(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】単一の生物学的ナノ粒子分析のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20230907BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20230907BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230907BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20230907BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230907BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230907BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20230907BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20230907BHJP
C12N 1/20 20060101ALN20230907BHJP
C12N 5/07 20100101ALN20230907BHJP
C12N 7/00 20060101ALN20230907BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20230907BHJP
C07K 14/765 20060101ALN20230907BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20230907BHJP
C12M 1/34 20060101ALN20230907BHJP
【FI】
G01N15/14 C
G01N33/543 575
G01N33/53 S
G01N15/14 D
G01N35/08 E
G01N37/00 101
G01N21/64 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
C12N1/20 A
C12N5/07
C12N7/00
C12N15/113 Z
C07K14/765
C07K16/00
C12M1/34 A
C12M1/34 F
C12M1/34 Z
(21)【出願番号】P 2020555028
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 US2019025033
(87)【国際公開番号】W WO2019199499
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-25
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514104933
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ ワシントン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チウ,ダニエル・ティ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,スン・リョン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンガン
(72)【発明者】
【氏名】フジモト,ブライアント・エス
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/041809(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0356695(US,A1)
【文献】特表2012-500385(JP,A)
【文献】特開2010-243374(JP,A)
【文献】特表2007-527997(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0323061(US,A1)
【文献】特開2002-372489(JP,A)
【文献】国際公開第2010/013704(WO,A1)
【文献】特表2005-504275(JP,A)
【文献】特表2010-522569(JP,A)
【文献】Christopher L. Kuyper,Real-Time Sizing of Nanoparticles in Microfluidic Channels Using Confocal Correlation Spectroscopy,J. AM. CHEM. SOC.,2006年,128,pp.730-731
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14
G01N 33/543
G01N 33/53
G01N 35/08
G01N 37/00
C12M 1/00- 3/10
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
C12Q 1/00- 3/00
C12N 1/00- 7/08
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプル中の生物学的ナノ粒子のサイズを判定する方法であって、
少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを含むマイクロ流体チップと
、探測処理用ソースとを提供することと、
前記流体サンプルを前記マイクロ流体チップ内に導入することであって、前記流体サンプルが、複数の生物学的ナノ粒子を含む、導入することと、
前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを通して前記複数の生物学的ナノ粒子の一部分を流動させることと、
粒子単位で、前記複数の生物学的ナノ粒子の前記一部分からの少なくとも1つの生物学的ナノ粒子を前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内で照明することと、
前記少なくとも1つの生物学的ナノ粒子から放出された光強度を検出することと、
前記少なくとも1つの生物学的ナノ粒子にサイズ値を割り当てることであって、前記生物学的ナノ粒子が、1μm未満の流体力学的直径を有する、割り当てることと、を含
み、前記サイズ値の前記割り当ては、測定された光強度の使用を含み、
前記生物学的ナノ粒子が、検出可能な薬剤と会合し、
前記探測処理用ソースからの照明が、前記マイクロ流体チャネルの幅を交差するラインの形態をなす、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネルが、少なくとも1つの狭窄部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの生物学的ナノ粒子の前記照明が、前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内で2μm未満のビーム幅を有する照明光源を使用することを含み、前記照明光源は、前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内の10μm
2未満の面積を有する領域を照明する、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記サイズ値が、前記光強度に従って割り当てられ、前記サイズ値は相対サイズ値であり、前記相対サイズ値は、測定された光強度の差によって決定される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記生物学的ナノ粒子が、複数の検出可能な薬剤と会合する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の検出可能な薬剤が、複数のタイプの検出可能な薬剤を含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記サイズ値が、相対サイズ値であり、前記方法は、測定された光強度を標準に較正することによって前記生物学的ナノ粒子の実際のサイズ値を決定することをさらに含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記サイズ値に基づいて前記生物学的ナノ粒子の前記流動を方向付けることをさらに含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記サイズ値を有する生物学的ナノ粒子の数を定量化することをさらに含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記
流体サンプルの濃度を判定することをさらに含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記
流体サンプルの濃度が、前記
流体サンプルのスパイク頻度をカウントすることによって判定される、請求項1
0に記載の方法。
【請求項12】
前記
流体サンプルの前記スパイク頻度を較正粒子標準スパイク頻度と比較することをさらに含む、請求項1
1に記載の方法。
【請求項13】
前記
流体サンプルの濃度が、前記
流体サンプルの前記スパイク頻度をカウントし、および前記スパイク頻度を前記
流体サンプルの体積と比較することによって判定される、請求項1
1に記載の方法。
【請求項14】
分析のために前記生物学的ナノ粒子を収集することをさらに含む、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、狭窄部を含み、前記狭窄部は、前記マイクロ流体チャネルの最大幅の25%未満の幅を有し、前記狭窄部が、前記マイクロ流体チャネルの最大高さの25%未満の高さを有する、請求項1~1
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記マイクロ流体チップは、平面デバイスであり、前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを含み、前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分が、10μm未満の幅、5μm未満の幅、または2μm未満の幅を有する、請求項1~1
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分が、10μm未満の高さ、5μm未満の高さ、または2μm未満の高さを有する、請求項1~1
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの生物学的ナノ粒子からの前記光強度の前記検出が、前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内を輸送中に検出される、請求項1~1
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記光強度の前記検出が、単一ナノ粒子感度を有するか、または前記光強度の前記検出が、単一分子感度を有する、請求項1
8に記載の方法。
【請求項20】
前記生物学的ナノ粒子が、少なくとも1つのタグと会合し、前記方法はさらに、
前記生物学的ナノ粒子と会合した前記少なくとも1つのタグを検出することと、
前記生物学的ナノ粒子にタグ値を割り当てることとをさらに含む、請求項1~
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記生物学的ナノ粒子を濃縮集団に選別することをさらに含み、前記選別することが、前記サイズ値および/または前記タグ値によって判定される、請求項2
0に記載の方法。
【請求項22】
流体サンプル中の生物学的ナノ粒子のサイズを判定するためのデバイスであって、
少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと、探測処理用ソースとを含み、前記探測処理用ソースからの照明が前記マイクロ流体チャネルの幅を交差するラインの形態をなす、マイクロ流体チップと、
前記生物学的ナノ粒子が前記マイクロ流体チップの少なくとも一部分を通して流動中である間に、粒子単位で生物学的ナノ粒子の存在または不在を検出するように構成された少なくとも1つの検出器と、
コンピュータであって、
前記生物学的ナノ粒子が、検出可能な薬剤と会合し、粒子単位で、複数の生物学的ナノ粒子の一部分からの少なくとも1つの生物学的ナノ粒子を前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内で前記探測処理用ソースにより照明することと、
前記少なくとも1つの生物学的ナノ粒子から放出される光強度を検出することと、
前記生物学的ナノ粒子の放出された検出可能な光強度の存在または不在に基づいて生物学的ナノ粒子をランク付けすることと、
前記生物学的ナノ粒子の前記放出された検出可能な光強度に基づいて、生物学的ナノ粒子のサイズ値を測定することと、を行うためのソフトウェアを有する、コンピュータと、を含む、デバイス。
【請求項23】
フィルタをさらに含む、請求項2
2に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月13日に出願された米国仮特許出願第62/657,278号の利益を主張し、この出願はすべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体力学は、生物分析研究の重要な構成要素となっている。成功したマイクロ流体バイオ分析アプリケーションとして、DNAのシーケンシングおよびフラグメントサイジング、PCR増幅、タンパク質分析、イムノアッセイ、および細胞選別および操作が挙げられる。これらの例のいくつかは、少量のサンプルおよび試薬、ならびにマイクロスケールの流体フローのユニークな物理特性を利用して、新しい研究を可能にする。準ナノスケールマイクロ流体法は、細胞内オルガネラ、高分子複合体、および他のナノスケール材料の研究に特に適している。
【0003】
慣用的なフローサイトメータおよび選別機は、癌の診断およびモニタリングと、ウイルスと細胞との相互作用の検査と、を含む、広範な生物学的研究および臨床応用における細胞選別に使用されてきた。従来のフローサイトメータに対する低コストで使い捨ての代替手段として微細加工されたフローサイトメータが登場し、蛍光ビーズおよび大腸菌細胞などの物体の選別に適用されると、より高い感度を示すことができる。これらの微細加工されたサイトメータの感度は、細胞内オルガネラなどのナノスケールシステムの分析および/または選別には依然として不十分なままである可能性があり、必要な、選別の速度およびスループット、または情報コンテンツ(例えば、サイズ情報)が不足する可能性がある。
【0004】
細胞内オルガネラおよび他の生物学的ナノ粒子のさらなる分析が、例えば、超遠心分離を使用した生体ナノ粒子の凝縮により実現されている。ただし、この凝縮には長時間(通常、4~5時間)が必要になる可能性があり、200,000倍の重力ほどの遠心力を伴う特殊かつ高価な機器を使用することが多く、凝縮プロセスにおける特異性の欠如に起因して、汚染された凝縮物が頻繁に生じる。生体ナノ粒子のよりよく特定された捕捉および分離は、例えば、ストレプトアビジンまたは抗体を使用する捕捉コーティングでコーティングされたビーズを使用して実現される場合がある。ただし、このような方法でも、サンプルの汚染または不良特性をもたらす可能性があり、捕捉されたナノ粒子の下流分析では、ビーズからの放出が必要になる場合があり、収量の低下、生体ナノ粒子の損傷、結果の精度の低下につながる可能性がある。さらに、ビーズを使用する生物学的ナノ粒子の捕捉により、高価な機器、頻繁な手動操作、高度な技術的スキル、および/または長いインキュベーション期間の使用が必要となる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、生物学的ナノ粒子の分析を行うための方法、システム、およびデバイスを提供する。
【0006】
この要約は、以下の詳細な説明にさらに記載される概念の選択を、簡略化した形式で紹介するために提供される。この要約は、特許請求される主題の主要な特徴を特定することを意図しておらず、また、特許請求される主題の範囲を判定する際の補助として使用されることも意図していない。
【0007】
様々な態様では、本開示は、流体サンプル中の生物学的ナノ粒子のサイズを判定するための方法を提供し、この方法は、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを含むマイクロ流体チップを提供することと、流体サンプルをマイクロ流体チップ内に導入することであって、流体サンプルが、複数の生物学的ナノ粒子を含む、導入することと、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを通して複数の生物学的ナノ粒子の一部分を流動させることと、粒子単位で、複数の生物学的ナノ粒子の一部分からの少なくとも1つの生物学的ナノ粒子を少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内で照明することと、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子から放出された光強度を検出することと、マイクロ流体チップ内を輸送中に、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子にサイズ値を割り当てることであって、生物学的ナノ粒子が、1μm未満の流体力学的直径を有する、割り当てることと、を含む。特定の態様では、方法は、複数の生物学的ナノ粒子の一部分を照明することを含む。いくつかの態様では、方法は、粒子単位で、照明される複数の生物学的ナノ粒子の一部分のうちの少なくとも90%を少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内で照明することを含む。
【0008】
いくつかの態様では、マイクロ流体チップは、複数の平行なマイクロ流体チャネルを含む。いくつかの態様では、方法は、複数の平行なマイクロ流体チャネルを単一の放射線源で照明することを含む。いくつかの態様では、方法は、複数の平行なマイクロ流体チャネルからの単一のマイクロ流体チャネルからの信号を検出するように構成された複数の検出器を提供することを含む。いくつかの態様では、信号は、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子から放出された光強度を含む。いくつかの態様では、方法は、検出領域内の少なくとも1つの生物学的ナノ粒子から放出された光強度を検出器で検出することを含む。
【0009】
いくつかの態様では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、少なくとも1つの狭窄部を含む。いくつかの態様では、検出領域は、少なくとも1つの狭窄部内にある。いくつかの態様では、検出領域は、10μm2未満の面積を有する。いくつかの態様では、方法は、複数の生物学的ナノ粒子の一部分を検出することを含む。いくつかの態様では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分における検出される生物学的ナノ粒子のうちの90%超は、粒子単位で検出領域内で検出される。
【0010】
いくつかの態様では、方法は、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子から放出された光強度を測定することを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子から放出された光強度の測定は、タイムビンの使用を含む。いくつかの態様では、タイムビンは、2ms未満かつ1μs超の範囲を有する。いくつかの態様では、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子から放出された光強度は、10:1超の信号対雑音比を有する。
【0011】
いくつかの態様では、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子の照明は、2μm未満のビーム幅を有する照明光源を使用することを含む。いくつかの態様では、照明光源は、10μm2未満の面積を有する少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内の領域を照明する。
【0012】
いくつかの態様では、光強度を検出することは、1.0以上かつ1.5以下の開口数を有する集光システムを使用することを含む。
【0013】
いくつかの態様では、輸送中のサイズ値の割り当ては、生物学的ナノ粒子が流動中である間にサイズ値を割り当てることを含む。いくつかの態様では、流動は中断されない。
【0014】
いくつかの態様では、サイズ値は光強度に従って割り当てられる。いくつかの態様では、光強度は、蛍光、散乱光、またはこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子は、検出可能な薬剤と会合する。いくつかの態様では、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子の表面に付着されるか、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子の表面内にあるか、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子の内部にあるか、またはこれらの組み合わせである。いくつかの態様では、検出可能な薬剤は蛍光性であるか、検出可能な薬剤は発光性であるか、またはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子は、複数の検出可能な薬剤と会合する。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、生物学的ナノ粒子の表面に付着されるか、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、生物学的ナノ粒子の表面内にあるか、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、生物学的ナノ粒子の内部にあるか、またはこれらの組み合わせである。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、重なり合う発光プロファイルを有する。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、同じ発光プロファイルを有する。いくつかの態様では、発光プロファイルは、同じピーク波長を有する。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、同じ検出可能な薬剤を含む。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、複数のタイプの検出可能な薬剤を含む。
【0015】
特定の態様では、複数の検出可能な薬剤は、異なる発光プロファイルを有する。いくつかの態様では、発光プロファイルは、異なるピーク波長を有する。いくつかの態様では、ピーク波長は、10ナノメートル超だけ、20ナノメートル超だけ、30ナノメートル超だけ、40ナノメートル超だけ、50ナノメートル超だけ、75ナノメートル超だけ、100ナノメートル超だけ、120ナノメートル超だけ、140ナノメートル超だけ、160ナノメートル超だけ、180ナノメートル超だけ、200ナノメートル超だけ、300ナノメートル超だけ、400ナノメートル超だけ、500ナノメートル超だけ、600ナノメートル超だけ、または700ナノメートル超だけ分離される。
【0016】
いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、蛍光性の検出可能な薬剤を含む。いくつかの態様では、光強度は、検出可能な薬剤から放出される。いくつかの態様では、サイズ値の割り当ては、測定された光強度の使用を含む。いくつかの態様では、サイズ値の割り当ては、変調指数の使用を含む。いくつかの態様では、サイズ値の割り当ては、測定された光強度の使用と変調指数の使用とを含む。いくつかの態様では、変調指数は、振幅変調指数である。いくつかの態様では、変調指数は、周波数変調指数である。いくつかの態様では、変調指数は、位相変調指数である。
【0017】
いくつかの態様では、サイズ値は、相対サイズ値である。いくつかの態様では、相対サイズ値は、測定された光強度の差によって判定される。
【0018】
いくつかの態様では、方法は、測定された光強度を標準に対して較正することにより、生物学的ナノ粒子の実際のサイズ値を判定することを含む。いくつかの態様では、方法は、光強度の測定値を標準で較正することを含む。いくつかの態様では、較正は、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子を含むサンプルの導入前に行われる。いくつかの態様では、サイズ値は、生物学的ナノ粒子の実際のサイズ値である。いくつかの態様では、標準は、金ナノ粒子を含む。いくつかの態様では、標準は、複数の脂質を含む。いくつかの提要では、標準が、脂質小胞を含む。いくつかの態様では、標準は、シリカビーズ、ポリスチレンビーズ、蛍光ビーズ、ポリマービーズ、ポリマーナノ粒子、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、流体サンプルは、第2の生物学的ナノ粒子をさらに含み、標準は、第2の生物学的ナノ粒子を含む。いくつかの態様では、標準のサイズは、動的光散乱で測定される。
【0019】
様々な態様では、方法は、サイズ値に基づいて生物学的ナノ粒子の流動を方向付けることを含む。いくつかの態様では、方向付けは、生物学的ナノ粒子を収集に方向付け、サイズ値に基づいて生物学的ナノ粒子の収集を生成する。いくつかの態様では、方向付けに、1ms以下かかる。いくつかの態様では、流動の方向付けは、流動変位を含む。いくつかの態様では、流動の方向付けは、電気浸透流を含む。いくつかの態様では、流動の方向付けは、圧力の印加を含む。
【0020】
いくつかの態様では、方法は、サイズ値を有する生物学的ナノ粒子の数を定量化することを含む。いくつかの態様では、方法は、サンプルの濃度を判定することを含む。いくつかの態様では、サンプルの濃度は、サンプルのスパイク頻度をカウントすることによって判定される。いくつかの態様では、方法は、サンプルのスパイク頻度を較正粒子標準スパイク頻度と比較することを含む。いくつかの態様では、サンプルの濃度は、サンプルのスパイク頻度をカウントし、およびサンプルのスパイク頻度をサンプルの体積と比較することによって、判定される。いくつかの態様では、サンプルの濃度は、サンプルのスパイク頻度をカウントし、サンプルのスパイク頻度を較正粒子標準スパイク頻度と比較し、およびサンプルのスパイク頻度をサンプルの体積と比較することによって、判定される。
【0021】
いくつかの態様では、方法は、サンプルを濾過することを含む。いくつかの態様では、濾過は、サイズ値の割り当ての前に行われる。いくつかの態様では、濾過は、デブリスを除去する。いくつかの態様では、濾過は、クロッギングを防止する。
【0022】
いくつかの態様では、方法は、分析のために生物学的ナノ粒子を収集することを含む。いくつかの態様では、分析は、核酸分析を含む。いくつかの態様では、核酸分析は、シーケンシング、PCR、またはデジタルPCRを含む。いくつかの態様では、分析は、タンパク質分析を含む。いくつかの態様では、タンパク質分析は、ELISA、デジタルELISA、または質量分析を含む。いくつかの態様では、分析は、脂質分析を含む。いくつかの態様では、分析は、小分子分析を含む。いくつかの態様では、小分子分析は、代謝産物の分析、シグナル伝達分子の分析、薬物の分析、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、分析は、質量分析を含む。いくつかの態様では、分析は、炭水化物分析を含む。いくつかの態様では、炭水化物分析は、質量分析、核磁気共鳴、フーリエ変換分光法、またはこれらの組み合わせを含む。
【0023】
いくつかの態様では、マイクロ流体チップは、平面デバイスであり、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、最大高さ、最大幅、および/または最大断面積を有する。いくつかの態様では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、狭窄部を含む。いくつかの態様では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大幅の25%未満の幅を有する。いくつかの態様では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大高さの25%未満の高さを有する。いくつかの態様では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大断面積の5%未満の断面積を有する。いくつかの態様では、最大幅は、500μm未満かつ10μm超の値を有する。いくつかの態様では、最大高さは、500μm未満かつ10μm超の値を有する。いくつかの態様では、最大断面積は、250,000μm2未満かつ250μm2超の値を有する。いくつかの態様では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、10μm未満の幅、5μm未満の幅、または2μm未満の幅を有する。いくつかの態様では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、10μm未満の高さ、5μm未満の高さ、または2μm未満の高さを有する。いくつかの態様では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、100μm2未満の断面積、90μm2未満の断面積、80μm2未満の断面積、70μm2未満の断面積、60μm2未満の断面積、50μm2未満の断面積、40μm2未満の断面積、30μm2未満の断面積、20μm2未満の断面積、10μm2未満の断面積、5μm2未満の断面積、または2μm2未満の断面積を有する。
【0024】
いくつかの態様では、マイクロ流体チップは、接合部で交差する複数のマイクロ流体チャネルを含む。いくつかの態様では、1つのチャネルは、接合部で少なくとも3つの異なるマイクロ流体チャネルと交差する。いくつかの態様では、交差部にデッドボリュームがない。
【0025】
いくつかの態様では、光強度は、散乱光を含む。いくつかの態様では、散乱光は、後方散乱光、側方散乱光、または前方散乱光である。いくつかの態様では、光強度は、散乱光と蛍光との両方を含む。
【0026】
いくつかの態様では、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子からの光強度の検出は、少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内を輸送中に検出される。いくつかの態様では、光強度の検出は、単一ナノ粒子感度を有するか、または光強度の検出が、単一分子感度を有する。いくつかの態様では、光強度の検出は、多数の検出可能な薬剤を含む単一の抗体を検出する。
【0027】
いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つのバイオマーカーを含む。いくつかの態様では、方法は、少なくとも1つのバイオマーカーの少なくとも1つのコピー数を判定することを含む。
【0028】
いくつかの態様では、サイズ値の割り当ては、誘導放出抑制(STED)によって改変された光ビームを使用する。いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子のサイズ値は、流体力学的直径である。いくつかの態様では、流体力学的直径は、900ナノメートル未満、800ナノメートル未満、700ナノメートル未満、600ナノメートル未満、500ナノメートル未満、400ナノメートル未満、300ナノメートル未満、200ナノメートル未満、150ナノメートル未満、100ナノメートル未満、90ナノメートル未満、80ナノメートル未満、70ナノメートル未満、60ナノメートル未満、50ナノメートル未満、40ナノメートル未満、または30ナノメートル未満である。いくつかの態様では、サイズ値の割り当ては、デューティサイクルの検出を使用する。
【0029】
いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子は、細胞外小胞、オルガネラ、微小胞、細胞由来小胞、タンパク質凝集体、核酸凝集体、脂質凝集体、ウイルス、細菌、またはエキソソームを含む。いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子は、毎時100万粒子超、毎時200万粒子超、毎時300万粒子超、毎時400万粒子超、毎時500万粒子超、毎時600万粒子超、毎時700万粒子超、毎時800万粒子超、毎時900万粒子超、毎時1000万粒子超、毎時1500万粒子超、毎時2000万粒子超、毎時2500万粒子超、毎時3000万粒子超、毎時3500万粒子超、毎時4000万粒子超、毎時4500万粒子超、または毎時5000万粒子超の速度でマイクロ流体チップを通過する。
【0030】
いくつかの態様では、方法は、少なくとも1つのナノ粒子を濃縮集団に選別することを含む。いくつかの態様では、選別することは、流動変位選別を含む。いくつかの態様では、選別することは、音響選別または物理的障壁の使用を含まない。いくつかの態様では、選別することは、サイズ値、バイオマーカーの存在、検出された光強度、放出された波長、複数の放出された波長、生物学的ナノ粒子の識別、またはこれらの組み合わせによって判定される。いくつかの態様では、濃縮集団は、100%未満の直径ばらつきを有する。いくつかの態様では、濃縮集団は、直径値の500%以内、直径値の400%以内、直径値の300%以内、直径値の200%以内、直径値の100%以内、直径値の50%以内、または直径値の25%以内の直径範囲を有する。いくつかの態様では、濃縮集団の生物学的ナノ粒子のうちの80%超は、検出可能な薬剤と会合する。
【0031】
いくつかの態様では、流体サンプルは、体液を含む。いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子は、エキソソームである。いくつかの態様では、体液は、血清、血漿、脊髄液、またはリンパ液を含む。いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子は、単離される。いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つのバイオマーカーと会合する。
【0032】
いくつかの態様では、方法は、生物学的ナノ粒子と会合した少なくとも1つのバイオマーカーを検出することと、生物学的ナノ粒子にバイオマーカー値を割り当てることと、をさらに含む。いくつかの態様では、バイオマーカー値は、バイナリシステムから割り当てられる。いくつかの態様では、バイオマーカー値は、複数の値から割り当てられる。いくつかの態様では、バイオマーカーは、タンパク質バイオマーカーである。いくつかの態様では、タンパク質バイオマーカーは、テトラスパニン、熱ショックタンパク質、膜輸送体、細胞接着タンパク質、脂質結合タンパク質、膜貫通タンパク質、酵素、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、核酸バイオマーカーである。いくつかの態様では、核酸バイオマーカーは、miR-141、miR-375、miRNA-21、miRNA-1246、miR-320c、miR-6068、miR-9、miR-107、miRNA-128、miRNA134、miRNA-137、miRNA124、miR-21、miR-141、miR-200a、miR-200b、miR-200c、miR-203、miR-205、miR-214、miR-17、miR-3p、miR-21、miR-20b、miR-223、miR-301、miR-141、miR-375、miR-21、miR-1246、miR-21、let-7f、および他のLet-7 miRNAからなる群から選択される。
【0033】
いくつかの態様では、方法は、サイズ値、バイオマーカー値、またはこれらの組み合わせに基づいて生物学的ナノ粒子の流動を方向付けることをさらに含む。いくつかの態様では、方法は、生物学的ナノ粒子を濃縮集団に選別することをさらに含み、選別することは、サイズ値、バイオマーカー値、またはこれらの組み合わせによって判定される。
【0034】
いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子が、少なくとも1つのタグと会合する。いくつかの態様では、方法は、生物学的ナノ粒子と会合した少なくとも1つのタグを検出することと、生物学的ナノ粒子にタグ値を割り当てることと、をさらに含む。いくつかの態様では、タグ値は、バイナリシステムから割り当てられる。いくつかの態様では、タグ値は、複数の値から割り当てられる。いくつかの態様では、タグは、生物学的ナノ粒子と会合したタンパク質マーカーに由来する信号、生物学的ナノ粒子のサイズに由来する信号、生物学的ナノ粒子と会合した膜色素に由来する信号、生物学的ナノ粒子と会合した体積色素に由来する信号、生物学的ナノ粒子の核酸と会合した色素に由来する信号、生物学的ナノ粒子の脂質と会合した色素に由来する信号、および生物学的ナノ粒子と会合した色素に由来する信号からなる群から選択される。いくつかの態様では、方法は、サイズ値および/またはタグ値に基づいて生物学的ナノ粒子の流動を方向付けることをさらに含む。いくつかの態様では、方法は、生物学的ナノ粒子を濃縮集団に選別することをさらに含み、選別することは、サイズ値および/またはタグ値によって判定される。
【0035】
様々な態様において、本開示は、流体サンプル中の生物学的ナノ粒子のサイズを判定するためのデバイスを提供し、このデバイスは、マイクロ流体チップと、生物学的ナノ粒子がマイクロ流体チップの少なくとも一部分を通して流動中である間に、粒子単位で生物学的ナノ粒子の存在または不在を検出するように構成された少なくとも1つの検出器と、生物学的ナノ粒子の放出された検出可能な光強度の存在または不在に基づいて生物学的ナノ粒子をランク付けすることと、生物学的ナノ粒子の放出された検出可能な光強度に基づいて、生物学的ナノ粒子のサイズ値を測定することと、を行うためのソフトウェアを有する、コンピュータと、を含む。
【0036】
いくつかの態様では、マイクロ流体チップは、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、狭窄部を含む。いくつかの態様では、デバイスは、探測処理用ソースをさらに含む。いくつかの態様では、探測処理用ソースは、電磁放射線源を含む。いくつかの態様では、探測処理用ソースは、固体レーザ、ダイオード励起レーザ、発光ダイオード(LED)、ランプ、アーク放電、磁気パルス、および自然光からなる群から選択される。いくつかの態様では、検出器は、蛍光、ルミネセンス光、またはそれらの任意の組み合わせを検出する。いくつかの態様では、検出器は、複数の異なる発光プロファイルを検出し得る。いくつかの態様では、検出器は、散乱光を検出し得る。いくつかの態様では、検出器は、単一ナノ粒子感度を有し、検出器は、単一分子感度、またはそれらの任意の組み合わせを有する。
【0037】
いくつかの態様では、ランク付けは、サイズ値の測定に対応する。いくつかの態様では、サイズ値は、相対サイズ値である。いくつかの態様では、サイズ値は、検出された光強度の差によって測定される。いくつかの態様では、サイズ値は、検出された変調指数に基づいて測定される。いくつかの態様では、サイズ値は、検出された光強度および検出された変調指数に基づいて測定される。いくつかの態様では、変調指数は、振幅変調指数、周波数変調指数、位相変調指数、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、サイズ値は、実際のサイズ値である。
【0038】
いくつかの態様では、デバイスは、生物学的ナノ粒子の流動を方向付けるための機構をさらに含む。いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子の流動を方向付けるための機構は、1ms以下で流動を方向付け得る。いくつかの態様では、流動を方向付けるための機構は、流動変位を使用する。いくつかの態様では、流動を方向付けるための機構は、電気浸透流、圧力の印加、またはこれらの組み合わせを使用する。いくつかの態様では、デバイスは、サイズ値を有する生物学的ナノ粒子の数を定量化するためのソフトウェアをさらに含む。いくつかの態様では、デバイスは、流体サンプルの濃度を判定するためのソフトウェアをさらに含む。
【0039】
いくつかの態様では、デバイスは、フィルタをさらに含む。いくつかの態様では、マイクロ流体チップは平面デバイスであり、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、10μm未満の幅、5μm未満の幅、または2μm未満の幅を有する。いくつかの態様では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、10μm未満の高さ、5μm未満の高さ、または2μm未満の高さを有する。いくつかの態様では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、100μm2未満の断面積、90μm2未満の断面積、80μm2未満の断面積、70μm2未満の断面積、60μm2未満の断面積、50μm2未満の断面積、40μm2未満の断面積、30μm2未満の断面積、20μm2未満の断面積、10μm2未満の断面積、5μm2未満の断面積、または2μm2未満の断面積を有する。
【0040】
いくつかの態様では、デバイスは、バイオマーカーの少なくとも1つのコピー数を判定するためのソフトウェアをさらに含む。いくつかの態様では、探測処理用ソースは、誘導放出抑制(STED)によって改変される。いくつかの態様では、検出、ランク付け、および測定は、毎時100万粒子超、毎時200万粒子超、毎時300万粒子超、毎時400万粒子超、毎時500万粒子超、毎時600万粒子超、毎時700万粒子超、毎時800万粒子超、毎時900万粒子超、毎時1000万粒子超、毎時1500万粒子超、毎時2000万粒子超、毎時2500万粒子超、毎時3000万粒子超、毎時3500万粒子超、毎時4000万粒子超、毎時4500万粒子超、または毎時5000万粒子超の速度で行われる。いくつかの態様では、速度は、毎時500万粒子超である。
【0041】
いくつかの態様では、デバイスは、2つ以上のマイクロ流体チャネルを含み、流動を方向付けるための機構は、生物学的ナノ粒子を2つ以上のマイクロ流体チャネルの各々に選別し得る。いくつかの態様では、選別することにより、濃縮集団が生成される。いくつかの態様では、デバイスは、生物学的ナノ粒子を選別するためのソフトウェアをさらに含む。いくつかの態様では、選別することは、サイズ値に依存する。いくつかの態様では、選別することは、ランク付けに依存する。
【0042】
様々な態様において、本開示は、コーティングされた平面状の表面上に生物学的ナノ粒子を捕捉するための方法を提供し、この方法は、コーティングを有する少なくとも1つの平面状の表面を提供することであって、コーティングは、非特異的吸着抵抗材料と、複数の捕捉分子と、を含む、提供することと、複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルをコーティングと接触させることと、生物学的ナノ粒子とコーティングとの接触を容易にするために、少なくとも1つの平面状の表面と接触している流体サンプルを遠心分離することと、複数の捕捉分子のうちの少なくともいくつかで複数のナノ粒子のうちの少なくともいくつかを捕捉することと、を含む。
【0043】
いくつかの態様では、流体サンプルの少なくとも一部分は、10mm未満、9mm未満、5mm未満、1mm未満、900μm未満、800μm未満、700μm未満、600μm未満、500μm未満、400μm未満、300μm未満、200μm未満、または100μm未満の層厚を有する。いくつかの態様では、少なくとも1つの平面状の表面は、ガラスを含む。いくつかの態様では、方法は、流体サンプルを蒸発防止層で覆うことをさらに含む。いくつかの態様では、蒸発防止層は、テープである。いくつかの態様では、蒸発防止層は、鉱油である。
【0044】
いくつかの態様では、方法は、流体サンプルを濾過することをさらに含む。いくつかの態様では、濾過工程は、接触工程の前に行われる。いくつかの態様では、濾過は、遠心力によって駆動される。
【0045】
いくつかの態様では、方法は、少なくとも1つの平面状の表面を分析することをさらに含む。いくつかの態様では、分析は、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子の数をカウントすることを含む。いくつかの態様では、分析は、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子からの放出された光強度を測定することを含む。いくつかの態様では、分析は、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子を撮像することを含む。いくつかの態様では、非特異的吸着抵抗材料は、ポリエチレングリコールを含む。いくつかの態様では、非特異的吸着抵抗材料は、双性イオン表面を含む。いくつかの態様では、双性イオン表面は、カルボキシベタインを含む。いくつかの態様では、非特異的吸着抵抗材料は、ウシ血清アルブミンを含む。
【0046】
いくつかの態様では、複数の捕捉分子は、抗体を含む。いくつかの態様では、抗体は、ビオチン化されている。いくつかの態様では、複数の捕捉分子は、ビオチンまたはストレプトアビジンを含む。いくつかの態様では、複数の捕捉分子は、核酸を含む。いくつかの態様では、複数の生物学的ナノ粒子は、細胞外小胞、オルガネラ、微小胞、細胞由来小胞、タンパク質凝集体、核酸凝集体、脂質凝集体、ウイルス、細菌、エキソソーム、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、複数の生物学的ナノ粒子は、エキソソームを含む。
【0047】
特定の態様では、少なくとも1つの平面状の表面は、0.1mm~100cm、0.1mm~20cm、1mm~20cm、5mm~10cm、1mm~5cm、10mm~10cm、5mm~5cm、または1cm~50cmの直径を有する。いくつかの態様では、少なくとも1つの平面状の表面は、1cm超の直径を有する。いくつかの態様では、少なくとも1つの平面状の表面は、1cm~100cm、1mm~1cm、1mm~20cm、5mm~20cm、10mm~20cm、100mm~20cm、1cm~20cm、または1cm~50cmの幅を有する。いくつかの態様では、少なくとも1つの平面状の表面は、0.1mm~100cm、1mm~20cm、1mm~10cm、5mm~20cm,10mm~20cm、100mm~20cm、1cm~20cm、または1cm~50cmの長さを有する。いくつかの態様では、少なくとも1つの平面状の表面は表面積を有し、表面積は、200cm2~100cm2であるか、表面積は、150cm2~80cm2であるか、表面積は、150cm2~1cm2であるか、表面積は、200cm2~1mm2であるか、表面積は、120cm2~1mm2であるか、表面積は、80cm2~1mm2であるか、表面積は、50cm2~1mm2であるか、表面積は、20cm2~1mm2であるか、表面積は、1cm2~1mm2であるか、表面積は、75mm2~1mm2であるか、表面積は、50mm2~1mm2であるか、表面積は、25mm2~1mm2であるか、または表面積は、10mm2~1mm2である。
【0048】
いくつかの態様では、方法は、検出可能な薬剤を複数のナノ粒子のうちの少なくとも1つと会合させることをさらに含む。いくつかの態様では、検出可能な薬剤は、蛍光標識抗体、蛍光標識タンパク質、蛍光標識核酸、蛍光標識脂質、膜色素、蛍光発生色素、色素、ポリマードット、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0049】
特定の態様では、方法は、複数の区画を含む収容デバイスを提供することをさらに含み、複数の区画のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの平面状の表面および流体サンプルを含む。いくつかの態様では、収容デバイスは、ウェルプレートである。いくつかの態様では、複数の区画は、ウェルを含む。いくつかの態様では、収容デバイスは、マイクロ流体チップである。いくつかの態様では、複数の区画は、マイクロ流体チャネルを含む。いくつかの態様では、収容デバイスは、ブロックであり、複数の区画は、複数の穴を含む。
【0050】
いくつかの態様では、方法は、収容デバイスを少なくとも1つの平面状の表面に取り付けることをさらに含む。いくつかの態様では、収容デバイスは、上部デバイスに取り付けられている。いくつかの態様では、上部デバイスは、フィルタを含む。いくつかの態様では、上部デバイスは、マイクロ流体デバイスを含む。いくつかの態様では、上部デバイスは、マルチウェルプレートを含む。
【0051】
いくつかの態様では、方法は、少なくとも1つの平面状の表面を収容デバイスから除去することをさらに含む。いくつかの態様では、除去は、捕捉後に行われる。いくつかの態様では、遠心分離は一定期間行われ、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子の数は、遠心分離の工程を省略した比較実験よりも少なくとも100%超であり、比較流体サンプルは、同じ期間、コーティングと接触する。いくつかの態様では、期間は、1時間未満、30分未満、15分未満、10分未満、5分未満、または1分未満である。
【0052】
いくつかの態様では、複数のナノ粒子のうちの少なくとも10%は、コーティングで捕捉される。
【0053】
いくつかの態様では、方法は、コーティングされた平面状の表面の安定性を増加させることをさらに含む。いくつかの態様では、安定性の増加は、凍結乾燥を含む。いくつかの態様では、安定性の増加は、コーティングと会合した複数の捕捉分子のうちの少なくともいくつかによる複数のナノ粒子のうちの少なくともいくつかの捕捉の前に生じる。
【0054】
いくつかの態様では、少なくとも1つの平面状の表面は、顕微鏡検査と適合性である。いくつかの態様では、少なくとも1つの平面状の表面は、カバースリップを含む。いくつかの態様では、遠心力は、複数の平面状の表面に同時に加えられる。
【0055】
いくつかの態様では、複数の捕捉分子は、連結部分を介して平面状の表面に付着される。いくつかの態様では、方法は、連結部分を切断することをさらに含む。いくつかの態様では、方法は、複数の生物学的ナノ粒子の少なくともいくつかをコーティングから脱離させることをさらに含む。いくつかの態様では、脱離は、ビオチンでの溶出を含む。いくつかの態様では、脱離した生物学的ナノ粒子は、構造的に損傷していない。いくつかの態様では、脱離した生物学的ナノ粒子は溶解され、溶解物は、分析のために収集される。いくつかの態様では、分析は、核酸分析、シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応、タンパク質分析、ELISA、質量分析、炭水化物分析、小分子分析、薬物分析、および脂質分析からなる群から選択される。
【0056】
いくつかの態様では、方法は、複数の捕捉分子のうちの少なくともいくつかによって捕捉されなかった流体サンプルのうちの少なくともいくつかを除去するために平面状の表面を洗浄することをさらに含む。いくつかの態様では、コーティングで捕捉された複数のナノ粒子のうちの少なくともいくつかが撮像される。いくつかの態様では、撮像は、蛍光顕微鏡法を含む。いくつかの態様では、蛍光顕微鏡法は、超解像撮像である。いくつかの態様では、蛍光顕微鏡法は、生物学的ナノ粒子と会合した少なくとも1つの膜色素を使用する。いくつかの態様では、少なくとも1つの膜色素は、FM 143、ANEPPS、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、撮像は、原子間力顕微鏡法を含む。いくつかの態様では、撮像は、透過型電子顕微鏡法を含む。いくつかの態様では、撮像は、情報のセットを提供する。いくつかの態様では、情報のセットは、ナノ粒子上に存在するバイオマーカーを識別することを含む。いくつかの態様では、情報のセットは、ナノ粒子上に存在する抗体を識別することを含む。いくつかの態様では、情報のセットは、ナノ粒子のサイズを判定することを含む。
【0057】
特定の態様では、ナノ粒子のサイズは、相対サイズ値であり、相対サイズ値は、測定された光強度の差によって判定される。いくつかの態様では、方法は、測定された光強度を標準で較正して、ナノ粒子の実際のサイズ値を判定することをさらに含む。いくつかの態様では、光強度の測定の前に較正が行われる。いくつかの態様では、ナノ粒子のサイズは、生物学的ナノ粒子の実際のサイズ値である。いくつかの態様では、標準は、金ナノ粒子を含む。いくつかの態様では、標準は、複数の脂質を含む。いくつかの提要では、標準は、脂質小胞を含む。いくつかの態様では、標準は、シリカビーズ、ポリスチレンビーズ、シリコーンビーズ、ポリマービーズ、ポリマーナノ粒子、またはこれらの組み合わせを含む。
【0058】
いくつかの態様では、流体サンプルは、第2の生物学的ナノ粒子をさらに含み、標準は、第2の生物学的ナノ粒子を含む。いくつかの態様では、標準のサイズは、動的光散乱で測定される。いくつかの態様では、測定される光強度は、単一ナノ粒子感度を有する。いくつかの態様では、測定される光強度は、単一分子感度を有する。いくつかの態様では、測定される光強度は、多数の検出可能な薬剤を含む単一の抗体を検出する。
【0059】
