(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】液状被包装物の吐出制御装置および液状被包装物の吐出制御方法
(51)【国際特許分類】
B65B 3/26 20060101AFI20230907BHJP
B65B 3/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B65B3/26
B65B3/02
(21)【出願番号】P 2018208702
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2020-10-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000206233
【氏名又は名称】大成ラミック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 宏一
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 幸彦
【合議体】
【審判長】藤原 直欣
【審判官】森本 哲也
【審判官】西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】実公昭36-995(JP,Y1)
【文献】特開2006-264755(JP,A)
【文献】特開昭62-146128(JP,A)
【文献】特開昭56-146527(JP,A)
【文献】特開2012-6607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B3/00-3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクから液状被包装物を所要の流量で連続して供給するポンプと、
該ポンプと液状被包装物を吐出するノズルとをつなぐメイン配管と、
内部に被加圧媒体を有し、液状被包装物を前記メイン配管から分岐させて一時的に蓄積するバッファー装置と、
前記メイン配管上の、前記ノズルに隣接する位置に設けられ、該メイン配管からノズルに供給される液状被包装物の流量を調整する絞り弁と、
を備え、
前記バッファー装置は、前記被加圧媒体の容積を減らしながら液状被包装物を蓄積する一方、その蓄積した液状被包装物を、被加圧媒体の容積を増やしながら、その被加圧媒体の圧力によって流出させるように構成されると共に、前記被加圧媒体の圧力を調整する圧力調整手段を備え、
該圧力調整手段は、前記ポンプから連続して供給される液状被包装物の所要量を、前記絞り弁の開度に応じて前記ノズルから吐出する際に、前記被加圧媒体の圧力を調整して、液状被包装物の吐出速度をコントロールするものであることを特徴とする液状被包装物の吐出制御装置。
【請求項2】
前記被加圧媒体は、空気、窒素またはアルゴンの気体であることを特徴とする請求項1に記載の液状被包装物の吐出制御装置。
【請求項3】
前記バッファー装置は、上部の前記被加圧媒体と下部の蓄積した液状被包装物とを仕切る仕切り部材を具えることを特徴とする請求項1または2に記載の液状被包装物の吐出制御装置。
【請求項4】
前記バッファー装置は、前記メイン配管から液状被包装物が進入する入口部と、該バッファー装置内の液状被包装物を、前記メイン配管へ戻す出口部とを有し、該入口部と出口部とが
該バッファー装置内に設けられた隔壁を介して完全に離隔されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の液状被包装物の吐出制御装置。
【請求項5】
前記ノズルは、液状被包装物が充填包装された包装体を連続して製造する充填包装機に備えられ、長尺の包装用フィルムを送り出しながら、該包装用フィルムの両側縁どうしを走行方向に縦シールして筒状にした、該筒状の包装用フィルム内に液状被包装物を充填するものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の液状被包装物の吐出制御装置。
【請求項6】
ポンプを連続運転させながら、液状被包装物をノズルから所要の流量で連続的または間欠的に吐出する方法であって、
前記ポンプと前記ノズルとをつなぐメイン配管上の、該ノズルの近傍位置に絞り弁を設けると共に、前記ポンプと該絞り弁との間に、前記メイン配管から分岐させて内部に被加圧媒体を有するバッファー装置を設け、
