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特許7344413ポリプロピレンフィルム及び蒸着フィルム並びに積層フィルム
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  • 特許-ポリプロピレンフィルム及び蒸着フィルム並びに積層フィルム 図1
  • 特許-ポリプロピレンフィルム及び蒸着フィルム並びに積層フィルム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】ポリプロピレンフィルム及び蒸着フィルム並びに積層フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/20 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
B32B27/20 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023122558
(22)【出願日】2023-07-27
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2022204644
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592184876
【氏名又は名称】フタムラ化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100201879
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】田形 直哉
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健太郎
【審査官】原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-95954(JP,A)
【文献】特開2019-163358(JP,A)
【文献】特開2021-133509(JP,A)
【文献】国際公開第2017/077752(WO,A1)
【文献】特開2016-196159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一表層と第二表層の少なくとも2層からなるポリプロピレンフィルムであって、
前記第一表層と前記第二表層は、ともにアンチブロッキング剤を含有し、
前記第一表層の三次元表面粗さにおける算術平均粗さをSRa1(μm)、前記第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さをSRp2(μm)、前記第二表層に含有されるアンチブロッキング剤の窒素吸着法により求めた細孔容積をV2(ml/g)、としたときに下記式(i)に示される耐傷付き性の値を満たす
ことを特徴とするポリプロピレンフィルム。
【数1】
【請求項2】
前記第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さSRp2(μm)と、前記第二表層に含有されるアンチブロッキング剤の前記細孔容積V2(ml/g)とが下記式(ii)に示される与傷付け性の値を満たす請求項1に記載のポリプロピレンフィルム。
【数2】
【請求項3】
JIS Z 8741(1997)に準拠して測定した前記第一表層の光沢度が110%以上である請求項1又は2に記載のポリプロピレンフィルム。
【請求項4】
前記第一表層に表面処理が施されている請求項1又は2に記載のポリプロピレンフィルム。
【請求項5】
前記ポリプロピレンフィルムが無延伸フィルムである請求項1又は2に記載のポリプロピレンフィルム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のポリプロピレンフィルムを用いた蒸着フィルムであって、前記ポリプロピレンフィルムの前記第一表層が蒸着面を有し、前記蒸着面に蒸着層が形成されたことを特徴とする蒸着フィルム。
【請求項7】
請求項6に記載の蒸着フィルムを用いた積層フィルムであって、前記蒸着フィルムの前記蒸着層側にポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリプロピレン系フィルムから選ばれる基材フィルムが積層されてなることを特徴とする積層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一表層と第二表層の少なくとも2層からなるポリプロピレンフィルム及びポリプロピレンフィルムを使用した蒸着フィルム並びに蒸着フィルムを使用した積層フィルムに関し、特に蒸着用途に好適に使用されるポリプロピレンフィルム及び蒸着フィルム並びに積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリプロピレンフィルムは、製造後にロール状に巻き取られ、必要に応じて蒸着加工等によりフィルム表面に機能性を付与する処理が施される。この種のポリプロピレンフィルムでは、加工性向上のためにシリカ粒子等のアンチブロッキング剤が添加されて製造される。しかしながら、フィルムにアンチブロッキング剤が添加されることにより、巻き取り等でフィルム同士が擦れあった際にフィルム表面が傷付く場合がある。このように傷が付いたフィルム表面に蒸着を施すと、白濁して見える等の外観が劣化し意匠性が低下する問題がある。また、印刷加工の際の巻取り等にフィルム同士が擦れ合った際にも印刷面に傷が付く場合があり、同様に意匠性や商品価値の低下が懸念される。
【0003】
この種のフィルムにおいて、フィルム表面に耐スクラッチ性を付与する技術として、添加されるアンチブロッキング剤の平均粒子径や細孔容積等を所定の値に調整することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このフィルムでは、アンチブロッキング剤の添加量が増加すると、フィルム表面の粗さが大きくなって蒸着面への傷付きを抑制することが困難である。
【0004】
また、印刷面の層に添加された無定形シリカの含有量を非印刷面の層に添加された無定形シリカの含有量未満としたフィルム(特許文献2参照)や、印刷面の層に添加された定形非結晶シリカの含有量を非印刷面に添加された無定形シリカの含有量未満として印刷面の層の平均粗さを非印刷面の層の平均粗さ未満としたフィルム(特許文献3参照)のように、印刷面のアンチブロッキング剤を少なくして印刷適性を付与するとともに、非印刷面のアンチブロッキング剤を多くして耐ブロッキング性を付与したフィルムが提案されている。しかし、このフィルムでは、巻き取り等で印刷面と非印刷面とが擦れあった場合には、印刷面への傷付きを抑制することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-076004号公報
【文献】特開2020-151907号公報
