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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】配管切断装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 39/14 20060101AFI20230907BHJP
   B23B 41/00 20060101ALI20230907BHJP
   B23B 47/18 20060101ALI20230907BHJP
   B23D 21/14 20060101ALI20230907BHJP
   F16L 55/18 20060101ALI20230907BHJP
   B23B 45/02 20060101ALN20230907BHJP
【FI】
B23B39/14
B23B41/00 E
B23B47/18 Z
B23D21/14 Z
F16L55/18 B
B23B45/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022024878
(22)【出願日】2022-02-21
(62)【分割の表示】P 2018161826の分割
【原出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2022078125
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】徳田 雅也
(72)【発明者】
【氏名】寺田 孝
(72)【発明者】
【氏名】西條 一樹
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-295727(JP,A)
【文献】中国実用新案第204299583(CN,U)
【文献】特開2002-098260(JP,A)
【文献】特開2003-083472(JP,A)
【文献】特開2003-129793(JP,A)
【文献】特開2003-056751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0036613(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0285635(US,A1)
【文献】米国特許第04505302(US,A)
【文献】米国特許第05207533(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 39/14
B23B 41/00
B23B 45/00、02
B23B 47/18
B23D 21/14
F16L 1/028
F16L 55/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護材に管状の給配管を挿通して形成される配管における前記給配管を管軸方向に切断する配管切断装置であって、
前記給配管を前記管軸方向に切断する切断刃と、該切断刃が設けられる円筒面と、を備える切断部を有し、
前記切断刃の高さは、前記給配管の肉厚よりも高く設定され、
前記給配管は、湾曲部分を有し、
前記切断部は、前記湾曲部分に収まるように構成され、かつ、前端から前記湾曲部分に沿って向きを変えるように構成されるとともに、前記円筒面が前記給配管の内径を支持した状態で前記給配管を切断する配管切断装置。
【請求項2】
前記切断部は、前端側から引っ張られることで、前端から前記湾曲部分に沿って向きを変えるように構成される請求項1に記載の配管切断装置。
【請求項3】
前記切断部は、前記円筒面の前側に前端が給配管の内径よりも小径とされるとともに後側に向かって拡大されたテーパ面を備え、
前記切断刃は、前記円筒面のみに配置される請求項1又は2に記載の配管切断装置。
【請求項4】
前記切断部は、前記円筒面の前側に前端が給配管の内径よりも小径とされるとともに後側に向かって拡大されたテーパ面を備え、
前記テーパ面の最大外径及び前記円筒面の外径は、前記給配管の内径よりも小さく構成される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配管切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の肉厚の一部を管軸方向で切除する配管切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、既設配管(埋設樹脂管)に、新たに設ける新配管(交換用樹脂管)を挿入するための切断刃が開示されている。この切断刃は、既設配管の内径を拡径する拡径装置に設けられている。拡径装置は、既設配管を拡径する本体部品と、本体部分の先にあるテーパ面と、テーパ面の前側にある複数の前記切断刃を備え、本体部品の後側に、新配管が連結されている。前記各切断刃は、既設配管に拡径用切込を形成するよう、既設配管の肉厚より小さく設定されている。
【0003】
特許文献1では、拡径装置を用いて、テーパ面の前側に配置した切断刃により、既設配管を管軸方向に沿い、且つ肉厚を途中まで切除して拡径用切込を形成し、新配管を既設配管に挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-184996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、テーパ面の前側に配置した切断刃により既設配管に拡径用切込を形成し、本体部分で既設配管の内径を拡径する。しかしながら、既設配管に対するテーパ面のあたり方(傾斜方向)によっては、拡径用切込が切断不良となる。
【0006】
そこで本発明は、配管の内径を確実に切断できる配管切断装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、保護材に管状の給配管を挿通して形成される配管における前記給配管を管軸方向に切断する配管切断装置であって、前記給配管を前記管軸方向に切断する切断刃と、該切断刃が設けられる円筒面と、を備える切断部を有し、前記切断刃の高さは、前記給配管の肉厚よりも高く設定され、前記給配管は、湾曲部分を有し、前記切断部は、前記湾曲部分に収まるように構成され、かつ、前端から前記湾曲部分に沿って向きを変えるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
また、前記切断部は、前端側から引っ張られることで、前端から前記湾曲部分に沿って向きを変えるように構成することもできる。
【0009】
また、前記切断部は、前記円筒面の前側に前端が給配管の内径よりも小径とされるとともに後側に向かって拡大されたテーパ面を備え、前記切断刃は、前記円筒面のみに配置されることもできる。
【0010】
また、前記テーパ面の最大外径及び前記円筒面の外径は、前記給配管の内径よりも小さく構成されることもできる。
【0011】
また、前記切断部は、前記円筒面が前記配管の内径を支持した状態で前記給配管を切断することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の配管切断装置によれば、配管の内径を確実に切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態を表す住宅内の給水、給湯配管の概略図である。
図2】同給湯配管の給湯路が切削された状態の断面図である。
図3】同入口加工工程の施工状態を表す断面図である。
図4】同入口加工装置の詳細図である。
図5】同本削り工程の施工状態を表し、(a)は索体を出口から入口まで継手を挿通した状態の断面図、(b)は第二切削部を段付面まで挿入した状態の断面図、(c)は第二切削部を出口まで挿通した状態の断面図である。
図6】同第二切削部を設けた入口側装置の詳細図である。
図7】同継手の詳細図である。
図8】同本削り工程での湾曲部分の施工状態を表す断面図である。
図9】同切断工程の施工状態を表し、(a)は切断部を入口と出口の管軸方向の途中位置まで挿通した状態の断面図、(b)は切断部を出口まで挿通した状態の断面図である。
図10】同切断部の詳細図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図11】同切断工程での湾曲部分の施工状態を表す断面図である。
図12】同切断工程において給湯路の一部を切断した状態の正面図である。
図13】同挿入工程の施工状態を表し、(a)は中継部材を入口から入れる前の断面図、(b)は新配管を給湯路に挿入した状態の断面図である。
図14】同中継部材に新配管を挿入した状態の断面図である。
