(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像装置を含む内視鏡装置、および撮像装置を含む移動体
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20230907BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230907BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20230907BHJP
H04B 3/02 20060101ALI20230907BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20230907BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230907BHJP
H04N 23/40 20230101ALI20230907BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230907BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20230907BHJP
【FI】
H04N23/60 300
A61B1/00 680
G02B23/24 B
H04B3/02
H04N5/222 100
H04N7/18 M
H04N23/40 300
H04N23/50
H04N23/66
(21)【出願番号】P 2019032059
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 正
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-019137(JP,A)
【文献】特開2014-139692(JP,A)
【文献】特開2018-191137(JP,A)
【文献】特開平11-341337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
A61B 1/00
G02B 23/24
H04B 3/02
H04N 5/222
H04N 7/18
H04N 23/40
H04N 23/50
H04N 23/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物を撮像して映像信号を生成する撮像部を有する第1ユニットと、
前記映像信号に対して所定の処理を施す映像処理部を有する第2ユニットと、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に設けられ、ミリ波またはサブミリ波を伝送する導波路と、
前記第2ユニットに配設され、所定の基準信号に基づいてミリ波搬送波を生成するミリ波搬送波生成部と、
前記第1ユニットに配設され、前記導波路を経由して前記第2ユニットにおける前記ミリ波搬送波生成部において生成された前記ミリ波搬送波を受信し、前記撮像部で生成した前記映像信号を当該ミリ波搬送波に重畳してミリ波変調波を生成し、当該ミリ波変調波を前記導波路に向けて送信する処理送信部と、
前記第2ユニットに配設され、前記第1ユニットにおいて生成された前記ミリ波変調波を、前記導波路を経由して受信し、前記撮像部で生成された前記映像信号を再生する復調部と、
を備え、
前記第2ユニットは、前記ミリ波搬送波生成部と前記復調部との間に配設された遅延回路をさらに有し、
前記遅延回路は、
前記導波路と同等長さの線路であり、当該遅延回路を通過する信号に対して、前記導波路を経由する往復の信号伝達時間と同等の時間遅れを生じさせるように設定されたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1ユニットは、前記導波路を経由して受信した前記ミリ波搬送波の一部から前記撮像部を駆動するための電力を生成し、当該電力を前記撮像部に供給する電力生成部を、
さらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1ユニットは、前記導波路を経由して受信した前記ミリ波搬送波の一部から当該第1ユニット内の動作基準信号となるクロック信号を生成し、当該クロック信号を前記撮像部に供給するクロック生成部を、さらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2ユニットは、所定の撮像制御信号を生成する撮像制御部をさらに有し、
前記第1ユニットは、前記導波路を経由して前記撮像制御部において生成された前記撮像制御信号を受信すると共に再生しさらに当該再生した前記撮像制御信号を前記撮像部に供給する撮像制御信号受信再生部を、さらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記導波路は、
長手方向に誘電率が均一、かつ、長手方向の断面が同一形状を呈する線状の誘電体と、
前記誘電体の外周を覆う位置に配設された外導体と、
を有し、60GHz近傍以上のミリ波またはサブミリ波以上の周波数帯域の電波を伝導する導波管により構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記導波管における前記外導体は、金属と樹脂との複合材料を有する平箔糸を組み紐状に編んで形成される
ことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記処理送信部は、OOK(ON-OFF Keying)またはASK(Amplitude Shift Keying)による変調器を含み構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記処理送信部は、直交振幅変調(QAM=Quadrature Amplitude Modulation)による変調器を含み構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1ユニットは、前記撮像部の振れ補正を行う振れ補正機構をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
請求項1に記載の撮像装置を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項11】
請求項1に記載の撮像装置を含むことを特徴とする移動体。
【請求項12】
前記撮像部を複数有することを特徴とする請求項11に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像装置を含む内視鏡装置、および撮像装置を含む移動体、詳しくは、ミリ波またはサブミリ波帯以上の電波伝送を行う導波路を備えた撮像装置、撮像装置を含む内視鏡装置、および撮像装置を含む移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるFTTH(Fiber To The Home)等の技術により、1Gbpsを超える通信速度を有する通信環境が一般の家庭にも浸透してきている。また、スマートフォン等の高い処理能力を有する端末が広く普及し、利用可能な通信技術、および、情報処理の速度、すなわち「ハード性能」が著しく向上してきている。
【0003】
また、いわゆるFHD(Full High Definition)を超える4K・8K画像に代表される高精細/大容量映像の利用、インターネットを介した情報アクセスの拡大等により、個人、または企業において利用可能な情報の質と量、すなわち「ソフト利用」についても飛躍的に拡大している。
【0004】
このような流れの中で4K・8Kといった高精細な映像を取得するための撮像装置への要求が高まっているが、高精細映像ではその画素数の増加に起因して映像情報の容量が大きく、従来の通信方法では対応が難しくなってきている。具体的には、4K・8K映像の伝送で臨場感のある映像を求める場合(例えば、輝度情報を増やす、または毎秒当たりのフレーム数を増す場合)、50Gbpsを超えるような情報伝送速度さえ求められるようになってきている。
【0005】
この50Gbpsを超えるような情報伝送速度は、従来多く利用されてきたLVDS(Low Voltage Differential Signaling)のようなメタル線を用いた差動線路の限界を超えるものである。
【0006】
この伝送速度に対応する方法として複数の線路に分けて伝送する方法も考えられるが、この場合、全ての線路の信号のタイミングずれを保証することが難しく、そのための回路も技術的難易度が高い上に回路規模が大きくなり、汎用的に利用しにくくなってしまう。すなわち、数十Gbpsオーダー以上の通信に従来のメタル線を用いた線路を利用することは多くの困難があり、現実的とはいえなくなってきている。
【0007】
上記のような数十Gbpsオーダー以上の通信には、従来から長距離伝送、またはデータセンターでの高速通信で利用されてきた光通信技術を利用することも考慮できるが、光通信線路は、一般に固く可撓性に劣るという問題があるだけでなく、光通信の送受信ユニットは非常に高価であり、普及価格帯の製品での通信手段として適当とは言い難い。
【0008】
このような状況から、数十Gbpsオーダー以上の高速通信と廉価性を両立する有線通信手段としてミリ波通信を採用した開発が進められている。たとえば、特開2011-39340号公報(特許文献1)では、ミリ波を用いた高速通信を行う撮像素子が提案されており、また、特許第5725222号明細書(特許文献2)、特許第2516140号明細書(特許文献3)、特開2015-19137号公報(特許文献4)では、ミリ波を利用した信号伝送の形態が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2011-39340号公報
【文献】特許第5725222号明細書
【文献】特許第2516140号明細書
【文献】特開2015-19137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特開2011-39340号公報(特許文献1)には、手振れ補正機能を備えた撮像装置が開示されている。しかし係る撮像装置では、ミリ波による通信は搬送波周波数に高い安定度が要求されるために周波数安定度の高い複雑な発振回路が必要となり、送受信に関わるユニットが大きくなり易いという課題がある。
【0011】
すなわち、特開2011-39340号公報(特許文献1)に記載された撮像装置では、撮像素子を有するユニットが大型化しやすく、手振れ補正機能の性能低下を招くという課題がある。
【0012】
なお、ここで示した撮像素子を有するユニットの大型化は、他の用途においても問題となる。例えば、撮像素子を搭載する撮像装置として内視鏡装置を想定すると、撮像素子を有するユニットの大きさは内視鏡自体の大型化を招くこととなり、小型化が求められる内視鏡においては採用し辛いという問題を抱える。
【0013】
ここで指摘したミリ波による通信を行う撮像素子を有するユニットの大型化は、上記に指摘したように発振回路の周波数安定度への要求が厳しいことに起因しており、この緩和は前記ユニットの大型化を抑える効果を有する。
【0014】
斯様な効果に着目した例として、特許第5725222号明細書(特許文献2)に記載された技術が知られている。この技術は、受信した信号を注入信号として変調用の搬送信号と同期した復調用の搬送信号を生成してこれを復調に利用する仕組み(注入同期方式)によって前記周波数安定度への要求緩和を達成しており、前記撮像素子を有するユニットの大型化を一定程度抑えている。
【0015】