いくつかの態様では、情報のセットは、サンプルの濃度を識別することを含む。いくつかの態様では、情報のセットは、生体分子のコピー数を識別することを含む。いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つのバイオマーカーを含む。いくつかの態様では、生物学的ナノ粒子は、複数の検出可能な薬剤と会合する。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、生物学的ナノ粒子の表面に付着されるか、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、生物学的ナノ粒子の表面内にあるか、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、生物学的ナノ粒子の内部にあるか、またはこれらの組み合わせである。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、複数のタイプの検出可能な薬剤を含む。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、異なる発光プロファイルを有する。いくつかの態様では、発光プロファイルは、異なるピーク波長を有する。いくつかの態様では、ピーク波長は、10ナノメートル超だけ、20ナノメートル超だけ、30ナノメートル超だけ、40ナノメートル超だけ、50ナノメートル超だけ、75ナノメートル超だけ、100ナノメートル超だけ、120ナノメートル超だけ、140ナノメートル超だけ、160ナノメートル超だけ、180ナノメートル超だけ、200ナノメートル超だけ、300ナノメートル超だけ、400ナノメートル超だけ、500ナノメートル超だけ、600ナノメートル超だけ、または700ナノメートル超だけ分離される。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、共局在する。いくつかの態様では、共局在した検出可能な薬剤の存在は、情報のセットを提供する。いくつかの態様では、情報のセットは、少なくとも1つのバイオマーカーの存在、少なくとも1つのバイオマーカーの不在、またはこれらの組み合わせを含む。
【0060】
いくつかの態様では、少なくとも1つの平面状の表面は、半透明である。いくつかの態様では、少なくとも1つの平面状の表面は、透明である。
【0061】
様々な態様において、本開示は、ナノ粒子を捕捉するためのキットを提供し、キットは、コーティングを有する少なくとも1つの平面状の表面であって、コーティングが、非特異的吸着抵抗材料と、複数の捕捉分子と、を含む、少なくとも1つの平面状の表面と、複数の区画を含む収容デバイスであって、遠心分離と適合性である、収容デバイスと、を含む。
【0062】
いくつかの態様では、収容デバイスは、ウェルプレートである。いくつかの態様では、複数の区画は、ウェルを含む。いくつかの態様では、収容デバイスは、マイクロ流体チップである。いくつかの態様では、複数の区画は、マイクロ流体チャネルを含む。いくつかの態様では、収容デバイスは、ブロックであり、複数の区画が、複数の穴を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの平面状の表面は、ガラスを含む。いくつかの態様では、非特異的吸着抵抗材料は、ポリエチレングリコールを含む。いくつかの態様では、非特異的吸着抵抗材料は、双性イオン表面を含む。いくつかの態様では、双性イオン表面は、カルボキシベタインを含む。いくつかの態様では、非特異的吸着抵抗材料は、ウシ血清アルブミンを含む。
【0063】
いくつかの態様では、複数の捕捉分子は、抗体を含む。いくつかの態様では、抗体はビオチン化されている。いくつかの態様では、複数の捕捉分子は、ビオチンまたはストレプトアビジンを含む。いくつかの態様では、複数の捕捉分子は核酸を含む。
【0064】
いくつかの態様では、キットは、複数の生物学的ナノ粒子をさらに含み、複数の生物学的ナノ粒子は、細胞外小胞、オルガネラ、微小胞、細胞由来小胞、タンパク質凝集体、核酸凝集体、脂質凝集体、ウイルス、細菌、エキソソーム、またはこれらの組み合わせを含む。
【0065】
いくつかの態様では、キットは、説明書をさらに含む。いくつかの態様では、キットは、検出可能な薬剤をさらに含む。いくつかの態様では、検出可能な薬剤は、蛍光性である。いくつかの態様では、検出可能な薬剤は、発光性である。いくつかの態様では、検出可能な薬剤は、蛍光標識抗体、蛍光標識タンパク質、蛍光標識核酸、蛍光標識脂質、膜色素、蛍光発生色素、色素、ポリマードット、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0066】
いくつかの態様では、キットは、複数の検出可能な薬剤をさらに含む。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、重なり合う発光プロファイルを有する。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、同じ発光プロファイルを有する。いくつかの態様では、発光プロファイルは、同じピーク波長を有する。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、同じ検出可能な薬剤を含む。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、複数のタイプの検出可能な薬剤を含む。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤は、異なる発光プロファイルを有する。いくつかの態様では、発光プロファイルは、異なるピーク波長を有する。いくつかの態様では、ピーク波長は、10ナノメートル超だけ、20ナノメートル超だけ、30ナノメートル超だけ、40ナノメートル超だけ、50ナノメートル超だけ、75ナノメートル超だけ、100ナノメートル超だけ、120ナノメートル超だけ、140ナノメートル超だけ、160ナノメートル超だけ、180ナノメートル超だけ、200ナノメートル超だけ、300ナノメートル超だけ、400ナノメートル超だけ、500ナノメートル超だけ、600ナノメートル超だけ、または700ナノメートル超だけ分離される。
【0067】
いくつかの態様では、キットは、較正するための標準をさらに含む。いくつかの態様では、標準は、金ナノ粒子を含む。いくつかの態様では、標準は、複数の脂質を含む。いくつかの提要では、標準は、脂質小胞を含む。いくつかの態様では、標準は、シリカビーズ、ポリスチレンビーズ、シリコーンビーズ、ポリマービーズ、ポリマーナノ粒子、またはこれらの組み合わせを含む。
【0068】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれると具体的かつ独立して示された場合と同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
本発明の新規の特徴は、特に添付の特許請求の範囲に記載される。本発明の特徴および利点のさらなる理解は、本発明の原理が利用される例証的実施形態について記載する以下の発明を実施するための形態および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】散乱光を検出するように構成された装置を描示する。
【
図2A】マイクロ流体チャネル、ナノ粒子が流動中である注入口、狭窄部、および排出口を含む装置を描示する。
【
図2B】マイクロ流体チップの平面にナノ粒子を絞り込むための2つの流動絞り込みチャネルを有するマイクロ流体チップを含む装置を描示する。
【
図2C】マイクロ流体チップの平面に、およびマイクロ流体チップの平面に直交して、の両方でナノ粒子を絞り込む4つの流動絞り込みチャネルを有するマイクロ流体チップを備える装置を描示する。
【
図3A】表面膜色素を使用する生物学的ナノ粒子サイズ判定を描示する。
図3Aは、生物学的ナノ粒子の表面と会合した色素を有する生物学的ナノ粒子を描示する。
【
図3B】
図3Bは、表面色素から放出される強度が、表面積に比例し得ることを示す。
【
図3D】
図3Dは、強度分布を有する未補正のヒストグラムを描示する。
【
図3E】
図3Eは、基準サイズ分布が重ね合わされたヒストグラムを描示する。
【
図4A】体積色素を使用する生物学的ナノ粒子サイズ判定を描示する。
図4Aは、生物学的ナノ粒子によって封止された体積色素を有する生物学的ナノ粒子を描示する。
【
図4B】
図4Bは、体積色素から放出される強度が、生物学的ナノ粒子の体積に比例し得ることを示す。
【
図4D】
図4Dは、強度分布を有する未補正のヒストグラムを描示する。
【
図4E】
図4Eは、基準サイズ分布が重ね合わされたヒストグラムを示す。
【
図5A】体積色素および表面膜色素を使用する生物学的ナノ粒子サイズ判定を描示する。
図5Aは、生物学的ナノ粒子によって封止された体積色素と、生物学的ナノ粒子の表面と会合した色素と、を有する生物学的ナノ粒子を描示する。
【
図5B】
図5Bは、体積色素および表面色素から放出される強度が、生物学的ナノ粒子の表面積および体積に比例し得ることを示す。
【
図6】デューティサイクルを使用することによって生物学的ナノ粒子サイズを判定するために使用され得る2つの検出ビームを描示する。
【
図7】蛍光色素と会合した生物学的ナノ粒子が検出ビームを通過して励起されたときに検出される強度放出出力を描示する。
【
図8】デューティサイクルを使用して生物学的ナノ粒子のサイズを判定し得ることを示す。
【
図9】デューティサイクルをナノ粒子サイズと相関させるための式を生成し得ることを示す。
【
図10】実効励起の細い領域を生成するためにSTEDビームによって改変された励起ビームを描示する。
【
図11】実効励起の2つの細い領域を生成するためにSTEDビームによって改変された2つの励起ビームを描示する。
【
図12】2つの励起ビームを通過するナノ粒子とゼロ長とを描示する。
【
図13】関心のナノ粒子でサンプルを選別および濃縮するために使用され得る、指向性流動を制御するための装置を描示する。
【
図14】コーティングされた平面状の表面を有する生物学的ナノ粒子を捕捉するための装置を描示する。
【
図15A】遠心分離の有無による、コーティングされた平面状の表面上に捕捉された生物学的ナノ粒子の比較を描示する。
図15Aは、コーティングされた平面状の表面上に視覚化された生物学的ナノ粒子を描示する。
【
図15B】
図15Bは、遠心分離の有無による、コーティングされた平面状の表面上に捕捉された生物学的ナノ粒子の数の比較を描示する。
【
図16】生物学的ナノ粒子を選別し得るマイクロ流体チップを描示する。
【
図17A】単一色素分子感度を有するマイクロ流体チップおよび光学装置を描示し、検出された光信号を異なる測定間で正規化するために内部較正(Auナノ粒子)を利用する。
図17Aは、内部較正として使用するため、および/または検出された光信号を正規化するために、Auナノ粒子からの後方散乱光を検出し得るマイクロ流体チップおよび光学装置を描示する。
【
図17B】
図17Bは、検出された蛍光が単一色素分子感度を有することを実証する信号トレースを示す。
【
図18】測定間で強度を較正するための内部標準としてAuナノ粒子を使用して達成された個々のナノ粒子上の生体分子のコピー数をカウントした結果を示す。
【
図19】単一分子感度検出を可能にするために使用される器具の光学レイアウトの概略図を描示する。
【
図20A】異なる色の抗体を使用して、個々の小胞上の異なるタンパク質バイオマーカーの共局在判定を描示する。
図20Aは、VGlut1(タンパク質A)に対するAlexa561タグ付き抗体と結合した小胞からの検出された光子スパイクを示す信号時間トレースを描示する。
【
図20B】
図20Bは、VATPase(タンパク質B)に対するAlexa647タグ付き抗体と結合した小胞からの検出された光子スパイクを示す信号時間トレースを描示する。
【
図21A】小胞上の異なるタンパク質に特異的に結合する異なる色の抗体を、膜の存在および/または小胞のサイズを報告する膜色素と共に使用する、個々の小胞の異なるタンパク質バイオマーカーの共局在判定を描示する。
図21Aは、膜色素ANEPPSで標識された小胞からの検出された光子スパイクを示す信号時間トレースを描示する。
【
図21B】
図21Bは、CD63に対するAlexa647タグ付き抗体と結合した小胞からの検出された光子スパイクを示す例示的な信号時間トレースを描示する。
【
図21C】
図21Cは、同じ小胞上の膜小胞ANEPPSと抗CD63蛍光抗体との間の共局在の相互相関解析を示す。
【
図21D】
図21Dは、単一の遊離蛍光抗体の、および膜色素との共局在に基づいて小胞に結合した抗体の、蛍光強度分布を描示する。
【
図22A】小胞上の異なるタンパク質に特異的に結合する異なる色の抗体を、小胞の、損傷していない膜結合ボリュームおよび/またはサイズの存在を報告する体積色素と共に使用する、個々の小胞上の異なるタンパク質バイオマーカーの共局在を描示する。
図22Aは、体積色素オレゴングリーンジアセテートで標識された小胞からの検出された光子スパイクを示す信号時間トレースを描示する。
【
図22B】
図22Bは、SV2Aに対するAlexa647タグ付き抗体と結合した小胞からの検出された光子スパイクを示す信号時間トレースを描示する。
【
図22C】
図22Cは、同じ小胞上の体積色素オレゴングリーンと抗SV2A蛍光抗体との間の共局在の相互相関解析を描示し、共局在率は68%と計算される。
【
図23A】金ナノ粒子からの後方散乱光を内部標準として使用する信号強度較正を描示する。
図23Aは、膜色素ANEPPSで標識されたエキソソームからの検出された光子スパイクを示す信号時間トレースを描示する。
【
図23B】
図23Bは、金ナノ粒子からの検出された光子スパイクを示す信号時間トレースを描示する。
【
図23C】
図23Cは、膜色素標識小胞からの例示的な信号強度ヒストグラム(n=636イベント)を描示する。
【
図23D】
図23Dは、同じ実験で同時に膜色素標識されたエキソソームと共に測定された、金ナノ粒子からの例示的な信号強度ヒストグラム(n=538イベント)を示す。
【
図24A】エキソソーム上でのサイズ依存的なタンパク質発現を示す蛍光画像を描示する。
図24Aは、膜色素ANEPPSの蛍光強度を描示する。
【
図24B】
図24Bは、大きな小胞(1)、中程度の小胞(2)、および小さな小胞(3)の例を示す差し込み図を描示する。
【
図24C】
図24Cは、エキソソーム上の測定された蛍光強度の違いによって反映されるように、Alexa647タグ付き抗体の共局在および相対コピー数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本開示は、生物学的ナノ粒子の分析を行うための方法、システム、およびデバイスに関する。より具体的には、いくつかの態様では、本開示は、生物学的ナノ粒子が輸送中である間にサンプルに対して単一の生物学的ナノ粒子サイズ判定を行うための方法、システム、およびデバイスに関する。他の態様では、本開示は、コーティングされた平面状の表面上の生物学的ナノ粒子を選択的に捕捉するための方法、システム、およびデバイスに関し、捕捉することは、遠心分離によって容易になっている。
【0072】
生物学的ナノ粒子の識別のための重要なアプリケーションは、関心のナノ粒子の選別または濃縮である。体液は、豊富な生物学的ナノ粒子を含み、多様性に富む。多くの生物学的ナノ粒子は、生物医学的用途に有用であるか、疾患のバイオマーカーとして機能するか、または疾患の識別を支援する。生物学的ナノ粒子は、希少である場合があり、ナノ粒子を含む体液は、低濃度でそれらを発現することが多く、流体は、他の生物学的構造またはデブリスをさらに含む。関心の生物学的ナノ粒子の単離、精製、または濃縮は、生物医学的処置を支援することができ、加えて、生物学的ナノ粒子の局所濃度を増加させることができる。マイクロ流体デバイスの使用は、効率を増大させることができ、および/または関心の生物学的ナノ粒子の単離、精製、または濃縮を容易にすることができる。生物学的ナノ粒子をサイズで分類することができるため、ナノ粒子サイズの迅速な識別には多大な利益がある。
【0073】
希少な生物学的ナノ粒子の捕捉または単離は、研究、ナノ粒子識別、および医学的処置を支援することができる。関心のナノ粒子は低濃度で発現することが多いため、それらの捕捉を増加させる方法があれば有益となる。捕捉材料でコーティングされたビーズは、関心の粒子を単離するために使用されている(例えば、Lee、Nano Lett、2014、14(1)、pp1-5を参照)が、小さな生物学的ナノ粒子は、容易に分析することができず、またビーズ上では、ナノ粒子に損傷を与え、および収率を低下させ得る開裂工程を必要とする。ビーズを使用することはまた、非特異的結合に関連付けられた問題点を招く可能性があり、その結果、サンプルの純度が不十分になる可能性があり、および/または回収効率の低下を招く可能性がある。体液中の生物学的ナノ粒子の濃度が低いと、従来の手段を使用した捕捉および単離において、捕捉が遅くなるか、または収量が低下し、および/または純度が低下する結果となる可能性がある。加えて、ビーズを使用すると、非特異的結合から生じる問題を生じやすくなり、「汚損」サンプルが結果として得られる可能性がある。生物学的ナノ粒子の捕捉または単離を支援し、かつそのための時間を短縮する方法があれば、病院および研究室の環境に有益である。
【0074】
上記を考慮すると、生物学的ナノ粒子が、例えばマイクロ流体チップ内を輸送中である間に、生物学的ナノ粒子のサイズを迅速に判定する必要がある。関心の生物学的ナノ粒子の識別、特徴付け、単離、または濃縮がさらに必要である。ほとんどの生物学的ナノ粒子が低濃度であることに起因して、加えて、高い回収効率、純度、および感度を提供し、かつさらなる処理を必要とせずに容易に分析することもできる様式で、ナノ粒子をすばやく捕捉する必要がある。本開示は、これらの要求以上のものを提供する。
【0075】
輸送中の生物学的ナノ粒子サイズ判定の装置および方法
いくつかの実施形態では、本開示は、迅速および多用途であり、かつナノ粒子が輸送中である間に実施することができる生物学的ナノ粒子の判定(識別とも呼ばれる)、操作、および分析のための方法、システム、デバイス、および装置を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の方法、システム、デバイス、および装置は、輸送中の生物学的ナノ粒子の操作、検出、分析、判定、および/または識別を容易にすることができるマイクロ流体チップを含む。マイクロ流体チップは、少量の流体サンプルを処理するために使用することができ、従来のマクロスケールデバイスに対する利点を提供することができる(例えば、マイクロ流体チップは、わずかな量の流体サンプルしか必要とせず、必要な試薬が少なく、処理時間が短く、マクロスケールデバイスと比較して効率が向上する)。マイクロ流体チップは、平面デバイスであるため、高開口数を有する対物レンズ、レンズ、または集光システムの使用を可能にして、集光を強化することにより輸送中の生体ナノ粒子の検出、分析、および/または識別を容易にすることによって、生体ナノ粒子の検出および分析を容易にすることができる。マイクロ流体チップは平面デバイスであり、顕微鏡のセットアップとのマイクロ流体チップの適合性を高める。マイクロ流体チップは、加えて、デッドボリュームを有さない相互接続された流体ネットワークを設計および生成することを可能にすることができ、このことは、ひいては、生体ナノ粒子の検出および操作(例えば、3つ以上の流体チャネルの接合部での流動変位を使用する選別)を容易にすることができる。デッドボリュームは、流路の外側にあるマイクロ流体チップ内のボリュームの一部分である(例えば、サンプルナノ粒子を搬送する可能性のある液体が入って拡散して、精度を低下させる可能性があるボリューム)。マイクロ流体チップは、マイクロファブリケーションの方法により、非球形または非正方形(例えば、長方形)である断面を有するチャネルを作成することを可能にすることができ、輸送中の生物学的ナノ粒子の検出、分析、判定、および/または識別を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、チャネルの長さに沿って異なる幅または高さのチャネル(例えば、チャネルの幅および/または高さの狭窄部または段階的変化)の作成を容易にして、輸送中の生物学的ナノ粒子の操作、検出、分析、判定、および/または識別を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、高効率の集光システム(例えば、最大の集光および/または最小の歪みのための適切なカバースリップ厚さおよび屈折率)との適合性を高めて、輸送中の生物学的ナノ粒子の操作、検出、分析、判定、および/または識別を容易にするように、所望の厚さであると共に所望の材料特性(例えば、屈折率)を有するカバースリップに結合することによって、形成することができる。マイクロ流体チップは、生体ナノ粒子の操作、単離、選別、および/または輸送のための魅力的で多用途のプラットフォームを提供する。
【0076】
特定の態様では、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体チャネルを通って移動するナノ粒子は、赤外線、可視光、およびマイクロ波放射を含む放射に曝露され得る。生物学的ナノ粒子を放射に曝露することの影響は、ナノ粒子によって、またはナノ粒子と会合した分子によって放出される、結果として生じる光強度である。ナノ粒子によって放出された光の強度を測定することにより、ナノ粒子のサイズ値の対応する測定値が提供される。サイズ値は、相対サイズ値であり得るか、または実際のサイズ値であり得る。生体ナノ粒子がマイクロ流体デバイスを通して流動中である間に放出された光の強度を測定するこの方法は、上記のナノ粒子が輸送中である間にナノ粒子にサイズ値を割り当てることを可能にする。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子がマイクロ流体チップの少なくとも一部分を通して流動中である間に、粒子単位で生物学的ナノ粒子の存在または不在を検出するように、検出器を構成し得る。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、マイクロ流体チャネルを含み、生物学的ナノ粒子は、マイクロ流体チャネルを通して流動中である。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルは、狭窄部を含み、生物学的ナノ粒子は、狭窄部を通して流動中である。この方法は、少なくとも、マイクロ流体デバイスの使用により高いスループットおよび頻度でイベントを検出および/または選別する驚くほど効率的な分析を提供するため、従来のナノ粒子サイズ判定に予期しない利益を提供する。マイクロ流体チップのコンパクトなサイズは、従来の実験室のセットアップをサポートし得なかった多くの設定で、本開示の方法、装置、システム、およびデバイスの使用を可能にし、マイクロ流体デバイスを使用して得られるデータの精度は、従来のマクロスケールデバイスを単純にスケールダウンすることによる場合に予測されるものよりも高い。流動中のナノ粒子サイズ値の判定により、従来の方法で利用された生体ナノ粒子の捕捉および下流での脱離の必要がなくてすむ。本開示の方法は、多様な装置およびシステムに適用することができる。
【0077】
一定の実施形態では、生体ナノ粒子が流動中である間に、生物学的ナノ粒子にサイズ値が割り当てられる。「流動中」および「輸送中」という用語は、本明細書では互換的に使用される。一定の実施形態では、流動は中断されない。「中断されない流動」、「連続的に流動中で」という用語、およびそれらの変形は、本明細書では互換的に使用される。「中断されない流動」という用語(およびその変形)は、流動が1秒を超えて停止されないような流動の状態を指す。特定の態様では、流動は指向的に特定され得る。
【0078】
本明細書で使用される場合、「割り当て」という用語は、割り当ての生物学的ナノ粒子対象への生物学的ナノ粒子分類の定量的特性、定性的特性、または重要性を指定することを指す。一実施形態では、生物学的ナノ粒子にサイズ値を割り当て得る。本明細書で使用される場合、「サイズ値」という用語は、相対サイズ値または実際のサイズ値を指す。サイズ値は、直線距離の真のまたは相対的な測定値を提供する。一定の実施形態では、割り当ては、割り当てアルゴリズムを表すコンピュータおよびソフトウェアによって実行される。
【0079】
本明細書で使用される場合、「ランク付け」という用語は、分類によってナノ粒子の定量的特性、定性的特性、または重要性を評価することを指す。一実施形態では、生物学的ナノ粒子は、ヌル(例えば、ナノ粒子が検出可能な閾値未満の放出強度を有するとき)、または非ゼロ(例えば、ナノ粒子が検出されるとき)のいずれかにランク付けされてもよい。いくつかの実施形態では、ランク付けは、バイナリである。例えば、閾値を上回る検出された光強度を有する各ナノ粒子には値1が割り当てられる一方、閾値を上回る検出された光強度を有さない各測定サンプルには値0が割り当てられ、これによりバイナリランク付けが形成される。他の実施形態では、ナノ粒子は、例えば、ナノ粒子の同一性、検出可能な特性の存在、特徴的な特徴の存在などと相関する追加のカテゴリに従ってランク付けされてもよい。ランク付けには、いくつかの所定の定量的または定性的カテゴリのうちの1つに対応する任意の数を割り当てられてもよい。他の実施形態では、ランク付けは非バイナリであり、例えば、値は、生物学的ナノ粒子から測定された、放出された光強度の量に基づいて割り当てられる。一定の実施形態では、ランク付けは、ランク付けアルゴリズムを表すコンピュータおよびソフトウェアによって実行される。
【0080】
本明細書で使用される場合、「検出可能な特性」は、生物学的ナノ粒子に関連付けられた観測可能な特性、例えば、生物学的ナノ粒子に関連付けられているか、またはナノ粒子に本来的である、光活性、電気活性、生物活性、または磁気特性を指す。一定の実施形態では、「検出可能な特徴」は、生物学的ナノ粒子と検出可能な薬剤またはバイオマーカーとの会合を含む。
【0081】
光活性特性の例として、例えば、生体粒子モルフォロジー(粒子サイズ、内部細胞内構造)、蛍光、発光、免疫蛍光、などによって通常誘起される光学的強度(光学反射、散乱、偏向、透過、吸光度、または放出)の変更が挙げられる。光活性特性の検出は、例えば、ナノ粒子上の、ナノ粒子内の、またはナノ粒子と会合した、サイズ、質量、表面積、体積、タンパク質含有量、膜面積、脂質含有量、酵素含有量、代謝産物含有量、炭水化物含有量、核酸含有量、タンパク質同一性、または核酸同一性を報告し得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、「生物学的ナノ粒子」、「生体ナノ粒子」、および「生体粒子」という用語は、互換的に使用される。「ナノ粒子」という一般的な用語は、生物学的ナノ粒子を指す。「生物学的ナノ粒子」という用語は、1μm未満の流体力学的直径を有する生物学的ユニットを指す。生物学的ナノ粒子の非限定的な例は、エキソソームである。
【0083】
マイクロ流体デバイス
いくつかの態様では、本開示は、マイクロ流体チップの使用を提供する。マイクロ流体チップは、基板(例えば、シリコン、ガラス、セラミック、プラスチック、オルガノシリコン、石英、またはこれらの組み合わせ)から形成されてもよく、流体が通って流動するマイクロ流体チャネルのネットワークを含んでもよい。マイクロ流体デバイスを使用して、微量の流体サンプルを処理し、従来のマクロスケールデバイスに対する利点を提供することができる(例えば、必要な流体サンプルの量が大幅に少なく、必要な試薬の使用量が少なく、マクロスケールデバイスと比較して処理時間が短縮される)。マイクロ流体チップは、生体ナノ粒子の操作、単離、選別、および/または輸送のための魅力的で多用途のプラットフォームを提供する。マイクロ流体チャネルのアレイをパターン化してマイクロ流体デバイス内に統合することができる容易さにより、これらのマイクロ流体デバイスは、生物学的ナノ粒子を伴うアプリケーションに対する魅力的なプラットフォームになる。マイクロ流体チップは平面デバイスであるため、高開口数を有する対物レンズ、レンズ、または集光システムの使用を可能にし、このことは、集光を強化し、したがって、輸送中の生体ナノ粒子の検出、分析、判定、および/または識別を容易にすることによって、生体ナノ粒子の検出および分析を容易にすることができる。
【0084】
マイクロ流体チップは、平面デバイスであるため、顕微鏡セットアップとのマイクロ流体チップの適合性を高めることもできる。マイクロ流体チップは、加えて、デッドボリュームを有さない相互接続された流体ネットワークを設計および生成することを可能にすることができ、このことは、ひいては、生体ナノ粒子の検出および操作(例えば、3つ以上の流体チャネルの接合部での流動変位を使用する選別)を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、マイクロファブリケーションの方法により、非球形または非正方形(例えば、長方形)である断面を有するチャネルを作成することを可能にすることができ、輸送中の生物学的ナノ粒子の検出、分析、判定、および/または識別を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、チャネルの長さに沿って異なる幅または高さのチャネル(例えば、チャネルの幅および/または高さの狭窄部または段階的変化)の作成を容易にして、輸送中の生物学的ナノ粒子の操作、検出、分析、判定、および/または識別を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、高効率の集光システム(例えば、最大の集光および/または最小の歪みのための適切なカバースリップ厚さおよび屈折率を必要とする高開口数対物レンズ)との適合性を高めて、輸送中の生物学的ナノ粒子の操作、検出、分析、判定、および/または識別を容易にするように、所望の厚さであると共に所望の材料特性(例えば、屈折率)を有するカバースリップに結合することによって、形成することができる。マイクロ流体チップおよびマイクロ流体チップを使用する装置は、多数の生物学的ナノ粒子を、迅速な様式で、輸送、組み合わせ、分離、選別、および/またはそれ以外の方法で操作することを可能にする。本明細書で使用される場合、「マイクロ流体チップ」、「マイクロ流体デバイス」、および「マイクロ流体チャネルデバイス」という用語は、互換的に使用され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、注入口と、排出口と、ナノ粒子を検出するための検出ビームを使用して分析され得るマイクロ流体チャネルと、を含む(例えば、
図2Aを参照)。一定の実施形態では、マイクロ流体チップは、注入口と、排出口と、ナノ粒子を検出するための検出ビームを使用して分析され得るマイクロ流体チャネルと、マイクロ流体チップの平面にナノ粒子を絞り込むための2つの流動絞り込みチャネルと、を含む(例えば、
図2Bを参照)。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、注入口と、排出口と、ナノ粒子を検出するための検出ビームを使用して分析され得るマイクロ流体チャネルと、マイクロ流体チップの平面におよびマイクロ流体チップの平面に直交しての両方でナノ粒子を絞り込むための4つの流動絞り込みチャネルと、を含む(例えば、
図2Cを参照)。
【0086】
一定の実施形態では、マイクロ流体チップは、入力チャネル、第1の出力チャネル、第2の出力チャネル、および指向性流動チャネルを含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、バルブをさらに含み、バルブは、マイクロ流体チップから分離可能である。いくつかの実施形態では、指向性流動チャネル内の第1の流体の流動が調節され、指向性流動チャネル内の第1の流体の流動は、第2の流体の流動を、第1のチャネルから第1の出力チャネル、第2の出力チャネル、またはこれらの組み合わせに方向付ける。一定の実施形態では、検出器は、生物学的ナノ粒子から放出された信号を検出するように構成されており、プロセッサは、生物学的ナノ粒子に値を割り当て、流動調節機構を動作させるように構成される。いくつかの態様では、流動調節機構は、電気作動機構である。
【0087】
マイクロ流体チップは、効率的な能動選別スキームとその後の精製(例えば、精製チャンバ)スキームとを提供するように製造され得る。マイクロ流体チップは、シリコンマスター上の2つの層で構成され得、ポリマー基板への一工程成形で製造され得る。マイクロ流体チップは、ガラス基板またはポリマー基板への結合で仕上げ処理され得る。
【0088】
いくつかの態様では、シリコンマスターは、フォトリソグラフィープロセスを使用して製造され得る。これらの仕様は、標準ソフトウェア(例えば、AutoCAD、Autodesk、San Rafael、CA)を使用して設計され得、クロムマスク上に書き込まれ得る。これらの場合、ポジレジストリソグラフィーおよびディープリアクティブイオンエッチング(DRIE)を使用して、第1の層を形成し得る。いくつかの態様では、ポジフォトレジスト(例えば、AZ1512)は、DRIEプロセスを含み得るプロセスによって達成される。DRIEプロセスは、様々な仕様に好適な深さ(例えば、2~5μm)を達成することができる。
【0089】
いくつかの態様では、マイクロ流体チップ仕様の第2の層は、ネガフォトレジスト(例えば、マサチューセッツ州ニュートンのMicroChem製のSU-8-3050)を使用して製造され得、仕様の高さが制御され得る(例えば、50μm)。マスターは、例えば、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル-1-トリクロロシラン(ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrich)を使用してシラン処理され得る。シラン処理されたマスターとシリコンウエハとは、未硬化のPDMSでコーティングされ、ベークされ得る(例えば、70℃で2時間)。いくつかの態様では、所望のマイクロ仕様を有するPDMSのピースをシリコンマスターから剥がし、次に、プラズマ酸化の標準プロセスを使用してカバーガラスのピースと結合して、マイクロ流体チップの製造を完了し得る。
【0090】
いくつかの態様では、本明細書で提供されるマイクロ流体チップは、ポリマー材料(ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン-メタクリレート(PUMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、パリレン、ポリ塩化ビニル、フルオロエチルプロピレン、レキサン、ポリスチレン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリアクリレート、ポリカプロラクトン、ポリケトン、ポリフタルアミド、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、エポキシポリマー、熱可塑性樹脂、フルオロポリマー、およびポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド)、無機材料(ガラス、石英、シリコン、GaAs、窒化シリコン)、溶融シリカ、セラミック、ガラス(有機)、および/または他の材料とこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない材料から製造された壁によって閉囲された流動チャネルまたはチャンバを含み得る。
【0091】
いくつかの態様では、壁材料は、多孔質膜、ウールの織繊維または不織繊維(布またはメッシュなど)、金属(例えば、ステンレス鋼またはモネル)、ガラス、紙、または合成繊維(例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、パリレン、および様々なポリエステル)、焼結ステンレス鋼などの金属、およびアルミナ、シリカ、またはカーボンなどの多孔質無機材料で製造され得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、少なくとも第1の入力チャネルおよび少なくとも2つの出口チャネルを含む。
【0093】
一定の実施形態では、マイクロ流体チップが提供され、複数のマイクロ流体チャネルを含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、ランク付けに基づいて生物学的ナノ粒子をチャネリングするためのチャネルを含んでもよい。一定の実施形態では、マイクロ流体チップは、サイズ値に基づいて生物学的ナノ粒子をチャネリングするためのチャネルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、生体粒子の指向性を有する流動を追跡および操作するための電極をさらに含んでもよい。
【0094】
一定の実施形態では、本明細書で提供されるマイクロ流体チップは、1つ以上の入力流動チャネル(すなわち、生体ナノ粒子を検出ボリュームに運ぶチャネル)および1つ以上の出力チャネル(すなわち、生物学的ナノ粒子を検出ボリュームから運び去るチャネル)を含む、複数の流動チャネルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される装置は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、またはそれより多くの入力チャネルと、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、またはより多くの出力チャンネルと、の組み合わせを含んでもよい。一定の実施形態では、複数の流動チャネルは、並列構成をなす。
【0095】
一定の実施形態では、マイクロ流体チップは、局所速度を変更するための追加の流体を注入するために主チャネルに接続する多数の流動チャネルを含んでもよい。
【0096】
マイクロ流体チップのチャネルは、接合部で交差してもよい。いくつかの態様では、1つのチャネルが、接合部で別のチャネルと交差する。いくつかの態様では、1つのチャネルが、接合部で複数の異なるチャネルと交差する。いくつかの態様では、1つのチャネルが、接合部で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100の異なるチャネルと交差する。いくつかの態様では、複数のチャネルが、接合部で異なるチャネルと交差する。いくつかの態様では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100の異なるチャネルが、接合部で1つの異なるチャネルと交差する。一定の実施形態では、接合部にデッドボリュームが全くない。
【0097】
マイクロ流体チップのチャネルは、接合部で交差しなくてもよい。いくつかの態様では、1つのチャネルが、接合部ではないマイクロ流体チップ上の場所で異なるチャネルと交差する。いくつかの態様では、1つのチャネルが、接合部ではないマイクロ流体チップ上の場所で、複数の異なるチャネルと交差する。いくつかの態様では、1つのチャネルが、接合部ではないマイクロ流体チップ上の場所で、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100の異なるチャネルと交差する。いくつかの態様では、接合部ではないマイクロ流体チップ上の場所で、複数のチャネルが異なるチャネルと交差する。いくつかの態様では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100の異なるチャネルが、接合部ではないマイクロ流体チップ上の場所で1つの異なるチャネルと交差する。
【0098】
一定の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、平面デバイスであり、高開口数検出または撮像の使用を可能にする。平面マイクロ流体デバイスは、非平面システム(例えば、円筒内面および/または外面が円筒レンズとして作用し、したがって、光の集束および/または信号の収集の両方に歪みを引き起こし得る毛細管)の分析中に存在することが多い、画像歪みもしくは集光歪みまたは収差(例えば、球面収差または色収差)を防止する。高開口数の対物レンズを使用できることで、また集光効率が最大化される。さらに、平面マイクロ流体デバイスは、非平面システムを使用して検出または撮像するときに観測される同じ距離制約を受けない。加えて、平面マイクロ流体デバイスは、他のシステムの材料制約を有さず(例えば、平面マイクロ流体デバイスは、特定の厚さ、屈折率、および光学特性を有するカバースリップを含み得る)、その効果は、非平面システムを使用して検出または撮像するときに観察される。一定の実施形態では、検出、撮像、またはこれらの組み合わせは、落射照明を含み、1.0より大きい開口数を有する集光システムを用いる。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスを使用する検出または撮像は、0.8以上、0.9以上、1.0以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、または1.4以上の開口数を有する集光システムを用いる。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスを使用する検出または撮像は、0.8以上かつ1.5以下、0.9以上かつ1.5以下、1.0以上かつ1.5以下、1.1以上かつ1.5以下、1.2以上かつ1.5以下、1.3以上かつ1.5以下、または1.4以上かつ1.5以下の開口数を有する集光システムを用いる。好ましい実施形態では、平面マイクロ流体デバイスは、1.2以上の開口数を有する集光システムを使用して撮像し得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、平面デバイスであり、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルのうちの少なくとも一部分は、500μm未満の幅、400μm未満の幅、300μm未満の幅、200μm未満の幅、100μmの幅、75μm未満の幅、50μm未満の幅、40μm未満の幅、30μm未満の幅、25μm未満の幅、20μm未満の幅、15μm未満の幅、10μm未満の幅、5μm未満の幅、2μm未満の幅、1μm未満の幅、900nm未満の幅、850nm未満の幅、800nm未満の幅、750nm未満の幅、700nm未満の幅、650nm未満の幅、600nm未満の幅、550nm未満の幅、または500nm未満の幅を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、500μm未満、400μm未満、300μm未満、200μm未満、100μm未満、75μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、10μm未満、5μm未満、2μm未満、1μm未満、900nm未満、850nm未満、800nm未満、750nm未満、700nm未満、650nm未満、600nm未満、550nm未満、または500nm未満の最大幅を有する。好ましい実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、10μm未満の幅、5μm未満の幅、または2μm未満の幅を有する。好ましい実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、1μm~10μmの幅を有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、500μm未満の高さ、400μm未満の高さ、300μm未満の高さ、200μm未満の高さ、150μm未満の高さ、125μm未満の高さ、100μm未満の高さ、75μm未満の高さ、50μm未満の高さ、40μm未満の高さ、30μm未満の高さ、25μm未満の高さ、20μm未満の高さ、15μm未満の高さ、10μm未満の高さ、5μm未満の高さ、2μm未満の高さ、または1μm未満の高さを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、500μm未満、400μm未満、300μm未満、200μm未満、150μm未満、125μm未満、100μm未満、75μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、10μm未満、5μm未満、2μm未満、または1μm未満の最大高さを有する。好ましい実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、10μm未満の高さ、5μm未満の高さ、または2μm未満の高さを有する。好ましい実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、1μm~10μmの高さを有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、狭窄部を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、複数の狭窄部を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、複数のマイクロ流体チャネルを含み、その少なくとも一部分は、狭窄部を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、各々が狭窄部を含む複数のマイクロ流体チャネルを含む。狭窄部は、マイクロ流体チャネルの他の部分よりも狭い(すなわち、狭窄された)マイクロ流体チャネルの一部分である。流体サンプルは、狭窄部を通して流動することができる。一定の実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最も狭い領域を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最も広い部分(すなわち、最大幅)よりも小さい幅を有する。一定の実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最も広い部分に対して幅を有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大幅の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の幅を有する。非限定的な例として、100μmの最大幅を有するマイクロ流体チャネルは、最大幅の値の25%未満(すなわち、25μm未満)である狭窄部を有し得る。好ましい実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大幅の幅の10%未満の幅を有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの最大幅は、900μm未満かつ0.1μm超、800μm未満かつ0.5μm超、700μm未満かつ1μm超、600μm未満かつ5μm超、500μm未満かつ10μm超、1,000μm未満かつ10μm超、900μm未満かつ10μm超、800μm未満かつ10μm超、700μm未満かつ10μm超、600μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ10μm超、400μm未満かつ10μm超、300μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ1μm超、500μm未満かつ2μm超、500μm未満かつ5μm超、800μm未満かつ0.1超、700μm未満かつ0.1超、600μm未満かつ0.1超、500μm未満かつ0.1超、400μm未満かつ0.1超、または300μm未満かつ0.1超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネルの最大幅は、500μm未満かつ10μm超の値を有する。
【0104】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均幅よりも小さい幅を有する。一定の実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均幅に対して幅を有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均幅の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の幅を有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの平均幅は、900μm未満かつ0.1μm超、800μm未満かつ0.5μm超、700μm未満かつ1μm超、600μm未満かつ5μm超、500μm未満かつ10μm超、1,000μm未満かつ10μm超、900μm未満かつ10μm超、800μm未満かつ10μm超、700μm未満かつ10μm超、600μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ10μm超、400μm未満かつ10μm超、300μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ1μm超、500μm未満かつ2μm超、500μm未満かつ5μm超、800μm未満かつ0.1超、700μm未満かつ0.1超、600μm未満かつ0.1超、500μm未満かつ0.1超、400μm未満かつ0.1超、または300μm未満かつ0.1超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネルの平均幅は、500μm未満かつ10μm超の値を有する。
【0106】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最も大きい高さ値(すなわち、最大高さ)よりも低い高さを有する。一定の実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大高さに対して高さを有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大高さの50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の高さを有する。非限定的な例として、20μmの最大高さを有するマイクロ流体チャネルは、最大高さの値の10%未満(すなわち、2μm未満)である狭窄部を有し得る。好ましい実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大高さの25%未満の高さを有する。
【0107】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの最大高さは、900μm未満かつ0.1μm超、800μm未満かつ0.5μm超、700μm未満かつ1μm超、600μm未満かつ5μm超、500μm未満かつ10μm超、1,000μm未満かつ10μm超、900μm未満かつ10μm超、800μm未満かつ10μm超、700μm未満かつ10μm超、600μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ10μm超、400μm未満かつ10μm超、300μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ1μm超、500μm未満かつ2μm超、500μm未満かつ5μm超、800μm未満かつ0.1超、700μm未満かつ0.1超、600μm未満かつ0.1超、500μm未満かつ0.1超、400μm未満かつ0.1超、または300μm未満かつ0.1超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネルの最大高さは、500μm未満かつ10μm超の値を有する。
【0108】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均高さよりも低い高さを有する。一定の実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均高さに対して高さを有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均高さの50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の高さを有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの平均高さは、900μm未満かつ0.1μm超、800μm未満かつ0.5μm超、700μm未満かつ1μm超、600μm未満かつ5μm超、500μm未満かつ10μm超、1,000μm未満かつ10μm超、900μm未満かつ10μm超、800μm未満かつ10μm超、700μm未満かつ10μm超、600μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ10μm超、400μm未満かつ10μm超、300μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ1μm超、500μm未満かつ2μm超、500μm未満かつ5μm超、800μm未満かつ0.1超、700μm未満かつ0.1超、600μm未満かつ0.1超、500μm未満かつ0.1超、400μm未満かつ0.1超、または300μm未満かつ0.1超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネルの平均高さは、500μm未満かつ10μm超の値を有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最も大きい断面積(すなわち、最大断面積)よりも小さい断面積を有する。一定の実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大断面積に対して断面積を有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大断面積の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.02%未満、0.01%未満、0.005%未満、0.002%未満、0.001%未満の断面積を有する。非限定的な例として、200μm2の最大断面積を有するマイクロ流体チャネルは、最大断面積の値の10%未満(すなわち、20μm2未満)である狭窄部を有し得る。好ましい実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大断面積の10%~0.01%の断面積を有する。
