型の非交換用内蔵バッテリにより走行させる制御を行うように構成されている、自律走行車。
【請求項11】
前記制御部は、前記交換用バッテリのバッテリ残量が所定値以下になったことに基づいて、前記交換用バッテリによる
前記据置型の非交換用内蔵バッテリに対する充電を停止するとともに、
前記据置型の非交換用内蔵バッテリによる自律走行を行いながら、前記交換用バッテリの交換のための動作制御を行うように構成されている、請求項
10に記載の自律走行車。
【請求項12】
前記実装ラインの実装作業を補助する複数の
前記自律走行車
をさらに備え
、
複数の前記自律走行車は、部品倉庫から部品を取り出して他の前記自律走行車に移載する移載用の自律走行車を含む、
請求項1に記載の基板製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板製造システムおよびその自律走行車に関し、特に、駆動部を制御する制御部が設けられる基板製造システムおよびその自律走行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動部を制御する制御部が設けられる基板製造システムが知られている。このような基板製造システムは、たとえば、特開2017-117353号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2017-117353号公報には、モータ(駆動部)を制御する制御部が設けられる移動体プラットフォームシステム(基板製造システム)が開示されている。この移動体プラットフォームシステムは、サービス機器と、汎用移動体とを備えている。
【0004】
上記特開2017-117353号公報のサービス機器は、周囲の状況を検知するように構成されている。サービス機器は、検知した周囲の状況に基づいて、汎用移動体に所定の作業を行わせる指令を通知するように構成されている。汎用移動体は、バッテリモジュールと、上記制御部とを含んでいる。制御部は、サービス機器から通知された指令に基づいて、バッテリモジュールから供給される電力により汎用移動体の移動を制御することによって、所定の作業を行なわせる制御を行うように構成されている。
【0005】
上記特開2017-117353号公報の移動体プラットフォームシステムでは、バッテリモジュールの電力がしきい値を下回った場合に、充電ステーションにおいてバッテリモジュールが交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記特開2017-117353号公報の移動体プラットフォームシステムでは、明記されていないが、バッテリモジュールから制御部に電力が供給されていると考えられる。この場合、充電ステーションにおいてバッテリモジュールを交換する際、制御部への電力の供給が一時的に停止するので、制御部での処理も一時的に停止すると考えられる。この際、制御部は、サービス機器から検知した周囲の状況に基づく所定の作業の情報を取得することができない。したがって、汎用移動体は、バッテリ交換後、サービス機器から上記所定の作業の情報を取得しなければ、周囲の状況に応じた移動を行うことができないので、速やかに所定の作業に戻ることができないと考えられる。このため、上記特開2017-117353号公報の移動体プラットフォームシステムでは、バッテリ交換の際に、制御部において処理を行わせることができないので、作業効率が悪いという問題点があると考えられる。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、バッテリ交換の際に、制御部において継続して処理を行わせることにより、作業効率を向上させることが可能な基板製造システムおよびその自律走行車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の局面による基板製造システムは、基板に部品を実装する部品実装装置を含む実装ラインと、実装ラインの実装作業を補助する自律走行車とを備え、自律走行車は、自律走行するための駆動部と、自律走行時に、駆動部を制御する制御部と、自律走行車に内蔵され、駆動部および制御部に電力を供給する据置型の非交換用内蔵バッテリと、据置型の非交換用内蔵バッテリとは別個に自律走行車に交換可能に設けられた交換用バッテリとを含み、制御部は、交換した交換用バッテリが充電済みか否かを確認する自己診断を行った場合に、交換用バッテリにより据置型の非交換用内蔵バッテリを充電しつつ据置型の非交換用内蔵バッテリにより走行させる制御を行うように構成されている。
【0010】
この発明の第1の局面による基板製造システムでは、上記のように、自律走行車に、自律走行車に内蔵され、駆動部に電力を供給する内蔵バッテリと、内蔵バッテリとは別個に自律走行車に交換可能に設けられた交換用バッテリとを設ける。これにより、交換用バッテリを交換する際、制御部への電力の供給を内蔵バッテリにより継続することができるので、制御部での処理を継続させることができる。したがって、バッテリ交換中であっても、制御部が実装ラインの実装作業を補助するための自律走行車の作業の情報を取得することができるので、自律走行車はバッテリ交換後に速やかに作業を行うことができる。その結果、バッテリ交換の際に、制御部において継続して処理を行わせることにより、作業効率を向上させることができる。また、交換用バッテリのバッテリ残量が低下して交換用バッテリからの電力の供給が停止した場合でも、内蔵バッテリにより駆動部に電力を供給することができるので、駆動部による自律走行車の移動を継続することができる。