図15】同中継部材の詳細図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図16】同中継部材の斜視図である。
図17】同挿入工程での湾曲部分の施工状態を表す断面図である。
図18】同別の実施形態を示す入口側装置と出口側装置の説明図である。
図19】同別の実施形態を示す本削り工程の説明図であり、(a)は管側継手を給湯路に接続し、杆側継手を杆本体に接続した状態の断面図、(b)は第二切削部を給湯路に挿入した状態の断面図、(c)は除去手段を接続した状態の断面図である。
図20】同別の実施形態を示す湾曲部矯正工程の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る配管の施工方法を、既設配管に対し新たなフレシキブ
ルな新配管を挿入する場合について、図面を参照して説明する。この施工方法は、給水配管、給湯配管の改良工法である。はじめに、一般的な家屋に用いられる給水配管、給湯配管の概略について説明する。
【0015】
図1に示すように、一般的に、家屋における給湯配管1および給水配管2は、床面3によって管軸方向Lの少なくとも途中部分が覆われている。管軸方向Lは、給湯配管1ないし給水配管2の軸中心に沿う方向である。また、管軸方向Lの入口4から出口5が、床面3から露出され、給湯配管1の入口4は給湯機にヘッダー部材6を介して接続され、出口5は、例えば浴室の水栓7に接続されている。
【0016】
給湯配管1および給水配管2については同様の構成であるので、給湯配管1を給水配管2に兼用して説明すると、給湯配管1は、断熱材9(保護材)に、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、あるいはアルミ三層管等の給湯路10(給配管)を挿通して形成される。また、給湯配管1は、床面3の下側に配置されたスラブ3a等に、管軸方向Lにおいて所定間隔で、強固に固定されている。
【0017】
本実施形態は、給湯配管1について説明する。本実施形態は、既設配管である給湯配管1の内部に、新たな新配管11(図13参照)を、管軸方向Lに沿って設置する配管の施工方法である。
【0018】
管軸方向Lとは、給湯配管1の軸方向に沿った方向であり、新配管11もまた、給湯配管1の管軸方向Lに沿って挿入される。新配管11は、新たな給湯配管1となる。この施工方法は、基本的には、給配管としての給湯路10に、新配管11を挿入することで、新配管11を新たな給湯配管1(新配管)とする。新配管11は、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、フレキシブル金属管等により形成されており、フレシキブルな配管である。給湯路10において入口4および出口5は、入口4を後方、出口5を前方として特定する。
【0019】
本実施形態に係る配管の施工方法を具体的に説明すると、
(1)管軸方向Lの入口4から出口5までの給湯路10の内径φ1を、新配管11の外径φ3に応じて切削具(この場合、図4に示す第一切削部12、図6に示す第二切削部26)により切削することで拡大する拡径工程、
(2)給湯路10における管軸方向Lを、切断部(この場合、図10に示す配管切断装置56)により切断する切断工程、
(3)拡径工程により内径φ1を拡大された給湯路10に、新配管11を、挿入具(この場合、図14に示す配管挿入口64)により、出口5から引張って挿入する挿入工程、
とを備えている。
【0020】
この施工方法では、断熱材9および給湯路10は断面円形であり、図2に示すように、給湯路10の外径φ3が13mmであり、給湯路10の内径φ1が10mmである。そして、新配管11も断面円形であり、図14に示すように、その外径φ3が13mm、内径φ1が10mmである。
【0021】
前述の(1)の拡径工程について、さらに詳述する。(1)の拡径工程は、取外し工程と、入口加工工程と、本削り工程とを順に備えている。
【0022】
〔取外し工程〕
取外し工程は、図1に示すように、一本の給湯配管1につき、該給湯配管1のうち床面3に露出されている領域を、自由端とする工程である。
【0023】
取外し工程の施工方法は、ヘッダー部材6から給湯配管1の一端部(入口側端部)を外して入口4とし、水栓7から給湯配管1の他端部(出口側端部)を外して出口5とし、直線状および曲線状(例えば図8の湾曲部分55)の領域を含む一本の断熱材9と給湯路10とすることで、入口4および出口5を自由端とする。
【0024】
この取外し工程では、給湯配管1における途中部分は、前述のようにスラブ3aに強固に固定されたままであり、したがって直線状および曲線状の領域を含む給湯配管1(断熱材9および給湯路10)が残存している。
【0025】
〔入口加工工程〕
入口加工工程は、図1および図2に示すように、給湯配管1において、給湯路10の入口4をスタートとして、給湯路10の内径φ1を削る工程である。入口加工工程では、給湯路10の入口4側の内径φ1を削るには、図3および図4に示すように、管軸方向Lの中心回りに回転する第一切削部12を備えた入口加工装置13が用いられる。
【0026】
入口加工工程では、図5を用いて後述するところの本削り工程で使用される第二切削部26を挿入可能な分だけ、給湯路10の内径φ1を削る。
【0027】
図3に示すように、入口加工工程で使用される入口加工装置13(「ボーリングバー」とも称する)の構成について述べる。図3図4に示すように、入口加工装置13は、電動工具(駆動部)14の先端に着脱自在な第一把手15と、第一把手15の先端側に配置された前記第一切削部12と、第一把手15と第一切削部12とを連結する第一連結部16とを備えている。
【0028】
図4に示すように、電動工具14については一般的な構成であって、インパクトドライバ形式であり、その電動工具14の本体17は、その先端に第一把手15を連結させて、第一切削部12を管軸方向Lが回転中心となるように回転させる。
【0029】
入口加工装置13における第一把手15は、電動工具14の先端形状に対し相対形状に形成され、電動工具14の先端に固定される。第一把手15は、管軸方向Lに沿うよう電動工具14の把持に耐え得る管軸方向Lの長さに形成されている。また、第一把手15の外径は、給湯路10の内径φ1より小径のほうが望ましい。
【0030】
図4に示すように、入口加工装置13における第一切削部12は、第一刃面18と、複数の第一切削刃19とから構成されている。各第一切削刃19は、第一刃面18の外周にキーシートカッタ形状の刃部として一体的に構成されている。
【0031】
第一切削刃19の先端側は、第一テーパ面20である。すなわち、第一切削刃19の先端は第一刃面18と同径であり給湯路10の内径φ1よりも小断面であり、且つ後端は給湯路10の内径φ1より大とされて、前記第一テーパ面20とされている。各第一切削刃19における第一テーパ面20の後部の外径は、給湯路10の内径φ1より大きな第一大径面21とされている。また、第一大径面21の外径は、給湯路10の外径φ3よりも小さく設定されている。各第一大径面21の先端刃面は、管軸方向Lに平行である。
【0032】
第一切削刃19の後端部には、一方側ばね座22aが設けられている。一方側ばね座22aは、先端に設けられたねじ19aを、第一切削部12の径方向中心に形成されたねじ孔19bに螺合により固定されている。一方側ばね座22aは円形断面であり、その外径は、第一大径部21(給湯路10の内径φ1)よりも小さく設定されている。第一把手15の先端(他端)には、他方側ばね座23aが設けられている。他方側ばね座23aは、第一把手15の先端を抉るように設けられている。他方側ばね座23aは、円形断面でありその外径が第一大径部21(給湯路10の内径φ1)よりも小さく設定されている。
【0033】
入口加工装置13の第一連結部16は、自然状態において直線状のねじりコイルばねから構成される。第一連結部16の先端は、一方側ばね座22aに内嵌してかしめることで、第一連結部16の先端は一方側ばね座22aに非回転に嵌合支持されている。第一連結部16の他端は、他方側ばね座23aに内嵌してかしめることで、第一連結部16の他端は他方側ばね座23aに非回転に嵌合支持されている。また、第一連結部16は、一方側ばね座22aと他方側ばね座23aとの間で露出されてフリーであるから、一方側ばね座22aと他方側ばね座23aとの間で可撓性を有する。なお、第一連結部16は、一方側ばね座22aおよび他方側ばね座23aの径よりも小径に形成されている。
【0034】
このような構成の入口加工装置13を用いた入口加工工程の施工方法について述べる。入口加工工程では、作業者は、電動工具14の先端に入口加工装置13の第一把手15を把持することで、入口加工装置13を電動工具14に支持させ、給湯路10の入口4に、第一切削部12における第一切削刃19の第一テーパ面20を嵌合させる。