【0111】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの最大断面積は1,000,000μm2未満かつ10μm2超、750,000μm2未満かつ25μm2超、500,000μm2未満かつ100μm2超、250,000μm2未満かつ250μm2超、900,000μm2未満かつ100μm2超、800,000μm2未満かつ100μm2超、700,000μm2未満かつ100μm2超、600,000μm2未満かつ100μm2超、400,000μm2未満かつ100μm2超、300,000μm2未満かつ100μm2超、200,000μm2未満かつ100μm2超、100,000μm2未満かつ100μm2超、50,000μm2未満かつ100μm2超、25,000μm2未満かつ100μm2超、10,000μm2未満かつ100μm2超、1,000μm2未満かつ100μm2超、2,000,000μm2未満かつ250μm2超、1,000,000μm2未満かつ250μm2超、900,000μm2未満かつ250μm2超、800,000μm2未満かつ250μm2超、700,000μm2未満かつ250μm2超、600,000μm2未満かつ250μm2超、400,000μm2未満かつ250μm2超、300,000μm2未満かつ250μm2超、200,000μm2未満かつ250μm2超、100,000μm2未満かつ250μm2超、50,000μm2未満かつ250μm2超、25,000μm2未満かつ250μm2超、10,000μm2未満かつ250μm2超、または1,000μm2未満かつ250μm2超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネルの最大断面積は、250,000μm2未満かつ250μm2超の値を有する。
【0112】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均断面積よりも小さい断面積を有する。一定の実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均断面積に対して断面積を有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均断面積の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.02%未満、0.01%未満、0.005%未満、0.002%未満、0.001%未満の断面積を有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの平均断面積は1,000,000μm2未満かつ10μm2超、750,000μm2未満かつ25μm2超、500,000μm2未満かつ100μm2超、250,000μm2未満かつ250μm2超、900,000μm2未満かつ100μm2超、800,000μm2未満かつ100μm2超、700,000μm2未満かつ100μm2超、600,000μm2未満かつ100μm2超、400,000μm2未満かつ100μm2超、300,000μm2未満かつ100μm2超、200,000μm2未満かつ100μm2超、100,000μm2未満かつ100μm2超、50,000μm2未満かつ100μm2超、25,000μm2未満かつ100μm2超、10,000μm2未満かつ100μm2超、1,000μm2未満かつ100μm2超、2,000,000μm2未満かつ250μm2超、1,000,000μm2未満かつ250μm2超、900,000μm2未満かつ250μm2超、800,000μm2未満かつ250μm2超、700,000μm2未満かつ250μm2超、600,000μm2未満かつ250μm2超、400,000μm2未満かつ250μm2超、300,000μm2未満かつ250μm2超、200,000μm2未満かつ250μm2超、100,000μm2未満かつ250μm2超、50,000μm2未満かつ250μm2超、25,000μm2未満かつ250μm2超、10,000μm2未満かつ250μm2超、または1,000μm2未満かつ250μm2超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネルの平均断面積は、250,000μm2未満かつ250μm2超の値を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、10μm未満の高さ、9μm未満の高さ、8μm未満の高さ、7μm未満の高さ、6μm未満の高さ、5μm未満の高さ、4μm未満の高さ、3μm未満の高さ、2μm未満の高さ、または1μm未満の高さを有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、10μm未満の幅、9μm未満の幅、8μm未満の幅、7μm未満の幅、6μm未満の幅、5μm未満の幅、4μm未満の幅、3μm未満の幅、2μm未満の幅、または1μm未満の幅を有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10超の狭窄部を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、複数のマイクロ流体チャネルを含み、その少なくとも一部分は各々、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10超の狭窄部を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、複数のマイクロ流体チャネルを含み、その大部分は各々、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10超の狭窄部を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、複数のマイクロ流体チャネルを含み、その各々は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10超の狭窄部を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの狭窄部を含むマイクロ流体チャネルは、狭窄部の寸法を有する別のマイクロ流体チャネルと比較して、サンプルがマイクロ流体チャネルを通して流動するときに背圧の増大を回避することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、10,000μm2未満の断面積、5,000μm2未満の断面積、3,000μm2未満の断面積、1,000μm2未満の断面積、800μm2未満の断面積、600μm2未満の断面積、400μm2未満の断面積、200μm2未満の断面積、または100μm2未満の断面積を有する。好ましい実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、100μm2未満の断面積、90μm2未満の断面積、80μm2未満の断面積、70μm2未満の断面積、60μm2未満の断面積、50μm2未満の断面積、40μm2未満の断面積、30μm2未満の断面積、20μm2未満の断面積、10μm2未満の断面積、5μm2未満の断面積、2μm2未満の断面積、または1μm2未満の断面積を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、250,000μm2未満、100,000μm2未満、50,000μm2未満、25,000μm2未満、10,000μm2未満、5,000μm2未満、3,000μm2未満、1,000μm2未満、800μm2未満、600μm2未満、400μm2未満、200μm2未満、または100μm2未満の最大断面積を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、100μm2未満、90μm2未満、80μm2未満、70μm2未満、60μm2未満、50μm2未満、40μm2未満、30μm2未満、20μm2未満、10μm2未満、5μm2未満、2μm2未満、または1μm2未満の最大断面積を有する。好ましい実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、1μm2~100μm2の断面積を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、100μm2~10,000μm2の最大断面積を有する。
【0117】
一定の実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、その幅または高さの少なくとも1つの不連続な変化を含む(例えば、微細加工の技術を使用して達成された)。本明細書で使用されるマイクロ流体チップは、高さまたは幅の連続的な変化を含むマイクロ流体チャネルとは対照的に、高さまたは幅の少なくとも1つのステップ勾配またはステップ変化を有するマイクロ流体チャネルを含み得る。高さまたは幅の連続的な変化を含むチャネルは、例えばガラス管を含むデバイスにおいて一般的であり、加熱された管を引っ張ることによって達成することができる。特有の実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、互いに独立して変化する高さと幅を有する。高さおよびの独立した変化は、例えばガラス管とは対照的であり、高さを減少させる加工には、対応する幅の減少が伴う(例えば、融点近くで加熱されたガラス管の引張および薄肉化)。
【0118】
一定の実施形態では、本明細書で提供される装置は、化学的または生物学的分子で前処理された流動チャネルまたはチャンバを含んでもよい。例えば、チャネルまたはチャンバを抗凝固化合物で処理して、流体サンプル中の生物学的ナノ粒子の会合、または流体サンプル中の生体ナノ粒子の集塊または凝集を防止または低減する化合物を処理してもよい。
【0119】
特定の実施形態では、マイクロ流体チップは、半透明または透明の特性を含む。例えば、半透明または透明である少なくとも1つの表面を含むマイクロ流体チップに、生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルが提供されてもよく、少なくとも1つの半透明または透明な表面は、生物学的ナノ粒子が半透明または透明である少なくとも1つの表面を通過する光強度を放出して光強度が検出されるように、探測処理ソースが生物学的ナノ粒子と相互作用することを可能にする。
【0120】
装置
一態様では、本開示は、流体サンプル中の生物学的ナノ粒子を検出および測定するためのデバイスを提供する。一実施形態では、デバイスは、(a)少なくとも第1の入力チャネルと、(b)少なくとも2つの出口チャネルと、(c)流体サンプル中の1つ以上の生物学的ナノ粒子を検出することができる少なくとも1つの検出器と、(d)生物学的ナノ粒子の流動を方向付けるための機構と、(e)生物学的ナノ粒子の存在、不在、同一性、組成、サイズ値、または発光に基づいて、または生物学的ナノ粒子に会合した検出可能な薬剤の存在、不在、同一性、組成、発光、または量に基づいて生物学的ナノ粒子に値を割り当てることができるランク付けデバイスと、を含み、コンピュータは、検出器および生物学的ナノ粒子の流動を方向付ける機構と通信状態にある。好ましい実施形態では、少なくとも第1の入力チャネルおよび少なくとも2つの出口チャネルは、マイクロ流体チップ内にある。好ましい実施形態では、生物学的ナノ粒子は、マイクロ流体チップ内を輸送中に停止せず、値の検出および/または割り当ては、生物学的ナノ粒子がマイクロ流体チップ内を輸送中である間に行われる。
【0121】
別の態様では、本開示は、流体サンプル中の生物学的ナノ粒子を検出するためのデバイスを提供し、上記デバイスは、(a)生物学的ナノ粒子の存在または不在を検出するための1つ以上の検出器と、(b)放出された検出可能な光強度に基づいて生物学的ナノ粒子をランク付けするためのソフトウェアを有するコンピュータと、(c)マイクロ流体チップと、を含む。一実施形態では、ランク付けは、バイナリである。他の実施形態では、ランク付けは、非バイナリである。非バイナリランク付けは、例えば、デバイスを使用して多数のタイプまたはサイズの生体ナノ粒子を検出する場合に使用されてもよい。
【0122】
別の態様では、本開示は、流体サンプル中の生物学的ナノ粒子のサイズを判定するためのデバイスを提供し、このデバイスは、(a)マイクロ流体チップと、(b)生物学的ナノ粒子の存在または不在を検出するように構成された少なくとも1つの検出器と、(c)(i)放出された検出可能な光強度の存在または不在に基づいて生物学的ナノ粒子をランク付けすることと、(ii)生物学的ナノ粒子によって放出された光強度に基づいて生物学的ナノ粒子のサイズ値を測定することと、を行うためのソフトウェアを有する、コンピュータとを含み、検出、ランク付け、および測定は、生物学的ナノ粒子がマイクロ流体チップを通して流動中である間に行われる。
【0123】
本明細書で提供されるデバイスおよび装置の一定の実施形態では、デバイスは、カメラ、電子増倍管、電荷結合デバイス(CCD)画像センサ、光電子増倍管(PMT)、マイクロチャネルプレートPMT(MCP)、ハイブリッドPMT検出器、アバランシェフォトダイオード(APD)、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)、または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサから選択される1つ以上の検出器を含む。いくつかの実施形態では、検出器は、蛍光を検出する。一定の実施形態では、検出器は、ルミネセンス光を検出する。いくつかの実施形態では、検出器は、複数の異なる発光プロファイルを検出する。いくつかの実施形態では、検出器は、散乱光を検出する。
【0124】
一定の実施形態では、検出器は、単一ナノ粒子感度を有する。好ましい実施形態では、検出器は、単一分子感度を有する。
【0125】
本明細書で提供されるデバイスおよび装置の一定の実施形態では、デバイスは、流体サンプルから1つ以上の生物学的ナノ粒子を探査するための1つ以上の光源をさらに含んでもよい。生物学的ナノ粒子を探測処理用ソースは、例えば、電磁放射線源であってもよい。特定の実施形態では、1つ以上の探測処理用ソースは、レーザ(固体、ダイオード励起、イオン、または色素)、発光ダイオード(LED)、ランプ、アーク放電、磁気パルス、または自然光から選択される。さらに他の実施形態では、生物学的ナノ粒子が化学発光または生物発光などの発光を呈する場合、生物学的ナノ粒子の探測用ソースは必要とされない。
【0126】
特定の実施形態では、探測処理用ソースは、誘導放出抑制(STED)によって改変される。
【0127】
一定の実施形態では、探測処理用ソースは、生物学的ナノ粒子に光強度を放出させる。好ましい実施形態では、光強度は、検出可能であり、サイズ値と関連付けられる。生物学的ナノ粒子が、本来的に発光を呈するか、または生物学的ナノ粒子が、発光を呈する検出可能な薬剤と会合した一定の実施形態では、装置は、生物学的ナノ粒子を探測処理用ソースを必要としなくてもよい。光強度信号は、信号対雑音比を有し得、信号ピークは、光強度出力のバックグラウンドノイズを超えて観察可能である。信号対雑音比が高いと、精度が上昇し、検出および測定が向上する。いくつかの実施形態では、光強度は、3:1超、4:1超、5:1超、6:1超、7:1超、8:1超、9:1超、10:1超、11:1超、12:1超、13:1超、14:1超、15:1超、16:1超、17:1超、18:1超、19:1超、20:1超、30:1超、40:1超、50:1超、60:1超、超70:1、80:1超、90:1超、100:1超、125:1超、150:1超、175:1超、200:1超、250:1超、500:1超、または1000:1超の信号対雑音比を有する。好ましい実施形態では、光強度は、10:1超の信号対雑音比を有する。
【0128】
一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、マイクロ流体チップを高速で通過する。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子の検出、ランク付け、および測定は、毎時100万粒子超、毎時200万粒子超、毎時300万粒子超、毎時400万粒子超、毎時500万粒子超、毎時600万粒子超、毎時700万粒子超、毎時800万粒子超、毎時900万粒子超、毎時1000万粒子超、毎時1500万粒子超、毎時2000万粒子超、毎時2500万粒子超、毎時3000万粒子超、毎時3500万粒子超、毎時4000万粒子超、毎時4500万粒子超、または毎時5000万粒子超の速度で行われる。好ましい実施形態では、速度は、毎時500万ナノ粒子超である。
【0129】
一定の実施形態では、本明細書で提供される装置は、生体ナノ粒子への不慮の損傷を最小限に抑えるための設計特徴を有する、壁によって閉囲され、および/または基板上に微細加工された流動チャネルを含んでもよい。流動チャネルは、米国特許出願第2007/0037172号および同第2008/0248499号に記載されているように、最小限の応力または損傷で不所望な物質またはデブリスを排除するために流体力学的に設計された特徴または濾過構造を有するチャネルをさらに含んでもよい。上述の特許出願で一次元(「1-D」)開口を有するチャネルと呼ばれるこのようなチャネルは、排除プロセス中に生体ナノ粒子にかかる流体力学的圧力を低減し、したがって溶解の確率を低減する。1-D開口を有するチャネルは、米国特許第2008/0318324号に記載された「流出濾過」構成に従って企図的にアレイに配置されて、流動をさらに再方向付け、分割し、減衰させ、または分散させ、その結果、排除の瞬間にナノ粒子にかかる衝撃力を低減してもよい。流動チャネルを閉囲する壁は、装置が医療デバイス製造を管理する規制の遵守するものとなるように、PCTPCT/US2009/02426に記載された手順により、UV硬化プロセスを使用して、医療デバイスグレードのポリマーである生体適合性を有する基板材料から製造されてもよい。
【0130】
一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動を方向付けるための機構は、電極、磁気素子、音響素子、電気作動素子、電場、または磁場を含む。いくつかの実施形態では、生体ナノ粒子の流動を方向付けるための機構は、1つ以上の電気作動バルブまたはピストンを含み、バルブまたはピストンは、第1の交差部で第1の入力チャネルおよび2つの出口チャネルと交差する少なくとも第1の指向性流動チャネル内の液体の流動を制御する。一実施形態では、ソレノイドピストンは、電気作動式ソレノイドバルブのサブコンポーネントである。別の実施形態では、ソレノイドピストンは、成形によってデバイスに組み入れられている。さらに別の実施形態では、組み入れられたソレノイドピストンは、配管を介して流体連通したソレノイドバルブによって置き換えられてもよい。特有の一実施形態では、本明細書で提供される装置は、粒子、生物学的ナノ粒子、または流体サンプルの軌道または流動を追跡および/または操作するための1つ以上の電極を含んでもよい。一定の実施形態では、電極は、誘電泳動またはエレクトロウェッティングなどの現象に基づいて、ナノ粒子の分離を強化してもよい。生物学的ナノ粒子が100nm未満の流体力学的直径を有する実施形態では、音響素子および/またはシースフロー絞り込みは、本明細書に開示される方法および装置のための生物学的ナノ粒子の軌道を適切に操作するのに十分ではない。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Optics Express Vol.15、Issue 10、pp.6167-6176(2007)を参照されたい。したがって、いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動を方向付けるための機構は、シースフロー絞り込み、音響フロー絞り込み、またはこれらの組み合わせを排除する。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、方向付けられ、ただし、上記の方向付けは、音響絞り込み、シースフロー絞り込み、またはこれらの組み合わせを使用しない。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される装置は、本来の磁性を有する生体ナノ粒子、および/または磁性粒子と会合した生体ナノ粒子を分離するための磁気素子をさらに含んでもよい。一定の実施形態では、磁性粒子は、ナノ粒子、または生物学的ナノ粒子と会合したマイクロ磁性粒子もしくはナノ磁性粒子の磁化率に基づいて、生体ナノ粒子の分離を強化してもよい。一定の実施形態では、本明細書で提供される装置は、流体圧力変化、流速変化、または電気浸透流変化を使用して、選択した粒子または細胞の軌道を操作することを含んでもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動を方向付けるための機構は、10ms未満、5ms、1ms、500μs、250μs未満、200μs未満、150μs未満、100μs未満、50μs未満、40μs未満、30μs未満、20μs未満、10μs未満、または5μs未満で、生物学的ナノ粒子の軌道を変更するか、または他の方法で流動を方向付け得る。好ましい実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動を方向付けるための機構は、1ms以下で流動を方向付け得る。
【0133】
一定の実施形態では、流動を方向付けるための機構は、流動変位を使用する。いくつかの実施形態では、流動を方向付けるための機構は、電気浸透流を使用する。いくつかの実施形態では、流動を方向付けるための機構は、圧力の印加を使用する。
【0134】
いくつかの実施形態では、流動を方向付けるための機構は、生物学的ナノ粒子を、マイクロ流体チップ内の複数のマイクロ流体チャネルの1つに選別することができる。一定の実施形態では、複数のマイクロ流体チャネルのうちの1つに流動を方向付けることにより、生物学的ナノ粒子の濃縮集団が生成される。
【0135】
一定の実施形態では、ランク付けデバイスが、コンピュータ、コントローラ、集積回路を有するチップ、回路基板、電子的要素、ソフトウェア、アルゴリズム、またはこれらの組み合わせから選択されてもよい。いくつかの実施形態では、測定デバイスが、コンピュータ、コントローラ、集積回路を有するチップ、回路基板、電子的要素、ソフトウェア、アルゴリズム、またはこれらの組み合わせから選択されてもよい。一定の実施形態では、ランク付けデバイスおよび/または測定デバイスは、割り当てデバイスを統合する。
【0136】
いくつかの実施形態では、ランク付けは、サイズ値の測定に対応する。一定の実施形態では、サイズ値は、相対サイズ値である。他の実施形態では、サイズ値は、真のサイズ値である。特定の実施形態では、サイズ値は、検出された光強度の差によって測定される。いくつかの実施形態では、サイズ値は、検出された変調指数に基づいて測定される。一定の実施形態では、サイズ値は、検出された光強度および検出された変調指数に基づいて測定される。変調指数は、振幅変調指数、周波数変調指数、位相変調指数、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0137】
一定の実施形態では、本明細書で提供される装置は、本明細書で提供される方法に結合される方法でアッセイ、プロセス、または試験を実行するために有用な追加の要素をさらに含んでもよい。一実施形態では、本明細書で提供される装置は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)などのオンチップ細胞アッセイを実行するための1つ以上の抵抗加熱素子をさらに含んでもよい。一定の実施形態では、本明細書で提供される装置は、例えば、電気泳動または電気クロマトグラフィーなどのオンチップ化学アッセイを実施するために、1つ以上の電極をさらに含んでもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される装置は、フィルタをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、フィルタ素子は、マイクロポスト、マイクロインパクタ、マイクロシーブ、生体ナノ粒子より大きい開口を有するチャネル、生体ナノ粒子はフィルタを自由に通過し得るが、流体サンプル中のより大きな物質またはデブリスはフィルタによって阻止されるような開口を有するチャネル、マイクロビーズ、多孔質膜、壁からの突起物、接着剤コーティング、ウール、金属(例えば、ステンレス鋼またはモネル)、ガラス、紙、または化学合成物(例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、パリレン、ポリエステル)の織繊維または不織繊維(布またはメッシュなど)、焼結ステンレス鋼もしくは他の金属、または、アルミナ、シリカ、またはカーボンなどの多孔性無機材料の形態をなしてもよい。
【0139】
いくつかの実施形態では、フィルタは、流体サンプルをマイクロ流体チップに導入する前に濾過が行われるように配置される。他の実施形態では、フィルタは、検出または選別の前に濾過が行われるように配置される。好ましい実施形態では、濾過は、サイズ値の割り当ての前に行われる。一定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、流体サンプルを濾過することをさらに含む。特定の実施形態では、濾過は、サイズ値の割り当ての前に行われる。いくつかの実施形態では、濾過によりデブリスが除去される。一定の実施形態では、濾過は、クロッギングを防止する。
【0140】
さらに別の実施形態では、本明細書で提供される装置は、従来のフローサイトメータに結合されていてもよい。例えば、
図16は、検出可能な薬剤(1602)を含有する選別された生体ナノ粒子(1661)が(生体ナノ粒子単位で)さらに連続して検査または選別されるように、(検出領域1622の有無にかかわらず)従来のフローサイトメータと流体連通してもよい排出口チャネル(1621)を例示している。
【0141】
本開示のいくつかの態様では、システムはまた、顕微鏡(例えば、共焦点顕微鏡、スピニングディスク顕微鏡、多光子顕微鏡、平面照明顕微鏡、ベッセルビーム顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、位相コントラスト顕微鏡、落射蛍光顕微鏡、透過型電子顕微鏡、またはこれらの組み合わせ)などの撮像デバイスを含む。任意で、探測処理ソースは、撮像デバイスの構成要素であり、例えば、撮像のための照明を提供する。特定の態様では、撮像デバイスは、例えば、マイクロ流体チップ内を輸送中に、生物学的ナノ粒子の画像データを取得するために使用される。任意で、画像データは、実際のサイズ値を割り当てるための基礎として使用される。いくつかの態様では、このプロセスは、手動で行われ、例えば、ユーザは、画像データを目視して指示を入力することにより、以前に相対サイズ値が割り当てられている場合がある生物学的ナノ粒子に真のサイズ値を割り当てる。他の態様では、このプロセスは、自動的に行われ、例えば、1つ以上のプロセッサがコンピュータビジョンまたは画像解析アルゴリズムを使用することなどによって画像データを解析し、ユーザ入力を必要とせずに生物学的ナノ粒子にサイズ値を割り当てる。代替の態様では、割り当ては、半自動化されており、例えば、いくつかのユーザ入力およびいくつかの自動処理を伴う。
【0142】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるシステムは、1つ以上のプロセッサと、実行可能な命令が記憶されたメモリデバイスと、を含むコンピュータを含む。いくつかの態様では、このコンピュータを使用して、本明細書に記載される方法を実行する。様々な態様では、上記に例示および記載されるシステムまたは方法のうちのいずれかを実装するために、コンピュータが使用され得る。いくつかの態様では、コンピュータが、バスサブシステムを介していくつかの周辺サブシステムと通信するプロセッサを含む。これらの周辺サブシステムは、メモリサブシステムおよびファイルストレージサブシステムを含むストレージサブシステム、ユーザインターフェース入力デバイス、ユーザインターフェース出力デバイス、およびネットワークインターフェースサブシステムを含み得る。
【0143】
いくつかの態様では、バスサブシステムは、コンピュータの様々な構成要素およびサブシステムが意図したとおりに互いに通信できるようにするための機構を提供する。バスサブシステムは、単一のバスまたは多数のバスを含み得る。
【0144】
いくつかの態様では、ネットワークインターフェースサブシステムは、他のコンピュータおよびネットワークへのインターフェースを提供する。ネットワークインターフェースサブシステムは、コンピュータと他のシステムとの間でデータを送受信するためのインターフェースとして機能し得る。例えば、ネットワークインターフェースサブシステムにより、コンピュータをインターネットに接続し、かつインターネットを使用して通信を容易にできるようにし得る。
【0145】
いくつかの態様では、コンピュータは、キーボードと、マウス、トラックボール、タッチパッド、またはグラフィックタブレットなどのポインティングデバイスと、スキャナと、バーコードスキャナと、ディスプレイに組み込まれたタッチスクリーンと、音声認識システム、マイク、および他のタイプの入力デバイスなどのオーディオ入力デバイスと、などのユーザインターフェース入力デバイスを含む。一般に、「入力デバイス」という用語の使用は、コンピュータに情報を入力するためのすべての可能なタイプのデバイスおよび機構を含むことが意図されている。
【0146】
いくつかの態様では、コンピュータは、基本的なプログラミングおよびデータ構造を記憶するためのコンピュータ可読ストレージ媒体を提供するストレージサブシステムを含む。いくつかの態様では、ストレージサブシステムは、プロセッサによって実行されると、本明細書に記載される方法およびシステムの機能を提供するソフトウェア(プログラム、コードモジュール、命令)を記憶している。これらのソフトウェアモジュールまたは命令は、1つ以上のプロセッサによって実行され得る。ストレージサブシステムはまた、本開示に従って使用されたデータを記憶するためのリポジトリを提供し得る。ストレージサブシステムは、メモリサブシステムおよびファイル/ディスクストレージサブシステムを含み得る。
【0147】
このソフトウェアは、放出された検出可能な光強度の存在または不在に基づいて生物学的ナノ粒子をランク付けすることと、生物学的ナノ粒子によって放出された光強度に基づいて生物学的ナノ粒子のサイズ値を測定することと、を行うために使用され得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、特定のサイズ値を有する生物学的ナノ粒子の数を定量化するために使用され得る。一定の実施形態では、ソフトウェアは、流体サンプルの濃度を判定するために使用され得る。特定の実施形態では、ソフトウェアは、流体サンプル中の特定の生物学的ナノ粒子の濃度を判定するために使用され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、生物学的ナノ粒子と会合したバイオマーカーの少なくとも1つのコピー数を判定するために使用され得る。
【0150】
一定の実施形態では、ソフトウェアは、生物学的ナノ粒子を選別するために使用され得る。特有の実施形態では、選別することは、サイズ値に依存する。特定の実施形態では、選別することは、ランク付けに依存する。
【0151】
いくつかの態様では、コンピュータは、プログラム実行中に命令およびデータを記憶するための主ランダムアクセスメモリ(RAM)と、固定命令が記憶される読み取り専用メモリ(ROM)と、を含むいくつかのメモリを含み得るメモリサブシステムを含む。ファイルストレージサブシステムは、プログラムおよびデータファイル用の非一過性の永続的(不揮発性)ストレージを提供し、ハードディスクドライブ、関連付けられたリムーバブルメディアを伴うソリッドステートドライブ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)ドライブ、光学式ドライブ、リムーバブルメディアカートリッジ、および他の同様のストレージ媒体を含み得る。
【0152】
コンピュータは、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、ワークステーション、ネットワークコンピュータ、メインフレーム、キオスク、サーバ、または、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの任意の他のデータ処理システムを含む様々なタイプのものであり得る。コンピュータおよびネットワークの絶えず変化する性質に起因して、本明細書に包含されるコンピュータの説明は、コンピュータの態様を例示する目的のための特定の例としてのみ意図されている。本明細書に記載されるシステムよりも多いまたは少ない構成要素を有する多くの他の構成が可能である。
【0153】
生物学的ナノ粒子の検出
いくつかの態様では、本開示は、流体サンプル中の生物学的ナノ粒子のサイズを検出する方法を提供し、この方法は、(a)マイクロ流体チップを提供することと、(b)流体サンプルをマイクロ流体チップ内に導入することであって、流体サンプルが、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子を含む、導入することと、(c)生物学的ナノ粒子からの光強度を測定することと、(d)マイクロ流体チップ内を輸送中に、生物学的ナノ粒子にサイズ値を割り当てることと、を含み、生物学的ナノ粒子は、1μm未満の流体力学的直径を有する。特定の態様では、マイクロ流体チップは、複数のマイクロ流体チャネルを含む。特有の実施形態では、マイクロ流体チップは、流動を方向付けるための機構を含み、生物学的ナノ粒子を濃縮および単離するために使用される。いくつかの実施形態では、流体サンプルは、複数の生物学的ナノ粒子を含む。一定の実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チップ内に導入される。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チャネルを通して流動する。
【0154】
特定の態様では、本開示の方法は、流動方向の制御をさらに提供する。いくつかの実施形態では、指向性を有する流動は、生物学的ナノ粒子のランク付けに応じて制御される。一定の実施形態では、流動方向は、生体粒子によって放出された光強度の検出に応答して制御される。特有の実施形態では、ナノ粒子の流動または収集は、生物学的ナノ粒子に割り当てられたサイズ値に基づいて方向付けられる。別の特有の実施形態では、ナノ粒子の流動または収集は、生物学的ナノ粒子と会合したマーカーの検出に基づいて方向付けられる。さらに別の特有の実施形態では、ナノ粒子の流動または収集は、生物学的ナノ粒子に割り当てられたサイズ値と生物学的ナノ粒子と会合したマーカーの検出との両方に基づいて方向付けられる。一定の実施形態では、方法は、同様のランク付けを有するナノ粒子を収集することによって生体粒子を凝縮することを含んでもよい。特有の実施形態では、方法は、流動を方向付けるための機構を使用して流動方向を制御することを含んでもよい。
【0155】
一態様では、本開示は、流体サンプル中の生物学的ナノ粒子を検出するための方法を提供し、この方法は、(a)生物学的ナノ粒子から放出された光強度を測定する工程と、(b)輸送中の生物学的ナノ粒子にサイズ値を割り当てる工程であって、サイズ値が、検出された、放出された光強度に基づく、割り当てる工程と、を含む。一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、1μm未満の流体力学的直径を有する。特有の実施形態では、測定は、生物学的ナノ粒子がマイクロ流体チップ内に位置する間に行われる。任意で、割り当ては、生物学的ナノ粒子がマイクロ流体チップ内に位置する間に行われる。好ましくは、測定および/または割り当ては、生物学的ナノ粒子がマイクロ流体チップを通した流動中である間に行われる。
【0156】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、検出可能な薬剤と会合する。一定の実施形態では、検出可能な薬剤は、発光色素、蛍光色素、蛍光標識抗体、蛍光標識タンパク質、蛍光標識核酸、蛍光標識脂質、蛍光標識炭水化物、蛍光標識小分子、膜色素、蛍光発生色素、色素、ポリマードット、酵素の蛍光発生基質、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、蛍光性である。他の実施形態では、検出可能な薬剤は、発光性である。本明細書で使用される場合、「会合する」は、共有および/または非共有相互作用を介した相互作用を含む。例えば、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子に共有結合され得る。あるいは、検出可能な薬剤は、例えば、生物学的ナノ粒子の膜に埋め込まれ得る。特定の実施形態では、検出可能な薬剤は、ファンデルワールス力または静電力などの非共有相互作用を介して、生物学的ナノ粒子の膜に埋め込まれ得る。
【0157】
特有の実施形態では、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子の表面と会合する。いくつかの実施形態において、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子の表面に共有結合および/または非共有結合で付着され得る。他の実施形態において、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子の表面内に埋め込まれ得る。特有の実施形態では、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子の表面、例えば、エキソソームの脂質層中に埋め込まれた膜色素によって囲まれる。生物学的ナノ粒子の表面と会合した検出可能な薬剤の関係は、生体ナノ粒子のサイズに関する情報を提供する。例えば、大きい表面積を有する生物学的ナノ粒子は、多数の検出可能な薬剤と会合することとなる一方、小さい表面積を有する生物学的ナノ粒子は、より少数の検出可能な薬剤と会合することとなる。生物学的ナノ粒子表面と会合した検出可能な薬剤の数の関係は、光強度とナノ粒子表面積との間の相関を提供する。このように、放出された光強度の量は、生物学的ナノ粒子のサイズに対応し、具体的には、生物学的ナノ粒子の表面積に対応する。
【0158】
他の実施形態では、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子の内部と会合する。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子の表面とは会合せず、生物学的ナノ粒子内に埋め込まれるか、またはそうでなければ、生物学的ナノ粒子によって囲まれる。特有の実施形態では、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子によって包含されるが、内部表面、例えば、エキソソームの脂質膜と内部で会合しないエキソソーム内で自由に浮遊する色素とは会合しない。内部の検出可能な薬剤は、本明細書では「体積色素」とも呼ばれる。生物学的ナノ粒子によって囲まれた体積色素の関係は、生体ナノ粒子のサイズに関する情報を提供する。例えば、大きい体積を有する生物学的ナノ粒子は、多数の体積色素を含むこととなる一方、小さい体積を有する生物学的ナノ粒子は、より少ない体積色素を含むこととなる。生物学的ナノ粒子内の体積色素数の関係は、光強度とナノ粒子体積間の相関関係を提供する。このように、放出された光強度の量は、生物学的ナノ粒子のサイズに対応し、具体的には、生物学的ナノ粒子の体積に対応する。
【0159】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、表面と会合した体積色素と、検出可能な薬剤と、の両方を含む。体積色素と、表面と会合した検出可能な薬剤と、の両方を含むナノ粒子は、生物学的ナノ粒子の表面積と体積との両方に関する情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、体積色素が検出可能な薬剤と、表面積が検出可能な薬剤と、は同じである。他の実施形態では、体積色素が検出可能な薬剤と、表面積が検出可能な薬剤と、は異なる。一定の実施形態では、体積色素は、検出または単離された生物学的ナノ粒子の同一性またはタイプに関する情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、蛍光発生基質である体積色素の使用は、検出または単離された生物学的ナノ粒子の同一性またはタイプに関する情報を提供することができる。特有の実施形態では、エキソソームなどの生物学的ナノ粒子に特異的な酵素の蛍光基質である体積色素の使用は、検出または単離された生物学的ナノ粒子の同一性またはタイプに関する情報をさらに提供することができる。
【0160】
一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、非球状である。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の形状についての情報は、生物学的ナノ粒子に関連付けられた信号の比率を分析することによって抽出され得る。特有の実施形態では、表面膜色素および体積色素を含む生物学的ナノ粒子は、放出比率を提供する。特有の実施形態では、表面膜色素および体積色素を含む生物学的ナノ粒子は、表面対体積比率を提供する。一定の実施形態では、表面膜色素と体積色素との比率は、生物学的ナノ粒子の形状についての情報を提供する。
【0161】
いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子と会合した1つ以上の結合標的に特異的に結合する。特定の態様では、結合標的は、タンパク質などのポリペプチドであり、検出可能な薬剤は、標的ポリペプチドに特異的に結合する蛍光標識抗体である。
【0162】
一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、複数の検出可能な薬剤を含む。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、発光色素、蛍光色素、蛍光標識抗体、蛍光標識タンパク質、蛍光標識核酸、蛍光標識脂質、蛍光標識炭水化物、蛍光標識小分子、膜色素、蛍光発生色素、色素、ポリマードット、酵素の蛍光発生基質、またはこれらの組み合わせである。一定の実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、生物学的ナノ粒子の表面と会合する。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、体積色素を含む。特有の実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子の表面と会合した少なくとも1つの検出可能な薬剤を含み、さらに体積色素を含む。本明細書で使用される場合、「複数の検出可能な薬剤」という用語は、生物学的ナノ粒子と会合した複数の検出可能な薬剤を指す。
【0163】
いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、重なり合う発光プロファイルを有する。一定の実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、重なり合う発光プロファイルおよび吸収プロファイルを有する。一定の実施形態では、検出可能な薬剤は、同じ発光プロファイルを有する。一定の実施形態では、検出可能な薬剤は、同じ発光プロファイルおよび吸収プロファイルを有する。特有の実施形態では、検出可能な薬剤は、同じピーク波長を有する発光プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、同じ検出可能な薬剤を含む。非限定的な例として、生物学的ナノ粒子は、表面と会合した複数の検出可能な薬剤と会合してもよく、はすべての検出可能な薬剤、同じである(例えば、同じ発光プロファイルおよび吸収プロファイルとピーク波長とを有する)。
【0164】
一定の実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、複数のタイプの検出可能な薬剤を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、異なる発光プロファイルを有する。一定の実施形態では、検出可能な薬剤は、異なるピーク波長を有する発光プロファイルを有する。特有の実施形態では、ピーク波長が、10ナノメートル超だけ、20ナノメートル超だけ、30ナノメートル超だけ、40ナノメートル超だけ、50ナノメートル超だけ、75ナノメートル超だけ、100ナノメートル超だけ、120ナノメートル超だけ、140ナノメートル超だけ、160ナノメートル超だけ、180ナノメートル超だけ、200ナノメートル超だけ、300ナノメートル超だけ、400ナノメートル超だけ、500ナノメートル超だけ、600ナノメートル超だけ、700ナノメートル超だけ、または800ナノメートル超だけ分離され得る。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、異なる吸収プロファイルを有する。一定の実施形態では、検出可能な薬剤は、異なるピーク波長を有する吸収プロファイルを有する。特有の実施形態では、ピーク波長が、10ナノメートル超だけ、20ナノメートル超だけ、30ナノメートル超だけ、40ナノメートル超だけ、50ナノメートル超だけ、75ナノメートル超だけ、100ナノメートル超だけ、120ナノメートル超だけ、140ナノメートル超だけ、160ナノメートル超だけ、180ナノメートル超だけ、200ナノメートル超だけ、300ナノメートル超だけ、400ナノメートル超だけ、500ナノメートル超だけ、600ナノメートル超だけ、700ナノメートル超だけ、または800ナノメートル超だけ分離され得る。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、異なる発光プロファイルおよび吸収プロファイルを有する。非限定的な例として、生物学的ナノ粒子は、表面と会合した複数の検出可能な薬剤と会合してもよく、すべての、表面が検出可能な薬剤は、同じであり(例えば、同じ発光プロファイルおよび吸収プロファイルとピーク波長とを有する)、生物学的ナノ粒子は、複数の体積色素をさらに含んでもよく、複数の体積色素は、同じ発光プロファイルおよびピーク波長を有するが、表面色素のピーク波長は、体積色素のピーク波長とは異なる。このような生物学的ナノ粒子は、体積色素の放出された光強度と表面色素の放出された光強度との両方を使用して、生体ナノ粒子のサイズに関する情報を提供することができ、これにより、サイズ判定の精度が上昇する場合がある。第2の非限定的な例として、生物学的ナノ粒子は、表面と会合した複数の検出可能な薬剤と会合してもよく、複数の検出可能な薬剤のうちのいくつかは同じであり(例えば、同じ発光プロファイルおよび吸収プロファイルとピーク波長とを有する)、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは異なる(例えば、重なり合わないピーク波長を有する)。このような例では、異なる複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、例えば、生体ナノ粒子表面上の特異的なタンパク質と会合してもよい。この第2の非限定的な例では、会合した検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子のサイズ、ならびにナノ粒子の同一性および/または生物学的ナノ粒子の表面タンパク質構成に関する情報を提供することができる。
【0165】
一定の実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、複数の検出可能な薬剤のグループを含み得、グループの各々は、特性を共有する。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、1個の検出可能な薬剤グループ、2個の検出可能な薬剤グループ、3個の検出可能な薬剤グループ、4個の検出可能な薬剤グループ、5個の検出可能な薬剤グループ、6個の検出可能な薬剤グループ、7個の検出可能な薬剤グループ、8個の検出可能な薬剤グループ、9個の検出可能な薬剤グループ、10個の検出可能な薬剤グループ、または10個を超える検出可能な薬剤グループを含む。検出可能な薬剤グループの各々は、同じ発光プロファイルおよび吸収プロファイルとピーク波長とを有する複数の検出可能な薬剤を含み得る。検出可能な薬剤グループの各々は、同じである複数の検出可能な薬剤を含み得る。非限定的な例として、生物学的ナノ粒子は、表面と会合した複数の検出可能な薬剤を含む第1の検出可能な薬剤グループと会合してもよく、すべての、表面が検出可能な薬剤は、同じであり(例えば、同じ発光プロファイルおよび吸収プロファイルとピーク波長とを有する)、生物学的ナノ粒子は、複数の体積色素を含む第2の検出可能な薬剤グループをさらに含んでもよく、すべての体積色素は、同じ発光プロファイルおよび吸収プロファイルとピーク波長とを有し、第1の検出可能な薬剤グループおよび第2の検出可能な薬剤グループのピーク波長は、異なり得る。このような生物学的ナノ粒子は、第1の検出可能な薬剤グループの放出された光強度と第2の検出可能な薬剤グループの放出された光強度との両方を使用して生体ナノ粒子のサイズに関する情報を提供することができ、これにより、サイズ判定の精度が上昇する場合がある。別の非限定的な例として、生物学的ナノ粒子は、表面と会合した複数の検出可能な薬剤を含む第1の検出可能な薬剤グループ、生体ナノ粒子上の特異的なタンパク質と会合した複数の検出可能な薬剤を含む第2の検出可能な薬剤グループ、生体ナノ粒子上の異なる特異的なタンパク質と会合した複数の検出可能な薬剤を含む第3の検出可能な薬剤グループ、および複数の体積色素を含む第4の検出可能な薬剤グループと会合してもよく、これは、組み合わせで、生体ナノ粒子の、正確なサイズ情報および同一性、またはタンパク質構成の両方を提供することができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の存在または不在を検出するように構成された検出器が使用される。一定の実施形態では、検出器を使用して、生体ナノ粒子によって放出された光強度を測定する。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子によって放出された光は、検出器によって検出される。一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤によって放出された光は、検出器によって検出される。
【0167】
特定の態様では、検出器は、カメラ、電子増倍管、電荷結合デバイス(CCD)イメージセンサ、光電子増倍管(PMT)、マイクロチャネルプレートPMT(MCP)、ハイブリッドPMT検出器、アバランシェフォトダイオード(APD)、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)、シリコン光電子増倍管(SiPM)、および相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサからなる群から選択される。
【0168】
いくつかの実施形態では、放出された光は、ルミネセンス光を含む。一定の実施形態では、放出された光は、蛍光を含む。いくつかの実施形態では、放出された光は、散乱光を含む。特有の実施形態では、放出された光は、ルミネセンス光、蛍光、散乱光、またはこれらの組み合わせを含む。
【0169】
検出器によって検出された、放出された光は、光強度の測定値を提供する。特定の態様では、生物学的ナノ粒子にサイズ値を割り当てることは、測定された光強度の使用を含む。非限定的な例として、第2の生体ナノ粒子からの第2の光強度よりも2倍大きい第1の光強度を有する第1の生体ナノ粒子は、相対サイズ差を観測者に知らせ、第1の生体ナノ粒子は第2の生体ナノ粒子よりも大きい。いくつかの態様では、測定された光強度は、蛍光を含む。一定の実施形態では、測定された光強度は、ルミネセンスを含む。いくつかの実施形態では、測定された光強度は、散乱光を含む。
【0170】
一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子からの光の放出を活性化するように構成された流体サンプルを探測処理用ソース。流体サンプルを探測処理するためのソースは、電磁放射線源であってもよい。一定の実施形態では、流体サンプルを探測処理するためのソースは、レーザ(固体、ダイオード励起、イオン、または色素)、発光ダイオード(LED)、ランプ、アーク放電、磁気パルス、または自然光を含む。流体サンプルを探測処理するためのソースは、生物学的ナノ粒子によって放出される光の強度を増加させるように調整されてもよい。非限定的な例として、レーザ波長は、生物学的ナノ粒子と会合した、蛍光が検出可能な薬剤のλabsと同じ値を有するように選択されてもよく、検出器は、検出可能な薬剤によって放出された蛍光λemを検出するように較正されてもよい。探査および検出用ソースのこのような選択は、好ましい光強度の放出および検出を提供する。いくつかの実施形態では、探測処理用ソースは、蛍光強度を活性化する。一定の実施形態では、探測処理用ソースは、散乱光強度を活性化する。特有の実施形態では、探測処理用ソースは、後方散乱光強度、側方散乱光強度、前方散乱光強度、またはこれらの組み合わせを活性化する。特有の実施形態では、探測処理用ソースは、散乱光強度と蛍光強度との両方を活性化する。非限定的な例として、流体サンプルを探査するためにレーザが使用されてもよく、通過するナノ粒子は、散乱光を放出してもよく、ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤は、蛍光を放出してもよい。散乱光および蛍光の強度の測定値は、生物学的ナノ粒子に関連するパラメータを知らせる。放出された光がルミネセンス光を含む実施形態では、探測処理用ソースは、必要とされなくてもよい。
【0171】
