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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ステッピングモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 37/14 20060101AFI20230907BHJP
   H02K 16/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H02K37/14 535B
H02K16/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019128397
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021016215
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸明
(72)【発明者】
【氏名】小林 一隆
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-218728(JP,A)
【文献】特開平10-075559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 37/14
H02K 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸線方向に延在する回転軸の外周側に永久磁石を備えるロータと、
前記永久磁石に径方向外側に対向するように配置された筒状のステータ部と、
を有し、
前記ステータ部では、第1コア、コイルが巻回されたコイルボビン、および第2コアがモータ軸線方向に重ねられたステータ組が前記モータ軸線方向に4つ以上の複数、配置されており、
前記複数のステータ組の各々において、前記第1コアは、前記コイルボビンに重なる環状板部と、前記環状板部の外縁で屈曲して前記第2コアを径方向外側から覆う位置まで延在した筒状のケース部と、を備え、
前記複数のステータ組は、前記ケース部同士が溶接により固定され
前記ステータ組では、前記モータ軸線方向で重なる2つのステータ組からなるステータがモータ軸線方向に複数、配置されており、
前記2つのステータ組では、前記第1コア、前記コイルボビン、および前記第2コアの前記モータ軸線方向における相対位置が逆向きであって、前記2つのステータ組の前記ケース部の先端部同士が溶接により固定され、
前記複数のステータの境界部では、前記ケース部における前記環状板部からの屈曲部の外側の面同士が溶接により固定されていることを特徴とするステッピングモータ。
【請求項2】
モータ軸線方向に延在する回転軸の外周側に永久磁石を備えるロータと、
前記永久磁石に径方向外側に対向するように配置された筒状のステータ部と、
を有し、
前記ステータ部では、第1コア、コイルが巻回されたコイルボビン、および第2コアがモータ軸線方向に重ねられたステータ組が前記モータ軸線方向に4つ以上の複数、配置されており、
前記複数のステータ組の各々において、前記第1コアは、前記コイルボビンに重なる環状板部と、前記環状板部の外縁で屈曲して前記第2コアを径方向外側から覆う位置まで延在した筒状のケース部と、を備え、
前記複数のステータ組は、前記ケース部同士が溶接により固定され、
前記ステータ組では、前記モータ軸線方向で重なる2つのステータ組からなるステータがモータ軸線方向に複数、配置されており、
前記複数のステータ組では、前記第1コア、前記コイルボビン、および前記第2コアの前記モータ軸線方向における相対位置が同一であって、
前記複数のステータ組の境界部では、前記モータ軸線方向で隣り合う2つのステータ組のうち、一方のステータ組の前記ケース部の先端部と、他方のステータ組の前記ケース部における前記環状板部からの屈曲部の外側の面とが溶接により固定されていることを特徴とするステッピングモータ。
【請求項3】
請求項において、
前記複数のステータの境界部では、周方向の一部で前記環状板部同士が接し、周方向の他の部分では、前記環状板部の間に隙間が空いていることを特徴とするステッピングモータ。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のステッピングモータにおいて、
前記屈曲部の径方向外側の面が、径方向外側に向けて凸状に湾曲した凸曲面になっていることを特徴とするステッピングモータ。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項において、
前記複数のステータ組の各々において、前記ケース部には、モータ軸線方向で隣り合うステータ組同士の周方向の位置合わせを行う証が設けられていることを特徴とするステッピングモータ。
【請求項6】
請求項において、
前記複数のステータ組の各々において、前記証は、前記ケース部に形成された切り欠きであることを特徴とするステッピングモータ。
【請求項7】
請求項において、
前記切り欠きは、前記ケース部の軸線方向の全体にわたって延在する開口部であって、前記開口部からは、前記コイルボビンに形成された端子台が径方向外側に突出しており、
前記複数のステータ組の前記開口部は、前記モータ軸線方向で繋がっていることを特徴とするステッピングモータ。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載のステッピングモータにおいて、
