7344497 開封済表示タグ付き包装用箱

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-09-06

(45)【発行日】2023-09-14

(54)【発明の名称】開封済表示タグ付き包装用箱

(51)【国際特許分類】

   B65D 5/42 20060101AFI20230907BHJP

   B65D 5/54 20060101ALI20230907BHJP

【ＦＩ】

B65D5/42 Z

B65D5/54 301G

【請求項の数】 2

(21)【出願番号】P 2019216077

(22)【出願日】2019-11-29

(65)【公開番号】P2021084670

(43)【公開日】2021-06-03

【審査請求日】2022-10-28

(73)【特許権者】

【識別番号】390008707

【氏名又は名称】丸金印刷株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001564

【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人

(72)【発明者】

【氏名】石田 ゆう

【審査官】矢澤 周一郎

(56)【参考文献】

【文献】登録実用新案第３２１７７５３（ＪＰ，Ｕ）

【文献】登録実用新案第３１９４８３４（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１７－１８６０６４（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６５Ｄ ５／４２

Ｂ６５Ｄ ５／５４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

箱の長手方向両端の少なくとも一方が物品を取り出すための開口で、前記開口は相互に対向する２側面板の一方の側面板の端縁部から延びる内蓋と、他方の側面板の端縁部から延び、前記内蓋の上に接着剤を介して接着される外蓋とにより封止され、前記他方の側面板と前記外蓋との間に破断線を有し、前記外蓋を前記破断線に沿って前記他方の側面板から切り離すことによって開封する形式の包装用箱であって、
前記破断線は、前記他方の側面板の前記外蓋側の端部に、前記他方の側面板の端縁部の両端間の任意の２点を切り込み端として略溝形形状に切り込まれる前記他方の側面板の切り取り線と、前記他方の側面板の切り取り線の前記２点の切り込み端に連続して前記他方の側面板の端縁部を境にして前記外蓋と前記他方の側面板との間に略波形に切り込まれる前記外蓋、前記他方の側面板間の２本の切り取り線とからなり、
前記破断線により、前記他方の側面板の切り取り線と前記他方の側面板の端縁部とで囲まれる前記他方の側面板の一部が破断部として前記他方の側面板から切り離し可能に形成されるとともに、前記外蓋、前記他方の側面板間の２本の切り取り線と前記他方の側面板の端縁部とで囲まれる前記外蓋、前記他方の側面板の各部が前記破断部の切り離しに続けて前記外蓋を前記外蓋、前記他方の側面板間の各切り取り線に沿って前記他方の側面板から切り離すことによりタグとして相互に異なる方向に立ち上がり可能に形成され、
箱の開封に際し、前記他方の側面板の前記破断部を前記外蓋とともに前記破断線に沿って前記他方の側面板から切り離すことにより、前記外蓋が開封されると同時に、前記外蓋、前記他方の側面板間の各部が箱の開封済みを表すタグとして相互に異なる方向に立ち上げられる、
ことを特徴とする開封済表示タグ付き包装用箱。

【請求項2】

外蓋、他方の側面板の各タグの位置に対応する内蓋の一部に開封済みを表す色又は模様又は文字又は記号又は図画又はこれらの組み合わせが付され、前記各タグの立ち上がりとともに、前記内蓋に付された前記開封済みを表す色又は模様又は文字又は記号又は図画又はこれらの組み合わせが表示される請求項１に記載の開封済表示タグ付き包装用箱。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、医薬品その他各種の物品を包装するのに使用する包装用箱に関し、特に、保管棚や保管ケースに保管中の包装用箱から開封済みのものを即時に視認できるようにした開封済表示タグ付き包装用箱に関する。

【背景技術】

【0002】

一般に、病院や調剤薬局などの医療機関では、包装用箱に包装された医薬品が包装用箱に入れられた状態で、保管棚や保管ケースなどの医薬品の保管場所に保管される。

【0003】

この種の包装用箱は、特許文献１、２などに開示されているように、基本構成として、正面、背面、左右両側面の４側面と、左右両側面の上下各端部からそれぞれ４側面の上下開口上に延びるフラップと、正面、背面の上下各端部から４側面の上下開口上を塞ぐ天面蓋及び底面蓋とを備え、全体が縦長又は横長の直方体状の箱形に構成される。この場合、医薬品の中でも、錠剤やカプセルなどを包装する箱にあっては、錠剤やカプセルが複数個ずつ１枚のＰＴＰシートに収納され、さらにアルミ包材パックに封入されるので、全体として、複数枚単位のＰＴＰシート全体又はアルミ包材パック全体の大きさ、形状に適合する大きさの直方体形状に形成され、液状の薬剤にあっては、薬剤がバイアルなどに収納されるので、全体として、バイアルなどの大きさ、形状に適合する大きさの直方体形状に形成され、さらに箱内部には緩衝材が付設される。
このように医薬品の包装用箱は全体が縦長又は横長の直方体状の箱形になっているので、医療機関では、これらの医薬品が、保管棚には箱の長手方向を保管棚の奥行き方向に向けて横置きにして多段的に積み重ねられ、保管ケースの引き出しの中には箱の長手方向を引き出しの上下方向に向けて縦置きにして並列に並べられて、保管される。

