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特許7344675表示システム、遠隔操作システムおよび表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】表示システム、遠隔操作システムおよび表示方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20230907BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
E02F9/26 B
G06T1/00 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019103166
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020197045
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-03-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高濱 和久
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-152738(JP,A)
【文献】特開2018-035645(JP,A)
【文献】国際公開第2016/111148(WO,A1)
【文献】特開2018-056953(JP,A)
【文献】特開2005-011058(JP,A)
【文献】特開2018-059268(JP,A)
【文献】米国特許第05526002(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
E02F 9/20-9/22
E02F 3/42-3/43
E02F 3/84-3/85
G06T 1/00
G06T 11/60-13/80
G06T 17/05
G06T 19/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械に搭載された距離検出装置が計測した複数の計測点の三次元データを取得する取得部と、
前記三次元データを、前記作業機械の車体に紐づいて規定された車体座標系に変換する変換部と、
前記車体座標系に変換された三次元データに基づいて、地形の三次元形状を表す基準画像を生成する画像生成部と、
撮像装置による撮影画像に、前記基準画像を重畳して表示する表示処理部と、
を備え、
前記画像生成部は、前記各計測点の、前記作業機械の接地面に対する法線方向の距離に応じて、前記基準画像の前記計測点に対応する位置における前記基準画像の表示形態を決定し、
前記作業機械の接地面は傾斜地であり、
前記基準画像が複数の線画像による格子を含み、
前記格子は、グローバル座標系の水平面に平行に延びる第1方向に沿って配置された第1の線画像と、前記グローバル座標系の水平面に並行に延び、前記第1方向に直交する第2方向に沿って配置された第2の線画像とで構成される、
作業機械の表示システム。
【請求項2】
前記画像生成部は、作業機械が水平面で接地の場合と、傾斜面で接地の場合とで、前記表示形態を異ならせる、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記表示形態が、前記基準画像の配色である
請求項1又は2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記表示形態が、前記線画像の線の太さである
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の表示システムと、
作業機械の姿勢を検出する検出装置と、
前記作業機械から離れた位置に設置され、前記表示処理部の処理によって画像が表示される表示装置と、
前記作業機械から離れた位置に設置され、前記作業機械を遠隔操作する操作装置と、 を備える作業機械の遠隔操作システム。
【請求項6】
作業機械に搭載された距離検出装置が計測した複数の計測点の三次元データを取得するステップと、
前記三次元データを、前記作業機械の車体に紐づいて規定された車体座標系に変換するステップと、
前記車体座標系に変換された三次元データに基づいて、地形の三次元形状を表す基準画像を生成するステップと、
撮像装置による撮影画像に、前記基準画像を重畳して表示装置に表示するステップと、 を備え、
前記基準画像を生成するステップは、さらに、前記各計測点の、前記作業機械の接地面に対する法線方向の距離に応じて、前記基準画像の前記計測点に対応する位置における前記基準画像の表示形態を決定するステップを含み、
前記作業機械の接地面は傾斜地であり、
前記基準画像が複数の線画像による格子を含み、
前記格子は、グローバル座標系の水平面に平行に延びる第1方向に沿って配置された第1の線画像と、前記グローバル座標系の水平面に並行に延び、前記第1方向に直交する第2方向に沿って配置された第2の線画像とで構成される
表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システム、遠隔操作システムおよび表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械を遠隔操作する場合、作業機械のオペレータ視点の画像を用いた操作では、表示される画像が2次元のため、遠近感に乏しくなる。そのため、作業対象と作業機械との距離の把握が難しくなり、作業効率が低下する可能性がある。また、作業機械に搭乗したオペレータが作業機を操作する場合も、オペレータの熟練度によっては作業機と作業対象との距離を把握することが難しい場合があり、作業効率が低下する可能性もある。このような課題を解決するための画像表示システムの一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている画像表示システムは、作業具を有する作業機を備えた作業機械に取り付けられる撮像装置と、作業機の姿勢を検出する姿勢検出装置と、作業機械の作業対象までの距離の情報を求める距離検出装置と、作業機の姿勢を用いて得られた作業具の位置の情報と、距離検出装置が求めた距離の情報から得られた作業対象の位置の情報とを用いて、作業具と対向する作業対象上で作業具に対応する部分の画像を生成し、撮像装置によって撮像された作業対象の画像と合成して、表示装置に表示させる処理装置とを含む。特許文献1に記載されている画像表示システムによれば、作業具を有する作業機を備えた作業機械を用いて作業する際の作業効率の低下を抑制することができる。
【0003】
また、特許文献1に記載されている画像表示システムでは、処理装置が、作業対象の位置の情報を用いて作業対象の表面に沿った線画像を生成して、作業対象の画像と合成して表示装置に表示させる。線画像は、作業対象となる地形(作業対象)の形状に沿って表示されるため、地形面上での距離感をつかみやすく、遠近感の把握が容易になる。
【0004】
また、特許文献2には、標高値に色を割り当て、標高値に応じて色が遷移するグラデーションカラーで表現したカラー標高図を作成する構成が記載されている。特許文献2に記載されている構成によれば、標高に応じて線画像にグラデーションカラーで配色することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-160741号公報
