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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20230907BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20230907BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B66B13/30 B
B66B3/00 M
B66B13/14 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022092972
(22)【出願日】2022-06-08
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】大脇 裕之
(72)【発明者】
【氏名】沈 強
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-000782(JP,A)
【文献】特開2005-255404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00 - 13/30
B66B 3/00 - 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごと、
乗り場と、
前記乗りかごに取り付けられる検知装置と、を備え、
前記乗りかごは、かご側出入口が形成されるかご本体と、前記かご側出入口を開閉するかごドアと、を有し、
前記乗り場は、乗り場側出入口が形成される構造部と、前記かごドアの開閉動作に連動して前記乗り場側出入口を開閉する乗り場ドアと、を有し、
前記かごドアと前記乗り場ドアのうち、前記検知装置の前方に配置されているものには、光を透過させる光透過部が形成され、
前記光透過部は、前記検知装置による検知エリアを含む領域に形成され、
前記乗り場ドアに形成される前記光透過部である乗り場側光透過部は、前記乗り場ドアの開閉方向における中心位置よりも前記乗り場側出入口の中心位置側に形成され、
前記検知装置は、前記開閉方向において前記乗り場側光透過部よりも外側に配置され、且つ前記乗り場側光透過部を通じて前記乗りかごの外部から受けた光に基づいて前記乗り場における閉状態の前記乗り場ドアの外面に隣接する隣接エリアの検知対象物を検知するように構成される、
エレベータ。
【請求項2】
前記乗り場側光透過部は、前記乗り場ドアの上下方向における中心位置よりも上方側に形成され、且つ縦長である、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記検知装置の検知結果に応じた制御を行う制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記乗り場ドアを開く直前に前記検知装置の検知結果に基づいて前記乗り場の前記検知対象物の有無を判定する判定部と、
前記判定部が前記乗り場に前記検知対象物がいると判定した場合に、前記乗り場に前記検知対象物が存在することを報知する報知手段を作動させる処理を実行する報知処理部とを有する、
請求項1、又は請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記検知装置の検知結果に基づいた制御を行う制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記乗り場ドアを開く直前に前記検知装置の検知結果に基づいて前記乗り場の前記検知対象物の有無を判定する判定部と、
前記判定部が前記乗り場に前記検知対象物がいると判定した場合に、前記かごドアの開速度を下げるか、前記かごドアの開動作を停止させる処理を実行する開速度制御部と、を有する、
請求項1に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り場の乗客を検知する機能を持つエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に開示されているような、乗り場ドアを閉じる際に乗り場の乗客を検知するように構成されたエレベータが提供されている。
【0003】
前記エレベータでは、乗籠の幕板の底板にカメラが取り付けられている。また、前記エレベータでは、乗り場ドアが開いている間はカメラが乗り場を撮像し、乗り場ドアの閉扉動作を開始する際に、カメラが撮像した乗り場の画像に基づいて安全に乗り場ドアの閉扉動作を実行できるか否かを判定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-124900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記エレベータでは、乗り場ドアが閉じている間はカメラで乗り場を撮像することができないため、乗り場ドアの開扉動作を開始する前の状態においては乗り場の乗客を検知できなかった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、乗り場ドアが閉じている状態であっても乗り場の乗客を検知できるエレベータの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレベータは、
