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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-06
(45)【発行日】2023-09-14
(54)【発明の名称】トイレ
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20230907BHJP
   A01K 1/015 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
A01K1/01 801Z
A01K1/015 A
A01K1/015 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019189138
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2021061790
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-110700(JP,A)
【文献】特開2003-180182(JP,A)
【文献】特開2015-133932(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0192530(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00-3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及び側面部を有する箱状の本体部と、
撥水性を有し、前記本体部内に配設される複数の粒状体と、
前記本体部内に配設された前記複数の粒状体に光を照射する光源と、を備え、
前記複数の粒状体の少なくとも一部は、前記光を受けると徐々に変色する色素材料を含有しており、使用開始前に第1の色を呈し、当該粒状体の交換時期に前記第1の色とは異なる第2の色を呈することを特徴とするトイレ。
【請求項2】
請求項1に記載のトイレにおいて、
前記色素材料は、当該色素材料を含有する前記粒状体の表面に露出しているトイレ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトイレにおいて、
前記色素材料は、前記光を受けると徐々に退色することにより変色するトイレ。
【請求項4】
請求項3に記載のトイレにおいて、
前記色素材料は、黄色又は赤色であるトイレ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のトイレにおいて、
前記色素材料は、天然色素からなるトイレ。
【請求項6】
請求項5に記載のトイレにおいて、
前記天然色素は、アントシアニン系色素、カロチノイド系色素、又はフラボノイド系色素であるトイレ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のトイレにおいて、
前記色素材料は、前記複数の粒状体のうち一部の粒状体にのみ含有されているトイレ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載のトイレにおいて、
前記光源は、発光ダイオードであるトイレ。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載のトイレにおいて、
前記光は、可視光であるトイレ。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れかに記載のトイレにおいて、
前記光は、紫外光であるトイレ。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載のトイレにおいて、
複数の前記光源を備えるトイレ。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載のトイレにおいて、
前記側面部から前記本体部の内側に張り出すように設けられ、前記光源を上方から覆うカバー部材を備えるトイレ。
【請求項13】
請求項12に記載のトイレにおいて、
前記カバー部材は、前記本体部の内側に向かって下方に傾斜しているトイレ。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかに記載のトイレにおいて、
尿を通過させる孔を有し、前記本体部内を上下に区画する仕切部材を備え、
前記複数の粒状体は、前記仕切部材上に敷設されるトイレ。
【請求項15】
請求項14に記載のトイレにおいて、
前記仕切部材の下方に配設され、前記孔を通過した前記尿を吸収する吸水性シートを備えるトイレ。
【請求項16】
請求項15に記載のトイレにおいて、
前記吸水性シートが収容される引出部を備え、
前記本体部の前記側面部には、開口が形成されており、
