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特許7344618見守り支援システム、見守り支援装置、および見守り支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】見守り支援システム、見守り支援装置、および見守り支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20230907BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230907BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230907BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
G06Q50/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023523066
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2022047437
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2021210263
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515342446
【氏名又は名称】株式会社otta
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 文和
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-045622(JP,A)
【文献】国際公開第2021/039443(WO,A1)
【文献】特開2010-271924(JP,A)
【文献】特開2019-105959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に携帯され、近距離無線通信を介して識別情報を発信する対象者端末と、
前記対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、近距離無線通信を介して通信可能な前記対象者端末を検出する検出用端末と、
前記対象者端末および前記検出用端末から送信される情報を登録するサーバーと、を備え、
前記検出用端末は、
通信可能な前記対象者端末を検出する検出部と、
前記検出部によって前記対象者端末が検出された場合に、前記対象者端末から発信された前記識別情報を取得して前記サーバーに送信する送信部と、を有し、
前記サーバーは、
前記検出用端末から送信された前記識別情報と、前記検出用端末の位置に関する情報とを取得し、取得された前記識別情報および前記検出用端末の位置に関する情報に基づいて、前記対象者端末の位置を特定する特定部と、
前記見守り担当者による前記見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得するニーズ取得部と、
前記ニーズ取得部によって取得された前記見守りニーズ情報に基づいて、前記検出用端末に対して前記見守りに関する指示を出力する出力部と、
を有し、
前記サーバーは、前記対象者の行動履歴に関する情報を取得する情報取得部をさらに有し、
前記ニーズ取得部は、前記情報取得部によって取得された前記対象者の行動履歴に関する情報に基づいて、前記見守りの必要性を推測することによって、前記見守りニーズ情報を取得する見守り支援システム。
【請求項2】
対象者に携帯され、近距離無線通信を介して識別情報を発信する対象者端末と、
前記対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、近距離無線通信を介して通信可能な前記対象者端末を検出する検出用端末と、
前記対象者端末および前記検出用端末から送信される情報を登録するサーバーと、を備え、
前記検出用端末は、
通信可能な前記対象者端末を検出する検出部と、
前記検出部によって前記対象者端末が検出された場合に、前記対象者端末から発信された前記識別情報を取得して前記サーバーに送信する送信部と、を有し、
前記サーバーは、
前記検出用端末から送信された前記識別情報と、前記検出用端末の位置に関する情報とを取得し、取得された前記識別情報および前記検出用端末の位置に関する情報に基づいて、前記対象者端末の位置を特定する特定部と、
前記見守り担当者による前記見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得するニーズ取得部と、
前記ニーズ取得部によって取得された前記見守りニーズ情報に基づいて、前記検出用端末に対して前記見守りに関する指示を出力する出力部と、
を有し、
前記特定部によって取得された前記検出用端末の位置に関する情報に基づいて、当該検出用端末を携帯する前記見守り担当者の移動距離、歩数、および消費エネルギー量の少なくとも一つに関する情報を推定する推定部をさらに有し、
前記出力部は、前記推定部によって推定された情報と、前記見守りニーズ情報とを考慮して、前記見守り担当者に適した散歩ルートまたはジョギングルートの提案を、前記見守りに関する指示として出力する見守り支援システム。
【請求項3】
対象者に携帯され、近距離無線通信を介して識別情報を発信する対象者端末と、
前記対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、近距離無線通信を介して通信可能な前記対象者端末を検出する検出用端末と、
前記対象者端末および前記検出用端末から送信される情報を登録するサーバーと、を備え、
前記検出用端末は、
通信可能な前記対象者端末を検出する検出部と、
前記検出部によって前記対象者端末が検出された場合に、前記対象者端末から発信された前記識別情報を取得して前記サーバーに送信する送信部と、を有し、
前記サーバーは、
前記検出用端末から送信された前記識別情報と、前記検出用端末の位置に関する情報とを取得し、取得された前記識別情報および前記検出用端末の位置に関する情報に基づいて、前記対象者端末の位置を特定する特定部と、
前記見守り担当者による前記見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得するニーズ取得部と、
前記ニーズ取得部によって取得された前記見守りニーズ情報に基づいて、前記検出用端末に対して前記見守りに関する指示を出力する出力部と、
を有し、
見守りが必要となる日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲の少なくとも一つに対して、付与可能な見守りポイントの設定を受け付ける受付部と、
前記受付部によって付与可能な前記見守りポイントが設定された日時、曜日、時間帯、場所、経路、または範囲において、前記見守りを行った前記見守り担当者に対して、対応する見守りポイントを付与する付与部と、
をさらに有する見守り支援システム。
【請求項4】
前記ニーズ取得部は、前記見守りニーズ情報として、見守りが必要な、日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲のうちの少なくともいずれかに関する情報を取得する請求項1~のいずれかに記載の見守り支援システム。
【請求項5】
前記情報取得部は、交通事故または事件の発生に関する事件事故情報をさらに取得し、
前記ニーズ取得部は、前記情報取得部によって取得された前記事件事故情報をさらに考慮して前記見守りの必要性を推測することによって、前記見守りニーズ情報を取得する請求項に記載の見守り支援システム。
【請求項6】
前記情報取得部は、天候または天候の予報に関する天候情報をさらに取得し、
前記ニーズ取得部は、前記情報取得部によって取得された前記天候情報をさらに考慮して前記見守りの必要性を推測することによって、前記見守りニーズ情報を取得する請求項またはに記載の見守り支援システム。
【請求項7】
前記情報取得部は、不審者、迷子、または徘徊の発生に関する警戒情報をさらに取得し、
前記ニーズ取得部は、前記情報取得部によって取得された前記警戒情報をさらに考慮して前記見守りの必要性を推測することによって、前記見守りニーズ情報を取得する請求項またはに記載の見守り支援システム。
【請求項8】
前記出力部は、前記見守りニーズ情報に基づいて判断される、見守りが必要な場所または範囲に存在する前記見守り担当者に対して、前記見守りに関する指示を通知する請求項1~のいずれかに記載の見守り支援システム。
【請求項9】
前記見守り担当者が活動可能な日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲の少なくとも一つに関する活動可能情報の登録を受け付ける登録部をさらに有し、
前記出力部は、前記登録部において登録を受け付けた活動可能情報に基づいて、見守りが必要となる日時、曜日、時間帯、場所、経路、または範囲において見守りが可能な前記見守り担当者を特定し、特定された前記見守り担当者に対して、前記見守りに関する指示を通知する請求項1~のいずれかに記載の見守り支援システム。
【請求項10】
前記検出用端末は、前記見守りに関する指示を出力するとともに、前記見守り担当者から前記見守りの実施に関する回答の入力を受け付けて、受け付けた前記回答を前記サーバーに送信し、
前記出力部は、前記検出用端末から送信された前記回答を考慮して、前記見守りに関する指示を出力する請求項1~のいずれかに記載の見守り支援システム。
【請求項11】
前記推定部は、前記検出用端末に設けられた加速度センサーの検知結果を考慮して、当該検出用端末を携帯する前記見守り担当者の移動距離、歩数、および消費エネルギー量の少なくとも一つに関する情報を推定する請求項に記載の見守り支援システム。
【請求項12】
前記受付部は、前記見守り担当者が前記見守りを行う際に使用する移動手段に応じて、付与可能な見守りポイントの設定をさらに受け付け、
前記付与部は、前記見守り担当者が使用した前記移動手段に応じて、前記見守りポイントを付与する請求項に記載の見守り支援システム。
【請求項13】
前記付与部によって各見守り担当者に付与された前記見守りポイントを集計する集計部をさらに有し、
前記出力部は、前記集計部によって集計された各見守り担当者の前記見守りポイントを閲覧可能に出力する請求項または12に記載の見守り支援システム。
【請求項14】
前記集計部によって集計された各見守り担当者の前記見守りポイントを、電子マネーとして使用可能に管理する管理部をさらに有する請求項13に記載の見守り支援システム。
【請求項15】
前記集計部は、前記見守りポイントを共有する前記見守り担当者のグループの設定を受け付け可能であり、前記付与部によって各見守り担当者に付与された前記見守りポイントを前記グループごとに集計し、
前記出力部は、前記集計部によって集計された各グループの前記見守りポイントを閲覧可能に出力する請求項13に記載の見守り支援システム。
【請求項16】
対象者に携帯され、近距離無線通信を介して識別情報を発信する対象者端末と、前記対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、近距離無線通信を介して通信可能な前記対象者端末を検出する検出部および当該検出部によって前記対象者端末が検出された場合に、前記対象者端末から発信された前記識別情報を取得して送信する送信部を有する検出用端末と、を備える見守り支援システムに適用される見守り支援装置であって、
前記検出用端末から送信された前記識別情報と、前記検出用端末の位置に関する情報とを取得し、取得された前記識別情報および前記検出用端末の位置に関する情報に基づいて、前記対象者端末の位置を特定する特定部と、
前記見守り担当者による前記見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得するニーズ取得部と、
前記ニーズ取得部によって取得された前記見守りニーズ情報に基づいて、前記検出用端末に対して前記見守りに関する指示を出力する出力部と、
を有し、
前記対象者の行動履歴に関する情報を取得する情報取得部をさらに有し、
前記ニーズ取得部は、前記情報取得部によって取得された前記対象者の行動履歴に関する情報に基づいて、前記見守りの必要性を推測することによって、前記見守りニーズ情報を取得する見守り支援装置。
【請求項17】
対象者に携帯され、近距離無線通信を介して識別情報を発信する対象者端末と、前記対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、近距離無線通信を介して通信可能な前記対象者端末を検出する検出部および当該検出部によって前記対象者端末が検出された場合に、前記対象者端末から発信された前記識別情報を取得して送信する送信部を有する検出用端末と、を備える見守り支援システムに適用される見守り支援装置であって、