前記複数のステータの各々において、前記2つのステータ組の一方がA相用ステータ組であり、他方がB相用ステータ組であることを特徴とするステッピングモータ。
【請求項9】
請求項1からまでの何れか一項に記載のステッピングモータにおいて、
前記複数のステータ部の外径が6mm以下であることを特徴とするステッピングモータ。
【請求項10】
請求項1からまでの何れか一項に記載のステッピングモータにおいて、
前記ステータ部は、前記複数のステータ組として4つのステータ組を有することを特徴とするステッピングモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のステータ組がモータ軸線方向に配置されたステッピングモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータは、回転軸の外周面に固定された永久磁石を備えるロータと、永久磁石の外周面に対向するように配置されたステータとを備える。ステータは、A相およびB相の2つのステータ組がモータ軸線方向で隣り合うように配置されている。一方、ステッピングモータを細径化した場合でも大きなトルクを確保可能な構造として、ステータ組をモータ軸線方向に4つ以上配置した構造が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、複数のステータ組の周りに円筒状のケースを配置してステータを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-152593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の記載の構成では、ステータの周りにケースを配置していため、ケースの厚さによって、モータの小径化が損なわれるという問題点がある。一方、特許文献1の記載の構成でケースを省略すると、ステータ組の同軸度を確保しながらモータを組み立てることが困難になる。
【0005】
以上の問題に鑑みて、本発明の課題は、ステータの細径化を図るにあたってステータ組の数を増やして大きなトルクを確保した場合でも、各ステータ組の同軸度を確保しやすいステッピングモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るステッピングモータは、モータ軸線方向に延在
する回転軸の外周側に永久磁石を備えるロータと、前記永久磁石に径方向外側に対向するように配置された筒状のステータ部と、を有し、前記ステータ部では、第1コア、コイルが巻回されたコイルボビン、および第2コアがモータ軸線方向に重ねられたステータ組が前記モータ軸線方向に4つ以上の複数、配置されており、前記複数のステータ組の各々において、前記第1コアは、前記コイルボビンに重なる環状板部と、前記環状板部の外縁で屈曲して前記第2コアを径方向外側から覆う位置まで延在した筒状のケース部と、を備え、前記複数のステータ組は、前記ケース部同士が溶接により固定され、前記ステータ組では、前記モータ軸線方向で重なる2つのステータ組からなるステータがモータ軸線方向に複数、配置されており、前記2つのステータ組では、前記第1コア、前記コイルボビン、および前記第2コアの前記モータ軸線方向における相対位置が逆向きであって、前記2つのステータ組の前記ケース部の先端部同士が溶接により固定され、前記複数のステータの境界部では、前記ケース部における前記環状板部からの屈曲部の外側の面同士が溶接により固定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、4つ以上のステータ組がモータ軸線方向に複数配置されているため、モータを細径化した場合でも、大きなトルクを得ることができる。また、複数のステータ組は、第1コアのケース部同士が溶接により固定されているため、ステータ組を別体のケースに収容しなくても、組立の際にステータ組の同軸度を確保しやすい。それ故、モータの細径化を図りやすい。
【0008】
本発明に係るステッピングモータは、モータ軸線方向に延在する回転軸の外周側に永久磁石を備えるロータと、前記永久磁石に径方向外側に対向するように配置された筒状のステータ部と、を有し、前記ステータ部では、第1コア、コイルが巻回されたコイルボビン、および第2コアがモータ軸線方向に重ねられたステータ組が前記モータ軸線方向に4つ以上の複数、配置されており、前記複数のステータ組の各々において、前記第1コアは、前記コイルボビンに重なる環状板部と、前記環状板部の外縁で屈曲して前記第2コアを径方向外側から覆う位置まで延在した筒状のケース部と、を備え、前記複数のステータ組は、前記ケース部同士が溶接により固定され、前記ステータ組では、前記モータ軸線方向で重なる2つのステータ組からなるステータがモータ軸線方向に複数、配置されており、前記複数のステータ組では、前記第1コア、前記コイルボビン、および前記第2コアの前記モータ軸線方向における相対位置が同一であって、前記複数のステータ組の境界部では、前記モータ軸線方向で隣り合う2つのステータ組のうち、一方のステータ組の前記ケース部の先端部と、他方のステータ組の前記ケース部における前記環状板部からの屈曲部の外側の面とが溶接により固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記複数のステータの境界部では、周方向の一部で前記環状板部同士が接し、周方向の他の部分では、前記環状板部の間に隙間が空いている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1コアにケース部を設ける工程等の影響で環状板部がモータ軸線に対して直交する状態から斜めに傾いている場合には、環状板部同士が周方向の全体で接する態様よりも、同軸度を優先して環状板部の間の周方向の一部に隙間が空いていることを許容する。従って、組立の際にステータの同軸度を確保しやすい。
