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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】葛花及びルイボスを含有する食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20230907BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20230907BHJP
【FI】
A23L5/00 K
A23L33/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019208129
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021078402
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】上田 英輝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 維子
(72)【発明者】
【氏名】神谷 智康
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-156854(JP,A)
【文献】特開2017-141199(JP,A)
【文献】特開2017-141201(JP,A)
【文献】特開2017-145235(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103918820(CN,A)
【文献】特開2019-180352(JP,A)
【文献】特開2006-262889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00
A23L 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
葛花乾燥粉末とルイボス乾燥粉末とを含有することを特徴とする食品。
【請求項2】
葛花乾燥粉末は、水分量が8重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の食品。
【請求項3】
葛花乾燥粉末は、目開き2mmの篩を通過する画分の割合が20重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葛花及びルイボスを含有する食品に関する。
【背景技術】
【0002】
葛は、マメ科の蔓性の植物であり、その根から採取される葛澱粉は、古くから和菓子の原料として用いられている。また、その根および花は、それぞれ葛根および葛花と称され、中国において古くから解熱剤や下痢止め、アルコール中毒などに効くとして利用されてきた。
【0003】
葛花としては、溶媒を用いて抽出した葛花抽出物(葛花エキス)が広く使用されている。葛花抽出物を用いるものとしては、例えば、葛花抽出物と、枳殻及び陳皮よりなる群から選択された一つ以上の抽出物とを含む更年期症状予防又は改善用食品組成物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-197519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、葛花抽出物は、抽出処理が必要であり、製造工程が増え、製造が煩雑となるという問題があった。また、葛花抽出物は独特の香味(味及び香り)があり、そのまま食したり、幅広い食品に配合するには適したものとはいえなかった。
【0006】
本発明の課題は、香味の良好な、葛花を含有する食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、葛花を用いた食品について研究する中で、葛花抽出物の独特の香味を改善すべく、葛花乾燥粉末を用いることに着目した。すなわち、葛花乾燥粉末は、葛花抽出物に比して、食品として良好な香味を有することを知見した。本発明者らは、この葛花乾燥粉末についてさらに研究した結果、葛花乾燥粉末に、ルイボス乾燥粉末を配合することにより、さらに香味の良好な食品を得ることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1] 葛花乾燥粉末とルイボス乾燥粉末とを含有することを特徴とする食品。
[2] 葛花乾燥粉末は、水分量が8重量%以下であることを特徴とする[1]記載の食品。
[3] 葛花乾燥粉末は、目開き2mmの篩を通過する画分の割合が20重量%以上であることを特徴とする[1]又は[2]記載の食品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の食品は、味、香りが良好である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の食品は、葛花乾燥粉末とルイボス乾燥粉末とを含有することを特徴とする。葛花乾燥粉末に、ルイボス乾燥粉末を配合することにより、香味を向上させることができる。また、経時的な色の変化が抑制され、良好な外観を維持することができる。