前記検出用端末から送信された前記識別情報と、前記検出用端末の位置に関する情報とを取得し、取得された前記識別情報および前記検出用端末の位置に関する情報に基づいて、前記対象者端末の位置を特定する特定部と、
前記見守り担当者による前記見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得するニーズ取得部と、
前記ニーズ取得部によって取得された前記見守りニーズ情報に基づいて、前記検出用端末に対して前記見守りに関する指示を出力する出力部と、
を有し、
前記特定部によって取得された前記検出用端末の位置に関する情報に基づいて、当該検出用端末を携帯する前記見守り担当者の移動距離、歩数、および消費エネルギー量の少なくとも一つに関する情報を推定する推定部をさらに有し、
前記出力部は、前記推定部によって推定された情報と、前記見守りニーズ情報とを考慮して、前記見守り担当者に適した散歩ルートまたはジョギングルートの提案を、前記見守りに関する指示として出力する見守り支援装置。
【請求項18】
対象者に携帯され、近距離無線通信を介して識別情報を発信する対象者端末と、前記対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、近距離無線通信を介して通信可能な前記対象者端末を検出する検出部および当該検出部によって前記対象者端末が検出された場合に、前記対象者端末から発信された前記識別情報を取得して送信する送信部を有する検出用端末と、を備える見守り支援システムに適用される見守り支援装置であって、
前記検出用端末から送信された前記識別情報と、前記検出用端末の位置に関する情報とを取得し、取得された前記識別情報および前記検出用端末の位置に関する情報に基づいて、前記対象者端末の位置を特定する特定部と、
前記見守り担当者による前記見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得するニーズ取得部と、
前記ニーズ取得部によって取得された前記見守りニーズ情報に基づいて、前記検出用端末に対して前記見守りに関する指示を出力する出力部と、
を有し、
見守りが必要となる日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲の少なくとも一つに対して、付与可能な見守りポイントの設定を受け付ける受付部と、
前記受付部によって付与可能な前記見守りポイントが設定された日時、曜日、時間帯、場所、経路、または範囲において、前記見守りを行った前記見守り担当者に対して、対応する見守りポイントを付与する付与部と、
をさらに有する見守り支援装置。
【請求項19】
情報処理装置を請求項1618のいずれかに記載の見守り支援装置として機能させるための見守り支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供等の見守り対象者の所在を把握するために、近距離無線通信を介して子供等が所有する対象者端末を検出して見守りを行う見守り担当者が適切に見守り活動を行えるようにするための見守り支援システム、見守り支援装置、および見守り支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば幼い子供を持つ保護者は、子供が事故等に遭うことなく学校や塾に無事に到着しているか、また、帰宅時も、自宅まで無事に帰ってくるか、心配を抱くことが多くある。このため、従来から、地域の住民等が協力して通学路を見守る等、子供の安全を確保するための様々な取り組みが行われている。しかし、共働き世帯の増加や高齢化等の社会環境の変化によって、十分な見守りが困難となっている。このような状況のもと、子供が登下校中に連れ去られたり事件に巻き込まれたりする事例は後を絶たず、むしろ増加の傾向にある。
【0003】
上記のような問題に対応するための仕組みとして、たとえば、スマートフォン等の携帯型情報端末に搭載されたGPS機能を利用して子供の位置情報を確認可能とするサービスが提供されている。
【0004】
しかしながら、スマートフォン等の携帯型情報端末は、端末価格や通信料金等が一般的に高価であり、さらに、教育上の理由等による使用の制限も必要と考えられるため、位置情報の確認を目的として子供1人1人に携帯型情報端末を持たせるのは現実的でない。
【0005】
また、GPS機能による位置検出は、検出される位置の精度が十分に高くないという問題がある。たとえば、子供が実際には学校にいるのに学校の外の道路上等にいると検出されてしまい、子供の位置を確認した保護者等が、心配になったり違和感を覚えたりするという問題が発生している。
【0006】
さらに、GPS機能は電力消費量が大きいため、常にGPS機能を用いて位置を検出する場合、スマートフォン等を少なくとも数日おきに充電しておく必要がある。これでは、たとえば充電を忘れた場合には、いざというときに子供の位置を確認できなくなってしまう。
【0007】
このような問題に対応するために、GPS機能を使用せずに、Bluetooth(登録商標)等の省電力な近距離無線通信を利用する技術も提案されている。たとえば、識別情報のみを送信する簡易なBluetooth端末を子供に携帯させて、通学路等の見守りエリアに設置された読取端末または見守りエリアに配備される見守り担当者が保持するスマートフォン等の読取端末によってBluetooth端末から送信される識別情報を読み取る。これにより、子供が当該読取端末の位置を通過したことを確認できる(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
このような方法によれば、近距離無線通信を使用するため、位置検出の精度は高く、またGPS機能を使用しないため、子供に携帯させる端末を頻繁に充電する必要もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5891468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような位置検出技術を用いる場合、たとえば日常的に多くの子供が通る通学路等においては、読取端末を設置して子供の通過を確認することができる。しかし、そのような場所以外において広く網羅的に読取端末を設置することは、コスト、スペース、電源およびネットワーク接続の供給等といった問題から現実的でない。したがって、必要なときに必要な場所に見守り担当者を配備することが重要となる。現状では、地域の住民等が協力して通学路等に見守り担当者を配備できるように調整する必要がある。しかしながら、地域の住民においても、いつ、どの場所で、どのぐらい見守りが必要とされており、どのぐらい見守り担当者が不足しているのかといった実情を明確に把握できないため、効率的かつ効果的に見守り担当者を配備することが難しいという問題がある。さらに、近年における共働き世帯の増加や高齢化等の社会環境の変化によって、見守りの担い手が不足しているという問題も生じている。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、対象者の位置を電力効率および精度よく位置を検出できる見守りシステムにおいて、見守り担当者を効率的かつ効果的に配備できるようにするための見守り支援システムおよび見守り支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0013】
見守り支援システムは、対象者端末と、検出用端末と、サーバーとを備える。対象者端末は、対象者に携帯され、近距離無線通信を介して識別情報を発信する。検出用端末は、対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、近距離無線通信を介して通信可能な対象者端末を検出する。サーバーは、対象者端末および検出用端末から送信される情報を登録する。検出用端末は、通信可能な対象者端末を検出する検出部と、検出部によって対象者端末が検出された場合に、対象者端末から発信された識別情報を取得してサーバーに送信する送信部と、を有する。サーバーは、検出用端末から送信された識別情報と、検出用端末の位置に関する情報とを取得し、取得された識別情報および検出用端末の位置に関する情報に基づいて、対象者端末の位置を特定する特定部と、見守り担当者による見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得するニーズ取得部と、ニーズ取得部によって取得された見守りニーズ情報に基づいて、検出用端末に対して見守りに関する指示を出力する出力部と、を有する。
【0014】
見守り支援装置は、対象者に携帯され、近距離無線通信を介して識別情報を発信する対象者端末と、対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、近距離無線通信を介して通信可能な対象者端末を検出する検出部および当該検出部によって対象者端末が検出された場合に、対象者端末から発信された識別情報を取得してサーバーに送信する送信部を有する検出用端末と、を備える見守り支援システムに適用される。見守り支援装置は、検出用端末から送信された識別情報と、検出用端末の位置に関する情報とを取得し、取得された識別情報および検出用端末の位置に関する情報に基づいて、対象者端末の位置を特定する特定部と、見守り担当者による見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得するニーズ取得部と、ニーズ取得部によって取得された見守りニーズ情報に基づいて、検出用端末に対して見守りに関する指示を出力する出力部と、を有する。
【0015】
見守り支援プログラムは、情報処理装置を上記の見守り支援装置として機能させるように構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の見守り支援システムによれば、対象者端末と、検出用端末と、サーバーとを備える。対象者端末は、対象者に携帯され、近距離無線通信を介して識別情報を発信する。検出用端末は、対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、近距離無線通信を介して通信可能な前記対象者端末を検出する。サーバーは、対象者端末および検出用端末から送信される情報を登録する。検出用端末は、通信可能な対象者端末を検出する検出部と、検出部によって対象者端末が検出された場合に、対象者端末から発信された識別情報を取得してサーバーに送信する送信部とを有する。サーバーは、検出用端末から送信された識別情報と、検出用端末の位置に関する情報とを取得し、取得された識別情報および検出用端末の位置に関する情報に基づいて、対象者端末の位置を特定する特定部と、見守り担当者による見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得するニーズ取得部と、ニーズ取得部によって取得された見守りニーズ情報に基づいて、検出用端末に対して見守りに関する指示を出力する出力部とを有する。
【0017】
これにより、見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得して、取得された見守りニーズ情報に基づいて検出用端末に対して見守りに関する指示を出力できるため、対象者の位置を電力効率および精度よく位置を検出できるとともに、検出用端末を保持する見守り担当者を効率的かつ効果的に配備できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る見守り支援システムの概略構成を示す図である。
図2】対象者端末の概略構成を示すブロック図である。
図3】検出用端末の概略構成を示すブロック図である。
図4】サーバーの概略構成を示すブロック図である。
図5】サーバーの機能構成を示すブロック図である。
図6】保護者端末の概略構成を示すブロック図である。
図7】管理者端末の概略構成を示すブロック図である。
図8】見守り支援システムにおいて実行される位置特定処理の流れを示すシーケンスチャートである。
図9】サーバーによって出力される位置情報を表現する画面の例を示す図である。
図10】見守り支援システムにおいて実行される見守り支援処理の流れを示すシーケンスチャートである。
図11】見守りに関する指示が出力される画面の一例を示す図である。
図12】集計された各見守り担当者の見守りポイントが閲覧可能に出力される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0020】
<見守り支援システムの構成>