【0012】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、制御部は、交換用バッテリのバッテリ残量が所定値以下になったことに基づいて、交換用バッテリによる据置型の非交換用内蔵バッテリに対する充電を停止するとともに、据置型の非交換用内蔵バッテリによる自律走行を行いながら、交換用バッテリの交換のための動作制御を行うように構成されている。このように構成すれば、据置型の非交換用内蔵バッテリにより、自律走行および交換用バッテリの交換のための動作制御を行うことにより、交換用バッテリのバッテリ残量が所定値以下になった場合でも、作業者により手動で交換用バッテリの交換を行う必要がないので、作業者の作業を増加させないようにすることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、基板製造システムは、交換用バッテリを充電するための充電ステーションをさらに備え、制御部は、据置型の非交換用内蔵バッテリによる自律走行により充電ステーションに向かって自律走行する制御を行うとともに、充電ステーションにおいて、交換用バッテリと充電ステーションにおいて充電された充電済みの交換用バッテリとの交換のための動作制御を行うように構成されている。このように構成すれば、据置型の非交換用内蔵バッテリによる充電ステーションへの自律走行および交換用バッテリの交換を行うことによって、自律走行車が単独でバッテリ残量が所定値以下になった交換用バッテリを交換することができるので、自律走行車の自律動作を長時間にわたって継続することができる。
【0014】
上記充電ステーションを備える基板製造システムにおいて、好ましくは、自律走行車は、交換用バッテリを充電ステーションに搬入するとともに、充電ステーションにおいて充電された充電済みの交換用バッテリを搬出する際に用いるアームをさらに含む。このように構成すれば、アームにより交換用バッテリまたは充電済みの交換用バッテリを把持することにより、充電ステーションへの交換用バッテリの搬入、および、充電ステーションからの充電済みの交換用バッテリの搬出をより確実に行うことができるので、自律走行車によるバッテリ交換作業の確実性を向上させることができる。また、自律走行車にアームを設けることにより、充電ステーション側に、自律走行車の交換用バッテリを搬入するとともに、充電された充電済みの交換用バッテリを搬出する構成を設ける必要がない。その結果、上記構成を設けない分だけ、充電ステーションの構成を簡略化することができる。
【0015】
上記アームを備える基板製造システムにおいて、好ましくは、アームは、交換用バッテリを充電ステーションにおいて充電された充電済みの交換用バッテリに交換する交換用アームである。このように構成すれば、専用の交換用アームを用いることにより、交換用バッテリと充電済みの交換用バッテリとの交換を円滑に行うことができるので、自律走行車によるバッテリ交換作業の作業効率を向上させることができる。
【0016】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、実装ラインの実装作業を補助する自律走行車の作業内容を記憶する記憶部を含むとともに、自律走行車に通信可能に接続されたサーバをさらに備え、制御部は、交換用バッテリを交換する際、サーバから送信されて取得した作業内容を実行可能である場合に、作業内容を受ける作業受託信号をサーバに送信する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、交換用バッテリを交換している間でも、自律走行車からサーバに作業受託信号を送信することができるので、バッテリ交換をした後に速やかに自律走行車が次の作業を行うことができる。その結果、自律走行車の作業効率をより向上させることができる。
【0017】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、制御部は、交換用バッテリのバッテリ残量が所定残量以上であることに基づいて、自律走行車に第1作業を行わせる制御を行うように構成されているとともに、交換用バッテリのバッテリ残量が所定残量未満であることに基づいて、第1作業よりも電力消費が小さい第2作業を行わせる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、交換用バッテリのバッテリ残量に応じて自律走行車の作業を切り替えることができるので、自律走行車が作業途中でバッテリ交換を行う必要が生じることを抑制することができる。その結果、自律走行車が作業途中でバッテリ交換を行うことに起因する作業効率の低下を抑制することができる。
【0018】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、交換用バッテリとは別個に設けられており、据置型の非交換用内蔵バッテリに電力を供給する電力供給部をさらに備える。このように構成すれば、交換用バッテリによる据置型の非交換用内蔵バッテリの充電をする頻度を抑えることができるので、交換用バッテリをより長時間使用することができる。その結果、交換用バッテリの交換頻度を減少させることができる。
【0019】
上記第1の局面による基板製造システムにおいて、好ましくは、交換用バッテリのバッテリ容量は、据置型の非交換用内蔵バッテリのバッテリ容量よりも大きい。このように構成すれば、交換用バッテリの交換頻度を抑制することができるので、自律走行車の作業効率の低下を抑制することができる。
【0020】
この発明の第2の局面による自律走行車は、基板に部品を実装する部品実装装置を含む実装ラインの実装作業を補助するために自律走行する駆動部と、自律走行時に、駆動部を制御する制御部と、内蔵されるとともに、駆動部および制御部に電力を供給する据置型の非交換用内蔵バッテリと、据置型の非交換用内蔵バッテリとは別個に、交換可能に設けられた交換用バッテリとを備え、制御部は、交換した交換用バッテリが充電済みか否かを確認する自己診断を行った場合に、交換用バッテリにより据置型の非交換用内蔵バッテリを充電しつつ据置型の非交換用内蔵バッテリにより走行させる制御を行うように構成されている。
【0021】
この第2の局面による自律走行車では、上記のように、内蔵され、駆動部に電力を供給する内蔵バッテリと、内蔵バッテリとは別個に交換可能に設けられた交換用バッテリとを設ける。これにより、交換用バッテリを交換する際、制御部への電力の供給を内蔵バッテリにより継続することができるので、制御部での処理を継続させることができる。したがって、バッテリ交換中であっても、制御部が実装ラインの実装作業を補助するための自律走行車の作業の情報を取得することができるので、自律走行車はバッテリ交換後に速やかに作業を行うことができる。その結果、バッテリ交換の際に、制御部において継続して処理を行わせることにより、作業効率を向上させることが可能な自律走行車を得ることができる。
【0023】