該バッファー装置は、前記被加圧媒体の圧力を調整する圧力調整手段を有し、
前記ポンプから連続して供給される液状被包装物から、前記絞り弁の開度に応じて所要量を前記ノズルに供給するにあたり、
前記ポンプから供給される液状被包装物の流量が、前記ノズルへの供給量に対して過剰な場合には、その余剰分を前記バッファー装置内に前記被加圧媒体の容積を減らしながら蓄積させる一方、前記ポンプから供給される液状被包装物の流量が、前記ノズルへの供給量に対して不足する場合には、その不足分を、前記バッファー装置内に蓄積した液状被包装物を前記被加圧媒体の容積を増やしながら、その被加圧媒体の圧力によって供給することで補うと共に、
前記圧力調整手段によって被加圧媒体の圧力を調整することで、前記ノズルから吐出される液状被包装物の吐出速度をコントロールすることを特徴とする液状被包装物の吐出制御方法。
【請求項7】
前記被加圧媒体は、空気、窒素またはアルゴンの気体であることを特徴とする請求項6に記載の液状被包装物の吐出制御方法。
【請求項8】
前記バッファー装置は、上部の前記被加圧媒体と下部の蓄積した液状被包装物とを仕切る仕切り部材を具えることを特徴とする請求項6または7に記載の液状被包装物の吐出制御方法。
【請求項9】
前記バッファー装置は、前記メイン配管から液状被包装物が進入する入口部と、該バッファー装置内の液状被包装物を、前記メイン配管へ戻す出口部とを有し、該入口部と出口部とが
該バッファー装置内に設けられた隔壁を介して完全に離隔されていることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の液状被包装物の吐出制御方法。
【請求項10】
前記ノズルは、液状被包装物が充填包装された包装体を連続して製造する充填包装機に備えられ、長尺の包装用フィルムを送り出しながら、該包装用フィルムの両側縁どうしを走行方向に縦シールして筒状にすると共に、該筒状の包装用フィルム内に液状被包装物を充填するものであることを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の液状被包装物の吐出制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプによって液状ないし粘稠状あるいはゼリー状等の流動性物質からなる被包装物(以下、「液状被包装物」と言う。)を連続で供給しながら、該液状被包装物を所要の流量で、かつ所要のタイミングでノズルに供給することができる液状被包装物の吐出制御装置と吐出制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、軟質の包装用フィルムによって飲食物、調味液、医薬品、化粧品等の液状の被包装物を自動充填包装することが広く一般に行われている。
【0003】
このような液状被包装物の充填包装機は、例えば、特許文献1に記載されているように、一軸もしくは二軸延伸ベースフィルム層と無延伸のシーラント層との積層構造からなる包装用フィルム、またはベースフィルム層に感熱接着層をパートコートした単層構造になる包装用フィルムを、シーラント層あるいは感熱接着層が内側になるように中央部で折り返し、その折り返しフィルムの側縁部分を重ね合わせ、一対の縦シールロールによって加熱および加圧することにより互いに溶着させながら下方へ送り、長手方向に延在する縦シール部を形成することで、その包装用フィルムを筒状に成形する。
【0004】
次いで、この筒状に成形された包装用フィルム内に、ノズルから被包装物を連続的に充填しながら、該包装用フィルムを、横シール装置の、一対の横シールロールのそれぞれの周囲に周方向に等間隔に位置する複数本のヒートシールバーで順次に加熱および加圧することで、該包装用フィルムの内表面同士を溶着して横シール部を形成することで包装袋を連続して製袋する。なお、連続的に製造される包装袋は、横シール箇所の中間部を切断機構により切断して、単包または複数包が連続する連包状態で搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の充填包装機では、上記したように液状被包装物を連続的に充填しながら横シール部を形成する際に、横シールロールのヒートシールバーによって筒状の包装用フィルム内にある液状被包装物を押し出しながら横シールを施すことで、液状被包装物の横シール部内への噛み込みを抑制している。しかしながら、液状の被包装物が例えば、ドレッシングのように粒状物等を含むものである場合には、該粒状物等をヒートシールバーで押し出すことができず、横シール部内に噛み込まれてしまうおそれがあり、このように横シール部内へ粒状物等が噛み込まれてしまうと、美観を損なうばかりでなく、発泡が発生する等、シール不良が生じ、液状被包装物が漏れ出すおそれもある。
