(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】バス運賃決済システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20230907BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230907BHJP
【FI】
G07B15/00 V
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2019081328
(22)【出願日】2019-04-22
【審査請求日】2022-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504030152
【氏名又は名称】モバイルクリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】和田 太介
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-099940(JP,A)
【文献】特開2014-164416(JP,A)
【文献】特開2009-187275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
G06Q 50/30
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバス事業者が保有するバス車両の運行管理、および決済サービスを含む各種サー
ビスを管理するサーバと、
前記バス車両に搭載されネットワークを介して前記サーバと通信可能な車載装置と、
利用者が保有し、電子マネー機能を有するICカードと、から構成されるバス運賃決済
システムであって、
前記車載装置は、
前記ICカードを読み書きするICカード読取書込手段と、
前記バス車両の現在位置を知るための位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段により取得した前記バス車両の現在位置情報と、前記サーバが有する
路線情報データベースに記憶された停留所の位置情報とから乗車停留所及び降車停留所を特定する停留所特定手段と、
乗車停留所および降車停留所の区間情報と区間運賃表とからバス運賃を計算する運賃計
算手段と、
前記ICカードによるバス運賃の決済を行う運賃決済手段と、を備え、
前記サーバは、
前記区間運賃表を管理し前記車載装置に配信する区間運賃表管理のアプリと、
路線に属する前記各停留所の位置情報を含む路線情報を管理し前記車載装置に配信する
路線情報管理のアプリと、
前記ICカードによる決済情報を記録管理する決済情報管理のアプリと、を備え、
前記車載装置は、乗車時に前記ICカード読取書込手段に
より読取ったICカード識別番号と、当該読取ったときに前記停留所特定手段により特定した前記乗車停留所を紐づけし、
前記乗車停留所を出発すると前記
路線情報データベースが有する前記乗車停留所の出発フラグをONにし、次の停留所に到着すると当該停留所の到着フラグをONにするとともに前記両停留所間の区間番号を1繰り上げ、
前記区間番号の1繰り上げは、路線系統内の各停留所に到達するごとに実行し、
降車時に前記ICカード読取書込手段に
より読取ったICカード識別番号を基に前記ICカードを識別し、
当該読取ったときに前記停留所特定手段により特定された現在停留所区間データから
前記降車停留所を得
て、前記ICカードに紐づいた前記乗車停留所及び前記降車停留所から前記区間運賃表を参照して運賃額を求めることを特徴とするバス運賃決済システム。
【請求項2】
前記停留所特定手段は、前記停留所位置に
前記バス車両が半径INメートル以内に近接したときに当該停留所に到着したと判断し、前記停留所位置から
前記バス車両が半径OUTメートル以内から離れたときに当該停留所を出発したと判断し、かつ、前記半径INメートルよりも前記
半径OUTメートルの方を大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のバス運賃決済システム。
【請求項3】
前記位置情報取得手段はGPS(全地球測位システム)であることを特徴とする請求項1または2に記載のバス運賃決済システム。
【請求項4】
前記車載装置は運賃表示手段および行先案内表示手段をさらに備えた請求項1ないし3のいずれかに記載のバス運賃決済システム。
【請求項5】
前記車載装置は車内放送手段をさらに備えた請求項1ないし4のいずれかに記載のバス運賃決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路線バスの乗車運賃決済サービスを提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通機関の決済には交通系ICカードや流通系ICカードなどFelica(登録商標)チップを埋め込んだ非接触型ICカード型の電子マネー利用が普及してきている。
【0003】
路線バスの運賃決済においてもICカード型電子マネー利用が進んでいる。