前記引出部は、前記開口を通じて前記本体部に対して抜き挿しすることが可能であるトイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物又は人用のトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトイレとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載されたトイレは、動物用のトイレであって、尿を通過させるメッシュ状のシートによって上部空間と下部空間とに区画されている。上部空間には、撥水性を有する複数の粒状体が配設されている。下部空間には、吸液シートが配設されている。動物が排尿すると、尿は、撥水性の粒状体間の間隙を通り抜けて、メッシュ状のシートを通じて下部空間に達する。下部空間に達した尿は、吸液シートによって吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-110700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる撥水性の粒状体は、吸水性の粒状体とは異なり、尿を全く吸収しないか殆ど吸収しないため、相当期間(例えば1~2か月)にわたって繰り返し使用することが可能である。このように、撥水性の粒状体には、原則として使用の度に交換が必要な吸水性の粒状体に比して、交換頻度が格段に少ないという利点がある。しかしながら、その反面、交換頻度が少ないが故に、ユーザが粒状体の交換時期を逸しやすいという問題がある。交換時期を逸した場合、粒状体の崩壊や悪臭の発生等の弊害が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、粒状体の交換時期を把握しやすいトイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるトイレは、底面部及び側面部を有する箱状の本体部と、撥水性を有し、上記本体部内に配設される複数の粒状体と、上記本体部内に配設された上記複数の粒状体に光を照射する光源と、を備え、上記複数の粒状体の少なくとも一部は、上記光を受けると徐々に変色する色素材料を含有しており、使用開始前に第1の色を呈し、当該粒状体の交換時期に上記第1の色とは異なる第2の色を呈することを特徴とする。
【0007】
このトイレにおいては、複数の粒状体に光を照射する光源が設けられている。複数の粒状体の少なくとも一部は、光を受けると徐々に変色する色素材料を含有している。当該粒状体は、交換時期になると使用開始前の色(第1の色)とは異なる色(第2の色)を呈する。このため、ユーザは、粒状体の色の変化により、その交換時期を把握することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粒状体の交換時期を把握しやすいトイレが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるトイレの一実施形態を示す端面図である。
図2】本体部10を示す端面図である。
図3】本体部10を示す正面図である。
図4】仕切部材12を示す平面図である。
図5】引出部14を示す斜視図である。
図6】トイレ1を示す平面図である。
図7】粒状体20を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明によるトイレの一実施形態を示す端面図である。トイレ1は、動物又は人用のトイレであって、本体部10、仕切部材12、引出部14、複数の粒状体20、光源30、カバー部材40、及び吸水性シート50を備えている。本体部10は、底面部10a及び側面部10bを有する箱状をしている。本実施形態において本体部10は、略直方体状をしている。本体部10の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を用いることができる。
【0012】
仕切部材12は、板状をしており、底面部10aと平行に配置されている。仕切部材12は、後述する吸水性シート50及び本体部10の上端の双方から離間した位置に設けられている。これにより、仕切部材12は、本体部10内を上下に区画している。すなわち、本体部10の内部空間は、仕切部材12によって、上部空間S1と下部空間S2とに区画されている。仕切部材12は、尿を通過させる孔13を有している。仕切部材12は、本体部10に対して着脱可能である。仕切部材12の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を用いることができる。
【0013】
側面部10bの内面には、当該内面から本体部10の内側に突出する突出部16が形成されている。突出部16は、突起であってもよいし、突条であってもよい。突出部16は、側面部10bと一体に成形されてもよいし、側面部10bと別々に成形された後に側面部10bに取り付けられてもよい。突出部16の突出長さ(当該突出部16が設けられた側面部10bの内面に垂直な方向の長さ)は、例えば5~15mm程度である。仕切部材12は、突出部16上に載置されることにより、所定の位置に固定される。
【0014】
引出部14は、側面部10bに形成された開口11を通じて、本体部10に対して抜き挿しすることが可能である。引出部14には、吸水性シート50が収容される。引出部14の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を用いることができる。
【0015】
本体部10内には、複数の粒状体20が配設される。本実施形態において粒状体20は、仕切部材12上に敷設された状態で本体部10内に配設されている。トイレ1の使用時、粒状体20は、排泄された尿を直接に受けることになる。粒状体20は、撥水性を有している。すなわち、粒状体20は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。
