(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06V 40/13 20220101AFI20230907BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230907BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20230907BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20230907BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20230907BHJP
A61B 5/1172 20160101ALI20230907BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20230907BHJP
A61B 5/117 20160101ALI20230907BHJP
【FI】
G06V40/13
G06F3/041 510
G06F3/042 471
G06F3/042 473
G06F3/0488
G06F3/0484
A61B5/1172
A61B5/1171 100
A61B5/1171 200
A61B5/117 100
(21)【出願番号】P 2019559588
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2018044838
(87)【国際公開番号】W WO2019117002
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】P 2017238177
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510018649
【氏名又は名称】コネクテックジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】町田 秀和
(72)【発明者】
【氏名】下石坂 望
(72)【発明者】
【氏名】小松 裕司
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-293539(JP,A)
【文献】特開2006-092428(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110218(WO,A1)
【文献】特表2013-511100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06F 3/041- 3/04895
G06V 40/10 -40/19
A61B 5/117- 5/1178
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有し、ユーザが前記表面に
指を接触または近接させることで情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力された情報に基づき処理を実行する処理部と、を備える情報処理システムであって、
前記入力部が、
前記表面における前記
指の位置を検出する位置検出手段と、
前記ユーザの生体情報を読み取る読取手段と、を有
し、
前記情報処理システムはメニュー画面を表示可能な表示部をさらに有し、
前記入力部は、前記ユーザが前記指で前記表示部の画面に接触してメニュー選択を行った時に、前記指が接触した領域の位置の検出情報及び生体情報を同時に前記処理部に伝える
情報処理システム。
【請求項2】
前記処理部が、
前記位置検出手段から取得した前記
指の位置情報に基づき、前記読取手段の読取領域を絞り込み、
前記読取領域において前記読取手段を作動させ、前記生体情報を取得する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記処理部が、
前記位置検出手段から取得した前記
指の位置情報、および、前記読取手段から取得した生体情報に関連付けられているユーザの属性情報、に基づいて次の処理を実行する
請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記次の処理において、前記位置情報で特定される前記表示
部の該当位置に割り当てられている機能のうち前記属性情報に応じた機能を選択して実行する
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記位置検出手段が、前記読取手段の読み取り精度を低下して機能させるもの、タッチパネル、または、単一または複数の撮像装置である
