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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ドアロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
E05B49/00 R
E05B49/00 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019062190
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020159149
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 大祐
(72)【発明者】
【氏名】井上 直樹
(72)【発明者】
【氏名】滝口 泰三
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-521786(JP,A)
【文献】特開2006-053810(JP,A)
【文献】特開2008-208656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な扉を解錠する解錠機構と、
前記扉の前方の訪問者を検知するセンサーと、
前記訪問者の画像を取得する撮像部と、
前記撮像部を開閉するシャッターと、
認証情報を記憶する記憶部と、
前記センサーが訪問者を検知したときに前記シャッターを開くシャッター駆動部と、
前記認証情報に基づいて前記訪問者が解錠を許可された登録者であるか否かを判定する情報処理部と、を備え、
前記情報処理部はさらに、
前記判定に成功したとき、前記訪問者が前記解錠機構を操作可能な状態とし、
前記判定に失敗したとき、前記撮像部で撮像した前記訪問者の画像を前記記憶部に記憶させるとともに、前記訪問者に対して通知する、
ドアロック装置。
【請求項2】
前記シャッターは、前記シャッターが閉じたことを前記訪問者が視認可能に構成されており、
前記情報処理部は、前記判定に失敗したとき、前記シャッターを閉じることで前記訪問者に対して通知する、
請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項3】
前記シャッターが着色されている、
請求項2に記載のドアロック装置。
【請求項4】
前記情報処理部は、前記判定に失敗したとき、音声の出力、発光部の発光、または画像の表示により、前記訪問者に対して通知する、
請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項5】
前記認証情報は、解錠を許可された登録者の生体情報を含む、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のドアロック装置。
【請求項6】
前記認証情報は、解錠を禁止された登録者の生体情報を含み、
前記情報処理部は、前記訪問者が前記解錠を禁止された登録者である場合に前記判定に失敗したときの処理を行う、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のドアロック装置。
【請求項7】
前記認証情報は、解錠を禁止された登録者の生体情報を含み、
前記情報処理部は、前記訪問者が解錠を禁止された登録者であると判定したとき、前記撮像部により前記訪問者の画像を取得するとともに、前記登録者のために準備された手段による通知を行う、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のドアロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、所定条件に基づいてドアの解錠を可能にするドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な方法でセキュリティ性能を向上させたドアロック装置がある。このようなドアロック装置としては、例えば、電気的な処理、または虹彩認証もしくは顔認証などの生体認証により扉を解錠する構成のものがある。特許文献1には、虹彩認証により扉を解錠する扉用虹彩認証装置が開示されている。一方、特許文献2には、来訪者の取得済み画像情報とこれに関連づけられた来訪者情報とを格納するデータベース部と、カメラの撮影した画像情報と上記取得済み画像情報とが位置するかを照合する画像認証部を設け、照合結果が一致した場合に来訪者情報を表示部に表示するなどの処理が行われるインターホン装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-122376号公報