特定の態様では、探測処理用ソースは、電磁放射線源(例えば、光源)である。いくつかの実施形態では、電磁放射線源は、レーザ、ランプ(例えば、水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、または他の好適なランプ)、LED、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、探測用ソースは、落射照明を含む。いくつかの実施形態では、探測処理用ソースは、ライン共焦点検出(LCD)、ライン照明(例えば、アレイ検出器と共に使用するための)、またはこれらの組み合わせを含む。一定の実施形態では、探測処理用ソースからの照明は、マイクロ流体チャネルの幅と交差するラインの形態をなす(例えば、LCDまたはライン照明を使用して)。非限定的な例として、探測処理用ソースは、ライン共焦点検出を使用し得る。いくつかの態様では、光源によって放出されるピーク波長は、約200nm~約300nm、約250nm~約350nm、約300nm~約400nm、約350nm~約450nm、約400nm~約500nm、約450nm~約550nm、約500nm~約600nm、約550nm~約650nm、約600nm~約700nm、約650nm~約750nm、約700nm~約800nm、約750nm~約850nm、約800nm~約900nm、約850nm~約950nm、または約900nm~約1000nmである。いくつかの態様では、別個のピーク波長を有する2つ以上の光源が使用され得る。いくつかの態様では、光源によって放出された光は、光フィルタリング装置によってフィルタリングされる。いくつかの態様では、光フィルタリング装置は、フィルタ、例えば、一定の範囲内にある光の波長のみが生物学的ナノ粒子に向けて通過することを可能にするバンドパスフィルタを含む。いくつかの態様では、光フィルタリング装置は、一定の範囲内にある光波長のみを生体ナノ粒子に向けて方向付けすることを可能にするように、光を別個のスペクトル成分に分離することができる多色鏡を含む。いくつかの態様では、光フィルタリング装置を通過する最長波長は、300nm未満、400nm未満、500nm未満、600nm未満、700nm未満、800nm未満、900nm未満、または1000nm未満である。いくつかの態様では、光フィルタリング装置を通過する最短波長は、200nm超、300nm超、400nm超、500nm超、600nm超、700nm超、800nm超、または900nm超である。
【0172】
いくつかの実施形態では、探測処理用ソースは、10μm未満、9μm未満、8μm未満、7μm未満、6μm未満、5.0μm未満、4.5μm未満、4.0μm、3.5μm未満、3.0μm未満、2.5μm未満、2.0μm未満、1.5μm未満、1.0μm未満、950nm未満、900nm未満、850nm未満、800nm未満、750nm未満、700nm未満、650nm未満、600nm未満、550nm未満、500nm未満、450nm未満、400nm未満、350nm未満、または300nm未満のビーム幅を有する。いくつかの実施形態では、探測処理用ソースは、10μm未満、9μm未満、8μm未満、7μm未満、6μm未満、5.0μm未満、4.5μm未満、4.0μm未満、3.5μm未満、3.0μm未満、2.5μm未満、2.0μm未満、1.5μm未満、1.0μm未満、950nm未満、900nm未満、850nm未満、800nm未満、750nm未満、700nm未満、650nm未満、600nm未満、550nm未満、500nm未満、450nm未満、400nm未満、350nm未満、または300nm未満の幅を有する光ビームである。一定の実施形態では、探測処理用ソースは、0.5μm以上かつ2μm以下のビーム幅を有する。いくつかの実施形態では、探測処理用ソースは、0.1μm超かつ20μm未満、0.1μm超かつ10μm未満、0.1μm超かつ9μm未満、0.1μm超かつ8μm未満、0.1μm超かつ7μm未満、0.1μm超かつ6μm未満、0.1μm超かつ5μm未満、0.1μm超かつ4μm未満、0.1μm超かつ3μm未満、0.1μm超かつ2μm未満、0.2μm超かつ10μm未満、0.2μm超かつ5μm未満、0.2μm超かつ4μm未満、0.2μm超かつ3μm未満、0.2μm超かつ2μm未満、0.3μm超かつ5μm未満、0.3μm超かつ4μm未満、0.3μm超かつ3μm未満、0.3μm超かつ2μm未満、0.4μm超かつ5μm未満、0.4μm超かつ4μm未満、0.4μm超かつ3μm未満、0.4μm超かつ2μm未満、0.5μm超かつ5μm未満、0.5μm超かつ4μm未満、0.5μm超かつ3μm未満、または0.5μm超かつ2μm未満のビーム幅を有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子の探測処理用ソース(「照明用光源」または「照明光源」)は、2μm未満のビーム幅を有する照明光源を使用することを含む。いくつかの実施形態では、照明光源は、マイクロ流体チャネル内の検出の場所で2μm未満のビーム幅を有する。
【0174】
測定可能な光強度が、放出された光強度(例えば、発光ピーク強度または発光強度範囲)、発光波長(例えば、発光ピーク波長もしくは発光波長範囲)、発光寿命、励起波長(例えば、励起ピーク波長または励起波長範囲)、吸収波長(例えば、吸収ピーク波長または吸収波長範囲)、またはスペクトル強度であってもよい。放出された光強度を検出することは、発光強度(例えば、発光ピーク強度または発光強度範囲)、発光波長(例えば、発光ピーク波長または発光波長範囲)、発光寿命、励起波長(例えば、励起ピーク波長または励起波長範囲)、吸収波長(例えば、吸収ピーク波長または吸収波長範囲)スペクトル強度、またはそれらの任意の組み合わせを測定することを含み得る。いくつかの事例では、スペクトル強度は、例えば、複数の発光ピーク強度、発光ピーク波長、発光強度範囲、発光波長範囲、発光波長スペクトル、励起ピーク波長、励起波長範囲、吸収ピーク波長、または吸収波長範囲の比率を含み得る。例えば、複数の検出可能な薬剤を生物学的ナノ粒子のスペクトル強度を検出または測定することは、2つ以上の波長(例えば、2つ以上の、波長の範囲内)でプローブによって生成された検出可能な薬剤の発光強度を検出または測定することと、任意で、強度が検出または測定された2つ以上の波長で強度(例えば、強度範囲)の比率を計算することと、を含み得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、放出された光強度は、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nmのうちの少なくとも1つの波長を含むか、またはそれらのいずれか2つの値によって定義される範囲内の、波長または波長の範囲を含み得る。光の検出可能な放出またはその任意の態様(例えば、発光ピーク強度、発光強度範囲、発光ピーク波長、発光波長範囲、励起ピーク波長、励起波長範囲、吸収ピーク波長、吸収波長範囲、発光寿命、またはスペクトル強度)を使用して、標的生体ナノ粒子の存在または不在を判定し得る。結果として、本明細書に記載される方法およびシステムを使用して、流体サンプル中の1つ以上の別個の標的生物学的ナノ粒子の存在または不在の判定、測定、または表示を容易にすることができるか、または流体サンプル中の生物学的ナノ粒子と会合した1つ以上の検出可能な薬剤の存在または不在の判定または表示を容易にすることができる。
【0176】
様々なタイプの検出可能な薬剤が、本開示の方法およびシステムでの使用に好適である。いくつかの態様では、検出可能な薬剤は、1つ以上の発色団(例えば、フルオロフォア)を含む。本明細書に記載される発色団を使用して、様々な機構に従って蛍光発光を生成することができる。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤を第1の光学的状態から第2の光学的状態に変換することは、1つ以上の発色団のフォースター共鳴エネルギー転移(FRET)ベースの消光、または1つ以上の発色団のFRETベースの消光の除去を含む。一定の実施形態において、光エネルギーの適用は、発色団と相互作用する実体における組成変化および/または構造変化を誘発する。例えば、いくつかの態様では、検出可能な薬剤は、光エネルギーへの曝露時に異なる組成物および/または構造に(例えば、可逆的または不可逆的に)変換される少なくとも1つのフォトクロミック分子を含む。任意で、フォトクロミック分子は、分子のコンフォメーションに応じて発色団の蛍光を制御可能に消光し、それによって光学マーカーの光学的状態に変化をもたらすフォトクロミック消光剤である。フォトクロミック分子の例として、アゾベンゼン、スチルベン、アゾスチルベン、ジアリールエテン、キノン、ニトロン、フルギド、またはこれらの誘導体もしくは組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1,2-ビス(2,4-ジメチル-5-フェニル-3-チエニル)-3,3,4,4,5,5、-ヘキサフルオロ-1-シクロペンテン(BTE)は、本明細書に提示される様々な態様による使用に好適なであるジアリールエテンの例である。いくつかの態様では、BTEは、他のタイプのフォトクロミック分子と比較して、向上したフォトスイッチング動態、熱安定性、および疲労耐性を呈する。
【0177】
いくつかの実施形態では、発色団の光学特性を変更する光エネルギーに曝露されると、発色団自体が構造および/または組成において変化を受ける。例えば、いくつかの態様では、検出可能な薬剤は、光エネルギーの適用時に第1の光学的状態(例えば、比較的低い蛍光を呈するか、または全く蛍光を呈さない)から第2の光学的状態(例えば、比較的高い蛍光を呈する)に不可逆的に変換される少なくとも1つの光活性化可能な発色団を含む。光活性化可能な発色団の例として、光活性化可能な緑色蛍光タンパク質(PA-GFP)、PA-CFP2、PA-mRFP1、PA-mCherry1、Phamret、ケージ化蛍光色素(例えば、5-カルボキシメトキシ-2-ニトロベンジル(CMNB)-ケージ化フルオレセイン、CMNB-ケージ化カルボキシルフルオレセイン)、またはこれらの組み合わせもしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、光活性化可能な蛍光タンパク質は、遺伝的にコードされ、かつ生物学的ナノ粒子を発現することができる。
【0178】
いくつかの態様では、検出可能な薬剤は、第1の光学的状態(例えば、比較的低い蛍光を呈するか、または全く蛍光を呈さない)と第2の光学的状態(例えば、比較的高い蛍光を呈する)との間で可逆的に変換可能である少なくとも1つのフォトスイッチ可能な発色団を含む。特定の態様では、フォトスイッチ可能な発色団は、第1の光エネルギー(例えば、第1の波長の光)に曝露されると第1の光学的状態から第2の光学的状態に、および第2の異なる光エネルギー(例えば、第2の波長の光)に露光されると第2の光学的状態から第1の光学的状態に、変換される。任意で、フォトスイッチ可能な発色団は、最小の光退色で、または光退色なしで、例えば少なくとも3回、5回、10回、20回、50回、またはそれより多く、2つの光学的状態間で可逆的に多数回切り替わることができる。フォトスイッチ可能な発色団の例として、Dronpa、rsFastLime、Padron、bsDronpa、E2GFP、rsCherry、rsCherryRev、またはこれらの組み合わせもしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。他の態様では、検出可能な薬剤は、本明細書にさらに記載されるように、少なくとも1つのフォトスイッチ可能な発色性ポリマー粒子を含む。
【0179】
一定の実施形態では、発色団は、SYBRグリーン、エバグリーン、SYTO-9、SYTO-82、フルオレセイン、FITC、FAM、ローダミン、HEX、VIC、JOE、TET、TAMRA、ROX、TRITC、テキサスレッド、GFP、フィコエリトリン(PE)、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、PE-Cy5、カルセイン、BODIPY、Alexa Fluor、DyLight Fluor、ATTO、Quasar、Cal Fluor、TYE、Qdot、Cy、SYSTO、この誘導体、発色性ポリマー、半導体ポリマー、半導体ポリマードット、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0180】
半導体ポリマーの様々なタイプおよび組成が、本開示の態様による使用に適用可能である。発色団ポリマーは、ホモポリマーまたはヘテロポリマーであり得る。例えば、いくつかの半導体ポリマーが、本開示による発色団ポリマー粒子における使用に好適である。半導体ポリマーの例として、ポリ(9,9-ジヘキシルフルオレニル-2,7-ジイル)(PDHF)およびポリ(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)(PFO)を含むがこれらに限定されないポリフルオレン含有ポリマー、ポリ[{9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレン-フルオレニレン}-アルト-コ-{2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン}](PFPV)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-コ-(1,4-ベンゾ-{2,1,3}-チアジアゾール)](PFBT)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-コ-(4,7-ジ-2-チエニル-2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PFTBT)、およびポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-コ-(4,7-ジ-2-チエニル-2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PF-0.1TBT)を含むがこれらに限定されないフルオレン含有コポリマー、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン](MEH-PPV)およびポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-(1-シアノビニレン-1,4-フェニレン)](CN-PPV)を含むがこれらに限定されないフェニレンビニレン含有ポリマー、ポリ(2,5-ジ(3’,7’-ジメチルオクチル)フェニレン-1,4-エチニレン(PPE)を含むがこれに限定されないフェニレンエチニレン含有ポリマー、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一定の実施形態において、半導体ポリマーは、ポリフルオレン単量体、フルオレン単量体、フェニレンビニレン単量体、フェニレンエチニレン単量体、これらの任意の誘導体、またはこれらの組み合わせを含むポリマーを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、半導体ポリマーは、ポリフルオレン、ポリフルオレン誘導体、フルオレン、フルオレン誘導体、フェニレンビニレン、フェニレンビニレン誘導体、フェニレンエチニレン、フェニレンエチニレン誘導体、またはこれらの組み合わせを含む。
【0181】
多種多様の発色団ポリマー構造が、本開示の様々な態様による使用に好適である。いくつかの態様では、発色団ポリマーは、線状ポリマーである。他の態様では、発色団ポリマーは、分岐ポリマーである。特定の態様では、発色団ポリマーは、デンドリマーである。特定の態様では、発色団ポリマーは、ブラシポリマーである。特定の態様では、発色団ポリマーは、スターポリマーである。
【0182】
いくつかの態様では、本明細書に記載される発色団ポリマー粒子は、ポリ(アクリル酸-b-アクリルアミド、ポリ(アクリル酸-b-メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸-b-N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(n-ブチルアクリル酸-b-アクリル酸)、ポリ(アクリル酸ナトリウム-b-メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸-b-メタクリル酸ネオペンチル)、ポリ(メタクリル酸メチル-b-アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸メチル-b-メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸メチル-b-N,N-ジメチルアクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸メチル-b-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(メタクリル酸メチル-b-メタクリル酸ナトリウム)、ポリ(メタクリル酸ネオペンチル-b-メタクリル酸)、ポリ(t-メタクリル酸ブチル-b-エチレンオキシド)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸-b-アクリル酸))などのポリ((メタ)アクリル酸)系コポリマー、ポリ(ブタジエン(1,2付加)-b-エチレンオキシド)、ポリ(ブタジエン(1,2付加)-b-メチルアクリル酸、ポリ(ブタジエン(1,4付加)-b-アクリル酸)、ポリ(ブタジエン(1,4付加)-b-エチレンオキシド、ポリ(ブタジエン(1,4付加)-b-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(ブタジエン(1,4付加)-b-N-メチル4-ビニルピリジニウムヨウ化物)、ポリ(イソプレン-b-エチレンオキシド)、ポリ(イソプレン-b-エチレンオキシド)、およびポリ(イソプレン-b-N-メチル2-ビニルピリジニウムヨウ化物)などのポリジエン系コポリマー、ポリ(エチレンオキシド-b-アクリル酸)、ポリ(エチレンオキシド-b-アクリルアミド)、ポリ(エチレンオキシド-b-ブチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド-b-c-カプロラクトン)、ポリ(エチレンオキシド-b-ラクチド)、ポリ(エチレンオキシド-b-ラクチド)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸)、ポリ(エチレンオキシド-b-アクリル酸メチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸メチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸ニトロベンジル)、ポリ(エチレンオキシド-b-N,N-メタクリル酸ジメチルアミノエチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド-b-t-アクリル酸ブチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-t-メタクリル酸ブチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-メタクリル酸テトラヒドロフルフリル)、ポリ(エチレンオキシド-b-2-エチルオキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド-b-2-メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(エチレンオキシド-b-2-メチルオキサゾリン)などのポリ(エチレンオキシド)系コポリマー、ポリ(イソブチレン-b-アクリル酸)、ポリ(イソブチレン-b-エチレンオキシド)、ポリ(イソブチレン-b-メタクリル酸)などのポリイソブチレン系コポリマー、ポリ(スチレン-b-アクリルアミド)、ポリ(スチレン-b-アクリル酸)、ポリ(スチレン-b-アクリル酸セシウム)、ポリ(スチレン-b-エチレンオキシド)、ブロック接合部で酸開裂可能なポリ(スチレン-b-エチレンオキシド)、ポリ(スチレン-b-メタクリル酸)、ポリ(4-スチレンスルホン酸-b-エチレンオキシド)、ポリ(スチレンスルホン酸-b-メチルブチレン)、ポリ(スチレン-b-N,N-ジメチルアクリルアミド)、ポリ(スチレン-b-N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(スチレン-b-N-メチル2-ビニルピリジニウムヨウ化物)、ポリ(スチレン-b-N-メチル-4-ビニルピリジニウムヨウ化物)、ポリ(スチレン-b-プロピルアクリル酸)、ポリ(スチレン-b-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(スチレン-b-メタクリル酸ナトリウム)、ポリp-クロロメチルスチレン-b-アクリルアミド)、ポリ(スチレン-コ-p-クロロメチルスチレン-b-アクリルアミド)、ポリ(スチレン-コ-p-クロロメチルスチレン-b-アクリル酸)、ポリ(スチレン-b-メチルブチレン-コ-スルホン酸イソプレン)などのポリスチレン系コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン-b-アクリル酸)、ポリ(ジメチルシロキサン-b-エチレンオキシド)、ポリ(ジメチルシロキサン-b-メタクリル酸)などのポリシロキサン系コポリマー、ポリ(フェロセニルジメチルシラン-b-エチレンオキシド)などのポリ(フェロセニルジメチルシラン)系コポリマー、ポリ(2-ビニルナフタレン-b-アクリル酸)などのポリ(2-ビニルナフタレン)系コポリマー、ポリ(2-ビニルピリジン-b-エチレンオキシド)、ポリ(2-ビニルピリジン-b-メチルアクリル酸)、ポリ(N-メチル2-ビニルピリジニウムヨウ化物-b-エチレンオキシド)、ポリ(N-メチル4-ビニルピリジニウムヨウ化物-b-メタクリル酸メチル)、ポリ(4-ビニルピリジン-b-エチレンオキシド)PEO末端官能性OH)などのポリ(ビニルピリジンおよびN-メチルビニルピリジニウムヨウ化物)系コポリマー、およびポリ(ビニルピロリドン-b-D/L-ラクチド)などのポリ(ビニルピロリドン)系コポリマーを含むが、これらに限定されない、1つ以上の官能化単量体単位を有するコポリマーを含有する。
【0183】
特定の態様では、発色性ポリマー粒子は、半導体ポリマーのブレンドを含む。ブレンドは、ホモポリマー、コポリマー、およびオリゴマーの組み合わせを含み得る。発色団ポリマーを形成するために使用されるポリマーブレンドは、結果として生じたポリマー粒子の特性を調節するために、例えば、ポリマー粒子の所望の励起または発光スペクトルを達成するために選択されてもよい。
【0184】
さらに、検出可能な薬剤は、例えば、分析される生物学的ナノ粒子中に存在する関心の分子(例えば、核酸またはバイオマーカー)であり得る。あるいは、検出可能な薬剤は、生体ナノ粒子と会合する関心の分子(例えば、核酸分子またはバイオマーカー)と会合する分子であり得、それにより、ナノ粒子を検出することが可能になる。いくつかの態様では、検出可能な薬剤は、蛍光性であり、したがって、当該技術分野で知られている蛍光に基づく検出法によって検出することができる。ただし、他の検出法(例えば、吸光度、化学発光、濁度、および/または散乱)を使用して、生物学的ナノ粒子を分析することができる。本開示に好適な様々な検出可能な薬剤が当該技術分野で一般に周知であり、例えば、The Molecular Probes Handbook,11th Edition(2010)で見つけることができる。
【0185】
本明細書に記載される検出方法を使用して、生物学的ナノ粒子を、検出可能な薬剤との会合または会合の欠如について分析することができる。ある濃度の生物学的ナノ粒子の所与のサンプルについて、生物学的ナノ粒子のうちのいくつかは検出可能な薬剤を含み得、いくつかは含まない場合がある。一般に、流体力学的半径が大きい生物学的ナノ粒子は、流体力学的半径が小さい生物学的ナノ粒子と比較すると、検出可能な薬剤の数が多い。したがって、流体力学的半径が大きい生物学的ナノ粒子は、流体力学的半径が小さい生物学的ナノ粒子と比較すると、一般に、より高い強度の光を放出する。
【0186】
本明細書で提供される特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子からの光強度の検出は、ナノ粒子がマイクロ流体チップ内を輸送中である間に行われる。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、マイクロ流体チップ内を輸送中である間に検出され、輸送は、中断されない流動を含む。
【0187】
本明細書に記載される検出方法を使用して、生物学的ナノ粒子、検出可能な薬剤、タグなどを特異的に検出してもよい。いくつかの実施形態では、光強度の検出、測定、または検出および測定は、単一ナノ粒子感度を有する。例えば、たとえ流体サンプルが複数の生物学的ナノ粒子を含む場合でも、マイクロ流体チップ内を輸送中に単一の生物学的ナノ粒子が検出されてもよい。いくつかの実施形態では、たとえ他の同様の生物学的ナノ粒子が存在しても、単一の生物学的ナノ粒子が検出されてもよい。本明細書で使用される場合、「単一ナノ粒子感度」は、個々の生物学的ナノ粒子の検出を指す。
【0188】
個々の生物学的ナノ粒子の照明は、複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプル中にあり、かつ複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で照明される生物学的ナノ粒子を指し得る。個々の生物学的ナノ粒子の照明は、照明領域にランダムに共局在する2つ以上の生物学的ナノ粒子(すなわち、偶然に照明領域内に存在する2つ以上の生物学的ナノ粒子)の照明とは別個である。個々の生物学的ナノ粒子の照明は、生物学的ナノ粒子の凝集物(すなわち、2つ以上の生物学的ナノ粒子)の照明とは別個である。非限定的な例として、個々の生物学的ナノ粒子が、光ビームを通過し得、したがって照明される。個々の生物学的ナノ粒子は、複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で光ビームを通過し得、したがって個々の生物学的ナノ粒子は、単独で照明される。いくつかの実施形態では、個々の生物学的ナノ粒子は、流体サンプル中に存在する他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で光源によって探査され得る単数のナノ粒子である(例えば、所与の光ビーム幅について、ビームには単一の生物学的ナノ粒子が存在するため、複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在でビームを照明できるようになる。
【0189】
個々の生物学的ナノ粒子からの光強度の検出は、複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプル中にあり、かつ複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で検出される生物学的ナノ粒子を指し得る。個々の生物学的ナノ粒子の検出は、生物学的ナノ粒子の凝集物(すなわち、互いに付着した2つ以上の生物学的ナノ粒子)の検出とは別個である。非限定的な例として、個々の生物学的ナノ粒子が、光ビームを通過し、測定される光強度を結果として生じ得る。個々の生物学的ナノ粒子は、複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で光ビームを通過し、したがって個々の生物学的ナノ粒子は、単独で検出され得る。いくつかの実施形態では、個々の生物学的ナノ粒子は、流体サンプル中に存在するその他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で光源によって探査され得る単数のナノ粒子である(例えば、所与の光ビーム幅について、ビームには単一の生物学的ナノ粒子が存在するため、複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在でビームを検出することが可能になる)。
【0190】
いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の複数の生物学的ナノ粒子の少なくとも一部分が、照明される(すなわち、照明される生物学的ナノ粒子である)。非限定的な例として、照明光源からのビームを通過する生物学的ナノ粒子が、照明される生物学的ナノ粒子であり得る。いくつかの実施形態では、複数の検出される生物学的ナノ粒子の生物学的ナノ粒子の大半が、複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で照明される。一定の実施形態では、照明される生物学的ナノ粒子の大半が、個々に照明される(すなわち、個々の生物学的ナノ粒子として測定される)。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子中の照明される生物学的ナノ粒子のうちの10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、または99%超が、個々に照明される。好ましい実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子中の照明される生物学的ナノ粒子のうちの90%超が、個々に照明される。
【0191】
いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の複数の生物学的ナノ粒子の少なくとも一部分が、検出される(すなわち、検出される生物学的ナノ粒子である)。非限定的な例として、検出領域を通過する生物学的ナノ粒子は、検出される生物学的ナノ粒子であり得る。いくつかの実施形態では、複数の検出される生物学的ナノ粒子の生物学的ナノ粒子の大半が、複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で検出される。一定の実施形態では、検出される生物学的ナノ粒子の大半が、個々に検出される(すなわち、「個々に検出される」とも呼ばれる個々の生物学的ナノ粒子として検出される)。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子中の検出される生物学的ナノ粒子のうちの10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、または99%超が、個々に検出される。好ましい実施形態では、複数の検出される生物学的ナノ粒子中の生物学的ナノ粒子のうちの90%超が、個々に検出される。
【0192】
いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくともいくつかが、粒子単位で検出される。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくともいくつかが、粒子単位で照明される。粒子単位は、領域(例えば、所与の幅を有する光ビーム)を個々に(すなわち、一度に1つ)通過する複数の生物学的ナノ粒子の観測を表す。粒子単位の非限定的な例として、複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルは、複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくともいくつかが光ビームを個々に通過する(すなわち、複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で)ように、マイクロ流体チャネルの狭窄部を通して流動し、かつ光ビームを通過し得る。粒子単位の生物学的ナノ粒子の別の非限定的な例として、複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルが、1つ以下の生物学的ナノ粒子が複数のうちの他の生物学的ナノ粒子と全く重なり合わずに一度に光ビームを通過するように、マイクロチャネルを流動し、かつ光ビームを通過し得る。いくつかの特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子の大半が、1つ以下の生物学的ナノ粒子が複数のうちの他の生物学的ナノ粒子と重なり合わずに一度に光ビームを通過するように、光ビームを通過する。いくつかの実施形態では、複数の照明される生物学的ナノ粒子中の生物学的ナノ粒子のうちの10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、または99%超が、粒子単位で照明される。好ましい実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子中の照明される生物学的ナノ粒子のうちの90%超が、粒子単位で照明される。いくつかの実施形態では、複数の検出される生物学的ナノ粒子中の生物学的ナノ粒子のうちの10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、または99%超が、粒子単位で検出される。好ましい実施形態では、複数の検出される生物学的ナノ粒子中の生物学的ナノ粒子のうちの90%超が、粒子単位で検出される。
【0193】
いくつかの実施形態では、光強度の検出は、単一分子感度を有する。例えば、単一の生物学的ナノ粒子が、複数の検出可能な薬剤と会合してもよく、単一の検出可能な薬剤が、検出され得る。別の例として、単一の生物学的ナノ粒子が、複数の同じタイプの検出可能な薬剤と会合してもよく、複数の検出可能な薬剤の個々が、検出され得る。本明細書で使用される場合、「単一分子感度」は、個々の分子の検出を指し、個々の分子は、生物学的ナノ粒子と会合しているか、または生物学的ナノ粒子は、個々の分子を含む。単一分子検出は、点検出を含み得、検出は、空間領域(例えば、点または線)に集束され、上記の空間領域からの光の検出は、生物学的ナノ粒子の存在に対応し得る。点検出は、アバランシェフォトダイオード(APD)、マルチエレメントフォトダイオード、電子増倍管、光電子増倍管(PMT)、マイクロチャネルプレートPMT(MCP)、ハイブリッドPMT検出器、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)、またはシリコン光電子増倍管(SiPM)などの点検出器の使用を含み得る。単一分子検出は、点照明、またはより好ましくは線照明の検出を含み得、照明光源は、空間領域(例えば、幅を照明する光のビーム、または点を照明する光のビーム)に集束され、上記の空間領域からの光の検出は、生物学的ナノ粒子の存在に対応し得る。点照明または線照明の検出は、上記でさらに開示されるように、カメラ、電子増倍管、電荷結合デバイス(CCD)イメージセンサ、光電子増倍管(PMT)、マイクロチャネルプレートPMT(MCP)、ハイブリッドPMT検出器、アバランシェフォトダイオード(APD)、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)、シリコン光電子増倍管(SiPM)、および相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサの使用を含み得、照明光源(すなわち、探測用ソース)は、レーザ、ランプ(例えば、水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、または他の好適なランプ)、LED、またはこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、検出器は、ライン共焦点検出器または撮像装置を含む。一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子を検出することは、ライン共焦点検出または撮像を使用する。
【0194】
いくつかの実施形態では、空間領域からの光の検出は、少なくとも1つの検出器で領域(本明細書では「検出領域」とも呼ばれる)からの光強度を検出することを含む。いくつかの実施形態では、検出領域は、250μm2未満、200μm2未満、150μm2未満、100μm2未満、90μm2未満、80μm2未満、70μm2未満、60μm2未満、50μm2未満、45μm2未満、40μm2未満、35μm2未満、30μm2未満、25μm2未満、20μm2未満、19μm2未満、18μm2未満、17μm2未満、16μm2未満、15μm2未満、14μm2未満、13μm2未満、12μm2未満、11μm2未満、10μm2未満、9μm2未満、8μm2未満、7μm2未満、6μm2未満、5μm2未満、4μm2未満、3μm2未満、2μm2未満、または1μm2未満の面積を有する。好ましい実施形態では、検出領域は、1μm2以上かつ10μm2以下の面積を有する。いくつかの実施形態では、検出領域は、0.1μm2以上かつ50μm2以下、0.2μm2以上かつ45μm2以下、0.3μm2以上かつ40μm2以下、0.4μm2以上かつ35μm2以下、0.5μm2以上かつ30μm2以下、0.6μm2以上かつ25μm2以下、0.7μm2以上かつ20μm2以下、0.8μm2以上かつ15μm2以下、0.9μm2以上かつ12.5μm2以下、1μm2以上かつ10μm2以下の面積を有する。いくつかの実施形態では、検出領域は、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと重なり合い、交差し、および/または少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内にある。いくつかの実施形態では、検出領域は、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの狭窄部と重なり合い、交差し、および/または少なくとも1つのマイクロ流体チャネル内にある。
【0195】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの探測処理用ソースは、ある領域(本明細書では「照明領域」とも呼ばれる)を探査する。いくつかの実施形態では、照明光源は照明領域を照明する。いくつかの実施形態では、照明領域は、250μm2未満、200μm2未満、150μm2未満、100μm2未満、90μm2未満、80μm2未満、70μm2未満、60μm2未満、50μm2未満、45μm2未満、40μm2未満、35μm2未満、30μm2未満、25μm2未満、20μm2未満、19μm2未満、18μm2未満、17μm2未満、16μm2未満、15μm2未満、14μm2未満、13μm2未満、12μm2未満、11μm2未満、10μm2未満、9μm2未満、8μm2未満、7μm2未満、6μm2未満、5μm2未満、4μm2未満、3μm2未満、2μm2未満、または1μm2未満の面積を有する。好ましい実施形態では、照明領域は、1μm2以上かつ100μm2以下の面積を有する。いくつかの実施形態では、照明領域は、0.1μm2以上かつ500μm2以下、0.2μm2以上かつ450μm2以下、0.3μm2以上かつ400μm2以下、0.4μm2以上かつ350μm2以下、0.5μm2以上かつ300μm2以下、0.6μm2以上かつ250μm2以下、0.7μm2以上かつ200μm2以下、0.8μm2以上かつ150μm2以下、0.9μm2以上かつ125μm2以下、1μm2以上かつ100μm2以下の面積を有する。
【0196】
いくつかの実施形態では、光強度の検出は、タイムビンの使用を含む。生物学的ナノ粒子特性を判定するための開示される装置および方法は、短い信号積分時間または速いビンタイムで、迅速に実行され得る。ビンタイムを使用して、例えば、情報の選別を支援するために、探測蛍光の開始停止時間を評価することができる。タイムビン(本明細書では信号積分時間とも呼ばれる)は、イベントが発生する、または観測されるヒストグラムの時間範囲を開示することができる。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の検出、測定、および/または探測は、タイムビンを使用する。いくつかの実施形態では、タイムビンは、10ms未満、5ms未満、1ms未満、0.5ms未満、0.1ms未満、90μs秒未満、80μs未満、70μs未満、60μs未満、50μs未満、40μs未満、30μs未満、20μs未満、10μs未満、5μs未満、または1μs未満の範囲を有する。いくつかの実施形態では、タイムビンは、10ms~0.1μs、5ms~0.1μs、1ms~0.1μs、0.5ms~0.1μs、0.1ms~0.1μs、90μs~0.1μs、80μs~0.1μs、70μs~0.1μs、60μs~0.1μs、50μs~0.1μs、40μs~0.1μs、30μs~0.1μs、20μs~0.1μs、10μs~0.1μs、5μs~0.1μs、または1μs~0.1μsの値を有する。好ましい実施形態では、タイムビンは、1μs~2msの範囲を有する。
【0197】
一定の実施形態では、光強度の検出は、生物学的ナノ粒子と会合した単一の抗体を検出する。特定の実施形態では、光強度の検出は、多数の検出可能な薬剤を含む単一の抗体を検出し、抗体は、生物学的ナノ粒子と会合する。いくつかの実施形態において、光強度の検出は、少なくとも1つの検出可能な薬剤と会合した単一の抗体を検出し、抗体は、生物学的ナノ粒子と会合する。
【0198】
粒子単位での検出
本明細書に記載されるように、複数の生物学的ナノ粒子は、粒子単位を使用して検出され得る。検出の粒子単位は、複数の生物学的ナノ粒子からの単一の生物学的ナノ粒子の検出を表す。いくつかの実施形態では、粒子単位は、単一ファイル検出を含み、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チャネルまたは狭窄部分(の狭窄部)マイクロ流体チャネルを通過する際に順次検出される。粒子単位は、複数の生物学的ナノ粒子の少なくともいくつかの間の物理的分離を意味する。
【0199】
いくつかの実施形態では、粒子単位で少なくとも1つの生物学的ナノ粒子を検出することは、個々の生物学的ナノ粒子を照明すること、個々の生物学的ナノ粒子を検出すること、またはこれらの組み合わせを含む。本明細書でさらに開示されるように、個々の生物学的ナノ粒子の検出、および/または個々の生物学的ナノ粒子を照明することは、複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプル中にあるが、複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で照明および/または検出される生物学的ナノ粒子を指し得る。個々の生物学的ナノ粒子の検出および/または照明は、生物学的ナノ粒子(すなわち、互いに付着した2つ以上の生物学的ナノ粒子)の凝集物の検出および/または照明とは別個である。非限定的な例として、個々の生物学的ナノ粒子が、光ビームを通過し得、検出される光強度が、結果として生じる。個々の生物学的ナノ粒子は、複数のうちの他の生物学的ナノ粒子のいずれもが不在で光ビームを通過し、したがって個々の生物学的ナノ粒子は、単独で検出および/または照明され得る。
【0200】
いくつかの実施形態では、個々の生物学的ナノ粒子は、サンプルからの溶媒または流体によって囲まれる。一定の実施形態では、個々の生物学的ナノ粒子は、サンプルからの溶媒または流体によって完全に囲まれる。2つ以上の生物学的ナノ粒子の凝集物は、凝集物からの生物学的ナノ粒子の各々がサンプルからの溶媒または流体によって完全に囲まれることを妨げる。したがって、2つ以上の生物学的ナノ粒子の凝集物は、個々の生物学的ナノ粒子ではなく、個々の生物学的ナノ粒子は、2つ以上の生物学的ナノ粒子の凝集物ではない。
【0201】
いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チャネルを通して流動し、生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも1つが、個々の生物学的ナノ粒子として検出される。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チャネルの狭窄部を通して流動し、生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも1つが、狭窄部で個々の生物学的ナノ粒子として検出される。一定の実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子からの検出される生物学的ナノ粒子の一部分のうちの少なくとも1%が、個々の生物学的ナノ粒子として検出される。いくつかの実施形態では、複数の検出される生物学的ナノ粒子の一部分のうちの少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が、個々の生物学的ナノ粒子として(粒子単位で)検出される。好ましい実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分からの検出される生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも90%が、個々の生物学的ナノ粒子として検出される。
【0202】
いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チャネルを通して流動し、生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも1つが、個々の生物学的ナノ粒子として照明される。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チャネルの狭窄部を通して流動し、生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも1つが、狭窄部で個々の生物学的ナノ粒子として照明される。一定の実施形態では、複数の照明される生物学的ナノ粒子の一部分のうちの少なくとも1%が、個々の生物学的ナノ粒子として照明される。いくつかの実施形態では、複数の照明される生物学的ナノ粒子の一部分のうちの少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が、個々の生物学的ナノ粒子として(粒子単位で)照明される。好ましい実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分からの照明される生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも90%が、個々の生物学的ナノ粒子として照明される。
【0203】
いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チャネルを通して流動し、生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも1つが、個々の生物学的ナノ粒子として測定される。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チャネルの狭窄部を通して流動し、生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも1つが、狭窄部で個々の生物学的ナノ粒子として測定される。いくつかの実施形態では、検出または測定は、マイクロ流体チャネルに存在する狭窄部で行われる。一定の実施形態では、複数の測定される生物学的ナノ粒子の一部分のうちの少なくとも1%が、個々の生物学的ナノ粒子として測定される。いくつかの実施形態では、複数の測定される生物学的ナノ粒子の一部分のうちの少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が、個々の生物学的ナノ粒子として(粒子単位で)測定される。好ましい実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分からの測定される生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも90%が、個々の生物学的ナノ粒子として測定される。
【0204】
いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チャネルを通して流動し、複数の生物学的ナノ粒子間にボイドボリュームを含む。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、マイクロ流体チャネルの狭窄部を通して流動し、複数の生物学的ナノ粒子間にボイドボリュームを含む。ボイドボリュームは、複数の生物学的ナノ粒子の一部分における個々の生物学的ナノ粒子間のボリューム(および幅を有するマイクロ流体チャネルでは、ボイド距離を表す)を表す。例えば、生物学的ナノ粒子の一部分が、互いに分離し(すなわち、凝集物ではない)、それらの間の平均ボイド距離を有し得る。ボイド距離およびボイドボリュームの値は、直接関連している。ボイドボリュームは、1つの生物学的ナノ粒子の検出および/または照明の後、かつ別の生物学的ナノ粒子の検出および/または照明の前に、マイクロ流体チャネルを通過する流体の体積を指し得る。いくつかの実施形態では、ボイドボリュームは、マイクロ流体チャネルを順次通過する生物学的ナノ粒子間の体積を指す。いくつかの実施形態では、ボイド距離は、個々の生物学的ナノ粒子間の距離を指し得る。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分の間の平均ボイド距離は、複数の生物学的ナノ粒子の一部分の平均流体力学的直径の0.5倍超、1倍超、1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2倍超、3倍超、4超倍、5倍超、6倍超、7倍超、8倍超、9倍超、10倍超、15倍超、20倍超、25倍超、50倍超、75倍超、100倍超、250倍超、500倍超、または1,000倍超である。
【0205】
いくつかの実施形態では、平均ボイド距離は、平均して単一の個々の生物学的ナノ粒子がマイクロ流体チャネルの検出領域および/または照明領域を通過するのに十分である。一定の実施形態では、平均ボイド距離は、複数の生物学的ナノ粒子の一部分のうちの少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が、粒子単位で検出領域および/または照明領域を通過するのに十分である。好ましい実施形態では、平均ボイド距離は、複数の生物学的ナノ粒子の一部分のうちの少なくとも90%が、粒子単位で検出領域および/または照明領域を通過するのに十分である。
【0206】
いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分の間の平均距離は、検出領域、照明領域、またはこれらの組み合わせの幅よりも大きい。検出領域、照明領域、またはこれらの組み合わせは、放射線源(例えば、照明光源、したがって照明領域を形成する)によって照明され、および/または検出器で検出される(したがって、検出領域を形成する)少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの領域を表し得る。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルは、狭窄部を含み、狭窄部は、検出領域を含む。いくつかの実施形態では、狭窄部は、検出領域である。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分の間の平均距離は、検出領域の長さの0.5倍超、1倍超、1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2倍超、3倍超、4超倍、5倍超、6倍超、7倍超、8倍超、9倍超、10倍超、15倍超、20倍超、25倍超、50倍超、75倍超、または100倍超である。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分の間の平均距離は、照明領域の長さの0.5倍超、1倍超、1.1倍超、1.2倍超、1.3倍超、1.4倍超、1.5倍超、1.6倍超、1.7倍超、1.8倍超、1.9倍超、2倍超、3倍超、4超倍、5倍超、6倍超、7倍超、8倍超、9倍超、10倍超、15倍超、20倍超、25倍超、50倍超、75倍超、または100倍超である。非限定的な例として、照明領域は、幅を有する光のビームを含み得、複数の生物学的ナノ粒子の一部分の間の平均距離は、光のビームの幅よりも大きい。
【0207】
いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分が、複数の生物学的ナノ粒子の一部分からの個々の生物学的ナノ粒子の検出を可能にするのに十分な速度でチャネルを通して流動する。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分は、毎秒300,000生物学的ナノ粒子未満、毎秒200,000生物学的ナノ粒子未満、毎秒100,000生物学的ナノ粒子未満、毎秒75,000生物学的ナノ粒子未満、毎秒50,000生物学的ナノ粒子未満、または毎秒25,000生物学的ナノ粒子未満、毎秒15,000生物学的ナノ粒子未満、毎秒10,000生物学的ナノ粒子未満、毎秒5,000生物学的ナノ粒子未満、または毎秒1,000生物学的ナノ粒子未満の速度でチャネルを通して流動する。好ましい実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分は、毎秒50,000生物学的ナノ粒子未満の速度でチャネルを通して流動する。
【0208】
いくつかの実施形態では、粒子単位で複数の生物学的ナノ粒子の一部分を検出することは、生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも2つを順次検出することを含む。複数の生物学的ナノ粒子の一部分がマイクロ流体チャネルを通して流動する際、複数の生物学的ナノ粒子は、少なくとも2つの生物学的ナノ粒子を個々に検出するのに十分な、少なくとも2つの生物学的ナノ粒子間の平均距離(例えば、上述したようなボイド距離を有する)を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分は、マイクロ流体チャネルを通して流動し、複数の生物学的ナノ粒子は、少なくとも2つの生物学的ナノ粒子を個々に検出するのに十分な、少なくとも2つの生物学的ナノ粒子間の平均距離(例えば、上述したようなボイド距離を有する)を有し得る。少なくとも2つの生物学的ナノ粒子は、マイクロ流体チャネルの検出領域および/または照明領域を一度に(すなわち、凝集し合わないで)通過することができ、したがって、順次(すなわち、次々に)照明および/または検出される。いくつかの実施形態では、複数の照明される生物学的ナノ粒子(すなわち、照明される生物学的ナノ粒子)の一部分から生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が、順次照明されるか、順序検出されるか、またはこれらの組み合わせである。好ましい実施形態では、複数の照明される生物学的ナノ粒子の一部分からの生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも90%が、順次照明されるか、順次検出されるか、またはこれらの組み合わせである。
【0209】
