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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】フィルム供給装置及びフィルム供給方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20230907BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20230907BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20230907BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20230907BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B65H41/00 A
B26D7/02 B
B26D7/06 Z
B26D3/00 601B
B26D5/00 X
B26D5/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020008530
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021116135
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】595013427
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ピー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】三好 伸治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】矢内 利幸
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-023131(JP,A)
【文献】特開2006-290412(JP,A)
【文献】特開2012-166932(JP,A)
【文献】特開2009-012851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 41/00
B26D 7/02
B26D 7/06
B26D 3/00
B26D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状基材本体と、前記フィルム状基材本体の一方の面上に積層された表面保護部材とを有するフィルム状基材に対し、前記表面保護部材を前記フィルム状基材本体から剥離し、前記フィルム状基材本体を裁断するフィルム供給装置であって、
前記表面保護部材の表面を保持して前記フィルム状基材を所定面積分引出す引出し治具と、
前記所定面積分引出された前記フィルム状基材の前記フィルム状基材本体の他方の面を保持する移載治具と、
前記表面保護部材を前記フィルム状基材本体から、前記フィルム状基材本体の前記一方の面に非接触で剥離する剥離機構と、
前記フィルム状基材本体を裁断する裁断機構と、
を備え
前記引出し治具が、前記フィルム状基材を供給するフィルム供給源から、前記表面保護部材の表面を保持して前記フィルム状基材を前記所定面積分引出し、
前記移載治具が前記所定面積分引出された前記フィルム状基材本体の前記他方の面を保持した状態で、前記引出し治具が前記表面保護部材の表面を保持した状態を解除し、前記剥離機構が前記表面保護部材に張力を加えて前記フィルム状基材本体から剥離し、
前記裁断機構が、前記表面保護部材が剥離された前記フィルム状基材本体を裁断することを特徴とするフィルム供給装置。
【請求項2】
前記フィルム状基材は、前記フィルム状基材本体の他方の面上に積層された他の表面保護部材をさらに有し、
前記引出し治具は、前記表面保護部材の表面を保持して前記フィルム状基材を前記所定面積分引出し、
前記移載治具は、前記所定面積分引出された前記フィルム状基材の前記他の表面保護部材の表面を保持し、
前記表面保護部材を前記フィルム状基材本体から、前記フィルム状基材本体の前記一方の面に非接触で剥離する剥離機構と、
前記フィルム状基材本体及び前記他の表面保護部材を裁断する裁断機構と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のフィルム供給装置。
【請求項3】
前記引出し治具が、前記フィルム状基材を供給するフィルム供給源から、前記表面保護部材の表面を保持して前記フィルム状基材を前記所定面積分引出し、
前記移載治具が前記所定面積分引出された前記他の表面保護部材の表面を保持した状態で、前記引出し治具が前記表面保護部材の表面を保持した状態を解除し、前記剥離機構が前記表面保護部材に張力を加えて前記フィルム状基材本体から剥離し、
前記裁断機構が、前記表面保護部材が剥離された前記フィルム状基材本体及び前記他の表面保護部材を裁断することを特徴とする請求項に記載のフィルム供給装置。
【請求項4】
前記移載治具と前記引出し治具とは、それぞれ内部の空気を排出して吸着保持する機構を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のフィルム供給装置。
【請求項5】
フィルム状基材本体と、前記フィルム状基材本体の一方の面上に積層された表面保護部材とを有するフィルム状基材に対し、前記表面保護部材を前記フィルム状基材本体から剥離し、前記フィルム状基材本体を裁断するフィルム供給方法であって、