【文献】特開2007-104384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような虹彩認証により扉を解錠する構成では、訪問者による犯罪及び嫌がらせ等に対する抑制手段としては十分ではなかった。また、特許文献2に記載されたインターホン装置では、訪問者に対して一定の犯罪及び嫌がらせ等に対する一定の抑制効果が期待されるものの、十分とはいえない場合があった。そこで、訪問者による犯罪及び嫌がらせ等に対してさらなる抑制効果が得られるドアロック装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
開閉可能な扉を解錠する解錠機構(21)と、
前記扉の前方の訪問者を検知するセンサー(17)と、
前記訪問者を撮像する撮像部(11)と、
前記撮像部を開閉するシャッター(12)と、
認証情報を記憶する記憶部(22)と、
前記センサーが訪問者を検知したときに前記シャッターを開くシャッター駆動部(16)と、
前記認証情報に基づいて前記訪問者が解錠を許可された登録者であるか否かを判定する情報処理部(10)と、を備え、
前記情報処理部(10)はさらに、
前記判定に成功したとき、前記訪問者が前記解錠機構を操作可能な状態とし、
前記判定に失敗したとき、前記撮像部により前記訪問者の画像を取得するとともに、前記訪問者に対して通知する、
ドアロック装置である。
【0007】
上記構成のドアロック装置によれば、認証判定に失敗した訪問者に対して画像を取得したことを通知することで、訪問者による犯罪及び嫌がらせ等を留まらせ、犯罪等の抑止効果を得ることができる。なお、本明細書における訪問者への通知は、明示的に通知することだけでなく、訪問者に特定の状態を意識させることで暗示的に通知することを含む。
【0008】
上記ドアロック装置において、好ましくは、
前記シャッターは、前記シャッターが閉じたことを前記訪問者が視認可能に構成されており、
前記情報処理部は、前記判定に失敗したとき、前記シャッターを閉じることで前記訪問者に対して通知する。
【0009】
上記構成のドアロック装置によれば、例えば、シャッターの前面部分に色彩または模様などの加工を施す簡易な構成により、認証判定に失敗した訪問者に対して撮影されたことを意識させることによる通知を行い、犯罪等の抑止効果を得ることができる。
【0010】
上記ドアロック装置において、好ましくは、
前記シャッターが着色されている。
【0011】
上記構成のドアロック装置によれば、簡易な構成により、認証判定に失敗した訪問者に対して撮影されたことを意識させることによる通知を行い、犯罪等の抑止効果を得ることができる。
【0012】
上記ドアロック装置において、好ましくは、
前記情報処理部は、前記判定に失敗したとき、音声の出力、発光部の発光、または画像の表示により、前記訪問者に対して通知する。
【0013】
上記構成のドアロック装置によれば、認証判定に失敗した訪問者に対して、撮影したことを確実に通知することができ、訪問者による犯罪等をより効果的に抑止することができる。
【0014】
上記ドアロック装置において、好ましくは、
前記認証情報は、解錠を許可された登録者の生体情報を含む。
【0015】
上記構成のドアロック装置によれば、顔認証、音声認証、指紋認証、または掌紋認証などによる生体認証を行って扉を解錠する構成にすることが可能となる。
【0016】
上記ドアロック装置において、好ましくは、
前記認証情報は、解錠を禁止された登録者の生体情報を含み、
前記情報処理部は、前記訪問者が前記解錠を禁止された登録者である場合に前記判定に失敗したときの処理を行う。
【0017】
上記構成のドアロック装置によれば、招かれざる訪問者を予め登録しておくことで、かかる訪問者との接触を避けることが可能となる。また、このような訪問者による犯罪等を抑止することができる。
【0018】
上記ドアロック装置において、好ましくは、
前記認証情報は、解錠を禁止された登録者の生体情報を含み、
前記情報処理部は、前記訪問者が解錠を禁止された登録者であると判定したとき、前記撮像部により前記訪問者の画像を取得するとともに、前記登録者のために準備された手段による通知を行う。
【0019】