上記第2の局面による自律走行車において、好ましくは、制御部は、交換用バッテリのバッテリ残量が所定値以下になったことに基づいて、交換用バッテリによる据置型の非交換用内蔵バッテリに対する充電を停止するとともに、据置型の非交換用内蔵バッテリによる自律走行を行いながら、交換用バッテリの交換のための動作制御を行うように構成されている。このように構成すれば、内蔵バッテリにより、自律走行および交換用バッテリの交換のための動作制御を行うことにより、交換用バッテリのバッテリ残量が所定値以下になった場合でも、作業者により手動で交換用バッテリの交換を行う必要がないので、作業者の作業を増加させないようにすることができる。
上記第1の局面による基板製造システムは、実装ラインの実装作業を補助する複数の自律走行車をさらに備え、複数の自律走行車は、部品倉庫から部品を取り出して他の自律走行車に移載する移載用の自律走行車を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記のように、バッテリ交換の際に、制御部において継続して処理を行わせることにより、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態による基板製造システムを示したブロック図である。
【
図2】一実施形態による基板製造システムの充電ステーションを示した正面図である。
【
図3】一実施形態による基板製造システムの自律走行車において、交換用バッテリにより内蔵バッテリを充電しつつ走行する状態を示した図である。
【
図4】一実施形態による基板製造システムの自律走行車において、内蔵バッテリにより走行する状態を示した図である。
【
図5】一実施形態による基板製造システムの自律走行車が充電ステーションの空いている箇所を認識した状態を示した平面図である。
【
図6】一実施形態による基板製造システムの自律走行車が充電ステーションの空いている箇所に交換用バッテリを搬入した状態を示した平面図である。
【
図7】一実施形態による基板製造システムの自律走行車が充電ステーションに接続された充電済みの交換用バッテリを認識した状態を示した平面図である。
【
図8】一実施形態による基板製造システムの自律走行車が充電ステーションから充電済みの交換用バッテリを搬出した状態を示した平面図である。
【
図9】一実施形態による基板製造システムの一例において、サーバから作業内容が送信された状態を示した模式図である。
【
図10】一実施形態による基板製造システムの一例において、サーバに作業受託信号を送信した状態を示した模式図である。
【
図11】一実施形態による基板製造システムの一例において、自律走行車が作業内容を実行した状態を示した模式図である。
【
図12】一実施形態による基板製造システムの移載用の自律走行車が第1作業を行っている状態を示した図である。
【
図13】一実施形態による基板製造システムの移載用の自律走行車が第2作業を行っている状態を示した図である。
【
図14】一実施形態による基板製造システムの自律走行車の自律動作処理を示したフローチャートである。
【
図15】一実施形態の第1変形例による基板製造システムの電力供給部を示した図である。
【
図16】一実施形態の第2変形例による基板製造システムの電力供給部を示した図である。
【
図17】一実施形態の第3変形例による基板製造システムの自律走行車を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
(基板製造システムの構成)
図1~
図13を参照して、本発明の実施形態による基板製造システム100の構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、基板製造システム100は、基板に部品を実装して、部品が実装された生産品を製造するように構成されている。基板製造システム100は、
図1に示すように、実装ライン1と、サーバ2と、充電ステーション3と、自律走行車4とを備えている。
【0029】
実装ライン1は、複数(2つ)設けられている。実装ライン1は、ローダ11と、印刷機12と、印刷検査機13と、ディスペンサ装置14と、複数(3つ)の部品実装装置15と、外観検査装置16と、リフロー装置17と、外観検査装置18と、アンローダ19とを含んでいる。また、実装ライン1では、上流側から下流側に向かって基板が搬送されるように構成されている。なお、実装ライン1は、1つ、または、3つ以上設けられてもよい。また、部品実装装置15は、1つ、2つ、または、4つ以上設けられてもよい。
【0030】
図1の2つの実装ライン1は同じ構成を有しているので、一方の実装ライン1の構成についてのみ以下において説明する。なお、複数の実装ライン1は、互いに異なる構成を有していてもよい。
【0031】
(実装ラインの構成)
次に、実装ライン1を構成する各装置の構成について説明する。
【0032】
ローダ11は、部品が実装される前の基板を保持するとともに実装ライン1に基板を搬入する役割を有する。なお、部品は、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の電子部品を含む。
【0033】
印刷機12は、スクリーン印刷機であり、クリーム半田を基板の実装面上に塗布する機能を有する。印刷検査機13は、印刷機12により印刷したクリーム半田の状態を検査する機能を有する。ディスペンサ装置14は、基板にクリーム半田や接着剤などを塗布する機能を有する。複数の部品実装装置15は、クリーム半田が印刷された基板の所定の実装位置に部品を実装(搭載)する機能を有する。外観検査装置16は、複数の部品実装装置15の下流に設けられている。外観検査装置16は、複数の部品実装装置15により部品が実装された基板の外観を検査する機能を有する。リフロー装置17は、加熱処理を行うことにより半田を溶融させて部品を基板の電極部に接合する機能を有する。リフロー装置17は、レーン上の基板を搬送しながら、加熱処理を行うように構成されている。外観検査装置18は、リフロー装置17の下流に設けられている。外観検査装置18は、リフロー装置17により加熱処理が行われた後の基板の外観を検査する機能を有する。アンローダ19は、部品が実装された後の基板を実装ライン1から排出する役割を有する。
【0034】