【文献】特開2016-196159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであって、蒸着加工や印刷加工が施されるフィルム表面の耐傷付き性能に優れたポリプロピレンフィルム及び蒸着フィルム並びに積層フィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、第1の発明は、第一表層と第二表層の少なくとも2層からなるポリプロピレンフィルムであって、前記第一表層と前記第二表層は、ともにアンチブロッキング剤を含有し、前記第一表層の三次元表面粗さにおける算術平均粗さをSRa1(μm)、前記第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さをSRp2(μm)、前記第二表層に含有されるアンチブロッキング剤の窒素吸着法により求めた細孔容積をV2(ml/g)、としたときに下記式(i)に示される耐傷付き性の値を満たすことを特徴とするポリプロピレンフィルムに係る。
【0008】
【数1】
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さSRp2(μm)と、前記第二表層に含有されるアンチブロッキング剤の前記細孔容積V2(ml/g)とが下記式(ii)に示される与傷付け性の値を満たすポリプロピレンフィルムに係る。
【0010】
【数2】
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、JIS Z 8741(1997)に準拠して測定した前記第一表層の光沢度が110%以上であるポリプロピレンフィルムに係る。
【0012】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、前記第一表層に表面処理が施されているポリプロピレンフィルムに係る。
【0013】
第5の発明は、第1又は第2の発明において、前記ポリプロピレンフィルムが無延伸フィルムであるポリプロピレンフィルムに係る。
【0014】
第6の発明は、第1又は第2の発明に記載のポリプロピレンフィルムを用いた蒸着フィルムであって、前記ポリプロピレンフィルムの前記第一表層が蒸着面を有し、前記蒸着面に蒸着層が形成されたことを特徴とする蒸着フィルム。
【0015】
第7の発明は、第6の発明に記載の蒸着フィルムを用いた積層フィルムであって、前記蒸着フィルムの前記蒸着層側にポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリプロピレン系フィルムから選ばれる基材フィルムが積層されてなることを特徴とする積層フィルムに係る。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明に係るポリプロピレンフィルムによると、第一表層と第二表層の少なくとも2層からなるポリプロピレンフィルムであって、前記第一表層と前記第二表層は、ともにアンチブロッキング剤を含有し、前記第一表層の三次元表面粗さにおける算術平均粗さをSRa1(μm)、前記第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さをSRp2(μm)、前記第二表層に含有されるアンチブロッキング剤の窒素吸着法により求めた細孔容積をV2(ml/g)、としたときに耐傷付き性の値が80以下であることを満たすため、フィルムが優れた耐傷付き性を備えてスクラッチヘーズが良好となり、第一表層の傷付きが抑制されて蒸着加工等を施した際の外観悪化を抑制することができ、蒸着用フィルムや印刷用フィルムとして好適に使用可能である。
【0017】
第2の発明に係るポリプロピレンフィルムによると、第1の発明において、前記第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さSRp2(μm)と、前記第二表層に含有されるアンチブロッキング剤の前記細孔容積V2(ml/g)とから求められる与傷付け性の値が2.6以下であることを満たすため、フィルム同士が擦れあう際に第二表層が第一表層側のフィルム表面を傷付けにくくなる。
【0018】
第3の発明に係るポリプロピレンフィルムによると、第1又は第2の発明において、JIS Z 8741(1997)に準拠して測定した前記第一表層の光沢度が110%以上であるため、優れた光沢性を備え、高級感のある外観を有する。
【0019】
第4の発明に係るポリプロピレンフィルムによると、第1又は第2の発明において、前記第一表層に表面処理が施されているため、ポリプロピレンフィルムと蒸着の密着性向上を図ることができる。
【0020】
第5の発明に係るポリプロピレンフィルムによると、第1又は第2の発明において、前記ポリプロピレンフィルムが無延伸フィルムであるため、白化が生じにくく、ヒートシール強度が高くなる。
【0021】
第6の発明に係る蒸着フィルムによると、第1又は第2の発明に記載のポリプロピレンフィルムを用いた蒸着フィルムであって、前記ポリプロピレンフィルムの前記第一表層が蒸着面を有し、前記蒸着面に蒸着層が形成されたため、適切に蒸着加工が施された蒸着フィルムが得られる。
【0022】
第7の発明に係る積層フィルムによると、第6の発明に記載の蒸着フィルムを用いた積層フィルムであって、前記蒸着フィルムの前記蒸着層側にポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリプロピレン系フィルムから選ばれる基材フィルムが積層されてなるため、蒸着層の劣化を抑制できるラミネートフィルムとすることができ、各種包装袋等として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係るポリプロピレンフィルムの概略断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るポリプロピレンフィルムを用いた積層フィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示す本発明の一実施形態に係るポリプロピレンフィルム10は、第一表層20と第二表層30の少なくとも2層からなり、第一表層20と第二表層30がともにアンチブロッキング剤を含有するように構成される。このポリプロピレンフィルム10は、蒸着フィルムとして用いられる場合には無延伸フィルムとされることが好ましい。無延伸フィルムは、延伸が抑制されてフィルムの配向性が低下することから、白化が生じにくく、ヒートシール強度が高くなる。なお、無延伸フィルムは、製膜時に不可抗力の延伸が加わった場合も含む。
【0025】
ポリプロピレンフィルム10は、主として一方の面に蒸着加工や印刷加工が施されて使用される。特には蒸着加工に適した蒸着フィルムとして好適に用いられる。蒸着フィルムとしてのポリプロピレンフィルム10において、第一表層20は蒸着加工が施される蒸着面21を有し、第二表層30はヒートシール面31を有する。第一表層20及び第二表層30は、いずれもポリプロピレン樹脂を主体として構成される。印刷フィルムとして用いられる場合には、第一表層20は印刷面を有することとなる。
【0026】
ポリプロピレンフィルム10に使用される樹脂原料としてのポリプロピレン樹脂は、石油由来、バイオマス由来、マテリアルリサイクル由来、ケミカルリサイクル由来等の適宜の出発原料から生成された樹脂から適宜選択される。ポリプロピレン樹脂の種類は、一般的なポリプロピレン樹脂を適宜使用することができ、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体やプロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体等のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体、又はプロピレン-エチレンブロック共重合体の少なくとも1種以上から選択される。特に、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体を主体とすることが好ましい。ポリプロピレン樹脂は、上記の1種ないし2種以上の混合物を用いることもできる。