【文献】特開2007-048185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている構成と、特許文献2に記載されている構成を組み合わせれば、標高に応じて作業対象の表面に沿った線画像をグラデーションカラーで配色できるので、作業対象の表面の凹凸等がさらに分かりやすくなる。しかしながら、色の変化を水平面基準で決定した場合、例えば、図21に示すように、作業機械400が傾斜地401を登坂中に、傾斜地401にある凹凸402を色分け表示できない場合があるという課題がある。図21は、作業機械400が走行あるいは作業する対象の傾斜地401を標高に応じて色分けする例を示す模式図である。図21では、網掛けの密度の変化が、配色の変化を示す。あるいは、標高に応じて配色を変化させる場合、対象とする範囲の標高差が大きい場合、小さな凹凸はすべて同じ色になってしまうことがあるという課題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決することができる表示システム、遠隔操作システムおよび表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、作業機械に搭載された距離検出装置が計測した複数の計測点の三次元データを取得する取得部と、前記三次元データを、前記作業機械の車体に紐づいて規定された車体座標系に変換する変換部と、前記車体座標系に変換された三次元データに基づいて、地形の三次元形状を表す基準画像を生成する画像生成部と、撮像装置による撮影画像に、前記基準画像を重畳して表示する表示処理部と、を備え、前記画像生成部は、前記各計測点の、前記作業機械の接地面に対する法線方向の距離に応じて、前記基準画像の前記計測点に対応する位置における前記基準画像の表示形態を決定する作業機械の表示システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、作業機械が走行あるいは作業する対象の表示態様を作業機械の接地面に対する法線方向の距離に応じて変化させることができるので、例えば、傾斜地に存在する凹凸等の表示態様を周囲の表示態様と異ならせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る作業機械の画像表示システム及び作業機械の遠隔操作システムを示す図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械であるブルドーザを示す模式的に示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係る作業機械であるブルドーザの制御系を示す図である。
図4図4は、図1に示す処理部51Pの機能的構成例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る画像表示システム及び遠隔操作システムでの座標系を説明するための図である。
図6図6は、ブルドーザを模式的に示す背面図である。
図7図7は、撮像装置及び距離検出装置の座標系を説明する図である。
図8図8は、画像表示システム及び遠隔操作システムが実行する制御例のフローチャートである。
図9図9は、図8に示す処理を説明するための図である。
図10図10は、図8に示す処理を説明するための図である。
図11図11は、撮像装置及び距離検出装置と作業対象とを示す図である。
図12図12は、占有領域を説明する図である。
図13図13は、占有領域を除去した作業対象の形状の情報を示す図である。
図14図14は、作業対象上でブレードの位置を示す画像を説明するための図である。
図15図15は、作業対象上でブレードの位置を示す画像を説明するための図である。
図16図16は、作業対象上でブレードの位置を示す画像を説明するための図である。
図17図17は、基準画像である格子画像を示す図である。
図18図18は、基準画像である格子画像を示す図である。
図19図19は、作業用の画像を示す図である。
図20図20は、作業用の画像を示す図である。
図21図21は、本発明の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図において同一又は対応する構成には同一の符号を付けて説明を適宜省略する。
【0012】
<作業機械の画像表示システム及び作業機械の遠隔操作システムの概要>
図1は、実施形態に係る作業機械の画像表示システム100(表示システム)及び作業機械の遠隔操作システム101を示す図である。作業機械の画像表示システム100(以下、適宜画像表示システム100と称する)は、オペレータが、作業機械であるブルドーザ1100を遠隔操作する際に、ブルドーザ1100の作業対象、より具体的には、ブルドーザ1100が備える作業機1130による作業の対象である地形面、すなわち作業対象WA及び作業具であるブレード1132を撮像装置19で撮像し、得られた画像を表示装置52に表示させる。このとき、画像表示システム100は、例えば、撮像装置19によって撮像された作業対象WAの画像68と、格子画像65と、作業対象WA上においてブレード1132の位置を示すための画像60と、を含む作業用の画像69を、表示装置52に表示させる。ここで、格子画像65は、「地形面(地形)の三次元形状を表す画像」(以下、「基準画像」ともいう)の一態様である。基準画像は、例えば、複数の点画像、複数の線画像、複数の線画像からなる格子画像等を用いて構成することができる。
【0013】
画像表示システム100は、撮像装置19と、姿勢検出装置32と、距離検出装置20と、処理装置51とを含む。作業機械の遠隔操作システム101(以下、適宜遠隔操作システム101と称する)は、撮像装置19と、姿勢検出装置32と、距離検出装置20と、作業機制御装置27と、表示装置52と、処理装置51と、操作装置53とを含む。実施形態において、画像表示システム100の撮像装置19、姿勢検出装置32及び距離検出装置20はブルドーザ1100に設けられ、処理装置51は施設50に設けられる。施設50は、ブルドーザ1100を遠隔操作したり、ブルドーザ1100を管理したりする施設である。実施形態において、遠隔操作システム101の撮像装置19、姿勢検出装置32、距離検出装置20及び作業機制御装置27はブルドーザ1100に設けられ、表示装置52、処理装置51及び操作装置53は施設50に設けられる。
【0014】
画像表示システム100の処理装置51は、処理部51Pと、記憶部51Mと、入出力部51IOとを含む。処理部51Pは、例えばCPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサである。記憶部51Mは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、ストレージデバイス又はこれらの組み合わせである。入出力部51IOは、処理装置51と外部機器とを接続するためのインターフェース回路である。実施形態において、入出力部51IOには、外部機器として、表示装置52、操作装置53及び通信装置54が接続されている。入出力部51IOに接続される外部機器はこれらに限定されるものではない。
【0015】
処理装置51は、作業機1130の姿勢を用いて得られた作業具であるブレード1132の位置の情報と、距離検出装置20が求めた距離の情報から得られた作業対象WAの位置の情報とを用いて、基準画像である格子画像65と、ブレード1132と対向する作業対象WA上でブレード1132に対応する部分の画像60を、撮像装置19を基準として生成する。そして、処理装置51は、生成した画像65及び60と撮像装置19によって撮像された作業対象WAの画像68とを合成して、表示装置52に表示させる。作業対象WAは、ブルドーザ1100の作業機1130が掘削又は地ならし等の作業をする対象となる面である。なお、画像60の表示は省略することができる。
【0016】
表示装置52は、液晶ディスプレイ又はプロジェクタが例示されるがこれらに限定されるものではない。通信装置54は、アンテナ54Aを備えている。通信装置54は、ブルドーザ1100に備えられた通信装置25と通信して、ブルドーザ1100の情報を取得したり、ブルドーザ1100に情報を送信したりする。
【0017】
操作装置53は、オペレータの左側に設置される左操作レバー53Lと、オペレータの右側に配置される右操作レバー53Rと、図示していないブレーキペダルおよびデセルペダルを有する。右操作レバー53Rは、ブレード1132の上げ操作または下げ操作の移動量を設定するために操作される。右操作レバー53Rは、前方へ傾けられることにより下げ操作を受け付け、後方へ傾けられることにより上げ操作を受け付ける。左操作レバー53Lは、走行装置1120の進行方向を設定するために操作される。左操作レバー53Lは、前方へ傾けられることにより前進操作を受け付け、後方へ傾けられることにより後進操作を受け付ける。また左操作レバー53Lは、左方へ傾けられることにより左旋回操作を受け付け、右方へ傾けられることにより右旋回操作を受け付ける。図示していないブレーキペダルは、走行装置1120を制動させるために操作される。図示していないデセルペダルは、走行装置1120の回転数を低減させるために操作される。
【0018】