サーバ2は、実装ライン1に関する情報を管理する制御装置である。サーバ2は、制御部21と、記憶部22となどを含んでいる。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)により構成されている。記憶部22は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する記憶装置である。記憶部22には、実装ライン1により基板に部品が実装された生産品の基板の種類、枚数、実装する部品の種類、部品の在庫量、実装に関するデータを管理するデータ管理プログラムが記憶されている。また、記憶部22には、実装ライン1の実装作業を補助する自律走行車4の作業内容22aが記憶されている。
【0035】
サーバ2は、実装ライン1の各装置(ローダ11、印刷機12、印刷検査機13、ディスペンサ装置14、部品実装装置15、外観検査装置16、リフロー装置17、外観検査装置18、アンローダ19)と通信可能に構成されている。また、サーバ2は自律走行車4と通信可能に接続されている。
【0036】
ここで、サーバ2は、自律走行車4の実装ライン1における実装作業を補助するために、自律走行車4の現在位置、充電ステーション3の位置、実装ライン1の装置の位置、部品倉庫の位置、組立部品倉庫の位置、および、他の自律走行車4の位置の情報などを取得する機能を有している。また、サーバ2は、自律走行車4の目的位置(作業場所)の情報を取得する機能を有している。サーバ2は、自律走行車4の現在位置から自律走行車4の目的位置(作業場所)までの走行経路を作成する機能を有している。
【0037】
(充電ステーション)
図1および
図2に示すように、充電ステーション3は、後述する交換用バッテリ44を充電する機能を有している。すなわち、充電ステーション3は、接続された交換用バッテリ44に、外部から供給される電力を供給するように構成されている。充電ステーション3は、外部から供給される電力を交換用バッテリ44に適した電力に変換する。充電ステーション3は、実装ライン1の回りに複数(4つ)配置されている。なお、充電ステーション3は、1つ以上3つ以下、または、5個以上実装ライン1の回りに配置されてもよい。
【0038】
充電ステーション3は、複数(4つ)の交換用バッテリ44が接続可能に構成されている。なお、
図2においては、充電ステーション3には、3つの交換用バッテリ44が接続されている。充電ステーション3には、交換用バッテリ44が接続可能な1つの空きが設けられている。充電ステーション3において、空きの接続箇所31には、自律走行車4に搭載されている交換用バッテリ44が接続される。
【0039】
充電ステーション3は、サーバ2との通信を行う機能を有していない。具体的には、充電ステーション3は、制御部、記憶部および通信部を有していない。
【0040】
充電ステーション3は、接続された交換用バッテリ44が充電済み否かを自律走行車4に認識させるための発光部32を含んでいる。発光部32は、複数の交換用バッテリ44の接続箇所の各々に配置されている。充電ステーション3では、充電済みの交換用バッテリ44に対応する発光部32が、たとえば、緑色(
図2に濃いハッチングで記載)に発光する。充電ステーション3では、充電中の交換用バッテリ44に対応する発光部32が、たとえば、赤色(
図2に薄いハッチングで記載)に発光する。なお、充電ステーション3では、空きの接続箇所31に対応する発光部32は、たとえば、点灯しない。
【0041】
なお、充電ステーション3は、発光部32ではなく、他の構成により、接続された交換用バッテリ44が充電済み否かを自律走行車4に認識させてもよい。
【0042】
(自律走行車)
自律走行車4は、実装ライン1の実装作業を補助するように構成されている。
【0043】
たとえば、自律走行車4は、部品実装装置15により実装される部品を搬送して補給するように構成されていてもよい(搬送用の自律走行車4f(
図9参照))。
【0044】
また、たとえば、自律走行車4は、部品倉庫(
図9参照)から部品を取り出して、部品を搬送する搬送用の自律走行車4fに移載するように構成されていてもよい(移載用の自律走行車4aおよび移載用の自律走行車4b(
図9参照))。
【0045】
また、たとえば、自律走行車4は、搬送用の自律走行車4fから部品を取り出して、部品実装装置15に移載するように構成されていてもよい(移載用の自律走行車4cおよび移載用の自律走行車4d(
図9参照))。
【0046】
また、たとえば、自律走行車4は、組み立て済みの組立部品を収容した組立部品倉庫(
図9参照)から部品を取り出して、部品を搬送する自律走行車4に移載するように構成されていてもよい(移載用の自律走行車4e(
図9参照))。
【0047】
また、たとえば、自律走行車4は、他の自律走行車4に交換用バッテリ44を受け渡すように構成されていてもよい(供給用の自律走行車4g(
図9参照))。
【0048】
自律走行車4は、上記したような与えられた役割(たとえば、部品を搬送する、部品を取り出すなど)を記憶するように構成されている。
【0049】
自律走行車4は、現在位置から目的位置(作業場所)までの走行経路をサーバ2から取得する機能を有している。なお、自律走行車4は、走行経路をサーバ2から取得することなく、走行経路を自身で作成するように構成されていてもよい。
【0050】
図3および
図4に示すように、本実施形態の自律走行車4は、容量の異なる2つのバッテリを用いて実装作業を補助するように構成されている。なお、以下の説明では、自律走行車4の基本的な構成について説明する。ここで、自律走行車4は、基本的な構成に加えて外部機器を取り付けることが可能である。たとえば、自律走行車4は、外部機器として牽引アームと台車とを加えることにより、搬送用の自律走行車4fになる。また、たとえば、自律走行車4は、外部機器としてロボットアームを備えるモバイルロボットを加えることにより、移載用の自律走行車4a~4eになる。
【0051】
具体的には、自律走行車4は、駆動部41と、撮像部42と、内蔵バッテリ43と、交換用バッテリ44と、アーム45と、制御部46とを含んでいる。
【0052】
駆動部41は、モータである。駆動部41は、自律走行するために設けられている。駆動部41は、自律走行車4を自律走行させるために複数の車輪を駆動させる。撮像部42は、カメラである。撮像部42は、自律走行車4の周囲の状態を撮影するように構成されている。撮像部42は、作業状態を記録するために撮影を行うように構成されている。撮像部42は、自律走行車4の自律走行および作業に必要な情報を得るために撮影を行う。