上記構成のドアロック装置によれば、招かれざる訪問者を予め登録しておくことで、かかる訪問者との接触を避けることが可能となる。また、このような訪問者に対して予め準備したメッセージを伝えることなどが可能となり、より効果的に犯罪等の抑止効果を得ることなどが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、ドアロック装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態にかかるドアロック装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、変形例1にかかるドアロック装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、変形例2にかかるドアロック装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、変形例3にかかるドアロック装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のドアロック装置は、顔認証などの生体認証を行うことで解錠機構を操作可能な状態とする構成において、予め登録していない訪問者が来訪したときに当該訪問者を撮像するとともに撮像したことを認識させる構成としている点を特徴のひとつとしている。本発明のドアロック装置は、この構成により訪問者による犯罪及び嫌がらせの抑止効果を得ることを目的のひとつとしている。
【0022】
本発明のドアロック装置について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態
2.変形例
(1)変形例1
(2)変形例2
(3)変形例3
(4)その他の変形例
3.本発明の特徴
4.補足事項
【0023】
<1.実施形態>
<ドアロック装置1の構成>
図1は、本実施形態のドアロック装置1の機能的構成を示すブロック図である。図1に示されるように、本実施形態のドアロック装置1は、撮像素子11、シャッター12、レンズ13、画像処理部14、画像認識部15、シャッター駆動部16、センサー17、マイク18、アンプ19、音声認識部20、電子錠21、及び記憶部22を含んで構成される。本実施形態のドアロック装置1は、全体が扉(ドア)に内蔵されてもよいし、全体が扉の外部に配置されてもよいし、一部が扉に内蔵されてもよい。
【0024】
<撮像素子11>
撮像素子11は、CCDまたはCMOSなどのイメージセンサであって、画像を取得可能な光電変換素子である。撮像素子11は、撮像により取得した画像信号を画像処理部14に出力する。撮像素子11は、動画を撮像してもよいし、静止画を撮像してもよい。
【0025】
<レンズ13>
レンズ13は、撮像素子11とシャッター12との間に配置され、被写体からの光を撮像素子に集光させるよう作用する。本実施形態は、扉の前の訪問者が撮像対象の被写体となる。レンズ13は、1以上のレンズを含んでおり、2以上のレンズを含むレンズ群であってもよい。また、レンズ13は、IRフィルタまたはNDフィルタなどの光学素子を含んでもよい。
【0026】
本実施形態において、撮像素子11及びレンズ13は「撮像部」を構成する。撮像部は、訪問者を撮像する。本明細書では、撮像部により画像を取得することを「撮像する」という。
【0027】
<シャッター12>
シャッター12は、レンズ13と被写体との間に開閉自在に配置される。シャッター12は、モータなどで構成されるシャッター駆動部16により駆動され、レンズ13の前方で羽根部材が開閉する。シャッター12は、撮像素子11及びレンズ13を保護したり、訪問者に対して画像を撮像したことを通知したりするための保護シャッターとして配置される。ただし、シャッター12は、撮像素子11による撮像のためのレリーズの際に作動してもよい。シャッター12は、訪問者が来訪したときにのみ開放され、それ以外のときには閉鎖されている。シャッター12は、例えば複数枚の羽根部材を含みこの羽根部材を作動させることで撮像素子11への光の照射を制御する。シャッター12が閉じた状態において、レンズ13及び撮像素子11への光の照射が遮断されるとともに、レンズ13に塵や砂などの汚れが付着することを防止する。
【0028】
シャッター12の訪問者側(外側)の羽根面は、例えば、赤色などに着色されている。そのため、扉の前の訪問者が、カメラの保護シャッターが閉じたことを目で確認し、撮像されたことを意識することとなる。また、シャッター12は、シャッター12が閉じたことを訪問者が意識しやすくするために、敢えて大きな音が出る構成にしていてもよい。
【0029】
<画像処理部14>
画像処理部14は、例えばISP(Image Signal Processor)であって、撮像素子11で取得した画像信号を画像データに変換して画像認識部15に出力する。
【0030】
<画像認識部15>
画像認識部15は、撮像した画像データから訪問者の顔に関するデータを取得して、情報処理部10に出力する。画像認識部15から情報処理部10に出力される顔データは、顔認証に必要なデータであって、例えば、訪問者の顔における複数箇所の特徴点に関するデータを含む。
【0031】
<シャッター駆動部16>
シャッター駆動部16は、情報処理部10の制御により、シャッター12を開閉するよう作動する。シャッター駆動部16は、例えば、シャッター12を構成する羽根部材に直接または間接的に接続されたモータなどである。
【0032】