左操作レバー53L及び右操作レバー53Rの操作量は、例えば、ポテンショメータ及びホールIC等によって検出され、処理装置51は、これらの検出値に基づいて電磁制御弁を制御するための制御信号を生成する。この信号は、施設50の通信装置54及びブルドーザ1100の通信装置25を介して作業機制御装置27に送られる。作業機制御装置27は、制御信号に基づいて電磁制御弁を制御することによって作業機1130を制御する。電磁制御弁については後述する。
【0019】
処理装置51は、左操作レバー53L及び右操作レバー53Rの少なくとも一方に対する入力を取得し、作業機1130等を動作させるための命令を生成する。処理装置51は、生成した命令を、通信装置54を介してブルドーザ1100の通信装置25に送信する。ブルドーザ1100が備える作業機制御装置27は、通信装置25を介して処理装置51からの命令を取得し、命令にしたがって作業機1130等を動作させる。
【0020】
ブルドーザ1100は、通信装置25と、作業機制御装置27と、姿勢検出装置32と、撮像装置19と、距離検出装置20と、アンテナ21、22と、グローバル位置演算装置23とを備える。作業機制御装置27は、作業機1130等を制御する。通信装置25は、アンテナ24に接続されており、施設50に備えられた通信装置54と通信する。姿勢検出装置32は、作業機1130及びブルドーザ1100の少なくとも一方の姿勢を検出する。撮像装置19は、ブルドーザ1100に取り付けられて、作業対象WAを撮像する。距離検出装置20は、ブルドーザ1100の所定の位置から作業対象WAまでの距離の情報を求める。アンテナ21、22は、測位衛星200からの電波を受信する。グローバル位置演算装置23は、アンテナ21、22が受信した電波を用いて、アンテナ21、22のグローバル位置、すなわちグローバル座標における位置を求める。
【0021】
<ブルドーザ1100の全体構成>
図2は、実施形態に係る作業機械であるブルドーザ1100を模式的に示す側面図である。ブルドーザ1100は、車体1110、走行装置1120、作業機1130、運転室1140を備える。
【0022】
走行装置1120は、車体1110の下部に設けられる。走行装置1120は、クローラ(履帯)1121、スプロケット1122等を備える。スプロケット1122の駆動によってクローラ1121が回転することで、ブルドーザ1100が走行する。スプロケット1122の回転軸には、回転センサ1123が設けられる。回転センサ1123は、スプロケット122の回転数を計測する。スプロケット122の回転数は、走行装置1120の速度に換算可能である。
【0023】
車体1110には、IMU33が設けられる。IMU33は、車体1110のロール方向およびピッチ方向の傾斜角と、ヨー方向の角度変位を計測する。
【0024】
作業機1130は、土砂等の掘削対象の掘削および運搬に用いられる。作業機1130は、車体1110の前部に設けられる。作業機1130は、リフトフレーム1131、ブレード1132、およびリフトシリンダ1133を備える。
【0025】
リフトフレーム1131の基端部は、車幅方向に伸びるピンを介して、車体1110の側面に取り付けられる。リフトフレーム1131の先端部は、ブレード1132の裏面に球体関節を介して取り付けられる。これにより、ブレード1132は、車体1110に対して上下方向に移動可能に支持される。ブレード1132の下端部には、刃先1132eが設けられる。リフトシリンダ1133は、油圧シリンダである。リフトシリンダ1133の基端部は車体1110の側面に取り付けられる。リフトシリンダ1133の先端部はリフトフレーム1131に取り付けられる。リフトシリンダ1133が作動油によって伸縮することによって、リフトフレーム1131およびブレード1132が上げ方向または下げ方向に駆動する。
【0026】
リフトシリンダ1133には、リフトシリンダ1133のストローク長を計測するストロークセンサ1134が設けられる。ストロークセンサ1134が計測するストローク長は、車体1110を基準とした刃先1132eの位置に換算可能である。具体的には、リフトシリンダ1133のストローク長に基づいて、リフトフレーム1131の回転角を算出する。リフトフレーム1131およびブレード1132の形状は既知であるため、リフトフレーム1131の回転角から、ブレード1132の刃先1132eの位置を特定することができる。なお、他の実施形態に係るブルドーザ1100は、エンコーダ等の他のセンサで回転角を検出してもよい。
【0027】
運転室1140は、オペレータが搭乗し、ブルドーザ1100の操作を行うためのスペースである。運転室1140は、車体1110の上部に設けられる。
【0028】
ブルドーザ1100は、クローラ1121の代わりにタイヤを備え、エンジンの駆動力を、トランスミッションを介してタイヤへ伝達して走行が可能な走行装置を備えたものであってもよい。また、ブルドーザ1100は、このようなタイヤを有した走行装置を備え、さらに車両本体(本体部)に作業機が取り付けられた例えばバックホウローダであってもよい。すなわち、バックホウローダは、車両本体に作業機が取り付けられ、車両本体の一部を構成する走行装置を備えたものである。
【0029】
車体1110は、作業機1130が配置されている側が前である。車体1110の前後方向がy方向である。前に向かって左側が車体1110の左であり、前に向かって右側が車体1110の右である。車体1110の左右方向は、幅方向又はx方向ともいう。ブルドーザ1100は、車体1110を基準として走行装置1120側が下であり、走行装置1120を基準として車体1110側が上である。車体1110の上下方向がz方向である。ブルドーザ1100が水平面に設置されている場合、下は鉛直方向、すなわち重力の作用方向側であり、上は鉛直方向とは反対側である。
【0030】
車体1110の上部には、アンテナ21、22及びアンテナ24が取り付けられている。アンテナ21、22は、ブルドーザ1100の現在位置を検出するために用いられる。アンテナ21、22は、図3に示されるグローバル位置演算装置23と電気的に接続されている。グローバル位置演算装置23は、ブルドーザ1100の位置を検出する位置検出装置である。グローバル位置演算装置23は、RTK-GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite Systems、GNSSは全地球航法衛星システムをいう)を利用してブルドーザ1100の現在位置を検出する。以下の説明において、アンテナ21、22を、適宜GNSSアンテナ21、22と称する。GNSSアンテナ21、22が受信したGNSS電波に応じた信号は、グローバル位置演算装置23に入力される。グローバル位置演算装置23は、グローバル座標系におけるGNSSアンテナ21、22の設置位置を求める。全地球航法衛星システムの一例としては、GPS(Global Positioning System)が挙げられるが、全地球航法衛星システムは、これに限定されるものではない。
【0031】
GNSSアンテナ21、22は、図2に示されるように、車体1110の上であって、ブルドーザ1100の左右方向、すなわち幅方向に離れた両端位置に設置されることが好ましい。実施形態において、GNSSアンテナ21、22は、車体1110の幅方向両側にそれぞれ取り付けられる。GNSSアンテナ21、22が車体1110に取り付けられる位置は限定されるものではないが、GNSSアンテナ21、22は、可能な限り離れた位置に設置される方が、ブルドーザ1100の現在位置の検出精度は向上するので好ましい。また、GNSSアンテナ21、22は、オペレータの視界を極力妨げない位置に設置されることが好ましい。
【0032】
撮像装置19は、図1に示される作業対象WAを撮像し、距離検出装置20は、自身(ブルドーザ1100の所定の位置)から作業対象WAまでの距離を求めるので、できる限り広い作業対象WAからの情報を取得することが好ましい。このため、実施形態において、アンテナ24、撮像装置19及び距離検出装置20は、車体1110の運転室1140の上方に設置される。撮像装置19及び距離検出装置20が設置される場所は運転室1140の上方に限定されるものではない。例えば、撮像装置19及び距離検出装置20は、運転室1140の内部かつ上方に設置されてもよい。
【0033】
撮像装置19は、撮像面19Lが車体1110の前方を向いている。距離検出装置20は、検出面20Lが車体1110の前方を向いている。実施形態において、撮像装置19は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサのようなイメージセンサを備えた単眼カメラである。