【0004】
また、従来からバス運賃の決済システムについては様々な提案がなされている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-110694号公報
【文献】特開2002-366989号公報
【文献】特開2013-254328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来の路線バスの運賃決済においては、バスの停留所への発着時にバス運転手の手動操作でボタンを押下し、それを契機として乗降者の運賃精算表示、ICカードによる電子決済が行えるように構成している。そのためバス運転手に負担を強いているという問題があった。
また、バス運転手が乗降多忙時に操作ボタンの操作を忘れ、あるいは、誤操作を行い、正しい運賃決済が行われないことがあるという問題があった。
また、このようなバスの運転手の手動操作の負担によりバスの安全運行に支障を来す恐れもあった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、バス運賃決済におけるバス運転手の人手操作を大幅に軽減し、バス運転手が本来の運転操作による安全運行に専念できる運賃決済システムを提供することを目的としている。
【0008】
本発明の決済システムにおいては、路線バス運行開始時に、バス運転手は車載装置に対し路線系統を設定する。車載装置と通信したサーバは、車載装置に対し関連する区間運賃表及び停留所位置情報をダウンロードする。利用者は乗車時に保有する電子マネー機能付きICカードを乗車口に設置されたICカードリーダにかざす。 車載装置はICカード情報を読み取り、バス車両の現在位置および停留所の位置情報から乗車停留所を特定し、ICカードに乗車停留所を記憶する。利用者は降車時にICカードを降車口に設置されたICカードリーダにかざす。その際に、車載装置はICカード情報を読み取り、バス車両の現在位置情報及び停留所の位置情報から降車停留所を特定する。車載装置は乗車区間に対応した区間運賃を計算し、ICカード情報に基づいて乗車運賃の決済を行う。プリペイドカードの場合は、ICカード内残高から運賃を差し引いて新たな残高としてICカードに書き込む。表示部には乗車整理券番号、運賃額、残額が表示される。決済に関連した情報はサーバに送信され記録される。路線運行終了は、最終停留所到着時に自動的に判定される。このようにバス運転手の操作は運行開始時のみとなり決済処理は自動的に行われる。
【0009】
本発明の目的は、ICカードを用いたバス運賃決済処理においてバス運転手による人手操作を少なくし、負担を大幅に軽減することにより安全で信頼性の高いバス運賃決済システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、複数のバス事業者が保有するバス車両の運行管理、および決済サービスを含む各種サービスを管理するサーバと、前記バス車両に搭載されネットワークを介して前記サーバと通信可能な車載装置と、利用者が保有し、電子マネー機能を有するICカードと、から構成されるバス運賃決済システムであって、前記車載装置は、前記ICカードを読み書きするICカード読取書込手段と、前記バス車両の現在位置を知るための位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段により取得した前記バス車両の現在位置情報と停留所の位置情報とから乗車停留所及び降車停留所を特定する停留所特定手段と、乗車停留所および降車停留所の区間情報と区間運賃表とからバス運賃を計算する運賃計算手段と、前記ICカードによるバス運賃の決済を行う運賃決済手段と、を備え、前記サーバは、前記区間運賃表を管理し前記車載装置に配信する区間運賃表管理部と、路線に属する前記各停留所の位置情報を含む路線情報を管理し前記車載装置に配信する路線情報管理部と、前記ICカードによる決済情報を記録管理する決済情報管理部と、を備えたことを特徴とするバス運賃決済システム、とした。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記ICカードはFelica(登録商標)チップを搭載したWAON(登録商標)カードであることを特徴とする請求項1に記載のバス運賃決済システム、とした。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記位置情報取得手段はGPS(全地球測位システム)であることを特徴とする請求項1または2に記載のバス運賃決済システム、とした。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記車載装置は運賃表示手段および行先案内表示手段をさらに備えた請求項1ないし3のいずれかに記載のバス運賃決済システム、とした。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記車載装置は車内放送手段をさらに備えた請求項1ないし4のいずれかに記載のバス運賃決済システム、とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、バス運転手の操作は、路線運行開始時の路線系統設定のみでよく、運転手の負担は大幅に軽減され、本来の運転操作による安全運行に専念できるため安全な決済システムを構築することができる。