【0027】
ポリプロピレン樹脂では、メルトフローレート(MFR)は特に制限されない。ポリプロピレン樹脂のMFRは、フィルムの成形性の観点から、例えばJIS K 7210に準拠し、230℃、荷重2.16kgの条件で測定された値が1~20g/10分、特には2~10g/10分が好ましい。使用されるポリプロピレン樹脂のMFRが低すぎる場合、成形に用いられる押出機の圧力が過度に高くなり、生産性が低下するきらいがある。MFRが高すぎる場合、樹脂の溶融粘度が低くなって成形時に破断しやすくなり、フィルム化が難しくなるきらいがある。
【0028】
アンチブロッキング剤は、耐ブロッキング性を付与してポリプロピレンフィルム10の加工性向上を図るための添加剤である。アンチブロッキング剤の種類は特に限定されないが、例えば有機系又は無機系の一方若しくは両方の粒子が適宜使用される。有機系粒子は、例えば乳化重合又は懸濁重合等により得ることができ、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド等が挙げられる。無機粒子は、例えばシリカ、ゼオライト、タルク等が挙げられる。これらのアンチブロッキング剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。フィルムの耐傷付き性の観点から、無機系粒子のシリカやゼオライトを用いることが好ましい。アンチブロッキング剤の添加方法は特に限定されないが、例えば高濃度のマスターバッチを作製して混合する方法や、ドライブレンドで混合する方法等、公知の方法で添加することができる。
【0029】
ポリプロピレンフィルム10を構成する樹脂原料には、アンチブロッキング剤の他に、本発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、中和剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、核剤、着色剤等の添加剤を必要に応じて適宜配合してもよい。これらの添加剤のうち、蒸着加工適性の観点から核剤を添加することが好ましい。ポリプロピレン樹脂に核剤を配合することにより、樹脂の結晶化を促進することができ、耐熱性や剛性等を向上させることができる。
【0030】
核剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、カルボン酸金属塩、リン酸エステル金属塩、ロジン金属塩、タルク、マイカ、ソルビトール誘導体、高密度ポリエチレン樹脂等を使用することができる。特に、蒸着適性の観点から、高密度ポリエチレンがより好ましい。高密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.945~0.975g/cmが好ましく、0.955~0.966g/cmがより好ましい。高密度ポリエチレン樹脂の密度が低すぎる場合、結晶化速度が低く、耐熱性等が低下するおそれがある。高密度ポリエチレン樹脂の密度が高すぎる場合、フィルムの衝撃強度が低下するおそれがある。
【0031】
ポリプロピレンフィルムの耐傷付き性能は、第一表層20の三次元表面粗さにおける算術平均粗さをSRa1(μm)と、第二表層30の三次元表面粗さにおける中心面山高さをSRp2(μm)と、第二表層30に含有しているアンチブロッキング剤の窒素吸着法により求めた細孔容積をV2(ml/g)との関係を用いて指標として表すことができる。
【0032】
三次元表面粗さにおける算術平均粗さ(SRa)は、高さ方向のパラメータであって、粗さ曲面からその中心面上に直行座標軸X,Y軸をおき、中心面に直行する軸をZ軸とし、粗さ曲面と中心面で囲まれた部分の体積を測定範囲で除した値である。三次元表面粗さにおける算術平均粗さは、値が大きいほどフィルム表面が荒れていることを示し、フィルム表面が傷付けられにくくなる傾向を示す。ポリプロピレンフィルム10において、第一表層20は傷付けられる側の層となることから、第一表層20の三次元表面粗さにおける算術平均粗さ(SRa1)は、第一表層20の表面の傷付けられにくさの指標となり、算術平均粗さ(SRa1)が大きい値であるほどポリプロピレンフィルムの耐傷付き性能は向上するといえる。
【0033】
三次元表面粗さにおける中心面山高さ(SRp)は、高さ方向のパラメータであって、中心面から最大山頂までの高さを表す値である。三次元表面粗さにおける中心面山高さは、値が大きいほど山が高くなることを示すため、値が高いほど擦れあう相手側のフィルム表面が傷付きやすくなる傾向を示す。ポリプロピレンフィルム10において、第二表層30は傷付ける側の層となることから、第二表層30の三次元表面粗さにおける中心面山高さ(SRp2)は、第二表層30が相手方の第一表層20の表面への傷付けやすさの指標となり、中心面山高さ(SRp2)が小さい値であるほどポリプロピレンフィルムの耐傷付き性能は向上するといえる。
【0034】
アンチブロッキング剤の細孔容積は、アンチブロッキング剤に存在する細かい孔の容積のことであり、アンチブロッキング剤の硬さの指標として用いることができる。この細孔容積は窒素吸着法により求めた値である。アンチブロッキング剤の細孔容積の値が大きいほど、アンチブロッキング剤は柔らかくなり、フィルム表面擦れ合う際に、フィルム表面に傷が生じ難くなる。逆にいえば、細孔容積の値が小さいほど、アンチブロッキング剤が硬くなって、フィルム表面の傷付きが発生しやすくなる。アンチブロッキング剤は、擦れあう相手側のフィルムを傷付ける原因となるフィルム表面の山を構成するものであるから、アンチブロッキング剤が柔らかいほど、相手側のフィルムに傷が付きにくくなると考えられる。このことから、第二表層30に添加されたアンチブロッキング剤の細孔容積は、第二表層30の傷付けやすさの指標ととなり、アンチブロッキング剤の細孔容積(V2)が大きい値であるほどポリプロピレンフィルムの耐傷付き性能は向上するといえる。
【0035】
これらの指標を用いてポリプロピレンフィルムの耐傷付き性能を耐傷付き性として式に表すと下記式(i)の左辺のように表すことができる。そして、後述の実施例から、耐傷付き性を式(i)を満たす80以下、より好ましくは55以下とすることにより、ポリプロピレンフィルムの蒸着面のフィルムの擦れによる傷が生じにくくなるのである。
【0036】
【数3】
【0037】
また、本発明では、第二表層30における、中心面山高さ(SRp2)をアンチブロッキング剤の硬さの指標であって窒素吸着法により求めた細孔容積(V2)で除した値を、第一表層20に傷を付けやすくする与傷付け性の指標として設定した。上記した耐傷付き性に加えて、第二表層30の与傷付け性を表す下記式(ii)が満たされることにより、さらにポリプロピレンフィルムの耐傷付き性能は向上する。与傷付け性は、蒸着加工や印刷加工された後のフィルムの巻き取り時等に生ずる、加工後の耐傷付き性能を示す指標とすることも考えられる。第二表層30の与傷付け性が一定以下であれば、蒸着等の加工の前後におけるフィルムの耐傷付き性能が良好であるといえる。