<センサー17>
センサー17は、訪問者が扉の前方に来たことを検知して情報処理部10に伝達するよう構成される。センサー17は、例えば、扉前方の物体を検知可能なIR(赤外線)センサーなどであるが、これに限定されるものではない。センサー17は、例えば、カメラもしくは赤外線カメラなどの撮像装置、音センサー、赤外線センサー、においセンサー、温度センサー、重量センサー、フォトインタラプタ、フォトリフレクタ、または人感センサーなどの検知装置を採用してもよい。また、センサー17は加速度センサーであってもよい。加速度センサーを用いた構成とする場合には、扉に与えられた衝撃や振動を検知することで、訪問者を検知する構成としてもよい。
【0033】
<マイク18>
マイク18は、扉の前方の音声を取得してアンプ19に出力するよう構成された集音器である。
【0034】
<アンプ19>
アンプ19は、マイク18で取得された音声における所定の音域の信号を増幅し、音声認識部20に出力する。アンプ19は、例えば、人の声の音域の信号を増幅し、それ以外の低音及び高音を減衰させるバンドパスフィルタなどであってもよい。アンプ19はアナログフィルタまたはデジタルフィルタのどちらであってもよい。
【0035】
<音声認識部20>
音声認識部20は、アンプ19から入力された音声をデータに変換し、音声認識に必要なデータに加工して情報処理部10に出力する。音声認識部20は、扉の前方の音声からノイズを除去し、訪問者の声の特徴を示す声紋データを情報処理部10に出力する。
【0036】
<電子錠21>
電子錠21は、扉を開閉可能な解錠状態と開閉不可能な施錠状態とを、電気的な処理によって切り替える錠前である。電子錠21は、情報処理部10によって有効状態と無効状態とを切り替えられる。電子錠21が無効な状態では、解錠の鍵を有していたとしても解錠不能となる。本実施形態では、電子錠21が有効な状態において、訪問者が無線通信可能なIDカードを電子錠21のカード読取部にかざすと、カード読取部がIDカードから解錠用のデータを読み取り、所定のデータが確認されたときに、電子錠21を解錠する。電子錠21が解錠されると、扉が施錠状態から解錠状態へと変化される。解錠状態となった扉は、訪問者によって開けられる状態となる。
【0037】
電子錠21は、上記のようなIDカードを用いて解錠される構成に限定されない。例えば、訪問者の声に基づく声紋認証を行い、認証に成功したときに電子錠21が解錠される構成としてもよい。また、電子錠21は、虹彩認証などの生体情報に基づく認証により解錠される構成としてもよい。また、具体的には変形例で説明するが、電子錠21に代えて、機械的構成により解錠される錠前を採用してもよい。電子錠21、または電子錠21に代えられる錠前は、本発明における「解錠機構」の一構成例である。
【0038】
<記憶部22>
記憶部22は、書き換え可能な半導体メモリまたは磁気メモリなどの記憶装置であって、訪問者の認証を行うための生体情報などの認証情報を記憶する。本実施形態では、記憶部22は、予め登録された解錠許可者の顔認証のための顔データを記憶している。記憶部22は、生体情報を用いた扉の解錠のために、声紋認証のための声紋データや、虹彩認証のための虹彩データを記憶している。記憶部22は、撮像した訪問者の画像を記憶可能に構成されてもよい。さらに、記憶部22は、情報処理部10によって実行されるプログラムなどを記憶していてもよい。
【0039】
<情報処理部10>
情報処理部10は、ドアロック装置1における中央演算装置(CPU)であって、半導体集積回路などで構成される。情報処理部10は、記憶部22に記憶された解錠許可者の顔データと、画像認識部15から入力された訪問者の顔データとを比較して一致するか否かを確認する顔認証を行い、訪問者が電子錠21の解錠を許可された登録者であるか否かを判定する。また、情報処理部10は、記憶部22に記憶された声紋データと、音声認識部20から入力された声紋データとを比較する声紋認証を行い、一致することが確認されたときには認証成功と判定して電子錠21を解錠する。
【0040】
情報処理部10は、センサー17が訪問者の来訪を検知すると、シャッター駆動部16を作動させてシャッター12を開き、訪問者を撮像する状態にする。情報処理部10は、シャッター12を開くと、撮像素子11を制御して訪問者の動画または静止画を撮像する。情報処理部10は、訪問者の顔データが、記憶部22に記憶された解錠許可者の顔データと一致しない場合には、顔認証が失敗したと判定し、シャッター12を閉じる。
【0041】
情報処理部10は、その他にも種々の機能を有するが、これらの具体的な機能については後述の作動例において具体的に説明する。
【0042】
なお、情報処理部10は、ドアロック装置1の他の1以上の構成とともに、1つの半導体集積回路で構成されていてもよい。