【0034】
実施形態において、距離検出装置20は、三次元レーザーレンジファインダ、三次元レーザースキャナ、三次元距離センサ等である。三次元レーザーレンジファインダ等は、LiDAR(Light Detection and Ranging;ライダー)等とも呼ばれ、一定の範囲にわたる複数の測定方向に対して、測定方向を順次走査させながらパルス状に発光するレーザ光を照射し、反射した散乱光が戻ってくるまでの時間と照射方向に基づき距離と向きを計測するセンサ(走査式測距センサ)である。本実施形態において、距離検出装置20は、一走査周期毎に各測定点(各反射点)の測定結果を示す三次元データを順次、記憶及び更新して出力する。距離検出装置20が出力する三次元データは、各測定点までの距離と向きあるいは各測定点の三次元座標値を示す点群データである。
【0035】
撮像装置19及び距離検出装置20はこれらに限定されるものではない。例えば、撮像装置19及び距離検出装置20の代わりに、作業対象WAの画像を取得する機能と、作業対象WAまでの距離を求める機能との両方を有する装置が用いられてもよい。このような装置としては、例えば、ステレオカメラが例示される。なお、LiDARは、長距離化、屋外対応の点で優れている。
【0036】
<ブルドーザ1100の制御系>
図3は、実施形態に係る作業機械であるブルドーザ1100の制御系1Sを示す図である。制御系1Sは、通信装置25と、センサコントローラ26と、作業機制御装置27と、撮像装置19と、距離検出装置20と、グローバル位置演算装置23と、姿勢検出装置32と、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)33と、油圧システム36と、を備える。通信装置25と、センサコントローラ26と、作業機制御装置27とは、信号線35によって接続されている。このような構造により、通信装置25と、センサコントローラ26と、作業機制御装置27とは、信号線35を介して相互に情報をやり取りすることができる。制御系1S内で情報を伝達する信号線は、CAN(Controller Area Network)のような車内信号線が例示される。
【0037】
センサコントローラ26は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM及びROM等の記憶装置とを有する。センサコントローラ26には、グローバル位置演算装置23の検出値、撮像装置19によって撮像された画像の情報、距離検出装置20の検出値、姿勢検出装置32の検出値及びIMU33の検出値が入力される。センサコントローラ26は、入力された検出値及び画像の情報を、信号線35及び通信装置25を介して、図1に示される施設50の処理装置51に送信する。
【0038】
作業機制御装置27は、CPU等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の記憶装置とを有する。作業機制御装置27は、施設50の処理装置51によって生成された、作業機1130及び車体1110の少なくとも一方を動作させるための命令を、通信装置25を介して取得する。作業機制御装置27は、取得した命令に基づいて、油圧システム36の電磁制御弁28を制御する。
【0039】
油圧システム36は、電磁制御弁28と、油圧ポンプ29と、リフトシリンダ1133、走行モータ30等の油圧アクチュエータとを備える。油圧ポンプ29は、エンジン31によって駆動されて、油圧アクチュエータを動作させるための作動油を吐出する。作業機制御装置27は、電磁制御弁28を制御することにより、リフトシリンダ1133等に供給される作動油の流量を制御する。このようにして、作業機制御装置27は、リフトシリンダ1133等の動作を制御する。
【0040】
センサコントローラ26は、ストロークセンサ1134等の検出値を取得する。ストロークセンサ1134はリフトシリンダ1133に設けられる。リフトシリンダ長が決定されれば、作業機1130の姿勢が決定される。したがって、これを検出するストロークセンサ1134等は、作業機1130の姿勢を検出する姿勢検出装置32に相当する。姿勢検出装置32は、ストロークセンサ1134等に限定されるものではなく、角度検出器であってもよい。
【0041】
センサコントローラ26は、ストロークセンサ1134が検出したリフトシリンダ長から、ブルドーザ1100の座標系であるローカル座標系(車体座標系)における水平面と直交する方向(z軸方向)に対するリフトフレーム1131の回転角を算出する。リフトフレーム1131およびブレード1132の形状は既知であるため、センサコントローラ26は、リフトフレーム1131の回転角から、ブレード1132の刃先1132eの位置を特定することができる。また、センサコントローラ26は、ストロークセンサ1134が検出したリフトシリンダ長からリフトフレーム1131の回転角やブレード1132の傾斜角を算出する。リフトフレーム1131の回転角は、作業機1130の姿勢を示す情報である。すなわち、センサコントローラ26は、作業機1130の姿勢を示す情報を求める。センサコントローラ26は、算出した傾斜角を、信号線35及び通信装置25を介して、図1に示される施設50の処理装置51に送信する。
【0042】
GNSSアンテナ21は、自身の位置を示す位置P1を測位衛星から受信する。GNSSアンテナ22は、自身の位置を示す位置P2を測位衛星から受信する。GNSSアンテナ21、22は、例えば10Hz周期で位置P1、P2を受信する。位置P1、P2は、グローバル座標系において、GNSSアンテナが設置されている位置の情報である。GNSSアンテナ21、22で受信されたGNSS電波に応じた信号、すなわち位置P1、P2は、グローバル位置演算装置23に入力される。GNSSアンテナ21、22は、位置P1、P2を受信する毎に、グローバル位置演算装置23に出力する。
【0043】
グローバル位置演算装置23は、CPU等のプロセッサと、RAM及びROM等の記憶装置とを有する。グローバル位置演算装置23は、例えば10Hzの周波数でグローバル座標系におけるGNSSアンテナ21、22の位置P1、P2を検出し、基準位置情報Pga1、Pga2としてセンサコントローラ26に出力する。実施形態において、グローバル位置演算装置23は、取得した2つの位置P1、P2から、ブルドーザ1100の方位角、より具体的には車体1110の方位角であるヨー角を求めてセンサコントローラ26に出力する。センサコントローラ26は、取得した基準位置情報Pga1、Pga2及びヨー角を、信号線35及び通信装置25を介して、図1に示される施設50の処理装置51に送信する。
【0044】
IMU33は、ブルドーザ1100の動作及び姿勢を検出する。ブルドーザ1100の動作は、車体1110の動作及び走行装置1120の動作の少なくとも一方を含む。ブルドーザ1100の姿勢は、ブルドーザ1100のロール角、ピッチ角及びヨー角によって表すことができる。実施形態において、IMU33は、ブルドーザ1100の角速度及び加速度を検出して出力する。
【0045】
<処理部51Pの機能的構成例>
図4は、図1に示す処理部51Pの機能的構成例を示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態の処理部51Pは、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせから構成される機能的要素として、取得部51P1と、変換部51P2と、画像生成部51P3と、表示処理部51P4とを有する。取得部51P1は、ブルドーザ1100(作業機械)に搭載された距離検出装置20が計測した複数の計測点の三次元データを取得する。変換部51P2は、三次元データを、ブルドーザ1100の車体1110に紐づいて規定されたローカル座標系(車体座標系)に変換する。画像生成部51P3は、ローカル座標系に変換された三次元データに基づいて、地形の三次元形状を表す基準画像を生成する。そして、表示処理部51P4は、撮像装置19(カメラ)による撮影画像に、基準画像を重畳して表示装置52に表示する。その際、画像生成部51P4は、三次元データの各計測点の、ブルドーザ1100の接地面に対する法線方向の距離に応じて、基準画像の計測点に対応する位置における基準画像の表示形態を決定する。ここで、接地面は、クローラ(履帯)1121が現場で接地している面である。表示形態は、例えば、基準画像の配色、基準画像が複数の線画像や複数の線画像からなる格子画像を含む場合の線の太さや線の密度、線種(破線や鎖線の別等)等である。この構成によれば、作業機械が走行あるいは作業する対象の表示態様を作業機械の接地面に対する法線方向の距離に応じて変化させることができるので、例えば、傾斜地に存在する凹凸等の表示態様を周囲の表示態様と異ならせることができる。