いくつかの実施形態では、方法は、複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも1つからの信号を検出することを含み、信号は、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子からの放出を含む。いくつかの実施形態では、信号は、発光強度、発光波長、またはこれらの組み合わせを含む。信号は、バックグラウンドノイズ値を含み得る。バックグラウンドノイズは、複数の生物学的ナノ粒子のいずれもが検出されないとき(例えば、複数の生物学的ナノ粒子のいずれもが検出領域を通過しないとき)に、検出される信号を表し得る。いくつかの実施形態では、信号は、複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも1つの生物学的ナノ粒子からの放出された光強度を含み、バックグラウンドノイズは、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子から放出された信号の不在を含む。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子が検出領域を通して流動する際、放出された光強度が、観測および検出され、生物学的ナノ粒子が検出領域から外へ流動する際、観測される光強度は、バックグラウンドノイズ値に減少する。いくつかの実施形態では、粒子単位での検出は、マイクロ流体チャネルを通して流動する第1の生物学的ナノ粒子から放出された第1の光強度を検出することであって、検出される光強度は、バックグラウンドノイズ値まで減少する、第1の光強度を検出することと、マイクロ流体チャネルを通して流動する第2の生物学的ナノ粒子から放出された第2の光強度を検出することと、を含む。一定の実施形態では、粒子単位での検出は、マイクロ流体チャネルを通して流動する第1の生物学的ナノ粒子から放出された第1の光強度を検出することであって、検出される光強度は、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8未満%、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満に減少する、第1の光強度を検出することと、マイクロ流体チャネルを通して流動する第2の生物学的ナノ粒子から放出された第2の光強度を検出することと、を含む。好ましい実施形態では、粒子単位での検出は、マイクロ流体チャネル(またはマイクロ流体チャネルの狭窄部)を通して流動する第1の生物学的ナノ粒子から放出された第1の光強度を検出することであって、検出される光強度は、ピーク強度値の10%未満に減少する、第1の光強度を検出することと、マイクロ流体チャネル(またはマイクロ流体チャネルの狭窄部)を通して流動する第2の生物学的ナノ粒子から放出された第2の光強度を検出することと、を含む。一定の実施形態では、第1の生物学的ナノ粒子の検出、それに続く光強度の減少(例えば、ピーク光強度の20%未満に)、それに続く第2の生物学的ナノ粒子の検出は、粒子単位での複数の生物学的ナノ粒子の一部分の検出を表す。
【0210】
いくつかの実施形態では、粒子単位は、複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくともいくつかの間の物理的分離を含む。他の生物学的ナノ粒子から物理的に分離されている生物学的ナノ粒子は、複数の生物学的ナノ粒子からの他の生物学的ナノ粒子のいずれとも直接接触していない生物学的ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分からの生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%が、複数の生物学的ナノ粒子の一部分における他の生物学的ナノ粒子のいずれからも物理的に分離されている。好ましい実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子の一部分からの生物学的ナノ粒子の少なくとも90%は、複数の生物学的ナノ粒子の一部分における他の生物学的ナノ粒子のいずれからも物理的に分離されている。
【0211】
いくつかの実施形態では、粒子単位での検出は、複数のマイクロ流体チャネルを含むマイクロ流体チップと、複数のマイクロ流体チャネルを照明する放射線源と、を含む装置および/またはシステムを使用する。いくつかの実施形態では、複数のマイクロ流体チャネルは、並列構成をなす。システムおよび/または装置は、放射線源を含み得、放射線源は、複数のマイクロ流体チャネルを照明する。いくつかの実施形態では、放射線源は、マイクロ流体チャネルに対して垂直な角度で複数のマイクロ流体チャネルを照明する。いくつかの実施形態では、装置および/またはシステムは、複数の検出器をさらに含み、各検出器は、単一のマイクロ流体チャネルの領域を検出するように設定される。非限定的な例として、マイクロ流体チップは、並列で10個のマイクロ流体チャネルを含み得、放射線源は、10個のマイクロ流体チャネルを照明し得、10個の検出器は、10個のマイクロ流体チャネルの各々からの信号を検出するように配列され得、各検出器は、単一のマイクロ流体チャネルと対をなす。
【0212】
いくつかの実施形態では、粒子単位で検出することは、複数のマイクロ流体チャネルを含むマイクロ流体チップと、複数のマイクロ流体チャネルを照明する複数の放射線源と、を含む装置および/またはシステムを使用する。いくつかの実施形態では、複数のマイクロ流体チャネルは、並列構成をなす。システムおよび/または装置は、複数の放射線源を含み得、放射線源は、複数のマイクロ流体チャネルを照明する。いくつかの実施形態では、放射線源は、マイクロ流体チャネルに対して垂直な角度で複数のマイクロ流体チャネルを照明する。いくつかの実施形態では、装置および/またはシステムは、複数の検出器をさらに含み、各検出器は、単一のマイクロ流体チャネルの領域を検出するように設定される。非限定的な例として、マイクロ流体チップは、並列で10個のマイクロ流体チャネルを含み得、4つの放射線源は、5μm間隔の10個のマイクロ流体チャネルを照明し得、10個の検出器は、10個のマイクロ流体チャネルの各々からの信号を検出するように配列され得、各検出器は、単一のマイクロ流体チャネルと対をなす。
【0213】
生物学的ナノ粒子へのサイズ値の割り当て
本明細書に記載されるように、生物学的ナノ粒子は、光強度を放出し得る。いくつかの実施形態では、探測処理用ソースは、光強度を活性化する。本開示は、生物学的ナノ粒子によって放出された光強度を検出する方法を提供する。特有の実施形態では、本開示は、生物学的ナノ粒子によって放出された光強度を測定し、および生物学的ナノ粒子にサイズ値を割り当てる方法を提供する。特有の実施形態では、サイズ値は、光強度に対応する。一定の実施形態では、サイズ値は、光強度に従って割り当てられる。
【0214】
特定の実施形態では、本開示は、粒子がマイクロ流体チップ内を輸送中である間に生物学的ナノ粒子からの光強度を検出することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、マイクロ流体チップは、半透明または透明の特性を含む。例えば、半透明または透明である少なくとも1つの表面を含むマイクロ流体チップに、生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルが提供されてもよく、少なくとも1つの半透明または透明な表面は、生物学的ナノ粒子が半透明または透明である少なくとも1つの表面を通過する光強度を放出して光強度が検出されるように、探測処理ソースが生物学的ナノ粒子と相互作用することを可能にする。特定の実施形態では、生物学的ナノ粒子からの光強度は、マイクロ流体チップ内を輸送中に検出され、輸送は、中断されない流動を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、サイズ値の割り当ては、バイナリである。特有の実施形態において、閾値を上回る光強度を放出する生体ナノ粒子に正のサイズ値が割り当てられる一方、残りの流体サンプルに負のサイズ値が割り当てられる。いくつかの実施形態では、閾値は、相対閾値である。一定の実施形態では、閾値は、10個超の検出された光子、100個超の検出された光子、1,000個超の検出された光子、10,000個超の検出された光子、100,000個超の検出された光子、1,000,000個超の検出された光子、10,000,000個超の検出された光子、または100,000,000個超の検出された光子である。好ましい実施形態では、閾値は、10個超の検出された光子である。サイズ値の割り当てがバイナリである一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子に割り当てられるサイズ値は、ゼロまたは非ゼロのいずれかであり得る。
【0216】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子には、相対的であるサイズ値が割り当てられる。特有の実施形態では、相対サイズ値は、生物学的ナノ粒子によって放出された相対光強度と相関する。非限定的な例として、大量の光強度を放出する第1の生物学的ナノ粒子には、高い相対サイズ値が割り当てられ得る一方、少量の光強度を放出する第2の生物学的ナノ粒子には、低い相対サイズ値が割り当てられ得る。いくつかの実施形態では、流体サンプルは、複数の相対サイズ値を有する生物学的ナノ粒子を含み得る。同様の強度の光を放出する生体ナノ粒子がまとめてグループ化され、かつ同じ相対サイズ値を割り当てられ得るように、相対サイズ値がビンに編成され得る。流体サンプルは、1個超のビン、2個超のビン、3個超のビン、4個超のビン、5個超のビン、6個超のビン、7個超のビン、8個超のビン、9個超のビン、10個超のビン、15個超のビン、20個超のビン、25個超のビン、30個超のビン、40個超のビン、50個超のビン、60個超のビン、70個超のビン、80個超のビン、90個超のビン、100個超のビン、200個超のビン、300個超のビン、500個超のビン、1,000個超のビン、または5,000個超のビンを含み得る。非限定的な例として、複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルは、0の相対最小値および1.0の相対最大値を有する発光スケールと、相対発光の値に設定された5個のビンと、を有し得、第1のビンにより、0.0~0.2の放出を有する生体ナノ粒子が割り振られ、第2のビンにより、0.21~0.4の放出を有するナノ粒子が割り振られ、第3のビンにより、0.41~0.6の放出を有するナノ粒子が割り振られ、第4のビンにより、0.61~0.8の放出を有するナノ粒子が割り振られ、第5のビンにより、0.81~1.0の放出を有するナノ粒子が割り振られる。流体サンプルの分析の結果、各検出されたナノ粒子は、その検出された発光に基づいてその対応するビンに割り当てられ、したがって、ナノ粒子に相対サイズ値が割り当てられ得る。各ビンに割り当てられたナノ粒子の数は、カウントされ得、ヒストグラムが生成され得る。このようにして、複数の生物学的ナノ粒子に相対サイズ値が割り当てられ得、各相対サイズ値が、測定された光強度の差によって判定される。
【0217】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の実際のサイズ値は、測定された光強度を標準で較正することによって判定される。いくつかの実施形態では、光強度の測定の較正は、生物学的ナノ粒子の光強度の測定前に行われ、その後、測定された光強度は、生物学的ナノ粒子の実際のサイズ値と相関する。他の実施形態では、光強度の測定の較正は、生物学的ナノ粒子の光強度の測定後に行われ、測定された光強度は、相対サイズ値と相関する。一定の実施形態では、相対サイズ値には、標準での較正後に実際のサイズ値が割り当てられ得る。いくつかの実施形態では、標準は、金ナノ粒子を含む。一定の実施形態では、標準は、複数の脂質を含む。いくつかの実施形態では、標準は、脂質小胞を含む。一定の実施形態では、標準は、シリカビーズ、ポリスチレンビーズ、シリコーンビーズ、ポリマービーズ、ポリマーナノ粒子、またはこれらの組み合わせを含む。流体サンプルが第2の生物学的ナノ粒子を含むいくつかの実施形態では、標準は、第2の生物学的ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、標準は、動的光散乱を用いて測定される。
【0218】
標準が流体サンプルからの第2の生物学的ナノ粒子である特有の実施形態では、第2の生物学的ナノ粒子は、第1のタイプの生物学的ナノ粒子と同じである。他の実施形態では、第2の生物学的ナノ粒子は、第1の生物学的ナノ粒子とは異なる。第2の生物学的ナノ粒子の真のサイズ値は、当該技術分野で知られている手段、例えば動的光散乱またはTEM顕微鏡法を使用して判定されてもよく、第2の生物学的ナノ粒子によって放出された光強度は、第1の生物学的ナノ粒子のサイズ値を知らせることができる。いくつかの実施形態では、第2の生物学的ナノ粒子のサイズの判定は、第2の生物学的ナノ粒子からの光強度の測定前に行われる。他の実施形態では、第2の生物学的ナノ粒子のサイズの判定は、第2の生物学的ナノ粒子からの光強度の測定後に行われる。例えば、複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルの第1の部分は、本明細書でさらに開示されるように、マイクロ流体チップを通して本明細書で開示される方法を使用して処理され、相対サイズ値が割り当てられて、ヒストグラムを生成してもよい。流体サンプルの第2の部分は、動的光散乱またはTEM顕微鏡と、生物学的ナノ粒子に割り当てられた真のサイズ値と、を使用して分析され得る。次に、第2の部分は、第1の部分と同じ様式でマイクロ流体チップを通して処理されてもよく、結果として得られる真のサイズのヒストグラムを使用して、流体サンプルの第1の部分の生物学的ナノ粒子に真のサイズ値を割り当て得る。少なくともこのようにして、標準は、流体サンプルからの生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0219】
生物学的ナノ粒子によって放出される相対光強度と相関させることによってサイズ値を生体ナノ粒子に割り当てる場合、測定された光強度が、測定変動性のために、実行ごと、またはサンプルごとに変動しないことと、測定された光強度の差が、実際に生体ナノ粒子の差によって引き起こされることと、を確保することが重要である。測定された光強度は、マイクロチャネル内のレーザラインの正確なz位置、またはチップごとに存在し得る変動性(例えば、マイクロチャネルのフロアを形成し、かつ対物レンズと接触しているカバースリップの厚さ)、器具のドリフト(例えば、レーザまたは検出器の位置整合)、または操作条件の小さな制御されない変動(例えば、流速)を含む、制御するのが困難である多くの実験変動性の影響を受け得るため、この要件は、実際には満たすことが難しい可能性がある。これらの問題を克服するために、金ナノ粒子からの後方反射光強度または散乱光強度を使用する内部標準が用いられ得る。この操作では、金ナノ粒子が特に有利であり、それは、1)金ナノ粒子は、様々なサイズで容易に入手でき、これにより、検出チャネルでの検出される望ましい光強度に最もよく一致することとなるサイズを選択することが可能になる、2)金ナノ粒子の後方反射光強度または散乱光強度により、任意のレーザ励起波長、したがって任意のカラーチャネルでの使用が可能になる、3)金ナノ粒子は、サイズまたは直径が均一であり、これにより、検出された光強度分布を最小限に抑えることができ、したがって、内部較正を容易にし、定量化精度を向上させることができる、4)金ナノ粒子の表面は、生体ナノ粒子にまたはマイクロチャネル表面に、自己凝集したり、非特異的に付着したりしないように、PEGなどで容易に改質することができる、および5)金ナノ粒子は堅牢であり得、長期(例えば、1か月超)の保管中でも劣化または凝集しないためである。
【0220】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子へのサイズ値の割り当ては、変調指数の使用を含む。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子へのサイズ値の割り当ては、振幅変調指数の使用を含む。別の実施形態では、生物学的ナノ粒子へのサイズ値の割り当ては、周波数変調指数の使用を含む。さらに別の実施形態では、生物学的ナノ粒子へのサイズ値の割り当ては、位相変調指数の使用を含む。変調指数の使用は、変調された光強度の放出が、変調されていないレベルの周りでどれだけ変動するかを示す。非限定的な例として、流体サンプルが、探測処理用ソースによって励起されたときに自己蛍光を発する生体粒子を含んでもよい。変調指数(例えば、振幅変調指数)の適用は、背景光強度に見合うことができ、より正確なサイズ値を提供する。
【0221】
一定の実施形態では、サイズ値は、値の範囲を含む。いくつかの実施形態では、値の範囲の最大値と最小値との差は、1マイクロメートル未満、500ナノメートル、200ナノメートル、100ナノメートルであるか、80ナノメートル未満であるか、50ナノメートル未満であるか、40ナノメートル未満であるか、30ナノメートル未満であるか、20ナノメートル未満であるか、15ナノメートル未満であるか、10ナノメートル未満であるか、または5ナノメートル未満である。例えば、40~100ナノメートルの流体力学的直径範囲を含むサイズ値は、60ナノメートルの値の範囲を有する。
【0222】
いくつかの実施形態では、サイズ値の割り当ては、(a)探測処理用ソースによる生物学的ナノ粒子の励起、および(b)生物学的ナノ粒子によって放出された光強度の測定を使用する。本明細書に記載されるように、光強度は、散乱光、蛍光、ルミネセンス光、またはこれらの組み合わせを含み得る。一定の実施形態では、探測処理用ソースは、誘導放出抑制(STED)によって改変された光ビームを使用する。STEDの使用により、生物学的ナノ粒子にサイズ値を割り当てるときの精度の増加が提供される。一定の実施形態では、探測処理用ソースは、複数の光ビームを使用し、一定の実施形態では、複数の光ビームは、STEDによって改変される。
【0223】
一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子のサイズ値は、流体力学的直径である。特有の実施形態では、流体力学的直径は、1000ナノメートル未満、900ナノメートル未満、800ナノメートル未満、700ナノメートル未満、600ナノメートル未満、500ナノメートル未満、400ナノメートル未満、300ナノメートル未満、200ナノメートル未満、150ナノメートル未満、100ナノメートル未満、90ナノメートル未満、80ナノメートル未満、70ナノメートル未満、60ナノメートル未満、50ナノメートル未満、40ナノメートル未満、または30ナノメートル未満である。好ましい実施形態では、流体力学的直径は、100ナノメートル未満である。一定の実施形態では、流体力学的直径は、動的光散乱(DLS)を測定することによって判定され、測定されている生物学的ナノ粒子のサイズと同じ方法で光を拡散する剛球のサイズを指す。
【0224】
いくつかの実施形態では、流体力学的直径は、1,000ナノメートル~10ナノメートル、900ナノメートル~10ナノメートル、800ナノメートル~10ナノメートル、700ナノメートル~10ナノメートル、600ナノメートル~10ナノメートル、500ナノメートル~10ナノメートル、400ナノメートル~10ナノメートル、300ナノメートル~10ナノメートル、200ナノメートル~10ナノメートル、100ナノメートル~10ナノメートル、90ナノメートル~10ナノメートル、80ナノメートル~10ナノメートル、70ナノメートル~10ナノメートル、60ナノメートル~10ナノメートル、50ナノメートル~10ナノメートル、または40ナノメートル~10ナノメートルである。一定の実施形態では、流体力学的直径は、1,000ナノメートル~800ナノメートル、800ナノメートル~600ナノメートル、600ナノメートル~400ナノメートル、400ナノメートル~200ナノメートル、または200ナノメートル~10ナノメートルである。好ましい実施形態では、流体力学的直径は、200ナノメートル~20ナノメートルである。より好ましい実施形態では、流体力学的直径は、100ナノメートル~40ナノメートルである。別段明記しない限り、2つの値に関連して使用される場合の「~」という用語は、外縁の値を含む(例えば、40ナノメートル~10ナノメートルは、10ナノメートルおよび40ナノメートルを含む、10ナノメートル~40ナノメートルまでのすべての値を包含する)。
【0225】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子へのサイズ値の割り当ては、デューティサイクルを使用する。デューティサイクルは、バイナリのオン/オフサイクルを有する検出方法として定義されてもよく、オンサイクルは、閾値を上回る生物学的ナノ粒子からの光強度の検出と相関し、オフサイクルは、閾値を上回る光強度の検出の欠如と相関する。デューティサイクルは、光強度の検出が閾値を上回って観測される期間の一部である。デューティサイクル比は、D=(Ton/Ttotal)として表すことができ、式中、Dは、デューティサイクル比、Tonは、観測される光強度が閾値を上回っている時間、Ttotalは、合計測定時間である。例えば、検出の閾値を上回る光強度を放出する生物学的ナノ粒子は、探測処理用ソースを通過し得、光強度が検出されるとき、デューティはオン状態にある。ナノ粒子が探測処理用ソースの外を通過するとき、光強度は、検出の閾値を下回り、デューティはオフ状態にある。探測処理用ソースのサイズは、そのパルス幅である。一定の実施形態では、複数の探測処理用ソースを使用してデューティサイクルを計算してもよく、複数の探測処理用ソースは、空間的に分離されている。特有の実施形態では、2つの探測処理用ソースを使用してデューティサイクルを計算し得る。他の実施形態では、3つの探測処理用ソースを使用してデューティサイクルを計算し得るか、4つの探測処理用ソースを使用してデューティサイクルを計算し得るか、5つの探測処理用ソースを使用してデューティサイクルを計算し得るか、または5つより多い探測処理用ソースを使用してデューティサイクルを計算し得る。いくつかの実施形態では、複数の探測処理用ソースは、同じパルス幅を有する探測処理用ソースを含む。他の実施形態では、複数の探測処理用ソースは、異なるパルス幅を有する探測処理用ソースを含む。好ましい実施形態では、複数の探測処理用ソース間の空間的分離は、ゼロ長を含む。本明細書で使用される場合、「ゼロ長」は、生物学的ナノ粒子が通って探測処理用ソース間を移動する領域であり、閾値を上回る生体ナノ粒子によって放出される光強度は観測されない。計算されたデューティサイクル比は、探測処理用ソースを通過する生物学的ナノ粒子のサイズ値を提供することができる。一定の実施形態では、小さな生物学的ナノ粒子は、小さいデューティサイクルを有するものとなる(例えば、「オフ」状態で費やされる量の時間と比較すると、「オン」状態で費やされる量の時間は小さい)一方、大きな生物学的ナノ粒子は、大きなデューティサイクルを有するものとなる(例えば、「オン」状態で費やされる量の時間は、「オフ」状態で費やされる量の時間と比較して大きい)。デューティがオフ状態にある時間は、Toffであり、これはTtotal-Tonに等しい。他の実施形態では、Dの代わりに、Toff、TonおよびTtotalの異なる組み合わせ(Toff/TtotalまたはToff/Tonなど)を使用することができる。
【0226】
生物学的ナノ粒子の選別および分析
一態様では、本開示は、流体サンプル中の生物学的ナノ粒子を測定、検出、および/または選別するための方法および装置を提供する。一実施形態では、この方法論は、(i)生物学的ナノ粒子の存在または不在を検出すること、(ii)サイズ値に従って生物学的ナノ粒子をランク付けすること、および(iii)割り当てられたランク付けに基づいて生物学的ナノ粒子の流動または収集を方向付けること、として特徴づけられ得る。一定の実施形態では、検出構成要素は、生物学的ナノ粒子と会合した単一の分子を検出し得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のランク付けは、サイズ値以外のパラメータを含む。
【0227】
流体サンプル中の生物学的ナノ粒子を測定、検出、および/または選別するための方法および装置の非限定的な例を、
図16に見ることができる。いくつかが検出可能な薬剤(1602)と会合した複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルが、マイクロ流体チャネルによって接続された注入口および2つの排出口を含むマイクロ流体チップ(1603)内に導入される。生体ナノ粒子は、注入口チャネル(1642)を通して検出領域(1604)に向けて流動し、そこで検出可能な薬剤のサイズ値および生物学的ナノ粒子との会合(または会合の欠如)を判定し得る。検出可能な薬剤(1641)と会合した生体ナノ粒子は、正の値を与えられ、下流に移動し、そこで、濃縮コンテナまたはさらなる処理へと通じる正のマイクロ流体チャネル(1621)へ選別される(流動を方向付けるための機構は図示されていない)。正に選別された生体ナノ粒子(1661)は、正しい選別が行われたかどうかを確認し得る第2の検出領域(1622)を通過し得る。検出可能な薬剤(1601)と会合していない生物学的ナノ粒子は、負の値が割り当てられて下流に移動し、そこで負のマイクロ流体チャネル(1611)へ選別される。負に選別された生体ナノ粒子(1651)は、廃棄物コンテナに輸送され得る。
【0228】
本明細書で使用される場合、「流体サンプル」は、関心の生物学的ナノ粒子を含み得る任意の液体を指す。好ましい実施形態では、流体サンプルは、体液を含む。一定の実施形態では、流体サンプルは、生物学的流体サンプル、例えば、血清サンプル、血漿サンプル、唾液サンプル、尿サンプル、乳サンプル、滑液サンプル、羊水サンプル、リンパ液サンプル、脊髄液サンプルなどであってもよい。特有の実施形態では、体液は、血清、血漿、脊髄液、またはリンパ液を含む。
【0229】
本明細書で使用される場合、「ランク付け」という用語は、分類によって生物学的ナノ粒子の定量的特性、定性的特性、または重要性を評価することを指す。一実施形態では、生物学的ナノ粒子は、ヌル(例えば、生物学的ナノ粒子が検出されない場合)または非ゼロ(例えば、生物学的ナノ粒子が検出される場合)のいずれかにランク付けされてもよい。一実施形態では、ランク付けは、バイナリであってもよい。他の実施形態において、生物学的ナノ粒子は、例えば、生体ナノ粒子のサイズ値、ナノ粒子の同一性、生物学的ナノ粒子の検出可能な特徴、生物学的ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤など、と相関する追加のカテゴリに従ってランク付けされてもよい。このようにして、任意の数のカテゴリが割り当てられてもよい。これらのランク付けには、多数の所定の定量的または定性的カテゴリのうちの1つに対応する任意の番号(例えば、0、1、2、3、4、5など)、または生物学的ナノ粒子の実際の値(例えば、生物学的ナノ粒子のサイズ値)に対応する番号が割り当てられてもよい。
【0230】
本明細書で使用される場合、「検出可能な特性」は、関心の生物学的ナノ粒子に関連付けられた特性、例えば、生体ナノ粒子に本来的である、または生物学的ナノ粒子に関連付けられた光活性、電気活性特性、生物活性特性、または磁気特性を指す。
【0231】
光活性特性の例として、例えば、生体ナノ粒子モルフォロジー(粒子サイズ、粒度、内部細胞内構造)、蛍光、免疫蛍光などによって通常誘起される光学的光強度(光学反射、散乱、偏向、透過、または吸収)の変更が挙げられる。
【0232】
生物活性特性の例として、例えば、エステラーゼ、ホスファターゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ガラクトシダーゼなどの酵素との検出可能な相互作用、およびそれらの蛍光基質または蛍光発生基質、またはそれらの化学発光基質または化学蛍光基質が挙げられる。
【0233】
一定の実施形態において、生物学的ナノ粒子を検出するために使用され得る部分として、限定されないが、抗体および抗体のフラグメント、蛍光抗体、ポリマー分子、色素分子、DNAまたはRNA分子(例えば、アプタマー)、タンパク質分子、脂質分子(例えば、脂質と会合する蛍光色素)などが挙げられる。
【0234】
本明細書中で使用される場合、「抗体」は、抗原を特異的に拘束および認識する免疫グロブリン遺伝子またはそのフラグメント由来のフレームワーク領域を含むポリペプチドを指す。認識される免疫グロブリン遺伝子として、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ミューの定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、イプシロンに分類され、これらはそれぞれ免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを定義する。典型的には、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性および親和性において最も重要となる。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得、血清、ハイブリドーマに由来するか、または組換え的にクローン化され得、そしてまた、キメラ化、霊長類化、またはヒト化され得る。
【0235】
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一ペアで構成され、各ペアは、1つの「軽」鎖(約25kD)と1つの「重」鎖(約50~70kD)とを有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する約100~110以上のアミノ酸の可変領域を定義する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖を指す。
【0236】
抗体は、例えば、損傷していない免疫グロブリンとして、または様々なペプチダーゼでの消化によって生成される、いくつかのよく特徴付けられたフラグメントとして存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド架橋の下方の抗体を消化して、それ自体がジスルフィド結合によってVH-CH1に連結した軽鎖であるFabの二量体であるF(ab)’2を生成する。F(ab)’2は、穏やかな条件下で還元されてヒンジ領域のジスルフィド架橋を破壊し、それによりF(ab)’2二量体をFab’単量体に変換してもよい。Fab’単量体は、本質的にヒンジ領域の一部を有するFabである(Fundamental Immunology(Paul ed.、3d ed.1993)を参照)。様々な抗体フラグメントは、損傷していない抗体の消化に関して定義されるが、当業者は、そのようなフラグメントが化学的に、または組換えDNA方法論を使用することによってのいずれかでデノボ合成されてもよいことを理解するであろう。したがって、本明細書で使用される抗体という用語は、抗体全体の改変によって生成された抗体フラグメント、または組換えDNA方法論を使用してデノボ合成された抗体フラグメント(例えば、一本鎖Fv)、またはファージディスプレイライブラリを使用して識別された抗体フラグメント(例えば、McCafferty et al.、Nature、348:552-554(1990)を参照)。
【0237】
一実施形態では、抗体は、標識または検出可能な部分にコンジュゲートされる。一定の実施形態では、抗体は、生物学的ナノ粒子と会合する。特定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、抗体と会合し、抗体は、多数の検出可能な薬剤を含む。一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、抗体と会合し、抗体は、多数の検出可能な薬剤と会合する。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、抗体と会合し、抗体は、少なくとも1つの検出可能な薬剤と会合する。
【0238】
本明細書で使用される場合、「標識」または「検出可能な部分」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、または他の物理的手段によって検出可能な組成物を指す。例えば、有用な標識として、限定されないが、放射性核種、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、Oregon Green(登録商標)、Alexa(登録商標)、ローダミン、テキサスレッド、テトラロジミンイソチオシアネート(TRITC)、Cy3、Cy5など)、蛍光マーカー(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、フィコエリスリンなど)、腫瘍関連プロテアーゼ、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼなど)、ナノ粒子、ビオチン、ジゴキシゲニンなどによって活性化される自動消光蛍光化合物が挙げられる。
【0239】
一定の実施形態では、検出試薬を灌流して、関心の生物学的ナノ粒子を選択的に標識してもよい。このような試薬の例として、限定されないが、蛍光性、免疫蛍光性、色素がコンジュゲートした分子(抗体、fabフラグメント、アプタマー、ポリマー、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、またはこれらの組み合わせなど)の磁性化合物、電気活性化合物、生物活性化合物、または光活性化合物が挙げられる。例は、エキソソームと反応する染色剤を使用することである。他の色素の例として、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)がコンジュゲートしたマウス抗ヒト上皮抗体(HEA)、およびフィコエリトリン(PE)がコンジュゲートした抗CD63が挙げられる。色素がコンジュゲートした抗体の他の例として、テトラスパニン(例えば、CD9、CD63、およびCD81)、熱ショックタンパク質(例えば、HSC70、およびHSC90)、膜輸送体(例えば、GTPase)および脂質結合タンパク質、細胞接着タンパク質、脂質結合タンパク質、膜貫通タンパク質、酵素、汎サイトケラチン抗体A45B/B3、AE1/AE3、またはCAM5.2(サイトケラチン8(CK8)、サイトケラチン18(CK18)、またはサイトケラチン19(CK19)を認識する汎サイトケラチン抗体、および乳癌抗原NY-BR-1(B726P、ANKRD30A、アンキリンリピートドメイン30Aとしても知られている)に対するもの、B305DアイソフォームAまたはC(B305D-A ro B305D-C;抗原B305Dとしても知られている)、Hermes抗原(Antigen CD44、PGP1としても知られている)、E-cadherin(Uvomorulin、Cadherin-1、CDH1としても知られている)、Carcino-embryonic抗原(CEA;CEACAM5またはCarcino-embryonic抗原関連細胞接着分子5としても知られている)、β-ヒト絨毛性ゴナドトフィン(β-HCG;CGB、慢性性腺刺激ホルモン、βポリペプチドとしても知られている)、カテプシン-D(CTSDとしても知られている)、ニューロペプチドY受容体Y3(NPY3Rとしても知られている;リポ多糖関連タンパク質3、LAP3、Fusion;ケモカイン(CXCモチーフ、受容体4);CXCR4)、癌遺伝子ERBB1(c-erbB-1、上皮成長因子受容体、EGFRとしても知られている)、Her-2 Neu(c-erbB-2またはERBB2としても知られている)、GABA受容体A、pi(π)ポリペプチド(GABARAP、GABA-A受容体、pi(π)ポリペプチド(GABA A(π)、γ-アミノ酪酸A型受容体pi(π)サブユニット)、またはGABRPとしても知られている)、ppGalNac-T(6)(β-1-4-N-アセチル-ガラクトサミニルトランスフェラーゼ6、GalNAcトランスフェラーゼ6、GalNAcT6、UDP-N-アセチル-d-ガラクトサミン:ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ6、またはGALNT6としても知られている)、CK7(サイトケラチン7、サルコレクチン、SCL、ケラチン7、またはKRT7としても知られている)、CK8(サイトケラチン8、ケラチン8、またはKRT8としても知られている)、CK18(サイトケラチン18、ケラチン18、またはKRT18としても知られている)、CK19(サイトケラチン19、ケラチン19、またはKRT19としても知られている)、CK20(サイトケラチン20、ケラチン20、またはKRT20としても知られている)、Mage(メラノーマ抗原ファミリーAサブタイプまたはMAGE-Aサブタイプとしても知られている)、Mage3(メラノーマ抗原ファミリーA 3またはMAGA3としても知られている)、肝細胞増殖因子受容体(HGFR、腎細胞癌乳頭2、RCCP2、Protooncogene met、またはMETとしても知られている)、ムチン-1(MUC1、癌抗原15.3、(CA15.3)、癌抗原27.29(CA 27.29)としても知られている);CD227抗原、エピシアリン、上皮膜抗原(EMA)、多形性上皮ムチン(PEM)、ピーナッツ反応性尿ムチン(PUM)、腫瘍関連糖タンパク質12(TAG12))、総嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP-15、プロラクチン誘発タンパク質、PIPとしても知られている)、ウロキナーゼ受容体(uPR、CD87抗原、プラスミノーゲン活性化受容体ウロキナーゼ型、PLAURとしても知られている)、PTHrP(副甲状腺ホルモン関連タンパク質;PTHLHとしても知られている)、BS106(B511S、小胸上皮ムチン、またはSBEMとしても知られている)、プロスタチン様リポフィリンB(LPB、LPHB;抗原BU101、セクレトグロビンファミリー1-Dメンバー2、SCGB1-D2としても知られている)、マンマグロビン2(MGB2;マンマグロビンB、MGBB、ラクリグロビン(LGB)リポフィリンC(LPC、LPHC)、セクレトグロビンファミリー2Aメンバー1、またはSCGB2A1としても知られている)、マンマグロビン(MGB;マンマグロビン1、MGB1、マンマグロビンA、MGBA、セクレトグロビンファミリー2Aメンバー2、またはSCGB2A2としても知られている)、乳腺セリンプロテアーゼ阻害剤(マスピン、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤クレードB(オボアルブミン)メンバー5、またはSERPINB5としても知られている)、前立腺上皮特異的Ets転写因子(PDEF;無菌アルファモチーフ指向性ドメイン含有ets転写因子、またはSPDEFとしても知られている);腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1(大腸癌抗原CO17-1A、上皮糖タンパク質2(EGP2)、上皮糖タンパク質40 kDa(EGP40)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮特異抗原(ESA))、消化管腫瘍関連抗原733-2(GA733-2)、KS1/4抗原、染色体4表面マーカー1(M4S1)の膜成分、MK-1抗原、MIC18抗原、TROP-1抗原、またはTACSTD1としても知られている)、テロメラーゼ逆転写酵素(テロメラーゼ触媒サブユニットまたはTERTとしても知られている)、トレフォイル因子1(乳癌エストロゲン誘導性シーケンス、BCEI、消化管トレフォイルタンパク質、GTF、pS2タンパク質、またはTFF1としても知られている);葉酸;トレフォイル因子3(腸トレフォイル因子、ITF、p1.B、またはTFF3としても知られている)、HSPA8、アクチン、β(ACTB)、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、エノラーゼ1、α(ENO1)、熱ショックタンパク質90、α(細胞質)、クラスAメンバー1(HSP90AA1)、CD9抗原(CD9)、CD81抗原(CD81)、チロシン3-モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5-モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、ゼータポリペプチド(YWHAZ)、またはピルビン酸キナーゼ、筋肉(PKM2)、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0240】
抗体に「特異的に(または選択的に)結合する」または「と特異的に(または選択的に)免疫反応する」という語句は、生物学的ナノ粒子について言及する場合、しばしばナノ粒子および他の生物製剤の不均一な集団における関心の生体ナノ粒子の存在を判定する結合反応を指す。したがって、指定された免疫アッセイ条件下で、指定された抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、より一般的にはバックグラウンドの10~100倍超、特定の生物学的ナノ粒子に結合する。このような条件下での抗体への特異的結合は、特定の生物学的ナノ粒子に対するその特異性のために選択される抗体を必要とする。例えば、選択された抗原と特異的に免疫反応性であり、かつ他のタンパク質とは免疫反応性でないポリクローナル抗体のみを取得するために、ポリクローナル抗体が選択され得る。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を取り去ることによって達成されてもよい。
【0241】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、多数のパラメータが、単一の測定で検出される。一定の実施形態では、多数のパラメータは、異なるサイズ値を含む。いくつかの実施形態では、多数のパラメータは、検出可能な薬剤の存在または不在を含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子のランク付けはバイナリであり、例えば、関心の生物学的ナノ粒子が検出されない場合は「0」の割り当て値が適用され、生体ナノ粒子が検出される場合は「1」の値が割り当てられる。他の実施形態では、ランク付けは非バイナリであり、例えば、値は、生物学的ナノ粒子のサイズまたは生物学的ナノ粒子の同一性に基づいて割り当てられる。一定の実施形態では、ランク付けは、ランク付けアルゴリズムを表すコンピュータおよびソフトウェアによって実行される。一定の実施形態では、測定は、コンピュータと測定アルゴリズムを表すソフトウェアとによって実行される。
【0243】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、生物学的ナノ粒子を生物学的ナノ粒子のランク付けに基づいてチャネリングする工程を、さらに含む。例えば、生物学的ナノ粒子の流動または収集は、生物学的ナノ粒子に割り当てられた値に基づいて方向付けられる。一定の実施形態では、これは、外部場の使用によって、または流動撹乱を作成することによって達成される。特有の実施形態では、これは、流動を方向付けるための機構を使用して達成される。一定の実施形態では、流動の方向付けおよび/または流動を方向付けるための機構の制御は、コンピュータと方向付けアルゴリズムを表すソフトウェアとによって実行される。
【0244】
一定の実施形態では、方法は、同様のランク付けを有する生物学的ナノ粒子を収集および/またはプールすることによって、関心の生物学的ナノ粒子を凝縮することを含んでもよい。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子の凝縮は、流動を方向付けることの結果である。例えば、関心のサイズ値を有する生物学的ナノ粒子は、特異的な流動チャネルに方向付けられてもよく、流動チャネルの端部の収集デバイスに収集されてもよく、サイズ値を有する生物学的ナノ粒子の局所濃度の増加をもたらす。
【0245】
別の態様では、本開示は、サンプル流体中の1つ以上の生体ナノ粒子を検出するように構成されたデバイスを提供し、上記のデバイスは、(a)1つ以上の生物学的ナノ粒子と会合した1つ以上の検出可能な薬剤の存在または不在を検出するように構成された1つ以上の検出器であって、上記の1つ以上の生物学的ナノ粒子のうちの少なくとも1つが多数の検出可能な薬剤を含む、1つ以上の検出器と、(b)上記の1つ以上の検出可能な薬剤の存在または不在に基づいて生物学的ナノ粒子をランク付けするためのソフトウェアを有するコンピュータと、を含む。一実施形態では、ランク付けは、バイナリである。他の実施形態では、デバイスを使用して多数のタイプの生体ナノ粒子を検出し、および/またはデバイスを使用して、生物学的ナノ粒子と会合した多数のタイプの検出可能な薬剤を検出し、ランク付けは非バイナリである。
【0246】
別の態様では、本開示は、サンプル流体中の1つ以上の生体ナノ粒子を検出するように構成されたデバイスを提供し、上記のデバイスは、(a)サイズ値を含む生物学的ナノ粒子の存在または不在を検出するように構成された1つ以上の検出器と、(b)サイズ値に基づいて上記の生物学的ナノ粒子をランク付けするためのソフトウェアを有するコンピュータと、を含む。一実施形態では、ランク付けは、バイナリである。他の実施形態では、デバイスを使用して多数のサイズの生体ナノ粒子を検出し、ランク付けは非バイナリである。
【0247】
別の実施形態では、本開示は、サンプル流体中の1つ以上の生体ナノ粒子を検出するように構成されたデバイスを提供し、上記のデバイスは、(a)サイズ値を含む生物学的ナノ粒子の存在または不在を検出し、および生物学的ナノ粒子と会合した1つ以上の検出可能な薬剤の存在または不在を検出するように構成された1つ以上の検出器と、(b)サイズ値、および/または生物学的ナノ粒子と会合した1つ以上の検出可能な薬剤の存在または不在に基づいて上記の生物学的ナノ粒子をランク付けするためのソフトウェアを有するコンピュータと、を含む。一実施形態では、ランク付けは、バイナリである。他の実施形態では、デバイス使用して多数のサイズの生体ナノ粒子を検出し、および/またはデバイスを使用して多数のタイプの生体ナノ粒子を検出し、および/またはデバイスを使用して、生物学的ナノ粒子と会合した多数のタイプの検出可能な薬剤を検出し、ランク付けは非バイナリである。
【0248】
一定の実施形態では、マイクロ流体チップは、透明または半透明の材料を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップの少なくとも一部分は、透明または半透明である。一定の実施形態では、マイクロ流体チップの少なくとも一方側は、透明または半透明である。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、透明または半透明である。特定の実施形態では、マイクロ流体チップの透明または半透明の特性により、生物学的ナノ粒子から放出された光を検出することが可能になる。
【0249】
一定の実施形態では、デバイスは、上記のランク付けに基づいて上記のナノ粒子をチャネリングするためのチャネルをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、チャネルは、抗凝固化合物または抗凝集化合物、生物学的ナノ粒子の結合を優先的に防止する化合物、生体ナノ粒子の集塊を防止する化合物、またはこれらの組み合わせで処理される。
【0250】
一定の実施形態では、デバイスは、上記の生物学的ナノ粒子の軌道を追跡および操作するための電極をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、付着した磁性粒子を有する生物学的ナノ粒子の分離のための磁気素子を含んでもよい。一定の実施形態では、デバイスは、生物学的ナノ粒子の軌道を追跡および操作するための音響素子を含んでもよい。
【0251】
一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子をさらに操作または分析してもよい。例えば、生物学的ナノ粒子は、従来のフローサイトメトリーを介してさらに分割または選別されてもよいか、または、関心の生体ナノ粒子を分析して、核酸分析、タンパク質分析、脂質分析、小分子分析、炭水化物分析、またはこれらの組み合わせなどのさらなる情報を提供してもよい。各生体ナノ粒子内の内容物を、DNA、RNA、DNA配列、代謝産物、脂質、炭水化物、タンパク質の含有量などについて個別に分析してもよい。例えば、マイクロRNA(miRNAまたはmiR-)などのエキソソーム核酸を、様々な腫瘍の診断に適用してもよい。例えば、血清中のエキソソームmiRNA miR-141およびmiR-375のレベルの上昇を、前立腺癌の進行と相関させてもよく、エキソソームmiRNA-21およびmiRNA-1246のレベルの上昇を、食道癌と相関させてもよい。他のエキソソームmiRNAは、腎線維症または心血管疾患の診断マーカーであってもよい。加えて、尿中エキソソームmiRNA miR-320cおよびmiR-6068を、糖尿病性腎症患者で上方制御してもよい。進行性変性疾患に関して、miR-9、miR-107、miRNA-128、miRNA134およびmiRNA-137 miRNA124などのいくつかのmiRNAの高発現レベルを、アルツハイマー病に関連付けてもよい。診断に役立つ他のmiRNAとして、miR-21、miR-141、miR-200a、miR-200b、miR-200c、miR-203、miR-205、miR-214、miR-17、miR-3p、miR-21、miR-20b、miR-223、miR-301、let-7f、miR-141、miR-375、miR-21、miR-1246、miR-21、およびLet-7ファミリーmiRNAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0252】
一実施形態では、流体サンプルは、複数のタイプの生物学的ナノ粒子、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多いタイプの生物学的ナノ粒子を含んでもよい。したがって、一定の実施形態では、流体サンプルは、複数の検出可能な薬剤を複数の検出可能な薬剤および複数の生物学的ナノ粒子を含む複数の複合体に変換するのに十分な条件下で各々が異なる特異性を有する複数の区別可能な検出可能な薬剤と同時に接触する。いくつかの実施形態では、複数の複合体は、例えば、複数の探測デバイスおよび/または複数の検出デバイスを含む装置を使用することによって、同時に検出される。
【0253】
例えば、2つ以上の区別可能な検出可能な薬剤が、生物学的ナノ粒子と会合して、各検出可能な薬剤が同時に検出される場合、検出可能な薬剤と会合した各生物学的ナノ粒子は、2つ以上の検出デバイスのうちの1つによって検出され得る。さらに、検出可能な薬剤が、蛍光部分を含む場合、2つ以上の探測デバイス(例えば、異なる蛍光部分の励起波長に対応する異なる波長で放射を生成する2つのレーザ)を使用してもよく、それぞれの蛍光発光強度は、2つの異なる検出デバイスによって検出されてもよい。したがって、一実施形態では、検出可能な薬剤は、異なる波長での蛍光によって区別可能である。
【0254】
さらに別の実施形態では、2つ以上の生物学的ナノ粒子が、連続して検出されてもよい。例えば、一実施形態では、方法は、装置の第1の場所で第1の生体ナノ粒子を検出することと、装置の第2の場所で第2の生物学的ナノ粒子を検出することと、を含んでもよい。このようにして、生体ナノ粒子は、第1の検出工程の後、第2の検出工程の後、または両方の検出工程の後にチャネリングされてもよい。
【0255】
本開示の一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子からの特徴の検出は、同時または経時的に累積され得る。例えば、特性の検出は、生体ナノ粒子から一度に(「同時に」)生じ得る。方法が同時モードで実行される一定の実施形態では、生体ナノ粒子は、可変速度の流動によって搬送されてもよい。一例として、生体ナノ粒子は、それらが検出ボリュームを横断する際に、定常流動によって搬送されてもよい。あるいは、ナノ粒子が検出ボリュームを横断する際に、流動が、減速または加速されてもよい。流量は、検出ボリュームの上流または下流のいずれかで、次の、バルブ、気泡、電場、磁場、光学場、空気圧源、固体粒子、膜、非混和性液滴、重力差、またはチャネルの表面張力を変更するためのコーティング、のうちの1つを用いて調節されてもよい。
【0256】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、検出工程は、流動チャネルを通した流体サンプルの連続的な流動の間に実行される。好ましい実施形態では、流動は、中断されない。一定の実施形態では、個々の生物学的ナノ粒子は、物理的に分離されるのではなく、光学的検出工程によって定義され、すなわち、生物学的ナノ粒子は、検出が行われる瞬間に検出ボリュームに存在する生物学的ナノ粒子と会合したバイオマーカーまたは検出可能な薬剤によって定義されてもよい。
【0257】
一定の実施形態では、検出イベントは、生物学的ナノ粒子の濃度と流体サンプルの流速との両方に依存する規則的な頻度で生じるようになっている。例えば、特定の流体サンプルの濃度が100μLあたり1,000生体ナノ粒子であり、かつ流体サンプルが毎秒100μLの速度で装置を通して流動する場合、平均して1ミリ秒ごとに、または平均して1,000Hzの割合で、異なる生物学的ナノ粒子が検出されてもよい。
【0258】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの検出イベントは、生物学的ナノ粒子によって放出された光強度の測定と、生物学的ナノ粒子へのサイズ値の割り当てと、に直接対応する。例えば、マイクロ流体チップ内を輸送中の生物学的ナノ粒子は、2つの探測ソースに曝露されてもよく、第1の探測ソースは、生物学的ナノ粒子に測定される光強度を放出させ、サイズ値を割り当てることができ、第2の探測ソースは、生物学的ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤に検出される蛍光を放出させ、会合した検出可能なマーカーの識別を判定することができる。
【0259】
一定の実施形態では、装置の幾何学形状と処理される流体の体積とに応じて、離散した生体ナノ粒子は、0.1kHz~100MHzの平均速度で検出ボリュームを横断する。別の実施形態では、離散した生体ナノ粒子は、約10Hz~約10MHzの平均速度で検出ボリュームを横断する。他の実施形態では、離散した生体ナノ粒子は、約0.1kHz~約100kHz、または約1kHz~約10MHz、または約1kHz~約5MHz、または約1kHz~約1MHzの平均周波数で検出ボリュームを横断してもよい。一定の実施形態では、生体ナノ粒子が検出ボリュームを横断する平均周波数は、少なくとも約0.1kHz、または少なくとも約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、125、150、200、250、300、400、500、600、700、800、または900kHz、または少なくとも約1MHz、または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100MHzであってもよい。