【0004】

ところで、医療機関では、保管棚や保管ケースの引き出しの中に、多くの種類の医薬品が保管され、また、同じ種類の医薬品でも包装用箱が既に開封済みで現在使用中のものと新品で箱が未開封のものとが混在されている。そして、医療機関では、当然のことながら、開封済みの箱の医薬品から使用していき、この箱内の医薬品がなくなれば、未開封の箱を開封して医薬品を取り出すため、医薬品の入った箱から医薬品を取り出す場合は、その都度、開封済みの箱かどうかを確認するのが通常である。この場合、開封済みの箱であることを視認しやすいように、箱に、油性ペンなどを使って開封済みと分かるような文字やマークを書き入れたり、輪ゴムを掛けたりしておくことが多い。
このように医療機関では、医薬品の保管場所に、同じ種類の医薬品でも、箱が開封済みのものと未開封のものが混在されることから、医薬品毎に箱が開封済みか未開封かを確認する必要があり、この確認を容易にするために、箱に油性ペンなどで開封済みと分かるような文字やマークを書き入れたり輪ゴムを掛けたりするなど道具を使った煩わしい作業を行わなければならない。
また、この場合、医薬品は、既述のとおり、保管棚には箱の長手方向を奥行き方向に向けて横置きにして多段的に積み重ねられて、保管棚上の各医薬品の箱は面積の小さい天面蓋又は底面蓋が前方に向けられるため、また、保管ケースの引き出しの中には箱の長手方向を引き出しの上下方向に向けて縦置きにして並列に並べられて、引き出しの中の各医薬品の箱は面積の小さい天面蓋又は底面蓋が上方に向けられるため、箱の開封済みの文字やマークは箱の天面蓋又は底面蓋に表示する必要がある。

【0005】

そこで、従前、本願出願人は、この種の包装用箱において、箱の開封後に開封済みであることを簡単に表示でき、保管棚や保管ケースに保管中の箱から開封済みのものを即時視認できる開封済表示付き包装用箱を、特許文献３により、提案している。
この文献３の包装用箱は、箱の長手方向両端の少なくとも一方に外側の板と内側の板とを備え、外側の板の一部に切り取り部を有し、外側の板の切り取り部の切り取り後の外部に現れる内側の板の面に開封済みの文字又は開封済みを意味する表記を有し、箱を開封する際に、切り取り部を切り取り、箱の長手方向両端の少なくとも一方に開封済みの文字又は開封済みを意味する表記を外部に表示するようにして、開封後に箱の長手方向両端の少なくとも一方に開封済みであることを簡単に表示でき、保管棚や保管ケースに保管中の箱の中から開封済みの箱であることを即時視認できるようにしてある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【文献】特開２０１４－１４１２７６号公報

【文献】特開２００６－９６３５１号公報

【文献】実用新案登録第３２０６１２５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

しかしながら、上記特許文献３の包装用箱では、箱の長手方向両端の少なくとも一方に開封済みの文字又は開封済みを意味する表記を外部に表示するために、箱を開封する際に、箱の開封とは別に、外側の板の一部の切り取り部を切り取らなければならず、言わば、２度手間の作業となる、という問題がある。

【0008】

本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたもので、この種の包装用箱において、箱の開封と同時に、箱が開封済みであることを簡単に表示でき、保管棚や保管ケースに保管中の箱から開封済みのものを即時視認できるようにすること、を目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0009】

上記目的を達成するために、本発明は、
箱の長手方向両端の少なくとも一方が物品を取り出すための開口で、前記開口は相互に対向する２側面板の一方の側面板の端縁部から延びる内蓋と、他方の側面板の端縁部から延び、前記内蓋の上に接着剤を介して接着される外蓋とにより封止され、前記他方の側面板と前記外蓋との間に破断線を有し、前記外蓋を前記破断線に沿って前記他方の側面板から切り離すことによって開封する形式の包装用箱であって、
前記破断線は、前記他方の側面板の前記外蓋側の端部に、前記他方の側面板の端縁部の両端間の任意の２点を切り込み端として略溝形形状に切り込まれる前記他方の側面板の切り取り線と、前記他方の側面板の切り取り線の前記２点の切り込み端に連続して前記他方の側面板の端縁部を境にして前記外蓋と前記他方の側面板との間に略波形に切り込まれる前記外蓋、前記他方の側面板間の２本の切り取り線とからなり、
前記破断線により、前記他方の側面板の切り取り線と前記他方の側面板の端縁部とで囲まれる前記他方の側面板の一部が破断部として前記他方の側面板から切り離し可能に形成されるとともに、前記外蓋、前記他方の側面板間の２本の切り取り線と前記他方の側面板の端縁部とで囲まれる前記外蓋、前記他方の側面板の各部が前記破断部の切り離しに続けて前記外蓋を前記外蓋、前記他方の側面板間の各切り取り線に沿って前記他方の側面板から切り離すことによりタグとして相互に異なる方向に立ち上がり可能に形成され、
箱の開封に際し、前記他方の側面板の前記破断部を前記外蓋とともに前記破断線に沿って前記他方の側面板から切り離すことにより、前記外蓋が開封されると同時に、前記外蓋、前記他方の側面板間の各部が箱の開封済みを表すタグとして相互に異なる方向に立ち上げられる、
ことを要旨とする。
この場合、外蓋、他方の側面板の各タグの位置に対応する内蓋の一部に開封済みを表す色又は模様又は文字又は記号又は図画又はこれらの組み合わせが付され、前記各タグの立ち上がりとともに、前記内蓋に付された前記開封済みを表す色又は模様又は文字又は記号又は図画又はこれらの組み合わせが表示されることが好ましい。