【0016】
粒状体20が撥水性を有するというには、次の試験により測定される撥水率が80%以上であることが必要である。まず、茶こしに50g相当の複数の粒状体20(サンプル)を入れる。茶こしの下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、針のない注射器を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって撥水率とする。すなわち、ビーカー内の水量が24ml以上であれば、撥水率が80%以上となるため、粒状体20が撥水性を有するといえる。参考として、市販されている一般的な吸水性の猫砂の撥水率は、5%程度である。
【0017】
光源30は、本体部10内に配設された複数の粒状体20に光を照射する。光源30は、側面部10bに固定されている。光源30は、仕切部材12上に敷設された粒状体20よりも高い位置に取り付けられている。光源30は、発光ダイオード(LED)であることが好ましい。光源30が発する光は、可視光であってもよいし、紫外光であってもよい。光源30は、常時点灯してもよいし、所定の時間間隔で点灯と消灯を繰り返してもよい。後者の場合、例えば、1日のうち8時間だけ点灯するように光源30を制御することが考えられる。光源30の制御回路や配線等(図示略)は、例えば、側面部10bを中空構造にした上で当該側面部10bの内部に設けることができる。
【0018】
カバー部材40は、側面部10bから本体部10の内側に張り出すように設けられている。カバー部材40は、側面部10bと一体に成形されてもよいし、側面部10bと別々に成形された後に側面部10bに取り付けられてもよい。カバー部材40の突出長さ(当該カバー部材40が設けられた側面部10bの内面に垂直な方向の長さ)は、例えば3~7cm程度である。カバー部材40は、光源30を上方から覆っている。カバー部材40は、板状をしている。カバー部材40の根元は側面部10bに接続された固定端となる一方、カバー部材40の先端は本体部10の内部空間(上部空間S1)に位置する自由端となっている。カバー部材40は、本体部10の内側に向かって下方に傾斜している。カバー部材40の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を用いることができる。
【0019】
本体部10内には、吸水性シート50が配設される。本実施形態において吸水性シート50は、引出部14に収容された状態で本体部10内に配設されている。吸水性シート50は、仕切部材12の孔13を通過した尿を吸収する。
【0020】
トイレ1の使用時、粒状体20上に排泄された尿は、隣り合う粒状体20どうしの隙間を縫うように下方へと流れる。当該尿は、仕切部材12の孔13を通じて、上部空間S1から下部空間S2へと移動し、吸水性シート50に吸収される。
【0021】
図2及び図3は、それぞれ、本体部10を示す端面図及び正面図である。本体部10の側面部10bには、引出部14を抜き挿しするための開口11が形成されている。開口11は、底面部10aの近傍に位置し、横長の長方形状をしている。開口11の横方向(図3の左右方向)の長さは、本体部10の内側の横幅に略等しく、例えば20~40cm程度である。また、開口11の縦方向(図3の上下方向)の長さは、例えば2~5cm程度である。
【0022】
図4は、仕切部材12を示す平面図である。仕切部材12には、複数の孔13が形成されている。孔13は、仕切部材12において、二次元的に配列されている。孔13は、尿を通過させる。ただし、孔13は、粒状体20は通過させない。すなわち、孔13は、尿を通過させる一方で、粒状体20を通過させない程度の大きさ及び形状をしている。孔13の径は、例えば2mm~4mm程度である。
【0023】
図5は、引出部14を示す斜視図である。引出部14は、底板14a、前板14b、先板14c、及び一対の側板14dを有している。底板14aの大きさは、本体部10の底面部10aの大きさに略等しい。前板14bは、開口11と略同一の形状及び大きさをしている。前板14bには、把手15が取り付けられている。
【0024】
図6は、トイレ1を示す平面図である。トイレ1には、複数の光源30が設けられている。同図からわかるように、複数の光源30は、平面視で、側面部10bの内面に沿って環状に配列されている。また、カバー部材40は、平面視で、側面部10bの内面の全体にわたって設けられている。
【0025】
図7は、粒状体20を示す模式図である。粒状体20は、粒状に成形されている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、楕円体等が挙げられる。粒状体20の粒径は、例えば、5~15mm程度である。ここで、粒径は、粒状体20を内包することが可能な最小の球の直径として定義される。粒状体20は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、主材料とは、粒状体20を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体20に占める重量割合が最大のものをいう。有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。