【0035】
第一切削刃19の第一テーパ面20の先端は、給湯路10の内径φ1よりも小さく設定されており、第一テーパ面20の後部の外径は、給湯路10の内径φ1より大きくされているから、第一切削刃19は第一テーパ面20において、給湯路10の入口4に確実に嵌めることができる。
【0036】
このようにして、作業者は電動工具14の本体17を回転させ、第一把手15および第一連結部16を介して第一切削部12を押す。作業者が入口加工装置13全体を押すと、入口加工装置13の第一把手15は電動工具14に支持され、第一連結部16は、一方側ばね座22aおよび他方側ばね座23aに支持されているから、本体17の駆動により入口加工装置13全体が管軸方向Lを回転中心として回転し、管軸方向Lに沿って出口5側へ進む。
【0037】
第一切削部12が回転すると、図3に示すように、第一切削刃19の第一テーパ面20が管軸方向Lにガイドされ、給湯路10の内径φ1より大きな第一大径面21で、給湯路10の外径φ3よりも小さい第一大径面21により、給湯路10が外側の肉厚を残して削られる。また、第一大径面21はキーシートカッタ形状の刃部であり、このため、給湯路10の内径がスムーズに切削される。
【0038】
前述したように、入口加工装置13を管軸方向Lに押す区間は、後述する、本削り工程で使用される第二切削部26を挿入可能な分だけであり、この区間において入口加工装置13によって、給湯路10の内径φ1が切削される。入口加工装置13を管軸方向Lに押す区間は、第一把手15が給湯路10に入らない区間でよい。
【0039】
また、一方側ばね座22aの外径は、給湯路10の内径φ1よりも小さく設定されているから、入口加工装置13を押すあいだに、一方側ばね座22aが給湯路10に衝突することもない。また、第一連結部16の外径は、一方側ばね座22aおよび他方側ばね座23aの外径よりも小径に形成されているから、入口加工装置13を押すあいだに、第一連結部16が給湯路10に衝突することもない。
【0040】
前述のように、第一切削部12が回転して、第一テーパ面20の内径φ1より大きな第一大径面21により、給湯路10が外側の肉厚を残して削られる。具体的には、第一大径面21は、給湯路10の内径φ1を略0.5から1.0mm(図2のδで表している)だけ残すようにして削られる。これによって、内径φ1は、本来の内径φ1(既設配管の内径φ1)よりも大きな内径φ2となる。
【0041】
その後は、電動工具14を引いて、入口加工装置13を給湯路10の入口4から取外し、入口加工工程を終了する。入口加工工程が終了した際には、給湯路10の入口加工した領域の先端には、第一テーパ面20に依る段付面25が形成される。この入口加工工程によって、給湯路10の入口4を含めた所定箇所の給湯路10の内径が、内径φ1から内径φ2に加工される。
【0042】
〔本削り工程〕
本削り工程は、入口加工工程によって、給湯路10における入口4を含む加工領域の内径φ2が加工されている状態において、前記段付面25を含めて、入口4から出口5に亘って、給湯路10の内径φ1を、内径φ2に削る工程である。図5に示すように、本削り工程には、前記第二切削部26を備えた、配管切削装置27が用いられる。
【0043】
配管切削装置27の構成を説明する。図5に示すように、配管切削装置27は、入口4から挿入される入口側装置28と、出口5から挿入される出口側装置29とを備える。
【0044】
図5(b)(c)、図6に示すように、入口側装置28は、フレキシブルシャフト30と、フレキシブルシャフト30の先端に設けられた第二切削部26とを備える。なお、第二切削部26を駆動する装置としては、電動工具14(図3参照)を備える。図5(a)、図7に示すように、出口側装置29は、索体31(ワイヤが用いられる)および継手33を備える。索体31の外径は、給湯路10の内径φ1に対して充分小さく形成されている。なお、索体31を牽引する装置として牽引部32を配置しており、図5(c)に示すように、牽引部32としてウィンチが用いられている。牽引部32は、索体31を巻掛け自在に保持している。
【0045】
図6に示すように、入口側装置28において、第二切削部26は、概要すればその外郭形状は、入口加工装置13における第一切削部12(図4参照)と同様の構成である。第二切削部26は、第二刃面35と、複数の第二切削刃36とから構成されている。各第二切削刃36は、第二刃面35の外周にキーシートカッタ形状の刃部として一体的に構成されている。
【0046】
第二切削刃36の先端側は、第二テーパ面37である。第二テーパ面37の第二切削刃36の先端は、第二刃面35と同径であり給湯路10の内径φ1よりも小断面であり、且つ後端は給湯路10の内径φ1より大とされて、前記第二テーパ面37とされている。各第二切削刃36における第二テーパ面37の後部の外径は、給湯路10の内径φ1より大きな第二大径面38とされ、第二大径面38の外径は、給湯路10の外径φ3よりも小さく設定されている。各第二大径面38の先端刃面は、管軸方向Lに平行である。
【0047】
第二切削部26には、一方側ばね座22bが連結されている。一方側ばね座22bは、筒状の側面22cと、断面円形の底面22dと、ねじ36aを有している。第二連結部43(伝達軸部に相当する)の一方側は、一方側ばね座22bの側面22cに内嵌され、側面22cをかしめて第二連結部43に一体化されている。ねじ36aは、底面22dの径方向中心の先端に形成されている。第二切削部26の他方側の径方向中心には、前記ねじ36aを螺合するねじ孔36bが形成されている。また、第二切削部26の一方側の径方向中心には、継手33を取付けるためのねじ孔40aが形成されている。
【0048】
図5(b)(c)に示すように、入口側装置28のフレキシブルシャフト30は、前述の電動工具14(図3参照)の先端に着脱自在な第二把手41と、図8に示すように、第二把手41と同心に設けられた軸受装置(駆動本体)42と、一方側ばね座22bに一方側が支持され、軸受装置42の内部に嵌合された他方側ばね座23bに支持された第二連結部43と、第二連結部43の一部を外側から覆う杆状部材44とから構成されている。第二連結部43は、ねじりコイルばねから構成され、可撓性を有する。
【0049】
第二把手41は、電動工具14の先端形状に対し相対形状に形成され、電動工具14の先端に固定される。軸受装置42は、該軸受装置42の外側に配置された支持装置45(軸受装置42の外殻に相当する)に対して、第二把手41を回転自在に支持させる。支持装置45は、作業者の手指によって支持されるものである。この支持装置45は、互いに内部を連通された大径部45aと小径部45bとが、ねじ(符号省略)によって前後方向に配置され、小径部45bが前方に配置されている。第二把手41は、大径部45aの径方向中心から、支持装置45の内部に挿入される。
【0050】
支持装置45の管軸方向Lの中間領域に、第二連結部43の他端を支持する前記他方側ばね座23bを備える。他方側ばね座23bは、第二連結部43の他方側部分を内嵌して、かしめによって一体化させる部分であり、筒状の側面23cと断面円形の底面23dから構成される。第二把手41と他方側ばね座23bは、管軸方向Lに平行である。第二把手41における支持装置45の内部領域と、他方側ばね座23bの底面23dとは、管軸方向Lにおいて強固に接合されている。
【0051】
第二把手41における支持装置45の内部領域の構造は、その内部に滑り軸受(符号省略)を介して、管軸方向Lを回転中心として回転する構成である。すなわち、支持装置45と第二把手41における支持装置45の内部領域は、相対回転をするものである。したがって、第二把手41における支持装置45の内部領域と、他方側ばね座23bの底面23dとは、管軸方向Lにおいて強固に接合されていることから、第二把手41が回転することで、他方側ばね座23bも回転する。
【0052】
杆状部材44は、他方側ばね座23bから前方に延長されて、第二連結部43の管軸方向Lを途中部分で覆う杆本体47と、杆本体47の開口部を閉じる蓋体48と、蓋体48の前側に配置された支持部材49とを備える。これら杆本体47、蓋体48および支持部材49は、断面が円形に形成されている。
【0053】
杆本体47の外径は、給湯路10の内径φ1よりも小さく形成され、蓋体48の外径は、第二切削部26の第二大径面38の外径よりも小さく設定されている。杆本体47の材質は、可撓性を有する材質から構成される。杆本体47の基端部は、支持装置45の小径部45bに対して内嵌され、小径部45bに径方向で強固に接合されている。第二連結部43の管軸方向Lは、杆本体47に遊嵌されている。
【0054】