【発明の効果】

【0010】

本発明の開封済表示タグ付き包装用箱によれば、箱の開封に際し、他方の側面板の破断部を外蓋とともに破断線に沿って他方の側面板から切り離すことにより、外蓋が開封されると同時に、外蓋、他方の側面板間の各部が箱の開封済みを表すタグとして相互に異なる方向に立ち上げられるようにしたので、箱の開封と同時に箱が開封済みであることを簡単に表示でき、保管棚や保管ケースに保管中の箱の中から開封済みの箱であることを即時視認することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】本発明の第１の実施の形態に係る開封済表示タグ付き包装用箱の全体構成を示す開封前の斜視図

【図2】同包装用箱の全体構成を示す開封後の斜視図

【図3】同包装用箱の全体構成を示す再封後の斜視図

【図4】同包装用箱の組み立て前の紙基材を示す平面図（展開図）

【図5】同包装用箱の有する機能を示す開封前の要部斜視図

【図6】同包装用箱の有する機能を示す開封後の要部斜視図

【図7】同包装用箱の有する機能を示す再封後の要部斜視図

【図8】同包装用箱の有する機能を示す再封後の要部平面図

【図9】同包装用箱の有する機能を示す再封後の要部正面図

【図10】本発明の第２の実施の形態に係る開封済表示タグ付き包装用箱の構成を示す要部斜視図

【図11】同包装用箱の有する機能を示す再封後の要部平面図

【図12】同包装用箱の有する機能を示す再封後の要部正面図

【発明を実施するための形態】

【0012】

次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図１乃至図４に第１の実施の形態を示している。

【0013】

図１、図２に示すように、開封済表示タグ付き包装用箱Ｂ１（以下、単に包装用箱Ｂ１、箱Ｂ１と称する場合がある。）は、箱Ｂ１の長手方向両端の少なくとも一方が物品を取り出すための開口１０で、この開口１０は相互に対向する２側面板１４、１２の一方の側面板１４の端縁部から延びる内蓋２２と、他方の側面板１２の端縁部から延び、内蓋２２の上に接着剤を介して接着される外蓋２０とにより封止され、他方の側面板１２と外蓋２０との間に破断線Ｃ１を有し、外蓋２０を破断線Ｃ１に沿って他方の側面板１２から切り離すことによって開封する形式を採用するものである。

【0014】

この箱Ｂ１では、特に、破断線Ｃ１は、他方の側面板１２の外蓋２０側の端部に、他方の側面板１２の端縁部の両端間の任意の２点を切り込み端として略溝形形状に切り込まれる他方の側面板１２の切り取り線Ｃ１１と、他方の側面板１２の切り取り線Ｃ１１の２点の切り込み端に連続して他方の側面板１２の端縁部を境にして外蓋２０と他方の側面板１２との間に略波形に切り込まれる外蓋２０、他方の側面板１２間の２本の切り取り線Ｃ１２とからなり、この破断線Ｃ１により、他方の側面板１２の切り取り線Ｃ１１と他方の側面板１２の端縁部とで囲まれる他方の側面板１２の一部が破断部１２１として他方の側面板１２から切り離し可能に形成されるとともに、外蓋２０、他方の側面板１２間の２本の切り取り線Ｃ１２と他方の側面板１２の端縁部とで囲まれる外蓋２０、他方の側面板１２の各部が破断部１２１の切り離しに続けて外蓋２０を外蓋２０、他方の側面板１２間の各切り取り線Ｃ１２に沿って他方の側面板１２から切り離すことによりタグ２０１、２０２として相互に異なる方向に立ち上がり可能に形成される。

【0015】

この包装用箱Ｂ１の場合、箱Ｂ１は、所謂板紙と呼ばれる比較的厚さがあり直立性のある紙材により形成され、４側面１１－１４（右側面板１１、他方の側面板１２に当たる正面板１２、左側面板１３、一方の側面板１４に当たる背面板１４）と、これら４側面１１－１４の一端の開口１０を封じる一端側（この場合、上端側）の２つのフラップ１６、１８（右フラップ１６、左フラップ１８）、及び先端に差し込み片２２１を有する内蓋２２、外蓋２０と、他端の開口（図示省略）を封じる他端側（この場合、下端側）の２つのフラップ１７、１９（右フラップ１７、左フラップ１９（図４参照））、及び先端に差し込み片２３１を有する内蓋２３（図４参照）、外蓋２１（図４参照）とを備える。

【0016】

この場合、４側面１１－１４はそれぞれ縦（上下方向）に長い長方形に形成される。４側面１１－１４の上端の、２つのフラップ１６、１８はそれぞれ略台形に形成され、内蓋２２は略四角形に先端の差し込み片２２１が角丸長方形に形成され、外蓋２０は略台形に形成される。４側面１１－１４の、下端の２つのフラップ１７、１９はそれぞれ略台形に形成され、内蓋２３は略四角形に先端の差し込み片２３１が角丸長方形に形成され、外蓋２１は略台形に形成される。

