(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20230906BHJP
【FI】
G08G5/00 A
(21)【出願番号】P 2023123656
(22)【出願日】2023-07-28
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】202211243533.3
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522223408
【氏名又は名称】珠海翔翼航空技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】張雲水
(72)【発明者】
【氏名】楊磊
(72)【発明者】
【氏名】李剣華
(72)【発明者】
【氏名】劉偉
(72)【発明者】
【氏名】黄華勝
(72)【発明者】
【氏名】李徳ビン
(72)【発明者】
【氏名】呉建栄
(72)【発明者】
【氏名】王兆イ
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-524824(JP,A)
【文献】特開平11-295098(JP,A)
【文献】国際公開第2018/034142(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法であって、前記マルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法は、
設定閾値範囲内の複数の入場待ち飛行体の現在状態を取得し、前記現在状態には現在飛行姿勢及び現在飛行速度、飛行加速度が含まれ、前記現在飛行姿勢に基づいて飛行体の現在座標及び飛行角度を抽出するステップS10と、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、それぞれ各々の飛行体の入場動力学方程式を確立するステップS20と、
飛行体入場命令に基づいて、前記複数の入場待ち飛行体を入場飛行体組と旋回飛行体組に振り分けるステップS30と、
前記各々の飛行体の入場動力学方程式及び組別に基づいて、それぞれ入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを構築するステップS40と、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得するステップS50と、
各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報に基づいてそれぞれ対応する飛行体の入場ナビゲーション又は旋回ナビゲーションを行うステップS60と、を含み、
そのうち、前記入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルは、ディープニューラルネットワークに基づいて構築され、評価ネットワークに合わせて強化学習によりモデル訓練を行い、これは、次を含み、
ステップA10において、飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得し、
現在飛行体については、そのt時刻状態とt+1時刻状態との間の状態変化は、状態遷移方程式により取得され、
【数1】
そのうち、s
t+1は、t時刻の飛行体の状態情報s
tに対してナビゲーション情報a
tを実行した後に得られたt+1時刻の飛行体の状態情報であり、αは、プリセットされた飛行体の誤差補償係数行列であり、Kは、プリセットされた比例係数行列であり、N(・,・)は、状態遷移における不確実性を表すガウス関数であり、
【数2】
は、正規分布の共分散対角行列であり、行列対角線における要素は、いずれもσ
2であり、σ
2は、ノイズの分散であり、ε
tは、t時刻の環境干渉情報であり、
ステップA20において、評価ネットワークにより各々の飛行体が前記次の時刻のナビゲーション情報を実行する動作実行報酬値を取得し、
ステップA30において、各飛行体の動作実行報酬値及び前記複数の入場待ち飛行体の現在状態に基づいて、各飛行体の状態-連携動作価値関数を生成し、
ステップA31において、各飛行体の状態情報を全般状態情報Sとして合併し、1層の全接続ニューラルネットワークに基づいて自適応重み学習ネットワークを構築し、
ステップA32において、全般状態情報Sに基づいて、多層パーセプトロンにより状態-連携動作価値関数Q
tot(τ,u;θ)をフィッティングし、そのうち、τ,uが、飛行体の稼働軌跡、実行動作を表し、θが、入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルのネットワークパラメータであり、
前記状態-連携動作価値関数Q
tot(τ,u;θ)は、その更新原則が次の通りであり、
【数3】
そのうち、[Q
tot(τ,u;θ)]
t+1及び[Q
tot(τ,u;θ)]
tそれぞれは、更新後及び更新前の状態-連携動作価値関数であり、r(s
t,π(s
t|a
t))は、t時刻の飛行体の状態情報s
tに対してポリシπのもとでナビゲーション情報a
tを実行した後に得られた動作実行報酬値であり、δは、プリセットされた報酬ファクタであり、
ステップA40において、それぞれ各飛行体の状態-連携動作価値関数の反復適正化並びに前記入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルのパラメータ調整を行い、訓練済みの入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを得る、
ことを特徴とする姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法。
【請求項2】
ステップS20は、
複数の入場待ち飛行体のいずれか1つの飛行体に対して、飛行体の動的座標系における質量中心動力学方程式を構築するステップS21と、
動的座標系における飛行体速度、角速度、推力、空力及び重力に対して、飛行体機体座標系の投影を行うステップS22と、
前記飛行体の動的座標系における質量中心動力学方程式、及び飛行体機体座標系の投影結果に合わせて、飛行体の入場動力学方程式を構築するステップS23と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法。
【請求項3】
前記飛行体の動的座標系における質量中心動力学方程式は、次のように表され、
【数4】
そのうち、ω
x、ω
y、ω
zそれぞれは、動的座標系の慣性座標系に対する回動角速度の、動的座標系でのx、y、z軸の投影であり、F
x、F
y、F
zそれぞれは、飛行体の推力の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、V
x、V
y、V