図1は、本発明の実施形態に係る見守り支援システムの概略構成を示す図である。
【0021】
図1に示すように、見守り支援システムは、対象者端末10、検出用端末20(20a、20b)、サーバー30、保護者端末40、および管理者端末50から構成される。以下、検出用端末20aと検出用端末20bとを特に区別しない場合は、検出用端末20と総称する。
【0022】
対象者端末10は、近距離無線通信を介して検出用端末20(20a、20b)と通信すると共に、長距離無線通信を介してネットワーク経由でサーバー30に接続する。
【0023】
検出用端末20(20a、20b)は、近距離無線通信を介して対象者端末10と通信すると共に、有線または無線の通信を介してネットワーク経由でサーバー30に接続する。
【0024】
サーバー30は、対象者端末10、検出用端末20(20a、20b)、保護者端末40、および管理者端末50とネットワーク経由で通信可能に構成される。
【0025】
保護者端末40は、有線または無線の通信を介してネットワーク経由でサーバー30に接続する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0026】
<対象者端末10>
対象者端末10は、子供や高齢者等の見守り対象者(以下、単に「対象者」とも称する)に携帯される端末である。
【0027】
図2は、対象者端末の概略構成を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、対象者端末10は、制御部11、記憶部12、第1通信部13、第2通信部14、受付部15、および取得部16を有する。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0029】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を有し、プログラムに従い、上述した各構成要素の制御や各種の演算処理を実行する。
【0030】
記憶部12は、予め各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、各種プログラムや各種データを記憶する。
【0031】
また、記憶部12は、対象者端末10を識別するための識別情報、第1通信部13が識別情報を発信する時間間隔である第1の時間間隔、および第2通信部14が通信を行う時間間隔である第2の時間間隔を示す情報等を記憶する。また、記憶部12は、取得部16によって取得された各種情報を記憶する。
【0032】
第1通信部13は、たとえばBluetooth(登録商標)規格を用いた近距離無線通信を行うための信号を出力し、近距離無線通信を介して、近接して存在する他の端末や装置等と通信する。近距離無線通信の規格としては、たとえばBluetooth4.0(Bluetooth Low EnergyまたはBLEとも称される)が用いられる。この規格は、通信速度を追求しない代わりに格段の省電力化が図られているため、本実施形態において好適に用いられる。第1通信部13は、たとえば数十ミリ秒~数秒程度の比較的短い時間間隔である第1の時間間隔をあけて近距離無線通信を行い、対象者端末10を識別するための識別情報を周囲に発信する。第1の時間間隔は、たとえば3秒程度に設定され得る。
【0033】
第2通信部14は、モバイル通信キャリア等が提供する長距離無線通信を介して、他の端末や装置等と通信する。長距離無線通信の規格としては、たとえばLTE-M(Long Term Evolution for Machine-type-communication)が用いられる。この規格は、既存のLTE設備を活用したLPWA(Low Power Wide Area:省電力・広域通信を可能とする無線通信技術)の一つであり、中程度の通信速度を確保しつつ省電力化および通信の安定性向上が図られているため、本実施形態において好適に用いられる。本実施形態では、第2通信部14は、たとえば数分~数時間程度の比較的長い時間間隔である第2の時間間隔をあけて、対象者端末10を識別するための識別情報をサーバー30に送信する。第2の時間間隔は、ユーザーによって任意に設定可能とすることができ、たとえば、5分、10分、30分、1時間、2時間、12時間等の選択候補の中からユーザーが選択して設定するようにしてもよい。また、第2の時間間隔は、対象者端末10が移動している場合と、静止している場合とで、それぞれ別々の値が使用されるように設定されてもよい。たとえば、対象者端末10が移動している場合の移動時の第2の時間間隔が30分に設定され、対象者端末10が静止している場合の静止時の第2の時間間隔が1時間に設定されてもよい。ここで、対象者端末10が移動しているか静止しているかは、たとえば対象者端末10に設けられた加速度センサー(不図示)の検出情報に基づいて判断され得る。さらに、第2の時間間隔は、対象者端末10の移動速度の段階に応じて異なる値が設定されてもよい。たとえば、対象者端末10の移動速度が、低速の場合(0km/h~4km/h)、中速の場合(4km/h~10km/h)、高速の場合(10km/h~)等、移動速度の段階に応じてそれぞれ別の値が使用されるように設定されてもよい。移動速度の段階は上記の例に限定されず、様々な数や範囲の段階が設定されうる。
【0034】
また、第2通信部14は、GPS衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて位置情報を取得するGPS機能を有する。第2通信部14は、上記のように対象者端末10を識別するための識別情報をサーバー30に送信する際に、GPS機能を起動して位置情報を取得し、取得した位置情報を、識別情報とあわせてサーバー30に送信する。このように、第2通信部14は、省電力化が図られている長距離無線通信技術を用いることに加えて、1時間程度の比較的長い時間間隔をあけて長距離無線通信およびGPS機能による位置情報取得を行うため、より一層の省電力化が実現される。
【0035】
受付部15は、対象者等から、指示を受け付けるための構成であり、たとえばプッシュボタンやタッチパネル上のボタン等によって構成される。本実施形態では、受付部15は、何らかの緊急事態の発生に関する指示を受け付けるための緊急時受付部151と、サーバー30から配信用音声情報を取得するための指示を受け付けるための取得指示受付部152とを有する。緊急時受付部151によって緊急事態の発生に関する指示が受け付けられると、制御部11は、検知部として、緊急事態の発生を検知する。なお、制御部11は、対象者端末10の動きを検出するために対象者端末10に設けられた加速度センサー等の各種センサー(不図示)の出力に基づいて、対象者の転倒や急激な速度変化等の異常な動きが検出された場合に、緊急事態の発生を検知してもよい。また、制御部11は、後述する緊急フラグをサーバー30から取得した場合に緊急事態の発生を検知してもよい。なお、受付部15は、マイク等によって取得される音声を介して指示を受け付けてもよく、あるいは、カメラ等によって取得される画像(映像を含む)を介して指示を受け付けてもよい。また、受付部15の緊急時受付部151と取得指示受付部152とは、それぞれ別々のボタンに対応付けて実装されてもよく、あるいは一つのボタンの短い押下、長押し、連続押下等の別々の操作方法にそれぞれ対応付けて実装されてもよい。また、緊急時受付部151が使用されるタイミングは、緊急事態が発生したタイミングのみに限定されず、対象者が希望する任意のタイミングに使用されうる。
【0036】
取得部16は、対象者端末10の周囲の音声や画像(映像)を取得するための構成であり、マイクやカメラ等によって構成される。取得部16は、たとえば緊急時受付部151において緊急事態の発生に関する指示が受け付けられた場合に、周囲の音声または画像(映像)を取得する。たとえば、取得部16は、緊急事態の発生が検知された後、所定の間隔ごとに繰り返し周囲の音声または画像(映像)を記録してもよい。これにより、電力消費量を抑制しつつ、効果的に対象者や周囲の状況を把握できる。制御部11は、取得部16によって取得された音声または画像(映像)を示す情報を、記憶部12に記憶すると共に、第2通信部14を介してサーバー30に送信する。さらに、制御部11は、第2通信部14を制御してGPS機能によって位置情報を取得し、当該対象者端末10の識別情報および位置情報と共に、緊急事態の発生を示す通知をサーバー30に送信する。
【0037】
出力部17は、音声を出力する音声出力部171と、光を出力する光出力部172を有する。音声出力部171は、スピーカーやイヤホンジャック等の音声出力インターフェースであり、光出力部172は、LED等の光源である。音声出力部171または光出力部172は、サーバー30において配信音声情報が受信されている旨を、音声または光によって対象者に通知する。この場合、出力部17は、対象者通知部としても機能する。これにより、ユーザーは、出力部17における音声または光による通知が確認された場合に、取得指示受付部152を操作するだけで、確実かつ容易に、サーバー30に保存されている配信音声情報を取得して音声を聴くことができる。なお、光出力部172は、取得指示受付部152上に設けられてもよい。これにより、ユーザーは、取得指示受付部152上の光出力部172が発光している場合に、取得指示受付部152を操作すればよく、より確実かつ容易に、サーバー30に保存されている配信音声情報を取得して音声を聴くことができる。また、出力部17は、画像出力部として、ディスプレイや映像出力端子等の映像出力インターフェースを有し、画像(映像)によって各種通知を実行してもよい。
【0038】
本実施形態における対象者端末10は、通常消費電力の大きい無線通信に関して上記のように省電力化を図っているため、たとえば、充電可能なリチウムイオン電池等の小型の二次電池を使用する場合、1か月程度充電しなくても動作可能であり、設定内容や使用状況によっては、充電なしで数か月から1年程度動作させることも可能となる。
【0039】
<検出用端末20(20a、20b)>
検出用端末20は、対象者の見守りエリアを含む領域に存在し、近距離無線通信を介して通信可能な対象者端末10を検出する端末である。検出用端末20aは、見守りエリアに含まれる所定の位置に設置される固定端末であり、検出用端末20bは、見守りエリアを含む領域を移動する移動体である人や車両等に設けられる移動端末である。検出用端末20bを備える人や車両等の移動体は見守り担当者として機能する。上記の車両には、たとえば自家用車、タクシー、バス、電車等の各種乗り物が含まれる。たとえば、検出用端末20は、スマートフォンやタブレットPC等の汎用の情報端末に専用のアプリケーションをインストールすることによって構成されてもよく、あるいは下記のような最小限の構成を有する専用の端末として構成されてもよい。
【0040】
図3は、検出用端末の概略構成を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、検出用端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、および検出部24を有する。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。検出用端末20の制御部21および記憶部22は、それぞれ対象者端末10の制御部11および記憶部12と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0042】
通信部23は、ネットワークを介して他の端末や装置等と通信するための構成である。通信部23は、たとえばサーバー30との間で各種情報を送受信する。
【0043】
検出部24は、上述したBluetooth等の近距離無線通信を介して通信可能な対象者端末10を検出するための構成である。上述のように、対象者端末10は、第1通信部13によって、近距離無線通信を介した通信を行う。検出部24は、たとえば対象者端末10の第1通信部13によって発信された識別情報を受信した際に、当該対象者端末10を通信可能な対象者端末10として検出することができる。
【0044】
制御部21は、検出部24によって対象者端末10が検出された場合に、送信部として、当該対象者端末10の識別情報をサーバー30に送信する。
【0045】
検出用端末20aは、固定端末であるため、各検出用端末20aの位置に関する情報は、当該検出用端末20aを識別するための情報と対応付けられて、サーバー30の記憶部32に予め記憶される。検出用端末20aは、検出部24によって検出された対象者端末10の識別情報をサーバー30に送信する際に、当該検出用端末20aを識別するための情報をあわせてサーバー30に送信する。これにより、サーバー30は、検出用端末20aから対象者端末10の識別情報を受信した際に、あわせて受信した当該検出用端末20aを識別するための情報を用いて、記憶部32から当該検出用端末20aの位置に関する情報を取得できる。