【0038】
【数4】
【0039】
ポリプロピレンフィルム10では、後述の実施例に示されるように、与傷付け性の値が式(ii)を満たす2.6以下、より好ましくは2.5以下であることにより、第二表層30が擦れあう相手方(第一表層20)のフィルム表面(蒸着面21)をより傷付けにくくすることができる。与傷付け性の値が低い値であれば、加工後のフィルムにおいても耐傷付き性能が良好となるため、商品価値の低下を抑制することができ経済的に資することができるといえる。
【0040】
ここで、本発明のポリプロピレンフィルムの耐傷付き性能を評価するため、スクラッチヘーズを用いることとした。スクラッチヘーズとは、フィルム同士を擦りあわせた際のフィルム表面の耐傷付き性(耐スクラッチ性)を示す指標であり、擦りあわせた後のフィルムのヘーズと擦りあわせる前のフィルムのヘーズとの差から求めた値である。ヘーズは、JIS K 7136(2000)に準拠して測定されるフィルムの透明性を表す指標であり、数値が低いほど透明性に優れることを示す。したがって、スクラッチヘーズの値が高いほど、擦りあわせによりフィルム表面が多く傷付いて透明性が損なわれた状態となるため、フィルムの耐傷付き性能が不十分であることを表す。これに対し、スクラッチヘーズが低い値であれば、擦りあわせによるフィルム表面の傷付きが少なく透明性が損なわれていないため、耐傷付き性能に優れていることを表す。
【0041】
蒸着用フィルムにおいて、スクラッチヘーズは低い方が好ましい。本発明のポリプロピレンフィルム10では、スクラッチヘーズが12%以下、より好ましくは10%以下とされるのがよい。スクラッチヘーズが12%を超えた場合、フィルムの耐傷付き性能が十分でなく、蒸着フィルムとされた際にはフィルムが曇って見える等、外観が劣るおそれがある。スクラッチヘーズが12%以下であれば、擦りあわせによって生じる第一表層20(蒸着面21)の傷付きは抑制されているといえるため、運搬時や加工時のフィルム同士の擦れによるフィルムの意匠性の低下を抑えることができる。
【0042】
また、ポリプロピレンフィルム10では、第一表層20の光沢度が110%以上であることが好ましい。光沢度は、フィルム表面の照り、ぎらつき、光が正反射する程度等を示す指標であり、JIS Z 8741に準拠して測定される。ポリプロピレンフィルムに良好な耐傷付き性能を備えさせるためには、前述の通り、第一表層の算術平均粗さ(SRa1)は大きい方が好ましい。ところが、蒸着フィルムとした際には光沢度が良好である方が意匠性が高いため、一定の耐傷つき性能を備えつつ良好な光沢度を有するフィルムとすることで、さらに高級感のある外観を備えた蒸着フィルムが得られるポリプロピレンフィルムとすることができる。
【0043】
本発明のポリプロピレンフィルム10は、必要に応じて第一表層20と第二表層30以外の層を含む3層以上で構成してもよい。図1のポリプロピレンフィルム10は、第一表層20と第二表層30との間に中間層40を有する3層構造のフィルムである。中間層40は、ポリプロピレン樹脂を主体として構成され、ポリプロピレン樹脂はプロピレン単独重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体やプロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体等のプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体、又はプロピレン-エチレンブロック共重合体の少なくとも1種以上から選択される。また、ポリプロピレン樹脂に加えて、ポリエチレン樹脂を添加しても良い。中間層40に任意の物性の樹脂を用いることで、フィルムに適宜の機能性を備えさせることができる。
【0044】
本発明のポリプロピレンフィルムの厚さは特に限定されないが、蒸着や印刷加工が施されるため10~100μmが好ましく、15~70μmがより好ましい。ポリプロピレンフィルムの各層の厚さの比率については適宜に設定されるが、2層又は3層以上のいずれであっても、少なくとも第一表層が10~85%、第二表層が10~30%で構成される。特に、第一表層と中間層と第二表層の3層で構成された場合の厚さの比率は、第一表層が10~33.3%、中間層が33.4~80%、第二表層が10~33.3%であることが好ましい。
【0045】
本発明のポリプロピレンフィルム10は、Tダイ法やインフレーション法等の公知のフィルムの成形方法により得られる。特には、Tダイ法により賦形されて成形されることが好ましい。Tダイ法によるフィルムの成形では、フィルムとして求められる高い厚薄精度が得られる点で優位である。また、ポリプロピレンフィルム10は、他のフィルムを積層させた積層体(ラミネートフィルム)として使用することも可能である。他のフィルムとの積層方法は、例えば押出ラミネート、ドライラミネート等の公知の方法が適宜選択される。
【0046】
蒸着加工は、第一表層20の蒸着面21上に直接又はアンカーコート層を介して施される。蒸着面21への蒸着により、ポリプロピレンフィルム10に水蒸気や酸素等のバリア性を付与することができる。蒸着方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法が用いられる。
【0047】
蒸着の材料としては、金属蒸着層や無機酸化物層等の適宜の材料が選択される。金属蒸着層は、アルミニウム、金、銀、銅、クロム等の公知の金属からなる薄膜層であり、これら金属の酸化物、硫化物、窒化物の薄膜層とされてもよい。また、金属蒸着層は1層や、異種又は同種の2種以上の複数層とされてもよい。無機酸化物層は、酸化アルミニウム、酸化珪素、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム等の公知の無機酸化物からなり、1種又は2種以上の無機酸化物が用いられた薄膜層とされる。
【0048】
ポリプロピレンフィルム10では、利用範囲を広げるために、蒸着面21側となる第一表層20に表面処理を施すことが好ましい。表面処理としては、例えば、大気圧プラズマ処理、火炎処理、コロナ放電処理等が挙げられる。蒸着面21の表面処理することにより、ポリプロピレンフィルムと蒸着の密着性向上を図ることができる。
【0049】
本発明では、図2に示すように、上記ポリプロピレンフィルム10の第一表層20が蒸着面21を有し、この蒸着面21に蒸着層25を形成することにより、適切に蒸着加工が施された蒸着フィルム15が得られる。さらに、蒸着フィルム15の蒸着層25側に基材フィルム60を積層して積層フィルム50を形成してもよい。基材フィルム60は、例えばポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリプロピレン系フィルム等の適宜のフィルムから選択可能である。積層フィルム50とすることにより、蒸着層の劣化を抑制するラミネートフィルムとすることができるため、各種包装袋等として好適に使用することができる。
【実施例
【0050】
[ポリプロピレンフィルムの作製]