図6図8に示すように、蓋体48は、杆本体47の先端に外嵌するよう接合する側部48aと、側部48aの端部において第二連結部43の径方向に一体的に形成される底部48bとを有している。底部48bには、第二連結部43を遊嵌する挿通する孔(符号省略)が形成されている。第二連結部43は、支持部材49に内嵌され、支持部材49をかしめて第二連結部43の途中が挿通されることで、第二連結部43の管軸方向Lの途中部分は、支持部材49に一体化されている。支持部材49は、蓋体48の底部48bに離着座可能に設けられている。なお、杆本体47の管軸方向Lの長さは、施工しようとする給湯配管1の管軸方向Lの略長さ分である。
【0055】
このような構成により、第二把手41が回転することで、他方側ばね座23b、第二連結部43、支持部材49、および一方側ばね座22bが回転する。なお、第二把手41が回転しても、支持装置45、および杆本体47は相対回転をする(回転しない)。
【0056】
第二切削部26の他方側の径方向中心のねじ孔36bにねじ36aが螺合すると、一方
側ばね座22bと第二切削部26が一体化され、第二連結部43が回転することによって、第二切削部26が回転する。また、第二連結部43は、他方側ばね座23bから支持部材49により支持され、支持部材49から一方側ばね座22bに支持されており、第二連結部43の途中部分において、支持部材49一方側ばね座22bに至る部分は、露出している。この露出している第二連結部43では、支持部材49が、蓋体48の底部48bに離着座可能に設けられていることで、第二連結部43は、杆本体47への後退を防止された状態にある。
【0057】
図5(a)(b)(c)および図7に示すように、出口5から挿入される出口側装置29を備えている。出口側装置29は、索体31と継手33を備えている。継手33は、索体31を支持する継手本体50と軸受53(ころがり軸受)を備える。図7に示すように、継手本体50は、索体31の先端取付部34を取付ける支持部51と、支持部51に対して大径とされた回転体取付部52とを備える。支持部51および回転体取付部52は、ともに円筒状に形成されている。回転体取付部52の外径は、給湯路10の内径φ1よりも小さく形成される。
【0058】
先端取付部34が支持部51に内嵌し、かしめられて一体化されている。回転体取付部52の先端には、その先端部を外輪として軸受53が配置され、軸受53には、内輪として回転体54が配置されている。また、回転体54を位置するねじ部材53aが、回転体54の内部(回転体取付部52の内部)からねじこまれている。回転体54は、軸受53の軸心(先端取付部34の軸心)を中心に回転する。回転体54は、先端に形成された円柱状の回転子54aを備え、第二切削部26の径方向中心の一方側に形成されたねじ孔40aに螺合する。
【0059】
本削り工程の施工方法について述べる。まず、作業者は、図7に示すように、索体31の先端取付部34を取付けた継手33である出口側装置29を準備して、これを、図5(a)で示すように、出口5から給湯配管1の入口4側へ向けて挿通する。これに関して、回転体取付部52の外径は、給湯路10の内径φ1よりも小さく形成されているから、継手33を給湯配管1の出口4から入口4に挿通することができる。
【0060】
また作業者は、入口側装置28の第二切削部26において、ねじ孔40aに、回転体54の回転子54aを螺合させる。続いて、入口側装置28のフレキシブルシャフト30において、一方側ばね座22b側のねじ36aを第二切削部26のねじ孔36bに螺合させる。これにより、入口側装置28と出口側装置29とが一体化される。続いて作業者は、索体31を出口5から引張り、入口側装置28の第二切削部26、第二連結部43、支持部材49、杆状部材44(杆本体47)の一部を、給湯路10の入口4から、給湯路10に挿入させる。
【0061】
このとき、入口加工工程によって給湯路10の入口加工領域の内径φ1が削られて内径φ2となっているから、第二切削部26は、給湯路10に円滑に入る。また、一方側ばね座22b、および第二連結部43の外径は、給湯路10の内径φ1に比べて小さいから、給湯路10に円滑に入る。さらに、杆状部材44において、蓋体48および杆本体47の外径は内径φ2よりも小さく設定されているため、給湯路10に円滑に入る。
【0062】
第二切削部26を給湯路10に挿入する場合、第二切削部26は、入口加工工程が終了した際に形成されている給湯路10の入口加工領域の先端の段付面25まで挿入する。このような段付面25では、第一切削部12の形状は第二切削部26の形状と同等となるから、第二切削部26の位置決めがし易い(図5(b)参照)。
【0063】
このようにして、給湯路10に対して第二切削部26を位置決めした後は、出口5側に
牽引部32を準備し、牽引部32により牽引される索体31の基端を巻掛ける。また、電動工具14の先端を第二把手41に取付ける。このようにして、牽引部32、電動工具14の駆動を行い、第二切削部26で、段付面25以降の給湯路10の内径φ1を切削し始める。なお、作業者は、軸受装置42の支持装置45を把持することで、電動工具14を把持しやすい。
【0064】
電動工具14の本体17に第二連結部43を介して連結されている第二切削部26は、管軸方向Lを回転中心として回転をし、索体31を介して牽引部32により引かれる。さらに、第二把手41は電動工具14に支持され、第二連結部43は、一方側ばね座22bおよび他方側ばね座23bに、かしめによって支持され、他方側ばね座23bと第二把手41における支持装置45の内部領域とは接合されているから、本体17の駆動により第二切削部26が、管軸方向Lを回転中心として回転する。また、杆状部材44がガイドとなって、第二連結部43が回転する際の反動を抑えることができる。
【0065】
第二切削部26が回転すると、第二切削刃36が第二テーパ面37にガイドされて、第二テーパ面37より大きく、給湯路10の外径φ3よりも小さく設定された第二大径面38により、給湯路10が外側の肉厚(0.5から1.0mm)を残して切削される。このとき、第二大径面38はキーシートカッタ形状の刃部であり、したがって、給湯路10の内径がスムーズに切削される。
【0066】
なお、本削り工程の施工の際には、第二切削部26は、出口5側に押圧してもよい。しかしながら、第二切削部26を出口5へ向けて押すのではなく、出口5から引張るように挿入するから、第二切削部26を容易に移動させ易い。そして、牽引部32は、出口5側へ向けて前方(入口4側から出口5側)に延びる索体31を介して第二切削部26を牽引する。すなわち、第二切削部26を、管軸方向Lを回転中心として回転させて、出口5から引張って削るから、第二切削部26を出口5へ向けて押すよりも、第二切削部26を容易に出口側へ移動させ易く、しかも確実に給湯路10の内径φ1を削り取ることができる。
【0067】
特に、索体31は、第二切削部26の先端部を引張るので、索体31が進む方向に第二切削部26が向きをかえながら誘導される。このため、第二切削部26は、内径を確実に切削しながら、管軸方向Lに移動させることができる。
【0068】
ところで、第二切削部26の回転は、継手33によって、牽引部32に伝達されることを防止している。すなわち、先端取付部34が、支持部51にかしめられて一体化されているが、回転体取付部52の先端には、その先端部を外輪として軸受53が配置され、軸受53には、内輪として回転体54が配置され、回転体54は、軸受53の軸心(先端取付部34の軸心)を中心に回転するよう先端に回転子54aを備え、回転子54aは、第二切削部26の径方向中心の一方側に形成されたねじ孔40aに螺合する。このため、電動工具14の駆動力は、第二連結部43、第二切削部26を駆動するが、軸受53が転動することで、電動工具14の駆動力として索体31を回転させることはなく、索体31の回転には影響されない。
【0069】
図5(c)に示すように、索体31を介して牽引部32で第二切削部26を出口5へ向けて誘導し、第二切削部26が出口5から出た時点で、給湯路10の内径φ1が内径φ2となり、拡径状態となる。また、第二切削部26が出口5から出た時点で、電動工具14の駆動を止め、牽引部32の駆動を止める。そして、回転子54aを第二切削部26のねじ孔40aから外し、一方側ばね座22a側に形成されたねじ36aを、第二切削部26のねじ孔36bを外して、入口側装置28を入口4側へ引張り、本削り工程を終了する。
【0070】
なお、杆本体47の管軸方向Lの長さは、施工しようとする給湯配管1の管軸方向Lの略長さ分であるから、施工しようとする給湯路10に、支持装置45を入口4から挿入する必要はない。
【0071】
ところで、一本の給湯路10(給湯配管1)の途上には、図8に示すように、湾曲する湾曲部分55が存在することが一般的であり、本削り工程の際にもまた、入口側装置28が用いられる。