【0017】

このようにして箱Ｂ１は、上下端の各開口１０がそれぞれ、相互に対向する一方の２側面板１１、１３、この場合、左右の各側面板１１、１３から延びる２つのフラップ１６，１７、１８，１９、及び相互に対向する他方の２側面板１４、１２、この場合、背面板１４、正面板１２から延びる内蓋２２，２３、外蓋２０，２１により閉じられ、内蓋２２，２３と外蓋２０，２１が接着剤により接着されて封じられ、全体として縦に長い直方体状に構成される。

【0018】

そして、包装用箱Ｂ１は、箱Ｂ１の長手方向両端の少なくとも一方、例えば、上端の開口１０が物品を取り出すための開口１０で、この開口１０が背面板１４から延びる内蓋２２と、正面板１２から延び、内蓋２２の上に接着剤を介して接着される外蓋２０とにより封止され、外蓋２０を正面板１２から外蓋２０と正面板１２との間に切り込まれた破断線Ｃ１に沿って切り離すことによって、箱Ｂ１を開封するようになっている。この箱Ｂ１の場合、上下の各開口１０どちらからでも物品を取り出せるように、上下の各開口１０が物品を取り出すための開口１０になっており、これらの開口１０が背面板１４から延びる内蓋２２と、正面板１２から延び、内蓋２２の上に接着剤を介して接着される外蓋２０とにより封止され、外蓋２０を正面板１２から外蓋２０と正面板１２との間に切り込まれた破断線Ｃ１に沿って切り離すことによって、箱Ｂ１を開封できるようにしてある。なお、この箱Ｂ１の上の破断線Ｃ１も下の破断線Ｃ１も上下対称に形成されるだけで、上下を反転すれば、同一の構成になるので、以下、箱Ｂ１の上の破断線Ｃ１についてのみ説明し、下の破断線Ｃ１については同じ符号を付して説明を省略する。

【0019】

この箱Ｂ１には、正面板１２の切り取り線Ｃ１１と外蓋２０、正面板１２間の切り取り線Ｃ１２からなる破断線Ｃ１が切り込まれる。正面板１２の切り取り線Ｃ１１は、正面板１２の外蓋２０側の端部、この場合、上端部に、正面板１２の上端縁部の両端間任意の中間点、この場合、上端縁部の中央から所定の等しい距離離れた２点を切り込み端として下端部方向に略溝形形状（略コ字形）に切り込まれる。外蓋２０、正面板１２間の２本の切り取り線Ｃ１２はそれぞれ、正面板１２の切り取り線Ｃ１１の両切り込み端に連続して正面板１２の上端縁部を跨いでこの上端縁部の両端方向に略波形に切り込まれる。この場合、これらの切り取り線Ｃ１２はそれぞれ、正面板１２の切り取り線Ｃ１１の両切り込み端から外蓋に小さい半円形又はＵ字形に切り込み線Ｃ１２１が切り込まれ、この切り込み線Ｃ１２１に連続して正面板１２に同様に小さい半円形又はＵ字形に切り込み線Ｃ１２２が切り込まれる。

【0020】

この破断線Ｃ１により、この箱Ｂ１には、正面板１２の切り取り線Ｃ１１と正面板１２の上端縁部とで囲まれた正面板１２の一部が破断部１２１として正面板１２から切り離し可能に形成されるとともに、外蓋２０、正面板１２間の切り取り線Ｃ１２と正面板１２の上端縁部とで囲まれた外蓋２０、正面板１２の一部が破断部１２１の切り離しに続けて外蓋２０を外蓋２０、正面板１２間の切り取り線Ｃ１２に沿って正面板１２から切り離すことにより相互に異なる方向のタグ２０１、２０２として（紙の持つ弾性により）立ち上がり可能に形成される。各タグ２０１、２０２は外蓋２０、正面板１２間の切り取り線Ｃ１２の形状から半円形又はＵ字形に形成される。

【0021】

また、この箱Ｂ１には、これらのタグ２０１、２０２を正面板１２、外蓋２０から切り取り可能に正面板１２の上端縁部上で正面板１２とタグ２０１、外蓋２０とタグ２０２との間にタグ切り取り線Ｃ２１、Ｃ２２がミシン目加工により直線状に切り込まれる。

【0022】

このようにして包装用箱Ｂ１は、図１、図２に示すように、箱Ｂ１の開封に際し、正面板１２の破断部１２１を外蓋２０とともに破断線Ｃ１に沿って正面板１２から切り離すことにより、外蓋２０が開封されると同時に、外蓋２０、正面板１２間の各部（一部）が箱Ｂ１の開封済みを表すタグ２０１、２０２として相互に異なる方向に立ち上げられ、図３に示すように、再封後も、これらのタグ２０１、２０２が立ち上げられたままになっている。

【0023】

この包装用箱Ｂ１は、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれて形成された一枚の紙基材（Ｐ１）からなり、この紙基材（Ｐ１）は各部が所定の順序で折り曲げられ、所定の各接着位置が接着固定されて組み立てられる。