なお、同様の対応は特開2011-39340号公報(特許文献1)の中でも指摘され、注入同期方式の採用により発信周波数安定度についての要求仕様を緩めることができることも記載されているが、特開2011-39340号公報(特許文献1)、特許第5725222号明細書(特許文献2)にある何れの場合も、送信側に発信回路が必要なことに変わりは無く、また注入同期を行うための回路追加は必要であり、送受信に係るユニットを十分に小さくすることはできず、ユニットの大型化を抑制する効果は十分とはいえない。
【0016】
一方、特許第2516140号明細書(特許文献3)においては、ミリ波を用いたIDカード送受信回路が開示されている。係る回路においては、高安定の発振回路を発信側(子機)ではなく親機側に配設することで、子機、すなわち信号送信側の構成を簡素化し、小型軽量化することに成功している。
【0017】
しかし、本構成では電波を自由空間に対して発するために電波が拡散して効率が悪く、他の通信との干渉の問題もあることから実質的に極めて近距離の、かつ、通信速度も劣る状態での通信しか行うことができない、という問題がある。
【0018】
また特開2015-19137号公報(特許文献4)においては、ミリ波を用いた通信システムが開示されている。係るシステムでは、親機側に発振回路を持たせると共に電波を閉じた空間に伝播させるため、前記撮像素子を有するユニットの大型化を避けつつ、伝送距離を長くとり、高い通信速度をも得ることができる。
【0019】
しかし本構成においても、搬送波周波数に高い安定度が要求されるために周波数安定度の高い複雑な発振回路が必要となるというミリ波通信特有の課題は有したままであり、この改善が望まれている。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、撮像素子を有するユニットの小型軽量化と、長い伝送距離および高い通信速度とを両立しながら、ミリ波通信システムの発振回路に対する高い周波数安定度への要求を緩和することで、より利用し易い撮像装置、撮像装置を含む内視鏡装置、および撮像装置を含む移動体を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一態様の撮像装置は、被検物を撮像して映像信号を生成する撮像部を有する第1ユニットと、前記映像信号に対して所定の処理を施す映像処理部を有する第2ユニットと、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に設けられ、ミリ波またはサブミリ波を伝送する導波路と、前記第2ユニットに配設され、所定の基準信号に基づいてミリ波搬送波を生成するミリ波搬送波生成部と、前記第1ユニットに配設され、前記導波路を経由して前記第2ユニットにおける前記ミリ波搬送波生成部において生成された前記ミリ波搬送波を受信し、前記撮像部で生成した前記映像信号を当該ミリ波搬送波に重畳してミリ波変調波を生成し、当該ミリ波変調波を前記導波路に向けて送信する処理送信部と、前記第2ユニットに配設され、前記第1ユニットにおいて生成された前記ミリ波変調波を、前記導波路を経由して受信し、前記撮像部で生成された前記映像信号を再生する復調部と、を備え、前記第2ユニットは、前記ミリ波搬送波生成部と前記復調部との間に配設された遅延回路をさらに有し、前記遅延回路は、前記導波路と同等長さの線路であり、当該遅延回路を通過する信号に対して、前記導波路を経由する往復の信号伝達時間と同等の時間遅れを生じさせるように設定される。
【0022】
本発明の一態様の内視鏡装置は、前記撮像装置を含む。
【0023】
本発明の一態様の移動体は、前記撮像装置を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、撮像素子を有するユニットの小型軽量化と、長い伝送距離および高い通信速度とを両立しながら、ミリ波通信システムの発振回路に対する高い周波数安定度への要求を緩和することで、より利用し易い撮像装置、撮像装置を含む内視鏡装置、および撮像装置を含む移動体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の撮像装置における導波管の構成を示した要部拡大断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の撮像装置に採用される導波管における平箔糸を組紐形状に組んでなる外導体の外観を示した外観図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の撮像装置に採用される導波管における外導体を構成する平箔糸の構成を示した要部拡大断面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の撮像装置における第1ユニットにおいて処理送信部の具体的な構成を示したブロック図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の撮像装置における第1ユニットにおいて処理送信部の他の構成例を示したブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、本発明の第4の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、本発明の第5の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、本発明の第6の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、本発明の第7の実施の形態である撮像装置を適用したカメラの構成を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第8の実施の形態である撮像装置を適用した内視鏡装置の構成を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、本発明の第9の実施の形態である撮像装置を適用した移動体(ドローン)の構成を示す概略外観図である。
【
図15】
図15は、本発明の第10の実施の形態である撮像装置を適用した移動体(カメラ搭載型自動車)の構成を示す概略外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
なお、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。さらにまた、図面は、模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、各部材の比率等は、現実と異なることに留意する必要がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法や比率が異なる部分が含まれている。
【0028】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。また、
図2は、第1の実施形態の撮像装置における導波管の構成を示した要部拡大断面図、
図3は、第1の実施形態の撮像装置に採用される導波管における平箔糸を組紐形状に組んでなる外導体の外観を示した外観図、
図4は、第1の実施形態の撮像装置に採用される導波管における平箔糸の構成を示した要部拡大断面図である。
【0029】
図1に示すように、第1の実施形態の撮像装置1Aは、被検物を撮像して映像信号を生成する撮像部101を有する第1ユニット(撮像ユニット)10Aと、前記映像信号に対して所定の処理を施す映像処理部201を有する第2ユニット(映像処理ユニット)20Aと、前記第1ユニット10Aと前記第2ユニット20Aとの間に設けられ、ミリ波またはサブミリ波を伝送する導波路30と、を有する。
【0030】
<第1ユニット10A>
第1ユニット10Aは、上述した撮像部101と、処理送信部102とを有する。前記撮像部101は、被検体像を入光する撮像光学系1011と、撮像素子1012とを有する。撮像素子1012は、撮像光学系1011の後方に配設され、被検体像を撮像して光電変換により所定の映像信号を出力する。
【0031】
また、処理送信部102は、前記導波路30を経由して前記第2ユニット20Aにおけるミリ波搬送波生成部において生成されたミリ波搬送波を受信し、撮像部101で生成した前記映像信号を当該ミリ波搬送波に重畳してミリ波変調波(ミリ波変調信号)を生成し、当該ミリ波変調信号を前記導波路30に向けて送信する。当該処理送信部102の具体的な構成については、後に詳述する。
【0032】
<第2ユニット20A>
第2ユニット20Aは、前記ミリ波搬送波を生成するミリ波搬送波生成部202と、前記第1ユニット10Aから出力された前記映像信号が重畳されたミリ波変調信号を元に映像信号を取得する復調部203と、前記取得した映像信号に対して所定の処理を施す前記映像処理部201と、を有する。
【0033】
ミリ波搬送波生成部202は、本実施形態においては図示しない発振素子または発振回路を有する。そしてミリ波搬送波生成部202は、前記発振素子または発振回路において生成された所定の基準信号に基づいて前記ミリ波搬送波を生成し、出力する。具体的にミリ波搬送波は、例えば、前記基準信号を逓倍することにより生成される。
【0034】
なお、ミリ波搬送波生成部202は、他の発振素子もしくは発振回路によって生成された別の基準信号をミキシング(アップコンバート)することで前記ミリ波搬送波を生成してもよい。
【0035】
復調部203は、第1ユニット10Aにおける処理送信部102において生成された前記ミリ波変調信号を導波路30を経由して受信し、ミリ波搬送波生成部202で生成された信号を利用して前記撮像部101で生成された前記映像信号を再生(復元)する。
【0036】
なお、前記第2ユニット20Aが含む要素は、これらが必ずしもユニットとして一体化される必要は無い。
【0037】
<導波路30>
また、
図2、
図3に示すように前記導波路30は、本実施形態においては、例えば可撓性の導波管により構成され、すなわち、長手方向に誘電率が均一になるように延出された可撓性の内部誘電体301と、前記長手方向に連続的に延出された前記誘電体の外周を覆い、可撓性のある金属層である外導体302とを有する導波管により構成される。
【0038】
図2に示すように、本実施形態において前記内部誘電体301は、長手方向に誘電率が均一、かつ、長手方向に垂直な断面が同一形状を呈する線状の誘電体であって、長手方向に垂直な断面が長径および短径を有する(例えば小判型)を有する。
【0039】
前記外導体302は、
図4に示すように、金属箔3022と樹脂フィルム3021との複合材料により構成された複数の平箔糸を、
図2、
図3に示すように、内部誘電体301の外周に対して、例えば角度45度にて巻き付け組紐状に組んで形成される。
【0040】
なお本実施形態において、「誘電率が均一」とは、導波管内部を伝搬する電波(ミリ波またはサブミリ波)の波長オーダーの寸法でみたときに均一であることを意味するものである。すなわち、波長オーダーよりも1~2桁以上寸法の異なる構造による誘電率分布は、導波管内部を伝搬する電波には影響を与えないため、本実施形態においては、これを含めて誘電率が均一と表現している。
【0041】
ここで、本実施形態の撮像装置1Aにおいて採用する導波路(導波管)30および周辺回路等の構成について、詳しく説明する。
【0042】
前記導波路30は、本実施形態においては、上述したように例えば可撓性の導波管により構成され、第1ユニット10Aと第2ユニット20Aとを結ぶ信号伝送路であって、少なくとも一部がミリ波またはサブミリ波を伝搬する導波路である。
【0043】