【0007】
そのため、粒状物等を含む液状被包装物を充填包装する場合には、筒状の包装用フィルムへの1の横シール部の形成から、その次の横シール部の形成までの間に、液状被包装物を充填ノズルから間欠的に充填することで、横シール部内への粒状物等の噛み込みを防止しているが、この場合、走行する前記筒状の包装用フィルムへの横シール部の形成のタイミングに合わせて、液状被包装物の送液ポンプを間欠運転や加減速運転させる必要があり、前記送液ポンプから前記充填ノズルまでの圧力損失や、送液ポンプの脈動等によって、液状被包装物の充填のタイミングを正確に合わせることが難しく、横シール部内にシワの発生や、液状被包装物の噛み込み等の問題が生じ、シール不良を十分に抑制することができなかった。
【0008】
そこで、本発明では、液状被包装物を供給するポンプを、間欠運転や加減速運転させることなく、同条件で運転したまま、液状被包装物を所要の流量で、かつ所要のタイミングでノズルに供給することのできる液状被包装物の吐出制御装置と吐出制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的の実現に向けた研究の中で、発明者は、タンクから液状被包装物を所要の流量で連続して供給するポンプと、該ポンプと液状被包装物を吐出するノズルとをつなぐメイン配管と、内部に被加圧媒体を有し、液状被包装物を前記メイン配管から分岐させて一時的に蓄積するバッファー装置と、前記メイン配管上の、前記ノズルに隣接する位置に設けられ、該メイン配管からノズルに供給される液状被包装物の流量を調整する絞り弁と、を備え、前記バッファー装置は、前記被加圧媒体の容積を減らしながら液状被包装物を蓄積する一方、その蓄積した液状被包装物を、被加圧媒体の容積を増やしながら、その被加圧媒体の圧力によって流出させるように構成されると共に、前記被加圧媒体の圧力を調整する圧力調整手段を備え、該圧力調整手段は、前記ポンプから連続して供給される液状被包装物の所要量を、前記絞り弁の開度に応じて前記ノズルから吐出する際に、前記被加圧媒体の圧力を調整して、液状被包装物の吐出速度をコントロールするものであることを特徴とする液状被包装物の吐出制御装置が有効であることを突き止め、本発明を開発するに到った。
【0010】
また、本発明では、ポンプを連続運転させながら、液状被包装物をノズルから所要の流量で連続的または間欠的に吐出する方法であって、前記ポンプと前記ノズルとをつなぐメイン配管上の、該ノズルの近傍位置に絞り弁を設けると共に、前記ポンプと該絞り弁との間に、前記メイン配管から分岐させて内部に被加圧媒体を有するバッファー装置を設け、該バッファー装置は、前記被加圧媒体の圧力を調整する圧力調整手段を有し、前記ポンプから連続して供給される液状被包装物から、前記絞り弁の開度に応じて所要量を前記ノズルに供給するにあたり、前記ポンプから供給される液状被包装物の流量が、前記ノズルへの供給量に対して過剰な場合には、その余剰分を前記バッファー装置内に前記被加圧媒体の容積を減らしながら蓄積させる一方、前記ポンプから供給される液状被包装物の流量が、前記ノズルへの供給量に対して不足する場合には、その不足分を、前記バッファー装置内に蓄積した液状被包装物を前記被加圧媒体の容積を増やしながら、その被加圧媒体の圧力によって供給することで補うと共に、前記圧力調整手段によって被加圧媒体の圧力を調整することで、前記ノズルから吐出される液状被包装物の吐出速度をコントロールすることを特徴とする液状被包装物の吐出制御方法を提案する。
【0011】
本発明においては、さらに下記のような構成にすることがより好ましい解決手段となる。即ち、
(1)前記被加圧媒体は、空気、窒素またはアルゴンの気体であること、
(2)前記バッファー装置は、上部の前記被加圧媒体と下部の蓄積した液状被包装物とを仕切る仕切り部材を具えること、
(3)前記バッファー装置は、前記メイン配管から液状被包装物が進入する入口部と、該バッファー装置内の液状被包装物を、前記メイン配管へ戻す出口部とを有し、該入口部と出口部とが該バッファー装置内に設けられた隔壁を介して完全に離隔されていること、
