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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ワーク支持装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20230907BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B23Q3/06 301A
B23Q17/00 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019049815
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2020151777
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝谷 祥之
(72)【発明者】
【氏名】金平 裕次
(72)【発明者】
【氏名】大木 信人
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-058254(JP,A)
【文献】特開2014-161995(JP,A)
【文献】特開2010-125552(JP,A)
【文献】特開2001-353632(JP,A)
【文献】米国特許第05887430(US,A)
【文献】独国特許出願公開第4042364(DE,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0061241(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00-1/76
B23Q 3/00-3/154
B23Q 11/00-13/00
B25B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象であるワークを支持するワーク支持装置であって、
加工に必要な流体を通す主流路、および該主流路とは異なる副流路を有し、前記ワークを固定する治具と、
前記主流路に連通するテーブル流路を有し、前記治具が取り付けられたテーブルと、
前記テーブル流路に連通する回転軸流路を有し、前記テーブルに固定された回転軸と、
前記回転軸を回転可能に支持する支持部材と、
前記回転軸の前記回転軸流路と流体供給側に連通する供給流路とを前記回転軸の軸線を中心として相対回転可能に接続する流路接続装置と、
前記治具に対して相対移動することで前記副流路と連通および遮断可能であり、前記流路接続装置を経由せずに前記副流路に供給される流体を通す供給側接続部と、
を備えることを特徴とするワーク支持装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記供給流路を有し、
前記流路接続装置は、前記回転軸の前記回転軸流路と前記支持部材の前記供給流路とを前記回転軸の軸線を中心として相対回転可能にシール部材により軸封状態で接続する回転継手であることを特徴とする請求項1に記載のワーク支持装置。
【請求項3】
前記治具と前記供給側接続部との間の相対移動は、前記ワーク支持装置が搭載される工作機械の送り軸方向の移動機構によって行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワーク支持装置。
【請求項4】
前記治具は、前記副流路の開口端部に設けられ前記副流路内に流体圧を保持可能な治具側接続部を有し、
前記供給側接続部は、前記治具に対して相対移動することで前記治具側接続部と着脱可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のワーク支持装置。
【請求項5】
加工に必要な流体は、前記治具に設けられ前記ワークの前記治具への着座を検知する着座検知部に供給するエアを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のワーク支持装置。
【請求項6】
加工に必要な流体は、前記治具に設けられ前記ワークをクランプするワーククランプ装置に供給する作動油を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のワーク支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工対象であるワークを支持するワーク支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタ等の工作機械には、加工対象であるワークを支持するワーク支持装置が搭載されている。ワーク支持装置は、一般にワークを固定する治具を備えている。ワークの固定は、治具に設けられたワーククランプ装置によってワークをクランプすることにより行われる。ワーククランプ装置には流体が供給され、流体圧によってクランプとアンクランプとが切り替えられる。また、治具には、ワーククランプ装置以外にも、ワークリフタ等のワークの姿勢を制御するワーク姿勢制御装置などの流体によって作動する装置が設けられている。