【0011】
本発明において、前記屈曲部の径方向外側の面が、径方向外側に向けて凸状に湾曲した凸曲面になっている態様を採用することができる。かかる態様によれば、環状板部の外縁からケース部を絞り加工により屈曲させる際、屈曲部の径方向外側の面が凸曲面になるが、この場合でも、本発明では、凸曲面で溶接を行う。このため、環状板部の外縁からケース部を屈曲させる際、凸曲面が発生しないような特別な折り曲げ加工や、追加の後加工を行わなくてもよい。
【0012】
本発明において、前記複数のステータ組の各々において、前記ケース部には、モータ軸線方向で隣り合うステータ組同士の周方向の位置合わせを行う証が設けられている態様を採用することができる。
【0013】
本発明において、前記複数のステータ組の各々において、前記証は、前記ケース部に形成された切り欠きである態様を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記切り欠きは、前記ケース部の軸線方向の全体にわたって延在する開口部であって、前記開口部からは、前記コイルボビンに形成された端子台が径方向外側に突出しており、前記複数のステータ組の前記開口部は、前記モータ軸線方向で繋がっている態様を採用することができる。モータを細径化した場合、第1コアのケース部に形成した開口部の周方向の寸法が短くなるが、本態様では、開口部をケース部のモータ軸線方向の全体にわたって延在させてある。また、開口部同士が前記モータ軸線方向で繋がっている。従って、開口部の開口面積が広いので、端子台を開口部から径方向外側に余裕をもって突出させることができる。
【0015】
本発明において、前記複数のステータの各々において、前記2つのステータ組の一方がA相用ステータ組であり、他方がB相用ステータ組である態様を採用することができる。
【0016】
本発明において、前記複数のステータ部の外径が6mm以下である態様を採用することができる。
【0017】
本発明において、前記ステータ部は、前記複数のステータ組として4つのステータ組を
有する態様を採用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、4つ以上のステータ組がモータ軸線方向に複数配置されているため、モータを細径化した場合でも、大きなトルクを得ることができる。また、複数のステータ組は、第1コアのケース部同士が溶接により固定されているため、ステータ組を別体のケースに収容しなくても、組立の際にステータ組の同軸度を確保しやすい。それ故、モータの細径化を図りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るステッピングモータの斜視図。
図2図1に示すステッピングモータを別の方向からみたときの斜視図。
図3図1に示すステッピングモータの断面図。
図4図1に示すロータとステータとを分離させたときの分解斜視図。
図5図4に示すステータ部の分解斜視図。
図6図1に示す境界部で重なるB相用第1コアおよびA相用第1コアの説明図。
図7】本発明の別の実施形態に係るステッピングモータの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したステッピングモータ1を説明する。以下の説明では、回転軸21の中心軸線(モータ軸線)に沿う方向を「モータ軸線方向L」としたとき、モータ軸線方向Lにおいて、「モータ軸線方向Lの一方側」がステータ部3から回転軸21が突出している側(出力側La)であって、「モータ軸線方向Lの他方側」がステータ部3から回転軸21が突出している側(出力側La)とは反対側の反出力側Lbである場合を中心に説明する。また、以下の説明において、回転軸21の中心軸線(モータ軸線)を中心とする径方向および周方向を単に「径方向」および「周方向」とする。
【0021】
(ステッピングモータ1の全体構成)
図1は、本発明に係るステッピングモータ1の斜視図である。図2は、図1に示すステッピングモータ1を別の方向からみたときの斜視図である。図3は、図1に示すステッピングモータ1の断面図である。図4は、図1に示すロータ2とステータ30とを分離させたときの分解斜視図である。
【0022】
図1図2、および図3に示すように、本形態のステッピングモータ1は、モータ軸線方向Lに延在する回転軸21の外周側に円筒状の永久磁石22を備えるロータ2と、永久磁石22に径方向外側に対向するように配置された筒状のステータ部3とを備えている。回転軸21は、ステンレス、真鍮、アルミニウム等の金属材料からなる。永久磁石22は、希土類系の磁粉を用いたボンド磁石であり、N極とS極が周方向において交互に設けられている。
【0023】
ステータ部3の出力側Laの端部には第1端板70が溶接等によって固定され、第1端板70には、回転軸21を回転可能に支持する第1軸受75が保持されている。第1軸受75は、筒部751と、筒部751より出力側Laで拡径する大径部752とを有しており、筒部751が第1端板70の貫通穴71を貫通した状態で第1端板70の出力側Laの面に大径部752が当接している。この状態で、第1軸受75は、筒部751の反出力側Lbの端部に対するカシメ等により第1端板70に固定されている。本形態において、回転軸21には、永久磁石22と第1軸受75との間にワッシャ90が装着されている。従って、ロータ2が出力側Laに移動したときでも、第1軸受75と永久磁石22とが接することがない。