【0011】
以下、本発明の組成物に含まれる各素材について説明する。
[葛]
葛は、マメ科クズ属のつる性の多年草植物であり、本発明においては、葛の花を用いる。本発明における葛花としては、蕾から全開した花までのいずれの過程で採取したものを用いてもよく、各過程で採取したものを混合して用いることもできる。葛の種類としては、特に制限はないが、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)、プエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)、プエラリア・スンバーギアナ(Pueraria thunbergiana)等を例示することができ、入手のしやすさや各種効果の観点から、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)が好ましい。
【0012】
本発明における葛花乾燥粉末は、採取した葛花を乾燥し粉砕した粉末であり、抽出物(エキス)又は搾汁の乾燥粉末は含まない。具体的に例えば、採取した葛花を洗浄、乾燥して乾燥葛花とした後に、粉砕して葛花乾燥粉末としたものを挙げることができる。
【0013】
葛花乾燥粉末は、葛花抽出物に比べて味、香りが良好で、食品として適している。葛花乾燥粉末は、水分量が8重量%以下であることが好ましい。水分量が8重量%以下であることにより、以下の効果を有する。
(1)良好な味、香りが長期にわたって保持され、長期間保存することが可能となり、十分な賞味期限を確保することができるため、食品として用いることに適している。
(2)葛花乾燥粉末をそのまま摂取した際に良好な風味を呈するため、(水などに懸濁せず)そのまま摂取する食品(粉末食品、錠剤など)として用いることに適している。
(3)水(湯)等に分散しやすいため、粉末飲料(インスタント飲料)として用いることにも適している。
(4)水(湯)等に対するテクトリゲニン類(葛花の有用成分)の溶出量が多いことから、ティーバッグ飲料として用いることにも適している。
【0014】
葛花乾燥粉末の水分量としては特に限定されないが、風味や溶出性の観点から、3重量%以上であることが特に好ましい。
【0015】
本発明における葛花乾燥粉末の粒度分布(重量基準)としては、香味、分散性、又はテクトリゲニン類の溶出の観点から、目開き2mm好ましくは1.18mmの篩を通過する画分の割合が5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがより一層好ましく、50重量%以上であることがさらに好ましく、70重量%以上であることがさらに一層好ましく、80重量%以上であることが特に好ましい。また、上記画分は、さらに目開き0.25mm、好ましくは0.15mmの篩を通過しない画分であることが好ましい。すなわち、例えば、上記画分としては、目開き2mmを通過し、目開き0.25mmを通過しない画分や、目開き1.18mmを通過し、目開き0.15mmを通過しない画分を挙げることができる。
【0016】
目開き2mmを通過し、目開き0.25mmを通過しない画分の割合の下限値としては、特に制限されないが、香味、分散性、又はテクトリゲニン類の溶出の観点から、1.5重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることがより一層好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましく、50重量%以上であることがさらに一層好ましく、65重量%以上であることが特に好ましい。目開き2mmを通過し、目開き0.25mmを通過しない画分の割合の上限値としては、特に制限されないが、香味、分散性、又はテクトリゲニン類の溶出の観点から、99重量%以下であることが好ましく、98重量%以下であることがより好ましく、95重量%以下であることがより一層好ましく、94重量%以下であることがさらに好ましく、93重量%以下であることがさらに一層好ましく、92重量%以下であることが特に好ましい。
【0017】
また、目開き1.18mmを通過し、目開き0.15mmを通過しない画分の割合の下限値としては、特に制限されないが、香味、分散性、又はテクトリゲニン類の溶出の観点から、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがより一層好ましく、40重量%以上であることがさらに好ましく、60重量%以上であることがさらに一層好ましく、70重量%以上であることが特に好ましい。目開き1.18mmを通過し、目開き0.15mmを通過しない画分の割合の上限値としては、特に制限されないが、香味、分散性、又はテクトリゲニン類の溶出の観点から、99.5重量%以下であることが好ましく、99重量%以下であることがより好ましく、98重量%以下であることがより一層好ましく、97重量%以下であることがさらに好ましく、96重量%以下であることがさらに一層好ましく、95重量%以下であることが特に好ましい。