【0026】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。これらの材料には、撥水処理が施されていてもよい。
【0027】
粒状体20を構成する材料(後述する色素材料22を除く。)は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体20を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体20は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば石膏が挙げられる。石膏を加えることにより、粒状体20の撥水性を高めることができる。石膏の量は、例えば、粒状体20の全体に対して5~15重量%程度である。
【0028】
粒状体20は、色素材料22を含有している。色素材料22は、光源30からの光を受けると徐々に変色する。色素材料22としては、例えば、光を受けると徐々に退色することにより変色するものを用いることができる。色素材料22は、黄色又は赤色であることが好ましい。また、色素材料22は、天然色素からなることが好ましい。天然色素としては、例えば、アントシアニン系色素、カロチノイド系色素、又はフラボノイド系色素が挙げられる。
【0029】
色素材料22は、粒状体20の表面に露出している。色素材料22は、粒状体20の表層にのみ設けられていてもよいし、粒状体20の全体に均一に設けられていてもよい。すなわち、色素材料22の少なくとも一部が粒状体20の表面に露出していればよい。図7においては、色素材料22が粒状体20の表層にのみ設けられた場合を示している。色素材料22は、複数の粒状体20の全てに含有されていてもよいし、一部の粒状体20にのみ含有されていてもよい。すなわち、複数の粒状体20の少なくとも一部が、色素材料22を含有していればよい。
【0030】
色素材料22を含有する粒状体20は、色素材料22が変色することにより、使用開始前に第1の色を呈し、当該粒状体20の交換時期に第2の色を呈する。第2の色は、第1の色とは異なる。ただし、第1の色と第2の色とは、色相が相異なる必要はない。例えば第1の色が濃黄で第2の色が淡黄というように、両者は、同一の色相の濃淡で区別されてもよい。トイレ1においては、第2の色に変色したか否かをユーザが判別しやすいように、第1の色から第2の色への変化を示すカラースケールが添付されていてもよい。
【0031】
粒状体20は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、造粒装置を用いて被造粒材料(粒状体20を構成する材料)を造粒することにより、粒状体20を構成する造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒物には、必要に応じて撥水処理を施してもよい。撥水処理は、例えば、造粒物の表面を撥水剤でコーティングすることにより行うことができる。撥水処理を行わない場合、造粒時に被造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に隙間が極力生じないようにすることが好ましい。かかる隙間は、粒状体20の内部に尿等の水分が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、被造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0032】
粒状体20は、使用開始前に第1の色を呈するとともに交換時期に第2の色を呈するように形成される。本例においては、色素材料22が粒状体20の表面に露出するように粒状体20を形成する。かかる構成の粒状体20は、例えば、上記造粒物の表面に色素材料22を付着させることにより形成することができる。具体的には、例えば、粉末状の色素材料22に接着剤を混ぜ合わせた上で造粒物の表面に塗布することにより、当該表面に色素材料22を付着させることができる。これにより、色素材料22が表層にのみ設けられた粒状体20が得られる。なお、上述の撥水処理は、造粒物の表面に色素材料22を付着させた後に実行してもよい。一方、色素材料22が全体に均一に設けられた粒状体20を得たい場合は、色素材料22を予め加えて混練してから被造粒材料を造粒すればよい。
【0033】
色素材料22の種類や、光源30からの光の波長、強度等により、粒状体20の交換時期(例えば使用開始から1~2か月)に粒状体20が第2の色を呈するように調整することができる。なお、色素材料22の変色には部屋の照明等も影響するため、第2の色への変色時期を厳密にコントロールすることは困難である。しかし、トイレ1の標準的な使用環境(一般家庭の室内)を想定することはできるため、その想定下で簡単な実験を行うことにより、第2の色への変色時期を大雑把にコントロールすることは可能である。例えば、使用開始から丁度1か月を経過した時点で第2の色に変色するようにコントロールすることは困難でも、使用開始から1~2か月の期間内に第2の色に変色するようにコントロールすることは容易である。
【0034】