【0024】
ステータ部3の反出力側Lbの端部には第2端板80が固定され、第2端板80には、回転軸21を回転可能に支持する第2軸受85が保持されている。第2軸受85は、筒部851と、筒部851より出力側Laで拡径する大径部852とを有しており、筒部851が第2端板80の貫通穴81を貫通した状態で第2端板80の出力側Laの面に大径部852が当接している。この状態で、第2軸受85は、筒部851の反出力側Lbの端部に対するカシメ等により第2端板80に固定されている。ここで、第2軸受85の大径部852の外周部分は、後述するB相用極歯612Bの根元部分の内側に当接し、第2軸受85の径方向の位置決めが行われる。従って、第2軸受85は、B相用極歯612Bの根元部分を基準にして径方向で適正に位置決めされる。なお、第2端板80の反出力側Lbの面において貫通穴81の周りを凹部としておき、筒部851の反出力側Lbの端部が第2端板80から反出力側Lbに突出することを抑制する態様を採用してもよい。
【0025】
(ステータ部3の構成)
図5は、図4に示すステータ部3の分解斜視図である。図3図4、および図5を参照して以下に説明するように、ステータ部3では、第1コア、コイルが巻回されたコイルボビン、および第2コアがモータ軸線方向に重ねられたステータ組がモータ軸線方向に4つ以上、配置されており、複数のステータ組のうち、モータ軸線方向Lで隣り合う2つのステータ組によってステータ30が構成されている。従って、ステータ部3では、複数のステータ30がモータ軸線方向Lに重ねて配置されている。従って、ステッピングモータ1を細径化した場合でも、大きなトルクを得ることができる。
【0026】
かかる構成に対応して、ロータ2において、永久磁石22は、複数のステータ30の各々に対向するように回転軸21に固定された複数の磁石220からなる。従って、モータ軸線方向Lに長く延在した磁石を用いる場合より、製造しやすくて安価な磁石を用いることができる。
【0027】
本形態において、ステータ部3は、外径が6mm以下となるように細径化されている。従って、複数のステータ30はいずれも、外径が6mm以下である。それ故、ロータ2において、回転軸21の外径は1mm以下である。なお、ステータ部3のモータ軸線方向Lの長さは10mmを超える寸法を有している。
【0028】
本形態において、ステータ部3では、4つのステータ組がモータ軸線方向Lに配置されている。従って、ステータ部3では、2つのステータ30(第1ステータ31および第2ステータ32)がモータ軸線方向Lに配置されている。また、永久磁石22は、第1ステータ31と対向する第1磁石221と、第2ステータ32と対向する第2磁石222とからなる。複数の磁石220の各々において、反出力側Lbの端面、および出力側Laの端面には凹部226、227が形成されており、凹部227には、磁石220と回転軸21とを固定する接着剤29が設けられている。
【0029】
以下の説明では、2つのステータ30のうち、モータ軸線方向Lの反出力側Lbのステータ30を第1ステータ31とし、第1ステータ31に対してモータ軸線方向Lの出力側Laに重なるステータ30を第2ステータ32とする。ここで、複数のステータ30は、形状やサイズ等の構成が同一である。従って、第1ステータ31と第2ステータ32とは構成が同一である。それ故、ステータ30を説明する際、第1ステータ31と第2ステータ32とを区別する必要がない場合には、第1ステータ31および第2ステータ32を単にステータ30として説明する。
【0030】
複数のステータ30において、2つのステータ組の一方がA相用であり、他方がB相用である。より具体的には、複数のステータ30は各々、A相用ステータ組30Aと、A相用ステータ組30Aに対して反出力側Lbから重なるB相用ステータ組30Bとを有して
おり、ステータ部3では、A相用ステータ組30AとB相用ステータ組30Bとが交互に配置されている。複数のステータ30の各々において、A相用ステータ組30AおよびB相用ステータ組30Bは、基本的な構造が同一であるが、A相用ステータ組30AとB相用ステータ組30Bとは、第1コア、コイルボビン、および第2コアのモータ軸線方向Lにおける相対位置が逆向きである。
【0031】
より具体的には、図3図4および図5に示すように、A相用ステータ組30Aは、A相用コイル40Aが巻回されたA相用コイルボビン50Aと、A相用コイルボビン50Aに出力側Laから重なるA相用第1コア61Aと、A相用コイルボビン50Aに反出力側Lbから重なるA相用第2コア62Aとを有している。A相用コイルボビン50Aは、円筒状の胴部53Aと、胴部53Aの出力側Laの端部で拡径するフランジ部51Aと、胴部53Aの反出力側Lbの端部で拡径するフランジ部52Aとを有しており、フランジ部51Aとフランジ部52Aとの間で胴部53Aの周りにA相用コイル40Aが巻回されている。
【0032】
本形態において、A相用第1コア61Aは、A相用コイルボビン50Aのフランジ部51Aに重なる環状板部611A(A相用環状板部)と、環状板部611Aの内縁の周方向の複数箇所から反出力側Lbに折れ曲がったA相用極歯612Aと、環状板部611Aの外縁から反出力側Lbに折れ曲がったA相用ケース部613Aとを有している。A相用第2コア62Aは、A相用コイルボビン50Aのフランジ部52Aに重なる環状板部621Aと、環状板部621Aの内縁の周方向の複数箇所から出力側Laに折れ曲がったA相用極歯622Aとを有しており、ケース部は設けられていない。このように構成したA相用第1コア61AおよびA相用第2コア62AをA相用コイルボビン50Aに重ねると、胴部53Aの内周面に沿って、A相用第1コア61AのA相用極歯612AとA相用第2コア62AのA相用極歯622Aが周方向で交互に配置される。また、A相用ケース部613Aは、A相用第2コア62Aの環状板部611Aを径方向外側で覆う。