【0024】

図４にこの紙基材Ｐ１を示している。なお、図４には紙基材Ｐ１の表面（組み立て後に表側となる面）が現れている。図４に示すように、この紙基材Ｐ１は、全体が上下方向に長い直方体形状に組み立て可能に、直方体形状に組み立て後の状態で、右側面板１１、正面板１２、左側面板１３、背面板１４、及び右側面板１１に重合されて背面板１４と右側面板１１との連結板１５をなす相互に折れ線Ｌ１－Ｌ４を介して連接して形成される４側面板形状部Ｐ１１－Ｐ１５（右側面板形状部Ｐ１１、正面板形状部Ｐ１２、左側面板形状部Ｐ１３、背面板形状部Ｐ１４、及び連結板形状部Ｐ１５）と、右側面板形状部Ｐ１１及び左側面板形状部Ｐ１３の上下方向（長手方向）の両端にそれぞれ折れ線Ｌ５，Ｌ６及びＬ７，Ｌ８を介して形成され、直方体形状に組み立て後の状態で上端側の右フラップ１６、下端側の右フラップ１７及び上端側の左フラップ１８、下端側の左フラップ１９をなす上端側の右フラップ形状部Ｐ１６、下端側の右フラップ形状部Ｐ１７及び上端側の左フラップ形状部Ｐ１８、下端側の左フラップ形状部Ｐ１９と、正面板形状部Ｐ１２の上下方向の両端にそれぞれ折れ線Ｌ９、Ｌ１０を介して形成され、直方体形状に組み立て後の状態で上端側の外蓋２０をなす外蓋形状部Ｐ２０、下端側の外蓋２１をなす外蓋形状部Ｐ２１、背面板形状部Ｐ１４の上下方向の両端にそれぞれ折れ線Ｌ１１、Ｌ１２を介して形成され、直方体形状に組み立て後の状態で上端側の内蓋２２をなす内蓋形状部Ｐ２２、下端側の内蓋２３をなす内蓋形状部Ｐ２３と、内蓋形状部Ｐ２２の先端延長上に折れ線Ｌ１３を介して連続して形成され、上端側の内蓋２２の差し込み片２２１をなす差し込み片形状部Ｐ２２１と、内蓋形状部Ｐ２３の先端延長上に折れ線Ｌ１４を介して連続して形成され、上端側の内蓋２３の差し込み片２３１をなす差し込み片形状部Ｐ２３１と、を有する。

【0025】

この場合、４側面板形状部Ｐ１１－Ｐ１５はそれぞれ上下に長い長方形に形成され、正面板形状部Ｐ１２、背面板形状部Ｐ１４がそれぞれ右側面板形状部Ｐ１１、左側面板形状部Ｐ１３よりも少し幅広に形成される。なお、連結板形状部Ｐ１５は背面板形状部Ｐ１４の左側縁部に沿って略台形に右側面形状部Ｐ１１よりも幅狭に形成される。上端側、下端側のフラップ形状部Ｐ１６、Ｐ１７、Ｐ１８、Ｐ１９はそれぞれ略台形状に形成され、外蓋形状部Ｐ２０、Ｐ２１の長さ（高さ）のおよそ半分程の長さ（高さ）に形成される。上端側、下端側の外蓋形状部Ｐ２０、Ｐ２１はそれぞれ、略台形に形成され、上端側、下端側の内蓋形状部Ｐ２２、Ｐ２３の長さ（高さ）よりも少しだけ短く（低く）形成される。上端側、下端側の内蓋形状部Ｐ２２、Ｐ２３はそれぞれ、上端側、下端側の各開口１０と略同じ大きさの略四角形状に形成される。なお、上端側、下端側の内蓋形状部Ｐ２２、Ｐ２３の差し込み片形状部Ｐ２２１、Ｐ２３１はそれぞれ、適宜大きさの横長の角丸長方形状（半レーストラック形状）に形成される。

【0026】

また、この場合、正面板形状部Ｐ１２の上端部で中央に、破断線Ｃ１の一部をなす正面板１２の切り取り線Ｃ１１が、ミシン目加工により、横長の長方形の溝形に形成される。かくして破断部１２１が正面板形状部Ｐ１２の上端縁部の中央に横長の長方形に形成される。そして、この正面板形状Ｐ１２の切り取り線Ｃ１１の両側で外蓋形状部Ｐ２０、正面板形状部Ｐ１２間に、破断線Ｃ１の残部をなす外蓋形状部Ｐ２０、正面板形状部Ｐ１２間の切り取り線Ｃ１２が、ミシン目加工により、正面板１２の切り取り線Ｃ１１の両切り込み端に連続して、正面板形状部Ｐ１２の上端縁部を跨いでこの上端縁部の両端方向に略波形に切り込まれる。この場合、これらの切り取り線Ｃ１２はそれぞれ、正面板形状部Ｐ１２の切り取り線Ｃ１１の両切り込み端から外蓋形状部Ｐ２０に小さい半円形又はＵ字形に切り取り線Ｃ１２１が切り込まれ、この切り取り線Ｃ１２１に連続して正面板形状部Ｐ１２に同様に小さい半円形又はＵ字形に切り込み線Ｃ１２２が切り込まれる。かくして正面板形状部Ｐ１２の切り取り線Ｃ１１の両側で正面板形状部Ｐ１２の上端縁部の両側にタグ２０１、２０２が半円形又はＵ字形に形成される。また併せて、正面板形状部Ｐ１２の上端縁部上で正面板形状部Ｐ１２とタグ２０１との間、外蓋形状部Ｐ２０とタグ２０２との間に、それぞれ、タグ切り取り線Ｃ２１、Ｃ２２がミシン目加工により直線状に切り込まれる。なお、既述のとおり、この場合、正面板形状部Ｐ１２の下端部側にも、同様の破断線Ｃ１が設けられる。