【0018】
また、本発明における葛花乾燥粉末の粒子径(メジアン径(重量基準))の上限値としては、香味、分散性、又はテクトリゲニン類の溶出の観点から、2mm以下が好ましく、1.65mm以下がより好ましく、1mm以下が特に好ましい。0.15~1.65mmであることが好ましく、0.18~1.65mmであることがより好ましく、0.25~1.00mmであることがより一層好ましく、0.30~0.90mmであることがさらに好ましく、0.35~0.80mmであることがさらに一層好ましく、0.38~0.70mmであることが特に好ましい。
上記粒度分布及びメジアン径は、例えば、株式会社セイシン企業製のロボットシフターを用いて測定することができる。
【0019】
また、本発明における葛花乾燥粉末のゆるめ嵩密度としては、粉末飲料やティーバッグ飲料のような粉末食品を製造する場合における充填しやすさの観点から、0.2g/mL以上であることが好ましい。
【0020】
また、本発明における葛花乾燥粉末の圧縮度は、葛花乾燥粉末を含む粉末飲料やティーバッグ飲料のような粉末食品を製造する場合における充填しやすさの観点から、11%以上であることが好ましい。なお、圧縮度とは、かため嵩密度とゆるめ嵩密度の差から算出される数値である。
【0021】
なお、ゆるめ嵩密度は、所定容量の容器に葛花乾燥粉末を充填し、上部をすり切りその重量を測定して求めたものをいう。また、かため嵩密度は、所定容量の容器に葛花乾燥粉末を充填し、180回タッピングを行った後、上部をすり切りその重量を測定して求めたものをいう。
【0022】
本発明における葛花乾燥粉末の比表面積(ヘリウム吸着BET法)としては、香味、分散性、及びテクトリゲニン類の溶出の観点から、0.3m/g以上であることが好ましく、0.4m/g以上であることがより好ましく、0.5m/g以上であることがより一層好ましく、0.6m/g以上であることがさらに好ましく、0.65m/g以上であることがさらに一層好ましく、0.7m/g以上であることが特に好ましい。
【0023】
本発明における葛花乾燥粉末の安息角の下限値としては、31度以上であることが好ましく、44度以上であることがより好ましく、45度以上であることがより一層好ましく、46度以上であることがさらに好ましく、47度以上であることが特に好ましい。本発明における葛花乾燥粉末の安息角の上限値としては、65度以下であることが好ましく、55度以下であることがより好ましく、53度以下であることがより一層好ましく、52度以下であることがさらに好ましく、51度以下であることがさらに一層好ましく、50度以下であることが特に好ましい。安息角は、例えば、株式会社セイシン企業製のマルチテスターMT1000を用いて測定することができる。
【0024】
葛花乾燥粉末は、テクトリゲニン類等のイソフラボンを含む。葛花乾燥粉末におけるテクトリゲニン類の含有量としては、例えば、1~25重量%であることが好ましく、3~20重量%であることがより好ましく、5~15重量%であることが特に好ましい。
【0025】
葛花乾燥粉末をティーバッグに配合して抽出する場合には、ティーバッグ1袋に熱湯(沸騰したお湯)300mLを注ぎ3分間静置した後、10回上下させてからティーバッグを取り出した際の抽出液(300mL)に含まれるテクトリゲニン類の量が10mg以上であることが好ましく、15mg以上であることがより好ましく、20mg以上であることがさらに好ましく、22mg以上であることが特に好ましい。ティーバッグに配合する葛花乾燥粉末の量としては特に制限されないが、0.1~3gが好ましく、0.3~2.5gがより好ましく、0.5~2gが特に好ましい。
【0026】
[ルイボス]
ルイボスは、南アフリカ共和国のセダルバーグ山脈一帯等で栽培されるマメ科アスパラトゥス属に属する植物であって、針葉樹様の葉を有する植物である。本発明におけるルイボスとしては、通常、茶として用いられる葉、枝を用いる。また、発酵等の処理を施したものを用いてもよい。
【0027】
本発明におけるルイボス乾燥粉末は、採取した葉、枝等を乾燥、微粉砕加工した粉末であり、抽出物(エキス)又は搾汁の乾燥粉末は含まない。具体的に例えば、採取したルイボスの葉、枝を洗浄、乾燥させた後に、粉砕してルイボス乾燥粉末としたものを挙げることができる。
【0028】
本発明の食品における葛花乾燥粉末及びルイボス乾燥粉末の配合比としては、香味を向上させる観点及び経時的な色の変化を抑制する観点から、葛花乾燥粉末:ルイボス乾燥粉末=1:0.01~100が好ましく、1:0.1~10がより好ましく、1:0.5~5がさらに好ましく、1:1~3がよりさらに好ましく、1:1.5~3が最も好ましい。
【0029】
本発明の食品における葛花乾燥粉末及びルイボス乾燥粉末の配合量としては、例えば食品全量の0.01~100重量%である。粉末飲料やティーバッグ飲料として用いる場合には、葛花乾燥粉末及びルイボス乾燥粉末は、香味を向上させる観点及び経時的な色の変化を抑制する観点から、食品全量の10重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、90重量%以上であることが特に好ましい。ティーバッグ飲料として用いる場合には、香味を向上させる観点及び経時的な色の変化を抑制する観点から、葛花乾燥粉末及びルイボス乾燥粉末のみを含むティーバッグ飲料であってもよい。