【0003】
ワークに対して種々の方向から加工を施すために、治具を取り付けたテーブルが該テーブルに固定された回転軸を中心として回転可能に構成されたワーク支持装置がある。この場合、回転軸を支持する支持部材等の固定部分から、回転する回転軸を介して治具に流体を供給するために、一般に回転継手が用いられている。
【0004】
この場合、回転継手には、ワーククランプ装置、ワーク姿勢制御装置等の装置にそれぞれ流体を供給する複数の流路を備える必要がある。このため、回転継手が長軸化、大径化し、ひいてはワーク支持装置の大型化、重量増大を招いていた。
【0005】
これに対して、流路内に流体圧を保持可能な接続部を治具に設けることで、加工時には、治具内に流体圧を保持し、治具と供給される流体を通す供給側接続部とを切り離す技術が提案されている(特許文献1,2参照)。この技術では、加工時に、治具へ流体圧を供給することは不要となる。したがって、治具を取り付けたテーブルが回転可能に構成される場合でも、回転継手は不要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-249531号公報
【文献】特開2005-161455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に記載の技術では、加工時における治具の流路内の流体圧は、治具に設けられた流体圧を保持可能な接続部のみに頼っている。このため、万一治具の流路内の流体圧が保持できずに低下した場合には、加工時に例えば治具上でワークがずれてしまうような事態に対処できず、加工作業の信頼性が損なわれるおそれがある。
【0008】
本発明は、加工作業の信頼性を高めつつ、小型軽量化が可能なワーク支持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明は、加工対象であるワークを支持するワーク支持装置であって、治具と、テーブルと、回転軸と、支持部材と、流路接続装置と、供給側接続部と、を備えている。前記治具は、加工に必要な流体を通す主流路、および該主流路とは異なる副流路を有し、前記ワークを固定する。前記テーブルは、前記主流路に連通するテーブル流路を有し、前記治具が取り付けられている。前記回転軸は、前記テーブル流路に連通する回転軸流路を有し、前記テーブルに固定されている。前記支持部材は、前記回転軸を回転可能に支持する。前記流路接続装置は、前記回転軸の前記回転軸流路と流体供給側に連通する供給流路とを前記回転軸の軸線を中心として相対回転可能に接続する。前記供給側接続部は、前記治具に対して相対移動することで前記副流路と連通および遮断可能であり、供給される流体を通す。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加工作業の信頼性を高めつつ、小型軽量化が可能なワーク支持装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るワーク支持装置が搭載された工作機械の概略構成を示す側面図である。
図2】本実施形態に係るワーク支持装置の斜視図である。
図3】本実施形態に係るワーク支持装置の平面図である。
図4】本実施形態に係るワーク支持装置の正面図である。
図5】治具の主流路に繋がる流路を説明するための模式図である。
図6図4のIV-IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク支持装置1が搭載された工作機械100の概略構成を示す側面図である。以下、説明の都合上、図1における左側を「前」側、図1における右側を「後」側と呼ぶ場合がある。
【0014】
図1に示すように、本実施形態では、工作機械100は、主軸装置103が水平方向に沿うように配置される横形の工作機械である。工作機械100は、ベース101と、コラム102と、主軸装置103と、ワーク支持装置1と、制御盤104とを備えている。
【0015】
ベース101上には、コラム102がベース101に対してX軸方向(図1の紙面に直交する方向)に移動可能に設けられている。コラム102は、ベース101に取り付けられたモータ(図示せず)によるねじ軸(図示せず)の正逆回転によってねじ送りされることで、X軸方向に沿って移動させられる。主軸装置103は、コラム102に対してY軸方向(上下方向)に移動可能に設けられている。主軸装置103は、コラム102に取り付けられたモータ(図示せず)によるねじ軸(図示せず)の正逆回転によってねじ送りされることで、Y軸方向に沿って移動させられる。
【0016】