【0046】
一方、検出用端末20bは、移動端末であるため、各検出用端末20bの位置に関する情報は、各検出用端末20bが有するGPS機能によって、GPS衛星からの信号に基づいて取得される。検出用端末20bは、検出部24によって検出された対象者端末10の識別情報をサーバー30に送信する際に、当該検出用端末20bの位置を示す情報を共に送信する。これにより、サーバー30は、検出用端末20bから対象者端末10の識別情報を受信した際に、あわせて受信した情報に基づいて、当該検出用端末20bの位置を示す情報を取得できる。
【0047】
たとえば移動端末である検出用端末20bがスマートフォンやタブレットPC等によって構成される場合、さらに操作部、表示部(タッチパネルディスプレイ等)の一般的な情報端末の構成を有する。この場合、検出用端末20は、後述する保護者端末40、および管理者端末50としても兼用され得る。
【0048】
<サーバー30>
サーバー30は、たとえば位置情報を特定して通知するサービスの提供者によって運営される情報処理装置である。本実施形態では、サーバー30は、見守り支援装置として機能する。
【0049】
図4は、サーバーの概略構成を示すブロック図である。図5は、サーバーの機能構成を示すブロックである。
【0050】
図4に示すように、サーバー30は、制御部31、記憶部32および通信部33を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。サーバー30の制御部31、記憶部32および通信部33の各構成は、それぞれ検出用端末20の制御部21、記憶部22および通信部23と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
図5に示すように、制御部31は、プログラムを読み込んで処理を実行することによって、特定部311、ニーズ取得部312、出力部313として機能する。
【0052】
特定部311は、検出用端末20から送信された識別情報と、検出用端末20の位置に関する情報とを取得し、取得された識別情報および検出用端末20の位置に関する情報に基づいて、対象者端末10の位置を特定する。
【0053】
ニーズ取得部312は、見守り担当者による見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得する。ニーズ取得部312は、見守りニーズ情報として、見守りが必要な、日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲のうちの少なくともいずれかに関する情報を取得する。ニーズ取得部312は、たとえば、見守り担当者または見守り担当者を管理するユーザーからの指示を受け付けることによって、見守りニーズ情報を取得する。
【0054】
出力部313は、ニーズ取得部312によって取得された見守りニーズ情報に基づいて、検出用端末20bに対して見守りに関する指示を出力する。
【0055】
また、制御部31は、情報取得部314、登録部315、推定部316、受付部317、付与部318、集計部319、および管理部310として機能してもよい。
【0056】
情報取得部314は、対象者の行動履歴に関する情報、交通事故または事件の発生に関する事件事故情報、天候または天候の予報に関する天候情報、不審者、迷子、または徘徊の発生に関する警戒情報等を取得する。対象者の行動履歴に関する情報は、たとえば、記憶部32に記憶されている各対象者端末10の位置の推移に関する情報を解析することによって取得される。また、交通事故または事件の発生に関する事件事故情報は、たとえば、自治体や警察等のウェブサイトやデータベース、あるいは担当者の入力等から取得される。天候または天候の予報に関する天候情報は、たとえば、自治体のウェブサイトや各種天気予報サービスのデータベース、あるいは担当者の入力等から取得される。また、不審者、迷子、または徘徊の発生に関する警戒情報は、たとえば、自治体や警察、学校、病院、介護施設等のウェブサイトやデータベース、あるいは担当者の入力等から取得される。
【0057】
登録部315は、見守り担当者が活動可能な日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲の少なくとも一つに関する活動情報の登録を受け付ける。
【0058】
推定部316は、特定部311によって取得された検出用端末20bの位置に関する情報に基づいて、当該検出用端末20bを携帯する見守り担当者の移動距離、歩数、および消費エネルギー量の少なくとも一つに関する情報を推定する。
【0059】
受付部317は、見守りが必要となる日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲の少なくとも一つに対して、付与可能な見守りポイントの設定を受け付ける。
【0060】
付与部318は、受付部317によって付与可能な見守りポイントが設定された日時、曜日、時間帯、場所、経路、または範囲において、見守りを行った見守り担当者に対して、対応する見守りポイントを付与する。
【0061】
集計部319は、付与部318によって各見守り担当者に付与された見守りポイントを集計する。
【0062】
管理部310は、集計部319によって集計された各見守り担当者の見守りポイントを、電子マネーとして使用可能に管理する。
【0063】
また、制御部31は、特定部311によって特定された対象者端末10の位置に関する情報を出力する。制御部31は、位置に関する情報を、2次元または3次元等の座標情報によって出力してもよく、あるいは所定の規則にしたがって座標情報を住所やエリア名等に変換して住所やエリア名として出力してもよい。
【0064】
記憶部32には、対象者および対象者端末10に関する情報として、対象者端末10の識別情報、当該対象者端末10を保有する対象者の氏名、年齢等の属性情報、当該対象者の保護者の氏名、連絡先等の属性情報等が関連付けられて記憶される。
【0065】
また、記憶部32には、検出用端末20に関する情報として、検出用端末20の識別情報、当該検出用端末20が固定端末であるか移動端末であるか等を示す属性情報、固定端末である場合には当該検出用端末20の位置に関する情報等が関連付けられて記憶される。
【0066】
また、記憶部32には、対象者端末10の第2の時間間隔を設定するための時間設定フラグや、緊急フラグ、音声配信フラグ等に関するフラグ情報や、各種フラグを設定するための見守りエリアの範囲に関する情報等も記憶されている。見守りエリアの範囲は、2次元または3次元等の座標情報の範囲によって規定されてもよく、あるいは座標情報の範囲に対応する住所やエリア名等によって規定されてもよい。また、記憶部32には、見守りエリア内において見守りエリア外に出やすいと想定される所定の範囲に関する情報や、見守りエリア内の各領域の環境に関する情報、環境に応じた危険度に関する情報、各領域の時間帯に応じた危険度に関する情報等も記憶されている。また、記憶部32には、対象者端末10の位置の特定状況、移動状況、移動速度、所在している区域の環境および時間帯等に応じて対象者端末10ごとに設定される第2の時間間隔の値も記憶されている。
【0067】
また、記憶部32には、情報取得部314によって取得された各種情報、ニーズ取得部312によって取得された見守りニーズ情報、見守り担当者から送信された見守り担当者の活動情報、見守り担当者に通知された見守りに関する指示の内容も記憶されうる。さらに、記憶部32には、推定部316によって推定された情報、見守り担当者に付与可能なポイントの設定に関する情報、見守り担当者に付与されたポイントおよび集計されたポイントに関する情報、付与されたポイントを電子マネーとして使用するために必要な識別情報やポイントの交換レート、ポイントの利用履歴等の各種情報も記憶されうる。上記のポイントの設定に関する情報は、見守り担当者にポイントを付与するための条件や条件を満たした場合に付与されるポイントの値等の設定値であり、管理者等によって予めサーバー30に設定される。
【0068】
<保護者端末40>
保護者端末40は、対象者に対象者端末10を携帯させて対象者端末10の位置に関する情報を取得し、対象者を保護したり管理したりする保護者によって使用される端末である。保護者端末40は、サーバー30からの通知を受信して保護者に知らせたり、サーバー30にアクセスしてサーバー30に記憶されている対象者音声情報や対象者の位置に関する情報を取得して表示したりする。保護者端末40は、たとえば、専用のアプリケーションをインストールすることによって、検出用端末20bとしても使用される。この場合は、保護者端末40を使用する保護者は、見守り担当者としても機能する。
【0069】
図6は、保護者端末の概略構成を示すブロック図である。
【0070】
図6に示すように、保護者端末40は、制御部41、記憶部42、通信部43、表示部44、操作受付部45、および音声入出力部46を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。保護者端末40の制御部41、記憶部42および通信部43の各構成は、それぞれ検出用端末20の制御部21、記憶部22および通信部23と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
表示部44は、LCD(液晶ディスプレイ)や有機ELディスプレイ等を備え、各種情報を表示する。
【0072】
操作受付部45は、タッチセンサーや、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等を備え、ユーザーの各種操作を受け付ける。表示部44および操作受付部45は、表示部44としての表示面に、操作受付部45としてのタッチセンサーを重畳することによって、タッチパネルを構成してもよい。操作受付部45は、たとえば、サーバー30から対象者音声情報を取得して出力するための指示を管理者から受け付ける。
【0073】
音声入出力部46は、音声を入力するためのマイクまたは音声入力端子等と、音声を出力するためのスピーカーまたは音声出力端子等によって構成される。音声入出力部46は、たとえば、サーバー30から取得された対象者音声情報に対応する音声を出力したり、対象者に対して配信するための配信音声情報の入力を受け付けたりする。
【0074】
<管理者端末50>
管理者端末50は、見守り担当者を管理または統括したり見守り担当者に指示を行ったりする管理者によって使用される端末である。管理者は、たとえば、自治体の担当者、学校の先生等の担当者、PTAの担当者、地元の商店街の担当者、地域の子供会の担当者等、地域の見守り活動を推進したり管理したりする立場のユーザーである。管理者端末50は、管理者から、見守りニーズ情報の入力や、見守りに関する指示の入力、ポイントの設定の入力等を受け付けて、サーバー30に送信する。
【0075】
図7は、管理者端末の概略構成を示すブロック図である。
【0076】
図7に示すように、管理者端末50は、制御部51、記憶部52、通信部53、表示部54、操作受付部55、および音声入出力部56を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。管理者端末50の制御部51、記憶部52、通信部53、表示部54、操作受付部55、および音声入出力部56の各構成は、それぞれ保護者端末40の制御部41、記憶部42、通信部43、表示部44、操作受付部45、および音声入出力部46と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
なお、対象者端末10、検出用端末20、サーバー30、保護者端末40、および管理者端末50の各々は、上述した構成要素以外の構成要素を備えてもよいし、上述した構成要素のうちの一部を備えなくてもよい。
【0078】
<処理概要>
続いて、見守り支援システムにおける処理の流れについて説明する。
【0079】
<位置特定処理>
図8は、見守り支援システムにおいて実行される位置特定処理の流れを示すシーケンスチャートである。図9は、サーバーによって出力される位置情報を表現する画面の例を示す図である。
【0080】
まず、対象者端末10の処理について説明する。
【0081】
図8に示すように、対象者端末10は、第1の時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS101)。第1の時間間隔が経過していない場合(ステップS101:NO)、対象者端末10は、第1の時間間隔が経過するまで待機する。
【0082】