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記読取手段が、前記表面にマトリックス状に配置された検出素子と、前記検出素子を第1方向に接続する第1ラインと、前記検出素子を前記第1方向とは異なる第2方向に接続する第2ラインと、を有するものであり、
前記第1ライン、前記第2ライン、または、前記第1ラインおよび第2ラインの双方を間引いて機能させることで、前記読取手段を前記位置検出手段として機能させる
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記位置検出手段が、複数の撮像装置であり、
前記複数の撮像装置の其々は、前記表面における異なる領域を其々撮像する
請求項5に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、被写体の光学像を取得する撮像装置、特に、個人認証のための指紋画像の取得に適した撮像装置を開示する。指紋読取装置において、指先の指紋凹凸が人によって小さい場合があり、そのような場合、指紋画像データが得られなかったり、得られたとして不明瞭であったりする場合がある。しかしながら、特許文献1の撮像装置は、「被写体( 例えば、指先)に接触する接触面下から前記被写体の光学像を取得する撮像装置において、光を拡散する光拡散膜が前記接触面に形成されている」との構成を備えることで、「被写体をはっきり撮像できるようにする」という発明目的が達成できるとされている。
【0003】
特許文献2は、被検体をセンシングする接触型センサを開示する。前記した特許文献1の場合と同様、指紋読取装置において、指紋画像データが得られなかったり、得られたとして不明瞭であったりする場合がある。しかしながら、特許文献2の接触型センサは、「載置面に載置された被検体を検知する接触型センサにおいて、前記載置面に撥液膜が形成されている」との構成を備えることで、「被写体をはっきり撮像できるようにする」という発明目的が達成できるとされている。
【0004】
また、旅券等の予約サイトや物品購入等の電子商取引サイトにおける個人認証は、サービス提供の開始の際のログイン時に要求される他、決済手続き等、予約あるいは物品購入の一連の処理における重要手続きの際に要求されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-39909号公報
【文献】特開2004-178166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載の技術を用いることで、個人認証のための明瞭な指紋画像データが取得できる。
【0007】
しかし、特許文献1、2に記載の発明は、指先程度の限られた面積領域たとえば10mm×10mm程度の領域での指紋画像データの取得を想定しており、たとえば10インチサイズやそれ以上の大面積領域における任意の位置で、明瞭な指紋画像データを得ようとすれば、データ検出のための走査線数が膨大となり、迅速な画像データを取得することが困難になる。
【0008】
たとえば、特許文献1、2と同等な分解能で指紋画像データを取得するためには、読み取りセンサを50μmピッチでアレイ状に配置する必要があり、水平および垂直スキャンのドライバ数は、A4サイズの場合で5940×4200個、A3サイズの場合で8400×5940個になる。一度の指紋読み取りのために、これだけの数のドライバを駆動する必要があり、全データを取得するまでの時間が長くなる問題がある。しかも、取得したデータの全てが個人認証のために使用される訳ではなく、個人認証に使用されるデータは指先が触れた領域のデータに限られ、その他の領域における多くのデータは個人認証においては利用されない無用なデータということになる。
【0009】
本発明の目的は、個人認証のための画像データが、指先より少なくとも数倍程度大きな面積領域の任意の位置において、明瞭かつ短時間に取得できる技術を提供することにある。また、本発明の目的は、指先より少なくとも数倍程度大きな面積領域における個人認証のための画像データの取得が、無駄なく効率よく実行できる技術を提供することにある。
【0010】
また、予約サイトや電子商取引サイトにおいてユーザの選択した処理が決済等重要な手続処理である場合、その都度個人認証を要求する場合があることは前記した通りである。このように、重要な手続を処理しようとする都度個人認証を要求することで、取引の安全性が確保される。
【0011】
しかし、重要手続き毎に個人認証が要求されるユーザにとっては、予約やショッピングという一連の処理の流れが中断され、ユーザにとっての利便性が良くない。また、電子商取引におけるショッピングも実店舗におけるショッピングと変わりなく、ショッピングする楽しみを味わうものであり、一連の手続きの中で個人認証により処理が中断されることはユーザ体験の観点からも好ましくない。
【0012】