【0072】
図8に、湾曲部分55での、配管切削装置27(入口側装置28、出口側装置29)の状況を示す。給湯路10に湾曲部分55があり、継手33が索体31に引張られると、継手33の回転体取付部52の外径は、給湯路10の内径φ1よりも小さく形成されることから、継手33を湾曲部分55に挿通し易い。また、第二連結部43は可撓性を有しており、支持部材49から一方側ばね座22bまでは露出していても、支持部材49から一方側ばね座22bに支持されており、支持部材49は、蓋体48の底部48bに離着座可能に設けられているから、湾曲部分55の曲率に応じ、第二切削部26が継手33の牽引に応じて撓むことができる。このため、第二切削部26の管軸方向Lを回転中心とする駆動は、電動工具14の本体17によって、安定して行うことができる。
【0073】
また、索体31で第二切削部26の先端を引張って誘導するため、第二切削部26は、湾曲部分55の湾曲に応じて、索体31に引かれるように向きを変えながら進む。このため、第二切削部26が湾曲部分55にあっても、円滑に進んで内径φ1を切削できる。
【0074】
拡径工程では、新配管11の外径φ3に応じ、給湯路10の内径φ1を内径φ2とするよう、第一切削部12、第二切削部26により削って行く。このため、給湯路10の直線部分はもとより、給湯路10に湾曲部分55が存在しても、新配管11の外径φ3に応じた厚み分が給湯路10から切除される。
【0075】
〔切断工程〕
次に(2)に示した、給湯配管1における管軸方向Lの肉厚を切断する、切断工程について説明する。この切断工程は、前記(1)の拡径工程によって内径φ1を内径φ2とされた給湯路10に対して、管軸方向Lの肉厚を切断する工程である。ここで、図9図12を参照して、給湯路10を切断する配管切断装置56の構成を述べる。
【0076】
図9(a)(b)に示すように、配管切断装置56は、索体31および牽引部32と、図10(a)(b)に示すように、切断部57とを備える。索体31および牽引部32の構成を説明すると、索体31および牽引部32は、拡径工程で用いられたものと同様である。すなわち、索体31の先端取付部34を内嵌してかしめられた、支持体58aが設けられている。この支持体58aの先端には、前方方向に向けてねじ58bが設けられている。
【0077】
図10(a)に示すように、切断部57は、ガイド部58と、ガイド部58の後側に配置される支持部59と、支持部59から外向きに配置された切断刃62とを備える。同図に示すように、ガイド部58の前端は、給湯路10の内径φ2より小径とされ、後端も内径φ2より小径とされる円錐台状のテーパ面60を有する。
【0078】
また、ガイド部58の後側に支持部59が一体的に形成されて、ガイド部58とテーパ面60とが連続している。このテーパ面60における最大径は、給湯路10の内径φ2より、わずかに小さく設定されている。すなわち、支持部59の支持面61もまた、給湯路10の内径φ2より、わずかに小さく設定されている。ガイド部58の先には、支持体58aのねじ58bを取付ける部分として、ねじ孔40bが形成されている。また、支持体
58aの外径は、テーパ面60の最小径と同等である。
【0079】
切断刃62は、給湯路10の肉厚より径方向の高さ(刃の高さ)が大きく、支持部59から外向きに配置され、切断刃62は前方向に尖がっている。切断刃62は加工上の都合から、切断刃62の基部は支持部59に埋設されている。この切断刃62は、支持面61から一箇所だけ突設されている。
【0080】
切断工程の施工方法について述べる。作業者は、出口5側に牽引部32を準備し、牽引部32における索体31を解いて、索体31を出口5から入口4へ向けて挿通する。また、作業者は、入口4側に切断部57を準備し、索体31をかしめた支持体58aのねじ58bをねじ孔40bに螺合して、切断部57を索体31に一体化させる(図9(a)、図10(a)参照)。
【0081】
そして、図10(a)に示すように、牽引部32の駆動により索体31を介して、給湯路10の内部に、切断部57を入れる。このとき、ガイド部58の前端は給湯路10の内径φ2より小径とされているから、ガイド部58は、給湯路10内に円滑に入る。また、支持面61は、給湯路10の内径φ2に対し、わずかに小径とされており、牽引部32の駆動によって支持面61は給湯路10内に入る。そして、切断刃62は、給湯路10の肉厚より径方向が大きく、支持部59から外向きに配置されているから、給湯路10における入口4に、切断刃62が当接する。なお、入口4の端部における切断刃62の位置は、給湯路10において、何れの方向であるかを問わない。
【0082】
さらに牽引部32を駆動し、索体31を牽引すると、切断部57が支持部59ごと給湯路10に入る。これにより、給湯路10の肉厚が、切断刃62を挿入することで、給湯路10は、図9(b)および図12で示すように、管軸方向Lの両端面63で切断される。
【0083】
切断工程の施工方法の際、給湯路10の内径φ2が、ガイド部58においてテーパ面60でガイドされて、支持部59の支持面61で支持された状態とされている。そして、支持面61の外径は、給湯路10の内径φ2よりも、わずかに小さく形成されている。このため、給湯路10の内径φ2の支持に際し、安定性が維持され、切断刃62が給湯路10の肉厚を円滑に切断することができる。支持面61の外径が内径φ2と等しいか、またはわずかに大きい場合にでも、内径φ2をわずかに拡径させて支持した状態で切断刃62で切断する。
【0084】
しかも、支持体58aには索体31が取付けられており、ガイド部58は、出口5へ向けて押すのではなく、索体31を介して出口5から引張るように挿入される。このように、テーパ面60を押すのではなく、索体31によってテーパ面60の先端が引張られて誘導されるため、ガイド部58のテーパ面60、およびガイド部58の後側に設けられた支持面61の移動作業が容易である。
【0085】
切断刃62は、給湯路10の肉厚より径方向が大きく設定されているが、給湯路10の外径には、断熱材9(保護材)が被覆されている。また、切断刃62は給湯路10の肉厚より径方向が大きく設定されていたとしても、断熱材9は管軸方向Lでの剪断に弱い。しかしながら、断熱材9は、切断刃62においては極力切断しないようにする。これは、断熱材9が切断刃62によって切断されてしまうと、断熱材9そのものの再施工が必要だからである。
【0086】
ところで、図11に示すように、一本の給湯路10の途上には、湾曲する湾曲部分55が存在する。しかしながら、湾曲部分55が存在していても、ガイド部58は出口5へ向けて押すのではなく、索体31を介して出口5から引張るように挿入されるから、支持面
61で案内された給湯路10の内径φ2を支持した状態で、索体31により支持面61が管軸方向Lに沿って動き易い。このため、支持面61の外面に外向きに突設された切断刃62によって、給湯路10の肉厚を管軸方向Lで切断し易い。
【0087】
さらに、索体31で切断部57の先端を引張るので、切断刃57は、先端から向きを変えるように出口5側に誘導される。このため、切断刃57の移動が容易である。
【0088】
〔挿入工程〕
図13に示すように、挿入工程は、拡径工程により内径φ1から内径φ2とされて、切断工程により給湯路10の肉厚を切断された状態において、新配管11を、出口5から引張って挿入する施工である。この挿入工程には、配管挿入具64が用いられる。配管挿入具64は、給湯路10の入口4から出口5までの給湯路10の内径φ2を、フレシキブルな新配管11の外径φ3に応じて、給湯路10に新配管11を挿入するように用いられる。新配管11は、前述のとおり、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、フレキシブル金属管等により形成されており、フレシキブルな配管である。また、新配管11は、外径φ3を13mm、内径φ1を10mmに設定されている。
【0089】
図13ないし図17に基づいて、配管挿入具64を詳述する。図13に示すように、配管挿入具64は、挿入部65と、索体31を備える。索体31を牽引する装置として牽引部32を備える。索体31および牽引部32の構成を説明すると、索体31および牽引部32は、拡径工程で用いたものと同様である。
【0090】
配管挿入具64の挿入部65は、新配管11の先端11aに接続され、新配管11の外径φ3と同じか大径の継手、すなわち中継部材66と、中継部材66の後端部には、新配管11の先端11aが挿入されて新配管11の径外方向の膨らみを防止する保持部、すなわち押え部67とを備える。
【0091】