zそれぞれは、飛行体の速度の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、
【数5】
それぞれは、飛行体の加速度の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分である、
ことを特徴とする請求項2に記載の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法。
【請求項4】
前記した、動的座標系における飛行体速度、角速度、推力、空力及び重力に対して、飛行体機体座標系の投影を行う方法は、次の通りであり、
【数6】
そのうち、u、v、wそれぞれは、飛行体の速度の、機体座標系でのx、y、z軸の成分であり、p、q、rそれぞれは、飛行体の回動角速度の、機体座標系でのx、y、z軸の成分であり、Fは、飛行体の推力であり、φは、飛行体の推力の、機体座標系でのx軸に対する角度であり、Ax、Ay、Azそれぞれは、空力の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、α、βそれぞれは、飛行体の迎角、横滑り角であり、D、C、Lそれぞれは、空力投影の揚力係数、抗力係数及び横力係数であり、g
x、g
y、g
zそれぞれは、重力の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、gは、重力係数であり、Φは、飛行体の対称平面と重心の鉛直平面との挟角であり、θは、飛行体の対称平面と水平面との挟角であり、Tは、行列転置を表す、
ことを特徴とする請求項3に記載の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法。
【請求項5】
前記飛行体の入場動力学方程式は、次のように表される、
【数7】
ことを特徴とする請求項4に記載の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法。
【請求項6】
前記入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルのネットワークパラメータθは、パラメータ最適化及びパラメータ補正により反復調整され、
前記パラメータ最適化は、次を含み、
【数8】
そのうち、N(0,α
2)は、パラメータ最適化空間のガウスノイズ関数であり、N(0,β
2)は、飛行体動作最適化空間のガウスノイズ関数であり、π(s|(θ+N(0,α
2)))は、θをもとにN(0,β
2)により最適化された飛行体動作ポリシであり、aは、パラメータ最適化後の入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルにより取得された状態情報sに対応する動作であり、Rは、飛行体入場の旋回領域半径であり、rは、飛行体入場の航路領域半径であり、
前記パラメータ補正は、次を含み、
【数9】
そのうち、ΔW、ΔU、Δbそれぞれは、入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルにより補正された後のニューロン接続の循環重み、ニューロン入力重み及びバイアスベクトルであり、r、rバーそれぞれは、パラメータ最適化及びパラメータ補正の反復における現在動作実行報酬値及び平均動作実行報酬値であり、T
iは、飛行体iが旋回領域に進入しアプローチ信号を受信して着陸するまでの総時間長であり、s
tは、モデルにより入力されたt時刻の飛行体の状態情報であり、h
tは、t時刻のモデル隠れ層のニューロン活性化頻度であり、Tは、行列転置を表す、
ことを特徴とする請求項1に記載の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法。
【請求項7】
前記入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルは、その訓練における総損失関数が飛行体の間の相互影響損失関数を含み、それは次のように表され、
【数10】
そのうち、kは、入場飛行体と旋回飛行体の総数であり、P
lmは、入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルの出力をクラスタリングしたクラスタリング結果であり,M
l及びM
mそれぞれは、飛行体l及び飛行体mに対応する入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルにより出力されたb*a大きさの行列であり、Tは、行列転置を表し、cは、行列b行における第c行を表し、dは、行列a列における第d列を表す、
ことを特徴とする請求項1に記載の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法。
【請求項8】
姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーションシステムであって、前記マルチ滑走路飛行入場ナビゲーションシステムは、
設定閾値範囲内の複数の入場待ち飛行体の現在状態を取得し、前記現在状態には現在飛行姿勢及び現在飛行速度、飛行加速度が含まれ、前記現在飛行姿勢に基づいて飛行体の現在座標及び飛行角度を抽出するように構成されるデータ取得モジュールと、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、それぞれ各々の飛行体の入場動力学方程式を確立するように構成される動力学方程式構築モジュールと、
飛行体入場命令に基づいて、前記複数の入場待ち飛行体を入場飛行体組と旋回飛行体組に振り分けるように構成される飛行体振分けモジュールと、
前記各々の飛行体の入場動力学方程式及び組別に基づいて、それぞれ入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを構築するように構成されるモデル構築モジュールと、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得するように構成されるナビゲーション情報取得モジュールと、
各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報に基づいてそれぞれ対応する飛行体の入場ナビゲーション又は旋回ナビゲーションを行うように構成される入場/旋回ナビゲーションモジュールと、を備え、
そのうち、前記入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルは、ディープニューラルネットワークに基づいて構築され、評価ネットワークに合わせて強化学習によりモデル訓練を行い、これは、次を含み、
ステップA10において、飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得し、
現在飛行体については、そのt時刻状態とt+1時刻状態との間の状態変化は、状態遷移方程式により取得され、