【0030】
上記のように、葛花乾燥粉末は、体脂肪の低減に有効なテクトリゲニン類等のイソフラボンを含むことから、葛花乾燥粉末を含有する本発明の食品は、一般の食品の他、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等として用いることができる。例えば、本発明の食品は、体脂肪低減用食品等の肥満改善用食品(ダイエット用食品)として用いることができる。かかる本発明の肥満改善用食品としては、葛花乾燥粉末とルイボス乾燥粉末とを含有し、肥満改善に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、体脂肪低減機能等の肥満改善に関わる機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の肥満改善用食品は、製品の包装等に、葛花が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の肥満改善用食品の範囲に含まれる。
【0031】
具体的に、いわゆる健康食品においては、「脂肪の吸収を抑える」、「体重が気になる方へ」、「肥満気味の方の体重、体脂肪を減らすことを助ける」、「肥満気味な方の内臓脂肪(おなかの脂肪)とBMIを減らすのを助ける」、「内臓脂肪が気になる方に」、「高めのBMIを低下させる(改善する)」、「高めのBMIが気になる方に」、「脂肪を消費しやすくする」、「スタイルをサポート」等を表示したものを例示することができる。
【0032】
本発明の健康食品の摂取量としては特に制限はないが、その作用を一層高める点から、そのまま摂取する食品の場合には、成人の1日当たり、葛花乾燥粉末の摂取量が、0.1mg以上となるように摂取することが好ましく、10mg以上となるように摂取することがより好ましく、50mg以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、5000mgであり、好ましくは3000mgであり、より好ましくは2000mgである。ティーバッグ飲料のようにお湯等によって抽出して摂取する食品の場合には、成人の1日当たり、葛花乾燥粉末の摂取量(ティーバッグに含まれる量)が、0.01mg以上となるように摂取することが好ましく、1mg以上となるように摂取することがより好ましく、100mg以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、5000mgであり、好ましくは3000mgであり、より好ましくは2000mgである。
【0033】
本発明の健康食品は、1日の摂取量が前記摂取量となるように適宜設計すればよく、1回で摂取してもよいし、複数回に分けて摂取してもよい。例えば、1日あたり1~4回の摂取回数とし、合計量として前記摂取量が摂取できればよい。本発明の健康食品は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0034】
本発明の食品の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、カプレット状、チュアブル錠状、スティック状、ゼリー状等を挙げることができる。これらの中でも、健康食品の場合は、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、丸状、チュアブル錠状の形態が好ましい。
【0035】
粉末状又は顆粒状の場合、粉末飲料やティーバッグ飲料として用いることができる。ティーバッグ飲料の場合、葛花乾燥粉末は水(湯)等に対するテクトリゲニン類(葛花の有用成分)の溶出量が多いことから、体脂肪低減効果等を有効に得ることができる。
【0036】
本発明の食品は、必要に応じて葛花乾燥粉末及びルイボス乾燥粉末以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。他の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)等のビタミン類;マグネシウム、リン、亜鉛、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【0037】
また、特に、本発明の食品を粉末飲料やティーバッグ飲料として用いる場合、葛花乾燥粉末及びルイボス乾燥粉末以外の他の植物素材を配合してもよく、植物としては、例えば、キャットニップ、ヒソップミルクシスル、ヤロウ、チコリ等を挙げることができる。
【実施例
【0038】
1.官能試験
【0039】
<試料の作製>
各試料を以下のようにして作製し、各試料を表1に示す割合で混合した。
(葛花乾燥粉末)