図15に示すように、中継部材66は、先端側の前円筒体68と、前円筒体68の後側に配置される後円筒体69とを備える。また、中継部材66は、押え環74を備えている。前円筒体68は、管軸方向Lに沿う拡大片70を表面に備え、拡大片70は、円筒面71の周方向の所定間隔ごとに形成されている。拡大片70どうしの中間は、拡大片70より径の小さな円筒面71とされている。また、各拡大片70の前後は、円弧面に形成されている。拡大片70の外径は、切断した給湯路10の内径φ2と同一である。前円筒体68の径方向中心には、後述する支持体65aのねじ65bを螺合するねじ孔40cが貫通されている。
【0092】
後円筒体69は、前円筒体68に比べて小径に形成されている。後円筒体69は、管状に形成されている。後円筒体69の内空部分は、ねじ孔40cに連通されている。後円筒体69は、複数の円筒片72を周方向に、且つ所定間隔置きに円周方向に並べて配置されている。各円筒片72の後端には、径方向外向きに突出する阻止片73が、円筒片72の周方向に亘って形成されている。この阻止片73は、管軸方向Lに沿って複数配置されている。
【0093】
中継部材66は、押え環74を備えている。後円筒体69と押え環74により、新配管11の先端11aが挿入されて新配管11の径外方向の膨らみを防止する前記押え部67が構成される。押え環74は円筒状の筒体(または半割の筒体)であり、押え環74の外径は、新配管11の先端11aを押えた際に、前円筒体68の拡大片70の外径と同一である。押え環74の内周と阻止片73の外周の係止で、新配管11の端部が保持される。
【0094】
図14に示すように、配管挿入具64は、支持体65aを有する。支持体65aは、索
体31の先端取付部34を内嵌してかしめることで、支持体65aと先端取付部34とが一体化されている。この支持体65aの先端側に、外周が順次後方へ向けて大きくなる円錐台面65cが形成されている。円錐台面65cの最大径は、拡大片70よりもわずかに小径とされる。円錐台面65cの後方に、前円筒体68の径方向中心に配置したねじ孔40cに螺合するねじ65bが形成されている。
【0095】
挿入工程の施工方法について述べる。作業者は、出口5側に牽引部32を準備し、索体31を取付けた支持体65aを、出口5から入口4へ向けて挿通する。また、作業者は、入口4側に、新配管11の先端11aを中継部材66に係止したものを準備する。新配管11の先端11aは、後円筒体69に新配管11の内径を挿入し、押え環74により新配管11の先端11aを挿入する。
【0096】
そして、前円筒体68のねじ孔40cに、索体31の先端取付部34を取付けた支持体65aのうち、ねじ65bを螺合して、中継部材66と支持体65aとを連結する(図13(a))。次に作業者は、牽引部32を駆動して、索体31を牽引することで、前円筒体68が給湯路10の入口4から挿入される。このとき、円錐台面65cの周面が、前円筒体68を円滑に挿入するガイドとなる。ここで、前円筒体68は、拡大片70を有しており、その外径は切削された給湯路10の内径φ2と同一である。しかしながら、拡大片70は円筒面71に対して円周方向に間欠的に配置され、拡大片70の前後は円弧面に形成されている。このため、前円筒体68の給湯路10への挿入は円滑に行われる。
【0097】
しかも、切断工程によって、給湯路10の肉厚(内径φ2)の一部は、管軸方向Lの両端面63によって切断されている。したがって、給湯路10の一部の端部どうし間が、中継部材66によって拡径される場合もあることから、給湯路10における中継部材66の挿入は、いっそう円滑になる。
【0098】
また、中継部材66は出口5へ向けて押すのではなく、牽引部32によって牽引されるから、中継部材66を出口5へ向けて押すよりも、中継部材66を出口5に向けて容易に移動させ易い。そして、給湯路10に新配管11を挿入した時点で、新配管11に対する中継部材66を外し、また、前円筒体68のねじ孔40cと支持体65aのねじ65bとの螺合を外し、挿入工程の施工方法を終了する(図13(b))。
【0099】
ところで、図17に示すように、一本の給湯路10の途上には、湾曲する湾曲部分55が存在する。また、湾曲部分55では、給湯路10がひしゃげて歪になっている。しかしながら、湾曲部分55でも、新配管11の挿入によって、給湯路10の管軸方向Lで切断した端面63が開いているから、索体31を牽引することで新配管11の挿入により、給湯路10の歪な部分が矯正され、中継部材66は湾曲部分55に沿って姿勢を変えながら給湯路10を進むように挿入される。よって、中継部材66およびこれに後続する新配管11が給湯路10に円滑に挿入され、給湯路10に湾曲部分55が存在しても、中継部材66および新配管11が湾曲部分55に引っかからずに円滑に挿入できる。
【0100】
また、索体31で中継部材66の先端を引張るので、中継部材66は、先端から向きを変えるように誘導されるため、中継部材66の移動が容易である。
【0101】
中継部材66は、後円筒体69の阻止片73で新配管11の内径の先端11aが押えられ(係止され)、押え環74により先端11aが外嵌されていることにより、新配管11の先端11aの径外方向の膨らみを防止する押え部67が構成されている。したがって、この押え部67によって、新配管11の膨らみが防止され、給湯路10の直線部分と湾曲部分55に沿って、新配管11が挿入される。つまり、新配管11の膨らみを防止することで、新配管11が給湯路10へ詰まることがないから、給湯路10への新配管11の挿入が円滑である。
【0102】
本実施形態に係る施工方法では、拡径工程で、管軸方向Lの入口4から出口5までの給湯配管1の内径φ1を、新配管11の外径φ3に応じて、第一切削部12、第二切削部26により削り、切断工程では、給湯路10における管軸方向Lの肉厚を切断し、挿入工程では、拡径工程により内径φ2とされた給湯路10に、新配管11を、出口5から引張って挿入する。
【0103】
この方法によれば、給湯配管1は、床面3の下側に配置されたスラブ3a等に、管軸方向Lにおいて所定間隔で、強固に固定されている家屋において、例えば、取外し工程で給湯配管1の入口4をヘッダー部材6から外し、出口5を浴室の水栓7から外し、挿入工程では、新配管11を出口5から引張って挿入する。このため、給湯配管1が強固に固定されていても、家屋における床面をはがすことなく、工事の簡素化ができ、新配管11の施工が容易にできる。
【0104】
切断工程では、給湯路10における管軸方向Lの肉厚を切断するから、給湯路10の内径φ1と新配管11の外径が同一であっても、新配管11を円滑に挿入でき、その分だけ工事の簡素化ができる。
【0105】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0106】
例えば、配管切削装置27の、別の構成を説明する。図18に示すように、配管切削装置27は、入口4から挿入される入口側装置28と、出口5から挿入される出口側装置29とを備える。入口側装置28は、フレキシブルシャフト30と、フレキシブルシャフト30の先端に設けられた第二切削部26とを備え、出口側装置29は、索体31および継手33を備えることは、図5ないし図8で示した実施形態と同様である。また、第二切削部26を駆動する装置としては、電動工具14(図3参照)を備える。
【0107】
第二切削部26の外郭形状は、入口加工装置13における第一切削部12(図4参照)と同様の構成であり、第二切削部26の他方側には、フレキシブルシャフト30のねじ36aを螺合するねじ孔36bと、一方側には、継手33を取付けるための支持空間40dが形成され、ねじ孔36bと支持空間40dとは、第二切削部26の軸心方向に連通されている。
【0108】
この実施形態では、特に、継手33の構成が異なる。継手33は、継手本体80と、取付けねじ81とを備える。継手本体80は円柱状に形成され、一端部に索体31の先端取付部34を内嵌して、かしめによって取付けて一体化される。また、継手本体80の他端部にねじ孔82が形成されている。
【0109】
取付けねじ81は、胴部83と皿部84を備え、取付けねじ81の胴部83は、第二切削部26に形成された支持空間40dに他方側から挿入され、且つ継手本体80のねじ孔82に取付けられる。継手本体80のねじ孔82は胴部83に螺着される。一方、第二切削部26に形成された支持空間40dは、胴部83に遊嵌される。他の構成は、図5ないし図8で示した実施形態と同様である。
【0110】
図18に示す、上記実施形態における本削り工程では、索体31の先端取付部34を内嵌して、かしめによって取付けた継手本体80を、出口5から入口4に挿入して、入口4側で第二切削部26を継手本体80に取付ける。この際、取付けねじ81の胴部83は、継手本体80のねじ孔82に螺着し、第二切削部26に形成された支持空間40dは、胴部83に遊嵌される。また、フレキシブルシャフト30のねじ36aをねじ孔36bに螺合する。