【0053】
内蔵バッテリ43は、交換用バッテリ44よりも小容量のバッテリである。内蔵バッテリ43は、充電および放電を繰り返し行うことが可能な二次電池である。内蔵バッテリ43は、鉛蓄電池である。内蔵バッテリ43は、自律走行車4に、交換できないように内蔵されている。内蔵バッテリ43は、駆動部41に電力を供給する。内蔵バッテリ43は、制御部46に電力を供給する。
【0054】
交換用バッテリ44は、内蔵バッテリ43よりも大容量のバッテリである。すなわち、交換用バッテリ44のバッテリ容量は、内蔵バッテリ43のバッテリ容量よりも大きい。交換用バッテリ44は、内蔵バッテリ43よりも約1.5倍以上約3倍以下のバッテリ容量を有していることが好ましい。特に、交換用バッテリ44は、内蔵バッテリ43よりも約2倍のバッテリ容量を有していることがより好ましい。交換用バッテリ44は、充電および放電を繰り返し行うことが可能な二次電池である。交換用バッテリ44は、リチウムイオン電池である。交換用バッテリ44は、内蔵バッテリ43とは別個に自律走行車4に交換可能に設けられている。交換用バッテリ44は、内蔵バッテリ43および外部機器に電力を供給する。
【0055】
アーム45は、ロボットアームである。アーム45は、制御部46により制御される。アーム45は、交換用バッテリ44を充電ステーション3に搬入するとともに、充電ステーション3において充電された充電済みの交換用バッテリ44を搬出する際に用いられる。このように、アーム45は、交換用バッテリ44を充電ステーション3において充電された充電済みの交換用バッテリ44に交換する交換用アームである。
【0056】
〈制御部〉
図3および
図4に示すように、制御部46は、自律走行車4の各部を制御するように構成されている。制御部46は、CPUと、メモリを有する記憶部46aとを有する。制御部46は、駆動部41を制御して、自律走行車4の自律走行を制御するように構成されている。制御部46は、アーム45を制御して、交換用バッテリ44の交換を制御するように構成されている。
【0057】
制御部46は、交換用バッテリ44により内蔵バッテリ43を充電しつつ内蔵バッテリ43により走行させる制御を行うように構成されている。すなわち、自律走行車4では、小容量の内蔵バッテリ43による駆動部41の走行距離を長くするために、大容量の交換用バッテリ44が取り付けられている。このように、制御部46は、交換用バッテリ44を利用して、内蔵バッテリ43による通常走行をさせる制御を行うように構成されている。
【0058】
制御部46は、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定値D1以下になったことに基づいて、交換用バッテリ44による内蔵バッテリ43に対する充電を停止するとともに、内蔵バッテリ43による自律走行を行いながら、交換用バッテリ44の交換のための動作制御を行うように構成されている。すなわち、制御部46は、内蔵バッテリ43による自律走行により充電ステーション3に向かって自律走行する制御を行うとともに、充電ステーション3において、交換用バッテリ44と充電ステーション3において充電された充電済みの交換用バッテリ44との交換のための動作制御を行うように構成されている。
【0059】
詳細には、制御部46は、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定値D1以下になったことに基づいて、自律走行車4に最も近い位置にある充電ステーション3までの走行経路をサーバ2から取得する制御を行うように構成されている。制御部46は、サーバ2から取得した走行経路に基づいて、内蔵バッテリ43により駆動部41を駆動させて最も近い位置にある充電ステーション3まで移動する制御を行うように構成されている。
【0060】
また、
図5および
図6に示すように、制御部46は、最も近い位置にある充電ステーション3まで移動したことに基づいて、撮像部42により空きの接続箇所31を認識する制御を行うように構成されている。制御部46は、空きの接続箇所31を認識しことに基づいて、アーム45により空きの接続箇所31に交換用バッテリ44を搬入する制御を行うように構成されている。制御部46は、空きの接続箇所31に交換用バッテリ44が接続されるまで、アーム45を移動させる制御を行うように構成されている。
【0061】
また、
図7および
図8に示すように、制御部46は、交換用バッテリ44を接続させたことに基づいて、撮像部42により充電済みの交換用バッテリ44を認識する制御を行うように構成されている。すなわち、制御部46は、撮像部42により緑色に発光している発光部32を探索する制御を行うように構成されている。制御部46は、充電済みの交換用バッテリ44を認識したことに基づいて、アーム45により充電ステーション3から充電済みの交換用バッテリ44を搬出する制御を行うように構成されている。
【0062】
制御部46は、充電済みの交換用バッテリ44を搬出した後、自律走行車4に充電済みの交換用バッテリ44を装填させる制御を行うように構成されている。制御部46は、充電済みの交換用バッテリ44を装填したことに基づいて、装填した交換用バッテリ44が充電済みか否かを確認する自己診断を行う制御を行うように構成されている。制御部46は、交換用バッテリ44が充電済みであることを確認したことに基づいて、交換用バッテリ44により内蔵バッテリ43を充電しつつ内蔵バッテリ43により走行させる制御を再度行うように構成されている。
【0063】
次に、
図9~
図11を参照して、サーバ2から送信される作業内容22aの情報に基づく自律走行車4の制御について説明する。
【0064】
図9および
図10に示すように、制御部46は、サーバ2から送信されて取得した作業内容22aを実行可能である場合に、作業内容22aを受ける作業受託信号をサーバ2に送信する制御を行うように構成されている。
【0065】