【0043】
<ドアロック装置1の作動例>
次に、ドアロック装置1の作動例について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0044】
<S100>
訪問者が扉の前に来ると、センサー17が訪問者の来訪を検知する(S100)。
【0045】
<S101>
次に、情報処理部10は、シャッター駆動部16を作動させてシャッター12を開く。
【0046】
<S102>
次に、情報処理部10は、撮像素子11を作動させて訪問者を撮像して画像を取得する。この画像は、動画または静止画のどちらであってもよい。
【0047】
<S110>
撮像素子11で撮像された画像信号は、画像処理部14によって画像データに変換される。画像認識部15は、この画像データから訪問者の顔における特徴点に関するデータを抽出し、顔データとして情報処理部10に出力する。情報処理部10は、記憶部22に記憶された解錠許可者の顔データの中に、この訪問者の顔データと一致するものが存在するか否かを確認することで顔認証を行う(S110)。訪問者の顔データと一致する解錠許可者の顔データが確認されたら、訪問者が登録された解錠許可者であると判定して顔認証成功とする(S110でY)。一方、訪問者の顔データと一致する解錠許可者の顔データが確認されなければ、訪問者は登録された解錠許可者ではないと判定して顔認証失敗とする(S110でN)。
【0048】
<S111>
顔認証に成功したら(S110でY)、情報処理部10は、訪問者が電子錠21を操作可能な状態とする。すなわち、電子錠21は、顔認証に成功するまで操作不能になっている。より具体的には、電子錠21は、顔認証に成功するまではIDカードを読取りできないスリープ状態になっている。
【0049】
<S120>
電子錠21は、カード読取部に近接したIDカードを読取り可能な状態となっている。訪問者がIDカードをカード読取部にかざすと、カード読取部はIDカードから解錠用のデータを読取り、電子錠21は予め登録された解錠データと一致するか否かを確認する開錠認証を行う(S120)。
【0050】
<S121>
予め登録された解錠データと一致するデータが確認されたら(S120でY)、電子錠21が解錠され、電子錠21は扉を施錠状態から解錠状態へと変化させる(S121)。
【0051】
<S122>
一方、予め登録された解錠データと一致するデータが確認されなかったら(S120でN)、電子錠21は解錠されず、一連の処理が終了する(S122)。
【0052】
<S112>
ところで、S110の処理において顔認証に失敗したら(S110でN)、情報処理部10は、撮像素子11で撮像した静止画または動画の画像を記憶部22に記録する(S112)。なお、記憶部22に記憶させることを「記録する」という。
【0053】
<S113>
次に、情報処理部10は、シャッター駆動部16を作動させてシャッター12を閉じる。上述のとおり、シャッター12の外側の面は赤色などに着色されているため、シャッター12が閉じられると、訪問者はカメラを保護するシャッター12が閉じられたことを意識することとなる。これにより訪問者は、ドアロック装置1によって画像が取得され記録されたことを暗に通知されることとなる(S113)。
【0054】
<S114>
シャッター12が閉じられたら、一連の処理が終了する(S114)。
【0055】
以上の一連の処理によって、訪問者が来訪したときの電子錠21の解錠処理、及び訪問者が解錠許可者ではなかった場合に訪問者に対して画像を取得し記録したことを通知する処理が行われる。
【0056】
<2.変形例>
次に、本実施形態の変形例について説明する。本実施形態には種々の変形例が考えられるが、以下ではその一部について説明しており、実施形態及び以下の変形例が本発明の全ての構成及び作動を示すものではない。
【0057】
<(1)変形例1>
図3は、ドアロック装置1の作動例の変形例1における処理の流れを示すフローチャートである。図2に示された処理と比較すると、S102及びS110の処理が、それぞれS102a及びS110aの処理に置き換えられている点で相違し、それ以外の点は共通である。ここでは、当該相違点についてのみ説明する。
【0058】
<S102a>
シャッター12が開かれた後(S101)、情報処理部10は、マイク18を作動させて訪問者の声を取得する(S102a)。このとき、ドアロック装置1は、音声出力部または表示部(いずれも図示なし)を通じて、訪問者に対して所定の文章を読み上げるよう要求するなどしてもよい。
【0059】
<S110a>