【数11】
そのうち、s
t+1は、t時刻の飛行体の状態情報s
tに対してナビゲーション情報a
tを実行した後に得られたt+1時刻の飛行体の状態情報であり、αは、プリセットされた飛行体の誤差補償係数行列であり、Kは、プリセットされた比例係数行列であり、N(・,・)は、状態遷移における不確実性を表すガウス関数であり、
【数12】
は、正規分布の共分散対角行列であり、行列対角線における要素は、いずれもσ
2であり、σ
2は、ノイズの分散であり、ε
tは、t時刻の環境干渉情報であり、
ステップA20において、評価ネットワークにより各々の飛行体が前記次の時刻のナビゲーション情報を実行する動作実行報酬値を取得し、
ステップA30において、各飛行体の動作実行報酬値及び前記複数の入場待ち飛行体の現在状態に基づいて、各飛行体の状態-連携動作価値関数を生成し、
ステップA31において、各飛行体の状態情報を全般状態情報Sとして合併し、1層の全接続ニューラルネットワークに基づいて自適応重み学習ネットワークを構築し、
ステップA32において、全般状態情報Sに基づいて、多層パーセプトロンにより状態-連携動作価値関数Q
tot(τ,u;θ)をフィッティングし、そのうち、τ,uが、飛行体の稼働軌跡、実行動作を表し、θが、入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルのネットワークパラメータであり、
前記状態-連携動作価値関数Q
tot(τ,u;θ)は、その更新原則が次の通りであり、
【数13】
そのうち、[Q
tot(τ,u;θ)]
t+1及び[Q
tot(τ,u;θ)]
tそれぞれは、更新後及び更新前の状態-連携動作価値関数であり、r(s
t,π(s
t|a
t))は、t時刻の飛行体の状態情報s
tに対してポリシπのもとでナビゲーション情報a
tを実行した後に得られた動作実行報酬値であり、δは、プリセットされた報酬ファクタであり、
ステップA40において、それぞれ各飛行体の状態-連携動作価値関数の反復適正化並びに前記入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルのパラメータ調整を行い、訓練済みの入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを得る、
ことを特徴とする姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行ナビゲーションの技術分野に属し、具体的には姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港は、航空輸送システムにおける重要な構成要素であり、空港フライト数が継続的に増加するにつれて、フライトスケジューリング作業量及び難度が継続的に増大している。現在、空港の終端領域のフライト走行スケジューリングの面では固定経路のモードを採用するのが基本的であり、フライト間でコンフリクトが発生した場合、先着順で取り扱う処理方式に従ってコンフリクト解消を完成させている。
【0003】
そのため、ラッシュアワーの空港混雑問題が日々顕著になり、フライト遅延が頻繁に発生し、顧客による航空旅行への満足度が低減されると同時に、空港及び航空会社に多大な経済的損失及び名誉的損失をもたらしており、フライトスケジューリング問題は、早急に解決する必要がある。
【0004】
現状で多くの空港は滑走路の拡張によりこの問題を解決しているが、ハードウェア施設の向上は、多額の金銭及び時間を投入する必要がある。また、日々増加している入場待ち飛行体数と混雑な空港、小さい着陸滑走路との矛盾を解決するために、既存の滑走路に基づいて飛行体の入場順列の適正化を行うことを提出している文献もある。しかし、エアーラインの適正化数が多くなるにつれて、稼働時間が指数的に伸び、稼働効率が低減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存空港の状態を考慮し、当分野はまだ迅速で、効果的なマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法が欠けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
既存技術における上記問題、即ち既存技術が迅速で、効果的なマルチ滑走路飛行入場ナビゲーションを実現できない問題を解決するために、本発明は、姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法を提供し、前記マルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法は、
設定閾値範囲内の複数の入場待ち飛行体の現在状態を取得し、前記現在状態には現在飛行姿勢及び現在飛行速度、飛行加速度が含まれ、前記現在飛行姿勢に基づいて飛行体の現在座標及び飛行角度を抽出するステップS10と、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、それぞれ各々の飛行体の入場動力学方程式を確立するステップS20と、
飛行体入場命令に基づいて、前記複数の入場待ち飛行体を入場飛行体組と旋回飛行体組に振り分けるステップS30と、
前記各々の飛行体の入場動力学方程式及び組別に基づいて、それぞれ入場協調(協同)ナビゲーションモデル及び旋回協調(協同)ナビゲーションモデルを構築するステップS40と、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得するステップS50と、
各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報に基づいてそれぞれ対応する飛行体の入場ナビゲーション又は旋回ナビゲーションを行うステップS60と、含む。
【0007】
いくつかの好ましい実施例において、ステップS20は、
複数の入場待ち飛行体のいずれか1つの飛行体に対して、飛行体の動的座標系における質量中心動力学方程式を構築するステップS21と、
動的座標系における飛行体速度、角速度、推力、空力及び重力に対して、飛行体機体座標系の投影を行うステップS22と、
前記飛行体の動的座標系における質量中心動力学方程式、及び飛行体機体座標系の投影結果に合わせて、飛行体の入場動力学方程式を構築するステップS23と、を含む。
【0008】
いくつかの好ましい実施例において、前記飛行体の動的座標系における質量中心動力学方程式は、次のように表され、
【0009】
【数1】
そのうち、ω
x、ω
y、ω
zそれぞれは、動的座標系の慣性座標系に対する回動角速度の、動的座標系でのx、y、z軸の投影であり、F
x、F
y、F
zそれぞれは、飛行体の推力の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、V
x、V
y、V