(4)前記ノズルは、液状被包装物が充填包装された包装体を連続して製造する充填包装機に備えられ、長尺の包装用フィルムを送り出しながら、該包装用フィルムの両側縁どうしを走行方向に縦シールして筒状にした、該筒状の包装用フィルム内に液状被包装物を充填するものであること、
である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液状被包装物のポンプと液状被包装物を吐出するノズルとをつなぐメイン配管から分岐して、内部に被加圧媒体を有するバッファー装置を設けたことにより、ポンプからの液状被包装物の吐出量とノズルからの吐出量との差を該バッファー装置によって調整することができるため、例えば、液状被包装物を間欠的に充填する場合や、流量に緩急をつけて充填(加減吐出)させる場合にも、前記ポンプを、定量吐出(一定回転)条件で連続で運転させたまま、所要量の液状被包装物をノズルから吐出させることができる。
例えば、ポンプからの液状被包装物の吐出量が、ノズルからの吐出量に対して過剰になると、その余剰分が、バッファー装置内に、前記被加圧媒体の容積を減らしながら蓄積され、一方、ポンプの吐出量が、ノズルからの吐出量に対して不足すると、前記メイン配管内の圧力低下に伴って、バッファー装置内に蓄積された被加圧媒体が容積を増やしながらその被加圧媒体の圧力によって、該バッファー装置内に蓄積された液状被包装物をメイン配管へと押し出して、その不足分を補うことができる。
【0013】
また、本発明では、前記ポンプと前記ノズルとをつなぐメイン配管上の、該ノズルに隣接する位置に流量調整用の絞り弁を設けたことで、該絞り弁の開度変更による流量の変化を、タイムラグを生じることなく、レスポンス良くノズルに伝えることができるため、例えば、液状被包装物を充填包装機において連続して製造される包装袋内に間欠充填する場合にも、充填包装機の包装用フィルムの走行速度や充填条件等に合わせて、タイミングよく液状被包装物を充填することができ、シール不良等の発生を抑制することができる。
【0014】
また、本発明によれば、液状被包装物を間欠充填する場合に、前記絞り弁を閉状態から開状態にすると、液状被包装物がポンプの吐出圧力と、例えば、圧縮された空気からなる被加圧媒体の膨張する圧力とによって瞬間的に押し出され、前記ノズルから勢いよく高速で吐出させることができるため、充填速度を従来よりも速めることができ生産性を向上させることができる。さらに、本発明では、前記バッファー装置に、内部の被加圧媒体の圧力を調整する圧力調整手段を設けることで、例えば、前記被加圧媒体の圧縮圧力を高めて、前記ノズルからの液状被包装物の吐出速度をさらに速める等、液状被包装物の吐出速度をコントロールすることができる。
【0015】
前記被加圧媒体は、圧縮可能な空気や窒素、アルゴンなどの気体であることが好ましいが、液状被包装物が空気等の被加圧媒体を溶解しやすい性質や、被加圧媒体によって影響を受けやすい性質を有する場合には、被加圧媒体を油等の液体とすることもできる。
【0016】
また、本発明では、バッファー装置の上部に位置する被加圧媒体と、下部に位置する液状被包装物との間に、その両者の混合を抑制する仕切り部材として、例えば仕切り板を設け、前記したように液状被包装物のポンプからの吐出量およびノズルからの吐出量に応じて、バッファー装置上部に位置する前記被加圧媒体の容積が増減すると、前記仕切り板を介して、液状被包装物がバッファー装置内に蓄積、あるいは蓄積された液状被包装物がメイン配管へと押し出されることになる。
【0017】
さらに、本発明によれば、前記バッファー装置に、メイン配管から分岐した液状被包装物が進入する入口部と、該バッファー装置からメイン配管へと戻る出口部を設け、入口部と出口部との間に例えば壁部を設ける等して、該入口部と出口部とが完全に離隔されるような構造とすることで、バッファー装置内に送給された液状被包装物が順次に押し出され、先に蓄積された液状被包装物がバッファー装置内に残留することがなく、常に新鮮な液状被包装物をノズルから吐出させることができる。
【0018】