【0033】
B相用ステータ組30Bは、B相用コイル40Bが巻回されたB相用コイルボビン50Bと、B相用コイルボビン50Bに反出力側Lbから重なるB相用第1コア61Bと、B相用コイルボビン50Bに出力側Laから重なるB相用第2コア62Bとを備えている。B相用コイルボビン50Bは、円筒状の胴部53Bと、胴部53Bの反出力側Lbの端部で拡径するフランジ部51Bと、胴部53Bの出力側Laの端部で拡径するフランジ部52Bとを有しており、フランジ部51Bとフランジ部52Bとの間で胴部53Bの周りにB相用コイル40Bが巻回されている。
【0034】
本形態において、B相用第1コア61Bは、B相用コイルボビン50Bのフランジ部51Bに重なる環状板部611B(B相用環状板部)と、環状板部611Bの内縁の周方向の複数箇所から出力側Laに折れ曲がったB相用極歯612Bと、環状板部611Bの外縁から出力側Laに折れ曲がったB相用ケース部613Bとを有している。B相用第2コア62Bは、B相用コイルボビン50Bのフランジ部52Bに重なる環状板部621Bと、環状板部621Bの内縁の周方向の複数箇所から反出力側Lbに折れ曲がったB相用極歯622Bとを有しており、ケース部は設けられていない。このように構成したB相用第1コア61BおよびB相用第2コア62BをB相用コイルボビン50Bに重ねると、胴部53Bの内周面に沿って、B相用第1コア61BのB相用極歯612BとB相用第2コア62BのB相用極歯622Bが周方向で交互に配置される。また、B相用ケース部613Bは、B相用第2コア62Bの環状板部611Bを径方向外側で覆う。
【0035】
本形態では、A相用ステータ組30AとB相用ステータ組30Bとがモータ軸線方向Lで重なるようにステッピングモータ1を組み立てる際、後述するA相用開口部614AとB相用開口部614Bとを基準にしてモータ軸線を中心とする角度位置を調整する。その
結果、複数のステータ30の各々において、A相用極歯612A、622AとB相用極歯612B、622Bとは、所定の電気角に沿う角度分、位置がずれる。従って、ステッピングモータ1を駆動する際、A相用コイル40AとB相用コイル40Bには、所定の電気角に沿う角度分、位相のずれた駆動信号が供給される。それ故、ロータ2の停止位置等の精度を高めることができる。
【0036】
また、A相用ステータ組30AとB相用ステータ組30Bとがモータ軸線方向Lで重なるようにステッピングモータ1を組み立てる際、複数のステータ30の各々において、A相用ケース部613AのA相用第2コア62A側の先端部615Aと、B相用ケース部613BのB相用第2コア62B側の先端部615Bとがモータ軸線方向Lで当接する。
【0037】
また、複数のステータ30をモータ軸線方向Lで重ねると、ステータ30の境界部35では、B相用第1コア61BとA相用第1コア61Aとが重なる。より具体的には、第1ステータ31と第2ステータ32とをモータ軸線方向Lで重ねると、第1ステータ31と第2ステータ32との境界部35では、第1ステータ31のA相用第1コア61Aと、第2ステータ32のB相用第1コア61Bとが重なる。
【0038】
(開口部614および端子台55A、55B等の構成)
複数のステータ30の各々において、A相用コイルボビン50Aの2つのフランジ部51A、52Aの一方のフランジ部の外周側の端部にはA相用端子台55Aが設けられ、B相用コイルボビン50Bの2つのフランジ部51B、52Bの一方のフランジ部の外周側の端部にはB相用端子台55Bが設けられている。A相用端子台55Aには、樹脂製のA相用端子ピン56Aが径方向外側に突出するように形成されている。A相用コイルボビン50Aにコイル線を巻回してA相用コイル40Aを構成する際、コイル線の端部をA相用端子ピン56Aに絡げた後、ハンダ付けを行うことによって、端子が構成される。また、B相用端子台55Bには、樹脂製のB相用端子ピン56Bが径方向外側に突出するように形成されている。B相用コイルボビン50Bにコイル線を巻回してB相用コイル40Bを構成する際、コイル線の端部をB相用端子ピン56Bに絡げた後、ハンダ付けを行うことによって、端子が構成される。
【0039】
一方、A相用ケース部613Aには、先端部615Aから出力側Laに向けて延在する切り欠きからなるA相用開口部614Aが形成され、B相用ケース部613Bには、先端部615Bから反出力側Lbに向けて延在した切り欠きからなるB相用開口部614Bが形成されている。従って、A相用端子台55A、およびB相用端子台55BをA相用開口部614AおよびB相用開口部614Bから径方向外側に向けて突出させることができる。
【0040】
ここで、A相用開口部614Aは、A相用ケース部613Aのモータ軸線方向Lの全体にわたって延在し、B相用開口部614Bは、B相用ケース部613Bのモータ軸線方向Lの全体にわたって延在している。このため、ステータ部3を細径化した結果、A相用開口部614A、およびB相用開口部614Bの周方向の寸法が短いが、A相用開口部614A、およびB相用開口部614Bは大きな開口面積を有している。従って、ステッピングモータ1の小径化を図った場合でも、A相用端子台55A、およびB相用端子台55Bを開口部614から径方向外側に向けて余裕をもって突出させることができる。
【0041】