収穫した葛の花を天日乾燥および熱風乾燥により乾燥させ(水分量3.2%)、粉砕して、乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末のメジアン径(重量基準)は0.4mm、目開き2mmの篩を通過する画分の割合は約99%、目開き2mmの篩を通過し、目開き0.25mmの篩を通過しない画分の割合は約74%であった。
(葛花エキス末)
収穫した葛の花を熱水で抽出し、乾燥させてエキス末を得た。
(ルイボス乾燥粉末)
収穫したルイボスの葉を発酵させ、その後天日乾燥および熱風乾燥により乾燥させ、粉砕して、乾燥粉末を得た。
(ルイボスエキス末)
発酵させたルイボスの葉を熱水で抽出し、乾燥させてエキス末を得た。
(ハトムギ乾燥粉末)
収穫したハトムギの実を加熱乾燥させ、粉砕して、乾燥粉末を得た。
【0040】
【表1】
【0041】
<官能試験の実施>
葛花乾燥粉末等を詰めたティーバッグを熱湯で抽出し、官能試験の経験のある5名の被験者に摂取させ、評価した。具体的には、まず、表1に示すように、2.1gの葛花乾燥粉末等をティーバッグに詰めた(対照例、実施例1及び比較例1~3)。ティーバッグに熱湯300mLを注ぎ、3分間静置した後、10回程度上下させ、取り出した。試験カップに茶30mL程度を移し、摂取中の美味しさ等の項目を評価した。評価は、対照例と比較した以下の基準にて点数を付けた。その結果を表2に示す。
【0042】
3点 非常に良い
2点 良い
1点 どちらかといえば良い
0点 変わらない
-1点 どちらかといえば悪い
-2点 悪い
-3点 非常に悪い
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示すように、葛花乾燥粉末及びルイボス乾燥粉末の組合せ(実施例1)は、葛花エキス末及びルイボスエキス末の組合せ(対照例)と比較して、いずれの項目においても優れていた。この結果は、葛花乾燥粉末(比較例1)やルイボス乾燥粉末(比較例2)との差異も大きく、両者を配合することにより、相乗的に香味が向上することが理解できる。葛花乾燥粉末及びハトムギ乾燥粉末の組合せ(比較例3)は、香味の点で劣っていた。
なお、実施例1のティーバッグについて、上記方法によって抽出した抽出液(300mL)には、テクトリゲニン類が22mg以上含まれていた。
【0045】
2.色差試験
<試料の作製>
各試料は、上記官能試験と同様に作製した。
【0046】
<色差試験の実施>
下記表3に示す8群(実施例2、比較例5~9)を6日間室温で放置した際の、色の変化を分光色差計(「CM-3500d」ミノルタ株式会社製)にて測定した。色差の値が大きいほど、色が変化していることを示す。
【0047】
【表3】
【0048】
表3に示すように、葛花乾燥粉末とルイボス乾燥粉末の組合せ(実施例2)は、エキス同士での組み合わせ(比較例5)よりも色の変化が少なく安定していた。また、葛花乾燥粉末とルイボス乾燥粉末の組合せ(実施例2)は、葛花乾燥粉末のみ(比較例6)やルイボス乾燥粉末のみ(比較例7)よりも色の変化が少なかった。
一方、大麦乾燥粉末やハトムギ乾燥粉末は、葛花乾燥粉末と組み合せても、色の変化は抑制されず、むしろ増加していた(比較例8及び9)。
【0049】
3.官能試験(葛花単独試験)
3-1.水分量による比較
<葛花乾燥粉末の作製>
収穫した葛の花を天日乾燥および熱風乾燥により乾燥させた。熱風乾燥においては、それぞれ所定の水分量となるように、乾燥時間を調整した。乾燥後の葛の花(乾燥葛花)について、メジアン径(重量基準)が0.4mm程度、目開き2mmの篩を通過する画分の割合が90%以上、目開き2mmの篩を通過し、目開き0.25mmの篩を通過しない画分の割合が70~81%となるように粉砕条件を調整して、メジアン径及び粒度分布が同程度である参考例1~5の葛花乾燥粉末を製造した。製造後、常温(25℃)にて1カ月以上保存して試験を実施した。参考例1~5の水分量を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
<官能試験の実施>
参考例1~5について、以下に記載する方法によって官能試験を実施し、風味等の評価を行った。
【0052】
(1)試験カップの葛花乾燥粉末1gを8名の被験者に摂取させ、味の強さ等の項目を評価した。評価は、参考例5との比較による以下の基準にて点数を付けた。その結果を表5に示す。
【0053】
3点 非常に良い
2点 良い
1点 どちらかといえば良い
0点 変わらない
-1点 どちらかといえば悪い
-2点 悪い
-3点 非常に悪い
【0054】
【表5】
【0055】
(2)葛花乾燥粉末を詰めたティーバッグを熱湯で抽出し、6名の被験者に摂取させ、評価した。具体的には、まず、1.7gの葛花乾燥粉末をティーバッグに詰めた。ティーバッグに熱湯300mLを注ぎ、3分間静置した後、10回程度上下させ、取り出した。試験カップに茶30mL程度移し、摂取時の甘味、コク、摂取後における口の中のねばつき、口内の不快感を評価した。評価基準は、上記(1)と同様である。その結果を表6に示す。
【0056】
【表6】
【0057】