すなわち、本実施形態における導波路30は、撮像装置等において撮像部(本実施形態においては第1ユニット10A)と映像処理部(本実施形態においては第2ユニット20A)とを結ぶ信号伝送方式として従来用いられてきた、リードワイヤによる信号伝送方式または光ファイバによる信号伝送方式に代わり、ミリ波またはサブミリ波(おおよそ30~600GHzの周波数を有する電波)を通す導波路(可撓性導波管)による信号伝送方式を新たに提案するものでもある。
【0044】
なお、本実施形態においてミリ波、サブミリ波は、ミリからサブミリオーダ(0.5~10mm程度)の波長をもつ電波を指すものとする。
【0045】
<可撓性導波管における内部誘電体および外導体>
ここで、本実施形態における前記可撓性導波管30における内部誘電体および外導体について詳しく説明する。
【0046】
本実施形態における可撓性導波管は、誘電正接の小ささ、適切な可撓性の2条件を適切に満たす誘電体材料を含みミリ波領域(サブミリ波を含む)で用いるものであって、ミリ波またはサブミリ波(以下、場合により代表してミリ波と記載する)を通す導波路により構成されることを特徴とする。
【0047】
<内部誘電体の構成>
上述したように本実施形態において前記内部誘電体301は、
図2に示すように、長手方向に誘電率が均一、かつ、長手方向に垂直な断面が同一形状を呈する線状の誘電体であり、例えば、発泡PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、または、発泡ポリエチレンのような可撓性を備えた誘電体材料の利用を想定する。
【0048】
当該内部誘電体301は、あるいは、母材である樹脂材料(例えばPTFE、または、ポリエチレン等の無極性樹脂)と結晶材料(例えばαアルミナ等の誘電損失の小さい結晶材料を粉末化したもの)とを混合した誘電体混合材料を利用してもよい。
【0049】
または、前記内部誘電体の変形例としては、図示はしないが、以下のような構成も採り得る。すなわち、例えば、前記内部誘電体301を、長手方向に垂直な断面において相対的に内側に位置する第1の誘電体と、長手方向に垂直な断面において前記第1の誘電体より外側に位置し(かつ、第1の誘電体の外周部の全周を覆うように配置され)、前記第1の誘電体よりも低い誘電率を備える第2の誘電体と、により構成してもよい。
【0050】
この変形例においては、前記内部誘電体は、長手方向の中心に連続した管形状を呈する空間を有する第2の誘電体における当該空間内部に、結晶粉末により形成された第1の誘電体を充填することで構成される。なお、前記管形状を呈する空間は、その断面が長径と短径を有する形状(例えば小判型)を有する。
【0051】
また、この第1の誘電体における前記結晶粉末は、高純度のα-Al2O3結晶粉末(本変形例においては、住友化学株式会社製高純度アルミナAA-18、純度=99.99%以上)を適用する。この高純度α-Al2O3結晶粉末は、例えば、平均直径が約18μmの略球状を呈する。なお、第1の誘電体はアルミナ結晶粉末であり、第2の誘電体における前記管形状の空間内部に充填されることで形状を保つようになっている。
【0052】
一方、第2の誘電体は、延伸発泡PTFE(長手方向に延伸することで内部および表面に連続気孔を形成したPTFE)から成り、長手方向の中心には、連続した管形状を呈する空間を有する。
【0053】
ここで前記第1の誘電体における高純度α-Al2O3結晶の大きさ(径)は、前記第2の誘電体における前記連続気孔における大きさよりも大きく、すなわち、α-Al2O3結晶は、前記連続気孔を通過し得ない。
【0054】
<外導体の構成>
本実施形態において外導体302は、
図2等に示すように、前記内部誘電体301の外周を覆う位置に配設され、可撓性を有する筒状を呈する金属層部として構成される。具体的に外導体302は、上述したように帯状の複数の平箔糸により構成される。
【0055】
この帯状の平箔糸は、
図4に示すように、長手方向に垂直な断面が長方形断面を呈し、樹脂などの非金属物質を包含する下地層3021と、金属物質を包含する金属箔3022を有して構成される。より具体的に当該平箔糸は、下地層として厚さ25μmの樹脂フィルム(例えば、PET)を採用し、また、金属箔としては厚さ9μmの銅箔を採用し、幅0.2mmの帯状を呈して形成される。
【0056】
また、外導体302は、本実施形態においては、複数(例えば、32本)の平箔糸を、円筒組紐状に組んで形成される。具体的には、前記内部誘電体の外周面において、当該誘電体に接する側に前記金属箔を配置して巻きつけられるように延在すると共に、互いの平箔糸が組紐状形態を形成するように編成されるようになっている。
【0057】
なお、当該外導体302は、上述したように所定の金属層部(金属箔)を含み、当該金属箔の導電率は純銅相当の59×106S/mに設定される。なお、ここでは導電率を一意に定めたが、本発明において金属層部の導電率は、これに限定されず、実施形態においては、導電率の良い金属層を用いることが好ましい。
【0058】
なお、上述したように本実施形態において外導体302である前記平箔糸は、第2の誘電体に接する側に金属箔を配し外側に樹脂フィルムを有するように構成したが、これに限ることなく、金属層を含む別の形態によって(例えば金属層を樹脂で挟むような3層構造によって)構成されてもよい。
【0059】
なお、
図2等においては、外導体302は所定の厚みを持って表現されているが、上述したように、図面は模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、各部材の比率等は現実とは異なり、すなわち、当該外導体302は、実際には十分に薄い金属箔により構成される。
【0060】
上述したように、本実施形態における内部誘電体301は、断面形状を維持し易く構成され、これにより、当該誘電体内部を伝送する電波の伝送モードを安定させることができるという効果を奏する。
【0061】
さらに可撓性導波管30は、上述したように、内部誘電体301において長手方向に安定した断面形状が延設されることにより、外部から印加される外力により導波管自体が曲折されたとしても当該曲折に起因する伝送損失の増大が抑えられ、結果として伝送損失量が安定するという効果を奏する。
【0062】
一方、上述した内部誘電体の変形例においては、第2の誘電体は、第1の誘電体の外周部の全周を覆うように配設され、かつ、第1の誘電体と金属層である外導体302とに挟まれる領域に配設される。
【0063】
ここで、当該変形例においては、第2の誘電体は第1の誘電体よりも低い誘電率を備える。すなわち、第1の誘電体の誘電率が第2の誘電体の誘電率よりも高いことから、かつ、第2の誘電体は、第1の誘電体の外周部の全周を覆うように配置されることから、可撓性導波管30内を伝送する電磁波のエネルギーを第1の誘電体に閉じ込めることができる。
【0064】
その結果、本実施形態の可撓性導波管30においては、金属層である外導体303に起因する伝送損失の発生を抑えることができる。
【0065】
<処理送信部102の具体例>
次に、第1ユニット10Aにおける処理送信部102の具体的な構成例(処理送信部102A、102B)について
図5または
図6を参照して説明する。
【0066】
<処理送信部102の第1の構成例;処理送信部102A>
図5は、第1の実施形態の撮像装置における第1ユニットにおいて処理送信部の具体的な構成を示したブロック図である。
【0067】
本第1の実施形態において第1ユニット10Aにおける処理送信部102は、
図5に示す処理送信部102Aの如く、いわゆる、OOK(ON-OFF Keying)、または、ASK(Amplitude Shift Keying)による変調器を含んで構成される。
【0068】
ここで、処理送信部102Aは、第2ユニット20Aにおけるミリ波搬送波生成部202において生成されたミリ波搬送波を、導波路30を通して受信するが、このとき、モード変換機およびサーキュレータを経由して後段の回路に取り込むようになっている。
【0069】
さらに、処理送信部102Aは、受信したミリ波搬送波に対してミクサ(乗算機)において撮像信号を重畳することで、OOK変調信号またはASK変調信号としてのミリ波変調信号を得ることができる。
【0070】
その後、撮像信号が重畳されたミリ波変調信号は、モード変換機を経由して前記導波路30内に向けて送信されるようになっている。
【0071】
ここで映像信号を送信する側である処理送信部102Aにミリ波周波数を発振する回路を含まないことには注意が必要である。この点は本願発明の特徴であり、例えば特開2011-39340号公報、特許第5725222号明細書において示されるような、従来の撮像装置で用いられる送受信回路とは明確に異なり、回路の小型化に大きく寄与する。
【0072】
またここで前記ミクサ(乗算機)は、極めて単純な回路で構成することができるという特徴があり、回路を小型化できる。すなわち、OOK変調またはASK変調による通信は、特に小型・軽量化を重視する場合にメリットが大きい。
【0073】
なお、処理送信部102Aは、信号の増幅を目的に、LNA(Low Noise Amp)を挿入するが、これは特に信号強度を改善する必要が無ければ省いてもよい。同様に、サーキュレータとモード変換機の配置もこれに限らず、サーキュレータを省いて導波路30を複数本有する構成、または、他の手段に置き換える構成等によっても同様の機能を得ることが可能である。
【0074】
なお、実際の回路においては付随して必要となる回路要件も存在するが、この例は基本的な概念を示すものであり省略している。これら省略した要素についても、実際には必要に応じて付加・利用する必要がある。
【0075】
<処理送信部102の第2の構成例(変形例);処理送信部102B>
図6は、第1の実施形態の撮像装置における第1ユニットにおいて処理送信部の他の構成例を示したブロック図である。
【0076】
本第1の実施形態において第1ユニット10Aにおける処理送信部102は、変形例として、
図6に示す処理送信部102Bの如き構成を成しても良い。
【0077】
すなわち処理送信部102Aの変形例である処理送信部102Bは、いわゆる、直交振幅変調(QAM=Quadrature Amplitude Modulation)による変調器を含んで構成される。
【0078】
ここで処理送信部102Bは、上述した処理送信部102Aの構成(
図5参照)と同様に、第2ユニット20Aにおけるミリ波搬送波生成部202において生成されたミリ波搬送波を、導波路30を通して受信する。
【0079】
この変形例の処理送信部102Bは、受信したミリ波搬送波を、まずサーキュレータを経由してモード変換機により後段の回路に取り込むようになっている。この後、処理送信部102Bは、取り込んだミリ波搬送波を分配器で2つの線路に分離する。
【0080】
その後、処理送信部102Bは、分配器で分離した一方のミリ波搬送波を、そのままの状態で一方のミクサ(乗算機)において受信し、また、他方のミリ波搬送波を、移相器を経由してλ/4だけ位相をずらした後、他方のミクサ(乗算機)において受信し、さらに、映像信号を重畳するようになっている。
【0081】
一方、処理送信部102Bは、BB回路(Base Band回路)において、受信した映像信号を直交振幅変調に必要なIQ信号に変換する。これらIQ信号は、それぞれミクサ(乗算機)において受信され、それぞれIQ信号が重畳された変調波信号が生成された後、合成器により加算処理される。これにより、直交振幅変調(QAM)信号としてのミリ波変調信号が生成される。
【0082】
その後、撮像信号が重畳されたミリ波変調信号は、モード変換機、サーキュレータを経由して前記導波路30内に向けて送信されるようになっている。
【0083】
ここで、当該変形例の処理送信部102B(
図6を参照)における回路構成は、処理送信部102A(