また、複数のステータ30の各々において、A相用開口部614AとB相用ケース部613Bとはモータ軸線を中心とする同一の角度位置に形成されている。従って、A相用ステータ組30AとB相用ステータ組30Bとをモータ軸線方向Lで重ねてステータ30とした際、複数のステータ30の各々において、A相用開口部614AとB相用ケース部613Bとはモータ軸線方向Lで繋がって1つの開口部614を構成している。それ故、ス
テッピングモータ1の小径化を図った場合でも、A相用端子台55A、およびB相用端子台55Bを開口部614から径方向外側に向けて余裕をもって突出させることができる。
【0042】
さらに、複数のステータ30のいずれにおいても、開口部614(A相用開口部614AおよびB相用ケース部613B)は、モータ軸線を中心とする同一の角度位置に形成されている。従って、複数のステータ30をモータ軸線方向Lで重ねてステータ部3とした際、複数のステータ30の各々に形成された開口部614(A相用開口部614AおよびB相用ケース部613B)は、ステータ部3のモータ軸線方向Lの全体にわたって連続して延在する1つの開口部を構成している。それ故、ステッピングモータ1の小径化を図った場合でも、2つのA相用端子台55A、および2つのB相用端子台55Bを開口部614から径方向外側に向けて余裕をもって突出させることができる。
【0043】
本形態では、A相用端子台55AがA相用コイルボビン50Aの反出力側Lbのフランジ部52Aに設けられ、B相用端子台55Bは、B相用コイルボビン50Bの反出力側Lbのフランジ部51Bに設けられている。従って、A相用端子台55AおよびB相用端子台55Bは各々、モータ軸線方向Lにおいて十分な間隔をもって配置されている。
【0044】
図5に示すように、A相用第2コア62Aの環状板部621Aには、径方向外側に突出した突出部628Aが形成され、B相用第2コア62Bの環状板部621Bには、径方向外側に突出した突出部628Bが形成されている。一方、図2に示すように、A相用ケース部613Aの先端部615Aには、A相用開口部614Aと反対側に切り欠き618Aが形成され、B相用ケース部613Bの先端部615Bには、B相用開口部614Bと反対側に切り欠き618Bが形成されている。従って、A相用第2コア62Aの突出部628A、およびB相用第2コア62Bの突出部628Bは、モータ軸線方向Lで重なった状態で切り欠き618A、618Bから露出した状態にある。
【0045】
(ステータ30の境界部35での固定構造)
図6は、図1に示す境界部35で重なるB相用第1コア61BおよびA相用第1コア61Aの説明図である。
【0046】
本形態のステッピングモータ1において、複数のステータ30の境界部35で重なるB相用第1コア61BとA相用第1コア61Aとが固定されている。より具体的には、図6に示すように、複数のステータ30の境界部35で重なる第2ステータ32のB相用第1コア61Bと第1ステータ31のA相用第1コア61Aとが溶接により固定されている。本形態においては、複数のステータ30の境界部35で重なるB相用第1コア61BとA相用第1コア61Aとは、環状板部611BとB相用ケース部613Bとの間の屈曲部616Bの外側の面と、環状板部611AとA相用ケース部613Aとの間の屈曲部616Aの外側の面との間に対する溶接によって固定されている。このため、複数のステータの境界部35で重なるB相用第1コア61BとA相用第1コア61Aとを溶接により固定した際の第1溶接痕66が、屈曲部616Bの外側の面、および屈曲部616Aの外側の面の双方に跨るように存在している。かかる固定構造を採用するにあたって、本形態では、B相用第1コア61BのB相用ケース部613Bに形成したB相用開口部614B(切り欠き)と、A相用第1コア61AのA相用ケース部613Aに形成したA相用開口部614A(切り欠き)とを証にして、B相用第1コア61BとA相用第1コア61Aとの周方向の位置を合せる。
【0047】
従って、A相用ステータ組30AやB相用ステータ組30Bを組み立てる前のA相用第1コア61AおよびB相用第1コア61Bの状態で、境界部35でA相用第1コア61AとB相用第1コア61Bとを溶接によって固定できる他、A相用ステータ組30AやB相用ステータ組30Bを組み立てた後であっても、A相用第1コア61AとB相用第1コア
61Bとを境界部35で溶接によって固定することができる。
【0048】
ここで、A相用第1コア61AおよびB相用第1コア61Bを製作する工程では、所定形状に分割した磁性板に対して金型による絞り加工等を行って、A相用極歯612A、A相用ケース部613A、B相用極歯612B、B相用ケース部613Bが環状板部611A、611Bから起立するように加工される。その結果、屈曲部616Aの径方向外側の面、および屈曲部616Bの径方向外側の面の双方が、径方向外側に向けて凸状に湾曲した凸曲面になる。このような場合でも、本形態では、屈曲部616Aと屈曲部616Bとの間で、B相用第1コア61BとA相用第1コア61Aとが接する個所に向けてレーザビームを照射し、B相用第1コア61BとA相用第1コア61Aとをレーザ溶接によって固定する。その際、レーザ溶接を周方向の複数箇所で行うため、第1溶接痕66は、周方向で離間する複数箇所に存在する。従って、全周に溶接する場合より、作業効率を高めることができる。
【0049】
このように本形態では、凸曲面からなる屈曲部616A、616Bが接する部分で溶接を行うため、環状板部611Aの外縁からA相用ケース部613Aを屈曲させる際、および環状板部611Bの外縁からB相用ケース部613Bを屈曲させる際、凸曲面が発生しないような特別な折り曲げ加工や、追加の後加工を行わなくてもよい。