【0046】
<座標系について>
図5は、実施形態に係る画像表示システム100及び遠隔操作システム101での座標系を説明するための図である。図6は、ブルドーザ1100を模式的に示す背面図である。図7は、撮像装置及び距離検出装置の座標系を説明する図である。画像表示システム100及び遠隔操作システム101においては、グローバル座標系と、ローカル座標系と、撮像装置19の座標系と、距離検出装置20の座標系とが存在する。実施形態において、グローバル座標系とは、例えば、GNSSにおける座標系である。グローバル座標系は、ブルドーザ1100の作業区画GAに設置された基準となる、例えば基準杭80の基準位置PGを基準とした、(X、Y、Z)で示される三次元座標系である。図5に示されるように、基準位置PGは、例えば、作業区画GAに設置された基準杭80の先端80Tに位置する。
【0047】
ローカル座標系とは、ブルドーザ1100を基準とした、(x、y、z)で示される三次元座標系である。実施形態において、ローカル座標系の原点位置PLは、車体1110の所定位置である。
【0048】
実施形態において、撮像装置19の座標系は、図7に示されるように、撮像素子19RCの受光面19Pの中心を原点PCとした、(Xc、Yc、Zc)で示される三次元座標系である。実施形態において、距離検出装置20の座標系は、図7に示されるように、距離検出素子20RCの受光面20Pの中心を原点PDとした、(Xd、Yd、Zd)で示される三次元座標系である。
【0049】
<ブルドーザ1100の姿勢>
図6に示されるように、車体1110の左右方向、すなわち幅方向に対する傾斜角θ4はブルドーザ1100のロール角であり、車体1110の前後方向に対する傾斜角θ5はブルドーザ1100のピッチ角であり、z軸周りにおける車体1110の角度はブルドーザ1100のヨー角である。ロール角はIMU33によって検出されたy軸周りの角速度を時間で積分することにより、ピッチ角はIMU33によって検出されたx軸周りの角速度を時間で積分することにより、ヨー角はIMU33によって検出されたz軸周りの角速度を時間で積分することにより求められる。z軸周りの角速度は、ブルドーザ1100の旋回角速度ωである。すなわち、旋回角速度ωを時間で積分することによりブルドーザ1100、より具体的には車体1110のヨー角が得られる。
【0050】
IMU33が検出した加速度及び角速度は、動作情報としてセンサコントローラ26に出力される。センサコントローラ26は、IMU33から取得した動作情報にフィルタ処理及び積分といった処理を施して、ロール角である傾斜角θ4、ピッチ角である傾斜角θ5及びヨー角を求める。センサコントローラ26は、求めた傾斜角θ4、傾斜角θ5及びヨー角を、ブルドーザ1100の姿勢に関連する情報として、図3に示される信号線35及び通信装置25を介して、図1に示される施設50の処理装置51に送信する。
【0051】
センサコントローラ26は、前述したように、作業機1130の姿勢を示す情報を求める。作業機1130の姿勢を示す情報は、具体的には、ローカル座標系における水平面と直交する方向(z軸方向)に対するリフトフレーム1131の傾斜角θ1や、ブレード1132の傾斜角、刃先1132eの位置等である。図1に示される施設50の処理装置51は、ブルドーザ1100のセンサコントローラ26から取得した作業機1130の姿勢を示す情報、すなわち傾斜角θ1やブレード1132の刃先1132eの位置(以下、適宜刃先位置と称する)P4を算出する。
【0052】
処理装置51の記憶部51Mは、作業機1130のデータ(以下、適宜作業機データという)を記憶している。作業機データは、例えばローカル座標系の原点位置PLを基準とするリフトフレーム1131およびブレード1132の形状を表すデータを含む。処理装置51は、作業機データと、ストロークセンサ1134が検出したリフトシリンダ長や傾斜角θ1及び原点位置PLを用いて、原点位置PLに対する刃先位置P4を求めることができる。実施形態において、施設50の処理装置51が刃先位置P4を求めたが、ブルドーザ1100のセンサコントローラ26が刃先位置P4を求めて施設50の処理装置51に送信してもよい。
【0053】
<画像表示システム100及び遠隔操作システム101が実行する制御例>
図8は、画像表示システム100及び遠隔操作システム101が実行する制御例のフローチャートである。図11は、撮像装置19及び距離検出装置20と作業対象WAとを示す図である。
【0054】
ステップS101において、図3に示されるセンサコントローラ26は、ブルドーザ1100の情報を取得する。ブルドーザ1100の情報は、撮像装置19、距離検出装置20、グローバル位置演算装置23、姿勢検出装置32及びIMU33から得られる情報である。撮像装置19は、図11に示されるように、撮像範囲TA内で作業対象WAを撮像し、作業対象WAの画像を得る。距離検出装置20は、検出範囲MA内に存在する作業対象WA及びその他の物体までの、距離検出装置20からの距離Ldを検出する。グローバル位置演算装置23は、グローバル座標系におけるGNSSアンテナ21、22の位置P1、P2に対応する基準位置情報Pga1、Pga2を求める。姿勢検出装置32は、リフトシリンダ長等を検出する。IMU33は、ブルドーザ1100の姿勢、より具体的には、車体1110のロール角θ4、ピッチ角θ5及びヨー角を検出する。
【0055】
ステップS102において、画像表示システム100及び遠隔操作システム101の処理装置51は、取得部51P1によって、ブルドーザ1100の通信装置25及び処理装置51に接続された通信装置54を介して、ブルドーザ1100のセンサコントローラ26からブルドーザ1100の情報を取得する。
【0056】
処理装置51がセンサコントローラ26から取得するブルドーザ1100の情報は、撮像装置19によって撮像された作業対象WAの画像と、距離検出装置20が検出した、距離検出装置20から作業対象WAまでの距離の情報と、姿勢検出装置32によって検出されたブルドーザ1100が備える作業機1130の姿勢の情報と、基準位置情報Pga1、Pga2と、ブルドーザ1100の姿勢の情報と、を含む。
【0057】
距離検出装置20から作業対象WAまでの距離の情報は、検出範囲MA内に存在する作業対象WA又は物体OBまでの距離Ldと、距離Ldに対応する位置Pdの方位の情報とを含む。図11では、作業対象WAまでの距離として距離Ldを示す。位置Pdの方位の情報は、距離検出装置20を基準としたときの位置Pdの方位であり、距離検出装置20の座標系の各軸Xd、Yd、Zdに対する角度である。処理装置51が取得する作業機1130の姿勢の情報は、リフトシリンダ長等を用いてセンサコントローラ26が求めた、作業機1130の傾斜角θ1である。ブルドーザ1100の姿勢の情報は、ブルドーザ1100、より具体的には車体1110のロール角θ4、ピッチ角θ5及びヨー角である。
【0058】
処理装置51は、例えば変換部51P2によって、センサコントローラ26から取得した作業機1130の傾斜角θ1等と、記憶部51Mに記憶されているリフトシリンダ長等とを用いて、ブレード1132の刃先位置P4を求める。ブレード1132の刃先位置P4は、ブルドーザ1100のローカル座標系(x、y、z)における座標の集合である。
【0059】
ステップS103に進み、処理装置51は、変換部51P2によって、ローカル座標系の原点を求める。
【0060】