ワーク支持装置1は、加工対象であるワークWを支持する。ワーク支持装置1は、本実施形態では、ベース101に対してZ軸方向(前後方向)に移動可能に設けられている。ワーク支持装置1は、ベース101に取り付けられたモータ(図示せず)によるねじ軸(図示せず)の正逆回転によってねじ送りされることで、Z軸方向に沿って移動させられる。
【0017】
工作機械100は、主軸装置103の回転する主軸(図示せず)の先端に取り付けた工具Tによって、ワークWに対して加工を行う。制御盤104は、工作機械100の各部の動作を統括的に制御する。
【0018】
図2は、本実施形態に係るワーク支持装置1の斜視図である。図3は、本実施形態に係るワーク支持装置1の平面図である。図4は、本実施形態に係るワーク支持装置1の正面図である。図5は、治具2の主流路F1に繋がる流路を説明するための模式図である。図6は、図4のIV-IV線に沿う断面図である。なお、図3および図4では、固定部9の図示が省略されている。
【0019】
図2に示すように、ワーク支持装置1は、治具2と、テーブル4と、支持台6,7と、キャリッジ8と、固定部9とを備えている。
【0020】
治具2は、工具T(図1参照)によってワークWに対して加工を行うために、ワークWを固定する。治具2は、テーブル4に取り付けられる板状の治具本体21を有している。
【0021】
図5に示すように、治具2は、加工に必要な流体を通す主流路F1を有している。主流路F1は、治具本体21の内部に形成されている。主流路F1は、ここでは4本(4系統)形成されているが、図5では、2本(2系統)のみ示されている。
【0022】
また、図2および図6に示すように、治具2は、主流路F1とは異なる副流路F2を有している。副流路F2は、治具本体21の内部に形成されている。副流路F2は、ここでは4本(4系統)形成されている。なお、主流路F1および副流路F2の本数(系統数)は、適宜変更可能である。
【0023】
図2図4に示すように、治具本体21上には、ワークWをクランプするワーククランプ装置22が設けられている。ワーククランプ装置22は、治具2の主流路F1を介して該ワーククランプ装置22に供給される作動油(流体)の圧力によって作動されるピストン(図示せず)の運動により揺動されるレバー23を有している。ワーククランプ装置22に設けられたクランプ用流路(図示せず)に油圧が供給されると、レバー23の先端が下降してワークWの被把持部をクランプ台座24,25に向けて押圧することでワークWがクランプされる。一方、ワーククランプ装置22に設けられたアンクランプ用流路(図示せず)に油圧が供給されると、レバー23の先端が上昇してワークWの被把持部から離間することでワークWがアンクランプされる。つまり、4本(4系統)の主流路F1のうちの2本(2系統)が、ワーククランプ用流路に連通する流路、およびワークアンクランプ用流路に連通する流路としてそれぞれ使用されている。
【0024】
また、治具本体21上には、ワークWの治具2への着座を検知する着座検知部26が設けられている。着座検知部26は、ここでは4つのワーククランプ装置22に使用されるクランプ台座24,25のうちの対角位置に設けられた2つのクランプ台座24に形成された着座検知用通路(図示せず)を有している。着座検知用通路は、治具2の主流路F1を介して供給されるエア(流体)を通す。つまり、4本(4系統)の主流路F1のうちの2本(2系統)が、着座検知用の流路として使用されている。ワークWがクランプ台座24に正規の姿勢で着座していると、ワークWの下面とクランプ台座24の上面とが密着してエアが漏れないため、着座検出用通路内の圧力は殆ど変化しない。一方、ワークWがクランプ台座24に対して例えば傾いた姿勢で着座していると、ワークWの下面とクランプ台座24の上面との間に隙間ができてエアが漏れるため、着座検出用通路内の圧力が若干低下する。この圧力低下によって、ワークWがクランプ台座24に正規の姿勢で着座していないことが検知されるようになっている。
【0025】
また、治具本体21上には、ロケートピン27、およびワークリフタ28が設けられている。ロケートピン27は、ワークWに形成されたロケート穴(図示せず)に嵌入することで、ワークWを治具2に対して位置決めする。ワークリフタ28は、治具2の副流路F2を介して該ワークリフタ28に供給される作動油(流体)の圧力によって、治具2上でワークWを昇降させる。ワークリフタ28に設けられたワーク上昇用流路(図示せず)に油圧が供給されると、ワークリフタ28のワーク受け部に支持されたワークWが上昇する。一方、ワークリフタ28に設けられたワーク下降用流路(図示せず)に油圧が供給されると、ワークリフタ28のワーク受け部に支持されたワークWが下降する。つまり、4本(4系統)の副流路F2のうちの2本(2系統)が、ワークリフタ28用の流路として使用されている。
【0026】
図5に示すように、テーブル4は、治具2が取り付けられる回転テーブル41と、回転テーブル41を支持するチルトテーブル42とを有している。回転テーブル41は、円板状を呈しており、治具2の主流路F1に連通するテーブル流路F3を有している。チルトテーブル42は、U字状を呈しており、治具2の主流路F1に連通するテーブル流路F6を有している。