【0016】
また、バス運転手による誤操作、操作忘れがなくなるため、確実で正確な決済システムを構築することができる。
【0017】
また、車載装置に搭載されたGPS等による位置情報取得手段によって得られたバス車両の現在位置情報と路線系統の停留所位置情報から乗降停留所を特定することができ、従来行っているバス機器との停留所情報の連動を必要としないので安価で信頼性の高い決済システムを構築することができる。
【0018】
また、バス車両の現在位置と停留所区間を特定できるので、停留所発着時の各種情報の車内アナウンス、運賃表示切替えなどをバス運転手の介入を要することなく自動的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係るシステムの構成を模式的に示した図である。
【
図2】本実施形態に係る車載装置の機能構成を示した図である。
【
図3】本実施形態に係るサーバの機能構成を示した図である。
【
図4】本実施形態に係る停留所特定に伴う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5A】本実施形態に係る運賃決済に伴う乗車時の処理を示すフローチャートである。
【
図5B】本実施形態に係る運賃決済に伴う降車時の処理を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る運賃三角表の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係るバス運賃決済システム1の構成を模式的に示した図である。
本バス運賃決済システム1は、路線バスを対象としたバス運賃決済システムである。
車載装置100は、路線バスに搭載され、本バス運賃決済システム1において、運賃決済並びに運賃表示、行先案内表示、車内アナウンスなどの各種サービスを実行する主たる構成要素である。
サーバ200は、車載装置100が実行する際に必要となる運賃表、停留所位置情報を含む路線情報、及び決済記録情報などの管理を行う。サーバ200は、専用サーバ装置またはAWS(Amazon Web Services)等の市販のクラウドサービスを用いて構築することができる。
ICカード300は利用者が保有しバス運賃決済に使用する電子マネー機能付きのICカードであり、車載装置100によって、ICカード情報の読み取り、書込みが行われる。ICカードは、プリペイド型の他クレジットカード型であってもよい。
バス事業者端末400は、サーバ200にアクセスし、運賃表、路線情報の編集や運賃決済記録の参照を行うことができる。バス事業者端末400は、パソコン、タブレットなどであってよい。
ネットワーク500は、車載装置100、サーバ200、バス事業者端末400を通信可能に接続する通信網であり、インターネット、イントラネットを用いて構築することができる。また、3Gまたは4G無線通信網などの専用無線通信網を介してインターネットと接続した構成であってもよい。
【0022】
図2は、本実施形態に係るバス運賃決済システム1の車載装置100の機能構成を示した図である。
車載装置100は、制御部110と、GPS信号受信部120と、ネットワークインタフェース部130と、CANインタフェース部140に接続された操作盤141乗車口ICカードリーダライタ142、降車口ICカードリーダライタ143、運賃および行先案内表示器144、車内放送装置145とから構成されている。
【0023】
制御部110は、マイクロプロセッサと記憶部を備え、各種機能を実現するためのプログラムを制御実行する。これらのプログラムには、バス運転手による操作盤141の操作に対する処理を実行する操作入力処理111、ICカードの入出力処理を実行するICカード入出力処理112、GPS受信部で入力したGPS信号を処理するGPS信号処理113、GPS信号処理部113から得られたバス車両の現在位置情報と路線情報に含まれる停留所の位置情報から乗降車停留所を特定する停留所特定114、特定した乗降車停留所の区間に基づいて運賃を計算する運賃計算115、得られた運賃額と、ICカード情報に基づいて決済処理を行う運賃決済116、バス車両の発着時に運賃表示器、行先案内表示器の情報を更新する表示器処理117、バス車両の停留所発着時に車内アナウンスを起動する車内放送118が含まれる。
【0024】
GPS信号受信部120は、GPS衛星からの信号を受信する。
【0025】
ネットワークインタフェース部130は、サーバ200との通信を行うためのモジュールである。
【0026】
CANインタフェース部140は、バス車両内の通信を行うCAN(Controller Area Network)規格に基づく通信を行うためのモジュールである。このCANインタフェースには、操作盤141、乗車口に設置されたICカードリーダライタ142、降車口に設置されたICカードリーダライタ143、運賃額表示器144、車内放送装置145が接続されている。