図5参照)に比べて複雑なものとはなるが、直交振幅変調による通信は信号の速度を向上するのに有利であり、特に10Gbpsを超える通信を実現するには極めて有利な方法といえる。
【0084】
すなわち、直交振幅変調(QAM)による通信は、特に通信の高速化を重視する場合にメリットが大きい。
【0085】
さらに言えば、
図5に示すようなOOK変調もしくはASK変調による変調器を含み構成される処理送信部102Aと、
図6に示すような直交振幅変調(QAM)による変調器を含み構成される処理送信部102Bとは、それぞれ異なる特徴を持つ特に有用な回路構成といえる。
【0086】
ただし、どちらの回路構成がより良いかは、撮像機器に求められる要求によって選択すべきであり、これは設計要件である。
【0087】
なお、前記処理送信部102BもLNA、サーキュレータ、モード変換機を含み、また省略した要素も存在するが、これらの位置づけは処理送信部102Aの場合と同様であり、その要否や構成、数量は設計要件といえる。
【0088】
例えば
図5、
図6に示す回路例では、サーキュレータを利用することにより第2ユニット20Aで生成されたミリ波搬送波と第1ユニット10Aで生成されたミリ波変調信号とを1本の導波路30から送受信しているが、サーキュレータを利用せずにモード変換機を2台と導波路30を2本用意する、すなわち前記ミリ波搬送波とミリ波変調信号とに専用のモード変換機、導波路を用意する構成をとることもできる。
【0089】
なおここで映像信号を送信する側である処理送信部102Bにミリ波周波数を発振する回路を含まないことは前記処理送信部102Aと同様であり、これが回路の小型化に大きく寄与する。
【0090】
ここまで本実施形態の構成を示した。実際の回路においては付随して必要となる回路要件も存在するが、この例は基本的な概念を示すものであり省略している。これら省略した要素についても、実際には必要に応じて付加・利用する必要がある。
【0091】
<第1の実施形態の作用>
以下、本第1の実施形態の作用について、信号の流れに沿って説明を行う。
【0092】
<搬送波の生成=第2ユニット内の処理>
撮像装置1Aにおける映像信号の伝送はミリ波電波を利用して行う。すなわち、映像信号をミリ波搬送波に重畳させることで映像信号を伝達する。
【0093】
このミリ波搬送波は、上述したように第2ユニット20Aにおけるミリ波搬送波生成部202において生成される。ここでミリ波搬送波は、図示しない発振素子または発振回路によって生成された基準信号をもとにこれを逓倍して生成される。または、ミリ波搬送波は、他の発振素子もしくは発振回路によって生成された別の基準信号をミキシング(アップコンバート)することで生成される。
【0094】
この後第2ユニット20A(ミリ波搬送波生成部202)において生成されたミリ波搬送波は、図示しないモード変換機を経由して前記導波路30内に向けて送信される。
【0095】
なお、ミリ波搬送波生成部202で生成されるミリ波搬送波、またはこの生成の過程で作られる基準信号は、後述するように映像信号の復調においても利用される。
【0096】
<撮像~変調処理、送信=第1ユニット内の処理>
本第1の実施形態の撮像装置1Aにおいては、撮像光学系1011が被検体像を入光すると、撮像素子1012は被検体像を撮像して光電変換により所定の映像信号を出力する。
【0097】
また、処理送信部102(処理送信部102A(
図5参照)または処理送信部102B(
図6参照))においては、撮像素子1012から出力された映像信号に対して、ミリ波での送信に適した信号形態への処理・変換が施され、また、ミリ波搬送波とのミキシング処理が施される。これによりミリ波変調信号が生成され、導波路30に向けて送信される。
【0098】
なお、ここで前記ミリ波搬送波は、前述した第2ユニット20Aにおいて生成されたミリ波搬送波を、導波路30を経由して受信したものであり、第1ユニット10A内で生成されたものではない。
【0099】
具体的には、例えば、
図5に示す処理送信部102Aは、第2ユニット20Aにおけるミリ波搬送波生成部202において生成されたミリ波搬送波を、導波路30を通して受信する。そして、受信したミリ波搬送波を、モード変換機およびサーキュレータを経由して後段の回路に取り込む。
【0100】
処理送信部102Aは、モード変換機およびサーキュレータを経由して取り込んだミリ波搬送波に対して、ミクサ(乗算機)において撮像部101から出力された撮像信号を重畳する。その後、処理送信部102Aは、当該撮像信号が重畳されたミリ波変調信号(OOK変調信号またはASK変調信号)を前記導波路30内に向けて送信する。
【0101】
一方、
図6に示す処理送信部102Bにおいても、上記同様に、第2ユニット20Aにおけるミリ波搬送波生成部202において生成されたミリ波搬送波を、導波路30を通して受信する。そして、受信したミリ波搬送波を、サーキュレータおよびモード変換機を経由して後段の回路に取り込む。
【0102】
処理送信部102Bは、サーキュレータおよびモード変換機を経由して取り込んだミリ波搬送波を、まず分配器で2線路に分離する。その後、分離した一方のミリ波搬送波は、そのままの状態で一方のミクサ(乗算機)に導かれ、他方のミリ波搬送波は移相器を経由してλ/4だけ位相をずらした状態で他方のミクサ(乗算機)に導かれる。この処理送信部102Bにおけるミクサは、当該ミクサに導かれた、前記分離された信号をそれぞれBB回路(Base Band回路)の出力であるIQ信号(直交振幅変調において利用される映像信号を含む信号)に重畳する。
【0103】
上記の如くそれぞれIQ信号が重畳された変調波が生成された後、これらは合成器により加算処理される。これにより、直交振幅変調(QAM)信号としてのミリ波変調信号が生成される。
【0104】
その後、処理送信部102Bは、当該撮像信号が重畳されたミリ波変調信号(直交振幅変調信号)を前記導波路30内に向けて送信する。
【0105】
<復調=第2ユニット内の処理>
一方で、前記導波路30を経由して第2ユニット20Aにおいて受信された前記ミリ波変調信号は、図示しないモード変換機を介して復調部203に導入される。その後当該ミリ波変調信号は、前記復調部203において検波・復調処理をされて、第1ユニット10Aにおける撮像部101において生成された映像信号が復元される。
【0106】
ここでの検波・復調処理、すなわち映像信号の復元には、前記ミリ波搬送波と同一の周波数を有する信号が必要だが、本実施形態における検波・復調処理においては、同じ第2ユニット20Aに配設されるミリ波搬送波生成部202から前記ミリ波搬送波と同一周波数の信号、または、その生成に用いた信号を導入し、検波・復調処理に利用する。
【0107】
なおこの手法では、前記ミリ波搬送波と前記検波・復調に利用する信号(ミリ波搬送波と同一周波数の信号またはその生成に用いた信号)とは、どちらも元が同一の信号(ミリ波搬送波生成部202において生成された信号)であるために、周波数にずれは起こり難い。すなわち、搬送波周波数には必ずしも高い安定度が要求されないため、送受信に関わるユニットを小さくしやすい。
【0108】
<映像処理=第2ユニット内の処理>
復調部203において復元された映像信号は、映像処理部201において所定の処理を施される。この所定の処理は、たとえば膨大な映像情報を扱いやすくするための圧縮処理、保存もしくは送信処理、または、画像表示に適した形態に情報を変換する処理などが含まれる。
【0109】
<従来のミリ波通信システムの課題と本発明における回路規模の抑制について>
上述した特開2011-39340号公報に係る課題に関連して示したように、ミリ波による通信は搬送波周波数に高い安定度が要求されるため、周波数安定度の高い複雑な発振回路が必要となり、結果として送受信に関わるユニットが大きくなり易い。以下、この課題をより詳細に説明するとともに、本発明が如何にしてこの課題を解決するかについて補足説明する。
【0110】
一般的な無線通信で用いられている方式でのミリ波通信においては、搬送周波数にppmオーダーの高い安定度が要求される。これは、信号の搬送に用いる周波数と復調に用いる周波数とにずれがあると信号を正しく復調することができないことに起因し、ミリ波においてはこの周波数ずれをppmオーダー以下にまで抑える必要があるためである。
【0111】
ここで要求される搬送周波数の安定度を、水晶発振子と周波数逓倍回路、PLL回路など用いて実現すると、自ずと回路規模は大きくなる。またこれをインダクタとキャパシタから成る共振回路を用いて実現する場合、集積回路内に要求を満たす発振回路を形成することは実際的には困難といわざるを得ず、前記要求を満たす発振回路を集積回路の外に置く必要が生じて、この場合も回路規模は大きくなる。
【0112】
回路規模の低減には、特開2011-39340号公報および特許第5725222号明細書に記載される注入信号を用いる手法もあるが、この場合は発振回路への要求は緩和するものの注入信号を用いて復調用の基準信号を生成する回路は増加してしまい、全体の回路規模は大きいままとなる。
【0113】
すなわち、ミリ波通信システムにおいては一般的に回路構成が複雑であり、全体としてのシステム構成も複雑になってしまう。
【0114】
これに対して本発明では、先ず信号送信に用いる搬送波の生成部(発振部)を第2ユニット(映像処理ユニット)に有することで、第1ユニット(撮像ユニット)の小型・軽量化を実現している。
【0115】
加えて、ミリ波搬送波の生成と検波・復調に用いる信号を同一の回路(ミリ波搬送波生成部202)から得ることで、ミリ波搬送波および検波・復調に用いる信号の周波数安定度に対する要求を大幅に緩和した。すなわち、本実施形態の構成によれば、第1ユニット、第2ユニットを含めた撮像装置が有するミリ波信号生成に必要な回路規模を大幅に小さくすることができる。
【0116】
<導波路30の構成についての補足説明>
特に10Gbpsを超える高速通信を考慮したとき、本発明にある「第2ユニットに搬送波生成回路を有する構成」を実現するには、伝送線路をノイズが重畳されにくい構成とする必要がある。
【0117】
本発明では、導波路30の構成として、長手方向に誘電率が均一になるように延出された誘電体301と、前記長手方向に連続的に延出された前記誘電体の外周を覆う外導体(金属層)とを有する導波管を前提にしているが、本発明者の研究により、本構成の導波路は極めてノイズが載りにくく、本発明における有線の電波通信手段として最も優れる(実質的には本構成以外は有り得ない)ことが判っている。
【0118】
すなわち、前述のように数十Gbps以上の高速通信は従来のメタル線を用いた有線通信では実現困難なこと、光通信線路は一般に固く可撓性に劣る上に光通信の送受信ユニットは非常に高価であることをも考慮すると、実質的に本発明の撮像装置における導波路の構成として、前記構成は最良のものである。
【0119】
<本実施形態の効果>
本第1の実施形態の撮像装置によれば、信号送信に用いるミリ波搬送波の元となる基準信号を生成する生成部(発振部)を第2ユニット(映像処理ユニット)に有することで、特に第1ユニット(撮像ユニット)の大幅な小型・軽量化を実現できる。
【0120】
また同時に、基準信号の周波数安定度に対する要求を大幅に緩和することで、基準信号生成部の回路規模を大幅に小さくしつつも、高速な撮像信号を適切に伝送できる。すなわち、特に撮像部を小型軽量することができ、回路規模の小さい構成でありながら、容量の大きい撮像信号の伝送を確実に行うことができる撮像装置を得ることができる。
【0121】
また、本実施形態が示す高速かつ回路規模の小さい構成による撮像装置にて得られる効果は、他の通信手段でも実現できず、普及価格帯での撮像手段としての価値が極めて大きい。
