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特許7344734車両検知装置、多光軸光電センサ、投光器、受光器、及びレンズホルダ
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  • 特許-車両検知装置、多光軸光電センサ、投光器、受光器、及びレンズホルダ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】車両検知装置、多光軸光電センサ、投光器、受光器、及びレンズホルダ
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/00 20060101AFI20230907BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H01H35/00 N
G01J1/02 P
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019175055
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021051956
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】吉川 達也
(72)【発明者】
【氏名】木下 貴大
(72)【発明者】
【氏名】菅原 将人
(72)【発明者】
【氏名】中村 義樹
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-177106(JP,A)
【文献】特開2004-177934(JP,A)
【文献】特開2015-125023(JP,A)
【文献】特開平06-076704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/00
G01J 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光器と、受光器と、を備え、
前記投光器は、
上下方向に配列する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記受光器は、
上下方向に配列する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記周壁部は、上壁、下壁、及び一対の側壁を含み、
前記上壁及び前記下壁の幅は、前記側壁の幅よりも大きい、
車両検知装置。
【請求項2】
投光器と、受光器と、を備え、
前記投光器は、
上下方向に配列する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記受光器は、
上下方向に配列する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記周壁部は、上壁、下壁、及び一対の側壁を含み、
前記一対の側壁は、前記上壁及び前記下壁よりも前記内面が前記レンズ側を向いて互いに離れるように傾斜する、
車両検知装置。
【請求項3】
投光器と、受光器と、を備え、
前記投光器は、
上下方向に配列する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記受光器は、
上下方向に配列する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記レンズホルダは、前記レンズを保持するレンズ保持部の少なくとも上部の内面に、光の正反射低減領域を有する、
車両検知装置。
【請求項4】
前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の少なくとも上部及び下部の内面に、前記正反射低減領域を有する、
請求項1ないし3の何れかに記載の車両検知装置。
【請求項5】
前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の側部の内面に、前記正反射低減領域とは異なる領域を有する、
請求項1ないし4の何れかに記載の車両検知装置。
【請求項6】
前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の上部及び下部の内面に前記正反射低減領域を有し、前記周壁部の側部の内面には前記正反射低減領域とは異なる領域を有する、
請求項1ないしの何れかに記載の車両検知装置。
【請求項7】
前記正反射を低減する加工は、シボ加工である、
請求項1ないし6の何れかに記載の車両検知装置。
【請求項8】
前記周壁部の少なくとも上部に、前記レンズとは逆側を向く逆向き面が設けられた、
請求項1ないし7の何れかに記載の車両検知装置。
【請求項9】
投光器と、受光器と、を備え、
前記投光器は、
上下方向に配列する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記受光器は、
上下方向に配列する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記周壁部は、上壁、下壁、及び一対の側壁を含み、
前記上壁及び前記下壁の幅は、前記側壁の幅よりも大きい、
多光軸光電センサ。
【請求項10】
投光器と、受光器と、を備え、
前記投光器は、
上下方向に配列する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記受光器は、
上下方向に配列する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記周壁部は、上壁、下壁、及び一対の側壁を含み、
前記一対の側壁は、前記上壁及び前記下壁よりも前記内面が前記レンズ側を向いて互いに離れるように傾斜する、
多光軸光電センサ。
【請求項11】
投光器と、受光器と、を備え、
前記投光器は、
上下方向に配列する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記受光器は、
上下方向に配列する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記レンズホルダは、前記レンズを保持するレンズ保持部の少なくとも上部の内面に、光の正反射低減領域を有する、