乗りかごと、
乗り場と、
前記乗りかごに取り付けられる検知装置であって、前記乗りかごの外部から受けた光に基づいて前記乗り場の検知対象物を検知する検知装置と、を備え、
前記乗りかごは、かご側出入口が形成されるかご本体と、前記かご側出入口を開閉するかごドアと、を有し、
前記乗り場は、乗り場側出入口が形成される構造部と、前記かごドアの開閉動作に連動して前記乗り場側出入口を開閉する乗り場ドアと、を有し、
前記かごドアと前記乗り場ドアのうち、前記検知装置の前方に配置されているものには、光を透過させる光透過部が形成され、
前記光透過部は、前記検知装置による検知エリアを含む領域に形成される。
【0008】
上記構成のエレベータによれば、乗り場ドアやかごドアが閉状態であったとしても、検知装置が乗り場ドアやかごドアに形成される光透過部を通じて乗り場の光を受けることができるように構成されているため、乗り場ドアが閉じている状態であっても乗り場の検知対象物を検知できるようになっている。
【0009】
本発明のエレベータは、
前記検知装置の検知結果に応じた制御を行う制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記乗り場ドアを開く直前に前記検知装置の検知結果に基づいて前記乗り場の前記検知対象物の有無を判定する判定部と、
前記判定部が前記乗り場に前記検知対象物がいると判定した場合に、前記乗り場に前記検知対象物が存在することを報知する報知手段を作動させる処理を実行する報知処理部とを有する、ようにしてもよい。
【0010】
このようにすれば、乗り場ドアを開く直前に乗り場の検知対象物の有無を判定したうえで乗り場に警告等の報知を行うことができるため、乗り場ドアの周辺に検知対象物が近接している場合は、乗り場ドアを開くのに適していない状況であることを知らせることができる。
【0011】
また、本発明のエレベータは、
前記検知装置の検知結果に基づいた制御を行う制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記乗り場ドアを開く直前に前記検知装置の検知結果に基づいて前記乗り場の前記検知対象物の有無を判定する判定部と、
前記判定部が前記乗り場に前記検知対象物がいると判定した場合に、前記かごドアの開速度を下げるか、前記かごドアの開動作を停止させる処理を実行する開速度制御部と、を有する、ようにしてもよい。
【0012】
この場合においても、乗り場ドアを開く直前に乗り場の検知対象物の有無を判定したうえでかごドアを開く動作速度を変更することによって、乗り場ドアの周辺に検知対象物が近接している状態で、乗り場ドアが通常の速度で開動作してしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のエレベータは、乗り場ドアが閉じている状態であっても乗り場の乗客を検知できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータの概要図である。
図2図2は、図1のII-II線での断面図である。
図3図3は、同実施形態に係るエレベータの正面図である。
図4図4は、同実施形態に係るエレベータの検知装置と制御装置のブロック図である。
図5図5は、本発明の他の実施形態に係るエレベータの断面図である。
図6図6は、同実施形態に係るエレベータの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかるエレベータについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施形態のエレベータ1は、図1に示すように、乗りかご2と、乗り場3と、乗りかご2に取り付けられる検知装置4であって、外部から受けた光に基づいて乗り場3の検知対象物を検知する検知装置4と、検知装置4による乗り場3の検知対象物の検知結果に基づいて制御を実行する制御装置5(図4参照)とを備えている。
【0017】
なお、本実施形態の以下の説明では、検知対象物の一例として乗客を挙げている。
【0018】
乗りかご2は、図2に示すように、かご側出入口200が形成されるかご本体20と、かご側出入口200を開閉するかごドア21と、かご側出入口200の上部に取り付けられる幕板22と、を有する。
【0019】
かご本体20の内部のエリアと、かご本体20の外部のエリアとは、かご側出入口200を介して連通している。
【0020】
本実施形態の乗りかご2は2枚のかごドア21を備えている。この2枚のかごドア21は、かご側出入口200を開閉する際に同方向にスライドするように構成されている。すなわち、かごドア21は、いわゆるサイドオープン方式のかごドア21である。
【0021】
なお、以下の説明においては、かごドア21が開閉する方向を開閉方向と称し、上下方向と開閉方向とに直交する方向を内外方向と称する。すなわち、内外方向とは、乗客がかご側出入口200を通じてかご本体20に出入りする方向である。
【0022】
幕板22は、かごドア21よりも内側に配置されている。また、幕板22は、かごドア21の内面の上端部に対向している。
【0023】
乗り場3は、乗り場側出入口300が形成される構造部30と、かごドア21の開閉動作に連動して乗り場側出入口300を開閉する乗り場ドア31と、を有する。