本発明の目的は、予約サイトや電子商取引サイトにおける一連の処理の流れをスムーズに進め、優れたユーザ体験が実現できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、表面を有し、ユーザが前記表面に位置指定体を接触または近接させることで情報が入力される入力部と、前記入力部に入力された情報に基づき処理を実行する処理部と、を備える情報処理システムであって、前記入力部が、前記表面における前記位置指定体の位置を検出する位置検出手段と、前記ユーザの生体情報を読み取る読取手段と、を有する情報処理システムを提供する。
【0014】
前記処理部が、前記位置検出手段から取得した前記位置指定体の位置情報に基づき、前記読取手段の読取領域を絞り込み、前記読取領域において前記読取手段を作動させ、前記生体情報を取得してもよい。
【0015】
あるいは、前記処理部が、前記位置検出手段から取得した前記位置指定体の位置情報、および、前記読取手段から取得した生体情報に関連付けられているユーザの属性情報、に基づいて次の処理を実行してもよい。この場会、前記入力部に対向して配置された表示部210をさらに有し、前記処理部は、前記次の処理において、前記位置情報で特定される前記表示部210の該当位置に割り当てられている機能のうち前記属性情報に応じた機能を選択して実行してもよい。
【0016】
前記位置検出手段が、前記読取手段の読み取り精度を低下して機能させるもの、タッチパネル、または、単一または複数の撮像装置であってもよい。この場合、前記読取手段が、前記表面にマトリックス状に配置された検出素子と、前記検出素子を第1方向に接続する第1ラインと、前記検出素子を前記第1方向とは異なる第2方向に接続する第2ラインと、を有するものであり、前記第1ライン、前記第2ライン、または、前記第1ラインおよび第2ラインの双方を間引いて機能させることで、前記読取手段を前記位置検出手段として機能させてもよい。あるいは、前記位置検出手段が、複数の撮像装置であり、前記複数の撮像装置の其々は、前記表面における異なる領域を其々撮像するものであってもよい。
【0017】
前記生体情報が、前記ユーザの指紋、脈紋、顔、虹彩および声紋から選択された単一または複数の生体部位に対応するパターンまたは特徴量であってもよい。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】情報処理システム100を示した概念図である。
【
図3】入力部110の一部を拡大して示した図である。
【
図4】情報処理システム100の機能を説明するための図である。
【
図5】情報処理システム100の機能を説明するための図である。
【
図7】入力部110のさらに他の例を示した図である。
【
図8】情報処理システム200を示した概念図である。
【
図9】情報処理システム200の処理を示したフロー図である。
【
図10】情報処理システム200の表示例を示した図である。
【
図11】情報処理システム200の表示例を示した図である。
【
図12】情報処理システム200の処理を示したフロー図である。
【
図13】情報処理システム200の表示例を示した図である。
【
図14】情報処理システム200の表示例を示した図である。
【
図15】情報処理システム200の処理を示したフロー図である。
【
図16】情報処理システム200の表示例を示した図である。
【
図17】情報処理システム200の表示例を示した図である。
【
図18】情報処理システム200の処理を示したフロー図である。
【
図19】情報処理システム200の表示例を示した図である。
【
図20】情報処理システム200の表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、情報処理システム100を示した概念図である。情報処理システム100は、入力部110と、処理部160とを有し、入力部110は、位置検出手段112および生体情報読取手段114を有する。
【0022】
入力部110は、表面を有し、ユーザが当該表面に指等の位置指定体を接触または近接させることで情報が入力される。位置検出手段112は、表面における位置指定体の位置を検出し、生体情報読取手段114は、ユーザの生体情報を読み取る。処理部160は、入力部110に入力された情報に基づき処理を実行する。
【0023】
たとえば、ユーザが、領域Aにたとえば指(位置指定体)を近づけ、あるいは接触させた場合、位置検出手段112が領域Aを検出し、検出した領域Aの位置情報を処理部160に伝える。また、領域Aに近づけ、あるいは接触した指の指紋等ユーザの生体から、生体情報読取手段114が生体情報を読み取り、読み取った生体情報を処理部160に伝える。ユーザが領域Bに指を近づけ又は接触した場合は、領域Bの位置情報を処理部160に伝え、同時にユーザの生体情報を処理部160に伝える。
【0024】