【0027】
回転テーブル41の中央下部には、回転軸43が固定されている。回転軸43は、テーブル流路F3に連通する回転軸流路F4を有している。テーブル4は、回転軸43を該回転軸43の軸線のまわりに回転可能に支持する支持部材45を備えている。これにより、回転テーブル41、ひいてはワークWは、B軸(図2参照)のまわりに回転可能となる。支持部材45は、供給流路F5を有している。
【0028】
チルトテーブル42の左端部には、回転軸44が固定されている。回転軸44は、テーブル流路F6に連通する回転軸流路F7を有している。支持台6は、回転軸44を該回転軸44の軸線のまわりに回転可能に支持する支持部材61を備えている。これにより、チルトテーブル42、ひいてはワークWは、A軸(図2参照)のまわりに揺動可能となる。支持部材61は、供給流路F8を有している。また、チルトテーブル42の右端部にも回転軸(図示せず)が固定されており、該回転軸は支持台7に備えられた支持部材(図示せず)によって回転可能に支持されている。
【0029】
テーブル4は、回転軸43の回転軸流路F4と流体供給側に連通する供給流路F5とを回転軸43の軸線を中心として相対回転可能に接続する流路接続装置46を有している。流路接続装置46は、具体的には、回転軸43の回転軸流路F4と支持部材45の供給流路F5とを回転軸43の軸線を中心として相対回転可能にシール部材47により軸封状態で接続する回転継手である。回転軸流路F4と供給流路F5とは、回転軸43の外周面および支持部材45の内周面の少なくとも一方に形成された環状の凹溝48を介して接続されている。
【0030】
支持台6は、回転軸44の回転軸流路F7と流体供給側に連通する供給流路F8とを回転軸44の軸線を中心として相対回転可能に接続する流路接続装置62を有している。流路接続装置62は、具体的には、回転軸44の回転軸流路F7と支持部材61の供給流路F8とを回転軸44の軸線を中心として相対回転可能にシール部材63により軸封状態で接続する回転継手である。回転軸流路F7と供給流路F8とは、回転軸44の外周面および支持部材61の内周面の少なくとも一方に形成された環状の凹溝64を介して接続されている。
【0031】
図2および図6に示すように、キャリッジ8は、Z軸方向(前後方向)に移動可能に設けられている。これにより、ワーク支持装置1は、固定部9を除き、ベース101(図1参照)に対してZ軸方向(前後方向)に移動可能となる。
【0032】
固定部9は、供給流路F9から供給される流体を通す供給側接続部91を備えている。供給側接続部91は、治具2に対して相対移動することで副流路F2と連通および遮断可能である。本実施形態では、固定部9は、ベース101(図1参照)に対して固定して設けられている。そして、治具2と供給側接続部91との間の相対移動は、ワーク支持装置1が搭載される工作機械100(図1参照)の送り軸方向(ここではZ軸方向)の移動機構によって行われる。
【0033】
治具2は、副流路F2の開口端部に設けられ副流路F2内に流体圧を保持可能な治具側接続部31を有している。供給側接続部91は、治具2に対して相対移動することで治具側接続部31と着脱可能である。すなわち、治具側接続部31と供給側接続部91とは、相互に近接移動して押圧されると接続し、相互に離間移動すると接続解除される。治具側接続部31および供給側接続部91としては、例えばオートカプラと呼ばれる流体の自動供給カップリングが使用され得る。
【0034】
次に、前記したように構成されたワーク支持装置1を搭載した工作機械100の動作について説明する。
【0035】
まず、キャリッジ8が、ワークWの工作機械100(図1参照)への搬入位置である前方(図2および図6において矢印Dで示す)に移動する。これにより、治具2の治具側接続部31が固定部9の供給側接続部91に接続し、固定部9の供給流路F9と治具2の副流路F2とが連通する。ここで、治具2の主流路F1を介してワーククランプ装置22のアンクランプ用流路に作動油が供給され、ワーククランプ装置22は、レバー23の先端が上昇したアンクランプ状態となる。
【0036】
続いて、治具2の副流路F2を介してワークリフタ28のワーク上昇用流路に作動油が供給される。すると、油圧によってワークリフタ28のワーク受け部が上昇する。上昇位置にあるワークリフタ28のワーク受け部にワークWが受け渡された後、治具2の副流路F2を介してワークリフタ28のワーク下降用流路に作動油が供給される。すると、油圧によってワークリフタ28のワーク受け部がワークWとともに下降する。これにより、ワークWは、ロケートピン27にスムーズに嵌入するとともに、クランプ台座24,25上に載置される。
【0037】
そして、治具2の主流路F1を介してワーククランプ装置22のクランプ用流路に作動油が供給され、ワーククランプ装置22は、レバー23の先端が下降したクランプ状態となる。これにより、ワークWがクランプされる。