zそれぞれは、飛行体の速度の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、
【0010】
【数2】
それぞれは、飛行体の加速度の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分である。
【0011】
いくつかの好ましい実施例において、前記した、動的座標系における飛行体速度、角速度、推力、空力(air force)及び重力に対して、飛行体機体座標系の投影を行う方法は、次の通りであり、
【0012】
【数3】
そのうち、u、v、wそれぞれは、飛行体の速度の、機体座標系でのx、y、z軸の成分であり、p、q、rそれぞれは、飛行体の回動角速度の、機体座標系でのx、y、z軸の成分であり、Fは、飛行体の推力であり、φは、飛行体の推力の、機体座標系でのx軸に対する角度であり、Ax、Ay、Azそれぞれは、空力の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、α、βそれぞれは、飛行体の迎角、横滑り角であり、D、C、Lそれぞれは、空力投影の揚力係数、抗力係数及び横力係数であり、g
x、g
y、g
zそれぞれは、重力の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、gは、重力係数であり、Φは、飛行体の対称平面と重心の鉛直平面との挟角であり、θは、飛行体の対称平面と水平面との挟角であり、Tは、行列(matrix)転置を表す。
【0013】
いくつかの好ましい実施例において、前記飛行体の入場動力学方程式は、次のように表され、
【0014】
【0015】
いくつかの好ましい実施例において、前記入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルは、ディープニューラルネットワークに基づいて構築され、評価ネットワークに合わせて強化学習によりモデル訓練を行い、これは、
飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得するステップA10と、
評価ネットワークにより各々の飛行体が前記次の時刻のナビゲーション情報を実行する動作実行報酬値(報奨値)を取得するステップA20と、
各飛行体の動作実行報酬値及び前記複数の入場待ち飛行体の現在状態に基づいて、各飛行体の状態-連携動作価値関数を生成するステップA30と、
それぞれ各飛行体の状態-連携動作価値関数の反復適正化並びに前記入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルのパラメータ調整を行い、訓練済みの入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを得るステップA40と、を含む。
【0016】
いくつかの好ましい実施例において、現在飛行体については、そのt時刻状態とt+1時刻状態との間の状態変化は、状態遷移方程式により取得され、
【0017】
【数5】
そのうち、s
t+1は、t時刻の飛行体の状態情報s
tに対してナビゲーション情報a
tを実行した後に得られたt+1時刻の飛行体の状態情報であり、αは、プリセットされた飛行体の誤差補償係数行列であり、Kは、プリセットされた比例係数行列であり、N(・,・)は、状態遷移における不確実性を表すガウス関数であり、
【0018】
【数6】
は、正規分布の共分散対角行列(Covariance Diagonal Matrix)であり、行列対角線における要素は、いずれもσ
2であり、σ
2は、ノイズの分散であり、ε
tは、t時刻の環境干渉情報である。
【0019】
いくつかの好ましい実施例において、ステップA30は、
各飛行体の状態情報を全般状態情報Sとして合併し、1層の全接続ニューラルネットワークに基づいて自適応重み学習ネットワークを構築するステップA31と、
全般状態情報Sに基づいて、多層パーセプトロンにより状態-連携動作価値関数Qtot(τ,u;θ)をフィッティングし、そのうち、τ,uが、飛行体の稼働軌跡、実行動作を表し、θが、入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルのネットワークパラメータであるステップA32と、を含む。
【0020】
いくつかの好ましい実施例において、前記状態-連携動作価値関数Qtot(τ,u;θ)は、その更新原則が次の通りであり、
【0021】
【数7】
そのうち、[Q
tot(τ,u;θ)]
t+1及び[Q
tot(τ,u;θ)]
tそれぞれは、更新後及び更新前の状態-連携動作価値関数であり、r(s
t,π(s
t|a
t))は、t時刻の飛行体の状態情報s
tに対してポリシπのもとでナビゲーション情報a
tを実行した後に得られた動作実行報酬値であり、δは、プリセットされた報酬ファクタである。
【0022】
いくつかの好ましい実施例において、前記入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルのネットワークパラメータθは、パラメータ最適化及びパラメータ補正により反復調整され、
前記パラメータ最適化は、次を含み、
【0023】
【数8】
そのうち、N(0,α
2)は、パラメータ最適化空間のガウスノイズ関数であり、N(0,β
2)は、飛行体動作最適化空間のガウスノイズ関数であり、π(s|(θ+N(0,α
2)))は、θをもとにN(0,β
2)により最適化された飛行体動作ポリシであり、aは、パラメータ最適化後の入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルにより取得された状態情報sに対応する動作であり、Rは、飛行体入場の旋回領域半径であり、rは、飛行体入場の航路領域半径であり、
前記パラメータ補正は、次を含み、
【0024】
【数9】
そのうち、ΔW、ΔU、Δbそれぞれは、入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルにより補正された後のニューロン接続の循環重み、ニューロン入力重み及びバイアスベクトルであり、r、rバーそれぞれは、パラメータ最適化及びパラメータ補正の反復における現在動作実行報酬値及び平均動作実行報酬値であり、T
iは、飛行体iが旋回領域に進入しアプローチ信号を受信して着陸するまでの総時間長であり、s
tは、モデルに入力されたt時刻の飛行体の状態情報であり、h
tは、t時刻のモデル隠れ層のニューロン活性化頻度であり、Tは、行列転置を表す。
【0025】
いくつかの好ましい実施例において、前記入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルは、その訓練における総損失関数が飛行体の間の相互影響損失関数を含み、それは次のように表され、
【0026】
【数10】
そのうち、kは、入場飛行体と旋回飛行体の総数であり、P