本実施形態の効果を説明する。トイレ1においては、複数の粒状体20に光を照射する光源30が設けられている。複数の粒状体20の少なくとも一部は、光を受けると徐々に変色する色素材料22を含有している。色素材料22を含有する粒状体20は、交換時期になると使用開始前の色(第1の色)とは異なる色(第2の色)を呈する。このため、ユーザは、粒状体20の色の変化により、その交換時期を把握することができる。したがって、粒状体20の交換時期を把握しやすいトイレ1が実現されている。
【0035】
色素材料22は、粒状体20の表面に露出している。これにより、第1の色から第2の色への変化をユーザが視認しやすくなる。
【0036】
色素材料22は、光源30からの光を受けると徐々に退色することにより変色する。この場合、粒状体20が徐々に色褪せるため、粒状体20の交換時期が近づいてくることをユーザが直感的に認識しやすいという利点がある。
【0037】
色素材料22が黄色又は赤色である場合、これらの色は退色しやすいため、第1の色から第2の色への変化を大きくすることができる。これにより、第1の色から第2の色への変化をユーザが視認しやすくなる。
【0038】
色素材料22が天然色素からなる場合、天然色素は合成色素に比して退色しやすいため、第1の色から第2の色への変化を大きくすることができる。ただし、色素材料22は、合成色素からなってもよい。
【0039】
複数の粒状体20のうち一部の粒状体20にのみ色素材料22が含有されている場合、全ての粒状体20に含有されている場合に比して、色素材料22の使用量を節約することができる。
【0040】
光源30が発光ダイオードである場合、光源30の消費電力及び発熱を小さく抑えることができる。
【0041】
光源30からの光が可視光である場合、当該光を動物や人が浴びたときの安全性を高めることができる。
【0042】
光源30からの光が紫外光である場合、紫外光は可視光に比して高エネルギーであるため、粒状体20を退色させやすいという利点がある。これにより、第1の色から第2の色への変化を大きくすることができる。
【0043】
トイレ1には、複数の光源30が設けられている。これにより、光源30が1つしか設けられていない場合に比して、本体部10内に配設された複数の粒状体20の広範囲に万遍なく光を照射しやすくなる。ただし、光源30は、1つだけ設けられてもよい。
【0044】
トイレ1には、光源30を上方から覆うカバー部材40が設けられている。これにより、光源30に排泄物がかかりにくくすることができる。また、光源30からの光が動物や人の目に直接入りにくくすることができる。
【0045】
カバー部材40は、本体部10の内側に向かって下方に傾斜している。これにより、カバー部材40上に尿が排泄された場合であっても、その尿は傾斜に沿ってカバー部材40の先端から流れ落ちる。このため、カバー部材40の上面に尿が溜まるのを防ぐことができる。
【0046】
本体部10内は仕切部材12によって上下に区画されており、複数の粒状体20は仕切部材12上に配設されている。これにより、粒状体20が配設される空間(上部空間S1)と尿が溜まる空間(下部空間S2)とを区別することができる。このため、本体部10内に溜まった尿(吸水性シート50に吸収された尿を含む。)に粒状体20が触れないようにすることができる。
【0047】
仕切部材12の下方には、吸水性シート50が配設されている。これにより、本体部10内に溜まった尿を吸水性シート50内に閉じ込めることができる。このため、本体部10内に溜まった尿に起因する悪臭の発生を緩和することができる。
【0048】
トイレ1には、本体部10に対して抜き挿しすることが可能な引出部14が設けられている。これにより、使用済みの吸水性シート50を新しいものと容易に交換することができる。
【0049】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、光源30が側面部10bに固定された場合を例示した。しかし、光源30は、カバー部材40の下面に固定されていてもよい。
【0050】
上記実施形態においては、カバー部材40が傾斜している場合を例示した。しかし、カバー部材40は、傾斜することなく、水平すなわち底面部10aと平行に設けられていてもよい。なお、カバー部材40を設けることは必須でない。
【0051】
上記実施形態においては、仕切部材12が設けられた場合を例示した。しかし、仕切部材12を設けることは必須でない。仕切部材12を設けない場合、粒状体20は、吸水性シート50上に直接敷設される。
【0052】
上記実施形態においては、引出部14が設けられた場合を例示した。しかし、引出部14を設けることは必須でない。引出部14を設けない場合、吸水性シート50は、底面部10a上に直接配設される。その場合、当然ながら、側面部10bに開口11は設けられない。
【0053】
上記実施形態においては、本体部10内に吸水性シート50が配設される場合を例示した。しかし、本体部10内に吸水性シート50を配設することは必須でない。吸水性シート50を配設しない場合、引出部14も設けられない。なお、仕切部材12、引出部14及び吸水性シート50の何れも設けない場合、粒状体20は、底面部10a上に直接敷設される。
【符号の説明】
【0054】
1 トイレ
10 本体部
10a 底面部
10b 側面部
11 開口
12 仕切部材
13 孔
14 引出部
15 把手
16 突出部
20 粒状体
22 色素材料
30 光源
40 カバー部材
50 吸水性シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7