【0111】
電動工具14を駆動すると、前述のようにフレキシブルシャフト30のねじ36aおよび第二切削部26は、管軸方向Lの中心回りに回転する。しかしながら、取付けねじ81の胴部83は、継手本体80のねじ孔82に螺着されるが、第二切削部26に形成された支持空間40dは、胴部83に遊嵌される。このような継手33のため、第二切削部26の回転は、継手33によって継手本体80および索体31には伝達されることを防止している。
【0112】
上記実施形態の取外し工程では、給湯配管1の入口4は給湯機にヘッダー部材6を介して接続され、出口5は浴室の水栓7に接続された場合を例示しているが、出口5はその他の水回り、例えば台所の給水配管および給湯配管において、上記施工方法、並びに装置を用いることもできる。また、給湯路10の湾曲部分55は、垂直方向の湾曲部分を有していても、水平方向の湾曲部分を有していても工事の簡素化ができ、新配管11の施工が容易にできる。さらに、上記実施形態では、給湯配管1には給湯路10に断熱材9が外嵌されているが、断熱材9の代わりに保護材であってもよい。
【0113】
上記実施形態では、入口加工工程を省いて、取外し工程から本削り工程の施工を実施してもよい。また入口加工工程、および本削り工程において、第一連結部16、第二連結部43は、ねじりコイルばねから構成されたが、管軸方向Lに延びる長尺の弾性部材とすることも可能である。
【0114】
上記実施形態の施工方法では、入口4から出口5が床面3から露出されて、床下3に給湯配管1が設けられた場合を例示した。しかしながら家屋等の天井の裏面に設けた天井配管にも、上記施工方法、および施工方法に用いる装置が適用できる。
【0115】
本削り工程に用いられる継手33は、回転体54の回転を索体31へ伝達しない構成であれば、その形態は特に限定されず、また、支持部51と回転体取付部52は同一径とすることもできる。
【0116】
切断工程で用いられる配管切断装置56の切断刃62は、支持部59から突出する場所は何れでもよく、あるいは、支持部59に2箇所、あるいはそれ以上形成することもできる。この場合は、切断刃62のある場所において、給湯路10の肉厚が管軸方向Lで切断される。
【0117】
切断工程で用いられる配管切断装置56の切断部57の外径は、テーパ面60における最大径(支持面61の径)を、給湯路10の内径φ2より小径に設定された。しかしながら、テーパ面60における最大径を内径φ2よりも大きく設定することができる。また、テーパ面60における最大径を内径φ2と同等に設定することもできる。テーパ面60における最大径(支持面61の径)を内径φ2よりも大きく設定すること、あるいはテーパ面60における最大径を内径φ2と同等に設定することで、切断刃62による、給湯路10の内径φ2が保持され易い。
【0118】
本実施形態の、挿入工程で用いられる中継部材66には、拡大片70を形成したが、拡大片70を省略して、拡大片70の外径を有する円筒面71とすることもできる。押え部67における阻止片73は、管軸方向Lに複数個所設けたがこの数に限定されず、また、阻止片73を設ける代わりに摩擦面とし、該摩擦面と押え環74とで新配管11の先端11aを押えつけることができる。
【0119】
上記実施形態では、給湯路10には、同一の外径、内径の新配管11を挿入した。しかしながら、給湯路10には、異なる外径、内径の新配管11を挿入することもできる。
【0120】
本実施形態では、給湯路10について本施工方法並びに装置を例示した。しかしながら、下水、気体、油等が供給される配管についても、本施工方法並びに装置を用いることもできる。
【0121】
給湯配管1は、断熱材9に、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、あるいはアルミ三層管等の給湯路10を挿通して形成された場合を例示したが、硬質の合成樹脂から形成されるものであってもよい。
【0122】
実施形態では、取外し工程、入口加工工程、切断工程を含む施工について説明したが、これに限らず、これらの工程のうち少なくとも一つの工程を省いてもよい。
【0123】
本実施形態では、入口加工工程で第一切削部を、本削り工程で第二切断部を各々回転させて切削する場合について説明したが、これに限らず、管軸方向へスライドして削る場合や、溶かして削る場合でもよい。
【0124】
本実施形態では、本削り工程では、第二切削部で切削する場合について説明したが、これに限らず、切削径の小さい切削刃を先端側に、切削径の大きい切削部を先端側の切削部より後端側に設けて、二段階で切削するようにしてもよい。
【0125】
本実施形態では、本削り工程が、第二切削部26を索体31で出口5側から引張って既設配管内を移動させる場合について説明したが、これに限らず、第二切削部26は、入口4側から出口5側へ押して移動させてもよい。また、第二切削部26は、出口5側から入口4側へ牽引する(入口4と出口5が逆転する形態)であっても本削り工程が適用でき、また本削り工程以外の工程も、適用できる。
【0126】
本実施形態では、本削り工程が、入口側に電動工具を配し、出口側に牽引部を配する場合について説明したが、これに限らず、出口側に電動工具と牽引部を配置して、第二切削部を、切削駆動をさせつつ出口側から移動させる場合であってもよい。
【0127】
本実施形態では、切断工程が、切断工具を出口側から引張って移動させる場合について説明したが、これに限らず、入口側から押してもよい。
【0128】
本実施形態では、切断工程と挿入工程とが別工程である場合について説明したが、これに限らず、切断工程と挿入工程は、一つの工程としてもよい。その場合、切断工程の後側に新配管を連結する。
【0129】
本実施形態では、本削り工程と切断工程とが別工程である場合について説明したが、これに限らず、本削り工程と切断工程は、一つの工程としてもよい。
【0130】
本実施形態では、切断工程が刃物で切断する場合について説明したが、切断工程は、熱で切断する場合でもよい。
【0131】
本実施形態では、挿入工程は、出口側から引張る場合について説明したが、引張りに加えて押込む場合であってもよい。また、新配管を回転させながら挿入することも可能である。
【0132】
本実施形態の配管切削装置では、入口側装置を出口側へ引張る場合について説明したが
、これに限らず、入口側装置を入口側へ引張る装置であってもよい。
【0133】
本実施形態の切断部(配管切断装置)は出口側へ引張る場合について説明したが、これに限らず、切断部は押し部材を配置して、出口側へ押すようにしてもよい。
【0134】
また、本削り工程において、図19(c)に示すように、給湯路10を切削する際に、給湯路10によって生じる塵芥(切子)を入口4から出口5、あるいは出口5から入口4に向けて除去するための除去手段85を設けることができる。除去手段85は、給湯路10を切削した分による塵芥を、入口4から出口5、あるいは出口5から入口4へ向けて吹き飛ばす機能を備える。
【0135】
例えば図19(c)では、除去手段85は、入口4に付帯する装置として設けることができる。除去手段85は、管側継手86と、杆側継手87と、エアー吸入器88とを備える。
【0136】
管側継手86は、断熱材9から突出された給湯路10の外径に嵌合するものである。図19(a)(b)に示すように、管側継手86は、給湯路10の外径に嵌合するナット部材89と、ナット部材89における給湯路10の開放側から、ナット部材89および給湯路10の外径に螺合する管挿入部90とを備える。ナット部材89の内面と管挿入部90の先端部には、チャックリング91が配置されている。管挿入部90の先端部の内周面には、給湯路10の外周面をシールするシール装置(Oリング)92が設けられている。杆側継手87は管状に形成され、蓋体48と杆本体47に摺動自在に外嵌して、内周面にパッキン93を備える。
【0137】
図19(c)に示すように、エアー吸入器88は、半径方向に分離した半割り状で円筒状の固定部94,94と、一方の固定部94において管軸方向Lの途中から径外方向に突出し、一方の固定部94にねじ止めされた吸引部95とを備えている。また、管挿入部90における後端部の外周面と、杆側継手87の外周面には、固定部94,94の内周面をシールするシール装置(Oリング)92が設けられている。吸引部95は、円筒状に形成されている。また、半割り状の固定部94,94は、互いにビス止めされて固定されている。
【0138】
本削り工程において、給湯路10の内径φ1を内径φ2にまで切削すると、給湯路10の内径φ2が切削されたことに伴って、給湯路10の塵芥(切子)が生じる。除去手段85は、塵芥が邪魔になって、その後の工程に支障をきたす場合に有効である。