多光軸光電センサ。
【請求項12】
多光軸光電センサに含まれる投光器であって、
上下方向に配列する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記レンズホルダは、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記周壁部は、上壁、下壁、及び一対の側壁を含み、
前記上壁及び前記下壁の幅は、前記側壁の幅よりも大きい、
投光器。
【請求項13】
多光軸光電センサに含まれる投光器であって、
上下方向に配列する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記レンズホルダは、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記周壁部は、上壁、下壁、及び一対の側壁を含み、
前記一対の側壁は、前記上壁及び前記下壁よりも前記内面が前記レンズ側を向いて互いに離れるように傾斜する、
投光器。
【請求項14】
多光軸光電センサに含まれる投光器であって、
上下方向に配列する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記レンズホルダは、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記レンズホルダは、前記レンズを保持するレンズ保持部の少なくとも上部の内面に、光の正反射低減領域を有する、
投光器。
【請求項15】
多光軸光電センサに含まれる受光器であって、
上下方向に配列する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記レンズホルダは、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記周壁部は、上壁、下壁、及び一対の側壁を含み、
前記上壁及び前記下壁の幅は、前記側壁の幅よりも大きい、
受光器。
【請求項16】
多光軸光電センサに含まれる受光器であって、
上下方向に配列する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記レンズホルダは、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記周壁部は、上壁、下壁、及び一対の側壁を含み、
前記一対の側壁は、前記上壁及び前記下壁よりも前記内面が前記レンズ側を向いて互いに離れるように傾斜する、
受光器。
【請求項17】
多光軸光電センサに含まれる受光器であって、
上下方向に配列する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、
を備え、
前記レンズホルダは、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記レンズホルダは、前記レンズを保持するレンズ保持部の少なくとも上部の内面に、光の正反射低減領域を有する、
受光器。
【請求項18】
多光軸光電センサの投光器又は受光器に含まれ、上下方向に配列する複数のレンズを保持するレンズホルダであって、
前記複数のレンズの1とそれに対向する複数の発光素子の1又は複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有し、
前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記周壁部は、上壁、下壁、及び一対の側壁を含み、
前記上壁及び前記下壁の幅は、前記側壁の幅よりも大きい、
レンズホルダ。
【請求項19】
多光軸光電センサの投光器又は受光器に含まれ、上下方向に配列する複数のレンズを保持するレンズホルダであって、
前記複数のレンズの1とそれに対向する複数の発光素子の1又は複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有し、
前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記周壁部は、上壁、下壁、及び一対の側壁を含み、
前記一対の側壁は、前記上壁及び前記下壁よりも前記内面が前記レンズ側を向いて互いに離れるように傾斜する、
レンズホルダ。
【請求項20】
多光軸光電センサの投光器又は受光器に含まれ、上下方向に配列する複数のレンズを保持するレンズホルダであって、
前記複数のレンズの1とそれに対向する複数の発光素子の1又は複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有し、
前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有し、
前記レンズホルダは、前記レンズを保持するレンズ保持部の少なくとも上部の内面に、光の正反射低減領域を有する、
レンズホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両検知装置、多光軸光電センサ、投光器、受光器、及びレンズホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
投光器と受光器を車両の通路を挟むように対向配置し、投光器から受光器へ向かう光を車両が遮るときに車両を検知する車両検知装置が知られている。こうした車両検知装置では、投光器から出射した光の一部が路面で反射して受光器に入射することがあり、この状態において投光器から受光器へ直接向かう光を車両やその他の被検出物体(例えば車両間の牽引棒など)が遮っても、受光器には路面で反射した光が入射しているので、検知漏れが起きるおそれがある。
【0003】