詳細には、サーバ2は、複数の自律走行車4に作業を行わせる場合、実装ライン1に対応する複数の自律走行車4全てに作業内容22aを送信する制御を行うように構成されている。複数の自律走行車4の各々の制御部46は、サーバ2から送信された作業内容22aを取得したことに基づいて、作業内容22aに関連する情報をサーバ2から取得する制御を行うように構成されている。すなわち、作業内容22aに関連する情報とは、自律走行車4の現在位置、作業内容22aに関連する実装ライン1の装置の位置、および、作業内容22aに関連する部品倉庫の位置などを示す。
【0066】
複数の自律走行車4の各々の制御部46は、与えられた役割および作業内容22aに関連する情報に基づいて、作業内容22aを受けるか否かを判断する制御を行うように構成されている。すなわち、一例として、複数の自律走行車4のうち、作業内容22aに関連する実装ライン1の装置の位置に近い、または、作業内容22aに関連する部品倉庫の位置に近い自律走行車4が、作業受託信号をサーバ2に送信する制御を行うように構成されている。
【0067】
ここで、
図9には、一例として、実装ライン1のうち第1部品実装装置15a、第2部品実装装置15bおよび第3部品実装装置15cが示されている。また、一例として、第1部品倉庫5および第2部品倉庫6が示されている。また、一例として、第1組立部品倉庫7および第2組立部品倉庫8が示されている。また、一例として、第1移載用の自律走行車4a、第2移載用の自律走行車4b、第3移載用の自律走行車4c、第4移載用の自律走行車4dおよび第5移載用の自律走行車4eが示されている。また、一例として、搬送用の自律走行車4fが示されている。また、一例として、第1供給用の自律走行車4gおよび第2供給用の自律走行車4hが示されている。また、一例として、第1充電ステーション3a、第2充電ステーション3b、第3充電ステーション3cおよび第4充電ステーション3dが示されている。
【0068】
図9~
図11を参照して、サーバ2から送信される作業内容22aの情報に基づく自律走行車4の制御の一例を示す。
【0069】
図9および
図10に示すように、サーバ2が、第1部品倉庫5の部品を第3部品実装装置15cに供給するという作業内容22aを送信した場合、第1部品倉庫5に近い第1移載用の自律走行車4aが作業受託信号をサーバ2に送信する。また、第3部品実装装置15cに近い第4移載用の自律走行車4dが作業受託信号をサーバ2に送信する。また、搬送用の自律走行車4fが作業受託信号をサーバ2に送信する。サーバ2は、第1移載用の自律走行車4a、第2移載用の自律走行車4bおよび搬送用の自律走行車4fに許可信号を送信する。
【0070】
そして、
図11に示すように、第1移載用の自律走行車4aから搬送用の自律走行車4fに部品が移載される。搬送用の自律走行車4fは、第3部品実装装置15cまで部品を搬送する。第4移載用の自律走行車4dは、搬送用の自律走行車4fから第3部品実装装置15cに部品を移載する。
【0071】
ここで、自律走行車4が交換用バッテリ44を交換している最中であっても、制御部46は、内蔵バッテリ43から電力供給がされているので、作業内容22aを受けることが可能である。すなわち、制御部46は、交換用バッテリ44を交換する際、サーバ2から送信されて取得した作業内容22aを実行可能である場合に、作業内容22aを受ける作業受託信号をサーバ2に送信する制御を行うように構成されている。この場合でも、サーバ2は、自律走行車4に許可信号を送信する。自律走行車4は、許可信号を取得したことに基づいて、充電済みの交換用バッテリ44を装填した後、すみやかに作業内容22aを実行する。
【0072】
また、
図12および
図13に示すように、制御部46は、交換用バッテリ44のバッテリ残量に基づいて、電力消費量が大きい第1作業W1を行うか、または、電力消費量が小さい第2作業W2を行うかを選択する制御を行うように構成されている。詳細には、制御部46は、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定残量D2以上であることに基づいて、自律走行車4に第1作業W1を行わせる制御を行うように構成されている。制御部46は、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定残量D2未満であることに基づいて、第1作業W1よりも電力消費が小さい第2作業W2を行わせる制御を行うように構成されている。
【0073】
ここで、第1作業W1としては、
図12に示すように、学習制御に基づく移載用の自律走行車4のロボットアームを用いたばら積みの部品の移載作業が一例である。なお、第1作業W1としては、搬送用の自律走行車4fによる長距離の走行、および、搬送用の自律走行車4fによる重い部品を載せた場合の走行などの作業がある。第2作業W2としては、
図13に示すように、エッジ処理に基づく移載用の自律走行車4のロボットアームを用いた整列された部品の移載作業が一例である。ここで、エッジ処理により制御部46にかかる処理負荷は、学習制御により制御部46にかかる処理負荷より小さい。なお、第2作業W2としては、搬送用の自律走行車4fによる短距離の走行、および、搬送用の自律走行車4fによる軽い部品を載せた走行などの作業がある。
【0074】
(自律動作処理)
以下に、
図14を参照して、制御部46による自律走行車4の自律動作処理について説明する。自律動作処理は、サーバ2から送信される作業内容22aに基づく自律走行車4の動作に関する処理である。
【0075】
図14に示すように、ステップS1において、制御部46では、作業内容22aを取得したか否かが判断される。作業内容22aを取得した場合はステップS2に進み、作業内容22aを取得していない場合はステップS9に進み現在の作業を継続した後、ステップS5に進む。ステップS2において、制御部46では、作業内容22aを受けるか否かが判断される。すなわち、制御部46では、自律走行車4の役割および現在位置などに基づいて、作業内容22aを受けるか否かが判断される。作業内容22aを受ける場合はステップS3に進み、作業内容22aを受けない場合はステップS9に進み現在の作業を継続した後、ステップS5に進む。
【0076】