【0260】
本開示のいくつかの実施形態では、流体サンプル、例えば生物学的流体サンプルは、生体ナノ粒子の検出前に安定化されてもよい。一定の実施形態では、流体は、抗凝集剤、クエン酸塩、ヘパリン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、血清アルブミン、ポリエチレングリコール(PEG)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸(DCTA)、またはエチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)などの抗凝固剤、メチロール、ホルムアルデヒドのアミンまたはアミドのヒドロキシメチル誘導体、ジアゾリニジニル尿素、イミダゾリジニル尿素、メテナミン、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、またはグリオキサールなどのアルデヒドなどを含むがこれらに限定されない試薬で安定化されてもよい。
【0261】
この開示のさらに他の実施形態では、本明細書で提供される方法は、関心の生物学的ナノ粒子のチャネリング後に行われる二次プロセスにさらに結合されてもよい。本明細書で提供される方法に結合され得るプロセスおよび/または機能の例として、例えば、生体ナノ粒子の内容物(例えば、生体ナノ粒子内にカプセル化された、または生体ナノ粒子と複合体を形成したDNA、RNA、マイクロRNA、脂質、代謝産物、炭水化物、またはタンパク質)を識別するための選択的反応が挙げられる。これらの反応として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、等温核酸増幅、DNAのエピジェネティックな状態を判定するための反応、microRNAおよびsiRNAの含有量を判定するための単一分子ハイブリダイゼーション反応、またはアプタマー(DNAの短い鎖)選択的反応が挙げられる。
【0262】
一定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、生物学的ナノ粒子の選別または収集に続くアッセイプロトコルにさらに結合されてもよい。本明細書で提供される方法と組み合わされ得るアッセイの非限定的な例として、RNA抽出(増幅ありまたはなし)、cDNA合成(逆転写)、遺伝子マイクロアレイ、DNA抽出、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(単一、ネスト、定量的リアルタイム、またはリンカーアダプター)、またはDNAメチル化分析などの核酸ベースの方法、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、フローサイトメトリー、蛍光活性化選別、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)研究などのサイトメトリー法、電気泳動、サザンブロット分析、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、microRNAおよびsiRNAの含有量を判定するためのアッセイ、DNA/RNA含有量を判定するためのアッセイ、脂質含有量を判定するためのアッセイ、炭水化物含有量を判定するためのアッセイ、代謝産物含有量を判定するためのアッセイ、タンパク質含有量を判定するためのアッセイ、機能アッセイなどの化学的アッセイ方法などが挙げられる。
【0263】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、生物学的ナノ粒子の選別または収集に続く分析とさらに組み合わされてもよい。一定の実施形態では、分析は、核酸分析を含む。特定の実施形態では、核酸分析は、シーケンシング、PCR、またはデジタルPCRを含む。一定の実施形態では、分析は、タンパク質分析を含む。特定の実施形態では、タンパク質分析は、ELISA、デジタルELISA、または質量分析を含む。いくつかの実施形態では、分析は、脂質分析を含む。一定の実施形態では、分析は、小分子分析を含む。特定の実施形態では、小分子分析は、代謝産物の分析、シグナル伝達分子の分析、薬物の分析、質量分析、またはこれらの組み合わせを含む。一定の実施形態では、分析は、質量分析を含む。いくつかの実施形態では、分析は、核磁気共鳴分光法を含む。いくつかの実施形態では、分析は、炭水化物分析を含む。特有の実施形態では、炭水化物分析は、質量分析、核磁気共鳴、フーリエ変換分光法、またはこれらの組み合わせを含む。
【0264】
さらに別の実施形態では、本明細書で提供される方法は、例えば、流体サンプル中に存在する生物学的ナノ粒子をさらに分割または単離するために、フローサイトメトリーにさらに結合されてもよい。一実施形態では、本明細書で提供される方法に使用されるデバイスのチャネルは、フローサイトメータと流体連通してもよい。一定の実施形態では、デバイスとフローサイトメトリーとの結合により、選択された生物学的ナノ粒子をさらに検査または連続的に選別して、関心の生体ナノ粒子の集団をさらに濃縮することが可能になる。本明細書で提供される方法の一定の実施形態では、この構成は、時間、コスト、および/または労力を削減するために、生物学的ナノ粒子の上流での大選別を可能にし、所望のサイズ値を含む生物学的ナノ粒子、または特定の検出可能な薬剤と会合した生物学的ナノ粒子のみを、フローサイトメトリーなどの下流プロセスに方向付ける。
【0265】
生物学的ナノ粒子のランク付け
本明細書で提供される方法の一実施形態では、検出された生物学的ナノ粒子には、ナノ粒子が検出可能な薬剤と会合する場合の第1の値か、または生体ナノ粒子が検出可能な薬剤と会合しない場合の第2の値のいずれかが割り当てられる。本明細書で提供される方法の別の実施形態では、生物学的ナノ粒子には、ナノ粒子が閾値を上回って検出される光強度を放出する場合の第1の値か、またはナノ粒子が閾値を上回って検出される光強度を放出しない場合の第2の値のいずれかが割り当てられる。特定の実施形態では、ランク付け(すなわち、値の割り当て)は、バイナリである。例えば、検出可能な閾値を上回る光強度を放出する各生物学的ナノ粒子には、1の値が割り当てられる一方、検出可能な閾値を上回る光強度を放出しない各生体ナノ粒子には、0の値が割り当てられる。
【0266】
本明細書で提供される方法の別の実施形態では、生物学的ナノ粒子には、生物学的ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤に従った値が割り当てられる。例えば、4つの検出可能な薬剤を含有する生物学的ナノ粒子には、4の値が割り当てられてもよい。あるいは、4つの検出可能な薬剤を含有する生物学的ナノ粒子には、特定の範囲の検出可能な薬剤量、例えば、0~5個の検出可能な薬剤、1~10個の検出可能な薬剤、4~6個の検出可能な薬剤などに対応する値が割り当てられてもよい。
【0267】
本明細書で提供される方法の別の実施形態では、生物学的ナノ粒子には、生物学的ナノ粒子によって放出された光強度に従った値が割り当てられる。例えば、閾値を3倍上回る光強度を放出する生物学的ナノ粒子には、3の値が割り当てられてもよい。あるいは、光強度を放出する生物学的ナノ粒子には、特定の範囲の光強度量、例えば、閾値の1~5倍高、閾値の1~10倍高、閾値の2~3倍高に対応する値が割り当てられてもよい。
【0268】
本明細書で提供される方法のさらに別の実施形態では、複数のタイプの生物学的ナノ粒子が、単一の流体サンプル中に存在する場合、生物学的ナノ粒子には、ナノ粒子サイズ値または生体ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤の同一性に従った値が割り当てられる。例えば、流体サンプルが、2つのタイプの検出可能な薬剤AおよびBを含有する場合、AともBとも会合していない生物学的ナノ粒子には、0の値が割り当てられてもよく、Aのみと会合した生物学的ナノ粒子には、1の値が割り当てられてもよく、Bのみと会合した生物学的ナノ粒子には、2の値が割り当てられてもよく、AとBとの両方と会合した生物学的ナノ粒子には、3の値が割り当てられてもよく、本明細書で開示される方法を使用して、2の値が割り当てられたナノ粒子を選択的に単離し、検出可能な薬剤Bのみと特異的と会合した生物学的ナノ粒子の凝縮サンプルを結果として得ることができるしたがって、本明細書で提供される方法の一実施形態では、複数のタイプの検出可能な薬剤が、単一の流体サンプル中に存在する場合、ランク付け(すなわち、値の割り当て)はバイナリではない。
【0269】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、複数のタイプの生物学的ナノ粒子が、流体サンプル中に存在する場合、生物学的ナノ粒子には、多数のパラメータに従った値が割り当てられる。多数のパラメータは、生物学的ナノ粒子のサイズ値、生物学的ナノ粒子によって放出された光強度、生物学的ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤、生物学的ナノ粒子の同一性などを含み得る。ランク付け、または値の割り当ては、複数の変数を含んでもよい。例えば、流体サンプルが、2つのタイプの生物学的ナノ粒子を含有し、各タイプの生物学的ナノ粒子が、複数のサイズとして存在する場合、多数のパラメータを使用して、生物学的ナノ粒子にランク付けを割り当て得る。2つのタイプの生物学的ナノ粒子の各々は、検出可能な薬剤AまたはBと会合してもよく、同様に、2つのタイプの生物学的ナノ粒子の各々は、流体力学的直径が20~50nmで変化するサイズ値に関連付けられた光強度を放出してもよい。したがって、ランク付けは、サイズ(例えば、20~30nmのサイズ値に1の値、31~40nmのサイズ値に2の値、および41~50nmのサイズ値に3の値を割り当てる)と、検出可能な薬剤の会合(例えば、ナノ粒子がAと会合している場合は「A」の検出可能な薬剤の値を割り当て、ナノ粒子がBと会合している場合は「B」の検出可能な薬剤の値を割り当て、ナノ粒子がAとBとの両方に会合している場合は「AB」の検出可能な薬剤の値を割り当て、ナノ粒子がAともBとも会合していない場合は「Z」の検出可能な薬剤の値を割り当てる)と、の両方を用いて適用され得る。多数のパラメータのランク付けは、生物学的ナノ粒子が、マイクロ流体チップ内を輸送中である間に、生物学的ナノ粒子に適用され得る。所望の生物学的ナノ粒子の集団を濃縮するために、多数のパラメータのいずれかにより、選別が適用されてもよい。例えば、上記の生物学的ナノ粒子の集団を使用して、「A」値を有するすべての生物学的ナノ粒子に対してカウントまたは選別イベントが発生し得るか、またはより具体的には、2-A値を有するすべての生物学的ナノ粒子(例えば、31~40nmの流体力学的直径に対応し、かつ検出可能な薬剤Aと関連付けられたサイズ値を有するすべての生物学的ナノ粒子)に対してカウントまたは選別イベントが発生し得る。このようにして、集団濃縮、選別、および/またはカウントは、複数のパラメータによって行われてもよい。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子の複数のパラメータは、放出された光の強度、サイズ値、検出可能な薬剤との会合、同一性などを含む。
【0270】
一定の実施形態では、非ヌル割り当て値は、生物学的ナノ粒子の同一性または流体サンプル中の生物学的ナノ粒子の濃度のいずれかに依存してもよい。
【0271】
一定の実施形態では、同じ割り当て値を有する多数の生物学的ナノ粒子が、まとめてプールまたはチャネリングされる。
【0272】
本開示の方法の一実施形態では、生物学的ナノ粒子をランク付けするか、または生物学的ナノ粒子に値を割り当てるには、能動的な判定が必要である。一定の実施形態では、コンピュータ、コントローラ、集積回路を有するチップ、回路基板、電子的要素、ソフトウェア、および/またはアルゴリズムを使用して、生物学的ナノ粒子をランク付けするか、または生物学的ナノ粒子に値を割り当てる。
【0273】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子に割り当てられた値のうちの少なくとも1つは、バイオマーカー値であってもよい。バイオマーカー値は、バイオマーカー同一性、バイオマーカーの数、特定のタイプのバイオマーカーの数、バイオマーカーのコピー数などであり得る。特定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つのバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つのバイオマーカーと会合する。本明細書に開示される方法は、生物学的ナノ粒子と会合した少なくとも1つのバイオマーカーを検出する工程と、生物学的ナノ粒子にバイオマーカー値を割り当てる工程と、を提供する。いくつかの実施形態では、バイオマーカー値は、バイナリシステムから割り当てられる。例えば、複数の生物学的ナノ粒子は、バイオマーカーと会合したナノ粒子の画分を含んでもよく、バイオマーカーと会合したナノ粒子を、バイオマーカーと会合していないナノ粒子から区別することができるように、生物学的ナノ粒子にA-バイナリバイオマーカー値を適用してもよい。
【0274】
いくつかの実施形態では、本開示は、生物学的ナノ粒子と会合した少なくとも1つのバイオマーカーの少なくとも1つのコピー数を判定することを含む方法を提供する。コピー数の判定は、生物学的ナノ粒子および/または生物学的ナノ粒子と会合したバイオマーカーを識別する少なくとも1つの選択肢を提供し得る。また、バイオマーカーおよび/または生体ナノ粒子の機能の獲得または喪失に関連し得る、コピー数の変動が分析されてもよい。例えば、タンパク質バイオマーカーまたは核酸などのバイオマーカーのコピー数の変動は、バイオマーカーと、バイオマーカーの生物学的ナノ粒子との会合と、に関する情報を提供し得る。いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つのバイオマーカーの少なくとも1つのコピー数を判定することであって、生物学的ナノ粒子が少なくとも1つのバイオマーカーを含む、判定すること、を含む方法を提供する。例えば、検出された生物学的ナノ粒子は、バイオマーカーに存在するトリヌクレオチド反復の数などのバイオマーカーのコピー数の値を提供してもよい。いくつかの実施形態では、コピー数の判定は、制限酵素を使用する。一定の実施形態では、コピー数の判定は、標準を使用する。特有の実施形態では、コピー数を判定するために使用される標準は、増幅されていない。いくつかの実施形態では、タンパク質バイオマーカーのコピー数および/またはコピー数変動が、判定される。いくつかの実施形態では、核酸のコピー数および/またはコピー数変動が、判定される。
【0275】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、タンパク質バイオマーカーである。一定の実施形態では、タンパク質バイオマーカーは、上皮由来細胞、テトラスパニン(例えば、CD9、CD63、およびCD81)、熱ショックタンパク質(例えば、HSC70、およびHSC90)、膜輸送体(例えば、GTPase)および脂質結合タンパク質、細胞接着タンパク質、脂質結合タンパク質、膜貫通タンパク質、酵素、汎サイトケラチンA45B/B3、AE1/AE3、またはCAM5.2(サイトケラチン8(CK8)、サイトケラチン18(CK18)、またはサイトケラチン19(CK19)を認識する汎サイトケラチン抗体、および乳癌抗原NY-BR-1(B726P、ANKRD30A、アンキリンリピートドメイン30Aとしても知られている)に対するもの、B305DアイソフォームAまたはC(B305D-A ro B305D-C;抗原B305Dとしても知られている)、Hermes抗原(Antigen CD44、PGP1としても知られている)、E-cadherin(Uvomorulin、Cadherin-1、CDH1としても知られている)、Carcino-embryonic抗原(CEA;CEACAM5またはCarcino-embryonic抗原関連細胞接着分子5としても知られている)、β-ヒト絨毛性ゴナドトフィン(β-HCG;CGB、慢性性腺刺激ホルモン、βポリペプチドとしても知られている)、カテプシン-D(CTSDとしても知られている)、ニューロペプチドY受容体Y3(NPY3Rとしても知られている;リポ多糖関連タンパク質3、LAP3、Fusion;ケモカイン(CXCモチーフ、受容体4);CXCR4)、癌遺伝子ERBB1(c-erbB-1、上皮成長因子受容体、EGFRとしても知られている)、Her-2 Neu(c-erbB-2またはERBB2としても知られている)、GABA受容体A、pi(π)ポリペプチド(GABARAP、GABA-A受容体、pi(π)ポリペプチド(GABA A(π)、γ-アミノ酪酸A型受容体pi(π)サブユニット)、またはGABRPとしても知られている)、ppGalNac-T(6)(β-1-4-N-アセチル-ガラクトサミニルトランスフェラーゼ6、GalNAcトランスフェラーゼ6、GalNAcT6、UDP-N-アセチル-d-ガラクトサミン:ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ6、またはGALNT6としても知られている)、CK7(サイトケラチン7、サルコレクチン、SCL、ケラチン7、またはKRT7としても知られている)、CK8(サイトケラチン8、ケラチン8、またはKRT8としても知られている)、CK18(サイトケラチン18、ケラチン18、またはKRT18としても知られている)、CK19(サイトケラチン19、ケラチン19、またはKRT19としても知られている)、CK20(サイトケラチン20、ケラチン20、またはKRT20としても知られている)、Mage(メラノーマ抗原ファミリーAサブタイプまたはMAGE-Aサブタイプとしても知られている)、Mage3(メラノーマ抗原ファミリーA 3またはMAGA3としても知られている)、肝細胞増殖因子受容体(HGFR、腎細胞癌乳頭2、RCCP2、Protooncogene met、またはMETとしても知られている)、ムチン-1(MUC1、癌抗原15.3、(CA15.3)、癌抗原27.29(CA 27.29)としても知られている);CD227抗原、エピシアリン、上皮膜抗原(EMA)、多形性上皮ムチン(PEM)、ピーナッツ反応性尿ムチン(PUM)、腫瘍関連糖タンパク質12(TAG12))、総嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP-15、プロラクチン誘発タンパク質、PIPとしても知られている)、ウロキナーゼ受容体(uPR、CD87抗原、プラスミノーゲン活性化受容体ウロキナーゼ型、PLAURとしても知られている)、PTHrP(副甲状腺ホルモン関連タンパク質;PTHLHとしても知られている)、BS106(B511S、小胸上皮ムチン、またはSBEMとしても知られている)、プロスタチン様リポフィリンB(LPB、LPHB;抗原BU101、セクレトグロビンファミリー1-Dメンバー2、SCGB1-D2としても知られている)、マンマグロビン2(MGB2;マンマグロビンB、MGBB、ラクリグロビン(LGB)リポフィリンC(LPC、LPHC)、セクレトグロビンファミリー2Aメンバー1、またはSCGB2A1としても知られている)、マンマグロビン(MGB;マンマグロビン1、MGB1、マンマグロビンA、MGBA、セクレトグロビンファミリー2Aメンバー2、またはSCGB2A2としても知られている)、乳腺セリンプロテアーゼ阻害剤(マスピン、セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤クレードB(オボアルブミン)メンバー5、またはSERPINB5としても知られている)、前立腺上皮特異的Ets転写因子(PDEF;無菌アルファモチーフ指向性ドメイン含有ets転写因子、またはSPDEFとしても知られている);腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1(大腸癌抗原CO17-1A、上皮糖タンパク質2(EGP2)、上皮糖タンパク質40kDa(EGP40)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮特異抗原(ESA))、消化管腫瘍関連抗原733-2(GA733-2)、KS1/4抗原、染色体4表面マーカー1(M4S1)の膜成分、MK-1抗原、MIC18抗原、TROP-1抗原、またはTACSTD1としても知られている)、テロメラーゼ逆転写酵素(テロメラーゼ触媒サブユニットまたはTERTとしても知られている)、トレフォイル因子1(乳癌エストロゲン誘導性シーケンス、BCEI、消化管トレフォイルタンパク質、GTF、pS2タンパク質、またはTFF1としても知られている);葉酸;またはトレフォイル因子3(腸トレフォイル因子、ITF、p1.B、またはTFF3としても知られている)、HSPA8、アクチン、β(ACTB)、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、エノラーゼ1、α(ENO1)、熱ショックタンパク質90、α(細胞質)、クラスAメンバー1(HSP90AA1)、CD9抗原(CD9)、CD81抗原(CD81)、チロシン3-モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5-モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、ゼータポリペプチド(YWHAZ)、ピルビン酸キナーゼ、筋肉(PKM2)、エステラーゼ、ホスファターゼ、またはリパーゼなどの酵素、に特異的なタンパク質から選択される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、核酸バイオマーカーである。一定の実施形態では、核酸バイオマーカーは、miR-141、miR-375、miRNA-21、miRNA-1246、miR-320c、miR-6068、miR-9、miR-107、miRNA-128、miRNA134、miRNA-137、miRNA124、miR-21、miR-141、miR-200a、miR-200b、miR-200c、miR-203、miR-205、miR-214、miR-17、miR-3p、miR-21、miR-20b、miR-223、miR-301、miR-141、miR-375、miR-21、miR-1246、miR-21、let-7f、または他のLet-7 miRNAを含むエキソソームmiRNAなどのマイクロRNA(miRNAまたはmiR-)からからなる群から選択される。
【0276】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子に割り当てられる値のうちの少なくとも1つは、タグ値であってもよい。タグ値は、タグ同一性、タグのカウント、特定のタイプのタグのカウントなどであり得る。特定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つのタグを含む。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つのタグと会合する。本明細書に開示される方法は、生物学的ナノ粒子と会合した少なくとも1つのタグを検出する工程と、生物学的ナノ粒子にタグ値を割り当てる工程と、を提供する。いくつかの実施形態では、タグ値は、バイナリシステムから割り当てられる。例えば、複数の生物学的ナノ粒子は、タグと会合したナノ粒子の画分を含んでもよく、タグと会合したナノ粒子を、タグと会合していないナノ粒子から区別し得るように、生物学的ナノ粒子にA-バイナリタグ値が適用されてもよい。
【0277】
特有の実施形態では、本開示は、生物学的ナノ粒子と会合した少なくとも1つのタグの少なくとも1つの値を判定することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つのタグの同一性を判定することを含む方法を提供し、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つのタグを含む。例えば、検出された生物学的ナノ粒子は、タグの同一性を提供してもよい。
【0278】
一定の実施形態では、タグ値は、複数の値から割り当てられる。例えば、複数の生物学的ナノ粒子は、6つのタグのいずれかと会合した集団を含んでもよく、その各々は、タグの同一性に依存する固有のタグ値を提供する。本明細書に開示される方法は、特異的なタグの検出と、タグ値に基づく選別と、を含む。いくつかの実施形態では、タグ値は、バイナリシステムから割り当てられる。特有の実施形態では、システムは、非ゼロ値およびゼロ値を含む。いくつかの実施形態では、システムは、正の値または負の値を含む(例えば、関心のタグと会合した生物学的ナノ粒子には、正の値が割り当てられ得る一方、タグと会合していないナノ粒子には、負の値が割り当てられることとなるため、関心のタグと会合した生物学的ナノ粒子の検出および/または選別が可能となる)。
【0279】
一定の実施形態において、タグは、生体ナノ粒子と会合したタンパク質マーカーに由来する信号、生体ナノ粒子のサイズに由来する信号、生体ナノ粒子と会合した膜色素に由来する信号、生体ナノ粒子と会合した体積色素に由来する信号、生体ナノ粒子の核酸と会合した色素に由来する信号、生体ナノ粒子の脂質と会合した色素に由来する信号、または生体ナノ粒子と会合した色素に由来する信号から選択される。
【0280】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、細胞外小胞、オルガネラ、微小胞、細胞由来小胞、タンパク質凝集体、核酸凝集体、脂質凝集体、ウイルス、細菌、エキソソーム、またはこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、エキソソームを含む。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、エキソソームである。
【0281】
チャネリングおよび流体の流動
本開示の一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動または収集を方向付けることは、生物学的ナノ粒子に割り当てられた値に基づく。例えば、ヌルまたは「0」値が割り当てられた生物学的ナノ粒子は、第1のチャネル(チャネル化)または廃棄物排出口へと方向付けられてもよく、正または「1」値が割り当てられた生物学的ナノ粒子は、第2のチャネルまたは収集チャンバへと方向付けられてもよい。別の例として、複数のパラメータのいずれかによって割り当てられた値を有する生物学的ナノ粒子は、第1のチャネルまたは第2のチャネルのいずれかに方向付けられてもよい。
【0282】
本開示の一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動または収集を方向付けることは、サイズ値に基づく。本開示の他の実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動または収集を方向付けることは、生物学的ナノ粒子の、検出可能な薬剤との会合に基づく。本開示のいくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動または収集を方向付けることは、生物学的ナノ粒子のサイズ値と物学的ナノ粒子のバイオマーカー値とに基づく。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動または収集の方向付けは、生物学的ナノ粒子を濃縮集団に選別する。好ましい実施形態では、濃縮された集団への生物学的ナノ粒子の選別は、生物学的ナノ粒子のサイズ値およびバイオマーカー値によって判定される。本開示の他の実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動または収集を方向付けることは、生物学的ナノ粒子の、タグとの会合に基づく。本開示のいくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の流動または収集を方向付けることは、生物学的ナノ粒子のサイズ値と生物学的ナノ粒子のタグ値とに基づく。一定の実施形態では、濃縮された集団への生物学的ナノ粒子の選別は、生物学的ナノ粒子のサイズ値およびタグ値によって判定される。いくつかの実施形態では、濃縮された集団への生物学的ナノ粒子の選別は、生物学的ナノ粒子のサイズ値によって判定される。特定の実施形態では、流動の方向付けは、生物学的ナノ粒子を収集に方向付け、サイズ値に基づいて生物学的ナノ粒子の収集を生成する。
【0283】
一定の実施形態では、バイオマーカー値は、複数の値から割り当てられる。例えば、複数の生物学的ナノ粒子は、4つのバイオマーカーのいずれかと会合した集団を含んでもよく、その各々は、バイオマーカーの同一性に依存する固有のバイオマーカー値を提供する。本明細書に開示される方法は、特異的なバイオマーカーの検出と、バイオマーカー値に基づく選別と、を含む。いくつかの実施形態では、バイオマーカー値は、バイナリシステムから割り当てられる。特有の実施形態では、システムは、非ゼロ値およびゼロ値を含む。いくつかの実施形態では、システムは、正の値または負の値を含む(例えば、関心のバイオマーカーと会合した生物学的ナノ粒子には、正の値が割り当てられ得る一方、バイオマーカーと会合していないナノ粒子には、負の値が割り当てられることとなるため、関心のバイオマーカーと会合した生物学的ナノ粒子の検出および/または選別が可能になる)。
【0284】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、少なくとも1つの生物学的ナノ粒子を濃縮集団に選別することをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、生物学的ナノ粒子の濃縮集団への選別は、生体ナノ粒子のサイズ値、生体ナノ粒子と会合したバイオマーカーの存在、生体ナノ粒子によって放出される測定される光強度、生体ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤によって放出される測定される光強度、生体ナノ粒子によって放出される光の波長、生体ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤によって放出される光の波長、生体ナノ粒子によって放出される複数の波長、生体ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤によって放出される複数の波長、生物学的ナノ粒子の識別、またはこれらの組み合わせによって判定される。例えば、40~100ナノメートルの流体力学的直径を有する生物学的ナノ粒子は、それらのサイズ値によって選択的に濃縮されてもよく、したがって、40~100ナノメートルの流体力学的直径を有する生物学的ナノ粒子のより凝縮された集団を含むサンプルを生成する。好ましい実施形態では、選別は、流動を方向付けるための機構を使用する。
【0285】
特定の実施形態では、生物学的ナノ粒子の濃縮集団への選別は、生物学的ナノ粒子のサイズ値によって判定される。いくつかの実施形態では、濃縮集団は、1000%未満の直径ばらつき、900%未満の直径ばらつき、800%未満の直径ばらつき、700%未満の直径ばらつき、600%未満の直径ばらつき、500%未満の直径ばらつき、400%未満の直径ばらつき、300%未満の直径ばらつき、200%未満の直径ばらつき、100%未満の直径ばらつき、直径75%未満の直径ばらつき、50%未満の直径ばらつき、または25%未満の直径ばらつきを有する。好ましい実施形態では、濃縮集団は、100%未満の直径ばらつきを有する。本明細書で提供されるように、「ばらつき」という用語は、示された値よりも大きいか、または小さい値のパラメータを表すことが意図されている。例えば、関心のサイズ値が100nmの直径である場合、25%未満の直径ばらつきを有する濃縮集団であれば、75nm超~125nm未満の値を含む。当業者は、本明細書で使用されるように、ばらつきは、言及された値よりも大きいか、または小さい値を有する精度を測定するためのパラメータを提供することを理解するであろう(例えば、20%未満のばらつきを有する値は、真値±20%未満を提供する)。
【0286】
いくつかの実施形態では、濃縮集団が、直径値の500%以内、直径値の400%以内、直径値の300%以内、直径値の200%以内、直径値の100%以内、直径値の50%以内、または直径値の25%以内の直径範囲を有する。特定の実施形態では、濃縮集団は、直径値の100%以内の直径範囲を有する。いくつかの実施形態では、直径ばらつきまたは直径範囲を有する濃縮集団は、濃縮集団の信頼区間を追加的に有し、信頼区間は、99%超、98%超、97%超、96%超、95%超、90%超、80%超、70%超、または50%超である。好ましい実施形態では、信頼区間は、95%超である。信頼区間は、濃縮集団の直径ばらつきまたは直径範囲のいずれにも適用され得る。例えば、75nmである直径値の100%以内の直径と、信頼区間が95%である集団と、を有する集団は、濃縮集団の生物学的ナノ粒子が75nmの流体力学的直径の100%以内の直径を有する確率が95%であることを示す。
【0287】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の濃縮集団への選別は、少なくとも1つの検出可能な薬剤との会合によって判定される。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の濃縮集団への選別は、複数の検出可能な薬剤との会合によって判定される。濃縮集団の特定の実施形態では、生物学的ナノ粒子の50%超が、検出可能な薬剤と会合するか、生物学的ナノ粒子の60%超が、検出可能な薬剤と会合するか、生物学的ナノ粒子の70%超が、検出可能な薬剤と会合するか、生物学的ナノ粒子の75%超が、検出可能な薬剤と会合するか、生物学的ナノ粒子の80%超が、検出可能な薬剤と会合するか、生物学的ナノ粒子の85%超が、検出可能な薬剤と会合するか、生物学的ナノ粒子の90%が、検出可能な薬剤と会合するか、生物学的ナノ粒子の93%超が、検出可能な薬剤と会合するか、生物学的ナノ粒子の95%超が、検出可能な薬剤と会合するか、生物学的ナノ粒子の97%超が、検出可能な薬剤と会合するか、生物学的ナノ粒子の98%超が、検出可能な薬剤と会合するか、または生物学的ナノ粒子の99%超が、検出可能な薬剤と会合する。好ましい実施形態では、濃縮集団の生物学的ナノ粒子の80%超が、検出可能な薬剤と会合する。好ましい実施形態では、検出可能な薬剤は、同じタイプの検出可能な薬剤である。
【0288】
本明細書で使用される場合、流動の「チャネリング」および「方向付け」という用語は、互換的に使用され得る。流動を「チャネリングする」および「方向付ける」という用語は、生物学的ナノ粒子の目的地、軌道、または移動を強制し得る様式での流体運動の制御を示す。
【0289】
本開示のいくつかの実施形態では、2つ以上のタイプの生物学的ナノ粒子が、流体サンプル中に存在する場合、生体ナノ粒子は、生物学的ナノ粒子からの光強度の特定の放出に基づいてチャネリングされてもよい。一実施形態では、ナノ粒子が閾値未満の光強度を放出する場合、生物学的ナノ粒子は第1のチャネルまたは廃棄物排出口に方向付けられてもよく、生物学的ナノ粒子が第1のサイズに対応する閾値を上回る光強度を放出する場合、生物学的ナノ粒子は、第2のチャネルまたは第1の収集チャンバへと方向付けられてもよく、生物学的ナノ粒子が第2のサイズ値に対応する閾値を上回る光強度を放出する場合、生物学的ナノ粒子は、第3のチャネルまたは第2の収集チャンバへと方向付けられてもよい。
【0290】
本開示の別の実施形態では、2つ以上のタイプの生物学的ナノ粒子が流体サンプル中に存在する場合、生物学的ナノ粒子は、生体ナノ粒子と会合した特定の検出可能な薬剤に基づいてチャネリングされてもよい。一実施形態では、検出可能な薬剤と会合していない生物学的ナノ粒子は、第1のチャネルまたは廃棄物排出口へと方向付けられてもよく、第1のタイプの検出可能な薬剤と会合した生物学的ナノ粒子は、第2のチャネルまたは第1の収集チャンバへと方向付けられてもよく、第2のタイプの検出可能な薬剤と会合したナノ粒子は、第3のチャネルまたは第2の収集チャンバへと方向付けられてもよい。
【0291】
一定の実施形態では、複数のパラメータ値を含有する生物学的ナノ粒子は、特定の流動チャネルまたは収集チャンバへと方向付けられてもよい。あるいは、生物学的ナノ粒子は、混合または希釈チャンバへと方向付けられてもよく、その後、混合または希釈された生物学的ナノ粒子は、生物学的ナノ粒子が異なるアリコートに分割されるようにさらに分割されてもよい。次に、生体ナノ粒子が互いに分離され得るように、アリコート中の生物学的ナノ粒子が再び検出されてもよい。
【0292】
本明細書で提供される方法の一実施形態では、チャネリング(すなわち、生物学的ナノ粒子の流動または収集を方向付ける)は、外部場の使用によって、または流動撹乱を作成することによって実行されてもよい。特定の実施形態では、チャネリングは、流動を方向付けるための機構を使用する。
【0293】
本開示の一態様では、生体ナノ粒子がランク付けされると、外部場を使用して生体ナノ粒子の方向を変更してもよい。場として、電場、磁場、動電、電気泳動、電気浸透、誘電泳動、流体力、重力、空気圧、または光学力が挙げられる。あるいは、空気、非混和性有機液体、またはマイクロビーズなどの、懸濁液と非混和性の材料を導入することにより、外部の流動撹乱が誘起されてもよい。
【0294】
一定の実施形態では、流動は、例えば、機械的原理(例えば、外部シリンジポンプ、空気膜ポンプ、振動膜ポンプ、真空デバイス、遠心力、毛細管現象)、電気的または磁気的の原理(例えば、電気浸透流、動電ポンプ、圧電/超音波ポンプ、磁性流体プラグ、電気流体力学ポンプ、および電磁流体ポンプ)、熱力学的原理(例えば、気泡生成/相変化により誘起される体積膨張)、表面湿潤原理(例えば、エレクトロウェッティング、化学的、熱的、および放射性的に誘起された表面張力勾配)などに基づいて動作するものを含むがこれらに限定されない、流体力学的流体圧力を誘起する方法およびデバイスによって送達され得る。
【0295】
さらに他の実施形態では、流体は、重力送り、表面張力(毛細管現象のような)、静電力(動電流動)、電気浸透流、遠心流(コンパクトディスク上に配設されて回転される基板)、音響力、磁力(振動するイオンが流動を引き起こす)、電磁流体力、真空または圧力差、によって提供される流体駆動力によって送達またはチャネリングされ得る。
【0296】
一定の実施形態では、流体力学的流体圧力または流体駆動力を誘起するための方法およびデバイスに関して列挙されたものなどの流体流動制御デバイスは、本開示の入力ポートまたは出力ポートに結合され得る。一例では、注入口および排出口のいずれかまたは両方に多数のポートが設けられ、1つ以上のポートが、流体流動制御デバイスに結合される。
【0297】
いくつかの実施形態では、流動の方向付けは、流動変位を含む。本明細書で使用される場合、「流動変位」という用語は、「流体変位」と互換的に使用される。いくつかの実施形態では、流動変位は、正の変位、負の変位、またはこれらの組み合わせである。一定の実施形態では、流動変位は、生物学的ナノ粒子に対するストレスを減少させて流動を方向付けるための手段を提供する。流動変位は、流動撹乱を引き起こす場合があり、流動撹乱は、生物学的ナノ粒子を方向付けたり、生物学的ナノ粒子の軌道を調整したりする可能性がある。いくつかの実施形態では、上述の選別デバイスを使用して、流動変位を引き起こす。一定の実施形態では、選別は、流量-変位選別を含む。いくつかの実施形態では、選別は、音響選別または物理的障壁を使用しない。一定の実施形態において、選別は、選別が音響選別または物理的障壁の使用を含まないという条件を有する。
【0298】
特定の実施形態では、流動の方向付けは、電気浸透流を含む。いくつかの実施形態では、流動の方向付けは、圧力の印加を含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の方向付けに、100ms以下、50ms以下、10ms以下、5ms以下、3ms以下、1ms以下、500μs以下、100μs以下、50μs以下、または10μs以下かかる。好ましい実施形態では、生物学的ナノ粒子の方向付けに、1ms以下かかる。別の好ましい実施形態では、生物学的ナノ粒子の方向付けに、100μs以下かかる。
【0300】
一定の実施形態では、選別は、生体ナノ粒子のサイズ値、生体ナノ粒子と会合したバイオマーカーの存在、生体ナノ粒子によって放出される測定される光強度、生体ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤によって放出される測定される光強度、生体ナノ粒子によって放出される光の波長、生体ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤によって放出される光の波長、生体ナノ粒子によって放出される複数の波長、生体ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤によって放出される複数の波長、生物学的ナノ粒子の識別、またはこれらの組み合わせによって判定される。
【0301】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子が単離される。特定の実施形態では、選別または方向付けを使用して、生物学的ナノ粒子を単離してもよい。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、単離チャンバで隔離される。単離チャンバは、例えば、マルチウェルプレートのウェル、エッペンドルフチューブ、バイアルなどであってもよい。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子は、単一の単離チャンバ内に単離される。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子の濃縮集団は、単一の単離チャンバで単離される。例えば、流体力学的直径が40~100nmであるナノ粒子のみがバイアルへと方向付けられるように、複数の生物学的ナノ粒子を選別することができ、バイアルはさらなる処理または識別のために保留されてもよい。いくつかの実施形態では、単一の生物学的ナノ粒子は、単離される。
【0302】
生物学的ナノ粒子のカウント
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、カウントされる。本明細書で使用される場合、「カウントされる」および「定量化される」という用語は互換的である。本明細書で使用される「カウントされる」という用語は、生物学的ナノ粒子が、カウントシステム(例えば、集計)などの量の測定に入力されたことを示す。例えば、本明細書に記載される方法で提供されるようにマイクロ流体デバイスに注入された特定のランク付けを有する400個の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルは、400個の生物学的ナノ粒子がカウントされるように、上記のランク付けを有する各生物学的ナノ粒子の個別のカウントまたは定量化を結果として生じ得る。いくつかの実施形態では、流体サンプル中のサイズ値を有する生物学的ナノ粒子をカウントして、サイズ値を有するサンプル中の生物学的ナノ粒子の量を提供し得る。
【0303】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、生物学的ナノ粒子の数を定量化することをさらに含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、サイズ値を有する生物学的ナノ粒子の数を定量化することを含む。好ましい実施形態では、本明細書で提供される方法は、特定のサイズ値を有する生物学的ナノ粒子の数を定量化することを含む。いくつかの実施形態では、サイズ値は、流体サンプルをマイクロ流体デバイスに導入する前に選択される。
【0304】
一定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、流体サンプル中の関心の生物学的ナノ粒子の濃度を判定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、濃度の判定は、関心の生物学的ナノ粒子の数をカウントすることと、この値を流体サンプルの体積で除することと、を含む。非限定的な例として、30~50nmのサイズ値を有する複数の生物学的ナノ粒子を含む1μLの体積を有するサンプル流体を、マイクロ流体チップに導入することができ、30~50nmのサイズ値を有する生物学的ナノ粒子の数を定量化することは、上記のサイズ値を共有する合計6,000の検出された生物学的ナノ粒子のカウントを提供することができ、したがって、サンプル中の関心の生物学的ナノ粒子の濃度は、6,000ナノ粒子/μLと測定される。このように、本明細書で提供される方法は、流体サンプルの濃度を判定することを含み得る。
【0305】
いくつかの実施形態では、サンプル濃度を判定する方法は、流体サンプルのスパイク頻度をカウントすることを含む。本明細書で使用される場合、「スパイク頻度」という用語は、生物学的ナノ粒子からの発光の検出の頻度を指し、発光は、閾値を上回る(例えば、閾値を上回る発光を有する生体ナノ粒子が、検出ボリュームを通過するとき、検出器を含むシステムが、「スパイク」を観測および記録する)、または所望の値の範囲内にある。一定の実施形態では、流速は、既知である。いくつかの実施形態では、流速は、一定である。他の実施形態では、流速は、平均流速である。スパイク頻度は、ある期間にわたって検出ボリュームを通過する関心の生物学的ナノ粒子の数に対応する。例えば、マイクロチャネル内の流体サンプルが、検出ボリュームを通過して、1秒間にわたって10個のスパイク(例えば、特定の値を有する10個の放出信号)が検出された場合には、スパイク頻度は、10スパイク/秒である。流速、検出領域を通過した液体サンプルの体積、および/またはサンプルの総体積が与えられると、濃度が判定され得る。例えば、上記の例の流速が、一定の1μL/秒であり、かつスパイク頻度が10スパイク/秒であった場合には、関心の生物学的ナノ粒子の濃度は、1μLあたり10個の生体ナノ粒子である。
【0306】
本明細書で使用される場合、「スパイク」は、パラメータ内の観測された放出を表す。スパイクは、サイズ値、発光強度、検出可能な薬剤との会合などに対応し得る。例えば、所望の生物学的ナノ粒子が、閾値制限を4倍~5倍上回る光強度を放出する場合には、これらの境界内で観測される生物学的ナノ粒子は、スパイクとして登録されよう。いくつかの実施形態では、スパイクの数は、カウントされる。特有の実施形態では、スパイクの数は、スパイク頻度を判定するために、ある期間にわたってカウントされる。スパイクの観測とスパイク頻度の計算とは、本開示に記載される装置を使用して実施され得る。
【0307】
一定の実施形態では、スパイク頻度は、生物学的ナノ粒子のパラメータ値と相関する。パラメータ値は、サイズ値、検出可能な薬剤の存在、発光強度などであり得る。例えば、検出可能な薬剤Aで標識された生体ナノ粒子を標的とするスパイク頻度は、検出可能な薬剤Aが観測される頻度を測定することによって、複数の生物学的ナノ粒子から判定され得る。
【0308】
いくつかの実施形態では、サンプルの濃度が、サンプルのスパイク頻度をカウントし、およびサンプルのスパイク頻度をサンプルの体積と比較することによって、判定される。いくつかの実施形態では、サンプルの濃度は、サンプルのスパイク頻度をカウントし、それを較正粒子標準のスパイク頻度と比較することによって、判定される。例えば、標準が、既知の100ナノ粒子/μLの濃度を有する関心の生物学的ナノ粒子を有し、かつ標準が、10スパイク/msのスパイク頻度を提示する場合には、同じ条件を使用して分析され、かつ5スパイク/msのスパイク頻度を呈示する、未知の濃度の所望の生物学的ナノ粒子を有するサンプルが、50ナノ粒子/μLの濃度であると判定することができる。一定の実施形態において、サンプルの濃度は、サンプルのスパイク頻度をカウントし、それを較正粒子標準スパイク頻度と比較し、およびサンプルのスパイク頻度をサンプルの体積と比較することによって判定される。本開示にさらに記載されるように、複数の標準粒子のいずれかが使用され得る。いくつかの実施形態では、較正粒子標準は、金ナノ粒子を含む。一定の実施形態では、既知の濃度(したがってスパイク頻度)の金ナノ粒子標準を未知の濃度の生物学的ナノ粒子サンプルと混合して、1つのサンプル溶液を形成し、これにより、金ナノ粒子のスパイク頻度を生物学的ナノ粒子のスパイク頻度と比較することによって、サンプル溶液中の生物学的ナノ粒子の濃度が判定され得る。
【0309】
特定の態様では、生物学的ナノ粒子は、マイクロ流体チップを高速で通過する。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子が、毎時100万粒子超、毎時200万粒子超、毎時300万粒子超、毎時400万粒子超、毎時500万粒子超、毎時600万粒子超、毎時700万粒子超、毎時800万粒子超、毎時900万粒子超、毎時1000万粒子超、毎時1500万粒子超、毎時2000万粒子超、毎時2500万粒子超、毎時3000万粒子超、毎時3500万粒子超、毎時4000万粒子超、毎時4500万粒子超、または毎時5000万粒子超の速度でマイクロ流体チップを通過する。好ましい実施形態では、生物学的ナノ粒子は、毎時500万ナノ粒子超の速度でマイクロ流体チップを通過する。
【0310】
生物学的ナノ粒子を捕捉する装置および方法
いくつかの実施形態では、本開示は、コーティングされた平面状の表面上の生物学的ナノ粒子の捕捉(吸着とも呼ばれる)、操作、および分析のための方法、システム、デバイス、および装置を提供する。一定の実施形態において、少なくとも、分析が捕捉に続いて迅速に行われ得るため、平面状の表面上の生物学的ナノ粒子の捕捉は、優先的な捕捉システムを提供する。生物学的ナノ粒子を含むサンプル流体に曝露され得る、コーティングされたビーズの使用は、この開示とは対照的であり、生物学的ナノ粒子を捕捉する。ビーズ上に捕捉された生体ナノ粒子は、迅速な分析を可能にするために、例えば、顕微鏡で容易に視覚化することができない。生体ナノ粒子を捕捉するビーズを使用する方法は、コーティングされた表面から生物学的ナノ粒子を解離または分離する工程を頻繁に必要とし、捕捉された生物学的ナノ粒子の収率を低下させる場合があったり、または生体ナノ粒子を損傷する場合がある。本開示は、迅速かつ容易に分析および/またはさらに処理され得る様式で生物学的ナノ粒子を捕捉するための方法、システム、デバイス、および装置を提供する。一定の実施形態では、本開示は、関心の生物学的ナノ粒子を、流体サンプルから平面状の表面上に捕捉する方法を提供する。
【0311】
一定の実施形態では、本開示は、平面状の表面上に生物学的ナノ粒子を捕捉するための方法を提供し、この方法は、(a)コーティングを有する少なくとも1つの平面状の表面を提供することと、(b)複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルをコーティングと接触させることと、(c)生物学的ナノ粒子とコーティングとの接触を容易にするために、少なくとも1つの平面状の表面と接触している流体サンプルに力を提供することと、(d)コーティングで複数のナノ粒子のうちの少なくともいくつかを捕捉することと、を含む。
【0312】
特有の実施形態では、本開示は、コーティングされた平面状の表面上に生物学的ナノ粒子を捕捉するための方法を提供し、この方法は、(a)コーティングを有する少なくとも1つの平面状の表面を提供することであって、コーティングが、非特異的吸着抵抗材料と、複数の捕捉分子と、を含む、提供することと、(b)複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルをコーティングと接触させることと、(c)生物学的ナノ粒子とコーティングとの接触を容易にするために、少なくとも1つの平面状の表面と接触している流体サンプルを遠心分離することと、(d)複数の捕捉分子のうちの少なくともいくつかで複数のナノ粒子のうちの少なくともいくつかを捕捉することと、を含む。
【0313】
他の特有の実施形態では、本開示は、コーティングされた平面状の表面上に生物学的ナノ粒子を捕捉するための方法を提供し、この方法は、(a)コーティングを有する少なくとも1つの平面状の表面を提供することであって、コーティングが、非特異的吸着抵抗材料と、複数の捕捉分子と、を含む、提供することと、(b)複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルをコーティングと接触させることと、(c)生物学的ナノ粒子とコーティングとの接触を容易にするために、少なくとも1つの平面状の表面と接触している流体サンプルを遠心分離することと、(d)複数の捕捉分子のうちの少なくともいくつかで複数のナノ粒子のうちの少なくともいくつかを捕捉することと、(e)蛍光顕微鏡法で、平面状の表面上の捕捉された生物学的ナノ粒子を撮像することと、を含む。
【0314】
本明細書で提供される方法、システム、デバイス、および装置は、生物学的ナノ粒子を捕捉し得る。生物学的ナノ粒子の詳細は、本明細書でさらに提供される。一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、本明細書で提供されるように、検出可能な薬剤と会合する。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、本明細書で提供されるように、検出可能な薬剤を含む。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、本明細書で提供されるように、少なくとも1つの検出可能な薬剤と会合する。一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、本明細書で提供されるように、結合標的を含む。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、本明細書で提供されるように、少なくとも1つの結合標的と会合する。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、本明細書で提供されるように、少なくとも1つのタグと会合する。輸送中のサイズを判定するために提供される生物学的ナノ粒子は、本開示で提供されるような特性を、コーティングされた平面状の表面で捕捉された生物学的ナノ粒子と何らかの方法で共有し得る。