マイク18は、取得した訪問者の声を含む音声をアンプ19に出力する。アンプ19は、取得された訪問者の音声における所定の音域の信号を増幅して、音声認識部20に出力する。音声認識部20は、アンプ19から入力された音声を声紋データにして情報処理部10に出力する。情報処理部10は、記憶部22に記憶された解錠許可者の声紋データの中に、この訪問者の声紋データと一致するものが存在するか否かを確認することで声紋認証を行う(S110a)。訪問者の声紋データと一致する解錠許可者の声紋データが確認されたら、訪問者が登録された解錠許可者であると判定して声紋認証成功とする(S110aでY)。一方、訪問者の声紋データと一致する解錠許可者の声紋データが確認されなければ、訪問者は登録された解錠許可者ではないと判定して声紋認証失敗とする(S110aでN)。
【0060】
<(2)変形例2>
図4は、ドアロック装置1の作動例の変形例2における処理の流れを示すフローチャートである。図2に示された処理と比較すると、S111の処理がS111aの処理に置き換えられている点で相違している。また、電子錠21の構成が異なっている。ここでは、当該相違点についてのみ説明する。
【0061】
電子錠21は、顔認証に成功するまで、図示しないシャッターによってカバーされた構成になっている。シャッターによりカバーされた状態では、訪問者は電子錠21に対してアクセスすることができない。顔認証に成功すると、情報処理部10は、電子錠21のシャッターを開き、訪問者が電子錠21にアクセスできる状態にする。
【0062】
<S111a>
すなわち、S110の処理で顔認証に成功したら(S110でY)、情報処理部10は、電子錠21のカバーを開き、訪問者が電子錠21にアクセスできる状態とする。
【0063】
<(3)変形例3>
図5は、ドアロック装置1の作動例の変形例3における処理の流れを示すフローチャートである。図2に示された処理と比較すると、S111以降の処理がS111b及びS130に置き換えられている点で相違している。また、ドアロック装置1は、電子錠21を備える代わりに、鍵穴を有する機械的な錠前を備える。ここでは、当該相違点についてのみ説明する。
【0064】
電子錠21に代えて配置された錠前の鍵穴は、顔認証に成功するまで、図示しないシャッターによりカバーされている。シャッターによりカバーされた状態では、訪問者は鍵穴にアクセスすることができない。顔認証に成功すると、情報処理部10は、鍵穴のシャッターを開き、訪問者が鍵穴に物理鍵を挿入できる状態にする。
【0065】
<S111b~S130>
すなわち、S110の処理で顔認証に成功したら(S110でY)、情報処理部10は、錠前の鍵穴のカバーを開き、訪問者が鍵穴にアクセスできる状態として(S111b)、処理を終了する(S130)。訪問者は、鍵穴に鍵を挿入して回転させることにより、扉を解錠することができる。
【0066】
<(4)その他の変形例>
本実施形態及び変形例のドアロック装置1は、以下のような変形例の構成とし、または処理を行ってもよい。
【0067】
実施形態及び変形例では、訪問者が登録された訪問者であるか否かを判定する際に、顔認証または声紋認証を行っていたが、これら以外の認証方法を採用してもよい。例えば、指紋認証または掌紋認証などの生体認証を採用してもよい。
【0068】
ただし、顔認証を採用する構成とすると、訪問者が特別な操作を行わなくても認証を行うことができる点などで好ましい。
【0069】
実施形態では、電子錠21を、IDカードによる認証で解錠する構成について説明したが、声紋認証、指紋認証、または掌紋認証などの生体認証を採用してもよい。
【0070】
また、変形例3では、電子錠21に代えて鍵穴を有する錠前を備えた構成を例示して説明したが、例えば0~9までのキーを有し、暗証番号に合わせたキー操作によって解錠される解錠機構を採用してもよい。
【0071】
実施形態では、シャッター12の外側の面を赤色などに着色し、シャッター12が閉じられたことによって、画像を記録したことを訪問者に通知する構成について説明したが、訪問者に対する通知は他の方法を採用してもよい。例えば、シャッター12が閉じた際に比較的大きなシャッター音をさせることで、訪問者に対して通知する構成としてもよい。また、シャッター12の外側の面に「撮影完了」などの文字が表示された構成としてもよい。
【0072】
また、ドアロック装置1がシャッター12とは別構成として音声出力部を備え、「撮影しました」などという音声を出力することで訪問者に撮像したことを通知する構成としてもよい。また、ドアロック装置1が画像表示部を備える構成とし、撮影した旨を画像表示部に表示することで訪問者に撮像したことを通知する構成としてもよい。また、ドアロック装置1がLEDなどの発光部を備え、撮影した際に発光部が繰り返し点滅することで訪問者に撮像したことを通知する構成としてもよい。
【0073】