また、本発明の吐出制御装置を充填包装機に備えれば、該充填包装機内を走行する包装用フィルムへの横シール部の形成のタイミングに合わせて、ポンプを間欠運転または加減速運転させる必要がなく、横シール部内へのシワの発生や液状被包装物の噛み込み等の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明の液状被包装物の吐出制御装置の一実施形態を示す模式図である。
【
図3】バッファー装置の他の実施形態を示す模式図である。
【
図4】バッファー装置の他の実施形態を示す模式図である。
【0020】
以下は、本発明の液状被包装物の吐出制御装置および吐出制御方法について、これを充填包装機に設けられるノズルの吐出制御に適用させた場合を一実施形態として説明する。なお、本発明の吐出制御装置および吐出制御方法は、充填包装機に適用することに限定されるものではなく、液状被包装物をノズルから吐出する各種の装置に適用することができる。
【0021】
図1は、充填包装機の一例としての縦型充填包装機の構成を示す模式図である。なお、充填包装機としては、このような縦型充填包装機のみならず、縦型ピロー充填包装機や横ピロー充填包装機、多列充填包装機等の各種の包装機に好適に利用することができる。
【0022】
図1の充填包装機20は、例えば、2軸延伸したナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等からなるベースフィルム層と、例えば各種ポリエチレン樹脂等からなるシーラント層とを積層した積層フィルムからなる1枚の長尺の包装用フィルムをその長手方向に連続的に走行させながら、そのシーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返してその両側縁部同士を重ね合わせて、その包装用フィルムを多数の包装袋に連続的に製袋しつつ、各包装袋内に飲食物、調味料、医薬品、化粧品その他の液状ないし粘稠状あるいはゼリー状等の流動性物質からなる液状被包装物を自動的に充填するものであり、図に示すように主として、フィルム折返し部21と、縦シール部形成部22と、被包装物供給部25と、横シール部形成部としての第1の横シール部形成部26および第2の横シール部形成部29と、包装袋Wを単包または複数包ずつに切断する切断部30とを具えてなる。なお、第1の横シール部形成部26および第2の横シール部形成部29は、一対のシールロールやシール板等によって構成することができる。
【0023】
フィルム折返し部21では、フィルムロールRから連続的に繰出されて走行する1枚の長尺の包装用フィルムFを上方から下方へ連続的に走行させながら、その走行中にU字状および逆L字状の2本のガイドロッドで案内しつつ包装用フィルムFをそのシーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返し、図では包装用フィルムFの左端部に位置するその両側縁部同士を重ね合わせる。
【0024】
縦シール部形成部22では、包装用フィルムFの折り返して重ね合わせた両側縁部同士を1対の縦シールロール23によって包装用フィルムFの長手方向(縦方向)に連続的に加熱および加圧して縦シール部24を形成し、これにより包装用フィルムFを筒状に形成する(筒状包装用フィルムF’)。
【0025】
被包装物供給部25では、後述する
図2に示す本発明の吐出制御装置1から供給される液状被包装物Mを、上記1対の縦シールロール23の間を上方から下方へ貫通しているノズル7によって、筒状包装用フィルムF’の内側へ連続的に、または所定量ずつ間欠的に充填する。
【0026】
第1横シール部形成部26では、筒状包装用フィルムF’をその長手方向に一定間隔をおいて、図では紙面と直交する方向に平行に並んだヒートシールロールとして、1対の横シールロール27によって全幅に亘り加熱しつつ加圧して互いに溶着させて間欠的に横シール部28を形成する。その後、第1横シール部形成部26と同様の構成の第2横シール部形成部29で、横シール部28を再押圧して該シールを確実なものとし、これにより多数の包装体Wが包装用フィルムFの長手方向へ繋がった状態で連続的に製袋される。次いで、連続包装された包装体Wの、横シール部28の走行方向略中間部を切断部30によって切断することで、個々の包装体Wが得られることになる。
【0027】
吐出制御装置1は、
図2に示すように主に液状被包装物Mのタンク2、ポンプ3、メイン配管4、バッファー装置5、絞り弁6および充填包装機20内に位置するノズル7から構成されている。
【0028】