特許文献1には、路面の状況変化の影響を受けることなく安定して車両の有無を検知するために、投光器の発光量を切り替えたときの受光器の受光量に基づいて路面の反射率を算出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6287182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献では、投光器の発光量を切り替える構成や、発光量が切り替わったときの受光器の受光量に基づいて路面の反射率を算出する構成が必要であるため、複雑な構成となっている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、簡易な構成により検知漏れを抑制することが可能な車両検知装置、多光軸光電センサ、投光器、受光器、及びレンズホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の車両検知装置は、投光器と、受光器と、を備え、前記投光器は、上下方向に配列する複数の発光素子と、前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、を備え、前記受光器は、上下方向に配列する複数の受光素子と、前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、を備え、前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有する。
【0008】
また、本発明の他の態様の多光軸光電センサは、投光器と、受光器と、を備え、前記投光器は、上下方向に配列する複数の発光素子と、前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、を備え、前記受光器は、上下方向に配列する複数の受光素子と、前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、を備え、前記投光器に含まれる前記レンズホルダ及び前記受光器に含まれる前記レンズホルダの少なくとも一方は、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有する。
【0009】
また、本発明の他の態様の投光器は、多光軸光電センサに含まれる投光器であって、上下方向に配列する複数の発光素子と、前記複数の発光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の発光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、を備え、前記レンズホルダは、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有する。
【0010】
また、本発明の他の態様の受光器は、多光軸光電センサに含まれる受光器であって、上下方向に配列する複数の受光素子と、前記複数の受光素子のそれぞれに対向し、上下方向に配列する複数のレンズと、前記複数のレンズを保持し、前記複数のレンズの1とそれに対向する前記複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有するレンズホルダと、を備え、前記レンズホルダは、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有する。
【0011】
また、本発明の他の態様のレンズホルダは、多光軸光電センサの投光器又は受光器に含まれ、上下方向に配列する複数のレンズを保持するレンズホルダであって、前記複数のレンズの1とそれに対向する複数の発光素子の1又は複数の受光素子の1との間の空間を囲む周壁部を有し、前記周壁部の少なくとも上部の内面に、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成により検知漏れを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る車両検知装置(多光軸光電センサ)を示す図である。
図2】実施形態に係るレンズホルダの斜視図である。
図3】同レンズホルダの正面図である。
図4】同レンズホルダの側面図である。
図5図3のV-V線で切断したときの断面図である。
図6図3のVI-VI線で切断したときの断面図である。
図7】変形例に係る筒状ユニットの概略図である。
図8】変形例に係る筒状ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る車両検知装置1(多光軸光電センサ)を示す図である。車両検知装置1は、投光器2及び受光器3を備えている。投光器2は、受光器3に向けて光を発し、受光器3は、投光器2からの光を受ける。光は、例えば赤外光である。
【0016】
投光器2及び受光器3は、上下方向に配列する複数の光軸を形成する。すなわち、投光器2は、上下方向に配列する複数の発光素子20(図4参照)備えており、受光器3は、上下方向に配列する複数の受光素子30(図4参照)を備えている。
【0017】
投光器2及び受光器3は、車両VHが通行する通路RDを挟んで、互いに向かい合って配置されている。投光器2から受光器3に向かう光が車両VHによって遮られた場合に、車両VHが検知される(いわゆる、透過型光電センサである)。
【0018】
図2ないし図4は、実施形態に係るレンズホルダ4の斜視図、正面図、及び側面図である。図5は、図3のV-V線で切断したときの断面図である。図6は、図3のVI-VI線で切断したときの断面図である。
【0019】
レンズホルダ4は、投光器2又は受光器3の筐体に収容され、基板6(図4参照)に固定される。投光器2及び受光器3には、共通のレンズホルダ4が用いられる。
【0020】
レンズホルダ4は、例えば射出成形によって得られる合成樹脂の成形品である。これに限らず、レンズホルダ4は、例えば3Dプリンタによって造形されてもよい。
【0021】
図中の前方向は、投光器2においては受光器3を向く方向(投光方向)であり、受光器3においては投光器2を向く方向である。
【0022】
レンズホルダ4は、上下方向に配列する複数の筒状ユニット40を有している。言い換えると、上下方向に配列する複数の筒状ユニット40が一体となってレンズホルダ4を構成している。
【0023】
また、レンズホルダ4は、左右に張り出した一対の拡張部48と、拡張部48から後方向に延びる複数のボス部49とを有しており、ボス部49を介して基板6にネジ留めされる。
【0024】
レンズホルダ4に含まれる複数の筒状ユニット40のそれぞれは、レンズ保持部41、周壁部42、及び素子収容部43を有している。
【0025】
レンズ保持部41は、筒状ユニット40の前部に設けられており、例えば上下方向よりも左右方向に広い長方形枠状の断面を有している。レンズ保持部41の内側にはレンズ5が嵌め込まれる。上下方向に配列する複数のレンズ保持部41のそれぞれにレンズ5が保持されることにより、複数のレンズ5が上下方向に配列する。