【0122】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0123】
第2の実施形態の撮像装置は、主たる構成は第1の実施形態と同様であるが、第2のユニットが遅延回路を備えている点を異にする。したがって、ここでは第1の実施形態との差異のみの説明にとどめ、共通する部分の説明については省略する。
【0124】
図7は、本発明の第2の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、本第2の実施形態の撮像装置1Bは、第1の実施形態における第1ユニット10Aと同様の構成をなす第1ユニット10Bを備える一方、第1の実施形態の構成に対して、第2ユニット20Bが遅延回路204を有する点を異にする。
【0125】
この遅延回路204は、復調部203が検波・復調に利用する信号(ミリ波搬送波と同一周波数の信号またはその生成に用いた信号)をミリ波搬送波生成部202から受ける前に、前記検波・復調に利用する信号に対して、時間遅れを与える機能を有する。
【0126】
以下、遅延回路204の作用をより詳しく説明する。
上述したように復調部203が検波・復調で利用する前記信号は、ミリ波搬送波生成部202においてミリ波搬送波の生成に利用した信号またはミリ波搬送波そのものであるから、前記ミリ波搬送波と基本的には同じ周波数を得ることができる。
【0127】
ここでより厳密に、ミリ波搬送波生成部202の生成するミリ波搬送波の周波数は温度などが影響して時間的に変動することがあることに注意すると、前記復調部203が受信するミリ波変調波を生成する際に使用されるミリ波搬送波は、前記導波路30を往復する時間だけ前に生成された信号である。そして、何も対策をしないと、この間に生じた経時的な周波数変動分の周波数ずれが発生し得る。
【0128】
本第2の実施形態における遅延回路204は、前記導波路30を往復する時間分の遅れを、前記復調部203が検波・復調で利用する信号に対して施すことで、前記経時的な周波数変動分の周波数ずれを補償する。
【0129】
すなわち、本第2の実施形態における遅延回路204を用いることで、前記復調部203は、厳密に検波・復調対象のミリ波変調信号の搬送波成分と同じ周波数を有する前記検波・復調で利用する信号を得ることができる。
【0130】
<遅延回路の技術的な意義>
本第2の実施形態における遅延回路204は、特開2015-19137号公報に記載された技術における位相調整部とは働きが明確に異なる。当該特開2015-19137号公報における位相調整部は、基準信号の“位相”を揃える働きを持つのに対して、本第2の実施形態における遅延回路204は、同じタイミングで発振された信号を検波・復調に用いるためのものであり、言うなれば復調に用いる信号の“時間”を揃える働きを持つ。
【0131】
上述したように、映像信号が重畳されたミリ波変調波は、第2ユニット20Bが受信する時点で導波路30を往復する時間(厳密にはこれに第1ユニット10B内の処理に要した時間)だけ時間が遅れるが、前記導波路30は線路長の決まった有線線路であるから、この遅延時間は一定値となる。
【0132】
本第2の実施形態における遅延回路204はこの一定値の遅延を生じればよく、単純には導波路30と同等長さの線路にて機能を実現できる。
【0133】
なお、遅延回路204を経た信号に対しても、前記位相調整など、信号の周波数変換、検波・復調に必要な処理は、本発明においても必要に応じて追加すべきものであり、この採否は設計事項といえる。
【0134】
<第2の実施形態の効果>
本第2の実施形態の撮像装置によれば、第1の実施形態の効果に加えて、検波・復調の安定性をさらに増すことができる。すなわち、ミリ波搬送波の周波数が時間的に変動することによる搬送周波数の不一致を、遅延回路204を配することによって無くし、検波・復調の安定性、ひいては撮像の安定性を増した撮像装置を得ることができる。
【0135】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0136】
第3の実施形態の撮像装置は、主たる構成は第1の実施形態と同様であるが、第1のユニットが電力生成部を備えている点を異にする。したがって、ここでは第1の実施形態との差異のみの説明にとどめ、共通する部分の説明については省略する。
【0137】
図8は、本発明の第3の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、本第3の実施形態の撮像装置1Cは、第1の実施形態における第2ユニット20Aと同様の構成をなす第2ユニット20Cを備える一方、第1の実施形態の構成に対して、第1ユニット10Cが電力生成部103を有する点を異にする。
【0138】
本第3の実施形態において前記電力生成部103は、導波路30を介して第1ユニット10Cが受信したミリ波搬送波の一部を分岐して受信し、これを電力に変換する働きを有する。
【0139】
電力生成部103の具体的な構成として、たとえば一般にレクテナと呼ばれる素子を用いることができる。レクテナ(rectenna)とは、rectifying antennaの略であり、アンテナで受信した高周波信号を、直流電流に整流・変換して電力を取り出す素子をいう。
【0140】
最も単純には高周波信号の伝送線路にダイオード配置することで実現でき、単純かつ小型な回路でミリ波搬送波から電力を抽出することが可能となる。なお、電力生成部103の構成はあくまで一例であり、ミリ波搬送波から電力を生成する機能を持てば他の構成によっても本発明の効果を得ることができる。
【0141】
本第3の実施形態において、ミリ波搬送波から電力生成部103が取り出した電力は、撮像素子1012を駆動するための電力として用いることができる。なお、撮像素子1012を駆動するための電力は、第1の実施形態および第2の実施形態においても必要であった。
【0142】
すなわち、第1の実施形態および第2の実施形態においては、図示しないながらも前記導波路と並列に配された電力線によって第2ユニットから第1ユニットに供給するか、第1ユニット内にバッテリーを有するといった手段により、撮像素子を駆動するための電力供給が為されていた。この事情は、電力生成部103を有しない以降の実施形態においても同様である。
【0143】
<第3の実施形態の効果>
本第3の実施形態の撮像装置によれば、第1の実施形態における効果に加えて、撮像装置の構成単純化・軽量化を実現することができる。すなわち、第1の実施形態においては、第1ユニットと第2ユニットとの間に図示しない電力線を設けるか、または、第1ユット内に電力供給に足るバッテリーを配する必要があったが、本第3の実施形態において前記電力線、または前記バッテリーを設ける必要性が無くなる。このように電力線またはバッテリーが不要となることで、撮像装置の構成単純化や軽量化を実現できる。
【0144】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0145】
第4の実施形態の撮像装置は、主たる構成は第1の実施形態と同様であるが、第1のユニットがクロック生成部を備えている点を異にする。したがって、ここでは第1の実施形態との差異のみの説明にとどめ、共通する部分の説明については省略する。
【0146】
図9は、本発明の第4の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
図9に示すように、本第4の実施形態の撮像装置1Dは、第1の実施形態における第2ユニット20Aと同様の構成をなす第2ユニット20Cを備える一方、第1の実施形態の構成に対して、第1ユニット10Cがクロック生成部104を有する点を異にする。
【0147】
本第4の実施形態においてクロック生成部104は、導波路30を介して第1ユニット10Dが受信したミリ波搬送波から、撮像素子1012の駆動に必要な基準信号であるクロック信号を生成する働きを有する。
【0148】
クロック生成部104がクロック信号を生成する具体的な方法として、たとえば受信したミリ波搬送波を分周(電波の周波数を1/n(ここでnは整数))にすることで、クロック信号に適した周波数を生成する分周回路による方法がある。
【0149】
このほか、第2ユニット20D内においてミリ波搬送波生成部202で生成されたミリ波搬送波に、図示しないミクサを用いてクロック信号を重畳しておき、クロック生成部104において当該クロック信号を分離(検波)して、これをクロック信号として利用する方法がある。
【0150】
なお、これらの構成はあくまで一例であって、ミリ波搬送波を用いてクロック信号を生成する機能を持てば、本第4の実施形態の効果を得ることができる。
【0151】
ミリ波搬送波からクロック生成部104が生成したクロック信号は、撮像素子1012の動作に必要な基準信号として用いることができる。なお、撮像素子1012の動作に必要な基準信号(クロック信号)は、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態においても必要であった。
【0152】
すなわち、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態においては、図示しないながらも前記導波路30と並列に配されたクロック信号線によって第2ユニットから第1ユニットに供給するか、第1ユニット内にクロック信号生成用の回路を有するという手段により、撮像素子1012の動作に必要な基準信号の供給が為されていた。この事情は、クロック生成部104を有しない以降の実施形態においても同様である。
【0153】
なおここで、クロック信号をミリ波搬送波に重畳する例を挙げたが、この場合にはクロック信号に乱れが生じやすくはなるが、これは
図5、
図6に示すようなLNAを通すなどの比較的簡単な処理で補正することが可能である。即ち、信号を補正するための回路を利用することは設計要件であり、上述した実施形態の構成に限らず、本発明において必要に応じて付加することができる。
【0154】
<第4の実施形態の効果>
本第4の実施形態の撮像装置によれば、第1の実施形態の効果に加えて、撮像装置の構成単純化・軽量化を実現することができる。すなわち、第1の実施形態では、第1ユニットと第2ユニットとの間に図示しないクロック線を設けるか、第1ユニット内に基準信号を生成するための回路を設ける必要があったが、本第4の実施形態では前記クロック線、または基準信号を生成するための回路を設ける必要性が無くなる。
【0155】
すなわち、本第4の実施形態によると、クロック線または基準信号を生成するための回路が不要となることで、第1ユニットと第2ユニットとの間に設ける線路の構成を単純化できるなど、撮像装置の構成を単純化・軽量化することができる。
【0156】
なお、クロック線は、一般にノイズの混入を避ける同軸線を用いる必要があり、この削減は撮像装置の製造性の向上に効果がある。
【0157】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0158】
第5の実施形態の撮像装置は、主たる構成は第1の実施形態と同様であるが、第1のユニットが撮像制御信号受信再生部を備えている点を異にする。したがって、ここでは第1の実施形態との差異のみの説明にとどめ、共通する部分の説明については省略する。
【0159】
図10は、本発明の第5の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
図10に示すように、本第5の実施形態の撮像装置1Eは、第1の実施形態の構成に対して、第1ユニット10Eが撮像制御信号受信再生部105を有する点および第2ユニット20Eが撮像制御部205を有する点を異にする。
【0160】