ステップS104に進み、処理装置51は、変換部51P2によって、作業対象WAまでの距離の情報を用いて、作業対象WAまでの距離Ldを位置の情報に変換する。位置の情報は、距離検出装置20の座標系(Xd、Yd、Zd)における位置Pdの座標である。ステップS104においては、検出範囲MA内で距離検出装置20によって検出されたすべての距離Ldが、位置の情報に変換される。処理装置51は、変換部51P2によって、距離Ldと、距離Ldに対応する位置Pdの方位の情報とを用いて、距離Ldを位置の情報に変換する。ステップS104においては、検出範囲MA内に存在する物体OBまでの距離も、作業対象WAの距離Ldと同様に、位置の情報に変換される。ステップS104の処理によって、検出範囲MA内における作業対象WAの位置の情報が得られる。作業対象WAの位置の情報から、作業対象WAの形状の情報を得ることができる。
【0061】
作業対象WAの位置の情報及び形状の情報は、距離検出装置20の座標系(Xd、Yd、Zd)における位置Pdの座標の集合である。処理装置51は、変換部51P2によって、作業対象WAの形状の情報を、撮像装置19の座標系(Xc、Yc、Zc)の値に変換した後、ブルドーザ1100のローカル座標系(x、y、z)の値に変換する。
【0062】
ステップS105において、処理装置51は、変換部51P2によって、作業対象WAの位置の情報、ブレード1132の刃先位置P4及びブルドーザ1100のセンサコントローラ26から取得した基準位置情報Pga1、Pga2を、グローバル座標系(X、Y、Z)に変換する。グローバル座標系(X、Y、Z)への変換にあたって、処理装置51は、変換部51P2によって、センサコントローラ26から取得したブルドーザ1100のロール角θ4、ピッチ角θ5及びヨー角を用いた回転行列を生成する。処理装置51は、変換部51P2によって、生成した回転行列を用いて、作業対象WAの位置の情報、ブレード1132の刃先位置P4及び基準位置情報Pga1、Pga2を、グローバル座標系(X、Y、Z)に変換する。次に、ステップS106に進み、処理装置51は、画像生成部51P3(又は変換部51P2)によって、占有領域を求める。
【0063】
図12は、占有領域SAを説明する図である。占有領域SAは、作業対象WAの形状の情報内において、作業機1130が占める領域である。図12に示される例では、作業機1130のブレード1132の一部が距離検出装置20の検出範囲MA内、かつ距離検出装置20と作業対象WAとの間に入っている。このため、占有領域SAの部分は、距離検出装置20によって、作業対象WAまでの距離ではなくブレード1132までの距離が検出される。実施形態において、処理装置51は、画像生成部51P3によって、ステップS104で得られた作業対象WAの形状の情報から、占有領域SAの部分を除去する。
【0064】
処理装置51は、画像生成部51P3によって、ブレード1132の位置及び姿勢の少なくとも一方に応じて距離検出装置20が検出する位置及び姿勢の少なくとも一方の情報を、例えば記憶部51Mに記憶させておく。このような情報は、本実施形態においてブルドーザ1100の作業機1130の姿勢に含まれる。作業機1130の姿勢は、作業機1130の傾斜角θ1、リフトシリンダ長等を用い、必要に応じてブルドーザ1100の姿勢を用いて求めることができる。そして、処理装置51は、画像生成部51P3によって、距離検出装置20によって検出されたデータと記憶部51Mに記憶されている情報とを比較し、両者がマッチングしたならば、ブレード1132が検出されたものとすることができる。このような作業機1130の姿勢を用いた処理により、処理装置51は、図1に示される格子画像65を生成する際に、占有領域SAのブレード1132の情報を使わないので、格子画像65を正確に生成できる。
【0065】
なお、占有領域SAの部分を除去するために、作業機1130の姿勢を用いた処理は、次のような方法によって行われてもよい。作業機1130の姿勢に含まれる、ブレード1132のグローバル座標系における位置及び姿勢の少なくとも一方に関する情報は、作業機1130の傾斜角θ1、リフトシリンダ長等から求められる。ステップS104及びステップS105で、グローバル座標系における作業対象WAの形状の情報が得られている。ステップS107において、処理装置51は、画像生成部51P3によって、ブレード1132の位置を作業対象WAの形状の情報に投影した領域を占有領域SAとして、作業対象WAの形状から除去する。
【0066】
図13は、占有領域を除去した作業対象WAの形状の情報を示す図である。作業対象WAの形状の情報IMWAは、グローバル座標系(X、Y、Z)における座標Pgd(X、Y、Z)の集合である。占有領域IMBAは、ステップS107の処理により、座標の情報が存在しない。次に、ステップS108に進み、処理装置51は、画像生成部51P3によって、ブレード1132の位置を示す画像を生成する。ブレード1132の位置を示す画像は、作業対象WA上でブレード1132に対応する部分の画像である。
【0067】
図14から図16は、作業対象WA上でのブレード1132の位置を示す画像を説明するための図である。実施形態において、ブレード1132の位置を示す画像は、作業対象WA上でのブレード1132の刃先1132eの位置を示す画像である。以下において、ブレード1132の刃先1132eの位置を示す画像を、適宜、刃先位置画像と称する。刃先位置画像は、図14に示されるように、刃先1132eを鉛直方向、すなわち重力が作用する方向の作業対象WAに投影したときに、作業対象WAの表面WAPの位置Pgt(X、Y、Z)で規定される画像である。鉛直方向は、グローバル座標系(X、Y、Z)におけるZ方向であり、X方向及びY方向とは直交する方向である。
【0068】
図15に示されるように、作業対象WAの表面WAPの第1位置Pgt1(X1、Y1、Z1)と第2位置Pgt2(X2、Y2、Z2)との間で、作業対象WAの表面WAPに沿って形成される線画像が、刃先位置画像61である。第1位置Pgt1(X1、Y1、Z1)は、ブレード1132の幅方向Wbの一方の端部8Wt1側における刃先1132eの外側の位置Pgb1から鉛直方向に向かって延ばした直線LV1と作業対象WAの表面WAPとの交点である。第2位置Pgt2(X2、Y2、Z2)は、ブレード1132の幅方向Wbの他方の端部8Wt2側における刃先1132eの外側の位置Pgb2から鉛直方向に向かって延ばした直線LV2と作業対象WAの表面WAPとの交点である。
【0069】
処理装置51は、画像生成部51P3によって、ブレード1132の位置Pgb1及び位置Pgb2から鉛直方向に延びた直線LV1及び直線LV2を求める。次に、処理装置51は、画像生成部51P3によって、得られた直線LV1及び直線LV2と、作業対象WAの形状の情報とから、第1位置Pgt1(X1、Y1、Z1)及び第2位置Pgt2(X2、Y2、Z2)を求める。そして、処理装置51は、画像生成部51P3によって、第1位置Pgt1と第2位置Pgt2とを結ぶ直線を作業対象WAの表面WAPに投影したときの表面WAPの位置Pgtの集合を刃先位置画像61とする。
【0070】
実施形態において、処理装置51は、画像生成部51P3によって、位置Pgb1と第1位置Pgt1(X1、Y1、Z1)とを結ぶ直線LV1の画像である第1直線画像62と、位置Pgb2と第2位置Pgt2(X2、Y2、Z2)とを結ぶ直線LV2の画像である第2直線画像63とを生成する。次に、処理装置51は、画像生成部51P3によって、刃先位置画像61、第1直線画像62及び第2直線画像63を、撮像装置19を基準、すなわち撮像装置19の視点の画像に変換する。
【0071】
図16に示されるように、撮像装置19の視点の画像は、グローバル座標系(X、Y、Z)における撮像装置の原点Pgc(Xc、Yc、Zc)から刃先位置画像61、第1直線画像62及び第2直線画像63を見たときの画像である。撮像装置の原点Pgc(Xc、Yc、Zc)は、撮像装置19が備える撮像素子19RCの受光面19Pの中心、すなわち原点PCを、グローバル座標系(X、Y、Z)に変換した座標である。
【0072】
刃先位置画像61、第1直線画像62及び第2直線画像63は、三次元空間内の画像であるが、撮像装置19の視点の画像は2次元の画像である。したがって、処理装置51は、画像生成部51P3によって、三次元空間、すなわちグローバル座標系(X、Y、Z)内に定義された刃先位置画像61、第1直線画像62及び第2直線画像63を、2次元面上に投影する透視投影変換を実行する。撮像装置19の視点の画像に変換された刃先位置画像61、第1直線画像62及び第2直線画像63を、以下においては適宜、作業具案内画像60と称する。
【0073】
ステップS109に進み、処理装置51は、画像生成部51P3によって、グローバル座標をローカル座標系に変換する。