引出し治具により、前記表面保護部材の表面を保持して前記フィルム状基材を所定面積分引出す工程と、
移載治具により、前記所定面積分引出された前記フィルム状基材の前記フィルム状基材本体の他方の面を保持する工程と、
剥離機構により、前記表面保護部材を前記フィルム状基材本体から、前記フィルム状基材本体の前記一方の面に非接触で剥離する工程と、
裁断機構により、前記フィルム状基材本体を裁断する工程と、
を備え
前記引出し治具が前記フィルム状基材を引出す工程では、前記フィルム状基材を供給するフィルム供給源から、前記表面保護部材の表面を保持して前記フィルム状基材を前記所定面積分引出し、
前記移載治具により前記フィルム状基材本体の前記他方の面を保持する工程では、前記移載治具が前記所定面積分引出された前記フィルム状基材本体の前記他方の面を保持した状態で、前記引出し治具により前記表面保護部材の表面を保持した状態を解除し、
前記剥離機構により前記表面保護部材を剥離する工程では、前記移載治具により前記フィルム状基材本体の表面を保持し、前記引出し治具により前記表面保護部材の表面を保持した状態を解除した状態で、前記剥離機構により前記表面保護部材に張力を加えて前記フィルム状基材本体から剥離し、
前記裁断機構により前記フィルム状基材本体を裁断する工程では、前記表面保護部材が剥離された前記フィルム状基材本体を裁断することを特徴とするフィルム供給方法。
【請求項6】
前記フィルム状基材は、前記フィルム状基材本体の他方の面上に積層された他の表面保護部材をさらに有し、
前記引出し治具により、前記表面保護部材の表面を保持して前記フィルム状基材を前記所定面積分引出す工程と、
前記移載治具により、前記所定面積分引出された前記フィルム状基材の前記他の表面保護部材の表面を保持する工程と、
前記剥離機構により、前記表面保護部材を前記フィルム状基材本体から、前記フィルム状基材本体の前記一方の面に非接触で剥離する工程と、
前記裁断機構により、前記フィルム状基材本体及び前記他の表面保護部材を裁断する工程と、
を備えることを特徴とする請求項に記載のフィルム供給方法。
【請求項7】
前記引出し治具により前記フィルム状基材を引出す工程では、前記フィルム状基材を供給するフィルム供給源から、前記表面保護部材の表面を保持して前記フィルム状基材を前記所定面積分引出し、
前記移載治具により前記他の表面保護部材の表面を保持する工程では、前記移載治具が前記所定面積分引出された前記他の表面保護部材の表面を保持した状態で、前記引出し治具が前記表面保護部材の表面の保持状態を解除し、
前記剥離機構により前記表面保護部材を剥離する工程では、前記移載治具が前記他の表面保護部材の表面を保持し、前記引出し治具が前記表面保護部材の表面の保持状態を解除した状態で、前記剥離機構が前記表面保護部材に張力を加えて前記フィルム状基材本体から剥離し、
前記裁断機構が前記フィルム状基材本体及び前記他の表面保護部材を裁断する工程では、前記表面保護部材が剥離された前記フィルム状基材本体及び前記他の表面保護部材を裁断することを特徴とする請求項に記載のフィルム供給方法。
【請求項8】
前記移載治具と前記引出し治具とは、それぞれ内部の空気を排出して吸着保持する機構を有することを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載のフィルム供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば貼り合わせ用部材等のフィルム状基材を後工程に供給する際に、表面保護部材を有するフィルム状基材を必要な面積分だけ引出し、裁断と表面保護部材の剥離とを行うフィルム供給装置及びフィルム供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイ等の機能性材層を含む成形基板材に、残留空気による機能性材の劣化を防ぐためあるいは意匠性の観点から、フィルム状基材を含む基板材を貼り合わせたり、液晶パネルに偏光フィルム基板材を貼り合わせることなどが行われている。
【0003】
ここで、フィルム状基材の貼り合わせ面側が表面保護部材で保護されている場合がある。このような場合、フィルム状基材を必要な面積だけ引出して裁断する工程と、フィルム状基材から表面保護部材を剥離する工程の2工程が必要となる。
【0004】
従来のフィルムを供給する技術の一例として、特許文献1に記載されたフィルム貼り合せ装置があった。図1の縦断面図にその概念を示す。液晶パネルW1、W2、…にフィルム状基材110aを貼り合せる装置において、フィルム状基材110aはキャリアフィルム113に積層されている。そして、フィルム状基材110aは、予め切れ込み116bにより液晶パネル1枚分ずつに分割されている。液晶パネルW1、W2、…が矢印方向に搬送される一方で、キャリアフィルム113のみが剥離装置230によって剥離されて矢印方向に巻き取られる。フィルム状基材110aが貼合ローラー225、226によって、液晶W1、W2、…に押圧されて貼り合わされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4972198号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このフィルム貼り合せ装置では、予めフィルム状基材を必要な面積に分割しておく前工程が必要となる。またフィルム供給後の工程において、貼り合わせ工程以外の工程を組み合わせることは困難である。更に、貼り合わせ工程においても、搬送される液晶パネル等基板材を搬送しつつ、押圧ローラーで圧着する方法以外(例えば、固定状態でのダイヤフラム弾性シートを用いた押圧接着)を組み合わせることは困難である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、フィルム状基材の引出及び裁断と、フィルム状基材からの表面保護部材の剥離とを効率良く行うことができると共に、フィルム状基材の貼り合わせ面に対して非接触で行うことにより、粘着性による埃・指紋等の付着を防ぎつつ搬送することができるフィルム供給装置及びフィルム供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフィルム供給装置は、