本第5の実施形態において撮像制御信号受信再生部105は、前記第2ユニット20E内における撮像制御部205において生成された撮像制御信号を、導波路30を経由して受信・再生する。また、前記受信・再生した撮像制御信号を撮像素子1012に対して供給する働きを有する。
【0161】
ここで前記撮像制御信号は、上述したように第2ユニット20Eが有する撮像制御部205で生成され、前記ミリ波搬送波生成部202で生成されたミリ波搬送波とミキシングされ、導波路30に送出されている。
【0162】
なお本第5の実施形態において、撮像制御部205を新たに明示したが、撮像素子1012の制御に寄与する撮像制御部205に相当する部位は、第1の実施形態~第4の実施形態においても存在し、導波路30とは別に図示しない撮像素子を制御するための制御信号線を介して撮像素子の制御を行っていた。
【0163】
本第5の実施形態においては、撮像制御信号をミリ波搬送波にミキシングすることで撮像制御信号の伝送を行っているが、他にも時分割により撮像制御信号を伝達する方法もある。
【0164】
また、これらの構成はあくまで一例であって、導波路30を経由して伝送された撮像制御信号を受信・再生する機能を持てば、本第5の実施形態の効果を得ることができる。
【0165】
<第5の実施形態の効果>
本第5の実施形態の撮像装置によれば、第1の実施形態における効果に加えて、撮像装置の構成単純化・軽量化を実現することができる。すなわち、第1の実施形態においては、第1ユニットと第2ユニットとの間に図示しない撮像制御信号線を設ける必要があったが、本第5の実施形態では前記撮像制御信号線を設ける必要性が無くなる。
【0166】
すなわち、本第5の実施形態によると、撮像制御信号線が不要となることで、第1ユニットと第2ユニットの間に設ける線路の構成を単純化でき、撮像装置の構成を単純化・軽量化できる。
【0167】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
【0168】
第6の実施形態の撮像装置は、主たる構成は第1の実施形態と同様であるが、第1のユニットが電力変換部、クロック生成部および撮像制御信号受信再生部を備えている点を異にする。したがって、ここでは第1の実施形態との差異のみの説明にとどめ、共通する部分の説明については省略する。
【0169】
図11は、本発明の第6の実施の形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、本第6の実施形態の撮像装置1Fは、第1の実施形態の構成に対して、第1ユニット10Fが、第3の実施形態における電力変換部103、第4の実施形態におけるクロック生成部104、第5の実施形態における撮像制御信号受信再生部105をそれぞれ有する点および第2ユニット20Fが撮像制御部205を有する点を異にする。
【0170】
すなわち、本第6の実施形態の撮像装置は、第3の実施形態において示したように、第1ユニットに電力変換部103を有することにより撮像素子1012に電力を共有するための電力線または第1ユニット内のバッテリーが不要となる。
【0171】
また、本第6の実施形態の撮像装置は、第4の実施形態において示したように、第1ユニットがクロック生成部104を有することにより撮像素子1012にクロック信号を共有するためのクロック信号線または第1ユニット内の発振器が不要となる。
【0172】
さらに、本第6の実施形態の撮像装置は、第5の実施形態において示したように、第1ユニットが撮像制御信号受信再生部105を有することにより、撮像素子1012を制御するために必要な撮像制御信号を伝達するための撮像制御信号線が不要となる。
【0173】
加えて、導波路30が第1の実施形態と同様に、長手方向に誘電率が均一になるように延出された内部誘電体301と、前記長手方向に連続的に延出された前記誘電体の外周を覆う外導体(金属層)302とを有する導波管により構成されることにより、前記外導体302が第1ユニット10Fと第2ユニット20Fとを接続するGND線となり得る。
【0174】
すなわち、本第6の実施形態の撮像装置によれば、撮像素子1012を動作させるために必要な駆動電力、クロック信号、撮像制御信号、GNDの供給が、導波路30を通じて全て可能となる。
【0175】
なお、第6の実施形態においては、撮像素子1012、クロック生成部104、撮像制御信号受信生成部105は、同じCMOSプロセスにより同じシリコンチップ上に集積化するものとした。すなわち、一体化するものとした。もっとも、これら機能の一体化は、小型化および製造性の向上、動作の安定に寄与するが、一体化のパターンはこれに限らない。
【0176】
<第6の実施形態の効果>
本第6の実施形態の撮像装置によれば、第1の実施形態における効果に加えて、撮像装置の大幅な構成単純化・軽量化を実現することができる。
【0177】
すなわち、本第6の実施形態によれば、第1ユニット10Fと第2ユニット20Fとを結ぶ線路を導波路30のみにすることができる。これにより、接続線が減少することで、製造性をも大幅に向上できる。
【0178】
また、本第6の実施形態によれば、撮像素子1012、クロック生成部104、撮像制御信号受信生成部105を、同じCMOSプロセスにより同じシリコンチップ上に集積化(一体化)したことで、製造性が向上するとともに、撮像装置の動作を安定化することができる。
【0179】
<第7の実施形態>
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
【0180】
この本発明の第7の実施形態は、上述した第1の実施形態の撮像装置を、撮像部の振れ補正を行う振れ補正機構を有するカメラに適用したことを特徴とする。
【0181】
図12は、当該第7の実施の形態であるカメラの構成を示す図である。
図12に示すように、本実施形態のカメラは、上述した第1の実施形態における第1ユニット10Aと同様の役目を果たす第1ユニット10Gを有する。この第1ユニット10Gは、第1の実施形態と同様の撮像部101と、処理送信部102とを有する。
【0182】
ここで、第7の実施形態において前記撮像部101は、被検体像を入光する撮像光学系1011と、撮像素子1012とを有する。撮像素子1012は、撮像基板1013上に実装され、撮像光学系1011の後方に配設されると共に被検体像を撮像して光電変換により所定の映像信号を出力する。
【0183】
また、撮像部101における前記撮像素子1012の側方には、当該撮像素子1012の振れを補正する公知の振れ補正駆動部40が配設され、前記撮像素子1012の振れを適宜補正するようになっている。
【0184】
一方、撮像部101の後方においては、前記撮像基板1013の裏面側に、前記第1の実施形態と同様の役目を果たす処理送信部102が配設される。
【0185】
この処理送信部102は、第1の実施形態と同様に、後述する第2ユニット20Gとの間に架設された導波路30を経由して当該第2ユニット20Gにおけるミリ波搬送波生成部において生成されたミリ波搬送波を受信し、撮像部101で生成した前記映像信号を当該ミリ波搬送波に重畳してミリ波変調波(ミリ波変調信号)を生成し、当該ミリ波変調信号を前記導波路30に向けて送信する。
【0186】
本第7の実施形態のカメラは、第1の実施形態における前記第2ユニット20Aと同様の役目を果たす第2ユニット20Gを有する。この第2ユニット20Gは、撮像部101の後方に配設され、第1の実施形態と同様に、前記ミリ波搬送波を生成するミリ波搬送波生成部202と、前記第1ユニット10Gから出力された前記映像信号が重畳されたミリ波変調信号を元に映像信号を取得する復調部203と、前記取得した映像信号に対して所定の処理を施す前記映像処理部201と、を有する。
【0187】
なお、これら映像処理部201、ミリ波搬送波生成部202、復調部203は、所定のメイン基板206上に実装されるようなっている。
【0188】
ミリ波搬送波生成部202は、本第7の実施形態においても、図示しない発振素子または発振回路を有する。そしてミリ波搬送波生成部202は、前記発振素子または発振回路において生成された所定の基準信号に基づいて前記ミリ波搬送波を生成し、出力する。具体的にミリ波搬送波は、例えば、前記基準信号を逓倍することにより生成される。
【0189】
復調部203は、第1ユニット10Gにおける処理送信部102において生成された前記ミリ波変調信号を導波路30を経由して受信し、ミリ波搬送波生成部202で生成された信号を利用して前記撮像部101で生成された前記映像信号を再生(復元)する。
【0190】
本第7の実施形態においては、前記第1ユニット10Gと前記第2ユニット20Gとの間において、導波路30が架設されている。
【0191】
この導波路30は、本第7の実施形態においても第1の実施形態と同様に、例えば可撓性の導波管により構成され、すなわち、長手方向に誘電率が均一になるように延出された可撓性の内部誘電体301と、前記長手方向に連続的に延出された前記誘電体の外周を覆い可撓性のある金属層である外導体302とを有する導波管による構成される。
【0192】
<第7の実施形態の効果>
本第7の実施形態の撮像装置によれば、信号送信に用いるミリ波搬送波の元となる基準信号を生成する生成部(発振部)を第2ユニット(映像処理ユニット)に有することで、特に第1ユニット(撮像ユニット)の大幅な小型・軽量化を実現できる。これにより、撮像素子1012の振れを補正する前記振れ補正駆動部40の動作性能を向上させることができる。
【0193】
また第1の実施形態と同様に、基準信号の周波数安定度に対する要求を大幅に緩和することで、基準信号生成部の回路規模を大幅に小さくしつつも、例えば、4K、8K等の高精細/大容量映像に係る映像信号を適切に伝送できる。
【0194】
このように、特に撮像部を小型軽量することができ、回路規模の小さい構成でありながら、容量の大きい撮像信号の伝送を確実に行うと共に、振れ補正駆動部を的確に作用させることができるカメラを得ることができる。
【0195】
なお、本第7の実施形態の撮像装置は、上述した第1の実施形態の撮像装置を、撮像部の振れ補正を行う振れ補正機構を有するカメラに適用したものとしたが、これに限らず、上述した第2~第5の実施形態の撮像装置を適用するものであってもよい。
【0196】
<第8の実施形態>
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。
【0197】
この本発明の第8の実施形態は、上述した第1の実施形態の撮像装置(撮像装置1A:
図1参照)を内視鏡装置(内視鏡システム)に適用したことを特徴とする。
【0198】
図13は、本発明の第8の実施の形態である撮像装置を適用した内視鏡装置(内視鏡システム1)の構成を示すブロック図である。
【0199】
図13に示すように、内視鏡装置(内視鏡システム)1は、いわゆる上部消化管用の内視鏡システムである。そして内視鏡システム1は、被検体Pの体腔内に先端部を挿入することによって被写体Pの体内画像を撮像し当該被写体像の画像信号を出力する撮像部を備える内視鏡2と、内視鏡2における前記撮像部から出力される画像信号に対して所定の画像処理を施す画像処理部を備えるとともに内視鏡システム1全体の動作を統括的に制御するビデオプロセッサ3と、内視鏡2の先端から出射するための照明光を発生する光源装置4と、ビデオプロセッサ3において画像処理が施された画像を表示する表示装置5と、を主に備える。
【0200】
内視鏡2は、先端部に前記撮像部を内設し、可撓性を有する細長形状部により構成される挿入部6と、挿入部6の基端側に接続され各種の操作信号の入力を受け付ける操作部と、当該操作部から基端側に向けて延出されビデオプロセッサ3および光源装置4と接続するユニバーサルコード8と、を備える。
【0201】