lmは、入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルの出力をクラスタリングしたクラスタリング結果であり、M
l及びM
mそれぞれは、飛行体l及び飛行体mに対応する入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルから出力されたb*a大きさの行列であり、Tは、行列転置を表し、cは、行列b行における第c行を表し、dは、行列a列における第d列を表す。
【0027】
本発明の他の側面は、姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーションシステムを提出し、前記マルチ滑走路飛行入場ナビゲーションシステムは、
設定閾値範囲内の複数の入場待ち飛行体の現在状態を取得し、前記現在状態には現在飛行姿勢及び現在飛行速度、飛行加速度が含まれ、前記現在飛行姿勢に基づいて飛行体の現在座標及び飛行角度を抽出するように構成されるデータ取得モジュールと、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、それぞれ各々の飛行体の入場動力学方程式を確立するように構成される動力学方程式構築モジュールと、
飛行体入場命令に基づいて、前記複数の入場待ち飛行体を入場飛行体組と旋回飛行体組に振り分けるように構成される飛行体振分けモジュールと、
前記各々の飛行体の入場動力学方程式及び組別に基づいて、それぞれ入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを構築するように構成されるモデル構築モジュールと、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれに各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得するように構成されるナビゲーション情報取得モジュールと、
各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報に基づいてそれぞれ対応する飛行体の入場ナビゲーション又は旋回ナビゲーションを行うように構成される入場/旋回ナビゲーションモジュールと、備える。
【発明の効果】
【0028】
本発明の有益な効果は、次の通りである。
【0029】
(1)本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法は、既存空港滑走路を拡張することなく、入場待ち飛行体を入場飛行体組(入場命令を受信し相応滑走路への進入を準備している飛行体)と旋回飛行体組(入場命令を受信せず、設定領域内で旋回し命令を待っている飛行体)に振り分け、各飛行体の入場動力学方程式に合わせて入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを構築し、モデルにより各飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を予測し、ナビゲーション情報により対応する飛行体の入場ナビゲーション又は旋回ナビゲーションを行い、迅速で、効果的にマルチ滑走路飛行入場ナビゲーションが実現され、フライト入場スケジューリングナビゲーション難度が低減される。
【0030】
(2)本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法は、強化学習により入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルの訓練を行い、モデルのパラメータは、パラメータ最適化及びパラメータ補正により反復調整され、そのうち、パラメータ最適化には、パラメータ空間最適化及び動作空間最適化が含まれ、モデルパラメータ最適化は効率が高く、速度が速く、後続のナビゲーション精度及びナビゲーション効率が効果的に向上する。
【0031】
(3)本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法は、入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデル訓練の損失関数には飛行体の間の相互影響関数が含まれ、モデル訓練の効果がよく、汎化能力が強いため、後続のナビゲーション精度及びナビゲーション効率も効果的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法のフロー模式図である。
【
図2】本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法のマルチ滑走路入場領域振分け模式図である。
【
図3】本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法のモデル訓練フロー模式図である。
【
図4】本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーションシステムの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の図面による非制限的実施例の詳しい説明を閲読参照することにより、本願の他の特徴、目的及び利点はより明らかになる。
以下、図面及び実施例を参照しながら本願をさらに詳しく説明する。ここで説明される具体的な実施例は、関連発明を解釈するためのものに過ぎず、該発明を限定するものではないことを理解できる。また、説明を容易にするために、図面には関連発明に関する部分のみが示されていることにも留意されたい。
【0034】
なお、矛盾しない場合、本願における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせてもよい。以下、図面を参照して実施例に合わせて本願を詳しく説明する。
【0035】
本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法では、前記マルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法は、
設定閾値範囲内の複数の入場待ち飛行体の現在状態を取得し、前記現在状態には現在飛行姿勢及び現在飛行速度、飛行加速度が含まれ、前記現在飛行姿勢に基づいて飛行体の現在座標及び飛行角度を抽出するステップS10と、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、それぞれ各々の飛行体の入場動力学方程式を確立するステップS20と、
飛行体入場命令に基づいて、前記複数の入場待ち飛行体を入場飛行体組と旋回飛行体組に振り分けるステップS30と、