【0027】
図3は、本実施形態に係るバス運賃決済システム1のサーバ200の機能構成を示した図である。サーバ200は、WEBアプリサーバ210およびデータベースサーバ220より構成されている。
WEBアプリサーバは、停留所情報を含む路線情報管理、区間運賃表管理、決済情報管理を実現するためのアプリによって構成されている。
【0028】
路線情報管理211および区間運賃表管理212では、バス事業者端末400またはサーバの管理端末から情報の編集・更新を行うことができる。また、バス運転手による車載装置の操作盤操作による路線系統設定時には、車載装置100からの通信により、車載装置100に対して路線系統内各停留所の位置情報(緯度。経度)及び区間運賃表(運賃三角表)をダウンロードする。
【0029】
データベースサーバ220は、WEBアプリに必要となる各種データベースから構成されている。これには、バス事業者データベース221、バス車両データベース222、停留所情報を含む路線情報を記憶する路線情報ファイル223、区間運賃表を記憶する区間運賃表ファイル224、運賃決済情報を記憶する決済記録ファイル225が含まれる。
【0030】
事業者データベース221には、交通事業者の住所、電話番号、代表者名などが含まれる。
バス車両データベース222には、ナンバープレート番号、事業者ID、型式等車両固有の情報などが含まれる。
路線情報データベース223には、路線内各停留所の停留所番号、区間番号、停留所名、緯度経度などの位置情報、事業者IDなどが含まれる。
区間運賃表データファイル224には、各停留所間の運賃額を三角表にした区間運賃三角表が含まれる。
決済記録ファイル225には、ICカード番号、利用日、運賃額、利用バス事業者名、路線系統番号、乗降車停留所番号などが含まれる。
【0031】
<区間運賃>
本バス運賃決済システム1における運賃決済は、乗車した区間に応じて運賃額が決定する区間運賃制度に対応するが、乗車区間によらず定額の運賃となる固定運賃にも対応できる。また、区間運賃においては、ゾーン内では乗降停留所が異なっても同一料金となるゾーン制にも対応する。
【0032】
<停留所特定>
以下に、停留所特定の方法について説明する。
【0033】
停留所特定に使用する情報は、GPS信号受信部120において一定間隔で受信した信号をGPS信号処理113で処理して得られたバス車両の現在位置座標(緯度・経度)とサーバ200からダウンロードした路線系統内各停留所の位置座標(緯度・経度)である。一定間隔とは、例えば1秒である。路線系統内の各停留所の情報は路線管理テーブルに記憶されている。各停留所には進行順に通し番号(停留所番号)が付与される。路線管理テーブルの各エントリーには、停留所番号、区間番号、停留所名、位置座標、到着フラグ、出発フラグなどが含まれる。区間番号は区間運賃額を求める際に使用する番号である。到着フラグ、出発フラグは当該停留所に到着したか、当該停留所から出発したかの状態を示すフラグである。
【0034】
停留所番号は路線系統の進行順の停留所に付与され同一の停留所(停留所名)が異なる停留所番号として存在してもよい。つまり、同一停留所を2回通るような路線系統であってもよい。
【0035】
停留所位置の半径INメートル以内にバス車両が近接したときに当該停留所に到着したと判定する。また、停留所の位置の半径OUTメートル以上離れた場合は当該停留所を出発したと判定する。
或る停留所のOUT半径から出る前に次の停留所のIN半径に入る場合は、その時点で或る停留所は出発したとし、かつ、次の停留所に到着したとする。
IN,OUTの半径は各システムで設定可能であり、例えばIN=50m、OUT=100mである。
【0036】
図4は、停留所特定に伴う処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
この処理は、一定時間(例えば1秒ごと)に呼び出される。
ステップS101は、GPS信号受信部で受信した信号をGPS信号受信処理113で処理してバス車両の位置座標(緯度・経度)を算出する。
ステップS102では、路線系統内の停留所を順にチェックするために、先ず、路線管理テーブルの先頭のエントリーをポイントする。すなわち停留所番号NをN=1にセットする。
ステップS103では、当該エントリーの出発フラグがONかをチェックしONであれば当該エントリーの停留所は出発済みであるので、ステップS104に移り停留所番号Nを1つ繰り上げ、次のエントリーをチェックするためにステップS103に戻る。
ステップS103においてNOであれば、ステップS105に移り、当該停留所の位置座標(緯度・経度)とステップS101で算出したバス車両の位置座標とからその間の距離Dを計算する。
ステップS106において当該エントリーの到着フラグがONかをチェックする。NOであればバス車両は当該停留所に到着していないので、バス車両の近接をチェックするためにステップS107に移行する。