【0038】
また、治具2の主流路F1を介して着座検知部26にエアが供給される。着座検知部26の着座検知用通路内の圧力が殆ど低下していないことを検出することによって、ワークWがクランプ台座24に正規の姿勢で着座していることが検知される。
【0039】
ワークWのクランプ台座24への良好な着座が検知されると、キャリッジ8が、ワークWの加工位置に向けて後方に移動する。これにより、治具2の治具側接続部31が固定部9の供給側接続部91から離脱し、固定部9の供給流路F9と治具2の副流路F2との連通が遮断される。
【0040】
そして、工作機械100は、加工位置にあるワークWに対して加工を行う。ここで、加工中にも、治具2の主流路F1を介してワーククランプ装置22のクランプ用流路に作動油が供給され、ワーククランプ装置22のクランプ状態は維持される。また、加工中にも、治具2の主流路F1を介して着座検知部26にエアが供給され、着座検知部26による着座検知は実行される。
【0041】
前記したように本実施形態のワーク支持装置1は、治具2と、テーブル4と、回転軸43,44と、支持部材45,61と、流路接続装置46,62と、供給側接続部91とを備えている。治具2は、加工に必要な流体を通す主流路F1、および該主流路F1とは異なる副流路F2を有し、ワークWを固定する。テーブル4は、主流路F1に連通するテーブル流路F3,F6を有し、治具2が取り付けられている。回転軸43は、テーブル流路F3に連通する回転軸流路F4を有し、テーブル4の回転テーブル41に固定されている。回転軸44は、テーブル流路F6に連通する回転軸流路F7を有し、テーブル4のチルトテーブル42に固定されている。支持部材45,61は、回転軸43,44を回転可能に支持する。流路接続装置46,62は、回転軸43,44の回転軸流路F4,F7と流体供給側に連通する供給流路F5,F8とを回転軸43,44の軸線を中心として相対回転可能に接続する。供給側接続部91は、治具2に対して相対移動することで副流路F2と連通および遮断可能であり、供給される流体を通す。
【0042】
この構成では、ワークWの加工時に、回転軸43,44を介し、治具2の主流路F1を通じて加工に必要な流体が治具2に供給される。これにより、ワークWの加工時には常に、治具2の主流路F1内に流体を供給できるため、治具2上でワークWがずれてしまう事態に対処することが可能となる。一方、ワークWの治具2へのセット時等の非加工時には、治具2と供給側接続部91とを相対的に近接移動させることで、供給側接続部91が治具2の副流路F2に連通させられる。そして、治具2の副流路F2を通じて流体が治具2に供給される。これにより、加工自体に必要ではないワークリフタ28等への流体の供給は、回転軸43,44を介して行う必要がなくなる。このため、治具2の副流路F2に連通する流路を流路接続装置46,62に備える必要がなくなり、流路接続装置46,62が長軸化、大径化することを抑制できる。
【0043】
したがって、本実施形態によれば、加工作業の信頼性を高めつつ、小型軽量化が可能なワーク支持装置1を提供できる。
また、小型軽量化によって、動作の高速化が図られる。さらに、流路を区画するシール部材47,63を削減できるため、回転軸43,44にかかる摺動抵抗が小さくなり、省エネルギ化が図られる。
【0044】
また、本実施形態では、支持部材45,61は、供給流路F5,F8を有している。この場合、流路接続装置46,62は、回転軸流路F4,F7と供給流路F5,F8とを、それぞれ回転軸43,44の軸線を中心として相対回転可能にシール部材47,63により軸封状態で接続する回転継手である。この構成では、限られたスペースにおいて異なる系統の流路を確実に区画して固定部分から回転部分に流体を送る回転継手を用いることによって、流路接続装置46,62をよりコンパクトな構成とすることができる。
【0045】
なお、流路接続装置46,62は、供給流路F5,F8としてホースを用い、可動部分で該ホースを保護およびガイドする樹脂製のケーブルキャリア(例えばケーブルベア(登録商標))内に配置した構成であってもよい。
【0046】
また、本実施形態では、治具2と供給側接続部91との間の相対移動は、ワーク支持装置1が搭載される工作機械100の送り軸方向の移動機構によって行われる。この構成では、治具2と供給側接続部91とを相対的に移動させる機構として、工作機械100の送り軸方向の移動機構を利用することで、ワーク支持装置1をより簡易でコンパクトな構成とすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、治具2は、副流路F2の開口端部に設けられ副流路F2内に流体圧を保持可能な治具側接続部31を有している。この場合、供給側接続部91は、治具2に対して相対移動することで治具側接続部31と着脱可能である。この構成では、供給側接続部91は、治具2に設けられた治具側接続部31に着脱されることで、治具2の副流路F2と、直接的に連通および遮断され得る。また、治具2の副流路F2内に流体圧を保持できるため、流体の外部への漏れが防止されるとともに、例えばワークリフタ28等のワーク姿勢制御装置などの流体によって作動する装置が所定の状態に保持される。