第1の時間間隔が経過した場合(ステップS101:YES)、対象者端末10は、第1通信部13によって、近距離無線通信を行うための信号を出力し、近距離無線通信を介して当該対象者端末10を識別するための識別情報を周囲に発信する(ステップS102)。第1の時間間隔としては、3秒程度の比較的短い時間間隔が設定されるため、対象者端末10は、識別情報を短いサイクルで常時発信する状態となる。第1の時間間隔としては、一定の値が固定値として設定されてもよく、変動する値が設定されてもよい。なお、第1通信部13は、第1の時間間隔をあけて近距離無線通信を行うための電波を出力し、相手先と通信が確立した際に、相手先に識別情報を送信するようにしてもよい。あるいは、第1通信部13は、相手先との通信の確立の有無に関わらず、第1の時間間隔をあけて識別情報を発信するようにしてもよい。
【0083】
続いて、対象者端末10は、第2の時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS103)。第2の時間間隔が経過していない場合(ステップS103:NO)、対象者端末10は、ステップS101の処理に戻り、近距離無線通信を行う処理を繰り返す。
【0084】
第2の時間間隔が経過した場合(ステップS101:YES)、対象者端末10は、第2通信部14によって、公知の技術を用いてGPS衛星からの信号に基づく当該対象者端末10の位置情報を取得する(ステップS104)。そして、対象者端末10は、ステップS104の処理において取得した当該対象者端末10の位置情報と、当該対象者端末10を識別するための識別情報とを、長距離無線通信を介してサーバー30に送信する(ステップS105)。第2の時間間隔としては、1時間程度の比較的長い時間間隔が設定されるため、対象者端末10は、上記のように短いサイクルで近距離無線通信を介して識別情報を発信しつつ、1時間ごと等の長いサイクルで長距離無線通信を介して識別情報とGPS機能による位置情報をサーバー30に送信する。なお、上述のように、第2の時間間隔として、対象者端末10の移動状態や移動速度に応じた値が設定されている場合は、対象者端末10は、加速度センサー等の検出情報から判断した自機の移動状態および移動速度に応じた第2の時間間隔を使用する。
【0085】
続いて、対象者端末10は、ステップS105の処理においてサーバー30と通信を行った際に、サーバー30から第2の時間間隔を変更するための時間設定フラグ情報を取得していれば、フラグ情報の内容に基づいて第2の時間間隔を変更する(ステップS106)。また、対象者端末10は、対象者端末10は、ステップS105の処理においてサーバー30と通信を行った際に、緊急フラグまたは音声配信フラグを取得していれば、後述する各フラグに対応する処理を実行する。
【0086】
対象者端末10は、ステップS101~ステップS106の処理を繰り返し実行する。
【0087】
次に、検出用端末20の処理について説明する。
【0088】
検出用端末20は、通信可能な対象者端末10を検出し、当該対象者端末10から識別情報を取得したか否かを判断する(ステップS201)。識別情報を取得していない場合(ステップS201:NO)、検出用端末20は、識別情報を取得できるまで対象者端末10を検出して識別情報を取得するための処理を継続する。
【0089】
識別情報を取得した場合(ステップS201:YES)、検出用端末20は、取得した識別情報をサーバー30に送信する(ステップS202)。
【0090】
ここで、検出用端末20が、固定端末(検出用端末20a)である場合、検出用端末20aは、当該検出用端末20aを識別するための情報を、識別情報とあわせてサーバー30に送信する。これは、各検出用端末20aの位置に関する情報が、当該検出用端末20aを識別するための情報と対応付けられて、サーバー30の記憶部32に予め記憶されているためである。これにより、サーバー30は、検出用端末20aから対象者端末10の識別情報を受信した際に、あわせて受信した当該検出用端末20aを識別するための情報を用いて、記憶部32から当該検出用端末20aの位置に関する情報を取得できる。
【0091】
一方、検出用端末20が、移動端末(検出用端末20b)である場合、検出用端末20bは、GPS機能を用いて、GPS衛星からの信号に基づいて各検出用端末20bの位置に関する情報を取得し、識別情報とあわせてサーバー30に送信する。これにより、サーバー30は、検出用端末20bから対象者端末10の識別情報を受信した際に、あわせて受信した情報に基づいて、当該検出用端末20bの位置を示す情報を取得できる。
【0092】
検出用端末20は、ステップS201~ステップS202の処理を繰り返し実行する。
【0093】
次に、サーバー30の処理について説明する。
【0094】
サーバー30は、検出用端末20から対象者端末10の識別情報を受信して、上述のように当該検出用端末20の位置に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、識別情報に対応する対象者端末10の位置を特定する(ステップS301)。サーバー30は、対象者端末10の識別情報と特定された位置を関連付けて記憶部32に登録する。
【0095】
続いて、サーバー30は、ステップS301の処理における対象者端末10の位置の特定状況に基づいて、各種フラグの設定要否を判断する(ステップS302)。たとえば、サーバー30は、対象者端末10の位置の特定状況に基づいてGPS機能を用いた位置情報取得の頻度、すなわち第2の時間間隔を変更する必要があるか否かを判断し、時間設定フラグの設定要否を判断する。また、サーバー30は、対象者端末10の位置の特定状況に基づいて緊急フラグの設定要否を判断する。なお、サーバー30は、時間設定フラグおよび緊急フラグの設定要否の判断を、それぞれ独立した条件に基づいて個別に判断してもよい。
【0096】
たとえば、サーバー30は、特定された対象者端末10の位置が、予め設定された見守りエリア内の所定の範囲に含まれている場合、当該対象者端末10の時間設定フラグおよび緊急フラグを設定する必要があると判断する。なお、時間設定フラグを設定するための所定の範囲と、緊急フラグを設定するための所定の範囲については、それぞれ別の領域が設定されうる。たとえば、時間設定フラグを設定するための所定の範囲は、対象者端末10がこれから見守りエリア外に出ることが予想される見守りエリアの周縁部の領域や、長距離移動が可能な電車やバス等の交通機関に乗降可能な駅やバス停、あるいは電車やバスが通行する線路やバス道路等が含まれる領域である。また、時間設定フラグおよび緊急フラグを設定するための所定の範囲は、たとえば、その区域の属性(居住エリア、オフィスエリア、商店街、歓楽街等)、治安レベル、交通量レベル、見守りの充実レベル(検出用端末20a、20bの充実度)、事件・事故発生度、不審者情報発生度、災害発生度等から危険度が高いと判断される領域である。領域ごとの危険度は、動的に変更することができ、たとえば、事件・事故や災害が発生した場合には、任意の範囲を事件・事故発生区域や災害発生区域として危険度が高い領域に設定することができる。
【0097】
また、サーバー30は、特定された対象者端末10の位置の推移に基づいて、対象者端末10が見守りエリア内の周縁部等の所定の範囲から見守りエリアの外側に向かって移動していると判断された場合、当該対象者端末10の第2の時間間隔を短く変更する必要があると判断してもよい。これは、対象者端末10がこれから見守りエリア外に出る可能性が高いためである。
【0098】
また、サーバー30は、特定された対象者端末10の位置に基づいて、当該位置が含まれる区域を判断し、当該区域の環境に応じて予め設定された第2の時間間隔の値を取得し、取得した値が、当該対象者端末10において使用されている値と異なる場合に、当該対象者端末10の第2の時間間隔を変更する必要があると判断してもよい。区域の環境としては、たとえば、区域の属性(居住エリア、オフィスエリア、商店街、歓楽街等)、治安レベル、交通量レベル、見守りの充実レベル(検出用端末20a、20bの充実度)、事件・事故発生度、不審者情報発生度、災害発生度等が設定され、区域の環境に応じて対象者端末10ごとに第2の時間間隔が設定されうる。また、区域の属性は動的に変更することができ、たとえば、事件・事故や災害が発生した場合には、任意の範囲を事件・事故発生区域や災害発生区域として設定することができる。
【0099】
また、サーバー30は、特定された対象者端末10の位置に基づいて、当該位置が含まれる区域を判断し、当該区域について時間帯に応じて予め設定された第2の時間間隔の値を取得し、取得した値が、当該対象者端末10において使用されている値と異なる場合に、当該対象者端末10の第2の時間間隔を変更する必要があると判断してもよい。たとえば、治安レベル、交通量レベル、見守り充実レベル等の観点で、昼間は比較的安全であるが夜間は危険度が高くなる区域について、昼間の時間帯の第2の時間間隔を長く設定し、夜間の時間帯の第2の時間間隔を短く設定することができる。
【0100】
また、サーバー30は、対象者端末10の第1通信部13から発信される識別情報が所定の時間にわたり取得されない場合、当該識別情報に対応する対象者端末10の時間設定フラグおよび緊急フラグを設定する必要があると判断してもよい。
【0101】
また、サーバー30は、特定された対象者端末10の位置の推移に基づいて、対象者端末10が見守りエリア内の所定の範囲から見守りエリア内の所定の範囲以外に移動した場合、当該対象者端末10の時間設定フラグおよび緊急フラグを設定してもよい。
【0102】
なお、サーバー30は、上記のような各種の判断方法を複数組み合わせて実行してもよい。
【0103】
各種フラグを設定する必要がないと判断された場合(ステップS302:NO)、サーバー30は、ステップS304またはステップS301の処理に進む。サーバー30は、検出用端末20から識別情報を受信した場合は、ステップS301の処理に戻り、対象者端末10から識別情報を受信した場合は、ステップS304の処理に進む。
【0104】
各種フラグを設定する必要があると判断された場合(ステップS302:YES)、サーバー30は、当該対象者端末10に予め関連付けられた保護者端末40に通知すると共に、当該対象者端末10の時間設定フラグおよび緊急フラグを設定する(ステップS303)。上記のように時間設定フラグおよび緊急フラグを設定しておくことにより、当該対象者端末10が、第2通信部14によってサーバーと通信した際に、上記の各フラグを取得し、取得したフラグの内容に基づいて、対応する処理を実行することができる。
【0105】
ここで、保護者端末40への通知は、たとえば図9の(a)に示すような通知画面を保護者端末40の表示部44に表示させることによって実行される。あるいは、保護者端末40への通知は、予め登録された電子メールアドレスや各種メッセージングアプリケーションまたはSNSサービス等のアカウントに対してメッセージを送信することによって実行されてもよい。
【0106】
たとえば、図9の(a)に示す画面おいて、「はい」のボタンが押下されると、サーバー30は、該当する対象者の位置情報を保護者端末40に送信する(後述するステップS307の処理に相当)。これにより、保護者端末40の表示部44に、たとえば図9の(b)に示すような位置情報表示画面が表示される。
【0107】
図9の(b)の画面においては、対象者である「Aさん」の位置情報の推移が画面下方から上方に向かって時系列で表示されている。この画面では、午前9時から午前11時までは見守りエリアである「中央区」に位置していたAさんが、午前11時20分には見守りエリア外である「南区」に位置していることがGPS情報から検知されていることが示されている。さらに、図9の(b)の画面において、位置情報を示す各レコードの表示が押下されることによって、図9の(c)の画面に示すように、マップ情報を含めた詳細な位置情報が表示されてもよい。なお、画面の表示順や表示内容は上記の例に限定されず、様々な方法によって対象者の位置情報が表示され得る。たとえば、図8の(a)の画面において「はい」のボタンが押下されると、図9の(c)の画面が表示され、履歴ボタンの押下等の所定の操作が行われることによって図9の(b)の画面が表示されるようにしてもよい。
【0108】
また、サーバー30は、対象者端末10の第2通信部14から送信された識別情報および位置情報に基づいて、識別情報に対応する対象者端末10の位置を特定する(ステップS304)。サーバー30は、対象者端末10の識別情報と特定された位置を関連付けて記憶部32に登録する。
【0109】
続いて、サーバー30は、ステップS304の処理における対象者端末10の位置の特定状況に基づいて、各種フラグを設定する必要があるか否かを判断する(ステップS305)。