【0050】
また、本形態において、複数のステータ30の境界部35では、周方向の一部で環状板部611Bと環状板部611Aとが同士が接し、周方向の他の部分では、環状板部611Bと環状板部611Aとの間に隙間が空いている態様であってもよい。かかる態様によれば、B相用第1コア61BにB相用ケース部613Bを設ける工程や、A相用第1コア61AにA相用ケース部613Aを設ける工程等において、環状板部611B、および環状板部611Aがモータ軸線に対して直交する状態から斜めに傾いている場合には、環状板部611Bと環状板部611Aとが周方向の全体で接する態様よりも、同軸度を優先し、環状板部611Bと環状板部611Aとの間の周方向の一部に隙間が空いていることを許容する。従って、組立の際に複数のステータ30の同軸度を確保しやすい。
【0051】
ここで、A相用第1コア61AおよびB相用第1コア61Bを製作する工程では、薄板化工程等を利用して、A相用極歯612AおよびB相用極歯612Bの板厚が環状板部611A、611Bの板厚より薄く、A相用ケース部613AおよびB相用ケース部613Bの板厚がA相用極歯612AおよびB相用極歯612Bの板厚より薄くすることが好ましい。かかる構成において、A相用極歯612AおよびB相用極歯612Bの板厚と環状板部611A、611Bの板厚との差がコイル線の線径より大きく、A相用ケース部613AおよびB相用ケース部613Bの板厚とA相用極歯612AおよびB相用極歯612Bの板厚との差がコイル線の線径より大きければ、コイル線を巻回するスペースを広く確保することができる。従って、コイル線の巻回数を増やすことができるので、トルクの増大を図ることができる。例えば、本形態では、環状板部611A、611Bの板厚が0.35mmであり、A相用極歯612AおよびB相用極歯612Bの板厚が0.23mmであり、A相用ケース部613AおよびB相用ケース部613Bの板厚が0.20mmであり、コイル線の線径が0.055mmである。
【0052】
(ステータ30内での固定構造等)
本形態では、複数のステータ30の各々において、A相用第1コア61AとB相用第1コア61Bとが固定されている。より具体的には、複数のステータ30の各々において、A相用第1コア61AとB相用第1コア61Bとが溶接により固定されている。本形態では、A相用ケース部613Aの先端部615AとB相用ケース部613Bの先端部615Bとがモータ軸線方向Lで当接していることから、A相用ケース部613Aの先端部615AとB相用ケース部613Bの先端部615Bとをレーザ溶接により固定する。それ故
、複数のステータ30の各々において、A相用第1コア61AとB相用第1コア61Bとをレーザ溶接により固定した際の第2溶接痕67が、A相用ケース部613Aの先端部615Aの径方向外側の面、およびB相用ケース部613Bの先端部615Bの径方向外側の面に跨るように存在している。ここで、第2溶接痕67は、周方向で離間する複数箇所に存在する。従って、全周に溶接する場合より、作業効率を高めることができる。かかる固定構造を採用するにあたって、本形態では、B相用第1コア61BのB相用ケース部613Bに形成したB相用開口部614B(切り欠き)と、A相用第1コア61AのA相用ケース部613Aに形成したA相用開口部614A(切り欠き)とを証にして、B相用第1コア61BとA相用第1コア61Aとの周方向の位置を合せる。
【0053】
さらに、本形態では、A相用第2コア62Aの突出部628A、およびB相用第2コア62Bの突出部628Bは、モータ軸線方向Lで重なった状態で、A相用ケース部613AおよびB相用ケース部613Bの切り欠き618A、618Bから露出した状態にある。従って、A相用第2コア62Aの突出部628AとA相用ケース部613Aとをレーザ溶接によって固定することができ、B相用第2コア62Bの突出部628BとB相用ケース部613Bとをレーザ溶接によって固定することができる。
【0054】
なお、A相用第2コア62Aの突出部628AおよびB相用第2コア62Bの突出部628Bについては、A相用ステータ組30AやB相用ステータ組30Bを組み立てる前のA相用第2コア62AおよびB相用第2コア62Bの状態でレーザ溶接によって固定できる他、A相用ステータ組30AやB相用ステータ組30Bを組み立てた後であっても、突出部628A、628Bをレーザ溶接によって固定することができる。
【0055】
このように本形態では、複数のステータ30の各々においてモータ軸線方向Lの両側に位置するA相用第1コア61AとB相用第1コア61Bとを固定し、複数のステータ30の境界部35で重なるB相用第1コア61BとA相用第1コア61Aとを固定したため、ステータ組を別体のケースに収容しなくても、組立の際にステータ組の同軸度を確保しやすい。それ故、モータの細径化を図りやすい。
【0056】
[別の実施形態]