【0048】
なお、供給側接続部91は、例えば回転テーブル41に設けられ内部に流体圧を保持可能なテーブル側接続部に着脱されるように構成されてもよい。この場合、回転テーブル41には、治具2の副流路F2の開口端部に連通する流路が形成される必要がある。このようにすれば、治具2ごとに内部に流体圧を保持可能な治具側接続部31を設ける必要がなくなる。
【0049】
また、本実施形態では、加工に必要な流体は、治具2に設けられワークWの治具2への着座を検知する着座検知部26に供給するエアを含んでいる。この構成では、ワークWの加工時には常に、治具2の主流路F1を介して、着座検知部26にエアを供給できる。これにより、万一ワークWが治具2の着座面に密着していない場合、着座検知部26に供給するエアが漏れることによってエア圧の低下が検知される。したがって、例えば工作機械100の運転停止や警告の報知等のエラー処理を実施することで、治具2上でワークWがずれてしまう事態に対処することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態では、加工に必要な流体は、治具2に設けられワークWをクランプするワーククランプ装置22に供給する作動油を含んでいる。この構成では、ワークWの加工時には常に、治具2の主流路F1を介して、ワーククランプ装置22に作動油を供給できる。これにより、ワークWに対するクランプ力がワーク加工中確実に与えられる。このため、治具2上でワークWがずれてしまうことを抑制できる。
【0051】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではない。本発明は、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0052】
例えば、前記した実施形態では、治具2の主流路F1を通じて供給される流体は、着座検知部26に供給するエア、およびワーククランプ装置22に供給する作動油としたが、これに限定されるものではない。治具2の主流路F1を通じて供給される流体は、着座検知部26に供給するエアのみであってもよい。この場合、ワークWが治具2上でずれた場合にはエラー処理が実行されることで対処できるとともに、ワーク支持装置1のより小型軽量化が可能となる。
【0053】
また、治具2の副流路F2を通じて供給される流体は、ワークリフタ28に供給される流体に限定されるものではない。例えば、洗浄用クーラント、ワークリフタ28の油圧シリンダのロッド端検知用のエアも、副流路F2を通じて供給され得る。また、ラフな位置決めを行うワーク姿勢制御装置に供給される流体、例えばカセット治具のクランプ用およびアンクランプ用の作動油、カセット治具の着座検知用エアなども、副流路F2を通じて供給され得る。
【0054】
また、ワーク支持装置1は、ワークWがA軸のまわりに揺動可能か、B軸のまわりに回転可能かのいずれか一方のみとなるように構成されていてもよい。この場合、流路接続装置46および流路接続装置62のいずれか一方のみが使用されることになる。
【0055】
また、前記した実施形態では、治具2と供給側接続部91との間の相対移動は、ワーク支持装置1が搭載される工作機械100の送り軸方向の移動機構によって行われているが、これに限定されるものではない。供給側接続部91が、治具2に対して移動するように構成されてもよい。
【0056】
また、前記した実施形態では、治具2と供給側接続部91との間の相対移動の方向は、Z軸方向とされているが、これに限定されるものではなく、X軸方向やY軸方向であってもよい。
【0057】
また、前記した実施形態では、横形の工作機械100について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、縦形の工作機械等の各種の工作機械にも適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 ワーク支持装置
2 治具
21 治具本体
22 ワーククランプ装置
26 着座検知部
28 ワークリフタ
31 治具側接続部
4 テーブル
41 回転テーブル(テーブル)
42 チルトテーブル(テーブル)
43,44 回転軸
45,61 支持部材
46,62 流路接続装置
47,63 シール部材
6,7 支持台
8 キャリッジ
9 固定部
91 供給側接続部
100 工作機械
F1 主流路
F2 副流路
F3,F6 テーブル流路
F4,F7 回転軸流路
F5,F8 供給流路
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6