【0110】
たとえば、サーバー30は、ステップS304の処理において特定された対象者端末10の位置に基づいて、上述したステップS302の処理と同様の方法で、各種フラグを設定する必要があるか否かを判断する。
【0111】
また、サーバー30は、ステップS304の処理において特定された対象者端末の位置が、見守りエリア外である場合、当該対象者端末10の各種フラグを設定する必要があると判断してもよい。
【0112】
各種フラグを設定する必要がないと判断された場合(ステップS305:NO)、サーバー30は、ステップS307の処理に進む。
【0113】
各種フラグを設定する必要があると判断された場合(ステップS305:YES)、サーバー30は、当該対象者端末10に予め関連付けられた保護者端末40に通知すると共に、当該対象者端末10の時間設定フラグおよび緊急フラグを設定し、当該対象者端末10に時間設定フラグを送信する(ステップS306)。これにより、当該対象者端末10は、上記の各フラグを取得し、取得したフラグの内容に基づいて、対応する処理を実行することができる。
【0114】
続いて、サーバー30は、ステップS301およびステップS304の処理において登録された情報や、ステップS303およびステップS306の処理において通知された情報等を、保護者端末40において閲覧可能に出力する(ステップS307)。この出力処理は、保護者端末40からの要求等に基づいて任意のタイミングで実行され得る。
【0115】
なお、図8のシーケンスチャートでは、サーバー30は、検出用端末20経由で対象者端末10の識別情報を受信した後に、対象者端末10から直接識別情報を受信するフローとして説明したが、実際には、検出用端末20から識別情報を受信した場合はステップS301の処理を実行し、対象者端末10から識別情報を受信した場合はステップS304の処理を実行する。また、本システムの実際の使用環境においては、対象者端末10および検出用端末20はそれぞれ複数設けられることが想定され、サーバー30は、複数の対象者端末10および複数の検出用端末20のそれぞれについて上記のような処理を実行する。
【0116】
<緊急時情報取得処理>
対象者端末10の緊急時受付部151において、緊急事態の発生に関する指示が受け付けられた場合、図6のシーケンスチャートの処理フローに関わらず、対象者端末10は、ステップS104およびステップS105の処理を実行し、GPS機能を使用して位置情報を取得し、識別情報と位置情報を含めて緊急事態の発生を示す通知をサーバー30に送信する。その際、対象者端末10は、取得部16によって当該対象者端末10の周囲の音声や画像(映像)を取得し、音声や画像(映像)を示す情報をサーバー30に送信することができる。
【0117】
また、上記の緊急事態の発生に関する指示は、対象者端末10の緊急時受付部151において受け付ける形態に限定されず、サーバー30において緊急事態の発生を示す緊急フラグを設定しておく形態で受け付けられてもよい。この場合、対象者端末10がサーバー30と定期的な通信を行い、緊急フラグを取得した際に、対象者端末10において緊急事態の発生を通知するための指示が受け付けられ、GPS機能を使用して位置情報を取得し、サーバー30に送信する処理等が実行される。
【0118】
<見守り支援処理>
次に、見守り支援処理について説明する。
【0119】
図10は、見守り支援システムにおいて実行される見守り支援処理の流れを示すシーケンスチャートである。図11は、見守りに関する指示が出力される画面の一例を示す図である。
【0120】
図10に示すように、サーバー30は、情報取得部314として、対象者の見守りの必要性を判断したり推定したりするために必要または有効な各種情報を取得する(ステップS311)。たとえば、サーバー30は、対象者の行動履歴に関する情報、交通事故または事件の発生に関する事件事故情報、天候または天候の予報に関する天候情報、不審者、迷子、または徘徊の発生に関する警戒情報等を取得する。
【0121】
続いて、サーバー30は、ニーズ取得部312として、見守り担当者による見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得する(ステップS312)。具体的には、サーバー30は、見守りニーズ情報として、見守りが必要な、日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲のうちの少なくともいずれかに関する情報を取得する。たとえば、サーバー30は、見守り担当者または見守り担当者を管理するユーザーからの指示を受け付けることによって、見守りニーズ情報を取得する。指示の内容には、見守りが必要な、日時、曜日、時間帯、場所、経路、範囲等が含まれている。
【0122】
また、サーバー30は、ステップS311の処理において取得した情報を解析することによって見守りニーズ情報を取得してもよい。
【0123】
たとえば、対象者の行動履歴に関する情報を解析した結果に基づいて、これまで見守りの対象となっていなかった場所や時間等において、対象者の通行量が多かった場合は、当該場所や時間等においても見守りが必要であるといった内容を示す見守りニーズ情報が生成されうる。
【0124】
また、交通事故または事件の発生に関する事件事故情報を解析した結果に基づいて、たとえば、これまで見守りの対象となっていなかった場所や時間等において、交通事故や事件が発生している場合には、当該場所や時間等においても見守りが必要だということや、複数の見守り担当者が必要であるといった内容を示す見守りニーズ情報が生成されうる。
【0125】
また、天候または天候の予報に関する情報を解析した結果に基づいて、たとえば、雨や雪や風などの天候が悪い場合には、見守り担当者が集まらずに不足する可能性があることや、路面や視界の状況等が悪く事故が発生しやすい、といった内容を示す見守りニーズ情報が生成されうる。
【0126】
また、不審者、迷子、または徘徊の発生に関する警戒情報を解析した結果に基づいて、たとえば、これまで見守りの対象となっていなかった場所や時間等において、不審者、迷子、または徘徊が発生している場合には、当該場所や時間等においても見守りが必要だということや、複数の見守り担当者が必要であるといった内容を示す見守りニーズ情報が生成されうる。
【0127】
さらに、サーバー30は、受け付けた指示の内容と、取得した各種情報を解析した結果を組み合わせて、見守りニーズ情報を取得してもよい。
【0128】
続いて、検出用端末20bは、当該検出用端末20bを使用している見守り担当者等から、活動可能情報の登録を受け付ける(ステップS211)。活動可能情報は、見守り担当者が見守り活動を実施可能な日時、曜日、時間帯、場所、経路、範囲等を示す情報である。たとえば、見守り担当者が、検出用端末20bに、自身の活動可能情報を入力すると、検出用端末20bは、入力された活動可能情報を、自機の位置情報とあわせてサーバー30に送信する。サーバー30は、検出用端末20bから送信された活動可能情報を、当該検出用端末20bを使用する見守り担当者の活動可能情報として記憶部32に登録する。なお、活動可能情報は、上記のように見守り担当者自身によって登録されてもよく、あるいは管理者や他の見守り担当者等によって登録されてもよい。また、ステップS211の処理が実行されるタイミングは、図10に記載の例に限定されず、検出用端末20bは、任意のタイミングにおいて活動可能情報を受け付けることができ、受け付けた活動可能情報は随時サーバー30に送信されて登録されうる。
【0129】
続いて、サーバー30は、各見守り担当者の検出用端末20bから送信された活動可能情報や位置情報と、ステップS312の処理において取得された見守りニーズ情報に基づいて、見守りが必要となる日時、曜日、時間帯、場所、経路、または範囲において見守りが可能な見守り担当者を特定する(ステップS313)。サーバー30は、特定された見守り担当者に対する見守りに関する指示を決定し(ステップS314)、当該見守り担当者の検出用端末20bに送信する。
【0130】
たとえば、サーバー30は、見守りニーズ情報に基づいて、見守りが必要となる場所または範囲を特定し、特定された場所または範囲に存在する見守り担当者に対して、見守りに関する指示を通知してもよい。
【0131】
また、サーバー30は、見守りニーズ情報に基づいて、見守りが必要となる日時および場所を特定し、当該日時および場所を活動可能情報として含む見守り担当者を抽出してもよい。サーバー30は、たとえば、抽出された見守り担当者の中で、当該場所から最も近くに存在する見守り担当者を特定し、当該見守り担当者に対して、上記の日時および場所において見守りを行うように、見守りに関する指示を通知してもよい。
【0132】
また、サーバー30は、推定部316として、検出用端末20bの位置情報に基づいて、当該検出用端末20bを携帯する見守り担当者の移動距離、歩数、および消費エネルギー量の少なくとも一つに関する情報を推定してもよい。この場合、サーバー30は、推定された情報と、見守りニーズ情報とを考慮して、見守り担当者に適した散歩ルートまたはジョギングルートの提案を、見守りに関する指示として出力してもよい。
【0133】
たとえば、サーバー30が、ある見守り担当者の1日の歩数が6000歩であると推定した場合において、年齢や健康状態等に応じた目標歩数が8000歩に設定された場合、サーバー30は、たとえば、当該見守り担当者が少なくともあと2000歩分を歩くことができるような見守りを行う経路を、見守り担当者に適した散歩ルートとして提案することができる。たとえば、サーバー30は、見守りが必要な場所の中で、当該見守り担当者が所在している位置から1000歩に相当する距離(たとえば、700m)以上離れている場所に到達するための経路を、見守りに関する指示として通知する。これにより、見守り担当者は、見守りを行う場所までの往復によって少なくとも2000歩分を多く歩くことができる。なお、見守り担当者の移動距離または消費エネルギーが推定される場合においても、サーバー30が、たとえば上記の歩数の例と同様に、見守り担当者に適した散歩ルートまたはジョギングルートの提案を見守りに関する指示として通知することができる。
【0134】
また、サーバー30は、見守りに関する指示として、見守り担当者が見守りを実施することによって取得できる見守りポイントに関する情報をあわせて通知してもよい。見守りポイントに関する情報には、例えば、見守り担当者に付与されるポイントの値や、ポイントの倍率、特別な条件を満たした場合に付与されるボーナスポイントの値等、見守りの実施に応じて見守りポイントを付与するために必要な各種情報が含まれる。
【0135】
サーバー30は、受付部317として、予め管理者等から、見守りが必要となる日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲の少なくとも一つに対して、付与可能な見守りポイントの設定を受け付けて、記憶部32に記憶する。たとえば、見守りの必要性が高いにも関わらず、見守りを実施できる見守り担当者が少ないような時間や場所等における見守りの実施に対して、より多くのポイントが付与されるように設定することによって、見守り担当者が当該時間や場所等において見守りを行う意欲を高めることができる。これにより、見守りにおける需要と供給のバランスを適切に調整することができる。
【0136】
続いて、検出用端末20bは、サーバー30から送信された見守りに関する指示をディスプレイ等に表示して出力する(ステップS212)。たとえば、検出用端末20bは、サーバー30から送信された見守りに関する指示を、図11に示すような画面を表示して出力する。
【0137】
図11の画面においては、見守り担当者の現在地を含むマップが表示されており、見守りに関する指示として、ある日時において見守りが必要とされている場所がマップ上の丸印で示されている。また、丸印の近傍に付された数字や、丸印の大きさや色(濃度)によって、各場所で見守りを実施した際に見守り担当者に付与される見守りポイントの大きさが表現されている。図11の画面に表示されている日付や時間を変更することによって、任意に日時において見守りが必要とされている場所を確認することができる。なお、見守りに関する指示や見守りポイントに関する情報の出力方法は上記の例に限定されず、任意の方法で出力され得る。たとえば、見守りが必要な場所や範囲を示すテキストや図形を表示したり、見守りの必要度や見守りポイントの大きさによって色を異ならせたヒートマップを表示したり、それらを組み合わせて表示してもよい。あるいは、見守りが必要な日時や場所を直接的に示す画面やメッセージが出力されてもよい。
【0138】