【0027】

この紙基材Ｐ１の正面板形状部Ｐ１２、背面板形状部Ｐ１４、右、左の各側面板形状部Ｐ１１、Ｐ１３、上下端の各外蓋形状部Ｐ２０、Ｐ２１の表面にはそれぞれ、医薬品に関する各種の情報（文字）や装飾用のデザインなどが印刷される。

【0028】

かくして紙基材Ｐ１は各形状部Ｐ１１－Ｐ２３、Ｐ２２１、Ｐ２３１が各折れ線Ｌ１－Ｌ１２、Ｌ１３、Ｌ１４を介して折り曲げられ、縦（上下方向）に長い直方体形状の箱形に組み立てられる。すなわち、正面板１２をなす正面板形状部Ｐ１２に対して右側面板形状部Ｐ１１が折れ線Ｌ１を介して直角に折り曲げられて右側面板１１をなし、同様に、正面板形状部Ｐ１２に対して左側面板形状部Ｐ１３が折れ線Ｌ２を介して直角に折り曲げられて左側面板１３をなし、この左側面板１３に対して背面板形状部Ｐ１４が折れ線Ｌ３を介して直角に折り曲げられて背面板１４をなす。そして、この背面板１４に対して連結板形状部Ｐ１５が折れ線Ｌ４を介して直角に折り曲げられ、右側面板１１の内側に重合されて連結板１５をなす。この右側面板１１の内側で右側面板１１と連結板１５が接着剤を介して連結され、これにより４側面１１－１４、１５が組み立てられる。この状態から、右、左の各側面板１１、１３の下端の右、左の各フラップ形状部Ｐ１７、Ｐ１９が折れ線Ｌ６、Ｌ８を介して直角に折り曲げられて右、左の各フラップ１７、１９をなし、背面板１４の下端の内蓋形状部Ｐ２３が折れ線Ｌ１２を介して直角に折り曲げられて内蓋２３をなし、差し込み片形状部Ｐ２３１が折れ線Ｌ１４を介して内側に略直角に折り曲げられて、差し込み片２３１が形成され、この差し込み片２３１が正面板１２の内側に差し込まれ、そして、正面板１２の下端の外蓋形状部Ｐ２１が折れ線Ｌ１０を介して直角に折り曲げられて外蓋２１をなし、それぞれが底面で重合される。この底面の外蓋２１の内側で外蓋２１と内蓋２３が接着剤を介して連結され、底面が封止される。また、右、左の各側面板１１、１３の上端の右、左の各フラップ形状部Ｐ１６、Ｐ１８が折れ線Ｌ５、Ｌ７を介して直角に折り曲げられて右、左の各フラップ１６、１８をなし、背面板１４の上端の内蓋形状部Ｐ２２が折れ線Ｌ１１を介して直角に折り曲げられて内蓋２２をなし、差し込み片形状部Ｐ２２１が折れ線Ｌ１３を介して内側に略直角に折り曲げられて、差し込み片２２１が形成され、この差し込み片２２１が正面板１２の内側に差し込まれ、そして、正面板１２の上端の外蓋形状部Ｐ２０が折れ線Ｌ９を介して直角に折り曲げられて外蓋２０をなし、それぞれが天面で重合される。この天面の外蓋２０の内側で外蓋２０と内蓋２２が接着剤を介して連結され、天面が封止される。この場合、外蓋２０と内蓋２２は（正面側から見て）奥行き方向奥側の半面を接着剤により接着し、接着剤を外蓋２０の一部に形成されたタグ２０１には付着させず、このタグ２０１と内蓋２２とは接着しない。

【0029】

このようにして紙基材Ｐ１から包装用箱Ｂ１が直方体形状の箱形に組み立てられ、正面板１２と上端側の外蓋２０との間には、破断線Ｃ１が、外蓋２０を正面板１２から切り離して開封可能にかつ、この外蓋２０の開封とともに、外蓋２０、正面板１２間の一部が開封済みを表示するためのタグ２０１、２０２として（紙の持つ弾性により）自動的に立ち上がり可能に形成される。

【0030】

包装用箱Ｂ１はこのようにして構成され、錠剤やカプセルなどの医薬品が複数個ずつ１枚のＰＴＰシート（プレススルーパックシート）に収納されて、このＰＴＰシートが所定の枚数ずつアルミ包材パックに封入された状態で、図１に示すように、包装用箱Ｂ１に包装され、医療機関などへ供給される。