試作例1~29のポリプロピレンフィルムの作製に際し、後述する各材料を所定の配合割合(重量%)に基づいて混練、溶融してTダイ法にて共押出し、冷却ロールで冷却させた後、第一表層にコロナ放電処理を施して無延伸ポリプロピレンフィルムを製膜した。試作例1~6のフィルムは第一表層(蒸着面)と第二表層(ヒートシール面)からなる2層のフィルムであり、試作例7~29は第一表層(蒸着面)と中間層と第二表層(ヒートシール面)からなる3層のフィルムである。試作例1~29の各層に使用された材料について、後述の表1~5に示した。
【0051】
[使用材料]
各層の材料として、以下の樹脂及びアンチブロッキング剤を使用した。各樹脂材料において、メルトフローレート(MFR)はJIS K 7210(2014)に準拠し、ポリプロピレン樹脂は試験温度230℃、ポリエチレン樹脂は試験温度190℃で測定した値である。
【0052】
また、アンチブロッキング剤の細孔容積は、窒素吸着法により、以下の通り求めた。前処理としてアンチブロッキング剤に200℃で2時間の真空脱気乾燥を行い、窒素吸着量を測定して液体窒素の体積に換算して算出した。窒素吸着量の測定は、自動比表面積/細孔分布測定装置「BELSORP-miniII(マイクロトラック・ベル株式会社製)」を使用した。得られた窒素吸着量からGurvitschの法則を適用して相対圧0.990における窒素吸着量(V)を下記式(iii)により液体窒素の体積(V)に換算して求めた。なお、式(iii)において、Mは吸着質の分子量(窒素:28.020)、ρ(g/cm)は吸着質の密度(窒素:0.808)である。
【0053】
【数5】
【0054】
[樹脂材料]
・PP1:プロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体、融点130℃、MFR(230℃、2.16kg):7g/10min
・PP2:プロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体、融点142℃、MFR(230℃、2.16kg):7g/10min
・PP3:プロピレン-エチレンランダム共重合体、融点135℃、MFR(230℃、2.16kg):7g/10min
・PP4:プロピレン-エチレンランダム共重合体、融点125℃、MFR(230℃、2.16kg):7g/10min
・PP5:プロピレン単独重合体、融点164℃、MFR(230℃、2.16kg):7.5g/10min
・PP6:プロピレン単独重合体、融点166℃、MFR(230℃、2.16kg):7.5g/10min
・PE1:高密度ポリエチレン、融点134℃、MFR(190℃、2.16kg):13g/10min
【0055】
[アンチブロッキング剤(AB剤)]
・AB1:無定形シリカ、粒子径3.9μm、細孔容積0.80ml/g
・AB2:無定形シリカ、粒子径4.1μm、細孔容積1.25ml/g
・AB3:定形シリカ、粒子径2.7μm、細孔容積0.57ml/g
・AB4:無定形シリカ、粒子径3.7μm、細孔容積1.00ml/g
【0056】
[試作例1]
試作例1は、第一表層にPP1を98.37重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.06重量%、AB3を0.07重量%使用し、第二表層にPP1を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB3を0.10重量%とし、第一表層:第二表層=4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0057】
[試作例2]
試作例2は、第一表層にPP1を98.37重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.06重量%、AB3を0.07重量%使用し、第二表層にPP4を97.81重量%、PE1を2.00重量%、AB2を0.14重量%、AB3を0.05重量%とし、第一表層:第二表層=4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0058】
[試作例3]
試作例3は、第一表層にPP1を98.35重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.08重量%、AB3を0.07重量%使用し、第二表層にPP1を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB3を0.10重量%とし、第一表層:第二表層=4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0059】
[試作例4]
試作例4は、第一表層にPP1を98.38重量%、PE1を1.50重量%、AB3を0.12重量%使用し、第二表層にPP1を98.38重量%、PE1を1.50重量%、AB3を0.12重量%とし、第一表層:第二表層=4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0060】
[試作例5]
試作例5は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%使用し、第二表層にPP2を98.35重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.15重量%とし、第一表層:第二表層=4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0061】
[試作例6]
試作例6は、第一表層にPP2を98.47重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.03重量%使用し、第二表層にPP2を98.35重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.15重量%とし、第一表層:第二表層=4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0062】
[試作例7]
試作例7は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0063】
[試作例8]
試作例8は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.37重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.13重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0064】
[試作例9]
試作例9は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.35重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.15重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0065】
[試作例10]
試作例10は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.30重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.20重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0066】
[試作例11]