ステップS3において、制御部46では、サーバ2に作業受託信号が送信される。ステップS4において、制御部46では、自律走行車4による作業が開始される。ステップS5において、制御部46では、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定値D1以下か否かが判断される。交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定値D1以下の場合は、ステップS6に進み、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定値D1を超える場合は、ステップS10に進み現在の作業を継続した後、ステップS1に戻る。
【0077】
ステップS6において、制御部46では、制御部46および駆動部41への電力供給が、内蔵バッテリ43のみによる電力供給に切り替えられる。また、制御部46では、サーバ2から最も近くに配置されている充電ステーション3までの走行経路が取得される。ステップS7において、制御部46では、最も近くに配置されている充電ステーション3に到着したか否かが判断される。充電ステーション3に到着した場合は、ステップS8に進み、充電済みの交換用バッテリ44に交換用バッテリ44を交換した後、ステップS1に戻る。また、充電ステーション3に到着していない場合は、ステップS7を繰り返す。
【0078】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0079】
本実施形態では、上記のように、自律走行車4に、自律走行車4に内蔵され、駆動部41に電力を供給する内蔵バッテリ43と、内蔵バッテリ43とは別個に自律走行車4に交換可能に設けられた交換用バッテリ44とを設ける。これにより、交換用バッテリ44を交換する際、制御部46への電力の供給を内蔵バッテリ43により継続することができるので、制御部46での処理を継続させることができる。したがって、バッテリ交換中であっても、制御部46が実装ライン1の実装作業を補助するための自律走行車4の作業の情報を取得することができるので、自律走行車4はバッテリ交換後に速やかに作業を行うことができる。この結果、バッテリ交換の際に、制御部46において継続して処理を行わせることにより、作業効率を向上させることができる。また、交換用バッテリ44のバッテリ残量が低下して交換用バッテリ44からの電力の供給が停止した場合でも、内蔵バッテリ43により駆動部41に電力を供給することができるので、駆動部41による自律走行車4の移動を継続することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、制御部46を、交換用バッテリ44により内蔵バッテリ43を充電しつつ内蔵バッテリ43により走行させる制御を行うように構成する。これにより、自律走行車4を内蔵バッテリ43のみにより走行させる場合と比較して、交換用バッテリ44のバッテリ容量の分だけ、自律走行車4の走行距離を長くすることができるので、自律走行車4による作業の継続時間を十分に確保することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、制御部46を、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定値D1以下になったことに基づいて、交換用バッテリ44による内蔵バッテリ43に対する充電を停止するとともに、内蔵バッテリ43による自律走行を行いながら、交換用バッテリ44の交換のための動作制御を行うように構成する。これにより、内蔵バッテリ43により、自律走行および交換用バッテリ44の交換のための動作制御を行うことによって、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定値D1以下になった場合でも、作業者により手動で交換用バッテリ44の交換を行う必要がないので、作業者の作業を増加させないようにすることができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、基板製造システム100に、交換用バッテリ44を充電するための充電ステーション3を設ける。制御部46を、内蔵バッテリ43による自律走行により充電ステーション3に向かって自律走行する制御を行うとともに、充電ステーション3において、交換用バッテリ44と充電ステーション3において充電された充電済みの交換用バッテリ44との交換のための動作制御を行うように構成する。これにより、内蔵バッテリ43により充電ステーション3への自律走行および交換用バッテリ44の交換を行うことによって、自律走行車4が単独でバッテリ残量が所定値D1以下になった交換用バッテリ44を交換することができるので、自律走行車4の自律動作を長時間にわたって継続することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、自律走行車4に、交換用バッテリ44を充電ステーション3に搬入するとともに、充電ステーション3において充電された充電済みの交換用バッテリ44を搬出する際に用いるアーム45を設ける。これにより、アーム45により交換用バッテリ44または充電済みの交換用バッテリ44を把持することにより、充電ステーション3への交換用バッテリ44の搬入、および、充電ステーション3からの充電済みの交換用バッテリ44の搬出をより確実に行うことができるので、自律走行車4によるバッテリ交換作業の確実性を向上させることができる。また、自律走行車4にアーム45を設けることにより、充電ステーション3側に、自律走行車4の交換用バッテリ44を搬入するとともに、充電された充電済みの交換用バッテリ44を搬出する構成を設ける必要がない。この結果、上記構成を設けない分だけ、充電ステーション3の構成を簡略化することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、アーム45を、交換用バッテリ44を充電ステーション3において充電された充電済みの交換用バッテリ44に交換する交換用アームとして設ける。これにより、専用の交換用アームを用いることにより、交換用バッテリ44と充電済みの交換用バッテリ44との交換を円滑に行うことができるので、自律走行車4によるバッテリ交換作業の作業効率をより向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、基板製造システム100に、実装ライン1の実装作業を補助する自律走行車4の作業内容22aを記憶する記憶部22を含むとともに、自律走行車4に通信可能に接続されたサーバ2を設ける。