【0074】
ステップS110に進み、処理装置51は、画像生成部51P3によって、ローカル座標系の高さに応じて基準画像のグラデーション配色を求める。ステップS110において、画像生成部51P3は、三次元データの各計測点の、ブルドーザ1100の接地面に対する法線方向の距離に応じて、基準画像の計測点に対応する位置における基準画像のグラデーション配色を決定する。画像生成部51P3は、例えば、比較的低い計測点に対応する位置における基準画像の配色を寒色とし、比較的高い計測点に対応する位置における基準画像の配色を暖色とし、中間的な高さの計測点に対応する位置における基準画像の配色を中性色に設定する。
【0075】
例えば、図9に示すように、ブルドーザ1100の接地面が平地403である場合、処理装置51は、画像生成部51P3によって、ローカル座標系のz方向(この場合、鉛直方向)の高さに応じて、基準画像のグラデーション配色を求める。図9に示す例では、処理装置51は、画像生成部51P3によって、図21を参照して説明した水平面基準で決定した場合と同様に、基準画像のグラデーション配色を求める。図9は、網掛けの密度の変化で配色の変化を示す模式図である。
【0076】
また、例えば、図10に示すように、ブルドーザ1100の接地面が傾斜地401である場合、処理装置51は、画像生成部51P3によって、ローカル座標系のz方向(この場合、傾斜地401の斜面と垂直な方向)の高さに応じて、基準画像のグラデーション配色を求める。図10に示す例では、処理装置51は、画像生成部51P3によって、図21を参照して説明した水平面基準で決定した場合と異なり、基準画像のグラデーション配色を求める。図10は、網掛けの密度の変化で配色の変化を示す模式図である。この場合、図21では色分けされていなかった傾斜地401にある凹凸402に周辺と異なる配色を設定することができる。
【0077】
図17及び図18は、基準画像である格子画像65を示す図である。ステップS110で基準画像のグラデーション配色が決定されたら、ステップS111に進み、処理装置51は、画像生成部51P3によって、ステップS110で決定されたグラデーション配色で基準画像である格子画像65を生成する。格子画像65は、作業対象WAの位置の情報を用いて作業対象WAの表面WAPに沿った線画像である。格子画像65は、複数の第1の線画像66と、複数の第1の線画像66と交差する複数の第2の線画像67とを備えた格子である。実施形態において、第1の線画像66は、例えば、グローバル座標系(X、Y、Z)におけるX方向と平行に延び、Y方向に配置される線画像である。第1の線画像66は、グローバル座標系(X、Y、Z)において、ブルドーザ1100が備える車体1110の前後方向と平行に伸び、車体1110の幅方向に配置される線画像であってもよい。
【0078】
格子画像65は、作業対象WAの位置の情報、より具体的には表面WAPの位置Pgg(X、Y、Z)を用いて生成される。第1の線画像66と第2の線画像67との交点が位置Pgg(X、Y、Z)となる。第1の線画像66及び第2の線画像67は、図18に示されるように、グローバル座標系(X、Y、Z)で定義されるので、三次元の情報を含んでいる。実施形態において、複数の第1の線画像66は等間隔で配置され、複数の第2の線画像67は等間隔で配置される。隣接する第1の線画像66同士の間隔と、隣接する第2の線画像67同士の間隔とは等しい。
【0079】
格子画像65は、表面WAPの位置Pgg(X、Y、Z)を用いて生成された第1の線画像66及び第2の線画像67が、撮像装置19の視点の画像に変換された画像である。処理装置51は、画像生成部51P3によって、第1の線画像66及び第2の線画像67を生成したら、これらを撮像装置19の視点の画像に変換して、格子画像65を生成する。第1の線画像66及び第2の線画像67が撮像装置19の視点の画像に変換されることで、作業対象WAの絶対距離を補助するために、水平面において等間隔の格子画像65を、作業対象WAの形状に合わせて変形させて表示させることができる。
【0080】
次に、ステップS112において、処理装置51は、表示処理部51P4によって、生成された作業具案内画像60及び基準画像である格子画像65から、前述した占有領域SAを除去する。ステップS112において、処理装置51は、表示処理部51P4によって、占有領域SAを撮像装置19の視点の画像に変換して、作業具案内画像60及び基準画像である格子画像65から除去する。実施形態において、処理装置51は、表示処理部51P4によって、撮像装置19の視点の画像に変換される前の刃先位置画像61、第1直線画像62及び第2直線画像63と、撮像装置19の視点の画像に変換される前の第1の線画像66及び第2の線画像67とから、それぞれ撮像装置19の視点の画像に変換される前の占有領域SAを除去してもよい。
【0081】
図19は、作業用の画像69を示す図である。ステップS113において、処理装置51は、表示処理部51P4によって、占有領域SAが除去された作業具案内画像60と、格子画像65と、撮像装置19によって撮像された作業対象WAの画像68とを合成して、作業用の画像69を生成する。ステップS114において、処理装置51は、表示処理部51P4によって、生成された作業用の画像68を、表示装置52に表示する。作業用の画像69は、作業対象WAの画像68に、格子画像65及び作業具案内画像60が表示された画像である。
【0082】
格子画像65は、作業対象WAの表面WAPに沿った格子なので、ブルドーザ1100のオペレータは、格子画像65を参照することにより、作業対象WAの位置を把握することができる。例えば、オペレータは、第2の線画像67により奥行き、すなわちブルドーザ1100が備える車体1110の前後方向の位置を把握でき、第1の線画像66によりブレード1132の幅方向の位置を把握できる。
【0083】
図20は、作業用の画像69の他の例を示す図である。図20において、作業用の画像69は、法線方向の距離に応じて線の太さが異なる格子画像65を含んでいる。図20に示す格子画像65は、距離が大きいほど線径が太くなるように設定されている。なお、図20に示す例では作業機械が油圧ショベル等である。
【0084】
本実施形態では、第1の線画像66及び第2の線画像67からなる格子画像65は、高さに応じて異なる色で色づけされる。その際、本実施形態では、ブルドーザ1100(作業機械)が走行あるいは作業する対象の表示態様を、ブルドーザ1100の接地面に対する法線方向の距離に応じて変化させることができ、例えば、傾斜地に存在する凹凸等の表示態様を周囲の表示態様と異ならせることができる。すなわち、本実施形態では、高さの色ゲージをクローラ1121の接地面基準としているので、例えば登坂中の傾斜地にある凹凸が正しく認識できるようになる。
【0085】
作業具案内画像60は、刃先位置画像61が、作業対象WAの表面WAP及び格子画像65に沿って表示される。また、図19に示す例では、刃先位置画像61を延長した延長線画像61-1と延長線画像61-2も作業対象WAの表面WAP及び格子画像65に沿って表示されている。このため、オペレータは、格子画像65及び刃先位置画像61により、ブレード1132と作業対象WAとの位置関係を把握できるので、作業効率及び作業の精度が向上する。実施形態においては、ブレード1132の幅方向Wbの両側から、第1直線画像62と第2直線画像63とが刃先位置画像61の両端を結んでいる。オペレータは、第1直線画像62及び第2直線画像63により、ブレード1132と作業対象WAとの位置関係を、さらに容易に把握できる。格子画像65及び刃先位置画像61は、作業対象となる地形(作業対象WA)の形状に沿って表示されるため、地形面上(2次元上)での両者の相対位置関係が容易に把握できる。さらに、格子画像65を構成する、第1の線画像66及び第2の線画像67は、グローバル座標系にて等間隔に配置されているため、地形面上での距離感をつかみやすく、遠近感の把握が容易になる。
【0086】
実施形態において、作業用の画像69は、ブレード1132の刃先1132eと作業対象WAとの距離を示す情報を含むことができる。このようにすることで、オペレータは、ブレード1132の刃先1132eと作業対象WAとの実際の距離を把握できるという利点がある。ブレード1132の刃先1132eと作業対象WAとの距離は、ブレード1132の幅方向Wbの中央における刃先1132eから作業対象WAの表面WAPまでの距離とすることができる。