たとえば、図11の画面において、見守り担当者によって見守りが必要な場所が選択されると、検出用端末20bは、見守りの実施に関する回答を受け付ける(ステップS213)。検出用端末20bは、受け付けた回答の内容をサーバー30に送信する。サーバー30は、送信された回答の内容を、以降の見守り関する指示に反映することができる。たとえば、見守り担当者から、ある時間にある場所において見守りを実施する旨の回答を受信した場合、サーバー30は、当該時間に当該場所において他の見守り担当者に対して見守りを要請する必要はないと判断することができる。また、検出用端末20bは、見守り担当者から、見守りが必要な場所までの移動手段に関する情報の入力を受け付けて、サーバー30に送信してもよい。サーバー30は、たとえば、見守り担当者の移動手段に応じて、付与する見守りポイントの値や付与率を異ならせてもよい。
【0139】
見守りを実行可能だと回答した見守り担当者は、指示の内容にしたがって見守りを行うべき場所に移動し、検出用端末20bを用いて見守りを実施する。具体的には、図8においても説明したように、検出用端末20bは、対象者端末10から発信された識別情報を取得し、取得した識別情報を、自機の位置情報とあわせてサーバー30に送信する。サーバー30は、検出用端末20bから送信された識別情報および位置情報に基づいて、対象者端末10の位置を特定して、保護者端末40に送信すること等によって出力する。
【0140】
サーバー30は、検出用端末20bから送信された各情報に基づいて、検出用端末20bによって実施された見守りの内容を判断し、予め設定された条件に基づいて付与する見守りポイントを計算し、見守り担当者に対して見守りポイントを付与する(ステップS315)。また、サーバー30は、各見守り担当者に付与された見守りポイントを集計し、集計された各見守り担当者の見守りポイントを閲覧可能に出力する。たとえば、サーバー30は、見守り担当者に対して、今回付与された見守りポイントと、これまでの累計が集計された情報等を含む、見守りポイントに関する情報を通知する。検出用端末20bは、サーバー30から通知された見守りポイントに関する情報をディスプレイ等に表示して、見守り担当者に対して、今回付与された見守りポイントや累計の見守りポイント等を通知する。
【0141】
また、サーバー30は、各見守り担当者に関する情報や各見守り担当者に付与されている見守りポイントに関する情報を、各見守り担当者が相互に参照できるように、各見守り担当者にメッセージを通知したり、専用のウェブページを提供したりしてもよい。さらに、サーバー30は、各見守り担当者が参加して、各自に関する情報を相互に参照したり、情報の掲示によって情報共有したり、個別またはグループでのメッセージ通信によって会話したりすることが可能なSNS等のプラットフォームを提供してもよい。また、サーバー30は、複数の見守り担当者によって構成され、見守りポイントを共有するグループの設定を受け付け、グループごとの見守りポイントを集計して、各見守り担当者がグループとしての見守りポイントを参照してもよく、他のグループの見守りポイントと比較できるようにしてもよい。
【0142】
図12は、集計された各見守り担当者の見守りポイントが閲覧可能に出力される画面の一例を示す図である。
【0143】
図12の画面においては、見守り担当者用のSNSに参加している見守り担当者であるAさん~Gさんに関する情報が、その週に獲得した見守りポイントの多い順にランキング形式で表示されている。図12の画面は、見守り担当者Aさんが使用しているスマートフォン(検出用端末20b)のディスプレイに表示されている。Aさんは、画面内の「メッセージ」というボタンをタッチすることによって、他の見守り担当者であるBさん~Gさんにテキストメッセージを送ったり、ボイスメッセージを送ったり、通話したりすることができる。また、画面右上の黒丸で囲まれた数字は、Aさんが受信している新着のメッセージの件数を示している。Aさんは、たとえば当該数字をタッチすることによって、受信しているメッセージを確認することができる。また、「今日」、「今月」、あるいは最近〇か月、最近〇年等のタブを選択することによって、見守りポイントの集計期間を変更して自身が獲得した見守りポイントや、ランキングを表示することができる。また、たとえば、Aさんの名前やアイコンをタッチすることによって、Aさんの見守りポイントの獲得状況や使用状況の詳細が表示されてもよい。さらに、図12の画面は、見守り担当者個人ごとの見守りポイントを表示しているが、たとえば画面右下の「グループ」のタブを選択することによって、見守りポイントを共有するグループごとの見守りポイントの獲得状況が表示される。
【0144】
検出用端末20bは、見守りポイントの利用に関する指示を見守り担当者から受け付けた場合、サーバー30と通信して見守りポイントを利用するための処理を実行する(ステップS214)。見守りポイントを利用するための処理は、検出用端末20bとサーバー30との間で実行されるオンラインポイント交換のような処理でもよく、あるいは、見守りポイントを様々な店舗において利用できるような電子マネーとして利用可能とするための処理でもよい。電子マネーとして利用可能とするための処理は、たとえば、バーコードを用いる方式や非接触ICを用いる方式等、任意の方式によって実装されうる。
【0145】
たとえば、バーコードを用いる場合、検出用端末20bのディスプレイに、見守り担当者を識別するための情報を1次元または2次元のバーコード等の形態として符号化して出力し、ポイントを利用可能な店舗等に設けられる店舗端末によって当該バーコード等を読み取ってもよい。この場合、店舗端末は、読み取ったバーコード等から見守り担当者を識別するための情報を取得し、利用するポイント数、店舗を識別するための情報等と共にサーバー30に送信する。あるいは、検出用端末20bのカメラによって、店舗に設けられた店舗を識別するための情報が符号化されたバーコード等を読み取ってもよい。この場合、検出用端末20bは、読み取ったバーコード等から店舗を識別するための情報を取得し、利用するポイント数、見守り担当者を識別するための情報等と共にサーバー30に送信する。
【0146】
サーバー30は、上記のように店舗端末または検出用端末20bから送信された各種情報と、見守り担当者ごとに記録されている付与された見守りポイントの情報に基づいて、ポイントの利用可否を判断し、判断結果に応じてポイントの残高を減算するなどして電子マネーとしてのポイント管理を実行する(ステップS316)。たとえば、サーバー30が、ポイントを利用可能と判断した場合は、サーバー30は、その旨を示す情報を店舗端末または検出用端末20bに送信して、ポイントの利用処理(請求金額からの利用ポイント分の減算処理等)が実行される。
【0147】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0148】
たとえば、上記の実施形態では、サーバー30において各フラグの設定要否を判断して各フラグを設定する例について説明したが、上記の判断および各フラグの設定を対象者端末10が実行するようにしてもよい。
【0149】
また、図6のステップS104の処理において、対象者端末10は第2の時間間隔が経過した際にはGPS機能を用いて位置情報を取得するものとして説明したが、対象者端末10の位置が、前回GPS機能を用いて位置情報を取得した位置と変化していないことが加速度センサー等の情報から判断できる場合は、GPS機能の使用を省略して前回取得した位置情報がそのまま用いられてもよい。これにより、対象者端末10のGPS機能による電力消費をより抑制することができる。
【0150】
また、上記の実施形態では、見守り支援システムに含まれるサーバー30等の各構成要素が一つの独立した装置として構成される例について説明したが、装置の構成はこれに限定されない。各構成要素は、複数の装置から構成されてもよく、あるいは他の機能を有する装置に含まれて構成されてもよい。たとえば、サーバー30は、多数のサーバーから構成されるクラウドサーバー上に分散して構成されてもよい。あるいは、サーバー30の機能を有するアプリケーションが検出用端末20、保護者端末40、管理者端末50等の各装置にインストールされ、各装置においてサーバー30の処理が実行されてもよい。
【0151】
また、上記の実施形態では、対象者端末10は、ボタン電池で駆動可能な小型の専用端末である例について説明したが、これに限定されない。対象者端末10は、スマートフォンやタブレット端末等であってもよく、対象者の腕部または頭部等に装着されるウェアラブル情報端末または埋込型の情報端末等であってもよい。この場合も、上記のような実施形態を適用することによって、電力消費量を大幅に低減しつつ、精度よく確実かつ効率的に対象者の位置が特定される。
【0152】
また、上述した実施形態に係る見守り支援システムの処理は、上述したステップ以外のステップを含んでもよく、あるいは、上述したステップのうちの一部を含まなくてもよい。また、ステップの順序は、上述した実施形態に限定されない。さらに、各ステップは、他のステップと組み合わされて一つのステップとして実行されてもよく、他のステップに含まれて実行されてもよく、複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0153】
上述した実施形態に係る見守り支援システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、見守り支援システムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【0154】
以上のように構成される本実施形態の見守り支援システムによれば、対象者端末と、検出用端末と、サーバーとを備える。対象者端末は、対象者に携帯され、近距離無線通信を介して識別情報を発信する。検出用端末は、対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、近距離無線通信を介して通信可能な対象者端末を検出する。サーバーは、対象者端末および検出用端末から送信される情報を登録する。検出用端末は、通信可能な対象者端末を検出し、対象者端末が検出された場合に、対象者端末から発信された前記識別情報を取得してサーバーに送信する。サーバーは、検出用端末から送信された識別情報と、検出用端末の位置に関する情報とを取得し、取得された識別情報および検出用端末の位置に関する情報に基づいて、対象者端末の位置を特定する。また、サーバーは、見守り担当者による見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得し、取得された見守りニーズ情報に基づいて、検出用端末に対して見守りに関する指示を出力する。
【0155】
上記のように、見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得して、取得された見守りニーズ情報に基づいて検出用端末に対して見守りに関する指示を出力できるため、対象者の位置を電力効率および精度よく位置を検出できるとともに、検出用端末を保持する見守り担当者を効率的かつ効果的に配備できるようにすることができる。したがって、近年における共働き世帯の増加や高齢化等の社会環境の変化によって発生している見守りの担い手の不足という社会的な問題についても、見守り担当者の効率的かつ効果的な配備によって解決や緩和を図ることができる。また、たとえば、地域の高齢者に本システムの見守り担当者の役割を担ってもらうことにより、高齢者が抱える大きな悩みや不安である生活の充実、生き甲斐、社会とのつながり、孤独、健康といった問題を解消しつつ、地域の見守り環境を充実させることができる。
【0156】
また、見守り支援システムにおいて、検出用端末20bは、見守りエリアを含む領域を移動する移動体に設けられ、GPS衛星からの信号に基づいて当該検出用端末20bの位置に関する情報を取得してサーバー30に送信する。そして、サーバー30は、検出用端末20bから送信された情報に基づいて当該検出用端末20bの位置に関する情報を取得する。これにより、見守りエリア内を移動する見守り人が携帯するスマートフォンや移動するタクシー等に設置されたタブレットPC等の情報端末を検出用端末として使用できる。したがって、見守りエリア内にくまなく固定端末を設置することなく、対象者端末10の位置を精度よく特定することができる。
【0157】
また、サーバー30は、見守りニーズ情報として、見守りが必要な、日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲のうちの少なくともいずれかに関する情報を取得する。これにより、見守りが必要とされている状況を具体的かつ効率的に特定することができ、検出用端末20bを保持する見守り担当者をより効率的かつ効果的に配備できるようにすることができる。
【0158】