【0139】
上記構成の除去手段85では、図19(a)に示すように、予め、ナット部材89とチャックリング91付きの管挿入部90を組立てておいて、給湯路10の外径に外嵌する。このようにすることによって、チャックリング91により、管側継手86が給湯路10の外径に密着され、また、管挿入部90における後端部が給湯路10から突出する。杆側継手87は、入口側装置28の蓋体48に外嵌するよう配置すると、内周面に設けられたパッキン93が蓋体48に密着する。
【0140】
このようにした状態で、図19(b)に示すように、第二切削部26を給湯路10に挿入し、固定部94,94を、管側継手86および杆側継手87に嵌合して、半割り状の固定部94,94を、互いにビス止めする。吸引部95は一方の固定部94に螺合しておく。これにより、吸引部95の内部空間、および固定部94,94の内部空間が連通し、吸引部95の内部空間、および固定部94,94の内部空間が、給湯路10の内部空間に連通する。
【0141】
杆側継手87は、当初は蓋体48に密着されるが、杆側継手87の内周面には、パッキン93が設けられており、杆側継手87は蓋体48と杆本体47に摺動自在に外嵌しているから、第二切削部26を出口5に向けて挿入しても、杆本体47は杆側継手87を移動することができ、パッキン93は杆本体47にも密着する。
【0142】
吸引部95の内部空間、固定部94,94の内部空間、給湯路10の内部空間が連通することで、吸引部95に、例えば圧縮機(コンプレッサなど)を接続することで、吸引部95の内部空間にエアー(空気)を送り込み、給湯路10の内部空間にエアーを送り込むことができる。
【0143】
したがって、本削り工程において、給湯路10の内径φ1を内径φ2にまで切削すると、給湯路10の内径φ2が切削されたことに伴って、給湯路10の塵芥(切子)が生じるが、給湯路10の内部空間にエアーを送り込んで、例えば入口4から出口5に向けて塵芥を除去することができる。
【0144】
索体31および牽引部32が塵芥の除去を邪魔するのであれば、継手33、索体31および牽引部32を省略することができる。このため、第二切削部26を、入口4側から出口5側へ押して移動させることもできる。
【0145】
上記実施形態における配管の施工方法は、取外し工程から入口加工工程へ移行した。しかしながら、取外し工程から入口加工工程の途中に、給湯路10の湾曲部分55が歪になっている状態を矯正する湾曲部矯正工程を含むことができる。この場合では、湾曲部矯正装置を、給湯路10の入口4または出口5から、給湯路10の管軸方向Lに挿入する。
【0146】
図20に示すように、湾曲部矯正装置96は、例えば、入口4または出口5に挿入できるよう一端部にテーパ面部97を備え、他端部に給湯路10の内径φ1と外径が略等しく形成された円筒体からなる矯正部98を配置するようにする。この矯正部98が給湯路10の内径φ1を通過することにより、給湯路10の湾曲部分55の歪が矯正される。また、湾曲部矯正装置96は、入口4または出口5側に、索体31および牽引部32を用いて牽引する。
【0147】
具体的に湾曲部矯正装置96は、継手33の回転子54aに接続されていることにより、回転させずに牽引する。回転させずに牽引すれば、湾曲部矯正装置96が安定しているため、歪の矯正が円滑にいき易いからである。
【0148】
なお、湾曲部矯正装置96は、その先端にテーパ面部97が来れば、フレキシブルな杆状部材を用いて、入口4または出口5から管軸方向Lに押し込んでもいい。なお、湾曲部矯正装置96は、テーパ面部97を備えることなく、矯正部98のみからなっていてもよい。
【0149】
湾曲部矯正装置96は、取外し工程から入口加工工程の途中の施工方法として設けた。しかしながら、例えば、図8における本削り工程において、索体31のうちの途中に湾曲部矯正装置96を設けて、湾曲部分55の歪の矯正を兼ねるよう本削り工程を行ってもよい。
【0150】
ところで、本発明の配管の施工方法では、上記したように、矯正部98、および除去手段85を用いることも可能である。そして、第二切削部26は、給湯路10の内径φ1を内径φ2に切削するものであり、第二切削部26が管軸方向Lに進んでいくものであるから、第二切削部26の第二切削刃36(第二大径面38の先端刃面)はできるかぎり少ない方が、給湯路10との摩擦抵抗を小さくできる。
【0151】
第二切削部26は、第二刃面35の外周にキーシートカッタ形状の刃部として形成することに限らず、給湯路10の内径を切削することができる範囲で、可及的に少ないものとすることができる。例えば上記実施形態では、第二切削部26は、第二刃面35と、複数の第二切削刃36とから構成されている。このうち、第二切削刃36を径方向で対に形成し、他の第二切削刃36は省略してもよい。他の第二切削刃36を省略する分だけ、第二切削刃36の表面積を減らすことができ、給湯路10との摩擦抵抗を小さくできる。
【0152】
そのうえで、矯正部98により、給湯路10の歪を矯正すれば、給湯路10が直線部分であることはもとより、湾曲部分55の歪の矯正が行なわれ、第二切削部26が湾曲部分55に円滑に挿入される。しかも、除去手段85のエアーによって、給湯路10から生じた塵芥を前方に吹き飛ばすようにすることで、第二切削刃36の第二刃面35と塵芥との摩擦を減らすことができる。また、エアーによる空冷作用で、第二切削刃36(第二刃面35)と給湯路10による摩擦熱を極力抑えることができ、塵芥が溶けて第二切削刃36に固着することを防止するため、給湯路10に対する第二切削部26の切削抵抗が抑えられる。このため、第二切削部26の回転トルクが抑えられ、第二切削刃36を回転させた際に、第二切削刃36が給湯路10の内部で円滑に回転させられる。また、第二切削刃36に後続した、可撓性を有する第二連結部43の負荷を軽減でき、第二連結部43を安定させられる。
【0153】
なお、本配管切断装置は、配管を管軸方向に切除する配管切断装置であって、前端が前記配管の内径より小径とされるとともに後側に向かって拡大されたテーパ面と、該テーパ面の後側に配置された円筒面と、該円筒面に配置された切断刃とを備え、該切断刃の高さは、前記配管の肉厚よりも高く設定される構成とすることもできる。
【0154】
上記構成において、テーパ面でガイドされた円筒面が、配管の内径に管軸方向で挿入された際、テーパ面ではなく配管の内径に近い円筒面から切断刃が突出しているため、配管の内径へのテーパ面のあたり方には関係なく、配管の肉厚よりも高く設定された切断刃により配管を管軸方向に切断できる。
【0155】
また、前記テーパ面を、前記配管の出口から引張るための索体を備えた構成を採用することもできる。
【0156】
上記構成において、テーパ面を配管の出口へ向けて押すのではなく、索体を介して出口から引張るように挿入されるから、配管の内径へのテーパ面および円筒面の挿入作業が容易で、切断刃による管軸方向の切断も容易である。
【0157】
また、前記円筒面は、前記配管の内径よりも拡径されている構成を採用することもできる。
【0158】
上記構成によれば、円筒面は配管の内径よりも拡径されているから、内径が拡大されることで切断刃による配管の切断が安定する。
【0159】
上記の配管切断装置によれば、配管の内径に近い円筒面から切断刃が突出しているため、配管の内径へのテーパ面のあたり方には関係なく、配管の肉厚よりも高く設定された切断刃により配管の肉厚を確実に切除できる。
【符号の説明】
【0160】
1…給湯配管、4…入口、5…出口、6…ヘッダー部材、7…水栓、9…断熱材、10…給湯路、11…新配管、11a…先端、12…第一切削部、13…入口加工装置、14…電動工具、15…第一把手、16…第一連結部、17…本体、18…第一刃面、19…第一切削刃、20…第一テーパ面、21…第一大径面、25…段付面、26…第二切削部、27…配管切削装置、28…入口側装置、30…フレキシブルシャフト、31…索体、32…牽引部、33…継手、34…先端取付部、35…第二刃面、36…第二切削刃、37…第二テーパ面、38…第二大径面、41…第二把手、42…軸受装置、43…第二連結部、44…杆状部材、45…支持装置、49…支持部材、50…継手本体、51…支持部、52…回転体取付部、53…軸受、54…回転体、55…湾曲部分、56…配管切断装置、57…切断部、58…ガイド部、59…支持部、60…テーパ面、61…支持面、62…切断刃、63…端面、64…配管挿入具、65…挿入部、66…中継部材、67…押え部、68…前円筒体、69…後円筒体、70…拡大片、71…円筒面、72…円筒片、73…阻止片、74…押え環、L…管軸方向、φ1…内径、φ2…内径、φ3…外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20