【0026】
素子収容部43は、筒状ユニット40の後部に設けられており、例えば正方形枠状の断面を有している。基板6(図4参照)には、上下方向に配列する複数の素子20又は30(投光器2においては発光素子20、受光器3においては受光素子30)が実装されており、上下方向に配列する複数の素子収容部43のそれぞれに素子が収容される。
【0027】
レンズ5は、凸レンズである。投光器2においては、レンズ5は、発光素子20からの光を受光器3に向けて集光する。受光器3においては、レンズ5は、投光器2からの光を受光素子30に向けて集光する。
【0028】
周壁部42は、レンズ保持部41と素子収容部43との間に設けられており、レンズ保持部41に保持されたレンズ5と、それに対向する素子収容部43に収容された素子20又は30との間の空間4aを囲んでいる。周壁部42は、例えば上下方向よりも左右方向に広い長方形枠状の断面を有しており、前方向に向かう従って左右方向に徐々に広がっている。
【0029】
周壁部42は、上壁421、下壁422、及び一対の側壁423を含んでいる。上壁421が周壁部42の上部に相当し、下壁422が周壁部42の下部に相当し、側壁423が周壁部42の側部に相当する。
【0030】
上壁421及び下壁422の幅(左右方向の幅)は、側壁423の幅(上下方向の幅)よりも大きい。具体的には、上壁421及び下壁422の幅は、前方向に向かう従って徐々に広がっている。側壁423の幅は、前後方向の位置に依らずほぼ一定である。
【0031】
側壁423は、上壁421及び下壁422よりも前方向(レンズ5側)を向いて傾斜している。具体的には、一対の側壁423は、側壁423の内面が前方向に向かう従って互いに離れるように傾斜しており、側壁423の内面がやや前方向を向いている。上壁421及び下壁422は、ほぼ平行である。
【0032】
本実施形態では、上壁421及び下壁422の内面は、光の正反射を低減する加工が施された正反射低減領域LRを有している。正反射を低減する加工は、例えばシボ加工である。シボ加工は、金型の表面に微細な凹凸を形成し、その凹凸を成形品の表面に転写する加工である。
【0033】
これに限らず、正反射を低減する加工は、例えば、上壁421及び下壁422の内面に光吸収材を付与する加工であってもよいし、金型による成形後に上壁421及び下壁422の内面に化学的又は物理的に微小な凹凸を形成する加工であってもよい。
【0034】
このように、上壁421及び下壁422の内面に正反射低減領域LRを設けることで、投光器2から出射した光が路面で反射して受光器3に入射することを抑制することが可能となり、その結果、車両検知装置1を通過する車両VHの検知漏れを抑制することが可能となる。
【0035】
具体的には、投光器2においては、発光素子20から発せられた光が上壁421及び下壁422の内面で反射してレンズ5から斜下方向に出射することを抑制することが可能となる。受光器3においては、レンズ5に斜下方向から入射した光が上壁421及び下壁422の内面で反射して受光素子30に達することを抑制することが可能となる。
【0036】
なお、正反射低減領域LRは上壁421及び下壁422の両方の内面に設けられることが好ましいが、上記効果は、正反射低減領域LRが上壁421のみの内面に設けられても得ることが可能である。
【0037】
また、正反射低減領域LRは投光器2及び受光器3の両方のレンズホルダ4に設けられることが好ましいが、上記効果は、投光器2及び受光器3の一方のみのレンズホルダ4に設けられても得ることが可能である。
【0038】
本実施形態では、さらに、一対の側壁423の内面が正反射低減領域LRとは異なる領域を有している。具体的には、一対の側壁423の内面は、正反射を低減する加工が施されておらず、正反射低減領域LRを有していない。すなわち、一対の側壁423の内面の正反射率は、上壁421及び下壁422の内面(正反射低減領域LR)の正反射率よりも大きい。
【0039】
このように、一対の側壁423の内面に正反射低減領域LRを設けないことで、投光器2及び受光器3の許容される水平方向の向きに幅を持たせられ、その結果、投光器2と受光器3の間の光軸調整にとって有利となる。
【0040】
具体的には、投光器2においては、発光素子20から発せられた光が側壁423の内面で反射することが抑制されないため、レンズ5から出射される光に左右方向の幅を持たせるのに有利である。
【0041】
一方、受光器3においては、レンズ5に入射した光が側壁423の内面で反射することが抑制されないため、レンズ5に入射して受光素子30に達する光に左右方向の幅を持たせるのに有利である。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。また、以上に説明した実施形態に開示された各構成を適宜組合せた形態も、本発明の技術的範囲に含まれることはいうまでもない。
【0043】
例えば、図7及び図8に示すように、上壁421及び下壁422の前部に後方向(レンズ5とは逆側)を向く逆向き面425を設けることで、投光器2においてレンズ5から斜下方向に出射する光を抑制してもよいし、受光器3において斜下方向からレンズ5に入射する光を抑制してもよい。
【0044】
また、例えば、レンズ保持部41の上部及び/又は下部の内面(すなわち、レンズ5との接触面)にも正反射低減領域LRが設けられてもよい。これによれば、投光器2においてレンズ5から斜下方向に出射する光や、受光器3において斜下方向からレンズ5に入射する光が、さらに抑制される。
【0045】
なお、実施形態に係る多光軸光電センサは、車両検知装置に限らず、他の用途に適用されてもよい。これにより、地面での反射の影響を抑制して被検出物体を検知可能な多光軸光電センサが実現される。
【符号の説明】
【0046】
1 車両検知装置(多光軸光電センサ)、2 投光器、20 発光素子、3 受光器、30 受光素子、4 レンズホルダ、40 筒状ユニット、41 レンズ保持部、42 周壁部、43 素子収容部、421 上壁、422 下壁、423 側壁、425 逆向き面、4a 空間、48 拡張部、49 ボス部、5 レンズ、6 基板、LR 正反射低減領域

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8