挿入部6は、最先端部に配設され前記撮像部等を内蔵する先端硬性部10と、当該先端硬性部10の基端側に配設され、複数の湾曲駒によって構成された湾曲自在な湾曲部と、当該湾曲部の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部と、を有する。
【0202】
挿入部6は、前記先端硬性部10に、被検物を撮像して映像信号を生成する撮像部を有する第1ユニット(撮像ユニット)10Hを配設する。この第1ユニット10Hは、第1の実施形態における第1ユニット10Aと同様の機能を有し、上述した撮像部101と、処理送信部102とを有する(
図1参照)。
【0203】
すなわち第8の実施形態に係る内視鏡システム1においても、第1ユニット10Hにおける撮像部101は、被検体像を入光する撮像光学系1011と、撮像素子1012とを有する。撮像素子1012は、撮像光学系1011の後方に配設され、被検体像を撮像して光電変換により所定の映像信号を出力する。
【0204】
なお、前記撮像素子1012は、本実施形態においては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであって、かつ、いわゆるフルハイビジョン相当以上の画素数である200万画素以上の画素数を有するイメージセンサを採用する。
【0205】
一方、ビデオプロセッサ3は、内視鏡システム1全体の動作を統括的に制御する機能を有すると共に、第1の実施形態における第2ユニット20Aと同様の機能を有する第2ユニット20Hを備える。
【0206】
この第2ユニット20Hは、第1の実施形態における第2ユニット20Aと同様に、ミリ波搬送波を生成するミリ波搬送波生成部202と、前記第1ユニット10Hから出力された前記映像信号が重畳されたミリ波変調信号を元に映像信号を取得する復調部203と、前記取得した映像信号に対して所定の処理を施す映像処理部201と、を有する。
【0207】
さらに内視鏡2は、挿入部6の先端部に配設した前記第1ユニット10Hにおける撮像部101と、ビデオプロセッサ3における前記第2ユニット20Hにおける映像処理部201との間において、前記撮像部101から当該挿入部6、前記操作部および前記ユニバーサルコード8のそれぞれ内部を経由してビデオプロセッサ3の映像処理部201に至るまで延設された信号伝送路を備える。
【0208】
本第8の実施形態に係る内視鏡システムにおいては、前記信号伝送路をミリ波またはサブミリ波(以下、場合により代表してミリ波と記載する)を通す、第1の実施形態と同様の導波路30により構成される。
【0209】
なお、本実施形態において内視鏡2における前記ユニバーサルコード8、挿入部6には、上述した信号伝送路としての導波路30と共に、光源装置4において生成された照明光を伝送するためのライトガイド、撮像部101の駆動のための電力、所定の駆動信号等の伝送手段が配設されるほか、図示しない所定の処置具等を挿通するためのチャンネル孔等、公知の機能手段が配設される。
【0210】
次に、本実施形態の内視鏡システムにおいて、導波路30を伝送するミリ波搬送信号およびミリ波変調信号に係る信号伝送について説明する。
【0211】
本第8の実施形態に係る内視鏡システムにおいても、第1の実施形態と同様に、第2ユニット20Hにおけるミリ波搬送波生成部202は、図示しない発振素子または発振回路において生成された所定の基準信号に基づいてミリ波搬送波を生成し、導波路30に向けて出力する。具体的にミリ波搬送波は、例えば、前記基準信号を逓倍することにより生成される。
【0212】
一方、第1ユニット10Hにおける処理送信部102は、前記導波路30を経由して前記第2ユニット20Hにおけるミリ波搬送波生成部202において生成されたミリ波搬送波を受信し、撮像部101で生成した前記映像信号を当該ミリ波搬送波に重畳してミリ波変調波(ミリ波変調信号)を生成し、当該ミリ波変調信号を前記導波路30に向けて送信する。
【0213】
さらに第2ユニット20Hにおける復調部203は、第1ユニット10Hにおける処理送信部102において生成された前記ミリ波変調信号を、導波路30を経由して受信し、ミリ波搬送波生成部202において生成された信号を利用して前記撮像部101で生成された前記映像信号を再生(復元)する。
【0214】
<第8の実施形態における導波路30>
本第8の実施形態の内視鏡システム1において前記導波路30は、上述したように、例えば可撓性の導波管により構成され、すなわち、
図2~
図4に示すように、長手方向に誘電率が均一になるように延出された可撓性の内部誘電体301と、前記長手方向に連続的に延出された前記誘電体の外周を覆い、可撓性金属層である外導体302とを有する導波管により構成される。
【0215】
そして、本第8の実施形態の内視鏡システム1においても前記導波路30は、上述したように例えば可撓性の導波管により構成され、内視鏡挿入部の先端部に配設された第1ユニット10Hとビデオプロセッサ3に配設された第2ユニット20Hとを結ぶ信号伝送路であって、少なくとも一部がミリ波またはサブミリ波を伝搬する導波路である。
【0216】
すなわち、本実施形態における導波路30は、内視鏡挿入部の先端部に配設された撮像部101を含む第1ユニット10Hと、当該内視鏡が接続されるビデオプロセッサ3の映像処理部を含む第2ユニット20Hとを結ぶ信号伝送方式として、従来用いられてきた、リードワイヤによる信号伝送方式または光ファイバによる信号伝送方式に代わり、ミリ波またはサブミリ波(おおよそ30~600GHzの周波数を有する電波)を通す導波路(可撓性導波管)による信号伝送方式を新たに提案するものでもある。
【0217】
<第8の実施形態の効果>
本第8の実施形態の内視鏡システムによれば、内視鏡挿入部の先端部に配設された撮像部101を含む第1ユニット10Hと、当該内視鏡が接続されるビデオプロセッサ3の映像処理部を含む第2ユニット20Hとを結ぶ信号伝送方式として導波路30を採用すると共に、信号送信に用いるミリ波搬送波の元となる基準信号を生成する生成部(発振部)をビデオプロセッサ3側の映像処理ユニットに有することで、ミリ波またはサブミリ波(おおよそ30~600GHzの周波数を有する電波)での画像伝送を可能とすると共に、内視鏡2の挿入部先端部の大幅な小型・軽量化を実現できる。
【0218】
さらに、基準信号の周波数安定度に対する要求を大幅に緩和することで、基準信号生成部の回路規模を大幅に小さくしつつも、高速な撮像信号を適切に伝送できる。すなわち、特に撮像部を小型軽量することができ、回路規模の小さい構成でありながら、容量の大きい撮像信号の伝送を確実に行うことができる撮像装置(内視鏡システム)を得ることができる。
【0219】
なお、本第8の実施形態は、上述した第1の実施形態の撮像装置を内視鏡装置(内視鏡システム)に適用したものとしたが、これ限らず、上述した第2~第5の実施形態の撮像装置を適用するものであってもよい。
【0220】
<第9の実施形態>
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。
【0221】
この本発明の第9の実施形態は、上述した第1の実施形態の撮像装置(撮像装置1A:
図1参照)を、いわゆるドローンと称される無人飛行体(移動体)に適用したことを特徴とする。
【0222】
図14は、本発明の第9の実施の形態である撮像装置を適用したドローン(移動体)の構成を示すブロック図である。
【0223】
図14に示すように、ドローン51は、リモートコントロールでの飛行、またはGPS等に基づく自律飛行を行う小型の無人飛行体であり、例えば地上におけるリモートコントローラからの指示信号、または、GPS信号を受信して飛行を行う。
【0224】
本実施形態においてドローン51は、飛行のための各種機構部(公知のプロペラ等)の他、ドローン制御部53と、ドローン本体に装着されたカメラ52と、当該カメラ52とドローン制御部53とを接続する導波路30と、を有する。
【0225】
ドローン制御部53は、ドローン全体の制御を行う本体制御部、当該本体制御部の制御下に例えばプロペラのモータ駆動制御を行う飛行制御部、例えばジャイロ等の各種センサおよび電源等、公知の構成部を有して構成される。さらに本実施形態においてドローン制御部53は、第1の実施形態における第2ユニット20Aと同様の機能を有する第2ユニット20Jを有する。
【0226】
一方、カメラ52は、前記本体制御部に制御され、被写体を撮像して映像信号を生成する撮像部を有する第1ユニット(撮像ユニット)10Jを配設する。この第1ユニット10Jは、第1の実施形態における第1ユニット10Aと同様の機能を有し、上述した撮像部101と、処理送信部102とを有する(
図1参照)。
【0227】
すなわち第9の実施形態に係るドローン51においても、第1ユニット10Jにおける撮像部101は、被写体像を入光する撮像光学系1011と、撮像素子1012とを有する。撮像素子1012は、撮像光学系1011の後方に配設され、被検体像を撮像して光電変換により所定の映像信号を出力する。
【0228】
なお、前記撮像素子1012は、本実施形態においては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであって、かつ、いわゆるフルハイビジョン相当以上の画素数である200万画素以上の画素数を有するイメージセンサを採用する。
【0229】
また、上述したように本実施形態においてドローン制御部53は、第1の実施形態における第2ユニット20Aと同様の機能を有する第2ユニット20Jを有する。この第2ユニット20Jは、第1の実施形態における第2ユニット20Aと同様に、ミリ波搬送波を生成するミリ波搬送波生成部202と、前記第1ユニット10Hから出力された前記映像信号が重畳されたミリ波変調信号を元に映像信号を取得する復調部203と、前記取得した映像信号に対して所定の処理を施す映像処理部201と、を有する。
【0230】
さらにドローン51は、ドローン本体に装着したカメラ52に配設した前記第1ユニット10Jにおける撮像部101と、ドローン制御部53における前記第2ユニット20Jにおける映像処理部201との間において、前記撮像部101から当該映像処理部201に至るまで延設された信号伝送路を備える。
【0231】
本第9の実施形態に係るドローン51においては、前記信号伝送路をミリ波またはサブミリ波(以下、場合により代表してミリ波と記載する)を通す、第1の実施形態と同様の導波路30により構成される。
【0232】
なお、本実施形態のドローン51においては、上述した信号伝送路としての導波路30と共に、ドローン制御部53とカメラ52との間において、カメラを駆動するための信号等の各種通信機能を備える線路も併せて配設されてもよい。
【0233】
本第9の実施形態に係るドローン51においても、第1の実施形態と同様に、第2ユニット20Jにおけるミリ波搬送波生成部202は、図示しない発振素子または発振回路において生成された所定の基準信号に基づいてミリ波搬送波を生成し、導波路30に向けて出力する。具体的にミリ波搬送波は、例えば、前記基準信号を逓倍することにより生成される。
【0234】
一方、第1ユニット10Jにおける処理送信部102は、前記導波路30を経由して前記第2ユニット20Jにおけるミリ波搬送波生成部202において生成されたミリ波搬送波を受信し、撮像部101で生成した前記映像信号を当該ミリ波搬送波に重畳してミリ波変調波(ミリ波変調信号)を生成し、当該ミリ波変調信号を前記導波路30に向けて送信する。
【0235】
さらに第2ユニット20Jにおける復調部203は、第1ユニット10Jにおける処理送信部102において生成された前記ミリ波変調信号を、導波路30を経由して受信し、ミリ波搬送波生成部202において生成された信号を利用して前記撮像部101で生成された前記映像信号を再生(復元)する。