また、記憶部22が、解錠を許可された人物を予め登録するのに加え、またはこれに代えて、解錠を禁止された人物を予め登録する構成としてもよい。この場合、記憶部22は、解錠を禁止された登録者の顔データなどの生体情報を記憶する。情報処理部10は、訪問者が解錠を禁止された登録者であると判定した場合には、認証に失敗したものとして、訪問者の画像を取得するとともに、シャッター12などを通じて訪問者に通知する構成とする。
【0074】
または、訪問者が解錠を禁止された登録者であると判定された場合、情報処理部10は、図示しない音声出力部または画像表示部を介して、当該訪問者に対して予め準備されたメッセージを伝える構成としてもよい。このとき、解錠を禁止された登録者は、単に不在メッセージを伝えたい知人などであってもよい。
【0075】
<3.本発明の特徴>
以上、実施形態及びその変形例を例示して説明した本発明は、以下のような特徴を有する。
【0076】
上記ドアロック装置1では、訪問者が検知されたときに撮像部(撮像素子11及びレンズ13を含む)をカバーするシャッター12が開き、訪問者が解錠許可者でない場合には撮像部が画像を取得するとともに訪問者に対して撮像した旨を通知する構成としている。この構成により、ドアロック装置1では、認証判定に失敗した解錠許可者ではない訪問者に対して画像を取得したことを通知することで、訪問者による犯罪及び嫌がらせ等を留まらせ、犯罪等の抑止効果を得ることができる。
【0077】
また、上記ドアロック装置1では、シャッター12が閉じたことを訪問者が視認可能に構成されている。さらに、情報処理部10は、認証の判定に失敗したとき、シャッター12を閉じることで訪問者に対して撮像したことを通知する構成としている。この構成により、認証判定に失敗した訪問者に対して撮影されたことを意識させることによる通知を行い、犯罪等の抑止効果を得ることができる。
【0078】
また、上記ドアロック装置1では、シャッター12の外側の面が赤色などに着色された構成としている。このような構成によれば、簡易な構成により、認証判定に失敗した訪問者に対して撮影されたことを意識させることによる通知を行い、犯罪等の抑止効果を得ることができる。
【0079】
また、上記ドアロック装置1では、訪問者が認証判定に失敗したとき、情報処理部10は、音声の出力、発光部の発光、または画像の表示により、訪問者に対して画像を取得したことを通知可能な構成としてもよい。このような構成によれば、認証判定に失敗した訪問者に対して、撮影したことを確実に通知することができ、訪問者よる犯罪等をより効果的に抑止することができる。
【0080】
また、上記ドアロック装置1では、認証に用いられる認証情報として、解錠を許可された登録者の生体情報を用いた構成としている。この構成により、顔認証、音声認証、指紋認証、または掌紋認証などによる生体認証を行って扉を解錠する構成にすることが可能となる。
【0081】
また、上記ドアロック装置1では、記憶部22が、解錠を禁止された登録者の生体情報を記憶しており、情報処理部10は、訪問者が解錠禁止者であった場合に、認証失敗した際の処理を行う構成としてもよい。このような構成によれば、招かれざる訪問者を予め登録しておくことで、かかる訪問者との接触を避けることが可能となる。また、このような訪問者による犯罪等を抑止することができる。
【0082】
また、上記ドアロック装置1では、上記のように記憶部22が解錠禁止者の生体情報を記憶し、訪問者が解錠禁止者であると判定されたとき、情報処理部10は、訪問者の画像を取得するとともに、当該訪問者のために予め準備された手段による通知を行ってもよい。このような構成によれば、所定の訪問者に対して予め準備したメッセージを伝えることができ、より効果的に犯罪等の抑止効果を得ることなどが可能となる。
【0083】
<4.補足事項>
以上、本発明の実施形態及び変形例についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一構成例及び一作動例としての説明であって、本発明の範囲はこれらの実施形態及び変形例に留まらず、同様の技術思想に基づいて当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0084】
例えば、実施形態で説明した具体的な各処理は、いずれも一実施形態に過ぎず、同様の効果が得られる類似の処理を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のドアロック装置は、防犯性を高めた住宅などの扉に好適に適用される。
【符号の説明】
【0086】
1…ドアロック装置
10…情報処理部
11…撮像素子
11…撮像部(撮像素子
12…シャッター
13…レンズ
14…画像処理部
15…画像認識部
16…シャッター駆動部
17…センサー
18…マイク
19…アンプ
20…音声認識部
21…電子錠
22…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5