図2は、入力部110の一例を示した図であり、
図3は、入力部110の一部を拡大して示した図である。
図2および
図3に示す入力部110は、位置検出手段112および生体情報読取手段114の一例として示すものであり、位置検出手段112として、生体情報読取手段114の読み取り精度を低下して機能させるものを例示する。
【0025】
入力部110は、検出素子形成領域120と、垂直ドライバ形成領域122、124と、信号読み出し回路形成領域126とを有し、垂直ドライバ形成領域122、124は、それぞれ検出素子形成領域120の左右に、信号読み出し回路形成領域126は検出素子形成領域120の下に配置されている。なお、上記した左右あるいは上下との表記は、
図2における方向表記であり、実際の物における方向を意味するものではない。
【0026】
検出素子形成領域120には、検出素子120a、第1ライン120bおよび第2ライン120cが形成されている。垂直ドライバ形成領域122、124にはそれぞれ垂直ドライバ122a、124aが形成され、信号読み出し回路形成領域126には信号読み出し回路126aが形成されている。
【0027】
検出素子120aは、入力部110の表面にマトリックス状に配置されており、たとえば感光薄膜トランジスタ(photosensitive thin-film transistor)が例示できる。個人認証に必要な解像度の指紋画像データを得るには、検出素子120aは、たとえば50μm程度のピッチで配置することが好ましい。
【0028】
第1ライン120bは、検出素子120aを第1方向に接続し、第2ライン120cは、検出素子120aを第1方向とは異なる第2方向に接続する。たとえば、
図3に示すように、第1ライン120bは、水平方向一列の検出素子120aのゲート電極を相互に接続し、垂直ドライバ122aに接続される。また、第1ライン120bは、水平方向一列の検出素子120aのソース電極(またはドレイン電極)を相互に接続し、垂直ドライバ124aに接続される。第2ライン120cは、垂直方向一列の検出素子120aのドレイン電極(またはソース電極)を相互に接続し、信号読み出し回路126aに接続される。
【0029】
図4および
図5は、情報処理システム100の機能を説明するための図である。情報処理システム100において、処理部160は、位置検出手段112から取得した位置指定体の位置情報に基づき、生体情報読取手段114の読取領域を絞り込み、絞り込んだ読取領域において生体情報読取手段114を作動させ、生体情報を取得する。すなわち、ユーザが位置指定体である指を領域Aに接触させたとき、位置検出手段112により領域Aを特定し、生体情報読取手段114の読取領域を領域Aに絞り込み、領域Aにおいて生体情報読取手段114を作動させ、生体情報を取得する。
【0030】
たとえば、処理部160が位置検出手段112により位置指定体(たとえばユーザの指)の位置情報を得る段階では、
図4に示すように、第1ライン120bを間引いた水平粗ライン128および第2ライン120cを間引いた垂直粗ライン130についてのみ検出素子120aを作動させ、位置情報である領域Aを取得する。次いで、領域Aにおける第1ライン132および領域Aにおける第2ライン134を作動させ、領域Aにおける詳細な指紋画像データを取得する。すなわち、第1ライン120bおよび第2ライン120cを間引いて機能させることで、生体情報読取手段114を位置検出手段112として機能させることができる。
【0031】
このように、第1ライン120bおよび第2ライン120cを間引いて機能させることで生体情報読取手段114を位置検出手段112として機能させ、位置検出手段112で絞り込んだ領域において詳細な指紋画像データを得ることで、個人認証に必要な解像度の画像データを大きな面積領域の任意の位置において、明瞭かつ短時間に取得することができる。また、個人認証に必要な詳細な画像データは必要な領域のみで取得されるので、個人認証のための画像データの取得が、無駄なく効率よく実行することができる。
【0032】
上記の場合、検出素子形成領域120に形成された検出素子120a、第1ライン120bおよび第2ライン120c、垂直ドライバ形成領域122、124に形成された垂直ドライバ122a、124a、信号読み出し回路形成領域126に形成された信号読み出し回路126aは、生体情報読取手段114であり、その一部は位置検出手段112でもある。位置検出手段112は、生体情報読取手段114の読み取り精度を低下して機能させるものといえる。
【0033】
なお、上記処理部160の動作において、第1ライン120bおよび第2ライン120cの双方を間引いた例を説明したが、第1ライン120bまたは第2ライン120cの一方のみを間引いて機能させてもよい。
【0034】
図6は、入力部110の他の例を示した図である。