前記各々の飛行体の入場動力学方程式及び組別に基づいて、それぞれ入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを構築するステップS40と、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得するステップS50と、
各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報に基づいてそれぞれ対応する飛行体の入場ナビゲーション又は旋回ナビゲーションを行うステップS60と、を含む。
【0036】
以下、本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法をより明晰に説明するために、
図1を参照しながら本発明の実施例における各ステップを展開して詳しく説明する。
【0037】
本発明の第1の実施例の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法は、ステップS10~ステップS60を含み、各ステップの詳しい説明は、以下の通りであり、
ステップS10において、設定閾値範囲内の複数の入場待ち飛行体の現在状態を取得し、前記現在状態には現在飛行姿勢及び現在飛行速度、飛行加速度が含まれ、前記現在飛行姿勢に基づいて飛行体の現在座標及び飛行角度を抽出する。
【0038】
図2に示すように、本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法のマルチ滑走路入場領域振分け模式図であり、入場待ち飛行体の飛行領域を旋回待機領域と入場着陸領域に振り分け、旋回領域における7つの飛行体を例に説明し、各々の飛行体の現在状態(現在飛行姿勢及び現在飛行速度、飛行加速度が含まれる)を取得し、各々の飛行体の入場動力学方程式を構築し、そのうちの3つの飛行体が入場命令を受信した場合、この3つの飛行体を入場飛行体組に振り分け、残りの4つの飛行体を旋回飛行体組に振り分ける。各々の飛行体の状態(所在する位置、飛行速度、飛行角度、加速度など)に応じて、入場飛行体組に対する3つの入場協調ナビゲーションモデル及び旋回飛行体組に対する4つの旋回協調ナビゲーションモデルを含むモデルを構築して訓練し、各モデルは、それぞれ対応する飛行体の現在状態に応じて次の時刻のナビゲーション情報を予測し、各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報に基づいてそれぞれ対応する飛行体の入場ナビゲーション又は旋回ナビゲーションを行う。
【0039】
入場飛行体は、旋回待機領域から入場着陸領域まで複数の入場口が設けられてもよく、本実施例において、入場着陸領域の円周線の、ナビゲーション滑走路に近い一端の両側には計4つの入場口(入場口1、入場口2、入場口3、入場口4)が設けられ、飛行体は、モデルのナビゲーション情報のナビゲーションのもとで、互いに干渉することなく近接原則に従って効率的で、秩序よく入場着陸する。
【0040】
飛行体が外部飛行領域から旋回待機領域に進入すると、まずそのための新なモデルを確立し、モデルにより出力されたナビゲーション情報の指導のもとで、近接原則に従って旋回待機領域の円周線のいずれか1つの位置から進入する。
【0041】
着陸過程で故障又は他の予期せぬ事態が出現した場合、現在飛行体は、ナビゲーション滑走路の他端の方向から、入場着陸領域及び旋回待機領域から離れるように飛んでいき、問題が解決された後、改めて新たな飛行体入場ナビゲーションの方式で外部飛行領域から旋回待機領域に進入し、そして入場命令を受信した後にナビゲーション入場する。
【0042】
この過程において、いずれか1つの時刻でも新な飛行がある可能性がある
【0043】
ステップS20において、各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、それぞれ各々の飛行体の入場動力学方程式を確立する。
【0044】
ステップS21において、複数の入場待ち飛行体のいずれか1つの飛行体に対して、飛行体の動的座標系における質量中心動力学方程式を構築し、式(1)に示す通りであり、
【0045】
【数11】
そのうち、ω
x、ω
y、ω
zそれぞれは、動的座標系の慣性座標系に対する回動角速度の、動的座標系でのx、y、z軸の投影であり、F
x、F
y、F
zそれぞれは、飛行体の推力の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、V
x、V
y、V
zそれぞれは、飛行体の速度の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、
【0046】
【数12】
それぞれは、飛行体の加速度の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分である。
【0047】
ステップS22において、動的座標系における飛行体速度、角速度、推力、空力及び重力に対して、飛行体機体座標系の投影を行い、式(2)~式(6)に示す通りであり、
【0048】
【数13】
そのうち、u、v、wそれぞれは、飛行体の速度の、機体座標系でのx、y、z軸の成分であり、p、q、rそれぞれは、飛行体の回動角速度の、機体座標系でのx、y、z軸の成分であり、Fは、飛行体の推力であり、φは、飛行体の推力の、機体座標系でのx軸に対する角度であり、Ax、Ay、Azそれぞれは、空力の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、α、βそれぞれは、飛行体の迎角、横滑り角であり、D、C、Lそれぞれは、空力投影の揚力係数、抗力係数及び横力係数であり、g
x、g
y、g
zそれぞれは、重力の、動的座標系でのx、y、z軸の投影成分であり、gは、重力係数であり、Φは、飛行体の対称平面と重心の鉛直平面との挟角であり、θは、飛行体の対称平面と水平面との挟角であり、Tは、行列転置を表す。
【0049】
ステップS23において、前記飛行体の動的座標系における質量中心動力学方程式、及び飛行体機体座標系の投影結果に合わせて、飛行体の入場動力学方程式を構築し、式(7)に示す通りであり、
【0050】
【0051】
ステップS30において、飛行体入場命令に基づいて、前記複数の入場待ち飛行体を入場飛行体組と旋回飛行体組に振り分ける。
【0052】
ステップS40において、前記各々の飛行体の入場動力学方程式及び組別に基づいて、それぞれ入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを構築する。
【0053】
図3に示すように、本発明の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法のモデル訓練フロー模式図であり、入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルは、ディープニューラルネットワークに基づいて構築され、評価ネットワークに合わせて強化学習によりモデル訓練を行い、これは、次を含み、