【0315】
平面状の表面
本明細書に開示される方法は、コーティングされた平面状の表面上での生物学的ナノ粒子の捕捉を提供する。いくつかの実施形態では、平面状の表面は、事前に被着されたコーティングを具備する。一定の実施形態では、平面状の表面はコーティングを有して製造される。いくつかの実施形態では、平面状の表面が提供され、コーティングが別個の工程として被着される。当該技術分野で知られている複数の手段のいずれかを使用して、平面状の表面にコーティングを被着するか、または他の方法で提供してもよい。
【0316】
いくつかの実施形態では、平面状の表面の少なくとも一部分は、透明である。一定の実施形態では、平面状の表面の少なくとも一部分は、半透明である。いくつかの実施形態では、平面状の表面は、透明である。一定の実施形態では、平面状の表面は、半透明である。平面状の表面は、コーティングに付着された生物学的ナノ粒子が表面を通して観測され得るように、光が通過し得るプラットフォームを提供してもよい。例えば、生物学的ナノ粒子が一方側に付着された平面状の表面を探測処理用のソース(例えば、電球)の上方に配置されてもよく、光または探測処理体が、プレートを通過し、捕捉された生物学的ナノ粒子と相互作用し、および検出され続けることができる。一定の実施形態では、検出器は、カメラである(例えば、光学顕微鏡を使用する場合)。
【0317】
好ましい実施形態では、平面状の表面は、ガラスを含む。一定の実施形態では、平面状の表面は、ガラスである。いくつかの実施形態では、平面状の表面は、ガラススライドである。本明細書で使用される場合、「ガラススライド」および「ガラスカバースリップ」という用語は、互換的に使用され得る。
【0318】
この開示では、多様な平面状の表面が、使用され得る。いくつかの実施形態では、平面状の表面のサイズは、実験室、研究、および/または病院の設定での使いやすさを提供する。例えば、光学顕微鏡での分析に容易に対応できるスライドガラスのサイズである平面状の表面は、機器の改変、機器のカスタマイズ、および/または専用機器の購入を必要とせずに分析する手段を提供する。好ましい実施形態では、平面状の表面は、ユーザフレンドリーである寸法を有し、および/または当業者に知られているサイジング標準を使用して出荷および/または製造され得る。
【0319】
いくつかの実施形態では、ガラススライドは、円形、楕円形、長方形、正方形、菱形、三角形であるか、またはいくつかの他の多角形の寸法を有する。スライドガラスはまた、面取りされた、または丸みを帯びたコーナーを有することが可能であり、非対称の形状であることが可能である。特定の実施形態では、ガラス側は、円形である。いくつかの実施形態では、ガラススライドは楕円形である。いくつかの実施形態では、平面状の表面が、0.1mm~100cm、0.1mm~20cm、1mm~20cm、5mm~10cm、1mm~5cm、10mm~10cm、5mm~5cm、または1cm~50cmの直径を含む。好ましい実施形態では、平面状の表面は、1cm~50cmの直径を含む。一定の実施形態では、平面状の表面は、90cm超、80cm超、70cm超、60cm超、50cm超、40cm超、30cm超、20cm超、10cm超、5cm超、4cm超、3cm超、2cm超、1cm超、0.75cm超、0.5cm超、0.25cm超、または0.1cm超の直径を有する。好ましい実施形態では、平面状の表面は、1cm超の直径を含む。
【0320】
一定の実施形態では、平面状の表面は、正方形である。いくつかの実施形態では、平面状の表面は、長方形である。一定の実施形態では、平面状の表面は、1cm~100cm、1mm~1cm、1mm~20cm、5mm~20cm、10mm~20cm、100mm~20cm、1cm~20cm、または1cm~50cmの幅を有する。好ましい実施形態では、平面状の表面は、1cm~50cmの幅を有する。いくつかの態様では、平面状の表面は、0.1mm~100cm、1mm~20cm、1mm~10cm、5mm~20cm,10mm~20cm、100mm~20cm、1cm~20cm、または1cm~50cmの長さを有する。好ましい実施形態では、平面状の表面は、1cm~50cmの長さを有する。
【0321】
この開示により提供されるように、平面状の表面は、表面積を含む。いくつかの態様では、表面積は、200cm2~100cm2であるか、表面積は、150cm2~80cm2であるか、表面積は、150cm2~1cm2であるか、表面積は、200cm2~1mm2であるか、表面積は、120cm2~1mm2であるか、表面積は、80cm2~1mm2であるか、表面積は、50cm2~1mm2であるか、表面積は、20cm2~1mm2であるか、表面積は、1cm2~1mm2であるか、表面積は、75mm2~1mm2であるか、表面積は、50mm2~1mm2であるか、表面積は、25mm2~1mm2であるか、または表面積は、10mm2~1mm2である。好ましい実施形態では、表面積は、150cm2~50cm2である。
【0322】
いくつかの実施形態では、平面状の表面は、マルチウェルプレートのベースを含む。
一定の実施形態では、平面状の表面は、カバースリップを含む。特有の実施形態では、平面状の表面は、カバースリップである。一定の実施形態では、平面状の表面は、顕微鏡検査と適合性である。好ましい実施形態では、平面状の表面は、蛍光顕微鏡法と適合性である。例えば、この開示は、コーティングされたガラスカバースリップ上に関心の生物学的ナノ粒子を捕捉し、捕捉された生物学的ナノ粒子を分析するために蛍光顕微鏡を使用してガラスカバースリップを分析する方法を提供する。
【0323】
平面状の表面コーティング
いくつかの態様では、本明細書で提供される方法は、少なくとも1つの平面状の表面にコーティングを提供することをさらに含み、コーティングは、非特異的吸着抵抗材料および複数の捕捉分子を含む。一定の実施形態において、平面状の表面は、非特異的吸着抵抗材料と複数の捕捉分子とを含むコーティングを有する。
【0324】
一定の実施形態において、コーティングは、10μm未満、5μm未満、1μm未満、500nm未満、400nm未満、300nm未満、200nm未満、100nm未満、90nm未満、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、10nm未満、または5nm未満の厚さを有する。好ましい実施形態では、コーティング層は、100nm未満の厚さを有する。
【0325】
いくつかの実施形態では、コーティングは、平面状の表面に直接付着される。他の実施形態では、コーティングは、バッファ層に取り付けられ、バッファ層は、コーティングと平面状の表面との両方に会合する。一定の実施形態では、コーティングは、物理吸着、化学吸着、共有グラフト、またはプラズマ重合を使用して平面状の表面に付着される。
【0326】
一定の実施形態では、コーティングは、平面状の表面の100%を覆う。いくつかの実施形態では、コーティングは、平面状の表面の100%未満を覆う。特有の実施形態では、コーティングは、平面状の表面の少なくとも99%、平面状の表面の少なくとも95%、平面状の表面の少なくとも90%、平面状の表面の少なくとも85%、平面状の表面の少なくとも80%、平面状の表面の少なくとも70%、平面状の表面の少なくとも60%、平面状の表面の少なくとも50%、平面状の表面の少なくとも40%、平面状の表面の少なくとも30%、平面状の表面の少なくとも20%、平面状の表面の少なくとも10%、平面状の表面の少なくとも5%、または平面状の表面の少なくとも1%を覆う。好ましい実施形態では、コーティングは、平面状の表面の少なくとも80%を覆う。
【0327】
いくつかの態様では、コーティングは、非特異的吸着抵抗材料を含む。「非特異的吸着抵抗材料」という用語は、本明細書では「非汚染材料」と互換的に使用される場合がある。非特異的吸着抵抗材料は、コーティングへの生物学的ナノ粒子または他の物質の吸着および/または凝着を低減する。非汚染材料は、不要な物質の付着を防止する。様々な物質の吸着を防止することは、コーティングと会合する生物学的ナノ粒子をより正確かつ高精度に分析するための能力を増大させる。本開示に好適な多様な非汚染材料は、一般に当該技術分野で周知であり、例えば、雑誌記事(例えば、Hucknall et al.Adv.Mater.,2009,21(23),2441-2446)に見つけることができる。
【0328】
いくつかの実施形態では、非汚染材料は、PEG、PEG含有コポリマー、自己組織化単層、双性イオン(例えば、カルボキシベタイン)、ウシ血清アルブミン(BSA)、オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート(OEGMA)、ポリ(OEGMA)、これらの誘導体、またはこれらの組み合わせを含む。
【0329】
特定の実施形態では、非特異的吸収抵抗材料は、ポリエチレングリコールを含む。一定の実施形態では、非特異的吸収抵抗材料は、双性イオンを含む。特有の実施形態では、非汚損材料は、双性イオン表面を含む。特定の実施形態では、非特異的吸収抵抗材料は、カルボキシベタインを含む。いくつかの実施形態では、非特異的吸収抵抗材料は、ウシ血清アルブミンを含む。
【0330】
いくつかの態様では、コーティングは、複数の捕捉分子を含む。捕捉分子は、関心の生物学的ナノ粒子の吸着および/または凝着を増大させる。捕捉分子は、それらの付着において選択的であり、非汚損材料と組み合わされると、流体サンプル中に存在し得る他の物質の凝着を減少させながら、所望の生物学的ナノ粒子の付着を増大させるコーティングを提供する。例えば、非特異的吸着抵抗材料と、「A」に選択的に付着するように選択された複数の捕捉分子と、を含むコーティングと接触している生物学的ナノ粒子「A」および「B」を含む流体サンプルは、「B」の凝着に抵抗しながら、「A」の捕捉の増加を結果として生じる。いくつかの実施形態では、2つ以上のタイプの捕捉分子が、コーティング中に提供される。他の実施形態では、複数の捕捉分子は、同じタイプの捕捉分子を含む。
【0331】
一定の実施形態では、複数の捕捉分子は、抗体を含む。特有の実施形態では、複数の捕捉分子は、ビオチン化抗体を含む。いくつかの実施形態では、複数の捕捉分子は、ビオチンを含む。一定の実施形態では、複数の捕捉分子は、ストレプトアビジンを含む。いくつかの実施形態では、複数の捕捉分子は、核酸を含む。いくつかの実施形態では、複数の捕捉分子は、アプタマーを含む。いくつかの実施形態では、複数の捕捉分子は、ビオチン化アプタマーを含む。いくつかの実施形態では、複数の捕捉分子は、ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、複数の捕捉分子は、タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、複数の捕捉分子は、アフィボディを含む。いくつかの実施形態では、複数の捕捉分子は、ナノボディを含む。
【0332】
いくつかの実施形態では、複数の捕捉分子は、連結部分で平面状の表面に付着される。他の実施形態では、複数の捕捉分子は、平面状の表面に直接付着される。一定の実施形態において、複数の捕捉分子は、連結部分でコーティングに付着される。いくつかの実施形態では、複数の捕捉分子は、コーティングと直接会合する。本明細書で使用される場合、「会合する」および「付着される」という用語は互換的に使用され、捕捉分子、コーティング、および任意での連結部分の文脈では、共有、非共有、イオン、および/または非イオン相互作用を含む。例えば、捕捉分子は、コーティングに共有結合され得る。別の例として、捕捉分子は、連結部分に共有結合することができ、連結部分は、コーティングに共有結合することができる。
【0333】
一定の実施形態では、コーティングは、リガンドを含む。特有の実施形態では、コーティングは、ニトリロ三酢酸リガンドを含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、イミノ二酢酸リガンドを含む。一定の実施形態では、コーティングは、ポリマーを含む。特有の実施形態では、ポリマーは、ポリアクリル酸、キトサン、温度感受性ポリマー、pH感受性ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む。一定の実施形態では、コーティングは、抗体を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、酵素を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、無機金属を含む。特有の実施形態では、コーティングは、金を含む。
【0334】
サンプルとコーティングとの接触
いくつかの態様では、本開示は、複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルをコーティングと接触させることをさらに含む方法を提供する。接触は、流体サンプル内の生物学的ナノ粒子がコーティングと相互作用し、および捕捉分子に接着することを可能にし得る。
【0335】
いくつかの実施形態では、流体サンプルは、薄層をなして提供される。小さい層厚を有することは、生物学的ナノ粒子がコーティングと相互作用し、および捕捉分子に凝着する確率を増大させる。小さい層厚を有することは、コーティングと相互作用し、および捕捉分子に凝着するために、生物学的ナノ粒子が移動する必要がある距離(例えば、生物学的ナノ粒子が遠心力の影響下で層を通過する場合)を低減する。一定の実施形態では、流体サンプルの少なくとも一部分は、10mm未満、9mm未満、5mm未満、1mm未満、900μm未満、800μm未満、700μm未満、600μm未満、500μm未満、400μm未満、300μm未満、200μm未満、または100μm未満の層厚を有する。好ましい実施形態では、流体サンプルの少なくとも一部分は、10mm未満の層厚を有する。他の好ましい実施形態では、流体サンプルの少なくとも一部分は、9mm未満の層厚を有する。好ましい実施形態では、流体サンプルの少なくとも一部分は、1mm未満の層厚を有する。他の好ましい実施形態では、流体サンプルの少なくとも一部分は、500μm未満の層厚を有する。
【0336】
上記に開示されるように、本明細書で提供される方法は、薄い層厚を有する流体サンプルを含んでもよい。薄い層厚を有するサンプルは、蒸発の影響を受けやすい場合があり、これは、流体サンプル中の生物学的ナノ粒子の意図された移動を妨害または混乱させる可能性がある。一定の実施形態では、本開示は、流体サンプルを蒸発防止層で覆うことをさらに含む方法を提供する。一定の実施形態では、蒸発防止層は、テープである。いくつかの実施形態では、蒸発防止層は、油を含む。特有の実施形態では、蒸発防止層は、鉱油を含む。
【0337】
特定の態様では、本開示は、複数の区画を含む収容デバイスを提供することをさらに含む方法を提供し、複数の区画のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの平面状の表面および流体サンプルを含む。複数の流体サンプルが同じ平面状の表面のコーティングと接触し得るように、区画を使用して、流体サンプルとコーティングとの接触を容易にするか、または平面状の表面を複数の部分に分割してもよい。例えば、96ウェルプレートは、上述したようにコーティングされた平面状の表面を含んでもよく、複数の流体サンプルを分析し、かつ複数の流体サンプルを同じコーティングと接触させるための手段を提供する。
【0338】
いくつかの実施形態では、収容デバイスは、ウェルプレートを含む。特有の実施形態では、複数の区画は、ウェルを含む。一定の実施形態では、収容デバイスは、マイクロ流体チップを含む。特有の実施形態では、複数の区画は、マイクロ流体チャネルを含む。
【0339】
いくつかの実施形態では、収容デバイスは、複数の穴を含むブロックであり、複数の区画は、複数の穴を含む。いくつかの態様では、ブロックは、平面状の表面とは別途提供される。
【0340】
いくつかの態様では、本開示は、収容デバイスをコーティングされた平面状の表面に取り付けることをさらに含む方法を提供する。一定の実施形態では、コーティングされた平面状の表面への収容デバイスの取り付けは、接着材料を使用する。特定の実施形態では、接着材料は、接着剤を含む。他の実施形態では、接着は、貼り付けにより達成される。
【0341】
一定の実施形態では、収容デバイスは、上部デバイスに取り付けられている。上部デバイスは、コーティングと接触している流体サンプルのカスタマイズを可能にしてもよい。例えば、収容デバイスにフィルタが取り付けられてもよく、フィルタに提供される不要な物質を含む流体サンプルが、フィルタを通過し、結果として、コーティングと接触している流体から不要な物質が除去される。いくつかの実施形態では、上部デバイスは、フィルタを含む。一定の実施形態では、上部デバイスは、マイクロ流体チップを含む。いくつかの実施形態では、上部デバイスは、マルチウェルプレートを含む。
【0342】
いくつかの態様では、本開示は、収容デバイスから平面状の表面を除去することをさらに含む方法を提供する。一定の実施形態では、除去することは、生物学的ナノ粒子がコーティングによって捕捉された後に行われる。例えば、収容デバイスは、各々が同じコーティングでコーティングされた4つの平面状の表面を含んでもよく、コーティングと流体サンプルとの接触と、生物学的ナノ粒子の捕捉と、に続いて、平面状の表面が、収容デバイスから除去され、さらに処理および/または分析されてもよい。
【0343】
遠心分離および捕捉
特定の態様では、本開示は、複数の捕捉分子のうちの少なくともいくつかで複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくともいくつかを捕捉することをさらに含む方法を提供する。
【0344】
いくつかの態様では、本開示は、生物学的ナノ粒子とコーティングとの接触を容易にするために、平面状の表面と接触している流体サンプルに力を提供することをさらに含む方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、平面状の表面と接触している流体に含有される生物ナノ粒子に力を提供して、生物学的ナノ粒子とコーティングとの接触を容易にすることをさらに含む方法を提供する。一定の実施形態では、流体サンプルとコーティングとの間の接触を容易にするための力は、遠心力、加えられた力、電気力、磁力、またはこれらの組み合わせを含む。一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子とコーティングとの間の接触を容易にするための力は、遠心力、加えられた力、電気力、磁力、またはこれらの組み合わせを含む。好ましい実施形態では、力は、遠心力を含む。いくつかの実施形態では、力は、遠心力である。
【0345】
特定の態様では、本開示は、生物学的ナノ粒子とコーティングとの接触を容易にするために、少なくとも1つの平面状の表面と接触している流体サンプルを遠心分離することをさらに含む方法を提供する。遠心分離は、流体サンプル内の生物学的ナノ粒子とコーティングとの接触を増大させることができるため、関心の生物学的ナノ粒子と捕捉分子との相互作用を容易にし、凝着の増大につながる。遠心力は、前述の上部デバイスの有用性を追加的に高めることができる。特有の実施形態では、遠心力は、流体サンプルの流動を駆動することによって、前述の上部デバイスの有用性を補助することができる。例えば、複数の生物学的ナノ粒子および不要な物質を含むサンプルを、収容デバイスの上部上のフィルタに導入することができ、収容デバイスは、非汚染材料および複数の捕捉分子によるコーティングを有する平面状の表面を含む。生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルが、コーティングを含む平面状の表面と接触している間、遠心力はサンプルを駆動してフィルタに通し、フィルタ内に不要な物質が保持され得る。遠心力は、生物学的ナノ粒子をコーティングに向けて駆動し、捕捉分子との相互作用の確率と、上記の捕捉分子への凝着と、を増大することができる。
【0346】
いくつかの態様では、本開示は、流体サンプルを濾過するための方法を提供する。特定の態様では、流体サンプルの濾過は、流体サンプルが少なくとも1つの平面状の表面と接触する前に行われる。いくつかの実施形態では、濾過は、不要な材料を除去するために使用される。特有の態様では、濾過は、遠心力によって駆動される。
【0347】
一定の実施形態では、遠心力は、複数の平面状の表面に同時に加えられる。例えば、4つのスウィングプレートキャリアを含む遠心分離機ロータに、2つ以上の平面状の表面が搭載されていてもよく、遠心力は、遠心分離機に配置された平面状の表面の各々に同時に加えられてもよい。
【0348】
本明細書に開示されるように、遠心分離は、生物学的ナノ粒子とコーティングとの間、より具体的には生物学的ナノ粒子と捕捉分子との間の、接触の増大を提供することができる。特定の態様では、本開示は、遠心分離が一定期間行われる方法を提供し、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子の数は、遠心分離工程を省略した比較実験の、少なくとも10%超、少なくとも20%超、少なくとも30%超、少なくとも40%超、少なくとも50%超、少なくとも60%超、少なくとも70%超、少なくとも80%超、少なくとも90%超、少なくとも100%超、少なくとも150%超、少なくとも200%超、少なくとも300%超、少なくとも400%超、少なくとも500%超、または少なくとも1,000%超であり、比較流体サンプルは同じ期間、コーティングと接触す。好ましい実施形態では、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子の数は、、遠心分離工程を省略した比較実験の少なくとも100%超であり、比較流体サンプルは同じ期間、コーティングと接触する。例えば、2つのウェルによって分割された1つのコーティングされた平面状の表面を有する収容デバイスは、ウェルのうちの1つ内に導入された流体サンプルからのアリコートを有することができ、デバイスは、30分間遠心分離され、平面状の表面の分析は、180個の生物学的ナノ粒子が捕捉されていることを示す。同じサイズで同じ流体サンプルの第2のアリコートを第2のウェルに導入してベンチトップ上に30分間放置することができ、平面状の表面の分析は、100個の生物学的ナノ粒子が捕捉されていることを示す。この例では、遠心分離により、生物学的ナノ粒子の捕捉が同じ期間で80%増加した。一定の実施形態では、期間は、1時間未満、30分未満、15分未満、10分未満、5分未満、または1分未満である。
【0349】
一定の実施形態では、流体サンプルからの複数の生物学的ナノ粒子の、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が、コーティングで捕捉される。好ましい実施形態では、流体サンプルからの複数の生物学的ナノ粒子の少なくとも10%が、コーティングで捕捉される。特有の実施形態では、流体サンプルからの複数の生物学的ナノ粒子の少なくとも10%が、複数の捕捉分子と会合する。本明細書で定義されるように、生物学的ナノ粒子および捕捉分子の文脈での「会合する」は、共有、非共有、イオン、および/または非イオン相互作用を含む。例えば、生物学的ナノ粒子は、捕捉分子に共有結合し得る。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、捕捉分子にイオン結合し得る。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、ファンデルワールス相互作用を介して捕捉分子に付着され得る。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、静電相互作用とファンデルワールス相互作用の組み合わせを介して捕捉分子に付着され得る。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、抗体-抗原結合を介して捕捉分子に付着され得る。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、抗体-抗原結合を介して捕捉分子に付着される。本明細書で生物学的ナノ粒子および捕捉分子の文脈で使用される場合、「会合する」、「捕捉された」、「付着された」、「凝着された」などの用語は、互換的に使用され得る。本明細書で生物学的ナノ粒子およびコーティングの文脈で使用される場合、「と会合した」などの用語は、コーティングの捕捉分子「と会合した」と同じであると理解される。
【0350】
いくつかの態様では、本開示は、コーティングされた平面状の表面の安定性を増大させることをさらに含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、安定性を増大させることは、凍結乾燥を含む。いくつかの実施形態では、コーティングされた平面状の表面の安定性の増大は、コーティングと会合した捕捉分子の組み込みの前に行われる。いくつかの実施形態では、コーティングされた平面状の表面の安定性の増大は、コーティングと会合した捕捉分子の組み込みの後に行われる。いくつかの実施形態では、コーティングされた平面状の表面の安定性の増大は、生物学的ナノ粒子の捕捉の前に、しかも捕捉分子のコーティング表面への、またはコーティングされた表面の一部としての組み込みの後に、行われる。特有の実施形態では、コーティングされた平面状の表面は、コーティングされた表面への、またはコーティングされた表面の一部としての、抗体の組み込みの後に、凍結乾燥される。コーティングの安定性を増大させること(例えば、凍結乾燥による)により、特にコーティングが抗体またはストレプトアビジンなどのタンパク質を含む場合、コーティングの貯蔵寿命が増加するのに対して、非凍結乾燥サンプルは、その時間内に劣化または解離する場合がある。いくつかの実施形態では、安定性の増大は、コーティングと会合した複数の捕捉分子のうちの少なくともいくつかで複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくともいくつかを捕捉した後に生じる。特有の実施形態では、コーティングされた平面状の表面は、コーティングによる生物学的ナノ粒子の捕捉に続いて凍結乾燥される。コーティングの安定性を増大させること(例えば、凍結乾燥による)により、コーティングとコーティングに凝着され得る生物学的ナノ粒子との貯蔵寿命が増加する。例えば、コーティングされた平面状の表面と会合した複数の生物学的ナノ粒子は、凍結乾燥されてもよく、結果として得られる凍結乾燥された平面状の表面は、後で保存および分析され得るのに対して、非凍結乾燥サンプルは、その時間内に劣化または解離する場合がある。
【0351】
捕捉された生物学的ナノ粒子の分析
いくつかの態様では、本開示は、平面状の表面を分析することをさらに含む方法を提供する。特有の実施形態では、本開示は、捕捉された生物学的ナノ粒子を分析することを含む方法を提供する。一定の実施形態では、分析は、顕微鏡法を使用して、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子を撮像することを含む。いくつかの実施形態では、分析は、蛍光顕微鏡法を使用して、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子を撮像することを含む。一定の実施形態では、分析は、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子の数をカウントすることを含む。一定の実施形態では、分析は、生物学的ナノ粒子と会合したタンパク質バイオマーカーまたは核酸バイオマーカーの存在または不在を判定することを含む。いくつかの実施形態では、分析は、マルチカラー蛍光顕微鏡法を使用して、個々の生物学的ナノ粒子上のバイオマーカーの共局在を判定することを含む。一定の実施形態では、分析は、生物学的ナノ粒子と会合したバイオマーカーのコピー数を判定することを含む。いくつかの実施形態では、分析は、個々の生物学的ナノ粒子のサイズを判定することを含む。いくつかの実施形態では、個々の生物学的ナノ粒子のサイズの判定は、干渉撮像を使用することを含む。いくつかの実施形態では、個々の生物学的ナノ粒子のサイズの判定は、干渉反射撮像を使用することを含む。
【0352】
いくつかの実施形態では、分析は、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子からの放出された光強度を測定することを含む。生物学的ナノ粒子からの放出された光強度を測定することのさらなる詳細は、本明細書で提供される。本明細書で提供されるように、放出された光強度の測定は、サイズ値の割り当てに対応し得る。
【0353】
一定の実施形態では、分析は、コーティングと会合した生物学的ナノ粒子を撮像することを含む。いくつかの態様では、本開示は、検出可能な薬剤を複数のナノ粒子のうちの少なくとも1つと会合させることをさらに含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、会合は、生物学的ナノ粒子の捕捉の前に行われる。いくつかの実施形態では、会合は、生物学的ナノ粒子の捕捉の後に行われる。例えば、本明細書でさらに詳述されるように、複数の生物学的ナノ粒子をコーティング上に捕捉することができ、複数の検出可能な薬剤を含む流体をコーティングに導入することができ、検出可能な薬剤は、生物学的ナノ粒子と特異的に会合し、結果として、検出可能な薬剤と会合した生物学的ナノ粒子がコーティングに凝着される。これにより、例えば、検出可能なナノ粒子の検出およびカウントを補助することにより、または生物学的ナノ粒子と会合した関心のタンパク質を特異的に標的とし得る検出可能な薬剤の会合に関する情報を提供することにより、生物学的ナノ粒子の分析が容易になり得る。
【0354】
本明細書に開示されるように、捕捉分子は、連結部分を介して平面状の表面またはコーティングに付着されてもよい。特定の態様では、本開示は、連結部分を開裂することをさらに含む方法を提供する。連結部分を開裂することにより、事前に捕捉された生物学的ナノ粒子が解放され得、さらなる分析が容易になり得る。いくつかの態様では、本開示は、複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくともいくつかをコーティングから解放することをさらに含む方法を提供する。一定の実施形態では、少なくともいくつかの解放された生物学的ナノ粒子は、構造的に損傷していない。他の実施形態では、少なくともいくつかの脱離した生物学的ナノ粒子が溶解され、溶解物が分析のために収集される。特有の実施形態では、溶解物の分析は、核酸分析、シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応、タンパク質分析、ELISA、質量分析、炭水化物分析、小分子分析、薬物分析、脂質分析、またはこれらの組み合わせを含む。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、コーティングと会合したストレプトアビジン分子に付着されたビオチン化抗体によって捕捉され、次に、生物学的ナノ粒子は、ビオチン化抗体のストレプトアビジン分子への結合を妨害することにより生物学的ナノ粒子を平面状の表面から脱離させる、コーティングされた表面への遊離ビオチン分子の添加によって、脱離し得る。
【0355】
一定の実施形態において、複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくともいくつかは、コーティングから脱離し得る。特有の実施形態では、コーティングからの複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくともいくつかの脱離は、ビオチンでの溶出を含む。
【0356】
本明細書で使用される場合、「捕捉された生物学的ナノ粒子」などの用語は、コーティングに付着された生物学的ナノ粒子、またはコーティングに事前に付着された生物学的ナノ粒子を指す。例えば、生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルは、コーティングされた表面と接触しており、生物学的ナノ粒子が捕捉分子と会合するとすぐに、生物学的ナノ粒子は、捕捉された生物学的ナノ粒子である。さらなる処理、例えば連結部分を開裂することにより、生物学的ナノ粒子が脱離することとなるが、これらの生物学的ナノ粒子は依然として捕捉された生物学的ナノ粒子と呼ばれ、コーティングと会合していないナノ粒子と区別される。
【0357】
一定の実施形態では、捕捉された生物学的ナノ粒子の分析は、生物学的ナノ粒子がコーティングおよび/または平面状の表面に付着している間に行われる。他の実施形態では、捕捉された生物学的ナノ粒子の分析は、生物学的ナノ粒子がコーティングおよび/または平面状の表面から分離された後に行われる。
【0358】
いくつかの態様では、方開示は、複数の捕捉分子のうちの少なくともいくつかによって捕捉されなかった流体サンプルのうちの少なくともいくつかを除去するために平面状の表面を洗浄することをさらに含む方法を提供する。捕捉されていない材料を除去するために平面状の表面を洗浄することにより、捕捉された生物学的ナノ粒子の処理および分析が容易になる。例えば、洗浄は、コーティングと会合した関心の生物学的ナノ粒子ではない材料を除去し得るため、下流分析の正確さおよび精度が増大する。
【0359】
いくつかの実施形態では、コーティングで捕捉された複数の生物学的ナノ粒子のうちの少なくともいくつかが、撮像される。一定の実施形態では、撮像は、蛍光顕微鏡法を含む。特有の実施形態では、蛍光顕微鏡法は、超解像撮像である。特有の実施形態において、蛍光顕微鏡法は、TIRF顕微鏡法(全反射蛍光)である。いくつかの実施形態では、蛍光顕微鏡法は、生物学的ナノ粒子と会合した少なくとも1つの膜色素を使用する。特有の実施形態では、少なくとも1つの膜色素は、FM143、FM143ファミリーの色素、FM143の誘導体、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの膜色素は、ANEPPS色素、ANEP(アミノナフチルエテニルピリジニウム)ファミリーの色素、ANEP色素の誘導体、ジ-4-ANEPPS、ジ-8-ANEPPS、ANEPEQ色素、ジ-2-ANEPEQ、Di-8-ANEPPQ、ジ-12-ANEPPQ、スチリル色素、RH237、RH414、RH421、RH795、SynaptoGreen(登録商標)色素、AM1-43、AM1-44、AM2-10、AM3-25、HM1-43、SynaptoRed(登録商標)色素、Oregon Green(登録商標)色素、Oregon Green(登録商標)ジアセテート、AM4-64、AM4-65、AM4-66、DiBAC色素(例えば、DiBAC4(3)(ビス-(1,3-ジブチルバルビツール酸)トリメチンオキソノール))、カルセイン(登録商標)色素、カルセイン(登録商標)エステル、カルセイン(登録商標)エステルの誘導体、フルオレセイン色素、フルオレセインエステル、またはフルオレセインエステルの誘導体、Alexa(登録商標)、Alexa(登録商標)エステル、またはAlexa(登録商標)エステルの誘導体、ATTO(登録商標)色素、ATTO(登録商標)エステル、またはATTO(登録商標)エステルの誘導体、シアニン色素、シアニンエステル、またはシアニンエステルの誘導体、DiOC2(3)(3,3’-ジエチルオキサカルボシアニンヨウ化物)、DiOC5(3)(3,3-ジペンチルオキシカルボシアニンヨウ化物)、ランタニド色素、TMRE(テトラメチルホダミンエチルエステル)、TMRM(テトラメチルローダミンメチルエステル)、それらの任意の誘導体、またはこれらの組み合わせを含む。一定の実施形態では、撮像は、原子間力顕微鏡法を含む。いくつかの実施形態では、撮像は、透過型電子顕微鏡法を含む。いくつかの実施形態では、撮像は、干渉顕微鏡法を含む。いくつかの実施形態では、撮像は、干渉反射顕微鏡法を含む。一定の実施形態では、撮像は、写真撮影を含む。いくつかの実施形態では、撮像は、リアルタイム監視および/またはビデオキャプチャを含む。
【0360】
いくつかの実施形態では、分析は、情報のセットを提供する。特有の実施形態では、撮像は、情報のセットを提供する。例えば、コーティングに付着された複数の生物学的ナノ粒子を撮像することは、捕捉された生物学的ナノ粒子のタイプ、検出可能な薬剤との相互作用、捕捉された生物学的ナノ粒子の数、生物学的ナノ粒子と会合したバイオマーカーのコピー数、生物学的ナノ粒子のサイズなどに関する情報を提供することができる。一定の実施形態では、情報のセットは、ナノ粒子上に存在するバイオマーカーを識別することを含む。いくつかの実施形態では、情報のセットは、生物学的ナノ粒子と会合した抗体を識別することを含む。いくつかの実施形態では、情報のセットは、生体ナノ粒子のサイズを識別することを含む。
【0361】
一定の実施形態では、コーティングに付着された生物学的ナノ粒子のサイズが、判定される。生物学的ナノ粒子のサイズを判定する方法が、本明細書に開示される。特有の実施形態では、生物学的ナノ粒子のサイズは、相対サイズ値であり、相対サイズ値は、測定された光強度の差によって判定される。いくつかの実施形態では、方法は、測定された光強度を標準で較正して、ナノ粒子の実際のサイズ値を判定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、較正は、光強度の測定の前に行われる。いくつかの実施形態では、較正は、光強度の測定の後に行われる。いくつかの実施形態では、較正は、光強度の測定と同時に行われる。一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子のサイズは、実際のサイズ値である。本明細書でさらに開示されるように、複数の標準のいずれかが、使用され得る。いくつかの実施形態では、光強度は、動的光散乱を含む。一定の実施形態では、標準のサイズは、動的光散乱で測定される。いくつかの実施形態では、標準のサイズは、透過型電子顕微鏡で測定される。一定の実施形態では、標準のサイズは、干渉顕微鏡法で測定される。いくつかの実施形態では、標準のサイズは、干渉反射顕微鏡法で測定される。
【0362】
本明細書にさらに記載されるように、生物学的ナノ粒子、検出可能な薬剤、タグなどは、特異的に測定されてもよい。いくつかの実施形態では、測定される光強度は、単一ナノ粒子感度を有する。一定の実施形態では、測定される光強度は、単一分子感度を有する。
【0363】
いくつかの実施形態では、測定される光強度は、多数の検出可能な薬剤を含む単一の抗体を検出する。一定の実施形態では、測定される光強度は、多数の検出可能な薬剤と会合した単一の抗体を検出する。例えば、捕捉された生物学的ナノ粒子は、抗体と会合することができ、抗体は、3つの検出可能な薬剤と会合し、測定される光強度は、検出可能な薬剤の各々を検出し得る。いくつかの実施形態では、多数の検出可能な薬剤は、同じである。他の実施形態では、多数の検出可能な薬剤は、異なる。一定の実施形態では、検出可能な薬剤は、色素タグ付き抗体である。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、色素である。
【0364】
いくつかの実施形態では、情報のセットは、サンプルの濃度を識別することを含む。特有の実施形態では、情報のセットは、サンプル中の関心の生物学的ナノ粒子の濃度を識別することを含む。
【0365】
本明細書にさらに記載されるように、いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つの生体分子を含む。一定の実施形態では、情報のセットは、生物学的ナノ粒子と会合した生体分子のコピー数を識別することを含む。いくつかの実施形態では、情報のセットは、少なくとも1つの生体分子のコピー数を識別することを含む。
【0366】
本明細書にさらに記載されるように、いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つの検出可能な薬剤と会合する。一定の実施形態では、生物学的ナノ粒子は、複数の検出可能な薬剤と会合する。いくつかの態様では、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、生物学的ナノ粒子の表面に付着されるか、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、生物学的ナノ粒子の表面内にあるか、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、生物学的ナノ粒子の内部にあるか、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、2つ以上のタイプの検出可能な薬剤を含む。一定の実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、異なる発光プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、発光プロファイルは、異なるピーク波長を有する。
【0367】
本明細書にさらに記載されるように、いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子は、少なくとも1つのバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤または複数の検出可能な薬剤は、バイオマーカーと会合する。一定の実施形態では、複数の検出可能な薬剤は、共局在する。好ましい実施形態では、共局在した検出可能な薬剤の存在は、情報のセットを提供する。特有の実施形態において、共局在した検出可能な薬剤の存在は、少なくとも1つのバイオマーカーの存在、少なくとも1つのバイオマーカーの不在、またはこれらの組み合わせを含む情報のセットを提供する。検出可能な薬剤と会合したバイオマーカーは、共局在した情報を提供することができ、例えば、同じ場所からの3つの異なる波長の光強度の放出は、3つの検出可能な薬剤が関心のバイオマーカーと会合していること、およびバイオマーカーの存在を示す。
【0368】
装置およびキット
一態様では、本開示は、生物学的ナノ粒子を捕捉するためのデバイスを提供する。一実施形態では、デバイスは、(a)コーティングを有する少なくとも1つの平面状の表面であって、コーティングは、非特異的吸着抵抗材料および複数の捕捉分子を含む、少なくとも1つの平面状の表面と、(b)遠心分離と適合性である、流体サンプルとコーティングとの接触を容易にするための収容デバイスと、を含む。
【0369】
一定の実施形態では、少なくとも1つの平面状の表面は、ガラスを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの平面状の表面は、0.1mm~100cm、0.1mm~20cm、1mm~20cm、5mm~10cm、1mm~5cm、10mm~10cm、5mm~5cm、または1cm~50cmの直径を有する。好ましい実施形態では、少なくとも1つの平面状の表面は、1cm超の直径を有する。
【0370】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの平面状の表面は、1cm~100cm、1mm~1cm、1mm~20cm、5mm~20cm、10mm~20cm、100mm~20cm、1cm~20cm、または1cm~50cmの幅を有する。一定の実施形態では、少なくとも1つの平面状の表面は、0.1mm~100cm、1mm~20cm、1mm~10cm、5mm~20cm,10mm~20cm、100mm~20cm、1cm~20cm、または1cm~50cmの長さを有する。
【0371】
一定の実施形態では、少なくとも1つの平面状の表面は、表面積を有し、表面積は、200cm2~100cm2であるか、表面積は、150cm2~80cm2であるか、表面積は、150cm2~1cm2であるか、表面積は、200cm2~1mm2であるか、表面積は、120cm2~1mm2であるか、表面積は、80cm2~1mm2であるか、表面積は、50cm2~1mm2であるか、表面積は、20cm2~1mm2であるか、表面積は、1cm2~1mm2であるか、表面積は、75mm2~1mm2であるか、表面積は、50mm2~1mm2であるか、表面積は、25mm2~1mm2であるか、または表面積は、10mm2~1mm2である。
【0372】
いくつかの実施形態では、非特異的吸着抵抗材料は、ポリエチレングリコール、双性イオン表面、カルボキシベタイン、ウシ血清アルブミン、またはこれらの組み合わせを含む。一定の実施形態では、捕捉分子は、抗体、ビオチン化抗体、ビオチン、ストレプトアビジン、アフィボディ、ナノボディ、ペプチド、核酸、アプタマー、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、捕捉分子は、連結部分を介してコーティングに付着される。
【0373】
一定の実施形態では、デバイスは、収容デバイスを受け入れるように装備された遠心分離機ロータをさらに含む。例えば、遠心分離機ロータは、収容デバイスを受け入れるように製造されることが可能であり、ロータは、遠心分離機に挿入されて、サンプルに遠心力を誘起する手段を提供し得る。
【0374】
特定の態様では、本開示は、本明細書で提供される方法または装置からの任意の態様をさらに含む、生物学的ナノ粒子を捕捉するためのデバイスを提供する。
【0375】
一定の実施形態において、デバイスは、少なくとも1つの探測処理用ソースを含む。他の実施形態では、デバイスは、捕捉された生物学的ナノ粒子の不在または存在を検出するように構成された少なくとも1つの検出器を含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、少なくとも1つの探測処理用ソースと、捕捉された生物学的ナノ粒子の不在または存在を検出するように構成された少なくとも1つの検出器と、を含む。
【0376】
いくつかの実施形態では、探測処理用ソースは、電磁放射線源を含む。特有の実施形態では、探測処理用ソースは、固体レーザ、ダイオード励起レーザ、イオンレーザ、色素レーザ、発光ダイオード(LED)、ランプ、アーク放電、磁気パルス、および自然光からなる群から選択される。
【0377】
一定の実施形態では、検出器は、蛍光を検出する。いくつかの実施形態では、検出器は、ルミネセンス光を検出する。一定の実施形態では、検出器は、複数の異なる発光プロファイルを検出し得る。いくつかの実施形態では、検出器は、散乱光を検出し得る。一定の実施形態では、検出器は、単一ナノ粒子感度を有する。好ましい実施形態では、検出器は、単一分子感度を有する。
【0378】
本開示のいくつかの態様では、デバイスはまた、顕微鏡(例えば、蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡、回転ディスク顕微鏡、多光子顕微鏡、平面照明顕微鏡、ベッセルビーム顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、位相コントラスト顕微鏡、落射蛍光顕微鏡、TIRF(全反射蛍光)顕微鏡、透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、またはこれらの組み合わせ)などの撮像デバイスを含む。任意で、探測処理ソースは、撮像デバイスの構成要素であり、例えば、撮像のための照明を提供する。特定の態様では、撮像デバイスは、例えばコーティングによって捕捉されたときに、生物学的ナノ粒子の画像データを取得するために使用される。任意で、画像データは、生物学的ナノ粒子識別情報を割り当てるための基礎として使用される。いくつかの態様では、このプロセスは手動で行われ、例えば、ユーザは、画像データを見て指示を入力することにより、例えば生物学的ナノ粒子と会合した検出可能な薬剤、に基づく識別子を割り当てる。他の態様では、このプロセスは、自動的に行われ、例えば、デバイスは、コンピュータビジョンまたは画像解析アルゴリズムを使用することなどによって画像データを解析し、ユーザ入力を必要とせずに生物学的ナノ粒子にサイズ値を割り当てるための1つ以上のプロセッサを含む。代替の態様では、割り当ては、半自動化されており、例えば、いくつかのユーザ入力およびいくつかの自動処理を伴う。
【0379】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるデバイスは、1つ以上のプロセッサと、実行可能な命令が記憶されたメモリデバイスと、を含むコンピュータを含む。いくつかの態様では、このコンピュータを使用して、本明細書に記載される方法を実行する。様々な態様では、上記に例示および記載されるデバイスまたは方法のうちのいずれかを実装するために、コンピュータが使用され得る。いくつかの態様では、コンピュータが、バスサブシステムを介していくつかの周辺サブシステムと通信するプロセッサを含む。これらの周辺サブシステムは、メモリサブシステムおよびファイルストレージサブシステムを含むストレージサブシステム、ユーザインターフェース入力デバイス、ユーザインターフェース出力デバイス、およびネットワークインターフェースサブシステムを含み得る。
【0380】
いくつかの態様では、バスサブシステムは、コンピュータの様々な構成要素およびサブシステムが意図したとおりに互いに通信できるようにするための機構を提供する。バスサブシステムは、単一のバスまたは多数のバスを含み得る。
【0381】
いくつかの態様では、ネットワークインターフェースサブシステムは、他のコンピュータおよびネットワークへのインターフェースを提供する。ネットワークインターフェースサブシステムは、コンピュータと他のシステムとの間でデータを送受信するためのインターフェースとして機能し得る。例えば、ネットワークインターフェースサブシステムにより、コンピュータをインターネットに接続し、かつインターネットを使用して通信を容易にすることが可能になり得る。
【0382】
いくつかの態様では、コンピュータは、キーボードと、マウス、トラックボール、タッチパッド、またはグラフィックタブレットなどのポインティングデバイスと、スキャナと、バーコードスキャナと、ディスプレイに組み込まれたタッチスクリーンと、音声認識システム、マイク、および他のタイプの入力デバイスなどのオーディオ入力デバイスと、などのユーザインターフェース入力デバイスを含む。一般に、「入力デバイス」という用語の使用は、コンピュータに情報を入力するためのすべての可能なタイプのデバイスおよび機構を含むことが意図されている。
【0383】
いくつかの態様では、コンピュータは、基本的なプログラミングおよびデータ構造を記憶するためのコンピュータ可読ストレージ媒体を提供するストレージサブシステムを含む。いくつかの態様では、ストレージサブシステムは、プロセッサによって実行されると、本明細書に記載される方法およびシステムの機能を提供するソフトウェア(プログラム、コードモジュール、命令)を記憶している。これらのソフトウェアモジュールまたは命令は、1つ以上のプロセッサによって実行され得る。ストレージサブシステムはまた、本開示に従って使用されるデータを記憶するためのリポジトリを提供し得る。ストレージサブシステムは、メモリサブシステムおよびファイル/ディスクストレージサブシステムを含み得る。
【0384】
ソフトウェアは、生物学的ナノ粒子を分析するために使用され得る。例えば、放出される検出可能な光強度の存在または不在に基づく識別、または生物学的ナノ粒子によって放出される光強度に基づく生物学的ナノ粒子のサイズ値の測定。
【0385】
いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、特定のサイズ値を有する捕捉された生物学的ナノ粒子の数を定量化するために使用され得る。一定の実施形態では、ソフトウェアは、流体サンプルの濃度を判定するために使用され得る。特定の実施形態では、ソフトウェアは、流体サンプル中の特定の生物学的ナノ粒子の濃度を判定するために使用され得る。
【0386】
いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、捕捉された生物学的ナノ粒子と会合したバイオマーカーの少なくとも1つのコピー数を判定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、捕捉された生物学的ナノ粒子と会合したバイオマーカーの存在、不在、および/または共局在を判定するために使用され得る。
【0387】
いくつかの態様では、コンピュータは、プログラム実行中に命令およびデータを記憶するための主ランダムアクセスメモリ(RAM)と、固定命令が記憶される読み取り専用メモリ(ROM)と、を含むいくつかのメモリを含み得るメモリサブシステムを含む。ファイルストレージサブシステムは、プログラムおよびデータファイル用の非一過性の永続的(不揮発性)ストレージを提供し、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)ドライブ、光学式ドライブ、リムーバブルメディアカートリッジ、および他の同様のストレージ媒体を含み得る。
【0388】
コンピュータは、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、ワークステーション、ネットワークコンピュータ、メインフレーム、キオスク、サーバ、または任意の他のデータ処理システムを含む様々なタイプのものであり得る。コンピュータおよびネットワークの絶えず変化する性質に起因して、本明細書に包含されるコンピュータの説明は、コンピュータの態様を例示する目的のための特定の例としてのみ意図されている。本明細書に記載されるシステムよりも多いまたは少ない構成要素を有する他の多くの構成が可能である。
【0389】
一定の実施形態では、デバイスは、複数の区画を含む収容デバイスを含む。いくつかの実施形態では、収容デバイスは、ウェルプレートである。一定の実施形態では、複数の区画は、ウェルを含む。いくつかの実施形態では、収容デバイスは、マイクロ流体チップである。一定の実施形態では、複数の区画は、マイクロ流体チップを含む。いくつかの実施形態では、収容デバイスは、ブロックであり、複数の区画は、複数の穴を含む。一定の実施形態では、収容デバイスは、蓋をさらに含む。いくつかの実施形態では、蓋は、蒸発を防止し得る。一定の実施形態では、蓋は、濾過デバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、濾過デバイスは、不要な材料が平面状の表面およびコーティングと接触するのを防止し得る。
【0390】