図6に示す入力部110は、位置検出手段112としてタッチパネル140を有する。タッチパネル140によりユーザの指等位置指定体の位置を検出し、当該位置に絞り込んで生体情報を読み取ることができる。この場合、検出素子形成領域120に形成された検出素子120a、第1ライン120bおよび第2ライン120c、垂直ドライバ形成領域122、124に形成された垂直ドライバ122a、124a、信号読み出し回路形成領域126に形成された信号読み出し回路126aは、生体情報読取手段114である。
【0035】
図7は、入力部110のさらに他の例を示した図である。
図7に示す入力部110は、位置検出手段112として複数の撮像装置150を有する。複数の撮像装置150の其々は、入力部110の表面における異なる領域152を其々撮像する。複数の撮像装置150に対応した領域152の何れにユーザの指等位置指定体が位置するかを検出することで、位置指定体の位置を検出することができ、当該位置に絞り込んで生体情報を読み取ることができる。
【0036】
なお、検出素子形成領域120に形成された検出素子120a等を生体情報読取手段114とすることができるが、撮像装置150によって撮影された画像データを生体情報取得用の指紋画像データに用いることもできる。この場合、撮像装置150は生体情報読取手段114でもある。撮像装置150を生体情報読取手段114として用いる場合、指等を接触させるプリズムを備えることが好ましい。また、ここでは撮像装置150が複数の場合を例示したが、撮像装置150の撮影方向および焦点深度等を調整することで入力部110の全域がカバーできる場合は、単一の撮像装置150であってもよい。
【0037】
(実施の形態2)
図8は、情報処理システム200を示した概念図である。情報処理システム200は、表示部210を備える他、実施の形態1の情報処理システム100と同様の構成を有する。情報処理システム100と同様の構成については説明を省略する。
【0038】
表示部210は、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置等の表示装置であり、入力部110に対向して配置されている。入力部110は、透明または半透明であり、ユーザは、入力部110を透して表示部210の表示内容を視認できる。
【0039】
処理部160は、実施の形態1で説明した機能に加え、表示部210を制御する機能を備える。また、処理部160は、位置検出手段112から取得した位置指定体の位置情報、および、生体情報読取手段114から取得した生体情報に関連付けられているユーザの属性情報、たとえばユーザの認証情報に基づいて次の処理を実行する。たとえば、処理部160は、次の処理において、位置情報で特定される表示部210の該当位置に割り当てられている機能(たとえばショッピングサイトにおける商品選択やチケット予約サイトにおける座席選択機能)のうち属性情報に応じた機能(たとえばユーザ認証に応じた決済処理)を選択して実行する。以下、具体的な例を説明する。
【0040】
図9、12、15および18は、情報処理システム200の処理を示したフロー図である。
図10、11、13、14、16、17、19および20は、情報処理システム200の表示例を示した図である。
【0041】
情報処理システム200において、処理を開始すると(S220)、
図10に示すようにログイン画面が表示され(S222)、たとえば領域Aにユーザが指を接触させることでタッチ検出および指紋認証が実行される(S224)。指紋認証によりユーザが認証されると(S226)、
図11に示すようなメニュー画面が表示され(S228)、認証されない場合はS222のログイン画面に戻る。
図11のメニュー画面には、たとえば「フォルダ」、「ショッピング」、「座席予約」のメニューが表示され、ユーザのメニュー選択(S230)に応じて、フォルダ処理(S232)、ショッピング処理(S234)、座席予約処理(S236)に分岐する。そして、各処理の実行後、処理を終了する(S238)。
【0042】
ユーザのメニュー選択は、たとえばユーザの指を各メニュー領域に接触させることで実行され、
図11に示すように、たとえば接触した領域Aがフォルダ処理の表示領域である場合、フォルダ処理が選択される。
【0043】
図12は、フォルダ処理が選択された場合の処理フローの一例である。フォルダ処理が開始されると(S240)、
図13に示すように、フォルダ選択画面が表示され(S242)、たとえば領域Aにユーザが指を接触させることでタッチ検出が実行される(S244)。選択されたフォルダがユーザの専用フォルダであるかが判断され(S246)、専用フォルダである場合は指紋認証(S248)が実行される。指紋認証において認証がパスするかどうかが判断され(S250)、認証がパスした場合には