【0031】

そして、医療機関などでは、この包装用箱Ｂ１に収容された医薬品を使用するため、包装用箱Ｂ１を開封する際に、図５、図６に示すように、正面板１２の破断部１２１を外蓋２０とともに破断線Ｃ１（正面板１２の切り取り線Ｃ１１と外蓋２０、正面板１２間の切り取り線Ｃ１２）に沿って正面板１２から切り離すことにより、外蓋２０が開封され、同時に、箱Ｂ１の天面から、外蓋２０、正面板１２間の箱Ｂ１の開封済みを表す各タグ２０１、２０２が相互に異なる方向に、この場合、２方向に自動的に立ち上げられる。そして、この箱Ｂ１の天面の外蓋２０及び内蓋２２、左右の各フラップ１６、１８を順次開いて、医薬品が取り出されると、再び、左右の各フラップ１６、１８、内蓋２２及び外蓋２０を順次閉じ、内蓋２２の差し込み片２２１を正面板１２の内側に差し込んで、図７に示すように、箱Ｂ１は再封される。再封後も、図７に示すように、箱Ｂ１の開封済みを表す正面板１２、外蓋２０のタグ２０１、２０２がそれぞれ、箱Ｂ１の天面から、２方向へ立ち上げられたままとなる。したがって、箱Ｂ１の天面からも正面からも開封の痕跡が識別できる。再封後、この箱Ｂ１は保管棚や保管ケースの引き出しなどに収納される。箱Ｂ１が保管棚に収納される場合、箱Ｂ１は保管棚に箱Ｂ１の長手方向を奥行き方向に向けて横置きにして多段的に積み重ねられることが多い。この場合、図８、図９に示すように、正面板１２側の各タグ２０１は外蓋２０の前方に向けて立ち上げられてそこに半円形又はＵ字形の溝が現れ、外蓋２０側の各タグ２０２は上方に向けて立ち上げられるので、この箱Ｂ１が開封済みであることが一目して分かる。また、箱Ｂ１が保管ケースの引き出しの中に収納される場合、箱Ｂ１は箱Ｂ１の長手方向を引き出しの上下方向に向けて縦置きにして並列に並べられることが多い。この場合、図８、図９に示すように、正面板１２側の各タグ２０１は外蓋２０の上方に向けて立ち上げられてそこに半円形又はＵ字形の溝が現れ、外蓋２０側の各タグ２０２が前方に向けて立ち上げられるので、この箱Ｂ１は開封済みであることが一目して分かる。このようにこの箱Ｂ１は、医療機関などの保管棚や保管ケースに横置きにされたり縦置きにされたりしても、どちらにも対応することができる。なお、箱Ｂ１の開封後、タグ２０１、２０２が不要になったり邪魔になったりする場合は、タグ２０１、２０２をタグ切り取り線Ｃ２１、Ｃ２２に沿って簡単に切り取ることができる。

【0032】

以上説明したように、この開封済表示タグ付き包装用箱Ｂ１によれば、箱Ｂ１の開封に際し、正面板１２の破断部１２１を外蓋２０とともに破断線Ｃ１に沿って正面板１２から切り離すことにより、外蓋２０が開封されると同時に、外蓋２０、正面板１２間の各部（一部）が箱Ｂ１の開封済みを表すタグ２０１、２０２として相互に異なる方向に立ち上げられるようにしたので、箱Ｂ１の開封と同時に箱Ｂ１が開封済みであることを簡単に表示でき、保管棚や保管ケースに保管中の箱の中から開封済みの箱であることを即時視認することができ、未使用（未開封）のものを使用中のものと誤って開封してしまうのを防止することができる。なお、この箱Ｂ１は一度開封されると、タグ２０１、２０２が立ち上がったままで、元に戻らないため、改竄防止に活用することもできる。

【0033】

図１０、図１１及び図１２に第２の実施の形態を示している。この包装用箱Ｂ２は、紙基材それ自体の構成（４側面板形状部他各部の形状部の構成）が箱Ｂ１のもの（紙基材Ｐ１）と共通で、その組み立て後の箱としての全体構成は箱Ｂ１と同じである。この箱Ｂ２では箱Ｂ２の開封後の開封済みの表示形式が箱Ｂ１のそれと若干異なる。ここでは、箱Ｂ１と共通の構成については箱Ｂ１と同じ符号を付してその説明を省略し、箱Ｂ２の開封済みの表示形式についてのみ説明する。

【0034】

この箱Ｂ２では、外蓋２０、他方の側面板、この場合、正面板１２の各タグ２０１、２０２の位置に対応する内蓋２２の一部に開封済みを表す色又は模様又は文字又は記号又は図画又はこれらの組み合わせが付され、各タグ２０１、２０２の立ち上がりとともに、内蓋２２に付された開封済みを表す色又は模様又は文字又は記号又は図画又はこれらの組み合わせが表示されるものとしている。

【0035】

この箱Ｂ２の場合、外蓋２０、正面板１２の各タグ２０１、２０２の位置に対応する内蓋２２及びその先端の差し込み片２２１の一部に色が付されている。この場合、色は赤色とし、外蓋２０の各タグ２０１、２０２の位置に対応する内蓋２２（内蓋形状部Ｐ２２）及びその先端の差し込み片２２１（差し込み片形状部Ｐ２２１）の一部を含む内蓋２２の正面側の端部及び差し込み片２２１の全面に、印刷により、ライン状に付けられる。なお、色は内蓋２２の正面側の端部及び差し込み片２２１の全面にライン状に付けられてもよいが、外蓋２０、正面板１２の各タグ２０１、２０２の位置に対応する内蓋２２（内蓋形状部Ｐ２２）及び差し込み片２２１（差し込み片形状部Ｐ２２１）の一部又はこの一部及びその周辺部にのみ付けられてもよいし、内蓋２２、差し込み片２２１全体に色が付けられてよい。また、色は何色でもよいが、目につきやすい色で、箱Ｂ２の外蓋２０、正面板１２の色や図柄とは異なるものが好ましい。内蓋２２及びその先端の差し込み片２２１に、色に代えて、模様又は文字又は記号又は図画又はこれらの組み合わせが付される場合も同様である。