ステップA10において、飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得する。
【0054】
現在飛行体については、そのt時刻状態とt+1時刻状態との間の状態変化は、状態遷移方程式により取得され、式(8)に示す通りであり、
【0055】
【数15】
そのうち、s
t+1は、t時刻の飛行体の状態情報s
tに対してナビゲーション情報a
tを実行した後に得られたt+1時刻の飛行体の状態情報であり、αは、プリセットされた飛行体の誤差補償係数行列であり、Kは、プリセットされた比例係数行列であり、N(・,・)は、状態遷移における不確実性を表すガウス関数であり、
【0056】
【数16】
は、正規分布の共分散対角行列であり、行列対角線における要素は、いずれもσ
2であり、σ
2は、ノイズの分散であり、ε
tは、t時刻の環境干渉情報である。
【0057】
ステップA20において、評価ネットワークにより各々の飛行体が前記次の時刻のナビゲーション情報を実行する動作実行報酬値を取得する。
【0058】
ステップA30において、各飛行体の動作実行報酬値及び前記複数の入場待ち飛行体の現在状態に基づいて、各飛行体の状態-連携動作価値関数を生成する。
【0059】
ステップA31において、各飛行体の状態情報を全般状態情報Sとして合併し、1層の全接続ニューラルネットワークに基づいて自適応重み学習ネットワークを構築し、
ステップA32において、全般状態情報Sに基づいて、多層パーセプトロン(Multilayer Perceptrons)により状態-連携動作価値関数Qtot(τ,u;θ)をフィッティングし、そのうち、τ,uが、飛行体の稼働軌跡、実行動作を表し、θが、入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルのネットワークパラメータである。
【0060】
状態-連携動作価値関数Qtot(τ,u;θ)は、その更新原則が式(9)に示す通りであり、
【0061】
【数17】
そのうち、[Q
tot(τ,u;θ)]
t+1及び[Q
tot(τ,u;θ)]
tそれぞれは、更新後及び更新前の状態-連携動作価値関数であり、r(s
t,π(s
t|a
t))は、t時刻の飛行体の状態情報s
tに対してポリシπのもとでナビゲーション情報a
tを実行した後に得られた動作実行報酬値であり、δは、プリセットされた報酬ファクタである。
【0062】
ステップA40において、それぞれ各飛行体の状態-連携動作価値関数の反復(iteration)適正化並びに前記入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルのパラメータ調整を行い、訓練済みの入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを得る。
【0063】
入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルのネットワークパラメータθは、パラメータ最適化及びパラメータ補正により反復調整され、
パラメータ最適化は、式(10)~式(12)に示す通りであり、
【0064】
【数18】
そのうち、N(0,α
2)は、パラメータ最適化空間のガウスノイズ関数であり、N(0,β
2)は、飛行体動作最適化空間のガウスノイズ関数であり、π(s|(θ+N(0,α
2)))は、θをもとにN(0,β
2)により最適化された飛行体動作ポリシであり、aは、パラメータ最適化後の入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルにより取得された状態情報sに対応する動作であり、Rは、飛行体入場の旋回領域半径であり、rは、飛行体入場の航路領域半径である。
【0065】
パラメータ補正は、式(13)~式(15)に示す通りであり、
【0066】
【数19】
そのうち、ΔW、ΔU、Δbそれぞれは、入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルにより補正された後のニューロン接続の循環重み、ニューロン入力重み及びバイアスベクトルであり、r、rバーそれぞれは、パラメータ最適化及びパラメータ補正の反復における現在動作実行報酬値及び平均動作実行報酬値であり、T
iは、飛行体iが旋回領域に進入しアプローチ信号を受信して着陸するまでの総時間長であり、s
tは、モデルに入力されたt時刻の飛行体の状態情報であり、h
tは、t時刻のモデル隠れ層のニューロン活性化頻度であり、Tは、行列転置を表す。
【0067】
入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルは、その訓練における総損失関数が飛行体の間の相互影響損失関数を含み、それは式(16)で表され、
【0068】
【数20】
そのうち、kは、入場飛行体と旋回飛行体の総数であり、P
lmは、入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルの出力をクラスタリングしたクラスタリング結果であり、M
l及びM
mそれぞれは、飛行体l及び飛行体mに対応する入場協調ナビゲーションモデル/旋回協調ナビゲーションモデルにより出力されたb*a大きさの行列であり、Tは、行列転置を表し、cは、行列b行における第c行を表し、dは、行列a列における第d列を表す。
【0069】
ステップS50において、各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得する。
【0070】
ステップS60において、各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報に基づいてそれぞれ対応する飛行体の入場ナビゲーション又は旋回ナビゲーションを行う。
【0071】
上記実施例において各ステップを上記前後順番に従って説明したが、当業者であれば、本実施例の効果を実現するために、異なるステップの間は必ずしもこのような順番に従って実行されるとは限らず、同時(並行)に実行されても又は逆の順番で実行されてもよく、これらの簡単な変化はいずれも本発明の保護範囲内にある、ことを理解できる。
【0072】
本発明の第2の実施例の姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーションシステムでは、
図4に示すように、前記マルチ滑走路飛行入場ナビゲーションシステムは、
設定閾値範囲内の複数の入場待ち飛行体の現在状態を取得し、前記現在状態には現在飛行姿勢及び現在飛行速度、飛行加速度が含まれ、前記現在飛行姿勢に基づいて飛行体の現在座標及び飛行角度を抽出するように構成されるデータ取得モジュールと、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、それぞれ各々の飛行体の入場動力学方程式を確立するように構成される動力学方程式構築モジュールと、