試作例11は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.20重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.30重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0067】
[試作例12]
試作例12は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0068】
[試作例13]
試作例13は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.20重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.30重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0069】
[試作例14]
試作例14は、第一表層にPP2を98.20重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.30重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0070】
[試作例15]
試作例15は、第一表層にPP2を97.90重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.60重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0071】
[試作例16]
試作例16は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0072】
[試作例17]
試作例17は、第一表層にPP2を98.20重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.30重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0073】
[試作例18]
試作例18は、第一表層にPP2を98.45重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.05重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.35重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.15重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0074】
[試作例19]
試作例19は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB2を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB2を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0075】
[試作例20]
試作例20は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB2を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.20重量%、PE1を1.50重量%、AB2を0.30重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0076】
[試作例21]
試作例21は、第一表層にPP2を98.35重量%、PE1を1.50重量%、AB2を0.15重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB2を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0077】
[試作例22]
試作例22は、第一表層にPP2を98.20重量%、PE1を1.50重量%、AB2を0.30重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB2を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0078】
[試作例23]
試作例23は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0079】
[試作例24]
試作例24は、第一表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.10重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.20重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.30重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0080】
[試作例25]
試作例25は、第一表層にPP2を98.35重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.15重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0081】
[試作例26]
試作例26は、第一表層にPP2を98.20重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.30重量%使用し、中間層にPP2を60.00重量%、PP6を40.00重量%使用し、第二表層にPP2を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB4を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0082】
[試作例27]
試作例27は、第一表層にPP5を98.32重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.08重量%、AB3を0.10重量%使用し、中間層にPP1を98.50重量%、PE1を1.50重量%使用し、第二表層にPP1を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB3を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0083】
[試作例28]
試作例28は、第一表層にPP1を73.34重量%、PP5を25.00重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.08重量%、AB3を0.08重量%使用し、中間層にPP1を98.50重量%、PE1を1.50重量%使用し、第二表層にPP1を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB3を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0084】
[試作例29]