図7は、本発明の別の実施形態に係るステッピングモータ1の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、図3等を参照し説明した構成と同様である。従って、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。図3等を参照して説明したステッピングモータ1では、A相用ステータ組30AとB相用ステータ組30Bとは、第1コア、コイルボビン、および第2コアのモータ軸線方向Lにおける相対位置が逆向きであったが、本形態では、図7に示すように、いずれのステータ30でも、A相用ステータ組30AとB相用ステータ組30Bとにおいて、第1コア、コイルボビン、および第2コアのモータ軸線方向Lにおける相対位置が同一である。より具体的には、A相用ステータ組30Aでは、モータ軸線方向Lの出力側Laから反出力側Lbに向かって、A相用第2コア62A、A相用コイルボビン50A、およびA相用第1コア61Aが順に配置され、B相用ステータ組30Bでは、モータ軸線方向Lの出力側Laから反出力側Lbに向かって、B相用第2コア62B、B相用コイルボビン50B、およびB相用第1コア61Bが順に配置されている。従って、各ステータ組の境界、およびステータ30の境界において、A相用ケース部613AとB相用ケース部613Bとを溶接によって固定するにあたっては、一方のケース部の先端部と、他方のケースの屈曲部の外側の面とを溶接により固定する。例えば、B相用ケース部613Bの先端部615Bと、A相用ケース部613Aの屈曲部616Aの外側の面とを溶接により固定する。
【0057】
[他の実施の形態]
上記実施形態においては、A相用端子台55AをA相用コイルボビン50Aの反出力側
Lbのフランジ部52Aに設け、B相用端子台55BをB相用コイルボビン50Bの反出力側Lbのフランジ部51Bに設けたが、A相用端子台55AをA相用コイルボビン50Aの出力側Laのフランジ部51Aに設け、B相用端子台55BをB相用コイルボビン50Bの出力側Laのフランジ部52Bに設けてもよい。
【0058】
また、A相用端子台55AをA相用コイルボビン50Aの反出力側Lbのフランジ部52Aに設け、B相用端子台55BをB相用コイルボビン50Bの出力側Laのフランジ部52Bに設けた態様や、A相用端子台55AをA相用コイルボビン50Aの出力側Laのフランジ部51Aに設け、B相用端子台55BをB相用コイルボビン50Bの反出力側Lbのフランジ部51Bに設けた態様であってもよい。
【0059】
また、A相用端子台55AをA相用コイルボビン50Aの反出力側Lbのフランジ部52Aに設け、B相用端子台55BをB相用コイルボビン50Bの出力側Laのフランジ部52Bに設けた場合、A相用端子台55AとB相用端子台55Bとはモータ軸線方向Lで重なる。この場合、A相用端子ピン56AとB相用端子ピン56Bとがモータ軸線を中心とする同一の角度位置に設けられた態様、あるいはA相用端子ピン56AとB相用端子ピン56Bとがモータ軸線を中心とする異なる角度位置に設けられた態様のいずれであってもよい。
【0060】
また、A相用端子台55AをA相用コイルボビン50Aの反出力側Lbのフランジ部52Aに設け、B相用端子台55BをB相用コイルボビン50Bの出力側Laのフランジ部52Bに設けた場合、A相用端子台55AにおいてA相用端子ピン56Aを設けた部分と、B相用端子台55BにおいてB相用端子ピン56Bを設けた部分とが周方向で隣り合う態様であってもよい。
【0061】
また、A相用ステータ組30AとB相用ステータ組30Bとにおいて、A相用端子台55AおよびB相用端子台55Bがモータ軸線を中心とする異なる角度位置に設けられた態様であってもよい。この場合、A相用ステータ組30AとB相用ステータ組30Bとにおいて、A相用開口部614AおよびB相用開口部614Bをモータ軸線を中心とする異なる角度位置に設ける。
【0062】
また、第1ステータ31と第2ステータ32とにおいて、A相用端子台55AおよびB相用端子台55Bがモータ軸線を中心とする異なる角度位置に設けられた態様であってもよい。この場合、第1ステータ31と第2ステータ32とにおいて、A相用開口部614AおよびB相用開口部614Bをモータ軸線を中心とする異なる角度位置に設ける。
【0063】
上記実施形態において、複数のステータ30において、2つのステータ組の一方がA相用であり、他方がB相用であったが、複数のステータ30の一部がA相用であり、他の一部がB相用である場合に本発明を適用してもよい。また、複数のステータ30において、2つのステータ組が同一相である場合に本発明を適用してもよい。
【0064】
上記実施形態において、ステータ部3に4組のステータ組が設けられていたが、5組以上のステータ組が設けられている場合に本発明を適用してもよい。
【0065】
上記実施形態において、ロータ2では、永久磁石22が複数の磁石220からなる態様であったが、永久磁石22が1つの磁石からなる態様であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…ステッピングモータ、2…ロータ、3…ステータ部、30…ステータ、21…回転軸、22…永久磁石、30A…A相用ステータ組、30B…B相用ステータ組、31…第1
ステータ、32…第2ステータ、35…境界部、40A…A相用コイル、40B…B相用コイル、50A…A相用コイルボビン、50B…B相用コイルボビン、51A、51B、52A、52B…フランジ部、55A…A相用端子台、55B…B相用端子台、56A…A相用端子ピン、56B…B相用端子ピン、61A…A相用第1コア、61B…B相用第1コア、62A…A相用第2コア、62B…B相用第2コア、66…第1溶接痕、67…第2溶接痕、220…磁石、221…第1磁石、222…第2磁石、611A…環状板部(A相用環状板部)、611B…環状板部(B相用環状板部)、621A、621B…環状板部、612A、622A…A相用極歯、612B、622B…B相用極歯、613A…A相用ケース部、613B…B相用ケース部、614…開口部、614A…A相用開口部、614B…B相用開口部、615A、615B…先端部、616A、L…モータ軸線方向、La…出力側、Lb…反出力側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7