飛行体入場命令に基づいて、前記複数の入場待ち飛行体を入場飛行体組と旋回飛行体組に振り分けるように構成される飛行体振分けモジュールと、
前記各々の飛行体の入場動力学方程式及び組別に基づいて、それぞれ入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを構築するように構成されるモデル構築モジュールと、
各々の飛行体の現在座標及び飛行角度、現在飛行速度、飛行加速度に基づいて、前記入場協調ナビゲーションモデル及び前記旋回協調ナビゲーションモデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得するように構成されるナビゲーション情報取得モジュールと、
各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報に基づいてそれぞれ対応する飛行体の入場ナビゲーション又は旋回ナビゲーションを行うように構成される入場/旋回ナビゲーションモジュールと、を備える。
【0073】
当業者であれば、説明を容易及び簡素化にするために、上記で説明されたシステムの具体的な作動過程及び関連説明は、前述方法実施例における対応過程を参照可能であることを明確に理解でき、ここでは繰り返し説明しない。
【0074】
なお、上記実施例に係る姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーションシステムは、上記各機能モジュールの振分けを例として説明するものに過ぎず、実際の応用において、ニーズに応じて上記機能を異なる機能モジュールに割り当て完成させてもよく、即ち本発明の実施例におけるモジュール又はステップをさらに分解し又は組み合わせ、例えば、上記実施例のモジュールは、以上で説明された全部又は一部の機能を完成させるために、1つのモジュールとして合併してもよいし、さらに複数のサブモジュールに分割してもよい。本発明の実施例に関わるモジュール、ステップの名称については、各モジュール又はステップを区別するためのものに過ぎず、本発明を不当に限定するものとは見なされない。
【0075】
本発明の第3の実施例の電子機器は、
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つの前記プロセッサに通信接続されるメモリと、を備え、そのうち、
前記メモリには前記プロセッサに実行されうる命令が記憶され、前記命令は、前記プロセッサに実行されて上記した姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法を実現するために用いられる。
【0076】
本発明の第4の実施例のコンピュータ可読記憶媒体では、前記コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータ命令が記憶され、前記コンピュータ命令は、前記コンピュータに実行されて上記した姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法を実現するために用いられる。
【0077】
当業者であれば、説明を容易及び簡素化にするために、上記で説明された記憶装置、処理装置の具体的な作動過程及び関連説明は、前述方法実施例における対応過程を参照可能であることを明確に理解でき、ここでは繰り返し説明しない。
【0078】
当業者であれば、本明細書に開示された実施例に合わせて説明された各例示のモジュール、方法ステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア又は2者の結合で実現可能であり、ソフトウェアモジュール、方法ステップに対応するプログラムは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、内部メモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM、電気的消去可能プログラマブルROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は技術分野内で公知される任意の他の形式の記憶媒体に置かれてもよい、ことを認識すべきである。電子ハードウェアとソフトウェアの互換性を明確に説明するために、上記説明では既に各例示の構成及びステップを機能に従って一般的に説明している。これらの機能が結果的に電子ハードウェアの形態で実行されるかソフトウェアの形態で実行されるかは、技術案の特定の応用及び設計制約条件によって決められる。当業者であれば、各特定の応用に対して異なる方法を使用することにより説明される機能を実現することができるが、このような実現は、本発明の範囲を超えるものと思われるべきではない。
【0079】
用語「第1」、「第2」などは、類似する対象を区別するためのものであり、特定の順序や前後順番を説明する又は表すためのものではない。
【0080】
一連の要素を含む過程、方法、物品又は機器/装置がそれらの要素を含むだけでなく、明確に挙げられていない他の要素をさらに含むか、これらの過程、方法、物品又は機器/装置にとって固有の要素をさらに含むように、用語「含む」又はあらゆる他の類似用語は、排他的ではない包含をカバーすることを意図している。
【0081】
これまで、既に図面に示す好ましい実施形態に合わせて本発明の技術案を説明したが、当業者であれば、本発明の保護範囲が明らかにこれらの具体的な実施形態に限られるものではないことを容易に理解される。本発明の原理から逸脱しない前提で、当業者であれば、関連技術特徴に対して同等の変更又は置換を行うことができ、これらの変更又は置換の後の技術案はいずれも本発明の保護範囲内に収まる。
【要約】
本発明は、飛行ナビゲーションの技術分野に属し、具体的には姿勢及び速度予測に基づくマルチ滑走路飛行入場ナビゲーション方法及びシステムに関し、既存技術が迅速で、効果的なマルチ滑走路飛行入場ナビゲーションを実現できない問題を解決することを意図している。本発明は、設定閾値範囲内の複数の入場待ち飛行体の現在状態を取得し、各々の飛行体の入場動力学方程式を構築することと、飛行体を入場飛行体組と旋回飛行体組に振り分けることと、入場動力学方程式及び組別に合わせて入場協調ナビゲーションモデル及び旋回協調ナビゲーションモデルを構築することと、モデルによりそれぞれ各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報を取得することと、各々の飛行体の次の時刻のナビゲーション情報に基づいてそれぞれ対応する飛行体の入場ナビゲーション又は旋回ナビゲーションを行うことと、を含む。本発明は、空港建設を増加する必要がなく、迅速で、効果的にマルチ滑走路飛行入場ナビゲーションが実現され、フライト入場スケジューリングナビゲーション難度が低減される。
【選択図】
図1