試作例29は、第一表層にPP3を98.35重量%、PE1を1.50重量%、AB1を0.08重量%、AB3を0.07重量%使用し、中間層にPP1を98.50重量%、PE1を1.50重量%使用し、第二表層にPP1を98.40重量%、PE1を1.50重量%、AB3を0.10重量%とし、第一表層:中間層:第二表層=1:4:1の比率で厚さ25μmであるポリプロピレンフィルムである。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
試作例1~29のポリプロピレンフィルムの評価に関し、三次元表面粗さ(μm)として第一表層の三次元表面粗さにおける算術平均粗さ(SRa1)及び第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さ(SRp2)、スクラッチヘーズ(%)、光沢度(%)を測定した。また、第二表層に含まれるアンチブロッキング剤の窒素吸着法により求めた細孔容積(V2)と三次元表面粗さの測定結果に基づいて耐傷付き性及び与傷付け性を算出した。なお、試作例2の第二表層に含まれるアンチブロッキング剤の細孔容積は、全アンチブロッキング剤の含有量に対する各アンチブロッキング剤の含有割合に基づいて求めた。各測定の結果及びその評価を後述の表6~10に示した。
【0091】
[三次元表面粗さの測定]
第一表層の三次元表面粗さにおける算術平均粗さ(SRa1)及び第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さ(SRp2)は、三次元表面粗さ測定器「SE3500K(株式会社小坂研究所製)」及び解析装置「TDA-22(株式会社小坂研究所製)」を使用し、以下の測定条件で測定を行った。各種粗さ(SRa1,SRp2)は、それぞれJIS B 0601の測定規格を参照した。
測定方向:縦(MD)方向
X測定長さ:2mm
X送りピッチ:4μm
X送り速さ:0.2mm/s
Y測定長さ:0.25mm
Y送りピッチ:5μm
Z倍率:20000
極性:正
レベリング:最小二乗法
低域カットオフ:0.250mm
高域カットオフ:0.000mm
位相特性:ガウシャン
Yライン数:51
検出器:PU-DJ2S
触針先端半径:2μm
触針の頂角:60℃
測定力:0.7mN以下
【0092】
[耐傷付き性の算出]
三次元表面粗さの測定によって求めた第一表層の三次元表面粗さにおける算術平均粗さ(SRa1)及び第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さ(SRp2)と、第二表層に含まれるアンチブロッキング剤の窒素吸着法により求めた細孔容積(V2)とを用いて、(SRp2/V2)/SRa1に基づき耐傷付き性の値を算出した。
【0093】
[与傷付け性の算出]
三次元表面粗さの測定によって求めた第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さ(SRp2)と、第二表層に含まれる上記のアンチブロッキング剤の細孔容積(V2)とを用いて、SRp2/V2に基づき与傷付け性の値を算出した。
【0094】
[スクラッチヘーズの測定]
擦りあわせる前のフィルムのヘーズ(%)を、JIS K 7136(2000)に準拠し、ヘーズメーター「NDH-4000(日本電色工業株式会社製)」を用いて測定した。次に、試作例ごとに試験片を3つずつ用意して、摩擦測定器「FRICTION TESTER TR(株式会社東洋精機製作所製)」を使用し、JIS K 7125(1999)を参考に、試験テーブル側に試験片の第二表層を、滑り片側に第一表層を設置し、滑り片を1度滑らせ、第一表層と第二表層を擦り合わせた。なお、条件は下記の通りである。
滑り片底面の材料:ゴム
試験速度:100mm/min
移動距離:80mm
滑り片の全質量:2.17kg
【0095】
続いて、擦りあわせた滑り片側のフィルムのヘーズを10箇所測定し、最大値(最大ヘーズ)を読み取った。ここで、擦りあわせる前に測定したフィルムのヘーズをH1(%)、擦り合わせた後の試験片3個の最大ヘーズの平均値をH2(%)とし、スクラッチヘーズ(ΔH=H2-H1)を求めた。得られたスクラッチヘーズの値が10%以下の場合を「優(◎)」、11%以下の場合を「良(○)」、11%より大きい場合を「不可(×)」として評価した。
【0096】
[光沢度の測定]
光沢度(%)は、JIS Z 8741に準拠し、光沢計「VG-7000(日本電色工業株式会社製)」を用いて測定した。光沢度の測定結果が110%以上の場合を「優(◎)」、110%未満の場合を「不可(×)」として評価した。
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】
【表8】
【0100】
【表9】
【0101】
【表10】
【0102】
[結果と考察]
表6に示す試作例1~6の2層からなるフィルムについて、試作例1~5のフィルムがスクラッチヘーズ、光沢度のいずれも良好であった。試作例6のフィルムは、試作例5のフィルムに対して第一表層に含まれるアンチブロッキング剤の含有量を変更したものである。試作例6と試作例5とを比較すると、試作例6では試作例5より第一表層の算術平均粗さ(SRa1)が減少したため、耐傷付き性が低下し、スクラッチヘーズが大きくなったと考えれる。
【0103】
試作例1と試作例2とを比較すると、第二表層の樹脂材料の種類やアンチブロッキング剤の種類及び含有量が相違するが、耐傷付き性や与傷付け性はほとんど変わらない値であり、スクラッチヘーズもともに良好であった。また特に、試作例1では、試作例2より耐傷付き性が高くかつ与傷付け性が低くなっていることから、試作例2と比較してより傷付きにくい性質を示している。そして、試作例1のスクラッチヘーズが試作例2と比較して良好であるため、耐傷付き性を表す式(i)及び与傷付け性を表す式(ii)とスクラッチヘーズとに相関があることが確認された。
【0104】
試作例1と試作例3とを比較すると、第一表層のアンチブロッキング剤の含有量が相違しており、耐傷付き性等に多少の相違はあるものの、フィルムの性能は試作例1,3の双方とも良好であった。また、試作例1と試作例4とは、第一表層と第二表層の各アンチブロッキング剤の含有量が相違し、試作例1より試作例4の第二表層の中心面山高さ(SRp2)が増加している。そのため、試作例1は、耐傷付き性、与傷付け性が良好となるため、試作例4よりスクラッチヘーズが良好となったと考えられる。
【0105】
表7に示す試作例7~13の3層からなるフィルムは、それぞれ第二表層のアンチブロッキング剤の含有量を変更したものである。試作例7~10から理解されるように、アンチブロッキング剤の含有量に比例して第二表層の中心面山高さ(SRp2)が増加することから、耐傷付き性、与傷付け性の数値が大きくなり、併せてスクラッチヘーズの数値が上昇する傾向がみられた。そのうち、試作例10,11では、耐傷付き性や与傷付け性の値が高く、スクラッチヘーズが極端に悪化した。
【0106】
また、試作例12,13は試作例7,11から第二表層のアンチブロッキング剤の種類を変更したフィルムである。この試作例12,13においても、アンチブロッキング剤の含有量に比例して第二表層の中心面山高さ(SRp2)が増加し、耐傷付き性、与傷付け性の数値が大きくなり、併せてスクラッチヘーズの数値が上昇する傾向がみられた。しかしながら、試作例11と試作例13とを比較すると、アンチブロッキング剤の含有量が等しい場合でも、試作例13のようにアンチブロッキング剤の細孔容積(V2)が大きいと耐傷付き性、与傷付け性の数値が改善されるため、スクラッチヘーズの数値の上昇が抑制されて、良好な耐傷付き性能が得られたと考えられる。