なお、ポンプ3は、吐出圧力を加減できるものであればどのようなものであっても良く、例えば、ロータリーポンプや一軸偏心ねじポンプを用いることができる。
【0029】
バッファー装置5は、メイン配管4から分岐した位置にあり、例えば内部が空洞の容器からなり、被加圧媒体8が封入されている。なお、被加圧媒体8としては、空気や窒素、アルゴンなどの圧縮可能な気体を用いることが好ましいが、油などの液体、バネ等の伸縮手段を用いてもよく、液状被包装物Mが、被加圧媒体8を溶解しやすい性質からなる場合や、被加圧媒体8によって影響を受けやすい性質を有する場合に好適である。
【0030】
絞り弁6は、ノズル7に流入する液状被包装物Mの流量を制御する役割を有し、ボール弁やバタフライ弁からなるモーターバルブを用いることが好ましいが、エアー駆動式バルブ等を用いることもできる。
【0031】
以下、バッファー装置5内の被加圧媒体8が空気からなり、充填包装機20内を走行する包装用フィルムF’内にノズル7を介して液状被包装物Mを間欠充填する場合を一実施形態として説明する。
運転開始にあたり、まず絞り弁6を閉止した状態(ノズル7への液状被包装物Mの流入を阻止した状態)で、液状被包装物Mをタンク2からポンプ3によってメイン配管4内に連続して送給する。絞り弁6の閉止によって、メイン配管4の下流側への流入が阻止された液状被包装物Mが、メイン配管4から分岐されたバッファー装置5内へと流入し、該流入した液状被包装物Mによって、バッファー装置5内部の空気が徐々に圧縮(容積が減少)されていく。バッファー装置5内には、圧縮された被加圧媒体8(空気)の圧力とポンプ3の吐出圧力とが平衡状態になるまで液状被包装物Mが流入し、液面が上昇していく。
【0032】
絞り弁6が、例えば充填包装機20の制御部からの指示により、横シール部28の形成に合わせて開放されると、液状被包装物Mが、絞り弁6を通ってノズル7へ押し出されると同時に、メイン配管4内の圧力の低下に伴ってバッファー装置5内の圧縮された被加圧媒体8(空気)が膨張(容積が増加)し、該膨張した被加圧媒体8(空気)によってバッファー装置5内に蓄積されていた液状被包装物Mがメイン配管4側へ押し出される。このときノズル7へは、ポンプ3の吐出圧力と、バッファー装置5内の圧縮された被加圧媒体8(空気)の膨張する力とが合算した高い圧力で、液状被包装物Mが瞬間的に押し出されるため、充填速度が速くなり、間欠充填において包装体Wを高速で製造することができる。
【0033】
続いて、絞り弁6が充填包装機20の制御部からの指示により閉止されると、メイン配管4下流への流入が阻止された液状被包装物Mがバッファー装置5内へ流入して蓄積し、これに伴って、バッファー装置5内の、先に膨張した被加圧媒体8(空気)が再度、圧縮されていく。
【0034】
このように、バッファー装置5内の被加圧媒体8(空気)は、ノズル7からの液状被包装物Mの間欠充填に伴って(バッファー装置5内への液状被包装物Mの蓄積および流出に伴って)圧縮および膨張を繰り返し、これによってポンプ3から連続的に供給される液状被包装物Mを、バッファー装置5内に蓄積すると共に、該蓄積された液状被包装物Mをメイン配管4へと供給することができる。したがって、バッファー装置5によって、絞り弁6の開閉やポンプ3の脈動等による液状被包装物Mの流量の変動を吸収することができるようになり、被包装物Mを間欠充填する場合にも、ポンプ3を一定の条件で連続運転しながら、ノズル7から一定量の液状被包装物Mを高速で間欠吐出させることができる。
【0035】
なお、絞り弁6の開度を制御して液状被包装物Mの流量に緩急をつけてノズル7から吐出(加減吐出)させる場合にも、メイン配管4内の液状被包装物Mの流量の変動に合わせて前記と同様にバッファー装置5内の被加圧媒体8(空気)が圧縮と膨張を繰り返すことで、前記送液ポンプ3を、定量吐出(一定回転)条件のまま連続で運転させながら、ノズル7から所定量の液状被包装物Mを吐出させることができる。
【0036】
そのため、従来のように、走行する包装用フィルムFへの横シール部28の形成のタイミングに合わせて、ポンプ3を間欠運転または加減速運転させる必要がなく、横シール部28内へのシワの発生や液状被包装物Mの噛み込み等の問題を解決することができる。
【0037】