特定の態様では、本開示は、生物学的ナノ粒子を捕捉するためのキットを提供し、キットは、(a)コーティングを有する少なくとも1つの平面状の表面であって、コーティングが、非特異的吸着抵抗材料と、複数の捕捉分子と、を含む、少なくとも1つの平面状の表面と、(b)複数の区画を含む収容デバイスであって、遠心分離と適合性である、収容デバイスと、を含む。本明細書で使用される場合、「遠心分離と適合性で」という用語は、デバイスが、本明細書で開示される方法に必要な遠心力に耐えることができ、かつデバイスが、遠心分離用の開発プラットフォームと適合性であることを示す。
【0391】
収容デバイス、平面状の表面、コーティング、非特異的吸着抵抗材料、複数の捕捉分子、および複数の区画は、本明細書にさらに記載される。
【0392】
いくつかの態様では、本開示は、複数の生物学的ナノ粒子を含む流体サンプルをさらに含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、複数の生物学的ナノ粒子は、細胞外小胞、オルガネラ、微小胞、細胞由来小胞、タンパク質凝集体、核酸凝集体、脂質凝集体、ウイルス、細菌、エキソソーム、またはこれらの組み合わせを含む。
【0393】
一定の実施形態では、キットは、説明書のセットをさらに含む。
いくつかの実施形態では、キットは、検出可能な薬剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、複数の検出可能な薬剤を含む。検出可能な薬剤は、本明細書にさらに記載される。
【0394】
一定の実施形態では、キットは、較正のための標準をさらに含む。標準は、本明細書にさらに記載される。
【0395】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され、および記載されているが、かかる実施形態が例としてのみ提供されていることは、当業者に明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換を思い付くであろう。本明細書に記載される本開示の実施形態の様々な代替形態が、本開示を実施する際に用いられてもよいことを理解されたい。以下の特許請求の範囲が、本開示の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物がそれにより含まれることが、意図されている。
【0396】
実施例
本開示の装置、デバイス、システム、およびそれらの構成要素のうちのいずれかの特定の寸法は、当業者に明らかであるように、本明細書における本開示を考慮して、意図される用途に応じて容易に変化し得る。さらに、本明細書に記載の実施例および態様が、例証目的のみのためであり、それを考慮して様々な修正または変更が当業者に提案されてもよく、本出願の趣旨および範囲内ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが理解される。本明細書に記載の態様の多数の異なる組み合わせが可能であり、かかる組み合わせは本開示の一部とみなされる。加えて、本明細書におけるいずれか1つの態様に関連して考察されるすべての特徴は、本明細書における他の態様に使用するために容易に適合され得る。異なる態様における同様の特徴についての異なる用語または参照番号の使用は、明確に記載されるもの以外の相違点を必ずしも暗示しない。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を参照することにより単独で説明されるよう意図されており、本明細書に開示される態様に限定されない。
【0397】
実施例1
光散乱による粒子サイズの判定
この実施例は、マイクロ流体デバイスにおいて観測された後方散乱の量を測定することによって、生物学的ナノ粒子のサイズを判定する方法について記載する。
【0398】
図1に示されるように、散乱光を検出するように構成された装置が、使用される。この装置は、光源、第1のレンズ(L1)、第2のレンズ(L2)、シリンドリカルレンズ(CL)、ダイクロイックミラー(DM)、対物レンズ(O)、ステージ(ST)、スリット(S1)、第3のレンズ(L3)、およびアバランシェフォトダイオード(APD)を含む。光源として、85mWのレーザビームが使用される。ビームは、レンズL1およびL2によって拡大される。その後、ビームは、シリンドリカルレンズを通過して光をラインに集束させ、その後、ダイクロイックミラーによって対物レンズの後側焦点面に伝送される。ビームが対物レンズを通過する際、ビームは1μm未満の小半径を有する細い楕円形の検出ビームに集束される。ビームは、マイクロ流体チャネル(ステージ)を通過する粒子に接触し、結果として散乱光の放出が生じる。後方散乱信号は、対物レンズおよびダイクロイックミラーを通過する。後方散乱信号は、次に、スリットおよび第3のレンズを通過し、第3のレンズは、信号をアバランシェフォトダイオード上に集束させる。後方散乱の量は、アバランシェフォトダイオードによって強度の読み取り値として観測され、粒子が検出ビームを通過するのに必要な時間、ならびに粒子のサイズに依存する。
【0399】
図2A~
図2Cに示されるように、注入口、マイクロ流体チャネル、および排出口を含むマイクロ流体チャネルデバイスが、使用される。このデバイスは、流体力学的絞り込みを使用して、粒子の単一の流れの流動を誘起する。マイクロ流体チャネル内の流動は、実行ごとおよび経時的に、実質的に一定の速度を有するように制御される。既知の直径を有する5つのタイプの粒子を含む流体標準が、注入口に注入され、粒子は、個々に検出ビームを通過し、結果として光の散乱を生じる。実質的に一定の速度を有することによって、観測される後方散乱の量は、粒子のサイズに依存する。既知の直径の標準粒子に対応する明瞭なピーク高さクラスタを有するバーストトレースが、得られる。これは、観測された後方散乱の量が、粒子の直径に対応し、良好な信号対雑音比を有することを示す。
【0400】
ヒストグラムは、長期間にわたってバーストを集計して生成される。5つのタイプの粒子を含む流体標準が注入口に注入され、結果として生じる後方散乱が、60秒の期間にわたって観測される。結果として生じるバースト面積を衝突の数と比較するヒストグラムが、作成される。別個の粒子が、ヒストグラムで観測可能であり、各々がガウス曲線でフィッティングされる。バースト面積は、粒子サイズの関数としてプロットされ、結果として非線形方程式が形成される。この結果、粒子直径に対する後方散乱関係の数学関数が得られ、この方程式は、未知の直径を有する粒子の分析に使用される。
【0401】
粒子直径に対する後方散乱を判定する際のこの方程式の使用を確かなものとするために、既知の直径の粒子を含むサンプルが注入口に注入される。粒子が検出ビームを通過する際に、後方散乱が、定量化され、粒子直径が、上記に基づく式を使用して計算される。計算された粒子直径および衝突の数をグラフ化するヒストグラムが、作成される。ヒストグラムは、粒子の別個のサイズを表示し、これは、サンプル内の既知の粒子の直径と一致している。この結果は、粒子のサイズが、粒子が検出ビームを通過するときに生成する後方散乱の量に対応することを示す。
【0402】
実施例2
表面膜色素を用いる細胞外小胞サイズの判定
この実施例は、表面蛍光剤の放出光を測定することによって粒子のサイズを判定する方法について記載する(
図3A~
図3E)。
【0403】
細胞外小胞は、膜小胞であり、血液、尿、精液などの生体液が豊富であるため、臨床現場で注目されている。これらの膜小胞の存在は、バイオマーカーとして有用であり、臨床診断または治療標的の判定を補助する。伝統的に、慣用的なフローサイトメトリーは、光散乱で細胞のサイズを検出するために使用されたが、細胞外小胞からの散乱信号は、はるかに弱い。さらに、このプロセスは、ポリマービーズを使用してサイズ判定のための検量線を計算する必要があった。ポリマービーズとベシクルとは、実質的に異なる屈折率を有し、結果として得られる判定は、不正確であり得る。
【0404】
以前の方法の不正確さは現在、未知の小胞と実質的に同様の屈折率を有する細胞外小胞またはリポソームを標準として使用することによって、対処されている。加えて、FM4-64(親油性色素)は、
図3Aに示されるように、既知の直径を有する細胞外小胞の外表面脂質膜を選択的に標識するために使用される。FM4-64は、励起λ
max=515nm、発光λ
max=734nm、および脂質膜に付着された場合に水溶液中時の40倍増加した量子収量、を伴う明信号を生成する。この強力な信号の生成は、検出における信号対雑音比を大きく向上させ、したがって、測定のスループット(すなわち、単位時間あたりに測定される細胞外小胞の数)を大幅に増加させる。
【0405】
図3Bに示されるように、親油性色素によって放出される信号は、細胞外小胞のサイズに対応する。脂質色素(I
1)の強度は、直径Dを有する小胞の表面積に比例し、ここで、表面積=π×D
2である。放出されたシグナルの強度に基づいて細胞外小胞の直径を計算し得るように、補正係数(C
1)が、使用される。次の式が、使用される。
【0406】
【0407】
30nm~150nmのサイズ範囲のエキソソームを有する標準が、得られる。標準は、動的光散乱を伴うMalvern Zetasizerを使用して分析され、結果として得られる基準サイズ分布がグラフ化される(
図3C)。標準のエキソソームは、FM 4-64色素で標識される。マイクロ流体チャネルデバイス(
図2A~
図2C)が、使用される。マイクロ流体チャネル内の流動は、実質的に一定である速度と、サンプルならびに標準を使用する測定に使用される同じ実質的に一定の速度と、を有するように制御される。染色されたエキソソームを含む標準液が、注入口に注入される。検出ビームの波長は、フルオロフォア励起を最大にするために515nmに設定され、結果として生じる発光強度が測定される。発光強度を衝突の数と比較するヒストグラムが作成され、染色されたエキソソームの未補正強度分布が得られる(
図3D)。FM 4-64ヒストグラムに、Zetasizer基準によって判定されたサイズ分布が重ね合わされ、補正係数C
1が、計算される(
図3E)。この実施例は、細胞外小胞のサイズが、表面膜蛍光色素の強度によって判定することができることを示す。
【0408】
実施例3
体積色素を用いる細胞外小胞サイズの判定
この実施例は、粒子に包含される蛍光剤の放出光を測定することによって粒子のサイズを判定する方法について記載する(
図4A~
図4E)。
【0409】
粒子の表面を標識することの代替形態は、粒子内の体積を標識することである。この技術は、未知の小胞と実質的に同様の屈折率を有する細胞外小胞またはリポソームを標準として使用する。
図4Aに示されるように、体積色素を使用して、既知の直径を有する細胞外小胞の内部体積を選択的に標識する。
【0410】
図4Bに示されるように、体積色素によって放出される信号は、細胞外小胞のサイズに対応する。体積色素(I
2)の強度は、直径Dを有する小胞の体積に比例し、ここで、体積=π×D
3/6である。放出されたシグナルの強度に基づいて細胞外小胞の直径を計算し得るように、補正係数(C
2)が、使用される。次の式が、使用される。
【0411】
【0412】
30nm~150nmのサイズ範囲を有するエキソソームを有する標準が、得られる。標準は、動的光散乱を伴うMalvern Zetasizerを使用して分析され、結果として得られる基準サイズ分布がグラフ化される(
図4C)。標準のエキソソームは、体積色素で標識される。マイクロ流体チャネルデバイス(
図2A~
図2C)が、使用される。マイクロ流体チャネル内の流動は、標準サンプルに使用されるのと実質的に同じ一定の速度を有するように制御される。染色されたエキソソームを含む標準液が、注入口に注入される。検出ビームの波長は、フルオロフォアの励起が最大になるように設定され、結果として生じる発光強度が測定される。発光強度を衝突の数と比較するヒストグラムが作成され、染色されたエキソソームの未補正強度分布が得られる(
図4D)。体積色素ヒストグラムは、ゼータサイザー基準によって判定されたサイズ分布に重ね合わされ、補正係数C
2が計算される(
図4E)。この実施例は、細胞外小胞のサイズが、蛍光体積色素の強度によって判定され得ることを示す。
【0413】
実施例4
体積および表面色素を用いる細胞外小胞サイズの判定
この実施例は、粒子と会合した蛍光剤の放出光を測定することによって粒子のサイズを判定する方法について記載する。蛍光剤は、粒子に包含される体積色素と、粒子の外部に付着された表面色素と、を含む(
図5A~
図5B)。
【0414】
表面色素と体積色素との組み合わせにより、結果として、均一性を向上させる標識システムが得られる。この技術は、細胞外小胞またはリポソームを標準として使用し、それらは、他の細胞外小胞と比較するための標準として好適なものになる。細胞外小胞標準表面膜への付着のために親油性色素が選択され、標準小胞の内部を占める体積色素が選択される。
図5Aに示されるように、標準的な細胞外小胞は、既知の直径Dを有する。表面膜色素および体積色素は、実質的に重なり合わない発光帯域幅を有する。
【0415】
表面膜色素の強度(I1)は、放出された信号の強度に基づいて粒子の直径が計算されるような補正係数(C1)を有する直径Dを有する小胞の表面積に比例する。
【0416】
【0417】
補正係数C1は、上記の実施例2に記載される方法に従って、サンプル標準を使用して判定される。
【0418】
体積色素の強度(I2)は、放出された信号の強度に基づいて粒子の直径が計算されるような補正係数(C2)を有する直径Dを有する小胞の体積に比例する。
【0419】
【0420】
補正係数C2は、上記の実施例3に記載される方法に従って、サンプル標準を使用して判定される。
【0421】
粒子の表面積と体積との比率は、補正された蛍光強度を比較することによって計算される(
図5B)。補正された表面積=I
1×C
1
2。補正された体積=I
2×C
2
3。粒子の体積に対する表面の比率は、次のとおりである。
【0422】
【0423】
未知の細胞外小胞のサイズは、体積色素の補正された強度と表面膜色素の補正された強度との比率によって判定される。未知の細胞外小胞は、表面膜色素および体積色素で標識される。マイクロ流体チャネルデバイス(
図2A~
図2C)が、使用される。マイクロ流体チャネル内の流動は、標準サンプルに使用されるのと実質的に同じ一定の速度を有するように制御される。体積色素および表面色素を含む小胞が、注入口に注入される。検出ビームの波長は、体積色素と表面色素との両方のフルオロフォア励起を最大にするように設定され、結果として生じる各々の発光強度が測定される。実質的に球形の小胞のサイズは、表面積および体積に次のように関連し、
【0424】
【0425】
体積および表面積の強度は、比率によって関連付けられ、
【0426】
【0427】
したがって、小胞の半径(r)は、小胞の強度によって次のように計算される。
【0428】
【0429】
この実施例は、細胞外小胞のサイズが、蛍光表面膜色素と組み合わされた蛍光体積色素の補正強度によって判定され得ることを示す。この実施例は、表面膜色素から得られた信号の体積色素に対する比率(すなわち、表面対体積の比率)を分析することによって、非球状の細胞外デバイスの形状に関する情報も抽出され得ることをさらに示す。
【0430】
実施例5
デューティサイクルによる粒子サイズの判定
この実施例は、粒子が2つの励起ビームを通過するときに、粒子と会合した蛍光剤の放出光を測定することによって、粒子のサイズを判定する方法について記載する。
【0431】
蛍光剤の実質的に均一な分布を含む粒子は、その輸送経路によって測定される。粒子のサイズは、輸送経路によって判定され、異なる数の色素分子を有する実質的に同様のサイズの粒子は、この方法を使用して同じ測定を提供することになる。前の実施例のように、サイズの測定値は、発光強度測定値から直接計算されない。
【0432】
注入口、マイクロ流体チャネル、および排出口を含むマイクロ流体チャネルデバイスが、使用される。このデバイスは、流体力学的絞り込みを使用して、粒子の単一の流れの流動を誘起する。マイクロ流体チャネル内の流動は、実質的に一定の速度を有するように制御される。デバイスは、2つの検出ビームをさらに含み、ビームは、空間光変調器(SLM)によって変調される。SLMは、
図6に示されるように、規定された幅を有する光パターンにビームを成形し、半値全幅(FWHM)の幅は、10ビンである。FWHMでのビームの幅は、関心の最小粒子の幅以下である。2つのビーム間の距離は、関心の最大粒子の幅よりも大きい。
【0433】
流体サンプルが得られ、サンプルは、表面蛍光色素で均一にコーティングされた粒子を含む。粒子は、400nm、300nm、200nm、80nm、および40nmの直径を有する既知のサイズである。2つの検出ビームは、粒子蛍光色素の励起λmaxに対応する波長を有する。流体サンプルは、注入口に注入され、粒子は、2つの検出ビームを通して排出口に向けて流動する。
【0434】
粒子が第1の検出ビームを通過する際に、蛍光色素が励起され、その後の放出が検出される(
図7)。粒子が第1の検出ビームに入る際に、最大強度に達するまで放出の強度が増加し、粒子が第1の検出ビームを出る際に、ベースラインと区別不能になるまで放出の強度が減少する。その後、粒子は、第2の検出ビームを通過し、同様のデータを提供する。
【0435】
デューティサイクル/オフサイクルは、放出の結果を使用して計算される。信号幅計算の閾値は、最大強度の半分として設定される。例えば、
図8では、400nmの直径を有する粒子は、400の最大強度を有するため、デューティサイクルの計算は、200の強度を有するピークの幅を使用して実施される。第1の検出ビームと交差する際の400nmの粒子放出は、40.5ビンの幅を有する。次に、粒子は「ゼロ長」に入り、いずれのビームによる励起もないため、放出は観測されない。400nmのゼロ長は、19ビンとして測定される。その後、粒子は、第2の検出ビームを通過する。第2の検出ビームと交差する際の400nmの粒子の放出、40.5ビンの幅を有する。デューティサイクル/オフサイクルの合計の長さは、強度が最初に閾値を超えるポイント(粒子が第1のビームに入る)から、強度が降下して最後の閾値を下回るポイント(粒子が第2のビームを出る)までである。デューティサイクルおよびオフサイクルは、合計の長さの一部として計算され、1の値の合計を有する。例えば、400nmの粒子のデューティサイクルは、100ビンの合計長さに対して、その最大放出幅の半分を合わせて合計81ビンであり、ゼロ長は19ビンである。したがって、400nm粒子のデューティサイクルは、0.81であり、オフサイクルは、0.19である。既知の直径を有する標準粒子についての計算されたデューティサイクルおよびオフサイクルを、表1に示す。
【0436】
【0437】
粒子が実質的に一定の速度で移動するように、流動が制御される。結果として、粒子放出が閾値を上回る時間の量は、放出が閾値を上回る
図7のビンの数に比例する。同様に、粒子が「ゼロ長」領域にある時間の長さは、
図7における粒子の「ゼロ長」領域のビンの数に比例する。これらの時間の測定値は、デューティサイクルの計算に使用される。デューティサイクルを粒子直径と比較するデータがグラフ化され、デューティサイクルを直径と相関させる方程式が計算される(
図9)。蛍光剤の実質的に均一な分布を有する未知の直径の粒子が装置の注入口に注入され、結果として生じる放出のデューティサイクルが判定される。各粒子について観測された放出デューティサイクルを使用して、直径が計算される。
【0438】
上記の実施例では、各位置ビンは、5nmであり、ビームのFWHMは、50nmであり、2つの励起線間の間隔は、600nmであり、球体の直径は、40~400nmの範囲をとる。デューティサイクルによってサイズを判定するこの方法は、異なる範囲を有する粒子に適用可能である。例えば、各位置ビンが、100nmの長さに設定されている場合、ビームのFWHMは、1000nmであり、2つの励起線間の間隔は、12ミクロンであり、800~8000nmの直径を有する粒子が測定されることとなる。分離をさらに増大させることにより、直径が測定され得る粒子のサイズの上限が増大することとなる。デューティサイクルを判定する際には、検出の全長にわたる粒子の輸送中に、実質的に一定の流量が重要であるが、実際の速度は、最重要ではない。これは、粒子のサイズが、検出された蛍光放出に基づくデューティサイクルを使用して判定されることができることを示す。カバースリップ底部を有する平面状の幾何形状を有するマイクロ流体チップを使用することにより、レーザの焦点領域を成形するために高い開口数の対物レンズを使用することが、可能になる。
【0439】
実施例6
誘導放出抑制によって改変された単一ビームによるエキソソームサイズの判定
この実施例は、エキソソームが誘導放出抑制(STED)ビームによって改変された単一の励起ビームを通過する際に、エキソソームと会合した蛍光剤の放出光を測定することによって、エキソソームのサイズを判定する方法について記載する。
【0440】
エキソソームのサイズは、他の多くの関心の粒子よりも実質的に小さく、典型的な範囲は40~100nmである。エキソソームなどの小粒子の検出技術を強化した方法は、有益である。STED顕微鏡は、検出領域の解像度を向上させ、およそ30nmの焦点解像度を作成することができる。STED顕微鏡の使用により、回折限界に関する解像度の問題が克服される。
【0441】
STEDビームによって改変された単一のビームのプロファイル表現が、
図10に提供されている。励起ビームは、実施例5で詳述されるように生成される。この励起ビームは、励起ビームの波長(λ
STED>λ
励起)よりも大きい波長を有する2つのSTEDビームと部分的に重なり合っている。励起ビーム領域内で吸収を受ける蛍光色素は、電子を励起状態S
1に移行させるが、フルオロフォアがSTEDビーム内にある場合、電子は、誘導放出を受け、これにより、励起された電子は、S
0のより高い振動状態に緩和するため、フルオロフォアの通常の発光波長を有する光子を放出しない。したがって、フルオロフォアは、STEDビーム内にあるときに選択的に非活性化される。この結果、励起ビームよりも実質的に細い実効励起が得られ、エキソソームの測定に有用である測定などの、より正確な測定が可能になる。
【0442】
実効励起領域を通過する粒子が測定され、粒子の輸送時間と局所速度とが既知である場合に、粒子の直径が計算される。この実施例は、粒子が代替の方法を使用して正確に測定されない場合でも、流動中の粒子のサイズを判定することができることを示す。
【0443】
実施例7
誘導放出抑制によって改変された2つのビームによるエキソソームサイズの判定
この実施例は、エキソソームが、誘導放出抑制(STED)ビームによって改変された2つの励起ビームを通過する際に、エキソソームと会合した蛍光剤の放出光を測定することによって、エキソソームのサイズを判定する方法について記載する。
【0444】
局所速度に依拠せずに流動の中の粒子のサイズを判定する方法の開発は、スクリーニングプロセスに有益である。STED顕微鏡法は、実施例6で上で考察されるように、検出領域の解像度を向上させることができ、STEDによって改変された2つの励起ビームの使用により、結果として、粒子の速度を知ることに依存しない粒子のサイズを判定する方法が得られる。
【0445】
STEDビームによって改変された2つのビームのプロファイル表現が、
図11に提供される。実施例5および6で詳述されるように、2つの励起ビームが生成される。これらの励起ビームは、励起ビームの波長よりも大きい波長(λ
STED>λ
励起)を有する3つのSTEDビームと重なり合う。実施例6で上で考察されるように、フルオロフォアは、STEDビーム内にあるとき、選択的に非活性化される。この結果、励起ビームよりも実質的に細い実効励起ビームが得られ、エキソソームの測定に有用である測定などの、より正確な測定が可能になる。結果として得られる設定は、粒子がビームの細い実効励起領域に接触しており、かつ間に励起が生じていない場合にのみ、蛍光の放出を生成する。
【0446】
注入口、マイクロ流体チャネル、および排出口を含むマイクロ流体チャネルデバイスが得られる。このデバイスは、流体力学的絞り込みを使用して、粒子の単一の流れの流動を誘起する。マイクロ流体チャネル内の流動は、実質的に一定の速度を有するように制御される。デバイスは、2つの励起ビームをさらに含み、ビームは、2つの実効励起ビームを生成するためにSTEDビームによって変調される。実効励起ビームの幅は、関心の最小粒子の幅以下である。2つの実効励起ビーム間の距離は、関心の最大粒子の幅よりも大きい。
【0447】
流体サンプル標準が得られ、標準は、表面蛍光色素で均一にコーティングされたエキソソームを含む。エキソソームは、既知のサイズであり、30nm、40nm、50nm、および70nmの直径を有する。2つの検出ビームは、表面蛍光色素の励起λmaxに対応する波長を有する。流体サンプル標準が、注入口に注入され、粒子は、2つの検出ビームを通して排出口に向けて流動する。
【0448】
エキソソームは、マイクロ流体チャネルを通して移動し、実効励起ビームを個々に通過する。励起ビームを通過するエキソソームとその間のゼロ長のスキームとを、
図12に示す。直径Dを有するエキソソームは、幅Wを有する第1の実効励起ビームと接触するまで蛍光(波長=λ
em)を放出しない。エキソソームが第1の実効励起領域と接触している間、蛍光光子を放出する。その後、エキソソームは、第1の実効励起領域を出てゼロ長に入り、そこで蛍光は観測されず、ゼロ長はSの幅を有する。次に、エキソソームは、幅Wを有する第2の実効励起ビームを通過し、エキソソームが第2の実効励起領域を完全に出るまで、再び蛍光光子を放出する。
【0449】
エキソソームの動きは、流体の速度Vによって支配される。球の中心が距離Dを移動する時間は、TD=D/Vとして計算することができ、距離Wを移動する時間は、TW=W/Vであり、距離Sを移動する時間は、TS=S/Vである。エキソソームの先縁が第1の実効励起領域に最初に入るときから、エキソソームの後縁が第2の実効励起領域を出るまでの時間は、次のとおりである。
【0450】
【0451】
エキソソームが完全に暗領域内にあり、蛍光を放出しない時間の長さは、次のとおりである。
【0452】
【0453】
蛍光がない時間を2つの実効励起領域間の総輸送時間で除した比率は、次のように計算できる。
【0454】
【0455】
速度は、速度が各エキソソームに対して実質的に一定のままであるという仮定で方程式から約分されるが、各エキソソームが同じ速度を有することは必要でない。例えば、エキソソームは、輸送が最も速いマイクロ流体チャネルの中心に留まるか、またはエキソソームは、輸送がより遅いマイクロ流体チャネルの壁に沿って留まる。エキソソームは、実質的にチャネル内で横方向に移動しないものとする。
【0456】
既知の直径Dの標準が少なくとも2つあるため、実効励起ビーム領域の幅(W)とゼロ領域の幅(S)との実際の値が計算される。50nmのエキソソームまたはリポソームまたは他のナノ粒子を含む標準は、総検出領域を通る標準の輸送の72.2%に対して蛍光を生成する(輸送の27.8%に対して蛍光は観測されず、R=0.278)。上記の比率方程式に代入すると、次の計算が得られ、
【0457】
【0458】
実効ビーム幅Wを解くと、W=1.35×S-117.6nmが与えられる。
30nmのエキソソームまたはリポソームまたは他のナノ粒子を含む第2の標準は、総検出領域(R=0.400)を通る第2の標準の輸送の60.0%を通じて蛍光を生成する。上記の方程式に代入してWを解くと、W=0.75×S-52.5nmが与えられる。これらの方程式を組み合わせると、WおよびSの値が解かれ、S=109nmおよびW=30nmとなる。
【0459】
上記のSおよびWの実際の値を解くと、未知のサイズのエキソソームを含むサンプルがマイクロ流体チャネル注入口に注入され、エキソソームの直径が、エキソソームが暗領域内にある時間(Tdark)対総輸送時間(Ttotal)の比率に基づいて判定される。この実施例は、細い実効励起ビームを使用してエキソソームの直径を判定し得ることと、エキソソームの直径が、STEDによって改変された2つの励起ビームで容易に計算され得ることを示す。
【0460】
実施例8
エキソソームのサイズの判定およびエキソソームの選別
この実施例は、流動における光散乱を使用してエキソソームのサイズを判定する方法と、判定されたサイズとエキソソーム上に存在する検出可能な薬剤とによるその後のエキソソームの選別について記載する。
【0461】
流動中のエキソソームのサイズを判定するために開発された方法は、サイズによるエキソソームの選別に適用される。装置が使用され、この装置は、注入口と2つの流動絞り込みチャネルとを有するマイクロ流体チャネルを含み、マイクロ流体チャネルは、接合部に接続され、接合部は、2つの流体流動制御チャネルと、各々が排出口を有する2つの収集チャネルと、にさらに接続され、すべてが流体連通している(
図13)。この装置は、圧力と電気浸透流(EOF)との両方を使用して流動を制御する。指向性流動は、電圧パルスを印加してEOFを制御することによって、流体流動制御チャネルを使用して制御され、EOFは、流動を2つの収集チャネルのうちの一方に方向付ける。
図11に示されるように、装置は、2つの検出領域をさらに含む。1つの検出領域は注入口と接合部との間に位置し、1つの検出領域は、接合部と排出口との間に位置する。各検出領域は、観測可能な出力を発生するための光検出器に接続される。加えて、装置は、選別アルゴリズムを有する電子回路に接続されており、これにより、コンピュータを使用して観測されるよりも速い選別時間が可能になる。第1の検出器の出力に接続され、かつ2つの流体流動制御チャネルにさらに取り付けられた電子回路を使用して、1~2μsの立ち上がり時間を有する最大1kVのパルスが実現される。
【0462】
検出領域は、実施例2で提供されるように、蛍光色素の実質的に均一な表面コーティングを有する既知の直径のエキソソームを使用して較正される。電子回路アルゴリズムは、指向性流動がデフォルトで第1の収集チャネルに向けて方向付けられるように調整されるが、蛍光色素コーティングおよび関心の直径を有するエキソソームが検出されると、流動は、短時間で第2の収集チャネルに向けて方向付けられ、次に第1の収集チャネルに向けて再度方向付けられる。第2の検出領域は、第2の収集チャネルに接続され、関心の直径を有するエキソソームが適切に選別されるかどうかを判定する。
【0463】
電子回路アルゴリズムは、40~60nmの直径を有するエキソソームを選択的に収集するように調整される。未知のサイズのエキソソームを含むサンプルが注入口に注入され、選別が実施される。100μsの選別パルス時間が使用され、流速は、毎秒10,000回の選別が実施されるようなものである。これらのパラメータを使用すると、40~60nmの直径を有するエキソソームの90%が第2のチャネルに回収され、95%の純度を有する。この例は、電気浸透流を使用してエキソソームを選別し得ることと、本明細書に記載されるエキソソームのサイズおよびバイオマーカー検出方法を使用してこの選別を実施して、関心のエキソソームを最初に検出し、かつ選別を確かなものにし得ることを示す。
【0464】
実施例9
個々のナノ粒子上の生体分子のコピー数の判定
この実施例は、Auナノ粒子を内部標準として使用して、個々のナノ粒子上のバイオマーカーのコピー数を判定する方法について記載する。金ナノ粒子が使用されるのは、i)金ナノ粒子が異なるサイズで容易に入手可能で、検出チャネルでの所望のスパイク強度のカスタマイズおよびマッチングを可能にする、ii)後方反射信号により、任意のレーザ励起波長、したがって任意のカラーチャネルで金ナノ粒子の使用が可能になる、iii)金ナノ粒子は、サイズが均一であり、強い散乱を示し、これにより、検出される強度分布が最小限に抑えられ、較正が容易になり、定量化精度が向上する、iv)金ナノ粒子の表面は、自己凝集したり、チャネル表面に非特異的に付着したりしないように、PEGなどで容易に改質される、v)金ナノ粒子は、堅牢であり、長期間(数か月)の保管中でも劣化または凝集せず、およびvi)金ナノ粒子は、他のナノ粒子と比較して安価である、からである。
【0465】
装置が使用され、この装置は、単一色素分子感度と較正のための内部標準としてのAuナノ粒子の使用とを可能にするために、高開口数対物レンズに近接したマイクロ流体チップを含む。
図17Aは、単一色素分子からの蛍光と単一Auナノ粒子の後方散乱との高感度および高スループットの検出のためのライン共焦点検出システムを用いた単一分子流動プラットフォームを例示している。マイクロ流体チャネルは、2μm幅および75μm長の狭窄部を有するように製造された。サンプルの注入および流動のために、およそ1~2mmの直径を有する2つの穴が穿孔され、穴1は、およそ5μLのサンプルをロードするために使用され、穴2は、廃棄物排出口として空のままとされた。サンプルをロードする前に、チャネルは、最初にバッファで満たされ、その後に両方のリザーバ内の残留溶液が取り出されおよそ約5μLのサンプル溶液をピペッティングすると、2つのリザーバ間の液面の高さの差(およそ5~10mm)のために、外部ポンプなしで流動が容易に開始され、これにより操作が簡単になった。照明レーザラインの長さは、633nmレーザについて20μm付近であった(
図17A)。633nmのレーザラインは、チャネルの幅全体でレーザ照明が均一になるように、チャネルの幅の10倍超の長さとなるように作製され、これは、分子が異なる横方向位置でチャネルを通過する際に、検出感度の変動を最小限に抑えるために、単一分子のカウントにとって重要であった。405nmレーザは、より短く(~5μm)製造された。2つの照明レーザラインは、同一直線上にあり、狭窄部チャネルの6μm付近に位置決めされたが、レーザラインは、空間的に約5μm離隔するように位置決めされた他の実験も実行された。
【0466】
633nmおよび405nmレーザによって励起された蛍光を検出するために使用される2つのAPD検出器に加えて、生体ナノ粒子からの検出された光強度を較正するための内部標準として使用されるAuナノ粒子からの後方散乱光を検出するために、第3のAPDが使用される。
図17Bは、単一色素分子(ビオチン分子に付着されたAlexa647)の検出感度を示し、上部のトレースは、バッファのみであり、下部のトレースは、3つのビオチン-Alexa647分子の検出を示す。
【0467】
さらに、上記および
図17A~
図17Bに記載されるマイクロ流体チップおよび装置を使用して、個々のナノ粒子と会合した生体分子の数をカウントした(
図18)。この実施例は、個々のナノ粒子のバイオマーカーのコピー数を正確にカウントし、かつ単一のナノ粒子のレベルでのバイオマーカーのコピー数の差またはばらつきを調べる能力を示す。この実施例はまた、内部標準の既知の調製濃度に対して個々の生体ナノ粒子のハイスループットカウントを実行することによって、すなわち、生体ナノ粒子のスパイク頻度を既知の調製濃度の金ナノ粒子のスパイク頻度と比較することによってサンプルの濃度を正確に測定する機能を示す。生体ナノ粒子に存在するバイオマーカーの同一性に加えて、各生体ナノ粒子に存在する各バイオマーカーのコピー数に関する情報は、ナノ粒子の機能、同一性、および/または生物学的状態に関する重要な情報を提供する。
【0468】
実施例10
コーティングされた平面状の表面での生体ナノ粒子の捕捉
この実施例は、遠心分離を使用して、コーティングされた平面状の表面上に生物学的ナノ粒子を捕捉する方法について記載する(
図14)。
【0469】
平面状のガラスカバースリップは、非特異的な吸着耐性コーティングおよび捕捉分子で改質された。非特異的吸着耐性コーティングは、PEGを含み、捕捉分子は、ビオチン化抗体に結合し得るストレプトアビジンを含んでいた。改質されたガラスカバースリップは、高開口数(1.4の開口数)の蛍光撮像と適合性である厚さを有していた。改質されたガラスカバースリップは、ガラスカバースリップとの組み立ての前に、1cmサイズの穴が穿孔されたPDMSブロックに取り付けられた(
図14、工程1)。ガラスカバースリップとPDMSブロックとを組み立てた後、エポキシ接着剤が塗布され、組み立てられたデバイスを5分間一体に保持して、遠心力に耐えることができる強力な取り付けを確保し(
図14、工程2)、カバースリップウェルアセンブリを形成した。
【0470】
別途、1)エキソソームを捕捉するためのビオチン化抗ヒトCD63(5μg/ml)、および2)陰性対照として使用するためのビオチン化抗マウスIgG(2AB)(5μg/ml)、という2つの抗体溶液が調製された。改質されたカバースリップのウェルは、2つの抗体溶液のうちの一方と10分間インキュベートされ、それにより、ビオチン化抗体は、ストレプトアビジンに結合した(
図14、工程3)。ウェルの半分は、溶液1とインキュベートされ、ウェルの残りの半分は、溶液2とインキュベートされた。10分間のインキュベーションに続いて、ウェルが、バッファ溶液で洗浄された。
【0471】
精液エキソソームを含むサンプルが、処理されたストレプトアビジン-抗体-PEGによりコーティングされたカバースリップウェルの各々の中に添加され、改質されたカバースリップアセンブリが、スピン回転する平面デバイスまたは基板と適合性であるプレート遠心分離機上にロードされた(
図14、工程4)。潜在的な蒸発を防止するために、PDMSブロック中のウェルの開口部は、テープで閉じられた。他の実験では、蒸発を防止するためにサンプルの上部に鉱油(水より密度が低い)が添加された。次に、改質されたカバースリップアセンブリが、プレート遠心分離機内にロードされ(
図14、工程5)、2000gで10分間スピン回転された。未結合のエキソソームを除去するために、ウェルが、バッファ溶液で洗浄された。
【0472】
遠心分離されていない陰性対照として作用するように、第2の別個のカバースリップウェルアセンブリが、上記のように調製された。第2の改質されたカバースリップのウェルが、ビオチン化抗ヒトCD63(5μg/ml)溶液と10分間インキュベートされた。インキュベーションに続いて、ウェルが、バッファ溶液で洗浄された。精液エキソソームを含むサンプルがウェルに加えられ、ウェルが、テープで閉じられ、10分間静置させた。次に、未結合のエキソソームを除去するために、ウェルが、バッファ溶液で洗浄された。
【0473】
捕捉されたエキソソームを調べるために、捕捉されたエキソソームを含む改質されたカバーガラスが、撮像のために蛍光顕微鏡に移された(
図14、工程6)。改質されたカバースリップに結合したエキソソームが、分析された(
図15A~
図15B)。結合したエキソソームを検出するために、および捕捉されたエキソソームのサイズを判定するために、4μM FM 1-43脂質色素(最大励起波長は~480nm、最大発光波長は~570nm)が、改質されたカバースリップに添加され、5分間インキュベートされた。エキソソームに特異的な結合を有する追加の蛍光抗体も、添加され得る。捕捉されたエキソソームの画像は、蛍光顕微鏡法(488nmのレーザ励起および510~550nmの発光)を使用して撮影された(
図15A)。標識されたエキソソームの数が、カウントされ、集約された(
図15B)。遠心分離された陰性対照(すなわち、エキソソームに選択的に結合することはできないが、遠心分離されたビオチン化抗マウスIgG(2AB))は、遠心分離されたビオチン化抗ヒトCD63を含むサンプルと比較した場合に、少量の信号しか示さなかった。同様に、遠心分離されていない陰性対照(すなわち、遠心分離されなかったビオチン化抗ヒトCD63)は、遠心分離されたビオチン化抗ヒトCD63を含むサンプルと比較した場合に、少量の信号しか示さなかった。特異的な捕捉抗体(CD63に対するストレプトアビジン抗体)を遠心分離と併用すると、結果としてエキソソームの捕捉が増加する。
【0474】
実施例11
個々の小胞上の異なるタンパク質バイオマーカーの共局在の判定
この実施例は、異なるレーザ励起を使用して個々の小胞上の異なるバイオマーカーの共局在を判定し、および異なる蛍光プローブでタグ付けされた異なる抗体で標識された単一の小胞からの異なる色放出を検出する方法について記載する。
【0475】
装置が使用され、この装置は、単一分子感度を可能にするために、高開口数の対物レンズに近接したマイクロ流体チップを含む。この装置は、4つの異なるレーザ励起と、異なる色チャネルに対する各々が特定のレーザ励起に対応する、21個の異なるAPD(アバランシェフォトダイオード)検出器と、を有していた。
図19は、器具の光学レイアウトの概略図を示す。
【0476】
マイクロ流体チャネルは、他箇所では50μm幅および50μm高であるチャネルにおいて(すなわち、マイクロチャネルは、50μmの高さおよび50μmの幅を有していた)2μm幅、2μm高、および75μm長の狭窄部を有するように製造された。サンプルの注入および流動のために、およそ1~2mmの直径を有する2つの穴が穿孔され、穴1は、およそ5μLのサンプルをロードするために使用され、穴2は、廃棄物排出口として空のままとされた。サンプルをロードする前に、チャネルは最初にバッファで満たされ、その後に両方のリザーバ内の残留溶液が取り出された。およそ5μLのサンプル溶液をピペッティングすると、2つのリザーバ間の液面の高さの差(およそ5~10mm)のため、外部ポンプなしで流動が容易に開始された。
【0477】
小胞サンプルが、小胞上の2つの異なるタンパク質に対する2つの異なる色の抗体と共にインキュベートされた。インキュベーション後、小胞サンプルが、10,000倍に希釈され、次に、マイクロ流体チャネル内に導入された。希釈されたサンプルは、マイクロ流体チャネルに導入された。
図20Aは、小胞タンパク質VGLUT1に対するAlexa561タグ付き抗体からの検出信号時間トレースを示し、561nmのレーザ励起を使用して、Alexa561タグを励起した。
図20Bは、小胞タンパク質VATPaseに対するAlexa647タグ付き抗体からの検出信号時間トレースを示し、640nmのレーザ励起を使用して、Alexa647タグを励起した。これら2つのレーザ励起ラインは、空間的に互いにおよそ5μmだけオフセットされた。
【0478】
図20Cは、
図20Aおよび
図20Bに示される2つの色チャネルからの信号の共局在分析(相互相関プロット)を示す。相互相関分析が実行され、相互相関プロットが、次の相互相関関数に基づいて作成された。
【0479】
【0480】
したがって、この相互相関分析は、2つの時系列をシフトして、異なる遅延時間またはシフト時間τで2つの時系列間のオーバーラップを見い出す。
【0481】
両方の色チャネルで信号(光子スパイク)を放出する単一の小胞は、小胞上の両方の色抗体の存在、したがって、同じ小胞上の両方のタンパク質バイオマーカーの存在を報告する。個々の小胞上の異なるバイオマーカーの共局在を判定することにより、小胞の異なる亜集団の判定と、小胞の亜分類と、が可能になる。
【0482】
実施例12
個々の小胞上の異なるタンパク質バイオマーカーと膜色素との共局在の判定
この実施例は、個々の小胞上の膜色素を伴う異なるバイオマーカーの共局在を判定する方法について記載する。この方法は、多数のレーザ励起を使用し、異なる蛍光プローブでタグ付けされた様々な抗体で標識され、および膜色素でも標識された単一の小胞からの異なる色の放出を検出することによる。
【0483】
単一分子感度を可能にするために、高開口数の対物レンズに近接したマイクロ流体チップを含む装置が、使用された。
図19はこの装置を示し、装置は、4つの異なるレーザ励起と、異なる色チャネルに対する各々が特定のレーザ励起に対応する、21個の異なるAPD(アバランシェフォトダイオード)検出器と、を有していた。マイクロ流体チャネルは、他箇所では50μm幅および50μm高であるチャネルにおいて(すなわち、マイクロチャネルは、50μmの高さおよび50μmの幅を有していた)2μm幅、2μm高、および75μm長の狭窄部を有するように製造された。サンプルの注入および流動のために、およそ1~2mmの直径を有する2つの穴が穿孔され、穴1は、およそ5μLのサンプルをロードするために使用され、穴2は、廃棄物排出口として空のままとされた。サンプルをロードする前に、チャネルは最初にバッファで満たされ、その後に両方のリザーバ内の残留溶液が取り出された。およそ5μLのサンプル溶液をピペッティングすると、2つのリザーバ間の液面の高さの差(およそ5~10mm)のため、外部ポンプなしで流動が容易に開始された。
【0484】
精液エキソソーム小胞サンプルが、最初に抗体とインキュベートされた。インキュベーション後、遊離抗体が除去され、小胞サンプルが1,000倍に希釈され、次に、0.5μMのANEPPS(4-[2-[6-(ジオクチルアミノ)-2-ナフタレニル]エテニル]-1-(3-スルホプロピル)-ピリジニウム)膜色素で標識された。膜色素との2時間のインキュベーションの後、サンプルが、マイクロ流体チャネル内に導入された。
【0485】
希釈されたサンプルは、マイクロ流体チャネルに導入された。
図21Aは、ANEPPS標識されたエキソソームからの検出信号時間トレースを示し、488nmのレーザ励起を使用して、ANEPPSラベルを励起した。
図21Bは、エキソソームタンパク質CD63に対するAlexa647タグ付き抗体からの検出信号時間トレースを示し、640nmのレーザ励起を使用して、Alexa647タグを励起した。これら2つのレーザ励起ラインは、空間的に互いにおよそ15μmだけオフセットされた。
【0486】
図21Cは、
図21Aおよび
図21Bに示される2つの色チャネルからの信号の共局在分析(相互相関プロット)を示す。共局在のこの相互相関分析は、同じ小胞上の膜色素ANEPPSと抗CD63蛍光抗体との共局在を示す。
図20Dは、小胞(膜色素と共局在している)からの、およびサンプルから完全には除去されていない遊離抗体からの検出された抗体シグナルの画分を示し、共局在率は、23%であると計算された。小胞からの抗体シグナルを遊離抗体からの単一抗体シグナルによりデコンボリューションすることによって、単一小胞上の結合抗体のコピー数を得ることができた。
【0487】
両方の色チャネルで信号(光子スパイク)を放出する単一の小胞は、検出された抗体シグナルが小胞含有膜からのものであることを確認した。膜色素を伴う個々の小胞上の異なるバイオマーカーの共局在を判定することにより、小胞のサイズを有する異なるセットのバイオマーカーの存在の相関も可能になり、したがって小胞の異なる亜集団の判定と、小胞の亜分類と、が可能になる。膜色素の蛍光強度によって報告されるような小胞のサイズと共に、単一の小胞に結合した抗体からの蛍光強度を定量化することにより、小胞サイズの関数としての小胞バイオマーカー(例えば、CD63などの、小胞上の表面タンパク質)のコピー数の判定も可能になる。
【0488】
実施例13
個々の小胞上の異なるタンパク質バイオマーカーおよび体積色素の共局在の判定
この実施例は、異なるレーザ励起を使用し、かつ異なる蛍光プローブならびに体積色素でタグ付けされた異なる抗体で標識された単一の小胞からの異なる色の放出を検出することによって、体積色素を伴う異なるバイオマーカーの共局在を判定する方法について記載する。
【0489】
単一分子感度を可能にするために、高開口数の対物レンズに近接したマイクロ流体チップを含む装置が、使用された。
図19は、4つの異なるレーザ励起と21個の異なるAPD(アバランシェフォトダイオード)検出器とを有する、使用された装置の概略図を描示する。マイクロ流体チャネルは、2μm幅、2μm高、および75μm長の狭窄部を有するように製造された。サンプルの注入および流動のために、およそ1~2mmの直径を有する2つの穴が穿孔され、穴1は、およそ5μLのサンプルをロードするために使用され、穴2は、廃棄物排出口として空のままとされた。サンプルをロードする前に、チャネルは最初にバッファで満たされ、その後に両方のリザーバ内の残留溶液が取り出された。およそ5μLのサンプル溶液をピペッティングすると、2つのリザーバ間の液面の高さの差(およそ5~10mm)のため、外部ポンプなしで流動が容易に開始された。
【0490】
小胞サンプルが、最初に抗体と共にインキュベートされた。インキュベーション後、小胞サンプルは、50μMのオレゴングリーンジアセテートで、pH5のグリシン/クエン酸バッファ中で40分間標識された。ジアセテート基が加水分解される前は、オレゴングリーンは蛍光性でなかった。色素の加水分解を開始するために、サンプルは、pH=7.4のグリシン/HEPESバッファ内に移された。10分以内に、色素は、小胞内で蛍光性になった。次に、Amicon-100Kフィルタを使用して、小胞サンプルを濾過して溶液中の遊離色素を除去した。最初に、アミコンフィルタが、5000rpm、15分間の遠心分離を使用して、pH7.4の1%BSAでHEPES系生理食塩水で不動態化された。BSAは、フィルタ表面への小胞の非特異的結合を阻止した。
【0491】
サンプル精製後、適切に希釈された小胞サンプルが、マイクロ流体チャネル内に導入された。
図22Aは、オレゴングリーン体積色素からの検出信号時間トレースを示し、488nmのレーザ励起を使用して、オレゴングリーン色素を励起した。
図22Bは、Alexa647タグ付き抗体からの検出信号時間トレースを示し、640nmのレーザ励起を使用して、Alexa647タグを励起した。これら2つのレーザ励起ラインは、空間的に互いにおよそ15μmだけオフセットされた。
【0492】
図22Cは、
図22Aおよび
図22Bに示される2つの色チャネルからの信号の共局在分析(相互相関プロット)を示す。共局在の割合は、68%であると分析および計算された。体積色素を伴う個々の小胞上の異なるバイオマーカーの共局在を判定することにより、バイオマーカーの異なるセットの存在と、小胞の損傷していない膜結合ボリュームの存在および/またはサイズに関して報告する体積色素と、の相関が可能になり、したがって小胞の異なる亜集団と小胞の亜分類との判定が可能になる。小胞色素の蛍光強度によって報告されるような小胞の体積と共に、単一の小胞に結合した抗体からの蛍光強度を定量化することにより、小胞の損傷していないボリュームの関数としての小胞バイオマーカー(例えば、CD63またはSV2Aなどの、小胞上の表面タンパク質)のコピー数の判定も可能になる。
【0493】
実施例14
金ナノ粒子からの後方散乱光を使用することを含む、小胞タンパク質のコピー数の判定および共局在分析
この実施例は、内部標準として使用される金ナノ粒子からの後方散乱光を使用して、個々の小胞からの測定された蛍光強度を較正する方法について記載する。
【0494】
単一分子感度を可能にするために、高開口数の対物レンズに近接したマイクロ流体チップを含む装置が、使用された。
図19は、4つの異なるレーザ励起と21個の異なるAPD(アバランシェフォトダイオード)検出器とを有していた装置の概略図を描示する。マイクロ流体チャネルが、2μm幅、2μm高、および75μm長の狭窄部を有するように製造された。サンプルの注入および流動のために、およそ1~2mmの直径を有する2つの穴が穿孔され、穴1は、およそ5μLのサンプルをロードするために使用され、穴2は、廃棄物排出口として空のままとされた。サンプルをロードする前に、チャネルは最初にバッファで満たされ、その後に両方のリザーバ内の残留溶液が取り出された。およそ5μLのサンプル溶液をピペッティングすると、2つのリザーバ間の液面の高さの差(およそ5~10mm)のため、外部ポンプなしで流動が容易に開始された。
【0495】
精液のエキソソームサンプルが、最初にANEPPS(4-[2-[6-(ジオクチルアミノ)-2-ナフタレニル]エテニル]-1-(3-スルホプロピル)-ピリジニウム)膜色素とインキュベートされて、各エキソソームの膜をマークした後、およそ108粒子/mLの濃度のどの金ナノ粒子が精液のエキソソームサンプルに導入された。
【0496】
金ナノ粒子を含む精液エキソソーム小胞サンプルは、マイクロ流体チャネルに導入された。
図23Aは、膜色素ANEPPSからの検出信号時間トレースを示し、488nmでのレーザ励起を使用して、ANEPPS膜色素を励起した。
図23Bは、金ナノ粒子からの後方散乱光からの検出信号時間トレースを示し、4つの異なるレーザ(405nm、488nm、561nm、または640nm)のいずれかでのレーザ励起を使用することができた。
図23Bは、640nm波長レーザを使用した、金ナノ粒子の後方散乱光からの検出信号時間トレースを描示する。
【0497】
図23Cおよび
図23Dは、それぞれANEPPS標識されたエキソソーム(
図23C)および金ナノ粒子(
図23D)についての、検出された信号強度分布の例を示す。
図23Cは、膜色素標識小胞からの例示的な信号強度ヒストグラム(n=636イベント)を描示する。
図23Dは、同時に同じ実験で膜色素で標識されたエキソソームと共に測定された金ナノ粒子(n=538イベント)からの信号強度ヒストグラムの例を示す。内部強度標準として金ナノ粒子からの後方散乱光の検出および使用は、実行ごとまたはチップごとの測定変動を補正するように機能した。金ナノ粒子は、小胞サンプルと金ナノ粒子の既知の濃度との間のスパイク(検出された光子バースト)頻度を比較することによって、濃度標準としても機能することができ、サンプル中の小胞の濃度が判定され得る。
【0498】
実施例15
平面状の表面上の捕捉された小胞中の膜色素を伴うバイオマーカーの共局在およびコピー数の判定
この実施例は、平面状の表面上に捕捉された小胞上のバイオマーカーおよび膜色素の共局在の定量化および判定について記載する。
【0499】
精液のエキソソームサンプルが、最初に抗体(CD63に対する0.2μgのAlexa647タグ付き抗体)で30分間インキュベートされ、その後に、エキソソームサンプルは、0.1μMのANEPPS膜色素とさらに1時間インキュベートされた。
【0500】
精液のエキソソームサンプルは、改質されたカバースリップアセンブリのカバースリップウェルに添加され(
図14)、改質されたカバースリップアセンブリは、スピン回転する平面デバイスまたは基板と適合性であるプレート遠心分離機上にロードされた(
図14、工程4)。改質されたカバースリップアセンブリは、次に、プレート遠心分離機内にロードされ(
図14、工程5)、2000gで10分間スピン回転され、こうして、標識された精液エキソソームを平面状の表面上に捕捉した。未結合のエキソソームを除去するために、ウェルが、バッファ溶液で洗浄された。
【0501】
プレート表面は、蛍光撮像を使用して分析された。
図24Aは、488nmの光励起を使用してANEPPS膜色素を励起することによって可視化された、平面状の表面上の捕捉されたエキソソームの蛍光画像を示す。
図24Bは、ANEPPS膜色素からの3つの異なる測定強度によって報告されるように、3つの異なるサイズのエキソソームを示す挿入図を提供する((1)での最大強度は大きな小胞であり、(2)での中程度の強度は中サイズの小胞であり、および(3)での小さな検出強度は小さな小胞である)。
図24Cは、(640nmの光励起を使用して)Alexa647タグを励起することによって可視化された、捕捉されたエキソソームの蛍光画像を示し、ANEPPSによって報告されたような膜含有小胞のうちのいくつかが、Alexa647タグ付き抗体を共局在したことをさらに示す。
【0502】
この実施例は、異なるサイズの小胞上に存在する膜色素の信号および量、ならびに、膜色素の共局在、および小胞サイズとエキソソーム上のタンパク質バイオマーカーに対する抗体の存在との相関を定量化するための蛍光撮像の使用を示す。