葛花乾燥粉末は水分量8重量%以上でも風味等に優れているが、表5及び6から、葛花乾燥粉末の水分量を8重量%以下に調整することにより、風味等にさらに優れた葛花乾燥粉末を得られることが分かった(参考例1~4)。特に、水分量が3~8重量%の葛花乾燥粉末は、風味や甘味等が著しく優れていた(参考例2~4)。なお、葛花抽出物を用いた場合には、水分量が同じであっても、葛花乾燥粉末に比べて風味や味が悪かった。
【0058】
[配合実施例1]
参考例1~5のいずれかの葛花乾燥粉末0.5gをルイボス乾燥粉末2gと混合してティーバッグに詰めた。得られたティーバッグを用いた飲料は、いずれも味等(摂取時の甘味やコク、摂取後の口の中のねばつき、口内の不快感)が良好であり、経時的な色の変化も抑制される。中でも、参考例1~4のいずれかの葛花乾燥粉末を用いたティーバッグは味等に優れ、経時的な色の変化も抑制され、とりわけ、参考例2~4のいずれかの葛花乾燥粉末を用いたティーバッグは、味等に優れ、経時的な色の変化も抑制される。また、これらの飲料を1日あたり1回摂取することで、優れた体脂肪低減効果等が得られる。
【0059】
3-2.メジアン径(重量基準)による比較
<葛花乾燥粉末の作製>
収穫した葛の花を天日乾燥および熱風乾燥により乾燥させた。熱風乾燥においては、それぞれ所定の水分量となるように、乾燥時間を調整して実施した。乾燥後の葛の花(乾燥葛花)について粉砕条件を調整して粉砕処理を行い、篩によって分画することにより、水分量3.2重量%であり、かつ、メジアン径の異なる参考例6~9の葛花乾燥粉末を作製した。参考例6~9のメジアン径を表7に示す。
【0060】
【表7】
【0061】
<官能試験の実施>
被験者5名により、葛花乾燥粉末1gを入れた試験カップに鼻を近づけて香りの甘さを評価した。その後、カップから葛花乾燥粉末をつまんで摂取し、後味を評価した。摂取後、口腔内に残った香りを評価した。評価基準は、上記3-1(1)と同様である。その結果を表8に示す。
【0062】
【表8】
【0063】
表8に示すように、メジアン径が0.17mmの葛花乾燥粉末(参考例6)に比べて、メジアン径が0.18mm以上の葛花乾燥粉末(参考例7~9)は、摂取時の後味が優れていた。特に、メジアン径が0.18~1.65mmの葛花乾燥粉末(参考例7及び8)は、さらに、摂取前の香りの甘さ、摂取後の香りにおいても優れていた。
【0064】
[配合実施例2]
参考例6~9のいずれかの葛花乾燥粉末1.2gをルイボス乾燥粉末1.8gと混合して粉末食品を作製した。得られた粉末食品は、いずれも味等(摂取前の香りの甘さ、摂取時の後味、摂取後の香り)が良好であり、経時的な色の変化も抑制される。中でも、参考例7及び8のいずれかの葛花乾燥粉末を用いた粉末食品は味等に優れ、経時的な色の変化も抑制される。また、これらの粉末食品を1日あたり1回摂取することで、優れた体脂肪低減効果等が得られる。
【0065】
3-3.比表面積による比較
<葛花乾燥粉末の作製>
収穫した葛の花を天日乾燥および熱風乾燥により乾燥させた。熱風乾燥においては、それぞれ所定の水分量となるように、乾燥時間を調整して実施した。乾燥後の葛の花(乾燥葛花)について粉砕条件を調整して粉砕処理を行い、篩によって分画することにより、水分量3.2重量%であり、かつ、比表面積の異なる参考例10及び11の葛花乾燥粉末を作製した。参考例10及び11の比表面積を表9に示す。
【0066】
【表9】
【0067】
<官能試験の実施>
被験者5名により、葛花乾燥粉末1gを入れた試験カップに鼻を近づけて香りの甘さを評価した。その後、カップから葛花乾燥粉末をつまんで摂取し、風味、味の濃さ、後味を評価した。摂取後、口腔内に残った香りを評価した。評価基準は、上記3-1(1)と同様である。その結果を表10に示す。
【0068】
【表10】
【0069】
表10に示すように、比表面積が0.5m/g未満の葛花乾燥粉末(参考例10)に比べて、比表面積が0.5m/g以上の葛花乾燥粉末(参考例11)は、摂取前の香りの甘さ、摂取時の風味、味の濃さ及び後味、並びに摂取後の香りが優れていた。
【0070】
[配合実施例3]
参考例10及び11のいずれかの葛花乾燥粉末1.5gをルイボス乾燥粉末1.5gと混合して粉末食品を作製した。得られた粉末食品は、いずれも味等(摂取前の香りの甘さ、摂取時の後味、摂取後の香り)が良好であり、経時的な色の変化も抑制される。中でも、参考例11の葛花乾燥粉末を用いた粉末食品は、味等に優れ、経時的な色の変化も抑制される。また、これらの粉末食品を1日あたり1回摂取することで、優れた体脂肪低減効果等が得られる。
【0071】
3-4.粒度分布による比較
<葛花乾燥粉末の作製>
収穫した葛の花を天日乾燥および熱風乾燥により乾燥させた。熱風乾燥においては、それぞれ所定の水分量となるように、乾燥時間を調整して実施した。乾燥後の葛の花(乾燥葛花)について粉砕条件を調整して粉砕処理を行い、篩によって分画することにより、水分量3.2重量%であり、かつ、粒度分布の異なる参考例12~14の葛花乾燥粉末を作製した。参考例12~14の粒度分布及びメジアン径を表11に示す。
【0072】
【表11】
【0073】