図14に示すように、選択した専用Aのフォルダが開き(S252)、認証がパスしない場合は処理を終了する(S258)。S246で専用フォルダでないと判断された場合、共用フォルダであるかが判断され(S254)、共用フォルダである場合は選択フォルダが開き(S256)、そうでない場合は処理を終了する(S258)。
【0044】
図12のフローによれば、ユーザが指で接触(フォルダ選択)する一つの動作で、フォルダの選択および個人認証取得のための画像データ取得が同時に行えるので、専用フォルダの場合であっても、ユーザに個人認証のためのデータ入力等を要求することなく、処理を実行できる。この結果、ユーザから見た処理の流れは極めてスムーズであり、良好なユーザ体験を提供することができる。
【0045】
図15は、ショッピング処理が選択された場合の処理フローの一例である。ショッピング処理が開始されると(S260)、
図16に示すように、商品選択画面が表示され(S262)、たとえば領域Aにユーザが指を接触させることでタッチ検出および指紋認証が実行される(S264)。指紋認証において、認証がパスするかどうかが判断され(S266)、認証がパスした場合、タッチ位置の商品が選択され(S268)、商品購入処理および決済処理が実行される(S270)。その後、
図17に示すように、購入確認画面が表示され(S272)、処理を終了する(S274)。S266で認証がパスしないと判断された場合、処理を終了する(S274)。
【0046】
以上のように、ユーザが指で接触(商品選択)する一つの動作で、商品選択および個人認証取得のための画像データ取得が同時に行えるので、商品購入の際の決済処理においてユーザ認証のためのデータ入力等を要求することなく、処理を実行できる。この結果、ユーザから見た処理の流れは極めてスムーズであり、良好なユーザ体験を提供することができる。
【0047】
図18は、予約処理が選択された場合の処理フローの一例である。予約処理が開始されると(S276)、
図19に示すように、座席選択画面が表示され(S278)、たとえば領域Aにユーザが指を接触させることでタッチ検出および指紋認証が実行される(S280)。指紋認証において、認証がパスするかどうかが判断され(S282)、認証がパスした場合、タッチ位置の座席「B9」が選択され(S284)、座席予約処理および決済処理が実行される(S286)。その後、
図20に示すように、予約確認画面が表示され(S288)、処理を終了する(S290)。S282で認証がパスしないと判断された場合、処理を終了する(S290)。
【0048】
以上のように、ユーザが指で接触(座席選択)する一つの動作で、座席選択および個人認証取得のための画像データ取得が同時に行えるので、座席予約の際の決済処理においてユーザ認証のためのデータ入力等を要求することなく、処理を実行できる。この結果、ユーザから見た処理の流れは極めてスムーズであり、良好なユーザ体験を提供することができる。
【0049】
以上の通り、実施の形態2の情報処理システム200によれば、個人専用ファイルへのアクセスや商品購入、座席予約の際、個人認証のためのデータ入力がユーザに要求されることがないので、ファイル操作、予約サイトや電子商取引サイトにおける一連の処理の流れをスムーズに進め、優れたユーザ体験を実現することができる。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0051】
たとえば、上記した実施の形態では、位置指定体として、ユーザの指を例示しているが、これに限られない。また、生体認証用の生体としてユーザに指紋を例示しているが、これに限られない。たとえば、生体情報として、ユーザの指紋、脈紋、顔、虹彩および声紋から選択された単一または複数の生体部位に対応するパターンまたは特徴量を用いることができる。
【0052】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム(、プログラム)および方法における動作、手順、ステップおよび段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書および図面中の動作フローに関して便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0053】
100…情報処理システム、110…入力部、112…位置検出手段、114…生体情報読取手段、120…検出素子形成領域、120a…検出素子、120b…第1ライン、120c…第2ライン、122,124…垂直ドライバ形成領域、122a,124a…垂直ドライバ、126…信号読み出し回路形成領域、126a…信号読み出し回路、128…水平粗ライン、130…垂直粗ライン、132…領域Aにおける第1ライン、134…領域Aにおける第2ライン、140…タッチパネル、150…撮像装置、152…領域、160…処理部、200…情報処理システム、210…表示部。