制御部46を、交換用バッテリ44を交換する際、サーバ2から送信されて取得した作業内容22aを実行可能である場合に、作業内容22aを受ける作業受託信号をサーバ2に送信する制御を行うように構成する。これにより、交換用バッテリ44を交換している間でも、自律走行車4からサーバ2に作業受託信号を送信することができるので、バッテリ交換をした後に速やかに自律走行車4が次の作業を行うことができる。この結果、自律走行車4の作業効率をより向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、制御部46を、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定残量D2以上であることに基づいて、自律走行車4に第1作業W1を行わせる制御を行うように構成する。また、制御部46を、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定残量D2未満であることに基づいて、第1作業W1よりも電力消費が小さい第2作業W2を行わせる制御を行うように構成する。これにより、交換用バッテリ44のバッテリ残量に応じて自律走行車4の作業を切り替えることができるので、自律走行車4が作業途中でバッテリ交換を行う必要が生じることを抑制することができる。この結果、自律走行車4が作業途中でバッテリ交換を行うことに起因する作業効率の低下を抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、交換用バッテリ44のバッテリ容量は、内蔵バッテリ43のバッテリ容量よりも大きい。これにより、交換用バッテリ44の交換頻度を抑制することができるので、自律走行車4の作業効率の低下を抑制することができる。
【0088】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0089】
たとえば、上記本実施形態では、自律走行車4は、交換用バッテリ44により内蔵バッテリ43を充電する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、自律走行車4の内蔵バッテリ43は、交換用バッテリ44とは別個に設けられており、内蔵バッテリ43に電力を供給する電力供給部により充電されてもよい。すなわち、
図15に示す第1変形例のように、自律走行車4の内蔵バッテリ43は、電力供給部としてのロボットアームのロボットアーム用バッテリ210により充電されてもよい。また、
図16に示す第2変形例のように、自律走行車4の内蔵バッテリ43は、電力供給部としての非接触給電部310により充電されてもよい。これにより、交換用バッテリ44による内蔵バッテリ43の充電の頻度を抑えることができるので、交換用バッテリ44をより長時間使用することができる。この結果、交換用バッテリ44の交換頻度を減少させることができる。
【0090】
また、上記本実施形態では、自律走行車4は、交換用バッテリ44を充電ステーション3に搬入するとともに、充電ステーション3において充電された充電済みの交換用バッテリ44を搬出する際に用いられるアーム45を含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図17に示す第3変形例のように、自律走行車4は、台車を把持するアーム445により交換用バッテリ44の交換を行ってもよい。この場合、自律走行車4は、台車に載せている部品の種類を識別可能に構成されているとともに、部品の種類に応じて速度を変化可能に構成されていてもよい。また、この場合、自律走行車4ではなく、台車に交換用バッテリ44を設けていてもよい。また、自律走行車4では、交換用バッテリ44が設けられた台車ごと交換されてもよい。
【0091】
また、上記本実施形態では、制御部46は、バッテリ残量に基づいて、電力消費量の大きい第1作業W1および電力消費量の小さい第2作業W2を選択する制御を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、バッテリ残量とは関係なく、通常は第2作業W2を行い、必要な場合にだけ第1作業W1を行う制御を行うように構成されていてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、制御部46は、交換用バッテリ44のバッテリ残量が所定値以下になったことに基づいて、交換用バッテリ44から内蔵バッテリ43への充電を停止する制御を行うように構成された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、交換用バッテリのバッテリ残量が所定値以下になった後も、内蔵バッテリの充電を継続しながら、交換用バッテリの交換のための動作制御を行ってもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、内蔵バッテリ43は、鉛蓄電池である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、内蔵バッテリは、鉛蓄電池以外のリチウム電池などの二次電池であってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、交換用バッテリ44は、リチウムイオン電池である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、内部バッテリは、リチウムイオン電池以外の鉛蓄電池などの二次電池であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、自律走行車4は、アーム45を有している例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、充電ステーションが、アームを有していてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 実装ライン
2 サーバ
3 充電ステーション
4 自律走行車
15 部品実装装置
22 記憶部
22a 作業内容
41 駆動部
43 内蔵バッテリ
44 交換用バッテリ
45、445 アーム
46 制御部
100 基板製造システム
210、310 電力供給部
D1 所定値
D2 所定残量
W1 第1作業
W2 第2作業