<官能試験の実施>
被験者5名により、葛花乾燥粉末1gを入れた試験カップに鼻を近づけて香りの甘さを評価した。その後、カップから葛花乾燥粉末をつまんで、色の濃さを評価した後、摂取した。摂取後、口腔内に残った香りを評価した。評価基準は、上記3-1(1)と同様である。その結果を表12に示す。
【0074】
【表12】
【0075】
表12に示すように、目開き2mmを通過し、目開き0.25mmを通過しない画分の割合が20重量%以上である葛花乾燥粉末(参考例13及び14)は、当該画分が20重量%未満(参考例12)に比べて、摂取前の香りの甘さ、摂取時の色の濃さ、摂取後の香りが優れていた。
【0076】
[配合実施例4]
参考例12~14のいずれかの葛花乾燥粉末1gをルイボス乾燥粉末2gと混合してティーバッグに詰めた。得られたティーバッグを用いた飲料は、いずれも風味が良好であり、経時的な色の変化も抑制される。中でも、参考例13及び14のいずれかの葛花乾燥粉末を用いたティーバッグは風味に優れ、経時的な色の変化も抑制される。また、これらの飲料を1日あたり1回摂取することで、優れた体脂肪低減効果等が得られる。
【0077】
3-5.安息角による比較
<葛花乾燥粉末の作製>
収穫した葛の花を天日乾燥および熱風乾燥により乾燥させた。熱風乾燥においては、それぞれ所定の水分量となるように、乾燥時間を調整して実施した。乾燥後の葛の花(乾燥葛花)について粉砕条件を調整して粉砕処理を行い、篩によって分画することにより、水分量3.2重量%であり、かつ、安息角の異なる参考例15~18の葛花乾燥粉末を作製した。参考例15~18の安息角を表13に示す。
【0078】
【表13】
【0079】
<官能試験の実施>
被験者5名により、葛花乾燥粉末1gを入れた試験カップに鼻を近づけて香りの甘さを評価した。その後、カップから葛花乾燥粉末をつまんで、色の濃さを評価した後、摂取した。摂取後、口腔内に残った香りを評価した。評価基準は、上記3-1(1)と同様である。その結果を表14に示す。
【0080】
【表14】
【0081】
表14に示すように、安息角が53度以下である葛花乾燥粉末(参考例16~18)は、安息角が54度の葛花乾燥粉末(参考例15)に比べて、摂取時の色の濃さが優れていた。さらに、安息角が45度以上の葛花乾燥粉末(参考例17及び18)は、安息角が44度の葛花乾燥粉末(参考例16)に比べて、摂取前の香りの甘さ及び摂取後の香りも優れていた。
【0082】
[配合実施例5]
参考例15~18のいずれかの葛花乾燥粉末0.7gをルイボス乾燥粉末2.1gと混合してティーバッグに詰めた。得られたティーバッグを用いた飲料は、いずれも風味が良好であり、経時的な色の変化も抑制される。中でも、参考例16~18のいずれかの葛花乾燥粉末を用いたティーバッグは風味に優れ、経時的な色の変化も抑制され、とりわけ、参考例17及び18のいずれかの葛花乾燥粉末を用いたティーバッグは、風味に優れ、経時的な色の変化も抑制される。また、これらの飲料を1日あたり1回摂取することで、優れた体脂肪低減効果等が得られる。
【0083】
4.溶出試験(葛花単独試験)
4-1.水分量による比較(1)
<葛花乾燥粉末の作製>
収穫した葛の花を天日乾燥および熱風乾燥により乾燥させた。熱風乾燥においては、それぞれ所定の水分量となるように、乾燥時間を調整した。乾燥後の葛の花(乾燥葛花)について、メジアン径が0.4mm程度、目開き2mmを通過する画分の割合が90%以上、目開き2mmを通過し、目開き0.25mmを通過しない画分の割合が70~81%となるように粉砕条件を調整して、メジアン径及び粒度分布が同程度である参考例19~21の葛花乾燥粉末を製造した。製造後、常温(25℃)にて1カ月以上保存して試験を実施した。参考例19~21の水分量を表15に示す。
【0084】
【表15】
【0085】
<溶出試験の実施>
1.5mLチューブに葛花乾燥粉末100mgを量り取り、純水1mLを加えて30秒間ボルテックスして遠心後の上清について、465nmの吸光度を測定した。ブランクとして純水の吸光度を測定した。ブランクの値を差し引いた数値について、参考例21を100として、参考例19及び20の数値を吸光度として評価した。吸光度が高いほど、葛花乾燥粉末に含まれる成分の溶出性が高いことを意味する。その結果を表16に示す。
【0086】
【表16】
【0087】
水分量8重量%を超える葛花乾燥粉末(参考例21)に比べて、水分量8重量%以下である葛花乾燥粉末(参考例19及び20)は吸光度の数値が高く、葛花乾燥粉末に含まれる成分の溶出性に優れていた。
【0088】
[配合実施例6]
参考例19~21のいずれかの葛花乾燥粉末1.2gをルイボス乾燥粉末1.8gと混合してティーバッグに詰めた。得られたティーバッグを用いた飲料は、いずれも風味が良好であり、経時的な色の変化も抑制される。中でも、参考例19及び20のいずれかの葛花乾燥粉末を用いたティーバッグは風味に優れ、経時的な色の変化も抑制され、溶出性も良い。また、これらの飲料を1日あたり1回摂取することで、優れた体脂肪低減効果等が得られる。
【0089】