【0107】
表8に示す試作例14~18の3層からなるフィルムは、それぞれ第一表層のアンチブロッキング剤の含有量を変更したものである。試作例14,15から理解されるように、アンチブロッキング剤の含有量に比例して第一表層の算術平均粗さ(SRa1)が増加し、耐傷付き性の数値が小さくなり、スクラッチヘーズが低下して良好な耐傷付き性能が得られる傾向がみられた。また、アンチブロッキング剤の含有量に比例して第一表層の光沢度の低下が見られた。試作例16,17のようにアンチブロッキング剤の種類を変更した場合も同様の傾向がみられた。なお、試作例18は、試作例9に対して第一表層のアンチブロッキング剤の含有量を減少させたフィルムであり、試作例9より第一表層の算術平均粗さ(SRa1)が低下して耐傷付き性の数値が大きくなり、スクラッチヘーズの数値が上昇して耐傷付き性能が悪化する傾向がみられた。
【0108】
表9に示す試作例19~22は第一表層及び第二表層のアンチブロッキング剤に細孔容積が大きいAB2を用いてその含有量を変更したもの、試作例23,24及び表10に示す試作例25,26は第一表層及び第二表層のアンチブロッキング剤にAB2より細孔容積が小さいAB4を用いてその含有量を変更したものである。
【0109】
試作例19,20では、第二表層のアンチブロッキング剤の含有量の増加により第二表層の中心面山高さ(SRp2)が大きく増加したものの、アンチブロッキング剤の細孔容積が大きいことにより、耐傷付き性や与傷付け性の数値の上昇はやや抑えられた。一方、試作例23,24のように試作例19,20より細孔容積が小さいアンチブロッキング剤を使用すると、第二表層の中心面山高さ(SRp2)は試作例19,20より大きくなるものの、耐傷付き性や与傷付け性の上昇は試作例19,20と同様にやや抑えられた。
【0110】
また、試作例21,22や試作例25,26では、第一表層のアンチブロッキング剤の細孔容積が小さいほど第一表層の算術平均粗さ(SRa1)が増加し、耐傷付き性の数値が小さくなったことから、スクラッチヘーズの数値が改善されて良好な耐傷付き性能が得られる傾向がみられた。また、試作例14,15と同様に、アンチブロッキング剤の含有量に比例して第一表層の算術平均粗さ(SRa1)が増加し、耐傷付き性の数値が小さくなり、スクラッチヘーズの数値も併せて小さくなり良好な耐傷付き性能が得られる傾向がみられた。試作例21,22や試作例25,26では、アンチブロッキング剤の含有量に比例して第一表層の光沢度が小さくなる傾向が見られた。また、第一表層のアンチブロッキング剤の含有量が等しく種類を変更した試作例14,17,22では、第一表層の算術平均粗さ(SRa1)に比例して光沢度小さくなる傾向が見られた。
【0111】
表10に示す試作例27~29は、使用するポリプロピレン樹脂の種類を変更したものである。試作例27~29では、ポリプロピレン樹脂の種類にかかわらず試作例1~26と同様の傾向がみられた。
【0112】
以上から、本発明のポリプロピレンフィルムにおいて、耐傷付き性の値が80以下であることを満たすフィルムとすると、スクラッチヘーズが良好となることが示された。そして、与傷付き性の値が2.6以下であることを満たすフィルムとすると、相対する面への傷付けを抑制することができることが示された。なお、これら試作例をみると、第一表層や第二表層では、材料の構成が一致しても算術平均粗さ(SRa1)や第二表層の中心面山高さ(SRp2)が異なり、同一の構成であっても同等の表面粗さが得られるわけではないことが示されたため、フィルムの耐傷付き性能を示す指標として、これらの三次元表面粗さを用いることの有意性も示されたということができる。
【0113】
[蒸着フィルムの作製]
試作例2,3,27,28,29のポリプロピレンフィルムについて、蒸着加工を施して蒸着フィルムを作製した。蒸着加工では、500Φ単層蒸着装置「HSV-8-50型(佐藤真空機械工業株式会社製)」を用いて、各ポリプロピレンフィルムを蒸着装置にセットし、蒸着装置内を真空にした後、アルミ蒸着を行った。得られた各試作例2,3,27,28,29のアルミ蒸着ポリプロピレンフィルムの外観を目視で確認したところ、いずれもシワ等はなく、良好であった。
【0114】
[積層フィルムの作製]
続いて、試作例2,3,27,28,29のアルミ蒸着ポリプロピレンフィルムについて、積層フィルムを作製した。積層フィルムは、ポリエステル系フィルム(フタムラ化学株式会社製;FE2001#12)のコロナ処理面に2液硬化型のポリエステル系接着剤を約4g/mを塗布し、各試作例のアルミ蒸着面とドライラミネーション法により貼着して作製した。得られた各試作例2,3,27,28,29の積層フィルムの外観を目視で確認したところ、いずれもシワ等はなく、良好であった。
【0115】
以上図示し説明したように、本発明のポリプロピレンフィルムは、第一表層の三次元表面粗さにおける算術平均粗さ(SRa1)(μm)と、第二表層の三次元表面粗さにおける中心面山高さ(SRp2)(μm)と、第二表層に含有されるアンチブロッキング剤の窒素吸着法により求めた細孔容積(V2)(ml/g)とから算出される耐傷付き性の値が80以下であることを満たすことにより、優れた耐傷付き性能を備えることができる。そのため、巻き取り等により第一表層と第二表層とが擦りあわされても第一表層の表面の傷付きが抑制されて、蒸着加工等の表面処理を適切に施すことができる。したがって、本発明のポリプロピレンフィルムは蒸着用フィルムとして好適に使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上のとおり、本発明のポリプロピレンフィルムは、加工面である一方のフィルム表面が耐傷付き性に優れており、蒸着加工や印刷加工を良好に施すことができる。また、加工面の他方の面の傷付けやすさを抑制することにより加工後のフィルムの耐傷付き性能も良好とすることができる。そのため、従来の蒸着用フィルムや印刷用フィルムの代替として有望である。加えて、本発明のポリプロピレンフィルムから形成された蒸着フィルムを用いて積層フィルムを構成することにより、蒸着層の劣化を抑制可能なラミネートフィルムとすることがきる。そのため、各種包装袋等に使用される積層フィルムの代替として有望である。
【符号の説明】
【0117】
10 ポリプロピレンフィルム
15 蒸着フィルム
20 第一表層
21 蒸着面
25 蒸着層
30 第二表層
31 ヒートシール面
40 中間層
50 積層フィルム
60 基材フィルム
【要約】
【課題】蒸着加工が施されるフィルム表面の耐傷付き性に優れた蒸着用フィルムに好適なポリプロピレンフィルム及び蒸着フィルム並びに積層フィルムを提供する。
【解決手段】第一表層20と第二表層30の少なくとも2層からなるポリプロピレンフィルム10であって、第一表層20と第二表層30は、ともにアンチブロッキング剤を含有し、第一表層20の三次元表面粗さにおける算術平均粗さをSRa1(μm)、第二表層30の三次元表面粗さにおける中心面山高さをSRp2(μm)、第二表層30に含有されるアンチブロッキング剤の窒素吸着法により求めた細孔容積をV2(ml/g)、としたときに、耐傷付き性の値が80以下であることを満たす。
【選択図】図1
図1
図2