【0024】
構造部30には、壁部301と、床部302とが含まれている。そして、乗り場側出入口300は、壁部301に形成されている。
【0025】
なお、乗り場ドア31が開閉する方向は開閉方向と同じ方向である。また、乗客が乗り場側出入口300を通じて壁部301の内側(かご本体20)に出入りする方向は、内外方向と同じ方向である。
【0026】
本実施形態の乗り場3は2枚の乗り場ドア31を備えている。2枚の乗り場ドア31も、乗り場側出入口300を開閉する際に同方向にスライドするように構成されている。すなわち、乗り場ドア31も、いわゆるサイドオープンの乗り場ドア31である。
【0027】
本実施形態では、壁部301の外側のエリアを待合エリアE1と称し、特に、閉状態の乗り場ドア31の外面に隣接するエリアを隣接エリアE10と称する。
【0028】
検知装置4は、図4に示すように、外部から光を受ける受光部40と、受光部40の受光状態を示す受光情報を出力する出力部41と、を有する。検知装置4は、例えば、光電センサー(赤外線センサ等)や、撮像装置によって構成されていればよい。
【0029】
乗り場3に乗客がいる場合と、乗り場3に乗客がいない場合とでは、受光部40が受ける光の状態が異なるため、受光部40による乗り場3の乗客の検知結果は、受光部40の受光状態によって示される。
【0030】
例えば、検知装置4が光電センサーである場合は、乗り場3の乗客の有無によって受光部40が受ける光の量が異なり、検知装置4がカメラ等の撮像装置である場合は、乗り場3の乗客の有無によって受光部40が受ける光の量や色が異なる。
【0031】
そのため、受光部40は、外部から受けた光の状態に応じて乗り場3の乗客の有無を検知できるようになっている。
【0032】
また、検知装置4が光電センサーである場合、出力部41は受光情報として電気信号を出力し、検知装置4が撮像装置である場合、出力部41は受光情報として画像データ(動画、若しくは静止画のデータ)を出力するように構成されている。
【0033】
制御装置5は、受光情報に基づいて乗り場3の乗客の有無を判定する処理(判定処理)を実行する判定部50と、判定部50が判定処理において乗り場3に乗客がいると判定した場合に、かごドア21の開動作の速度を調整する処理(速度調整処理)を実行する開速度制御部51と、判定部50が判定処理において乗り場3に乗客がいると判定した場合に、判定部50が判定処理において乗り場3に乗客がいる旨を報知する報知制御部52と、を有する。
【0034】
判定部50は、かごドア21の開動作を開始する前に判定処理を実行するように構成されている。
【0035】
判定部50が判定処理を実行するタイミングは、例えば、かごドア21の開動作を開始する直前の時点に設定されていてもよいし、受光部40が乗り場3から光を受けることができる状態になった時点に設定されていてもよい。
【0036】
また、判定部50は、乗りかご2の走行状態や、乗りかご2の位置、受光部40による受光状態の変化に基づいて判定処理を実行するタイミングであるか否かの判断を行うように構成されていてもよい。
【0037】
開速度制御部51が速度調整処理を実行すると、かごドア21の開動作の速度が調整される結果、かごドア21に連動する乗り場ドア31の開動作の速度も調整されるようになっている。
【0038】
開速度制御部51が実行する速度調整処理は、例えば、かごドア21の開動作の速度を下げるか、かごドア21の開動作を停止させるように構成されていればよい。
【0039】
開速度制御部51が実行する速度調整処理は、かごドア21の開動作の速度を下げるように構成される場合、かごドア21に動力を与える駆動源(例えば、電動モーター)の出力を下げるように構成されていればよい。また、開速度制御部51が実行する速度調整処理は、かごドア21の開動作を停止させるように構成される場合、駆動源の動作を停止させるように構成されていればよい。
【0040】
報知制御部52が実行する報知処理は、例えば、乗り場3に設置される報知装置であって、光や音等を発して警告するように構成される報知装置を作動させるように構成されていればよい。
【0041】
ここで、本実施形態の検知装置4は、図2に示すように、幕板22に取り付けられている。
【0042】
そのため、検知装置4は、内外方向においてはかごドア21よりも内側に配置されている。これに伴い、乗り場ドア31、かごドア21、検知装置4のうち検知装置4が内外方向において最も内側に配置され、乗り場ドア31、かごドア21、検知装置4のうち乗り場ドア31が内外方向において最も外側に配置されている。
【0043】
また、検知装置4は、上下方向においてはかごドア21の上端部と同じ位置(高さ)となる位置に配置されている。そして、検知装置4は、乗り場ドア31を正面視した状態において、乗り場側出入口300の上方側に配置されている。
【0044】
なお、検知装置4を幕板22に取り付ける場合、幕板22のうちの検知装置4の検知エリアE2と重なる場所には切り欠きが形成されていればよい。このようにすれば、検知装置4の検知エリアE2が幕板22によって狭められたり、遮られてしまわないようにすることができる。また、幕板22に形成した切り欠きには、光を透過させることができるカバーが取り付けられていてもよい。
【0045】