フィルム状基材本体と、前記フィルム状基材本体の一方の面上に積層された表面保護部材とを有するフィルム状基材に対し、前記表面保護部材を前記フィルム状基材本体から剥離し、前記フィルム状基材本体を裁断するフィルム供給装置であって、
前記表面保護部材の表面を保持して前記フィルム状基材を所定面積分引出す引出し治具と、
前記所定面積分引出された前記フィルム状基材の前記フィルム状基材本体の他方の面を保持する移載治具と、
前記表面保護部材を前記フィルム状基材本体から、前記フィルム状基材本体の前記一方の面に非接触で剥離する剥離機構と、
前記フィルム状基材本体を裁断する裁断機構と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明のフィルム供給方法は、
フィルム状基材本体と、前記フィルム状基材本体の一方の面上に積層された表面保護部材とを有するフィルム状基材に対し、前記表面保護部材を前記フィルム状基材本体から剥離し、前記フィルム状基材本体を裁断するフィルム供給方法であって、
引出し治具により、前記表面保護部材の表面を保持して前記フィルム状基材を所定面積分引出す工程と、
移載治具により、前記所定面積分引出された前記フィルム状基材の前記フィルム状基材本体の他方の面を保持する工程と、
剥離機構により、前記表面保護部材を前記フィルム状基材本体から、前記フィルム状基材本体の前記一方の面に非接触で剥離する工程と、
裁断機構により、前記フィルム状基材本体を裁断する工程と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフィルム供給装置及びフィルム供給方法によれば、表面保護部材を有するフィルム状基材の引出及び裁断と、表面保護部材の剥離とを同一工程で効率良く行うことができると共に、フィルム状基材の貼り合わせ面に非接触で行うことにより、粘着性による埃・指紋等の付着を防ぎつつ搬送することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来のフィルム供給装置の概略構成を示した縦断面図。
図2】本発明の実施の形態によるフィルム供給装置で扱われるフィルム状基材の構成を示した縦断面図。
図3】同フィルム供給装置の縦断面構造を示した断面図。
図4図3における引出し治具、裁断機構を含む部分Xを拡大して示す部分拡大図。
図5図3における引出し治具、裁断機構を含む部分Xを示す斜視図。
図6図5における引出し治具を含む部分Yを拡大して示す部分拡大図。
図7】同フィルム供給装置におけるフィルム状基材を引き出す引出し治具と、引出されたフィルム状基材を保持する移載治具とを拡大して示す部分拡大図。
図8】同フィルム供給装置におけるフィルム状基材から表面保護部材を剥離する剥離機構を拡大して示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態によるフィルム供給装置及びフィルム供給方法について、図面を参照して説明する。
【0013】
1)フィルム状基材の構造について
本実施の形態において扱われるフィルム状基材の構造について、図2を参照して説明する。
【0014】
フィルム状基材Fは、フィルム状基材本体F1の両面に、それぞれ表面保護部材F2、F3が積層された構成を有している。このようなフィルム状基材Fに対して、後述するように剥離機構13によって表面保護部材F2を剥離し、裁断機構12によってフィルム状基材本体F1及び表面保護部材F3を裁断する。
【0015】
2)フィルム供給装置の構成及び動作について
本実施の形態によるフィルム供給装置の概略構成について、図3、及び図3における引出し治具10、裁断機構12を含む部分Xを部分的に拡大した図4図3における引出し治具10、裁断機構12を含む部分Xを斜視図として示した図5を参照して説明する。
【0016】
本実施の形態によるフィルム供給装置1は、フィルム状基材Fを巻いた状態で保持するフィルム供給源100と、フィルム供給源100からのフィルム状基材Fを吸着保持して必要なサイズだけ引出す引出し治具10と、フィルム状基材Fに対し、引出し治具10による吸着保持面とは反対面において吸着保持する移載治具11と、フィルム状基材Fにおけるフィルム状基材本体F1及び表面保護部材F3を裁断する裁断機構12と、表面保護部材F2をフィルム状基材本体F1から剥離する剥離機構13を備えている。
【0017】
フィルム供給源100は、一例として、フィルム状基材Fがロール状に巻かれた構造を有し、この構造からフィルム状基材Fを供給するものであってもよい。
【0018】
図6に示された構成では、部分Yで示された引出し治具10が4個平行に配置されており、それぞれフィルム状基材Fを自在に吸着保持又は解放することができる。この引出し治具10は、一例として内部の空気を排出して真空状態で吸着保持しあるいは解放する機構であってもよい。