ステップS107において、距離Dが半径INメートル以内かをチェックする。NOであればENDとなり、次回のタイミングを待つことになる。YESであれば、到着フラグをONにし、停留所区間データを停留所番号Nにセットする。停留所区間データは、バス車両の現在停留所区間を表す。このデータは、バス利用者の乗降停留所特定に使用される。ステップS106において、到着フラグがONの場合はステップS109に移行し、距離Dが半径OUTメートル以内かをチェックする。NOであれば、当該停留所を出発したとして、ステップS110において、出発フラグをONにセットし、停留所区間は次のN+1にセットする。ステップS109においてYESの場合は、バス車両は半径OUT以内であるが、次の停留所(N+1のエントリーの停留所)に近接しているかをチェックするためにステップS111に移行する。
ステップS111において、NOであれば、OUTとINが重なる事態ではないのでENDに移行する。ステップS111においてYESであれば、当該停留所は出発したとして出発フラグをONにする。ステップS113、S114において次の停留所に到着したとして到着フラグをONとし、停留所区間を次の停留所(N+1)にセットする。
【0038】
<運賃決済>
以下に、本実施形態におけるバス運賃決済について説明する。
【0039】
図5Aは、本実施形態のバス運賃決済システム1における乗車時の処理の流れを示フローチャートである。
ステップS201において、利用者がICカードを乗車口ICカードリーダライタにかざす(タッチする)と、ICカードリーダライタはポーリングによりICカードの近接を検知する。続いて、ステップS202で、運賃決済プログラムは、ICカードリーダライタによりICカード識別番号、ICカード情報を読み取り、管理テーブルに記憶する。ステップS203において、停留所特定プログラムで特定しているバス車両の現在停留所区間データから乗車停留所を得る。次にステップS204において、乗車停留所No.とICカード識別番号を紐づけし、管理テーブルに記録する。
【0040】
図5Bは、本実施形態のバス運賃決済システム1における降車時の流れを示すフローチャートである。
ステップS301において、利用者がICカードを精算口ICカードリーダライタにかざすと、ICカードリーダライタは、ポーリングによりICカード近接を検知する。ステップS302において、運賃決済プログラムはICカードリーダライタにより、ICカード識別番号、ICカード情報を読み取る。次にステップS303において、読み取ったICカード識別番号を基に管理テーブル内のICカードを識別する。ステップS304において、停留所特定プログラムで特定しているバス車両の現在停留所区間データから降車停留所を得る。 次にステップS305において、対象となるICカードに紐づいた乗車停留所および降車停留所から、区間運賃表(運賃三角表)を参照して運賃額を求める。ステップS306において、ICカード情報の残高から運賃額を差し引いて新たな残高とする。ステップS307において、残高の他に利用年月日時分秒などの履歴情報をICカードに書き込む。ステップS308では、車載装置の表示パネルに乗降車停留所名、運賃額、カード残額等を表示する。
【0041】
<運賃表示、行先案内表示の切り替え>
運賃表示、行先案内表示の切り替えは、車載装置の表示制御プログラムが停留所特定処理における停留所出発のタイミングで実行する。
【0042】
<車内放送>
次の停留所案内放送は、車載装置の車内放送制御プログラムが停留所特定処理における停留所出発のタイミングで次の停留所名を入れ替えて車内放送を再生するよう放送装置を制御する。
【0043】
図6は、区間運賃表(運賃三角表)の一例を示した図である。
路線系統内各停留所間の運賃額が乗降停留所の交点に記載されている。
【0044】
このような構成によって、本運賃決済システム1は、バス運転手の負担を極力軽減し、運賃決済を自動化するシステムとすることができる。
【0045】
以上、本実施形態の路線バスを対象としたバス運賃決済システム1について説明してきたが、これらは一例であって、本発明の趣旨の範囲内で様々な変形があり得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1 バス運賃決済システム
100 車載装置
110 制御部
111 操作入力
112 ICカード入出力処理
113 GPS信号受信処理
114 停留所特定
115 運賃計算
116 運賃決済
117 表示器処理
118 車内放送
120 GPS信号受信部
130 ネットワークインタフェース部
140 CANインタフェース部
141 操作盤
142 乗車口ICカードリーダライタ
143 降車口ICカードリーダライタ
144 運賃表示器
145 車内放送
200 サーバ
210 WEBアプリサーバ
211 路線情報管理アプリ
212 区間運賃表管理アプリ
213 決済記録管理アプリ
220 データベースサーバ
221 バス事業者データベース
222 バス車両データベース
223 路線情報データベース
224 区間運賃表ファイル
225 決済記録ファイル
300 ICカード
400 バス事業者端末
500 ネットワーク