【0036】

このようにすると、医療機関などで、この箱Ｂ２に収容された医薬品を使用するため、Ｂ２を開封すると、すなわち、正面板１２の破断部１２１を外蓋２０とともに破断線Ｃ１（正面板１２の切り取り線Ｃ１１と外蓋２０、正面板１２間の切り取り線Ｃ１２）に沿って正面板１２から切り離して、外蓋２０を開封すると、同時に、外蓋２０、正面板１２間の箱Ｂ２の開封済みを表す各タグ２０１、２０２が立ち上げられ、さらに、各タグ２０１、２０２の切り離し位置に半円形又はＵ字形の溝が形成されて、内蓋２２及びその差し込み片２２１に付された赤の色が現れる。箱Ｂ２が保管棚に収納される場合、箱Ｂ２が保管棚に箱Ｂ２の長手方向を奥行き方向に向けて横置きにして多段的に積み重ねられると、図１１、図１２に示すように、正面板１２側の各タグ２０１は外蓋２０の前方に向けて立ち上げられてその切り離し位置に赤の色が現れ、外蓋２０側の各タグ２０１は上方に向けて立ち上げられその切り離し位置に赤の色が現れるので、この箱Ｂ２が開封済みであることがより顕著に一目して分かる。また、箱Ｂ２が保管ケースの引き出しの中に収納される場合、箱Ｂ２は箱Ｂ２の長手方向を引き出しの上下方向に向けて縦置きにして並列に並べられると、図１１、図１２に示すように、正面板１２側の各タグ２０１は外蓋２０の上方に向けて立ち上げられてそこに赤の色が現れるので、この箱Ｂ２が開封済みであることがより顕著になり、一目して分かる。このような各タグ２０１、２０２の立ち上がりと、各タグ２０１、２０２の立ち上がりにより外部に現れる内蓋２２及びその先端の差し込み片２２１の赤の色とにより、この医薬品の箱Ｂ２が開封済みか未開封かの区別がよりつきやすくなり、未使用（未開封）のものを使用中のものと誤って開封してしまうのをより確実に防ぐことができる。なお、箱Ｂ１の開封後、各タグ２０１、２０２が不要になったり邪魔になったりする場合は、各タグ２０１、２０２をタグ切り取り線Ｃ２１、Ｃ２２に沿って簡単に切り取ることができる。

【0037】

このようにようにしても、第１の実施の形態と同様に、箱Ｂ２の開封と同時に箱Ｂ２が開封済みであることを簡単に表示でき、保管棚や保管ケースに保管中の箱の中から開封済みの箱であることを即時視認することができ、未使用（未開封）のものを使用中のものと誤って開封してしまうのを防止することができる。また、この箱Ｂ２は一度開封されると、各タグ２０１、２０２が立ち上がったままで、元に戻らないため、改竄防止に活用することもできる。

【0038】

なお、上記各実施の形態では、医薬品を包装するのに使用する開封済表示タグ付き包装用箱を例示したが、本発明の開封済表示タグ付き包装用箱は、医薬品に関らず、各種の物品を包装する箱にも同様に適用でき、同様の作用効果を奏することができる。

【符号の説明】

【0039】

Ｂ１、Ｂ２ 開封済表示タグ付き包装用箱
１０ 開口
１１ 右側面板
１２ 正面板
１２１ 破断部
１３ 左側面板
１４ 背面板
１５ 連結板
１６ 右フラップ
１７ 右フラップ
１８ 左フラップ
１９ 左フラップ
２０ 外蓋
２０１ タグ
２０２ タグ
２１ 外蓋
２２ 内蓋
２２１ 差し込み片
２３ 内蓋
２４ 開口部
２５ 開口部
２６ 窓
Ｐ１ 紙基材
Ｐ１１ 右側面板形状部
Ｐ１２ 正面板形状部
Ｐ１３ 左側面板形状部
Ｐ１４ 背面板形状部
Ｐ１５ 連結板形状部
Ｐ１６ 右フラップ形状部
Ｐ１７ 右フラップ形状部
Ｐ１８ 左フラップ形状部
Ｐ１９ 左フラップ形状部
Ｐ２０ 外蓋形状部
Ｐ２１ 外蓋形状部
Ｐ２２ 内蓋形状部
Ｐ２２１ 差し込み片形状部
Ｐ２３ 内蓋形状部
Ｌ１－Ｌ１４ 折れ線
Ｃ１ 破断線
Ｃ１１ 正面板の切り取り線（他方の側面板の切り取り線）
Ｃ１２ 外蓋、正面板間の切り取り線
Ｃ１２１、Ｃ１２２ 切り取り線
Ｃ２１、Ｃ２２ タグ切り取り線
Ｃ３ 解体用の破断線
Ｃ４ 開口部切り取り線
Ｃ５ 破断部切り取り線

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】