さらに、検知装置4は、開閉方向においては乗り場側出入口300の中心位置CL(左右方向における中心位置CL)から左右方向における一方側にずれた位置に配置されている。
【0046】
検知装置4は、乗りかご2が乗り場3に着床した状態で乗り場3側に向くように配置されている。また、検知装置4の上下方向における向きは斜め下であり、検知装置4の開閉方向における向きは乗り場側出入口300の中心位置CL側に傾いている。
【0047】
検知装置4は、上記のようにして幕板22に取り付けられることによって、乗客を検知する検知エリアE2に隣接エリアE10が含まれるように構成されている。検知エリアE2とは、検知装置4が光の状態を検知できる範囲のことである。
【0048】
本実施形態の検知装置4の前方(外側)には、かごドア21と乗り場ドア31が配置されているため、かごドア21と、乗り場ドア31に光を透過させる光透過部6が形成されている。かごドア21に形成されている光透過部6も、乗り場ドア31に形成されている光透過部6も、検知装置4の検知エリアを含む領域に形成されている。
【0049】
以下、かごドア21に形成されている光透過部6をかご側光透過部60と称し、乗り場ドア31に形成されている光透過部6を乗り場側光透過部61と称する。
【0050】
かご側光透過部60は、図3に示すように、正面視においては検知装置4の正面から乗り場側出入口300の中心位置CL側にずれた位置に形成されている。なお、かご側光透過部60は、検知エリアE2よりも大きく形成されていることが好ましい。
【0051】
なお、かご側光透過部60は、例えば、かごドア21に形成した開口と、光を透過させる板材(例えば、ガラス板や偏光板等)であって、開口を遮るようにしてかごドア21に取り付けられた板材とで構成されていればよい。
【0052】
乗り場側光透過部61は、正面視においてはかご側光透過部60よりも乗り場側出入口300の中心位置CL側にずれた位置に形成されている。また、乗り場側光透過部61は、縦長であり、乗り場ドア31の上端部側に形成されている。
【0053】
なお、乗り場3がサイドオープン方式の乗り場ドア31を複数備えている場合は、複数の乗り場ドア31のうち、かごドア21に近いもの(より好ましくは、かごドア21に最も近いもの)に乗り場側光透過部61が形成されていることが好ましい。
【0054】
乗り場3がサイドオープン方式の乗り場ドア31を複数備えている場合、複数の乗り場ドア31のそれぞれが内外方向においてずれた位置に配置されるため、乗り場ドア31同士の間も検知対象物の引き込みが生じやすい場所となるが、上記構成を採用すれば、この引き込みが生じやすい場所においても検知対象物の有無を検知装置4によって検知できるようになる。
【0055】
乗り場側光透過部61は、例えば、乗り場ドア31に形成した開口と、光を透過させる板材(例えば、ガラス板や偏光板等)であって、開口を遮るようにして乗り場ドア31に取り付けられた板材とで構成されていればよい。
【0056】
以上のように、検知装置4と待合エリアE1との間にはかごドア21と乗り場ドア31が配置されているが、受光部40は、乗り場ドア31に形成されている乗り場側光透過部61と、かごドア21に形成されているかご側光透過部60とを通じて乗り場3から光を受けることができるようになっている。
【0057】
本実施形態に係るエレベータ1の構成は、以上の通りである。続いて、エレベータ1の動作を説明する。
【0058】
本実施形態のエレベータ1では、乗り場ドア31を開動作させるためにかごドア21の開動作を開始する直前の時点において、受光部40がかご側光透過部60と、乗り場側光透過部61を通じて乗り場3の待合エリアE1から光を受けることができる状態になっている。
【0059】
そのため、かごドア21と乗り場ドア31が閉まっている状態であっても、検知装置4によって乗り場3の乗客の有無を検知できるようになっている。
【0060】
判定部50は、かごドア21の開動作を開始する直前の時点で判定処理を実行する。
【0061】
なお、乗りかご2が乗り場3に着床し、且つ乗りかご2が停止した状態でかごドア21の開動作を開始する場合は、乗りかご2が停止した状態で判定部50が判定処理を実行する。一方で、乗りかご2が乗り場3に着床する前からかごドア21の開動作を開始する場合(いわゆる、ランニングオープン方式でかごドア21を開く場合)は、乗りかご2が走行している状態で判定部50が判定処理を実行する。
【0062】
そして、判定部50による判定処理の結果が乗り場3に乗客がいないことを示している場合は、かごドア21の開動作を続行する。
【0063】
一方で、判定部50による判定処理の結果が乗り場3に乗客がいることを示している場合は、開速度制御部51で速度調整処理を実行したり、報知制御部52で報知処理を実行したりすることによって、乗り場ドア31の周辺に検知対象物が近接している場合は、乗り場ドア31を開くのに適していない状況であることを知らせることができる。
【0064】
以上のように、本実施形態に係るエレベータ1によれば、かごドア21と乗り場ドア31のうち、検知装置4の前方に配置されているものには、光を透過させる光透過部6が形成され、光透過部6は、検知装置4による検知エリアE2を含む領域に形成されているため、乗り場ドア31やかごドア21が閉状態であったとしても、検知装置4が乗り場ドア31やかごドア21に形成される光透過部6を通じて乗り場3の光を受けることができるように構成されているため、乗り場ドア31が閉じている状態であっても乗り場3の乗客を検知できるようになっている。