【0019】
図7を用いて、引出し治具10、移載治具11によって、フィルム状基材Fを吸着保持する構成及び動作について説明する。
【0020】
フィルム供給源100が矢印A1の方向に回転し、フィルム状基材Fが図中右方向に引き出される。フィルム状基材Fの下面側の表面保護部材F2に、引出し治具10が接触する。引出し治具10において表面保護部材F2に接している表面部分には、図示されない空気孔が開孔されている。そして引出し治具10の内部は空洞であり、空洞内の空気が矢印A3で示されたように外部へ排出されることによって、表面保護部材F2が吸着される。
【0021】
フィルム状基材Fの上面側の表面保護部材F3に、移載治具11が接触する。移載治具11は、矢印A2で示されたように空気が排出されることで、表面保護部材F3が吸着保持される。
【0022】
図8を用いて、引出し治具10、移載治具11、裁断機構12が有する裁断刃12a、剥離機構13によって、フィルム状基材Fから表面保護部材F2を剥離し、フィルム状基材本体F1及び表面保護部材F3を裁断する構成及び動作について説明する。
【0023】
図8(a)に、引出し治具10が図中左側の待機位置101にある状態を示す。この段階では、ローラ形状を有する剥離機構13は図中下側の位置104にある。なお、剥離機構13は矢印A11で示されたように図中上下に移動する。
【0024】
引出し治具10は、待機位置101にてフィルム状基材Fを載置した後、内部の空気を排出して真空吸着によりフィルム状基材Fにおける表面保護部材F2の表面を吸着保持する。
【0025】
このように引出し治具10がフィルム状基材Fを吸着保持した状態で、図8(b)に示されたように図中右側の移載位置102へ向かって移動する。この引出し治具10の動作に伴い、剥離機構13が図中上側の位置103へ向かって移動すると共に、フィルム状基材Fがフィルム供給源100から引き出される。ここで、図3に示された移載位置102の先端と、裁断機構12における裁断刃12aの位置との間の距離Lと、フィルム状基材Fの幅とを、後工程で必要な面積に一致するように予め調整しておく。
【0026】
図8(b)において、引出し治具10が移載位置102に到達して停止すると、移載治具11が降下し、フィルム状基材Fの表面保護部材F3の表面を吸着保持する。このようにしてフィルム状基材Fが固定されると、移載治具11側の表面が表面保護部材F3で保護された状態で、必要な面積のフィルム状基材本体F1が得られる。
【0027】
引出し治具10がフィルム状基材Fの表面保護部材F2の表面を吸着保持した状態を解除する。これにより、引出し治具10の位置が待機位置101まで戻る。
【0028】
しかし、移載治具11により吸着保持されたフィルム状基材Fのフィルム状基材本体F1及び表面保護部材F3は、移動することなく同じ位置に留まる。ローラ形状を有する剥離機構13の自重の方が表面保護部材F2の粘着力より重いため、図中下側の位置104へ向かって移動する。この移動に伴って、表面保護部材F2に張力が与えられ、表面保護部材F2がフィルム状基材本体F1の表面から剥離される。
【0029】
移載位置102において、表面保護部材F2が剥離された状態で、裁断刃12aによってフィルム状基材本体F1及び表面保護部材F3が裁断される。
【0030】
移載治具11が吸着保持状態を解除し、フィルム状基材本体F1付近の位置から上昇して待機位置へ戻る。
【0031】
以上のように本実施の形態では、フィルム状基材の裁断と表面保護部材の剥離とを同一工程で行い、かつフィルム状基材の貼り合わせ面に対して非接触で搬送する。
【0032】
従って本実施の形態によれば、フィルム状基材をロール等から必要な面積だけ引出し裁断し、表面保護部材を剥離する工程を同一工程とすることで効率が向上し、さらにフィルム状基材の貼り合わせ面に非接触で同工程を実施することで、粘着性による埃・指紋等の付着を防ぎつつ搬送することが可能である。
【0033】
本発明の一実施の形態について説明したが、この実施の形態は、例として提示したものであり、発明の技術的範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施の形態やその変形は、発明の技術的範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0034】
例えば、本実施の形態で用いるフィルム状基材Fは、図2に示されたようにフィルム状基材本体F1の一方の面上に保護部材F2が積層され、フィルム状基材本体F1の他方の面上に保護部材F3が積層されている。
【0035】
しかしながらフィルム状基材の構造はこれに限定されず、例えば、フィルム状基材本体F1の一方の面上に保護部材F2が積層されており、フィルム状基材本体F1の他方の面上には保護部材が積層されていない構造であってもよい。
【0036】
この場合には、フィルム状基材本体F1から保護部材F2が剥離され、フィルム状基材本体F1のみが裁断される。
【符号の説明】
【0037】
F フィルム状基材
F1 フィルム状基材本体
F2、F3 表面保護部材
1 フィルム供給装置
10 引出し治具
11 移載治具
12 裁断機構
13 剥離機構
100 フィルム供給源
101 待機位置
102 移載位置
103、104 位置
L 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8