また、サーバー30は、見守り担当者または見守り担当者を管理する管理者からの指示を受け付けることによって、見守りニーズ情報を取得する。これにより、見守りが必要な状況を詳細に把握している見守り担当者または管理者の指示に基づいて見守りニーズ情報を取得できるため、検出用端末20bを保持する見守り担当者をより効率的かつ効果的に配備できるようにすることができる。
【0159】
また、サーバー30は、対象者の行動履歴に関する情報をさらに取得し、取得された対象者の行動履歴に関する情報に基づいて、見守りの必要性を推測することによって、見守りニーズ情報を取得する。これにより、対象者の実際の行動履歴に基づいて見守りの必要性を判断できる。したがって、たとえば、登下校中の通学路といった対象者がよく通行するものとして認識されている時間や場所以外においても、見守りが必要な時間や場所を判断して見守り担当者に見守りを行わせることができる。
【0160】
また、サーバー30は、交通事故または事件の発生に関する事件事故情報をさらに取得し、取得された事件事故情報をさらに考慮して見守りの必要性を推測することによって、見守りニーズ情報を取得する。これにより、実際に発生した交通事故や事件に関する情報に基づいて見守りの必要性を判断できる。したがって、たとえば、交通事故や事件が発生した時間や場所、あるいは発生しやすいと推定される時間や場所を、見守りが必要な時間や場所として設定して、見守り担当者に優先的に見守りを行わせることができる。
【0161】
また、サーバー30は、天候または天候の予報に関する天候情報をさらに取得し、取得された天候情報をさらに考慮して見守りの必要性を推測することによって、見守りニーズ情報を取得する。これにより、天候または天候の予報に関する情報に基づいて見守りの必要性を判断できる。したがって、たとえば、天候が悪い日には、通常よりも多くの見守り担当者に対して見守りに関する指示を通知したり、通常よりも多くの見守りポイントを付与する旨を通知したりすることができ、より確実かつ効果的に見守り担当者を配備することができる。
【0162】
また、サーバー30は、不審者、迷子、または徘徊の発生に関する警戒情報をさらに取得し、取得された警戒情報をさらに考慮して見守りの必要性を推測することによって、見守りニーズ情報を取得する。これにより、不審者、迷子、または徘徊の発生等の注意・警戒すべき事象の発生情報に基づいて見守りの必要性を判断でき、より確実かつ効果的に見守り担当者を配備することができる。
【0163】
また、サーバー30は、見守りニーズ情報に基づいて判断される、見守りが必要な場所または範囲に存在する見守り担当者に対して、見守りに関する指示を通知する。これにより、見守りを実施可能な見守り担当者と、見守りに関するニーズとをマッチングさせることができ、効果的かつ効率的に安心で安全な環境を構築することができる。
【0164】
また、サーバー30は、見守り担当者が活動可能な日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲の少なくとも一つに関する活動可能情報の登録を受け付け、登録を受け付けた活動可能情報に基づいて、見守りが必要となる日時、曜日、時間帯、場所、経路、または範囲において見守りが可能な見守り担当者を特定し、特定された見守り担当者に対して、見守りに関する指示を通知する。これにより、各見守り担当者が見守りを実施可能な条件を考慮して、見守りに関するニーズとマッチングさせることができ、より効果的かつ効率的に安心で安全な見守り環境を構築することができる。
【0165】
また、検出用端末20bは、見守りに関する指示を出力するとともに、見守り担当者から見守りの実施に関する回答の入力を受け付けてサーバー30に送信し、サーバー30は、検出用端末20bから送信された回答を考慮して、見守りに関する指示を出力する。これにより、見守り担当者への指示に対する回答を、新たな見守りに関する指示に反映させることができる。その結果、たとえば、複数の見守り担当者に対して同じ場所で見守りを行うように指示を通知した場合でも、一人の見守り担当者が当該場所で見守りを実施する旨を回答した場合には、他の見守り担当者に対して、重複した指示を継続して通知してしまうことを抑止できる。
【0166】
また、サーバー30は、取得された検出用端末20bの位置に関する情報に基づいて、当該検出用端末20bを携帯する見守り担当者の移動距離、歩数、および消費エネルギー量の少なくとも一つに関する情報を推定し、推定された情報と、見守りニーズ情報とを考慮して、見守り担当者に適した散歩ルートまたはジョギングルートの提案を、見守りに関する指示として出力する。これにより、見守り担当者は、見守りが必要とされている時間や場所において見守りを行いつつ、移動距離、歩数、消費エネルギーに応じた適切な散歩ルートやジョギングルートを把握することができる。したがって、見守り担当者は、社会への貢献によるさらなる生き甲斐を感じつつ、自らの健康の維持や増進も図ることができる。見守りの担い手として期待されている高齢者が本システムを用いた見守り活動に参加する強い動機となり得る。さらに、高齢者が本システムを用いた見守り活動に参加するために、検出用端末20bとしてスマートフォンを所持するようになることで、高齢者自身の位置を把握しやすくなり、また、家族と連絡を取りやすくなるため、さらに人々がつながって生き生きと活動できる安心安全な社会の構築につなげることができる。
【0167】
また、サーバー30は、検出用端末20bに設けられた加速度センサーの検知結果を考慮して、当該検出用端末20bを携帯する見守り担当者の移動距離、歩数、および消費エネルギー量の少なくとも一つに関する情報を推定する。これにより、検出用端末20bおよび見守り担当者の移動状況をより正確に把握することができ、より適切な散歩ルートやジョギングルートを提案したり、見守りの実施状況をより正確に把握して、より適切に見守りポイントを付与したりすることができる。
【0168】
また、サーバー30は、見守りが必要となる日時、曜日、時間帯、場所、経路、および範囲の少なくとも一つに対して、付与可能な見守りポイントの設定を受け付け、付与可能な見守りポイントが設定された日時、曜日、時間帯、場所、経路、または範囲において、見守りを行った見守り担当者に対して、対応する見守りポイントを付与する。これにより、たとえば、見守りが必要な日時や場所ごとの見守りの必要度や見守り担当者の充実度に応じて、付与される見守りポイントを設定することができる。したがって、たとえば見守りの必要度が高い場所や、見守り担当者が手薄な場所等において、見守り担当者が見守りを実施するモチベーションを与えることができる。その結果、見守り担当者を適切に配備することができ、より効果的かつ効率的に安心で安全な見守り環境を構築することができる。
【0169】
また、サーバー30は、見守り担当者が見守りを行う際に使用する移動手段に応じて、付与可能な見守りポイントの設定をさらに受け付け、見守り担当者が使用した移動手段に応じて、見守りポイントを付与する。たとえば、環境にも優しく、健康増進にもつながる徒歩で移動して見守りを行った場合には、付与する見守りポイントの値やポイント倍率の値を高く設定し、自家用車で移動して見守りを行った場合には、付与する見守りポイントの値やポイント倍率の値を低く設定することができる。この場合、徒歩での移動に対して高い見守りポイントを付与することができるため、見守り担当者が徒歩で移動して見守りを行うモチベーションを与えることができ、環境保護や健康増進につなげることができる。
【0170】
また、サーバー30は、各見守り担当者に付与された見守りポイントを集計し、集計された各見守り担当者の見守りポイントを閲覧可能に出力する。これにより、各見守り担当者は、自身に付与された見守りポイントを確認することができ、見守りを行っているという実感や見守りポイントがたまっていくことによる達成感等を得ることができる。また、他の見守り担当者に付与された見守りポイントを確認できるようにすることにより、見守り担当者同士でお互いに刺激し合ったり、競争を促進したりすることができ、結果として、見守りを行うことに対する意識を高めることができる。さらに、たとえば地域の高齢者に見守り担当者の役割を担ってもらう場合、見守りの実施や見守りポイントの蓄積が、高齢者同士での共通の取り組みや話題となり、高齢者同士のコミュニケーションを促進したり充実させたりすることができる。その結果、孤独、生き甲斐、健康といった高齢者が抱える大きな悩みや不安を、本システムの見守り担当者として活動してもらうことによって、解消したり軽減したりすることができる。
【0171】
また、サーバー30は、集計された各見守り担当者の見守りポイントを、電子マネーとして使用可能に管理する。これにより、見守りを行うことによって貯めたポイントを、汎用的な電子決済手段や地域マネー等を含む電子マネーとして使用させることができる。したがって、見守り担当者が見守りを行って見守りポイントを獲得するモチベーションがより高まり、見守り担当者をより効率的かつ効果的に配備できるようになる。
【0172】
また、サーバー30は、見守りポイントを共有する見守り担当者のグループの設定を受け付け可能であり、各見守り担当者に付与された見守りポイントをグループごとに集計し、集計された各グループの見守りポイントを閲覧可能に出力する。これにより、各見守り担当者にグループやチームとしての仲間意識や目標達成意識が生まれやすくなり、また他のグループとの競争意識も刺激され、地域全体としての見守り活動を活性化できるとともに、地域でのコミュニケーションも活性化され得る。
【0173】
本出願は、2021年12月24日に出願された日本特許出願(特願2021-210263号)に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として組み入れられている。
【0174】
なお、以下の実施形態も本発明の範囲に含まれる:請求項2の特徴を有する請求項1に記載の見守り支援システム;請求項3の特徴を有する請求項1または2に記載の見守り支援システム;請求項4の特徴を有する請求項1~3のいずれかに記載の見守り支援システム;請求項5の特徴を有する請求項4に記載の見守り支援システム;請求項6の特徴を有する請求項4または5に記載の見守り支援システム;請求項7の特徴を有する請求項4~6のいずれかに記載の見守り支援システム;請求項8の特徴を有する請求項1~7のいずれかに記載の見守り支援システム;請求項9の特徴を有する請求項1~8のいずれかに記載の見守り支援システム;請求項10の特徴を有する請求項1~9のいずれかに記載の見守り支援システム;請求項12の特徴を有する請求項11に記載の見守り支援システム;請求項13の特徴を有する請求項1~12のいずれかに記載の見守り支援システム;請求項14の特徴を有する請求項13に記載の見守り支援システム;請求項15の特徴を有する請求項13または14に記載の見守り支援システム;請求項16の特徴を有する請求項15に記載の見守り支援システム;請求項17の特徴を有する請求項15または16に記載の見守り支援システム;情報処理装置を請求項18に記載の見守り支援装置として機能させるための見守り支援プログラム。
【符号の説明】
【0175】
10 対象者端末、
11 制御部、
12 記憶部、
13 第1通信部、
14 第2通信部、
15 受付部、
151 緊急時受付部、
152 取得指示受付部、
16 取得部、
17 出力部、
171 音声出力部、
172 光出力部、
20、20a、20b 検出用端末、
21 制御部、
22 記憶部、
23 通信部、
24 検出部、
30 サーバー、
31 制御部、
32 記憶部、
33 通信部、
40 保護者端末、
41 制御部、
42 記憶部、
43 通信部、
44 表示部、
45 操作受付部、
46 音声入出力部
50 管理者端末、
51 制御部、
52 記憶部、
53 通信部、
54 表示部、
55 操作受付部、
56 音声入出力部。
【要約】
【課題】対象者の位置を電力効率および精度よく位置を検出できる見守りシステムにおいて、見守り担当者を効率的かつ効果的に配備できるようにするための見守り支援システムを提供する。
【解決手段】対象者端末10は、近距離無線通信を介して識別情報を発信する。検出用端末20bは、対象者を検出して見守りを行う見守り担当者に携帯され、通信可能な対象者端末10から発信された識別情報をサーバー30に送信する。サーバー30は、検出用端末20から送信された情報に基づいて、対象者端末10の位置を特定すると共に、見守り担当者による見守りの必要性に関する見守りニーズ情報を取得し、見守りニーズ情報に基づいて、検出用端末20bに対して見守りに関する指示を出力する。
【選択図】図1
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