【0236】
<第9の実施形態における導波路30>
本第9の実施形態のドローン51において前記導波路30は、上述したように、例えば可撓性の導波管により構成され、すなわち、
図2~
図4に示すように、長手方向に誘電率が均一になるように延出された可撓性の内部誘電体301と、前記長手方向に連続的に延出された前記誘電体の外周を覆い、可撓性金属層である外導体302とを有する導波管により構成される。
【0237】
そして、本第9の実施形態のドローン51においても前記導波路30は、上述したように例えば可撓性の導波管により構成され、カメラ52に配設された第1ユニット10Jとドローン制御部53に配設された第2ユニット20Jとを結ぶ信号伝送路であって、少なくとも一部がミリ波またはサブミリ波を伝搬する導波路である。
【0238】
すなわち、本実施形態における導波路30は、ドローンに装着されたカメラに配設された撮像部101を含む第1ユニット10Jと、当該カメラが接続されるドローン制御部53における映像処理部を含む第2ユニット20Jとを結ぶ信号伝送方式として、従来用いられてきた、リードワイヤによる信号伝送方式に代わり、ミリ波またはサブミリ波(おおよそ30~600GHzの周波数を有する電波)を通す導波路(可撓性導波管)による信号伝送方式を新たに提案するものでもある。
【0239】
<第9の実施形態の効果>
本第9の実施形態のドローン51によれば、カメラ52に配設された撮像部101を含む第1ユニット10Jと、当該カメラが接続されるドローン制御部53における映像処理部を含む第2ユニット20Jとを結ぶ信号伝送方式として導波路30を採用すると共に、信号送信に用いるミリ波搬送波の元となる基準信号を生成する生成部(発振部)をドローン制御部53側の映像処理ユニットに有することで、ミリ波またはサブミリ波(おおよそ30~600GHzの周波数を有する電波)での画像伝送を可能とすると共に、ドローンに装着されたカメラの大幅な小型・軽量化を実現できる。
【0240】
さらに、基準信号の周波数安定度に対する要求を大幅に緩和することで、基準信号生成部の回路規模を大幅に小さくしつつも、高速な撮像信号を適切に伝送できる。すなわち、特に撮像部を小型軽量することができ、回路規模の小さい構成でありながら、容量の大きい撮像信号の伝送を確実に行うことができる撮像装置(ドローン撮像システム)を得ることができる。
【0241】
なお、これら本第9実施形態に示す如き移動体の効果は、当該第9の実施形態におけるドローンに限らず、広く自動車または航空機といった移動体において広く得られるものである。即ち、カメラを搭載し得る移動体全般において、本実施形態が示すカメラの大幅な小型・軽量化、および高速撮像信号の適切な伝送は、製品の価値を高める効果を有するものといえる。
【0242】
なお、本第9の実施形態は、上述した第1の実施形態の撮像装置をドローンと称される無人飛行体(移動体)に適用したものとしたが、これ限らず、上述した第2~第5の実施形態の撮像装置を適用するものであってもよい。
【0243】
<第10の実施形態>
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。
【0244】
この本発明の第10の実施形態は、上述した第1の実施形態の撮像装置(撮像装置1A:
図1参照)を移動体である、カメラ搭載型自動車に適用し、特に撮像部101を含む第1ユニットを複数搭載したことを特徴とする。
【0245】
図15は、本発明の第10の実施の形態である撮像装置を適用した移動体(カメラ搭載型自動車)の構成を示すブロック図である。
【0246】
図15に示すように、本実施形態においてカメラ搭載型自動車(以下、単に自動車と記す)60は、走行のための各種機構部の他、複数の監視用カメラ61~66と、中央電子制御ユニット67と、これらを接続する導波路30を有する。
【0247】
ここで監視用カメラ61は前方特に車両近くの周辺を監視する前近方監視カメラであり、監視用カメラ62、63はドアミラーの如く側方から後方を監視する側後方監視カメラであり、監視用カメラ64、65は前方を立体で監視する前方3Dカメラであり、監視用カメラ66は後方を監視する後方カメラである。
【0248】
中央電子制御ユニット67は、エンジン制御ECU(電子制御ユニット)、トランスミッション制御ECU、充電制御ECU、スタート&ストップ制御ECUなどの各種ECU(電子制御ユニット)の情報やりとりを統括し、自動車の動作全体を広く制御する。中央電子制御ユニット67にとって、監視用カメラ61~66は各種制御を行うためのセンサに当たる。
【0249】
一方、監視用カメラ61~66は、前記中央制御ユニット67に制御され、自動車60の周囲を撮像して映像信号を生成する撮像部を有する第1ユニット(撮像ユニット)10K1~10K6を配設する。この第1ユニット10K1~10K6は、第1の実施形態における第1ユニット10Aと同様の機能を有し、上述した撮像部101と、処理送信部102とを有する(
図1参照)。
【0250】
すなわち第10の実施形態に係る自動車60においても、第1ユニット10K1~10K6における撮像部101は、被写体像を入光する撮像光学系1011と、撮像素子1012とを有する。撮像素子1012は、撮像光学系1011の後方に配設され、被検体像を撮像して光電変換により所定の映像信号を出力する。
【0251】
なお、前記撮像素子1012は、本実施形態においては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであって、かつ、いわゆるフルハイビジョン相当以上の画素数である200万画素以上の画素数を有するイメージセンサを採用する。
【0252】
また、上述したように本実施形態において中央制御ユニット67は、第1の実施形態における第2ユニット20Aと同様の機能を有する第2ユニット20Kを有する。この第2ユニット20Kは、第1の実施形態における第2ユニット20Aと同様に、ミリ波搬送波を生成するミリ波搬送波生成部202と、前記第1ユニット10K1~10K6のそれぞれから出力された前記映像信号が重畳されたミリ波変調信号を元に映像信号を取得する復調部203と、前記取得した映像信号に対して所定の処理を施す映像処理部201と、を有する。
【0253】
さらに自動車60は、監視カメラ61~66に配設した前記第1ユニット10K1~10K6における撮像部101と、中央制御ユニット67における前記第2ユニット20Kにおける映像処理部201との間において、前記撮像部101から当該映像処理部201に至るまで延設された信号伝送路を備える。
【0254】
本第10の実施形態に係る自動車60においては、前記信号伝送路をミリ波またはサブミリ波(以下、場合により代表してミリ波と記載する)を通す、第1の実施形態と同様の導波路30により構成される。なお、前記導波路30は、前記の通り前記撮像部101から当該映像処理部201に至るまで延設されるが、
図15に示すが如く信号伝送路の途中に分岐点68を設けることで信号を分岐し、導波路30を設置する距離を抑えている。
【0255】
ここで前記分岐点68は、導波路30をT字型に分岐する構造を組み合わせて実現できる。この分岐では、必要に応じてサーキュレータ、アイソレータまたは周波数フィルタなどの既知の部材を組み合わせることで、必要な接続性能を調整することもできる。
【0256】
本実施形態の自動車60においては、上述した信号伝送路としての導波路30と共に、中央電子制御部67と監視カメラ61~66との間において、監視カメラを駆動するための信号等の各種通信機能を備える線路も併せて配設されてもよい。また、同じく信号伝送路には分岐点68を設けたが、分岐点68を設けずに、中央電子制御部67と監視カメラ61~66との間をそれぞれ直接に導波路30によって接続しても良い。
【0257】
本第10の実施形態に係る自動車60においても、第1の実施形態と同様に、第2ユニット20Kにおけるミリ波搬送波生成部202は、図示しない発振素子または発振回路において生成された所定の基準信号に基づいてミリ波搬送波を生成し、導波路30に向けて出力する。具体的にミリ波搬送波は、例えば、前記基準信号を逓倍することにより生成される。
【0258】
一方、第1ユニット10K1~10K6における処理送信部102は、前記導波路30を経由して前記第2ユニット20Jにおけるミリ波搬送波生成部202において生成されたミリ波搬送波を受信し、撮像部101で生成した前記映像信号を当該ミリ波搬送波に重畳してミリ波変調波(ミリ波変調信号)を生成し、当該ミリ波変調信号を前記導波路30に向けて送信する。
【0259】
さらに第2ユニット20Kにおける復調部203は、第1ユニット10K1~K6における処理送信部102において生成された前記ミリ波変調信号を、導波路30を経由して受信し、ミリ波搬送波生成部202において生成された信号を利用して前記撮像部101で生成された前記映像信号を再生(復元)する。
【0260】
<第10の実施形態における導波路30>
本第10の実施形態の自動車60において前記導波路30は、上述したように、例えば可撓性の導波管により構成され、すなわち、
図2~
図4に示すように、長手方向に誘電率が均一になるように延出された可撓性の内部誘電体301と、前記長手方向に連続的に延出された前記誘電体の外周を覆い、可撓性金属層である外導体302とを有する導波管により構成される。
【0261】
そして、本第10の実施形態の自動車60においても前記導波路30は、上述したように例えば可撓性の導波管により構成され、監視用カメラ61~66に配設された第1ユニット10K1~10K6と中央電子制御ユニット67に配設された第2ユニット20Kとを結ぶ信号伝送路であって、少なくとも一部がミリ波またはサブミリ波を伝搬する導波路である。
【0262】
すなわち、本実施形態における導波路30は、自動車に装着された監視用カメラに配設された撮像部101を含む第1ユニット10K1~10K6と、当該カメラが接続される中央電子制御ユニット67における映像処理部を含む第2ユニット20Kとを結ぶ信号伝送方式として、従来用いられてきた、リードワイヤによる信号伝送方式に代わり、ミリ波またはサブミリ波(おおよそ30~600GHzの周波数を有する電波)を通す導波路(可撓性導波管)による信号伝送方式を新たに提案するものでもある。
【0263】
<第10の実施形態の効果>
本第10の実施形態の自動車60によれば、第9実施例において示したカメラの大幅な小型・軽量化、および高速な撮像信号の適切な伝送の実現といった効果を更に高めることができる。即ち、自動運転の実現に向けた動きなど高精細な映像伝送の重要性が以前よりも高まり、自動車1台当たりの撮像ユニット利用数も増える中で、信号送信に用いるミリ波搬送波の元となる基準信号を生成する生成部(発振部)を中央電子制御ユニット67側の映像処理ユニットに共通して有することで、前記基準信号の生成部(発振部)を複数の撮像ユニットがそれぞれ有する必要が無くなり、自動車1台あたりの小型化、軽量化に寄与できる。
【0264】
なお、本第10の実施形態は、上述した第1の実施形態の撮像装置を移動体である、カメラ搭載型自動車に適用したものとしたが、これ限らず、上述した第2~第5の実施形態の撮像装置を適用するものであってもよい。
【0265】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0266】
1A:撮像装置
10A:第1ユニット
101:撮像部
1012:撮像素子
102、102A、102B:処理送信部
103:電力生成部
104:クロック生成部
105:撮像制御信号受信再生部
20A:第2ユニット
201:映像処理部
202:ミリ波搬送波生成部
203:復調部
204:遅延回路
30:可撓性導波管(導波路)
301:内部誘電体
302:外導体