4-2.水分量による比較(2)
<葛花乾燥粉末の作製>
収穫した葛の花を天日乾燥および熱風乾燥により乾燥させた。熱風乾燥においては、それぞれ所定の水分量となるように、乾燥時間を調整した。乾燥後の葛の花(乾燥葛花)について、メジアン径が0.4mm程度、目開き2mmを通過する画分の割合が90%以上、目開き2mmを通過し、目開き0.25mmを通過しない画分の割合が70~81%となるように粉砕条件を調整して、メジアン径及び粒度分布が同程度である参考例22及び23の葛花乾燥粉末を製造した。製造後、常温(25℃)にて1カ月以上保存して試験を実施した。参考例22及び23の水分量を表17に示す。
【0090】
【表17】
【0091】
<溶出試験の実施>
1.5mLチューブに葛花乾燥粉末100mgを量り取り、純水1mLを加えて30秒間ボルテックスして遠心後の上清について、465nmの吸光度を測定した。ブランクとして純水の吸光度を測定した。ブランクの値を差し引いた数値について、参考例23を100として、参考例22の数値を吸光度として評価した。その結果を表18に示す。
【0092】
【表18】
【0093】
水分量3重量%未満の葛花乾燥粉末(参考例23)に比べて、水分量3重量%以上である葛花乾燥粉末(参考例22)は吸光度の数値が高く、葛花乾燥粉末に含まれる成分の溶出性に優れていた。
【0094】
[配合実施例7]
参考例22及び23のいずれかの葛花乾燥粉末1.2gをルイボス乾燥粉末1.8gと混合してティーバッグに詰めた。得られたティーバッグを用いた飲料は、いずれも風味が良好であり、経時的な色の変化も抑制される。中でも、参考例22の葛花乾燥粉末を用いたティーバッグは風味に優れ、経時的な色の変化も抑制され、溶出性も良い。また、これらの飲料を1日あたり1回摂取することで、優れた体脂肪低減効果等が得られる。
【0095】
4-3.メジアン径による比較
<葛花乾燥粉末の作製>
収穫した葛の花を天日乾燥および熱風乾燥により乾燥させた。熱風乾燥においては、それぞれ所定の水分量となるように、乾燥時間を調整して実施した。乾燥後の葛の花(乾燥葛花)について粉砕条件を調整して粉砕処理を行い、篩によって分画することにより、水分量3.2重量%であり、かつ、メジアン径の異なる参考例24~28の葛花乾燥粉末を作製した。参考例24~28のメジアン径を表19に示す。
【表19】
【0096】
<溶出試験の実施>
1.5mLチューブに葛花乾燥粉末100mgを量り取り、純水1mLを加えて30秒間ボルテックスして遠心後の上清について、465nmの吸光度を測定した。ブランクとして純水の吸光度を測定した。ブランクの値を差し引いた数値について、参考例28を100として、参考例24~27の数値を吸光度として評価した。その結果を表20に示す。
【0097】
【表20】
【0098】
メジアン径1.67mmの葛花乾燥粉末(参考例28)に比べて、メジアン径1.65mm以下である葛花乾燥粉末(参考例24~27)は吸光度の数値が高く、葛花乾燥粉末に含まれる成分の溶出性に優れていた。
【0099】
[配合実施例8]
参考例24~28のいずれかの葛花乾燥粉末1.2gをルイボス乾燥粉末2gと混合してティーバッグに詰めた。得られたティーバッグを用いた飲料は、いずれも風味が良好であり、経時的な色の変化も抑制される。中でも、参考例24~27の葛花乾燥粉末を用いたティーバッグは風味に優れ、経時的な色の変化も抑制され、溶出性も良い。また、これらの飲料を1日あたり1回摂取することで、優れた体脂肪低減効果等が得られる。
【0100】
5.テクトリゲニン類の分析
以下に記載の方法により、葛花乾燥粉末に含まれるテクトリゲニン類の量を分析した。参考例1~28の葛花乾燥粉末において、テクトリゲニン類の含有量は、5~15重量%であった。
【0101】
テクトリゲニン類の測定は、葛花乾燥粉末を50%メタノールで還流し、HPLCにて測定した。具体的には、分析カラムとして株式会社ワイエムシィ製のYMC‐Pack ODS AM12S05‐2546WT(φ4.6×250mm)、ガードカラムとして株式会社ワイエムシィ製のYMC-Pack ODS AM12S05‐G304CC(φ4.0×23mm)、又はYMC-Pack ODS AM12S05‐0204GC(φ4.0×20mm)を用い、移動相の液媒として、アセトニトリル/水/酢酸混合液(移動相A 体積比=15:85:0.1、移動相B 体積比=35:65:0.1)を用い、カラム温度は35℃、流量1.0ml/分とした。
グラディエント条件は、表21の通りである。
【0102】
【表21】
【0103】
[配合実施例9]
参考例1の葛花乾燥粉末1g、ルイボス乾燥粉末1g及び大麦乾燥粉末0.5gを混合してティーバッグに詰めた。得られたティーバッグを用いた飲料は、風味が良好であり、経時的な色の変化も抑制される。この飲料を1日あたり1回摂取することで、優れた体脂肪低減効果等が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の食品は、一般の食品の他、健康食品等として用いることができることから、産業上の有用性は高い。