【0065】
従って、エレベータ1は、乗り場ドア31が閉じている状態であっても乗り場3の乗客を検知できるという優れた効果を奏し得る。
【0066】
また、本実施形態のエレベータ1のように、乗り場側光透過部61が縦長に形成されていると、乗りかご2が乗り場3に着床する前からかごドア21の開動作を開始する場合であっても検知装置4が乗り場3から光を受けることができるため、検知装置4が乗り場3の乗客の有無を検知できる。
【0067】
さらに、本実施形態のエレベータ1では、判定部50が乗り場3に乗客がいると判定した場合は、報知制御部52が報知処理を実行したり、開速度制御部51が開速度制御処理を実行したりすることができるため、乗り場ドア31を開く直前に乗り場3の乗客の有無を判定したうえで、乗り場ドア31の周辺に検知対象物が近接している状態で、乗り場ドア31が通常の速度で開動作してしまうことを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態のエレベータ1では、検知装置4が乗りかご2に取り付けられているため、複数の乗り場3のそれぞれに検知装置4を取り付ける構成に比べると、コストを抑えることも可能である。
【0069】
なお、本発明に係るエレベータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0070】
上記実施形態では、乗りかご2が2枚のかごドア21を備えていることを一例に挙げていたが、この構成に限定されない。乗りかご2は、例えば、1枚のかごドア21を備えるように構成されていてもよいし、3枚以上のかごドア21を備えるように構成されていてもよい。
【0071】
また、上記実施形態のかごドア21は、サイドオープン方式であったが、例えば、センターオープン方式であってもよい。
【0072】
上記実施形態では、乗り場3も、2枚の乗り場ドア31を備えていることを一例に挙げていたが、この構成に限定されない。乗り場ドア31の枚数は、かごドア21の枚数と一致していれば、1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態の乗り場ドア31は、サイドオープン方式であったが、例えば、かごドア21がセンターオープン方式である場合は、センターオープン方式であってもよい。
【0074】
上記実施のエレベータ1は、1つの検知装置4を備えていたが、この構成に限定されない。例えば、エレベータ1は、複数の検知装置4を備えていてもよい。この場合、複数の検知装置4のそれぞれの検知エリアE2に合わせてかごドア21や乗り場ドア31に光透過部6が形成されていればよい。
【0075】
上記実施形態において、検知装置4は、幕板22に取り付けられていたが、この構成に限定されない。例えば、検知装置4は、かごドア21の外面に取り付けられていてもよいし、かごドア21に埋設されていてもよい。
【0076】
この場合、図5図6に示すように、検知装置4の前方(外側)には、かごドア21と乗り場ドア31のうち、乗り場ドア31のみが配置されるため、光透過部6は、乗り場ドア31のみに形成されていればよい。
【0077】
また、図5に示すエレベータ1のように、検知装置4は、かごドア21の上下方向における中央部に取り付けられていてもよい。このようにする場合は、乗り場ドア31の検知装置4の正面にあたる位置に光透過部6が形成されていればよい。
【0078】
上記実施形態では特に言及しなかったが、かご側光透過部60や、乗り場側光透過部61を偏光板によって構成する場合は、乗り場3側から乗りかご2内が覗かれにくくすることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…エレベータ、2…乗りかご、3…乗り場、4…検知装置、5…制御装置、6…光透過部、20…かご本体、21…かごドア、22…幕板、30…構造部、31…乗り場ドア、40…受光部、41…出力部、50…判定部、51…開速度制御部、52…報知制御部、60…かご側光透過部、61…乗り場側光透過部、200…かご側出入口、300…乗り場側出入口、301…壁部、302…床部、CL…中心位置、E1…待合エリア、E10…隣接エリア、E2…検知エリア
【要約】
【課題】乗り場ドアが閉じている状態であっても乗り場の乗客を検知できるエレベータの提供。
【解決手段】乗りかご2と、乗り場3と、前記乗りかご2に取り付けられる 検知装置4であって、外部から受けた光に基づいて 前記乗り場3の検知対象物を検知する検知装置4と、を備え、前記乗りかご2は、かご側出入口200が形成されるかご本体20と、前記かご側出入口200を開閉するかごドア21と、を有し、前記乗り場3は、乗り場側出入口300が形成される構造部30と、前記かごドア21の開閉動作に連動して前記乗り場側出入口300を開閉する乗り場ドア31と、を有し、前記かごドア21と前記乗り場ドア31のうち、前記検知装置4の前方に配置されているものには、光を透過させる光透過部6が形成され、前記光透過部6は、前記検知装置4による検知エリアを含む領域に形成される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6