また、絞り弁6は、メイン配管4上のノズル7に隣接した位置に設ける。これにより、絞り弁6の開度変更による流量の変化を、タイムラグを生じることなく、レスポンス良くノズル7に伝えることができるため、液状被包装物Mを間欠充填や加減吐出する場合にも、充填包装機20の包装用フィルムFの走行速度や横シール部28の形成に合わせて、液状被包装物Mを所要のタイミングで筒状包装用フィルムF’内に充填することができ、シール不良等の発生を抑制することができる。
【0038】
さらに、バッファー装置5には、
図2に示すように被加圧媒体8からの液状被包装物Mへの圧力を調整する圧力調整手段11として、加減圧ポンプと制御弁等を設けることが好ましく、該圧力調整手段11によってバッファー装置5内の被加圧媒体8の圧力を制御することで、バッファー装置5内の液状被包装物Mの蓄積量を増減させたり、圧力調整手段11を絞り弁6の開閉と同期して制御し、バッファー装置5内の被加圧媒体8の圧力を調整することで、ノズル7からの液状被包装物Mの吐出速度を適宜、加減させることができる。
【0039】
なお、バッファー装置5内の被加圧媒体8の圧力は、ノズル7からの液状被包装物Mの吐出に合わせて変動し、例えば、間欠充填する場合に、絞り弁6が開状態となってノズル7から液状被包装物Mが吐出されると、被加圧媒体8の圧力は低下し、絞り弁6が閉状態となると被加圧媒体8の圧力が上昇することを繰り返す。そのため、バッファー装置5内の被加圧媒体8の圧力を常時計測し、その圧力の波形を観察することで、該波形の乱れからノズル7や絞り弁6の詰まり等の不具合の発生を予測し、吐出制御装置1の故障等に伴う生産の停止を予防することができる。さらに、バッファー装置5に、被加圧媒体8の圧力の異常を警告する手段や、安全弁等の圧力を逃す手段、吐出制御装置1や充填装置20を停止する手段を設ければ、安全性を向上させることができる。
【0040】
図3にバッファー装置5の他の一実施形態を示す。
このバッファー装置5の内部には、上部に位置する被加圧媒体8と下部に位置する液状被包装物Mとの間に、両者の混合を抑制するために仕切り手段として、例えば仕切り板9が設けられている。とくに、被加圧媒体8が液体からなる場合には、被加圧手段8と液状被包装物Mとの混合を抑制するための仕切り手段が必要であり、被加圧媒体8(液体)の容積が、ポンプ3の吐出流量とノズル7の吐出量に応じて増加または減少するのに伴い、仕切り板9を介して液状被包装物Mをバッファー装置5内に蓄積または蓄積された液状被包装物Mをメイン配管4へと押し出す。
【0041】
なお、被加圧媒体8が液体からなる場合には、例えば、
図3に示すように被加圧媒体8のタンク10等からなる加圧手段を設け、タンク10の液圧によってバッファー装置5内の被加圧媒体8の容積の増加および減少を調整し、これによって液状被包装物Mのバッファー装置5内への蓄積および流出量を調整する。
【0042】
バッファー装置5は、
図4に他の一実施形態として示したように、バッファー装置5にメイン配管4から分岐した被包装物Mが進入する入口部5aと、バッファー装置5からメイン配管4へと戻る出口部5bを設けると共に、該入口部5aと出口部5bとを例えば、隔壁12等を設けて完全に離隔された構造にしてもよい。これにより、ポンプ3から送給された液状被包装物Mは、入口部5aから流入した順にバッファー装置5を通って出口部5bからノズル7へと向かうことになり、常に新鮮な液状被包装物Mをノズル7から吐出させることができる。なお、バッファー装置5の構造は、液状被包装物Mが流入した順に流出できればよく、例えば、入口部5aをバッファー装置5の高位置に設け、出口部5bを低位置に設けて、液状被包装物Mが入口部5aから出口部5bに向かって流れるような構造にしてもよい。
【0043】
本発明の吐出制御装置および吐出制御方法は、液状被包装物をノズルから吐出する、例えば、ビンや缶等の各種包装容器に充填を行う機械等の装置への適用が考えられる。
【符号の説明】
【0044】
1 吐出制御装置
2 タンク
3 ポンプ
4 メイン配管
5 バッファー装置
6 絞り弁
7 ノズル
8 被加圧媒体
9 仕切り板
10 タンク
11 圧力調整手段
12 隔壁
20 充填包装機
21 フィルム折返し部
22 縦シール部形成部
23 縦シールロール
24 縦シール部
25 被包装物供給部
26 第1横シール部形成部
27 横シールロール
28 横シール部
29 第2横シール部形成部
30 切断部
R フィルムロール
F 包装用フィルム
F’ 筒状包装用フィルム
M 液状被包装物
W 包装体