【0087】
なお、作業対象WAとの距離を示す情報は、ブレード1132の刃先1132eと作業対象WAとの距離に代え、又はその距離に加えて、ブレード1132の角度といった姿勢に関する情報、ブレード1132と作業対象WAとの相対距離を示す情報、ブレード1132の例えば刃先1132eの向きと作業対象WAの面の向きとの関係を示す情報、ブレード1132の位置を座標で示した情報、作業対象WAの面の向きを示す情報及び撮像装置19からブレード1132の刃先1132eまでのローカル座標系におけるy方向の距離を示す情報といった情報を含む、作業具又は作業対象Wに関する空間位置情報であればよい。
【0088】
すなわち、処理装置51は、表示処理部51P4によって、作業具であるブレード1132の位置、ブレード1132の姿勢、作業対象WAの位置、作業対象WAの相対的な姿勢、ブレード1132と作業対象WAとの相対的な距離、ブレード1132と作業対象WAとの相対的な姿勢の少なくとも1つを求めて、表示装置52に表示させてもよい。
【0089】
以上、画像表示システム100及び遠隔操作システム101は、撮像装置19の視点で生成された作業具案内画像60及び格子画像65を、撮像装置19によって撮像された実際の作業対象WAの画像68と重ね合わせて、表示装置52に表示する。このような処理により、画像表示システム100及び遠隔操作システム101は、表示装置52に表示された作業対象WAの画像を用いてブルドーザ1100を遠隔操作するオペレータに、ブレード1132の位置と作業対象WAとの位置関係を把握させやすくすることができるので、作業効率及び作業の精度を向上させることができる。経験の浅いオペレータも、画像表示システム100及び遠隔操作システム101を用いることにより、ブレード1132の位置と作業対象WAとの位置関係を容易に把握できる。その結果、作業効率及び作業の精度の低下が抑制される。また、画像表示システム100及び遠隔操作システム101は、作業具案内画像60と、格子画像65と、実際の作業対象WAの画像68とを重ね合わせて表示装置52に表示することにより、作業中にオペレータが注目する画面を単一として、作業効率を向上させることができる。
【0090】
格子画像65は、隣接する第1の線画像66同士の間隔と、隣接する第2の線画像67同士の間隔とが等しい。このため、格子画像65と、撮像装置19によって撮像された実際の作業対象WAの画像68とを重ね合わせて表示することにより、作業対象WAでの作業地点を把握しやすくなる。また、作業具案内画像60の刃先位置画像61と格子画像65とを重ね合わせることにより、オペレータは、ブレード1132が移動した距離を把握することが容易になるので、作業効率が向上する。
【0091】
作業具案内画像60及び格子画像65は、作業機1130の領域である占有領域SAが除去されるので、作業具案内画像60及び格子画像65は、占有領域SAによる歪み及び作業機1130に作業具案内画像60及び格子画像65が重畳して表示されることを回避できる。その結果、画像表示システム100及び遠隔操作システム101は、オペレータにとって見やすい形態で作業用の画像69を表示装置52に表示できる。
【0092】
実施形態において、作業具案内画像60は、少なくとも刃先位置画像61を含んでいればよい。格子画像65は、少なくとも複数の第2の線画像67、すなわちブルドーザ1100が備える車体1110の前後方向と直交する方向を示す複数の線画像を含んでいればよい。また、処理装置51は、ブレード1132の刃先1132eと作業対象WAとの距離に応じて、作業具案内画像60のうち、例えば刃先位置画像61の色を変更してもよい。このようにすることで、オペレータは、ブレード1132の位置と作業対象WAとの距離を把握しやすくなる。
【0093】
実施形態において、処理装置51は、作業対象WAの形状の情報をグローバル座標系(X、Y、Z)に変換して作業具案内画像60及び格子画像65を生成したが、作業対象WAの形状の情報をグローバル座標系(X、Y、Z)に変換しなくてもよい。この場合、処理装置51は、作業対象WAの形状の情報をブルドーザ1100のローカル座標系(x、y、z)で取り扱い、作業具案内画像60及び格子画像65を生成する。作業対象WAの形状の情報をブルドーザ1100のローカル座標系(x、y、z)で取り扱う場合、GNSSアンテナ21、22及びグローバル位置演算装置23は不要である。
【0094】
前述の実施形態では、距離検出装置20により検出されたブルドーザ1100の一部(例えば、前述のようにブレード1132)を除去し、作業対象WAの形状の情報(三次元地形データ)とした。しかし、過去(例えば数秒前)に取得した三次元地形データを処理装置51の記憶部51Mに記憶しておき、処理装置51の処理部51Pが、現在の作業対象WAと、その記憶されている三次元地形データとが同じ位置であるのか判断し、同じ位置であるのであれば、過去の三次元地形データを用いて、格子画像65を表示させてもよい。つまり、処理装置51は、撮像装置19から見て、ブルドーザ1100の一部によって隠れている地形があっても、過去の三次元地形データがあれば、格子画像65を表示させることができる。
【0095】
また、格子を用いた格子画像65による表示ではなく、例えばローカル座標系を極座標系として格子画像65を表示させるようにしてもよい。具体的には、ブルドーザ1100の中心(例えば、車体1110の旋回中心)からの距離に応じた等間隔の同心円を線画像(第2の線画像)として描き、かつ車体1110の旋回角度に応じて旋回中心から等間隔に放射状の線画像(第1の線画像)を描くようにしてもよい。この場合、同心円の線画像である第2の線画像と旋回中心からの放射状の線画像である第1の線画像とは交差する。このような格子画像を表示させることによっても、旋回時や掘削時にブレード1132の位置と作業対象WAとの位置関係を容易に把握することができる。
【0096】
<ブルドーザ1100の制御系の変形例>
前述した画像表示システム100及び遠隔操作システム101は、図1に示される施設50の操作装置53を用いてブルドーザ1100を遠隔操作したが、図2に示される運転室1140内に表示装置52を設けたり、ブルドーザ1100にオペレータの作業を補助するために、作業用の画像69が運転室1140内の表示装置52に表示したりしてもよい。この場合、ブルドーザ1100は、表示装置52に表示された作業対象WAの画像を用いてブルドーザ1100を操作するオペレータに、ブレード1132の位置と作業対象WAとの位置関係を把握させやすくすることができる。その結果、作業効率及び作業の精度を向上させることができる。また、経験の浅いオペレータも、ブレード1132の位置と作業対象WAとの位置関係を容易に把握できる。その結果、作業効率及び作業の精度の低下が抑制される。さらに、夜間作業等の場合、オペレータが実際の作業対象WAを目視し難い状況であっても、表示装置52に表示された作業具案内画像60及び格子画像65を見ながら作業することができるので、作業効率の低下が抑制される。
【0097】
以上、実施形態を説明したが、前述した内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。作業機械はブルドーザ1100に限定されず、ホイールローダー又は油圧ショベルのような他の作業機械であってもよい。また、占有領域としてブルドーザのブレード(作業機)を挙げたが、作業機に加え、車体のフードや排気管を占有領域に加えても良い。
【符号の説明】
【0098】
1100 ブルドーザ、1110 車体、1120 走行装置、1130 作業機、1132 ブレード、1132e 刃先、1S 制御系、19 撮像装置、20 距離検出装置、21、22 アンテナ(GNSSアンテナ)、23 グローバル位置演算装置、26 センサコントローラ、27 作業機制御装置、32 姿勢検出装置、33 IMU、50 施設、51 処理装置、52 表示装置、53 操作装置、60 作業具案内画像(画像)、61 刃先位置画像、62 第1直線画像、63 第2直線画像、65 格子画像、66 第1の線画像、67 第2の線画像、68 画像、69 作業用の画像、100 作業機械の画像表示システム(表示システム)、101 作業機械の遠隔操作システム(遠隔操作システム)
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